(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】ベッド装置
(51)【国際特許分類】
A47C 21/08 20060101AFI20220307BHJP
【FI】
A47C21/08 Z
(21)【出願番号】P 2018108543
(22)【出願日】2018-06-06
【審査請求日】2019-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000010032
【氏名又は名称】フランスベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 守
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-017621(JP,U)
【文献】特開2002-078758(JP,A)
【文献】特開2000-166705(JP,A)
【文献】実公昭46-009149(JP,Y1)
【文献】特開2005-245698(JP,A)
【文献】米国特許第05335385(US,A)
【文献】中国実用新案第207341876(CN,U)
【文献】特開2015-202377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 17/00 - A47C 23/34
A61G 7/05 - A61G 7/075
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドフレームを有し、このベッドフレームの幅方向の端部に位置するサイド部材を介して側柵が取付けられるベッド装置であって、
ベッドフレームの幅方向と同方向である、前記サイド部材の幅方向の内面側に前記ベッドフレームに対して
間接的もしくは直接的に固定されて設けられ前記サイド部材の上面と下面にそれぞれ位置する第1の係合部を有する内側ブラケットと、
前記サイド部材の幅方向の外面側にこのサイド部材の幅方向に沿って移動可能に設けられ、前記サイド部材の上面と下面にそれぞれ位置し
前記サイド部材の幅方向に移動することで前記第1の係合部に係合する第2の係合部、前記サイド部材の上面と下面からそれぞれ前記内側ブラケットの上面と下面に向かって延出された上下一対の延長部、及び前記サイド部材の外面側に位置する部分の上面に開口して形成された前記側柵を支持する支持部を有する外側ブラケットと、
前記サイド部材の幅方向の内面側に位置する一対の前記延長部を介して設けられその操作によって前記外側ブラケットを前記サイド部材の幅方向に駆動して前記第1の係合部に前記第2の係合部を係合させることで、前記外側ブラケットを前記内側ブラケットを介して前記ベッドフレームに
、前記サイド部材の幅方向及びこの幅方向と直交する長手方向に対して移動不能に固定する操作手段と
を具備したことを特徴とするベッド装置。
【請求項2】
前記ベッドフレームの内部には、前記ベッドフレームの前記サイド部材に平行に対向する支持部材を有する床ユニットが設けられ、
前記内側ブラケットは、前記ベッドフレームの前記サイド部材或いは前記
床ユニットの前記支持部材に固定して設けられることを特徴とする請求項1記載のベッド装置。
【請求項3】
前記操作手段は、
一対の前記延長部の前記サイド部材の幅方向の内面側に突出した先端部に着脱可能に支持された伝動部材と、
前記サイド部材の内面側に軸方向を前記伝動部材と交差させて回転可能かつ軸方向に移動不能に設けられて先端部を前記伝動部材に螺合させたねじ部材を有し、
前記ねじ部材を回転されることで、前記伝動部材を介して前記外側ブラケットを前記サイド部材の幅方向内方に駆動して前記第1の係合部に前記第2の係合部を係合させ、前記外側ブラケットを前記サイド部材の幅方向及び長手方向に対して移動不能に保持する構成であることを特徴とする請求項1
又は請求項2に記載のベッド装置。
【請求項4】
前記側柵は所定間隔で離間した一対の前記外側ブラケットの前記支持部に支持されるようになっていて、一対の前記外側ブラケットは、前記側柵の幅寸法に対応する間隔で連結部材によって連結されていることを特徴とする
請求項1ないし又は請求項3のいずれかに記載のベッド装置。
【請求項5】
一対の前記外側ブラケット及びこれら外側ブラケットを連結した前記連結部材は、前面が前記ベッドフレームの幅方向内方に向かって凹んだ凹状部に形成されたカバーによって覆われていることを特徴とする
