(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】マップに基づいて電磁センサの位置及び/又は配向を特定するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20220307BHJP
【FI】
A61B34/20
(21)【出願番号】P 2019523099
(86)(22)【出願日】2017-10-26
(86)【国際出願番号】 US2017058421
(87)【国際公開番号】W WO2018081356
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-08-07
(32)【優先日】2016-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】コイラク, レブ エー.
(72)【発明者】
【氏名】モーガン, ショーン エム.
【審査官】安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-512005(JP,A)
【文献】特開2002-122409(JP,A)
【文献】特開平07-092016(JP,A)
【文献】特開2005-185845(JP,A)
【文献】特開2006-170781(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0184285(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0116803(US,A1)
【文献】国際公開第2016/105661(WO,A1)
【文献】特開2016-039901(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0183064(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00-34/20
G01B 7/00
G01R 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ組立体によって電磁(EM)場が生成されるEM体積内のEMセンサの位置
または配向のうちの少なくとも1つを特定するための高密度(HD)マップを生成するための方法であって、
前記方法は、
測定デバイスから前記EM体積の第1の複数の格子点の各格子点で測定されたEM場強度を受信することと、
前記アンテナ組立体のアンテナの幾何学的構成に基づいて、前記EM体積の第2の複数の格子点の各格子点におけるEM場強度を計算すること
であって、前記第2の複数の格子点の第2の格子点密度は、前記第1の複数の格子点の第1の格子点密度よりも大きい、ことと、
前記第1の複数の格子点の各格子点における前記測定されたEM場強度
と前記第2の複数の格子点の各格子点における前記計算されたEM場強度
とに基づいて、前記HDマップを生成することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記アンテナ組立体
は、前記EM場の構成要素として少なくとも6つのEM波形を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記EM場強度
は、前記少なくとも6つのEM波形の
それぞれについて、3つの軸座標系に沿って計算される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記EM場強度
は、前記3つの軸に
それぞれ対応する3つのコイルを有するセンサによって測定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の複数の格子点
は、前記第1の複数の格子点の各格子点を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記HDマップを生成すること
は、
前記第1の複数の格子点の各格子点における、前記測定されたEM場強度と前記計算されたEM場強度との間の誤差を計算することと、
前記第1の複数の格子点の各格子点における前記計算された誤差に基づいて、前記第2の複数の格子点の各格子点に対する誤差を補間することと、
前記補間された誤差
および前記計算されたEM場強度
を前記第2の複数の格子点の各格子点に追加
することにより、前記HDマップを生成することと
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記誤差
は、前記第1の複数の格子点の各格子点における前記測定されたEM場強度と前記計算されたEM場強度との
間の差に基づいて計算される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記誤差
は、前記測定されたEM場強度と前記3つの軸に沿った計算されたEM場強度との間の差のL1
ノルムまたはL2ノルムのうちの少なくとも1つに基づく、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、前記第2の複数の格子点の各格子点における前記計算されたEM場強度の擬似逆行列を計算することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記HDマップ
は、前記第2の複数の格子点の各格子点における前記計算されたEM場強度の擬似逆行列を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
アンテナ組立体によって電磁(EM)場が生成されるEM体積内のEMセンサの位置
または配向のうちの少なくとも1つを特定するための高密度(HD)マップを生成するための装置であって、
前記装置は、
プロセッサと、
プロセッサ実行可能
な命令を記憶するメモリと
を備え、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると
、
測定デバイスから、前記EM体積の第1の複数の格子点の各格子点における測定されたEM場強度を受信することと、
前記アンテナ組立体のアンテナの幾何学的構成に基づいて、前記EM体積の第2の複数の格子点の各格子点におけるEM場強度を計算すること
であって、前記第2の複数の格子点の第2の格子点密度は、前記第1の複数の格子点の第1の格子点密度よりも大きい、ことと、
前記第1の複数の格子点の各格子点における前記測定されたEM場強度
と前記第2の複数の格子点の各格子点における前記計算されたEM場強度
とに基づいて、前記HDマップを生成することと
を
前記プロセッサに行わせる、装置。
【請求項12】
前記アンテナ組立体
は、前記EM場の構成要素として少なくとも6つのEM波形を生成する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記EM場強度
は、前記少なくとも6つのEM波形の
それぞれについて、3つの軸座標系に沿って計算される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記EM場強度
は、前記3つの軸にそれぞれ対応する3つのコイルを有するセンサを用いて測定される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第2の複数の格子点
は、前記第1の複数の格子点の各格子点を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記HDマップを生成すること
は、
前記測定されたEM場強度と前記計算されたEM場強度との間の誤差を、前記第1の複数の格子点の各格子点で計算することと、
前記第1の複数の格子点の各格子点における前記計算された誤差に基づいて、前記第2の複数の格子点の各格子点に対する誤差を補間することと、
前記補間された誤差
および前記計算されたEM場強度を前記第2の複数の格子点の各格子点に追加
することにより、前記HDマップを生成することと
を含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記誤差
は、前記第1の複数の格子点の各格子点における前記測定されたEM場強度と前記計算されたEM場強度との間の差に基づいて計算される、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記誤差
は、前記測定されたEM場強度と前記3つの軸に沿った前記計算されたEM場強度との間の差のL1
ノルムまたはL2ノルムのうちの少なくとも1つである、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記メモリ
は、前記プロセッサによって実行されると
、前記第2の複数の格子点の各格子点における前記計算されたEM場強度の擬似逆行列を計算
することを前記プロセッサに行わせる命令を更に記憶する、請求項11に記載の装置。
【請求項20】
前記HDマップ
