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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】シースセンサの誤差補償
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/00 20060101AFI20220307BHJP
   G01K 7/02 20210101ALI20220307BHJP
   G01K 7/22 20060101ALI20220307BHJP
   G01D 3/028 20060101ALI20220307BHJP
   G08C 25/00 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
G01K7/00 321C
G01K7/02 C
G01K7/22 C
G01D3/028 Z
G08C25/00 C
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018208830
(22)【出願日】2018-11-06
(65)【公開番号】P2019090799
(43)【公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-08-30
(31)【優先権主張番号】17201975.4
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510214089
【氏名又は名称】メレクシス・テクノロジーズ・ナムローゼフェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトル・カソフスキー
(72)【発明者】
【氏名】コスタディン・ボブチェフ
(72)【発明者】
【氏名】イワン・レシチコフ
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第2507093(GB,A)
【文献】特表2001-506778(JP,A)
【文献】特表2015-532421(JP,A)
【文献】特開昭62-170857(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0051795(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
G01D 3/028
G08C 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シースセンサのシースの特性に起因する前記シースセンサの測定誤差を判定および/または補償するための回路あって、
ースセンサおいてセンサ要素一対のセンサ信号リード線接続するための第1の端子よび第2の端子
記第1の端子前記第2の端子の間の電圧差測定し、前記測定された電圧差を示す測定信号を生成するための電圧測定回路
1の状態第2の状態の間の電気的接続を制御可能にスイッチングするためのスイッチングユニットあって、前記第1の端子、第1の基準電圧よび第2の基準電圧それぞれ電気的に接続される、スイッチングユニット
記第1の端子ら前記スイッチングユニット通って流れる電流測定し、前記電流を示す補正信号を生成するための補正測定回路
記スイッチングユニット前記スイッチングを制御することによって、前記第1の状態および前記第2の状態における、前記測定信号および前記補正信号を受信するためのコントローラあって、前記コントローラは、前記第1の状態および前記第2の状態の両方で生成される前記測定信号および前記補正信号を考慮することにより、前記測定誤差を示す誤差値、および/または前記測定誤差に対して補正されるセンサ読み出し値を計算するために適合されている、コントローラ、を備える、回路
【請求項2】
前記スイッチングユニット、前記第2の基準電圧生成するための内部電圧源備え、前記第1の基準電圧、電気接地電位である、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記コントローラは、前記第2の基準電圧前記第1の基準電圧の差を、前記スイッチングユニット前記第1の状態得られた前記補正信号、前記スイッチングユニットの前記第2の状態得られた前記補正信号の差で除算することによって、前記回路の電気接地と前記シースセンサの遠隔接地との間のループ抵抗計算するために適合されている、請求項2に記載の回路。
【請求項4】
前記コントローラ、前記測定誤差を示す前記誤差値、および/もしくは前記測定誤差に対して補正される前記センサ読み出し値を計算するために適合されており、前記測定誤差は、前記電圧差と起電力との間の偏差を表し、ならびに/または前記センサ読み出し値は、前記起電力を示し、前記起電力は、前記センサ要素熱電対を備える前記シースセンサ、前記回路接続されている際に、前記熱電対にわたって生成された起電力である、請求項1記載の回路。
【請求項5】
前記コントローラ、前記スイッチングユニット前記第1の状態得られた前記測定信号と、前記スイッチングユニットの前記第2の状態得られた前記測定信号との第1の差、および前記スイッチングユニット前記第1の状態得られた前記補正信号と、前記スイッチングユニットの前記第2の状態得られた前記補正信号との第2の差を計算するために適合されており、前記誤差値および/または前記センサ読み出し値を計算することは、前記スイッチングユニット前記第1の状態得られた前記補正信号を、前記第1の差と前記第2の差との比率で乗算することを含む、請求項4に記載の回路。
【請求項6】
前記コントローラ、前記測定誤差を示す前記誤差値、および/もしくは前記測定誤差に対して補正される前記センサ読み出し値を計算するために適合されており、前記センサ読み出し値は、抵抗温度検出器の抵抗を示し、ならびに/または前記誤差値は、前記センサ要素前記抵抗温度検出器を備える前記シースセンサ、前記回路接続されている際の、漏洩電流および/もしくは寄生抵抗に起因する前記抵抗の誤差を表す、請求項1記載の回路。
