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特許7035070細胞培養装置システムおよびその使用の方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】細胞培養装置システムおよびその使用の方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20220307BHJP
   C12N 1/00 20060101ALI20220307BHJP
   C12N 5/00 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12N1/00 K
C12N1/00 A
C12N5/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019547193
(86)(22)【出願日】2017-11-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-09
(86)【国際出願番号】 GB2017053389
(87)【国際公開番号】W WO2018087558
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-05-20
(31)【優先権主張番号】1619152.0
(32)【優先日】2016-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519167379
【氏名又は名称】オリバイオテク・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ファーラン・ヴェライチ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・メイソン
【審査官】西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-195857(JP,A)
【文献】国際公開第2008/089510(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/016728(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/037468(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 3/00-3/10
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞を生育、培養、および/または改変するときの使用のための装置であって、
主要容器を備え、
前記主要容器は、下部区域と、前記下部区域と実質的に平行に配置される上部区域と、前記上部区域と前記下部区域との間に配置され、前記主要容器の内部のルーメンを定める壁要素とを有し、
前記主要容器の前記壁要素は前記上部区域および前記下部区域に対して圧縮可能であり、
前記主要容器は少なくとも1つの任意選択的に封止可能な入口を有し、
前記主要容器の前記壁要素は柔軟な材料から成る、装置であって、
前記装置は、前記主要容器の外部に、前記主要容器と直接的に流体連通している1以上の補助容器をさらに備え、
前記1以上の補助容器は前記主要容器の前記上部区域に位置付けられる、装置。
【請求項2】
前記補助容器のうちの少なくとも1つは前記主要容器に取り外し可能に連結される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記主要容器の前記下部区域か下部区域の近くに位置付けられる1つまたは複数の補助容器をさらに備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記1つまたは複数の補助容器のうちの少なくとも1つは、下部区域と、前記下部区域と実質的に平行に配置される上部区域と、前記上部区域と前記下部区域との間に配置され、前記補助容器の内部のルーメンを定める壁要素とを備え、前記補助容器の前記壁要素は前記上部区域および前記下部区域に対して圧縮可能であり、前記容器は少なくとも1つの任意選択的に封止可能な入口を有し、前記補助容器の前記壁要素は柔軟な材料から成り、前記補助容器は、前記主要容器の前記入口に取り外し可能に連結されるように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも1つの補助容器は、前記補助容器の内容物を特定の温度で維持するように構成される断熱手段を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記主要容器または前記補助容器は、前記容器の相対する側に弁を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記容器の前記2つの相対する側における前記弁は、前記容器が十分に圧縮されるとき、通路を形成することで相互作用するように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
(i) 主要容器であって、前記主要容器は、下部区域と、前記下部区域と実質的に平行に配置される上部区域と、前記上部区域と前記下部区域との間に配置され、前記主要容器の内部のルーメンを定める壁要素とを有し、
前記主要容器の前記壁要素は前記上部区域および前記下部区域に対して圧縮可能であり、
前記主要容器は少なくとも1つの任意選択的に封止可能な入口を有し、
前記主要容器の前記壁要素は柔軟な材料から成る、主要容器と、
(ii)前記主要容器との使用のための補助容器であって、前記主要容器と直接的に流体連通するように配置されるとともに前記主要容器の前記上部区域に位置付けられるように構成される補助容器と
を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置への組み込みのための部品のキット。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の装置内で細胞を生育、培養、および/または改変する多ステップの方法。
【請求項10】
興味のある細胞集団を前記主要容器へと導入するステップと、前記細胞の所望の生育、培養、および/または改変をもたらすために、1つまたは複数の試薬を1つまたは複数の補助容器から前記主要容器へと続いて添加するステップとを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記補助容器のうちの1つまたは複数において処理を実行するステップを含み、それによって、前記主要容器内の前記細胞の一部または全部が必須の前記補助容器へと移動させられ、前記処理の完了に続いて前記主要容器へと戻すように移送される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記主要容器内の細胞の光学密度を監視し、前記細胞が前記主要容器内の特定の光学密度に達すると、前記細胞を前記主要容器から生物反応器などの追加的な容器へと移送するステップと、前記細胞を前記追加的な容器内で培養するステップとを含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
細胞または細胞培養生産物を、前記主要容器または前記装置内の追加的な容器から1つまたは複数の補助容器へと回収するステップと、前記回収された細胞または細胞培養生産物を任意選択的に凍結させるステップとを含む、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞を培養、操作、または保存するための装置に関し、このような装置を使用するシステムと、その使用の方法とを含む。本発明は、このような装置を使用して生物試料を得る方法を含め、培養における細胞の増殖、遺伝子改変、および凍結保存の方法と、被験者への細胞の送達の方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
細胞の培養または処理は、典型的には、例えば細胞を培養するときに適切な培養媒体において、細胞を保持するための装置を使用する必要がある。知られている装置には、振とうフラスコ、ローラーボトル、T型フラスコ、およびバッグがある。このようなボトルまたはフラスコは、幅広く使用されているが、いくつかの欠点に悩まされている。問題のうちの主となるものは、後に通過または処理するときに汚染がないように細胞を移送するための要件および、補足物質および因子の無菌での添加である。
【0003】
既存の細胞培養装置は、継続した細胞の生育のために培養媒体および酸素の再供給を要求する。ガス透過性細胞培養装置が特許文献1(米国特許第8415144号)において記載されている。しかしながら、このような装置は、装置を出入りする媒体および/または細胞の移送も要求する。
【0004】
例えば、血液回収装置に関する特許文献2(米国特許第4867172号)、または、流体回収のためのキャニスターライナに関する特許文献3(WO2008/030597)を見ると、薬物における使用のための折り畳み式装置が知られている。しかしながら、このような装置は、細胞培養における使用のために製作または構築されていない。
【0005】
薬物における使用のための細胞の生産における重要な制限因子は、汚染なしの細胞の処理のためには完全に閉じたシステムが無いことである。例えば、細胞の培養またはその後の処理の間、培養容器への添加を行うとき、または、細胞を除去するとき、汚染の危険性がある。動作システムは主に手作業であり、そのため動作させるのに費用が掛かる。さらに、手作業の操作が増加すると、人為的ミスの危険性も増加させることになり、そのため現在の労働集約的な処理は、臨床的グレードの治療学の製造に求められる頑健性を欠いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第8415144号
【文献】米国特許第4867172号
【文献】WO2008/030597
【文献】WO2003/046141
【非特許文献】
【0007】
【文献】Chenら(2014) Lab Chip. Mar 7:14(5):924-30
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そのため、未使用の培養装置への細胞の一定の通過のための要件を回避するこのような処理を許容する細胞培養装置に対する要求があり、遠心分離管に往来する細胞の複数の移送は、細胞の容易な遺伝子改変を可能にし、続くステップ(洗浄など)および/または臨床的使用における細胞の取り扱いを簡単にする。例えば、任意の所与の培養についての細胞集団が増加するため、培養における細胞の増殖がより大きな装置への細胞の移送なしで達成され得る場合、有利である。本出願人の以前の出願(PCT/GB2016/051451)は、柔軟な材料から成る壁要素がその上部区域と下部区域とに関して圧縮可能である細胞培養容器を記載している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願人は、以前の出願の細胞培養容器の利点(つまり、未使用の培養装置、保持容器、管などへの細胞の一定の通過のための要件を回避していること)を、個別に構成可能な保存装置または培養装置を有することで与えられる利点と組み合わせているその以前の容器の改良されたものを、ここで提供する。改良された装置は、本明細書においてより詳細に説明されているように、様々な機能を細胞培養容器などの単一の容器内で実施させることができる。
【0010】
したがって、本発明は、細胞を生育、培養、および/または改変するときの使用のための装置を提供し、装置は、細胞培養容器などの主要容器を備え、主要容器は、下部区域と、下部区域と実質的に平行に配置される上部区域と、上部区域と下部区域との間に配置され、主要容器の内部のルーメンを定める壁要素とを有し、主要容器は少なくとも1つの任意選択的に封止可能な入口を有し、装置は、主要容器と流体連通している1つまたは複数の補助容器をさらに備える。
【0011】
装置は複数の補助容器を備え得る。1つもしくは複数の補助容器または複数の補助容器は、主要容器の外部にあってもよく、主要容器と流体連通していてもよい。
【0012】
主要容器の壁要素は上部区域および下部区域に対して圧縮可能であり得る。主要容器の壁要素は柔軟な材料から成り得る。それによって、主要容器は「コンチェルティーナ(concertina)」または「ベローズ(bellows)」の構成を有してもよく、例えば、1つまたは複数のZ字型折り(z-folds)を壁要素において有してもよい。代替的に、主要容器は、主要容器を再充填または空にさせる注射器の構成を有してもよい。
【0013】
本明細書で記載しているように、本発明は、完全に圧縮または空にされた容器への流体連通を遮断するための手段を備え得る。
【0014】