請求項4記載のベッド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はベッドフレームの側部に側柵を着脱可能に取付けることができるベッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば病院などで用いられるベッド装置には、利用者に掛けた掛け布団がベッド装置からずれ落ちるのを防止したり、利用者がマットレス上から降りる際に立ち上がったり、立ち上がって歩行するときにつかまるためなどに利用する側柵を、前記ベッド装置のベッドフレームの幅方向の側部に着脱可能に設けるようにしている。
【0003】
ベッドフレームの幅方向の側部に側柵を取付ける取付け構造としては特許文献1や特許文献2に示されるものが知られている。
【0004】
特許文献1では、取付補助枠の両端側に、一対の取付具を、前記取付補助枠の長手方向に直交する軸を中心として、ねじりばねの付勢力下に揺動可能に保持する構成とする。一対の前記取付具には、それぞれ側柵保持具を有する下受け具と、断面L字型の上受け具とが一体に設けられ、ベッド装置のサイドフレームの長手方向に互いにずれるように設定されている。さらに、前記取付具には側柵の下端部が挿入支持される取付け穴が形成されている。
【0005】
それによって、前記取付具に下受け具と上受け具とが一体的に形成されていても、前記取付具を取付補助枠に対して揺動させることで、サイドフレームに取付けることができるようにしている。
【0006】
特許文献2では、上部材と下部材の一端が回動可能に連結され、止めねじによってこれら部材は接合した状態で固定できるようになっている。前記上部材と下部材の接合する一端部分には、これら部材を前記止めねじによって固定することで、ベッドフレームの側部材を挟持する凹部が形成されている。
【0007】
さらに、前記上部材の前端部には側柵の下端部が挿入支持される支持孔が形成された回動部材が設けられていて、これらの部材によって支持装置を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2000-166705号公報
【文献】特開平9-131242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に示された構造によると、一対の取付具は取付補助枠に対してねじりばねの付勢力によって揺動可能に保持されているだけである。
【0010】
そのため、前記側柵保持具に支持された側柵に利用者がつかまるなどして前記取付具に外力が加わった場合、前記ねじりばねが復元力に抗して弾性変形し易いため、前記取付具がサイドフレームに対してずれ動き易いということがある。
【0011】
それによって、利用者がベッド装置から起き上がるときや、側柵につかまって伝い歩きするときなどに姿勢が維持し難くいため、不安定になるということがある。
【0012】
さらに、前記取付補助枠や取付具の大部分はサイドフレームの外側、つまり外部に露出して設けられる。そのため、ベッド装置の外観を低下させたり、ベッド装置の側方を歩行したり、車椅子で近付いたときなどにぶつかり易いなどのことがある。
【0013】
特許文献2に記載された構造によると、一端が回動可能に連結された上部材と下部材は、これらの一端部に形成された凹部によってベッドフレームの側部材を挟持し、その状態で前記各部材の他端部側に設けられた止めねじによって固定されるようになっている。前記止めねじは前記側部材の外方、つまりベッドフレームの外部に位置している。
【0014】
そのため、前記止めねじが不用意に操作されたり、ぶつかって緩むなどの虞がある。そのような場合、前記側部材に連結された回動部材の支持孔に支持された側柵に利用者が捕まったときなど、前記回動部材を含む前記側柵を支持した支持装置がベッドフレームの側部材に対してがた付いたり、ずれ動いたりする虞がある。
【0015】
そのため、そのような場合には特許文献1と同様、利用者がベッド装置から起き上がるときや、側柵につかまって伝い歩きするときに姿勢が維持できずに不安定になるということがある。
【0016】
しかも、前記支持装置の大部分がベッドフレームの側部材の外方に露出しているため、ベッド装置の外観を低下させたり、ベッド装置の側方を歩行したり、車椅子で近付いたときにぶつかり易いということもある。
【0017】
この発明は、ベッドフレームの側部に支持される側柵を、がたつくことなく確実に支持することができるようにするとともに、前記側柵を支持する構造が前記ベッドフレームの幅方向外方に大きく突出して外観の低下を招いたり、邪魔になることがないようにしたベッド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明は、ベッドフレームを有し、このベッドフレームの幅方向の端部に位置するサイド部材を介して側柵が取付けられるベッド装置であって、
