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特許7034811歪センサの固定装置とそれを用いたトルクセンサ
<図1>
  • 特許-歪センサの固定装置とそれを用いたトルクセンサ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】歪センサの固定装置とそれを用いたトルクセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/10 20060101AFI20220307BHJP
   G01L 3/14 20060101ALI20220307BHJP
   G01L 1/22 20060101ALI20220307BHJP
   G01L 1/26 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
G01L3/10 311
G01L3/14 Z
G01L1/22 Z
G01L1/26 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018074792
(22)【出願日】2018-04-09
(65)【公開番号】P2019184396
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000105659
【氏名又は名称】日本電産コパル電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 嵩幸
(72)【発明者】
【氏名】金井 孝
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-067206(JP,U)
【文献】特開2017-172983(JP,A)
【文献】米国特許第06658942(US,B1)
【文献】特開2009-128153(JP,A)
【文献】特開平05-248925(JP,A)
【文献】特開昭63-032331(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第00966713(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 3/10,3/14,5/16-5/173,
G01L 1/22,1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部と第2端部を有し、前記第2端部が第1構造体の上に設けられた起歪体の第3端部に接触可能な固定部材と、
前記固定部材の前記第1端部に設けられた支点としての突起、又は前記第1構造体に設けられ、その上に前記第1端部が載置される支点としての突起と、
記固定部材の前記第1端部と前記第2端部の間で、前記突起以外の位置に配置され、前記第1構造体に挿入されたねじが螺合されるねじ穴と
を具備する歪センサの固定装置。
【請求項2】
前記突起の高さは、前記起歪体の厚みより高いことを特徴とする請求項1記載の歪センサの固定装置。
【請求項3】
前記固定部材の前記第2端部は、前記起歪体の幅より広く、前記起歪体に線接触することを特徴とする請求項1又は2に記載の歪センサの固定装置。
【請求項4】
第1構造体と、
第2構造体と、
前記第1構造体と前記第2構造体とを接続する複数の第3構造体と、
前記第1構造体と前記第2構造体との間に設けられた起歪体と、
前記第1構造体に設けられ、前記起歪体の第1端部を前記第1構造体に固定する第1固定装置と、
前記第2構造体に設けられ、前記起歪体の第2端部を前記第2構造体に固定する第2固定装置と、
を具備し、
前記第1固定装置及び前記第2固定装置のそれぞれは、
第3端部及び第4端部を有し、前記第4端部が前記第1構造体の上に設けられた前記起歪体の前記第1端部又は前記第2構造体の上に設けられた前記起歪体の前記第2端部に接触する固定部材と、
前記固定部材の前記第3端部に設けられた支点としての突起、又は前記第1構造体又は第2構造体に設けられ、その上に前記第3端部が載置される支点としての突起と、
記固定部材の前記第3端部と前記第4端部の間で、前記突起以外の位置に配置され、前記第1構造体又は前記第2構造体に挿入されたねじが螺合されるねじ穴と、
を具備することを特徴とするトルクセンサ。
【請求項5】
前記突起の高さは、前記起歪体の厚みより高いことを特徴とする請求項4記載のトルクセンサ。
【請求項6】
前記固定部材の前記第4端部は、前記起歪体の幅より広く、前記起歪体に線接触することを特徴とする請求項4又は5記載のトルクセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えばロボットアームの関節に設けられる歪センサの固定装置とそれを用いたトルクセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