補助容器のうちの1つまたは複数は、例えば1つまたは複数の封止可能な入口を介して、主要容器に取り外し可能に連結され得る。したがって、補助容器のうちの1つまたは複数は、主要容器から取り外しされてから再び取り付けできるように構成され得る。したがって、これは、補助容器を試薬で充填させ、それから主要容器に取り付けまたは連結させるように構成させることができる。補助容器を主要容器に可逆的に固定する任意の手段(ネジ機構または押し込み式の係止部など)が用いられ得る。代替的に、1つまたは複数の補助容器が主要容器と単一の閉じた相互連結されたシステムを形成するように装置が製造されてもよい。そのため、1つまたは複数の補助容器を、例えば細胞培養媒体で充填することが、各々の容器における別々のポートを介して液体を導入することで行われる。この別々のポートは、補助容器の上部分に位置付けられ得る。
【0015】
装置は複数の補助容器を備え得る。それら補助容器は、独立して主要容器と流体連通となっていてもよい。2つ以上の補助容器が、直列ではなく主要容器と並列に、つまり、互いと直接的ではなく主要容器との直接的な流体連通で、連結されてもよい。追加または代替的に、少なくとも1つの補助容器は、少なくとも1つの他の補助容器と直接的な流体連通となっていてもよく、主要容器との直接的な流体連通となっていなくてもよい。補助容器は、それらの構成に応じて、様々な大きさおよび容積のものであり得る。1つまたは複数の補助容器は、生物反応器などの追加的な容器との直接的な流体連通になっていてもよい。本発明は、主要容器などの第1の容器と元々は直接的な流体連通にある補助容器が、例えば生物反応器などの追加的な容器といった第2の容器と直接的な連通とさせられ得る手段を定めている。
【0016】
第1の容器が第2の容器と「直接的な」流体連通にあることへの全体を通じての言及は、第1の容器の内容物が、中間容器を通過することなく第2の容器へと移送され得ること(逆もまた然り)を意味する。
【0017】
概して、1つまたは複数の補助容器は、主要容器の大きさおよび容積より小さい大きさおよび容積を有することになる。しかしながら、主要容器から廃棄物を受け入れるように構成される任意の補助容器が、主要容器より大きい体積を概して有することになることが、考えられている。
【0018】
補助容器のうちの1つまたは複数は主要容器の上部区域に位置付けられ得る。
【0019】
追加または代替的に、1つまたは複数の補助容器は主要容器の下部区域か下部区域の近くに位置付けられ得る。このような構成は、例えば、主要容器において実行される任意の反応の生産物を回収するように意図されている場合、使用され得る。このような構成は、例として、主要容器で行われる例えば細胞培養処理といった進行中の処理の品質評価または品質制御を実行するように意図されている場合、使用され得る。
【0020】
本発明は、本発明の装置との使用のための補助容器も提供する。
【0021】
本発明の補助容器は、主要容器と同じ大まかな構成を有することができ、つまり、下部区域と、下部区域と実質的に平行に配置される上部区域と、上部区域と下部区域との間に配置され、補助容器の内部のルーメンを定める壁要素とを備えることができ、容器は少なくとも1つの任意選択的に封止可能な入口を有する。補助容器の壁要素は上部区域および下部区域に対して圧縮可能であり得る。補助容器の壁要素は柔軟な材料から成り得る。それによって、補助容器は「コンチェルティーナ」または「ベローズ」の構成を有してもよく、例えば、1つまたは複数のZ字型折りを壁要素において有してもよい。代替的に、補助容器は、補助容器を再充填または空にさせる注射器の構成を有してもよい。本発明の補助容器の内容物を別の容器へと移送させることができることが必要であり、これは、本明細書において詳述されているように、補助容器を潰すこと、または、注射器の構成を包含することのいずれかで達成され得ることが理解されるものである。
【0022】
本発明の補助容器は、補助容器の内容物を特定の温度で維持するように構成される熱スリーブなどの断熱手段を備えてもよい。したがって、補助容器は、その内容物を、最適な細胞培養温度(37℃)、室温(22℃)、冷蔵(例えば、約4℃)、または冷凍以下(例えば、-20℃または-80℃など、約-4℃以下)において維持するように構成され得る。その意図されている構成に依存して、本発明の装置が、様々な温度を維持するように構成された1つまたは複数の補助容器を有してもよい。
【0023】
本発明の補助容器が、本発明の主要容器と流体連通して取り付けられるように構成される単一の出口を有してもよい。代替的に、本発明の補助容器が、例えば相対する側における2つの出口といった、2つ以上の出口を有してもよい。この配置は、1つまたは複数の補助容器を直列に接続させることができる。
【0024】
本発明の補助容器が本発明の装置の主要容器から取り外し可能にすることができるため、本発明は、本発明の装置への組み込みのための部品のキットを提供し、キットは、本明細書に定められているような本発明の主要容器を、本明細書に定められているような1つまたは複数の補助容器と共に備える。
【0025】
主要容器と流体連通している1つまたは複数の補助容器を備える本発明の装置のこのようなここで定められている構成が、いくつかの別々の反応を単一の容器内で実行させることは、理解されている。具体的には、本発明の装置内での多ステップの細胞培養が考えられる。また、本発明の装置が、例えば細胞を一連の抗体または小分子に曝すといった、一連の処理のために使用され得ることは、理解されるものである。装置が、例えば生体検査から、細胞の特定の下位個体群を精製するために使用されてもよい。
【0026】
したがって、本発明の装置が複数の補助容器を備える場合、補助容器は異なる要素を含むように構成されてもよい。一例では、第1の補助容器が細胞培養媒体を含むように構成される一方で、別の補助容器がウイルスベクタを含むように構成されてもよく、別の補助容器が洗浄緩衝剤を含むように構成されてもよく、なおもさらには、別の容器が磁気ビーズ、生育因子などを含むように構成されてもよい。関連技術における当業者によって容易に考えられ得るように、他の構成が可能である。
【0027】
本発明の装置は、主要容器が、遠心分離、または、例えばその中心軸において回転させられ得るように構成されてもよい。
【0028】
したがって、本発明の装置は、容器の内容物を分離するためにその内容物が回転され得る遠心分離機または他の手段などの追加の装置を備えてもよい。装置は、容器の揺動運動を維持するための揺動手段を備えてもよく、および/または、装置に配置された容器を攪拌させることができるように振動させられ得るプラットフォームを備えてもよい。装置は、主要容器を圧縮するように構成されるレバー、プランジャ、一連のレバー、一連のプランジャ、一連のベローズ、および/または、1つもしくは複数の補助容器などの手段を備え得る。任意のこのような手段は、好ましくは、本発明の容器を圧縮または潰すだけでなく、必要とされるときに容器を再び開くこともできるべきであることは、理解されるものである。例えば遠心分離に続いて、堆積/ペレット化された細胞の再懸濁が、容器の繰り返しの圧縮/拡張によってもたらされて、それによって媒体を攪拌することができる。装置は、センサ手段、光ファイバ、酸素または他のガスのためのガス供給部、加熱/冷却手段、および温度制御手段など、追加の手段を備えてもよい。したがって、装置は、主要容器と、生物反応器(本明細書で定められているようなもの)など任意の追加的な容器とを特定の温度で維持するように構成されてもよい。この温度は、概して、最適な細胞培養温度(37℃)または室温(22℃)となるが、一部の例では、細胞培養の冷蔵(例えば、約4℃)もしくは冷凍(例えば、-20℃など、約-4℃以下)のいずれかのために、または、凍結保存が要求される場合にさらには-80℃といった、より低くてもよい。装置は、オン構成とオフ構成との間で制御可能であり得る磁石を備えてもよい。このような磁石は、本明細書においてより詳細に記載されているように、金属ビーズを保持するように構成される補助容器と併せて使用され得る。
【0029】
主要容器(および、生物反応器などの任意の追加的な容器)の温度などの状態が、主要容器と流体連通している1つまたは複数の補助容器のいずれかの中の状態から独立して維持され得ることは、理解されるものである。
【0030】
本明細書で詳述されているように、本発明の容器(つまり、各々が本明細書においてより詳細に定められている、主要容器、補助容器、および/または、生物反応器などの追加的な容器)は、主要容器と同じ大まかな構成を有することができ、つまり、下部区域と、下部区域と実質的に平行に配置される上部区域と、上部区域と下部区域との間に配置され、容器の内部のルーメンを定める壁要素とを備えることができ、容器は少なくとも1つの任意選択的に封止可能な入口を有する。容器の壁要素は上部区域および下部区域に対して圧縮可能であり得る。容器の壁要素は柔軟な材料から成り得る。それによって、容器は「コンチェルティーナ」または「ベローズ」の構成を有してもよく、例えば、1つまたは複数のZ字型折りを壁要素において有してもよい。代替的に、容器は、容器を再充填または空にさせる注射器の構成を有してもよい。本発明の容器の内容物の別の容器への移送は、本明細書において詳述されているように、容器を潰すこと、または、注射器の構成を包含することのいずれかで達成され得る。
【0031】
本発明の容器は、調節可能にすることができ、いくつかの異なる構成を用いることができる。本発明の容器は、拡張もしくは部分的な拡張の状態から圧縮され得るか、または、圧縮もしくは部分的な圧縮の状態から拡張され得る。異なる構成が、受動的に、または、例えば、手作業で、もしくは、本明細書で説明されているようなレバーやプランジャなどの差動装置の制御の下で、能動的に達成されてもよい。作動装置は、要望または要求されるように本発明の容器の圧縮または拡張を引き起こすように、可逆的な様態で動作できる。
【0032】
本発明の容器は、完全に拡張されている開構成から、部分的に圧縮または潰されている半開構成または半閉構成を通じて、完全に潰れたまたは圧縮した構成まで圧縮可能であり得る。
【0033】
本発明の容器は上部区域および下部区域に対して圧縮可能にすることができ、壁要素は変形可能である。本発明の容器の圧縮は、コンチェルティーナまたはベローズの圧縮と同様にすることができ、つまり、容器の壁区域が変形可能であり、例えばZ字型折りへと折り畳まれ得る。上部区域と下部区域とは壁要素の変形によって一体に近づけられ得る。変形は、容器の柔軟な材料におけるより大きな柔軟性の線または帯域に沿って起こり得る。代替的に、本発明の容器は、本発明の容器からの流体を放出するか、または、流体を戻すように引き込むかのいずれかへと移動可能である要素を有する、注射器と同様の構成を有してもよい。
【0034】
そのため、本発明の容器の圧縮は、上部区域および下部区域の平面に対して正接の軸に沿っているとして表現されてもよい。したがって、上部区域と下部区域とが実質的に水平の位置において配置される場合(容器は直立の構成にあるとして表現され得る)、容器の圧縮は鉛直方向の意味において起こる。同様に、上部区域と下部区域とが実質的に鉛直の位置において配置される場合(容器は横または横向きの構成にあるとして表現され得る)、容器の圧縮は水平方向の意味において起こる。
【0035】
完全な拡張構成または開構成では、本発明の容器は、細胞の培養のために、最大の利用可能な容積を有し得る。十分に潰れたまたは圧縮した構成では、本発明の容器は、容器の保管または輸送により適した、または、細胞を洗浄もしくはペレット化することによって細胞を処理するときにおけるステップの一部としてより適した、最小の利用可能な容積を有してもよい。本発明の容器は、上部区域と下部区域とを一体により近づける作動装置を用いて圧縮され得る。同様に、本発明の容器は、上部区域と下部区域とをより遠くに離すように移動させる作動装置を用いて拡張され得る。圧縮と拡張との両方を達成する同じ作動装置であってもよい。そのため、本発明の装置は、本発明の容器の上部区域と下部区域との相対移動をもたらすための1つまたは複数の作動装置を備え得る。
【0036】
本発明の容器が閉構成または半閉構成から拡張される場合、拡張は、例えば容器の手作業の拡張を用いて、または、上部区域と下部区域とを遠くに離すように移動させることで容器を拡張させる差動装置内に容器が保持される機械的拡張を用いて、適切に制御され得る。本発明の容器は、容器が適切な材料から製作される一部の実施形態では自己拡張できてもよい。本発明の容器は、液体またはガスなどの流体を導入することによって拡張されてもよい。同様に、本発明の容器は、液体またはガスなどの流体を除去することによって圧縮されてもよい。
【0037】
1つまたは複数の補助容器が主要容器と流体連通している本発明の装置の構成が、単一の容器において多ステップの細胞培養を可能にすることは、さらに理解されるものである。したがって、反応が開始されると、それに続いて、主要容器における興味ある細胞を保持するために、混合物が遠心分離または回転させられ、反応媒体が、主要容器の圧縮において、適切に構成された補助容器へと廃棄物として排出され得る。続いて、興味のある細胞は、さらなる補助容器から主要容器へと導入され得るさらなる反応媒体において再懸濁され得る。遠心分離/回転と再懸濁との連続は、興味のある細胞培養または細胞培養生産物を得るために、要求される回数で繰り返されてもよい。ベクタ、標識、または選択媒体の導入など、さらなる補助容器からの他のステップは、主要容器と流体連通している適切に構成された補助容器の存在を含め、このようなステップで要求されるように実行され得る。適切な時点において、媒体は、未使用の媒体の再導入を許容するために、指定された廃棄物補助容器へと排出され得る。
