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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】戸体
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/70 20060101AFI20220307BHJP
   E06B 3/82 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
E06B3/70 Z
E06B3/82
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019016302
(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公開番号】P2020122374
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-04-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岡本 麻友子
【審査官】鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-086652(JP,A)
【文献】特開2000-136678(JP,A)
【文献】特開平05-287959(JP,A)
【文献】特開2015-224430(JP,A)
【文献】特開2019-190186(JP,A)
【文献】特開2018-104925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/54-3/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル体と、
前記パネル体の表面に取り外し可能に取り付けられる表面化粧材と、
前記表面化粧材の小口に嵌合されて当該小口を覆う小口キャップと、
を有し、
前記パネル体は、前記表面から突出し、前記表面に沿う所定方向に向かって前記表面との間隔が狭くなる傾斜を有して前記表面化粧材と係合する係合部と、前記表面化粧材が固定される固定部と、を有し、
前記表面化粧材は、前記小口において前記固定部に当接される当接部を有し、
前記小口キャップは、前記当接部が挿通される挿通孔を有し、
前記表面化粧材は、前記係合部と前記表面とにより、見込み方向の移動が規制された状態で、前記挿通孔に挿通されている前記当接部が前記固定部に当接されて、前記所定方向とは反対の方向から前記固定部に挿通されているビスにより固定されていることを特徴とする戸体。
【請求項2】
請求項1に記載の戸体であって、
前記表面化粧材は、前記当接部よりも前記表面とは反対側に位置し外部に露出する化粧面部を有し、
前記小口キャップは、前記表面化粧材が前記固定部に固定された状態で前記化粧面部の前記小口を覆い前記固定部よりも前記所定方向に突出するキャップ突出部を有していることを特徴とする戸体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の戸体であって、
前記パネル体は、前記係合部を有する係合部材と、前記固定部を有する固定部材と、を有し、
前記係合部材と、前記固定部材とは、前記パネル体を構成する部材のうちの単一の部材に取り付けられていることを特徴とする戸体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル体の表面に取り外し可能に取り付けられる表面化粧材と表面化粧材の小口を覆う小口キャップとを有する戸体に関する。
【背景技術】
【0002】