【請求項7】
前記測定誤差は、前記シースセンサのシースの絶縁抵抗、前記回路の電気接地と前記シースの遠隔接地との間のループ抵抗、および/または前記シースを通る漏洩電流を表す、請求項6に記載の回路。
【請求項8】
前記回路前記シースセンサ接続されている際に、前記第1の端子たは前記第2の端子介して前記センサ要素更なる電流注入するための電流源備える、請求項6記載の回路。
【請求項9】
前記コントローラ、前記誤差値および/または前記センサ読み出し値を計算するために適合されており、前記計算は、
【数1】
を含む被減数と
【数2】
を含む減数との減算を計算することを含み、VdおよびVdは、それぞれ前記第1の状態よび前記第2の状態おける前記測定信号を表し、IおよびIは、それぞれ前記第1の状態よび前記第2の状態おける前記補正信号を表し、Isensは、前記更なる電流を表す、請求項8に記載の回路。
【請求項10】
前記補正測定回路、所定の抵抗を有する基準抵抗器、前記抵抗器わたる電圧測定するための更なる電圧測定回路、を備え、そのため、前記補正測定回路、前記基準抵抗器わたる前記電圧形態で前記電流を示す前記補正信号を生成するために適合されている、請求項1記載の回路。
【請求項11】
前記スイッチングユニット、前記第1の端子前記第1の基準電圧制御可能に電気的に接続および接続解除するための第1のスイッチ、前記第1の端子前記第2の基準電圧制御可能に電気的に接続および接続解除するための第2のスイッチ、を備える、請求項1記載の回路。
【請求項12】
前記コントローラが、前記第1の状態および前記第2の状態の両方で生成された前記測定信号および前記補正信号を考慮することによって、前記測定誤差を示す誤差値を計算するように適合されている、請求項1に記載の回路。
【請求項13】
前記コントローラが、前記第1の状態および前記第2の状態の両方で生成された前記測定信号および前記補正信号を考慮することによって、前記測定誤差を補正した前記センサ読み出し値を計算するように適合されている、請求項1に記載の回路。
【請求項14】
前記コントローラが、
前記第1の状態および前記第2の状態の両方で生成された前記測定信号および前記補正信号を考慮して、前記測定誤差を示す誤差値を計算し、
前記第1の状態および前記第2の状態の両方において生成された前記測定信号および前記補正信号を考慮して、前記測定誤差を補正したセンサ読み出し値を計算するように適合されている、請求項1に記載の回路。
【請求項15】
シースセンサのシースの特性に起因する前記シースセンサの測定誤差を判定および/または補償するための回路を備えたセンサシステムであって、
前記回路は、
シースセンサにおいてセンサ要素の一対のセンサ信号リード線に接続するための第1の端子および第2の端子と、
前記第1の端子と前記第2の端子との間の電圧差を測定し、前記測定された電圧差を示す測定信号を生成するための電圧測定回路と、
第1の状態と第2の状態との間の電気的接続を制御可能にスイッチングするためのスイッチングユニットであって、前記第1の端子が、第1の基準電圧および第2の基準電圧にそれぞれ電気的に接続される、スイッチングユニットと、
前記第1の端子から前記スイッチングユニットを通って流れる電流を測定し、前記電流を示す補正信号を生成するための補正測定回路と、
前記スイッチングユニットの前記スイッチングを制御することによって、前記第1の状態および前記第2の状態における、前記測定信号および前記補正信号を受信するためのコントローラであって、前記コントローラは、前記第1の状態および前記第2の状態の両方で生成される前記測定信号および前記補正信号を考慮することにより、前記測定誤差を示す誤差値、および/または前記測定誤差に対して補正されるセンサ読み出し値を計算するために適合されている、コントローラと、を備え、
前記センサ要素は、一対のセンサ信号リード線の第1のリード線よび第2のリード線それぞれ接続された相補的な端子を有し、
前記センサ要素、前記シースセンサの外部電磁妨害を低減および/または防止するように、前記センサ要素よび前記一対のセンサ信号リード線電気的に絶縁するためのシースに位置付けられ、
前記一対のセンサ信号リード線、前記シースら延在して、前記回路前記第1および第2の端子接続する、センサシステム。
【請求項16】
前記センサ要素は、熱電対を備える、請求項15に記載のセンサシステム。
【請求項17】
前記センサ要素は、抵抗温度検出器を備える、請求項15に記載のセンサシステム。
【請求項18】
前記センサ要素が、前記センサ要素と前記一対のセンサ信号リード線とを電気的に絶縁するためのシース内に配置され、前記シースは前記シースされたセンサの外部電磁妨害を防止する、請求項15に記載のセンサシステム。
【請求項19】
シースセンサのシースの特性に起因する前記シースセンサの測定誤差を判定および/または補償するための方法あって、
記シースセンサの外部電磁妨害を低減および/または防止するように、センサ要素電気的に絶縁するためのシースに位置付けられた前記センサ要素備えるシースセンサ提供すること
記センサ要素の第1の端子を第1の基準電圧接続すること、前記センサ要素わたる第1の電圧差測定することと、前記センサ要素通って流れる第1の電流測定すること
記センサ要素の前記第1の端子を第2の基準電圧接続すること、前記センサ要素わたる第2の電圧差測定することと、前記センサ要素通って流れる第2の電流測定することと、