【0038】
固体-液体の分離が遠心分離以外の手段によって達成でき、したがって、重力沈降、定在波、または濾過手段の方法も包含されていることは、理解されるものである。粒子を懸濁液において保持する音響波手段は、例えば非特許文献1(Chenら(2014) Lab Chip. Mar 7:14(5):924-30)において述べられているように、よく知られている。
【0039】
したがって、本発明は、本発明の装置内の細胞を生育、培養、および/または改変する多ステップ方法を提供する。方法は、本発明の主要容器と流体連通している1つまたは複数の補助容器を様々な試薬で充填することを含んでもよい。代替的に、1つまたは複数のあらかじめ充填された補助容器が提供されてもよい。方法は、1つまたは複数のあらかじめ充填された補助容器を、主要容器と流体連結させるように主要容器に連結することを含んでもよい。試薬は、細胞を生育、培養、および/または改変する方法において使用される任意の試薬を含み得る。したがって、1つまたは複数の補助容器は、緩衝剤、培養媒体、pH安定剤、プラスミド、ウイルスベクタ、他のベクタ、生育因子、洗浄媒体、標識抗体、磁気ビーズを含む他の標識部分を含み得る。
【0040】
方法は、興味のある細胞を主要容器へと導入することと、細胞の所望の生育、培養、および/または改変をもたらすために、試薬のうちの1つまたは複数を1つまたは複数の補助容器から主要容器へと続いて添加することとを含む。方法は、補助容器のうちの1つまたは複数においてある処理を実行する1つまたは複数のステップを含み、それによって、主要容器内の細胞の一部または全部が必須の補助容器へと移動させられる。そのステップの完了に続いて、細胞は主要容器へと戻すように移送され得る。方法は、細胞または細胞培養生産物を1つまたは複数の補助容器へと回収するステップを含んでもよく、回収された細胞または細胞培養生産物を凍結させるステップを含んでもよい。方法は、例えば品質制御または他の監視の目的のために、回収された細胞または細胞培養生産物をサンプリングするステップを含んでもよい。方法は、使用済みの媒体を主要容器から適切に構成された廃棄物補助容器へと移送するステップを含んでもよい。方法は、細胞を媒体から分離するステップを含んでもよく、このステップは遠心分離または回転のステップであり得る。細胞は、主要容器の下部板へと分離されてもよく、または、細胞が主要容器の壁に付着するように分離され得る。方法は、細胞を洗浄するステップを含んでもよい。洗浄するステップは、細胞の続いての遠心分離または分離を行ってもよい。分離は、濾過、回転、重力沈降、または他の知られている手段を用いてであり得る。代替的に、方法は、例えば定在波または音響波の手段を介して、洗浄の代わりに細胞を保持するステップを含み得る。方法は、ベクタを主要容器へと導入するステップを含んでもよい。方法は、標識を主要容器へと導入するステップを含んでもよい。方法は、選択媒体を主要容器へと導入するステップを含んでもよい。方法は、細胞を未使用の媒体において再懸濁するステップを含んでもよい。方法は、細胞のエレクトロポレーション、または、脂質もしくは化学薬品に基づく試薬でのトランスフェクションを含んでもよい。方法は、抗生物質、栄養要求体除去、または、選択のための任意の他の手段でのトランスフェクタントプールの処理を含んでもよい。方法は、ウイルス状粒子への細胞の曝露を含んでもよい。方法は、大きさに基づいて細胞を隔離するために密度遠心分離を含んでもよい。方法は、親和性精製のステップを含んでもよい。方法は、生物反応器動作のフェドバッチモード、かん流モード、またはケモスタットモードを含んでもよい。方法は、細胞の集合を含んでもよい。方法は、材料から、または、互いからの細胞の解離を含んでもよい。
【0041】
方法は、細胞を主要容器から生物反応器などの追加的な容器へと移送するステップを含んでもよい。移送することは、細胞が主要容器内である密度(光学密度など)に到達すると起こってもよい。方法は、細胞を追加的な容器内で培養するステップを含んでもよい。方法は、例えば細胞が第1の追加的な容器内である密度(光学密度など)に到達すると、細胞を第1の追加的な容器から第2の追加的な容器へと移送するステップを含んでもよい。方法は、例えば本明細書においてより詳細に定められているような係止弁機構を用いて、1つまたは複数の補助容器が追加的な容器と流体連通するように、主要容器と流体連通している1つまたは複数の補助容器を連結するステップを含んでもよい。方法は、1つまたは複数の補助容器を追加的な容器へと直接的に連結するステップを含んでもよい。
【0042】
方法は、1つまたは複数の補助容器、主要容器、および/または1つもしくは複数の追加的な容器のいずれかの中の温度を調整するステップを含んでもよい。可能な温度または温度範囲は、本明細書において定められているような値である。方法は、補助容器のうちの1つまたは複数の中の状態から独立して、主要容器または追加的な容器の中の状態(pHまたは温度など)を維持することを含んでもよい。
【0043】
前述のステップのいずれかが、所望の結果をもたらすために、要求に応じて2回以上実行されてもよい。
【0044】
方法は、部分的または完全な潰れであり得る補助容器の圧縮/潰れを介して補助容器の内容物の移送をもたらしてもよい。移送は、補助容器における注射器の機構を介してもたらされてもよい。方法は、部分的または完全な潰れであり得る補助容器の圧縮/潰れを介して主要容器の内容物の移送をもたらしてもよい。移送は、主要容器における注射器の機構を介してもたらされてもよい。
【0045】
したがって、方法は、主要容器および/または1つもしくは複数の補助容器の中の細胞の初期改変を実施し、続いて主要容器を生物反応器などの追加的な容器へと完全に潰すステップを含んでもよい。このステップの前に、追加的な容器が完全に潰れた状態になっていてもよい。
【0046】
主要容器が、2つの方向において、つまり、その下部区域に向けて、または、その上部区域に向けて、圧縮可能であり得ることは、さらに理解されるものである。したがって、興味のある細胞が主要容器の下部区域においてペレット化されるかまたは載るように主要容器が遠心分離される場合、主要容器の上部区域と流体連通して位置付けられる廃棄物を保持するように構成される保持容器を有することと、廃棄物流体が主要容器の下部区域における遠心分離されたペレットの最小の攪乱で排出されるように主要容器をその上部区域に向けて圧縮することとは、望ましい可能性がある。反対に、遠心分離された生産物を回収することが望まれる場合、主要容器の下部区域または下部区域の近くにおいて流体連通して位置付けられるその生産物を受け入れるように構成される補助容器を有することと、主要容器をその下部区域に向けて圧縮し、それによって遠心分離された生産物をそれぞれの補助容器へと放出することとは、望ましい可能性がある。同じ構成が生物反応器などの任意の追加的な容器のために存在してもよいことは、理解されるものである。
【0047】
1つまたは複数の容器は直列に連結されてもよい。例えば、本発明の装置は、さらなる補助容器と流体連通している補助容器を備えてもよく、さらなる補助容器は、装置の主要容器と直接的な流体連通にない。追加または代替的に、本発明の装置は、主要容器と直接的な流体連通にあるが、1つまたは複数の補助容器とは必ずしも直接的な流体連通にない、生物反応器などの1つまたは複数の追加的な容器をさらに備えてもよい。したがって、細胞反応が主要容器内で完了されると、細胞媒体は、さらなる培養のために、生物反応器などの追加的な容器へと排出されてもよい。生物反応器などの追加的な容器への排出は、例えば主要容器内の光学密度(OD)がある所定のレベルに達するときといった、ある細胞密度に達することに依存してもよい。本発明の装置は、ある細胞密度に達すると各々の続く生物反応器へと細胞培養が排出される、連続的により大きくなる内部容積の一連のこのような生物反応器を備えてもよい。
【0048】
このような追加的な容器は、例えば圧縮可能であり、それによって、使用していないときに圧縮されることで空間を節約するように、本明細書に定められている主要容器と同じ手法で構成されてもよい。
【0049】
主要容器、1つまたは複数の補助容器、および1つまたは複数の追加的な容器は、出口を通じての流体連通を制御させることができる弁などの手段を有してもよい。弁または他の手段は、例えば、補助容器が圧縮されるときに補助容器の内容物を主要容器へと排出させることができるが逆の場合には排出させない、一方向性であり得る。代替的に、弁または他の手段は、例えば、主要容器が圧縮されるときに主要容器の内容物を補助容器へと排出させることができる、他方の方向において一方向性であってもよい。したがって、補助容器のうちの1つまたは複数は反応からの廃棄物を保持するように構成されてもよく、反応のいくつかの段階を、各々の段階からの廃棄物が適切に構成された補助容器へと移送される状態で、主要容器内で実施させることができる。代替的に、弁は二方向性であってもよい。その意図されている構成に応じて、本発明の装置は、補助容器を、二方向弁、一方向弁、または他の流体制御手段の組み合わせと共に有してもよい。
【0050】
主要容器、1つまたは複数補助容器、および1つまたは複数の追加的な容器が、出口と、弁などの流体制御手段とを、主要容器、1つまたは複数補助容器、および1つまたは複数の追加的な容器の相対する側に有してもよく、例として、本発明の容器は、その上部区域と下部区域との両方において、弁などの手段を有してもよい。これは、主要容器、補助容器、追加的な容器、またはそれらの組み合わせうちの1つまたは複数を直列に連結させることができる。容器の2つの相対する側における弁または他の手段は、本発明の容器が十分に圧縮されるとき、通路を形成することで相互作用するように構成されてもよい。それによって、通路は、続く容器への本発明の容器の内容物の移送を助けることができる。2つの相対する側における弁または他の手段は、相互係止するように構成されてもよい。したがって、本発明の容器を一回だけ使用するように意図されている場合、通路の係止は、その容器への流体連通を遮断することで、使用されている容器におけるデッドスペースを最小限にする。これは、続く容器へと洗浄された場合に続く容器を潜在的に汚染する可能性のある残留物が使用された容器内にある場合、重要であり得る。
【0051】
例えば、本発明の主要容器が生物反応器などの追加的な容器へと空にされると、試薬を補助容器から追加的な容器へと導入することが望ましい可能性がある。主要容器の完全な圧縮は、主要容器と流体連通している補助容器における任意の弁または他の手段を、追加的な容器における同様の弁または他の手段と相互係止させることができ、それによって、試薬が圧縮された主要容器内のデッドスペースに入るのを回避する。このような手法では、補助容器が追加的な容器と直接的な流体連通へと配置されてもよい。追加または代替的に、1つまたは複数の補助容器が生物反応器などの追加的な容器へと直接的に連結され得ることが、考えられている。
【0052】
本発明の容器(本明細書に定められているような、主要容器、補助容器、または、生物反応器などの追加的な容器が意味される)の壁要素は、下部区域と平行に配置される壁における複数の側方剛体区域を備えてもよく、その場合、側方剛体区域の各々の対は変形可能領域と交互に配置される。本発明の容器の壁要素は、螺旋コイル領域のいずれかの側に設けられる変形可能領域を有する剛体の螺旋コイル領域を備えてもよい。
【0053】
本発明の容器の上部区域、下部区域、および壁要素は、外部調節可能フレーム内に保持され得るバッグ、または、バッグの材料内に内部調節可能フレームを備えるバッグを形成してもよい。したがって、本発明の容器(例えば、主要容器、または、生物反応器などの追加的な容器)と流体連通している補助容器のうちの1つまたは複数は、外部調節可能フレーム内に保持され得るバッグ、または、バッグの材料内に内部調節可能フレームを備えるバッグを形成してもよい。このようなバッグは、例えば点滴バッグとして作用するように構成され得る。そのため、主要容器または追加的な容器において実行される任意の反応の生産物がバッグへと直接的に回収され、次に取り出されて点滴へと移送され得ることは、理解されるものである。代替的に、任意の反応の生産物は、容器のルーメンのうちの1つから患者へと直接的に送達されてもよく、その場合、容器は、本明細書において述べられているようにさらに細かく分けられる。
【0054】