ベッドフレームの幅方向と同方向である、前記サイド部材の幅方向の内面側に前記ベッドフレームに対して間接的もしくは直接的に固定されて設けられ前記サイド部材の上面と下面にそれぞれ位置する第1の係合部を有する内側ブラケットと、
前記サイド部材の幅方向の外面側にこのサイド部材の幅方向に沿って移動可能に設けられ、前記サイド部材の上面と下面にそれぞれ位置し前記サイド部材の幅方向に移動することで前記第1の係合部に係合する第2の係合部、前記サイド部材の上面と下面からそれぞれ前記内側ブラケットの上面と下面に向かって延出された上下一対の延長部、及び前記サイド部材の外面側に位置する部分の上面に開口して形成された前記側柵を支持する支持部を有する外側ブラケットと、
前記サイド部材の幅方向の内面側に位置する一対の前記延長部を介して設けられその操作によって前記外側ブラケットを前記サイド部材の幅方向に駆動して前記第1の係合部に前記第2の係合部を係合させることで、前記外側ブラケットを前記内側ブラケットを介して前記ベッドフレームに、前記サイド部材の幅方向及びこの幅方向と直交する長手方向に対して移動不能に固定する操作手段と
を具備したことを特徴とするベッド装置にある。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、前記サイド部材の内面側に前記外側ブラケットを前記内側ブラケットに移動不能に固定する操作手段を設け、この操作手段の操作によって前記外側ブラケットを駆動してその第2の係合部を前記内側ブラケットの第1の係合部に係合させることで、前記側柵を支持する支持部を有する前記外側ブラケットを固定するようにした。
【0020】
そのため、前記操作手段は前記サイド部材の内面側、つまり不用意にぶつかったり、手が触れることのない箇所に設けられているから、前記支持部による前記側柵の支持状態が損なわれ難いばかりか、前記外側ブラケットだけが前記ベッドフレームの側方に突出して設けられているだけであるから、外観的にも良好である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1はこの発明の一実施の形態のベッド装置を、床ユニットの一部を断面して示す平面図。
【
図3】ベッドフレームのサイド部材に設けられた側柵取付け部の平面図。
【
図4】前記サイド部材の内側に設けられる内側ブラケットと外側に設けられる外側ブラケットを示す断面図。
【
図5】前記サイド部材に設けられた内側ブラケットと外側ブラケットの斜視図。
【
図6】連結部材によって連結された一対の外側ブラケット、及びこれら外側ブラケットに装着されるカバーの斜視図。
【
図7】一対の外側ブラケットに取付けられる側柵の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1はベッド装置を示す平面図、
図2は同じく側面図であって、前記ベッド装置はベッドフレーム1を備えている。このベッドフレーム1は所定間隔で平行に離間対向して配置された一対のサイド部材2と、これらサイド部材2の長手方向一端に連結された第1のボード体3と、他端に連結された第2のボード体4によって構成されている。
【0024】
前記サイド部材2、前記第1のボード体3及び前記第2のボード体4によって囲まれた前記ベッドフレーム1の内部には床ユニット6が設けられている。この床ユニット6は前記サイド部材2の幅方向の内面側に、このサイド部材2と所定間隔で平行に離間対向して設けられた一対の支持部材7を備えている。各支持部材7は、長手方向の一端を前記第1のボード体3の幅方向両端部の内面に連結され、他端を前記第2のボード体4の幅方向端部の内面に連結されている。
【0025】
図1に示すように、一対の前記支持部材7の長手方向中央部には固定床部8が設けられている。この固定床部8は、一対の前記支持部材7の長手方向の中途部に、長手方向に対して所定間隔で離間対向して架設された一対の横杆9を有する。これら一対の横杆9にはネット11が格子状に設けられている。
【0026】
前記固定床部8の前記第1のボード体3側に位置する一方の前記横杆9には、平面形状がU字状をなした背上げフレーム13が一端を回動可能に連結して設けられている。この背上げフレーム13にはネット14が張設されている。
【0027】
前記固定床部8の前記第2のボード体4側の他方の横杆9には、それぞれネット15,16が設けられた第1の脚フレーム17と、第2の脚フレーム18とが順次回動可能に連結されている。
【0028】
前記背上げフレーム13の先端部は、この背上げフレーム13が水平に倒伏したときに、一対の前記支持部材7の前記第1のボード体3側の端部間に架設させた第1の横杆19aによって支持される。
【0029】