トルクセンサは、トルクが印加される第1構造体と、トルクが出力される第2構造体と、第1構造体と第2構造体とを連結する梁としての複数の起歪部とを有し、これら起歪部にセンサ素子としての複数の歪ゲージが配置されている。これら歪ゲージによりブリッジ回路が構成されている(例えば特許文献1、2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-096735号公報
【文献】特開2015-049209号公報
【文献】特開2017-172983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、歪センサは、金属製の起歪体上にセンサ素子としての複数の歪ゲージが設けられている。この歪センサをトルクセンサに固定する方法として、例えば溶接を用いる方法、接着剤を用いる方法、複数のねじを用いる方法がある。
【0005】
しかし、溶接により歪センサを構造体に固定する場合、溶接による起歪体の急激な温度上昇を伴う。このため、起歪体及び歪ゲージの組成や形状などが変化し、歪センサの性能に影響を与える可能性がある。
【0006】
また、接着剤を用いて歪センサを構造体に固定する場合、起歪体と構造体との間に低剛性の接着剤が介在する。このため、構造体の変形が直接起歪体に伝達されず、歪センサの感度を低下させる可能性がある。
【0007】
一方、ねじを用いて歪センサを構造体に固定する場合、起歪体上に押え部材を設け、押え部材をねじにより構造体に締結することにより、押え部材によって、起歪体が構造体に固定される。このような構成の場合、押え部材と起歪体は面接触するため、押え部材は、起歪体に対して高い押圧力を保持する必要がある。高い押圧力を保持するため、押え部材の大型化及び高剛性化、ねじの大型化及びねじの数の増加が必要である。したがって、押え部材やねじが設けられるトルクセンサの小型、薄型化が困難となる。
【0008】
本実施形態は、センサ性能の低下及び装置構成の大型化を防止して、歪センサを構造体に確実に固定することが可能な歪センサの固定装置とそれを用いたトルクセンサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係る歪センサの固定装置は、第1端部と第2端部を有し、前記第2端部が第1構造体の上に設けられた起歪体の第3端部に接触可能な固定部材と、前記固定部材の前記第1端部に設けられた支点としての突起、又は前記第1構造体に設けられ、その上に前記第1端部が載置される支点としての突起と、記固定部材の前記第1端部と前記第2端部の間で、前記突起以外の位置に配置され、前記第1構造体に挿入されたねじが螺合されるねじ穴と、を具備する。
【0010】
実施形態のトルクセンサは、第1構造体と、第2構造体と、前記第1構造体と前記第2構造体とを接続する複数の第3構造体と、前記第1構造体と前記第2構造体との間に設けられた起歪体と、前記第1構造体に設けられ、前記起歪体の第1端部を前記第1構造体に固定する第1固定装置と、前記第2構造体に設けられ、前記起歪体の第2端部を前記第2構造体に固定する第2固定装置と、を具備し、前記第1固定装置及び前記第2固定装置のそれぞれは、第3端部及び第4端部を有し、前記第4端部が前記第1構造体の上に設けられた前記起歪体の前記第1端部又は前記第2構造体の上に設けられた前記起歪体の前記第2端部に接触する固定部材と、前記固定部材の前記第3端部と前記第1構造体の前記第3端部に対応する部分との一方、又は前記固定部材の前記第3端部と前記第2構造体の前記第3端部に対応する部分との一方に設けられた突起と、前記第1構造体又は前記第2構造体に挿入され、前記固定部材の前記第3端部と前記第4端部の間に螺合されるねじと、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態が適用されるトルクセンサを示す平面図。
図2図1の一部を除いて示す平面図。
図3図2の一部を除いて示す平面図。
図4図3の斜視図。
図5図3に破線で示すA部を拡大して示す平面図。
図6図1のB部を拡大して示す平面図。
図7】本実施形態を示すものであり、図2のVII-VII線に沿った断面図。
図8図7に示す固定部材と起歪体の関係を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。図面において、同一部分には同一符号を付している。
【0013】
図1は、本実施形態が適用されるトルクセンサ10の一例を示している。トルクセンサ10の構成は、これに限定されるものでなく、様々な構成のトルクセンサに適用することが可能である。また、トルクセンサに限らず、歪ゲージを用いた力覚センサなどに本実施形態を適用することも可能である。
【0014】
図1において、トルクセンサ10は、第1構造体11、第2構造体12、複数の第3構造体13、第4構造体14、第5構造体15、ストッパー16、17、カバー18を具備している。
【0015】