出願人の以前の出願(PCT/GB2016/051451)に述べられているように、主要容器などの容器は、1つだけの室を備える単一の内部ルーメンを備えてもよく、または、内部ルーメン内に連続して配置された複数の内部室を形成するように1つまたは複数の閉止手段によって分割されてもよい。この方法では、主要容器は、主要容器が使用中であるとき、異なる処理が連続および/または並列のいずれかで行われ得るいくつかの異なる帯域または領域を収容できる。単一の閉じた容器システム内の複数の室は、複数の細胞の種類の同時の処理をそれら自体の室において各々可能にし、必要とされる場合および必要とされるときに混合が行われるだけである。主要容器は、本明細書に記載されているような容器における領域の選択的な開閉によって、このような異なる室を提供するように調節され得る。主要容器が複数の側方剛体区域を備える場合、個々の区域の移動は独立して制御でき、そのため区域の1つまたは複数の対を、他が閉じたままである間に開けることができる。側方剛体区域の各々の対は、主要容器において個々の区分を定めることができる。そのため、主要容器は、1つまたは複数の区分から作られるいくつかの領域を備えてもよい。いくつかの区分を選択的に定める異なる区分または領域を開けるかまたは閉じる能力は、本発明のこの態様の利点である。上部区域、下部区域、および/または壁要素は入口ポートおよび/または出口ポートを有してもよい。この手法では、主要容器は、異なる区分または領域を選択的に開閉することで装置を通じて細胞を移動させることによって、細胞を処理するために使用され得る。異なる区分または領域を選択的に開けるかまたは閉じる行為は、取り掛かられている処理に応じて望まれるように、容積および利用可能な表面積を増加または低下させることができる。区分または領域を開ける行為は、培養中の細胞を容器のルーメン内においてある室から別の室へと移動させることができる、または、培養中の細胞が混合され得る(例えば、遠心分離の後)。細胞は、区分の様相、つまり、開または閉に応じて、任意の方向に移動させることができる。同様に、区分または領域を閉じる行為は、細胞の移動および/または混合を引き起こすことができる。主要容器の完全な圧縮は、培養における細胞を容器から放出させることができる。細胞または液体の供給源に取り付けられるかまたは隣接するときに主要容器を閉じた構成から開けることで、液体または細胞を容器のルーメンへと引き上げさせることができ、この場合、容器はカニューレを介してこのような材料または液体を受け入れるように適切に改変される。
【0055】
この先に記載した構成が、主要容器、補助容器、または、生物反応器などの追加的な容器であろうと、本発明の容器に加えられ得ることは、理解されるものである。
【0056】
出願人の以前の出願(PCT/GB2016/051451)は、複数のルーメンが、主要容器などの容器の壁の周りの適切な軌跡にわたって熱封止し、したがって封止部を形成するために容器の壁を焼き鈍しする行為によって形成され得ることも記載している。このような封止は、保存(つまり、凍結保存)、輸送、廃棄物除去(使用済みの媒体)、および/または細胞選択のために、細胞または媒体を含む主要容器の一部の選択的な除去を可能にすることができる。
【0057】
この先に記載した構成が、主要容器、補助容器、または、生物反応器などの追加的な容器であろうと、本発明の容器に加えられ得ることは、理解されるものである。しかしながら、本発明は、主要容器などの容器の圧縮と、1つまたは複数の適切に構成された補助容器への興味ある分画の続いての排出とによってもたらされ得る選択的な除去を提供する。その後、1つまたは複数の適切に構成された補助容器は取り外されてもよい。任意選択的に、1つまたは複数のさらなる補助容器が、さらなる生産物を回収するために続いて取り付けられてもよい。
【0058】
出願人の以前の出願(PCT/GB2016/051451)は、主要容器などの容器が、下部区域および上部区域の配向に対して垂直な主要容器の軸に沿って主要容器のルーメン内に配置される複数の室を備えてもよいことも記載している。複数の室は異なる幅を有してもよく、つまり、室は均一または不均一な大きさとされてもよい。室は各々が独立して流体連通してもよく、または代替的に、室は各々が再封止可能な流体連通であってもよい。したがって、1つまたは複数の室は、1つまたは複数の他の室から選択的に隔離されてもよい。単一の装置内に異なる容積の室を有することで、特定の細胞または試薬密度のいずれかを必要とするある範囲の実行される動作を可能にする。例えば、トランスフェクションおよびエレクトロポレーションは両方とも、小さい容積における高い密度の細胞を要求し、接種は、大きい容積における小さい密度の細胞を要求する。同様に、効率的に作用させるために特定の濃度となる必要がある高価な試薬について、より大きい細胞密度を伴うより小さい容積の室は、より費用効率が高い。このような実施形態では、細胞の集団が、主要容器の上部区域を通じて導入され、第1の室における処理に曝すことができ、続いて第1の室を選択的に閉じ、閉じた第1の室と境界を共にする隣接の第2の室を選択的に開け、それによって細胞を後の処理のために第2の室へと移動させる。例えば、第1の室は細胞をトランスフェクトするために使用されてもよく、その場合、第1の室は比較的小さい利用可能な容積を有し、第2の室は、トランスフェクト細胞の培養および増殖のためにより大きい利用可能な容積を有してもよく、それによって、要求される場合に追加の培養媒体が供給できる。そのため、より多くの室が、採用される処理方法に応じて必要により形成でき、容器の全体の寸法はそれに応じて選択され得る。
【0059】
この構成が、主要容器、補助容器、または、生物反応器などの追加的な容器であろうと、本発明の容器に加えられ得ることは、理解されるものである。代替的に、図を参照して本明細書においてより詳細に述べられているように、1つまたは複数の補助容器が、蛇管を用いて、主要容器、または、生物反応器などの追加的な容器と流体連通していてもよい。管は、容器と同じ方向において圧縮可能にすることができ、容器の中へと延び、そのためその容器の圧縮または潰れと干渉しない。管は、補助容器と流体連通し得る端から遠位の端においてポートを有してもよく、したがって、補助容器の内容物を、主要容器内または追加的な容器内の正確な場所へと排出させることができる。追加または代替的に、構成は、主要容器または追加的な容器の内容物を、主要容器内または追加的な容器内の正確な場所から補助容器へと排出させることができる。管におけるポートの配置が、内容物の移送が行われることになる主要容器内または追加的な容器内の場所を決定することになることは、理解されるものである。
【0060】
本発明の容器は、全体を通じて同じ柔軟な材料から成り得る。しかしながら、上部区域および/または下部区域は、壁要素の材料と異なる材料から成ってもよい。上部区域および下部区域で使用される材料は、使用中に圧縮または拡張される必要がないため、壁要素の材料より柔軟でない可能性がある。材料は、これらの区域がより大きな構造的な剛性を有するように、硬い材料であり得る。上部区域は下部区域の材料と異なる材料から成ってもよい。例えば、本発明の容器の下部区域は、後で定められているようなガス透過性膜であり得る。これは、主要容器、および、生物反応器などの任意の追加的な容器について、特に考えられる。代替的に、本発明の容器のすべての部品が同じ柔軟な材料から成ってもよい。
【0061】
本発明の容器の上部区域および/または下部区域は、少なくとも一部でステンレス鋼などの金属から成ることができ、金属は、容器内のエレクトロポレーション効果を作り出すために要求される。代替的に、ポリエチレン(高密度または低密度ポリエチレンHDPEまたはLDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、耐衝撃性ポリスチレンを含むポリスチレン(PS)、ポリアミド(PA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン(PC/ABS)など、細胞の培養、処理、および保存(例えば凍結保存)での使用のための任意の概して適切なプラスチック材料が使用されてもよい。
【0062】
柔軟な材料はガス透過性材料にすることができ、本発明の容器(主要容器、または、生物反応器などの追加的な容器)の下部区域がこのような材料から作られ得ることが考えられている。柔軟な材料はプラスチック材料であり得る。柔軟な材料は、ポリエチレン(任意選択的に低密度ポリエチレン(LDPE))、シス-1,4-ポリブタジエン、ポリ(エチルメタクリレート)などのメタクリレート、ポリ(エチレンテレフタレート)などのフタレート、ポリ(塩化ビニリデン)、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースアセテート、シリコーン、フルオロエチレンポリプロピレン、ポリオレフィン、またはエチレンビニルアセテートコポリマであり得る。
【0063】
本発明の容器は、細胞療法、遺伝子治療ベクタ生産、および/またはエキソソーム生産における容器の使用を含め、細胞培養および細胞の処理に適している可能性がある。本発明の容器は使用の前に適切に殺菌され得る(例えば、ガンマ線放射または他の手段)。任意選択的に、装置の内面は、培養中の細胞に作用し得る、および/または、分化を誘発し得る生物学的に活性の物質で被覆され得る、または、そのような物質を含み得る。
【0064】
本発明の容器は、例えばその下部区域において、本明細書に定められているような出口を備えてもよく、各々の出口と任意の入口とは、接続器への接続のために適合され得るか、本発明の1つまたは複数追加的な容器への接続のために適合され得るか、または、調節可能もしくは取り外し可能な閉止手段もしくは取り外し可能な微小孔性のフィルタが取り付けられ得る。本発明の容器の下部区域は回収領域を備え得る。本発明の容器の下部区域は、実質的に平面状(水平)にすることができ、または、断面が斜めになるように構成でき、例えば、装置における沈降を通じて細胞を回収するために回収領域を有してもよい。
【0065】
本発明の容器が、本明細書において定められているような複数の側方剛体区域を有する場合、2~3箇所、2~4箇所、2~5箇所、2~6箇所、2~7箇所、2~8箇所、2~9箇所、2~10箇所、またはそれ以上の区域のものであり得る。側方剛体区域の数は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはより大きな数であり得る。一部の実施形態では、側方剛体区域の数は、10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、またはより大きな数であり得る。このような実施形態における側方剛体区域の最小数は、変形可能領域が間に介在する状態で、上部区域が側方剛体区域を備え、下部区域が側方剛体区域を備える2個である。側方剛体区域は、ワイヤフレームなど、容器の壁における変形可能領域と比較して強化された材料の区域から成り得る。
【0066】
本発明の容器は、円形、正方形、長方形、楕円形、または三角形の断面のものであり得る。代替的に、本発明の容器は、例えば変化する(増大および/または縮小する)直径を伴う一連の円形の断面など、様々な断面のいくつかの異なる区域または領域を含み得る。
【0067】
本発明の容器は、容器のルーメン内の個々の区分または区域/室の間に部分的な閉塞を許容する一方で、区分または区域/室の間に液体の流れをなおも許容する。例えば、容器のルーメンは連結された複数の室を備えてもよく、各々の室は、側方剛体区域の対から形成された一連の区分から成り得る。複数の連結された室には、各々の複数の連結された室のいずれかの端において解除可能な閉止手段がさらに設けられ得る。閉止手段は締め具であり得る。他の実施形態では、室は、個々の室(区域)が容器から取り外しできるように、所望の場所において壁要素の溶接をもたらすために、熱融着機または同様のものを使用して永久的に封止され得る。
【0068】
本発明の容器は、側方剛体区域の対から形成される複数の区分へとルーメンを分割するために、変形可能領域においてルーメン内に位置付けられる膜またはフィルタが設けられ得る。膜またはフィルタは、1つまたは複数の孔によって穿孔され得る。膜またはフィルタは、ルーメンの利用可能な表面の断面積の35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%もしくは100%まで、ルーメンを半分割できる。膜は、壁要素と非接触にすることができ(つまり、膜はルーメンを全体で分割しない)、したがって内部ルーメン内に配置される一連の邪魔板を形成できる。例えば、邪魔板要素は、交互の側方剛体区域において、または、各々の側方剛体区域において配置され得る。膜またはフィルタの材料は、壁要素を形成する材料と同じまたは異なる可能性がある。膜は、例えばニトロセルロース膜といった、セルロースであり得る。フィルタは微小孔性フィルタであり得る。膜またはフィルタは取り外し可能であり得る。
【0069】
本発明の容器は、室のルーメン内に同心で配置された複数の内部壁要素を有してもよい。この実施形態では、容器には、減少する断面積を伴う一連の同心の内部表面が設けられてもよいが、これは内部ルーメンを完全に分割するものではない。このような実施形態では、容器は、減少する断面積で同心に配置される一連の入れ子の壁要素を備える。しかしながら、液体の流れは、培養中の細胞をすべての利用可能な表面に付着させるために、容器の内部ルーメンの周りで内部ルーメンを通じて可能である。配置は、必ずしも円形である必要がなく、他の規則正しい幾何学的形状が可能である。唯一の要件は、各々のより小さい入れ子の表面がその前のより大きい入れ子の表面内において容器の壁要素まで嵌まることである。
【0070】
各々の側方剛体区域は、変形可能領域と同じまたは異なる断面積のものであり得る。この手法では、容器は、増加または低下する容積および表面積を伴う一連の連結された室から成り得る。
【0071】
