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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】電動一軸トラクター
(51)【国際特許分類】
   B60L 50/50 20190101AFI20220307BHJP
   B60K 1/00 20060101ALI20220307BHJP
   B60K 1/02 20060101ALI20220307BHJP
   B60K 16/00 20200101ALI20220307BHJP
   B60K 17/28 20060101ALI20220307BHJP
   B60L 8/00 20060101ALI20220307BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20220307BHJP
   A01B 59/042 20060101ALI20220307BHJP
   A01B 71/02 20060101ALI20220307BHJP
   B62D 51/06 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
B60L50/50
B60K1/00
B60K1/02
B60K16/00 A
B60K17/28 B
B60L8/00
B60L1/00 L
A01B59/042 E
A01B71/02 H
B62D51/06 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019518362
(86)(22)【出願日】2017-06-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 NL2017050412
(87)【国際公開番号】W WO2017222374
(87)【国際公開日】2017-12-28
【審査請求日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】2017010
(32)【優先日】2016-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】518450946
【氏名又は名称】マタドール エクスプロイタティエ ビー.ヴイ.
【氏名又は名称原語表記】MATADOR EXPLOITATIE B.V.
【住所又は居所原語表記】Torenstraat 29,5268 AS Helvoirt,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(72)【発明者】
【氏名】パウリデス,ヨハネス ヤコブス ヒューベルテュス
(72)【発明者】
【氏名】ペニングス,マルタイン ヨハン ワウテル
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-279342(JP,A)
【文献】特開2016-049028(JP,A)
【文献】特開2001-341671(JP,A)
【文献】特許第5882443(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20-6/547
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
A01B 59/042
A01B 71/02
B62D 51/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
種々の装置を連結して動力を供給する電動一軸トラクターであって、
-フレームと、
-一対の車輪を備え、前記フレームに回転可能に設けられた車輪駆動軸と、
前記フレームに設けられ、前記車輪駆動軸に連結されて前記車輪駆動軸を回転駆動する一次電気モータと、
前記フレームに回転可能に設けられ、前記種々の装置の1つと取り外し可能に連結して前記装置に回転駆動力を伝達可能な装置駆動軸と、
前記フレームに設けられ、前記装置駆動軸に連結されて前記装置駆動軸を回転駆動する少なくとも1つの二次電気モータと、
-前記一次電気モータおよび前記二次電気モータの駆動用の電源としての少なくとも1つの電気エネルギー源とを備え、
前記車輪駆動軸は前記フレームに横方向に延びて設けられて両端側にそれぞれ前記車輪を備え、