は、前記第2の複数の格子点の各格子点における前記計算されたEM場強度の擬似逆行列を更に含む、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、電磁ナビゲーションに関し、より具体的には、電磁ナビゲーションのためのマップを生成し、マップに基づいてセンサの位置及び/又は配向を特定するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁ナビゲーション(EMN)は、患者体内の医療用デバイス及び/又は関心対象の位置及び/又は配向を正確に判定可能とすることで、医療撮像、診断、予後診断、及び治療能力の拡大に寄与してきた。一般に、アンテナが、電磁(EM)体積内にEM場を生成し、医療用デバイスに組み込まれたセンサが、当該場に基づいてEM信号又は強度を感知し、EMNシステムが、感知されたEM強度に基づいてセンサ位置を特定する。EM体積内の各位置におけるEM強度が事前に測定又はマッピングされ、感知されたEM強度と、事前に測定されたEM強度とを比較することによって、センサ位置をEM体積内で特定することを可能にする。
【0003】
場合によっては、センサが単一コイルセンサなどの小型センサであることが望ましい場合があるが、これは、例えば、小さいサイズのセンサであれば、より大きなサイズのセンサをナビゲーションすることができないような、患者内の更なる部位(例えば、管腔系のより狭い部分)にナビゲーション可能となり得るためである。加えて、大型センサは、処置中に他のツールの作業経路を確保するために患者の体内から取り出す必要があるが、小型センサは、他のツールに干渉することなく、処置全体にわたって患者内に留まることができ、それによって、処置全体を通してEMN機能を向上することができる。
【0004】
EM体積内で、単一コイルセンサなどの小型センサの位置を精確に特定するには、EM体積内に複数(例えば、6つ以上)の異なる幾何学的形状のEM場を生成することが必要であり得る。しかしながら、EM場の各々が、EM体積内の各位置における対応するEM強度の測定されたマッピングを生成することを必要とするため、EM場の数を増加させると、マッピング数も増加し、時間や手間がかかる可能性がある。加えて、センサ位置判定の精度向上のためには、EM体積内の多くの(例えば数千)の格子点での正確な測定が必要となり得、したがって、マッピングの生成にかかる時間がなおさら長くなり得る。また、製造プロセス中に生じる変更の可能性及び電気機器の公差のために、マッピングプロセスは、新たに製造されたアンテナ毎、更に電磁ナビゲーションシステム設置毎に実効される必要があり得る。
【0005】
上記を考慮して、電磁ナビゲーションのためのマップを生成し、マップに基づいてセンサの位置及び/又は向きを特定するための改善されたシステム及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、電磁ナビゲーションのための高密度(HD)マップなどのEM場強度のマップを生成し、マップに基づいてセンサ位置及び/又は配向を特定するためのシステム及び方法に関する。一実施例では、HDマップは、EM場の強度測定値が取得され、LDマップ内に記憶されるEM体積内の低密度(LD)格子のEM体積内のより大きい(例えば、より微細な)格子点分解能を有する。HDマップは、いくつかの態様では、測定されたEM場強度の以前に生成されたLDマップに基づいて生成され、また、例えばアンテナ組立体内のアンテナの幾何学的構成に基づいたEM場強度計算に基づいて生成される。このように、患者の体内でナビゲートされるセンサの位置及び/又は配向は、EM体積内のHDマップの多くの格子点の各々においてEM場強度測定値を取る必要なく、正確に特定することができる。これにより、EMN手順における小型センサの使用を可能にしつつ、マップ生成のいかなる負担の増加も最小限に抑えることができる。
【0007】
本開示の一態様によれば、EM場がアンテナ組立体によって生成されるEM体積内の電磁(EM)センサの位置及び/又は配向を特定するための高密度(HD)マップを生成するための方法が提供される。この方法は、測定デバイスから、EM体積の第1の組の格子点の各格子点において測定されたEM場強度を受信することを含む。EM体積の第2の組の格子点の各格子点におけるEM場強度は、アンテナ組立体のアンテナの幾何学的構成に基づいて計算される。HDマップは、第1の組の格子点の各格子点における測定されたEM場強度、及び第2の組の格子点の各格子点における計算されたEM場強度に基づいて生成される。
【0008】
本開示の別の態様では、アンテナ組立体は、EM場の構成要素として少なくとも6つのEM波形を生成する。
【0009】
本開示の更なる態様では、EM場強度は、少なくとも6つのEM波形の各々に対する3つの軸座標系に沿って計算される。
【0010】
本開示の更に別の態様では、EM場強度は、3つの軸にそれぞれ対応する3つのコイルを有するセンサによって測定される。
【0011】
本開示の更に別の態様では、第2の組の格子点は、第1の組の格子点の各格子点を含む。
【0012】
本開示の別の態様では、HDマップを生成することは、測定されたEM場強度と計算されたEM場強度との間の誤差を、第1の組の格子点の各格子点で計算することを含む。第2の組の格子点の各格子点の誤差は、第1の組の格子点の各格子点における計算誤差に基づいて補間される。第2の組の格子点の各格子点における補間誤差及び計算されたEM場強度を追加してHDマップを生成する
【0013】
本開示の更なる態様では、誤差は、測定されたEM場強度と、第1の組の格子点の各格子点における計算されたEM場強度との差に基づいて計算される。
【0014】
本開示の更に別の態様では、誤差は、測定されたEM場強度と、3つの軸に沿った計算されたEM場強度との間の差のL1又はL2ノルムのうちの少なくとも1つに基づく。
【0015】
本開示の更に別の態様では、本方法は、第2の組の格子点の各格子点における計算されたEM場強度の擬似逆行列を計算することを更に含む。
【0016】
本開示の別の態様では、HDマップは、第2の複数の格子点の各格子点における計算されたEM場強度の擬似逆行列を更に含む。
【0017】
本開示の別の態様によれば、EM場がアンテナ組立体によって生成されるEM体積内のEMセンサの位置及び/又は配向を特定するためのHDマップを生成するための装置が提供される。装置は、プロセッサと、プロセッサによって実行されるとき、プロセッサに、測定デバイスから、EM体積の第1の組の格子点の各格子点で測定されたEM場強度を受信させる、プロセッサ実行可能命令を記憶するメモリと、を含む。EM体積の第2の組の格子点の各格子点におけるEM場強度は、アンテナ組立体の少なくとも1つのアンテナの幾何学的構成に基づいて計算される。HDマップは、第1の組の格子点の各格子点における測定されたEM場強度、及び第2の組の格子点の各格子点における計算されたEM場強度に基づいて生成される。
【0018】
本開示の別の態様では、アンテナ組立体は、EM場の構成要素として少なくとも6つのEM波形を生成する。
【0019】
本開示の更に別の態様では、EM場強度は、少なくとも6つのEM波形の各々に対する3つの軸座標系に沿って計算される。
【0020】
本開示の更なる態様では、EM場強度は、3つの軸にそれぞれ対応する3つのコイルを有するセンサで測定される。
【0021】
本開示の更に別の態様では、第2の組の格子点は、第1の組の格子点の各格子点を含む。
【0022】
本開示の別の態様では、HDマップの生成は、測定されたEM場強度と計算されたEM場強度との間の誤差を、第1の組の格子点の各格子点で計算することを含む。第2の複数の格子点の各格子点の誤差は、第1の複数の格子点の各格子点において計算された誤差に基づいて補間される。第2の複数の格子点の各格子点における補間誤差及び計算されたEM場強度を追加して、HDマップを生成する。
【0023】
本開示の更に別の態様では、誤差は、測定されたEM場強度と、第1の組の格子点の各格子点における計算されたEM場強度との間の差に基づいて計算される。
【0024】
本開示の更なる態様では、誤差は、測定されたEM場強度と、3つの軸に沿った計算されたEM場強度との間の差のL1及び/又はL2ノルムに基づく。
【0025】
本開示の更に別の態様では、メモリは、プロセッサによって実行されるとき、プロセッサに、第2の組の格子点の各格子点における計算されたEM場強度の擬似逆行列を計算させる命令を記憶する。
【0026】
本開示の別の態様では、HDマップは、第2の組の格子点の各格子点における計算されたEM場強度の擬似逆行列を更に含む。
【0027】
本開示の別の態様によれば、EM体積内でナビゲートされるEMセンサの位置及び/又は配向を特定するための方法が提供される。この方法は、メモリから、EM体積の第2の組の格子点の各格子点において計算されたEM場強度を取得することを含む。EM場は、アンテナ組立体によって生成される。測定されたEM場強度は、EMセンサから受信される。EM体積の第1の組の格子点間の第1の格子点は、測定されたEM場強度及びHDマップに基づいて特定される。EMセンサの位置及び/又は配向は、第1の格子点を初期条件として使用して、HDマップに基づいて特定される。第2の組の格子点は、第1の複数の格子点を含む。
【0028】
本開示の別の態様では、アンテナ組立体は、少なくとも6つのアンテナを含み、アンテナの各々は、複数のループを含む。
【0029】
本開示の更に別の態様では、複数のループは、幾何学的構成を有する。
【0030】
本開示の更なる態様では、HDマップは、EM体積内の第2の組の格子点の各格子点に対する計算されたEM場強度を含む。
【0031】
本開示の更に別の態様では、計算されたEM場強度は、少なくとも6つのアンテナのそれぞれの幾何学的構成に基づく。
【0032】
本開示の別の態様では、HDマップは、第2の複数の格子点の各格子点における計算されたEM場強度の擬似逆行列を更に含む。
【0033】
本開示の更に別の態様では、第1の格子点を特定することが、配向ベクトル