本発明の容器の下部区域は、実質的に平面状で水平の下部領域を有する形で円錐台状であり得る。下部区域は、本明細書に記載されているような被験者への細胞の投与の方法においてなど、容器からの細胞の解放のために送達機構と係合するように構成されてもよい。そのため、出口が、このような解放または投与を可能とするために下部区域において提供されてもよい。出口が存在する場合、例えばルアーロック式接続器(「"Luer-Lok(商標)」を用いて、カニューレを受け入れるように適合されてもよい。出口は、調節可能および/または取り外し可能な閉止手段で封止可能であり得る。
【0072】
本発明の容器の上部区域は形が円錐台状であり得る。上部区域における入口が、例えばルアーロック式接続器を用いて、カニューレを受け入れるように適合されてもよい。上部における入口は、調節可能および/または取り外し可能な閉止手段で封止可能とされ得るか、または、取り外し可能な微小孔性のフィルタが設けられ得る。上部区域は、実質的に平面状(水平)にすることができ、または、断面が斜めになるように構成できる。
【0073】
任意の入口および出口が、要求されるように反対の手法で独立して機能してもよい。カニューレへの言及は、被験者への細胞または流体の送達において使用される、または、被験者から生物学的な物質または液体の試料を得るときに使用される任意の種類の針を含む。存在する場合、カニューレは容器の内部ルーメンと流体連通していてもよい。
【0074】
本発明のこの態様は、培養中の細胞および細胞培養媒体における細胞を備える本発明の容器まで及ぶ。細胞を備える容器は冷凍されてもよい。
【0075】
本発明のこの態様では、細胞は、本発明の主要容器において、および/または、生物反応器などの1つまたは複数の追加的な容器において、培養されてもよい。細胞は、懸濁培養中であり得るか、または、基質に付着させられ得る。基質は、容器のルーメンにおける1つまたは複数の内面に取り外し可能に固定され得るか、または、微小粒子に取り外し可能に固定され得る。細胞は、混合または遠心分離に曝され、続いて、本明細書において詳細に記載されているように、未使用の媒体を送達し、廃棄物媒体を保持するために、本明細書において定められているように、補助容器を使用して未使用の媒体において再懸濁し得る。潰れることができる容器(または、容器の一部分)の柔軟な材料は、例えば酸素といったガスを細胞へと供給するためにガス移送を可能にすることができるガス透過性であり得る。
【0076】
任意の所与の培養の規模を増加させるために、主要容器は、主要容器が全体にまたは一部潰れている閉構成または半閉構成から、主要容器が拡張されている開構成または半開構成まで拡張させられ得る。代替的に、本発明の装置は、連続的に増加する容積のもので各々あり得る生物反応器などの1つまたは複数の潰れることのできる追加的な容器をさらに備えてもよい。細胞培養は、光学密度など、ある密度に到達すると、ある容器から次の容器へと移送され得る。
【0077】
以上のように、本発明の装置は、様々な配向および構成を有することができる。本発明の装置は、本明細書に記載されているような細胞の多ステップ処理に適すると共に、細胞培養の規模を増大させるために適する。装置は、単一の(主要な)容器または主要容器と、異なる処理ステップが適切に連続して実行され得る1つまたは複数の追加的な容器とを備え得る。本発明が、主要容器と流体連通している1つまたは複数の補助容器を提供することは、理解されるものである。1つまたは複数の補助容器は、主要容器内の特定の室へと、および/または、追加的な容器内の特定の室へと、試薬を送達させることができる。1つまたは複数の補助容器は、主要容器内の特定の室から、および/または、追加的な容器内の特定の室から、生産物/廃棄物などを回収させることができる。1つまたは複数の補助容器が主要容器から取り外し可能であり得るため、これは、主要容器から生産物を回収するのに、または、連続的な細胞培養処理を行わせつつ主要容器内の状態を維持するのに容易な方法を提供することは、理解されるものである。
【0078】
1つまたは複数の補助容器が、例えば温度、pHなどのために、独立して調整され得るため、これが、要求される正確な状態の下でそれらの内容物の送達または回収を許容することは、同様に理解されるものである。したがって、1つまたは複数の補助容器は、主要容器内の状態を汚染することなく、または、それら状態に悪影響を与えることなく、主要容器および生物反応器などの任意の追加的な容器の中の状態と大きく異なる状態のために構成できる。
【0079】
本発明は、本発明の主要容器において、および/または、本明細書において定められているような生物反応器などの追加的な容器内において、細胞を培養するための方法をさらに提供する。
【0080】
方法は、本発明の主要容器と流体連通している1つまたは複数の補助容器から送達される試薬(緩衝剤、洗浄媒体、追加媒体、選択媒体、プラスミド、標識、抗体など)と、本発明の主要容器と流体連通している1つまたは複数の補助容器へと回収される任意の廃棄物または培養生産物(細胞、タンパク質、酵素、抗体など)とで、細胞を洗浄、分離、および/または凍結保存する1つまたは複数のステップをさらに含み得る。ステップは、任意の適切な順番で行われ、望まれるように繰り返され得る。一部のステップが、主要容器と流体連通している1つまたは複数の補助容器内で行われ得る。例えば、一部のステップ(細胞のトランスフェクション)をより小さい液体の容積において実行することが望まれてもよい。したがって、方法は、媒体を主要容器からトランスフェクションのための1つまたは複数の補助容器へと移送するステップと、続いて、トランスフェクト細胞を主要容器における細胞培養媒体へと戻すように移送するステップとを含んでもよい。これらのステップが、本発明の1つまたは複数の補助容器が、主要容器について記載されたことと同様の手法で、生物反応器などの1つまたは複数の追加的な容器へと流体を送達する、または、追加的な容器から流体を回収する状態で、追加的な容器において実行されてもよいことは、理解されるものである。
【0081】
方法は、細胞のペレットを形成するために本発明の容器を遠心分離することを追加で含んでもよく、そのため上澄み液が、例えば、任意選択的に上向きの方向で容器を潰し(開いたコンチェルティーナを閉じる手法で容器を潰し)、上澄みを1つまたは複数の補助容器へと排出し、続いて、追加の培養媒体または他の適切な媒体(洗浄緩衝剤など)が1つまたは複数のさらなる補助容器から送達されている状態で、閉じたコンチェルティーナを開ける手法で容器を再び開けることで適切に細胞ペレットを再懸濁することで、本明細書に記載されているように移され得る。潰れることができる容器においての細胞の培養は、輸送もしくは保存のための冷凍(例えば、凍結保存)に、または、任意の活性ステップもしくは処理、および、被験者への続いての投与を含め、さらなる培養に曝される可能性がある。被験者への投与は、本明細書に記載されているようなバッグからにすることができ、そのバッグは、例えば滴下装置の一部として、静脈内投与のために構成され得る。
【0082】
細胞の培養は、異種核酸(遺伝物質)を、任意選択的にベクタに含まれる核酸配列の形態であり得る細胞へと導入するために、細胞のトランスフェクションのステップを含んでもよく、ベクタは、興味のあるタンパク質またはRNA配列を、促進因子などの遺伝子発現に関する付随の調節要素および制御要素で符号化することができる。核酸配列はDNAまたはRNAであり得る。細胞をトランスフェクトするステップは、少量の液体において適切に起こる可能性があり、したがって方法は、主要容器、または、本明細書に記載しているような生物反応器などの追加的な容器と流体連通している補助容器においてトランスフェクションを実行するステップを含んでもよい。
【0083】
本発明の容器が、本明細書に記載されているように、容器のルーメン内にいくつかの別個の分かれた室を備える場合、トランスフェクションのステップは、細胞のトランスフェクションを容易にするために液体の低減した体積を保持するように構成され得る室の指定領域において起こってもよい。
【0084】
異なる処理ステップは、主要容器と流体連通している、または、生物反応器などの追加的な容器と流体連通している異なる補助容器において、起こるように構成され得る。
【0085】
本発明の装置は、任意の原核細胞または真核細胞を、適切には、例えば哺乳類の細胞といった動物の細胞を培養するために使用され得る。細胞はヒトまたはヒト以外のものであり得る。適切なヒト以外の細胞の供給源の例は、マウス、ラット、およびモルモットなどの齧歯動物、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、および/もしくはウマの種から選択された有蹄動物、またはヒト以外の霊長類の種を含む。しかしながら、細胞は、起源がバクテリア、酵母、菌類、または植物の細胞であってもよい。
【0086】
細胞は、体細胞および非体細胞を含む任意の種類のものであり得る。細胞は、胚、胎児、または成獣の発達の任意の段階から由来する幹細胞であってもよい。細胞は、キメラ抗原受容体T細胞(CART)などの遺伝子改変された細胞であってもよい。細胞は、組み換えタンパク質を生産するために、遺伝子改変されたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの寄託細胞株からのものであり得る。
【0087】
例えば、ヒト以外の起源の細胞を含む、胚幹(ES)細胞。細胞は、ES細胞株などの寄託細胞株に由来してもよい。ES細胞は、特許文献4(WO2003/046141)に記載されているような、単為発生細胞などのヒトの胚の破壊を必要としない手段から由来してもよい。細胞は、培養において増殖させることができる、および/または、モノクロナール抗体を生産させることができるガンまたはハイブリドーマの細胞であり得る。細胞は、体細胞の核が除核卵母細胞へと配置される体細胞核移植(SCNT)の結果に由来してもよい。
【0088】
細胞は、例えば霊長類多能性幹(pPS)細胞、例えばヒト胚性幹(hES)細胞といった、多能性幹細胞であり得る。細胞は幹細胞である場合、供給源は、間葉系幹細胞(臍帯由来幹細胞を含む)、神経幹細胞、または造血幹細胞を含む、体の任意の組織からであり得る。誘導多能性幹(iPS)細胞も含まれる。
【0089】
したがって、本発明は、本明細書に定められているように、本発明の容器から被験者に細胞を投与することを含め、被験者における医学的または獣医的な状態を処置する方法も提供する。
【0090】
医学的または獣医的な状態の処置の方法は、必要としている被験者への遺伝子改変された細胞を含む細胞の投与の方法による細胞療法を含み得る。同様に、医学的または獣医的な状態の処置の方法は、必要としている被験者への、エキソソーム、馴化培地、モノクロナール抗体、および組み換えタンパク質を含む細胞によって生産された生産物を含み得る。
【0091】
美容処置は、被験者への細胞の投与によって美容(美的)な向上を提供する任意の非治療的な処置の方法を含み得る。
【0092】
細胞は、容器における細胞を任意選択的に洗浄および再懸濁することを含め、投与の前に本発明による装置で培養され得る。
【0093】
本発明の装置は、後で投与の前に解凍される本発明の容器における細胞の凍結保存された集団を任意選択的に含んでもよい。適切には、解凍された細胞は、使用の前に生理的に許容可能な媒体において再懸濁され得る。細胞は、要求される場合に再び容器においてさらに洗浄、遠心分離、および再懸濁され得る。生理的に許容可能な媒体は、被験者に投与される最終的な処方のために要求されるような任意の概して許容可能な緩衝剤、アジュバント、および/または希釈剤であり得る。例えば、媒体は、pH7.4において適切なリン酸緩衝生理食塩水(PBS)であり得る。
【0094】
細胞は、容器から、より好ましくは、本発明の補助容器から、注射の形態で投与され得る。容器、または、適切に構成された補助容器は、例えばルアーロック式接続器を用いて、細胞の投与のためにカニューレが設けられてもよい。容器、または、適切に構成された補助容器は、細胞の送達のためのアクチュエータ手段が設けられてもよい。アクチュエータ手段は、注射器装置の作用におけるように機能できる本発明の容器を圧縮するために力を提供するレバーまたは他の手段を備えてもよい。アクチュエータは、手作業で動作させられ得るか、または、外部の電気的な制御手段によって制御されて動作させられ得る。そのため、アクチュエータ手段は、細胞の出口を容器からカニューレを通じて被験者へとさせるために、容器または適切に構成された補助容器の潰れるのを制御するように作用する小型化機構として作用できる。
【0095】
細胞は、容器から、またはより好ましくは、本発明の補助容器からの注入を用いて投与されてもよく、容器、または、適切に構成された補助容器は、その最も大きい度合いまで拡張され得る。この実施形態では、細胞は、より大きな体積の媒体において、適切であるとして懸濁されてもよい。注入は、要求により提供され得る、または、より優れた制御のために必要であり得る外部電気システムの制御の下で動作する二方向性の線形アクチュエータ(例えば、シリンジドライバのような装置)によって、受動的に投与され得る。
【0096】
本発明は、カニューレを被験者へと挿入することを含み、本明細書において定められているような適切に構成された補助容器などの本明細書において定められているような本発明の容器内にカニューレが配置される、生物試料を被験者から得る方法も提供する。本発明の容器の下部区域にはカニューレが提供されてもよく、本発明の容器は柔軟な材料から成り、前記容器は、容器を拡張することで試料を被験者から取り出すためのアクチュエータ手段に動作可能に連結される。