前記装置駆動軸は前記車輪駆動軸に対して垂直方向に延びて前記フレームに設けられ、前記種々の装置を選択的に連結可能であり、
記一次電気モータは前記車輪駆動軸のみと連結して前記車輪駆動軸を介して前記車輪を回転駆動可能であり、前記二次電気モータは前記装置駆動軸のみと連結して前記装置駆動軸を回転駆動可能である、トラクター。
【請求項2】
前記車輪駆動軸および前記装置駆動軸は独立して制御可能であることを特徴とする、請求項1に記載のトラクター。
【請求項3】
前記一次電気モータは、少なくとも1つのハブ電気モータとして構成されていることを特徴とする、請求項2に記載のトラクター。
【請求項4】
前記装置駆動軸は、前記トラクターの横方向の中心位置において延びて設けられていることを特徴とする、請求項1~3に記載のトラクター。
【請求項5】
前記装置駆動軸は前記種々の装置と協働する連結部を備えることを特徴とする、請求項1~4に記載のトラクター。
【請求項6】
前記電気エネルギー源は、スーパーキャパシタ、燃料電池および/または電池であり、好ましくは再充電可能であることを特徴とする、請求項1~5に記載のトラクター。
【請求項7】
前記トラクターは、少なくとも1つのソーラーパネルを備えることを特徴とする、請求項1~6に記載のトラクター。
【請求項8】
前記トラクターは、DC/DCコンバータおよび/またはAC/DCコンバータを備えることを特徴とする、請求項1~7に記載のトラクター。
【請求項9】
前記トラクターは、前記車輪の少なくとも1つに接続された少なくとも1つのブレーキを備えることを特徴とする、請求項1~8に記載のトラクター。
【請求項10】
前記トラクターは、電気制御ユニットおよび/または電源管理システムを備えることを特徴とする、請求項1~9に記載のトラクター。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の電動トラクターと以下の群の中から選択された1つの装置とのアセンブリ。
以下の群は、耕耘機、馬鍬、除雪機、プラウ、耕耘機、粉砕機、掃除機、芝刈り機、移植機、種まき機、スペーダ、畝立て機、培土機、被覆機、マルチレイヤー、スクレーパー、運搬装置、トレイラーである。
【請求項12】
少なくとも2つの前記電動トラクターが前記1つの装置と連結されることを特徴とする、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記車輪駆動軸は前記一次電気モータで駆動され、前記装置駆動軸は前記二次電気モータで駆動され、前記一次電気モータおよび前記二次電気モータの操作は独立して制御されることを特徴とする、請求項1~10に記載の電動一軸トラクターの駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の装置を連結して動力を供給するように構成された電動一軸トラクターに関する。本発明はさらに、一次電気モータにより駆動される電動一軸トラクターと、このトラクターに配置された少なくとも二次電気モータによって駆動される1つの装置とのアセンブリに関し、さらにこのような電動一軸トラクターの駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一軸トラクターは、コンパクトな設計を生かした自力走行する比較的小さいトラクターであり、農業、園芸(horticulture)、工業、造園(landscaping)、農場および家庭で
の使用に役立つ。一軸トラクターは、農業に関連する種々の道具を押す、および/または引くまたは動力を与えるように使用される。既存の一軸トラクターは、通常、内燃機関を用いており、例えば、土壌作りや維持および耕作用に設計されている。そのようなトラクターは、通常は、すでに耕した土壌または軽い砂質土壌を毎分当たり比較的安定した数のパワーテイクオフ回転で耕起可能である。しかしながら、堅い土壌、または岩の多い地面では、従来のトラクターでは、土壌耕起に必要な力が機械の質量によって地面に加えられる力を超えるために、非効率的である。その結果、機械が地面の上を「歩き」、スポットを飛ばすことを引き起こし、地面を不均一に耕作したり、耕作の深さが浅くなることがある。加えて、内燃機関の一軸トラクターから牽引力を発生させるためには、特別な牽引車輪および歯車変速機を使用しなければならず、変速機の間での頻繁でかなり複雑な切り替えが必要となる。
【0003】
米国特許出願公開第2006/288680号は、フレームに接続された切断ユニットを含む、自走式芝刈り機(walk-behind mower)を開示している。より詳細には、芝刈り
