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特許70350202つの異なる種類の粒子を含み、非凝集固形粒子の形態である、急速摂取および容易な嚥下を伴う固体組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】2つの異なる種類の粒子を含み、非凝集固形粒子の形態である、急速摂取および容易な嚥下を伴う固体組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/14 20060101AFI20220307BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20220307BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20220307BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20220307BHJP
【FI】
A61K9/14
A61K47/26
A61K47/12
A23L33/10
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019510687
(86)(22)【出願日】2017-09-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-28
(86)【国際出願番号】 FR2017052476
(87)【国際公開番号】W WO2018051039
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】1658666
(32)【優先日】2016-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519055881
【氏名又は名称】ユニザー ファーマシューティカルズ
【氏名又は名称原語表記】UNITHER PHARMACEUTICALS
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【弁理士】
【氏名又は名称】柿沼 公二
(72)【発明者】
【氏名】ジーン-ルク ポーグナス
【審査官】古閑 一実
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-246252(JP,A)
【文献】特開2001-064159(JP,A)
【文献】特開2000-119173(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0009678(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01802285(EP,A1)
【文献】米国特許第07067149(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0052278(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0092553(US,A1)
【文献】米国特許第05674533(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61K 31/00-33/44
A61P 1/00-43/00
A23L 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトまたは動物の個体に投与可能な、急速摂取および容易な嚥下を伴う固体組成物であって、該組成物は、非凝集固形粒子の形態であり、該組成物は、以下の2つの異なる種類の粒子:
-唾液中の溶解度が非常に低く、所望の用量の有効成分を前記ヒトまたは動物の個体に投与するのに十分な量の少なくとも1つの有効成分を含む、Pa粒子、および
-唾液中に速やかに溶解し、見掛け密度が約0.6g/cm上であることを特徴とするPs粒子
を含み、
前記Ps粒子は、低グリセミック指数を有する少なくとも1つのポリオールを、該Ps粒子の総質量の少なくとも50質量%に相当する質量パーセントで含み、前記ポリオールはエリスリトールであり、
前記Ps粒子は、少なくとも1つの天然有機酸またはその塩をさらに含み、
前記Ps粒子は、前記ヒトまたは動物の個体において、有効成分を含む前記Pa粒子の急速摂取および容易な嚥下を可能にするのに十分な量で前記組成物中に存在する、固体組成物。
【請求項2】
前記Ps粒子の見掛け密度が0.7g/cm 以上である、請求項1に記載の固体組成物。
【請求項3】
前記Ps粒子の見掛け密度が0.7g/cm 以上1.5g/cm 以下である、請求項1に記載の固体組成物。
【請求項4】
Pa粒子およびPs粒子の均一混合物を含む、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、小袋および/またはスティックに詰めるのに適した非凝集固形粒子の均一混合物である、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
記少なくとも1つの天然有機酸またはその塩が、クエン酸および/または、クエン酸カルシウムもしくはクエン酸マグネシウムである、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの天然有機酸またはその塩が、前記Ps粒子の総質量の50質量%を超えない質量パーセントで該Ps粒子中に存在する、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
低グリセミック指数を有するポリオールに対する天然有機酸(またはその塩)の重量比が0.01以上1以下である、請求項1~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記Ps粒子は、平均粒子径が約500μm以下である、請求項1~8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
前記Ps粒子が、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースおよび/またはヒドロキシプロピルセルロースを含まない、請求項1~9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記Pa粒子が、
-湿気から保護し、かつ/または唾液中における溶解度を制限するために、および/または
-消化管の1以上の部分において、該Pa粒子に含まれる少なくとも1つの有効成分の放出を調整するために、
疎水性物質で構成されているか、または疎水性物質でコーティングされている、請求項1~10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
前記Pa粒子は、平均粒子径が約500μm未満である、請求項1~11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
前記Ps粒子の平均粒子径と前記Pa粒子の平均粒子径とが、50%以下互いに異なる、請求項1~12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
壊剤を含まない、請求項1~13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
前記Ps粒子に対する前記Pa粒子の重量比が10未満である、請求項1~14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
前記重量比が1以下である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
請求項1~16のいずれかに記載の組成物を含み、ヒトまたは動物に対して用いられる、急速摂取および容易な嚥下を伴う医薬品または急速摂取および容易な嚥下を伴う栄養補助食品。
【請求項18】
-請求項1~16のいずれかに記載の組成物、または
-請求項17に記載の急速摂取および容易な嚥下を伴う医薬品もしくは急速摂取および容易な嚥下を伴う栄養補助食品、
を含む、小袋またはスティック。
【請求項19】
ヒトまたは動物に対して用いられる、急速摂取および容易な嚥下を伴う医薬品または急速摂取および容易な嚥下を伴う栄養補助食品を調製するための、請求項1~16のいずれかに記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトまたは動物の個体への投与に適した、医薬または栄養上の目的のための固体経口組成物の分野に関する。より具体的には、本発明は、急速摂取および容易な嚥下を伴う固形ガレノス形態に関する。
【背景技術】
【0002】
固体経口組成物(特に、医薬品または栄養補助食品/栄養組成物など)は、一般にカプセルまたは錠剤の形態で供給される。
【0003】
錠剤またはカプセルなどの固体形態の経口投与に伴う主な問題の1つは、嚥下することである。実際、人口の中央値年齢層の約35%が嚥下障害に苦しんでおり、錠剤またはカプセルを飲み込むのに苦労している。この割合は、精神障害のある人や医学的に非協力的な人はもちろんのこと、幼児や高齢者において著しく高い。このような困難は、治療に対する(特に、長期治療に対する)コンプライアンス不良またはコンプライアンス違反の大きな要因である。
【0004】
この問題に応じ、嚥下困難な患者、例えば小児、高齢者、または精神障害があり医学的に非協力的な人などに経口投与した場合に、外部からの水分摂取を必要とせずに、急速に分解(即ち、断片化または崩壊)可能であり、それによって嚥下プロセスを容易にする固形ガレノス形態を得ることを目的として、医薬組成物が開発されてきた。
【0005】
口内で急速にまたは比較的急速に分解することを意図した様々な固形ガレノス形態が使用されてきた。これらは主に経口凍結乾燥物、発泡性経口錠剤、またはより最近ではチュアブル錠もしくは高崩壊剤含量の錠剤である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2001/0009678号
【文献】国際公開第2006/047493号
【文献】米国特許第5,464,632号
