(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】露光装置、露光方法、及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20220307BHJP
G03F 9/00 20060101ALI20220307BHJP
G03F 7/22 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F9/00 H
G03F7/22 H
(21)【出願番号】P 2018037866
(22)【出願日】2018-03-02
【審査請求日】2020-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高桑 真歩
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-167566(JP,A)
【文献】特開平10-041210(JP,A)
【文献】特開平10-233358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G03F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原版と基板とを相対的に走査させながら、前記原版のパターンを投影光学系により
前記基板に投影し前記基板を露光する露光装置であって、
前記基板は、複数のショット領域が配され、
前記複数のショット領域のそれぞれは、複数のチップ領域を含み、
前記複数のチップ領域は、
第1のチップ領域と、
走査方向に沿った位置が前記第1のチップ領域と異なる第2のチップ領域と、
を含み、
前記第1のチップ領域内の周辺領域には、走査方向に沿って複数の第1のアライメントマークが配列され、
前記第2のチップ領域内の周辺領域には、走査方向に沿って複数の第2のアライメントマークが配列され、
前記露光装置は、
前記基板を保持する基板ステージと、
前記ショット領域における
前記複数の第1のアライメントマークを検出
し前記複数の第2のアライメントマークを検出するアライメント検出系と、
前記複数の第1のアライメントマークの検出結果に応じて、前記第1のチップ領域に対する第1の位置ずれ量を求め、
前記ショット領域における前記第1のチップ領域が走査される第1の期間に前記第1の位置ずれ量に応じて
前記ショット領域における前記第1のチップ領域の露光条件を制御
し、前記複数の第2のアライメントマークの検出結果に応じて、前記第2のチップ領域に対する第2の位置ずれ量を求め、前記ショット領域における前記第2のチップ領域が走査される第2の期間に前記第2の位置ずれ量に応じて前記ショット領域における前記第2のチップ領域の露光条件を制御する制御部と、
を備えた露光装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1の期間において、前記第1の位置ずれ量に応じて、前記第1のチップ領域の露光形状の補正を行
い、前記第2の期間において、前記第2の位置ずれ量に応じて、前記第2のチップ領域の露光形状の補正を行う
請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1の期間において、前記第1の位置ずれ量に応じて、
前記第1のチップ領域の露光条件について、前記投影光学系の投影倍率を補正することと前記原版及び前記基板の相対的な走査速度を補正することと前記原版に対する前記基板の傾きを補正することと前記原版に対する前記基板の回転角を補正することとの少なくとも1つを行
い、前記第2の期間において、前記第2の位置ずれ量に応じて、前記第2のチップ領域の露光条件について、前記投影光学系の投影倍率を補正することと前記原版及び前記基板の相対的な走査速度を補正することと前記原版に対する前記基板の傾きを補正することと前記原版に対する前記基板の回転角を補正することとの少なくとも1つを行う
請求項2に記載の露光装置。
【請求項4】
原版と基板とを相対的に走査させながら、前記原版のパターンを投影光学系により
前記基板に投影し前記基板を露光する露光方法であって、
前記基板は、複数のショット領域が配され、
前記複数のショット領域のそれぞれは、複数のチップ領域を含み、
前記複数のチップ領域は、
第1のチップ領域と、
走査方向に沿った位置が前記第1のチップ領域と異なる第2のチップ領域と、
を含み、
前記第1のチップ領域内の周辺領域には、走査方向に沿って複数の第1のアライメントマークが配列され、
前記第2のチップ領域内の周辺領域には、走査方向に沿って複数の第2のアライメントマークが配列され、
前記露光方法は、
前記ショット領域における
前記複数の第1のアライメントマークを検出することと、
前記ショット領域における前記複数の第2のアライメントマークを検出することと、
前記複数の第1のアライメントマークの検出結果に応じて、前記第1のチップ領域に対する第1の位置ずれ量を求めることと、
前記複数の第2のアライメントマークの検出結果に応じて、前記第2のチップ領域に対する第2の位置ずれ量を求めることと、
前記第1の位置ずれ量に応じて、前記ショット領域における前記第1のチップ領域の露光条件を制御することと、
