(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】プローブによるホストデバイスとの使用のための通信プロトコルを識別する方法
(51)【国際特許分類】
H04L 69/00 20220101AFI20220307BHJP
G01B 5/008 20060101ALI20220307BHJP
G01B 21/00 20060101ALI20220307BHJP
B23Q 17/22 20060101ALI20220307BHJP
B23Q 17/20 20060101ALI20220307BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
H04L69/00
G01B5/008
G01B21/00 G
B23Q17/22 B
B23Q17/20 A
G08C15/00 E
(21)【出願番号】P 2018557822
(86)(22)【出願日】2017-05-03
(86)【国際出願番号】 EP2017060578
(87)【国際公開番号】W WO2017191218
(87)【国際公開日】2017-11-09
【審査請求日】2020-04-10
(31)【優先権主張番号】102016000045519
(32)【優先日】2016-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】500200708
【氏名又は名称】マーポス、ソチエタ、ペル、アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】MARPOSS S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】ダビデ、カスタルディーニ
(72)【発明者】
【氏名】パオロ、ロンバルド
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト、ブルーニ
【審査官】大石 博見
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-011167(JP,A)
【文献】特開2007-104081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 13/00
G01B 5/008
G01B 21/00
B23Q 17/22
B23Q 17/20
G08C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局(7)と通信するのに使用される通信プロトコルをプローブによって識別するための方法であって、プローブ(4)は、それぞれのアクティベーションプロシージャーを特徴とする複数の通信プロトコルをエミュレートするように構成される制御及び処理のデバイス(12、13)を具備し、各アクティベーションプロシージャーは、基地局(7)がプローブ(4)をアクティベートしてチェックサイクルを実行することを可能にし;
- プローブ(4)のハードウェアインターフェース(5、15、16)を介してユーザにより与えられるコマンドを検知し、その結果としてプローブ(4)をサーチ状態(100~105)に設定し、サーチ状態(100~105)ではアクティベーションプロシージャーを試行すること、
- アクティベーションプロシージャーのうちの1つの少なくとも1つの肯定的な結論を検知し、アクティベーションプロシージャーのうちの前記1つを特徴とする通信プロトコルを、使用される通信プロトコルとして識別すること、及び
- 識別された通信プロトコルに関連する動作状態(201~205)にプローブ(4)を切り替えこと、
を含む方法。
【請求項2】
基地局(7)と通信するのに使用される通信プロトコルをプローブによって識別するための方法であって、プローブ(4)は、それぞれのアクティベーションプロシージャーを特徴とする複数の通信プロトコルをエミュレートするように構成される制御及び処理のデバイス(12、13)を具備し、各アクティベーションプロシージャーは、基地局(7)がプローブ(4)をアクティベートしてチェックサイクルを実行することを可能にし;
- プローブ(4)のハードウェアインターフェース(5、15、16)を介してユーザにより与えられるコマンドを検知し、その結果としてプローブ(4)をサーチ状態(100~105)に設定し、サーチ状態(100~105)ではアクティベーションプロシージャーを試行すること、
- アクティベーションプロシージャーのうちの1つの少なくとも1つの肯定的な結論を検知し、アクティベーションプロシージャーのうちの前記1つを特徴とする通信プロトコルを、使用される通信プロトコルとして識別すること、及び
- 識別された通信プロトコルに関連する動作状態(201~205)にプローブ(4)を切り替えこと、