パネル体の表面に取り外し可能に取り付けられる表面化粧材と表面化粧材の小口を覆う小口キャップとを有する戸体としては、上下面にアルミニウム板等でなるキャップを備えた飾り板が、ドア本体に取り付けられているドアが知られている(例えば、特許文献1参照)。このドアは、ドア本体の室外側の面に設けられた、飾り板の取り付け縁に飾り板の左右の端部が当接され、取り付け縁に固定されているスプリングピンに、飾り板の後面のリブに設けた切欠が掛けられ、取り付け縁にねじ込むねじにより飾り板が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-287959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のドアの飾り板は、後面のリブに設けた切欠が、取り付け縁に固定されているスプリングピンに掛けられているだけであり、飾り板の上下のキャップは、取り付け縁に固定されているビス止めされている。このため、飾り板は、取り付け縁、すなわちパネル体側には直接取り付けられていないので、取り付けた飾り板にがたつきが生じる虞があるという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、小口を覆う小口キャップを備える表面化粧材が、がたつき難い戸体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の戸体は、パネル体と、前記パネル体の表面に取り外し可能に取り付けられる表面化粧材と、前記表面化粧材の小口に嵌合されて当該小口を覆う小口キャップと、を有し、前記パネル体は、前記表面から突出し、前記表面に沿う所定方向に向かって前記表面との間隔が狭くなる傾斜を有して前記表面化粧材と係合する係合部と、前記表面化粧材が固定される固定部と、を有し、前記表面化粧材は、前記小口において前記固定部に当接される当接部を有し、前記小口キャップは、前記当接部が挿通される挿通孔を有し、前記表面化粧材は、前記係合部と前記表面とにより、見込み方向の移動が規制された状態で、前記挿通孔に挿通されている前記当接部が前記固定部に当接されて、前記所定方向とは反対の方向から前記固定部に挿通されているビスにより固定されていることを特徴とする戸体である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、小口を覆う小口キャップを備える表面化粧材が、がたつき難い戸体を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明にかかる扉の一例を示す外観図である。
図2】扉の縦断面図である。
図3】扉の構成を示す斜視図である。
図4】パネル体に取り付けられている表面化粧材を示す水平断面図である。
図5】表面化粧材とパネル体との係合部を示す図である。
図6】表面化粧材の下端に設けられている小口キャップを示す斜視図である。
図7】小口キャップが装着された表面化粧材の下端と載置部材とを示す図である。
図8】パネル体に設けられた係合部材と表面化粧材との係合部状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る戸体について図面を参照して説明する。
本実施形態では、戸体として、玄関に用いられる玄関扉を例に挙げて説明する。
【0010】
以下の説明においては、玄関扉(以下、扉という)が建物に取り付けられている状態で屋外側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となり扉の幅となる方向を左右方向、屋内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。扉の各部位であっても、また、扉を構成する各部材については単体の状態であっても、扉が取り付けられた状態で上下方向、左右方向、見込み方向等となる方向にて方向を特定して説明する。
【0011】
扉1は、図1に示すように、採光窓1aを備え扉1の本体をなすパネル体2と、パネル体2の屋外側の表面2cに採光窓1aを避けて設けられる4本の表面化粧材3と、表面化粧材3の上下の小口3a(図3)に嵌合されて当該小口3aを覆う小口キャップ4と、を有している。4本の表面化粧材3は、長手方向が上下方向に沿わされ、左右方向に並べて配置されている。扉1は右側の端部に設けられたヒンジ1bにより枠体(不図示)に回動自在に支持される。
【0012】
パネル体2は、図2に示すように、パネル状に形成された芯材2aと、芯材2aの外周を囲むように設けられたフレーム2bと、芯材2aの屋外側及び屋内側の面を覆いパネル体2の表面2cを形成する表面材2dと、を有しており、単独であっても使用可能である。尚、図面においては、同一図面において複数示されている部材の符号を一部省略している。
【0013】