前記第2の位置ずれ量に応じて、前記ショット領域における前記第2のチップ領域の露光条件を制御することと、
を備えた露光方法。
【請求項5】
請求項4に記載の露光方法で基板を露光し原版のパターンに応じた潜像を前記基板に形成することと、
前記形成された潜像を現像することと、
を備えた半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、露光装置、露光方法、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
露光装置では、原版のパターンを投影光学系により基板に投影し基板を露光することで、原版のパターンを基板へ転写する。このとき、基板におけるパターン間の位置合わせを高精度に行うことが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-183214号公報
【文献】特表2013-520019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの実施形態は、基板におけるパターン間の位置合わせを高精度に行うことができる露光装置、露光方法、及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態によれば、原版と基板とを相対的に走査させながら、原版のパターンを投影光学系により基板に投影し基板を露光する露光装置が提供される。基板は、複数のショット領域が配される。複数のショット領域のそれぞれは、複数のチップ領域を含む。複数のチップ領域は、第1のチップ領域と第2のチップ領域とを含む。第2のチップ領域は、走査方向に沿った位置が第1のチップ領域と異なる。第1のチップ領域内の周辺領域には、走査方向に沿って複数の第1のアライメントマークが配列される。第2のチップ領域内の周辺領域には、走査方向に沿って複数の第2のアライメントマークが配列される。露光装置は、基板ステージとアライメント検出系と制御部とを有する。基板ステージは、基板を保持する。アライメント検出系は、ショット領域における複数の第1のアライメントマークを検出し、ショット領域における複数の第2のアライメントマークを検出する。制御部は、複数の第1のアライメントマークの検出結果に応じて、第1のチップ領域に対する第1の位置ずれ量を求める。制御部は、第1の期間において、第1の位置ずれ量に応じて、ショット領域における第1のチップ領域の露光条件を制御する。第1の期間は、ショット領域における第1のチップ領域を走査する期間である。制御部は、複数の第2のアライメントマークの検出結果に応じて、第2のチップ領域に対する第2の位置ずれ量を求める。制御部は、第2の期間において、第2の位置ずれ量に応じて、ショット領域における第2のチップ領域の露光条件を制御する。第2の期間は、ショット領域における第2のチップ領域を走査する期間である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる露光装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかる露光装置の構成を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態における基板におけるショット領域の構成を示す平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態におけるX方向の位置ずれ量に関連したパラメータを示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態におけるY方向の位置ずれ量に関連したパラメータを示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態にかかる露光装置の動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態における走査露光時の走査領域を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態におけるチップ領域に作用する応力と走査露光時の走査速度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる露光装置を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(実施形態)
実施形態にかかる露光装置は、半導体装置の製造方法における露光工程に適用される。露光工程において、露光装置は、原版のパターンを投影光学系により基板に投影し基板を露光することで、原版のパターンを基板へ転写する。このとき、基板におけるパターン間の位置合わせを高精度に行うことが望まれる。そのため、露光装置は、パターン間の位置合わせを行うためのアライメント機能を有する。露光装置は、アライメント機能を利用して、露光装置に対するショット領域の位置合わせを行うことができる。このとき、露光工程のスループットを向上させるために、複数のチップ領域を含むようにショット領域が構成され得る。
【0009】
