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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】バブルサイズのモニタ及び制御
(51)【国際特許分類】
   B01F 35/75 20220101AFI20220307BHJP
   B01F 25/40 20220101ALI20220307BHJP
   B01D 17/038 20060101ALI20220307BHJP
   B01D 17/035 20060101ALI20220307BHJP
   B01D 17/12 20060101ALI20220307BHJP
   B01F 23/20 20220101ALI20220307BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20220307BHJP
   C02F 1/24 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
B01F15/02 C
B01F5/06
B01D17/038
B01D17/035 Z
B01D17/12 Z
B01F3/04 Z
G01B11/02 H
C02F1/24
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018510917
(86)(22)【出願日】2016-08-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-11-15
(86)【国際出願番号】 US2016048825
(87)【国際公開番号】W WO2017035422
(87)【国際公開日】2017-03-02
【審査請求日】2019-08-14
(31)【優先権主張番号】62/210,775
(32)【優先日】2015-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502210208
【氏名又は名称】シュルンベルジェ テクノロジー ビー ブイ
【氏名又は名称原語表記】Schlumberger Technology B.V.
【住所又は居所原語表記】Parkstraat 83-89,2514 JG The Hague,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】アスダール シュタイナー
(72)【発明者】
【氏名】マエルム ミヒェル イーヴェル ツヴェイタン
(72)【発明者】
【氏名】ラーベ カルステン
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0168640(US,A1)
【文献】特開2006-334556(JP,A)
【文献】米国特許第06408679(US,B1)
【文献】英国特許出願公開第02336905(GB,A)
【文献】特開2007-021392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 21/00-35/95
B01D 17/038
B01D 17/035
B01D 17/12
C02F 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水相と油相とを有する多相流体を流す第1管路と、
浮選ガス源と、
前記第1管路の下流端と流体連通する第1入口と、前記浮選ガス源と流体連通する第2入口と、出口とを有する混合システムとを備え、前記混合システムは、前記浮選ガスのバブルを内部に有する改良された多相流体を前記出口で造り出すために、前記第1管路の下流端から流れる前記多相流体に前記ガス源からの浮選ガスを混合するように構成され、更に、
前記混合システムの前記出口と流体連通する上流端を有する第2管路と、
前記第2管路に関連するバブル制御システムであって、
前記混合システムを横断する流体速度又は流量の増大を判断するために、前記第1管路の多相流体及び前記第2管路の前記改良された多相流体の流体速度または流量を判断し、
前記速度又は流量の増大を、前記改良された多相流体内のバブルのバブルサイズ分布を所要の範囲内に維持するような、所要の範囲内に維持するために、前記流量又は速度降下の関数として前記混合システムを制御するように構成される前記バブル制御システムを備える、システム。
【請求項2】
前記混合システムは、静的ミキサを備え、前記多相流体の前記速度又は流量の増大を所要の範囲内に維持することは、前記改良された多相流体が前記静的ミキサを通過するときの前記改良された多相流体の速度又は流量を調整するため、前記静的ミキサに関連した出口弁を調整することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
