(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】自動ドアセンサ
(51)【国際特許分類】
E05F 15/74 20150101AFI20220307BHJP
G01V 8/10 20060101ALI20220307BHJP
G01V 8/20 20060101ALI20220307BHJP
G01V 3/12 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
E05F15/74
G01V8/10 S
G01V8/20 Q
G01V3/12 A
(21)【出願番号】P 2018017250
(22)【出願日】2018-02-02
【審査請求日】2021-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2017019015
(32)【優先日】2017-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 重明
(72)【発明者】
【氏名】神吉 久幸
(72)【発明者】
【氏名】神田 恭孝
【審査官】鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-276243(JP,A)
【文献】特開2008-291598(JP,A)
【文献】特開2005-036578(JP,A)
【文献】特開平08-136654(JP,A)
【文献】特開2017-014719(JP,A)
【文献】特開2015-064343(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0267533(US,A1)
【文献】米国特許第05142152(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人または物体を検知する起動用検知手段と、前記起動用検知手段よりも人または物体を検知し易い保護用検知手段とを備え、
人または物体を検知するために取得された同じ物理的情報に対して前記起動用検知手段および前記保護用検知手段
の両方による検知を行う特殊検知エリアを有し、それぞれの検知結果を個別に出力可能な自動ドアセンサ。
【請求項2】
人または物体を検知する起動用検知手段と、前記起動用検知手段よりも人または物体を検知し易い保護用検知手段とを備え、
前記起動用検知手段および前記保護用検知手段による検知を行う特殊検知エリアを有し、それぞれの検知結果を個別に出力可能であり、
前記起動用検知手段のみによる検知が行われる起動検知エリアを更に有し、前記特殊検知エリアは、前記起動検知エリアより
もドアに近い位置に配置される
、自動ドアセンサ。
【請求項3】
ドアの移動経路上の人または物体を検知するドアウェイ用検知手段を更に備え、前記ドアウェイ用検知手段および前記保護用検知手段による検知を行う第2特殊検知エリアを有し、それぞれの検知結果は個別に又はまとめて出力される、請求項1乃至2のいずれか一項に記載の自動ドアセンサ。
【請求項4】
前記第2特殊検知エリアにおける前記保護用検知手段の検知は前記ドアが全開位置にあるときのみ行われる、請求項3に記載の自動ドアセンサ。
【請求項5】
ドアの固定壁部近傍の人または物体を検知する固定壁側検知手段を更に備え、前記固定壁側検知手段および前記保護用検知手段による検知を行う第3特殊検知エリアを有し、それぞれの検知結果は個別に又はまとめて出力される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の自動ドアセンサ。
【請求項6】
前記保護用検知手段による検知において、人または物体を検知してから前記検知された人または物体を静止体と判断して検知対象から除外するまでの静止体検知時間は、前記起動用検知手段による検知における前記静止体検知時間よりも長い、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の自動ドアセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドアセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
自動ドアに用いられる自動ドアセンサには、安全性を確保するため、妥当な検知エリアを設定することが求められる。従来から、自動ドアセンサの検知エリアを設定するための種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1では、ドアウェイ上に検知エリアを設定することで、ドアウェイの安全性を向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動ドアセンサによる検知には、自動ドアセンサの検知エリアに応じた検知手段(所定のセンサや検出アルゴリズム)が用いられていた。具体的には、通行者を検知してドアを開放するための起動領域を検知する自動ドアセンサには、不要開閉を低減しながらドアを開放するための検知手段が用いられていた。一方、ドアウェイ上等の通行者を保護するための保護領域を検知する自動ドアセンサには、通行者の立ち止まり等を監視するための検知手段が用いられていた。
【0005】
しかしながら、1台の自動ドアセンサで保護領域と起動領域との双方を検知する場合、保護領域の一部を起動領域として使用せざるを得ず、この場合、保護領域の検知に用いられる検知手段を用いて起動領域の検知を行うことになる。保護領域の検知に用いられる検知手段を用いて起動領域の検知を行うことで、自動ドアやその設置環境の影響により、誤検知が生じて不要な開閉が増加し易くなるといった問題がある。
【0006】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、ドアの不要な開閉の低減と安全性の向上とを両立させることができる自動ドアセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、人または物体を検知する起動用検知手段と、前記起動用検知手段よりも人または物体を検知し易い保護用検知手段とを備え、前記起動用検知手段および前記保護用検知手段による検知を行う特殊検知エリアを有し、それぞれの検知結果を個別に出力可能な自動ドアセンサである。
【0008】
本発明による自動ドアセンサにおいて、前記起動用検知手段のみによる検知が行われる起動検知エリアを更に有し、前記特殊検知エリアは、前記起動検知エリアよりも前記ドアに近い位置に配置されていてもよい。
【0009】
本発明による自動ドアセンサにおいて、前記ドアの移動経路上の人または物体を検知するドアウェイ用検知手段を更に備え、前記ドアウェイ用検知手段および前記保護用検知手段による検知を行う第2特殊検知エリアを有し、それぞれの検知結果は個別に又はまとめて出力されてもよい。
【0010】
本発明による自動ドアセンサにおいて、前記第2特殊検知エリアにおける前記保護用検知手段の検知は前記ドアが全開位置にあるときのみ行われてもよい。
【0011】
本発明による自動ドアセンサにおいて、前記ドアの固定壁部近傍の人または物体を検知する固定壁側検知手段を更に備え、前記固定壁側検知手段および前記保護用検知手段による検知を行う第3特殊検知エリアを有し、それぞれの検知結果は個別に又はまとめて出力されてもよい。
【0012】
