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特許7035095PEN導体上の電圧を識別するためのDI回路遮断装置およびその動作方法
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  • 特許-PEN導体上の電圧を識別するためのDI回路遮断装置およびその動作方法 図1
  • 特許-PEN導体上の電圧を識別するためのDI回路遮断装置およびその動作方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】PEN導体上の電圧を識別するためのDI回路遮断装置およびその動作方法
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/14 20060101AFI20220307BHJP
   H02H 3/16 20060101ALI20220307BHJP
   H01H 83/14 20060101ALN20220307BHJP
【FI】
H02H3/14
H02H3/16
H01H83/14
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019570618
(86)(22)【出願日】2018-03-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2018055417
(87)【国際公開番号】W WO2018162452
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2020-11-04
(31)【優先権主張番号】17160188.3
(32)【優先日】2017-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519324695
【氏名又は名称】ハインリヒ・コップ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】HEINRICH KOPP GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュック,ニコラス
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06091591(US,A)
【文献】特開昭51-042401(JP,A)
【文献】特開2011-229270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R31/52
H01H83/14
H02H3/14
H02H3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DI回路遮断装置であって、相導体(1)および中性線(2)における故障電流を検出するための加算電流コンバータ(22)と、保護接地導体(3)の故障状態を識別するための識別装置(14)とを備え、
前記識別装置(14)は、入力側で、前記相導体(1)、前記中性線(2)および前記保護接地導体(3)に接続されるとともに、出力側で、DI回路遮断器(21)を制御するためのスイッチング段(19)に接続され、
前記DI回路遮断器(21)は、前記相導体(1)、前記中性線(2)および前記保護接地導体(3)におけるそれぞれの切換え接点(25、26、27)を切換えるように適合されており、
前記識別装置(14)は、前記保護接地導体(3)上の相電圧の存在を故障状態として識別し、
前記識別装置(14)は容量性センサ(17)を有し、前記容量性センサ(17)は、ユーザによって触れられると、接地電位に対する容量性リアクタンスを有する電気コンデンサを形成し、
前記識別装置(14)はさらに評価用電子機器(14a)を有し、前記評価用電子機器(14a)は、前記センサ(17)を前記相導体(1)に接続するとともに、そこから別々に前記中性線(2)に接続することによって相位置を判断するように適合されており、
前記評価用電子機器(14a)は、前記中性線(2)と前記保護接地導体(3)との間に電圧が存在しないことを確定すると、前記保護接地導体(3)上に相電圧が存在しないという結論を導き出す、DI回路遮断装置。
【請求項2】
前記DI回路遮断装置の誘電性ハウジング(29)の外側(28)は、ユーザによって触れられると前記ハウジングの導電体(30)を有するコンデンサを形成する、請求項1に記載のDI回路遮断装置。
【請求項3】