【0097】
アクチュエータ手段は、容器のルーメンへの試料の侵入を許容するために、本発明の容器を閉構成または半閉構成から開けるように構成され得る。アクチュエータ手段は、注射器または他の生体検査装置の作用におけるように容器を拡張できる力を提供するレバーまたは他の手段を備え得る。アクチュエータは、手作業で動作させられ得るか、または、外部の電気的な制御システムによって制御されて動作させられ得る。
【0098】
容器のカニューレは血管または骨髄腔へと挿入され得る。容器は、例えば幹細胞などの細胞を、この手法において好都合に生体検査され得る血液、骨髄、臍帯、脂肪組織、羊水など、被験者から得るために使用され得る。容器が適切に構成された補助容器である場合、試料は、流体連通となるように補助容器を主要容器に取り付けることで、容器から本発明の主要容器へと送達され得る。
【0099】
そのため、本発明は、主要容器と流体連通している1つまたは複数の補助容器との間の所望の試薬、廃棄物、細胞、または生産物の送達/抽出を介して、主要容器内で望まれるように複数の単位処理が行われ、それによって汚染の危険を回避している状態で、細胞の処理を単一の装置内で提供する。システムは、使用するのがより簡単であり、既存の手法の複雑性をさらに回避する。本発明は、向上した再現性と使用の容易性とを伴う細胞のより安全な処理を提供する。
【0100】
本発明は、患者からの細胞の抽出(血液または骨髄などの生体検査)、細胞の分離、細胞の処理(サイトカイン刺激および/または遺伝子改変を含む)、固液分離、細胞が全体の処理を通じて同じ装置で培養され得る送達装置への搭載も提供する。
【0101】
本発明は、例示の目的のためだけに存在し、請求されている発明において限定になると解釈されることにならない以下の例および図を参照することで、さらに記載されている。以下の図が参照されている。
【図面の簡単な説明】
【0102】
図1】(a)および(b)は、2つの別々の構成における本発明の装置の一実施形態の描写を示す装置の側方からの斜視図である。
図2】(a)は、レバーまたはプランジャの機構が媒体を補助容器から主要容器へとどのように放出するかを示す図1の実施形他の描写を示す、補助容器を圧縮する準備の出来ているレバーまたはプランジャの図である。(b)は、レバーまたはプランジャの機構が媒体を補助容器から主要容器へとどのように放出するかを示す図1の実施形他の描写を示す、完全に閉じた形態での(十分に潰れている)補助容器の図である。
図3】アーム自体の移動を介して、または、主要容器の回転を介して、レバーまたはプランジャを伴う弁操作者アームがある補助容器から次の補助容器へとどのように移動できるかを示す、図1の実施形態の概略図である。
図4】生物反応器などの1つまたは複数の追加的な容器と組み合わされた主要容器を有する本発明の装置の図である。
図5】一部の補助容器が主要容器と直接的な流体連通にあり、さらなる補助容器が追加的な容器と直接的な流体連通にある、図4の装置と異なる本発明の装置の構成を示す図である。
図6】1つまたは複数の補助容器が、本発明の容器の上部以外の点においてどのように連結され得るかを示す図である。本発明の容器の下部におけるこのような連結、または、その下部に向けてのこのような連結が、例えば、サンプリングのために(品質分析もしくは品質制御の目的のために)、または、細胞培養の最終生産物を回収するために、使用され得る。
図7】(a)は、本発明の容器にわたって温度制御がどのように変えられ得るかを示し、本発明の主要容器が補助容器と同じ温度で維持されている実施形態を示す図である。(b)は、本発明の容器にわたって温度制御がどのように変えられ得るかを示し、補助容器が互いおよび主要容器と異なる温度で維持され得ることを示す図である。
図8】(a)は、本発明の主要容器または追加的な容器(生物反応器など)の中で細胞が培養され得る様々な選択肢を示し、(可及的に、遠心分離に続いて)細胞が容器の下部に存在する実施形態を示す図である。(b)は、本発明の主要容器または追加的な容器(生物反応器など)の中で細胞が培養され得る様々な選択肢を示し、細胞が容器内の個々の室の下部において培養される実施形態を示す図である。(c)は、本発明の主要容器または追加的な容器(生物反応器など)の中で細胞が培養され得る様々な選択肢を示し、回転されている間に細胞が容器において維持されている実施形態を示す図である。(d)は、本発明の主要容器または追加的な容器(生物反応器など)の中で細胞が培養され得る様々な選択肢を示し、側方から側方へと揺動されている間に細胞が容器において維持されている実施形態を示す図である。
図9】複数の補助容器が主要容器と併せてどのように作用し得るかを示す図である。
図10】(a)~(h)は、本発明の装置において細胞を培養する多ステップ処理を示す図である。
図11】本発明の圧縮可能容器における弁構成を示し、容器が十分に閉じられていないときの構成を示す図である。(b)は、本発明の圧縮可能容器における弁構成を示し、容器が十分に閉じられているときの構成を示す図である。(c)は、本発明の圧縮可能容器における弁構成を示す、図11(b)の詳細図である。(d)は、本発明の圧縮可能容器における弁構成を示し、本明細書に記載された弁構成の結果として流体連通がどのように変化できるかを示す概略図である。
図12】本発明の容器が、容器の残りの部分と異なる材料から構築されている取り外し可能な下部を有し得る構成を示す図である。
図13】本発明の容器内のセンサ選択肢の例を示す図である。
図14】(a)は、細胞と液体との分離のための選択肢を示し、細胞が容器の下部に着地するためにペレット化されているバケット遠心分離機の構成を示す図である。(b)は、細胞と液体との分離のための選択肢を示し、細胞が容器の壁に付着するために回転させられている異なる遠心分離の結果を示す図である。(c)は、細胞と液体との分離のための選択肢を示し、本発明の潰れることができる容器を開状態で示す図である。(d)は、細胞と液体との分離のための選択肢を示し、本発明の潰れることができる容器を部分的に潰れた状態で示す図である。
図15】(a)は、構成要素が容器内における特定の場所において取り外しまたは追加され得る装置の構成を示し、初期の構成を示す図である。(b)は、構成要素が容器内における特定の場所において取り外しまたは追加され得る装置の構成を示し、細胞が回転させられて容器の側壁に被せられている状態で構成がどのように作用するかを示す図である。(c)は、構成要素が容器内における特定の場所において取り外しまたは追加され得る装置の構成を示し、細胞が回転させられて容器の側壁に被せられている状態で構成がどのように作用するかを示す図である。(d)は、構成要素が容器内における特定の場所において取り外しまたは追加され得る装置の構成を示し、細胞が容器の下部へと遠心分離されている状態で構成がどのように作用するかを示す図である。(e)は、構成要素が容器内における特定の場所において取り外しまたは追加され得る装置の構成を示し、細胞が容器の下部へと遠心分離されている状態で構成がどのように作用するかを示す図である。
図16】(a)は、磁気ビーズを使用した精製のための装置の構成を示し、磁石がスイッチオフされ、磁気ビーズが補助容器において保持されている状態での初期設定を示す図である。(b)は、磁気ビーズを使用した精製のための装置の構成を示し、ビーズが補助容器から細胞を保持する容器へと移送された状態での図16(a)の構成を示す図である。(c)は、磁気ビーズを使用した精製のための装置の構成を示し、磁石がスイッチオンされたときの構成を示す図である。(d)は、磁気ビーズを使用した精製のための装置の構成を示し、細胞を保持する容器が空にさせられ、非結合細胞がさらなる補助容器へと移送されるときの図16(c)の構成を示す図である。(e)は、磁気ビーズを使用した精製のための装置の構成を示し、細胞を保持する容器が解離緩衝剤で再充填されているときの図16(d)の構成を示す図である。(f)は、磁気ビーズを使用した精製のための装置の構成を示し、細胞が洗浄緩衝剤において再懸濁されている状態での図16(e)の構成を示す図である。(g)は、磁気ビーズを使用した精製のための装置の構成を示し、さらなる補助容器における標的細胞の回収を示す図である。
図17】本発明の容器内で洗浄されている間に細胞が音響波技術によって所定位置で保持されている構成を示す図である。
図18】さらなる処理での使用のための本発明の補助容器内で血液を回収する方法を示す図である。
図19】(a)は、回収された血液を処理するための本発明の装置の一構成を示し、処理のための補助容器から主要容器への血液の移送を示す図である。(b)は、回収された血液を処理するための本発明の装置の一構成を示し、主要容器の回転を介しての鉛直の分画への血液の分離を示す図である。(c)は、回収された血液を処理するための本発明の装置の一構成を示し、主要容器の圧縮による補助容器への血漿の分画の除去および回収を示す図である。(d)は、回収された血液を処理するための本発明の装置の一構成を示し、主要容器の圧縮によるさらなる補助容器への幹細胞の分画の除去および回収を示す図である。(e)は、回収された血液を処理するための本発明の装置の一構成を示し、3つの別々の容器が別々の分画を各々有する最終製品を示す図である。
図20】(a)は、図19に示した方法における変形を示し、処理のための補助容器から主要容器への血液の移送を示す図である。(b)は、図19に示した方法における変形を示し、主要容器の遠心分離を介しての水平の分画への血液の分離を示す図である。(c)は、図19に示した方法における変形を示し、主要容器の圧縮による補助容器への血漿の分画の除去および回収を示す図である。(d)は、図19に示した方法における変形を示し、主要容器の圧縮によるさらなる補助容器への幹細胞の分画の除去および回収を示す図である。(e)は、図19に示した方法における変形を示し、3つの別々の容器が別々の分画を各々有する最終製品を示す図である。
図21図11に示した弁構成の代替の構造を示し、一連の容器の間の流体連通が単一の円錐挿入体を使用してどのように制御され得るかを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0103】
図1は、下部区域(12)と、上部区域(14)と、壁要素(8)とを備える主要容器(10)を備える本発明の装置の一実施形態を示している。壁要素(8)は下部区域(12)と平行に側方に配置される剛体区域を備え得る。図は、容器を直立した構成で示している。
【0104】
中間の剛体区域の各々の隣接する対が変形可能領域と交互に配置され得る。容器の対称の鉛直方向の軸に対して垂直な圧縮の下向きの力の作用は、容器を部分的に閉じた構成へと潰させ、さらに完全に閉じた構成へと潰させる。
【0105】
主要容器(10)は、取り外し可能な閉止手段または一時的な封止部として機能できる少なくとも1つの入口(図示せず)を有する。各々の入口には、主要容器(10)と流体連通している補助容器(16)を連結させることができる。図1(a)では、補助容器は、すべてが並列に連結されるように、つまり、各々が主要容器(10)と直接的な流体連通となるが、別の補助容器(16)とは直接的な流体連通とならないように、配置されている。補助容器(16)の各々は異なる構成を有し得る(符号16(a)~16(e))。例えば、ある補助容器(16(a))は生育因子を含むように構成されてもよく、別の補助容器(16(b))は再プログラミング化ベクタを含むように構成されてもよく、別の補助容器(16(c))は洗浄緩衝剤を含むように構成されてもよく、別の補助容器(16(d))は媒体を含むように構成されてもよく、一方で、別の補助容器(16(e))は廃棄物容器として構成されてもよい。したがって、この実施形態では、様々な補助容器(16)は、異なる構成のものであり、異なる大きさおよび容積のものであり得る。補助容器(16)は、主要容器(10)より小さい大きさおよび容積のものであり得るが、廃棄物補助容器は主要容器より大きい容積のものである可能性が高い。
【0106】
この構成において図1(b)に示されているように、補助容器は主要容器(10)の上部区域(14)を介して連結されている。主要容器は断面が円形である。この円形の断面は必然ではないが、例えば回転または遠心分離の観点において、特定の利点を有している。
【0107】
図2(a)および図2(b)は、より大きい装置(一部で示されている)の要素を伴う主要容器(10)を示している。この装置は、遠心分離機または他の回転装置(図示せず)と、主要容器(10)および補助容器(16)がそれらの内容物の移送をもたらすために圧縮または圧縮解除され得る手段(20、22)とを含み得る。アームまたは他の手段(図示せず)が、補助容器(16(a))を圧縮することができるように、レバーまたはプランジャの形態であり得る手段(20)を移動させることができる。好ましくは、同じ手段(20)は補助容器を圧縮解除することもできる。したがって、補助容器(16(a))の内容物は主要容器(10)へと移送される。代替的に、主要容器(10)は、手段(20)が補助容器(16(a))の上方に位置決めされるように、遠心分離機または他の回転手段(図示せず)において回転させられてもよい。装置(図示せず)は、主要容器(10)が圧縮または圧縮解除され得る手段(22)も含む。一部の構成では、補助容器(16)を圧縮または圧縮解除するための手段(20)と、主要容器(10)を圧縮または圧縮解除するための手段(22)とは同じものであり、例えば、レバーまたはプランジャが、主要容器(10)においてと共に、補助容器(16)において作用するように移動可能であり得る。