機は、往復エンジンまたは電池によって付勢される電気モータを含めるモジュール式電源を備えている。
【0004】
本発明は、先行技術の装置よりも高い柔軟性および使用効率を提供する改良された一軸トラクターを提供することを目的としている。
【0005】
本発明はこの目的のために、種々の装置を連結して動力を供給する電動一軸トラクターを提供する。トラクターは、フレームと、一対の車輪を備えてトラクターのフレームに連結されている車輪駆動軸と、車輪駆動軸に連結された一次電気モータと、装置の1つと取
り外し可能に連結する装置駆動軸と、一次電気モータの電源としての少なくとも1つの電気エネルギー源とを備える。トラクターはさらに装置駆動軸に連結された少なくとも1つの二次電気モータを備え、少なくとも1つの電気エネルギー源は二次電気モータの電源でもあり、車輪駆動軸および装置駆動軸は相互に実質的に垂直に方向付けられており、一次電気モータは車輪駆動軸の車輪のみを連結しており、二次電気モータは装置駆動軸のみを連結している。
一軸トラクターの用途における一次電気モータおよび少なくとも1つの二次電気モータの使用は、燃焼モータと比較して、効率が高く、騒音が少なく、メンテナンス要求が低いので有利である。加えて、それらは大気汚染がない(排気ガスが生じない)ので、トラクターの屋内および屋外の双方での使用を可能にする。さらに、それらは環境に優しい電力で動力を供給されそれらの稼働場所での汚染が少ないので、より持続可能でありうる。関連性が高いのは少なくとも2つの電気モータであり、すなわち、トラクターを駆動する一次電気モータと、装置駆動軸を駆動する二次電気モータである。これは、一次電気モータおよび少なくとも1つの二次電気モータが、それらの特定の(および異なる)用途、すなわち、車輪駆動軸の駆動および装置駆動軸の駆動のために、それらの設計において最適化
されることを意味する。また、トラクターを駆動する一次電気モータと、装置駆動軸との間の伝達の必要がなくなる。双方の電気駆動の機能が相互に独立しており、(そのため使用の際のそれらの周波数は相互に独立的に調整されうるので)また、それらの個別の使用をよりよくより多く制御することができる。
これは、一次電気モータおよび少なくとも1つの二次電気モータの効率が、一軸駆動トラクターを駆動する単一モータに比べて向上することを意味する。本発明による一軸駆動トラクターの機械的構造は、従来の単一駆動の一軸駆動トラクターと比べてより簡単になるので、本発明によるトラクターは、また、より簡単に制御することができ、従来の単一駆動の一軸駆動トラクターと比べてより少ないメンテナンスですむ。
一次電気モータおよび少なくとも二次電気モータ双方のための動力源が電気エネルギー源であることの更なる利点は、トラクターに利用可能な電気エネルギーが複合電気モータによって最適化しうることである。
さらに、相互に実質的に垂直に方向付けられている車輪駆動軸および装置駆動軸は、また、構造の単純化および利用可能なエネルギー使用の最適化に貢献する。その理由は装置の各部分は装置駆動軸に一致している軸で駆動されるので種々の装置用の中間結合は通常は必要ないからである。
このような仕様によるトラクターは、道路、作業計画通路、造園、または他の任意の地面または表面での稼働のために使用することができる。トラクターは、自動駆動型として使用されても良く、または、遠隔制御および/または(例えば歩き回ったり、座ったりする)オペレータを介して制御されても良い。一軸トラクターとは、車軸の両側に2つの車輪を有するトラクターを意味するが、(例えば、耕作に骨の折れる地形でのトラクターの使用に際して車軸の両側の二重車輪のように)複数の車輪を一軸に取り付けることもできる。
【0006】
車輪駆動軸および装置駆動軸は、独立して制御可能であってもよい。これは制御と電気効率のさらなる改善をもたらす技術的特徴である。このような独立した制御は、車輪駆動軸および装置駆動軸の間に歯車を組み込む必要がないことを意味しており、従って、かなり簡単な構造と限定された摩擦損失とをもたらす。
【0007】
一次電気モータは、少なくとも1つのハブ電気モータとして構成されてもよい。また、ハブ電気モータとして、2つの一次電気モータを車輪のそれぞれに組み込むことも可能である。車輪内に配置された1つまたは複数の一次電気モータを使用する利点は、トラクターの寸法を最小化し、車輪の作動力を高効率で提供することを可能にすることである。