パネル体2の屋外側に位置する表面材2dには、図2図3に示すように、表面化粧材3が係合される係合部材5がリベット等の固着具6により取り付けられ、表面化粧材3が載置される載置部材7がビス止めされている。係合部材5は、各表面化粧材3につき4つずつ設けられており、1本の表面化粧材3が係合される係合部材5は、上部側に2つと上下方向にける中央近傍に2つ設けられている。載置部材7は、各表面化粧材3につき1つずつ設けられており、パネル体2の下端に取り付けられている。
【0014】
係合部材5は、パネル体2の表面2cに当接されて取り付けられる板状の係合部材取付部5aと、係合部材取付部5aの左右方向における両側の縁から屋外側に突出されている係合部としての係合片5bと、を有している。係合部材取付部5aは、上下方向に長い長方形状をなし、上下の端部側にてパネル体2に取り付けられている。係合片5bは、係合部材取付部5aの上下方向における中央から屋外側に向かって延出される係合部材延出部5cと、係合部材延出部5cの上下にそれぞれ上または下に向かって係合部材取付部5aとの間隔が広がるように延出された傾斜部5dとを有している。
【0015】
載置部材7は、パネル体2の表面2cに当接されて取り付けられる板状の載置部材取付部7aと、載置部材取付部7aの下端から屋外側に向かってほぼ水平に延出され表面化粧材3が載置される載置部7bと、を有している。載置部材取付部7aには、後述する小口キャップ4との干渉を避ける為の開孔7cが設けられている。載置部7bには、表面化粧材3を固定するためのビス8が挿通される貫通孔7dが設けられている。載置部材7は、パネル体2に取り付けられた状態で、載置部7bの下面が、パネル体2の下面よりも僅かに上位置するようにパネル体2に取り付けられる。
【0016】
表面化粧材3は、同一形状の断面が長手方向に続く押出成型材であり、図4図5に示すように、屋外側に露出してパネル体2の表面2cと平行に配置される化粧面部としての化粧材表面部3bと、化粧材表面部3bの左右の縁からそれぞれ延出された化粧材側部3cと、化粧材表面部3bの左右方向における中央からパネル体2側に突出するビス螺合部3dと、左右に設けられた化粧材側部3cとビス螺合部3dの間にそれぞれ設けられた補強リブ3eと、を有している。尚、図4においては、小口キャップ4を除いて示している。
【0017】
化粧材表面部3bの左右に設けられた化粧材側部3cは、化粧材表面部3bから離れるにつれてパネル体2との間隔が狭くなる傾斜を有する角部3fと、角部3fの先端から見込み方向に延出された見込み側部3gと、見込み側部3gのパネル体2側の縁から左右方向に沿って表面化粧材3の内側に延出されパネル体2と対面する側部対面部3hと、を有している。
【0018】
ビス螺合部3dは、化粧材表面部3bから屋外側に延出された部位の先端が、円弧状をなして屋内側に長手方向に沿うスリット3jを有する形状をなしている。
【0019】
各補強リブ3eは、化粧材表面部3bから屋内側に延出されたリブ本体3kと、リブ本体の先端から左右方向に沿って各々化粧材側部3c側に延出されてパネル体2と対面するリブ対面部3lと、各々のリブ本体3kからビス螺合部3d側に延出されて係合部材5と係合する被係合部3mを有する被係合片3nと、を有している。各被係合片3nは、表面化粧材3がパネル体2に装着された状態で、パネル体2と見込み方向に間隔が空く位置に設けられている。
【0020】
被係合部3mは、被係合片3nの先端部からリブ本体3k側に窪ませて形成された切り欠き部であり、上側の窪み量より、下側の窪み量の方が大きく形成されている。窪み量が大きな、下側の窪み部分3oの上下方向の幅は、係合片5bの上下方向の長さよりも広く形成されている。また、被係合部3mは、表面化粧材3をパネル体2に取り付けたときに、左右方向に並ぶ2つの係合部材5が、左右に設けられた被係合部3mの上側の窪み部分3pの間に配置されるように形成されている。
【0021】
小口キャップ4は、図6図7に示すように、表面化粧材3の小口3aが当接されるキャップ本体4aと、キャップ本体4aから突出して表面化粧材3に嵌合される4つの嵌合部4bと、キャップ本体4aの中央側にて小口3aが当接される側に窪むキャップ凹部4cと、を有している。キャップ本体4aは、取り付けたときにキャップ本体4aのエッジが露出しないように、小口3a当接される部位よりも僅かに外側に張り出している。
