(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】ハロゲン化ピリジン誘導体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 213/61 20060101AFI20220307BHJP
C07D 213/803 20060101ALI20220307BHJP
C07F 3/06 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
C07D213/61 CSP
C07D213/803
C07F3/06
(21)【出願番号】P 2018567735
(86)(22)【出願日】2017-06-28
(86)【国際出願番号】 EP2017065989
(87)【国際公開番号】W WO2018007224
(87)【国際公開日】2018-01-11
【審査請求日】2020-06-24
(32)【優先日】2016-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507203353
【氏名又は名称】バイエル・クロップサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】モスリン,マーク
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,リュディガー
(72)【発明者】
【氏名】ヘイガー,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ホフマイスター,ラウラ
(72)【発明者】
【氏名】カウシュ-ビジーズ,ニーナ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルケ,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ウィロット,マシュー
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-543842(JP,A)
【文献】Snegaroff, Katia; Nguyen, Tan Tai; Marquise, Nada; Halauko, Yury S.; Harford, Philip J.; Roisnel, Thierry; Matulis, Vadim E.; Ivashkevich, Oleg A.; Chevallier, Floris; Wheatley, Andrew E. H.; Gros, Philippe C.; Mongin, Florence,Deprotonative Metalation of Chloro- and Bromopyridines Using Amido-Based Bimetallic Species and Regioselectivity-Computed CH Acidity Relationships,Chemistry - A European Journal ,2011年,17(47),,13284-13297,
【文献】Dhau, Jaspreet S.; Singh, Amritpal; Kasetti, Yoganjaneyulu; Bhatia, Sonam; Bharatam, Parsad V.; Brandao, Paula; Felix, Vitor; Singh, Kamal N.,A study on the BF3 directed lithiation of 3-chloro- and 3-bromopyridine,Tetrahedron,2013年,69(48),,10284-10291
【文献】Database REGISTRY,2015年09月,RN 1807166-48-8, 1807041-31-1, 1805666-95-8, 1805576-89-9, 1805574-82-6, 1803811-18-8, 1803767-11-4, 1214350-80-7, 1211529-01-9,Retrieved from STN international [online] ;retrieved on 2 July 2021
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 213/61
C07D 213/803
C07F 3/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(II)の化合物:
【化1】
[式中、
Q及びWは、それぞれ独立にハロゲンであり、
Yはハロゲン、CO
2R
1又はNO
2であり、R
1は(C
1-C
6)-アルキル又は(C
1-C
6)-ハロアルキルである。]の製造方法であって、
第1の工程段階a)で、式(I)の化合物:
【化2】
[式中、W及びYはそれぞれ、上記で提供の定義を有する。]を、
構造(NR
3R
4)-Zn-R
2又は(NR
3R