【文献】米国特許出願公開第2013/0052278号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
経口凍結乾燥物(または凍結乾燥錠剤)は、特に、高吸湿性および高多孔性のため、経口投与後に極めて急速な崩壊が保証されるという事実により、最も一般的に使用される急速崩壊組成物である。それにもかかわらす、これらの凍結乾燥物は、以下のような特定の欠点を提示する:
i)高脆砕性のため、取り扱い時の脆弱性が高いこと、
ii)大気中の湿気に対する高感受性、および
iii)複雑な技術および製造方法、その結果としての高い製造コスト。それゆえ、この技術は、一般に、医薬組成物中の低用量で高価な有効成分に対して選択される。
【0008】
発泡性経口錠は発泡性カップルを含む医薬組成物からなり、発泡性カップルは唾液に接触すると活性化し、それによって該錠剤の完全な崩壊を確実にする。しかしながら、これらの発泡錠は、口内において3分未満で崩壊することを確実にするため、放出されるガス量を制限するため、そして口内で特徴的な不快味を制限するため、必ずコンパクトサイズでなければならない。これらの発泡錠のもう一つの欠点は、湿気に対して非常に敏感であるということであり、非常に特殊な製造方法、典型的には制御雰囲気中で使用することを伴う。
【0009】
ここ数年、チュアブル(または、エディブル)錠、または口内崩壊錠などの新しい形態が、特に製薬分野で市場に登場している。後者は、数秒以内に口腔内で崩壊するとういう利点を提示し、それによって患者/被験体による嚥下するための努力の必要性を回避するため、非常に普及してきた。それらは患者/被験体にとって実用的であることが証明されているが、口内崩壊錠は一般的に複雑な組成物を有し、該組成物は通例は異なる種類の相当数の成分を含有し、該成分には錠剤が口腔内で数秒以内に分解することを可能にする即効性崩壊剤(「崩壊」剤またはさらに「超崩壊」剤としても知られる)が含まれる。米国特許第5,464,632号は、例えば、高崩壊剤含量の錠剤を開示している。特に、この特許は、膨潤剤と結合した崩壊剤として、高質量画分のカルボキシメチルセルロースおよび架橋不溶性ポリビニルピロリドン(PVP)を含む医薬組成物を開示している。この組成物は、微結晶または微顆粒の形態で使用される有効成分を、予め造粒された賦形剤の混合物と混合することによって得られる。この文献に記載されている組成物中の崩壊剤の高質量画分(および、特に架橋不溶性PVPの高質量画分)は、それらを配合するこれらの錠剤を口内に入れると、チョークのような種類の味と不所望な乾燥感を生じるという欠点を示す。同様に、米国特許出願公開第2001/0009678号は、以下を含む口内崩壊錠を開示している:
a)医薬有効成分、
b)1以上の「糖アルコール」、および
c)崩壊剤、すなわち7.0~9.9重量%の「ヒドロキシプロポキシル」基を含む低置換度ヒドロキシプロピルセルロース。さらに、米国特許出願公開第2001/0009678号は、「実施例5」において、1種類ではなく2種類の異なる崩壊剤、すなわち、前述の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとクロスポビドン(架橋ポリビニルピロリドンとも呼ばれる)とを含む口内崩壊錠の調製を開示している。
【0010】
さらに、これらの口内崩壊錠は、上記のすべてにもかかわらず、所望の崩壊を得るためにかなりの時間(しばしば最大30秒)を必要とすることを指摘すべきであり、精神障害のある個人(例えば、アルツハイマー病、統合失調症などに苦しんでいる患者など)の場合のように、患者/被験体が「間違う」リスクがある場合には理想的ではない。さらに、延長された口内崩壊時間/口内分解時間は、この種の組成物中に存在する有効成分の口腔吸収(または経口吸収)を促進し得ることにも留意すべきである。この口腔吸収現象は、その性質上、口内崩壊錠に含まれる有効成分(複数可)の生物学的利用能を変える傾向がある。したがって、口腔内滞留時間の延長は、前記の口内崩壊錠の生物学的同等性に特に影響を及ぼす傾向があるという意味で、特に不利であると判明する可能性がある。実際、通常、当業者は、服用時における患者の快適性を向上させることを目的として、従来の錠剤の「改良」バージョンを作製するつもりで、口内崩壊錠を開発する。薬物動態学的には、これらの口内崩壊錠は、既存の従来の錠剤と生物学的に同等のままでなければならない。すなわち、口内崩壊錠は、生物学的利用能に関して、後者と同様の性質を持たなければならない。しかしながら、ある種の有効成分は口腔粘膜において吸収されることがあり、口腔粘膜における吸収は一般に口腔内滞留時間に比例する。そのような吸収が延長された/長期化された口腔内滞留時間のために起こるならば、生物学的利用能を有意に改変し、そして前記の改良組成物の非生物学的同等性をもたらす危険性がある。これは望ましくなく、かつ、非常に不利益であることが証明されている。なぜなら、新しい製剤の使用の有効性と安全性に関して、生物学的利用能の変化の影響を測定することを目的として、費用のかかる新しい臨床試験を実施することが必要になるからである。
【0011】
薬理学的の点において、大きな制約は、口内崩壊錠およびそれらが含有する有効成分の制限質量に関する。実際、これらの口内崩壊錠は、口腔内で好ましくは30秒以内に分解され得るように、ほとんどの場合、質量500mg未満であり、かつ、有効成分量が200mgを超えることは滅多にない。
【0012】
純粋に味覚の点では、特に有効成分が不快な味を有する場合、口腔内滞留時間を延ばすことは一般的に不利である。そのため、口内崩壊錠は一般に、含有する有効成分の不快な味をマスキングすることを可能にする1以上の化合物(味マスキング剤)、例えば不溶性または低溶解性ポリマーを含有する。例として、国際公開第2006/047493号(欧州特許出願公開第1802285号に対応する)を挙げることができ、該出願も粒子を含む口内崩壊錠(頭文字をとって「ODT」)を開示し、該粒子はそれぞれ医薬有効成分を含む粒子コアから形成され、口腔内での味をマスキングすることを可能にするために、ポリマーとゲル化物質との混合物を含むいわゆる「味マスキング」膜でコーティングされている。
【0013】
最後に、調製方法の観点から、口内崩壊錠の製造は、特に圧縮力の調整に関して特別な注意を必要とする。実際に、圧縮力が高すぎることが判明した場合、口腔内分解時間は著しく延長される可能性があり、これは定義上、予定された技術的効果に反するものである。実際には、上記の現象を防ぐために、圧縮力は最小値に調整されることが多く、これによりそのような錠剤は、従来の錠剤と比較して、より高い機械的脆弱性(脆砕性)を有する結果となる。その結果、錠剤をセルから取り出したときに崩れないようにするために、「剥離可能な」ブリスターなどの特定の-したがって高価な-包装の使用が時には必要であることが判明する。さらに、やはり圧縮力が最小値に調整されているため、製品の貯蔵中に変化が生じないように、特に錠剤の凝着(錠剤硬度としても知られている)について、口内崩壊錠の経時安定性に特に注意を払わなければならない。前記の製品の貯蔵中における変化によって、口腔内における前記錠剤の分解時間が顕著に影響される傾向がある。さらに、これらの多数の欠点(所望の分解を得るのにかなりの時間を要すること、特定の崩壊剤の使用による口内の不快感、マスキング剤を添加する必要性、脆砕性、経時的に起こりうる安定性の問題など)に加えて、これらの口内崩壊錠中で使用される崩壊剤は高コストである。
【0014】
米国特許出願公開第2013/0052278号は、錠剤の形態ではなく、口腔内で急速に溶解する経口投与可能な粉末形態の組成物を開示している。上記で説明した口内崩壊錠とは異なるガレノス形態で供給されるが、米国特許出願公開第2013/0052278号に開示されている組成物はまた、口腔内において数秒で溶解/崩壊可能なように、組成物中に崩壊剤の存在を必要とする。このことは、多くの欠点(上記参照)を提示し、特に:
-そのような崩壊剤は一般に高価であることが判明しているという事実に鑑みて、経済的観点において。しかし、とりわけ何よりも、
-これらの崩壊剤は唾液中の特定の有効成分の溶解度を高め、それによりこれらの組成物中に含まれる有効成分の生物学的利用能を変化させる結果とともに、経口吸収のリスクを引き起こす能力を有し、上記の理由からこのことは特に問題となる可能性があるため、薬物動態学的観点において。
【0015】
したがって、本発明は、上述の欠点の全部または一部を修正することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
したがって、本発明の対象は、ヒトまたは動物の個体に投与可能な、急速摂取および容易な嚥下を伴う固体組成物であって、該組成物は、非凝集固形粒子の形態であり、該組成物は、以下の種類の粒子の両方:
-所望の用量の有効成分を前記ヒトまたは動物の個体に投与する(そうすることで、予定の薬理学的または栄養学的効果を得る)のに十分な量の少なくとも1つの有効成分を含む、Pa粒子、および、
-唾液中に速やかに溶解し、見掛け密度が約0.6g/cm以上(好ましくは、0.6g/cm以上)、有利には約0.7g/cm以上(好ましくは、0.7g/cm以上)、好ましくは0.7g/cm以上1.5g/cm以下であることを特徴とする、Ps粒子
を含み、
前記Ps粒子は、前記ヒトまたは動物の個体において、前記Pa粒子の急速摂取および容易な嚥下を可能にするのに十分な量で前記組成物中に存在する、固体組成物である。
【0017】
本発明者は、驚くべきことに、本発明の非凝集固形粒子の形態の組成物において、(上で定義したような)高い見掛け密度のPs粒子を使用することによって、特に以下のことが可能になることを発見した:
a)Ps粒子がほとんど即時に唾液性流体に溶解し、特に該Ps粒子の体積増加を引き起こすという驚くべき効果のおかげで、これらのPa粒子が唾液中において溶解または崩壊することを必要とせずに、また外部からの水分摂取を必要とせずに、Pa粒子の嚥下を容易にする(嚥下するための特別な努力を必要とせずに、Pa粒子の急速摂取を可能にする)、そして
b)特に製品の損失または患者/被験体に不快感を与えることを防止するために、摂取される固形物の体積を非常に著しく減少させる。
【0018】