本発明による自動ドアセンサにおいて、前記保護用検知手段による検知において、人または物体を検知してから前記検知された人または物体を静止体と判断して検知対象から除外するまでの静止体検知時間は、前記起動用検知手段による検知における前記静止体検知時間よりも長くてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ドアの不要な開閉の低減と安全性の向上とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態による自動ドアシステムを示すブロック図である。
【
図2】本実施形態による自動ドアセンサの検知エリアを示す鳥瞰図である。
【
図3】本実施形態による自動ドアセンサの動作を示すフローチャートである。
【
図4】本実施形態による自動ドアセンサの検知・静止体検知時間制御を示すフローチャートである。
【
図5】本実施形態による自動ドアセンサの検知・静止体検知時間制御を説明するための説明図である。
【
図6】本実施形態の第1の変形例による自動ドアシステムを示すブロック図である。
【
図7】本実施形態の第2の変形例による自動ドアシステムを示すブロック図である。
【
図8】本実施形態の第3の変形例による自動ドアシステムを示すブロック図である。
【
図9A】本実施形態の第4の変形例による自動ドアセンサの全閉時における検知エリアを示す平面図である。
【
図9B】本実施形態の第4の変形例による自動ドアセンサの全開時における検知エリアを示す平面図である。
【
図10A】本実施形態の第5の変形例による自動ドアセンサの全閉時における検知エリアを示す平面図である。
【
図10B】本実施形態の第5の変形例による自動ドアセンサの全開時における検知エリアを示す平面図である。
【
図11A】本実施形態の第6の変形例による自動ドアセンサの全閉時における検知エリアを示す平面図である。
【
図11B】本実施形態の第6の変形例による自動ドアセンサの全開時における検知エリアを示す平面図である。
【
図12A】本実施形態の第7の変形例による自動ドアセンサの全閉時における検知エリアを示す平面図である。
【
図12B】本実施形態の第7の変形例による自動ドアセンサの全開時における検知エリアを示す平面図である。
【
図13A】本実施形態の第8の変形例による自動ドアセンサの戸挟時における検知エリアを示す平面図である。
【
図13B】本実施形態の第8の変形例による自動ドアセンサの通行時における検知エリアを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る自動ドアシステムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上、実際の比率とは異なる場合があり、また、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0016】
図1は、本実施形態による自動ドアシステム1を示す図である。
図2は、本実施形態による自動ドアセンサ3の検知エリア5を示す鳥瞰図である。
図1に示すように、自動ドアシステム1は、自動ドア装置2と自動ドアセンサ3とを備える。自動ドアシステム1は、
図2に示すドア21を通行しようとする人(通行者)や物体を自動ドアセンサ3で検知したとき、ドア21を開動作させる。
【0017】
(自動ドア装置2)
自動ドア装置2は、ドア21と、
図2に示す開閉方向d1にドア21を開閉動作させるための図示しないモータ22と、自動ドアセンサ3から取得した信号または情報に基づいて前記モータを駆動制御する図示しないドア制御部23とを備える。
図2の例において、2つのドア21は、引き分けタイプの引戸である。ドア21の態様は
図2の例に限定されず、例えば、片引きタイプの引戸、開き戸、折り戸、グライドドアなどの様々な態様のドアを採用してもよい。
【0018】
例えば、ドア制御部23には、自動ドアセンサ3から、後述する有効検知エリア内の通行者の検知に応じた検知信号が入力される。ドア制御部23は、検知信号の入力に応じてドア21を開方向に駆動する制御(以下、開駆動制御とも呼ぶ)を行う。
【0019】
(自動ドアセンサ3)
図2に示すように、自動ドアセンサ3は、ドア21の通行者を検知するために、無目部24の中央、より具体的には、全閉状態の2枚のドア21の境界部の上方に設けられている。自動ドアセンサ3は、天井や無目部24の下面などの無目部24以外の場所に設けられていてもよい。
【0020】
図1に示すように、自動ドアセンサ3は、検知部31とセンサ制御部32とを備える。
検知部31およびセンサ制御部32は、検知手段の一例である。センサ制御部32は、検知部31および自動ドア装置2に接続されている。センサ制御部32は、例えば、CPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアで構成される。センサ制御部32の少なくとも一部をソフトウェアで構成してもよい。検知部31は、投光部311と受光部312とを有する。
【0021】
センサ制御部32は、有効検知エリアを有する。有効検知エリアとは、
図2に示すように、自動ドアセンサ3を用いて検知可能な領域である検知エリア5のうち、ドア21の通行者の検知のために設定された少なくとも一部の範囲の領域である。なお、
図2は床面6付近における検知エリア5の位置関係を示している。
【0022】
投光部311は、図示しない投光用の光学レンズと、図示しない複数の投光素子を有する。投光部311は、複数の投光素子のそれぞれから検知エリア5にパルス状の近赤外光を投光すなわち照射する。受光部312は、図示しない受光用の光学レンズと、投光部311の複数の投光素子のそれぞれに光学的に対応する図示しない複数の受光素子を有する。受光部312は、投光部311の複数の投光素子のそれぞれから検知エリア5に投光された近赤外光を複数の受光素子のそれぞれによって受光し、受光素子毎に近赤外光の受光量を検出する。受光部312は、検出された受光量を、受光量に応じた信号値を有する検知信号としてセンサ制御部32に出力する。なお、投光部311及び受光部312は、近赤外光以外の光を投光および受光してもよい。更に、投光部311及び受光部312は、投光用および受光用の光学レンズの代わりに別の光学系を用いてもよく、光学レンズを用いなくても構わない。
【0023】
図2の例において、検知エリア5は、2枚のドア21の正面においてドア21の開閉方向d1およびこれに直交する前後方向d2に間隔を空けて配置された複数の小検知エリア51で構成されている。具体的には、
図2において、小検知エリア51は、6列×12個の計72個存在する。
【0024】
個々の小検知エリア51は、投光部311の複数の投光素子のそれぞれから投光され、受光部312の複数の受光素子によってそれぞれ受光される近赤外光の照射スポットに対応している。
【0025】
図2の例における有効検知エリアは、複数の小検知エリア51のうち少なくとも1つの小検知エリア51で構成される。なお、
図2の例において、各小検知エリア51は、円形状を有する。この場合の小検知エリア51の床面6における直径は、例えば、10cmから30cmの間の任意の値に設定することができる。小検知エリア51は、楕円形状、矩形状および多角形状などの円形状以外の形状を有していてもよい。
【0026】
複数の小検知エリア51のうちいずれの小検知エリア51を有効検知エリアに設定するかについては、具体的な態様は特に限定されない。例えば、有効検知エリアは、自動ドアシステム1の使用開始前に予め設定されてもよい。また、有効検知エリアは、ドア位置等に応じて可変であってもよい。
【0027】
センサ制御部32は、投光部311の全ての投光素子に、それぞれに対応する小検知エリア51に向けて近赤外光を投光させる。そして、センサ制御部32は、受光部312の全ての受光素子に、各小検知エリア51からの近赤外光の反射光をそれぞれ受光させる。