一方、3次元メモリなどの半導体装置では、絶縁層と導電層とが交互に積層された積層体が基板上に配され、積層体が柱状の半導体柱で貫通されて3次元的なメモリセルの配列が構成されることがある。この半導体装置は、積層数を増やすことによって記憶容量の増加が可能なため、より高度なパターニング技術を利用する必要性を低減できビット当たりのコストを容易に削減できる。
【0010】
この半導体装置は、導電層と半導体柱とが交差する部分がメモリセルとして機能するように構成され、複数のメモリセルが3次元的に配列されたメモリアレイが構成される。導電層における半導体柱と交差する部分がメモリセルにおけるコントロールゲートとして機能し、導電層における残りの部分がコントロールゲートへ信号を伝達するワードラインとして機能し得る。基板上に複数の積層体が配される場合、積層体と他の積層体との間の溝に絶縁物質が埋め込まれて、積層体を他の積層体から電気的に分離する素子分離部が構成される。
【0011】
この半導体装置では、記憶容量の増加のために積層体における導電層の積層数を増加させることに起因して積層体を含む領域に膜応力が発生しやすく、膜応力によりパターンの位置ずれが起こることがある。例えば、メモリアレイと素子分離部とで膜構成が異なることに起因して、ショット領域内におけるチップ領域ごとの応力差が大きくなることがあり、チップ領域ごとに位置ずれ量が異なり得る。このため、ショット領域単位でアライメント計測及びその検出結果に応じたアライメント補正が行われると、アライメント精度(位置合わせの精度)が劣化する可能性がある。
【0012】
そこで、本実施形態では、露光装置において、複数のチップ領域を含むショット領域内の所定のチップ領域の位置ずれ量をアライメント計測により求め、その位置ずれ量に応じて所定のチップ領域の露光条件を制御することで、アライメント精度の向上を図る。
【0013】
具体的には、露光装置が走査型露光装置であり、アライメント計測したチップ領域を含む走査露光時の走査領域の露光条件について、チップ形状をアライメント計測の結果を用いて補正する。例えば、チップ単位で発生する積層膜(絶縁層、導電層)に起因した応力による位置合わせのずれ量に対して、露光装置の走査方向に走査位置制御を行うことによりチップ領域の露光形状の補正を実施する。この補正に用いる位置ずれ量を算出するため、走査方向に1チップ領域当たり2個以上のアライメントマークを配置して、アライメントマークを検出するアライメント計測を行う。このアライメント計測の結果からチップ倍率成分等の複数の誤差成分を位置ずれ量として算出し、各誤差成分を補正するように走査方向の倍率制御等の露光条件の制御を行う。これにより、膜応力に起因した各誤差成分を露光装置で補正できる。この補正により、ショット領域内の膜応力が大きい工程でも良好な位置合わせの精度(アライメント精度)を実現できる。
【0014】
より具体的には、露光装置1は、
図1及び
図2に示すように構成される。
図1は、露光装置1の構成を示すブロック図である。
図2は、露光装置1の構成を示す斜視図である。
【0015】
露光装置1は、例えば、走査型露光装置(スキャナ)である。走査型露光装置は、原版(マスク)MKと基板(ウエハ)WFとを走査方向SC1,SC2に互いに同期移動しつつ原版MKに描画されたパターンを露光対象となる基板WFに投影露光するための装置である。以下では、投影光学系12の光軸PAにおいて基板WFから遠ざかる方向を+Z方向とする。Z方向に垂直な平面内における原版MKと基板WFとの同期移動方向(走査方向)をY方向とする。Z方向及びY方向に垂直な方向(非走査方向)をX方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸回りの方向をそれぞれθX方向、θY方向、及びθZ方向とする。
【0016】
露光装置1は、光学系10、原版ステージ2、及び位置制御システム20を有する。光学系10は、照明光学系11及び投影光学系12を有する。位置制御システム20は、フォーカス検出系(図示せず)、アライメント検出系30、制御部50、及び基板ステージ60を有する。
【0017】
照明光学系11、原版ステージ2、及び投影光学系12は、光軸PAを中心に配置されている。光軸PAは、光源LSから基板WFへ露光光の主光線が進む方向を示す軸である。
【0018】
基板ステージ60は、チャック機構62(例えば、真空チャック又は静電チャック)を有し、チャック機構62を用いて基板WFを保持する。基板WF上には感光材(レジスト)Rが塗布されている。感光材Rが塗布される前の基板WF上には例えばアライメントマークMA1が形成されている。
【0019】
基板ステージ60は、基板WFを保持しながら、X方向、Y方向、及びZ方向に移動したりθX方向、θY方向、及びθZ方向に回転したりする。これにより、基板ステージ60は、基板WFの位置決めを行う。また、基板ステージ60は、その上面に基準マーク61が形成されている。
【0020】
基板ステージ60の+Z方向には、投影光学系12を間にして原版ステージ2が配されている。原版ステージ2は、チャック機構21(例えば、真空チャック又は静電チャック)を有し、チャック機構21を用いて原版MKを保持する。原版MKには、転写すべき回路のパターンに加えて、例えばアライメントマークMA2のパターンが描画されている。
【0021】