4)
2-Znの有機亜鉛塩基
[式中、
R
2はハロゲン又は-O-ピバロイルであり、
R
3及びR
4が一緒になって、-(CH
2)
4-、-(CH
2)
5-又は-(CH
2)
2O(CH
2)
2-基を形成しており、これらの基のそれぞれは、1、2、3若しくは4個のR
5基によって置換されていても良く、R
5はメチル、エチル、n-プロピル及びi-プロピルからなる群から選択される。]と反応させて、
式(IIIa)又は下記式(IIIb)の化合物:
【化3】
[式中、W、Y及びR
2はそれぞれ、上記で提供の定義を有する。]を与え、
この式(IIIa)又は(IIIb)の化合物を、第2の工程段階b)で、構造Q-Xの化合物[Xはハロゲンであり、Qは、上記の定義を有する。]と反応させて、式(II)の化合物を得ることを特徴とし、
ここで、工程段階a)を30℃~80℃の温度で行う、式(II)の化合物の製造方法。
【請求項2】
Q及びXが同一の定義を有し、それぞれヨウ素又は臭素であり、
Wがフッ素又は塩素であり、
R
2がハロゲン
であり、
Yが塩素、臭素、CO
2R
1又はNO
2であり、R
1が(C
1-C
4)-アルキルである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R
3及びR
4が一緒になって、-(CH
2)
5-基を形成しており、これらの基のそれぞれが1、2、3若しくは4個のR
5基によって置換されていても良く、
R
5が、メチル及びエチルからなる群から選択される請求項1及び2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
Q及びXが同じ定義を有し、それぞれヨウ素であり、
Wがフッ素であり、
R
2が塩素であり、
Yが塩素、臭素、CO
2R
1又はNO
2であり、R
1がメチルである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
R
3及びR
4が一緒になって、4個のメチル基によって置換された-(CH
2)
5-基を形成している、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記有機亜鉛塩基が下記式(V)の化合物
である請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【化4】
[式中、xは数字1又は2である。]
【請求項7】
前記有機亜鉛塩基が、アルカリ金属ハライド若しくはアルカリ土類金属ハライド
とともに存在する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記有機亜鉛塩基を、式(I)の化合物基準で0.5~5当量の合計量で使用する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記化合物Q-Xが元素ハロゲン
である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物Q-Xを、式(I)の化合物基準で0.5~10.0当量の合計量で使用する、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、ジグライム、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、tert-アミルメチルエーテル(TAME)、2-メチル-THF、トルエン、キシレン、メシチレン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、N-エチル-2-ピロリドン(NEP)、N-ブチル-2-ピロリドン(NBP);N,N′-ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ハロ炭化水素、芳香族炭化水素、クロロ炭化水素、テトラクロロエチレン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン、塩化メチレン、ジクロロブタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、ペンタクロロエタン、ジフルオロベンゼン、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、クロロトルエン、トリクロロベンゼン;4-メトキシベンゼン、フッ素化脂肪族、フッ素化芳香族、トリクロロトリフルオロエタン、ベンゾトリフルオリド及び4-クロロベンゾトリフルオリド、又はこれら溶媒の少なくとも二つの互いとの混合物からなる群から選択される溶媒の存在下に行われる、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記溶媒がTHF又はN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
工程段階b)を0℃~80℃の温度で行う、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