そして、センサ制御部32は、受光部312から入力された小検知エリア51毎の検知信号のうち、有効検知エリアの検知信号を抽出する。
【0028】
そして、センサ制御部32は、抽出された有効検知エリアの検知信号に基づいて、後述する起動用検知アルゴリズムや保護用検知アルゴリズムにしたがって通行者や物体を検知する。通行者等の検知において、センサ制御部32は、例えば、自動ドアセンサ3の電源投入直後の有効検知エリアの検知信号の信号値(すなわち、受光量)を基準値として記憶しておき、基準値に対する信号値の変化量に基づいて通行者等を検知してもよい。有効検知エリア内の通行者等が検知された場合、センサ制御部32は、自動ドア装置2に検知信号を出力することで、有効検知エリアにおける検知結果をドア21の開駆動制御に使用する。
【0029】
特に、センサ制御部32は、後述する特殊検知エリア51Aにおいて起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムの二種類の検知アルゴリズムを用いて通行者や物体を検知する。なお、起動用検知アルゴリズムは複数あっても良く、保護用検知アルゴリズムも複数あっても良い。検知アルゴリズムを複数設けることにより、自動ドアセンサ3の設置環境や通行者や物体の状況に応じて、適切な検知アルゴリズムを選択することができる。
【0030】
なお、センサ制御部32は、投光部311の全ての投光素子に近赤外光を投光させる代わりに、有効検知エリアに対応する投光素子のみに投光を行わせてもよい。この場合、近赤外光が投光された小検知エリア51の全てが有効検知エリアとなる。有効検知エリアに対応する投光素子のみに投光を行わせることで、電力消費量を削減できる。また投光素子の寿命を長くすることもできる。
【0031】
(検知エリア5に対応する検知アルゴリズム)
センサ制御部32は、
図2に示すように、検知エリア5を構成する複数の小検知エリア51の一部として、特殊検知エリア51Aを有する。特殊検知エリア51Aは、ドア21の開閉状態にかかわらず、人または物体を検知する起動用検知アルゴリズムと起動用検知アルゴリズムよりも人または物体を検知し易い保護用検知アルゴリズムによる検知が行われ、それぞれの検知アルゴリズムによる検知結果が個別に出力されてドア21の駆動制御に用いられる。つまり、起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムとを用いて、同じ特殊検知エリア51Aを対象とした検知が行われるようになっている。そのため起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムとが適用される検知エリアは完全に一致するため、それぞれ独立した検知エリアを有し、当該検知エリアに対して起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムとが物理的に異なるセンサでそれぞれ個別に実行される場合に比べて、起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムが適用される検知エリアの位置合わせが不要となる。
【0032】
起動用検知アルゴリズムは、例えば、通行者等を検知してドア21を開動作(すなわち、起動)するための検知アルゴリズムである。起動用検知アルゴリズムは、自動ドアシステム1の構造や自動ドアシステム1の設置環境の影響に基づく自動ドアセンサ3の誤検知によるドア21の誤動作を低減することを主眼に置いた検知アルゴリズムである。起動用検知アルゴリズムは、自動ドアセンサ3の感度が相対的に低い処理、すなわち自動ドアセンサ3が検知した信号値(物理的な値)から人又は物体が存在すると判断するための基準値やアルゴリズムとして、相対的に人又は物体が存在すると判断しづらくなるようなものを用いる。このようなアルゴリズムとして、降雪による誤検知を防止するものや自動ドアセンサ3の周囲を飛翔する昆虫による誤検知を防止するものがある。起動用検知アルゴリズムは、ドア21の不要な開閉の低減に適している。
本実施例において、検知部31と起動用検知アルゴリズムを実行するセンサ制御部32が起動用検知手段を構成する。
【0033】
保護用検知アルゴリズムは、例えば、ドア21の近傍に立ち止まる通行者やドア21の近傍に存在する物体を検知して、閉じるドア21による挟み込み等のドア21との衝突から通行者や物体を保護することを主眼に置いた検知アルゴリズムである。保護用検知アルゴリズムは、自動ドアセンサ3の感度が相対的に高い処理、すなわち自動ドアセンサ3が検知した信号値(物理的な値)から人又は物体が存在すると判断するための基準値やアルゴリズムとして、相対的に人又は物体が存在すると判断しやすくなるようなものを用いる。保護用検知アルゴリズムは、安全性の向上に適している。
本実施例において、検知部31と保護用検知アルゴリズムを実行するセンサ制御部32が保護用検知手段を構成する。
【0034】
起動用検知アルゴリズムおよび保護用検知アルゴリズムは、通行者の検知を実行するセンサ制御部32に記憶されている。
【0035】
このとき、ドア制御部23は、起動用検知アルゴリズムによる検知結果に応じた信号である起動用検知アルゴリズムによる検知信号と、保護用検知アルゴリズムによる検知結果に応じた信号である保護用検知アルゴリズムによる検知信号に基づいてドア21を開閉させる。
なお、ドア制御部23は、ドア21が閉動作を行うときに、保護用検知アルゴリズムにより通行者等が検知された場合、ドア21を開動作させても、ドア21の閉動作を停止させても、ドア21を低速閉作動させてもよい。
【0036】
特殊検知エリア51Aにおいては、自動ドアセンサ3の感度が保護用検知アルゴリズムよりも相対的に低い処理である起動用検知アルゴリズムによる検知結果をドア21の駆動制御に用いることができる。ここで起動用検知アルゴリズムは、自動ドアセンサ3が検知した信号値(物理的な値)から人又は物体が存在すると判断するための基準値やアルゴリズムを、保護用検知アルゴリズムよりも相対的に人又は物体が存在すると判断しづらくなるものを採用したものである。
【0037】
更に特殊検知エリア51Aにおいては、自動ドアセンサ3の感度が起動用検知アルゴリズムよりも相対的に高い処理である保護用検知アルゴリズムによる検知結果をドア21の駆動制御に用いることができる。ここで、保護用検知アルゴリズムは、自動ドアセンサ3が検知した信号値(物理的な値)から人又は物体が存在すると判断するための基準値(閾値)やアルゴリズムを、起動用検知アルゴリズムよりも相対的に人又は物体が存在すると判断しやすくなるものを採用したものである。
【0038】
以上より、特殊検知エリア51Aにおいては、起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムの両方の検知アルゴリズムによる検知結果にもとづいて自動ドア装置(ドア制御部23)が動作するため、ドア21の不要な開閉の低減と安全性の向上とを両立させることができる。なお、特殊検知エリア51Aが特殊検知エリアを構成する。
【0039】
保護用検知アルゴリズムが適用される検知エリアは、ドア21から前方に200mm以内にあることが規格上要求される。このため、特殊検知エリア51Aは、
図2に示すようにドア21からみて2列目と3列目の小検知エリア51Aとされている。2列目及び3列目の小検知エリア51Aを特殊検知エリア51Aとすることで、規格を満足することができるとともに、ドア21の近傍における安全性をより向上させることができる。なお、小検知エリア51の大きさに応じて、特殊検知エリア51Aとして設定される小検知エリアの列数を任意に変更可能である。
【0040】
また、センサ制御部32は、
