(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】クロム触媒、その製造および使用
(51)【国際特許分類】
B01J 23/26 20060101AFI20220307BHJP
C07C 45/29 20060101ALI20220307BHJP
C07C 47/02 20060101ALI20220307BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20220307BHJP
【FI】
B01J23/26 Z
C07C45/29
C07C47/02
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2018561488
(86)(22)【出願日】2017-05-22
(86)【国際出願番号】 US2017033803
(87)【国際公開番号】W WO2017205273
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-05-14
(32)【優先日】2016-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウェイチン ジョー ヅォウ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド ジェイムズ ブロックウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター プファープ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ゲオアク シュヴァープ
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-501827(JP,A)
【文献】国際公開第95/031283(WO,A1)
【文献】特表2014-534899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00-38/74
C07C 1/00-409/44
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化クロム触媒組成物であって、
酸化クロム(III)、および
前記酸化クロム触媒組成物中の酸化クロムの全含有量に対して10000ppm以下の量で存在する酸化クロム(VI)
を含み、
前記酸化クロム触媒組成物は150m
2/g以上のBET表面積および0.2cc/g~1.5cc/gの範囲の細孔容積を有し、
前記細孔容積はASTM D4284-12に準拠して測定され、且つ
酸化クロム(III)と酸化クロム(VI)とが合計で、前記酸化クロム触媒組成物の総質量に対して96質量%以上の量で存在する、
前記酸化クロム触媒組成物。
【請求項2】
前記酸化クロム(VI)が、
前記酸化クロム触媒組成物中の酸化クロムの全含有量に対して5000ppm以下の量で存在する、請求項1に記載の酸化クロム触媒組成物。
【請求項3】
前記酸化クロム(III)が、
前記酸化クロム触媒組成物中の酸化クロムの全含有量に対して99質量%以上の量で存在する、請求項1に記載の酸化クロム触媒組成物。
【請求項4】
前記酸化クロム触媒組成物がキセロゲルであり、且つ、前記キセロゲルが80%以上のアモルファスである、請求項1に記載の酸化クロム触媒組成物。
【請求項5】
前記酸化クロム触媒組成物が、ペレット、ビーズ、押出物、リング、球、円柱、三つ葉または四つ葉状の片の形態である、請求項1に記載の酸化クロム触媒組成物。
【請求項6】
前記酸化クロム触媒組成物が基材と接触している、請求項1に記載の酸化クロム触媒組成物。
【請求項7】
前記基材が、アルミナ(Al
2O
3)、フッ化アルミニウム(AlF
3)、フッ素化アルミナ、シリカ(SiO
2)、チタニア(TiO
2)、ジルコニア(ZrO
2)、酸化マグネシウム(MgO)、フッ化マグネシウム(MgF
2)、フッ化カルシウム(CaF
2)、カーボン材料(例えば活性炭、木炭またはカーボンブラック)またはそれらの組み合わせを含む、請求項6に記載の酸化クロム触媒組成物。
【請求項8】
酸化クロム触媒組成物の製造方法であって、
水性溶剤中および有機の還元溶剤中に酸化クロム(VI)を含む混合物を形成すること、
前記混合物を還流させてスラリーを形成すること、および
前記スラリーを乾燥させて、粉末中の酸化クロムの全含有量に対して10000ppm以下の量の酸化クロム(VI)を有する粉末を形成すること
を含み、前記酸化クロム触媒組成物の細孔容積は0.2cc/g~1.5cc/gの範囲であり、
前記細孔容積はASTM D4284-12に準拠して測定され、前記有機の還元溶剤が、イソブチルアルコール、ベンジルアルコール、エタノールとイソ酪酸との組み合わせ、またはエタノールと酢酸との組み合わせである、前記方法。
【請求項9】
前記方法がさらに、クロム(VI)をクロム(III)に還元することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法がさらに、有機の還元溶剤を酸化することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記有機の還元溶剤がイソブチルアルコールを含み、且つ前記方法がさらに、イソブチルアルコールを酸化して、イソブチルアルデヒドおよびイソ酪酸を形成すること、および
前記イソ酪酸と前記水性溶剤中の酸化クロム(VI)とを反応させて、アセトンおよび二酸化炭素を形成すること、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記還流を、50℃~250℃の範囲の温度で実施する、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記粉末がキセロゲルである、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記キセロゲルは、80%以上がアモルファスである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記粉末が、前記粉末中に存在する酸化クロムの全含有量に対して5000ppm以下の量で酸化クロム(VI)を含有する、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
さらに、前記粉末を、300℃~500℃の範囲の温度でか焼することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
か焼された粉末が、前記か焼された粉末中に存在する酸化クロムの全含有量に対して10000ppm以下の量で酸化クロム(VI)を含有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
さらに、前記粉末と潤滑剤とを配合することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項19】
前記有機の還元溶剤の、酸化クロム(VI)に対するモル比が、0.2~4.0の範囲である、請求項8に記載の方法。
【請求項20】
酸化クロム触媒系であって、
基材、
前記基材と接触している酸化クロム触媒組成物
を含み、
前記酸化クロム触媒組成物は、
酸化クロム(III)、および
前記酸化クロム触媒組成物中の酸化クロムの全含有量に対して10000ppm以下の量で存在する酸化クロム(VI)
を含み、
前記酸化クロム触媒組成物は150m
2/g以上のBET表面積および0.2cc/g~1.5cc/gの範囲の細孔容積を有し、
前記細孔容積はASTM D4284-12に準拠して測定され、且つ
前記酸化クロム(III)と前記酸化クロム(VI)とが合計で、前記酸化クロム触媒組成物の総質量に対して96%以上の量で存在する、前記酸化クロム触媒系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、低減されたレベルの酸化クロム(VI)を有するクロム触媒組成物およびクロム触媒系、並びに前記クロム触媒組成物および系の製造方法、およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
クロム(VI)は六価クロムおよびCr(VI)としても知られており、元素クロムの毒性の形態である。六価クロムは、前駆体または中間体として役立つ多くの異なる産業用途を有する。その用途のいくつかは、染料、塗料、インクおよびプラスチック中のクロム顔料; クロム触媒; 塗料、プライマーおよび他の表面コーティングに添加される防食用クロム剤; クロム電気めっき; 溶接および熱間加工クロム合金およびクロム被覆金属を含む。それは、ポルトランドセメント中の不純物として存在することもある。高レベルの六価クロムへの曝露は、それらの産業に従事する人に対して短期的および長期的な健康上への影響を有することがある。短期的な影響は、鼻、喉、肺および皮膚に影響することがある。そのいくつかの症状は、鼻および喉への刺激、鼻水、くしゃみ、咳、かゆみ、熱感、喘鳴、息切れ、腫脹、かゆみを伴う赤い発疹、および六価クロムと皮膚が直接接触した際のクロム性潰瘍を含む。長期的な影響は、気道、目および皮膚に対する刺激および損傷、および場合により肺ガンを含む。実際に、監督機関は、全てのCr(VI)化合物を職業発ガン物質とみなしている。
【0003】
市販の酸化クロム(III)触媒(Cr2O3)は、1)適した前駆体、例えばクロム酸または酸化クロム(VI)(CrO3)を有機化学物質で還元させるゾルゲル法、および2)水酸化クロムを析出させ、処理して酸化クロム(III)を形成させる析出法、および3)適したクロム前駆体化合物を熱的に変換して、酸化クロム(III)と揮発性の副生成物とを形成させる熱的方法を含む、複数の経路によって合成されている。実験結果は、現在入手可能な経路から得られる触媒は、最新の毒物および危険物の規制に合致しない、やや高いCr(VI)含有量を有することを示す。この欠点は、特に産業規模において、それらの製造、取り扱い、作業および処分を非実用的にしかねない。