記第1の電圧差前記第2の電圧差前記第1の電流および前記第2の電流考慮することにより、前記測定誤差を示す誤差値、および/または前記測定誤差に対して補正されるセンサ読み出し値を計算すること、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護シース内に埋め込まれたセンサの分野に関する。より具体的には、シースセンサのシースの特性に起因するシースセンサの測定誤差を判定および/または補償するための回路ならびに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱電対および抵抗温度検出器(RTD)要素などの当該技術分野において既知の様々なセンサは、それらの外部環境に敏感である。保護のために、このようなセンサは、例えば、シース内にセンサを埋め込み、電気絶縁材料でセンサとシースとの間の空間を埋めることによる、電気的絶縁を必要とする。センサとそのシースとの間の抵抗は一般に、絶縁抵抗(RISO)と称される。しかしながら、このような絶縁抵抗は、例えば、加熱および振動などの種々の要因に起因して、経時的に変化する場合がある。
【0003】
用途において、センサシースは、例えば、差ΔVGNDだけ、接地基準電圧GNDとは異なる電位であり得る。したがって、絶縁抵抗が低すぎる場合、絶縁抵抗を通じて漏洩が発生し得る。この漏洩は、センサ測定に影響する場合があり、例えば、測定誤差をもたらす場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第5,700,090号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、温度計の試験および/または較正の手法について開示している。しかしながら、開示された手法の欠点は、センサの保護シースへの別々の接続が必要であることである。更に、特許文献1による手法は、センサ端子と保護シースとの間の抵抗を考慮して使用され得るが、保護シースと有効な接地GNDとの間の抵抗、例えば、差ΔVGNDは補償しない。
【0006】
本発明の実施形態の目的は、シースセンサの絶縁抵抗(RISO)を通じた漏洩に起因する、および/または寄生リード線-接地電圧に起因する、例えば、遠隔接地に関連する影響に起因する測定誤差を判定および/または補償(例えば、補正)するための良好および効率的な手段および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は、本発明による方法およびデバイスによって達成される。
【0008】
シースセンサの材料特性の変化が原因の様々なタイプの誤差を、絶縁抵抗(RISO)を直接測定することなく計算および/または補償できることが、本発明の実施形態の利点である。
【0009】
絶縁抵抗を判定および/または補償することができるだけでなく、シースと回路の実際の電気接地電位との間の抵抗などの他の誤差原因も判定および/または補償することができることが、本発明の実施形態の利点である。
【0010】
第1の態様では、本発明は、シースセンサのシースの特性に起因するシースセンサの測定誤差を判定および/または補償するための回路に関する。回路は、シースセンサにおいてセンサ要素の一対のセンサ信号リード線に接続するための第1の端子および第2の端子を備える。回路は、第1の端子と第2の端子との間の電圧差を測定し、測定された電圧差を示す測定信号を生成するための電圧測定回路を備える。回路は、第1の状態と第2の状態との間の電気的接続を制御可能にスイッチングするためのスイッチングユニットであって、第1の端子が、第1の基準電圧および第2の基準電圧にそれぞれ電気的に接続される、スイッチングユニットを備える。回路は、第1の端子からスイッチングユニットを通って流れる電流を測定し、この電流を示す補正信号を生成するための補正測定回路を備える。回路は、スイッチングユニットのスイッチングを制御することによって、第1の状態および第2の状態の両方における、測定信号および補正信号の両方を受信するためのコントローラを備える。コントローラは、第1の状態および第2の状態の両方において生成される測定信号および補正信号を考慮することにより、測定誤差を示す誤差値、および/または測定誤差に対して補正されるセンサ読み出し値を計算するために適合されている。
【0011】
本発明の実施形態による回路では、スイッチングユニットは、第2の基準電圧を生成するための内部電圧源を備えてもよく、第1の基準電圧は、電気接地電位であり得る。
【0012】
本発明の実施形態による回路では、スイッチングユニットは、第1の基準電圧を生成するための第1の内部電圧源と、第2の基準電圧を生成するための第2の内部電圧源と、を備えてもよい。
【0013】
本発明の実施形態による回路では、コントローラは、第2の基準電圧と第1の基準電圧との差を、スイッチングユニットの第1の状態で得られた補正信号と、スイッチングユニットの第2の状態で得られた補正信号との差で除算することによって、回路の電気接地とシースセンサの遠隔接地との間のループ抵抗を計算するために適合されてもよい。例えば、第2の基準電圧と第1の基準電圧との差は、第1の基準電圧が電気接地電位である実施形態において、第2の基準電圧であり得る。
【0014】
本発明の実施形態による回路では、コントローラは、測定誤差を示す誤差値、および/または測定誤差に対して補正されるセンサ読み出し値を計算するために適合されてもよい。測定誤差は、電圧差と起電力との間の偏差を表すことができ、および/またはセンサ読み出し値は、起電力を示すことができる。起電力は、センサ要素が熱電対を備えるシースセンサに、回路が接続されている際に熱電対にわたって生成された起電力であり得る。
【0015】
本発明の実施形態による回路では、コントローラは、スイッチングユニットの第1の状態で得られた測定信号と、スイッチングユニットの第2の状態で得られた測定信号との第1の差、およびスイッチングユニットの第1の状態で得られた補正信号と、スイッチングユニットの第2の状態で得られた補正信号との第2の差を計算するために適合されてもよい。誤差値および/またはセンサ読み出し値の計算には、スイッチングユニットの第1の状態で得られた補正信号を、第1の差と第2の差との比率で乗算することを含んでもよい。