第1構造体11と、第2構造体12は、環状に形成され、第2構造体12の径は、第1構造体11の径より小さい。第2構造体12は、第1構造体11と同心状に配置され、第1構造体11と第2構造体12は、放射状に配置された複数の梁部としての第3構造体13により連結されている。第2構造体12は、中空部12aを有しており、中空部12aには、例えば図示せぬ配線が通される。
【0016】
第1構造体11は、例えば被計測体に連結され、複数の第3構造体13は、第1構造体11から第2構造体12にトルクを伝達する。逆に、第2構造体12を被計測体に連結し、第2構造体12から第1構造体11に複数の第3構造体13を介してトルクを伝達してもよい。
【0017】
第1構造体11、第2構造体12、複数の第3構造体13は、金属、例えばステンレス鋼により構成されるが、印加されるトルクに対して機械的に十分な強度を得ることができれば、金属以外の材料を使用することも可能である。
【0018】
図2は、図1のストッパー16、17を外した状態を示している。第1構造体11と第2構造体12との間には、第1歪センサ19、第2歪センサ20が設けられている。すなわち、後述するように、第1歪センサ19と第2歪センサ20の一端部は、第1構造体11に接合され、第1歪センサ19と第2歪センサ20の他端部は、第2構造体12に接合されている。
【0019】
また、第1歪センサ19と第2歪センサ20は、第1構造体11及び第2構造体12の中心(トルクの作用中心)に対して対称な位置に配置されている。換言すると、第1歪センサ19と第2歪センサ20は、環状の第1構造体11及び第2構造体12の直径上に配置されている。
【0020】
第1歪センサ19と第2歪センサ20の厚み、すなわち、後述する起歪体の厚みは、第3構造体13の厚みより薄い。トルクセンサ10の機械的な強度は、第3構造体13の厚みや幅により設定される。起歪体には、センサ素子としての複数の歪ゲージが設けられ、これらセンサ素子によりブリッジ回路が構成される。
【0021】
ストッパー16、17は、第1歪センサ19と第2歪センサ20の機械的な変形を保護するとともに、第1歪センサ19と第2歪センサ20への水分の侵入を防ぐ防水カバーとしての機能を有している。ストッパー16、17の詳細については、後述する。
【0022】
第1歪センサ19はフレキシブル基板21に接続され、第2歪センサ20はフレキシブル基板22に接続されている。フレキシブル基板21、22は、カバー18により覆われた図示せぬプリント基板に接続されている。プリント基板には、後述するブリッジ回路の出力電圧を増幅する演算増幅器などが配置されている。回路構成は、本実施形態の本質ではないため、説明は省略する。
【0023】
図3図4は、図1図2から第1歪センサ19と第2歪センサ20、フレキシブル基板21、22及びカバー18等を外し、第1構造体11、第2構造体12、複数の第3構造体13、第4構造体14、第5構造体15のみを示している。
【0024】
トルクセンサ10は、トルク(Mz)以外の方向、特に、図示矢印Fz方向、Mx方向の力がトルクセンサ10に印加された際、第1歪センサ19及び第2歪センサ20の起歪体に設けられたセンサ素子としての複数の歪ゲージに歪が集中しない構造とされている。
【0025】
具体的には、第1構造体11及び第2構造体12の中心に対して対称な位置に第4構造体14と第5構造体15とが設けられ、第4構造体14は、第1構造体11から第2構造体12に連続する凹部14fを有し、第5構造体15は第1構造体11から第2構造体12に連続する凹部15fを有している。後述するように、第1歪センサ19は、第4構造体14の凹部14f内に配置され、第2歪センサ20は、第5構造体15の凹部15f内に配置される。
【0026】
尚、図1乃至図4は、第1歪センサ19と第2歪センサ20の2つの歪センサを具備する場合について示しているが、歪センサの数は、3つ以上であってもよい。この場合、歪センサの数に応じて構造体の数を増加すればよい。
【0027】
第4構造体14及び第5構造体15は、同一の構成であるため、第4構造体14についてのみ具体的に説明する。
【0028】
図5に示すように、第4構造体14は、第1歪センサ19を接合する接合部としての第1接続部14a及び第2接続部14bと、梁としての第3接続部14c及び第4接続部14dと、第1接続部14a、第2接続部14b、第3接続部14c及び第4接続部14dとに囲まれた開口部14eと、を有している。
【0029】
換言すると、第4構造体14は、第1構造体11と第2構造体12との間に設けられた開口部14eを有する梁である。
【0030】
第1接続部14aは、第1構造体11から第2構造体12側に延出している。第2接続部14bは、第2構造体12から第1構造体11側に延出している。
【0031】
梁としての第3接続部14c及び第4接続部14dは、第1接続部14aと第2接続部14bとの間に設けられている。
【0032】