【0008】
装置駆動軸は、トラクターの中心位置で方向付けられている。通常、これは、車輪の間の位置で装置駆動軸の位置決めをすることになる。このような装置駆動軸位置の利点は、トラクターの重量の中心バランスと種々の装置との簡単な協調であり、これは種々の装置部品の駆動軸が通常中心位置で位置づけられているためである。
【0009】
本発明によるトラクターの動作範囲は、-40℃~60℃であり、これはトラクターを全ての使用可能な状態の際に適用可能にして、二次電気モータは、例えば少なくとも1つの電気エネルギー源と結合することができる。二次電気モータの使用は、また、一次電気モータの過負荷を防ぐことができる。トラクター上に2つの個別の電気モータを備えることの利点は、それが改善された駆動性能を実現し、トラクター車輪の駆動および装置駆動軸の駆動の簡単な同時制御を提供することである。このことは、また、困難な土壌状態におけるトラクターの「暴走」を防ぎ、速度と牽引力の比率を変える能力を提供する。この特徴は、一軸トラクターが、硬い土壌を耕すことや雪の除去のために使用することを可能にする。さらに、電気モータの使用は、トラクターの振動を制限することに繋がる。燃焼機関によって駆動される一軸トラクターの手に伝達する振動は高く、例えば、繰り返しひずみ傷害(repetitive strain injury)(RSI)または、手-腕振動症候群(hand-arm vi
bration syndrome)(HAVS)のような恒久的な肉体的な損傷を引き起こしうることは常識である。電気パワートレインの使用によって振動が制限され、従ってユーザが長時間振動に曝されることによる傷害を防ぐことが可能になる。
【0010】
電気エネルギー源は、例えば、スーパーキャパシタ、燃料電池、および/または、電池として具体化されてもよく、好ましくは充電式電気エネルギー源である。そのような電源は、送電網(grid)から充電されてもよく、または、例えばソーラーパネル、および/または風力タービンのような再生可能電気エネルギー源に直接結合されてもよい。トラクターは、また、(オンボードまたは外部の)単一または双方向のAC-DCコンバータも含んでもよい。電気エネルギー源は、例えば、複数の個々のセルを含んでも良く、これらのセルは、個別にまたは連続的に切り替えられても良い。電池の例は、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池である。燃料電池の例は、プロトン交換膜燃料電池、リン酸燃料電池、個体酸化物燃料電池および水素・酸素燃料電池である。充電式燃料電池のさらなる利点は、一軸トラクターが使用されていない時に、電気エネルギー源を送電網に繋げずに使用してもよいし、または電力需要変動に対して供給および/または均等化するように送電網に繋げてもよいことである。
【0011】
本発明による2車輪トラクターは、「自走式装置」(walk-behind equipment)」とし
て使用してもよい。ここで、一軸トラクターはステアリングロッドを備えてもよく、ステアリングロッドは手動係合用のハンドバーを備えてもよい。ハンドバーは、例えば、トラクターの操作を改善するために回転可能である。
【0012】
さらなる実施形態においては、装置駆動軸は1つの装置と協働する連結部を備えてもよ
い。そのような1つの装置は例えば農業用具であり、耕耘機(cultivators)、馬鍬(harrow)、除雪機、プラウ(ploughs)、耕耘機(tillers)、粉砕機(chippers)、掃除機
、芝刈り機、移植機、種まき機、スペーダ(spaders)、畝立て機(bedformers)、培土
機、被覆機(coverers)、マルチレイヤー、スクレーパー(scrapers)、運搬装置(transporters)、トレイラーなどを含む群から選択されてもよい。従来のトラクターは、典型的には単一目的用に設計されている。二次電気モータと組み合わせて選択される1つの装置に連結されうる装置駆動軸を備える利点は、トラクターが多目的に使用されうることである。本発明によるトラクターの使用をさらに簡単にするために、カスタムの(注文の)「事前設定」で電気モータを作動させることで、特定のタイプの作業またはプロセスを実行することができる。1台のトラクターを異なる装置を有して使用することにより、全く異なる機械を使用するより、より安く、より効率的になる。二次電気モータは、その使用に柔軟性があり、異なる種々の装置の電力需要を満たすことができる。装置駆動軸継手は、1つの装置の容易で簡単な取り付けを提供するように設定されている。トラクターは、1つの装置を引く、および/または押す作業の両方に対応してもよい。