【0004】
Cr(VI)の低減は、この数十年の間、水中および土壌中のCr(VI)汚染の環境修復の領域、および従事する人へのCr(VI)の曝露において注目されてきた。還元剤、キレート剤および有機化学物質を組み合わせる方法が、環境浄化およびCr(VI)の排水処理に貢献した一方で、それらの方法は、低いCr(VI)レベルを有する触媒用途のためのCr2O3材料の産業規模の製造に適用可能であることは判明していなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当該技術分野において、最小のCr(VI)レベルを有するクロム触媒、およびクロム触媒用途のためのCr2O3材料を製造するための産業的に適用可能な方法を特定することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本願においては、最小の酸化Cr(VI)含有量を有する酸化クロム触媒組成物および酸化クロム触媒系、その製造方法、その使用方法、およびその様々な用途が開示される。
【0007】
いくつかの実施態様において、本発明は、酸化クロム触媒組成物の製造方法であって、水性溶剤中および有機の還元溶剤中に酸化クロム(VI)を含む混合物を形成すること、前記混合物を還流させてスラリーを形成すること、および前記スラリーを乾燥させて、乾燥粉末中の酸化クロムの全含有量に対して約10000ppm以下の量の酸化クロム(VI)を有する粉末を形成することを含む、前記方法に関する。いくつかの実施態様において、乾燥された粉末をか焼してよい。いくつかの実施態様において、乾燥された粉末、または乾燥され、か焼された粉末をさらに、潤滑剤、例えばグラファイトと混合できる。いくつかの実施態様において、潤滑剤と混合されたかまたは混合されていない、乾燥された粉末または乾燥され、か焼された粉末を、様々な形状へと圧縮(例えばタブレットを形成)、ペレット化、または押出技術によって加工(例えば押出物を形成)できる。
【0008】
いくつかの実施態様において、水性溶剤中および有機の還元溶剤中のクロム(VI)の混合物を、酸化クロム(VI)を水性溶剤中にまず溶解させて溶液(「溶液A」として示す)を形成し、その後、有機の還元溶剤を溶液Aに添加して、スラリーを形成することによって形成できる。他の実施態様において、前記混合物を、水性溶剤中で酸化クロム(VI)をまず溶解して溶液Aを形成し、その後、溶液Aを有機の還元溶剤中に添加することによって形成できる。さらに他の実施態様において、前記混合物を、水性溶剤と有機の還元溶剤とをまず混合して、その後、酸化クロム(VI)を該混合物中に添加することによって形成できる。
【0009】
いくつかの実施態様において、乾燥された粉末、乾燥され焼成された粉末、配合された粉末、圧縮された粉末、ペレット化された粉末、押出された粉末および/または工程中の全ての他の固形の中間体は、酸化クロム(VI)を、固形の中間体中の酸化クロムの全含有量に対して約10000ppm以下、約5000ppm以下、約2000ppm以下、約1000ppm以下、約500ppm以下、約250ppm以下または約100ppm以下の量で有し得る。
【0010】
いくつかの実施態様において、本発明は、酸化クロム触媒組成物の製造方法であって、クロム(VI)をクロム(III)へと還元することを含む前記方法に関する。いくつかの実施態様において、前記方法は、有機の還元溶剤を酸化することを含む。いくつかの実施態様において、有機の還元溶剤の酸化クロム(VI)に対するモル比は、約0.2~約4.0、約0.3~約3.0、約0.4~約2.0、0.5~約1.5、約0.6~約1.3、約0.75~約1.5または約1~約1.25の範囲であってよい。
【0011】
1つの実施態様において、水性溶剤は水を含み得る。いくつかの実施態様において、有機の還元溶剤は、アルコール、アルデヒド、カルボン酸またはそれらの組み合わせを含み得る。1つの実施態様において、前記アルコールはイソブチルアルコールを含み得る。1つの実施態様において、有機の還元溶剤は、ベンジルアルコールを含み得る。1つの実施態様において、有機の還元溶剤は、エタノールとイソ酪酸との組み合わせ、またはエタノールと酢酸との組み合わせを含み得る。水性溶剤と有機の還元溶剤との混合物は、二成分相の混合物または三成分相の混合物を形成できる。いくつかの実施態様において、有機の還元溶剤は、溶剤として、且つ還元剤として作用する。いくつかの実施態様において、追加的な還元剤、溶剤またはキレート剤は工程に添加されない。
【0012】
1つの実施態様において、水性溶剤が水を含み且つ有機の還元溶剤がイソブチルアルコールを含む場合、前記方法は、酸化クロム(VI)を水中で溶解させること、イソブチルアルコールを酸化してイソブチルアルデヒドおよびイソ酪酸を形成すること、および前記イソ酪酸と溶解された酸化クロム(VI)とを反応させてアセトンと二酸化炭素とを形成することを含み得る。
【0013】
いくつかの実施態様において、本発明は、酸化クロム触媒組成物の製造方法であって、前記触媒組成物がアモルファスゲルであってよい前記方法に関する。いくつかの実施態様において、前記アモルファスゲルは、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約98%以上、約99%以上、または約100%がアモルファスであってよい。いくつかの実施態様において、前記アモルファスゲルは、キセロゲルであってよい。
【0014】
いくつかの実施態様において、本発明は、還元経路によって製造される触媒組成物に関する。他の実施態様において、本発明は、析出経路によって製造される触媒組成物に関する。さらに他の実施態様において、本発明は、熱分解経路によって製造される触媒組成物に関する。還元、析出および熱分解の経路を、以下でより詳細に議論する。いくつかの実施態様において、本発明は、本願内に開示される酸化クロム触媒組成物をもたらす他の経路によって製造される酸化クロム触媒組成物に関し得る。
【0015】
いくつかの実施態様において、本発明は酸化クロム(III)および酸化クロム(VI)を含む酸化クロム触媒組成物であって、酸化クロム(VI)が、触媒組成物中の酸化クロム全体に対して約10000ppm以下、約5000ppm以下、約2000ppm以下、約1000ppm以下、約500ppm以下、約250ppm以下または約100ppm以下の量で存在し得る前記組成物に関する。いくつかの実施態様において、酸化クロム(III)は、触媒組成物中の酸化クロム全体に対して約99質量%以上の量で存在し得る。
【0016】
いくつかの実施態様において、酸化クロム(III)と酸化クロム(VI)とが合計で、酸化クロム触媒組成物の総質量に対して約80質量%以上、約85質量%以上、約90質量%以上、約95質量%以上、約96質量%以上、約97質量%以上、約98質量%以上、または約99質量%以上の量で存在する。
【0017】
いくつかの実施態様において、酸化クロム触媒組成物は、BET(Brunauer-Emmett-Teller)表面積約50m2/g以上、または約150m2/g以上を有し得る。前記のBET表面積は、ISO 9277:2010で開示されるBETモデルに従って測定および計算できる(以下でより詳細に説明する)。いくつかの実施態様において、BET表面積は、約150m2/g~約350m2/g、約200m2/g~約325m2/g、または約300m2/g~にわたることができる。いくつかの実施態様において、酸化クロム触媒組成物は、高い細孔容積を有し得る。いくつかの実施態様において、前記酸化クロム触媒組成物を様々な形状へと圧縮(例えばタブレットを形成)、ペレット化、または押出技術によって加工(例えば押出物を形成)できる。
【0018】
いくつかの実施態様において、本発明は、基材と接触した酸化クロム触媒組成物を含む酸化クロム触媒系に関する。いくつかの実施態様において、前記触媒組成物および/または触媒系はさらに、1つまたはそれより多くの助触媒および/または共触媒を含み得る。
【0019】
いくつかの実施態様において、本発明は、ハロゲン化炭化水素(hydrohalocarbon)化合物の製造方法であって、ハロゲン化炭化水素出発材料と、本願内に開示される実施態様による酸化クロム触媒組成物および/または酸化クロム触媒系とを接触させることを含む前記方法に関する。
【0020】
「基材」との用語は、その上またはその中に触媒組成物が設置される材料(例えば金属、半金属、半金属酸化物または金属酸化物)に関する。いくつかの実施態様において、基材は、複数の触媒粒子を含有するウォッシュコートを有する固体表面の形態であってよい。いくつかの実施態様において、基材は多孔質の固体表面の形態であってよく、且つ触媒組成物を細孔の外側および/または細孔の内側で基材上に含浸させることができる。適した基材の形状は、押出物、球、タブレット、モノリス、ハニカム、ペレット、粒質物および粉末を含む。
【0021】
「アモルファス」との用語は、試料をX線回折(XRD)で分析する際に、回折パターン中に基線のバックグラウンド信号が存在し、鋭い反射が不在であることに関する。
【0022】
「キセロゲル」との用語は、ゾルゲル法によって製造され、標準状態下で例えば蒸発により乾燥されるゲルに関する。通常の乾燥条件は、ゲルに毛管圧を印加し、それによって収縮するとともにゲルのネットワークを緻密化して、キセロゲルを形成することができる。
【0023】
「酸化クロム(VI)」および「クロム酸」との文言は、本願を通して互換的に使用され、且つ他の一般名、例えば「三酸化クロム」および「無水クロム」を包含するとも理解される。
【0024】
「酸化クロムの全含有量」との用語は、存在する全ての酸化クロム種の合計に関し、且つ限定されずに酸化クロム(III)、酸化クロム(VI)、酸化クロム(IV)および酸化クロム(II)を含む様々な酸化状態を包含することを意味する。
【0025】
「触媒組成物」との用語は、触媒活性を担う有効な成分に関する。