前記第2の脚フレーム18の先端は、一対の前記支持部材7の前記第2のボード体4側の端部間に架設させた第2の横杆19bによって水平な状態で支持される。さらに、前記第1の脚フレーム17と前記第2の脚フレーム18との連結部分は、一対の前記支持部材7の前記第2のボード体4側の内面に突設された一対の第3の横杆19cによって水平な倒伏状態で支持される。
【0030】
そして、一対の前記支持部材7の長手方向の両端部の下面には、
図2に示すように下端にキャスタ22aが設けられた脚体22が垂設されている。それによって、前記床ユニット6を備えた前記ベッドフレーム1は前記キャスタ22aによって移動可能に支持されている。
【0031】
前記固定床部8の下面側にはリニアモータやシリンダなどの直線駆動源25、この直線駆動源25によって駆動されるリンク機構25aが設けられている。前記直線駆動源25によって前記リンク機構25aが駆動されると、前記背上げフレーム13が起上方向に駆動される。それに連動して前記第1の脚フレーム17と第2の脚フレーム18とが上方に向かって山形状に屈曲するようになっている。
【0032】
前記床ユニット6上には
図2に鎖線で示すマットレスMが載置される。このマットレスMは幅寸法が前記ベッドフレーム1の幅寸法、つまり一対の前記サイド部材2がなす幅寸法とほぼ同じに設定されている。
【0033】
前記床ユニット6が前記直線駆動源25によって駆動されると、前記マットレスM上に仰臥した利用者は、前記マットレスMとともに脚部が屈曲されながら、上半身が起こされる。それによって、利用者は山形状に屈曲して起立した前記第1、第2の脚フレーム17,18によって臀部が前方にずれることがないよう支持された状態で上半身が起こされることになる。
【0034】
なお、前記直線駆動源25による前記背上げフレーム13の駆動と、前記第1の脚フレーム17及び前記第2の脚フレーム18の駆動は、図示しない切換え機構によって選択することができる。つまり、前記背上げフレーム13だけを駆動したり、第1、第2の脚フレーム17,18を一緒に駆動することもできる。
【0035】
前記ベッドフレーム1の両側部の長手方向の一端部と他端部の合計4箇所(
図1では1か所のみ図示)には、
図7に示す側柵20の一対の脚部20aを着脱可能に保持するための側柵取付け部21が設けられている。
【0036】
前記側柵取付け部21は、前記サイド部材2の内面側である、前記床ユニット6の前記支持部材7の幅方向の外面に長手方向に所定間隔で設けられた一対の内側ブラケット23を有する。
図1では4か所の前記側柵取付け部21のうち、1か所だけは全体を示し、他の3か所は一対の前記内側ブラケット23だけを示している。
【0037】
図3に示すように、前記内側ブラケット23は平面形状がコ字状をなしていて、その両側辺23aの先端が前記支持部材7の外面に溶接などの手段によって固定され、中間辺23bの上下端の両端部にはL字状に折り曲げられてそれぞれ前記サイド部材2の上面と下面に位置する各一対の第1の係合部24が形成されている。前記第1の係合部24は矩形状をなしている。
【0038】
なお、上下各一対の前記第1の係合部24は、前記サイド部材2の上面と下面とで、このサイド部材2の長手方向に対して所定間隔で離間している。
【0039】
前記サイド部材2の幅方向の外面側には、前記支持部材7に設けられた前記内側ブラケット23と対応する位置に外側ブラケット26が設けられている。この外側ブラケット26は側辺26aと、この側辺26aの上下端にL字状に屈曲された上辺26bと下辺26cを有する。
【0040】
前記外側ブラケット26の前記上辺26bと下辺26cの先端部には、前記内側ブラケット23の上下一対の前記第1の係合部24の間隔よりもわずかに小さな幅寸法の延長部27が突出形成されている。
【0041】
そして、前記外側ブラケット26は前記上辺26bと下辺26cとで前記サイド部材2の上下面を挟持し、かつ一対の前記延長部27を前記サイド部材2の上下面に位置する各一対の前記第1の係合部24間に挿通し、
図3に矢印Xで示す前記サイド部材2の幅方向に沿って移動可能に保持されている。
【0042】
前記外側ブラケット26を、前記内側ブラケット23が設けられた前記支持部材7の方向、つまり前記ベッドフレーム1の幅方向内方(
図3に+Xで示す方向)に向かってスライドさせると、前記外側ブラケット26の前記上辺26bと前記延長部27、及び前記下辺26cと前記延長部27がなすそれぞれ一対の角部が前記一対の第1の係合部24の角部に係合する。それによって、前記外側ブラケット26は+X方向、及び+X方向と交差する、
図Yで示す前記サイド部材2の長手方向に移動するのが阻止されるようになっている。