図2に示すように、検知エリア5を構成する複数の小検知エリア51のうち、特殊検知エリア51A以外の一部の小検知エリア51Bとして、起動用検知アルゴリズムのみによる検知が行われる起動検知エリア51Bを有していてもよい。起動検知エリア51Bは、起動用検知アルゴリズムおよび保護用検知アルゴリズムの双方による検知が行われ、ドア21の位置によらず、起動用検知アルゴリズムによる検知結果のみがドア21の駆動制御に用いられるエリアであってもよい。特殊検知エリア51Aは、起動検知エリア51Bよりもドア21に近い位置に配置されてもよい。
図2の例において、起動検知エリア51Bは、4列目~6列目の小検知エリア51Bである。通行者の立ち止まり等による危険性が低い、ドア21から離れた位置に起動検知エリア51Bを配置することで、ドア21から離れた検知エリア5における誤検知を有効に低減することができる。
【0041】
なお、1列目の小検知エリア51Cは、ドア21が閉鎖しているときは、起動用検知アルゴリズムのみによる検知が行われ、ドア21が開放しているときは、ドア21を通行者等として誤検知しないように無効となるエリアであってもよい。無効とは、検知しても有効な信号として取り扱わない意味と、検知しないように検知動作を停止させる意味とを含む(以下、同様)。
【0042】
また、センサ制御部32は、検知エリア5を構成する複数の小検知エリア51のうち、特殊検知エリア51Aおよび起動検知エリア51B以外の一部の小検知エリア51として、保護用検知アルゴリズムのみによる検知が行われる保護検知エリアを有していてもよい。例えば、1列目の小検知エリア51Cを保護検知エリアとしてもよい。なお、1列目の小検知エリア51Cを保護検知エリアとする場合であっても、ドア21が動いているときは、ドア21を通行者等として誤検知しないように、1列目の小検知エリア51Cのうちドア21が存在する位置に対応する小検知エリア51を無効あるいは感度を起動検知エリア51Bよりも落とす(ドア21を誤検知しにくくする)ようにしてもよい。このような検知アルゴリズムを本実施例ではドアウェイ用検知アルゴリズムと称する。この場合、特殊検知エリア51Cが第2特殊検知エリアを構成し、検知部31とドアウェイ用検知アルゴリズムを実行するセンサ制御部32がドアウェイ用検知手段を構成する。さて、1列目の小検知エリア51Cを保護検知エリアとする場合、特殊検知エリア51Aは、起動検知エリア51Bと保護検知エリア51Cとの間に配置される。この場合、特殊検知エリア51Aにおける検知アルゴリズムの切り替えに応じて、起動用検知アルゴリズムによる検知が行われる小検知エリア51または保護用検知アルゴリズムによる検知が行われる小検知エリア51を拡大することができる。これにより、ドア21の不要な開閉の低減と安全性の向上とを更に効果的に両立させることができる。
【0043】
保護用検知アルゴリズムによる検知において、人または物体を検知してから検知された人または物体を静止体(すなわち、背景)と判断して検知対象から除外するまでの静止体検知時間は、起動用検知アルゴリズムによる検知における静止体検知時間よりも長くてもよい。静止体検知時間の具体的な態様は特に限定されない。例えば、起動用検知アルゴリズムにおける静止体検知時間は5秒、保護用検知アルゴリズムにおける静止体検知時間は30秒であってもよい。保護用検知アルゴリズムにおける静止体検知時間を起動用検知アルゴリズムにおける静止体検知時間より長くすることで、長時間の立ち止まりを検知できるので、安全性を向上することができる。また逆に、起動用検知アルゴリズムにおける静止体検知時間は保護用検知アルゴリズムにおける静止体検知時間より短くすることで、外乱の影響を抑制できるので、ドア21の不要な開閉を防止することができる。
【0044】
また、センサ制御部32は、起動用検知アルゴリズムのみによる検知が行われる退出側の検知エリア(以下、退出側の起動検知エリアとも呼ぶ)と、保護用検知アルゴリズムによる検知が行われる退出側の検知エリア(以下、退出側の保護検知エリアとも呼ぶ)とを有していてもよい。この場合、センサ制御部32は、退出側の保護検知エリアが非検知となったときに退出側の起動検知エリアを無効にする退出無効制御を行ってもよい。退出無効制御を行うことで、ドア21の開放時間を最小限に抑えつつ、安全性の低下を抑制することできる。
【0045】
また、センサ制御部32は、起動検知エリア51Bにおいて人または物体がドア21に沿う方向のみに移動していることが検知された場合に起動検知エリア51Bを無効にする横切り無効制御を行ってもよい。「ドア21に沿う方向」とは、
図2の開閉方向d1であってもよく、または、開閉方向d1とのなす角度が閾値以内の方向(すなわち、開閉方向d1と殆ど同じ方向)であってもよい。横切り無効制御を行うことで、より効果的にドア21の不要な開閉を防止しつつ安全性の低下を抑制することができる。
【0046】
また、起動用検知アルゴリズムおよび保護用検知アルゴリズムは、それぞれ1種類ずつに限らず、複数種類ずつあってもよい。保護用検知アルゴリズムを複数種類用いる場合、ドア位置の変化やドア制御の状態やセンサの制御状態に応じて保護用検知アルゴリズムを切替えても、複数の保護用検知アルゴリズムを並行して動作させて必要なものを選択してもよい。
【0047】
(動作例)
次に、自動ドアシステム1の動作例について説明する。
図3は、本実施形態による自動ドアシステム1の動作例において、自動ドアセンサ3の動作を示すフローチャートである。
図3のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0048】
図3に示すように、先ず、静止体検知時間等の処理に必要なパラメータを読み込み、初期設定をする(ステップS1)。次に検知部31で取得した検知エリア5内から得られた物理的情報を取得する(ステップS2)。そして得られた物理的情報に対して起動用検知アルゴリズムを適用し、通行者等が存在するか否かを判断する検知処理を行う(ステップS3)。更に得られた物理的情報に対して保護用検知アルゴリズムを適用し、通行者等が存在するか否かを判断する検知処理を行う(ステップS4)。更に得られた物理的情報に対してドアウェイ用検知アルゴリズムを適用し、通行者等が存在するか否かを判断する検知処理を行う(ステップS5)。次に起動用検知アルゴリズムおよび保護用検知アルゴリズムによる検知処理の結果に基づき、それぞれ独立して検知信号(接点信号)または検知情報(データ通信)が自動ドア装置2に出力される(ステップS6)。
【0049】
特に、特殊検知エリア51Aにおいては、同じ物理的情報に対して、起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムの両方を適用し、通行者等が存在するか否かを判断する検知処理を行う。
【0050】
ドアウェイ用検知アルゴリズムを適用した検知処理(ステップS5)は、必要に応じて削除してもよい。
【0051】
(検知・背景更新制御)
次にセンサ制御部32が行う各アルゴリズムで共通の検知制御および静止体検知時間経過後の背景更新制御について、
図4のフローチャートを用いて説明する。
図4のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0052】
検知・背景更新制御において、先ず、センサ制御部32は、予め記憶されている受光量記憶値(判断の基準となる背景の値)と、ステップS1の初期設定で読み込まれた感度パラメータとに基づいて、通行者が検知されたと判断するための受光量記憶値を基準とした受光量の増加側閾値と減少側閾値とを計算する(ステップS221)。
【0053】
図5は、本実施形態による自動ドアシステム1の動作例において、検知・背景更新制御を説明するための説明図である。