【数1】
を特定することを含み、(a、b、c)は、第1の組の格子点における格子点であり、以下の条件
【数2】
を満たし、式中、
【数3】
は、HDマップにおける格子点(a、b、c)における計算されたEM場強度である、
【数4】
の疑似逆行列である。
【数5】
とVとの差が、計算される。格子点(A、B、C)は、
【数6】
とVとの差が最小である、第1の組の格子点の中から、第1の格子点として選択される。
【0034】
本開示の更なる態様では、位置及び/又は配向を特定することは、配向ベクトル
【数7】
を特定することを含み、(d、e、f)は、第2の組の格子点の格子点であり、第1の格子点(A、B、C)から近傍(例えば、所定の距離内)に位置し、以下の条件:
【数8】
を満たし、式中、
【数9】
は、HDマップにおける格子点(d、e、f)における計算されたEM場強度である、
【数10】
の疑似逆行列である。
【数11】
とVとの差が、計算される。第2の格子点(D、E、F)は、
【数12】
とVとの差が最小である、第2の組の格子点の中から選択される。
【0035】
本開示の更に別の態様では、
【数13】
は、EMセンサの配向に関係する。
【0036】
本開示の別の態様では、第2の格子点(D、E、F)は、EMセンサの位置である。
【0037】
本開示の別の態様によれば、EM体積内でナビゲートされるEMセンサの位置及び/又は配向を特定するためのシステムが提供される。システムは、アンテナ組立体、EMセンサ、プロセッサ、及びメモリを含む。アンテナ組立体は、EM体積内のEM場を放射するように構成される。EMセンサは、放射されたEM場に基づいてEM場強度を測定するように構成される。メモリは、計算されたEM場強度を、EM体積の第2の組の格子点の各格子点に記憶する。メモリはまた、プロセッサによって実行されるとき、プロセッサに、第2の組の格子点の各格子点における計算されたEM場強度をメモリから取得させる、プロセッサ実行可能命令を記憶する。EM体積の第1の組の格子点間の第1の格子点は、測定されたEM場強度及びHDマップに基づいて特定される。EMセンサの位置及び/又は配向は、第1の格子点を初期条件として使用して、HDマップに基づいて特定される。第2の組の格子点は、第1の組の格子点を含む。
【0038】
本開示の更なる態様では、アンテナ組立体は、少なくとも6つのアンテナを含み、アンテナの各々は、複数のループを含む。
【0039】
本開示の更に別の態様では、複数のループは、幾何学的構成を有する。
【0040】
本開示の別の態様では、HDマップは、EM体積内の第2の組の格子点の各格子点における計算されたEM場強度を含む。
【0041】
本開示の更に別の態様では、計算されたEM場強度は、少なくとも6つのアンテナのそれぞれの幾何学的構成に基づく。
【0042】
本開示の別の態様では、HDマップは、第2の組の格子点の各格子点における計算されたEM場強度の擬似逆行列を更に含む。
【0043】
本開示の別の態様では、第1の格子点を特定することが、配向ベクトル
【数14】
を特定することを含み、(a、b、c)は、第1の組の格子点における格子点であり、以下の条件
【数15】
を満たし、式中、
【数16】
は、HDマップにおける格子点(a、b、c)における計算されたEM場強度である、
【数17】
の疑似逆行列である。
【数18】
とVとの差が、計算される。格子点(A、B、C)は、
【数19】
とVとの差が最小である、第1の複数の格子点の中から、第1の格子点として選択される。
【0044】
本開示の更に別の態様では、位置及び/又は配向を特定することは、配向ベクトル
【数20】
を特定することを含み、(d、e、f)は、第2の組の格子点内の格子点であり、第1の格子点(A、B、C)から近傍(所定の距離内)に位置し、以下の条件:
【数21】
を満たし、式中、
【数22】
は、HDマップにおける格子点(d、e、f)における計算されたEM場強度である、
【数23】
の疑似逆行列である。
【数24】
とVとの差が、計算される。第2の格子点(D、E、F)は、
【数25】
とVとの差が最小である、第2の複数の格子点の中から選択される。
【0045】
本開示の別の態様では、
【数26】
は、EMセンサの配向に関係する。
【0046】
本開示の更なる態様では、第2の格子点(D、E、F)は、EMセンサの位置である。
【0047】
本開示の上記の態様及び実施形態のいずれも、本開示の範囲から逸脱することなく組み合わされ得る。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
電磁(EM)体積内でナビゲートされるEMセンサの位置又は配向のうちの少なくとも1つを特定するための方法であって、
メモリから、前記EM体積の第2の複数の格子点の各格子点における計算されたEM場強度を取得することと、
アンテナ組立体によってEM場を生成することと、
前記EMセンサから測定されたEM場強度を受信することと、
前記測定されたEM場強度及び高密度(HD)マップに基づいて、前記EM体積の第1の複数の格子点から第1の格子点を特定することと、
前記第1の格子点を初期条件として使用して、前記HDマップに基づいて、前記EMセンサの前記位置又は前記配向のうちの少なくとも1つを特定することと、を含み、
前記第2の複数の格子点が、前記第1の複数の格子点を含む、方法。
(項目2)
前記アンテナ組立体が、少なくとも6つのアンテナを備え、前記アンテナの各々が、複数のループを備える、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記複数のループが、幾何学的構成を有する、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記HDマップが、前記EM体積内の前記第2の複数の格子点の各格子点に対する計算されたEM場強度を含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記計算されたEM場強度が、前記少なくとも6つのアンテナのそれぞれの前記幾何学的構成に基づく、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記HDマップが、前記第2の複数の格子点の各格子点における前記計算されたEM場強度の擬似逆行列を更に含む、項目4に記載の方法。
(項目7)
前記第1の格子点を特定することが、
配向ベクトル
【数1】
を特定することであって、(a、b、c)は、前記第1の複数の格子点における格子点であり、以下の条件:
【数2】
を満たし、式中、
【数3】
は、前記HDマップにおける格子点(a、b、c)における計算されたEM場強度である、
【数4】
の擬似逆行列である、特定することと、
【数5】
とVとの差を計算することと、
前記第1の格子点として、
【数6】
とVとの差が最小である、前記第1の複数の格子点の格子点(A、B、C)を選択することと、を含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記位置又は前記配向のうちの少なくとも1つを特定することが、
配向ベクトル
【数7】
を特定することであって、(d、e、f)は、前記第2の複数の格子点における格子点であり、前記第1の格子点(A、B、C)から所定の距離内に位置し、以下の条件:
【数8】
を満たし、式中、
【数9】
は、前記HDマップにおける格子点(d、e、f)における計算されたEM場強度である、
【数10】
の疑似逆行列である、特定することと、
【数11】
とVとの差を計算することと、
前記第2の複数の格子点の中から、
【数12】
とVとの差が最小である第2の格子点(D、E、F)を選択することと、を含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
【数13】
が、前記EMセンサの前記配向に関連する、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記第2の格子点(D、E、F)が、前記EMセンサの位置である、項目9に記載の方法。
(項目11)
電磁(EM)体積内でナビゲートされるEMセンサの位置又は配向のうちの少なくとも1つを特定するためのシステムであって、
前記EM体積内でEM場を放射するように構成されたアンテナ組立体と、
前記EM場に基づいてEM場強度を測定するように構成された前記EMセンサと、
プロセッサと、
前記EM体積の第2の複数の格子点の各格子点における計算されたEM場強度を記憶し、かつプロセッサ実行可能命令を記憶する、メモリと、を備え、前記命令は、前記プロセッサによって実行されるとき、前記プロセッサに、
前記メモリから、前記第2の複数の格子点の各格子点における前記計算されたEM場強度を取得することと、
前記測定されたEM場強度及び前記HDマップに基づいて、前記EM体積の第1の複数の格子点から第1の格子点を特定することと、
前記第1の格子点を初期条件として使用して、前記HDマップに基づいて、前記EMセンサの前記位置又は前記配向のうちの少なくとも1つを特定することと、を実行させ、
前記第2の複数の格子点が、前記第1の複数の格子点を含む、システム。
(項目12)
前記アンテナアセンブリが、少なくとも6つのアンテナを備え、前記アンテナの各々が、複数のループを備える、項目11に記載のシステム。
(項目13)
前記複数のループが幾何学的構成を有する、項目12に記載のシステム。
(項目14)
前記HDマップが、前記EM体積内の前記第2の複数の格子点の各格子点に対する計算されたEM場強度を含む、項目13に記載のシステム。