調節可能な前記出口弁は、可変領域オリフィス板弁、バタフライ弁、可変ケージ弁、虹彩絞りタイプ可変弁、または、内部に変更可能規制板を有する弁、の一つである、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記混合システムは、前記浮選ガス源用浮選ガス源コントロールを有し、前記バブル制御システムは、前記浮選ガス源の流速を変更するために、前記浮選ガス源コントロールと連通することにより、前記混合システムを制御する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記バブル制御システムは、
前記速度または流量の増大を判断するために前記第1管路及び前記第2管路の流体速度または流体流量計の測定値を受け取り、前記所要の範囲内に前記増大を維持するために前記静的ミキサ及び/または調節可能な出口弁を制御する、コントローラとを備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
更に、前記第2管路の下流端に流体連通する入口と、前記改良された多相流体の油相の少なくとも一部がこれを通して流れることを可能とし得る油出口とを有するセパレータを備え、前記バブルサイズ分布の前記所要の範囲は、前記油出口を通して前記油相の大部分が流れることができるために十分である、請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
浮選ガスのバブルを内部に有する改良された多相流体を造り出すために、少なくとも1つの作動状態にしたがって水相と油相とを有する前記多相流体に前記浮選ガスを混合し、
前記多相流体と前記浮選ガスとを混合する混合システムを横断する前記多相流体の流体速度又は流量の増大をモニタし、
前記改良された多相流体中のバブルサイズ分布を所要の範囲内に維持するように、前記多相流体の前記速度又は流量の増大を所要の範囲内に維持する、ことを含む方法。
【請求項8】
前記混合することは、静的ミキサを使用して実行され、前記多相流体の前記速度又は流量の増大を前記所要の範囲内に維持することは、前記改良された多相流体が前記静的ミキサを通過するときの前記改良された多相流体の速度又は流量を調整するため、前記静的ミキサに関連した出口弁を調整することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記混合することは、静的ミキサを使用して実行され、前記多相流体の前記速度又は流量の増大を前記所要の範囲内に維持することは、前記多相流体の前記速度又は流量を調整するため、前記混合の間前記浮選ガスの流量を調整することを含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、「BUBBLE SIZE MONITORING AND CONTROL」と題する2016年8月27日出願の米国仮出願第62/210,775号の優先権の利益を主張するものであり、その内容は、参照することによりその全体が本明細書に包含される。
【背景技術】
【0002】
分野
本開示は、水と、水に混和性を有せずかつ水よりも低密度の流体と、これらの成分内のガスとの混合物の分離に関する。特に、この開示は、一体化した脱気及び浮選タンクに関し、これは特に、油とガスとを含有する水相が分離される分離工程に適している。
【0003】
関連技術の説明
炭化水素は、主なエネルギ源として広く用いられており、世界経済に大きな影響を有する。その結果、炭化水素資源の発見及び効率的な生産はますます注目されている。比較的アクセス可能な炭化水素鉱床が激減しているため、炭化水素探査及び生産は、到達するのがより困難なことがあり、及び/または、新たな技術的挑戦を招くことのある新たな領域に拡大している。典型的な作業中、陸地または海の下であるかに関わらず、炭化水素を含む貯留槽に達するまで、ボアホールが地中に掘削される。このような炭化水素は、油、ガスまたはこれらの混合物の形態であり、これらは、ボアホールを通して地表まで運ばれ得る。
【0004】
坑井から産出された流体は、分離槽内でガスと液体とに分離されることがある。坑口または後続のセパレータでの分離による水相は、ガス、油、化学物質及び他の不純物の部分的除去を含む洗浄の後、海に排出されることがある。この洗浄は、油/ガスセパレータ、浮選タンク、液体サイクロン及び脱気タンク等の設備を使用して遂行される。
【0005】
坑井から産出された油を同伴する水の量は変動し、この結果、産出された水から油を分離する能力が低下し、より多くの油をセパレータの清浄水出口から排出し、セパレータの効率を低下させることがある。特に、坑井から油を生産する際に産出された水の流入が変動する場合、相の分離効率を制御する、より良好な能力を有する改善された油-ガスセパレータに対する要求が存在する。