図5には、小検知エリア51の検知信号に示される受光量と、受光量記憶値と、感度パラメータと、増加側閾値と、減少側閾値と、検知フラグの状態との対応関係が示されている。
図5に示すように、感度パラメータは、自動ドアシステム1の電源投入直後等の所定の時点で取得された受光量記憶値(基準値)に対して、増加側または減少側にどの程度受光量が変化すれば検知状態となるのかを示す受光量の変化量である。感度パラメータが小さいほど、感度が高いことを示す。
【0054】
図5の例では、受光量記憶値に感度パラメータを加えることで、増加側閾値が得られる。センサ制御部32は、受光量が増加側閾値以上であれば、その受光量が後述する静止体検知時間以内に変化したものである場合において、検知フラグをオンして通行者等の検知状態となる。また、
図5の例では、受光量記憶値から感度パラメータを減じることで、減少側閾値が得られる。センサ制御部32は、受光量が減少側閾値以下である場合も、その受光量が後述する静止体検知時間以内に変化したものである場合において、検知フラグをオンして通行者等の検知状態となる。一方、センサ制御部32は、受光量が減少側閾値より大きく増加側閾値より小さい場合は、検知フラグをオフして通行者等の非検知状態となる。検知フラグは、例えば、自動ドア装置2の記憶領域に設定される。
【0055】
増加側閾値および減少側閾値を計算した後、
図4に示すように、センサ制御部32は、検知信号に示される受光量が増加側閾値以上または減少側閾値以下であるか否かを判定する(ステップS222)。
【0056】
受光量が増加側閾値以上または減少側閾値以下でない場合(ステップS222:N)、センサ制御部32は、検知フラグをオフする(ステップS223)。
【0057】
一方、受光量が増加側閾値以上または減少側閾値以下である場合(ステップS222:Y)、センサ制御部32は、検知信号に示される受光量が、
図7のステップS212で読み込まれた静止体検知時間以上の間、変化がないか否かを判定する(ステップS224)。
【0058】
静止体検知時間(背景を更新せずに保持する時間)以内に受光量が変化した場合(ステップS224:N)、センサ制御部32は、検知フラグをオンする(ステップS225)。 一方、静止体検知時間以上の間、受光量の変化がない場合(ステップS224:Y)、センサ制御部32は、検知フラグをオフする(ステップS226)。検知フラグをオフした後、センサ制御部32は、受光量記憶値を現在の受光量に更新する(ステップS227)。
【0059】
(退出無効制御)
センサ制御部32は、起動用検知アルゴリズムにおいては、退出無効制御を行っても良いが、保護用検知アルゴリズムにおいては行わない。以下、退出無効制御について説明する。退出無効制御において、先ず、センサ制御部32は、検知フラグがオンされているか否かを判定する。検知フラグがオンされていない場合、センサ制御部32は、検知フラグをオフしたまま退出無効制御を終了する。
【0060】
一方、検知フラグがオンされている場合、センサ制御部32は、ドア21の退出側(ドア21を挟んだ反対側)に設定された小検知エリア52のうち、退出側の保護検知エリア52Aからの検知信号に基づいて、退出側の保護検知エリア52Aが非検知状態となったか否かを判定する。
【0061】
退出側の保護検知エリア52Aが非検知状態となっている場合、センサ制御部32は、検知フラグをオフする。一方、退出側の保護検知エリア52Aが非検知状態となっていない場合、センサ制御部32は、検知フラグをオンしたまま退出無効制御を終了する。
【0062】
(横切り無効制御)
センサ制御部32は、起動用検知アルゴリズムにおいては、横切り無効制御を行っても良いが、保護用検知アルゴリズムにおいては行わない。以下、横切り無効制御について説明する。横切り無効制御において、先ず、センサ制御部32は、検知フラグがオンされているか否かを判定する。検知フラグがオンされていない場合、センサ制御部32は、検知フラグをオフしたまま横切り無効制御を終了する。
【0063】
一方、検知フラグがオンされている場合、センサ制御部32は、検知状態の小検知エリア51の変化から得られる通行者の移動ベクトルに基づいて、通行者がドア21の前を横切る方向(すなわち、ドア21に沿う方向)のみに移動しているか否かを判定する。
【0064】
通行者がドア21の前を横切る方向のみに移動している場合、センサ制御部32は、検知フラグをオフする。一方、通行者がドア21の前を横切る方向に移動していない場合、センサ制御部32は、検知フラグをオンしたまま横切り無効制御を終了する。
【0065】
検知判断において、センサ制御部32は、検知フラグがオンされているか否かを判定する。検知フラグがオンされていない場合、センサ制御部32は、通行者等が非検知であると判断する。一方、検知フラグがオンされている場合、センサ制御部32は、通行者が検知されたと判断する。これらの判断結果は個別に自動ドア装置2に出力される(ステップS6)。
【0066】
以上のようにして、各アルゴリズムによる検知処理が行われる。各アルゴリズムの順序は入れ替わってもよい。また、一部の検知アルゴリズムを省略してもよい。また起動用検知アルゴリズムとドアウェイ用検知アルゴリズムによる検知信号は異なる接点またはデータ通信のパケットの異なるフラグで出力する例を示したが、これに限られず、同じ接点またはデータ通信のパケットの同じフラグで出力しても構わない。同じ接点またはデータ通信のパケットの同じフラグで出力する場合には、配線を少なくすることができる。
【0067】
本実施形態によれば、特殊検知エリア51Aにおいて、起動用検知アルゴリズムによる検知と保護用検知アルゴリズムによる検知の両方を行う。本実施形態によれば、ドアの不要な開閉の低減と安全性の向上とを両立させることができる。
【0068】
さらに、起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムとを用いて、同じ特殊検知エリア51Aを対象とした検知が行われるようになっているので、それぞれ独立した検知エリアを有し、当該検知エリアに対して起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムとが物理的に異なるセンサでそれぞれ個別に実行される場合に比べて、起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムが適用される検知エリアの位置合わせが不要となる。
【0069】
(第1の変形例)
次に、全閉時のドア21の戸尻側に位置する固定壁近傍の検知エリア51D(第3特殊検知エリア)を有し、検知エリア51Dに対して固定壁側検知アルゴリズムのみによる通行者等の検知を行う第1の変形例について説明する。検知エリア51Dは開動作中のドア21の戸尻側に通行者等が接触しないように監視するため、固定壁近傍で開状態のドア21が存在する側に設けられ、その幅は少なくともドア21の幅よりも大きく、奥行(固定壁に垂直な方向)は少なくともドア21の厚み以上の大きさである。
図6は、本実施形態の第1の変形例による自動ドアシステム1を示すブロック図である。
図6に示すように、第1の変形例の自動ドアセンサ3は、他の検知アルゴリズムに加え固定壁側検知アルゴリズムを実行可能なセンサ制御部32が設けられている。固定壁側検知アルゴリズムは、ドア21が開動作中(全閉状態を含む)のみに実行される。固定壁側検知アルゴリズムは、
図3のフローチャートのステップS2以降でステップS6以前であればどの段階で実行されても構わない。これによってドア21の戸尻側の安全性を向上させることができる。本実施例において、検知部31と固定壁側検知アルゴリズムを実行するセンサ制御部32が固定壁側検知手段を構成する。固定壁側検知アルゴリズムの実行にあたっては先に検知・背景更新制御で説明したものに準じて検知フラグの設定が行われるため、説明を省略する。