第3接続部14c及び第4接続部14dの長さL1は、梁としての第3構造体13の長さL2(図1にも示す)より短い。第3接続部14c及び第4接続部14dのトルク(Mz)方向の幅W1は、第1接続部14a及び第2接続部14bのトルク方向の幅W2より狭く、第3接続部14c及び第4接続部14dの幅W1の合計は、第3構造体13のトルク(Mz)方向の幅W3(図1に示す)より狭い。このため、第3接続部14c及び第4接続部14dのトルク方向の剛性は、第1接続部14a、第2接続部14b及び第3構造体13のトルク方向の剛性に比べて低い。
【0033】
また、第3接続部14c及び第4接続部14dのFz方向の厚みは、第1構造体、第2構造体及び第3構造体のFz方向の厚みと等しい。さらに、第1接続部14aの長さL11と、第2接続部14bの長さL12と、第3接続部14c及び第4接続部14dの長さL1の合計は、第3構造体13の長さと等しい。このため、第3接続部14c及び第4接続部14dのFz方向の剛性は、第3構造体13のFz方向の剛性よりやや小さくなる。
【0034】
尚、第1接続部14aの長さL11と、第2接続部14bの長さL12と、第3接続部14c及び第4接続部14dの長さL1の合計は、第3構造体13の長さと等しい場合に限らず、等しくなくてもよい。
【0035】
尚、本実施形態において、第4構造体14、第5構造体15の構成は、これに限定されるものではなく、第1歪センサ19と第2歪センサ20を保持できる構成であればよい。
【0036】
図6は、図1のBで示す部分を拡大して示している。
【0037】
図2を参照して説明したように、第1歪センサ19は、ストッパー16により覆われ、第2歪センサ20は、ストッパー17により覆われている。ストッパー16及びストッパー17は、例えばステンレス鋼や鉄系の合金により形成される。ストッパー16及びストッパー17は、第1歪センサ19と第2歪センサ20の機械的な変形を防止し、複数の歪ゲージ19-2(図8に示す)を保護する。さらに、ストッパー16及びストッパー17は、第1歪センサ19と第2歪センサ20の防水カバーを兼ねている。具体的な防水構造については、説明を省略する。
【0038】
ストッパー16とストッパー17の構成は同一であるため、ストッパー16についてのみ説明する。
【0039】
図6に示すように、ストッパー16は、一端部16aと他端部16bを有し、ストッパー16の他端部16bの幅は、一端部16aの幅より狭くされている。ストッパー16の一端部16aは、第4構造体14の第2構造体12側に形成された係合部としての凹部14f内に例えば圧入され、固定される。ストッパー16の他端部16bは、第4構造体14の第1構造体11側に形成された凹部14f内に配置される。ストッパー16の他端部16bの幅は、第1構造体11側に設けられた凹部14fの幅より狭く、ストッパー16の他端部16bの両側と、凹部14fの側面との間には、間隙GPがそれぞれ設けられる。
【0040】
間隙GPは、第3構造体13の剛性と定格トルクにより決定される。具体的には、トルクセンサ10に例えば1000N・mのトルクが印加され、第1構造体11が第2構造体12に対して例えば10μm変形する場合、間隙GPは、例えば10μmに設定される。
(固定装置の構成)
図7図8は、本実施形態に係る歪センサの固定装置31、32を示している。固定装置31は、第1歪センサ19を構成する起歪体19-1の第1端部を第1接続部14aに固定し、固定装置32は、起歪体19-1の第2端部を第2接続部14bに固定する。
【0041】
固定装置31、32は、同一構成であるため、固定装置31を用いて、その構成について説明し、固定装置32において、固定装置31と同一部分には同一符号を付す。
【0042】
固定装置31は、固定部材41とねじ42を具備している。固定部材41の幅は、凹部14fの幅より僅かに狭くされ、固定部材41は、凹部14f内に設けられた状態で、固定部材41の側面が凹部14fの側面に接触可能とされている。このため、固定部材41は、後述するねじで締結されるとき、凹部14f内での回転が抑制される。
【0043】
固定部材41は、第1端部に突起41aを有し、第2端部に角部41bを有し、第1端部と第2端部の間にねじ穴41cを有している。
【0044】
突起41aは、凹部14fの底部に接している。突起41aの高さH1は、起歪体19-1の厚さH2より高い。すなわち、H1>H2である。角部41bは、起歪体19-1に線接触することが好ましい。このため、角部41bの加工精度は、半径Rが0.1mm以下であることが好ましい。
【0045】
図8に示すように、固定部材41の幅は、起歪体19-1の幅より広く、固定部材41の角部41bは、起歪体19-1の第1端部又は第2端部の幅方向の全体に接触可能とされている。
【0046】
図7に示すように、第1接続部14aは第1構造体11に含まれ、第1接続部14aは凹部14fの底部を構成している。凹部14fの底部には、ねじ42が挿入される貫通孔14a-1が設けられている。第2接続部14bは、第2構造体12に含まれ、第2接続部14bは、凹部14fの底部を構成している。凹部14fの底部には、ねじ42が挿入される貫通孔14b-1が設けられている。ねじ42は、貫通孔14a-1、14b-1に挿入された状態で、固定部材41のねじ穴41cにそれぞれ螺合される。