投影光学系12は、原版MKに入射した光を基板WFへ投影露光し、原版MKに描画されたパターンに応じた像を基板WFに結像する。投影光学系12は、基板WF上に投影される投影像の倍率を変化させることができる。
【0022】
原版ステージ2の+Z方向には、照明光学系11が配されている。照明光学系11は、照明レンズ11a及びスリット板11bを有する。照明レンズ11aは、原版MKの照明領域を均等な照度分布の露光光LXで照明する。スリット板11bは、スリット11b1が設けられ、照明レンズ11aから通過した露光光LXをスリット11b1によりスリット状に整形する。その露光光LXは、原版MKに描画されたパターンで回折され、投影光学系12に入射される。
【0023】
フォーカス検出系(図示せず)は、基板WFのZ方向(高さ方向)の位置(面位置)を検出するフォーカス計測を行う。
【0024】
アライメント検出系30は、基板WFのX方向及びY方向の位置(面方向位置)を検出するアライメント計測を行う。アライメント検出系30は、基板ステージ60における基準マーク61を基準に、露光装置1に対する基板WFのX方向及びY方向の位置を検出することができる。
【0025】
アライメント検出系30は、アライメントセンサ31及び反射系32を有する。アライメントセンサ31は、投射系31a及び受光系31bを有する。投射系31aは、レーザ光(可視光または赤外光)等の計測光を発生し反射系32経由でアライメントマークMA1、MA2に照射する。アライメントマークMA1、MA2で反射された計測光は、反射系32を経由して受光系31bで受光され、その受光された画像IMに応じた信号が制御部50へ供給される。
【0026】
制御部50は、露光装置1の各部を統括的に制御する。例えば、制御部50は、アライメント検出系30から受けた画像IMに含まれたアライメントマークMA1,MA2に対応したパターンMB1,MB2を画像認識し、画像IMにおける各パターンMB1,MB2の位置に応じてアライメント計測の対象領域に対する位置ずれ量を求める。制御部50は、求められた位置ずれ量に応じて、アライメント計測の対象領域に対応する領域(走査露光される走査領域)の露光条件を制御する。この露光条件は、投影光学系12の投影倍率(基板WF上に投影される投影像の倍率)、原版MK及び基板WFの相対的な走査速度(原版MKに対する基板ステージ60の走査速度)、原版MKに対する基板WFの傾き(原版MKに対する基板ステージ60の傾き)、原版MKに対する基板WFの回転角(原版MKに対する基板ステージ60の回転角)のうちの少なくともいずれか1つから選択することができる。
【0027】
制御部50は、指示部51及び計算部52を有する。指示部51は、位置合わせ部51a及び走査制御部51bを有する。計算部52は、位置ずれ補償部52aを有する。位置合わせ部51aは、アライメントマークMA1、MA2の検出位置に基づいて、レチクル14とショット領域SHとの位置合わせを行う。走査制御部51bは、レチクル14およびステージ16の走査制御を行う。走査制御部51bは、原版MKの走査方向SC1における走査とステージ16の走査方向SC2における走査とを同期させることができる。位置ずれ補償部52aは、チップ領域の位置ずれ量に基づいて、チップ領域に対応した走査領域の露光制御を行う。この時、チップ領域の位置ずれ量に基づいて、チップ領域に対応した走査領域の露光条件のパラメータを補正することができる。
【0028】
例えば、制御部50は、基板WFに対しては転写時の目標位置(レイアウト設計データに従った配置位置)を設定するため、基板WFの位置ずれ量を検出するアライメント計測を行うようにアライメント検出系30を制御する。位置ずれ量は、アライメントセンサ31で検出される。検出された位置ずれ量の情報は計算部52へ供給され、計算部52により、サンプリングされたショット領域とサンプリングされなかったショット領域との両方の目標位置が設定される。目標位置は、直交座標系や極座標系を用いた計算式により、パラメータを用いて設定される。設定されたパラメータは、計算部52から指示部51へ供給される。指示部51は、パラメータに応じた制御信号を生成して照明光学系11、原板ステージ2、投影光学系12、基板ステージ60へ供給し、各部を作動させることで位置補正(チップ領域の露光形状の補正)を行う。
【0029】
次に、基板WFにおけるショット領域の構成について
図3を用いて説明する。
図3は、基板WFにおけるショット領域の構成を示す平面図である。
【0030】
基板WFには、
図3(a)に示すように、複数のショット領域SH-1~SH-n(nは2以上の整数)が設定される。ショット領域SH-1~SH-nは、露光装置1に用いられる原版MKの投影範囲に対応させることができる。このとき、例えば
図3(a)に破線の矢印で示す順番に、基板WF上の全てのショット領域SH-1~SH-nが順次走査されるように、露光装置1の走査方向SC2を設定することができる。
図3(a)の場合、走査方向SC2は、±Y方向に設定され得る。
【0031】
また、全てのショット領域SH-1~SH-nのうち、
図3(a)にグレーで示したショット領域SH-p,SH-(p+1),・・・,SH-(k+1),SH-k(pは、nより小さい2以上の整数、kはpより大きくnより小さい2以上の整数)がアライメント計測対象として選択され、アライメント計測対象のショット領域SH-p~SH-kのそれぞれに複数のアライメントマークMA1が配され得る。