(項目15)
前記計算されたEM場強度が、前記少なくとも6つのアンテナの前記それぞれの幾何学的構成に基づく、項目14に記載のシステム。
(項目16)
前記HDマップが、前記第2の複数の格子点の各格子点における前記計算されたEM場強度の擬似逆行列を更に含み得る、項目14に記載のシステム。
(項目17)
前記第1の格子点を特定することが、
配向ベクトル
【数14】
を特定することであって、(a、b、c)は、前記第1の複数の格子点における格子点であり、以下の条件:
【数15】
を満たし、式中、
【数16】
は、前記HDマップにおける格子点(a、b、c)における計算されたEM場強度である、
【数17】
の擬似逆行列である、特定することと、
【数18】
とVとの差を計算することと、
前記第1の格子点として、
【数19】
とVとの差が最小である、前記第1の複数の格子点の格子点(A、B、C)を選択することと、を含む、項目11に記載のシステム。
(項目18)
前記位置又は前記配向のうちの少なくとも1つを特定することが、
配向ベクトル
【数20】
を特定することであって、(d、e、f)は、前記第2の複数の格子点における格子点であり、前記第1の格子点(A、B、C)から所定の距離内に位置し、以下の条件:
【数21】
を満たし、式中、
【数22】
は、前記HDマップにおける格子点(d、e、f)における計算されたEM場強度である、
【数23】
の疑似逆行列である、特定することと、
【数24】
とVとの差を計算することと、
前記第2の複数の格子点の中から、
【数25】
とVとの差が最小である第2の格子点(D、E、F)を選択することと、を含む、項目11に記載のシステム。
(項目19)
【数26】
が、前記EMセンサの前記配向に関連する、項目18に記載のシステム。
(項目20)
前記第2の格子点(D、E、F)が前記EMセンサの位置である、項目19に記載のシステム。
(項目21)
アンテナ組立体によって電磁(EM)場が生成されるEM体積内のEMセンサの位置又は配向のうちの少なくとも1つを特定するための高密度(HD)マップを生成するための方法であって、
測定デバイスから前記EM体積の第1の複数の格子点の各格子点で測定されたEM場強度を受信することと、
前記アンテナ組立体のアンテナの幾何学的構成に基づいて、前記EM体積の第2の複数の格子点の各格子点におけるEM場強度を計算することと、
前記第1の複数の格子点の各格子点における前記測定されたEM場強度、及び前記第2の複数の格子点の各格子点における前記計算されたEM場強度に基づいて、前記HDマップを生成することと、を含む、方法。
(項目22)
前記アンテナ組立体が、前記EM場の構成要素として少なくとも6つのEM波形を生成する、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記EM場強度が、前記少なくとも6つのEM波形の各々について、3つの軸座標系に沿って計算される、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記EM場強度が、それぞれ、前記3つの軸に対応する3つのコイルを有するセンサによって測定される、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記第2の複数の格子点が、前記第1の複数の格子点の各格子点を含む、項目21に記載の方法。
(項目26)
前記HDマップを生成することが、
前記第1の複数の格子点の各格子点における、前記測定されたEM場強度と前記計算されたEM場強度との間の誤差を計算することと、
前記第1の複数の格子点の各格子点における前記計算された誤差に基づいて、前記第2の複数の格子点の各格子点に対する誤差を補間することと、
前記補間された誤差及び前記計算されたEM場強度を、前記第2の複数の格子点の各格子点に追加して、前記HDマップを生成することと、を含む、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記誤差が、前記第1の複数の格子点の各格子点における前記測定されたEM場強度と前記計算されたEM場強度との差に基づいて計算される、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記誤差が、前記測定されたEM場強度と前記3つの軸に沿った計算されたEM場強度との間の差のL1又はL2ノルムのうちの少なくとも1つに基づく、項目26に記載の方法。
(項目29)
前記第2の複数の格子点の各格子点における前記計算されたEM場強度の擬似逆行列を計算することを更に含む、項目21に記載の方法。
(項目30)
前記HDマップが、前記第2の複数の格子点の各格子点における前記計算されたEM場強度の擬似逆行列を更に含む、項目29に記載の方法。
(項目31)
アンテナ組立体によって電磁(EM)場が生成されるEM体積内のEMセンサの位置又は配向のうちの少なくとも1つを特定するための高密度(HD)マップを生成するための装置であって、
プロセッサと、
プロセッサ実行可能命令を記憶するメモリと、を備え、前記命令は、前記プロセッサによって実行されるとき、前記プロセッサに、
測定デバイスから、前記EM体積の第1の複数の格子点の各格子点における測定されたEM場強度を受信することと、
前記アンテナ組立体のアンテナの幾何学的構成に基づいて、前記EM体積の第2の複数の格子点の各格子点におけるEM場強度を計算することと、
前記第1の複数の格子点の各格子点における前記測定されたEM場強度と、前記第2の複数の格子点の各格子点における前記計算されたEM場強度に基づいて、前記HDマップを生成することと、を含む、を実行させる、装置。
(項目32)
前記アンテナ組立体が、前記EM場の構成要素として少なくとも6つのEM波形を生成する、項目31に記載の装置。
(項目33)
前記EM場強度が、前記少なくとも6つのEM波形の各々に対する3つの軸座標系に沿って計算される、項目32に記載の装置。
(項目34)
前記EM場強度が、前記3つの軸にそれぞれ対応する3つのコイルを有するセンサを用いて測定される、項目33に記載の装置。
(項目35)
前記第2の複数の格子点が、前記第1の複数の格子点の各格子点を含む、項目31に記載の装置。
(項目36)
前記HDマップを生成することが、
前記測定されたEM場強度と前記計算されたEM場強度との間の誤差を、前記第1の複数の格子点の各格子点で計算することと、
前記第1の複数の格子点の各格子点における前記計算された誤差に基づいて、前記第2の複数の格子点の各格子点に対する誤差を補間することと、
前記補間された誤差及び前記計算されたEM場強度を前記第2の複数の格子点の各格子点に追加して、前記HDマップを生成することと、を含む、項目35に記載の装置。
(項目37)
前記誤差が、前記第1の複数の格子点の各格子点における前記測定されたEM場強度と前記計算されたEM場強度との間の差に基づいて計算される、項目36に記載の装置。
(項目38)
前記誤差が、前記測定されたEM場強度と前記3つの軸に沿った前記計算されたEM場強度との間の差のL1又はL2ノルムのうちの少なくとも1つである、項目36に記載の装置。
(項目39)
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記第2の複数の格子点の各格子点における前記計算されたEM場強度の擬似逆行列を計算させる命令を更に記憶する、項目31に記載の装置。
(項目40)
前記HDマップが、前記第2の複数の格子点の各格子点における前記計算されたEM場強度の擬似逆行列を更に含み得る、項目39に記載の装置。
【図面の簡単な説明】
【0048】
本開示のシステム及び方法の目的及び特徴は、添付の図面を参照して様々な実施形態の説明を読むことにより、当業者には明白になるであろう。
【0049】
【
図1】本開示による、例示的な電磁ナビゲーション(EMN)システムを示す。
【0050】
【
図2】本開示の態様による、
図1のEMNシステムの一部のブロック図である。
【0051】
【
図3】本開示による、低密度測定値及び関連曲線の例のグラフ図である。
【0052】
【
図4】本開示による、高密度マップを生成するための例示的な方法を示すフローチャートである。
【0053】
【
図5】本開示による、センサの位置及び/又は配向を特定するための例示的な方法を示すフローチャートである。
【0054】
【
図6】本開示による、測定値と計算値との間の誤差の、複数の局所最小値を有する例示的な誤差関数のグラフ図である。
【0055】
【
図7】本開示の様々な実施形態で使用されるコンピューティングデバイスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本開示は、高密度(HD)マップを生成し、HDマップに基づいて少なくとも1つのコイルを含み得るセンサの位置及び/又は配向を特定するためのシステム及び方法に関する。いくつかの態様では、アンテナのそれぞれの幾何学的構成により、かかるアンテナを再現するための自動かつ極めて繰り返しに適したプロセスを可能にし、更に/あるいはEM体積内の全てのHD格子点での予測又は理論的EM強度を数学的に計算することを可能にする(例えば、アンテナが、プリント回路基板(PCB)トレースの線形部分に基づく幾何学的構成を有すると、各アンテナによって生成された磁界の、体積内の合計EM場に対する総寄与を計算する際、重畳原理が利用しやすくなる)。これらの数学的計算は、数学的に計算されたEM強度に使用される格子点の数よりも少ない格子点を含む粗座標系で行われる実際の測定と組み合わされてもよい。このようにして、測定に要する時間及び/又はコストを削減することができ、HDマップが、繰り返し可能、高効率、かつ高費用効率に生成することができる。