当業者は、(上で定義したような)高い見掛け密度のPs粒子を使用することの利点を特に学び、過度の困難を伴わずに、また必要であればルーチン検査の助けを借りて、前記ヒトまたは動物の個体による前記Pa粒子の急速摂取および容易な嚥下を可能にするために、本発明の組成物中に含まれるPs粒子の前記「十分な量」を決定するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物中に含まれるPs粒子の量は、Ps粒子に対するPa粒子の質量比(Pa/Psと表される)によって決定され、Pa/Psは好ましくは10(10/1)未満であり、好ましくは5(5/1)未満、有利には4(4/1)以下、好ましくは3(3/1)以下、特に好ましくは2.5(2.5/1)以下である。好ましくは、前記の質量比Pa/Psは1(1/1)以下、好ましくは0.75(約1/1.33)以下、有利には0.5(1/2)以下である。
【0020】
全く明白に、また当業者に周知であるように、本発明の組成物中に含まれるPs粒子の量はまた、Pa粒子とPs粒子の合計質量に対する質量パーセント(%m)(または重量パーセント、%w)としても表すことができる。Ps粒子の質量パーセント(%m Ps)は、以下の式を適用することによって、質量比Pa/Ps(x値)から得ることができる:
【数1】
【0021】
したがって、前記の本発明の好ましい実施形態によれば、Pa粒子とPs粒子の合計質量に対する本発明の組成物中のPs粒子の質量パーセントは、9.09%超(例えば、9.1%超)であり、16.67%超(例えば、17%超)であることが好ましく、20%以上であることが好ましく、25%以上であることが好ましく、そして28.57%以上(例えば、30%以上)であることが特に好ましい。Pa粒子とPs粒子の合計質量に対する本発明の組成物中のPs粒子の質量パーセントは、50%以上であることが好ましく、57.14%以上であることが好ましく、66.67%以上(例えば、70%以上)であることが有利である。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、Pa粒子とPs粒子の合計質量に対する本発明の組成物中のPs粒子の質量パーセントは、99%以下である。
【0023】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、Pa粒子は、唾液中の溶解度が非常に低い粒子である。本発明のこの特に好ましい実施形態では、Pa粒子とPs粒子は「唾液中での溶解度が異なる粒子」である。
【0024】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、前記組成物は、Pa粒子およびPs粒子の均一混合物を含む。
【0025】
前記組成物は、非凝集固形粒子の均一混合物であることが好ましい。この非凝集固形粒子の均一混合物は、小袋および/またはスティック、好ましくは単回用量の小袋および/またはスティックに詰めるのに適している。換言すれば、本発明の別の対象は、非凝集固形粒子の均一混合物を含む、急速摂取および容易な嚥下を伴う固体組成物であり、前記混合物は、以下の2つの異なる種類の粒子を含むか、以下の2つの異なる種類の粒子から主として構成されるか、または以下の2つの異なる種類の粒子から構成される:
-少なくとも1つの有効成分を含む、Pa粒子、
-唾液中に速やかに溶解し、見掛け密度が約0.6g/cm以上(好ましくは0.6g/cm以上)、有利には約0.7g/cm以上(好ましくは0.7g/cm以上)、好ましくは0.7g/cm以上1.5g/cm以下である、Ps粒子。
【0026】
有利に、Ps粒子は、エリスリトールなどの低グリセミック指数を有する少なくとも1つのポリオールを、好ましくは該Ps粒子の総質量の少なくとも50%に相当する質量パーセントで含むことが好ましい。
【0027】
好ましい実施形態によれば、Ps粒子はまた、少なくとも1つの天然有機酸またはその塩、好ましくは代謝的非酸性化天然有機酸(例えば、クエン酸)および/またはその塩(例えば、クエン酸カルシウムまたはクエン酸マグネシウム)をさらに含むことが好ましい。
【0028】
有利に、前記少なくとも1つの天然有機酸またはその塩は、Ps粒子の総質量の50%を超えない質量パーセントでPs粒子中に存在する。
【0029】
好ましい実施形態によれば、低グリセミック指数を有するポリオールに対する天然有機酸(またはその塩)の重量比は、0.01以上1以下である。
【0030】
好ましい実施形態によれば、Ps粒子は、平均粒子径が約500μm以下(好ましくは500μm以下である)であり;好ましくは該Ps粒子は、粒子径が約50μm~約500μm(好ましくは50μm~500μm)、好ましくは約100μm~約500μm(好ましくは100μm~500μm)、有利には約200μm~約400μm(好ましくは200μm~400μm)の範囲にある。
【0031】
好ましい実施形態によれば、Ps粒子は、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースおよび/またはヒドロキシプロピルセルロース(例えば、米国特許出願公開第2001/0009678号に開示されている、7.0~9.9重量パーセントの「ヒドロキシプロポキシル」基を含む低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなど)などの崩壊剤を含まない。
【0032】
好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースおよび/またはヒドロキシプロピルセルロース(例えば、米国特許出願公開第2001/0009678号に開示されている、7.0~9.9重量パーセントの「ヒドロキシプロポキシル」基を含む低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなど)などの崩壊剤を含まない。
【0033】
本発明のPs粒子および/または組成物(有利には両方)が崩壊剤(架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースおよび/またはヒドロキシプロピルセルロースなど)を含まないという事実によって、上述した欠点を修正することが可能になる。特に、該事実によって、製品のコスト削減、および本発明品に含まれる有効成分の経口吸収に対する潜在的に好ましくない影響を防止することが可能になる。
【0034】
実際、例えば米国特許第5,464,632号または米国特許出願公開第2001/0009678号に記載されている組成物とは異なり、本発明は、粒子が凝集していない組成物に関するものであり、該組成物は、有利には崩壊剤の非存在下で、Pa粒子中に含まれる有効成分の急速摂取および容易な嚥下を得ることを可能にする。
【0035】
一実施形態によれば、Pa粒子は、
-Pa粒子を湿気から保護し、かつ/または唾液中におけるPa粒子の溶解度を制限するために、および/または
-消化管の1以上の部分において、Pa粒子に含まれる少なくとも1つの有効成分の放出(改変放出、促進放出、遅延放出および/または標的放出など)を調整するために、
疎水性物質で構成されているか、または疎水性物質でコーティングされている。
【0036】
好ましくは、Pa粒子は、平均粒子径が約500μm未満(好ましくは500μm未満)であり;好ましくは該Pa粒子は、粒子径が、約50μm~約500μm(好ましくは50μm~500μm)、有利には約100μm~約400μm(好ましくは100μm~400μm)の範囲にある。実際、Pa粒子の粒子径は、嚥下を容易にし、患者/被験体が該粒子をかみ砕く気にならないように十分に「小さい」が、良好なプロダクトフローを可能にするために十分に「大きい」。
【0037】
好ましい実施形態によれば、Ps粒子の平均粒子径とPa粒子の平均粒子径とは、50%以下、好ましくは25%以下互いに異なる。
【0038】
本発明の別の対象は、ヒトまたは動物に対して用いられる、急速摂取および容易な嚥下を伴う医薬品、または急速摂取および容易な嚥下を伴う栄養補助食品であり、先に定義した組成物を含む。
【0039】
本発明の別の対象は、好ましくは気密封止されていて、
-上で定義した本発明の組成物、または
-上で定義した急速摂取および容易な嚥下を伴う医薬品、もしくは上で定義した急速摂取および容易な嚥下を伴う栄養補助食品、
を含む、小袋またはスティックに関する。
【0040】
本発明の別の対象は、ヒトまたは動物に対して用いられる、急速摂取および容易な嚥下を伴う医薬品または急速摂取および容易な嚥下を伴う栄養補助食品を調製するための、上記で定義した組成物の使用である。
【0041】
本発明の別の目的は、先に定義した通りのPs粒子に関する。本発明者は、この組成物によって、Pa粒子の有意な重量分、典型的には200mg超、有利には500mg超、そしておそらく最大で1グラム超が、患者の口腔吸収のリスクなしに、わずか数秒以内に急速摂取され、かつ、容易に嚥下され得ることを発見した;前記組成物の別の特徴は、コンパクトな体積で供給されることである。この特徴はまた、嚥下障害を患う患者を含むあらゆる種類の患者が、200mg超および500mg超、場合によっては1g超もの1つ以上の有効成分の用量を、有効成分の生物学的利用能が変化するリスク(上記のように、当業者に周知の口腔吸収の結果である)なしに、容易かつ急速に摂取することが可能になるので、特に重要である。驚くべきことに、本発明者は、そのような特性を得るために、全ての粒子を口腔内で溶解させる必要はなく、その一部のみ(Ps粒子)を溶解させればよいことを発見した。
【0042】
Pa粒子とPs粒子との組み合わせ、有利には均一混合物の形態でのPa粒子とPs粒子との組み合わせは、特別な嚥下するための努力なしに(容易な嚥下)急速摂取を確実にすることを可能にし、また簡単に調製することができ、このことはある種の利点となる。実際、この混合物は特に、患者/被験体に投与するのに、予め圧縮しておく必要はない。これにより、とりわけ、先行技術の口内崩壊錠に固有の脆砕性および経時安定性の問題を克服することが可能になる(上記参照)。Ps粒子の見掛け密度が高いため、この均一混合物は最小限の量で供給され、それにより患者が相当量、典型的には200mg超の有効成分を、崩壊剤(「超崩壊剤」としても知られる)の使用を必要とせずに、非常に迅速に(すなわち、特定の分解時間を観測する必要なしに)、簡単に摂取することが可能になる。このことは、明確な節約を表し、かつ、上記で説明したように、経口吸収の現象による生物学的利用能の変化を目撃するリスクを減少させる。
【0043】