【0013】
可能な実施形態においては、ユーザは、また、一軸トラクターおよび連結された1つの装置の組み合わせに乗ることができる(従ってトラクターおよび/または連結された1つの装置に座る)。可能な実施形態においては、1つの装置は、従ってシートを備えてもよく、運転席としてしか適していなくてもよい。
【0014】
さらなる実施形態においては、一次電気モータは、車輪駆動軸に専用的に接続されており、すなわちそれはまた、例えば、電気的差動の組み込みを許容することにより車輪をそれぞれ駆動する、少なくとも2つの電気モータで置き換えることができる。さらに、二次電気モータは装置駆動軸に専用的に接続している。このことは、可変速度および独立した電気モータの速度変動を可能にする。また、独立した電気モータなので、独立したパワーテイクオフが可能である。この一次電気モータおよび少なくとも二次電気モータ構成の利点は、トラクターがよりよく制御できることであり、特に、高台、硬い土壌、半ば凍った
ような大地、または水田のような困難な地形でのよりよい性能をもたらす。
【0015】
本発明のトラクターは、少なくとも1つのソーラーパネルおよび/または、例えば風力タービンのような代替充電装置を備えてもよい。可能な実施形態においては、少なくとも1つの再充電可能な電源がソーラーパネルに接続されてもよく、ここで、ソーラーパネルは、(再)充電電源として使用されてもよい。少なくとも1つの太陽光発電パネルは、例えば、フレーム内に組み込まれてもよく、および/または、例えばステアリングロッドに接続されてもよい。
【0016】
さらなる実施形態においては、トラクターは、DC/DCコンバータを備えてもよい。DC/DCコンバータは、例えばソーラーパネルから得られたエネルギーを最大化するための電源最適化装置として使用されてもよい。電源は、また、DC-DCコンバータまたは、DC-ACコンバータを用いて交流または直流の電力ネットワーク/送電網に結合している場合には、電力貯蔵として(および/またはより一般的な電源供給として)使用されてもよい。
【0017】
さらなる実施形態においては、トラクターは、トラクターに電力供給する、および/または補助装置および/または電気利用設備に電力供給することを可能にする複数の直流電力または交流電力のソケットを備えてもよい。
【0018】
エネルギー貯蔵としての充電および放電の使用は、電気トラクターへの、あるいは電気トラクターからのエネルギーの2方向的な流れを意味する。例えば、トラクターが操作されていない場合に使用可能な燃料電池電源が存在する。ここで、メータが、送電網と交換した電力の間の正味の差を記録し、表示してもよく、メータ側で電力会社からの電力購入量を記憶し、表示してもよい。エネルギーの蓄積使用を調整するように、トラクターにスマート制御を追加してもよい。
【0019】
別の実施形態においては、トラクターは、少なくとも1つの車輪に接続された少なくとも1つのブレーキを備えてもよい。ブレーキの存在は、トラクターおよび駐車ブレーキのよりよく制御された回転操作を提供する。駐車ブレーキは、一次電気モータに配置された個別のブレーキを組み込んでもよい。
【0020】
トラクターは、少なくとも1つの車輪が接続されている中実車軸を備えてもよい。可能な実施形態においては、トラクターは、そのような中実車軸の代わりに差動装置を備えてもよく、機械的にまたは電気的に少なくとも1対の車輪を相互に独立して回転させ、より容易な回転をもたらす。トラクターは、牽引力を増大させる、および/またはトラクターを直進走行させるように支援するために、差動装置ロックを備えていてもよい。可能な実施形態においては、トラクターは、車輪の少なくとも1つに取り付けられた単一の駆動モータを備えてもよい。別の実施形態においては、単一の駆動モータは、歯車および/または電気ブレーキおよび/またはエンコーダ装置によって補助されており、トラクターの中央に配置されて、可変の滑りが電気モータの軸と車輪との間に存在する。可能な実施形態においては、トラクターは、タイヤの摩擦を更に小さくするために、操舵可能な車輪を備えてもよい。
【0021】
トラクターは、おそらく電気制御ユニットを備えてもよい。電気制御ユニットは、例えば、安全性を高めるために構成されてもよい。電気制御ユニットは、おそらく操作レバーを緩めて瞬間的にトラクターを停止するように設置されてもよい。