【0057】
更に、本開示は、HDマップを使用することによって、EMセンサの位置及び/又は配向を特定するためのシステム及び方法に関する。一般に、EMセンサは、EM強度を感知し、EMNシステムは、感知されたEM強度を、HDマップの予測EM強度と比較し、EMセンサの位置及び配向を特定する。
【0058】
本開示の一態様では、微座標系(例えば、HD座標系又は格子点集合)を使用して、EM体積の粗座標系(例えば、LD座標系又は格子点集合)よりも多くの格子点を含むEM体積の座標系を表す。一部の態様では、粗座標系の全ての格子点が、微座標系に含まれてもよい。一般に、粗座標系は、実際のEM場強度測定に利用され、微座標系は、EM場強度の数学的計算のために利用される。
【0059】
図1は、複数のアンテナを含み、EM場を生成するアンテナ組立体を使用することにより、患者の体内で(例えば、対象に)ナビゲートされる医療用デバイス又はそのセンサの位置及び/又は配向を特定するように構成されている、電磁ナビゲーション(EMN)システム100の一例を示す。EMNシステム100は更に、患者の肺の管腔網内の死滅した部位などの関心対象に向けて、患者の体内をナビゲーションするCT、MRI、又はX線透視画像を向上するように構成される。
【0060】
EMNシステム100は、カテーテルガイド組立体110、気管支鏡115、コンピューティングデバイス120、監視デバイス130、EMボード140、追跡デバイス160、及び基準センサ170を含む。気管支鏡115は、(
図1に示されるような)有線接続又は無線接続(図示せず)によってコンピューティングデバイス120及び監視デバイス130に動作可能に連結される。
【0061】
気管支鏡115は、患者150の口に挿入され、肺の管腔網の画像を捕捉する。EMNシステム100では、患者150の管腔網周辺へのアクセスを実現するために、カテーテルガイド組立体110が気管支鏡115内に挿入される。カテーテルガイド組立体110は、遠位部分にEMセンサ112が設けられた延長ワーキングチャネル(EWC)111を含んでもよい。遠位部分に更なるEMセンサが設けられた位置特定可能なガイドカテーテル(LG)を、EWC 111に挿入してもよい。EWC 111又はLGの遠位部分にあるEMセンサ112は、肺の管腔網を通ってナビゲートされているEWC 111又はLGの位置及び/又は配向を特定するために使用される。EWC 111又はLGのサイズ制限により、いくつかの実施形態では、EMセンサ112は、患者150のEM場のEM強度を検出するための1つのみの単一コイルを含み得る。しかしながら、EMセンサ内のコイルの数は、1つに限定されるものではなく、2つ以上であってもよい。
【0062】
ラップトップ、デスクトップ、タブレット、又は他の類似のコンピューティングデバイスなどの、コンピューティングデバイス120は、ディスプレイ122、1つ以上のプロセッサ124、メモリ126、アンテナ組立体145に交流電流信号を提供する交流電流ドライバ127、ネットワークカード128、及び入力デバイス129を含む。
図1に、コンピューティングデバイス120の具体的な構成が一例として提供されるが、
図1に示される構成要素以外の構成をコンピューティングデバイス120が含むことも考えられる。具体的には、いくつかの実施形態では、
図1においてコンピューティングデバイス120に含まれる構成要素(122、124、126、127、128、及び/又は129)のうちの1つ以上が、コンピューティングデバイス120とは別個であって、システム全体100での電力及び/又はデータ信号送信に寄与する1つ以上の有線又は無線経路により、それぞれコンピューティングデバイス120又はシステム100の任意の他の構成要素に接続されてもよい。例えば、
図1には示されていないが、交流電流ドライバ127は、いくつかの例示的な態様では、コンピューティングデバイス120とは別個であってもよく、また、アンテナ組立体145に接続され得、及び/又はプロセッサ124及びメモリ126などのコンピューティングデバイス120の1つ以上の構成要素に、1つ以上の対応する経路を介して接続され得る。
【0063】
いくつかの態様では、EMNシステム100はまた、別個のコンピューティングデバイスが、計画、処置、映像化、及び医療手術に適する方法で臨床医を支援する他の態様のために用いられる、複数のコンピューティングデバイスを含み得る。ディスプレイ122は、ディスプレイ122が入力デバイスと出力デバイスの両方として働くことを可能にする、接触感知式及び/又は音声起動式であってもよい。ディスプレイ122は、肺において疾患の症状を呈する部位の位置を突きとめ、それを特定するために、2次元(2D)画像又は3次元(3D)モデルを表示し得る。
【0064】
1つ以上のプロセッサ124は、コンピュータ実行可能命令を実行する。プロセッサ124は、それにより、EMセンサ112の位置及び配向を特定するために、肺の3Dモデルがディスプレイ122又は位置アルゴリズムに表示されるよう、画像処理機能を実行し得る。実施形態では、コンピューティングデバイス120は、1つ以上のプロセッサ124が他のプログラムに使用可能であるように、画像処理機能のみを実行する別個のグラフィックアクセラレータ(図示せず)を更に含み得る。メモリ126は、データ及びプログラムを記憶する。例えば、データは、EMN用のマッピングデータ、又はHDマップ、画像データ、患者の医療記録、処方箋、及び/若しくは患者の病歴などの任意の他の関連データであり得る。
【0065】
HDマップは、医療用デバイス(例えば、EWC 111、LG、治療プローブ、又は他の外科用デバイス)がナビゲートされるEM体積の微座標系内の複数の格子点と、複数の格子点の各々における予想EM強度を含み得る。EMセンサ112がEM強度をある点で感知すると、1つ以上のプロセッサ124は、感知されたEM強度を、HDマップ内の予想されたEM強度と比較し、EM体積内のEMセンサ112の位置を特定し得る。更に、感知されたEM強度と、HDマップ内の予想EM強度とにより、医療用デバイスの配向も計算され得る。
【0066】
図1に示すように、EMボード140は、患者150が横たわるための平坦面を提供するように構成されており、アンテナ組立体145を含む。患者150がEMボード140上に横たわると、アンテナ組立体145は、患者150の部分を取り囲むのに十分なEM場、又はEM体積を生成する。アンテナ組立体145は、複数のアンテナを含み、これらのアンテナの各々は、複数のループを含み得る。一態様では、各アンテナは、対応する周波数を有するEM波形を生成するように構成される。アンテナの数は、少なくとも6個であってもよい。一態様では、9つの異なるEM波形を生成することができるように、アンテナの数は9個であってもよい。
【0067】
別の態様では、EM波形の生成に、時間多重化方法が採用される。例えば、アンテナ組立体145のアンテナは、ある期間中の異なる時間で同一の周波数を有するEM波形を生成することができる。別の態様では、周波数多重化方法が採用されてもよく、その場合、各アンテナは、互いに異なる周波数を有するEM波形を生成する。更に別の態様では、時間多重化及び周波数多重化方法の組み合わせが用いられてもよい。アンテナは、2つ以上のグループにグループ化される。同じグループ内のアンテナは、異なる時間で、同じ周波数を有するEM波形を生成する。異なるグループのアンテナは、互いに異なる周波数を有するEM波形を生成し得る。対応する逆多重化方法を利用して、EM波形が分離される。
【0068】
更に詳細に後述するように、一態様では、複数のループの各部位が数学的関係又は数式で表されるよう、各アンテナは、幾何学的構成を有することができる(例えば、アンテナが、プリント回路基板(PCB)トレース又はワイヤの線形部分に基づく幾何学的構成を有する場合、体積内での総合成EM場に対する、各アンテナによって生成された磁界の総寄与を計算する際の重畳原理の使用が容易となる)。したがって、磁界は、アンテナ上の各トレースについて計算することができ、全てのトレースによる寄与を合計することができる。この幾何学的構成に基づいて、HDマップ内の各格子点における予想EM強度は、理論的又は数学的に計算することができる。このようなアンテナ及びアンテナの製造方法の更なる態様は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2016年10月28日出願の、「Electromagnetic Navigation Antenna Assembly and Electromagnetic Navigation System Including the Same」と題され、米国弁護士側整理番号第356580.USU1号(1988-252A)を有する米国特許出願第15/337,056号に開示されている。
【0069】
図2は、本開示に係る、
図1の例示的な電磁ナビゲーションシステム100の一部のブロック図を示す。一般に、EMNシステム100のコンピューティングデバイス120は、EMボード140に埋め込まれたアンテナ組立体145を制御してEM場を生成し、EMセンサ112から感知された結果を受信し、EM体積内のEMセンサ112の位置及び配向を判定する。
【0070】