上述のように、本発明による組成物は、非凝集粒子の混合物の形態で供給され、該粒子は、圧縮固体形態などの互いに凝集した粒子を含むガレノス形態とは対照的に、互いに凝集していない(「単体」粒子または「非粘着性」粒子)。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、粒子は、例えば、欧州薬局方のいわゆる「ファネル」試験(欧州薬局方8.0、「2.分析方法」、2.9.16項を参照)が本発明の組成物の試料について行われるとき、自由に流れる。この「ファネル」試験の文脈において、この試験が実施されるとき、試料100gの典型的な流れが20秒未満、好ましくは10秒未満で得られる場合に、粒子は自由に流れると考えられる。
【0045】
さらに、前記粒子は、最適には、製品の製造を容易にし、製造業者/作業者および/または患者/被験体のために吸入リスクを減らすように、適切な流動特性および低揮発性を与える粒子径と見掛け密度特性を有する。それゆえ、本発明の好ましい実施形態によれば、前記組成物は、小袋および/またはスティック(好ましくは、単回用量の小袋および/またはスティック)に詰めるのに適した複数の非凝集粒子を含む。
【0046】
Ps粒子とPa粒子は、他の単体粒子を形成するためであっても、一緒に圧縮される必要はないことが有利であり、それによって本発明の組成物の調製が容易になり、かつ、該組成物中での崩壊剤の使用が防止される。
【0047】
要約すると、本発明の急速摂取および容易な嚥下を伴う固体組成物は、前記組成物が以下の通りである限り、特に有利であることが証明される:
-調製容易であり、
-先行技術の口内崩壊錠(例えば、米国特許出願公開第2001/0009678号および国際公開第2006/047493号に開示されているもの)で直面する脆砕性、分解時間および経時安定性の問題を克服することができ、
-Pa粒子が溶解または崩壊するのに特定の分解時間を観測する必要なしに、少なくとも1つの有効成分を含む大量の粒子の急速摂取および容易な嚥下を可能にし、
-あらゆる種類の患者(嚥下障害の患者を含む)に投与可能であり、
-米国特許出願公開第2001/0009678号および国際公開第2006/047493号に開示されているような、高価な崩壊剤の存在を必要とする口内崩壊錠よりも経済的であることが証明されおり、
-経口吸収の現象により、有効成分の生物学的利用能の変化を目撃するリスクを制限することができ、および
-口内の不快感を防ぐことができる。
【0048】
定義
急速摂取および容易な嚥下を伴う固体組成物
「急速摂取および容易な嚥下を伴う固体組成物」は、本発明の意味において、以下のことを可能にする固体組成物を意味すると解される:
-最大経口滞留時間が口腔内で10秒を超えず、有利には5秒未満である、急速摂取、
-容易な/簡単な嚥下。嚥下は、口腔内の唾液中におけるPs粒子(以下の定義を参照)の可溶化によって容易になる。実際、発明者は、あらゆる予想に反して、唾液中におけるPs粒子の可溶化/溶解が、嚥下するためのいかなる特別な努力を必要とせずに、またPa粒子を唾液中に溶解させる必要なく、前記Pa粒子(以下の定義を参照)の摂取を可能にする効果とともに、唾液量の急激な増加をもたらことを発見した。
【0049】
粒子
用語「粒子」は、小さなサイズの分離した固体であるエレメントで、1つ以上の物質を含むものを指す。本発明の文脈においては、該粒子の粒子径は、特に以下の目的のために、0.05mm超1mm未満であることが好ましい:
i)製造業者/作業者および/または患者/被験体による極微粒子の吸入を防ぐ、ならびに
ii)製造工場での空気汚染を制限しながら製品の調製を容易にする。
【0050】
唾液中の粒子溶解度を決定するための参照試験
唾液中の粒子溶解度は以下のように決定される:500mgの粒子を5mLの水中に37℃で穏やかに撹拌しながら、所定の時間(例えば、10秒、20秒または30秒)置く。適切な決定プロトコルは、例えば、37℃で5mLの水で予め満たした試験管に500mgのPs粒子またはPa粒子を入れ、そして該試験管をボルテックス型スターラーで所定の時間(例えば、10秒、20秒、または30秒)撹拌することからなる。部分的に溶解している、または溶解していない/ほとんど溶解していない場合(例えば、Pa粒子の場合)、溶解していない粒子はすべてフィルター上に集められる。溶解していない粒子はすべて、約40℃でオーブン乾燥してから秤量する。次に、溶解した粒子の質量分率を、以下の式を適用することによって決定する:
(粒子の初期質量-溶解しなかった粒子の質量)/(粒子の初期質量)。
【0051】
非常に明白なことであるが、質量パーセントは、質量分率に100を掛けることによって得られる。
【0052】
Ps粒子
「Ps粒子」は、本発明の意味において、唾液に速やかに溶解する粒子であり、上記の「唾液中の粒子溶解度を決定するための参照試験」が適用される場合、該粒子の初期質量の50%超が、好ましくは75%超が、有利には90%超が、そして好ましくは100%が30秒未満で、好ましくは20秒未満で、有利には10秒未満で、特に好ましくは5秒未満で唾液中に可溶化/溶解することを特徴とする粒子、を意味すると解される。そのような可溶化/溶解は、一般に「準即時」可溶化または「準即時」溶解として知られている。
【0053】
本発明者は、見掛け比重/見掛け密度の高いこれらのPs粒子によって、Pa粒子が唾液中で溶解または崩壊することを必要とせず、特に、Pa粒子(下記の定義参照)の容易な嚥下が可能になることを発見した。これは、Ps粒子が唾液性流体中に準即時溶解し、特に、該Ps粒子の体積増加を引き起こすという驚くべき効果によって得られる(嚥下するためのいかなる特別な努力を必要とせずに、Pa粒子の急速摂取を可能にする)。
【0054】
特に好ましい実施形態によれば、前記のPs粒子(唾液中において準即時溶解または準即時可溶化することによっても知られる)は、摂取される固形物の体積を非常に著しく減少させるように、十分に高い見掛け密度によって特徴付けられる。これは本発明の特に重要な特徴である。なぜならば、本発明の対象である組成物は、有効成分の摂取を望む人の口内(好ましくは舌上)に直接導入され、次に外部からの水分摂取(コップ1杯の水など)を必要とせずに、その人によって直接嚥下されるように設計されているからである。その結果として、摂取される前記組成物の体積は、嚥下を容易にするために、できるだけ小さい方が有利である。実際、粒子の体積が多すぎると、製品の損失のリスクなしに該粒子の全体を患者/被験体の舌上に導入することが困難になるか、または患者/被験体に不快感を引き起こすリスクがある。
【0055】
Ps粒子の見掛け密度が高いことによって、摂取される乾燥物の体積を非常に著しく減少させることが可能になる。前述のように、Ps粒子は高い見掛け密度、すなわち約0.6g/cm以上、有利には約0.7g/cm以上、好ましくは0.7g/cm以上1.5g/cm以下の見掛け密度を有する。好ましい実施形態によれば、これらのPs粒子の平均粒子径は500μm以下である(500μm未満であることが有利である)。これらのPs粒子の粒子径の範囲は、製品の嚥下を容易にするために、100μm~500μmであることが好ましく、200μmから400μmであることが有利である。これらのPs粒子の平均粒子径は(その点については、Pa粒子と同様に)、本発明の組成物の製造および使用を容易にするために十分な注入性を有するように、ならびに/または、製造業者および/もしくは被験体/患者による吸入のリスク、例えば包装を開封するときの吸入のリスク(これも考慮に入れるべき重要な特性である)を防止するために、50μm超であることが好ましい。この十分な注入性は、例えば、欧州薬局方のいわゆる「ファネル」試験(欧州薬局方8.0、「2.分析方法」、2.9.16項を参照)を実施することによって決定/評価される。当業者には知られているように、この「ファネル」試験によって、該試験が実施されるときに、サンプル100gの流れが20秒未満で、好ましくは10秒未満で得られる場合に、注入性が「十分」であると認定することができる。
【0056】
好ましい実施形態によれば、Ps粒子は、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースおよび/またはヒドロキシプロピルセルロース(例えば、米国特許出願公開第2001/0009678号に開示されている、7.0~9.9重量パーセントの「ヒドロキシプロポキシル」基を含む低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなど)などの崩壊剤を含まない。実際、本発明者によって開発された組成物は、そのような崩壊剤を使用する必要性およびそのような崩壊剤に伴う欠点を克服することを可能にする(上記参照)。
【0057】
本発明の一実施形態によれば、Ps粒子は、製造の改善またはより好ましい味を得ることを可能にする、他の化合物を含有しうり、該化合物は、これらのPs粒子を含む組成物の味覚を向上させる観点から、甘味剤で好ましくは天然由来のもの、例えばステビア(Stevia rebaudiana)の抽出物か、またはヒトもしくは獣医用途に適した香味料で好ましくは天然由来のもの、例えば植物抽出物(例えば、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、ストロベリー、ラズベリー、クランベリー、アカフサスグリ、ブルーベリー、クロフサスグリ、ミント…)である。
【0058】
Ps粒子は、造粒、押出し、結晶化、噴霧化、ビーズ化などの従来技術によって調製することができ、かつ、適用可能であれば、外殻でコーティングすることができる。
【0059】
粒子径
粒子径を特徴付けるために、例えば、篩分けによる粒度分析が使用され、該分析はヨーロッパ薬局方に記載されている伝統的な方法であり、機械的振動システムにかけられた漸減サイズの篩のカラムを使用し、粒子を粒子径によって異なる篩上に分配することができる。各篩上の粒子量を計量した後、結果をサイズヒストグラムの形で表すことができるか、あるいは与えられたサイズ(篩目)よりも大きいまたは小さい粒子の割合を示すことができる。例えば、この原理を使用して、該薬局方に記載されている等差数列について、1000μm未満、710μm未満、500μm未満、355μm未満、250μm未満、180μm未満、125μm未満、90μm未満の粒子の割合を表すことが可能であろう。
【0060】
