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特許7034922フレキシブルドライブシャフトを備える電気ユーティリティブラシ
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  • 特許-フレキシブルドライブシャフトを備える電気ユーティリティブラシ 図1
  • 特許-フレキシブルドライブシャフトを備える電気ユーティリティブラシ 図2
  • 特許-フレキシブルドライブシャフトを備える電気ユーティリティブラシ 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】フレキシブルドライブシャフトを備える電気ユーティリティブラシ
(51)【国際特許分類】
   A61C 17/22 20060101AFI20220307BHJP
   A61C 17/26 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
A61C17/22 C
A61C17/26 A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018540740
(86)(22)【出願日】2017-02-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2017052298
(87)【国際公開番号】W WO2017134183
(87)【国際公開日】2017-08-10
【審査請求日】2020-01-29
(31)【優先権主張番号】S2016/0046
(32)【優先日】2016-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IE
(73)【特許権者】
【識別番号】315010950
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン コンシューマー ヘルスケア(ユーケー) アイピー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダイアモンド,デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ダイアモンド,ジーン
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-051572(JP,U)
【文献】国際公開第2003/011073(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/078349(WO,A1)
【文献】特開平07-213343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/22
A61C 17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動歯ブラシであって、
該電動歯ブラシの長手軸に沿って延在して回転可能でかつ回転軸方向に往復移動可能に支持されたドライブシャフトと、
該ドライブシャフトの先端に前記ドライブシャフトと一体に回転可能に連結され、球状のタフト面を有するブラシヘッドと、
該ブラシヘッドを回転可能に支持するガイドアセンブリと、
を備え、
前記ガイドアセンブリは、前記ブラシヘッドを前記長手軸に沿う第1回転軸方向と該第1回転軸方向に垂直な第2回転軸方向との間で回動可能に支持し、
前記ドライブシャフトは、該ドライブシャフトの回転駆動力を前記ブラシヘッドに伝え、前記ドライブシャフトの前記第1の回転軸方向の移動に応じて前記ブラシヘッドを前記少なくとも2つの回転軸方向の間で回動変位させるフレキシブル部を有している、電動歯ブラシ。
【請求項2】
請求項1に記載の電動歯ブラシであって、
前記フレキシブル部は、スプリングを有する電動歯ブラシ。
【請求項3】
請求項2に記載の電動歯ブラシであって、
前記スプリングは、ヘリカルコイルスプリングを有する電動歯ブラシ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の電動歯ブラシであって、
前記ドライブシャフトは、前記ヘッドに回転を直接的に伝える電動歯ブラシ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電動歯ブラシであって、
前記第1回転軸方向は、前記ブラシの長手軸と実質的に一致する方向であり、前記第2回転軸方向は、前記ブラシの長手軸と実質的に垂直な方向である電動歯ブラシ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の電動歯ブラシであって、
前記フレキシブル部は、前記ヘッドが第回転軸方向にある場合には、湾曲している電動歯ブラシ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の電動歯ブラシであって、