を含み、
アクティベーションプロシージャーのうちの前記1つの検知される肯定的な結論の所定数(N)が設定される
、方法。
【請求項3】
検知される肯定的な結論の所定数(N)は3に等しい、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定数(N)の肯定的な結論は互いに連続している、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記肯定的な結論の最初のものの後の各々が先の肯定的な結論から所定の時間間隔(T)内に生じる前記動作状態(201~205)に、プローブ(4)は切り替えられる請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
- 先の肯定的な結論から所定の時間間隔(T)が経過した際に肯定的な結論を有する新たなアクティベーションプロシージャーが生じなかった場合に、プローブ(4)をデフォルト状態(300)に切り替えることを含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
基地局(7)と通信するのに使用される通信プロトコルをプローブによって識別するための方法であって、プローブ(4)は、それぞれのアクティベーションプロシージャーを特徴とする複数の通信プロトコルをエミュレートするように構成される制御及び処理のデバイス(12、13)を具備し、各アクティベーションプロシージャーは、基地局(7)がプローブ(4)をアクティベートしてチェックサイクルを実行することを可能にし;
- プローブ(4)のハードウェアインターフェース(5、15、16)を介してユーザにより与えられるコマンドを検知し、その結果としてプローブ(4)をサーチ状態(100~105)に設定し、サーチ状態(100~105)ではアクティベーションプロシージャーを試行すること、
- アクティベーションプロシージャーのうちの1つの少なくとも1つの肯定的な結論を検知し、アクティベーションプロシージャーのうちの前記1つを特徴とする通信プロトコルを、使用される通信プロトコルとして識別すること、及び
- 識別された通信プロトコルに関連する動作状態(201~205)にプローブ(4)を切り替えこと、
を含み、
前記アクティベーションプロシージャーは第1のアクティベーションプロシージャー及び第2のアクティベーションプロシージャーを含み、当該第1のアクティベーションプロシージャーに基づいて、プローブ(4)は異なる通信チャネル上でそれぞれのビーコン信号を周期的に送信し且つ基地局(7)はアクティベーション信号によってビーコン信号に応答し、当該第2のアクティベーションプロシージャーに基づいて基地局(7)はそれぞれのアクティベーション信号を直接的に送信し;プローブ(4)はトランスミッター(9)、第1レシーバー(10)及び第2レシーバー(11)を含み;肯定的な結論を有する前記アクティベーションプロシージャーのうちの一つを検知するステップは、
- 時分割スキームに基づいて異なる通信チャネル上で、周期的に、シーケンシャル且つ相補的な方法で、トランスミッター(9)及び第1レシーバー(10)を選択して前記ビーコン信号を送信し、そしてそれに応じて第1のプロシージャーに基づいて相対的なアクティベーション信号を受信すること、及び
- 第2のプロシージャーに基づいてアクティベーション信号を受信するように、ビーコン信号の2回の連続した送信の間に経過する時間間隔で第2レシーバー(11)を選択すること、を含
む方法。
【請求項8】
前記第2のプロシージャーのアクティベーション信号は、所定の周波数及び長さを有する少なくとも1つの信号バーストを含み;肯定的な結論を有する前記アクティベーションプロシージャーのうちの1つを検知するステップは、
- 前記第2レシーバー(11)によって受信されるアクティベーション信号の前記少なくとも1つのバーストの周波数(F)及びシーケンス(S)を検知すること、及び、
- 検知される周波数(F)及び検知されるシーケンス(S)に基づいてアクティベーション信号を識別すること、を含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記プローブ(4)は、可動アーム(5)、スイッチ(14)及びコンパートメント(15)を含むタッチプローブであり、当該可動アーム(5)は、触覚器(5’)を支持し且つ触覚器(5’)と機械ピース(2)との間の接触によって撓ませられるように適応されており、当該スイッチ(14)は前記アーム(5)の撓みによって動作可能であり、当該コンパートメント(15)は少なくとも1つの供給バッテリー(16)を収容するためのものであり;バッテリー(16)の前記コンパートメント(15)内への挿入の間アーム(5)が撓まされたままである場合に、プローブ(4)は初期サーチ状態(100)に切り替えられる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