低グリセミック指数を有するポリオール
本発明の特に好ましい態様によれば、本発明のPs粒子は、低グリセミック指数を有する少なくとも1つ(好ましくは1つ)のポリオール、好ましくはエリスリトール((2R,3S)-ブタン?1,2,3,4?テトラオール;CAS番号:10030?58?7)を含む。「低グリセミック指数を有するポリオール」は、本発明の意味において、一旦体内に摂取されると、グルコースコントロール値(定義により100に設定される)と比較して、血漿中のグルコースレベルを15超増加させない化合物、を意味すると解される。本発明の組成物中で使用することができる低グリセミック指数を有する他のポリオールは、例えば、マンニトール、ラクチロール、ソルビトール、キシリトール、イソマルチロール(またはおそらくマルチトール)である。
【0061】
エリスリトールなどの低グリセミック指数を有するポリオールは、Ps粒子の総質量の少なくとも50%に相当する質量パーセントで、Ps粒子中に存在することが有利である。
【0062】
特に有利には、低グリセミック指数を有する少なくとも1つのポリオールを含むPs粒子の使用は、心地よい味などの味特性を調製物に付与することを可能にし、そのため1グラム以上の製品を経口摂取することができる。
【0063】
さらに、低グリセミック指数を有する少なくとも1つのポリオール(好ましくはエリスリトール)を含むPs粒子の使用によって、あらゆる種類の対象、特に医学的な理由で自分のグリセミック指数をモニターしなければならない人々(糖尿病患者)、に潜在的に適する組成物を得ることも可能になる。これは大きな利点である。
【0064】
天然有機酸
Ps粒子は、前述のように、低グリセミック指数を有する少なくとも1つのポリオール、およびクエン酸などの少なくとも1つの天然有機酸もしくはその塩を含むか、それらから本質的に構成されるか、あるいはそれらから構成されることが特に有利である。「天然有機酸」は、本発明の意味において、動物界または植物界に天然に存在し、医薬品または栄養用途に適合する有機酸(炭素ベースの)、を意味すると解される。
【0065】
天然有機酸として、特に以下のものについて言及し得る(非網羅的リスト):
‐クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グリコール酸、シュウ酸、サリチル酸、炭酸、ギ酸、酢酸、またはプロピオン酸などの水溶性有機酸;
‐アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンなどの天然アミノ酸を含み;
‐酪酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、セロチン酸、リグノセリン酸などの飽和脂肪酸族に属する非水溶性有機酸;および
‐オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸またはエイコサペンタエン酸などの不飽和脂肪酸族に属する非水溶性有機酸。
【0066】
本発明のPs粒子中におけるこの有機酸の使用は、特に唾液量を増加させることができ(または、唾液中におけるPs粒子の準即時溶解によって誘発される唾液量の増加さえも可能にする)、それによってPa粒子の嚥下を手助けするという点で、特に有利であることが証明されている。
【0067】
非酸性化天然有機酸
天然有機酸は、いわゆる「非酸性化」天然有機酸、すなわちPRALスコア(Thomas Remer博士の実験的研究により決定された、潜在的腎臓酸負荷(Potential Renal Acid Load))がマイナス値である酸から選択することが有利である:REMER T、 MANZ F、「Potential renal acid load of foods and its influence on urine pH」、 J Am Diet Assoc. 1995年7月;95巻(7号):791-7頁。
【0068】
ミリ当量(mEq)で表されるこのスコアは、食物または食事によって体内で発生する酸(またはアルカリ)の負荷を評価する。これにより、現代の食生活が概して酸過負荷(PRALスコアのプラス値)をもたらす傾向がある患者/被験体の酸-塩基平衡に、よりよく従うことが可能になる。そのような酸は、例えば、クエン酸およびその塩(例えば、クエン酸カルシウムまたはクエン酸マグネシウム)からなる群から選択される。
【0069】
クエン酸などの天然有機酸またはその塩は、Ps粒子の組成物中に、前記Ps粒子の50質量%を超えない割合で存在することが好ましい。低グリセミック指数を有するポリオールに対する天然有機酸(またはその塩)の重量比は、0.01以上1以下であることが有利である。
【0070】
上述した通り、Ps粒子は、造粒、押出し、結晶化、噴霧化、ビーズ化などの従来技術によって調製することができ、かつ、適用可能であれば、外殻でコーティングすることができる。特に、低グリセミック指数を有するポリオールおよび天然有機酸(またはその塩)を含むPs粒子を調製するために、化合物を適切な溶媒に可溶化してから、例えば噴霧化および乾燥技術によって溶媒を蒸発させることができる。
【0071】
Pa粒子
Pa粒子は有効成分と、通常は賦形剤を含む。本発明の特に好ましい実施形態によれば、Pa粒子は、唾液(唾液性流体)中における溶解度が非常に低い粒子である。実際、先行技術(特に、上記の米国特許出願公開第2013/0052278号を参照)である粉末形態の特定の組成物とは異なり、その限りにおいて、Pa粒子(有効成分を含む)を唾液中に溶解/可溶化する必要はなく、また望ましくもない。「唾液中で非常に低い溶解度を有する粒子」は、先に定義された「唾液中の粒子溶解度を決定するための参照試験」が適用される場合、該粒子が含有する有効成分の10質量%未満が、有利には5質量%未満が、10秒後に唾液中に溶解することを特徴とする粒子、を意味すると解される。有利には該粒子が含有する有効物質の10質量%未満が、有利には5質量%未満が、30秒後に唾液性流体中に溶解する。
【0072】
好ましい実施形態によれば、Pa粒子は、含有する有効成分に、例えば以下のような特定の特性を付与することができる:
i)製品を調製または保管する際における防湿に関する特性など、および
ii)製品の摂取後における放出調節特性(例えば、消化管の1つまたは様々な部位における促進放出、遅延放出または標的放出)など。そのような粒子は「機能性Pa粒子」として知られており、本発明の目的の1つは、機能性Pa粒子の急速摂取および容易な嚥下を可能にすることである。
【0073】
混合物の均一性を促進するために、Pa粒子の平均粒子径は、一般に50μm~500μm、有利には100μm~400μmの範囲から選択される。特定の実施形態によれば、上記の選択範囲は、製品の嚥下を容易にするために150μm~300μmであり、製品の分散処理中の摩耗のリスクを制限するために、Ps粒子の平均粒子径よりわずかに小さいことが有利である。
【0074】
Pa粒子は、造粒、押出し、結晶化、噴霧化、ビーズ化などの従来技術によって調製することができ、適用可能であれば、外殻でコーティングすることができる。この外殻は、例えば、a)親油性化合物で、好ましくは植物由来のもの(例えばステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸などの天然脂肪酸、またはグリセロール、ソルビトール、もしくはマクロゴールに基づくそれらのエステル)、あるいはb)食品または医薬用途のタンパク質またはポリマーであり得る。b)は、b.1)例えばセルロース、デンプン、アルギン酸塩、キサンタン、カラギーナンに基づく、天然または修飾されたタンパク質またはポリマー、あるいはb.2)例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酸、乳酸、グリコール酸もしくはアミノ酸から誘導される合成ポリマー、またはエチレンオキシド、もしくはプロピレンオキシドの縮合によって得られる合成ポリマー、または/もしくはそれらの様々な組合せなどである。
【0075】
Pa粒子とPs粒子の比率
Pa粒子量とPs粒子量と間の比率は、特に本発明の組成物の最終体積、投与される有効成分の用量、および求められている溶解するときの感覚などの要因に依存する。上述した通り、本発明のPa粒子の質量とPs粒子の質量との間の比は、10(10/1)未満であることが好ましく、5(5/1)未満であることが好ましく、4(4/1)以下であることが有利であり、3(3/1)以下であることが好ましく、2.5(2.5/1)以下であることが特に好ましい。前記の質量比Pa/Psは1(1/1)以下であることが好ましく、0.75(約1/1.33)以下であることが好ましく、0.5(1/2)以下であることが有利である。
【0076】
Pa粒子とPs粒子の混合物の均一性を促進するために、粒度分析が近似または類似したPs粒子とPa粒子を選択することが有利である。したがって、本発明の意味において、例えば、互いの平均粒子径の差が50%を超えない、有利には25%を超えないPs粒子およびPa粒子を使用することが有利である。実際、最終混合物の均一性を確実にするために、Ps粒子とPa粒子が比較的近い粒子径で供給されることが特に有利であることが証明されている。
【0077】
均一な
本特許出願内では、混合粒子の十分に一様な分布を規定することによって、本発明の粒子混合物を特徴付けるために、修飾形容詞「均一な」が使用される。したがって、好ましい実施形態によれば、もし、前記混合物中のミキサーの様々な部分で生成物を調製する間に行われる様々なサンプリング操作(通常、3~6サンプル)内で(例えば、ミキサーの垂直軸において、少なくとも1gずつの3サンプル[上部中央、中間部中央、下部中央])、有効成分の割合が最大10%の許容変動(変動係数)で、有利には最大5%の許容変動で、最終混合物の理論式に従う場合、本発明の粒子混合物は「均一な」と見なされる。一例として、有効成分は、当業者に周知の液層クロマトグラフィー法によって、各サンプリング操作において投与されることに留意されたい。
【0078】
有効成分
「有効成分」は、本発明の意味において、生物学的システムの操作に変化または調節を加えることができる任意の分子または任意の分子の集合、を意味すると解される。想定される用途に応じて、この有効成分は以下のものであり得る:
-医薬有効成分(「製薬有効成分」としても知られる;医薬品の一部を形成するのに適する)、すなわち経口摂取されるように設計されている、