【0022】
可能な実施形態においては、トラクターは、ステアリングコラムを回転させることで、前進方向および後退方向を操作されてもよい。これは、操作者の認知的不協和を引き起こ
すので、電気制御ユニットは、ステアリングコラムが回転された場合には、自動的に加速装置を変換するように構成されている。
【0023】
好ましい実施形態においては、トラクターは、例えば電池管理システムのような電気エネルギー源管理システムを備える。管理システムは、例えば、電気エネルギー源の充電および放電を監視する。システムはまた、全電気システム内における電気エネルギー源の統合のためのインターフェースとして働いてもよく、または、電気制御ユニットに接続し、または送電網への接続を制御してもよい。管理システムは、例えば、警報および/または保護システムを備えてもよい。
【0024】
電気エネルギー源は、おそらく、電力の出力および改善された稼働時間を確保するために、許容温度範囲内に電気エネルギー源を維持するために、冷却システムを有するハウジングを備えてもよい。
【0025】
一軸トラクターは、トラクターへ提供される情報に依存してシステムの稼働(制御)を選択してもよく、これにより環境および/またはおかれた場所条件に自動的に適応する。トラクターは、また(アプリケーションまたは別の表示装置を介して)例えば電気エネルギー源の状況またはメンテナンスの示唆などのような情報を示してもよい。トラクターはまた、三次電気モータ、またはトラクターの両側で動力取り出しを可能にすることを許容するために任意の更なる数の電気モータを備えてもよく、それは電気差動装置、および/または回転を許容するブレーキを提供してもよい。おそらくPTOモータにより可能になる。トラクターは、また、トラクターのハウジングに搭載された限界検出モジュールを備えてもよく、これは前記一軸トラクターと、前記限界との間の位置関係を検出するためである。トラクターは、前記自律走行車用のエネルギー提供用の一軸トラクターに取り付けられた、例えば、単一または複数の電池などのエネルギーモジュールを備えてもよい。
【0026】
トラクターは、トラクターの前、後および/または縁で、位置または周囲環境に対する相対的な位置取りを決定するために限界検出モジュールを備えてもよい。
【0027】
このことは、例えばトラクターを自律的に動かすことを可能にし、他の物体との好ましくない接触を防ぐ。トラクターは、またGPS測位、または(境界線などの)表示要素のような他の方向付け技術を使用してもよい。本発明によるトラクターの自律制御運転は、必要なオペレータ時間を制限するのみならず、効率を高めてエネルギーを節約し、環境を保護し、電気エネルギー源の耐用年数を改善し、特定の量の電気エネルギーでより多くのサービスを提供する。
【0028】
トラクターは、駆動モジュールを備えてもよく、それをオプション的にハウジングに取り付けてもよい。
【0029】
本発明はまた、本発明による電動一軸トラクターと以下の群から選択された1つの装置とのアセンブリに関する。以下の群とは、農業用具であり、耕耘機(cultivators)、馬
鍬(harrow)、除雪機、プラウ(ploughs)、耕耘機(tillers)、粉砕機(chippers)、掃除機、芝刈り機、移植機、種まき機、スペーダ(spaders)、畝立て機(bedformers)
、培土機、被覆機(coverers)、マルチレイヤー、スクレーパー(scrapers)、運搬装置(transporters)、トレイラー、および/または、それらの機能性の組み合わせである。複数の装置は、電気駆動で使用するように設計してもよく、また、1つの装置に搭載された電気機器を駆動する電動駆動手段を提供してもよい。
【0030】
本発明によるアセンブリは、単一の1つの装置に連結された前述のように規定された少なくとも2つの電動トラクターの組み合わせを含む。重量のある複数個の装置および/ま
たは1つの装置の使用条件が厳しい場合には、必要とされる駆動能力を提供するために、2以上の電動トラクターが単一の1つの装置と連結されてもよい。このことにより、また、多数の電動トラクターによる種々のタイプの装置の運転におけるフレキシビリティを増大する。複数の電動トラクターおよび複数の装置の組み合わせが可能であることもまた、明らかである。
【0031】