【発明の概要】
【0006】
概要
いくつかの実施形態は、油-水セパレータの効率をモニタ及び制御するシステムを有する。
【0007】
ここに開示するシステムは、多相流体を流す第1管路と、浮選ガス源とを有する。混合システムは、第1管路の下流端と流体連通する第1入口と、浮選ガス源と流体連通する第2入口と、出口とを有する。混合システムは、第1管路の下流端から流れる多相流体に、浮選ガス源からの浮選ガスを混合し、出口において、浮選ガスのバブルを内部に有する改良された多相流体を造り出す。第2管路は、混合システムの出口と流体連通する上流端を有する。バブル制御システムは第2管路に設けられ、改良された多相流体内の浮選ガスのバブルのサイズに関連する測定を実行し、浮選ガスのバブルのサイズが閾値より上となるように、この測定に応じて混合システムを制御する作用をなす。
【0008】
更に、浮選ガスのバブルを内部に有する改良された多相流体を造り出すために、作動状態にしたがって、水相と油相とを有する多相流体に浮選ガスを混合することを包含する方法が開示される。油相は、この後、セパレータを使用して水相から分離される。改良された多相流体に関連する特性がモニタされる。作動状態は、コンパクトな浮選ユニットにより水相から分離される油相の割合を、作動状態を調整することなく水相から分離される油相の割合よりも増大するように、モニタされた特性の関数として調整される。
【0009】
更に、浮選ガスのバブルを内部に有する改良された多相流体を造り出すために、作動状態にしたがって、多相流体に浮選ガスを混合することを包含する方法が開示される。この方法は更に、改良された多相流体に関連する特性をモニタし、バブルのサイズが閾値よりも大きくなるように、モニタした特性の関数として作動状態を調整することを包含する。
【0010】
以下に図面を参照して、開示の特定の実施形態を説明し、ここに、同様な参照数字は同様な要素を示す。しかし、理解されるように、添付図面はここに記載の種々の実施態様を説明するものであり、ここに記載の種々の技術の範囲を制限することを意味するものではない。図面は、本開示の種々の実施形態を示し、説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】開示のいくつかの実施形態によって使用され得る脱気及び浮選タンクタイプのセパレータを示す。
図2】開示のいくつかの実施形態によるインラインカメラバブルモニタを有する産出水分離作業のレイアウト配置の概略図を示す。
図3】開示のいくつかの実施形態による差圧モニタを有する産出水分離作業のレイアウト配置の概略図を示す。
図4】開示のいくつかの実施形態による速度モニタを有する産出水分離作業のレイアウト配置の概略図を示す。
図5】開示のいくつかの実施形態による多数のミキサ及び多数のインラインカメラバブルモニタを有する産出水分離作業のレイアウト配置の概略図を示す。
図6A】開示のいくつかの実施形態による静的ミキサの斜視図を示す。
図6B】開示のいくつかの実施形態による異なるサイズ及び形状を有する種々の混合板を示す。
図6C】開示のいくつかの実施形態による異なるサイズ及び形状を有する種々の混合板を示す。
図7】開示のいくつかの実施形態による種々の開閉ステージに於ける動的ミキサの虹彩絞りタイプの可変弁を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
以下の説明において、多くの詳細が本開示を理解するために示してある。しかし、当業者であれば、本開示の実施形態は、これらの詳細なしで実施してもよく、記載の実施形態から多くの変形または修正可能なことがあることが理解される。
【0013】
明細書及び添付の請求の範囲において、「接続する」、「接続」、「接続され」、「接続して」及び「接続すること」の用語は、「直接接続して」または「1つまたは複数の要素を介して接続して」を意味するために使用され、「セット」の用語は、「1つの要素」または「複数の要素」を意味するために使用される。更に、「連結する」、「連結すること」、「連結され」、「一緒に連結され」及び「を連結され」の用語は、「直接的に一緒に連結され」または「1つまたは複数の要素を介して一緒に連結され」を意味するために使用される。ここに使用するように、「上に」及び「下に」、「上方」及び「下方」、「上方に」及び「下方に」、「上側」及び「下側」並びに所定のポイントまたは要素の上方または下方の相対位置を示す同様な用語は、この説明において、本開示のいくつかの実施形態をより明瞭に説明するために使用される。同様に、「上流」及び「下流」の用語は、この説明では、要素を通して流れる流体の経路に沿う相対位置を示すために使用される。
【0014】
