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<図1>
  • 特許-ベルト締具 図1
  • 特許-ベルト締具 図2
  • 特許-ベルト締具 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】ベルト締具
(51)【国際特許分類】
   F16G 11/12 20060101AFI20220307BHJP
   B65D 63/14 20060101ALI20220307BHJP
   B60P 7/08 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
F16G11/12 J
B65D63/14 A
B60P7/08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018099377
(22)【出願日】2018-05-24
(65)【公開番号】P2019203562
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000117135
【氏名又は名称】芦森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082027
【弁理士】
【氏名又は名称】竹安 英雄
(72)【発明者】
【氏名】松永 聖也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 信二
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第2212876(GB,A)
【文献】特開2010-112537(JP,A)
【文献】特開平8-72607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16G 11/12
B65D 63/14
B60P 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
締具本体(1)に対して直接又は第一のベルト(7a)を介して第一のフック(8)を取り付け、前記締具本体(1)により引き締められ且つ長さ調節可能の第二のベルト(7b)の先端にフック金具(12)を設け、当該フック金具(12)に第一ベルト取付部(13)を設け、当該フック金具(12)に第二のフック(11)を取り付けてなるベルト締具において、前記フック金具(12)に前記第一ベルト取付部(13)と平行な第二ベルト取付部(14)を設け、当該第二ベルト取付部(14)に分岐ベルト(15)の一端を取り付けるとともに、当該分岐ベルト(15)の他端に前記第二のフック(11)に引っ掛け可能のループ(16)を形成したことを特徴とする、ベルト締具
【請求項2】
前記分岐ベルト(15)を前記フック金具(12)に対して着脱可能としたことを特徴とする、請求項1に記載のベルト締具
【請求項3】
前記締具本体(1)が、前記第二のフック(11)を取り付けた第二のベルト(7b)を巻回した支軸(4)に、前記第一のフック(8)を連結した本体(2)及び操作レバー(3)を回動自在に取り付け、前記本体(2)に対して前記操作レバー(3)を往復回動せしめることにより、前記支軸(4)に固定されたラチェット(5)の作用により支軸(4)を回動せしめ、当該支軸(4)に巻回されていた第二のベルト(7b)を支軸(4)に巻き締めることにより、両フック(8、11)間でベルト(7)を引き締めるようにしたラチェット式の締具であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のベルト締具
【請求項4】
前記締具本体(1)が、本体と操作レバーとを回動自在に軸支し、前記操作レバーには前記第一のフック(8)を取り付けた支持金具を回動自在に軸支し、また前記操作レバーには二本の軸を懸架し、前記操作レバーを本体に対して回動せしめることにより、第二のフック(11)を取り付けた第二のベルト(7b)を前記二本の軸に巻付けて、両フック(8、11)間でベルト(7)を引き締めるようにした、ワンタッチ式の締具であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のベルト締具
【請求項5】
前記第二のベルト(7b)が、その一端が前記第一のフック(8)に取り付けられ、前記フック金具(12)の第一ベルト取付部(13)に巻き掛けられて折り返され、その他端が前記締具本体(1)により引き締められることを特徴とする、請求項1、2、3又は4に記載のベルト締具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品などを固定するための締具に関するものであって、特に船舶やトラックなどに搭載された自動車などの積荷を、動かないように固定するためのベルト締具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記ベルト締具としては各種のものが知られているが、ラチェット式のベルト締具としては例えば特開2010-112537号公報に示されたものが知られている。このものは一方のフックを取り付けたベルトを巻回した支軸に、他方のフックを連結した本体及び操作レバーを回動自在に取り付け、前記本体に対して前記操作レバーを往復回動せしめることにより、前記支軸に固定されたラチェットの作用により支軸を回動せしめ、当該支軸に巻回されていたベルトを支軸に巻き締めることにより、両フック間でベルトを引き締めるものである。