前記導電体(30)は、ハウジング隙間に収容されるか、前記ハウジングの前記外側(28)に取付けられるか、または、前記ハウジング(29)の内側(31)上のコーティングであるかもしくは前記ハウジング(29)の前記内側(31)上にコーティングを有する、請求項2に記載のDI回路遮断装置。
【請求項4】
前記ハウジング(29)の前記外側(28)は、ユーザが手またはグラブで前記ハウジング(29)を把握したときに前記ユーザの手または前記手を包むグラブとの間に大きな接触面積がもたらされる程度に人間工学的に形作られている、請求項2または3に記載のDI回路遮断装置。
【請求項5】
前記コンデンサには前記導電体(30)を介して電圧が供給される、請求項2から4のいずれか1項に記載のDI回路遮断装置。
【請求項6】
前記コンデンサの静電容量はC=εA/d(式1)に従って決定され、
εは誘電体の誘電率であり、前記誘電率は、ハウジング厚さと、人の皮膚の厚さと、閉じ込められる可能性のある空気と、任意にはグラブ材料の厚さとの合計であり、
Aは、前記ユーザが触れることによって覆われる内側(31)における前記導電体(30)の表面積である、請求項から請求項5のいずれか1項に記載のDI回路遮断装置。
【請求項7】
前記評価用電子機器(14a)は、前記相導体(1)および前記中性線(2)を互いとは別々に前記センサ(17)に接続するとともに、各々の場合に電圧降下が存在するかどうかをテストすることによって、前記相導体(1)および前記中性線(2)上の相位置を判断するように適合されている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のDI回路遮断装置。
【請求項8】
前記評価用電子機器(14a)は、前記相導体(1)および前記中性線(2)における定性的に検出された電圧降下によって、以下の真理値表に対応する前記相位置を確定するように適合されている、請求項7に記載のDI回路遮断装置。
【表1】
【請求項9】
マイクロコントローラは、前記相位置についての情報を用いて、電圧降下について、前記相導体(1)を前記保護接地導体(3)と照らし合わせてテストするとともに前記中性線(2)を前記保護接地導体(3)と照らし合わせてテストするようにさらに適合されており、
前記評価用電子機器(14a)は、前記相導体(1)に対する前記判断された相位置に対応する電圧降下が存在している場合、前記中性線(2)に対する前記判断された相位置に対応する電圧が存在していない場合、または、電圧降下が接触電圧未満であり、好ましくは50Vの電圧未満である場合にのみ、前記保護接地導体(3)が適切に動作していると結論付ける、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のDI回路遮断装置。
【請求項10】
前記評価用電子機器(14a)は、電圧降下について、前記相導体(1)を前記保護接地導体(3)と照らし合わせてテストするとともに、前記中性線(2)を前記保護接地導体(3)と照らし合わせてテストすることによって、以下の真理値表に対応する前記保護接地導体(3)の状態を確定するように適合されている、請求項9に記載のDI回路遮断装置。
【表2】
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のDI回路遮断装置を動作させるための方法であって、
- 任意にはグラブに包まれている手で前記DI回路遮断装置の前記センサ(17)に触れるステップを含み、接地電位に対する容量性リアクタンスを有する電気コンデンサが形成され、前記方法はさらに、
- 前記相導体(1)および前記中性線(2)を互いとは別々に前記センサ(17)に接続し、そこから相位置を確定するステップと、
- 前記相位置が判明している状態で、電圧降下について、前記相導体(1)を前記保護接地導体(3)と照らし合わせてテストするともに、前記中性線(2)を前記保護接地導体(3)と照らし合わせてテストするステップと、
- 前記保護接地導体が存在していること、前記保護接地導体が低インピーダンスを有していること、および/または、前記保護接地導体に電圧がないことがテストによって判明した場合にのみ、前記相導体(1)と前記中性線(2)と前記保護接地導体(3)との切換え接点を閉止するステップとを含む、方法。
【請求項12】
前記方法はさらに、ユーザの手またはグラブと前記DI回路遮断装置のハウジング(29)の外側(28)との間に可能な限り大きな接触面がもたらされるように、前記ハウジング(29)を把握するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本発明は、特許請求項1のプリアンブルの特徴を有するDI回路遮断装置に関する。このタイプの回路遮断装置は、EP0806825B1から公知である。