【0016】
本発明の実施形態による回路では、コントローラは、測定誤差を示す誤差値、および/もしくは測定誤差に対して補正されるセンサ読み出し値を計算するために適合されてもよく、センサ読み出し値は、抵抗温度検出器の抵抗を示し、ならびに/または誤差値は、例えば、センサ要素が抵抗温度検出器を備えるシースセンサに、回路が操作可能に接続されている際の、漏洩電流および/もしくは寄生抵抗に起因する抵抗の誤差を表す。
【0017】
本発明の実施形態による回路では、測定誤差は、シースセンサのシースの絶縁抵抗、回路の電気接地とシースの遠隔接地との間のループ抵抗、および/またはシースを通る漏洩電流を表すことができる。
【0018】
本発明の実施形態による回路は、回路がシースセンサに接続されている際に、第1の端子または第2の端子を介してセンサ要素へ更なる電流を注入するための電流源を備えてもよい。
【0019】
本発明の実施形態による回路では、コントローラは、誤差値および/またはセンサ読み出し値を計算するために適合されてもよく、この計算は、
【数1】
を含む被減数と
【数2】
を含む減数との減算を計算することを含み、VdおよびVdは、それぞれ第1の状態および第2の状態における測定信号を表し、IおよびIは、それぞれ第1の状態および第2の状態における補正信号を表し、Isensは、更なる電流を表す。
【0020】
本発明の実施形態による回路では、補正測定回路は、所定の抵抗、および抵抗器にわたる電圧を測定するための更なる電圧測定回路を有する基準抵抗器を備えてもよく、そのため、補正測定回路が、基準抵抗器にわたる電圧の形態で電流を示す補正信号を生成するために適合されている。
【0021】
本発明の実施形態による回路では、スイッチングユニットは、第1の端子を第1の基準電圧に制御可能に電気的に接続および接続解除するための第1のスイッチと、第1の端子を第2の基準電圧に制御可能に電気的に接続および接続解除するための第2のスイッチと、を備えてもよい。
【0022】
第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の実施形態による回路と、一対のセンサ信号リード線の第1のリード線および第2のリード線にそれぞれ接続された相補的な端子を有するセンサ要素を備えるシースセンサと、を備えるセンサシステムに関し、センサ要素は、シースセンサの外部電磁妨害を低減および/または防止するように、センサ要素および一対のセンサ信号リード線を電気的に絶縁するためのシース中に位置付けられる。一対のセンサ信号リード線は、シースから延在して、回路の第1および第2の端子に接続する。
【0023】
本発明の実施形態によるセンサシステムでは、センサ要素は、熱電対を備えてもよい。
【0024】
本発明の実施形態によるセンサシステムでは、センサ要素は、抵抗温度検出器を備えてもよい。
【0025】
第3の態様では、本発明は、シースセンサのシースの特性に起因するシースセンサの測定誤差を判定および/または補償するための方法に関する。本方法は、シースセンサの外部電磁妨害を低減および/または防止するように、センサ要素を電気的に絶縁するためのシース中に位置付けられたセンサ要素を含むシースセンサを提供することを含む。本方法は、センサ要素の第1の端子を第1の基準電圧に接続することと、センサ要素にわたる第1の電圧差を測定することと、センサ要素を通って流れる第1の電流を測定することと、を含む。本方法は、センサ要素の第1の端子を第2の基準電圧に接続することと、センサ要素にわたる第2の電圧差を測定することと、センサ要素を通って流れる第2の電流を測定することと、を含む。本方法は、第1の電圧差、第2の電圧差、第1の電流、および第2の電流を考慮することにより、測定誤差を示す誤差値、および/または測定誤差に対して補正されるセンサ読み出し値を計算することを含む。
【0026】
本発明の特定のおよび好ましい態様は、添付の独立請求項および従属請求項に記載されている。従属請求項からの特徴は、独立請求項の特徴と、適切でかつ単に特許請求の範囲に明示的に記載されているだけではない、他の従属請求項の特徴と、組み合わせることができる。
【0027】
本発明のこれらの態様および他の態様は、以下に記載された1つまたは複数の実施形態を参照して、明らかになりはっきりするだろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態による回路を図示する。
図2】本発明の実施形態による回路の概略図を示す。
図3】本発明の実施形態による例示的方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面は、概略的であるにすぎず、限定するものではない。図面では、要素のうちのいくつかのサイズは、例証の目的のために誇張されており、縮尺通りに描かれていない場合がある。
【0030】
特許請求の範囲のいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
【0031】
異なる図面において、同一の参照符号は、同一または類似の要素を指す。
【0032】
本発明は、特定の実施形態に関して、特定の図面を参照して説明されるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。記載された図面は、概略的であるにすぎず、限定するものではない。図面では、要素のうちのいくつかのサイズは、例証の目的のために誇張されており、縮尺通りに描かれていない場合がある。寸法および相対寸法は、本発明を実施するための実際の縮尺に対応していない。
【0033】
更に、本明細書および特許請求の範囲における第1の(first)、第2の(second)などの用語は、同様の要素間を区別するために使用され、必ずしも、時間的に、空間的に、順位付けで、または任意の他の方法のいずれかで、順序を記載するために使用されるものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載された本発明の実施形態は、本明細書に記載または図示されたもの以外の順序で動作可能であることを理解すべきである。