【0032】
例えば、
図3(b)に示すように、基板WFにおける各ショット領域SHは、複数のチップ領域CH-1~CH-m(mは2以上の整数)を含む。各チップ領域CHは、デバイス領域DR及びカーフ領域KRを含む。カーフ領域KRは、デバイス領域DRの周辺に配された領域(周辺領域)である。
【0033】
アライメント計測対象の各ショット領域SH-p~SH-kは、アライメント計測対象の複数のチップ領域を含む。例えば、ショット領域SH-kは、
図3(b)に示すアライメント計測対象の複数のチップ領域CH-1,CH-9,CH-17を含む。アライメント計測対象の複数のチップ領域CH-1,CH-9,CH-17は、ショット領域SH内で走査方向SC2(Y方向)に互いにシフトして位置するように配される。
【0034】
チップ領域CH-1は、複数のアライメントマークMA1-11,MA1-12,MA1-13を有する。複数のアライメントマークMA1-11,MA1-12,MA1-13は、チップ領域CH-1内のカーフ領域KR-1において、走査方向SC2に互いにシフトして位置するように配される。
【0035】
チップ領域CH-9は、複数のアライメントマークMA1-21,MA1-22,MA1-23を有する。複数のアライメントマークMA1-21,MA1-22,MA1-23は、チップ領域CH-9内のカーフ領域KR-9において、走査方向SC2に互いにシフトして位置するように配される。
【0036】
チップ領域CH-17は、複数のアライメントマークMA1-31,MA1-32,MA1-33を有する。複数のアライメントマークMA1-31,MA1-32,MA1-33は、チップ領域CH-17内のカーフ領域KR-17において、走査方向SC2に互いにシフトして位置するように配される。
【0037】
露光装置1は、アライメント計測対象の各ショット領域SH-p~SH-kについて、ショット領域SHを代表するアライメントマーク(例えば、アライメントマークMA1-11)を計測することなどにより、基板面内のアライメント計測結果を得ることができる。また、露光装置1は、ショット領域SH内に配された複数のアライメントマークMA1-11,MA1-21,MA1-31を計測することなどにより、ショット領域内のアライメント計測結果を得ることができる。さらに、露光装置1は、チップ領域CH-1内に配された複数のアライメントマークMA1-11,MA1-12,MA1-13を計測することなどにより、チップ領域内のアライメント計測結果を得ることができる。
【0038】
そして、露光装置1は、基板面内のアライメント計測結果とショット領域内のアライメント計測結果とをショット補正式及び基板面内補正式に代入し、第1の補正パラメータ(k1~k20)及び第2の補正パラメータ(P1mn~P20mn、m,nは0以上の整数)を算出する。直交座標(X座標、Y座標)を用いた補正式例として、ショット補正式は、次の数式1のように表すことができ、基板面内補正式は、次の数式2のように表すことができる。
【0039】
【0040】
【0041】
第1の補正パラメータ(k1~k20)及び第2の補正パラメータ(P1mn~P20mn、m,nは0以上の整数)は、露光対象の目標位置(レイアウト設計データに従った配置位置)からの位置ずれ量に関連したパラメータであり、例えば所定の対象領域の露光形状に対する誤差成分を示している。すなわち、第1の補正パラメータ及び第2の補正パラメータは、露光形状の補正を行う場合、その補正を行うために露光装置1の各部(照明光学系11、原板ステージ2、投影光学系12、基板ステージ60)をどれだけ制御すべきかを表すパラメータとみなすこともできる。露光装置1は、第1の補正パラメータ及び第2の補正パラメータを用いて目標位置及び走査駆動量を決定し、決定された目標位置及び走査駆動量に応じて露光装置1の各部(照明光学系11、原板ステージ2、投影光学系12、基板ステージ60)の制御量を決定して、基板WFの露光を実施することができる。
【0042】
具体的には、数式1は、基板WF上任意のショット領域SHにおいて基板座標系のショット中心座標(X,Y)、ショット内座標系におけるショット領域SH内の位置ずれ計測点座標を(x,y)、位置ずれ計測点における位置ずれ量を(dx,dy)とする。各位置ずれ計測対象のショット領域で数式2の残渣α1~α20が最小になるような第1の補正パラメータ(k1~k20)を算出する。
【0043】
数式1により求められるk1,k2はショット領域SHのシフト成分、k3,k4はショット領域SHの倍率成分、k5,k6はショット領域SHの回転成分、k7~k12はショット領域SHの2次の位置ずれの線形成分、k13~k19はショット領域SHの3次の位置ずれの線形成分にあたる。
【0044】
ショット領域SH内でアライメントマークMA1が1対ある場合は、k1,k2が求まる。ショット領域内でX用のアライメントマークMA1とY用のアライメントマークMA1とが1対ある場合はショット領域SHの形状が計測できないが、X用のアライメントマークMA1とY用のアライメントマークMA1とが3対以上ある場合は数式k1~k6が求まる。X用のアライメントマークMA1とY用のアライメントマークMA1とが6対以上ある場合はk1~k12が求まる。X用のアライメントマークMA1とY用のアライメントマークMA1とが10対以上ある場合はk1~k20が求まる。