基地局(7)とプローブ(4)との間の通信が無線通信である請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記プローブ(4)は、光信号によって前記基地局(7)と通信する光学トランシーバー(9~11)を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記光学トランシーバーは、赤外線信号によって前記基地局(7)と通信する赤外線トランシーバー(9~11)である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
機械ピース(2)の位置及び/又は寸法をチェックするためのチェックシステム(3)のためのプローブであって、チェックシステム(3)の基地局(7)と通信するためのトランシーバー(9~11)と、請求項1に記載の方法を実施するように構成される処理及び制御のデバイス(12、13)と、を備えるプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局と通信するために使用される通信プロトコルのプローブによる識別又は自己認識のための方法に関する。
【0002】
特に、本発明は、機械ピースの位置及び/又は寸法をチェックするためのシステムにおいて使用されるタッチプローブに対して有利に適用されうるが、これに限定されるものではなく、それに対する以下の説明は一般性を失うことなく明示的に言及する。
【背景技術】
【0003】
基地局と1つ以上のタッチプローブとを含むシステムが、機械ピースの位置及び/又は寸法をチェックするために知られており、各プローブは、その機械部分と接触した際に撓むように適応される可動アーム、電気信号の生成のためにアームを撓ませることによって作動可能なスイッチ、及びこの電気信号に関連する情報を基地局に通信するためのトランシーバー手段を含む。基地局は、情報を処理して、機械ピースについて所望のチェックを実行する。
【0004】
コスト上の理由から本質的に、本分野での使用の可能な典型的なシナリオは、異なる製造業者によって提供される異なるタイプのプローブであって互いに共存し且つ同じ基地局と通信するプローブを含むシステムである。実際、基地局は、チェックされる予定の機械ピースが配置される機械に対して固定され、プローブは移動可能でありより頻繁に交換されるが、交換するのがより高価である。このために、いくつかのプローブは、特定の技術分野で最も広く使用されているプロトコルをエミュレートするように設計されることが可能であり、特定の通信プロトコルで通信できるように最初に使用する前に構成される必要がある。特に、各プローブの初期構成は、例えば適切な機械コマンド又はdipスイッチに基づいて作用することによって、又は特定のプログラミングサイクルに従ってアームを適切に撓ませることによって、又は高度な基地局を使用することによって、専用のプログラム段階でのユーザの特定の介入が必要である。しかしながら、ユーザによる介入は、例えばそれは高度な基地局の特定の用途の特別な知識を必要とするため、しばしば面倒である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、上述した欠点がなく、同時に製造が容易で安価なプローブを提供することである。
【0006】
本発明は、特許請求の範囲に定められているような、基地局と通信するために使われることになる通信プロトコルの、プローブによる、識別又は自己認識のための方法と、機械ピースの位置及び/又は寸法をチェックするためのシステムのためのプローブと、を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明は、添付の図面を参照して以下に説明され、非限定的な例として与えられる。
【
図1】
図1は、機械ピースの位置及び/又は寸法をチェックするためのシステムを概略的な方法で示しており、そのシステムは本発明に基づいて動作するプローブを含む。
【
図2】
図1のプローブの部分をより詳細に概略的に示す。
【
図3】
図3は、本発明の方法による
図2のプローブの動作に関する状態図を示す。
【
図4】
図4は、
図3のダイアグラムの状態のうちのいくつかにおける、
図2のプローブの動作に関する時間ダイアグラムを示す。
【
図5】
図5は、
図3のダイアグラムの状態のうちのいくつかにおける、