【背景技術】
【0002】
先行技術から公知であるDI回路遮断装置においては、識別装置は、ユーザが触れることのできるセンサを有する。当該センサは導電性材料を含むセンサ表面を有する。この導電性材料は、ユーザによって触れられたときに接地電位に引き寄せられる。ただし、ユーザの接触によってユーザの手とセンサ表面との間に電気的接触をもたらす必要があることを前提としている。識別装置は、保護接地導体に電気的に接続されているため、触れられたときに、導電性のセンサ表面と保護接地導体との間の電圧降下を検出することによって保護接地導体に電圧が存在しないかどうかの結論を得ることができる。
【0003】
しかしながら、公知のDI回路遮断装置が有する欠点は、たとえば、ユーザが非導電性のグラブまたはほんのわずかしか導電性のないグラブを着用しているような電気絶縁された状態でも電源投入ができてしまい、これにより、上述の安全機能が無効になってしまう点である。さらに、インピーダンスの低さが不十分である保護接地導体がこのように「良好」なものとして検出される可能性もある。したがって、既存のセンサは、保護接地導体の状態を確実に識別するのに十分ではなく、とりわけ、特に保護服(グラブ、靴など)が用いられる場合にそこに電圧が無いことを保証するのに十分ではない。
【0004】
したがって、本発明の目的は、上述のDI回路遮断装置が電気的に絶縁された態様で始動されたときに保護接地導体を確実にチェックすることも可能となるように、当該DI回路遮断装置をさらに開発することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有するDI回路遮断装置によって達成される。独立請求項12は対応する動作方法に向けられている。従属請求項は各々、本発明の有利な実施形態に向けられている。
【0006】
したがって、識別装置が容量性センサを有することが規定されている。容量性センサは、ユーザによって触れられたときに、接地電位に対する容量性リアクタンスを有する電気コンデンサを形成する。識別装置はさらに、センサを相導体に接続するとともにそこから別々に中性線に接続することによって相導体の位置を判断するように適合された評価用電子機器(たとえば、マイクロコントローラ)を備える。さらに、評価用電子機器は、相導体に相が存在する場合に中性線と保護接地導体との間に電圧が存在しないことを確定すると、保護接地導体上に相電圧が存在しないという結論を導き出す。
【0007】
したがって、先行技術の回路遮断装置において利用される導電性センサ表面が容量性センサ表面と置き換えられることで、センサ表面への直接的な導電接続をもたらす必要がなくなる。評価可能な信号を生成するために、センサは、ぶ厚い保護服の場合であっても十分に大きなセンサ信号が提供されるように有利に構成されなければならない。センサ原理の原点は平板コンデンサであって、以下のとおりに計算することができる。
【0008】
【数1】
【0009】
結果として生じる容量性リアクタンスによって電流が可能な限り高くなるよう調整されるように、高いセンサ静電容量を得ることが望ましい。
【0010】
【数2】
【0011】
しかしながら、このセンサ電流はユーザを負傷させる可能性のあるほどの桁ではあり得ない。特に、数マイクロアンペアの電流強度が目的とされているはずである。
【0012】
したがって、ユーザが触れた時に、DI回路遮断装置の誘電性ハウジングの外側が、導電体を有するコンデンサを形成することが規定され得る。たとえば、導電体は、ハウジングの隙間に収容され得るか、ハウジングの外側に取付けられ得るか、または、ハウジングの内側のコーティングであり得るかもしくはハウジングの内側にコーティングを有し得る。
【0013】
ユーザの手とハウジングとの間に可能な限り広い接触面を得るために、および、これにより最大の有効なコンデンサ表面Aを得るために、ハウジングがユーザの手またはグラブによって把握されたときにユーザの手または手を包むグラブとハウジングの外側との間に大きな接触面積がもたらされる程度に、ハウジングの外側を人間工学的に形作ることが規定され得る。コンデンサには導電体を介して電圧を供給することができる。特に、導電体は、この目的のために識別装置に電気的に接続することができる。
【0014】