【0034】
更に、本明細書および特許請求の範囲における上(top)、下(under)などの用語は、説明目的で使用され、必ずしも相対的な位置を説明するために使用されるものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載された本発明の実施形態は、本明細書に記載または図示されたもの以外の配置で動作可能であることを理解すべきである。
【0035】
特許請求の範囲で使用される「含む、備える(comprising)」という用語は、後で一覧にされる手段に限定されるものとして解釈されるべきではなく、他の要素またはステップを排除するものではないことに留意すべきである。したがって、記載された特徴、整数、ステップ、または構成要素の存在を特定するものとして解釈され、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、もしくは構成要素、またはこれらの組み合わせの存在または追加を排除することを指すものではない。したがって、「手段AとBとを備えるデバイス」という表現の範囲は、構成要素AおよびBのみからなるデバイスに限定されるべきではない。これは、本発明に関して、デバイスの唯一の関連する構成要素が、AおよびBであることを意味する。
【0036】
本明細書を通じた「一実施形態」または「ある実施形態」への言及は、実施形態との関連で記述された特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の様々な箇所における、語句「一実施形態では(in one embodiment)」または「一実施形態では(in an embodiment)」の出現は、必ずしもすべてが同一の実施形態を指しているわけではないが、指している場合もある。更に、特定の特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態で、本開示から当業者には明らかであるように、任意の好適な方法で組み合わされてもよい。
【0037】
同様に、本発明の例示的実施形態の説明において、本開示を簡素化し、様々な発明態様のうちの1つ以上の理解を助ける目的で、本発明の様々な特徴は時々、単一の実施形態、図、またはその説明でグループ化されると理解されるべきである。しかしながら、本開示の方法は、特許請求された発明が、各特許請求項に明示される特徴よりも多くの特徴を必要とするという考えを反映すると解釈されるものではない。むしろ、以下の特許請求の範囲に反映されるように、発明の態様は、単一の前述の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ない。したがって、発明を実施するための形態に続く特許請求の範囲は、この発明を実施するための形態に明示的に組み込まれ、各特許請求項は、本発明の別々の実施形態としてそれ自体で独立している。
【0038】
更に、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれる他の特徴以外の特徴をいくつか含むが、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内であることを意味し、当業者によって理解されるように、異なる実施形態を形成する。例えば、以下の特許請求の範囲では、特許請求された実施形態のいずれかは、任意の組み合わせで使用することができる。
【0039】
本明細書で提供される説明では、多数の具体的な詳細が記述されている。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細を伴わずに実施され得ることが理解される。他の場合では、周知の方法、構造、および技術は、本説明の理解を曖昧にしないために詳細に示されていない。
【0040】
第1の態様では、本発明は、シースセンサのシースの特性に起因するシースセンサの測定誤差を判定および/または補償するための回路に関する。回路は、シースセンサにおいてセンサ要素の一対のセンサ信号リード線に接続するための第1の端子および第2の端子を備える。回路はまた、第1の端子と第2の端子との間の電圧差を測定し、測定された電圧差を示す測定信号を生成するための電圧測定回路を備える。回路は、第1の端子が第1の基準電圧に電気的に接続されている第1の状態と、第1の端子が第2の基準電圧に電気的に接続されている第2の状態との間の電気的接続を制御可能にスイッチングするためのスイッチングユニットを備え、例えば、第1の基準電圧および第2の基準電圧が異なる電圧である。回路は、第1の端子からスイッチングユニットを通って流れる電流を測定し、この電流を示す補正信号を生成するための補正測定回路を備える。回路は、スイッチングユニットのスイッチングを制御することによって、第1の状態および第2の状態のそれぞれにおける、測定信号および補正信号の両方を受信するためのコントローラ(例えば、処理ユニット)を備える。コントローラはまた、第1の状態および第2の状態の両方において生成される測定信号および補正信号を考慮することにより、測定誤差に対して補正されるシースセンサのセンサ読み出し値、および/または測定誤差を示す誤差値を計算するために適合されている。
【0041】
第1の基準電圧、第2の基準電圧、本明細書で更に後述される抵抗器R11、および/または本明細書で更に後述される電流Isensなどの電気特性値は、較正中、または回路が使用中の際に、例えば、コントローラによって考慮されるように測定され得ることが、当業者には既知である。
【0042】
図1を参照すると、本発明の実施形態によるシースセンサ10の測定誤差を判定および/または補償するための回路1が示されている。