下記式(IIIa)の化合物。
【化5】
[式中、
Wはフッ素であり、
Yはハロゲン、C(O)
2R
1又はN(O)
2であり、R
1は(C
1-C
6)-アルキル又は(C
1-C
6)-ハロアルキルであり、
R
2はハロゲン又は-O-ピバロイルである。]
【請求項15】
下記式(IIIb)の化合物。
【化6】
[式中、
Wはフッ素であり、
Yはハロゲン、CO
2R
1又はNO
2であり、R
1は(C
1-C
6)-アルキル又は(C
1-C
6)-ハロアルキルである。]
【請求項16】
下記式(II)の化合物。
【化7】
[式中、
Qはヨウ素であり、
Wはフッ素であり、
Yは、塩素、臭素又はC(O)
2R
1であり、R
1はメチルである。]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(II)のハロゲン化ピリジン誘導体の製造方法に関するものである。
【化1】
【0002】
【0003】
から出発して、式(IIIa)又は(IIIb)の中間体:
【化3】
【0004】
を介して行うものであり、式(I)、(II)、(IIIa)及び(IIIb)で示した構成要素は、下記で提供の定義を有する。本発明はさらに、この種類のハロゲン化ピリジン誘導体及び中間体に関するものである。
【背景技術】
【0005】
式(II)のハロゲン化ピリジン誘導体は、製薬工業及び農薬工業において非常に工業的重要度の高いものであり、例えば、特には、例えば農薬として有効な化合物の製造における重要な反応相手である。
【0006】
文献には、リチウム塩基若しくはマグネシウム塩基(LDA、TMPLi、TMPMgCl・LiCl)の存在下でのピリジン類の金属化が記載されており、それは非常に低い温度(リチウムでは-78℃~-100℃、マグネシウムでは-78℃~-30℃)で行わなければならない[例えば、Tetrahedron 2001 (57), p. 4059ff、Journal of the American Chemical Society 2010(132), p. 2410ff及びOrganic Letters 2011 (13), p. 2306ffを参照する。]。2,5-ビス(置換)ピリジン類の脱プロトン化のための錯マンガン塩基TMP2Mn・2MgCl2・4LiClの使用も、Synlett 2015 (26), p. 1515ffに記載されているが、それは酸化的ホモカップリングを行うためのみのものである。亜鉛塩基存在下の4位でのいくつかの置換されたピリジン類の金属化が、Angewandte Chemie 2007 (46), p. 7685ff又はOrganic Letters 2009 (11), p. 1837ffに記載のように公知であるが、6位での2,5-ビス(置換)ピリジン類については知られていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】Tetrahedron 2001 (57), p. 4059ff
【文献】Journal of the American Chemical Society 2010(132), p. 2410ff
【文献】Organic Letters 2011 (13), p. 2306ff
【文献】Synlett 2015 (26), p. 1515ff
【文献】Angewandte Chemie 2007 (46), p. 7685ff
【文献】Organic Letters 2009 (11), p. 1837ff
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
今日までに先行技術で報告されているハロゲン化ピリジン誘導体の化学合成法は、非常に多くの場合、工業的観点から経済的に実行可能性がない、及び/又は他の欠点を有する方法を用いるものである。
【0009】
特に、リチウム塩基及びマグネシウム塩基の場合、欠点は、低い化学収率、非常に低い温度での実施、及びこれら試薬の高反応性のゆえの脱プロトン化の位置選択性及び化学選択性が困難であることである。場合により、例えば、Organic Letters 2008 (10), p. 2497ffに記載のようなネギシ交差カップリングなどの別の選択的反応を実施するために、亜鉛塩、例えば塩化亜鉛による金属交換が必要である。従って、その製造は、非常に費用のかかるものであり(多くの塩を形成する)、工業的規模の商業プロセスには適さない。
【0010】
上記で示した欠点に関して、簡素化された、工業的及び経済的に実行可能なハロゲン化ピリジン誘導体、特別には式(II)のハロゲン化ピリジン誘導体の製造方法が緊急に必要とされている。求められているこの方法によって得ることができるハロゲン化ピリジン誘導体は好ましくは、良好な収率、高純度で、そして経済的に得られるべきものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