-美容目的の有効成分(「化粧品有効成分」としても知られる)、すなわちボディケアと美容のために設計された非薬用有効成分(例えば、痩身、皮膚の老化の予防もしくは遅延化、または皮膚の外観の改善にさえも使用される分子または分子のセット)、
-栄養成分、すなわち少なくとも1つの栄養素または栄養効果もしくは生理学的効果を有する物質;この栄養成分は、栄養補助食品/栄養組成物を調製するのに適している、または
-獣医学的有効成分
【0079】
例示として(非限定的ではあるが)、有効成分として、以下のような薬理学的クラスで使用される有効成分を想定することが可能である:アレルギー、麻酔、鎮静、痛みと炎症の治療、癌腫学、血液学、心臓病学、脈管学、避妊と妊娠中絶、皮膚病学、内分泌学、胃-腸-肝臓病学、産婦人科医学、止血、免疫学、感染病学、寄生虫学、メタボリズム、栄養学、神経心理学、眼科学、耳鼻咽喉科学、呼吸器学、診断薬またはその他の治療薬、リウマチ学、血液およびその誘導体、口腔医学、毒物学、泌尿器学、腎臓学など。
【0080】
より正確には、そしてまた説明の目的のために、以下の薬理学的クラスにおいて使用される有効成分を、有効成分として想定することができる:
抗アレルゲンとして使用される分子:アリメマジン、セチリジン、デスロラタジン、ジフェンヒドラミン、ドキシラミン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ロラタジン、メピラミン、プロメタジン、テルフェナジン;
鎮痛(analgesic)作用、鎮痛(antalgic)作用、鎮静作用および抗炎症作用を持つ分子:アセプロマジン、アルプラゾラム、アミトリプチリン、バルビタール、ブロマゼパム、クロルプロマジン、コデイン、デキストロメトルファン、フェンタニル、ハロペリドール、イミプラミン、ロラゼパム、ミダゾラム、モルヒネ、ナロキソン、オキソメマジン、フェノバルビタール、スルピリド、テトラゼパム、ゾルピデム、ゾピクロン、アルフェンタニル、ブプレノルフィン、コデメチン、デキストロプロポキシフェン、モルヒネ、パボット、ペンタゾシン、スフェンタニル、タペンタドール、トラマドール、アセチルサリチル酸、ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、ジクロフェナク、ヒドロコルチゾン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、パラセタモール、プレドニゾロン、チアプロフェン酸、トリアムシノロンコデイン、モルヒネ、トラマドール;
-抗腫瘍性分子:カルボプラチン、シスプラチン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エトポシド、イリノテカン、メトトレキサート、パクリタキセル、チオテパ、ビンクリスチン;
心血管系疾患で使用される分子:アルプレノロール、カプトプリル、クロピドグレル、ジゴキシン、エナラプリル、フェロジピン、フロセミド、ヘプタミノール、ナドロール、オルメサルタン、プロパノール、ラミプリル、テルミサルタン、トリニトリン、バルサルタン、ベラパミル;
性ホルモンとモジュレーター:デソゲストレル、レボノルゲストレル、プロゲステロン、エストラジオール、エチニルエストラジオール、ダナゾール;
皮膚病学または皮膚化粧品で使用される分子:アシトレチン、イソトレチノイン、レチノイン酸およびその誘導体、オメガ-3型多価不飽和脂肪酸;
内分泌学で使用される分子:カルビマゾール、レボチロキシン、チアマゾール;
胃-腸-肝臓病学で使用される分子:炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ロペラミド、ラセカドチル、ドンペリドン、オンダンセトロン、シメチジン、エソメプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾール、ヒオシン、メベベリン、ラクツロース、ビサコジル、センナ、エノキソロン、トロキシピド、シサプリド、メトクロプラミド、アルベリン;
免疫応答を調節するために使用される分子:アザチオプリン、シクロスポリン、ミコフェノール酸およびその塩、シロリムス、タクロリムス;
感染病学および寄生虫学で使用される分子:アシクロビル、アタザナビル、エファビレンツ、ガンシクロビル、インジナビル、ラミブジン、マラビロック、サキナビル、ジドブジン、クロロキン、メフロキン、キニーネ、アルベンダゾール、フェンベンダゾール、メトロニダゾール、イベルメクチン、レバミゾール、ニクロサミド、プラジカンテル、アミカシン、ネオマイシン、エタンブトール、リファマイシン、セファレキシン、セフチオフル、イミペネム、クロラムフェニコール、バンコマイシン、クリンダマイシン、アジスロマイシン、エリスロマイシン、アモキシシリン、オキサシリン、レボフロキサシン、オルフロキサシン、スルファニルアミド、スルファチアゾール、テトラサイクリン、ホスホマイシン、アムホテリシンB、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール;
代謝障害や栄養学で使用される分子:アカルボース、メトホルミン、シタグリプチン、グリベンクラミド、グリカジド、トルブタミド、アロプリノール、コルヒチン、プロベネシド、アレンドロン酸およびその誘導体、ビタミンB群などの水溶性ビタミン、ビタミンC、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)、ミネラル(様々な塩の形態のカルシウム、マグネシウム、亜鉛など);
神経科や精神科で使用される分子:アマンタジン、ブロモクリプチン、エンタカポン、レボドパ、セレギリン、スマトリプタン、アルモトリプタン、ナラトリプタン、カルバマゼピン、クロナゼパム、エトスクシミド、ガバペンチン、ラモトリジン、レベチラセタム、フェニトイン、トピラマート、バルプロエート、アミトリプチリン、エスシタロプラム、フルオキセチン、イミプラミン、ミルタザピン、フェネルジン、トラゾドン、ベンラファキシン;
呼吸器疾患で使用される分子:アミノフィリン、カフェイン、ホルモテロール、モンテルカスト、テオフィリン、アセチルシステイン、カルボシステイン、デキストロメトルファン、キシロメタゾリン;
解毒剤、アンタゴニストまたはキレート剤として使用される分子:活性炭、ジメルカプロロール、ナロキソン、ペニシラミン、エデト酸およびその誘導塩;
泌尿器学で使用される分子:フィナステリド、オキシブチニン、パパベリン、シルデナフィル、タダラフィル、タムスロシン;
様々な適応症に用いられる植物抽出物、例えば、ウコン(Curcuma longa)、ボスウェリア・セラータ(Boswellia serrata)、センジュギク(Tagetes erecta)、ショウガ(Zingiber officinale)、アシュワガンダ(Withania somnifera)、ニンニク(Allium sativum)、アロエベラ(Aloe vera)、シキミ(Illicum anisum)、ルリジサ(Borrago officinalis)、カモミール(Matricaria chamomilla)、マリアアザミ(Sylbum marianum)、コリアンダー(Coriandrum sativum)、ジギタリス・プルプレア(Digitalis purpurea)、サザンブルーガム(Eucalyptus globulus)、イチジク(Ficus carica)、イチョウ(Gingko biloba)、ウスベニタチアオイ(Althaea officinalis)、インドオオバコ(Plantago ovata)、セイヨウオトギリ(Hypericum perforatum)、ギンバイカ(Myrtus communis)、オオミノツルコケモモ(Vaccinium macrocarpon)、トウガラシ(Capsicum annuum)、ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)、スペインカンゾウ(Glycyrrhiza glabra)、セイヨウシロヤナギ(Salix alba)、スピルリナ・マキシマ(Spirulina maxima)、セイヨウカノコソウ(Valeriana officinalis)の抽出物。
【0081】
プロバイオティクスなどの微生物(Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus casei、Lactobacillus reuteri、Lactobacillus plantarum、Saccharomyces boulardii、Saccharomyces cerevisiae、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium breveなど)を、有効成分として想定することも可能である。
【0082】
見掛け密度(または「嵩密度」)
当業者に周知であるように、粉末の見掛け密度は、圧縮力を受けない該粉末の密度であると解され、粒子の体積、粒子間体積および粒子細孔体積を含む。この点に関してより明確にするために、当業者は、適用可能であれば、欧州薬局方に与えられている「嵩密度」の定義を参照することができる(欧州薬局方8.0、「2.分析方法」、2.9.34項、367頁を参照)。見掛け密度は、いわゆる「目盛り付き試験管」参照方法の実施によって決定することが好ましく、該方法は欧州薬局方8.0の2.9.34項(367頁)において「方法1」として示されている。前記「目盛り付き試験管」方法は、次の手順に従って、篩(少なくとも1.0mmの目開き)を通過した後にメスシリンダー(十分な精度の目盛り付き試験管など)に注がれた既知質量の粉末が占める体積を測定することによって、見掛け密度を決定することからなる:試験すべき粉末100グラムを、圧縮することなく、十分な圧力の乾燥目盛り付き試験管に入れる。粉末によって占められている試験管目盛上の体積の読みは、通常最も近い2mLに見積もられる見掛け密度を表す。より明確にするために、当業者は、適用可能であれば、「方法1:目盛り付き試験管」と題した欧州薬局方8.0の2.9.34項(367頁)を参照することができる。いわゆる「目盛り付き試験管」以外の方法を使用して、例えば、本発明の非凝集固形粒子の形態である組成物の見掛け密度を決定することができ、該以外の方法には、いわゆる「計量ボトル」法(欧州薬局方8.0の2.9.34項で「方法3」として示されている(367、368頁))、またはいわゆる「体積計」法(欧州薬局方8.0の2.9.34項で「方法2」として示されている(367頁))などがあるが、ヨーロッパ薬局方は前記方法1および方法3を推奨している。