【0045】
数式1で求められた第1の補正パラメータ(k1~k20)により、ショット領域SHの形状を算出できる。
【0046】
例えば、数式1及び数式2に用いられたk
1、k
3、k
5、k
7、k
9、k
11、k
13、k
15、k
17、k
19は、
図4に示すように、直交座標(X座標、Y座標)におけるX方向の位置ずれ量に関連した第1の補正パラメータである。
図4は、X方向の位置ずれ量に関連したパラメータを示す図である。k
1、k
3、k
5、k
7、k
9、k
11、k
13、k
15、k
17、k
19は、露光装置1で調整可能なX方向の誤差成分を示す。k
1はX方向のシフト成分、k
3はX方向の倍率成分、k
5はX方向の回転成分(またはX方向の直交度成分)、k
7はX方向の偏芯倍率成分、k
9はX方向の台形成分、k
11はX方向の弓なり成分、k
13はX方向の3次倍率成分、k
15はX方向のアコーディオン成分、k
17はX方向の樽型成分、k
19はX方向の川の流れ成分を表すことができる。
【0047】
同様に、数式1及び数式2に用いられたk
2、k
4、k
6、k
8、k
10、k
12、k
14、k
16、k
18、k
20は、
図5に示すように、直交座標(X座標、Y座標)におけるY方向の位置ずれ量に関連した第1の補正パラメータである。
図5は、Y方向の位置ずれ量に関連したパラメータを示す図である。k
2、k
4、k
6、k
8、k
10、k
12、k
14、k
16、k
18、k
20は、露光装置1で調整可能なY方向の誤差成分を示す。k
2はY方向のシフト成分、k
4はY方向の倍率成分、k
6はY方向の回転成分(またはY方向の直交度成分)、k
8はY方向の偏芯倍率成分、k
10はY方向の台形成分、k
12はY方向の弓なり成分、k
14はY方向の3次倍率成分、k
16はY方向のアコーディオン成分、k
18はY方向の樽型成分、k
20はY方向の川の流れ成分を表すことができる。
【0048】
各計測対象のショット領域SHで求められた第1の補正パラメータ(k1~k20)と基板面内座標系における計測対象のショット領域の中心座標(X,Y)を数式2に入力し、残渣α1~α20が最小になるような第2の補正パラメータ(P1mn~P20mn、m,nは0以上の整数)を算出する。
【0049】
数式2は、基板面内座標(X,Y)の関数である。この式における「m+n」がXY関数の次数にあたる。この次数が高次になればなるほどアライメント補正値のフィッティング精度は向上する。しかし、XY関数はXYの値が大きくなれば大きくなるほど補正量は大きくなり、基板外周WFにおいては補正量と真の合わせずれ量の乖離が大きくなる可能性がある。
【0050】
露光装置1は、チップ領域内のアライメント計測結果をチップ補正式に代入し、最小2乗近似を実施して、残渣が最小になるような第3の補正パラメータ(C1~C20)を算出する。直交座標(X座標、Y座標)を用いた補正式例として、チップ補正式は、次の数式3のように表すことができる。
【0051】
【0052】
数式3において、dcyはチップ内計測点の位置ずれ量、cyはチップ内座標系におけるY座標である。露光装置1の走査方向SC2が±Y方向であることに応じて、チップ領域CH内のアライメントマークMA1-11~MA1-13が互いにY方向にシフトした位置に配されているため、チップ領域CH内のアライメント計測結果は、Y方向の位置ずれ量(dcy)となる。露光装置1は、アライメント計測を行ったチップ領域ごとに、数式4を用いて第3の補正パラメータ(C1~C20)を算出することができる。
【0053】
そして、露光装置1は、第1の補正パラメータ(k1~k20)、第2の補正パラメータ(P1mn~P20mn、m,nは0以上の整数)、第3の補正パラメータ(C1~C20)を変化させることで、チップ領域を含む走査領域ごとに露光形状の補正を行うことができる。すなわち、露光装置1は、チップ領域を含む走査領域ごとに、原版MKに対する基板ステージ60の相対的な走査速度、原版MKに対する基板ステージ60の傾き、原版MKに対する基板ステージ60の回転角および基板WF上に投影される投影像の倍率(投影光学系12の投影倍率)などを変化させる制御を行うことができる。
【0054】
次に、露光装置1の動作について
図6を用いて説明する。
図6は、露光装置1の動作を示すフローチャートである。
【0055】
まず、アライメント計測のための準備が行われる(S1)。具体的には、基板面内のアライメント計測のために、ショット領域内に最低1点のアライメントマークが配置される。例えば、電子線描画装置などのマスク作成装置により、原版MKにおけるショット領域内にそのショット領域を代表するアライメントマークMA2(
図2参照)が描画される。また、基板WFにおけるショット領域SHにそのショット領域を代表するアライメントマークMA1(
図2参照)が露光装置1及び現像装置(図示せず)により基板WFに形成される。
図3(b)に示すショット領域SH-kの場合、アライメントマークMA1-11がショット領域SH-kを代表するアライメントマークMA1としてショット領域SH-k内に形成され得る。