図2のプローブの動作に関する決定ツリーダイアグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1において、参照番号1は、全体として、機械ピース2を機械加工する機械を示し、参照番号3は、機械1に配置された機械ピース2の位置及び/又は寸法をチェックするように機械1に据え付けられたチェックシステムを示す。チェックシステム3は少なくとも1つのタッチプローブ4を含み、当該少なくとも1つのタッチプローブ4には、触覚器5’を支持する可動アーム5と、触覚器5’と機械ピース2との間の接触を検知するための
図2において参照番号14でマークされたトランスデューサ又はスイッチと、が設けられている。プローブ5は、機械ピース2が配置されている領域において、例えばスライド6により、移動できるように、機械1に取り付けられている。チェックシステム3はまた基地局7を含み、当該基地局7は、機械1に対して、特に機械1のベースに対して、固定され、機械1の数値制御ユニット8に対してインターフェース接続され、及び既知のプリセット遠隔通信プロトコルで通信するように構成され、当該既知のプリセット遠隔通信プロトコルは、光学信号の、好ましくはある搬送周波数を有する振幅で変調された赤外線の、送信及び受信にとりわけ基づいている。基地局7とプローブ4との間の通信は、典型的には無線通信である。
【0009】
図2を参照すると、プローブ4は、数百kHzに達しうる周波数によって変調される赤外線信号を送信することができるトランスミッター9と、高周波変調された赤外線信号、すなわち350~570kHzの周波数を有する信号、を受信するように適合された第1レシーバー10と、低周波数の赤外線変調信号、すなわち7~15kHzの周波数を有する信号、を受信するように適合された第2レシーバー11と、を備える。2つの別個のレシーバーの存在は、本発明の本質的な特徴ではない。例えば、適切に構成可能な単一のレシーバーを使用することができる。
【0010】
プローブ4は処理及び制御の複数のデバイスを備え、当該処理及び制御の複数のデバイスは、例えば、相互に協働し且つトランスミッター9及びレシーバー10及び11を制御するように構成されるマイクロコントローラ12及びFPGAデバイス13を含み、それによりプローブ4は、それ自体が既知の複数の通信プロトコルをエミュレートすることができ、これらのプロトコルは、プローブ4に先験的に知られていない基地局7の通信プロトコルを含む。前記通信プロトコルの各々は、そのそれぞれのアクティベーションプロシージャーを有し、当該それぞれのアクティベーションプロシージャーは、基地局7がプローブ4をアクティベートさせて機械ピース2のチェックサイクルを実行することを可能にする。
【0011】
プローブ4によってエミュレートされる通信プロトコルは、両方ともそれ自体が既知である2つの異なるタイプのアクティベーションプロシージャーを特徴とする2つのカテゴリーに本質的に分かれる。第1のカテゴリーの通信プロトコルのアクティベーションプロシージャーは、すなわち第1アクティベーションプロシージャーは、以下の通りである:プローブ4は、異なる物理的及び論理的通信チャネルにおいてそれぞれのビーコン信号を周期的に送信し、基地局7は、それがプローブ4をアクティベートしてチェックサイクルを実行させたい場合に、アクティベーション信号によってあるチャネルにおいてビーコン信号に応答する。第2のカテゴリーの通信プロトコルのアクティベーションプロシージャーは、すなわち第2アクティベーションプロシージャーは、以下の通りである:基地局7は、それがプローブ4をアクティベートしてチェックサイクルを実行したい場合に、それのそれぞれのアクティベーション信号を直接的に送信する。アクティベーション信号は、1つ以上の変調された赤外線信号バーストと、変調周波数と、予め定められている信号の1又は複数の信号バーストの長さと、を含む。第2のカテゴリーのプロトコルは、いくつかのグループのプロトコルに分けることができる。各グループは、信号の特定の変調周波数によって特徴付けられており、信号バーストの特定のシーケンスについてそれらの間で異なるプロトコルを含み、そこではまたシーケンスが1つのバーストのみを含みうる。
【0012】
一例として、第1のカテゴリーの通信プロトコルは、とりわけ、複数の物理的及び論理的チャネルを介した高周波変調信号の、すなわち350~570kHzの周波数を有する信号の、送受信によって特徴づけられるプロトコルを含む。さらに一例として、第2のカテゴリーの通信プロトコルは、とりわけ、ベースバンド信号の送信と、低周波数変調信号の、すなわち10~11.9kHzの周波数を有する信号の、受信とによって特徴づけられるプロトコルを含み、当該ベースバンド信号は、実質的に変調されていないある長さの複数のパルスを含む信号である。
【0013】
スイッチ14は、アーム5に対して機械的に接続され、静止位置に対するアーム5の撓みを検知するように、マイクロコントローラ12に接続されており、当該静止位置は
図2に示されている位置である。アーム5がたわませられる場合、それはプローブ4のハウジングに対し、