コンピューティングデバイス120は、クロック205を含み、これは、EM場を生成し、かつ感知された結果をサンプリングするために使用される、クロック信号を生成する。同一のクロック信号がEM場の生成、感知されたEM場のサンプリングに使用されるため、磁場生成回路(例えば、波形発生器210)と波形取得回路(例えば、デジタイザ215)との間の同期が取られ得る。換言すれば、クロック205が波形発生器210及びデジタイザ215にクロック信号を提供すると、アンテナ組立体145によって生成されたEM波形が、デジタイザ215によって実質的に同時にデジタルサンプリングされる。デジタイザ215は、感知された結果をデジタルサンプリングするアナログデジタル変換器(ADC(図示せず))と、感知された結果の大きさがADCの動作可能範囲内となるよう、感知された結果の大きさを増幅する増幅器(図示せず)とを含んでもよい。一態様では、デジタイザ215は、前置増幅器及び後置増幅器を含み得、感知された結果の大きさがADCの動作可能範囲内となるように前置増幅器により増幅され、デジタルサンプルもまた、後置増幅器により、感知された結果の大きさに増幅されるようにする。
【0071】
復調器220は、デジタルサンプルを復調して不要な信号(例えば、雑音)を除去し、アンテナ組立体145によって生成されたEM波形を復元する。復調器220は、EM波形を生成するためにアンテナ組立体145のアンテナによって使用される方法に応じて、EM波形を分離して特定するために、かつアンテナ組立体145のアンテナの各々によって影響されるEM強度を判定するために、時間分割多重化方法、周波数逆多重化法、又はこれらの組み合わせを使用してもよい。
【0072】
例えば、アンテナ組立体145が6つのアンテナを含む場合、復調器220は、6つのアンテナのEMセンサ112によってそれぞれ感知される6つのEM強度を特定することができる。アンテナ数が9つの場合、復調器220の出力は9×1行列の形態で表すことができる。アンテナによって利用される変調方法(例えば、時分割多重化、周波数多重化、又はこれらの組み合わせ)に基づいて、復調器220は、感知された結果を復調する。
【0073】
例えば、アンテナ組立体145のアンテナが周波数多重化を利用する場合、復調器220は、1組の微調整されたデジタルフィルタを使用してもよい。直交周波数分割多重化を利用してもよい。その場合、EM場及びサンプリング周波数は、特定のアンテナからの所望の周波数のみが通過する一方で、他の周波数が正確にブロックされるように選択される。一態様では、復調器220は、特定の周波数のデジタルフィルタが所望の復調窓に調節される、多タップ直交周波数整合フィルタを使用してもよい。
【0074】
メモリ126は、位置及び配向の特定に関連するデータ及びプログラムを記憶してもよい。データは、高密度(HD)マップ225を含み、このHDマップ225は、EM体積及び格子点における予想されたEM強度に対する、微座標系の複数の格子点を含む。HDマップ225は、3軸の座標系に基づくことができ、その場合各格子点は、3軸にそれぞれ対応する3つの座標を有する。この場合、各格子点における予想EM強度は、各EM波形の各軸に沿って1つのEM強度値を含み得る。例えば、9つの異なるEM波形を生成する9つのアンテナが存在し、これらの各々は、別個の周波数を有し、3つの軸をx、y、及びz軸とすると、各格子点において、予想EM強度は、x軸に沿った9つのEM強度値、y軸に沿った9つのEM強度値、及びz軸に沿った9つのEM強度値を含むことができる。各格子点におけるこのような予想EM強度は、9×3マトリックス形態で表すことができる。
【0075】
HDマップ225は、微座標系内の各格子点における各軸における理論的に計算されたEM強度を含む計算230、及び粗座標系内の各格子点における各軸における測定を含む測定235を用いて生成されてもよい。微座標系は、粗座標系内の全ての格子点を含み、微座標系の格子点は、粗座標系の格子点よりも微細に分布している。アンテナ組立体145のアンテナの幾何学的構成を使用することにより、微座標系での測定が不要となり得る。即ち、粗座標系で測定を行い、微座標系で理論計算を行ってもよい。粗座標系内の測定235を、極座標系内の理論計算230と組み合わせることにより、HDマップ225を生成することができる。測定235及び計算230に基づくHDマップ225の生成について、
図4を参照して以下に更に詳細に説明する。
【0076】
時間の経過、又はEMNシステム100付近の異物により、EMセンサ112又は他のハードウェアによる測定の較正が必要となり得る。このような較正データはまた、センサ較正240及びハードウェア較正245の形態でメモリ126に記憶されてもよい。
【0077】
コンピューティングデバイス120が復調器220を介してEMセンサ112から測定データを受信すると、コンピューティングデバイス120は、位置アルゴリズム250(これもメモリ126に記憶されている)をHDマップ225と共に使用して、微座標系内のEMセンサ112の位置及び配向を特定する。位置及び/又は配向の特定について、
図5を参照して以下に更に詳細に説明する。
【0078】
位置アルゴリズム250は、EMセンサ112の位置及び配向特定の際、任意の誤差最小化アルゴリズムを利用することができる。例えば、Levenberg-Marquardtアルゴリズムを用いて、HD密度マップの予想EM強度と、感知された結果との間の誤差を最小化してもよい。当業者が容易に理解できる他の誤差最小化方法又はアルゴリズムもまた、本開示の範囲から逸脱することなく利用することができる。
【0079】
メモリ126は、EMNシステム100のコンピューティングデバイス120によって利用することができ、EMセンサ112の位置及び配向に関する情報を使用するアプリケーション255を更に含む。このようなアプリケーション255は、EM体積内のEMセンサ112の位置において、そしてEMセンサ112の配向に沿って、EMセンサ112が取り付けられた、又は設置された医療用デバイスのグラフィックを表示する表示アプリケーションであってもよいし、医療用デバイスが関心対象付近にあるかどうかを判定する処置用アプリケーション、又はEMセンサ112の位置及び配向を使用する任意の他のアプリケーションであってもよい。
【0080】
図3は、粗座標系で得られた複数の曲線320、325、330、及び340、並びに別個のEM場強度測定値315a~315iのグラフ図である。横軸は、EM体積に対するx軸、y軸、及びz軸のうちの任意の軸を表してもよく、垂直軸はEM場強度の大きさを表す。粗座標系の格子点は、50ミリメートル離れて示され、粗座標系の格子点における測定EM強度は、黒点315a~315iとして示されている。
【0081】
いくつかの態様では、3つの異なる方向(例えば、x軸、y軸、及びz軸)の各々におけるEM場強度を感知する3つのコイルを含む測定冶具によって、EMNシステム100が使用される具体的な病室及びベッドにおいて、測定が行われてもよい。そのような測定冶具の例は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2015年10月5日「Systems And Methods For Automated Mapping And Accuracy-Testing」と題された米国特許出願第62/237,084,号に開示されている。
【0082】
LD格子点315a~315iにおける測定値に基づいて、補間を実行して、第1及び第2の補間曲線320及び325を生成することができる。一実施例では、第1の補間曲線320は線形補間法によって生成され、第2の補間曲線325は、Bスプライン補間によって生成される。HDマップ内の格子点において計算されたEM強度も補間されて、第3の補間曲線330が生成される。
【0083】
ボックス335に示されるように、第1、第2、及び第3の補間曲線320、325、330は、2つの格子点315hと315iとの間で互いに大幅に異なる。第1の補間曲線320は、第3の補間曲線330よりも低く、第2の補間曲線325は第2の補間曲線325及び第3の補間曲線330よりもはるかに高い。これらの大きな差により、3つの補間曲線のうちの1つのみが使用される場合、誤差が明確となり得る。
【0084】
このような差を最小限に抑えるために、第4の補間曲線340が使用される。第4の曲線340は、315a~315iなどのLD格子点での理論計算と測定との間の誤差を計算し、HD格子点の誤差を補間することによって生成される。HD格子点で第4の補間曲線340を第3の補間曲線330に加えることにより、HDマップ内の各格子点における予想EM強度が得られ、より高い精度が実現され得る。HDマップをどのように生成するか、
図4を参照して以下に説明する。
【0085】
図4は、微座標系における理論計算及び粗座標系における測定に基づいてHDマップを生成するための例示的な方法400を示すフローチャートである。測定は、
図1のアンテナ組立体145のアンテナによって生成されたEM場に対して実行されてもよく、アンテナの各々は、対応する幾何学的構成を有する。410において、粗座標系内の全ての格子点におけるEM場測定値が測定冶具から受信される。測定値は、各EM波形について、粗座標系内の3つの軸に沿った3つの異なる測定値を含んでもよい。したがって、9つのアンテナが存在する場合、1つの格子点での測定値は、3つの異なる軸について3つの値を含み、9つの異なる波形に対して、9組の3つの値を含み得る。一態様では、これらの測定値は、9×3行列の形態であってもよい。
【0086】