【0056】
また、ショット領域内のアライメント計測を実施する場合、ショット領域内に最低3点のアライメントマークが配置される。例えば、電子線描画装置などのマスク作成装置により、原版MKにおけるショット領域内に複数のアライメントマークMA2(
図2参照)が描画される。また、基板WFにおけるショット領域SH内に複数のアライメントマークMA1(
図2参照)が露光装置1及び現像装置(図示せず)により基板WFに形成される。
図3(b)に示すショット領域SH-kの場合、複数のアライメントマークMA1-11,MA-21,MA-31がショット領域SH-k内の互いに走査方向SC2にシフトした位置に形成され得る。
【0057】
さらに、チップ領域内のアライメント計測を実施する場合、チップ領域内に2点以上のアライメントマークMA2が走査方向にシフトされた位置に配置される。例えば、電子線描画装置などのマスク作成装置により、原版MKにおけるショット領域内のチップ領域内に複数のアライメントマークMA2(
図2参照)が描画される。また、基板WFにおけるショット領域SH内のチップ領域CH内に複数のアライメントマークMA1(
図2参照)が露光装置1及び現像装置(図示せず)により基板WFに形成される。
図3(b)に示すショット領域SH-kの場合、複数のアライメントマークMA1-11,MA1-12,MA1-13がチップ領域CH-1内の互いに走査方向SC2にシフトした位置に形成され得る。複数のアライメントマークMA1-21,MA1-22,MA1-23がチップ領域CH-9内の互いに走査方向SC2にシフトした位置に形成され得る。複数のアライメントマークMA1-31,MA1-32,MA1-33がチップ領域CH-17内の互いに走査方向SC2にシフトした位置に形成され得る。
【0058】
露光装置1は、基板面内補正用のアライメント計測対象のショット領域SHを選択し、そのショット領域SHを代表するアライメントマークMA1を計測する(S2)。例えば、
図3(a)にグレーで示したショット領域SH-p,SH-(p+1),・・・,SH-(k+1),SH-k(pは、nより小さい2以上の整数、kはpより大きくnより小さい2以上の整数)がアライメント計測対象として選択される。アライメント計測対象の各ショット領域SH-p~SH-kにおけるショット領域SHを代表するアライメントマークMA1(ショット領域SH-kの場合、アライメントマークMA1-11)が計測される。
【0059】
露光装置1は、ショット領域SH内のアライメント計測を行うべきであると判断した場合(S3でYes)、ショット補正用の計測対象のショット領域SHを選択し、選択されたショット領域SHにおけるショット補正用のアライメントマークMA1を計測する(S4)。例えば、
図3(a)にグレーで示したショット領域SH-p,SH-(p+1),・・・,SH-(k+1),SH-k(pは、nより小さい2以上の整数、kはpより大きくnより小さい2以上の整数)がアライメント計測対象として選択される。アライメント計測対象の各ショット領域SH-p~SH-kにおけるショット補正用のアライメントマークMA1(ショット領域SH-kの場合、アライメントマークMA1-11,MA1-21,MA1-31)が計測される。そして、露光装置1は、ショット補正用のアライメントマークMA1の計測を行った後に、チップ領域CH内のアライメント計測を行う。例えば、
図3(a)にグレーで示したショット領域SH-p,SH-(p+1),・・・,SH-(k+1),SH-k(pは、nより小さい2以上の整数、kはpより大きくnより小さい2以上の整数)がアライメント計測対象として選択される。アライメント計測対象の各ショット領域SH-p~SH-kの各チップ領域CHにおけるチップ補正用のアライメントマークMA1(ショット領域SH-kのチップ領域CH-1の場合、アライメントマークMA1-11,MA1-12,MA1-13)が計測される。
【0060】
露光装置1は、ショット補正用のアライメント計測について第1の条件(例えば、前回の計測結果が流用可能であることを示す条件)又は第2の条件(例えば、デフォルトの計測結果を用いて問題ないことを示す条件)を満たせば、ショット領域SH内のアライメント計測を行う必要がないと判断し(S3でNo)、ショット補正用のアライメント計測(S4)を行わずに、チップ領域CH内のアライメント計測(S5)を行う。
【0061】
露光装置1は、ショット領域SH内のアライメント計測結果を数式1、数式2に代入して、第1の補正パラメータ(k1~k20)及び第2の補正パラメータ(P1mn~P20mn、m,nは0以上の整数)を算出する(S6)。例えば、露光装置1は、ショット補正用のアライメント計測(S4)を行った場合、その計測結果を数式1、数式2に代入して、第1の補正パラメータ及び第2の補正パラメータを算出する。露光装置1は、第1の条件が満たされる場合、前回の計測結果を数式1、数式2に代入して、第1の補正パラメータ及び第2の補正パラメータを算出する。露光装置1は、第2の条件が満たされる場合、デフォルトの計測結果を数式1、数式2に代入して、第1の補正パラメータ及び第2の補正パラメータを算出する。
【0062】