驚くべきことに、式(II)のハロゲン化ピリジン誘導体が、有機亜鉛塩基を用いる方法で有利に製造可能であることが認められた。
【0012】
本発明は、従って、下記式(II)の化合物:
【化4】
【0013】
[式中(構成1)、
Q及びWは、それぞれ独立にハロゲンであり、
Yはハロゲン、CO
2R
1又はNO
2であり、R
1は(C
1-C
6)-アルキル又は(C
1-C
6)-ハロアルキルである。]の製造方法であって、
第1の工程段階a)で、式(I)の化合物:
【化5】
【0014】
[式中、W及びYはそれぞれ、上記で提供の定義を有する。]を、
構造(NR
3R
4)-Zn-R
2又は(NR
3R
4)
2-Znの有機亜鉛塩基
[式中、
R
2はハロゲン又は-O-ピバロイルであり、
R
3及びR
4が一緒になって、-(CH
2)
4-、-(CH
2)
5-又は-(CH
2)
2O(CH
2)
2-基を形成しており、これらの基のそれぞれは、1、2、3若しくは4個のR
5基によって置換されていても良く、R
5はメチル、エチル、n-プロピル及びi-プロピルからなる群から選択される。]と反応させて、
式(IIIa)又は下記式(IIIb)の化合物:
【化6】
【0015】
[式中、W、Y及びR2はそれぞれ、上記で提供の定義を有する。]を与え、
この式(IIIa)又は(IIIb)の化合物を、第2の工程段階b)で、構造Q-Xの化合物[Xはハロゲンであり、Qは、上記の定義を有する。]と反応させて、式(II)の化合物を得ることを特徴とする方法を提供する。
【0016】
Q及びXの定義から明らかなように、化合物Q-Xは、ハロゲン間化合物、好ましくは元素ハロゲンである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下において、下記で有機亜鉛塩基についてより具体的な説明を行いながら、本発明の方法の上記式(I)、(II)、(IIIa)及び(IIIb)に含まれるQ、W、R1、R2、X及びY基の好ましい及び特に好ましい定義について説明し、その時点で、塩基の好ましい構成を指定する。
【0018】
(構成2)
Q及びXは同じ定義を有し、それぞれ好ましくはヨウ素又は臭素であり、
Wは好ましくはフッ素又は塩素であり、
R2は好ましくはハロゲン、特別には塩素、臭素又はヨウ素であり、
Yは好ましくは塩素、臭素、CO2R1又はNO2であり、R1は(C1-C4)-アルキルである。
【0019】
(構成3)
Q及びXは同じ定義を有し、それぞれ特に好ましくはヨウ素であり、
Wは特に好ましくはフッ素であり、
R2は特に好ましくは塩素であり、
Yは特に好ましくは塩素、臭素、CO2R1又はNO2であり、R1はメチルである。
【0020】
上記の基の定義及び説明は、最終生成物及び中間体、並びに相当する形で原料の両方に適用される。これらの基の定義は、所望のように互いに組み合わせることができ、即ち個々の好ましい範囲間の組み合わせを含む。
【0021】
本発明に従って好ましいものは、好ましいものとして上記で挙げられた定義の組み合わせがある化合物である。
【0022】
本発明に従って特に好ましいものは、特に好ましいものとして上記で挙げられた定義の組み合わせがある化合物である。
【0023】
有利には、式(II)のハロゲン化ピリジン誘導体は、本発明による方法によって、良好な収率及び高い純度で製造することができる。亜鉛試薬は非常に良好な官能基耐性を有することから、亜鉛塩基が非常に魅力的である。高温であっても、アリーン脱離を起こすことなく、又は感受性の官能基が攻撃を受けることなく、化学量論量の選択塩基の存在下でのピリジン類の位置選択的及び化学選択的金属化が可能である。次に、Organic Letters 2009 (11), p.1837ff中で例として記載されている方法に従って、中間体として形成される亜鉛化合物を各種求核剤で補足することができる。次に、これらの新規な置換されたピリジン誘導体を、貴重なシントンとさらに反応させることができる。
【0024】
特に、前記金属化の非常に良好且つ予想外の非常に選択的な位置選択性が有利であり、それは特には、比較的高温で(例えば、約40~80℃、例えば60℃までの加熱で)、ピリジン骨格の6位で起こるものである。従って、位置選択性をさらに改善しようとする場合は、加熱が特に有利である。例えば、室温では、6位及び4位がヨウ素で補足されるピリジンの混合物が形成されるが、比較的高温では6位がヨウ素で補足されるピリジン類が形成される。
【0025】
本発明による方法について、下記の図式(I)によって説明する。
【0026】
【0027】
この図式では、Q、W、R1、R2、X及びYは、上記で提供の意味を有する。括弧内に示した化合物は、中間体(式IIIa又は式IIIb)であり、それらをさらに反応させて、式(II)の化合物を得る。従って、本発明による方法は二つの工程段階a)及びb)に分けることができ、段階a)は式(I)の化合物の個々の中間体への変換であり、段階b)はその中間体の式(II)の化合物への変換である。
【0028】
一般的定義