【0108】
図3は、図2に示されているような装置に対して利用可能な構成を示している。したがって、細胞培養装置は、主要容器(10)を湾曲した矢印によって示された方向において回転させるように作用できる。追加または代替的に、装置のアーム(30)が、補助容器(16)を圧縮または圧縮解除するための手段(20)に連結されてもよい。このような構成では、装置のアーム(30)は、補助容器(16)同士の間で圧縮手段(20)を移動させるために、矢印によって示されているように移動できる。
【0109】
図4は、本発明の容器のセットがどのように構成され得るかを示している。したがって、主要容器(10)は、並列に配置された複数の補助容器(16)と直接的な流体連通にある。主要容器(10)自体は、生物反応器(40)などの第1の追加的な容器、および、生物反応器(42)などの第2の追加的な容器と流体連通している。主要容器(10)と第1および第2の容器(40、42)とが直列に配置されることは、理解されるものである。
【0110】
図5図4の変異の構成を示している。図5では、主要容器(10)は、並列に配置された複数の補助容器(16)と直接的な流体連通にある。主要容器(10)自体は、生物反応器(40)などの追加的な容器と流体連通している。
【0111】
図4図5との両方において、主要容器(10)は、小さい規模の処理、および、細胞培養の初期の開始(例えば、遺伝子改変)のために使用され、補助容器(16)は、この処理のための供給および廃棄のために使用される。小さい規模の初期の処理が完了されると、細胞は、大きな規模の処理(例えば、生育および培養/採取)のために、主要容器(10)から第1の生物反応器(40)へと移送され得る。
【0112】
図5は、生物反応器(40)へと移送された媒体のさらなる処理を実行するための手段を示している。したがって、さらなる補助容器(16)が、生物反応器(40)とは直接的な流体連通となるが主要容器(10)とは直接的な流体連通とならないように配置されている。これらのさらなる補助容器(16)は、供給物を保持するように、または、生物反応器(40)において起こる大きな規模の処理から廃棄物を受け入れるように、構成される。したがって、図5は、2つの並列の処理が本発明の装置を使用してどのように順番に実施され得るかを示している。
【0113】
図6において示されているように、補助容器(16)は、主要容器(10)、第1の追加的な容器(40)、または第2の追加的な容器(42)の上部区域(14)に必ずしも配置されなくてよい。補助容器(16)は、一構成では、容器(10、40、42)の下部区域(12)に配置され得る。これは、例えば、任意の遠心分離された生産物の容易なサンプリング、または、そのような生産物の回収を可能にする。補助容器(16)が、両方の構成で配置されてもよい、つまり、容器(10、40、42)の下部区域(12)と上部区域(14)とに配置されてもよいことは、理解されるものである。
【0114】
主要容器(10)と流体連通しているが主要容器(10)から分離可能である補助容器(16)を有することの利点が、補助容器(16)内の状態が主要容器(10)の状態と異なる環境で維持され得ることであることは、本明細書において提供されている本発明の記述から理解されるものである。したがって、図7(a)では、主要容器(10)が補助容器(16)と同じ温度で維持され得るが、図7(b)は、補助容器(16)が、例えば断熱スリーブ(60)によって、異なる温度で維持され得る。この構成では、3つの補助容器(16)が冷蔵温度または凍結温度(例えば、それぞれ4℃および-20℃)で維持されるが、2つの補助容器(16)が周囲温度で維持され、一方、さらなる手段(図示せず)が主要容器(10)を37℃などの最適な細胞培養温度で維持できる。
【0115】
本発明の装置が主要容器(10)の移動のための他の手段を含み得ることは、図8からさらに理解されるものである。したがって、主要容器の回転/遠心分離および/または揺動はすべて考えられている。
【0116】
補助容器(16)が主要容器(10)と異なる方向で流体連通を有し得ることも、図9から理解されるものである。したがって、細胞(80)を最適な状態で主要容器(10)内の懸濁液において維持するために、媒体が第1の補助容器(16a)から主要容器へと導入でき、廃棄物の媒体が第2の補助容器(16b)へと回収される。本明細書で述べられているように、上方向における主要容器の圧縮は、廃棄物の媒体を補助容器(16b)へと押し込むことになる。
【0117】
ここで、多ステップ動作(例えば、CAR-T細胞療法の形質導入、活性化、増殖、および洗浄)において本発明の装置を使用する例示の方法が、図10を参照して記載されている。図10(a)において始まり、細胞(80)は、主要容器(10)内の懸濁液にある。いくつかの補助容器(16(a)~16(d))が、様々な供給物および媒体を保持するように構成されており、廃棄物を保持するように構成されたさらなる補助容器(16(e))は、最初に圧縮されて空にされている。
【0118】
図10(b)では、例えばウイルスベクタ媒体を含む第1の補助容器(16(a))が主要容器(10)へと空にさせられることと、細胞(80)が媒体において懸濁されることとが見て取れる。ベクタが培養するのに十分な時間を有すると、主要容器は遠心分離され、細胞(80)は主要容器(10)の下部に沈殿させられる。図10(c)は、主要容器が使用済みの媒体を除去するために廃棄物補助容器(16(e))へと空にされているところを示している。図10(d)に示しているように、細胞は、例えば、さらなる補助容器(16(b))から主要容器(10)へと導入される細胞活性化因子を含む、さらなる媒体において洗浄され得る。図10(e)に示しているように、主要容器(10)は次にさらなる遠心分離を受け、主要容器(10)は次に廃棄物補助容器(16(e))へと空にさせられる。ここで、主要容器(10)はウイルスベクタの痕跡がないかまたは最小になるべきである。これに続いて、図10(f)は、さらなる補助容器(16(c))から主要容器(10)へのさらなる媒体(例えば、増殖媒体)の導入を示している。細胞が十分な時間にわたって培養されると、主要容器(10)は再び遠心分離され(図10(g))、媒体は廃棄物補助容器(16(e))において回収される。次に、例えば処方緩衝剤といった未使用の媒体が、さらなる補助容器(16(d))から導入され(図10(h))、細胞が再懸濁される。
【0119】
そのため、主要容器(10)における細胞は必要とされる限りにわたって維持され得ることは、理解されるものである。補助容器(16)が取り外し可能である場合、追加の媒体を有する未使用の補助容器が使用済みの補助容器の代わりに連結され得る、および/または、廃棄物補助容器(16(e))が空にするために取り外され、その容器かまたは未使用の廃棄物補助容器が続いて再び連結され得る。
【0120】
図10に示した方法論は、例えば図4に示したような装置内で実行され得る。別の言い方をすれば、主要容器(10)における反応が完了すると、細胞は、(例えば圧縮を介して)主要容器(10)を生物反応器などの追加的な容器(40)へと空にすることで移送され得る。そのため、使用された主要容器(10)が追加的な容器(40)を汚染するのを防止するためにその主要容器(10)を閉止することが望ましい可能性がある。
【0121】
このような場合、図11に示したような弁構成が使用され得る。図11(a)は、主要容器(10)、補助容器(16)、または追加的な容器(40、42)であり得る本発明の容器を示している。容器(10、16、40、42)は、閉じられていない状態で示されており、相対する側に2つのポート(110、112)を有している。図11(a)に示しているように、2つのポート(110、112)は上部区域と下部区域とにある。図11(a)では、ポート(110)のうちの1つが、容器(10、16、40、42)へと延び、他方のポート(112)と相互作用するように構成される弁部材(115)を備えているのも見て取れる。相互作用は図11(b)において示されており、容器(10、16、40、42)は完全に圧縮され、弁部材(115)は第1のポート(110)から第2のポート(112)へと延び、それによって、第1のポート(110)および第2のポート(112)を通過する流体が容器(10、16、40、42)に入らないように迂回路を作り出す。図11(c)は図11(b)の任意の詳細を示しており、弁部材(115)が、一方向の連結を形成し、第1のポート(110)と第2のポート(112)との間で相互係止する係止機構(この場合には、フック)(119)と嵌められている。この方法では、水密な連結が形成され得る。
【0122】
この構成が2つの容器(A、C)を、中間の容器(B)が間にある場合であっても、直接的な連結とさせるために使用され得ることは、図11(d)の概略から見て取れる。中間の容器(B)の圧縮と、先に記載されているような係止弁(115)の使用とは、任意の流体が中間の容器(B)に入ることなく第1の容器(A)から追加的な容器(C)へと直接的に通過できることを意味する。例えば、第1の容器(A)は本発明の補助容器であり得るし、中間の容器(B)は本発明の主要容器であり得るし、追加的な容器(C)は生物反応器であり得る。したがって、初期の細胞設定が完了し、細胞がさらなる培養のために生物反応器(C)へと移送されると、物質(例えば、未使用の培養媒体)を導入すること、または、物質(例えば、採取された細胞生産物、使用済みの培養媒体)を、生物反応器(C)と直接的に、補助容器(A)へと、もしくは、補助容器(A)から抽出することがなおも可能である。図11(d)は、図11(a)~図11(c)に示した弁構成(115)がいずれかの方向への流体の流れを許容できることも示している。一部の場合では、本明細書においてより詳細に論じされているように、流体の流れが一方向となることが好ましい可能性があることは、理解されるものである。
【0123】
本明細書において詳細に記載されているように、本発明の容器は異なる材料から構築され得る。図12に示されているように、本発明の容器(10、16、40、42)は、容器(10、16、40、42)の意図されている使用に応じて異なる材料を連結させることができる取り外し可能な下部板(120)を有し得る。例えば、取り外し可能な下部板は、細胞培養表面が適応され得ることを意味する。したがって、関連する細胞の種類が培養されるための選択の細胞培養組織プラスチックが、細胞に付着させられ得る。図12(b)では、下部が取り外され、特定の材料から構築された新たな下部板(120)が次に容器(10、16、40、42)に取り付けられる。例えば、図12(c)に示した結果的な容器は、薄いフィルム状のガス透過性シートまたは膜を備えることを通じて細胞への向上したガス移送を有する。これは、例えばT細胞といった、培養して沈降した懸濁細胞における使用のものであり得る。下部板(120)は剛体の支持片(125)を有してもよく、これは、下部板(120)の構造的完全性を確保するために、下部板(120)が薄いフィルムから構築されている特定の値のものであり得る。下部板(120)は、先に図11について記載したような構成とされ得るポート(128)、つまり、容器(10、16、40、42)の相対する面におけるさらなるポートと相互作用するためのポート(128)を有してもよい。
【0124】
図13に示しているように、本発明の容器(10、16、40、42)は、容器の内容物を監視するためにセンサと共に構成されてもよい。様々なセンサの選択肢が可能であり、要求に応じて個別または組み合わせにおいて使用され得る。例えば、光学プローブ(120)が、顕微鏡による検査を可能とするために連結されてもよく、光学密度プローブ(121)が、例えば細胞培養の光学細胞密度を確立するために連結されてもよい。酸素/pHプローブ(122)が、容器(10、16、40、42)の内側の壁において酸素/pHセンサスポット(123)に連結されてもよい。センサの使用がよく理解されていることと、熟練した読者が任意のこのような手段を技術的に知られているように適用できることとは、容易に理解されるものである。
【0125】
本明細書に記載されているように、本発明の装置は、培養内の細胞を、細胞が生育させられる媒体から分離するための手段を含み得る。図14は、本発明の容器(10、16、40、42)内の細胞培養(80)が回転させられ得る2つの方法を示している。図14(a)は従来の遠心分離を示しており、細胞がペレット化されて容器(10、16、40、42)の下部に位置する。図14(b)は異なる方法論の結果を示しており、それによって細胞は、容器(10、16、40、42)の壁を被覆するように回転させられる。代替において、図14(c)は、本発明の容器(10、16、40、42)がフィルタ膜(140)を用いることで細かく分けられ得ることを示している。容器(10、16、40、42)を圧縮または潰すこと(または、部分的に潰すこと)は、図14(d)に示しているように、細胞(80)がフィルタ膜(140)を介して容器のある部分内に捕らえられる一方で、媒体が容器の他の部分へと排出されることを意味する。