図2のDFで示された変位を行う。プローブ4はまた、プローブ4の動作状態をユーザに示すように、少なくとも1つの電力供給バッテリー16と1つ以上のLED17とを収容し且つ電気的に接続するためのコンパートメント15を含む。
【0014】
典型的には、プローブ4の構造は、ほこり及び液体の侵入に対する高度な保護を保証するようなものである。このため、プローブ4とユーザとの間のハードウェアインターフェースは最小限に抑えられる。例えば、通常、プローブ4はいかなる電源ボタンも有していない:それは、一般的には低電力状態又はスタンバイ状態において、バッテリー16がコンパートメント15内に挿入されるとすぐにオンになる。したがって、ユーザとプローブ4との間のハードウェアインターフェースは、本質的にコンパートメント15、アーム5及びLED17を含む。
【0015】
通常、プローブ4は、特定のプリセット通信プロトコルで通信するように構成され、その特定のプリセット通信プロトコルは、製造者によって選択されたデフォルトのプロトコル(全てのプローブは基本構成を有するように構成され-典型的には、プローブ4は第1のカテゴリーの通信プロトコルで通信するように構成され)又はユーザによって予めプログラムされた或いは現場で構成されたプロトコルとしうる。言い換えれば、プローブ4は、それがオンにされると、アクティベーション信号-それはスタンバイ状態から完全動作状態に移行するための信号である-をプリセット通信プロトコルに基づいて受信することを待つ。
【0016】
しかしながら、基地局7は、プローブ4においてプリセットされたものとは異なるプロトコルで通信してもよい。
【0017】
図3の状態図を参照すると、本発明によれば、マイクロコントローラ12は、ハードウェアインターフェースによりユーザによって与えられるコマンドを、特に
図3のTRIGでマークされた特定のイベントを、検知するように構成され、それによってプローブ4を初期サーチ状態100にセットし、当該初期サーチ状態100では異なる通信プロトコルの全てのアクティベーションプロシージャーが試行され、それらのうちで肯定的に完了されるものが識別される。検知される特定のイベントTRIGは、例えば、アーム5のたわみと並行して、バッテリー16をコンパートメント15に挿入することを含みうる。
【0018】
アクティベーションプロシージャーのうちのいずれか1つが肯定的に終了するとすぐに、マイクロコントローラ12は、プローブ4(
図3において111、112、113、114、115でマークされた遷移)を、肯定的に終了したアクティベーションプロシージャーを特徴とする通信プロトコルに関連する101、102、103、104、105でマークされたアドバンスドサーチ(advanced search)状態に切り替える 。アドバンスドサーチ状態101~105の数は、実際にはプローブ4によってエミュレートされる通信プロトコルの数に等しく、
図3の例では5である。
【0019】
さらに、アドバンスドサーチ状態101~105の各々において、プローブ4により、それがスタンバイ状態にある場合に、全てのアクティベーションプロシージャーが試行され、それらのうちのいずれかが肯定的に終了しているか及びそれらのうちのどれが肯定的に終了しているかを検証する。アドバンスドサーチ状態101~105の各々において、マイクロコントローラ12は、その特定のアクティベーションプロシージャーの肯定的な結論をカウントし、カウントが所定の数Nに達するとすぐに、マイクロコントローラ12は、プローブ4(遷移又は転換(commutations)211、212、213、241、251)を、そのようなアクティベーションプロシージャーを特徴とする通信プロトコルに関連するそれぞれの動作状態201、202、203、204、205に切り替える。動作状態201~205の各々において、プローブ4は、それぞれの通信プロトコルを介して基地局と通信することによって、それ自身のチェックサイクルを実行することができる。
【0020】
好ましい実施形態において、相対的なアクティベーションプロシージャーの肯定的結論の数Nが連続している場合に転換211~215が生じる。アドバンスドサーチ状態101~105の各々において、別のアドバンスドサーチ状態101~105に関連する通信プロトコルに関係するアクティベーションプロシージャーの成功した結論が生じた場合、マイクロコントローラ12は、現在のアドバンスドサーチ状態に関するアクティベーションプロシージャーの数をカウントすることを停止し、プローブ4を他のアドバンスドサーチ状態(破線で示され且つ
図3では参照番号で示されていない遷移)に切り替える。好ましい実施形態によれば、プリセットされた数Nは3に等しい。異なるプリセット数Nが、異なる実施形態で提供されることができる。アクティベーションプロシージャーの肯定的な結論は、連続していても、していなくてもよい。