前記電動歯ブラシは、前記ドライブシャフトの回転を生じさせるように動作可能な駆動手段と、前記少なくとも2つの回転軸方向の間で前記ヘッドを変位させるように動作可能なアクチュエータとを有し、
該アクチュエータは、
前記駆動手段に直接的に接続され、該駆動手段によって駆動される第1セクションと、
前記駆動手段からの回転駆動力が前記第1セクションから伝達されるように前記第1セクションに接続されている第2セクションと、を有する電動歯ブラシ。
【請求項8】
請求項7に記載の電動歯ブラシであって、
前記アクチュエータは、前記ドライブシャフトの長手方向の変位を介して少なくとも2つの回転軸方向の間にヘッドを配置する電動歯ブラシ。
【請求項9】
請求項8に記載の電動歯ブラシであって、
前記アクチュエータは、前記第1セクションがウォームを画定し、前記第2セクションが前記ウォームと係合可能なフォロワを画定し、前記第1セクションに対する前記第2セクションの軸方向の変位を生じさせる、電動歯ブラシ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の電動歯ブラシであって、
前記電動歯ブラシは、前記少なくとも2つの回転軸方向の間で前記ヘッドが沿って変位可能な固定経路を画定するガイドアセンブリを有する電動歯ブラシ。
【請求項11】
請求項10に記載の電動歯ブラシであって、
前記ガイドアセンブリは、前記ヘッドが沿って変位可能な弧状の経路を画定する、電動歯ブラシ。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の電動歯ブラシであって、
前記ガイドアセンブリは、ジンバルフレームを有する電動歯ブラシ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の電動歯ブラシであって、
前記電動歯ブラシは、前記ブラシヘッドの外側を部分的に覆うガードを有する電動歯ブラシ。
【請求項14】
請求項12に従属した場合の請求項13に記載の電動歯ブラシであって、
前記ジンバルフレームは、前記ガードに旋回可能に取り付けられている電動歯ブラシ。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載の電動歯ブラシであって、
前記電動歯ブラシは、前記ドライブシャフトが少なくとも部分的に収容される中空ステムを有する電動歯ブラシ。
【請求項16】
請求項7に記載の電動歯ブラシであって、
前記電動歯ブラシは、把手を備え、中空ステムが前記把手から延び、
前記駆動手段は少なくとも部分的に前記把手内に収容されている電動歯ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルドライブシャフトを備える電気ユーティリティブラシに関し、特に、広範囲のブラッシング能力を提供するために少なくとも2つの異なる軸方向で回転駆動可能な実質的に球状のヘッドを備える電動歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電動歯ブラシや研磨ブラシ、清掃用ブラシといった様々な用途のための電気ブラシは、周知で多数の形態があり、一般的に、剛毛の配列を有するヘッドと、駆動手段とが組み込まれている。駆動手段は、通例では、電気モータ等の形態を有し、少なくとも1つの駆動動作をヘッドに伝えるように構成されている。電動歯ブラシの場合、最も一般的な駆動動作の1つは回転である。場合によっては、多数の駆動モードが利用できてもよく、例えば、ブラシヘッドが1つの駆動モードとして1つの軸まわりに回転駆動可能であり、代替的に第2の駆動モードとして第2の軸まわりに回転駆動可能である。これは、特定の用途に有益かもしれない。例えば、ブラシヘッドの回転軸が2つ以上の異なる軸方向となることを許容する電動歯ブラシは、ブラッシング中の特定のグループの歯に対し最も効率的なブラッシング動作を提供できる。
【0003】
このようなブラシが知られているが、上記の機能を実装するためには、これらの異なる軸方向に設定された際、ヘッドに駆動力が伝わるようにするため、一般的に、複雑な変換器又はギア機構を採用する必要があった。その結果、ブラシが複雑化し、それゆえ、ブラシの内部部品の複雑化に起因して、一般的にブラシの信頼性が低下するとともに製造コストが上昇する。これらの問題は、電動歯ブラシで、このような機能を実現しようとする場合において、さらに複雑な問題となる。これは、電動歯ブラシのサイズが小型なので、縮小された寸法内に複雑なギア又は他の部品を作成することが困難となり、その寸法ゆえに部品同士の摩耗率が比較的に高くなる。このため、さらにブラシの信頼性が低下する。このことは、明らかに、電動歯ブラシ等の量産品にとっては望ましくない特性である。
【0004】