【0043】
回路は、シースセンサ10においてセンサ要素11の一対のセンサ信号リード線12、13に接続するための第1の端子2および第2の端子3を備える。例えば、シースセンサ10は、一対のセンサリード線の第1のリード線12および第2のリード線13にそれぞれ接続された相補的な端子を有するセンサ要素11を備えてもよい。センサ要素11は、例えば、センサ要素11および一対のセンサリード線12、13の外部電磁妨害を低減または防止するように、センサ要素11を電気的に絶縁するための、例えば、センサ要素11および一対のセンサ信号リード線12、13を電気的に絶縁するためのシース15中に位置付けられてもよい。一対のセンサ信号リード線12、13は、シースから延在して、第1および第2の端子2、3に接続してもよい。一対の信号リード線12、13は、端子2、3に直接接続可能であってもよく、または一対の信号リード線は、図2に図示されるように、中間キャリア19(例えば、プリント回路基板(PCB)19)に接続されてもよく、この中間キャリア19は、一対の信号リード線12、13の各々を回路1の対応する端子2、3に電気的に接続する。
【0044】
回路1は、第1の端子2と第2の端子3との間の電圧差を測定し、測定された電圧差を示す測定信号Vdを生成するための電圧測定回路4を備える。
【0045】
回路は、第1の端子2が第1の基準電圧V1に電気的に接続されている第1の状態S1と、第1の端子2が第2の基準電圧V2に電気的に接続されている第2の状態S2との間の電気的接続を制御可能にスイッチングするためのスイッチングユニット5を備え、例えば、第1の基準電圧V1および第2の基準電圧V2が異なる電圧である。
【0046】
例えば、回路は、デバイスの動作において、所定および/または既知の基準電圧として、第1の基準電圧V1および第2の基準電圧V2を生成または受信するために適合されてもよい。基準電圧V1、V2は、十分に安定な、例えば、実質的に安定な電圧として生成され得る。例えば、回路1の較正中に、第1の基準電圧V1および/または第2の基準電圧V2の値は、例えば、センサ読み出し値または誤差値を計算する際に考慮するために、測定され、コントローラによる使用のためにアクセス可能なデータ記憶メモリ(例えば、不揮発性メモリ)に、例えば定数として記憶されてもよい。例えば、回路1の較正中に、電気接地に対する第1の基準電圧V1の値、電気接地に対する第2の基準電圧V2の値、および/または第1の基準電圧V1に対する第2の基準電圧V2の値が、測定および記憶されてもよい。
【0047】
回路は、第1の端子2からスイッチングユニット5を通って流れる電流Iを測定し、この電流を示す補正信号を生成するための補正測定回路6を備える。
【0048】
回路は、スイッチングユニット5のスイッチングを制御することによって、第1の状態S1での測定信号Vdおよび補正信号Iを受信し、かつ第2の状態S2での測定信号Vdおよび補正信号Iを受信するためのコントローラ7、例えば、処理ユニットを備える。例えば、コントローラ7は、第1および第2の状態S1、S2間をスイッチするために、スイッチングユニット5を制御するための少なくとも1つの制御信号Sを生成することができる。
【0049】
コントローラ7はまた、第1の状態S1および第2の状態S2の両方において生成される測定信号Vd、Vd、ならびに第1の状態S1および第2の状態S2の両方において生成される補正信号I、Iを考慮することにより、測定誤差に対して補正されるセンサ読み出し値、および/または測定信号の測定誤差を示す誤差値を計算するために適合されている。
【0050】
コントローラ7は、測定誤差および/または誤差値に対して補正されたセンサ読み出し値を、記憶および/または出力するために更に適合されてもよい。
【0051】
図2は、本発明の実施形態による回路の概略電気図を示す。回路は、シースの絶縁抵抗Risoに起因する、例えば、漏洩電流Iriso、および/またはシースと電気接地との間の電位差ΔVGNDに起因する、シースセンサ10の測定誤差を判定および/または補償するために適合されてもよい。
【0052】
本発明の実施形態では、シースセンサ10におけるセンサ要素11は、温度計要素を備えてもよい。同様に、回路1は、温度計読み出し回路または温度計読み出し補正回路であってもよい。
【0053】
温度計要素は、熱電対を備えてもよい。例えば、熱電対を備えるセンサ要素11の電気特性は、熱電対抵抗RtcA、RtcBによって表すことができ、すなわち、総熱電対抵抗Rtc=RtcA+RtcBは、サーモワイヤ材料抵抗を表すことができる。更に、熱電対の起電力(emf)、すなわち温度勾配に起因するゼーベック効果によって起こる電圧は、Vtc=VtcA+VtcBによって表すことができる。
【0054】
温度計要素は、抵抗温度検出器(RTD)を備えてもよい。例えば、RTDを備えるセンサ要素11の電気特性は、総RTD抵抗Rtc=RtcA+RtcBによって表すことができる。このような温度計要素では、emf電圧VtcAおよびVtcBは、実質的にゼロ(VtcA=VtcB=0)であってもよく、したがって、図2の概略図では無視してもよい。
【0055】
回路1は、シースセンサ10においてセンサ要素11の一対のセンサ信号リード線12、13にそれぞれ接続するための少なくとも1つの第1の端子2および少なくとも1つの第2の端子3を備える。
【0056】
回路1は、第1の端子2と第2の端子3との間の電圧差を測定し、測定された電圧差を示す測定信号Vdを生成するための電圧測定回路4を備える。例えば、電圧測定回路4は、電圧差を示す信号(例えば、デジタル信号)を生成するための、当該技術分野において既知の回路を備えてもよい。したがって、電圧測定回路4は、電圧測定によって、熱電対および/またはRTDなどのセンサ(例えば、温度センサ)を読み出すための、当該技術分野において既知の構成要素および/または回路を備えてもよい。