本発明の文脈において、別段の定義がない限り、ハロゲン(Hal)という用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素からなる群から選択される元素を包含する。
【0029】
本発明との関連での「ハライド」という用語は、ハロゲンと、化学結合の性質に応じて、ハライド塩(関与する元素間で電気陰性度に大きい差があることからアニオン及びカチオンからなり、静電相互作用によって互いに保持されているイオン化合物(塩))又は共有結合ハライド(電気陰性度における差が上記のイオン化合物ほど大きくないが、結合が電荷極性を有する共有結合化合物)を生じ得る周期表の他の族の元素との間の化合物を説明するものである。本発明に従って、特に好ましいものはハライド塩である。
【0030】
本発明の文脈での「ピバロイル」という用語は、実験式(CH
3)
3CCO
2Hを有するピバリン酸(X)の脱プロトン化基を説明するものである。
【化8】
【0031】
「O-ピバロイル」は同様に、ピバロイル基の結合が、酸基の脱プロトン化された酸素原子を介したものであることを意味する。
【0032】
置換されていても良い基は、モノ置換又は多置換であることができ、多置換の場合の置換基は同一であっても異なっていても良い。
【0033】
1以上のハロゲン原子(-Hal)によって置換されたアルキル基は、例えば、トリフルオロメチル(CF3)、ジフルオロメチル(CHF2)、CF3CH2、ClCH2又はCF3CCl2から選択される。
【0034】
本発明の文脈でのアルキル基は、別段の定義がない限り、直鎖、分岐若しくは環状の飽和ヒドロカルビル基である。
【0035】
定義C1-C12-アルキルは、アルキル基について本明細書で最も広い範囲を包含するものである。具体的には、この定義は、例えばメチル、エチル、n-、イソプロピル、n-、イソ-、sec-及びt-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、1,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、n-ヘプチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシルの意味を包含する。
【0036】
第1の工程段階(段階a))での式(I)の化合物の式(IIIa)又は(IIIb)の化合物への変換は、構造(NR3R4)-Zn-R2又は(NR3R4)2-Znの有機亜鉛塩基の存在下に行われ、式中(構成B-1)、
R2は上記で定義の通りであり(構成1)(従って、ハロゲン又は-O-ピバロイルである)、
R3及びR4が一緒になって、-(CH2)4-、-(CH2)5-又は-(CH2)2O(CH2)2-基を形成しており、これらの基のそれぞれは、1、2、3若しくは4個のR5基によって置換されていても良く、
R5は、メチル、エチル、n-プロピル及びi-プロピルからなる群から選択される。
【0037】
(構成B-2)
R2が、好ましいと上記で定義の通りであり(構成2)(従って、ハロゲン、特別には塩素、臭素又はヨウ素である)、
R3及びR4が一緒になって、-(CH2)5-基を形成しており、これらの基のそれぞれは、1、2、3若しくは4個のR5基によって置換されていても良く、
R5がメチル及びエチルからなる群から選択されることが好ましい。
【0038】
(構成B-3)
R2が、特に好ましいと上記で定義の通りであり(構成3)(従って、塩素である)、
R3及びR4が一緒になって、4個のメチル基によって置換された-(CH2)5-基を形成していることが特に好ましい。
【0039】
上記で提供の基の定義は、所望に応じて互いに組み合わせることができ、即ち、個々の好ましい範囲間の組み合わせを含む。
【0040】
本発明による塩基の非常に特に好ましい構成では、構成要素(NR
3R
4)は、式(IV)のテトラメチルピペリジン(TMP)である。
【化9】
【0041】
従って、本発明に従って最も好ましい有機亜鉛塩基は、亜鉛が、TMP、特別には亜鉛ハライドの形で、最も好ましくは塩化亜鉛の形でTMPによって結合されていることを特徴とする。この種類の塩基は、下記の式(V)の構造を有する(構成B-4)。
【化10】
【0042】
式中、xは数字1若しくは2である。そして、これらのうち、好ましいものは、式(VI)のx=1の塩基である(構成B-5)。
【化11】
【0043】
本発明による方法のさらなる好ましい実施形態において、有機金属塩基は、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属ハライドとともに存在する。これは特に、式(V)及び(VI)の塩基において当てはまる。特に好ましいこの種類のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属ハライドは、塩化リチウム及び塩化マグネシウムであり、非常に特に好ましいものは塩化リチウムである。従って、本発明に従って非常に特に好ましい有機金属塩基はTMPZnCl・LiCl又は(TMP)