【0070】
なお、上記に限られず固定壁側検知アルゴリズムは、常時実行されるようにしても構わない。また、ドア21の位置に応じて検知エリア51Dの幅を動的に変更しても構わない。更にドア21が戸袋に収納される構造の場合、検知エリア51Dは、通行者の指等が挟みこまれないように監視するため、戸袋の開口部周辺に設けても良い。さらに、各アルゴリズムの順序は入れ替わってもよい。
【0071】
更に、一部の検知アルゴリズムを省略してもよい。また起動用検知アルゴリズム、ドアウェイ用検知アルゴリズムおよび固定壁側検知アルゴリズムによる検知信号は同じ接点またはデータ通信のパケットの同じフラグで出力する例を示したが、これに限られず、異なる接点またはデータ通信のパケットの異なるフラグで出力してもよく、固定壁側検知アルゴリズムによる検知信号は保護用検知アルゴリズムによる検知信号と同じ接点またはデータ通信のパケットの同じフラグで出力しても構わない。
【0072】
第1の変形例においても、ドアの不要な開閉の低減と安全性の向上とを両立させることができる。また、第1の変形例においても、起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムとを用いて、同じ特殊検知エリア51Aを対象とした検知が行われるようになっているので、それぞれ独立した検知エリアを有し、当該検知エリアに対して起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムとが物理的に異なるセンサでそれぞれ個別に実行される場合に比べて、起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムが適用される検知エリアの位置合わせが不要となる。更に、第1の変形例によれば、固定壁側(ドア21の戸尻側)の安全性の向上も図ることができる。
【0073】
(第2の変形例)
次に、撮像画像に基づいた検知を行う第2の変形例について説明する。
図7は、本実施形態の第2の変形例による自動ドアシステム1を示すブロック図である。
図7に示すように、第2の変形例の自動ドアセンサ3は、投光部311および受光部312の代わりに、検知部の一例として撮像部313を有する。撮像部313は、例えば、可視光域に感度を有するCCDもしくはCMOSカメラである。撮像部313は、赤外線領域に感度を有する赤外線カメラであってもよい。
【0074】
撮像部313は、検知エリア5を撮像し、検知エリア5の撮像画像を示す検知信号をセンサ制御部32に出力する。センサ制御部32は、撮像部313から入力された検知信号に基づいて通行者等を検知し、通行者等の検知信号を自動ドア装置2に出力する。
【0075】
第2の変形例においては、撮像部313によって高精度な撮像画像を取得でき、これに基づいて通行者等を高精度に検知できるので、ドアの不要な開閉の低減と安全性の向上とを更に有効に両立させることができる。また、第2の変形例においても、起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムとを用いて、同じ特殊検知エリア51Aを対象とした検知が行われるようになっているので、それぞれ独立した検知エリアを有し、当該検知エリアに対して起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムとが物理的に異なるセンサでそれぞれ個別に実行される場合に比べて、起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムが適用される検知エリアの位置合わせが不要となる。
【0076】
(第3の変形例)
次に、電波によるドップラー効果を用いた検知を行う第3の変形例について説明する。
図8は、本実施形態の第3の変形例による自動ドアシステム1を示すブロック図である。
図8に示すように、第3の変形例の自動ドアセンサ3は、電波送受信部314を有する。
電波送受信部314は、検知エリア5に対して電波を発信し、発信した電波と検知エリア5に存在する通行者等からの反射波との干渉波を検出する。そして、電波送受信部314は、干渉波を示す検知信号をセンサ制御部32に出力する。センサ制御部32は、電波送受信部314から入力された検知信号に基づいて通行者等を検知し、通行者等の検知信号を自動ドア装置2に出力する。
【0077】
第3の変形例においても、ドアの不要な開閉の低減と安全性の向上とを両立させることができる。また、第3の変形例においても、起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムとを用いて、同じ特殊検知エリア51Aを対象とした検知が行われるようになっているので、それぞれ独立した検知エリアを有し、当該検知エリアに対して起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムとが物理的に異なるセンサでそれぞれ個別に実行される場合に比べて、起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムが適用される検知エリアの位置合わせが不要となる。
【0078】
(第4の変形例)
次に、引き分けタイプの引戸に対する特殊検知エリアおよび起動検知エリアのより具体的な適用例について説明する。
図9Aは、本実施形態の第4の変形例による自動ドアセンサの検知エリアとして、引き分けタイプの引戸に適用される全閉時における検知エリアを示す平面図である。
図9Bは、本実施形態の第4の変形例による自動ドアセンサの検知エリアとして、引き分けタイプの引戸に適用される全開時における検知エリアを示す平面図である。
【0079】
図9Aに示すように、センサ制御部32(
図1等参照)は、全閉状態の2枚のドア21の前方(
図9Aにおける下方)に、
図2で説明した特殊検知エリア51Aを有する。また、センサ制御部32は、特殊検知エリア51Aよりも全閉状態のドア21から前方に離れた位置に、
図2で説明した起動検知エリア51Bを有する。また、センサ制御部32は、引き分けタイプの引戸におけるドア21の移動経路すなわちドアウェイ上に、
図2で説明した第2特殊検知エリア51Cを有する。また、センサ制御部32は、固定壁211および第2特殊検知エリア51Cの前方に、第1の変形例で説明した第3特殊検知エリア51Dを有する。
【0080】
第4の変形例において、センサ制御部32は、全閉時には、
図9Aに示される第2特殊検知エリア51Cにおいて、ドアウェイ用検知アルゴリズムおよび固定壁側検知アルゴリズムによる検知を行う。この場合、センサ制御部32は、ドアウェイ用検知アルゴリズムおよび固定壁側検知アルゴリズムによる検知結果をまとめて出力してもよい。また、センサ制御部32は、
図9Aに示される第3特殊検知エリア51Dにおいて、固定壁側検知アルゴリズムによる検知を行う。また、センサ制御部32は、
図9Aに示される特殊検知エリア51Aおよび起動検知エリア51Bにおいて、起動用検知アルゴリズムによる検知を行う。
【0081】
一方、センサ制御部32は、全開時には、
図9Bに示される第2特殊検知エリア51Cにおいて、ドアウェイ用検知アルゴリズムおよび閉保護用検知アルゴリズムによる検知を行う。この場合、ドアウェイ用検知アルゴリズムおよび閉保護用検知アルゴリズムによる検知結果は、まとめて出力してもよい。ここで、閉保護用検知アルゴリズムとは、保護用検知アルゴリズムの一態様であり、ドア21が閉じるときにドア21の開口部に立ち止まる通行者や物体を検知して、閉じるドア21による挟み込み等のドア21との衝突から通行者や物体を保護するための検知アルゴリズムである。また、センサ制御部32は、