【実施例
【0083】
以下に示される実施例は、本発明をよりよく説明することを可能にする。 しかしながら、これらの実施例はいかなる状況においても、決して本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【0084】
(実施例1)
Pa粒子とPs粒子の均一混合物からなる生姜(Zingiber officinale)をベースとする栄養補助食品1キログラム(1kg)の調製
10重量%のPa粒子および90重量%のPs粒子を回転ドラムミキサーに入れ、15分間撹拌して、白色からホワイトクリーム色の粒子の均一混合物を形成する。
【0085】
Pa粒子:Pa粒子は、Zingiber officinale(生姜)根の抽出物40%とソルビトールモノステアレート(sorbitol monostearate)60%の混合物から構成され、口腔内での溶解度を制限するために、当業者に周知のビーズ化法(噴霧化後に冷却する技術)によって調製する。したがって、Pa粒子は唾液中(口腔内)で非常に低い溶解度を示す:実際、患者の口内で特に過度に辛い感覚を引き起こさないように、上で定義した「唾液中の粒子溶解度を決定するための参照試験」を適用すると、有効成分であるジンゲロールの5質量%未満の量が10秒後に溶解する。篩分け法によるPa粒子の粒度分析は、Pa粒子の90%超が500μm未満の大きさであり、かつ、10%未満が125μm未満の大きさであることを示す。
【0086】
Ps粒子:Ps粒子は、エリスリトール99%とクエン酸1%の混合物から構成され、溶液中で混合してから乾燥させることによって得られる。Ps粒子は、0.7g/cm以上0.8g/cm以下の見掛け密度を示し、上で定義した「唾液中の粒子溶解度を決定するための参照試験」を適用すると、20秒未満で唾液中に速やかに可溶化する。篩分け法によるPs粒子の粒度分析は、Ps粒子の90%超が710μm未満の大きさであり、かつ、10%未満が125μm未満の大きさであることを示す。このようにして形成された混合物の均一性は、ミキサーの垂直軸(上部中央、中間部中央、下部中央)において少なくとも1gずつの3サンプルを取り出し、通常の液体クロマトグラフィー法をによって有効成分の1つ(ジンゲロール)をアッセイすることにより評価される。得られた結果を下記の表1に示し、5%未満の変動係数を示す。
【0087】
【表1】
【0088】
5%未満のこの変動係数によって、先に述べたように、Pa粒子とPs粒子の混合物が均一であることが裏付けられる。
【0089】
このようにして得られた混合物は、Ps粒子(0.1~1mmの間の)の高い見掛け密度および/または特定の粒度分析のため、特に均一かつ高密度である。さらに、平均粒子径が50μm超であるので、製品を開封して取り出すときに使用者が製品を吸入する危険性だけでなく、製造作業中の粒子散布を制限することによって調製作業を容易にする。
【0090】
さらに、前記混合物は、欧州薬局方のいわゆる「ファネル」試験(欧州薬局方8.0、「2.分析方法」、2.9.16項を参照)によって測定される十分な注入性を有するので、外部からの水分摂取またはコップ一杯の水に希釈する前段階を必要とせずに、前記混合物を充填して使用者の口に直接入れる(経口投与)ことが可能になる。
【0091】
Pa粒子とPs粒子の均一混合物は、特にその調製方法のために、特に安定であることが証明されており、そのため、一方ではPa粒子を、そして他方ではPs粒子を別々に調製することが可能である。
【0092】
(実施例2)
Pa粒子とPs粒子の均一混合物からなるオオミノツルコケモモ(Vaccinum macrocarpon)をベースとする栄養補助食品1キログラム(1kg)の調製
40重量%のPa粒子および60重量%のPs粒子を回転ドラムミキサーに入れ、15分間撹拌して、粒子の均一混合物を形成する。
【0093】
Pa粒子:Pa粒子は、オオミノツルコケモモ(クランベリー)の抽出物40%とグリセロールモノステアレート(glycerol monostearate)60%の混合物から構成され、口腔内での溶解度を制限するために、当業者に周知のビーズ化法(噴霧化後に冷却する技術)によって調製する。したがって、Pa粒子は唾液中(口腔内)で非常に低い溶解度を示す:実際、患者の口内で特に過度の酸味を引き起こさないように、上で定義した「唾液中の粒子溶解度を決定するための参照試験」を適用すると、有効成分(プロアントシアニジンまたはPAC)の5質量%未満の量が10秒後に溶解する。篩分け法によるPa粒子の粒度分析は、Pa粒子の90%超が500μm未満の大きさであり、かつ、10%未満が125μm未満の大きさであることを示す。
【0094】
Ps粒子:Ps粒子は、エリスリトール98.5%とクエン酸1.5%の混合物から構成され、造粒後に乾燥させることによって得られる。Ps粒子は、約0.8g/cmの見掛け密度を示し、上で定義した「唾液中の粒子溶解度を決定するための参照試験」を適用すると、20秒未満で唾液中に速やかに可溶化する。篩分け法によるPs粒子の粒度分析は、Ps粒子の90%超が710μm未満の大きさであり、かつ、10%未満が125μm未満の大きさであることを示す。
【0095】
(実施例3)
Pa粒子とPs粒子の均一混合物からなるセンジュギク(Tagetes erecta)をベースとする栄養補助食品1キログラム(1kg)の調製
20重量%のPa粒子および80重量%のPs粒子を回転ドラムミキサーに入れ、15分間撹拌して、粒子の均一混合物を形成する。
【0096】
Pa粒子:Pa粒子は、センジュギクの抽出物(ルテイン)40%、微結晶セルロース40%、およびヒプロメロ-ス(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)20%の混合物から構成され、安定性を向上させるために、造粒技術に続いて、当業者に周知の流動エアーベッド上でのフィルムコーティングを施すことによって調製する。Pa粒子はまた、患者の口内で過度に際立った味を引き起こさないように、上で定義した「唾液中の粒子溶解度を決定するための参照試験」に従って、唾液中(口腔内)で非常に低い溶解度を示す。篩分け法によるPa粒子の粒度分析は、Pa粒子の90%超が500μm未満の大きさであり、かつ、10%未満が125μm未満の大きさであることを示す。
【0097】
Ps粒子:Ps粒子は、ソルビトール60%、エリスリトール20%、クエン酸カルシウム18%、およびクエン酸2%の混合物から構成され、造粒および乾燥によって得られる。Ps粒子は、約0.8g/cmの見掛け密度を示し、上で定義した「唾液中の粒子溶解度を決定するための参照試験」を適用すると、20秒未満で唾液中に速やかに可溶化する。篩分け法によるPs粒子の粒度分析は、Ps粒子の90%超が710μm未満の大きさであり、かつ、10%未満が125μm未満の大きさであることを示す。
【0098】
(実施例4)
Pa粒子とPs粒子の均一混合物からなり、クロレラおよびカーボ・ベジタビリス(Carbo vegetabilis)をベースとする栄養補助食品1キログラム(1kg)の調製
70重量%のPa粒子および30重量%のPs粒子を回転ドラムミキサーに入れ、15分間撹拌して、粒子の均一混合物を形成する。
【0099】
Pa粒子の混合物:この混合物は等量の以下のものを含む:
-クロレラ40%およびソルビトールモノステアレート60%から構成されるPa1粒子、ならびに
-カーボ・ベジタリス(植物性炭素)40%およびソルビトールモノステアレート60%から構成されるPa2粒子;
-前記Pa1粒子およびPa2粒子は、有効成分が口腔内で散布されるのを制限するために、当業者に周知のビーズ化技術(噴霧化後に冷却する技術)によって調製される。したがって、Pa粒子は、特に、散布ならびに粘膜および患者の口の着色を引き起こさないようにするため、上で定義した「唾液中の粒子溶解度を決定するための参照試験」に従って、唾液中(口腔内)で非常に低い溶解度を示す。篩分け法によるPa粒子の粒度分析は、Pa粒子の90%超が500μm未満の大きさであり、かつ、10%未満が125μm未満の大きさであることを示す。
【0100】
Ps粒子:Ps粒子は、エリスリトール70%、キシリトール28%、およびクエン酸2%の混合物から構成され、溶液中で混合してから乾燥させることによって得られる。Ps粒子は、約0.8g/cmの見掛け密度を示し、上で定義した「唾液中の粒子溶解度を決定するための参照試験」を適用すると、20秒未満で唾液中に速やかに可溶化する。篩分け法によるPs粒子の粒度分析は、Ps粒子の90%超が710μm未満の大きさであり、かつ、10%未満が125μm未満の大きさであることを示す。
【0101】
(実施例5)
Pa粒子とPs粒子の均一混合物からなるイブプロフェン(Ibuprofen)をベースとする医薬製剤1キログラム(1kg)の調製
50重量%のPa粒子および50重量%のPs粒子を回転ドラムミキサーに入れ、15分間撹拌して、粒子の均一混合物を形成する。
【0102】
Pa粒子:Pa粒子は、イブプロフェン80%とソルビトールモノステアレート20%の混合物から構成され、イブプロフェンと患者の口腔粘膜との間の直接接触を防ぐために、当業者に周知のホットメルトコーティング技術によって調製する。したがって、Pa粒子は唾液中(口腔内)で非常に低い溶解度を示す:実際、局所刺激と口腔粘膜を介した吸収のリスクを防ぐようにするため、上で定義した「唾液中の粒子溶解度を決定するための参照試験」を適用すると、有効成分であるイブプロフェンの5質量%未満の量が10秒後に溶解する。篩分け法によるPa粒子の粒度分析は、Pa粒子の90%超が500μm未満の大きさであり、かつ、10%未満が125μm未満の大きさであることを示す。
【0103】
Ps粒子:Ps粒子は、エリスリトール90%、クエン酸カルシウム9%、およびクエン酸1%の混合物から構成され、造粒によって得られる。Ps粒子は、約0.8g/cmの見掛け密度を示し、上で定義した「唾液中の粒子溶解度を決定するための参照試験」に従って、唾液中への速やかな可溶化を示す。篩分け法によるPs粒子の粒度分析は、Ps粒子の90%超が710μm未満の大きさであり、かつ、10%未満が125μm未満の大きさであることを示す。