【0026】
「触媒系」との用語は、触媒組成物、並びに任意の捕捉的な添加剤、例えば基材、助触媒、結合剤、安定剤などに関する。
【0027】
本開示の上記および他の特徴、その性質、および様々な利点は、以下の詳細な説明を添付の図面と関連付けて考慮するとより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、1つの実施態様による酸化クロム触媒組成物の製造方法を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
詳細な説明
本開示は、最小のクロム(VI)含有量を有する酸化クロム触媒組成物の製造方法に関する。本願内に開示される方法は、多くの利点、例えば単独の有機化学物質(またはいくつかの実施態様においては2つの有機化学物質)を有する有機の還元溶剤を、追加的な化学物質またはキレート剤を用いずに使用すること、ゾルゲル法を使用すること、工程中の種々の段階で遭遇する全ての中間体が、最小の酸化クロム(VI)レベルを有するので、安全な産業規模での取り扱いが可能になり、且ついくつかの実施態様においては、規制されている限界未満の酸化クロム(VI)のレベルを有するという利点を有し得る。
【0030】
酸化クロム触媒組成物および/または系の製造方法
本開示は、最小の酸化クロム(VI)レベルを有する酸化クロム触媒組成物および/または系の製造方法、およびいくつかの実施態様においては、規制されている限界未満である酸化クロム(VI)レベルを有する酸化クロム触媒組成物および/または系の製造方法に関する。
【0031】
いくつかの実施態様において、酸化クロム(VI)のレベルが低減された多孔質のCr2O3粉末を、「還元経路」として、または「有機経路」知られる方法によって製造できる。この方法は、エタノールおよび/または他の還元剤を使用して、酸化クロム(VI)を酸化クロム(III)へと還元する。例示的な還元経路法は、米国特許第2271356号明細書(ゲルタイプのCr2O3触媒を、酸化クロム(VI)と様々な還元剤(例えばエタノールおよびシュウ酸)とを水溶液中で反応させることによって製造することを開示)、および米国特許第3258500号明細書(Cr2O3触媒を製造するためのゾルゲル法および顔料乾燥法を開示)内で議論されている。これらの特許内で開示される方法を、本願内で開示されるようにさらに変更して、酸化クロム(VI)レベルが低減された最終的な酸化クロム触媒組成物および/または系を製造できる。
【0032】
いくつかの実施態様において、触媒組成物を、「無機経路」としても知られる「析出経路」を使用して製造できる。この方法は、クロム(III)塩前駆体(例えば硝酸塩、塩化物塩、硫酸塩等)を水溶液中に溶解して使用し、溶液、例えばアンモニア溶液で処理して、水酸化クロム析出物を形成する。無機経路下で、酸化クロムを形成するために、水酸化クロム析出物は、さらなる処理段階、例えばろ過、乾燥、か焼などを経ることがある。酸化クロムを製造するための例示的な析出経路の工程は、米国特許第6300531号明細書、米国特許第5523500号明細書、および米国特許第5155082号明細書(水性クロム塩を水性アンモニアまたはアルカリ金属水酸化物と混合して、水酸化クロムを析出させる、例示的な方法を開示)内に開示されている。
【0033】
いくつかの実施態様において、触媒組成物を、「熱分解」経路を使用して製造できる。この方法は、クロム前駆体(例えば、二クロム酸(VI)アンモニウム、二クロム酸(VI)ナトリウム、二クロム酸(VI)カリウム、クロム酸等)を使用し、それが熱処理(通常、400℃を上回る高温)で酸化クロムを形成し、且つ揮発性の副生成物を放出する。クロム前駆体の選択に依存して、「熱分解経路」によって得られる酸化クロムは、例えばアンモニウム、ナトリウムまたはカリウムを含有することもあるし、含有しないこともある。そのような化合物のレベルを、クロム前駆体の熱分解後に水または適した有機溶剤を用いた洗浄段階を行うことによって低減できる。「熱分解」経路に従う酸化クロムの例示的な製造方法は、米国特許第5036036号明細書内で議論されている。
【0034】
これらの特許内で開示される方法を、本願内で開示されるようにさらに変更して、酸化クロム(VI)レベルが低減された最終的な触媒組成物および/または系を製造できる。本発明の対象は、本願内で開示される経路の全てによって製造された酸化クロム(III)触媒組成物および/または系を包含する。
【0035】
様々な実施態様をここで、以下の図面および例を参照して説明する。いくつかの例示的な実施態様を説明する前に、本開示は以下の説明に記載される構成または工程段階の詳細に限定されないことが理解されるべきである。他の実施態様を、記載される原理に従う様々な方式で実行または行うことができる。
【0036】
図1は、本発明の1つの実施態様による酸化クロム触媒組成物を製造するための例示的なゾルゲル方法100を模式的に説明する。ブロック110で、前記方法は、酸化クロム(VI)と、水性溶剤と、有機の還元溶剤とを含む混合物を形成することを含み得る。前記混合物は、考え得るいかなる順序でも形成できる。いくつかの実施態様において、酸化クロム(VI)は水性溶剤中に溶解されて、まず溶液Aを形成でき、その後、有機の還元溶剤を溶液Aに添加できる。いくつかの実施態様において、溶液Aを有機の還元溶剤に添加できる。いくつかの実施態様において、水性溶剤および有機の還元溶剤を混合または予め混合でき、その溶剤混合物に酸化クロム(VI)を添加できる。添加を、予め決められた時間にわたって制御できる。選択的に、添加は瞬時であってよい。
【0037】
いくつかの実施態様において、水性溶剤は水であってよい。いくつかの実施態様において、有機の還元溶剤は、アルコール、アルデヒド、カルボン酸またはそれらの組み合わせ、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、イソプレノール、ベンジルアルコール、イソブチルアルデヒド、イソ酪酸、酢酸、エタノールおよび酢酸、エタノールおよびイソ酪酸等であってよい。いくつかの実施態様において、水性溶剤および有機の還元溶剤は、溶剤の互いの可溶性に依存して、二成分相の混合物または三成分相の混合物を形成できる。いくつかの実施態様において、添加は、発熱反応をもたらし、混合物の温度を高めることがある。
【0038】
いくつかの実施態様において、有機の還元溶剤の酸化クロム(VI)に対するモル比は、約0.2~約4.0、約0.3~約3.0、約0.4~約2.0、約0.5~約1.5、約0.6~約1.3、約0.75~約1.5または約1~約1.25の範囲であってよい。
【0039】
ブロック120で、前記方法はさらに、混合物を還流させてスラリーを形成することを含む。還流を、約50℃~約250℃、約70℃~約150℃、または約85℃~約95℃の範囲の高温で行うことができる。還流を、約30分~約24時間、約1時間~約20時間、約3時間~約16時間の範囲の時間にわたって、または生じるスラリー中の酸化クロム(VI)含有量を予め定められたレベル未満に低下させるために必要な時間の間、行うことができる。前記の予め定められたレベルは例えば、スラリー中に存在する酸化クロムの全含有量に対して、約10000ppm以下、約5000ppm以下、約2000ppm以下、約1000ppm以下、約500ppm以下、約250ppm以下または約100ppm以下の酸化クロム(VI)であってよい。
【0040】
還流の存在、その温度、および時間は、該方法において使用される水性溶剤および有機の還元溶剤に依存し得る。いくつかの実施態様において、全く還流がないことがある。いくつかの実施態様において、溶液Aと混合された第1の有機の還元溶剤を、第1の時間の間還流できる。前記第1の時間は、約30分~約24時間、約1時間~約20時間、約3時間~約16時間、または生じるスラリー中の酸化クロム(VI)含有量を予め定められたレベル未満に低下させるために必要な時間の範囲であってよい。その後、第2の有機の還元溶剤を添加でき、引き続き、その混合物および/またはスラリーを、第2の有機の還元溶剤の添加後さらに第2の時間の間還流させて、所望の酸化クロム(VI)レベルに到達できる。第2の還流時間および温度は、第1の還流時間および温度と等しくても、それより短くても、または長くてもよく、且つ、該方法において使用される水性化学物質および有機化学物質に依存し得る。
【0041】
ブロック130で、前記方法はさらに、混合物中のクロム(VI)をクロム(III)に還元することを含む。いくつかの実施態様において、還元反応は、水性溶剤、有機の還元溶剤および酸化クロム(VI)混合物の形成に際して直ちに生じる。いくつかの実施態様において、還元反応は、還流の間に生じる。還元は、単独の還流段階の間、または複数の還流段階の間に生じることができる。いくつかの実施態様において、有機の還元溶剤は、還元剤と溶剤との両方として作用し、クロム(VI)をクロム(III)へと還元する。いくつかの実施態様において、有機の還元溶剤は、クロム(VI)のクロム(III)への還元の結果として酸化される。いくつかの実施態様において、前記混合物および/またはスラリーは、任意の他の添加剤、例えば還元剤またはキレート剤不含であってよく、前記混合物および/またはスラリー中の成分は水性溶剤、有機の還元溶剤、酸化クロム(VI)およびそれらから生じる任意の反応生成物のみである。
【0042】