【0021】
特に、好ましい実施形態によれば、転換211~215の各々は、第1のものの後の相対的アクティベーションプロシージャーの肯定的な結論の各々が、前のものからの所定の時間間隔T内に生じる場合に、実行される。例えば、時間間隔Tは1時間に等しい。先の肯定的な結論から所定の時間間隔Tが経過した際に、肯定的な結論を有する新たなアクティベーションプロシージャーが生じなかった場合、プローブ4はデフォルト状態300に切り替えられる。特に、Nが3に等しい場合、アクティベーションプロシージャーの第1の成功した結論からの又は第2の成功した結論からの時間間隔Tの終了時に、新たなアクティベーションプロシージャーが成功して完了しなかった場合、マイクロコントローラ12は、プローブ4を、それがそのときに置かれているサーチ状態100~105のいずれかから抜け出させ、好ましくはプローブ4(遷移301、302、303、304、305、306)をデフォルト状態300に切り替える。デフォルト状態300は、例えば、プローブ4のプリセット通信プロトコルに関連する動作状態に、又はプローブ4の初期サーチ状態100へのエントリーに先立って設定された動作状態に、対応する。
【0022】
サーチ状態100~105の各々において、マイクロコントローラ12は、プローブ4によってエミュレートされる通信プロトコルの全てのアクティベーションプロシージャーを試みるために、
図4に示される時分割多重化スキームに従ってトランスミッター9とレシーバー10及び11とを制御する。
図4の例では、状態101及び201の第1のペアに関連する通信プロトコルが、先に引用された第1のカテゴリーのプロトコルに属し、A、B、C、D、E、Fでマークされた6つの通信チャネルを提供する一方で、他の状態(102及び202、103及び203、104及び204、105及び205)の4つのペアに関連する通信プロトコルが、第2のカテゴリーのプロトコルに属する。通信チャネルA~Fは、例えば、3つの物理チャネルを含み、各物理チャネルに関して2つの論理チャネルを含む。
【0023】
図4を参照すると、サーチ状態100~105において、マイクロコントローラ12は、その種類のプロトコルによって提供されるように、送信の直後に一度に1つの通信チャネル上でビーコン信号を送信するために、たとえば、それら-トランスミッター9及びレシーバー10を周期的に、時分割スキームに従って、第1のカテゴリーの通信プロトコルの異なる通信チャネルA~F上でアクティベートすることによって選択し、同じ通信チャネルを聞いて、相対的なアクティベーションプロシージャーの成功の結論を決める可能アクティベーション信号をそれに応じて受信する。言い換えれば、時分割多重化は、第1のカテゴリーのプロトコルに割り当てられて期間T2で繰り返される時間スロットT1を提供し、そこにおいてトランスミッター9及びレシーバー10がシーケンシャル且つ相補的な方法で選択される。言い換えれば、TX9で示される各スロットT1の第1部分において、レシーバー10が選択解除される一方でトランスミッター9が特定のチャネル上で選択されてビーコン信号を送信し、RX10でマークされている各T1スロットの第2部分において、レシーバー10がその特定の通信チャネル上で選択される一方でトランスミッター9が選択解除され、特に非アクティブ化される。
【0024】
時分割多重化の全体の長さT3は、期間T2と通信チャネルA~Fの数との間の積に実質的に等しい。一例として、タイムスロットT1の長さは2及び3ミリ秒以内であり、期間T2は100ミリ秒に実質的に等しく、したがって長さT3は600ミリ秒に実質的に等しい。
【0025】
ビーコン信号の2回の連続した送信の間の時間間隔において、時間間隔はRX11でマークされ且つ期間T2とT1スロットとの間の差に実質的に等しい長さを有するので、上述の第2のカテゴリーのプロトコルに属する他の4つの通信プロトコルのいずれかに関連する可能アクティベーション信号を受信するために、マイクロコントローラ12は、第2のレシーバー11を選択して低周波数帯で聞く。
【0026】
マイクロコントローラ12は、レシーバー11によって受信される可能性があるアクティベーション信号を識別するように、すなわち受信されたアクティベーション信号の信号バーストの周波数及びシーケンスに基づいて、受信されたアクティベーション信号が(レシーバー11によって受信可能な)4つのプロトコルのうちのどれに属するかを識別するように、構成される。この目的のために、マイクロコントローラ12は、第1に受信された信号の周波数をその後に全ての信号バーストの長さを検知して信号バーストのシーケンスを決めるように、既知の方法でレシーバー11と協働する。
【0027】
図5は、アクティベーション信号を識別するようにマイクロコントローラ12によって実施されるツリー図を、簡略化された方法で示す。