【0003】
またワンタッチ式のベルト締具としては、例えば実開昭52-20487号公報に示されたものが知られている。このものは本体と操作レバーとを回動自在に軸支し、前記操作レバーには一方のフックを取り付けた支持金具を回動自在に軸支し、また前記操作レバーには二本の軸を懸架し、前記操作レバーを本体に対して回動せしめることにより、他方のフックを取り付けたベルトを前記二本の軸に巻付けて、両フック間でベルトを引き締めるものである。
【0004】
またその他特開昭57-27673号公報、実開昭57-128537号公報、実開昭59-78252号公報、実開昭60-69805号公報、実開昭60-69806号公報、特開2006-307873号公報などに記載されたものも知られているが、いずれも実開昭52-20487号公報と同様に締具本体の二本の軸にベルトを掛け回して締め付け、ベルトを引き締めるものである。
【0005】
ところでこれらのベルト締具においては、その両端にフックを有し、その間のベルトの長さを締具によって引き締めて調節するものであるから、船舶などに搭載された積荷にフックを引っ掛ける部材が設けられている場合には良いが、必ずしもこれらの部材が設けられているとは限らず、フックを引っ掛けることができない場合もあり、そのような場合にはこれらのベルト締具で積荷を固定することができない。
【0006】
このような場合には、意匠登録1489719号公報や意匠登録1490050号公報などに示されるように、その先端にフックを取り付けたベルトの途中に別の分岐ベルトを縫着し、当該分岐ベルトを前記積荷の適宜の箇所に巻回し、当該分岐ベルトの先端に形成されたループを前記フックに引っ掛けることにより、フックを直接引っ掛けることができない積荷に対しても前記ベルト締具を適用することができる。
【0007】
一方この種のベルト締具においては、締具本体が直に積荷に当たって当該積荷を傷つけるようなことがあってはならず、締具本体に直接フックを取り付けた側又は、ベルト長さが固定されている側を荷台側に、ベルトの長さを調節可能な側を積荷側とし、締具本体をできるだけ積荷から遠ざけるように配置するのが一般的である。
【0008】
しかしながら前記意匠登録1490050号公報に示されたものにおいては、ベルトの耐荷重の関係でベルトの長さ調節可能な側のベルトを二重にする必要があり、このような構造では当該二重に配置したベルトに分岐ベルトを縫着することができないため、締具本体にベルトを介してフックを連結し、当該ベルトに分岐ベルトを縫着せざるを得ず、どうしても締具本体が積荷に近付き、このベルト締具の使用時に締具本体が積荷に当たり、積荷を傷付ける可能性があったのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2010-112537号公報
【文献】実開昭52-20487号公報
【文献】特開昭57-27673号公報
【文献】実開昭57-128537号公報
【文献】実開昭59-78252号公報
【文献】実開昭60-69805号公報
【文献】実開昭60-69806号公報
【文献】特開2006-307873号公報
【文献】意匠登録1489719号公報
【文献】意匠登録1490050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであって、締具本体の両側にフックを設けると共に、ベルトの長さ調節可能な側のベルトを二重にする場合においても、当該長さ調節可能な側のベルトに分岐ベルトを設けることを可能とする、ベルト締具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
而して本発明は、締具本体に対して直接又は第一のベルトを介して第一のフックを取り付け、前記締具本体により引き締められ且つ長さ調節可能の第二のベルトの先端にフック金具を設け、当該フック金具に第一ベルト取付部を設け、当該フック金具に第二のフックを取り付けてなるベルト締具において、前記フック金具に前記第一ベルト取付部と平行な第二ベルト取付部を設け、当該第二ベルト取付部に分岐ベルトの一端を取り付けるとともに、当該分岐ベルトの他端に前記第二のフックに引っ掛け可能のループを形成したことを特徴とするものである。
【0012】
本発明においては、前記分岐ベルトを前記フック金具に対して着脱可能とすることが好ましい。
【0013】
また本発明においては、前記締具本体が、前記第二のフックを取り付けた第二のベルトを巻回した支軸に、前記第一のフックを連結した本体及び操作レバーを回動自在に取り付け、前記本体に対して前記操作レバーを往復回動せしめることにより、前記支軸に固定されたラチェットの作用により支軸を回動せしめ、当該支軸に巻回されていた第二のベルトを支軸に巻き締めることにより、両フック間でベルトを引き締めるようにしたラチェット式の締具であることが好ましい。
【0014】