1つの実施態様において、水性溶剤は水を含むことができ、且つ有機の還元溶剤はイソブチルアルコールを含み得る。前記酸化クロム(VI)は、水中に溶解されて酸化クロム(VI)溶液を形成できる。次いで、イソブチルアルコールを前記酸化クロム(VI)溶液に添加して、二成分系混合物を形成できる。イソブチルアルコールの添加は発熱反応をもたらすことができ、それによって混合物の温度が例えば約25℃~約50℃の範囲に高まる。外部加熱を使用して混合物の温度を例えば約85℃~約95℃の範囲に高めることができる。外部加熱で得られた温度範囲で温度を保持することができ、次いでその反応を約3時間、還流させることができる。還流の間、いくつかの反応が生じることができ、例えば1)クロム(VI)がクロム(III)に還元されることができ、2)イソブチルアルコールがイソブチルアルデヒドおよびイソ酪酸へと酸化されることができ、且つ3)イソ酪酸が酸化クロム(VI)と反応してアセトンと二酸化炭素とを形成できる。ブロック130で、ゾルゲルスラリーが形成され得る。それらの反応、並びに他の実施態様において生じる反応は、スラリー中に存在する酸化クロムの全含有量に対して、約10000ppm以下、約5000ppm以下、約2000ppm以下、約1000ppm以下、約500ppm以下、約250ppm以下または約100ppm以下である酸化クロム(VI)レベルを達成できる。
【0043】
次いで、ゾルゲルのスラリーはブロック140へと進むことができ、スラリーを乾燥して最小レベルの酸化クロム(VI)を有する粉末を形成する。ゾルゲルのスラリーを標準条件下で乾燥させる場合、つまり、液体が徐々に蒸発し且つ超臨界的な条件ではない場合、濃厚なキセロゲルが形成され得る。乾燥は、約50℃~約200℃、約100℃~約150℃の範囲の温度、または約120℃で行うことができる。いくつかの実施態様において、乾燥を空気中で実施してよい。他の実施態様において、乾燥を窒素下で実施してよい。いくつかの実施態様において、スラリーの乾燥はケークを形成することがあり、そのケークをその後、造粒して、乾燥された粉末を形成できる。
【0044】
乾燥された粉末を、ブロック150に示すとおり、任意にか焼できる。か焼は、約300℃~約500℃、または約350℃~約450℃の範囲の温度で行うことができる。いくつかの実施態様において、か焼を空気中で実施してよい。他の実施態様において、か焼を窒素下で実施してよい。さらに他の実施態様において、か焼を流れの下で実施してよい。
【0045】
乾燥され、か焼されたかまたはか焼されていない粉末に、ブロック160に示すとおり、潤滑剤を配合できる。潤滑剤は、生じる触媒組成物の流動性を改善できる。潤滑剤は、グラファイト、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または六方晶系の窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、酢酸クロム水和物、または酢酸クロム水酸化物の1つまたはそれより多くであってよい。いくつかの実施態様において、潤滑剤は、低いパーセンテージの水を有するグラファイトであってよい。
【0046】
乾燥され、か焼されたかまたはか焼されていない、および潤滑剤を配合されたかまたは配合されていない粉末を、場合により、ブロック170に示すとおり、様々な形状へと圧縮(例えばタブレットを形成)、ペレット化、または押出技術によって加工(例えば押出物を形成)できる。例えば、圧縮された、ペレット化された、または押出された触媒組成物を、ペレット、ビーズ、押出物、リング、球、円柱、三つ葉および四つ葉状の片として成型できる。
【0047】
乾燥された粉末(か焼され、潤滑剤を配合され、圧縮またはペレット化されたかどうかにはかかわらず)は、ブロック180に従って、最終的な酸化クロム触媒組成物を形成でき、以下でさらに詳細に説明する。
【0048】
乾燥および/またはか焼および/または配合および/または圧縮および/またはペレット化された粉末、および/または押出されたおよび/または最終的な酸化クロム触媒組成物中の酸化クロム(VI)のレベルは、乾燥および/またはか焼および/または配合および/または圧縮および/またはペレット化された粉末、および/または押出されたおよび/または最終的な酸化クロム触媒組成物中に存在する酸化クロムの全含有量に対して、約10000ppm以下、約5000ppm以下、約2000ppm以下、約1000ppm以下、約500ppm以下、約250ppm以下、または約100ppm以下であってよい。
【0049】
溶解されたクロム(VI)または酸化クロム(VI)の濃度は、公に使用可能なEPA(Environmental Protection Agency)の方法7196Aに準拠して測定できる。7196Aの方法において、溶解されたクロム(VI)の濃度は、クロム(VI)とジフェニルカルバジドとの酸性溶液中での反応によって、比色分析により測定される。赤紫色の未知の組成物が反応において生成する。その組成物の吸収は、測光法により540nmで測定され得る。前記反応は敏感であるので、干渉量の物質、例えば、ジフェニルカルバジドと反応して色を生じることもあるモリブデン、バナジウム、水銀および鉄の不在下で反応が行われることが確実であるように注意する。使用できる例示的な比色装置は、分光光度計(1cm以上の光路で、540nmで使用する)、またはフィルター光度計(1cm以上の光路で、540nm付近での最大透過率を有する黄緑色のフィルターを備える)を含む。
【0050】
最終的な酸化クロム触媒組成物を、捕捉的な添加剤と組み合わせて、最終的な酸化クロム触媒系を形成してもよい。例えば、酸化クロム触媒組成物を、基材上および/または基材中に分散させてもよいし、または酸化クロム触媒組成物を1つまたはそれより多くの助触媒、結合剤、共触媒またはそれらの組み合わせと、工程の様々な段階で組み合わせてもよい。
【0051】
酸化クロム触媒組成物
いくつかの実施態様において、本発明は酸化クロム(III)および酸化クロム(VI)を含む酸化クロム触媒組成物であって、酸化クロム(VI)が、酸化クロム触媒組成物中の酸化クロム全体に対して約10000ppm以下、約5000ppm以下、約2000ppm以下、約1000ppm以下、約500ppm以下、約250ppm以下または約100ppm以下の量で存在し得る前記組成物に関する。いくつかの実施態様において、酸化クロム(III)は、酸化クロム触媒組成物中の酸化クロム全体に対して約99質量%以上の量で存在し得る。
【0052】
いくつかの実施態様において、酸化クロム(III)と酸化クロム(VI)とが合計で、酸化クロム触媒組成物の総質量に対して約80質量%以上、約85質量%以上、約90質量%以上、約95質量%以上、約96質量%以上、約97質量%以上、約98質量%以上、または約99質量%以上の量で触媒組成物中に存在する。
【0053】
いくつかの実施態様において、酸化クロム触媒組成物は、アモルファスゲル、例えばキセロゲルであってよい。いくつかの実施態様において、前記アモルファスゲルは、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約98%以上、約99%以上、または約100%がアモルファスであってよい。本願内で開示されるアモルファス含有率は、PANalytical X’Pert Pro XRD装置を使用して測定できる。前記装置は、100%のNBS(Nation Bureau of Standards)標準を用いて較正されている。全ての試料を、約32.5°~約34.5°の範囲の2θ角の間で走査し、典型的には約33.6°の2θ角で存在するα-Cr2O3の主ピーク(d-2.665)が包含される走査を確実にする。アモルファス含有率の決定は、リートベルト解析を使用して行う。
【0054】
いくつかの実施態様において、酸化クロム触媒組成物は、約150m2/g以上の高いBET表面積を有し得る。いくつかの実施態様において、酸化クロム触媒組成物のBET表面積は、約150m2/g~約350m2/g、約200m2/g~約325m2/g、約240m2/g~約325m2/g、または約300m2/gの範囲であってよい。本願内に開示されるBET表面積は、2つのマイクロメトリクス装置、つまり、Gemini V/VII表面積分析機およびTriStar II plusを使用して測定できる。両方の装置におけるISO(国際標準化機構)の試験方法は9277:2010であり、「ガス吸着による固体の比表面積測定-BET法」と題されている。
【0055】
酸化クロム触媒組成物は、約0.3g/cc~約1.0g/cc、約0.4g/cc~約0.9g/cc、または約0.45g/cc~約0.8g/ccの範囲の中央かさ密度を有し得る。本願内で開示されるかさ密度は、米国試験材料協会(ASTM) D7481-0の「メスシリンダーを使用した粉末のゆるみかさ密度およびタップかさ密度を測定するための標準試験方法」と題された方法を使用して測定でき、且つScott塗料容積計(濃度計)装置において分析される。
【0056】
酸化クロム触媒組成物は、約0.2cc/g~約2.0cc/g、約0.4cc/g~約1.5cc/g、または約0.4cc/g~約1.2cc/gの範囲の細孔容積を有する多孔質であってよい。本願内に開示される細孔容積は、2つの方法、つまり、水銀(Hg)法と窒素(N2)法によって測定できる。Hg法は、ASTM D4284-12の「水銀圧入ポロシメトリーによる触媒および触媒担体の細孔容積分布を測定するための標準試験方法」と題された方法を使用し、Micromeritics AutoPore V装置において分析される。N2法は、ASTM D4222-03(2008)の、「静的容積測定による触媒および触媒担体の窒素吸着および脱着等温式を測定するための標準試験方法」と題された方法を使用し、Micromeritics TriStar II Plus装置において分析される。
【0057】
いくつかの実施態様において、酸化クロム触媒組成物は、様々な形状、例えばタブレット、ペレット、ビーズ、押出物、リング、球、円柱、星型、中空星型、三つ葉、中空三つ葉、四つ葉、および中空四つ葉に成型された片を含み得る。
【0058】
酸化クロム触媒系
いくつかの実施態様において、本発明は、基材、例えばアルミナ(Al2O3)、フッ化アルミニウム(AlF3)、フッ素化アルミナ、シリカ(SiO2)、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)、酸化マグネシウム(MgO)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化カルシウム(CaF2)、カーボン材料(例えば活性炭、木炭またはカーボンブラック)またはそれらの組み合わせと接触した酸化クロム触媒組成物を含む、酸化クロム触媒系に関する。前記基材は、酸化クロム触媒系中で、酸化クロム触媒系の総質量に対して約95質量%までの量で存在できる。