【0022】
嵌合部4bは、キャップ本体4aの小口3aが当接される側(以下、内側という)の面から表面化粧材3の長手方向に突出している。4つの嵌合部4bは、左右に設けられている化粧材側部3cと補強リブ3eとの間に2つの嵌合部4bが嵌合され、化粧材表面部3bと各補強リブ3eの被係合片3nとの間に2つの嵌合部4bが嵌合されて、小口キャップ4が表面化粧材3に取り付けられている。
【0023】
キャップ凹部4cは、キャップ本体4aの左右方向における中央側の部位に設けられており、図7に示すように、嵌合部4bが設けられている面とは反対側(以下、外側という)の面が表面化粧材3側に窪ませて形成されている。このため、キャップ凹部4cの左右方向の端には、キャップ本体4aから表面化粧材3側に突出する側壁部4dが設けられており、側壁部4dの突出した先端同士を繋いで水平な面をなす連結板部4eを有しており、連結板部4eの室外側の縁もまたキャップ本体4aと繋がっている。
【0024】
連結板部4eには、小口キャップ4が表面化粧材3に装着された状態で、表面化粧材3の小口3aのビス螺合部3dを除く部位がキャップ本体4aに当接されたときに、ビス螺合部3dが挿通される挿通孔4fが設けられている。このとき、連結板部4eの外側の面4gは、キャップ本体4aの小口3aが当接される内側の面4hよりも、表面化粧材3側に位置している。すなわち、小口キャップ4が表面化粧材3に装着されたときに、ビス螺合部3dが連結板部4eよりも外側に僅かに突出するように構成されている。
【0025】
キャップ凹部4cには、小口キャップ4が装着された表面化粧材3がパネル体2に取り付けられるときに、パネル体2に取り付けられている載置部材7の載置部7bが収容される。キャップ凹部4cに載置部材7の載置部7bが収容された状態では、キャップ本体4aの、キャップ凹部4cよりも屋外側に位置する部位4iが、載置部7bよりも下方に突出しており、載置部7bの屋外側を覆っている。ここで、キャップ本体4aの、キャップ凹部4cよりも屋外側に位置する部位4iがキャップ突出部に相当する。
【0026】
表面化粧材3がパネル体2に取り付けられたときに載置部材7の載置部材取付部7aと、連結板部4eとが緩衝しないように、連結板部4eの屋内側となるパネル体2側の縁は、キャップ本体4aのパネル体2側の縁よりも屋外側に位置している。
【0027】
連結板部4eに設けられた挿通孔4fにより連結板部4eが左右に分断されないように、キャップ凹部4cよりも内側に突出させて左右の連結板部4eを繋ぐ連結片4jが設けられている。連結片4jは、連結板部4eよりもパネル体2側に突出している。このため、表面化粧材3がパネル体2に取り付けられたときには、載置部材7の載置部材取付部7aに設けられている開孔7cに配置されるように構成されている。
【0028】
次に、表面化粧材3の取り付け方法を説明する。
まず、パネル体2には、予め係合部材5と載置部材7とを取り付けておく。また、表面化粧材3には、上及び下の小口3aにそれぞれ小口キャップ4を嵌合しておく。
【0029】
次に、表面化粧材3を屋外側からパネル体2の屋外側面に対向させて配置し、表面化粧材3をパネル体2に近づけつつ表面化粧材3の被係合部3mに、パネル体2に設けられている係合片5bを挿入する。このとき、係合片5bが被係合部3mの下側の窪み部分3oに挿入されるように、表面化粧材3はパネル体2に固定される位置よりも高い位置でパネル体2に近づける。
【0030】
次に、表面化粧材3をパネル体2とほぼ平行になるように近接させ、下方に降ろしパネル体2に設けられている載置部材7の載置部7b上に載置する。このとき、下側の小口キャップ4のキャップ凹部4cに載置部7bが収容され、載置部7bの上面にビス螺合部3dの小口3aが当接される。また、このとき、被係合部3mの上縁部3qが、係合片5bの傾斜部5dに接触し、パネル体2側に案内されつつ表面化粧材3が降下する。ここで、載置部材7が、パネル体2に設けられて表面化粧材3が固定される固定部材に相当し、載置部7bが、表面化粧材3が固定される固定部に相当し、ビス螺合部3dが、固定部材に当接される当接部に相当する。また、本実施形態においては、下に向かう方向が、表面に沿う所定方向に相当する。
【0031】