図9Bに示される第3特殊検知エリア51Dおよび起動検知エリア51Bにおいて、起動用検知アルゴリズムによる検知を行う。また、センサ制御部32は、
図9Bに示される特殊検知エリア51Aにおいて、起動用検知アルゴリズムおよび閉保護用検知アルゴリズムによる検知を行う。
【0082】
第4の変形例によれば、引き分けタイプの引戸において、ドアの不要な開閉の低減と安全性の向上とを両立させることができるとともに、固定壁側(ドア21の戸尻側)の安全性の向上も図ることができる。また、第4の変形例においても、起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムとを用いて、同じ特殊検知エリア51Aを対象とした検知が行われるようになっているので、それぞれ独立した検知エリアを有し、当該検知エリアに対して起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムとが物理的に異なるセンサでそれぞれ個別に実行される場合に比べて、起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムが適用される検知エリアの位置合わせが不要となる。
【0083】
(第5の変形例)
次に、折戸の一例であるフォールディングドアに対する特殊検知エリアおよび起動検知エリアの具体的な適用例について説明する。
図10Aは、本実施形態の第5の変形例による自動ドアセンサの検知エリアとして、フォールディングドアに適用される全閉時における検知エリアを示す平面図である。
図10Bは、本実施形態の第5の変形例による自動ドアセンサの検知エリアとして、フォールディングドアに適用される全開時における検知エリアを示す平面図である。
【0084】
図10Aに示すように、センサ制御部32(
図1等参照)は、左右の側壁212に軸支されたフォールディングドアにおける2つのドア21のそれぞれの移動経路上に、略扇形状の2つの第2特殊検知エリア51Cを有する。また、センサ制御部32は、2つの第2特殊検知エリア51Cの間のドア21の前方に、特殊検知エリア51Aを有する。また、センサ制御部32は、特殊検知エリア51Aよりもドア21から離れた位置に、起動検知エリア51Bを有する。
【0085】
第5の変形例において、センサ制御部32は、全閉時には、
図10Aに示される第2特殊検知エリア51Cにおいて、ドアウェイ用検知アルゴリズムおよび開保護用検知アルゴリズムによる検知を行う。また、センサ制御部32は、
図10Aに示される特殊検知エリア51Aにおいて、起動用検知アルゴリズムおよび開保護用検知アルゴリズムによる検知を行う。ここで、開保護用検知アルゴリズムとは、保護用検知アルゴリズムの一態様であり、ドア21が開くときにドア21と固定壁との間に進入する通行者や物体を検知して、開くドア21による挟み込み等のドア21との衝突から通行者や物体を保護する検知アルゴリズムである。また、センサ制御部32は、
図10Aに示される起動検知エリア51Bにおいて、起動用検知アルゴリズムによる検知を行う。
【0086】
一方、センサ制御部32は、全開時には、
図10Bに示される第2特殊検知エリア51Cにおいて、ドアウェイ用検知アルゴリズムおよび閉保護用検知アルゴリズムによる検知を行う。また、センサ制御部32は、
図10Bに示される特殊検知エリア51Aにおいて、起動用検知アルゴリズムおよび閉保護用検知アルゴリズムによる検知を行う。また、センサ制御部32は、
図10Bに示される起動検知エリア51Bにおいて、起動用検知アルゴリズムによる検知を行う。
【0087】
第5の変形例によれば、フォールディングドアにおいて、ドアの不要な開閉の低減と安全性の向上とを両立させることができる。また、第5の変形例においても、起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムとを用いて、同じ特殊検知エリア51Aを対象とした検知が行われるようになっているので、それぞれ独立した検知エリアを有し、当該検知エリアに対して起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムとが物理的に異なるセンサでそれぞれ個別に実行される場合に比べて、起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムが適用される検知エリアの位置合わせが不要となる。
【0088】
(第6の変形例)
次に、折戸の他の一例であるグライドドアすなわちバランスドアに対する特殊検知エリアおよび起動検知エリアの具体的な適用例について説明する。
図11Aは、本実施形態の第6の変形例による自動ドアセンサの検知エリアとして、グライドドアに適用される全閉時における検知エリアを示す平面図である。
図11Bは、本実施形態の第6の変形例による自動ドアセンサの検知エリアとして、グライドドアに適用される全開時における検知エリアを示す平面図である。
【0089】
図11Aに示すように、センサ制御部32(
図1等参照)は、グライドドアにおける2つのドア21のそれぞれの移動経路上に、第2特殊検知エリア51C-1、51C-2を有する。
図11Aの例において、ドア21は、全閉状態のドア21の位置に対して戸先21aが後方(
図11Aにおける上方)に突出し、かつ、戸尻21bが前方(
図11Aにおける下方)に突出するように開閉動作する。このため、第2特殊検知エリア51C、51C-1、51C-2は、全閉状態のドア21上の第2特殊検知エリア51Cと、前方側の第2特殊検知エリア51C-1と、後方側の第2特殊検知エリア51C-2とを有する。また、センサ制御部32は、2つの前方側の第2特殊検知エリア51C-1の間のドア21の前方に、前方側の特殊検知エリア51A-1を有する。また、センサ制御部32は、前方側の特殊検知エリア51A-1よりもドア21から前方に離れた位置に、前方側の起動検知エリア51B-1を有する。また、センサ制御部32は、2つの後方側の第2特殊検知エリア51C-2の後方に、後方側の特殊検知エリア51A-2を有する。また、センサ制御部32は、後方側の特殊検知エリア51A-2よりもドア21から後方に離れた位置に、後方側の起動検知エリア51B-2を有する。
【0090】
第6の変形例において、センサ制御部32は、全閉時には、
図11Aに示される第2特殊検知エリア51C、51C-1、51C-2において、ドアウェイ用検知アルゴリズムおよび開保護用検知アルゴリズムによる検知を行う。また、センサ制御部32は、
図11Aに示される特殊検知エリア51A-1、51A-2において、起動用検知アルゴリズムおよび開保護用検知アルゴリズムによる検知を行う。また、センサ制御部32は、
図11Aに示される起動検知エリア51B-1、51B-2において、起動用検知アルゴリズムによる検知を行う。
【0091】
一方、センサ制御部32は、全開時には、
図11Bに示される第2特殊検知エリア51C、51C-1、51C-2において、ドアウェイ用検知アルゴリズムおよび閉保護用検知アルゴリズムによる検知を行う。また、センサ制御部32は、
図11Bに示される特殊検知エリア51A-1、51A-2において、起動用検知アルゴリズムおよび閉保護用検知アルゴリズムによる検知を行う。また、センサ制御部32は、
図11Bに示される起動検知エリア51B-1、51B-2において、起動用検知アルゴリズムによる検知を行う。
【0092】