【0059】
いくつかの実施態様において、酸化クロム触媒系はさらに、1つまたはそれより多くの共触媒および/または助触媒、例えばリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、レニウム(Re)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、ケイ素(Si)、リン(P)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)、セレン(Se)、テルル(Te)、トリウム(Th)、ウラン(U)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、鉛(Pb)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)、ランタノイドの列からの元素(希土類元素)に基づく化合物、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0060】
共触媒および/または助触媒の適した化合物は、ハロゲン化物、酸化物、オキシハロゲン化物、またはそれらの混合物を含む。助触媒および/または共触媒は、それらの元素状態で、例えばそれらの金属または半金属形態で存在してもよい。共触媒および/または助触媒は、酸化クロム触媒組成物の一部であってよく、且つ基材と接触していてよい。当該技術分野で公知の方法、例えば含浸、共沈、または粉末混合を適用して、助触媒および/または共触媒を触媒系中に含ませることができる。酸化クロム触媒系の製造を、工程の溶剤、例えば水、有機溶剤、希酸(例えば硝酸)、希塩基(例えばアンモニア)またはそれらの混合物の添加によって補助することができる。助触媒および/または共触媒は、酸化クロム触媒系中で、酸化クロム触媒系の総質量に対して約0.5質量%~約30質量%の範囲の量で存在できる。
【0061】
ハロゲン化炭化水素の製造方法
歴史的に、アンモニアは冷却において使用されていた。アンモニアの漏洩から生じるその高い毒性および致命的な影響は、クロロフルオロカーボン(CFC)およびフルオロカーボン(FC)の開発を導いた。CFCは、塩素、フッ素および炭素の元素から構成される合成の化合物であり、初めは冷媒用途のために開発された。それらの化合物は、不活性であり、非毒性であり且つ容易に圧縮できる性質ゆえに、冷媒として特に適しているとみなされた。FCは、フッ素および炭素の元素のみで構成される合成の化合物である。
【0062】
CFCが環境に有害であることが後に発見された。CFCが空気中に放出されると、それらは大気中を上向きにゆっくりと流れ、そして長期にわたって未反応のままで、成層圏に到達し、そこでそれらは太陽からの紫外光に曝露されて、その紫外光がCFCを活性化し、それらの炭素と塩素との結合を破壊し、そのことによって塩素原子を放出する。塩素原子は成層圏中のオゾンと反応し、それが成層圏中のオゾンと酸素との平衡を妨害し、「オゾン層」としても知られる成層圏(高高度)のオゾンの破壊に寄与する。
【0063】
結果として、CFCの将来の生産および使用は大幅に制限され、且つ場合によっては禁止された。CFCの生産は、20世紀の終わりには完全に段階的に廃止された。ハロゲン化炭化水素(HFC)、および第三世代のハロゲン化炭素としても知られるクロロフルオロ炭化水素(HCFC)は、CFCの代替として低温産業に導入された。HFCは、炭素原子に結合された水素およびフッ素で構成され、且つHCFCは、炭素原子に結合された水素、フッ素および塩素原子で構成される。水素と炭素との結合の存在は、HFCおよびHCFCを、CFCよりも反応性にし、ひいては、環境分解により敏感にする。従って、HFCおよびHCFCは、成層圏に到達し且つ損傷することなく、より低い高度で破壊される。同時に、水素原子の存在は、HFCおよびHCFCの沸点を低下させ、HFCと比較して劣った冷却効率をもたらす。さらには、HFCおよびHCFCは成層圏には到達しない一方で、より低い大気中でのそれらの濃度が高まる結果として、それらは地球温暖化の加速に寄与する潜在的な温室効果ガスとして特定されている。従って、近年はHFCおよびHCFCが段階的に廃止されようとしており、第四世代のハロゲン化炭化水素、例えばハイドロフルオロオレフィン(HFO)、ハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)および炭化水素(HC)の開発が目指されている。HFOは不飽和のHFCであり、炭素原子に結合された水素およびフッ素で構成されるが、炭素原子間に少なくとも1つの二重結合を含有する。HCFOは不飽和のHCFCであり、炭素原子に結合された水素、塩素およびフッ素で構成されるが、炭素原子間に少なくとも1つの二重結合を含有する。HCは自然に作り出されるので、「自然冷媒」とも称され、水素および炭素のみで構成される。HFOおよびHCは、それらが温室効果ガスに与える影響が少ないこと、地球温暖化の可能性が最小であること、オゾン層破壊の可能性が低いこと、費用効率、およびエネルギー効率ゆえに、環境に優しいとみなされている。様々な用途、例えば冷却(移動型および定置型の用途、冷蔵および空調を含む)および発泡のために地球規模で開発されている例示的なHFOは、2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234yf)、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234ze(E))、シス-1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234ze(Z))、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd(E))、シス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd(Z))、3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1224yd)および1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO-1336mz)およびそれらの構造異性体および立体異性体(空間的な異性体)を含む。それら全ての化合物は、わずかなオゾン層破壊の可能性および極めて低い地球温暖化の可能性しか有さない。HFO-1234yfは車両において使用されている(欧州における2011年モデルの車および米国における2013年モデルの車)。HFO-1234ze(E)は、例えば住宅、小型商用空調および熱ポンプ用途、自動販売機、冷蔵庫、飲料ディスペンサ、空気乾燥器、商用の冷却における二酸化炭素カスケードシステムなどにおいて使用することが意図されている。
【0064】
HCは現在、欧州でスタンドアローン型の冷却用途、例えば冷蔵庫、ボトルクーラー、スプリット空調ユニット、家庭用冷蔵庫、冷凍庫などとして使用されている。米国ではHCの使用は、その可燃性の高さゆえに、いくぶん制限されている。
【0065】
一般に、CFC、FC、HCFC、HFO、HCFOおよびHCの群から選択される2つまたはそれより多くの炭化水素を含有する配合物も、上述の用途に適用できる。そのような配合物において、ハロゲン化炭化水素は、上記の群の同じものから、または異なるものから選択できる。例えば、R404AはHFC-125、HFC-143aおよびHFC-134aを44%/52%/4%の比で含有する市販の配合物であり、R407CはHFC-32、HFC-125およびHFC-134aを23%/25%/52%の比で含有する市販の配合物であり、且つR410AはHFC-32およびHFC-125を50%/50%の比で含有する市販の配合物である。
【0066】
いくつかの実施態様において、本発明は、ハロゲン化炭化水素の製造方法であって、ハロゲン化炭化水素出発材料と、1つの実施態様による酸化クロム触媒組成物または酸化クロム触媒系とを接触させることを含む前記方法に関する。そのような方法を、固定床、移動床、流動床、スラリー床反応器の設計を使用して、気相、蒸気層、液相、スラリー相またはガスと液体の混合された反応器の稼働条件を適用して、行うことができる。そのような方法を、連続式またはバッチ式で行うことができる。有機化合物中にフッ素を導入するための多くの公知の方法があるが、フッ化水素(HF)が多くの商業用途にとって最も経済的なフッ素源であるとみなされる。ハロゲン交換反応(例えば塩素原子をフッ素原子と交換)、水素置換反応(例えば水素原子をフッ素原子と交換)、およびフッ化水素を不飽和の炭素・炭素結合(二重結合および三重結合を含む)に付加すること(フッ化水素フッ化)が、最もよく用いられる方法である。適した方法はさらに、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第11巻、858~876ページ、Organic Fluorine Compounds(著者William X.Bajzer)内に記載され、それは参照をもって本願内に含まれるものとする。
【0067】
いくつかの実施態様において、そのようなハロゲン化炭化水素化合物を製造するための適した方法は、フッ化水素(HF)の存在下でのフッ化水素フッ化反応を含む。一般に、そのような方法は、フッ化水素(HF)が放出され且つ不飽和の炭素・炭素結合が形成される脱フッ化水素反応も含む。
【0068】
該方法によって製造されたハロゲン化炭化水素化合物は、例えば冷媒(冷却、冷蔵および空調のための移動型および定置型の用途を含む)、発泡剤、エアロゾル噴射剤、溶剤、電子ガス、消火剤、並びにフルオロポリマー、フルオロエラストマー、クロロフルオロポリマーおよびクロロフルオロエラストマー前駆体として有用である。