【0043】
ここで、前記外側ブラケット26の前記上辺26bと前記延出部27、及び前記下辺26cと前記延出部27がなすそれぞれ上下一対の角部を、前記第1の係合部24に係合する第2の係合部28とする。
【0044】
前記外側ブラケット26の上下一対の前記延長部27は、前記サイド部材2の幅方向の内面から前記内側ブラケット23の上下面に突出し、その突出部分、つまり前記サイド部材2の内面と前記支持部材7の外面との間に対応する部分には、
図4に示すようにそれぞれ上下一対の取付け孔29が穿設されている。
【0045】
一対の取付け孔29には上端に鍔31aを有する軸状の伝動部材31が、前記鍔31aを上方の前記取付け孔29の周辺部に係合させて挿入され、下端部を下方の取付け孔29に挿入支持されている。
【0046】
前記伝動部材31の軸方向の中途部には径方向に貫通して雌ねじ32が形成され、この雌ねじ32にはサムスクリューなどの手掛け部33aを有するねじ部材33が、前記支持部材7に形成された一対の通孔7aを通じて螺合されている。前記支持部材7の側面と、前記手掛け部33aとの間にはワッシャ32aが設けられている。
【0047】
前記ねじ部材33をねじ込めば、前記伝動部材31を介して前記外側ブラケット26が前記内側ブラケット23の方向、つまり
図3に+Xで示す方向に駆動される。それによって、前記第1の係合部24に前記第2の係合部28が
係合した状態で圧接するから、前記外側ブラケット26は
図3に矢印Yで示す前記サイド部材2の幅方向及びこの幅方向に直交する長手方向であるX方向に対して移動不能に保持される。
【0048】
この実施の形態では、前記伝動部材31と前記ねじ部材33とで前記外側ブラケット26を前記サイド部材2の幅方向に駆動するとともに、前記幅方向及び幅方向に交差する方向に対して移動不能に固定するための操作手段34を構成している。前記操作手段34は前記ベッドフレーム1の前記サイド部材2の幅方向の内面側に設けられている。
【0049】
図3と
図4に示すように、前記外側ブラケット26の前記サイド部材2の外面側に位置する先端部分の上辺26bと下辺26cの先端部分には、それぞれ対応する位置に取付け孔35穿設されている。上下一対の取付け孔35には前記側柵20の前記脚部20aを挿通支持することができる筒状部材36が保持されている。この筒状部材36には前記側柵20の前記脚部20aが着脱可能に挿入支持される。前記筒状部材36は前記脚部20aの支持部を形成している。
【0050】
図6に示すように、前記側柵取付け部21の一対の前記外側ブラケット26は帯板状の連結部材41によって連結されている。この実施の形態では、前記連結部材41の一端部と他端部は前記外側ブラケット26に支持された前記筒状部材36に連結固定されている。
【0051】
前記連結部材41によって連結された一対の前記外側ブラケット26は、これらに設けられた一対の前記筒状部材36の間隔が、前記側柵20の一対の前記脚部20aの間隔と同じになるよう設定されている。
【0052】
前記側柵取付け部21、つまり一対の前記外側ブラケット26及びこれらを連結した前記連結部材41は、たとえば合成樹脂などによって形成されたカバー42によって覆われる。前記カバー42は
図3、
図4及び
図6に示すように背面が開放した形状をなしていて、その長手方向の両端部を一対の前記外側ブラケット26に着脱可能に係合させて取付けられる。
【0053】
前記カバー42には前記外側ブラケット26に設けられた前記筒状部材36に対応する位置に通孔43が形成されている。また、前記カバー42の前面は前記サイド部材2の幅方向内方に向かって凹曲面状をなした凹部44に形成されている。
【0054】
このような構成のベッド装置によれば、前記ベッドフレーム1の前記サイド部材2に、前記外側ブラケット26を介して前記側柵20を支持するようにした。前記外側ブラケット26は、前記操作手段34の前記ねじ部材33を回転操作することで、前記サイド部材2に対して前記内側ブラケット23を介して移動不能に保持固定できる。
【0055】
前記操作手段34は前記サイド部材2の幅方向の内面側に設けられている。しかも、前記外側ブラケット26を駆動するための前記操作手段34の前記ねじ部材33は、その手掛け部33aが前記サイド部材2の幅方向内方に位置する、前記床ユニット6の支持部材7の幅方向の内面側に突出している。
【0056】
そのため、前記操作手段34によって前記外側ブラケット26が前記サイド部材2に固定された状態において、利用者や介護者がベッド装置の側方を歩いたり、車椅子で移動するなどした際に、前記サイド部材2の幅方向内方に位置する前記ねじ部材33の手掛け部33aにぶつかったり、不用意に操作するなどのことが防止される。つまり、前記外側ブラケット26の前記サイド部材2に対する固定状態が不用意に損なわれることが防止される。