コンデンサの静電容量が式1に従って決定される場合、εは誘電体の誘電率であり得るとともに、dは誘電体の厚さであり得る。この誘電体の厚さは、ハウジング厚さと、人の皮膚の厚さと、閉じ込められる可能性のある空気と、任意にはグラブ材料の厚さとの合計であり得る。この場合、Aは、ユーザの接触によって覆われる、内側における導電体の表面積であり得る。
【0015】
DI回路遮断装置のハウジングのサイズまたは少なくともハウジングの内側における導電体のサイズを、2本の手の表面積にほぼ相当する少なくとも3×10-3にまで大きくすることが有利である。さらに、ハウジングのうちユーザが接触する少なくとも外側が人間工学的な幾何学的形状を有し得るように、ハウジング表面を可能な限り平坦にユーザの手と接触させなければならない。
【0016】
評価用電子機器は、相導体および中性線を連続的にセンサに接続するとともに、各々の場合に電圧降下が存在するかどうかをテストすることによって、特に相導体および中性線上の相位置を判断するように適合され得る。したがって、公知の先行技術の装置によって提供されるように保護接地導体を直接テストするのではなく、最初に導体L(N)および導体N(L)を容量性センサに連続的に接続することが規定され得る。得られた信号と、これにより、定性的に検出された電圧降下(有/無)とに応じて、テスト相を導入できるかどうかが評価される。得られた信号を評価した後、相はN導体またはL導体上の位置に関連付けることができる。したがって、評価用電子機器は、相導体および中性線における定性的に検出された電圧降下によって、以下の真理値表に対応する相位置を確定するように適合させることができる。
【0017】
【表1】
【0018】
次に、相導体および中性線を保護接地導体と照らし合わせてテストすることができる。この際に、中性線と保護接地導体との間の電位差が接触電圧についての許容可能な値未満(たとえば50V未満)であるかどうかを観察することができる。
【0019】
したがって、評価用電子機器は、相位置についての情報を用いて、電圧降下について、相導体を保護接地導体と照らし合わせてテストするとともに、中性線を保護接地導体と照らし合わせてテストするようにさらに適合され得る。さらに、評価用電子機器は、相導体に対する当該判断された相位置に対応する電圧降下が存在している場合、中性線に対する当該判断された相位置に対応する電圧が存在していない場合、または、電圧降下が接触電圧未満である場合にのみ、保護接地導体が適切に動作していると結論付ける。
【0020】
評価用電子機器は、電圧降下について、相導体を保護接地導体と照らし合わせてテストするとともに中性線を保護接地導体と照らし合わせてテストすることによって、以下の真理値表に対応する保護接地導体の状態を確定するように適合され得る。
【0021】
【表2】
【0022】
中性線と保護接地導体との間の電位差をテストすることによって、それが許容可能な接触電圧未満であることが判明した場合、次に、評価用電子機器によって保護接地導体品質のテスト(特に、保護接地導体の低インピーダンスのテスト)を実行することができる。
【0023】
この品質テストにも合格した場合、許可信号を、識別装置からDIスイッチを制御するためのスイッチング段に送信することができ、これに応じて、DI回路遮断装置の出力をオンに切り替えることができる。
【0024】
別の局面に従うと、本発明は、上述のタイプのDI回路遮断装置を動作させるための方法に向けられている。当該方法は以下のステップを含む。
【0025】
- 任意にはグラブに包まれている手でDI回路遮断装置のセンサに接触するステップを含む。接地電位に対する容量性リアクタンスを有する電気コンデンサが形成される。
【0026】
- 相導体および中性線がセンサに連続的に接続されて、そこから相位置が確定される。
【0027】
- 相位置が判明している状態で、電圧降下について、相導体が保護接地導体と照らし合わせてテストされるともに、中性線が保護接地導体と照らし合わせてテストされる。
【0028】
- 保護接地導体が存在していること、保護接地導体が低インピーダンスを有していること、および/または、保護接地導体に電圧がないことがテストによって判明した場合にのみ、相導体と中性線と保護接地導体との切換え接点が閉止される。
【0029】
当該方法はさらに、DI回路遮断装置のハウジングを把握するステップを含み得る。把持するステップは、ユーザの手またはグラブとハウジングの外側との間に可能な限り大きな接触面がもたらされるように実行される。これを容易にするために、ハウジングの外側を人間工学的に形成することが規定され得る。
【0030】