そのため、本発明の目的は、上記の問題を解決することにある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明によれば、タフト面を有し、少なくとも2つの回転の軸方向に変位可能なヘッドと、前記ヘッドに回転駆動力を伝え、前記少なくとも2つの回転軸方向の間での変位を容易にするフレキシブル部を有するドライブシャフトと、を備える電気ユーティリティブラシが提供される。
【0006】
好ましくは、前記タフト面は、湾曲面を有する。
【0007】
好ましくは、前記フレキシブルドライブシャフトは、前記2つの回転軸方向の間及び前記2つの回転軸方向において前記ヘッドへの駆動力を維持可能とする。
【0008】
好ましくは、前記フレキシブル部は、スプリングを有する。
【0009】
好ましくは、前記スプリングは、ヘリカルコイルスプリングを有する。
【0010】
好ましくは、前記ドライブシャフトは、前記ヘッドに回転を直接的に伝える。
【0011】
好ましくは、前記フレキシブル部は、前記ヘッドの回転軸を変位可能にして、前記回転軸方向の2つの画定を可能にする。
【0012】
好ましくは、前記フレキシブル部は、前記ヘッドが第1回転軸方向にある場合には、湾曲している。
【0013】
好ましくは、前記ヘッドは、不完全な球状のタフト面を有する。
【0014】
好ましくは、前記ヘッドは、実質的に完全な球状のタフト面を有する。
【0015】
好ましくは、前記ブラシは、前記少なくとも2つの回転軸方向の間で前記ヘッドを変位させるように動作可能なアクチュエータを有する。
【0016】
好ましくは、前記アクチュエータは、前記ドライブシャフトの長手方向の変位を生じさせるため動作可能である。
【0017】
好ましくは、前記アクチュエータは、ウォームを画定する第1セクションと、前記ウォームと係合可能なフォロワを画定する第2セクションとを備え、前記第1セクションに対する前記第2セクションの軸方向の変位を生じさせる。
【0018】
好ましくは、前記ユーティリティブラシは、前記少なくとも2つの回転軸方向の間で前記ヘッドが沿って変位可能な固定経路を画定するガイドアセンブリを有する。
【0019】
好ましくは、前記ガイドアセンブリは、前記ヘッドが沿って変位可能な弧状の経路を画定する。
【0020】
好ましくは、前記ガイドアセンブリは、ジンバルフレームを有する。
【0021】
好ましくは、前記ブラシは、前記ヘッドを部分的に包囲するガードを有する。
【0022】
好ましくは、前記フレームは、前記ガードに旋回可能に取り付けられている。
【0023】
好ましくは、前記ブラシは、前記ドライブシャフトが少なくとも部分的に収容される中空ステムを有する。
【0024】
好ましくは、前記ブラシは、前記ドライブシャフトの回転を生じさせるように動作可能な駆動手段を有する。
【0025】
好ましくは、前記ブラシは、把手を備え、前記中空ステムが前記把手から延び、前記駆動手段は少なくとも部分的に前記把手内に収容されている。
【0026】
本明細書中で使用されるように、「タフト」という言葉は、表面から外側に向かって突出する剛毛の1以上の房等を有する表面又は物体を意味することを意図し、このようなタフト面を定義する物体の例としてブラシヘッドが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は、以降において添付の図面を参照して説明される。
図1】本発明の実施形態に係る電動歯ブラシ形態におけるブラシのヘッドが第1回転軸方向に位置している状態の、電気ユーティリティブラシの概略図を示す。
図2図1に示されるユーティリティブラシのブラシのヘッドが第2回転軸方向に位置している状態を示す。
図3】ブラシのヘッドを保持し、2つの回転軸方向の間の変位にヘッドを拘束するためのフレームの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以降、添付の図面を参照すると、概して(10)として示される電気ユーティリティブラシが示されている。電気ユーティリティブラシは、示される特定の実施形態では、電動歯ブラシ(10)の形態を有し、従来の電動歯ブラシを超える優れたブラッシング能力を可能にする多数のブラッシングモードを提供可能である。以下の構成の説明及び電動歯ブラシ(10)の動作から、本発明のブラシ(10)には、電動歯ブラシ以外に多数の用途があることが当然、理解されるであろう。
【0029】
ブラシ(10)は、図1及び図2に概略的に示されるブラシヘッド(12)を備えるが、実際には、ブラシヘッド(12)は、タフト面を、最も好ましくはタフト湾曲面を備え、例えば、ヘッド(12)にブラッシング/清掃動作を生じさせるために、剛毛の房(図示省略)の配列等が突出する半球状の又は実質的に完全な球状のヘッド(12)である。ブラシ(10)は、さらにヘッド(12)に回転駆動を伝えるよう構成されているドライブシャフト(14)を備え、示される実施形態では、ドライブシャフト(14)は、ヘッド(12)に形成されたチャネル(16)を介して、ヘッド(12)に直接的に接続される。チャネル(16)は、ドライブシャフト(14)の一端がヘッド(12)の中央に固定されることを可能にする。チャネル(16)は、外面からヘッド(12)の中央へと延びる実質的に円筒穴形状を有している。チャネル(16)は、ヘッド(12)の中央に向かって内方へ先細の形状を有していてもよい。