本発明はまた、本発明による遠隔制御および/または自律式一軸トラクターの駆動方法を提供する。ここで、車輪駆動軸は一次電気モータおよび/または、各トラクターの車輪を駆動する複数の電気モータで駆動される。装置駆動軸は二次電気モータによって駆動される。そして、一次電気モータの作動、および/または各トラクターの車輪を駆動する複数の電気モータ、および二次電気モータは独立して制御される。トラクターの駆動は、全ての電気モータを直接的に出力制御可能にし、通常、複数の複雑な制御を提供する先行技術の内燃機関駆動の一軸トラクターが必要とする特別なスキルを必要としない。本発明のデュアル電動一軸トラクターの制御は、限定されており、操作が簡単である。
【0032】
トラクターの駆動は無線制御されてもよく、そのためにトラクターを自動トラクターとして機能させることができる。一軸トラクターはまた、またロボット化されてもよい。トラクターは、例えばGPSシステムおよび/または少なくとも1つのセンサーを備えてもよく、このセンサーは、例えば、トラクターの運転に影響を与える土壌条件または他の環境条件を検出するために用いられてもよい。本発明によるトラクターを外部データベースと接続することにより更なるシステム統合が実現されてもよい。
【0033】
以下の添付図面に示す例示的な実施形態に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明による電動トラクターと1つの装置、ここではプラウ、の断面の概略図である。
図2】本発明によるトラクターの別の実施形態の斜視図である。
図3】本発明による電動トラクターと1つの装置、ここではトレーラ、の断面の概略図である。
図4】本発明による電動トラクターの更なる実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、一軸トラクター1につながれて駆動される種々の装置50として、ここではプラウ50を示す。トラクター1はフレーム2と、トラクターのフレーム2に連結されて2つの車輪4を有する車輪駆動軸3とを備えている。一次電気モータ5は車輪駆動軸3に連結されている。加えて、1つの装置50と取り外し可能に連結する装置駆動軸6、および一次電気モータ5の電源として機能する2つの電池8が示されている。装置駆動軸6は、車輪駆動軸3に対して垂直に方向付けられており、1つの装置50との簡単な連結を可能にする。トラクター1は、また、装置駆動軸6に連結する二次電気モータ7を備える。装置駆動軸6は、1つの装置50と協働する(図示しない)連結手段を備えている。一次電気モータ5は車輪駆動軸3上の車輪4と専用的に連結しており、二次電気モータ7は装置駆動軸6と専用的に連結している。トラクター1は、また、電気制御ユニット9、ステアリングロッド10を備え、ステアリングロッド10は手動係合用のハンドルバー11を動かす。
【0036】
図2は、ソーラーパネル22を備える本発明の第2実施形態の一軸トラクター20を示す。ソーラーパネル22はステアリングロッド10に接続されている。この図に示された一軸トラクター20は装置を連結していない。
【0037】
図3は、図1に示すトラクター1と一致する本発明の第3実施形態の一軸トラクター30を示すが、ここではトレイラー31を連結している。トレイラー31は、トレイラー31の車輪33に連結された駆動軸32を備える。トレイラー31の駆動軸32は、(この図では見えない)装置駆動軸に連結されており、トラクター30がトレイラー31の車輪33を駆動することも可能にする。トレイラー31は、さらに、図示するようにトラクター30/トレイラー31アセンブリを駆動するオペレータ用のシート34を備えている。
【0038】
図4は、本発明の第4実施形態の一軸トラクター40を示す。トラクター40は、ステリングアーム41を備え、ステアリングアーム41は手動係合用のハンドルバー42を動かす。ステアリングアーム41は、一軸トラクター40の両側に回転させることが可能であり、従って一軸トラクター40の使用のフレキシビリティをさらに高める。例えば、(この図には示さない)1つの装置は、ステアリングアーム41の位置を変えるだけで、オペレータの側またはオペレータの反対側の一軸トラクター40に連結することができる。装置駆動軸43が車輪44間の中央に配置されて車輪44に接続している車輪駆動軸45に垂直に方向付けられていることもまた、明らかである。
【0039】
本発明はここに示して説明した例示的な実施形態に限定されず、添付した特許請求の範囲内で種々の変形が可能であることは、この分野の当業者には自明である。

図1
図2
図3
図4