【0057】
回路1はまた、例えば、RTDを読み出すために、第1の端子2または第2の端子3を介してセンサ要素11へ電流を注入するための電流源8を備えてもよい。例えば、RTDは、既知の電流Isensを電流源8を介して印加することと、RTDセンサにわたる電圧差を測定することと、この電流およびこの電圧差に基づいてRTDの事前に未知の抵抗を判定することと、例えば、本発明による実施形態によって提供される補正を更に考慮することと、により読み出すことができる。例えば、電流源8は、デバイスの動作において、所定および/または既知の更なる電流Isensを第2の端子3を介して注入するために適合されてもよく、そのため、例えば、電流が、センサ要素11(例えばRTD)を通って第1の端子2に戻って流れる。代替的に、更なる電流は、第1の端子2を介して注入されてもよく、そのため、電流がセンサ要素にわたって流れ第2の端子3に戻る。電流源8は、所定の更なる電流Isensとして、十分に安定な、例えば、実質的に安定な電流を生成することができる。例えば、例えば、センサ読み出し値または誤差値を計算する際に考慮するために、回路1の較正中に、更なる電流Isensの値を測定し、コントローラによって使用時にアクセス可能なデータ記憶メモリ(例えば不揮発性メモリ)に、例えば定数として記憶されてもよい。
【0058】
スイッチングユニット5は、第1の端子2を第1の基準電圧V1に制御可能に電気的に接続および接続解除するための、例えば、第1のスイッチSW1を備えてもよい。例えば、第1の基準電圧V1は、図2にて示すように、電気接地電位であってもよいが、本発明の実施形態は、これらに限定されるものではなく、例えば、回路1は、第1の基準電圧V1を生成するための内部電圧源、例えば、実質的に本明細書で後述される通り、第2の基準電圧V2を生成するための内部電圧源を備えてもよい。
【0059】
スイッチングユニット5は、第1の端子2を第2の基準電圧V2に制御可能に電気的に接続および接続解除するための、例えば、第2のスイッチSW2を備えてもよい。例えば、回路1は、第2の基準電圧V2、例えば、第1の基準電圧V1(例えば接地)とは実質的に異なる実質的に所定の電圧V2を生成するための内部電圧源9を備えてもよい。
【0060】
補正測定回路6は、所定の抵抗を有する抵抗器R11と、抵抗器R11にわたる電圧Vr11を測定するための更なる電圧測定回路16と、を備えてもよい。
【0061】
例えば、抵抗器R11は、第1の端子2とスイッチングユニット5との間に直列に接続され得る。したがって、補正測定回路6は、第1の端子2からスイッチングユニット5を通って流れる電流を測定し、かつその電流が流れる抵抗器R11にわたる電圧の形態で、その電流を示す補正信号を生成するために適合されてもよい。例えば、回路の較正中に、内部抵抗R11の抵抗は、考慮されるように、測定され、コントローラのデータ記憶メモリ(例えば、不揮発性メモリ)に、例えば定数として記憶されてもよい。
【0062】
コントローラ7は、処理ユニット(例えば、プロセッサ)および/またはデータ記憶メモリを備えてもよい。コントローラは、第1の状態S1での測定信号Vdおよび補正信号I(例えば、Vr11)を受信し、かつ第2の状態S2での測定信号Vdおよび補正信号I(例えば、Vr11)を受信するために適合されてもよい。これは、スイッチングユニット5のスイッチング、例えば、SW1がON(すなわち、第1の端子を第1の基準電圧V1に接続)であり、かつSW2がOFF(すなわち、第1の端子を第2の基準電圧V2から切断)である第1の状態S1と、SW1がOFFであり、かつSW2がONである第2の状態S2との間のスイッチSW1およびSW2のスイッチングを制御することによって達成することができる。
【0063】
コントローラ7はまた、測定誤差に対して補正される読み出し値、および/または測定誤差を示す誤差値を計算するために適合されている。
【0064】
この計算は、スイッチングユニット5の第1の状態S1で得られた測定信号と、スイッチングユニットの第2の状態S2で得られた測定信号との第1の差、およびスイッチングユニット5の第1の状態S1で得られた補正信号と、スイッチングユニットの第2の状態S2で得られた補正信号との第2の差を計算することを含んでもよい。
【0065】
誤差値および/またはセンサ読み出し値の計算には、スイッチングユニット5の第1の状態S1で得られた補正信号を、第1の差と第2の差との比率で乗算することを含んでもよい。
【0066】
例えば、熱電対センサ要素では、センサ読み出し値は、例えば、第1の基準電圧は接地電圧である測定信号Vdと誤差値Vtc_errとの差に対応し得る。
【0067】
状態S1では、次の式を適用し得る。
【0068】
【数3】
【0069】
式中、Irisoは、状態S1における漏洩電流Irisoを指し、Vdは、状態S1における測定信号Vdを指し、Vr11は、状態S1における補正信号を指す。
【0070】
同様に、状態S2では、次の式を適用する。
【0071】
【数4】
【0072】
式中、Irisoは、状態S2における漏洩電流Irisoを指し、Vdは、状態S2における測定信号Vdを指し、Vr11は、状態S2における補正信号を指す。
【0073】
したがって、誤差値Vtc_errは、次のように計算することができる。
【0074】
【数5】
【0075】
センサ読み出し値Vtcは、次のように計算することができる。
【0076】
【数6】
【0077】
別の実施例では、RTDセンサ要素では、センサ読み出し値は、例えば、漏洩電流Irisoを補償した、RTDセンサ要素の抵抗Rrtd=RtcA+RtcBに対応し得る。
【0078】
状態S1では、次の式を適用し得る。
【0079】
【数7】
【0080】
【数8】
【0081】
【数9】
【0082】
【数10】
【0083】