【0069】
酸化クロム触媒組成物または酸化クロム触媒系は、ハロゲン化炭化水素出発材料と接触する前に活性化された(または再生された)形態で存在してもよい。活性化(または再生)の間、酸化クロムは完全または部分的に相応のクロムオキシハロゲン化物、クロムハロゲン化物またはそれらの混合物へと変換され得る。酸化クロム触媒組成物が、一般実験式CrxOyHalzに相応するクロムオキシハロゲン化物として存在する場合、前記xは1~2であり、yおよびzはクロム(Cr)の価数が満たされるように選択される。クロムの価数は典型的には3~6である。可能性のあるハロゲン化物(Hal)は、塩化物およびフッ化物である。従って、例示的な活性化された(または再生された)形態のクロムは、クロムのオキシ塩化物、塩化物、クロロフッ化物、オキシクロロフッ化物、オキシフッ化物またはフッ化物の1つまたはそれより多くを含み得る。活性化(または再生)を、例えば酸化クロム触媒組成物を無水フッ化水素(HF)で、任意に酸素の存在下で処理することによって実施できる。
【0070】
汚染の結果として活性が落ちる酸化クロム触媒組成物または触媒系を、表面上に堆積する生成物(有機生成物、コークおよびその種のもの)を酸化し且つ揮発性の生成物へと変換できる化合物を用いて、触媒組成物または系の表面を浄化することによって再生することもできる。この場合、酸素または酸素含有混合物(例えば空気)が適しており、触媒活性の復元を可能にする。
【0071】
いくつかの実施態様において、本願内に開示される方法によって製造されるハロゲン化炭化水素は、トリクロロフルオロメタン(CFC-11)、ジクロロジフルオロメタン(CFC-12)、クロロトリフルオロメタン(CFC-13)、テトラフルオロメタン(FC-14)、ジクロロフルオロメタン(HCFC-21)、クロロジフルオロメタン(HCFC-22)、トリフルオロメタン(HFC-23)、クロロフルオロメタン(HCFC-31)、ジフルオロメタン(HFC-32)、ペルフルオロヘキサン(FC-51-14)、ペンタクロロフルオロエタン(CFC-111)、1,1,2,2-テトラクロロ-1,2-ジフルオロエタン(CFC-112)、1,1,1,2-テトラクロロ-2,2-ジフルオロエタン(CFC-112a)、1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン(CFC-113)、1,1,1-トリクロロ-2,2,2-トリフルオロエタン(CFC-113a)、1,2-ジクロロテトラフルオロエタン(CFC-114)、1,1-ジクロロテトラフルオロエタン(CFC-114a)、クロロペンタフルオロエタン(CFC-115)、ヘキサフルオロエタン(FC-116)、1,1,2,2-テトラクロロ-1-フルオロエタン(HCFC-121)、1,1,1,2-テトラクロロ-2-フルオロエタン(HCFC-121a)、1,1,2-トリクロロ-2,2-ジフルオロエタン(HCFC-122)、1,1,2-トリクロロ-1,2-ジフルオロエタン(HCFC-122a)、1,1,1-トリクロロ-2,2-ジフルオロエタン(HCFC-122b)、2,2-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロエタン(HCFC-123)、1,2-ジクロロ-1,1,2-トリフルオロエタン(HCFC-123a)、1,1-ジクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン(HCFC-123b)、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HCFC-124)、1-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HCFC-124a)、ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,2-トリクロロ-2-フルオロエタン(HCFC-131)、1,1,2-トリクロロ-1-フルオロエタン(HCFC-131a)、1,1,1-トリクロロ-2-フルオロエタン(HCFC-131b)、ジクロロジフルオロエタン(HCFC-132)、1,1-ジクロロ-2,2-ジフルオロエタン(HCFC-132a)、1,2-ジクロロ-1,1-ジフルオロエタン(HCFC-132b)、1,1-ジクロロ-1,2-ジフルオロエタン(HCFC-132c)、2-クロロ-1,1,1-トリフルオロエタン(HCFC-133)、2-クロロ-1,1,1-トリフルオロエタン(HCFC-133a)、1-クロロ-1,1,2-トリフルオロエタン(HCFC-133b)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,2-ジクロロ-1-フルオロエタン(HCFC-141)、1,1-ジクロロ-2-フルオロエタン(HCFC-141a)、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン(HCFC-141b)、1-クロロ-1,2-ジフルオロエタン(HCFC-141a)、クロロジフルオロエタン(HCFC-142)、1-クロロ-1,2-ジフルオロエタン(HCFC-142a)、1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン(HCFC-142b)、1,1,2-トリフルオロエタン(HFC-143)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、クロロフルオロエタン(HCFC-151)、1,2-ジフルオロエタン(HFC-152)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、フルオロエタン(HFC-161)、1,1,1,2,2,3,3-ヘプタクロロ-3-フルオロプロパン(CFC-211)、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロ-2,2-ジフルオロプロパン(CFC-212)、1,1,1,3,3-ペンタクロロ-2,2,3-トリフルオロプロパン(CFC-213)、1,1,1,3-テトラクロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン(CFC-214)、1,2,2-トリクロロペンタフルオロプロパン(CFC-215aa)、1,1,2-トリクロロペンタフルオロプロパン(CFC-215bb)、1,2-ジクロロ-1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(CFC-216)、1-クロロ-1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(CFC-217)、オクタフルオロプロパン(FC-218)、ヘキサクロロフルオロプロパン(HCFC-221)、ペンタクロロジフルオロプロパン(HCFC-222)、テトラクロロトリフルオロプロパン(HCFC-223)、トリクロロテトラフルオロプロパン(HCFC-224)、3,3-ジクロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HCFC-225ca)、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC-225cb)、1-クロロ-1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HCFC-226)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)、ペンタクロロフルオロプロパン(HFC-231)、テトラクロロジフルオロプロパン(HCFC-232)、トリクロロトリフルオロプロパン(HCFC-233)、ジクロロテトラフルオロプロパン(HCFC-234)、クロロペンタフルオロプロパン(HCFC-235)、1,1,1,2,2,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236cb)、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、テトラクロロフルオロプロパン(HCFC-241)、トリクロロジフルオロプロパン(HCFC-242)、ジクロロトリフルオロプロパン(HCFC-243)、1,3-ジクロロ-1,2,2-トリフルオロプロパン(HCFC-243ca)、1,1-ジクロロ-2,2,3-トリフルオロプロパン(HCFC-243cb)、1,1-ジクロロ-1,2,2-トリフルオロプロパン(HCFC-243cc)、2,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン(HCFC-243da)、1,3-ジクロロ-1,2,3-トリフルオロプロパン(HCFC-243ea)、1,3-ジクロロ-1,1,2-トリフルオロプロパン(HCFC-243ec)、2,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン(HCFC-243db)、クロロテトラフルオロプロパン(HCFC-244)、2-クロロ-1,2,3,3-テトラフルオロプロパン(HCFC-244ba)、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)、3-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244ca)、1-クロロ-1,2,2,3-テトラフルオロプロパン(HCFC-244cb)、1-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244cc)、2-クロロ-1,1,3,3-テトラフルオロプロパン(HCFC-244da)、2-クロロ-1,1,1,3-テトラフルオロプロパン(HCFC-244db)、3