420において、アンテナ組立体145の各アンテナの幾何学的構成に基づき、EM場強度が理論的又は数学的に計算される。上述のように、各アンテナは、幾何学的構成を有する複数のループを含む。換言すれば、アンテナの各ループは、数式の形態で表すことができる、又は単純に線形部分で形成されてもよい。したがって、微細座標系における任意の格子点におけるEM強度は、以下のようにBiot Savart-Laplace法を使用して計算することができる。
【数27】
式中、B(r)は、線形部分Cによって影響される格子点rにおけるEM強度であり、μ
0は、真空透過性の磁気定数であり、4π×10-7V・s/(A・m)であり、
【数28】
は線形部分Cに積分された線の記号であり、Iは、線形部分Cを通過する電流の大きさであり、dlは、その大きさが線形部分Cの微分要素の電流方向における長さであるベクトルであり、r’は、線形部分Cの微分要素dlから格子点rへの変位ベクトルであり、×は、2つのベクトル間のクロス積を表すベクトル記号である。線形部分Cは単純な線であり、アンテナの各ループは複数の線形部分を含むので、格子点rにおける総EM強度は、アンテナの全ての線形部分によって影響されるEM強度の合計であり得る。更に、複数のアンテナによる格子点rにおけるEM強度は、同様に計算される。換言すれば、格子点rにおける全EM強度は、1つのアンテナについて3つの異なる軸(例えば、x軸、y軸、及びz軸)での3つの計算値を含み、9つのアンテナが存在する場合には9つのアンテナについて、9組の3つの計算値を含み得る。一態様では、計算されたEM強度は、9×3行列の形態で表すことができる。
【0087】
430において、粗座標系内の各格子点における測定されたEM場と計算されたEM場との間の誤差が計算される。一態様では、測定冶具の3つのコイルセンサのパラメータを較正する、アンテナを較正する、又はEMNシステムのコンピューティングデバイスのパラメータ(例えば、波形発生器210の周波数若しくは位相)を較正することによって、誤差を小さくすることができる。
【0088】
440において、粗座標系内の格子点で計算された誤差が、微座標系内の格子点に対して補間される。線形補間、bスプライン補間、等を含む任意の補間方法を使用することができる。
【0089】
450において、補間された誤差が、微座標系内の各格子点における予想EM場強度からのEM場の理論計算に追加される。各格子点における予想EM場強度は、9つの別個のEM波形が存在する場合には、9×3行列の形態であってもよい。HDマップは、HDマップ内の各格子点における予測EM場強度の擬似逆行列を更に含んでもよい。この擬似逆行列は、以下に
図5を参照して更に詳細に説明するように、EMセンサの位置及び配向を特定する際に使用することができる。
【0090】
図5は、本開示による、患者の体内でナビゲートされる医療用デバイス上に搭載されたEMセンサの位置及び/又は配向を特定するための例示的な方法500を示すフローチャートである。方法500は、医療用デバイスが患者の体内でナビゲートされる間に使用され得る。510において、HDマップの各格子点における予想EM場強度を含むHDマップが、メモリから取得される。上述したように、予想EM場強度は、微座標系における理論計算及び粗座標系における測定に基づく。
【0091】
医療用デバイスに搭載されたEMセンサは、感知したEM場強度を、感知したEM場強度をデジタルサンプリングするEMNコンピューティングデバイスに定期的に送信する。EMNコンピューティングデバイスは、工程520で、デジタルサンプルに基づいてEM場強度を測定する。
【0092】
530において、初期位置が初期条件として設定されているかどうかが判定される。初期位置が設定されていないと判定された場合、540で、EMNコンピューティングデバイスは、粗座標系内の全ての格子点を測定されたEM場強度と比較し、単純なピックアップで、EMセンサの位置付近の粗座標系内のおおよその格子点を初期位置として見つける。
【0093】
一実施形態では、540において、以下の誤差関数が使用されてもよい。
【数29】
式中、Eは誤差値であり、αはカウンタであり、Nはアンテナの数であり、(a、b、c)は粗座標系内の格子点であり、
【数30】
は、α番目のアンテナによって影響される(a、b、c)における予想EM場強度を含む、1×3行列であるベクトルであり、「・」は、2つのベクトル間のドット積の記号であり、
【数31】
はEMセンサの配向であり、V
αは、α番目のアンテナによって影響されるピックアップを含む、1×1行列であるベクトルであり、bはゲイン重みを制御するパラメータであり、gはEMセンサのゲインである。一態様では、パラメータbは、EMセンサのゲインが既知であり、一定であるときに使用される。パラメータbの値は、誤差関数で大きくなりすぎないように選択され得る。別の態様では、EMセンサのゲインが既知でない場合、パラメータbはゼロに設定されてもよく、又はゲイン二乗値g
2は、配向ベクトル
【数32】
の二乗ノルムに等しいとされる。
【0094】
いくつかの実施例では、便宜上、パラメータbは、ゼロであるとされる。この場合、誤差関数Eは、次のようになる。
【数33】
この誤差関数は、粗座標系又は微座標系内の位置を特定するのに有用である。一態様では、誤差関数は、上記の式(2)又は(3)に限定されず、当業者が容易に理解するであろう任意の誤差関数であり得る。
但し、本開示の範囲から逸脱しないことを前提とする。例えば、誤差関数Eは以下のとおりであってもよい、
【数34】
式中、
【数35】
は、記号の内側のベクトルのL1又はL2ノルムをそれぞれ表す。
【0095】
簡潔に
図6を参照すると、1つの軸に沿った誤差関数の曲線は、初期位置の選択が、誤差の最小値を提供する位置の決定に対して、如何に影響し得るかを示すうように示されている。水平軸は、1つの軸(例えば、x、y、又はz軸)に沿った位置を表し、縦軸は、誤差関数の大きさを表す。初期位置がX
0又はX
1付近に設定される場合、最小値が得られる位置はX
0とX
1の間である。初期位置がX
5又はX
6付近に設定される場合、最小値が得られる位置はX
5とX
6の間である。一方、初期位置がX
2、X
3、又はX
4のうちの1つに設定される場合、最小値が得られる位置は、正確な最小値が得られるX
3とX
4の間である。したがって、再度
図5を参照すると、初期位置が設定されていない場合、方法500は、工程540において、粗座標系内のあらゆる格子点での誤差関数を評価して、最小値が得られる第1の格子点を見つける。
【0096】
誤差関数Eは、用語、配向ベクトル
【数36】
を含み、このベクトルは、540において、以下のように特定されてもよい。
【数37】
式中、
【数38】
は、
【数39】
の擬似逆行列であり、Vはピックアップを含む。一実施例では、アンテナ組立体内のアンテナの総数が9である場合、
【数40】
は9×3行列であり、
【数41】
は3×9行列であり、Vは9×1行列である。したがって、粗座標系内の格子点(a、b、c)
【数42】
において、
【数43】
により配向行列を表す列ベクトルである3×1行列が得られる。
【0097】
式(3)に基づいて、誤差関数を評価する。粗座標系内の全ての格子点の誤差は互いに比較され、最小誤差が得られる格子点が、第1の格子点として選択され、540において初期位置として設定される。初期位置を540で設定すると、550に進む。530において、初期位置が設定されていると判定された場合も、工程550が実行される。
【0098】
550において、初期位置の周囲の所定の数の格子点が、式(2)又は(3)と同様に誤差関数を計算するように選択される。例えば、所定の個数の格子点が3つの場合、初期位置からx軸、y軸、及びz軸の両方向に沿った3つの格子点が、7×7×7個の格子点の立方体を形成する。したがって、343個の格子点が、誤差関数の計算に選択され、選択された格子点のうち、最小誤差が得られる1つが第2の格子点、すなわちEMセンサの位置として選択される。対応する配向ベクトルがまた、工程550においてEMセンサの配向として設定される。第2の格子点は、工程560において初期位置として設定される。
【0099】
一態様によれば、工程540において、誤差が所定の閾値と比較されてもよい。誤差が所定の閾値未満である場合、その格子点は、第2の格子点又はEMセンサの位置として選択され、対応する配向ベクトルがEMセンサの配向として選択される。
【0100】
工程570において、対象に到達したかどうかが判定される。対象に到達していないと判定されると、工程520~570が対象に到達するまで繰り返される。それ以外の場合、方法500が終了する。
【0101】
次に、EMNシステム100のコンピューティングデバイス120、追跡デバイス160、
図4の方法400又は
図5の方法500を実行するコンピュータとして使用することができるコンピューティングデバイス700のブロック図である
図7を参照する。コンピューティングデバイス700は、メモリ702、プロセッサ704、ディスプレイ706、ネットワークインターフェース708、入力デバイス710、及び/又は出力モジュール712を含み得る。
【0102】