【0057】
前記操作手段34による前記側柵20の固定状態が不用意に損なわれることがないため、ベッド装置の利用者が前記側柵20をつかんで立ち上がったり、前記側柵20をつかんだ状態で伝い歩きするような場合、前記側柵20が前記サイド部材2に対してがた付き、利用者に不安感を与えるのを防止することができる。
【0058】
前記側柵取付け部21の、前記連結部材41によって連結された一対の前記外側ブラケット26は、前記カバー42によって覆われている。そのため、前記連結部材41や前記外側ブラケット26が外部に露出しないため、前記側柵取付け部21によってベッド装置の外観が損なわれるのが防止される。
【0059】
前記カバー42の前面が曲面状の前記凹部44に形成されている。そのため、前記側柵取付け部21から前記側柵20を取り外してベッド装置に仰臥した利用者を介護などの世話する場合、介護者は前記凹部44を利用して仰臥した利用者に近づくことができるから、介護などの世話を容易に行うことができる。
【0060】
また、ベッド装置の利用者が車椅子を利用している場合などには、前記車椅子を前記カバー42の前記凹部44のところから、ベッド装置に近付け易いから、ベッド装置への乗り降りなどが前記側柵取付け部21によって大きく損なわれることなく行える。
【0061】
前記ベッドフレーム1に前記側柵20を設ける必要がない場合には、前記側柵取付け部21を前記ベッドフレーム1から取り外すことができる。
【0062】
つまり、前記操作手段34の前記ねじ部材33を前記伝動部材31から外した後、前記外側ブラケット26の一対の延長部27の一対の取付け孔29に挿入支持された前記伝動部材31を上方に引き上げて前記延長部27から取り外せば、前記サイド部材2に上辺26bと下辺26cを係合させて保持された前記外側ブラケット26を前記ベッドフレーム1から取り外すことができる。
【0063】
つまり、前記連結部材41によって連結された前記側柵取付け部21を構成する一対の外側ブラケット26を前記ベッドフレーム1から取り外すことができるから、前記側柵20を必要としない場合、前記外側ブラケット26が邪魔になるようなことがない。
【0064】
なお、前記内側ブラケット23は前記サイド部材2の内面側に設けられているから、前記外側ブラケット26を取り外したときに、外部に露出して邪魔になったり、ベッド装置の外観を損なうということがない。
【0065】
一対の前記外側ブラケット26は前記連結部材41によって所定の間隔、つまり前記ベッドフレーム1の前記サイド部材2の内面側に設けられた一対の前記内側ブラケット23と対応する間隔で連結されている。つまり、一対の前記外側ブラケット26はあらかじめ所定の間隔に位置決めされている。
【0066】
そのため、一対の前記外側ブラケット26を、一対の前記内側ブラケット23に対して取付ける作業を容易に、しかも迅速に行うことができる。
【0067】
前記外側ブラケット26は、前記伝動部材31から前記ねじ部材33を取り外した状態で、前記伝動部材31を着脱することで、前記内側ブラケット23に対して取付けたり、取外すことができる。
【0068】
そのため、そのことによっても、前記内側ブラケット23に対する前記外側ブラケット26の着脱を容易かつ迅速に行うことができる。
【0069】
この発明は上述した実施の形態に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0070】
たとえば、上述した実施の形態ではベッドフレーム1のサイド部材2に外側ブラケット26を移動可能に設けるようにしたが、内側ブラケット23を操作手段34によって駆動できるようにし、前記外側ブラケット26を前記サイド部材2に着脱可能に設け、前記内側ブラケット23を前記操作手段34によって駆動して前記外側ブラケット26を前記サイド部材2に移動不能に固定できる構成であってもよい。
【0071】
また、前記内側ブラケット23を前記ベッドフレーム1の内部に設けられる前記床ユニット6の支持部材7に設けるようにしたが、前記ベッドフレーム1の前記サイド部材2の内面に直接、設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…ベッドフレーム、2…サイド部材、6…床ユニット、20…側柵、21…側柵取付け部、23…内側ブラケット、24…第1の係合部、26…外側ブラケット、27…延長部、28…第2の係合部、31…伝動部材、33…ねじ部材、34…操作手段、36…筒状部材(支持部)、41…連結部材、42…カバー、44…凹部。