-クロロ-1,1,2,3-テトラフルオロプロパン(HCFC-244ea)、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244eb)、1-クロロ-1,1,2,3-テトラフルオロプロパン(HCFC-244ec)、3-クロロ-1,1,1,3-テトラフルオロプロパン(HCFC-244fa)、1-クロロ-1,1,3,3-テトラフルオロプロパン(HCFC-244fb)、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245ca)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245eb)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HFC-245cb)、1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245ea)、1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245eb)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、トリクロロフルオロプロパン(HCFC-251)、ジクロロジフルオロプロパン(HCFC-252)、クロロトリフルオロプロパン(HCFC-253)、2-クロロ-1,2,3-トリフルオロプロパン(HCFC-253ba)、2-クロロ-1,1,2-トリフルオロプロパン(HCFC-253bb)、1-クロロ-2,2,3-トリフルオロプロパン(HCFC-253ca)、1-クロロ-1,2,2-トリフルオロプロパン(HCFC-253cb)、3-クロロ-1,1,2-トリフルオロプロパン(HCFC-253ea)、1-クロロ-1,2,3-トリフルオロプロパン(HCFC-253eb)、1-クロロ-1,1,2-トリフルオロプロパン(HCFC-253ec)、3-クロロ-1,3,3-トリフルオロプロパン(HCFC-253fa)、3-クロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン(HCFC-253fb)、1-クロロ-1,1,3-トリフルオロプロパン(HCFC-253fc)、1,1,2,2-テトラフルオロプロパン(HFC-254cb)、ジクロロフルオロプロパン(HCFC-261)、1,2-ジクロロ-2-フルオロプロパン(HCFC-261ba)、クロロジフルオロプロパン(HCFC-262)、1-クロロ-2,2-ジフルオロプロパン(HCFC-262ca)、3-クロロ-1,1-ジフルオロプロパン(HCFC-262fa)、1-クロロ-1,3-ジフルオロプロパン(HCFC-262fb)、クロロフルオロプロパン(HCFC-271)、2-クロロ-2-フルオロプロパン(HCFC-271b)、2-クロロ-1-フルオロプロパン(HCFC-271d)、1-クロロ-1-フルオロプロパン(HCFC-271fb)、オクタフルオロシクロブタン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン(HFC-365mfc)、デカフルオロペンタン(HFC-4310mee)、2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234yf)、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234ze(E))、シス-1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234ze(Z))、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd(E))、シス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd(Z))、3-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233yf)、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd(E))、シス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd(Z))、3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO-1336mz)、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1224yd)、1-クロロ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HCFO-1224zb)、1,1,2-トリクロロ-3-フルオロプロペン(HCFO-1231xa)、2,3,3-トリクロロ-3-フルオロプロペン(HCFO-1231xf)、2,3-ジクロロ-3,3-ジフルオロプロペン(HCFO-1232xf)、トランス-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye(E))、シス-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye(Z))、1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225zc)、1,1-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1223za)、1,1,2-トリクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1213xa)、
およびそれらの構造異性体および立体異性体(空間異性体)の1つまたはそれより多くを含み得る。
【実施例】
【0072】
以下の実施例は、本願内に記載される実施態様の理解を補助するために示され、本願において記載され且つ特許請求される実施態様を具体的に限定すると解釈されるべきではない。現在知られている、または後に開発される、当業者の視界に入り得る全ての均等物の置き換えを含む、変更、および配合における変更、または実験的な設計における些細な変更は、本願内に含まれる実施態様の範囲内であるとみなされるべきである。
【0073】
特段記載されない限り、実施例内で要約される酸化クロム(VI)の含有量は、以下でより詳細に記載されるEPA法7196Aを使用して測定された。EPA法7196Aについての検出限界は0.5ppmのCr(VI)である。
【0074】
例1 イソブチルアルコール(IBA)法
1リットルの四ツ口フラスコに、撹拌機、還流冷却器、冷却液チラーおよびヒーター、ヒーター制御装置、温度プローブおよび記録装置、滴下漏斗、氷浴を備えた留出物受容器、窒素パージライン等を装備して、実験室の実験を行うために使用した。原料のレシピは65gのCrO3および48gのIBA(99%)であった。まず、688gのDI水をフラスコ内に装入し、次いで酸化クロム(VI)を水中で溶解した。アルコールを、60分のうちに、制御されたポンプ速度で酸化クロム(VI)溶液中にポンプ供給した。その混合物を85~95℃に加熱し、二成分系の共沸相が形成された。還流を開始させ、16時間保持した。合計400gの共沸混合物を、還流サイクルの最後にストリッピングした。そのスラリーをガラストレイへと取り出し、空気下、120℃で終夜乾燥させた。その乾燥ケークを顆粒化して粉末形態にした。その乾燥粉末を約300℃~500℃で12時間、窒素下でか焼した。
【0075】
有機の還元溶剤が、クロム(VI)の還元に及ぼす影響を以下の表1に要約する:
【表1】
【0076】
表1のデータは、イソブチルアルコール法が酸化Cr(VI)を酸化Cr(III)に還元する効果を実証する。
【0077】
例2 還流の間のイソブチルアルコール消費
下記の表2は、還流サイクルにわたるイソブチルアルコール濃度の変化および消費を要約する。固形物と上澄み液とを、25℃での遠心分離により分離した。液体の試料をGC(ガスクロマトグラフィー)によって分析し、質量%に正規化した。そのデータは、最初に装入されたイソブチルアルコールの約52%だけが消費されたことを示す。
【表2】
【0078】
例3 例1および2のイソブチルアルコール法におけるクロム(VI)の還元
下記の表3は、還流サイクルの部分における様々な時点の間の酸化クロム(VI)のレベルを示す。
【表3】
【0079】
表3は、IBA法における酸化クロム(VI)の還元速度が、還流サイクルの最初の3時間の間に集中的であったことを示す。還流サイクルを最初の3時間を超えて延長すると、クロム(VI)の還元は続くものの、速度はより遅かった。
【0080】
表3に示される酸化クロム(VI)の含有量は、「クロム生成物および前駆体中の六価クロム含有量を測定するための酸化還元滴定法」と題される、湿式化学的な滴定法を使用して得られた。その試験手順は、1)固体の試料を制御された温度で制御された時間の間、硝酸で蒸解すること、2)酸蒸解された固体を溶剤中で希釈すること、3)水酸化カリウムと酢酸とヨウ化カリウムとの組み合わせを含む緩衝液を添加すること、4)チオ硫酸ナトリウムで滴定すること、5)デンプン指示薬溶液を添加すること、および6)青い色が消失するまで滴定を継続することを含んだ。この滴定法は、Cr(VI)の検出限界1000ppmを有する。
【0081】
例4 単独の有機の還元溶剤を用いたCr(VI)の還元
以下の反応器の設定および一般的なレシピを、下記の例5~10に使用した。特定の変更は、相応の例において詳述する。
【0082】
反応器系の設定
1リットルの四ツ口フラスコに、撹拌機、還流冷却器、冷却液チラー、反応器ヒーター、ヒーター制御装置、温度プローブおよび記録装置、滴下漏斗、氷浴を備えた留出物受容器、窒素パージライン等を装備して、実験室の実験を行うために使用した。
【0083】
レシピ
1) 688gのDI-H2Oを反応器に装入する、