メモリ702は、プロセッサ704によって実行可能であり、コンピューティングデバイス700の動作を制御するデータ及び/又はソフトウェアを記憶する任意の非一過性のコンピュータ可読記憶媒体を含む。一実施形態では、メモリ702としては、フラッシュメモリチップなどの1つ以上のソリッドステート記憶デバイスを挙げることができる。代替的に、又は、1つ以上のソリッドステート記憶デバイスに加えて、メモリ702としては、大容量記憶コントローラ(図示せず)及び通信バス(図示せず)を介してプロセッサ704に接続された1つ以上の大容量記憶デバイスを挙げることができる。本明細書で記載するコンピュータ可読媒体の説明はソリッドステートストレージを指すが、当業者は、コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサ704がアクセスすることができる任意の利用可能な媒体とすることができることを理解するであろう。すなわち、コンピュータ可読記憶媒体としては、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール又は他のデータなどの情報の記憶のために任意の方法又は技術で実行される非一時的、揮発性及び不揮発性、取り外し可能及び取り外し不能媒体が挙げられる。例えば、コンピュータ可読記憶媒体としては、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ又は他のソリッドステートメモリ技術、CD-ROM、DVD、Blu-Ray又は他の光記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置、又は、他の磁気記憶デバイス、又は、所望の情報を記憶するために使用することができ、コンピューティングデバイス700がアクセスすることができる任意の他の媒体が挙げられる。
【0103】
メモリ702は、アプリケーション716及びデータ714を記憶し得る。アプリケーション716は、プロセッサ704によって実行されると、ディスプレイ706の画面にユーザインターフェース718を提示させ得る。
【0104】
プロセッサ704は、汎用プロセッサ、特定のグラフィックスプロセッシングタスクを遂行しつつ、他のタスクを遂行する汎用プロセッサを解放するように構成された特化されたグラフィックスプロセッシングユニット(graphics processing unit、GPU)、及び/又は任意の数のかかるプロセッサ若しくはそれらの組み合わせであり得る。
【0105】
ディスプレイ706は、ディスプレイ706が入力デバイスと出力デバイスの両方として働くことを可能にする、接触感知式及び/又は音声起動式であってもよい。代替的に、キーボード(図示せず)、マウス(図示せず)、又は他のデータ入力デバイスを用いることができる。
【0106】
ネットワークインターフェース708は、有線ネットワーク及び/又は無線ネットワークからなるローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、無線携帯電話ネットワーク、ブルートゥース(登録商標)ネットワーク、及び/又は、インターネットなどのネットワークに接続するように構成され得る。例えば、コンピューティングデバイス700は、測定データ及び変数を受信し、
図4の方法400を実行して、HDマップを生成してもよい。コンピューティングデバイス700は、そのソフトウェア、例えば、アプリケーション716への更新を、ネットワークインターフェース708を介して、受信し得る。コンピューティングデバイス700はまた、ソフトウェアの更新が入手可能であるという通知をディスプレイ706上に表示し得る。
【0107】
別の態様では、コンピューティングデバイス700は、外科焼灼の計画中に使用するために、サーバ、例えば、病院のサーバ、インターネットサーバ、又は他の類似のサーバから患者のコンピュータ断層撮影(computed tomographic、CT)による画像データを受信し得る。患者のCT画像データはまた、着脱式メモリを介してコンピューティングデバイス700に提供されてもよい。
【0108】
入力デバイス710は、例えば、マウス、キーボード、フットペダル、タッチスクリーン、及び/又は、音声インターフェースなど、ユーザがコンピューティングデバイス700と相互作用することができる任意のデバイスであり得る。
【0109】
出力モジュール712としては、例えば、パラレルポート、シリアルポート、ユニバーサルシリアルバス(USB)、又は、当業者に知られている任意の他の同様の接続ポートなど任意の接続ポート又はバスを挙げ得る。
【0110】
アプリケーション716は、メモリ702に記憶され、コンピューティングデバイス700のプロセッサ704によって実行される1つ以上のソフトウェアプログラムであり得る。HDマップの生成中、アプリケーション716内の1つ以上のソフトウェアプログラムは、メモリ702からロードされ、HDマップを生成するようにプロセッサ704によって実行されてもよい。一実施形態では、ナビゲーション段階中に、アプリケーション716内の1つ以上のプログラムがロードされ、医療用デバイスに搭載されたEMセンサの位置及び配向を特定し、CTデータ又は患者の3次元モデルなどの他の撮像データと重ねられたスクリーン上の配向に沿った位置に医療用デバイスを表示することができる。別の実施形態では、処置段階中に、アプリケーション716内の1つ以上のプログラムは、一連の工程を行う臨床医をガイドして、対象を特定し、対象サイズ決定し、処置領域サイズ決定し、更に/あるいは処後の処理段階中に利用されるよう、対象へのアクセス経路を決定することができる。いくつかの他の実施形態では、アプリケーション716内の1つ以上のプログラムは、手術室又は外科手術が行われる他の施設内のコンピューティングデバイスにロードされてもよく、位置及び配向に関する情報を使用することによって、外科処置を行う臨床医をガイドするための計画又はマップとして使用される。
【0111】
アプリケーション716は、コンピューティングデバイス700上に直接設置されてもよいし、別のコンピュータ、例えば、中央サーバ上に設置されて、ネットワークインターフェース708を介してコンピューティングデバイス700上で開かれてもよい。アプリケーション716は、ウェブベースのアプリケーションとして、又は当業者に既知の任意の他の形式で、コンピューティングデバイス700上でネイティブに動作し得る。一部の実施形態では、アプリケーション716は、本開示に記載される特徴及び機能の全てを有する単一のソフトウェアプログラムであるであろう。他の実施形態では、アプリケーション716は、これらの特徴及び機能の様々な部分を提供する2つ以上の別個のソフトウェアプログラムであり得る。例えば、アプリケーション716は、HDマップを生成するための1つのソフトウェアプログラム、位置及び配向を特定するための別のもの、並びにナビゲーション及び処置プログラムのための第3のプログラムを含んでもよい。そのような例では、アプリケーション716の一部を形成する様々なソフトウェアプログラムは、互いに通信可能、並びに/又は設定及びパラメータを含む様々なデータをインポート及びエクスポート可能であってもよい。
【0112】
アプリケーション716は、ユーザインターフェース718と通信し得、ユーザインターフェース718は、例えば、ディスプレイ706上でユーザに視覚対話型特徴を提示するための、更に例えば、ユーザ入力デバイスによる入力を受信するためのユーザインターフェースを生成する。例えば、ユーザインターフェース718は、グラフィカルユーザインターフェース(graphical user interface、GUI)を生成し、GUIをユーザが見るためのディスプレイ706に出力し得る。
【0113】
コンピューティングデバイス700がEMNシステム100として使用され得る場合、制御ワークステーション102、又は追跡デバイス160は、コンピューティングデバイス700がディスプレイ130にリンクされてもよく、したがって、コンピューティングデバイス700は、ディスプレイ706上の出力と共にディスプレイ130上の出力を制御することを可能にする。コンピューティングデバイス700は、ディスプレイ706上に表示された出力と同じ又は同様である出力を表示するようにディスプレイ130を制御し得る。例えば、ディスプレイ706上の出力をディスプレイ130上にミラーリングすることができる。代替的に、コンピューティングデバイス700は、ディスプレイ706上に表示された出力と異なる出力を表示するようにディスプレイ130を制御し得る。例えば、ディスプレイ130は、外科処置中にガイダンスの画像及び情報を表示するように制御され得るが、ディスプレイ706は、
図1に示す電気外科用発生器101の構成情報又はステータス情報などの他の出力を表示するように制御される。
【0114】
アプリケーション716は、計画段階中に使用するための1つのソフトウェアプログラム、及び処置段階中に使用するための第2のソフトウェアプログラムを含み得る。かかる事例では、アプリケーション716の部分を形成する様々なソフトウェアプログラムは、互いに通信し、及び/又はナビゲーションと処置に関連する様々な設定及びパラメータをインポート及びエクスポートし、及び/又は患者が情報を共有することを可能にし得る。例えば、計画段階中に1つのソフトウェアプログラムによって生成された治療計画及びその構成要素のうちのいずれかを記憶し、処理段階中に第2のソフトウェアプログラムによって使用されるようにエクスポートすることができる。
【0115】
例示及び説明のための添付の図面を参照して実施形態が詳細に説明されてきたが、本発明のプロセス及び装置が限定されるものと解釈すべきではないことを理解されたい。本開示の範囲から逸脱することなく上述の実施形態に対する様々な修正が行われ得ることは当業者には明白であろう。例えば、本明細書に記載される方法の様々な工程は、同時に実施されてもいし、本明細書に記載される例示的な順序とは異なる順序で実施されてもよい。