第6の変形例によれば、グライドドアにおいて、ドアの不要な開閉の低減と安全性の向上とを両立させることができる。さらに、特殊検知エリア51A-1と同様に、起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムとを用いて、同じ特殊検知エリア51A-2を対象とした検知が行われるようになっているので、それぞれ独立した検知エリアを有し、当該検知エリアに対して起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムとが物理的に異なるセンサでそれぞれ個別に実行される場合に比べて、起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムが適用される検知エリアの位置合わせが不要となる。
【0093】
(第7の変形例)
次に、開き戸に対する特殊検知エリアおよび起動検知エリアの具体的な適用例について説明する。
図12Aは、本実施形態の第7の変形例による自動ドアセンサの検知エリアとして、開き戸に適用される全閉時における検知エリアを示す平面図である。
図12Bは、本実施形態の第7の変形例による自動ドアセンサの検知エリアとして、開き戸に適用される全開時における検知エリアを示す平面図である。
【0094】
図12Aに示すように、センサ制御部32(
図1等参照)は、左右の側壁212に軸支された開き戸における2つのドア21のそれぞれの移動経路上に、略扇形状の2つの第2特殊検知エリア51Cを有する。また、センサ制御部32は、2つの第2特殊検知エリア51Cの間のドア21の前方に、特殊検知エリア51Aを有する。また、センサ制御部32は、特殊検知エリア51Aよりもドア21から離れた位置に、起動検知エリア51Bを有する。
【0095】
第7の変形例において、センサ制御部32は、全閉時には、
図12Aに示される第2特殊検知エリア51Cにおいて、ドアウェイ用検知アルゴリズムおよび開保護用検知アルゴリズムによる検知を行う。また、センサ制御部32は、
図12Aに示される特殊検知エリア51Aにおいて、起動用検知アルゴリズムおよび開保護用検知アルゴリズムによる検知を行う。また、センサ制御部32は、
図12Aに示される起動検知エリア51Bにおいて、起動用検知アルゴリズムによる検知を行う。
【0096】
一方、センサ制御部32は、全開時には、
図12Bに示される第2特殊検知エリア51Cにおいて、ドアウェイ用検知アルゴリズムおよび閉保護用検知アルゴリズムによる検知を行う。また、センサ制御部32は、
図12Bに示される特殊検知エリア51Aにおいて、起動用検知アルゴリズムおよび閉保護用検知アルゴリズムによる検知を行う。また、センサ制御部32は、
図12Bに示される起動検知エリア51Bにおいて、起動用検知アルゴリズムによる検知を行う。
【0097】
第7の変形例によれば、開き戸において、ドアの不要な開閉の低減と安全性の向上とを両立させることができる。また、第7の変形例においても、起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムとを用いて、同じ特殊検知エリア51Aを対象とした検知が行われるようになっているので、それぞれ独立した検知エリアを有し、当該検知エリアに対して起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムとが物理的に異なるセンサでそれぞれ個別に実行される場合に比べて、起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムが適用される検知エリアの位置合わせが不要となる。
【0098】
(第8の変形例)
次に、回転戸に対する特殊検知エリアおよび起動検知エリアの具体的な適用例について説明する。
図13Aは、本実施形態の第8の変形例による自動ドアセンサの検知エリアとして、回転戸に適用される戸挟時における検知エリアを示す平面図である。
図13Bは、本実施形態の第8の変形例による自動ドアセンサの検知エリアとして、回転戸に適用される通行時における検知エリアを示す平面図である。
【0099】
図13Aに示すように、センサ制御部32(
図1等参照)は、出入口212aが設けられた筒状のケーシング212の内部で回転する回転戸のドア21の移動経路上に、第2特殊検知エリア51Cを有する。また、センサ制御部32は、第2特殊検知エリア51Cに隣接する出入口212aの外側に、特殊検知エリア51Aを有する。また、センサ制御部32は、特殊検知エリア51Aよりもドア21から外側に離れた位置に、起動検知エリア51Bを有する。
【0100】
第8の変形例において、センサ制御部32は、戸挟時には、
図13Aに示される第2特殊検知エリア51Cにおいて、ドアウェイ用検知アルゴリズムおよび戸挟保護用検知アルゴリズムによる検知を行う。ここで、戸挟保護用検知アルゴリズムとは、保護用検知アルゴリズムの一態様であり、ドア21の戸挟部に進入する通行者や物体を検知して、回転するドア21による挟み込み等のドア21との衝突から通行者や物体を保護する検知アルゴリズムである。また、センサ制御部32は、
図13Aに示される特殊検知エリア51Aにおいて、起動用検知アルゴリズムおよび戸挟保護用検知アルゴリズムによる検知を行う。また、センサ制御部32は、
図13Aに示される起動検知エリア51Bにおいて、起動用検知アルゴリズムによる検知を行う。
【0101】
一方、センサ制御部32は、通行時には、
図13Bに示される第2特殊検知エリア51Cにおいて、ドアウェイ用検知アルゴリズムによる検知を行う。また、センサ制御部32は、
図13Bに示される特殊検知エリア51Aおよび起動検知エリア51Bにおいて、起動用検知アルゴリズムによる検知を行う。
【0102】
第8の変形例によれば、回転戸において、ドアの不要な開閉の低減と安全性の向上とを両立させることができる。また、第8の変形例においても、起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムとを用いて、同じ特殊検知エリア51Aを対象とした検知が行われるようになっているので、それぞれ独立した検知エリアを有し、当該検知エリアに対して起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムとが物理的に異なるセンサでそれぞれ個別に実行される場合に比べて、起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムが適用される検知エリアの位置合わせが不要となる。
【0103】
自動ドアセンサ3は、上述した赤外線、画像、電波の代わりに、超音波や測距式センサを用いても良い。
【0104】
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、例えば、起動用検知手段としての起動用検知アルゴリズムおよび保護用検知手段としての保護用検知アルゴリズムを用いる代わりに物理的に別体であるが検知エリアが重なっている起動用センサ装置と保護用センサ装置を用いても良い。この場合、起動用センサ装置は通行者または物体を検知する機能は起動用検知アルゴリズムと同等であり、例えば遠赤外線方式のセンサ装置であり、保護用センサ装置は通行者または物体を検知する機能は保護用検知アルゴリズムと同等であり、例えば近赤外線方式のセンサ装置である。なお、起動用センサ装置が電波方式のセンサ装置であり、保護用センサ装置が近赤外線方式のセンサ装置であっても良い。
【0105】
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0106】
1 自動ドアシステム、3 自動ドアセンサ、31 検知部、32 センサ制御部、51A 特殊検知エリア、51C 第2特殊検知エリア、51D 第3特殊検知エリア