2) Xgのクロム酸を反応器に装入し、5~10分間、固定された速度で撹拌しながら混合して、均質な色を有する固体の溶解を完了する、
3) Ygの有機化学物質を20~120分のうちに、一定に撹拌しながらポンプ供給する、
4) 反応器内部の混合物を、二成分系共沸相の還流点に加熱する、
5) 反応器系内で12~16時間のサイクル時間の間、還流を保持する、
6) 400~415gの有機化学物質と水との混合物をストリッピングする、
7) そのスラリーを乾燥機中に取り出し、終夜、120~150℃で乾燥させる、および
8) 乾燥された粉末を、窒素下で300~500℃で終夜、か焼する。
【0084】
例5 イソプロパノールの酸化クロム(VI)に対する最適なモル比の測定
例4の反応器の設定およびレシピをここで使用した。Xgのクロム酸(CrO
3)およびYgのイソプロパノールを以下の表に示す。表内に示される酸化クロム(VI)含有量、表面積および密度の値は、乾燥された酸化クロム(III)粉末(つまり、か焼されていない粉末)から測定された。
【表4】
【0085】
より高いイソプロパノール/CrO3のモル比が、酸化Cr(VI)の還元を改善する。モル比が1から3に増加すると、酸化Cr(VI)の還元が約23%改善する。
【0086】
例6 得られる酸化クロム触媒の独自の物理的特性
低いCr(VI)レベルの他に、例1のIBA法は、高表面積の乾燥粉末とか焼粉末との両方ももたらした。これは、触媒性能を改善するためのより活性な表面サイトをもたらすと考えることができる。N
2およびHg法による細孔容積の測定は、表5にも示されるIBA法によって得られた酸化クロム(III)粉末を示す。様々な有機溶剤、例えばイソプロパノールおよびイソブチルアルコールが、酸化クロム(VI)の含有量に、および様々な中間体のBET表面積、か焼された粉末の細孔容積に及ぼす影響を以下の表5に要約する。
【表5】
【0087】
例7 C
3~C
7-アルコールを使用した酸化Cr(VI)の還元
例4の反応器系の設定およびレシピをここで使用した。Xgのクロム酸(CrO
3)およびYgの有機化学物質(有機の還元溶剤)を以下の表に示す。表内に示される酸化クロム(VI)含有量、表面積および密度の値は、乾燥された酸化クロム(VI)粉末(つまり、か焼されていない粉末)から測定された。
【表6】
【0088】
イソブチルアルコールの例は、酸化クロム(VI)の含有量120ppmおよび高いBET表面積324m2/gをもたらした。ベンジルアルコールの例は、酸化クロム(VI)の含有量120ppmおよびわずかに低いBET表面積198m2/gをもたらした。
【0089】
例8 C4-アルコール-ブチルアルコールの異性体を使用したCr(VI)の還元
例4の反応器系の設定およびレシピをここで使用した。Xgのクロム酸(CrO3)およびYgの様々なブチルアルコールの異性体を以下の表に示す。
【0090】
表内に示される酸化クロム(VI)含有量、表面積および密度の値は、乾燥された酸化クロム(VI)粉末(つまり、か焼されていない粉末)から測定された。
【表7】
【0091】
イソブチルアルコールは、生じる低い酸化クロム(VI)含有量(120ppm)、高いBET表面積(324m2/g)および中密度(0.57g/cc)に関して他のブチルアルコールの異性体よりも優れていた。低い酸化クロム(VI)含有量(5800ppm)、いくぶん高いBET表面積(190m2/g)および中央密度(0.51g/cc)を有するn-ブチルアルコールが続く。
【0092】
例9 異なるイソブチルアルコール/CrO
3のモル比を使用したCr(VI)の還元
例4の反応器の設定およびレシピをここで使用した。Xgのクロム酸(CrO
3)およびYgのイソブチルアルコールは以下の表に示すとおりである。表内に示される酸化クロム(VI)含有量、表面積および密度の値は、乾燥された酸化クロム(VI)粉末(つまり、か焼されていない粉末)から測定された。
【表8】
【0093】
最も低いCrO3含有量および最も高いBET表面積をもたらす、イソブチルアルコール/CrO3のモル比の最適な範囲がある。
【0094】
例10 イソブチルアルコールから誘導される有機溶剤の酸化を使用した、酸化Cr(VI)の還元
例4の反応器の設定およびレシピをここで使用した。Xgのクロム酸(CrO
3)およびYgの様々な有機溶剤を以下の表に示す。下記の表に示されるとおり、イソブチルアルデヒドとイソ酪酸との両方を、酸化クロム(VI)のレベルを低減するための有機の還元溶剤として使用できる。表内に示される酸化クロム(VI)含有量、表面積および密度の値は、乾燥された酸化クロム(VI)粉末(つまり、か焼されていない粉末)から測定された。
【表9】
【0095】
例11 2つの有機の還元溶剤を用いた酸化Cr(VI)の還元
以下の反応器の設定および一般的なレシピを、下記の例12に使用した。特定の変更を相応の例において詳述する。
【0096】
反応器系の設定
1リットルの四ツ口フラスコに、撹拌機、還流冷却器、冷却液チラー、反応器ヒーター、ヒーター制御装置、温度プローブおよび記録装置、滴下漏斗、氷浴を備えた留出物受容器、窒素パージライン等を装備して、実験室の実験を行うために使用した。
【0097】
レシピ
1) 688gのDI-H2Oを反応器に装入する、
2) Xgのクロム酸を反応器に装入し、5~10分間、固定された速度で撹拌しながら混合して、均質な色を有する固体の溶解を完了する、
3) Ygの第1の有機化学物質を、20~120分のうちに、一定に撹拌しながらポンプ供給する、
4) Zgの第2の有機化学物質を、30分のうちに、一定に撹拌しながらポンプ供給した後、反応器を加熱するかまたは後還流サイクル(post reflux cycle)を行う、
5) 反応器内部の混合物を、二成分系または三成分系の共沸相の還流点に加熱する、
6) 反応器系内で12~16時間のサイクル時間の間、還流を保持する、
7) 400~415gの有機化学物質と水との混合物をストリッピングする、
8) そのスラリーを乾燥機中に取り出し、終夜、120~150℃で乾燥させる、および
9) 乾燥された粉末を、窒素下で300~500℃で終夜、か焼する。
【0098】
例12 2つの有機溶剤を使用した酸化Cr(VI)の還元
例11の反応器の設定およびレシピをここで使用した。Xgの酸化クロム(VI)(CrO
3)およびYgのエタノールおよびZgの様々なカルボン酸を以下の表に示す。表10に示されるとおり、カルボン酸、例えば酢酸およびイソ酪酸の添加は、酸化クロム(VI)のレベルを適切に低減する。例えば、エタノールとイソ酪酸とを組み合わせた複合有機溶剤系(#16)においては、乾燥された粉末中間体と、か焼された粉末中間体との両方が、酸化クロム(VI)レベル(210ppm)を示した。エタノールと酢酸とを組み合わせた複合有機溶剤系(#15)も、規制による限界(90ppm)を十分に下回る酸化クロム(VI)レベルを有する、か焼された触媒粉末を生成する。しかしながら、中間体である乾燥された粉末は、より高い酸化クロム(VI)含有量を有するので、試料#15の方法によって製造されたCr
2O
3触媒を取り扱うためには、閉じた粉末搬送システムが必要とされ得る。
【表10】
【0099】
本願内で議論される材料および方法の記載に関する(特に以下の特許請求の範囲に関する)単数形の用語および類似の指示物の使用は、特段記載されるかまたは文脈と明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を含むと理解されるべきである。本願内の値の範囲の記述は、本願内で特段記載されない限り、範囲内に該当する各々の別々の値を個々に参照する簡単な方法として役立つことが意図されているに過ぎず、且つ、各々の別々の値は本願内に個々に記述される場合のように明細書内に含まれる。本願内で記載される全ての方法を、本願内で特段記載されるかまたは文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適した順序で実施できる。本願内でもたらされる任意および全ての例の使用、または例示的な文言(例えば、「例えば」)は、その材料および方法をより明らかにすることが意図されているに過ぎず、特段主張されない限り、範囲を限定するわけではない。明細書内の文言は、開示される材料および方法を実施するために、特許請求されていない要素が必須であるとして示されているとして理解されるべきではない。
【0100】
この明細書を通じて「1つの実施態様」、「特定の実施態様」、「いくつかの実施態様」、「1つまたはそれより多くの実施態様」または「実施態様」とは、該実施態様に関連して記載される特定の特徴、構造、材料または特性が、本開示の少なくとも1つの実施態様に含まれることを意味する。従って、この明細書を通じた様々な箇所における「1つまたはそれより多くの実施態様において」、「特定の実施態様において」、「いくつかの実施態様において」、「1つの実施態様において」または「実施態様において」などの語句の出現は、必ずしも本開示の同じ実施態様を示すわけではない。さらに、特定の特徴、構造、材料または特性を、1つまたはそれより多くの具体化における任意の適した方式で組み合わせることができる。
【0101】
本願内で開示される実施態様は、特定の実施態様を参照して記載されているが、それらの実施態様は、本開示の原理および用途の例示的なものであるに過ぎないと理解されるべきである。本開示の主旨および範囲から逸脱しない限り、本開示の方法および装置に様々な修正および変更を行うことができることが当業者には明らかである。従って、本開示は、添付の特許請求の範囲内である修正および変更、およびそれらの均等物を含み、且つ上述の実施態様は説明のためであり、限定のためではないことが意図されている。
【0102】
さらに、「または」との文言は、排他的な「または」というより、包含的な「または」を意味することが意図されている。本願内で「約」または「ほぼ」との文言が使用される場合、これは、示される公称値が±10%内の精度であることを意味することが意図されている。