また、露光装置1は、チップ領域CH内のアライメント計測結果を数式3に代入して、第3の補正パラメータ(C1~C20)を算出する(S7)。例えば、露光装置1は、S5における計測点のY方向のチップ内座標値と計測された位置ずれ量とを数式3に代入し、最小2乗近似を実施して、残渣が最小になるような第3の補正パラメータ(C1~C20)を算出する。
【0063】
そして、露光装置1は、第1の補正パラメータ、第2の補正パラメータ、及び第3の補正パラメータを用いて、チップ領域CHを含む走査領域の露光形状に対する補正量を求める(S8)。すなわち、露光装置1は、チップ領域を含む走査領域ごとに、位置ずれ量の影響がキャンセルされるように、原版MKに対する基板ステージ60の相対的な走査速度、原版MKに対する基板ステージ60の傾き、原版MKに対する基板ステージ60の回転角および基板WF上に投影される投影像の倍率(投影光学系12の投影倍率)などについて補正量を求めることができる。
【0064】
露光装置1は、S8で求められた補正量に従い、原版(マスク)MKと基板(ウエハ)WFとを走査方向SC1,SC2に互いに同期移動しつつ、基板2における走査領域を露光し、原版MKのパターンに応じた潜像を基板2に形成する(S9)。
【0065】
例えば、露光装置1は、
図7(a)に示すように、チップ領域CH-1に対応する走査領域SA-1が走査される期間に、チップ領域CH-1の位置ずれ量に応じて、チップ領域CH-1の露光形状の補正を行う。
図7(a)は、露光装置1による走査露光時の走査領域SA-1を示す図である。すなわち、露光装置1は、チップ領域CH-1を含む走査領域SA-1が走査される期間に、チップ領域CH-1の位置ずれ量に応じて、投影光学系12の投影倍率を補正することと原版MK及び基板2の相対的な走査速度を補正することと原版MKに対する基板2の傾きを補正することと原版MKに対する基板2の回転角を補正することとの少なくとも1つを行う。
【0066】
このとき、チップ領域CH-1において、
図8(a)に白抜きの矢印で示す膜応力に起因してデバイス領域DR-1内で
図8(a)に実線の矢印で示す位置ずれ量が発生している場合、
図8(b)に一点鎖線で示すように原版MK及び基板2の相対的な走査速度を変化させる。
図8(a)は、チップ領域CH-1に作用する応力を示す図であり、
図8(b)は、走査露光時の走査速度を示す図であり、
図8は、チップ領域に作用する応力と走査露光時の走査速度との関係を示す図である。これにより、デバイス領域DR-1内におけるY座標位置毎に異なる位置ずれ量に応じてY方向のシフト量を変化させることができるので、チップ領域CH-1の位置ずれ量の影響がキャンセルされるようにチップ領域CH-1の露光形状を補正することができる。
【0067】
あるいは、露光装置1は、
図7(b)に示すように、チップ領域CH-9に対応する走査領域SA-9が走査される期間に、チップ領域CH-9の位置ずれ量に応じて、チップ領域CH-9の露光形状の補正を行う。
図7(b)は、露光装置1による走査露光時の走査領域SA-9を示す図である。すなわち、露光装置1は、チップ領域CH-9を含む走査領域SA-9が走査される期間に、チップ領域CH-9の位置ずれ量に応じて、投影光学系12の投影倍率を補正することと原版MK及び基板2の相対的な走査速度を補正することと原版MKに対する基板2の傾きを補正することと原版MKに対する基板2の回転角を補正することとの少なくとも1つを行う。これにより、チップ領域CH-1の位置ずれ量の影響がキャンセルされるようにチップ領域CH-1の露光形状を補正することができる。
【0068】
あるいは、露光装置1は、
図7(c)に示すように、チップ領域CH-9に対応する走査領域SA-9が走査される期間に、チップ領域CH-9の位置ずれ量に応じて、チップ領域CH-9の露光形状の補正を行う。
図7(b)は、露光装置1による走査露光時の走査領域SA-9を示す図である。すなわち、露光装置1は、チップ領域CH-9を含む走査領域SA-9が走査される期間に、チップ領域CH-9の位置ずれ量に応じて、投影光学系12の投影倍率を補正することと原版MK及び基板2の相対的な走査速度を補正することと原版MKに対する基板2の傾きを補正することと原版MKに対する基板2の回転角を補正することとの少なくとも1つを行う。これにより、チップ領域CH-1の位置ずれ量の影響がキャンセルされるようにチップ領域CH-1の露光形状を補正することができる。
【0069】
図6に戻って、露光処理(S9)が完了すると、基板2が露光装置1から搬出されて現像装置(図示せず)に搬入される。現像装置は、現像処理を行い、露光装置1により基板2に形成された潜像を現像する(S10)。
【0070】
以上のように、実施形態では、露光装置1において、複数のチップ領域CHを含むショット領域SH内の所定のチップ領域の位置ずれ量をアライメント計測により求め、その位置ずれ量に応じて所定のチップ領域の露光条件を制御する。これにより、ショット領域SH内における各チップ領域ごとに露光条件を制御できるので、アライメント精度を容易に向上できる。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1 露光装置、30 アライメント検出系、50 制御部、60 基板ステージ。