2Zn・2LiCl(構成B-6)である。最も好ましいものは、TMPZnCl・LiCl(VII;構成B-7)である。
【化12】
【0044】
本発明による式(I)、(II)及び(IIIa)又は(IIIb)の化合物の塩基との具体的な組み合わせを例として下記の表Iに示すが、これらは本発明による方法で用いることができる。一部の構成において、構成要素R2は本発明による塩基中及び式(IIIa)の化合物中の両方に存在することから、各場合で、最も狭い定義がR2に適用される。
【0045】
【0046】
好ましくは、前記有機金属塩基は、式(I)の化合物基準で0.5~5当量、好ましくは0.8~2当量、さらに好ましくは1~1.5当量、より好ましくは1.0~1.2当量の合計量で、本発明による方法において使用される。この点での本発明による方法の一つの利点は、その有機金属塩基を、実質的に化学量論量で用いることが可能であるというものである。
【0047】
使用される有機亜鉛塩基に構成要素(NR3R4)が一つ存在するか二つ存在するかに応じて、工程段階a)で式(IIIa)又は式(IIIb)の中間体化合物が形成される。
【0048】
第2の工程段階(段階b)での式(IIIa)又は(IIIb)の化合物の式(II)の化合物への変換は、化合物Q-X[Q及びXはそれぞれ、上記で提供の定義を有する。]の存在下に行う。Q及びXの両方がハロゲンであることから、当該化合物はハロゲン間化合物である。Q及びXは、必ずしも同一のハロゲンである必要はない。例えば、Qはヨウ素又は臭素であることができ、Xは塩素、臭素又はヨウ素であることができる。しかしながら、好ましくは、化合物Q-Xは、元素ハロゲン、特別にはF2、Cl2、Br2又はI2である。特に好ましいものは、I2又はBr2であり、非常に特に好ましいものはI2である。
【0049】
好ましくは、本発明による方法では、化合物Q-Xは、式(I)の化合物基準で0.5~10.0当量、好ましくは0.8~5当量、さらに好ましくは1~2.5当量、より好ましくは1.0~1.5当量の合計量で用いられる。
【0050】
式(I)の化合物の式(IIIa)又は(IIIb)の化合物への、さらには式(II)の化合物への本発明の変換は、好ましくは、各場合で、有機溶媒の存在下に行う。有用な溶媒は基本的には、使用される反応条件下で不活性であり、変換される化合物を十分な溶解度を有する全ての有機溶媒を含む。好適な溶媒には特別には、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、ジグライム、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、tert-アミルメチルエーテル(TAME)、2-メチル-THF、トルエン、キシレン、メシチレン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、N-エチル-2-ピロリドン(NEP)、N-ブチル-2-ピロリドン(NBP);N,N′-ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ハロ炭化水素及び芳香族炭化水素、特別にはクロロ炭化水素、例えばテトラクロロエチレン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン、塩化メチレン、ジクロロブタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、ペンタクロロエタン、ジフルオロベンゼン、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、特別には1,2-ジクロロベンゼン、クロロトルエン、トリクロロベンゼン;4-メトキシベンゼン、フッ素化脂肪族及び芳香族、例えばトリクロロトリフルオロエタン、ベンゾトリフルオリド及び4-クロロベンゾトリフルオリドなどがある。溶媒混合物、好ましくはテトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、ジグライム、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、tert-アミルメチルエーテル(TAME)、2-メチル-THF、トルエン、キシレン、メシチレン、ジメチルホルムアミド(DMF)などの上記で挙げた溶媒の混合物を用いることも可能である。
【0051】
好ましい溶媒は、THF、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、1,4-ジオキサン、ジグライム、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、tert-アミルメチルエーテル(TAME)、2-メチル-THF、トルエン及び4-メトキシベンゼンである。
【0052】