図5を参照すると、レシーバー11によって受信される信号Fの周波数は、上記4つの通信プロトコル(ノード400)の2つの可能周波数F1及びF2と比較される。周波数Fの各値に関して、受信された信号の信号バーストのシーケンスSが、その周波数(ノード401及び402)に関する信号バーストのすべての可能シーケンスと比較される。周波数F1に関する可能シーケンスはS1a、S1b及びS2で示され、周波数F2に関するそれらはS3及びS4で示される。特に、信号バーストのシーケンス間の上記の比較は、シーケンスSの信号バーストの長さと、可能シーケンスS1a、S1b、S2、S3及びS4の信号バーストの長さとの間の比較にある。
【0028】
図5の決定ツリーは、消去プロセスによってアクティベーション信号を識別することを可能にする。アクティベーション信号の識別は、相対的なアクティベーションプロシージャーを肯定的に結論づけて、したがって、プローブ4によってエミュレートされる第2のカテゴリーのプロトコルに属するプロトコルP1~P4の中から基地局7によって使用される通信プロトコルを識別する。
【0029】
図5の例において、プロトコルP1は、信号バーストS1a及びS1bの2つの異なるシーケンスによって識別される2つの論理チャネルch1A及びch1bを含む。プロトコルP4は、トランスミッター9によって送信されるそれぞれの信号バーストシーケンスによって識別される複数の論理チャネルを含み、使用される論理チャネルは、基地局7からの確認を必要とする。したがって、マイクロコントローラ12はトランスミッター9を制御して、時分割スキームに基づいて信号バーストの全ての可能シーケンス(ブロック403)を送信し、レシーバー11を制御して、論理チャネル(chx)を識別するために基地局7からの確認信号R(ブロック404)を待って受信する。
【0030】
したがって上述のプロシージャーは、プローブ4が、通信プロトコルの予備照会及び選択フェーズを必要とすること無く、自律的且つ自動的な方法で基地局7によって使用される通信プロトコルを識別して認識することを、可能にする。
【0031】
上述の方法は、それがそれ自体既知のハードウェアを有するプローブ4において実施されることができ、ハードウェアインターフェースを介してコマンドを与えることによってプローブ4をサーチモードに設定する可能性の結果、ユーザによって曖昧さのない且つ複雑な構成をそれが必要としないという利点を有する。そのようなコマンドは、アーム5のたわみと同時のそのコンパートメント15におけるバッテリー16の挿入などの、シンプルなイベントの発生に対応する。しかしながら、これはサーチモードをアクティベートにするための1つの可能な方法に過ぎない。例えばコンパートメント15に設けられる特定のボタンに対する圧力や、逆極性を有するバッテリーの挿入や、アームのたわみの適切なシーケンスなどの、同様にシンプルなイベントを検知することによって、サーチモードは実際には異なる方法でアクティベートされてもよい。
【0032】
また停止時間を回避するために、プローブ4は、それが完全に動作可能であるように、すなわちそれが複数のアクティベーションプロシージャーのうちの最初のものを含むいずれかが完了した後に、機械ピース2のチェックサイクルを行うことができるように、構成されていてもよい。換言すれば、プローブ4は、アドバンスドサーチ状態101~105のうちの1つに依然としてある場合に、チェックサイクルを実行することができる。
図3のダイアグラムに基づいて、正確かつ最終的な通信プロトコルをサーチする自己認識の方法は、まだアドバンスドサーチ状態101~105にあるプローブ4がスタンバイ状態に戻るとすぐに、継続する。
【0033】
上述の好ましい実施形態によれば、プローブ4をアドバンスドサーチ状態101~105から動作状態201~205へ移動させるためにマイクロコントローラによってカウントされる所定数Nの肯定的なアクティベーションの結果は、例えば3に等しく設定される。しかし、自己認識プロセスを高速化するために、プローブ4は、最初の肯定的な結論が検知されるとすぐに最初のサーチ状態100から直接的に動作状態201~205に移るように、構成されてもよい。
【0034】
換言すれば、本発明によれば、プローブ4は、あるアクティベーションプロシージャーの少なくとも1つの肯定的な結論の検知の際に、動作状態201~205へ直接的に切り替えられることができる。
【0035】
新しい特定のイベントTRIGが検知される場合、自己認識方法が再び開始する。
【0036】
典型的には、プローブ4は、上記の両方のカテゴリーの通信プロトコルをエミュレートする。ただし、必要に応じて、それは、それらの通信プロトコルのカテゴリーのうちの1つのみ、第1のもの又は第2のもの、をエミュレートするように構成されることができる。