【0104】
(実施例6)
Pa粒子とPs粒子の均一混合物からなる5-ASA(5-アミノサリチル酸)をベースとする医薬製剤1キログラム(1kg)の調製
70重量%のPa粒子および30重量%のPs粒子を回転ドラムミキサーに入れ、15分間撹拌して、粒子の均一混合物を形成する。
【0105】
Pa粒子:Pa粒子は、5-ASA80%と酸性溶媒に不溶な医薬品グレードのメタクリル系ポリマー20%の混合物から構成され、5-ASAと患者の口腔粘膜との間の直接接触を防ぐために、当業者に周知の流動エアーベッド上でのフィルムコーティング技術によって調製する。したがって、Pa粒子は、上で定義した「唾液中の粒子溶解度を決定するための参照試験」に従って、唾液中(口腔内)で非常に低い溶解度を示し、最適な効力を得るために、有効物質(5-ASA)が消化管(結腸)内へ徐々に放出されることを可能にする。篩分け法によるPa粒子の粒度分析は、Pa粒子の90%超が500μm未満の大きさであり、かつ、10%未満が125μm未満の大きさであることを示す。
【0106】
Ps粒子:Ps粒子は、エリスリトール90%、クエン酸カルシウム9%、およびクエン酸1%の混合物から構成され、造粒によって得られる。Ps粒子は、約0.8g/cmの見掛け密度を示し、上で定義した「唾液中の粒子溶解度を決定するための参照試験」に従って、唾液中への速やかな可溶化を示す。篩分け法によるPs粒子の粒度分析は、Ps粒子の90%超が710μm未満の大きさであり、かつ、10%未満が125μm未満の大きさであることを示す。
【0107】
(実施例7)
Pa粒子とPs粒子の均一混合物からなるウコン(Curcuma longa)をベースとする栄養補助食品1キログラム(1kg)の調製
50重量%のPa粒子および50重量%のPs粒子を回転ドラムミキサーに入れ、15分間撹拌して、粒子の均一混合物を形成する。
【0108】
Pa粒子:Pa粒子は、ウコンの抽出物75%とソルビトールモノステアレート25%の混合物から構成され、該植物抽出物と患者の口腔粘膜との間の直接接触を防ぐために、当業者に周知のホットメルトコーティング技術によって調製する。したがって、Pa粒子は唾液中(口腔内)で非常に低い溶解度を示す:実際、特に口腔粘膜の着色を防ぐようにするため、上で定義した「唾液中の粒子溶解度を決定するための参照試験」を適用すると、有効成分(クルクミン)の5質量%未満の量が10秒後に溶解する。篩分け法によるPa粒子の粒度分析は、Pa粒子の90%超が500μm未満の大きさであり、かつ、10%未満が125μm未満の大きさであることを示す。
【0109】
Ps粒子:Ps粒子は、エリスリトール99%とクエン酸1%の混合物から構成され、造粒によって得られる。Ps粒子は、約0.8g/cmの見掛け密度を示し、上で定義した「唾液中の粒子溶解度を決定するための参照試験」を適用すると、20秒未満で唾液中に速やかに可溶化する。篩分け法によるPs粒子の粒度分析は、Ps粒子の90%超が710μm未満の大きさであり、かつ、10%未満が125μm未満の大きさであることを示す。
【0110】
(実施例8)
Pa粒子とPs粒子の均一混合物からなるボスウェリア・セラータ(Boswellia serrata)をベースとする栄養補助食品1キログラム(1kg)の調製
40重量%のPa粒子および60重量%のPs粒子を回転ドラムミキサーに入れ、15分間撹拌して、粒子の均一混合物を形成する。
【0111】
Pa粒子:Pa粒子は、ボスウェリア・セラータの抽出物75%とソルビトールモノステアレート25%の混合物から構成され、該植物抽出物と患者の口腔粘膜との間の直接接触を防ぐために、当業者に周知のホットメルトコーティング技術によって調製する。したがって、Pa粒子は唾液中(口腔内)で非常に低い溶解度を示す:実際、不快感を防ぐようにするため、上で定義した「唾液中の粒子溶解度を決定するための参照試験」を適用すると、有効成分(ボスウェリア酸)の10質量%未満の量が10秒後に溶解する。篩分け法によるPa粒子の粒度分析は、Pa粒子の90%超が710μm未満の大きさであり、かつ、10%未満が125μm未満の大きさであることを示す。
【0112】
Ps粒子:Ps粒子は、エリスリトール99%とクエン酸1%の混合物から構成され、造粒によって得られる。Ps粒子は、約0.8g/cmの見掛け密度を示し、上で定義した「唾液中の粒子溶解度を決定するための参照試験」を適用すると、20秒未満で唾液中に速やかに可溶化する。篩分け法によるPs粒子の粒度分析は、Ps粒子の90%超が710μm未満の大きさであり、かつ、10%未満が125μm未満の大きさであることを示す。
【0113】
(実施例9)
Pa粒子とPs粒子の均一混合物からなるアシュワガンダ(Withania somnifera)をベースとする栄養補助食品1キログラム(1kg)の調製
40重量%のPa粒子および60重量%のPs粒子を回転ドラムミキサーに入れ、15分間撹拌して、粒子の均一混合物を形成する。

【0114】
Pa粒子:Pa粒子は、アシュワガンダの抽出物75%とソルビトールモノステアレート25%の混合物から構成され、該植物抽出物と患者の口腔粘膜との間の直接接触を防ぐために、当業者に周知のホットメルトコーティング技術によって調製する。したがって、Pa粒子は唾液中(口腔内)で非常に低い溶解度を示す:実際、不快感を防ぐようにするため、上で定義した「唾液中の粒子溶解度を決定するための参照試験」を適用すると、有効成分(glycowithanolide)の5質量%未満の量が10秒後に溶解する。篩分け法によるPa粒子の粒度分析は、Pa粒子の90%超が710μm未満の大きさであり、かつ、10%未満が125μm未満の大きさであることを示す。
【0115】
Ps粒子:Ps粒子は、エリスリトール99%とクエン酸1%の混合物から構成され、造粒によって得られる。Ps粒子は、約0.8g/cmの見掛け密度を示し、上で定義した「唾液中の粒子溶解度を決定するための参照試験」を適用すると、20秒未満で唾液中に速やかに可溶化する。篩分け法によるPs粒子の粒度分析は、Ps粒子の90%超が710μm未満の大きさであり、かつ、10%未満が125μm未満の大きさであることを示す。
【0116】
(実施例10)
Pa粒子とPs粒子の均一混合物からなるパラセタモール(paracetamol)をベースとする医薬製剤1キログラム(1kg)の調製
62.5重量%のPa粒子および37.5重量%のPs粒子を回転ドラムミキサーに入れ、15分間撹拌して、粒子の均一混合物を形成する。
【0117】
Pa粒子:Pa粒子は、パラセタモール80%とソルビトールモノステアレート20%の混合物から構成され、パラセタモールと患者の口腔粘膜との間の直接接触を防ぐために、当業者に周知のホットメルトコーティング技術によって調製する。したがって、Pa粒子は唾液中(口腔内)で非常に低い溶解度を示す:実際、口腔粘膜を介した吸収のリスクを防ぐようにするため、上で定義した「唾液中の粒子溶解度を決定するための参照試験」を適用すると、有効成分(glycowithanolide)の5質量%未満の量が10秒後に溶解する。篩分け法によるPa粒子の粒度分析は、Pa粒子の90%超が500μm未満の大きさであり、かつ、10%未満が125μm未満の大きさであることを示す。
【0118】
Ps粒子:Ps粒子は、エリスリトール90%、クエン酸カルシウム9%、およびクエン酸1%の混合物から構成され、造粒によって得られる。Ps粒子は、約0.8g/cmの見掛け密度を示し、上で定義した「唾液中の粒子溶解度を決定するための参照試験」に従って、唾液中への速やかな可溶化を示す。篩分け法によるPs粒子の粒度分析は、Ps粒子の90%超が710μm未満の大きさであり、かつ、10%未満が125μm未満の大きさであることを示す。
【0119】
(実施例11)
摂取の迅速性および嚥下の容易さに関する本発明の組成物の特性評価
本発明の特性を摂取の迅速性および嚥下の容易さに関して評価するために、12歳以上77歳以下の10人の被験者(そのうち女性が5人、男性が5人)を含む研究を行った。
摂取の迅速性の基準は以下のように評価された:
-A:10秒未満
-B:10秒~20秒の間
-C:20秒~30秒の間
-D:30秒超
嚥下の容易さの基準は以下のように評価された:
-1:嚥下時の困難なし
-2:嚥下時の軽度の不快感
-3:嚥下時の中程度の不快感
-4:嚥下時の重度の不快感
【0120】
実施例1に記載の組成物を評価し、以下の表2に得られた結果をまとめる。
【0121】
【表2】
【0122】
結果
摂取時間:全ての被験者は実施例1の組成物を10秒未満で(そのうち、5人の被験者は5秒未満で)摂取することができた。
【0123】
嚥下の容易さ:全ての被験者が非常に容易に組成物を嚥下し、嚥下時の不快感を認めなかった。
【0124】
本発明の組成物は、ガレノス形態または小袋もしくはスティック形態中の粒子の混合物の形態であるパッケージングを得ることを可能にする。したがって、本発明はまた、上記混合物の形態である1用量の有効成分に関するものであり、好ましくは長円形または長方形の容器に密封されていて、該容器の一部は簡単に引きちぎることができる。そのような提示もまた本発明の目的である。
【0125】
1用量の有効成分をヒトに投与するために使用することができる本発明の組成物の総質量は、0.1mg~10gの範囲であり得ることが有利であり、0.5g~5gの範囲であり得ることが有利であり、1g~3gの範囲であり得ることが好ましい。
【0126】
本発明はまた、粒子の混合物の形態の組成物、特に本出願に記載されているものの製造のために、上記のようなPs粒子を使用することに関する。
【0127】
本発明はまた、粒子の混合物の形態の組成物、特に本出願に記載されているものの製造のために、上記のようなPa粒子を使用することに関する。
【0128】
本発明はまた、本出願に記載されているような粒子の混合物を摂取することによって、ヒトまたは動物の個体に1用量の有効成分を投与する方法に関する。特に、この方法は、固形粒子の混合物を舌の上に直接置くことを含む。有利には、追加の/外部からの液体摂取(例えば、コップ1杯の水の形態で)は必要とされない。
【0129】
本発明はまた、上記混合物の製造方法に関する。この方法は、Pa粒子とPs粒子を混合して、非凝集固形粒子の均一混合物を得る工程を含む。好ましい態様によれば、Ps粒子とPa粒子は混合工程の前に製造される。