【0047】
上記構成において、固定装置31及び固定装置32により第1歪センサ19を固定する場合、図7に示すように、第1歪センサ19が第1接続部14aと第2接続部14bとの間に配置される。この状態において、固定装置31の固定部材41の角部41bは、第1歪センサ19を構成する起歪体19-1の第1端部に接触され、固定装置32の固定部材41の角部41bは、第1歪センサ19を構成する起歪体19-1の第2端部に接触される。
【0048】
この状態において、ねじ42を締め付けると、固定部材41は、突起41aを支点として図示矢印C、D方向に回動され、固定部材41の角部41bが起歪体19-1の表面に圧接する。これにより、固定部材41の角部41bは、図8に示すように、起歪体19-1の表面に線接触し、起歪体19-1は、2つの固定部材41によって第1接続部14aと第2接続部14bに固定される。
(実施形態の効果)
上記実施形態によれば、固定部材41は、ねじ42を締め付けることにより、突起41aを支点として回動し、角部41bが起歪体19-1に対して線接触する。このため、従来のように起歪体と固定部材が面接触する場合に比べて、起歪体19-1を第1構造体11、第2構造体12に対して高い圧力で固定することが可能である。したがって、第1構造体11及び第2構造体12に対する起歪体19-1の固定強度のばらつきを低下させることができる。
【0049】
しかも、本実施形態の固定部材41を用いた固定方法によれば、固定部材41の角部41bを起歪体19-1に線接触させるだけで、起歪体19-1を第1構造体11と第2構造体12に固定させることができる。このため、起歪体19-1を溶接により第1構造体11及び第2構造体12に固定する場合のように、起歪体19-1及び歪ゲージに対する熱的な変形を防止できる。また、起歪体19-1を接着剤で固定する場合のように、起歪体と第1構造体11及び第2構造体12との間に低剛性部が介在しない。したがって、本実施形態の固定部材41を用いた固定方法によれば、トルクセンサ10の感度の低下を防止できる。
【0050】
さらに、例えば起歪体を固定部材と複数のねじを用いて構造体に固定する場合、起歪体より幅が広い固定部材を起歪体上に設け、固定部材の幅方向の両側に設けられた複数のねじを構造体に螺合することにより、起歪体が固定部材により固定される。この場合、複数のねじを締め付けることにより固定部材が変形し、固定部材の幅方向の中央部が起歪体の表面から離れる。このため、起歪体と固定部材との実効的な接触面積が減少し、固定強度が低下する。したがって、押え部材の変形を抑えて必要な固定強度を得るため、押え部材の厚みを厚くする必要がある。
【0051】
これに対して、本実施形態の場合、固定部材41は、突起41aと角部41bとの間に設けられた1つのねじ42により、固定部材41を第1構造体11又は第2構造体12側に回動させ、固定部材41の角部41bを起歪体19-1に線接触させている。このため、固定部材41の角部41bは起歪体19-1の幅方向と垂直に交差する方向に殆ど変形しない。したがって、固定部材41の角部41bは幅方向に途切れることなく、起歪体19-1に線接触することができる。このため、必要な固定強度を得るために固定部材41の厚みを必要以上に厚くする必要がなく、固定部材41の大型化を防止することが可能である。
【0052】
しかも、固定装置31、32は、1つの固定部材41と1つのねじ42とにより構成されている。このため、部品点数が少なく、固定装置31、32の大型化、及びトルクセンサ10の大型化を防止することが可能である。
【0053】
さらに、固定装置31、32は、1つの固定部材41と1つのねじ42とにより構成されているため、固定装置31、32の組み立てが容易である。
【0054】
尚、固定部材41は、突起41aを有しているが、突起41aは、必ずしも固定部材41に設けられている必要はなく、例えば第1構造体11及び第2構造体12に設けられていてもよい。具体的には、第1接続部14aの表面及び第2接続部14bの表面で、固定部材の第1端部に対応する部分に突起41aがそれぞれ設けられ、固定部材41の第1端部が突起41aの上に載置されていてもよい。すなわち、固定部材41は、突起41aを支点として回動可能に設けられればよい。
【0055】
その他、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10…トルクセンサ、11…第1構造体、12…第2構造体、13…第3構造体、19-1…起歪体、31、32…固定装置、41…固定部材、41a…突起、41b…角部、42…ねじ。
図1
図2
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図8