特に好ましい溶媒はTHF及びN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)であり、非常に特に好ましいものはTHFである。
【0053】
溶媒は脱気しても良い(酸素を含まない)。
【0054】
好ましくは、両工程段階a)及びb)に同じ溶媒を用いる。しかしながら、工程段階a)及びb)で異なる溶媒を用いる本発明の別の構成も同様に可能であり、その場合、溶媒は同様に好ましくは上記の溶媒から選択され、好ましい、より好ましい、最も好ましいと特定された個々の溶媒が、個々の工程段階a)又はb)に適用可能である。
【0055】
工程段階a)での変換は、通常、0℃~80℃の温度で行い、10℃~75℃、20℃~70℃、30℃~70℃、40℃~68℃の順で好ましさが高くなり、最も好ましくは50℃~65℃で行い、例えば60℃で行う。
【0056】
工程段階b)での変換は、通常、0℃~80℃の温度で行い、10℃~70℃、15℃~60℃、20℃~50℃、20℃~40℃の順で好ましさが高くなり、最も好ましくは20℃~35℃で行い、例えば室温又は25℃で行う。
【0057】
その反応は代表的には、標準圧で行うが、加圧若しくは減圧下で行うこともできる。
【0058】
式(II)の所望の化合物は、例えば、飽和塩化アンモニウム若しくはチオ硫酸ナトリウム溶液存在下での水系後処理によって、及び/又はそれに続くクロマトグラフィーによって単離することができる。そのようなプロセスは当業者には公知であり、有機溶媒又は溶媒混合物からの結晶化などもある。
【0059】
本発明による方法の特に好ましい実施形態は、下記の図式(II)を参照して説明することができる。
【0060】
【0061】
この図式において、W及びYは上記で提供の定義を有する。括弧内に示した化合物は、相当する式IIIaの中間体を表し、それはさらに、生成物、即ち式(II)の化合物に変換される。両方の反応が、溶媒としてのTHF中で行われる。「当量」は、使用されるTMPZnCl・LiCl又はヨウ素(I2)の当量の量を指す。
【0062】
本発明はさらに、式(IIIa)の化合物を提供する。
【化14】
【0063】
式中、
Wはハロゲンであり、
Yはハロゲン、CO2R1又はNO2であり、R1は(C1-C6)-アルキル又は(C1-C6)-ハロアルキルであり、
R2はハロゲン又は-O-ピバロイルである。
【0064】
上記の式(IIIa)に含まれる基の好ましい及び特に好ましい定義は、下記のように説明される。
【0065】
Wは好ましくはフッ素又は塩素であり、
Yは好ましくは塩素、臭素、CO2R1又はNO2であり、R1は(C1-C4)-アルキルであり、
R2は好ましくはハロゲン、特別には塩素、臭素及びヨウ素である。
【0066】
Wは特に好ましくはフッ素であり、
Yは特に好ましくは塩素、臭素、CO2R1又はNO2であり、R1はメチルであり、
R2は特に好ましくは塩素である。
【0067】
上記で提供の基の定義は、所望に応じて互いに組み合わせることができ、即ち、個々の好ましい範囲間での組み合わせを含む。
【0068】
本発明に従って好ましいものは、好ましいものと上記で挙げられた定義の組み合わせがある化合物である。
【0069】
本発明に従って特に好ましいものは、より好ましいものと上記で挙げられた定義の組み合わせがある化合物である。
【0070】
式(IIIa)の化合物の中では、下記の化合物が特別に好ましく、その個々の化合物は単独で又は塩化リチウム錯体として存在することができる。
【表2】
【0071】
本発明はさらに、式(IIIb)の化合物を提供する。
【化15】
【0072】
式中、
Wはハロゲンであり、
Yはハロゲン、CO2R1又はNO2であり、R1は(C1-C6)-アルキル又は(C1-C6)-ハロアルキルである。
【0073】
上記の式(IIIb)に含まれる基の好ましい及び特に好ましい定義は、下記のように説明される。
【0074】
Wは好ましくはフッ素又は塩素であり、
Yは好ましくは塩素、臭素、CO2R1又はNO2であり、R1は(C1-C4)-アルキルである。
【0075】
Wは特に好ましくはフッ素であり、
Yは特に好ましくは塩素、臭素、CO2R1又はNO2であり、R1はメチルである。
【0076】
上記で提供の基の定義は、所望に応じて互いに組み合わせることができ、即ち、個々の好ましい範囲間での組み合わせを含む。
【0077】
本発明に従って好ましいものは、好ましいものと上記で挙げられた定義の組み合わせがある化合物である。
【0078】
本発明に従って特に好ましいものは、より好ましいものと上記で挙げられた定義の組み合わせがある化合物である。
【0079】
本発明はさらに、式(II)の化合物を提供する。
【化16】
【0080】
Q及びWは、それぞれ独立にハロゲンであり、特にQはヨウ素であり、
Yはハロゲン、CO2R1又はNO2であり、R1は(C1-C6)-アルキル又は(C1-C6)-ハロアルキルである。
【0081】
上記の式(II)に含まれる基の好ましい及び特に好ましい定義は、下記のように説明される。
【0082】