本開示の装置及び方法は、産出された水に同伴する油の分離工程のより良好な制御及び改善された効率を提供するために開発された。産出された水と共に油が存在するため、油と水とを集合的に多相流体と称することができる。産出された水から油を除去するために、油/ガスセパレータ、浮選タンク、液体サイクロン及び脱気タンクを含む種々のタイプのセパレータを使用してもよい。
【0015】
図1は、コンパクト浮選ユニットまたはCFUと称されることのあるセパレータ102の1つのタイプの実施例、つまり脱ガス及び浮選タンクを示し、これはこの開示のいくつかの実施形態にしたがって使用してもよい。CFU102は、ガス浮選及び遠心力を使用し、多相流体の水相から油及び他の粒子を分離し、除去する。一体化した脱ガス及び浮選タンク102は、円筒状垂直タンク1と、産出された水相の接線方向に配置された入口2と、タンク1の上方部に配置されたガス及び油の少なくとも1つの出口3と、タンク1の下方部に配置された水の出口4及びスラッジの出口8と、タンクの上方部におけるタンク1の壁とこの内側シリンダ10の間に浮選及び脱気ゾーンを形成する内側シリンダ10とを備える。
【0016】
円筒状垂直タンク1は、多相流体の水相から油/ガス相の所要の分離を実行する。油生産における水処理に使用する際、残留する油とガスとが、多相流体の送出される水相から除去し、炭化水素の含有量が極めて少ないと同時に砂及び他の粒状物質が除去された廃液を形成することができる。タンク1は、タンクの上方部に配置される内側シリンダ10を設けられ、この内側シリンダ10とタンクの頂部との間に開口スペースを残す。入口案内羽根11をタンク1と内側シリンダ10との間に配置し、入口案内羽根11と内側シリンダ10及びタンク1の下方部の水平円形板12との間に開口スペースを残し、板12とタンク1との間に水の通路を開ける。内側シリンダ10は、油、ガス及び水の通路がこのシリンダの頂部より高くなることができるように配置される。
【0017】
油滴の浮選は、ガスバブルの同時上昇により促進される。更に、入口案内羽根11は、入ってくる水を螺旋状に上方に流し、一方、接線方向の入口は、入ってくる水をタンク1内で回転させ、より軽い油滴が内側シリンダ10に達するまで、タンク1の中心に向かわせる遠心力を生じさせる。ここで、油のバブルとガスのバブルとが合体し、周囲の水よりも低密度であるため、上昇する。この後、油とガスとが、油及びガス用出口3を介して除去される。
【0018】
いくつかの場所で浮選ガスと称される追加ガスが、CFU102に入る前に、多相流体の産出された水相内に噴射し、分離を促進し、タンク内に追加の上昇ガスバブルを形成してもよい。
【0019】
本開示のいくつかの実施形態による産出水分離システムまたは作業100について、次に図2の概略図を追加的に参照して説明する。上流側部材から説明を始めると、生産流体源106は、第1管路107に流体連通し、これに多相流体を供給する。
【0020】
多相流体は、第1管路107の上流端に入り、第1管路107の下流端を通して出て、第1管路107と流体連通するミキサ108の第1入口に流入する。外部ガス源または容器1の頂部から回収されたガス等の浮選ガス源104は、ミキサ108の第2入口に流体連通し、選択的なガス弁129を通して、窒素または燃料ガス等の浮選ガスをミキサ108の第2入口に供給する。ミキサ108は、流入する浮選ガスを流入する多相流体と混合し、浮選ガスで改良された(混合された)多相流体の出力を、選択的な外部調節可能弁114を通し、ミキサ108の出口と流体連通する第2管路109の上流端に供給する。
【0021】
理解されるように、浮選ガスを多相流体にミキサ108で混合することにより、多相流体内に浮選ガスのバブルを形成することになる。改良された多相流体は、第2管路109の上流端に入り、インラインカメラモジュール110を通り、第2管路109の下流端を通して出て、CFU102の入口2内に流入する。このガスと油水との混合体は、タンク1に入るときにCFU102の頂部に上昇し、分離を促進する。分離後、油及びガス相は、油及びガス出口3を介してCFU102から除去され、弁120を通して流れることができ、水相は、水出口4を介してCFU102から除去され、弁122を通して流れることができる。
【0022】
改良された多相流体内のガスバブルサイズの分布は、CFU102の分離効率に対して大きく影響することがある。小さ過ぎることがある、例えば90~110ミクロン(例えば、100ミクロン)よりも小さいバブルは、いくつかのケースでは、出口3を通して除去すべきCFR102内の流体の表面に達しないことがある。油で覆われた小型のバブルは、この後、清浄水出口4を通して出る。大き過ぎることのある、例えば500ミクロンよりも大きいバブルは、浮選潜在力が小さいことがある点で問題を有することがある。ガスバブルサイズの分布は、水の化学的性質にしたがうことがあるが、しかし、発明者等は、それが浮選ガスを産出された水に混合するガスミキサ108により発生する圧力降下に密に関係し、これに影響されることを見出した。本開示は、CFU102に入る改良された多相流体内のバブルサイズの分布をモニタ及び制御する技術を提供することを意図する。