【0126】
廃棄物媒体を細胞から分離するための代替手段は図15に示されている。この構成にあるように、本発明の容器(10、16、40、42)には、補助容器(16)を媒体(155)と連結する配管(151)の長さが設けられている。配管(151)は、容器(10、16、40、42)と同じ手法で潰れることができ、つまり、配管(151)は容器(10、16、40、42)の圧縮および潰れを防止すべきではない。配管(151)は、容器(10、16、40、42)が圧縮されるとき、使用済み媒体(155)を配管(151)へと押し込ませることができる特定の高さに開口(152)を有する。図15(a)は、容器(10、16、40、42)の側方に被せられるように細胞(80)が回転させられるときの構成を示している。この実施形態では、開口(152)は、できるだけ実用的に容器(10、16、40、42)の下部の近くにあり、容器(10、16、40、42)の圧縮は、媒体(155)を適切に構成された補助容器(16(c))へと押し込む。要求される場合、未使用の培養媒体、洗浄緩衝剤などが他の補助容器(16(a)、16(b))から導入され得る。代替的に、容器(10、16、40、42)は、細胞(80)が容器(10、16、40、42)の下部へとペレット化されるように遠心分離され得る。この構成では、配管(151)は、容器(10、16、40、42)の圧縮が、細胞(80)をあとに残しつつ使用済み媒体(155)を適切に構成された補助容器(16(c))まで押し込むように、ペレット化された細胞(80)の高さの上方に位置決めされた開口(152)を有する。
【0127】
図15は、本発明の容器(10、16、40、42)には、容器(10、16、40、42)内に気相/液相を確立し、例えば酸素および/または二酸化炭素を提供するために使用され得るガス通気口(159)が設けられ得る。この通気口(159)は、図15に示した実施形態に限定されることはなく、他の図に示した他の実施形態へと組み込まれてもよい。
【0128】
本明細書に記載されているように、本発明の装置は、細胞の精製を支援するために磁石を備えてもよい。このような構成は図16に示されており、装置(図示せず)は、主要容器(10)などの容器の下部板の下に位置付けられる磁石(160)を備える。図16(a)では、細胞(80)は懸濁液にあり、補助容器(16(a))は、特定の細胞(例えば、興味のあるタンパク質を発現するように成功裏にトランスフェクトされている細胞)に選択的に結合するように構成されている(例えば、適切な部分への結合を介して)磁気ビーズを含む。この時点における磁石(160)はスイッチオンされていない。図16(b)は、磁気ビーズが補助容器(16(b))から主要容器(10)へと移送された構成を示している。ビーズは、興味のある細胞と接触して選択的に結合するが、例えば成功裏にトランスフェクトされなかった細胞には結合しない。
【0129】
この時点で、磁石(160)がスイッチオンされ、結果は図16(c)に示されているようになり、磁気ビーズに結合された細胞が磁石に向けて引き込まれる一方、磁気ビーズに結合されなかった細胞(非結合細胞)は懸濁液に留まる。主要容器(10)の圧縮は、使用済みの媒体および非結合細胞をさらなる補助容器(16(d))へと押し込む。洗浄緩衝剤を含むさらなる補助容器(16(b))が、この時点において部分的に圧縮されてもよく、細胞を部分的な懸濁液に留まらせる。これに続いて、図16(d)において示しているように、非結合細胞は結合細胞から分離され、結合細胞は主要容器(10)に留まっている。図16(e)に示しているように、解離緩衝剤を含むさらなる補助容器(16(c))が次に圧縮され、解離緩衝剤を主要容器(10)へと移送する。解離緩衝剤は結合細胞を磁気ビーズから解放し、次に、これらの細胞は、図16(f)に示されているように、懸濁液へと解放される。追加の洗浄緩衝剤が補助容器(16(b))から主要容器(10)へと移送され、それに続いて、図16(g)に示されているように、興味のある標的細胞を回収するために、主要容器(10)が圧縮され、さらなる補助容器(16(e))へと空にさせられる。
【0130】
例えば細胞が洗浄され得るように、細胞を所定位置で保持するための別の手段が、図17に示されている。本発明の容器(10、16、40、42)は、音響波発生器(170)の手段を介して、細胞(80)を所定位置で保持する。音響波(171)は、フィルタまたは遠心分離を必要とすることなく、容器(10、16、40、42)内の所定位置で細胞を保持する。これは、矢印が洗浄緩衝剤の方向を指示する状態で、連続的な洗浄処理を可能にすることができる。
【0131】
図18は、血液を回収する本発明の容器の使用を開示している。臍帯を伴う胎盤、静脈、または他の適切な供給源であり得る血液源(180)からの血液が、流れ調整装置(182)へとつながる1つまたは複数の排液管(181)において回収される。流れ調整装置は、単純なクリップであり得るか、または、本発明の補助容器(16)などの容器への流れを支援するための真空/ステッピングモータであり得る。容器(16)は、最初に完全に圧縮されて空で無菌であり、流れ調整装置(182)を介して血液排液管(181)に連結されている。容器への血液の流れは、先に詳述したように、真空で支援され得るか、または、ステッピングモータ制御装置を介され得る。一杯になると、容器(16)は接続解除され、凍結されて集中保存施設(図示せず)へと輸送され得る。
【0132】
図19は、回収された血液の処理を示している。図19(a)では、第1の補助容器(16(a))が主要容器(10)に連結されている。1つまたは複数のさらなる補助容器も、第1の補助容器(16(a))と主要容器(10)との間の位置(16(b))において主要容器(10)に連結されているが、完全に閉じられており、第1の補助容器(16(a))との流体連結していない。第1の補助容器(16(a))は、ドナー、患者、または他の供給源から取られた血液を保持している。図19(a)は、第1の補助容器(16(a))の圧縮/潰れを介した第1の補助容器(16(a))から主要容器(10)への血液の移送を示している。図19(b)では、主要容器(10)は、血液の様々な部分を血漿(190)、幹細胞(191)、および赤血球(192)の鉛直の柱へと分画するように回転させられる。図19(b)において、第1の補助容器(16(a))が完全に潰されているのが見て取れる。続いて第1の補助容器(16(a))は取り外され得る。
【0133】
図19(c)は、補助容器(16(c))が、主要容器(10)の圧縮を介して、および/または、補助容器(16(c))を開くことによる主要容器(10)から流体の引き込みを介して、血漿(190)で満たされる。血漿分画(190)が主要容器(10)から十分に取り出されると、図19(d)に示されているように、さらなる補助容器(16(d))が幹細胞分画(191)で満たされ得る。これに続いて、赤血球(192)がさらなる補助容器(図示せず)へと回収されてもよい。代替的に、図19(e)は、赤血球(192)が適切に構成された主要容器(10)において保持される実施形態を示している。
【0134】
分離に続いて、様々な分画が、要求により使用、保存、凍結などされ得る(図示せず)。
【0135】
図20は、図19の処理における変形を示している。図20(a)は、第1の補助容器(16(a))が主要容器(10)に連結されている。1つまたは複数のさらなる補助容器も、第1の補助容器(16(a))と主要容器(10)との間の位置(16(b))において主要容器(10)に連結されているが、完全に閉じられており、第1の補助容器(16(a))と流体連結していない。第1の補助容器(16(a))は、ドナー、患者、または他の供給源から取られた血液を保持している。図20(a)は、第1の補助容器(16(a))の圧縮/潰れを介した第1の補助容器(16(a))から主要容器(10)への血液の移送を示している。図20(b)では、主要容器(10)は、血液の様々な部分を血漿(190)、幹細胞(191)、および赤血球(192)の水平の柱へと分画するように回転させられる。図20(b)において、第1の補助容器(16(a))が完全に潰されているのが見て取れる。続いて第1の補助容器(16(a))は取り外され得る。
【0136】
図20(c)は、補助容器(16(c))が、主要容器(10)の圧縮を介して、および/または、補助容器(16(c))を開くことによる主要容器(10)から流体の引き込みを介して、血漿(190)で満たされる。血漿分画(190)が主要容器(10)から十分に取り出されると、図20(d)に示されているように、さらなる補助容器(16(d))が幹細胞分画(191)で満たされ得る。これに続いて、赤血球(192)がさらなる補助容器(図示せず)へと回収されてもよい。代替的に、図20(e)は、赤血球(192)が適切に構成された主要容器(10)において保持される実施形態を示している。
【0137】
分離に続いて、様々な分画が、要求により使用、保存、凍結などされ得る(図示せず)。
【0138】
図21は、複数の結び付けられた容器の間の移送/流体連通の閉止のための代替の配置を示している。図21(a)において示しているように、第1の容器(211)が潰れた状態にあり、同じく潰れた状態にある第2の容器(212)に隣接されている。第2の容器(212)に結合された第3の容器(213)が開けられ、細胞培養を含む。円錐挿入体(210)が第1の容器(211)における中心開口に連結され、第2の容器(212)および第3の容器(213)における同心の開口を通じて延びている。円錐挿入体(210)の側部は、挿入体(210)が容器の外部と第3の容器(213)の内部との間だけで流体連通を可能とするように配置され、したがって、第1の容器(211)または第2の容器(212)のいずれかへの流体連通は、両方が閉位置にある間にはない。
【0139】
図21(b)は、第2の容器(212)を開けることが、円錐挿入体(210)が第2の容器(212)と第3の容器(213)との間の流体連通を許容するが、第1の容器(211)との流体連通を許容しないように位置決めされ得ることを意味していることを示している。図21(c)に示されているように、第3の容器(213)の内容物が第2の容器(212)へと移送されると、第3の容器(213)は閉状態へと潰され、それによって第3の容器(213)への連通を遮断することができる。ここで、円錐挿入体(210)は、第2の容器(212)および容器の外側との流体連通だけを許容するが、第1の容器(211)または第3の容器(213)への流体連通を許容しない。
【0140】
図21(d)は、第1の容器(211)を開けることが、円錐挿入体(210)が第2の容器(212)と第1の容器(211)との間の流体連通を許容するが、第3の容器(213)との流体連通を許容しないように位置決めされ得ることを意味していることを示している。図21(e)に示されているように、第2の容器(212)の内容物が第1の容器(211)へと移送されると、第2の容器(212)は閉状態へと潰され、それによって第2の容器(212)への連通を遮断することができる。ここで、円錐挿入体(210)は、第1の容器(211)との流体連通だけを許容するが、第2の容器(212)または第3の容器(213)への流体連通を許容しない。
【0141】
したがって、初期の細胞培養は、第3の容器(213)において開始させられ、続いて円錐挿入体(210)を介して他の容器(212、211)へと移送される。
【符号の説明】
【0142】
8 壁要素
10 主要容器
12 下部区域
14 上部区域
補助容器 16、16a、16b、16c、16d、16e
20、22 手段
30 アーム
40 生物反応器、第1の追加的な容器
42 生物反応器、第2の追加的な容器
60 断熱スリーブ
80 細胞、細胞培養
110、112 ポート
115 弁部材、弁構成、係止弁
119 係止機構、フック
120 下部板
120 光学プローブ
121 光学密度プローブ
122 酸素/pHプローブ
123 酸素/pHセンサスポット
125 支持片
128 ポート
140 フィルタ膜
151 配管
152 開口
155 媒体
159 ガス通気口
160 磁石
170 音響波発生器
171 音響波
180 血液源
181 排液管
182 流れ調整装置
190 血漿
191 幹細胞
192 赤血球
210 円錐挿入体
211 第1の容器
212 第2の容器
213 第3の容器
A 第1の容器
B 中間の容器
C 追加的な容器
図1(a)】
図1(b)】
図2(a)】
図2(b)】
図3
図4
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図8(a)】
図8(b)】
図8(c)】
図8(d)】
図9
図10(a)-10(d)】
図10(e)-10(h)】
図11(a)-11(b)】
図11(c)】
図11(d)】
図12(a)-12(c)】
図13
図14(a)】
図14(b)】
図14(c)-14(d)】
図15(a)-15(b)】
図16
図16(e)-16(g)】
図17
図18
図19(a)】
図19(b)】
図19(c)】
図19(d)】
図19(e)】
図20(a)】
図20(b)】
図20(c)】
図20(d)】
図20(e)】
図21(a)】
図21(b)】
図21(c)】
図21(d)】
図21(e)】