本発明のさらなる詳細を添付の図面に関連付けて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明に従ったDI回路遮断装置において使用される容量性センサの構造を示す実施形態の概略図である。
図2】本発明の実施形態に従ったDI回路遮断装置を示すブロック配線図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、一実施形態に従った発明のDI回路遮断装置において使用される容量性センサ17の構造を概略的に示す。したがって、センサ17は、実質的に、DI回路遮断装置のハウジング29によって形成される。ハウジング29はその内側31に導電体30を有する。導電体30は、たとえば、ハウジング29の内側31の金属コーティングであってもよい。導電体30は、本発明に従って、相位置を判断する目的で相導体または中性線に接続されるように識別装置14の評価用電子機器14aに接続することができる(図2を参照)。ハウジング29はユーザの手で包むことができる表面28を有しており、導体31によって形成されるコンデンサの第1の電極を構成している。厚さdを有するハウジング材料は、コンデンサの誘電体を形成するとともに誘電率εを有する。誘電率は、ハウジング材料の誘電導電率を表している。
【0033】
ハウジング29の内側31における導電体30の表面積は、利用可能な最大のセンサ表面である。実際に実現される容量表面積Aは、ユーザの手によって包まれるハウジング表面28とセンサ表面Aとの部分的な重なりによって正確に規定される。したがって、ハウジング29の厚さdは、コンデンサ板同士の間の距離を正確に構成している。有効な静電容量と、これにより、センサ静電容量とは平板コンデンサについての式1に基づいて上述の値から計算することができる。これは以下に記載されているように概算で実行することができる。
【0034】
以下の例において、センサ表面と手との間のセンサ静電容量は簡単に確定される。示されている表面積は、センサ17の有効な静電容量表面に相当する。誘電率εは、センサの幾何学的形状に焦点を合わせるためにパラメータとして無視される。皮膚の最上層の誘電率がグラブの最上層の誘電率と同一であるとすると、以下のとおりである。
【0035】
【数3】
【0036】
- 最上層の皮膚厚さd=30・10-6
- グラブの厚さd=7・10-3
- ハウジングの厚さは約1mmである
- 親指の表面Aは、ほぼ、
(20・10-3m)・(20・10-3m)=400・10-6
に相当する。
【0037】
- 手の表面Aは、ほぼ、
(150・10-3m)・(100・10-3m)=15・10-3
に相当する。
【0038】
式1に値dおよびAを挿入すると、グラブを嵌めていない親指がセンサ上にある事例となる。
【0039】
【数4】
【0040】
の代わりにdを代入すると、グラブを嵌めた親指がセンサ上にある事例となる。
【0041】
【数5】
【0042】
皮膚の静電容量Cおよびグラブの静電容量Cを直列接続すると想定すると以下の総静電容量が得られる。
【0043】
【数6】
【0044】
式3におけるグラブ無しの場合の結果と式5におけるグラブ有りの場合の結果との比率として以下の値が得られる。
【0045】
【数7】
【0046】
静電容量CがリアクタンスXに間接的に比例しているので、センサ静電容量が低ければ低いほど、(オームの法則に基づいて)センサ電流がより乏しくなる。したがって、静電容量が高ければ高いほど、センサ電流がより高くなる。Aおよびdを用いて行なわれたのと同じ静電容量計算(式5および式6)により、新しい比率について以下の結果が得られる。
【0047】
【数8】
【0048】
したがって、センサ表面が同じままである場合、センサ信号は、グラブが用いられる場合には(材料定数とは無関係に)係数234.33だけより乏しくなる。センサ表面が手表面の大きさにまで大きくされる場合、グラブ有りの場合の信号は、先行技術から公知であるとともに対応して小さなセンサ表面を備えている親指センサと比べて、わずかに係数7.22だけ、より乏しくなる。結果として、グラブは、センサ表面によって部分的に補償することができる。完全に補償するには、本事例の場合の表面積は93.33×10-3にまで大きくされなければならないだろう。しかしながら、このパラメータは、ユーザの手の表面積の大きさによって制限されている。なぜなら、手表面とセンサ表面との部分的な重なりだけが有効な表面積とみなされるからである。
【0049】