【0030】
ブラシ(10)は、さらに、後にその機能が説明されるアクチュエータ(20)を介して、ヘッド(12)への伝達のため、ドライブシャフト(14)に駆動力を伝えるように動作可能な、モータ(18)の形態を有する駆動手段を備える。モータ(18)は、当技術分野で周知のように、ブラシ(10)の一部を形成する把手(図示省略)内に部分的に又は完全に収容されてもよい。把手(図示省略)は、以下に説明されているような様々なモードの動作を生じさせるために必要な任意の制御構成部品に加えて、モータ(18)に動力を供給するため、充電可能な蓄電池(図示省略)等の電源も含んでよい。
【0031】
多くのブラッシング動作の実現を可能にするために、ヘッド(12)は少なくとも2つの異なる軸方向の間で変位可能である。示される実施形態例では、ヘッド(12)の回転軸(R)がブラシ(10)の長手軸と実質的に一致し、図1に示される第1回転軸方向と、ヘッド(12)の回転軸(R)がブラシ(10)の長手軸と実質的に垂直に配置され、図2に示される第2回転軸方向との間で、変位可能である。
【0032】
これら2つの回転軸方向の間で変位する際に、駆動力がヘッド(12)へと維持されることを可能にするために、ドライブシャフト(14)は、少なくともヘッド(12)の領域においてフレキシブル部を備えている。フレキシブル部は、ドライブシャフト(14)をヘッド(12)と駆動係合した状態のままにできるが、第1回転軸方向から第2回転軸方向へのヘッド(12)の変位に対応するため、ドライブシャフト(14)を変形させることもできる。示される実施形態例では、ドライブシャフト(14)は、全長においてフレキシブルで、例えば、ヘリカルコイルスプリングからなっていてもよい。ヘリカルコイルスプリングは、図1に示されるように一直線で変形していない状態及び図2に示されるように変形又は湾曲した状態の両方の状態のドライブシャフト(14)で、モータ(18)からの回転駆動力をヘッド(12)に伝えることができることが明らかにされている。しかしながら、その他の適切な形状のフレキシブルドライブシャフト(14)が採用されてよいことも理解されるであろう。
【0033】
示される実施形態では、ドライブシャフト(14)は、スリーブ(22)から出てチャネル(16)内を通過する前に、アクチュエータ(20)から延び、ブラシ(10)のステムを形成する中空スリーブ(22)を通って、ヘッド(12)に直接的に接続している。ヘッド(12)が、図1に示される第1回転軸方向から図2に示される第2回転軸方向に変位しているときに、スリーブ(22)を出てヘッド(12)に接続するドライブシャフト(14)の部分の長さは、ヘッド(10)が第2回転軸方向に向かって変位するにつれて長さが伸びる。この長さの延長に対応するため、ヘッド(12)が第2回転軸方向へと変位できるように必要な追加の長さを提供するために、ドライブシャフト(14)が伸縮するか及び/又はドライブシャフト(14)の追加部分がスリーブ(22)外に変位するかいずれかしなくてはならない。
【0034】
示される実施形態例では、アクチュエータ(20)が、ドライブシャフト(14)のこの追加の長さの供給を容易にしている。アクチュエータ(20)は、第1セクション(24)と第2セクション(26)とを備える。第1セクション(24)は、モータ(18)に直接的に接続され、モータ(18)によって駆動される。第2セクション(26)は、モータ(18)からの回転駆動力が第1セクション(24)から第2セクション(26)に伝送されるように第1セクション(24)に接続されている。第2セクション(26)は、第1セクション(24)に対して長手方向に変位可能である。示される好適な実施形態では、第1セクション(24)及び第2セクション(26)は、相互に伸縮自在に配置されている。このようにして、第2セクション(26)は、モータ(18)との駆動係合を保ちつつ、ヘッド(12)の第2回転軸方向への変位に対応するために、スリーブ(22)の端部から外にドライブシャフト(14)の部分を変位させるため、ヘッド(12)に向かって変位可能である。一方、ヘッド(12)が第1回転軸方向に変位して戻る際、ドライブシャフト(14)の追加長さをスリーブ(22)内に後退させて戻すため、第2セクション(26)は、第1セクション(24)まで引き戻して下げることができる。アクチュエータ(20)の動作は、手動で又はブラシ(10)に提供される1以上の制御(図示省略)の動作に応じて実現されてもよい。
【0035】