【0023】
図6A~7に示すような現在のミキサ108は、多相流体が通過することによる圧力降下を有し、この圧力降下は、生産現場の有効期限にわたって短期間で変化し、この結果、変化しかつ非最適混合及び処理効率となる可能性がある。CFU102に対する産出された多相流体流速が変化、すなわち増大または低下すると、現在のミキサを通る流体速度が種々の理由で変化し、この結果、多少の乱流が生じ、多相流体内により小さなまたはより大きなガスバブルが形成されることとなる可能性がある。効果的な油の除去のために、特に有益なバブルサイズ窓が存在するが、実際のバブルサイズは、固定された幾何学形状の混合板またはその他の静的ガスミキサを有することにより、この範囲外となることがある。
【0024】
モニタシステムまたはバブル制御システムを設けた動的ミキサ(流体の流速に関わらず所要の圧力降下を維持することができる)は、ガスバブルの大多数を第1閾値(例えば、100ミクロンより上)よりも上でかつ第2閾値(例えば、500ミクロンよりも下)よりも下、すなわち、産出した多相流体のCFU内への流速の変化に関わらず、所要のガスバブルサイズ窓内に維持することができる能力を提供する。これらの閾値は、油の大多数を改良された多相液から分離し、したがって、油出口3から油相の大多数が流れることを可能とするように設定される。実際、動的ミキサの使用は、動的ミキサのより提供される能力を調整することなく分離されるものを越えて、CFU102で達成される油分離の割合を増大する。
【0025】
システム100の他の詳細及びその作用について説明するが、しかし、ここでは、カメラモジュール110及びコントローラ112(後述する)がバルブ制御システムを形成し、したがって集合的にバブル制御システム199と称してもよく、ミキサ108並びに選択的な弁129及び114が混合システムを形成し、したがって集合的に混合システム198と称してもよいことを、最初に理解すべきである。
【0026】
コンピュータ、マイクロコントローラ、システムオンチップ、マイクロプロセッサ、プログラマブルロジックアレイ、または、フィールドプログラマブルゲートアレイ等のコントローラ112は、ミキサ108及び選択的調整可能弁114の一方(または、双方)と、カメラモジュール110とにも連結される。
【0027】
カメラモジュール110は、改良された多相流体が第2管路109を通って流れるときにバブルの画像を取込む高速度カメラを有し、コントローラ112は、カメラ110の出力を操作及びモニタする。カメラ110の出力をモニタする際、コントローラ112は、第2管路109を通して流れる改良された多相流体内に分散された浮選ガスのバブルサイズ分布をオンライン、インライン、リアルタイムで連続的にモニタしかつ推定することができるように、画像処理を実行する。したがって、コントローラ112は、バブルサイズ分布が所要の範囲内にあるかどうか判断することができる。
【0028】
バブルサイズ分布を変更及び/または制御するハードウェアを提供するため、ミキサ108は、コントローラ112の制御の下で、その出口における弁の開口または位置のサイズ及び/または形状を変更することが可能な動的ミキサとしてもよい。いくつかの場合では、ミキサ108は、代りに、その出口における固定のサイズ及び形状の開口を有してもよいが、コントローラ112で制御される調整可能な弁114を、ミキサ108と管路109との間、管路109の部分間、または、管路109内に配置してもよい。更に他のケースでは、ミキサ108は、動的ミキサとしてもよく、可変弁114も存在してもよい。
【0029】
図6B及び6Cは、ミキサが固定されたサイズ及び形状の開口をその出口に有するケースにおけるミキサ108用の異なる固定板130a~130dを示し、それぞれの板は、改良された多相流体がそれを通して流れる異なるサイズ及び形状の開口131a~131dを有する。
【0030】
ミキサ108が動的ミキサの場合、圧力降下を生じさせるその出口に任意の適切な絞り、例えば可変領域オリフィス板弁、バタフライ弁、特別に設計された可変ケージ弁、または、流体内に分散するガスを混合する同等技術を包含することができる。動的ミキサは更に、図7に示すような虹彩絞りタイプの可変弁130e~130f、変更可能な2以上の板サイズを有する弁、または、流体が流れる開口のサイズ及び/または形状を変更し得るタイプの他の動的弁を包含してもよい。
【0031】