また本発明においては、前記締具本体が、本体と操作レバーとを回動自在に軸支し、前記操作レバーには前記第一のフックを取り付けた支持金具を回動自在に軸支し、また前記操作レバーには二本の軸を懸架し、前記操作レバーを本体に対して回動せしめることにより、第二のフックを取り付けた第二のベルトを前記二本の軸に巻付けて、両フック間でベルトを引き締めるようにした、ワンタッチ式の締具であってもよい。
【0015】
また本発明においては、前記第二のベルトが、その一端が前記第一のフックに取り付けられ、前記フック金具の第一ベルト取付部に巻き掛けられて折り返され、その他端が前記締具本体により引き締められるものであることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のベルト締具の正面図
図2】本発明のベルト締具の平面図
図3】本発明のベルト締具の使用状態図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明を図面に基づいて説明する。図1及び図2は本発明のベルト締具を示すものであって、1は締具本体であり、図面の例においてはラチェット式の締具が使用されている。
【0018】
すなわち締具本体1は、本体2と操作レバー3とを支軸4により回動自在に支持されており、操作レバー3を本体2に対して往復回動せしめることにより、前記支軸4に固定されたラチェット5の作用により支軸4が回転せしめられるようになっている。
【0019】
而して前記本体2の後端にはベルト軸6が取り付けられており、当該ベルト軸6にベルト7が掛け回されてその端末が縫合されている。そしてそのベルト7はさらに、締具本体1の後方に設けられた第一のフック8の、フック金具9に取り付けられたベルト軸10に掛けまわされ、さらに前記ベルト7の端末に三重に縫合されており、ここまでの部分が第一のベルト7aを構成している。
【0020】
そしてそのベルト7は前記三重に縫合された第一のベルト7aから、前記締具本体1の下を通って締具本体1の前方に至り、締具本体1の前方に設けられた第二のフック11の、フック金具12に設けられた第一ベルト取付部13に巻き掛けられて折り返され、前記締具本体1の支軸4に巻回され、第二のベルト7bを構成している。
【0021】
而してベルト7の端末部7cを引っ張って引き締めておいて、前記操作レバー3を前記本体2に対して往復回動せしめることにより、前記支軸4に固定されたラチェット5の作用により支軸4が回転せしめられ、その回転により支軸4に巻回された第二のベルト7bが巻き締められ、第一のベルト7a及び第二のベルト7bを通じてベルト7が強く引き締められるのである。
【0022】
本発明においては、前記第二のフック11のフック金具12に前記第一ベルト取付部13と平行の第二ベルト取付部14が設けられており、当該第二ベルト取付部14に分岐ベルト15の一端が取り付けられ、当該分岐ベルト15の他端には、前記第二のフック11に引っ掛けることができるループ16が形成されている。
【0023】
而して本発明を使用するには、図3に示すように、第一のフック8を積荷を搭載した船舶などの固定具17に引っ掛け、分岐ベルト15を積荷の適宜の固定部分18に迂回させてループ16を第二のフック11に引っ掛ける。
【0024】
この状態でベルト7の端末部7cを引っ張って引き締めておいて、締具本体1の操作レバー3を本体2に対して往復回動せしめることにより、前記ラチェット5の作用により支軸4が回転し、第二のベルト7bが強く引き締められ、積荷が船舶などに対してしっかりと固定されるのである。
【0025】
また本発明によれば、図面に示すように第二のベルト7bを二重にして十分な強度を保持しつつ、当該長さ調節可能な第二のベルト7b側に分岐ベルト15を設けることが可能であり、不用意に積荷に締具本体1が当たって積荷を傷つける恐れがない。
【0026】
また本発明においては、分岐ベルト15をフック金具12に対して着脱可能とすることにより、第二のフック11を直接積荷に引っ掛けることができるときには、分岐ベルト15を取り外して邪魔にならないようにすることができる。
【0027】
ところで以上の説明においては、締具本体1としてラチェット式の締具が使用されているが、かかる構造に限らず、前記実開昭52-20487号公報などに示されるワンタッチ式の締具を適用することもできる。
【0028】
また図面の例においては、分岐ベルト15は両端部にループを設け、一方を第二ベルト取付部14に取り付け、他方を第二のフック11に対する引っ掛け部としてのループ16としているが、ベルトの両端を単純に縫合して接続したものを分岐ベルト15とし、当該分岐ベルト15を第二ベルト取付部14に掛け回したものであってもよい。
【0029】
また本発明においてベルトと称するのは、図面に示すように扁平なベルト状のものに限らず、ロープやチェーンなどの強靭な紐状のものであってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 締具本体
2 本体
3 操作レバー
4 支軸
5 ラチェット
7 ベルト
7a 第一のベルト
7b 第二のベルト
8 第一のフック
11 第二のフック
12 フック金具
13 第一ベルト取付部
14 第二ベルト取付部
15 分岐ベルト
16 ループ
図1
図2
図3