次に、載置部7bの下方から貫通孔7dにビス8を挿通させ表面化粧材3のビス螺合部3dに螺合して表面化粧材3を固定することにより表面化粧材3が取り付けられた扉1が完成する。このとき、表面化粧材3は、ビス8により下方に引き寄せられることにより、被係合部3mの上縁部3qが係合片5bの傾斜部5dと係合し、表面化粧材3がパネル体2側に案内されつつ下方に移動する。
【0032】
表面化粧材3は、傾斜部5dに案内されて下方に移動しつつパネル体2側にも移動することによりパネル体2側に押圧され、係合片5bとパネル体2の表面2cとの間に挟持されて見込み方向の移動が不能となる。このため、本実施形態の係合片5bの上側に設けられている傾斜部5dは、表面化粧材3が載置部7bに載置された状態で被係合部3mの上縁部3qが係合する高さよりも下側では、パネル体2と対面するリブ対面部3lと、被係合部3mが設けられている被係合片3nとの見込み方向の間隔W1(図4)よりも、パネル体2の表面2cとの間隔W2(図8)が狭くなるように構成されている。
【0033】
本実施形態の扉1によれば、表面化粧材3は、係合片5bとパネル体2の表面2cとにより、見込み方向の移動が規制された状態で、小口キャップ4の挿通孔4fに挿通されているビス螺合部3dが載置部7bに当接されて載置部材7に固定されている。すなわち、表面化粧材3は、見込み方向の移動が規制された状態でビス螺合部3dが載置部7bに直接固定されるので、小口3aを覆う小口キャップ4を備える表面化粧材3が、がたつき難い扉1を提供することが可能である。
【0034】
このとき、パネル体2の表面2cから突出している係合片5bの、下方に向かって表面2cとの間隔が狭くなる傾斜部5dが表面化粧材3に設けられている被係合部3mの上縁部3qと係合し、表面化粧材3が下方から上方に向かって載置部材7に挿通されているビス8により固定されているので、載置部材7に挿通されているビス8をビス螺合部3dに螺合することにより表面化粧材3は、下方に引き寄せられる。
【0035】
表面化粧材3は、下方に引き寄せられることにより、傾斜部5dにより傾斜部5dとパネル体2の表面2cとの間隔W2が狭くなる位置に移動する。このため、載置部材7に挿通されているビス8をビス螺合部3dに螺合することにより表面化粧材3が、傾斜部5dとパネル体2の表面2cとの間に挟持されるので、表面化粧材3の見込み方向の移動を規制することが可能である。
【0036】
また、表面化粧材3が載置部材7に固定された状態では、表面化粧材3の小口3aが小口キャップ4により覆われるとともに、キャップ本体4aの、キャップ凹部4cよりも屋外側に位置する部位4iにより、載置部7bも表面2cとは反対側となる屋外側から覆われる。このため、表面化粧材3の小口3a及び載置部7bは、外部から視認し難いので、より意匠性に優れた扉1を提供することが可能である。
【0037】
また、パネル体2に取り付けられる係合部材5と載置部材7は、パネル体2を構成する部材のうちの単一の部材である表面材2dに設けられている。このため、単一の表面材2dに係合部材5及び載置部材7の取り付け孔を、例えばNC加工等により高精度に設ける
ことができるので、係合部材5と載置部材7をより精度良くパネル体2に取り付けることが可能である。このため、表面化粧材3が係合片5bに係合されてビス螺合部3dが載置部7bに当接されて固定したときに、表面化粧材3のがたつきをより確実に抑えることが可能である。
【0038】
上記実施形態においては、取り付けられる姿勢に配置したパネル体2に小口キャップ4が装着された表面化粧材3を取り付ける例について説明したが、この限りではない。例えば、パネル体の上下が水平方向に沿うように倒した状態で取り付けてもよい。また、係合片の下側の傾斜部と被係合部とが係合しパネル体の上端に取り付けた載置部材に小口キャップが装着された表面化粧材を取り付けても構わない。また、押出成型材でなる表面化粧材を水平方向に沿わせて配置しても構わない。
【0039】
本実施形態の係合部材5は、係合片5bを2つ備えているが、少なくとも1つの係合片5bを有していればよい。また、各係合片5bは、下側の傾斜部5dを備えていなくとも構わない。
【0040】
また、上記実施形態においては、戸体をして玄関扉1を例に挙げて説明したがこれに限らず、玄関扉以外の扉であっても、また、引き戸などの障子等であっても構わない。