したがって、カメラモジュール110を有するコントローラ112の使用は、フィードバックループを形成し、コントローラ112は、バブルサイズ分布を所要の範囲に維持するように、フィードバックループに基づいてリアルタイプ状態でまたはリアルタイムに近い状態で弁開口131e~131fを変更してもよい。
【0032】
いくつかのケースでは、コントローラ112は、ミキサ108の出口で作成されるバブルサイズ分布を、ガス源104からミキサ108内への浮選ガスの流れの速度を制御することにより、制御し得る。したがって、例えば、コントローラ112は、バブルサイズ分布の判断及びモニタリングの関数として、ガス源104からのガスの流速を変更するように弁129を制御してもよく(浮選ガス源制御とも称される)、これにより、バブルサイズ分布を所要の範囲内に維持する。浮選ガスの流速の制御は、混合システムの他の制御なしで実行してもよく(すなわち、静的ミキサ108で、弁114が存在せずに実行してもよく)、または、動的ミキサの制御及び/または弁114の制御に加えて実行してもよい。弁129の調整は更に、浮選ガスがミキサ108の第2入口に入るときの圧力の調整を行うように作用してもよい。
【0033】
ガスバブルのサイズを上述の態様で直接モニタすることは、複雑で高価となることがある。しかし、発明者等は、所要のバブルサイズ窓または範囲は、固定または動的ミキサ108を横断する単純な圧力降下にリンクし得ることを見出した。実際、CFU102の油分離効率は、上流側ミキサ108を横断する圧力降下に依存することが現在信じられている。したがって、効率を改善するために望ましいガス分布サイズ窓に対応する所要の圧力降下値が存在する。これは、種々の方法で達成してもよい。1つの方法は、前述のように、ミキサ108またはミキサ108の出口弁内の規制板のサイズを変更することを包含する。図6B及び6Cは、種々の形状及びサイズを有する規制板130a~130dの実施例を示す。他の方法は、後述するように、圧力降下を調整するために弁114を使用することを包含する。弁114及び静的ミキサ108を組み合わせて使用することによる処理効率は、同じ圧力降下に対しても等しい。したがって、静的ミキサ108及び弁114は、動的ミキサと同様な結果を生じるために組合せて使用してもよく、第1管路107を通る多相流体の流速に関わらず、バブルサイズ分布を所要の範囲内に保持するのを支援する。
【0034】
更に、発明者等は、バブルサイズ分布は圧力降下の関数であることを見出した。したがって、上述したように、ミキサ108を横断する圧力降下は、ミキサ108内の出口弁の位置、ミキサ108内の出口弁内のオリフィスのサイズ若しくは形状、または、ミキサ108内の規制板130a~130f内のオリフィスのサイズ若しくは形状の関数としてモニタしてもよい。圧力降下は、更に、弁114の位置、弁114内のオリフィスのサイズ若しくは形状、または、弁114内の規制板130a~130f内のオリフィスのサイズ若しくは形状の関数としてモニタしてもよい。ミキサ108内の出口弁の位置、ミキサ108内の出口弁内のオリフィスのサイズ若しくは形状、または、ミキサ108内の規制板130a~130f内のオリフィスのサイズ若しくは形状は、その後、モニタした圧力降下の関数として調節または制御してもよい。同様に、弁114の位置、弁114内のオリフィスのサイズ若しくは形状、弁114内の規制板130a~130f内のオリフィスのサイズ若しくは形状は、モニタした圧力降下の関数として調整または制御してもよい。この調整または制御は、ミキサ108が静的な場合、または、弁114が静的な場合に、手動で実行してもよい。この調整または制御は、ミキサ108が動的な場合、または、弁114が動的な場合に、コントローラ112の制御下で実行してもよい。
【0035】
図3は、開示のいくつかの実施形態による差圧モニタ125を有する産出水分離システム100’のレイアウト配置の概略図を示す。他の構成部材は、上述と同様または同じであり、更に論述する必要はない。
【0036】
差圧モニタ125は、適切なタイプかつ種類のものであり、ミキサ108の第1入口または出口(または、弁114の出口)に圧力センサを有してもよい。コントローラ112は、ミキサ108を横断する圧力降下を判断するために、差圧モニタ125の圧力センサの読みを比較してもよい。コントローラ112はこの後、バブルサイズ分布を所要の範囲内に維持する所要の範囲内に圧力降下を維持するために、圧力降下の関数として、ミキサ108及び/または弁114を制御してもよい。
【0037】