これに加えて、第1セクション(26)は、ウォーム(28)を備え、第2セクション(26)は、ウォーム(28)と係合するフォロワ(30)を備える。従って、もし第2セクション(26)の第1セクション(26)に対する回転が防止されると、フォロワ(30)とウォーム(28)の相互作用は、ドライブシャフト(12)のスリーブ(22)に対する変位を生じさせるため、結果的に第1セクション(26)に対する第2セクション(28)の軸方向の変位となる。制御部(32)は、機械式、電気式、又は組み合わせでもよく、上述した機能を引き起こすために第2セクション(26)の回転を選択的に防ぐよう動作可能である。
【0036】
上記動作の結果として、アクチュエータ(20)は、第1回転方向と第2回転方向との間のヘッド(12)の変位を生じさせるよう積極的に使用されてもよいことが理解されるだろう。図1に示されるようにヘッド(12)が第1回転方向に位置した状態で、ドライブシャフト(14)の部分をスリーブ(22)の端部の外に強制的に出すために、第2セクション(26)を第1セクション(24)から離れるように変位させることで、アクチュエータ(20)を伸張させてもよい。ドライブシャフト(14)の追加の長さが、このようにチャネル(16)内に押し込まれることで、ドライブシャフト(14)のその部分が撓み又は湾曲し始め、これにより、チャネル(16)の壁部に押し当てられる。このことは、ヘッド(12)を第1回転軸方向から第2回転軸方向へ向けて変位させるよう作用する。
【0037】
この機能を容易にするために、ヘッド(12)は、ヘッド(12)の部位の周りに提供されるガード(36)に旋回可能に取り付けられるフレーム(34)とともにジンバル構成で取り付けられることが好ましい。フレーム(34)は、ヘッド(12)のチャネル(16)内に着座して、ドライブシャフト(14)の端部をヘッド(12)への接続ポイントで支えるように作用するベアリング部(38)を備える。アクチュエータ(20)によってドライブシャフト(12)がスリーブ(22)から出て上向きに変位するのに応じて、ドライブシャフト(12)が撓み始める又は湾曲し始める際に、ドライブシャフト(12)が押しつけられるのは、このベアリング部(38)の壁部である。この機能が実現されることを確実にするために、ドライブシャフト(12)は、図1で見ることができるように、ヘッド(12)が第1回転軸方向に位置する際に、チャネル(16)内にある部分がわずかな湾曲を有するように配置されてもよい。このように、ドライブシャフト(12)が、アクチュエータ(20)によって一旦変位されると、ヘッド(12)を変位させるように、この領域のドライブシャフト(12)の湾曲が増加し、フレーム(34)、特に、ベアリング部(38)に対して押しつけられる。ブラシ(10)の長手軸に対し垂直に延びるようにフレーム(28)の旋回軸を位置付けることで、ヘッド(12)は、示される第1及び第2回転軸方向の間の弧状の経路に沿う変位が抑制される。ドライブシャフト(12)のチャネル(16)内における初期湾曲は、必要となる湾曲を導入するため、カム(図示省略)等がドライブシャフト(12)に対し作用する等、他の手段によって導入され得ることが理解されるであろう。
【0038】
示される実施形態例では、図2に示されるようにヘッド(12)が第2回転軸方向へ変位される際、スリーブ(22)から引き出されるドライブシャフト(14)の追加の長さに対応するため、ガード(30)の内面とヘッド(12)の外面との間に適切な間隙が設けられる。このようにして、スリーブ(22)の外へ変位するドライブシャフトの追加の長さはガード(30)によって覆われたままとなり、それによりブラシ(10)の作動中に露出することはない。ドライブシャフト(14)のこの部位は、回転するドライブシャフト(14)と、ヘッド(12)、特にヘッド(12)から突出する剛毛(図示省略)との間の接触を防ぐために、保護シース(図示省略)等によって取り囲まれてもよい。このような接触を減少又はなくすために、ドライブシャフト(14)の変形を抑えるため、及びドライブシャフト(14)がガード(30)により近づいた位置になることで、ヘッド(12)からより遠くするため、スリーブ(22)の上端とチャネル(16)への入り口との間の経路の湾曲は、ヘッド(12)が第2位置にあるときは、抑制されてもよい。
【0039】
代替的な構成として、ヘッド(12)の第1及び第2回転軸方向の間での変位を生じさせるために変更されたフレーム(図示省略)が沿って移動する弧状の経路を画定するため、フレーム(28)が、例えば、ガード(30)の内面に設けられるトラック(図示省略)に沿って移動するように変更されることもあり得る。ヘッド(12)が第3の回転軸方向に位置できるようにすることで追加の軸方向又はブラッシングモードを可能とする1つの構成等その他の機能的な代替手段が採用されてよいことが理解されるであろう。
【0040】
このように、フレキシブルドライブシャフト(14)により駆動されるヘッド(12)を備えるブラシ(10)を提供することにより、駆動力をヘッド(12)へと維持できつつ、最少の可動部で多数のブラッシングモードを達成でき得ることが理解されるであろう。
図1
図2
図3