【0041】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0042】
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
パネル体と、前記パネル体の表面に取り外し可能に取り付けられる表面化粧材と、前記表面化粧材の小口に嵌合されて当該小口を覆う小口キャップと、を有し、前記パネル体は、前記表面から突出し、前記表面に沿う所定方向に向かって前記表面との間隔が狭くなる傾斜を有して前記表面化粧材と係合する係合部と、前記表面化粧材が固定される固定部と、を有し、前記表面化粧材は、前記小口において前記固定部に当接される当接部を有し、前記小口キャップは、前記当接部が挿通される挿通孔を有し、前記表面化粧材は、前記係合部と前記表面とにより、見込み方向の移動が規制された状態で、前記挿通孔に挿通されている前記当接部が前記固定部に当接されて、前記所定方向とは反対の方向から前記固定部に挿通されているビスにより固定されていることを特徴とする戸体である。
【0043】
このような戸体によれば、表面化粧材は、係合部とパネル体の表面とにより、見込み方向の移動が規制された状態で、小口キャップの挿通孔に挿通されている当接部が固定部に当接されて固定されている。すなわち、表面化粧材は、見込み方向の移動が規制された状態で当接部が固定部に直接固定されるので、小口を覆う小口キャップを備える表面化粧材が、がたつき難い戸体を提供することが可能である。このとき、パネル体の表面から突出して表面に沿う所定方向に向かって表面との間隔が狭くなる傾斜を有する係合部が表面化粧材と係合し、表面化粧材は、所定方向とは反対の方向から固定部に挿通されているビスにより固定されているので、固定部に挿通されているビスを当接部に螺合することにより表面化粧材は、所定方向に引き寄せられる。
【0044】
表面化粧材は、所定方向に引き寄せられることにより、係合部の傾斜により係合部とパネル体の表面との間隔がより狭くなる位置に移動する。このため、固定部に挿通されているビスを当接部に螺合することにより表面化粧材が、係合部とパネル体の表面との間に挟持されるので、表面化粧材の見込み方向の移動を規制することが可能である。
【0045】
かかる戸体であって、前記表面化粧材は、前記当接部よりも前記表面とは反対側に位置し外部に露出する化粧面部を有し、前記小口キャップは、前記表面化粧材が前記固定部に固定された状態で前記化粧面部の前記小口を覆い前記固定部よりも前記所定方向に突出するキャップ突出部を有していることを特徴とする。
【0046】
このような戸体によれば、表面化粧材が固定部に固定された状態では、表面化粧材の小口が小口キャップにより覆われるとともに、小口キャップのキャップ突出部により、当接部も表面とは反対側から覆われている。このため、表面化粧材の小口及び固定材は、外部から視認し難いので、より意匠性に優れた戸体を提供することが可能である。
【0047】
かかる戸体であって、前記パネル体は、前記係合部を有する係合部材と、前記固定部を有する固定部材と、を有し、前記係合部材と、前記固定部材とは、前記パネル体を構成する部材のうちの単一の部材に取り付けられていることを特徴とする。
【0048】
このような戸体によれば、パネル体に取り付けられる固定部材と係合部材は、パネル体を構成する部材のうちの単一の部材に設けられているので、固定部材と係合部材をより精度良くパネル体に取り付けることが可能である。このため、表面化粧材が係合部に係合されて当接部が固定部に当接されて固定したときに、表面化粧材のがたつきをより確実に抑えることが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 扉、2 パネル体、2c パネル体の表面、2d 表面材、
3 表面化粧材、3a 小口、3b 化粧材表面部、
3d ビス螺合部、3m 被係合部、3q 被係合部の上縁部、
4 小口キャップ、4f 挿通孔、
4i キャップ凹部よりも屋外側に位置する部位、
5 係合部材、5b 係合片、5d 傾斜部、
7 載置部材、7b 載置部、
8 ビス、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8