測定若しくは推定した流体速度または他の経験的相関は、バブルサイズ分布を所要範囲内に維持するために、ミキサ108及び/または弁114の制御に使用するコントローラ112に対するフィードバックとして使用することができる。例えば、図4に示すように、システム100’’は、第1管路107の多相流体及び第2管路109の改良された多相流体の速度を推定するため等、ミキサ108の第1入口及び/または出口(または弁114の出口)に流体速度または流体流量計126を有してもよい。コントローラ112は、ミキサ108を横断する流量または流体速度の増大を判断するために、速度または流量計126の読みを比較してもよい。コントローラ112は、この後、バブルサイズ分布を所要範囲内に維持する流量または速度の増大を所要範囲内に維持するために、流量または速度降下の関数としてミキサ108及び/または弁114を制御してもよい。
【0038】
これまで記載した構成では、単一のミキサ108、弁114、ガス弁129、及び、カメラモジュール110を示したが、いくつかの用途では、それぞれが複数であってもよい。例えば、図5に示す構成100”’では、2つのインラインミキサ108a及び108bが設けられ、それぞれがその出力側に選択的な弁114a,114bを有する。カメラモジュール110aは、ミキサ108a及び108b間で管路に沿って位置し、カメラモジュール110bは、ミキサ108bとCFU102との間で管路109bに沿って位置する。ガス源104は、ガス弁129a及び129bにガスを供給し、これは次にミキサ108a,108bにそれぞれガスを供給する。これらの種々の構成部材は、上述のように作用し、上述のようにコントローラ112により操作及び制御される。
【0039】
ミキサ108a及び108bは、これらが動的ミキサである場合に、互いに同期して、または、互いに非同期的に作動されてもよい。例えば、動的ミキサ108a及び108bの出口は、同じサイズ、形状若しくは構成を有するように制御してもよく、または、異なるサイズ、形状若しくは構成を有するように制御してもよい。更に、1つのミキサ108aまたは108bは、静的ミキサであり、一方、他方は動的ミキサ108aまたは108bであってもよい。一方、双方またどちらでもない選択的の弁114a及び114bが存在してもよく、動的ミキサ108a及び108bに関して説明したように作動してもよい。更に、弁129a及び129bも、同期してまたは非同期的に作用してもよい。カメラモジュール110a及び110bの一方または双方が存在してもよい。
【0040】
図3~4の先に記載した実施形態では、複数のミキサ114、弁108、ガス弁129、差圧センサ125及び速度流量計126は、図5に示すものと同様に使用してもよいことが明らかである。更に、異なる潜在的なバブル制御システム199,199’,199”,199”’の上述の構成部材は、混合し、整合させてもよいことが明らかである。例えば、1つまたは複数のカメラモジュール110は、ミキサ114、弁108及びガス弁129の制御に、コントローラ112が使用する追加データを提供するために、単一の用途に1つまたは複数の差圧センサ125と共に使用してもよい。
【0041】
改良された多相流体の特性及びバブルのサイズを測定する他の適切な方法及び技術も、同様に使用してもよい。例えば、音響モニタ技術を、浮選ガスバブルのサイズを推定する方法として改良された多相流体に使用してもよく、コントローラは、この情報をミキサ、及び/または、弁、及び/または、ガス弁の制御に使用してもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、浮選ガスは、CFU102の下流に加えられる圧力降下により、液体水相から放出することができる。例えば、液体水相からの溶解した浮選ガスの除去に関して、液体水相は、円筒状垂直タンク1の水出口4から、液体水相が流体圧を降下されるように、出口4よりも大きな径を有する管路、容器または他の流体搬送構造内に流出するように構成してもよい。この流体圧の降下は、液体水相を脱気する結果となることがあり、したがって、液体水相に溶解していた浮選ガスは液体水相を出ることがある。
【0043】
上述のシステム100,100’,100”,100”’は、新しいCFUシステムと共に作用し、また、これを組込むことができ、または、既存のCFUインストレーションに後付けしてもよい。システム100,100’,100”が新しいCFUシステムと共に作用する場合、コントローラ112は、更にCFUのコントローラとしてもよい。これは、システム100,100’,100”,100”’内の流体流量の変化に関わらず、流体の化学的性質に関わらずに、バブルサイズに基づいて処理効率を最適化することができる。
【0044】
先の説明は、ここでは特定の手段、材料及び実施形態を参照して説明したが、ここに開示の事項に制限することを意図するものではなく、寧ろ、添付の請求の範囲の及ぶ範囲内となる等の機能的に等価な構造、方法及び使用に拡張される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7