式中、Irisoは、状態S1における漏洩電流Irisoを指し、Vdは、状態S1における測定信号Vdを指し、Vr11は、状態S1における補正信号を指す。
【0084】
同様に、状態S2では、次の式を適用する。
【0085】
【数11】
【0086】
【数12】
【0087】
式中、Irisoは、状態S2における漏洩電流Irisoを指し、Vdは、状態S2における測定信号Vdを指し、Vr11は、状態S2における補正信号を指す。
【0088】
したがって、誤差値Rrtd_errは、次のように計算することができ、
【数13】
センサ読み出し値Rrtdは、次のように計算することができ、
【数14】
または、同等に、次のように計算することができる。
【0089】
【数15】
【0090】
したがって、コントローラ7は、誤差値および/またはセンサ読み出し値を計算するために適合されてもよく、この計算は、
【数16】
を含む被減数(または減数)と
【数17】
を含む減数(またはそれぞれ被減数)との減算を計算することを含む。
【0091】
更に、コントローラは、例えば、回路の電気接地に対して、センサ要素にわたる電圧ΔVGNDでの、シースセンサの絶縁抵抗、例えば、回路の電気接地とシースセンサの遠隔接地との間のループ抵抗Rloopを計算するために適合されてもよい。
【0092】
このループ抵抗Rloopは、次のように表すことができる。
【0093】
【数18】
【0094】
状態S1では、次の式で定式化することができる。
【0095】
【数19】
【0096】
【数20】
【0097】
式中、Irisoは、状態S1における漏洩電流Irisoを指し、Vr11は、状態S1における補正信号を指す。
【0098】
状態S2では、次の式で定式化することができる。
【0099】
【数21】
【0100】
【数22】
【0101】
式中、Irisoは、状態S2における漏洩電流Irisoを指し、Vr11は、状態S2における補正信号を指す。
【0102】
したがって、ループ抵抗は、次のように判定することができる。
【0103】
【数23】
【0104】
したがって、コントローラ7は、内部電圧源9にわたる電圧V2を示す更なる信号を、スイッチングユニット5の第1の状態S1で得られた補正信号Iと、スイッチングユニットの第2の状態S2で得られた補正信号Iとの差で除算することによって、回路の電気接地とシースセンサの遠隔接地との間のループ抵抗Rloopを計算するために適合されてもよい。
【0105】
第2の態様では、本発明はまた、本発明の第1の態様の実施形態による回路1と、一対のセンサ信号リード線の第1のリード線12および第2のリード線13にそれぞれ接続された相補的な端子を有するセンサ要素11を含むシースセンサ10と、を備えるセンサシステムに関し、センサ要素11は、シースセンサの外部電磁妨害を低減および/または防止するように、センサ要素11および一対のセンサ信号リード線12、13を電気的に絶縁するためのシース15中に位置付けられる。一対のセンサ信号リード線12、13は、シース15から延在して、回路1の第1および第2の端子2、3に、例えば、接続されるように接続する。センサ要素は、熱電対および/または抵抗温度検出器などの温度計、例えば温度センサを備えてもよい。
【0106】
第3の態様では、本発明は、シースセンサのシースの特性に起因するシースセンサの測定誤差を判定および/または補償するための方法に関する。
【0107】
図3を参照すると、本発明の実施形態による例示的方法200が示されている。方法200は、シースセンサの外部電磁妨害を低減および/または防止するように、センサ要素11を電気的に絶縁するためのシース15中に位置付けられたセンサ要素11を含むシースセンサ10を提供すること201を含む。方法200は、本発明の第1の態様の実施形態による回路を動作させることを含んでもよい。
【0108】
本方法は、センサ要素の第1の端子を第1の基準電圧V1(例えば、接地)に接続すること202と、センサ要素11にわたる第1の電圧差Vdを測定することと、センサ要素11を通って流れる第1の電流Iを測定することと、を含む。
【0109】
本方法は、センサ要素の第1の端子を第2の基準電圧V2に接続すること203と、センサ要素11にわたる第2の電圧差Vdを測定することと、センサ要素11を通って流れる第2の電流Iを測定することと、を含む。
【0110】
本方法は、第1の端子と、第1の基準電圧および第2の基準電圧のそれぞれとの間の電気的接続を、例えば、スイッチングユニットを使用してスイッチングすることを含んでもよい。
【0111】
本方法は、例えば、接続および測定するステップ202、203が実施されている間に、更なる電流Isensをセンサ要素11に注入することを含んでもよい。
【0112】
本方法は、第1の電圧差Vd、第2の電圧差Vd、第1の電流I、および第2の電流Iを考慮することにより、測定誤差を示す誤差値、ならびに/または測定誤差に対して補正されるセンサ読み出し値を計算すること204を含む。
【0113】
誤差値を計算すること204は、第2の基準電圧V2と第1の基準電圧V1との差を、電流IとIとの差で除算することによって、回路の電気接地とシースセンサの遠隔接地とのループ抵抗Rloopを計算することを含んでもよい。
【0114】
誤差値および/またはセンサ読み出し値を計算すること204は、電圧VdとVdとの第1の差および電流IとIとの第2の差を計算することを含んでもよい。誤差値および/またはセンサ読み出し値を計算すること204は、電流Iを、第1の差と第2の差との比率で乗算することを含んでもよい。
【0115】
誤差値および/またはセンサ読み出し値を計算すること204は、
【数24】
を含む被減数と
【数25】
を含む減数との減算を計算することを含んでもよい。
【0116】
本方法は、所定の抵抗を有する基準抵抗器R11にわたる電圧Vr11およびVr11を測定し、電流IおよびIを測定することを含んでもよい。
図1
図2
図3