Qは好ましくはヨウ素又は臭素、特別にはヨウ素であり、
Wは好ましくはフッ素又は塩素であり、
Yは好ましくは塩素、臭素、CO2R1又はNO2であり、R1は(C1-C4)-アルキルである。
【0083】
Qは特に好ましくはヨウ素であり、
Wは特に好ましくはフッ素であり、
Yは特に好ましくは塩素、臭素、CO2R1又はNO2であり、R1はメチルである。
【0084】
上記で提供の基の定義は、所望に応じて互いに組み合わせることができ、即ち、個々の好ましい範囲間での組み合わせを含む。
【0085】
本発明に従って好ましいものは、好ましいものと上記で挙げられた定義の組み合わせがある化合物である。
【0086】
本発明に従って特に好ましいものは、より好ましいものと上記で挙げられた定義の組み合わせがある化合物である。
【0087】
式(II)の化合物の中で、下記の化合物が特別に好ましい。
【化17】
【0088】
(II-1、6-クロロ-3-フルオロ-2-ヨードピリジン)
【化18】
【0089】
(II-2、6-ブロモ-3-フルオロ-2-ヨードピリジン)
【化19】
【0090】
(II-3、メチル5-フルオロ-6-ヨードピリジン-2-カルボキシレート)
【化20】
【0091】
(II-4、3-フルオロ-2-ヨード-6-ニトロピリジン)
これらの式(II-1)~(II-4)の化合物は、本発明による方法の式(I)の随伴する反応物(I-1~I-4)を生じるものであり、それらは各場合で、特別に好ましい式(I)の化合物である。
【0092】
下記の実施例によって本発明をより詳細に説明するが、これら実施例は、本発明に制限を加えるような形で解釈されるべきではない。
【実施例】
【0093】
実施例1
6-クロロ-3-フルオロ-2-ヨードピリジンの合成:
【化21】
【0094】
THF(2mL)に溶かした2-クロロ-5-フルオロピリジン(132mg、1.0mmol)に、アルゴン下に60℃でTMPZnCl・LiCl(1.31M THF中溶液、0.84mL、1.1mmol)を加える。この反応溶液を30分間攪拌する。次に、ヨウ素(THF 4mL中355mg)を25℃で加え、得られた溶液をさらに30分間攪拌する。飽和塩化アンモニウム溶液及びチオ硫酸ナトリウム溶液を加えることによる一般的な後処理後に、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相をNa2SO4で脱水し、膜ポンプ真空で濃縮する。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/シクロヘキサン)による精製後に、6-クロロ-3-フルオロ-2-ヨードピリジン(158mg、62%)が黄色固体として得られる。HPLC-MS:logP=2.53;質量(m/z):イオン化なし;1H-NMR(D6-DMSO):δ7.80(m、1H)、7.61(m、1H)。
【0095】
実施例2
メチル5-フルオロ-6-ヨードピリジン-2-カルボキシレートの合成:
THF(2mL)に溶かしたメチル5-フルオロピリジン-2-カルボキシレート(155mg、1.0mmol)に、60℃でアルゴン下に、TMPZnCl・LiCl(1.31M THF中溶液、0.84mL、1.1mmol)を加える。この反応溶液を30分間攪拌する。次に、ヨウ素(THF 4mL中355mg)を25℃で加え、得られた溶液をさらに30分間攪拌する。一般的な後処理及びカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/シクロヘキサン)による精製後に、メチル5-フルオロ-6-ヨードピリジン-2-カルボキシレート(197mg、70%)が黄色固体として得られる。HPLC-MS:log=1.85;質量(m/z):281.9;1H-NMR(D6-DMSO):δ8.10(m、1H)、7.86(m、1H)、3.89(s、3H)。
【0096】
実施例3
6-ブロモ-3-フルオロ-2-ヨードピリジンの合成:
THF(5mL)に溶かした2-ブロモ-5-フルオロピリジン(880mg、5.0mmol)に、アルゴン下に60℃でTMPZnCl・LiCl(1.31M THF中溶液、4.2mL、5.5mmol)を加える。この反応溶液を30分間攪拌する。次に、ヨウ素(THF 4mL中1.78g)を25℃で加え、得られた溶液をさらに30分間攪拌する。飽和塩化アンモニウム溶液及びチオ硫酸ナトリウム溶液を加えることによる一般的な後処理後に、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相をNa2SO4で脱水し、膜ポンプ真空で濃縮する。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/シクロヘキサン)による精製後に、6-ブロモ-3-フルオロ-2-ヨードピリジン(1.31g、87%)が黄色固体として得られる。HPLC-MS:logP=2.67;質量(m/z):イオン化なし;1H-NMR(D6-DMSO):δ7.72(m、2H)。