したがって、有効センサ表面を2つの手の大きさにまで(たとえば30×10-3にまで)大きくすることが有利である。さらに、ハウジング表面28は、ハウジング表面28の人間工学的設計が好ましくなるように可能な限り平坦にユーザの手と接触させなければならない。
【0050】
図2は、本発明に従ったDI回路遮断装置の好ましい実施形態のブロック配線図を示す。この場合、L相導体1は線路4を介して保護インピーダンス5に接続されており、中性線2は線路6を介して保護インピーダンス7に接続されている。保護インピーダンス5および7はそれぞれ導体8および9によって出力側のノード10に接続されている。ノード10は、線路11を介してさらに別の保護インピーダンス12に接続されており、このさらに別の保護インピーダンス12は、出力側で、線路13を介して、保護接地導体の状態を検出するための装置14に接続されている。保護インピーダンス5、7および12は電流を制限する役割を果たす。装置14はさらに、線路15を介して保護接地導体3に接続されるとともに線路16を介してセンサ17に接続されている。本発明によれば、センサ17は、容量性センサ、たとえば図1を参照して記載されたようなセンサ、である。
【0051】
装置14の出力は導体18を介してスイッチング段19に接続されており、スイッチング段19は、線路20を介してDI漏電回路遮断器21を切換える。DI漏電回路遮断器21は加算電流コンバータ22に接続されている。加算電流コンバータ22の一次巻線は相導体1および中性線2によって形成されている。加算電流コンバータ22はさらに二次巻線を有する。この二次巻線は、誘導電圧を、線路23および24を介して、DIスイッチ21に含まれる評価用電子機器へと伝える。DIスイッチ21は、線路1、2、3にそれぞれ接続されている切換え接点25、26、27に機械的に接続されている。
【0052】
相導体の位置に応じて、線路4から保護インピーダンス5および線路8を介して、または線路6、保護インピーダンス7および線路9を介してノード10に至る電流の流れと、ノード10から線路11、保護インピーダンス12、導体13、識別装置14および線路15を介して保護接地導体3に至る電流の流れとが存在する。正常時であれば、すなわち、相導体1、中性線2および保護接地導体3が正確に接続されていれば、この電流は装置14を通り線路15を介して保護接地導体3へと流れる。
【0053】
しかしながら、たとえば保護接地導体が接続されていないかまたは遮断されているせいでこの電流が存在しない場合、装置14は、導体15にわたって保護接地導体3へと流れる電流が存在しないことからこの故障状態を検出し、絶縁されているスイッチング段19を介してDI回路遮断器21を切換えて、切換え接点25、26、27を開放し、これに応じて導体1、2、3を遮断する。
【0054】
これ以外の場合、装置14は、保護接地導体3への外部電圧または線間電圧の存在を検出するように構成されている。容量性センサ17は、この目的のための役割を果たすものであって、ユーザによって触れられると、接地に対する容量性リアクタンスを有する電気コンデンサを形成する。識別装置14は評価用電子機器14aを備える。評価用電子機器14aは、相導体1にセンサ17を接続するとともにそこから別々に中性線2に接続することによって相導体の位置を判断するように適合されている。したがって、先行技術の構成において規定されているように保護接地導体を直接テストするのではなく、L導体またはN導体上の位置に相を関連付けるために、中性線および保護接地導体が最初に連続的にセンサに接続される。得られた信号に応じて、次のテスト相を開始できるかどうかが評価される。
【0055】
【表3】
【0056】
相位置を判断した後、相導体および中性線が保護接地導体と照らし合わせてテストされる。信号評価の後、中性線と保護接地導体との間に電位差が存在するか否かを評価することができ、仮に存在しているのであれば、この電位差が接触電圧未満であるかどうかを評価することができる。たとえば電位差が50V未満である場合、接触電圧が無視できるほど小さいものであると想定され得る。中性線とPEとの間の電位差を評価するための信号評価は以下の真理値表に対応して実行することができる。
【0057】
【表4】
【0058】
保護接地導体品質のテストは、たとえば、保護接地導体の抵抗を確定することによって、引き続き実行することができる。
【0059】
上述の説明、添付の図面および添付の特許請求の範囲において開示される本発明の特徴は、個々に重要であり得るとともに、本発明を実現するためのいずれの組合わせにおいても重要であり得る。
図1
図2