IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エヌエイチダブリュエイ、ファーマ.コーポレイションの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】ラクタム化合物誘導体およびその応用
(51)【国際特許分類】
   C07D 217/24 20060101AFI20220307BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20220307BHJP
   C07D 239/90 20060101ALI20220307BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20220307BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20220307BHJP
   C07D 413/14 20060101ALN20220307BHJP
   C07D 401/12 20060101ALN20220307BHJP
   C07D 239/88 20060101ALN20220307BHJP
   C07D 417/12 20060101ALN20220307BHJP
   C07D 405/12 20060101ALN20220307BHJP
   A61K 31/4523 20060101ALN20220307BHJP
【FI】
C07D217/24
A61K31/496
C07D239/90 CSP
A61K31/517
A61P25/18
C07D413/14
C07D401/12
C07D239/88
C07D417/12
C07D405/12
A61K31/4523
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020102914
(22)【出願日】2020-06-15
(62)【分割の表示】P 2018526201の分割
【原出願日】2016-11-21
(65)【公開番号】P2020158520
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2020-07-14
(31)【優先権主張番号】201510811995.4
(32)【優先日】2015-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517223897
【氏名又は名称】エヌエイチダブリュエイ、ファーマ.コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】NHWA PHARMA. CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100143971
【氏名又は名称】藤井 宏行
(72)【発明者】
【氏名】チェン、イン
(72)【発明者】
【氏名】ドウ、フェイ
(72)【発明者】
【氏名】チウ、インリ
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ミンクアン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、グイセン
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/003418(WO,A1)
【文献】特表2014-518258(JP,A)
【文献】特表2014-518257(JP,A)
【文献】特表2013-540738(JP,A)
【文献】特表2011-507835(JP,A)
【文献】特表2010-521486(JP,A)
【文献】特表2008-509147(JP,A)
【文献】特許第6755950(JP,B2)
【文献】特開2006-316052(JP,A)
【文献】特開2007-091733(JP,A)
【文献】国際公開第2008/020306(WO,A1)
【文献】特表2010-521528(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104059046(CN,A)
【文献】特表2006-503106(JP,A)
【文献】特表2011-529090(JP,A)
【文献】特開平02-191256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 217/24
C07D 413/14
C07D 401/12
A61K 31/4523
A61K 31/496
A61K 31/517
A61P 25/18
C07D 405/12
C07D 417/12
C07D 239/90
C07D 239/88
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、またはその医薬上許容される塩:
【化1】
〔式中、
Xは、CまたはNであり;
ここで、Xと隣接する二つの結合部分を合わせた構造が、-CHまたは=N-のいずれかを表し、
Zは、-(CH-であり、これは非置換であ、nは2~7の整数であり;
およびRは、それぞれ独立に、水素、1~5個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルキルであり;
は、水素でり;
Pは、Nであり;
Arは、式II基であり:
【化2】
LおよびMはCHであり;
およびRは、それぞれ独立に、水素またはハロゲン化されたC1-5アルキルであり、
およびRは同時に水素ではな〕。
【請求項2】
およびRが、それぞれ独立に、水素、メチル、エチル、プロピルまたはn-ブチル、イソブチルであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項3】
ハロゲン化されたC1-5アルキルがトリフルオロメチル、トリフルオロエチル、トリフルオロプロピルまたはトリフルオロブチルであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項4】
XがCまたはNであり;
Zが-(CH-であり、これは非置換であ、nが2~5の整数であり;
が水素、メチルまたはエチルであり;
が水素、メチルまたはエチルであり;
が水素であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項5】
化合物が以下から選択されることを特徴とする、化合物またはその医薬上許容される塩:
【化3】
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬上許容される塩、および医薬上許容される賦形剤、担体、アジュバント、溶媒またはそれらの組合せを含んでなる、医薬組成物。
【請求項7】
神経精神疾患の治療または予防のための、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記神経精神疾患が統合失調症であることを特徴とする、請求項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医学分野に関し、特にラクタム化合物誘導体、それからなる医薬組成物、ならびに統合失調症の予防または治療のための薬剤の製造における医薬組成物およびラクタム化合物誘導体の使用に関する。
【発明の背景】
【0002】
統合失調症は、あらゆる精神疾患の中で最も深刻かつ最も有害な疾患である。世界的な罹患率は約1~2%である。統合失調症患者の生涯有病率は0.7~0.8%であり、これは性別、人種、または社会的限界とは有意に関連していない。一方、統合失調症患者の死亡率は、一般集団より2~3倍高い。最近の研究によると、中国において精神疾患の社会的負担は他の疾患の中で1位にランクしており、心血管疾患、呼吸器疾患および悪性腫瘍などの疾患を上回っていることが示されている。
【0003】
統合失調症に対しては主に2種類の薬剤、すなわち、「定型」抗統合失調症薬および「非定型」抗統合失調症薬がある。ドパミンD受容体を遮断する定型抗統合失調症薬(例えば、クロロプロマジンおよびハロペリドール)は、統合失調症の陽性症状に対して優れた治療効果をもたらす。しかし、ドパミンD受容体を強く遮断するために、錐体外路系(EPS)反応、遅発性ジスキネジアおよびプロラクチン増加などの副作用が生じる。さらに、統合失調症の陰性症状に対しては効果がない。
【0004】
クロザピンおよびリスペリドンに代表される非定型抗統合失調症薬は、ドパミン(D)受容体だけでなく、5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT2A)受容体に対しても強い作用を有する。これらの薬剤は、定型抗統合失調症薬に優る大きな利点をもたらす。統合失調症の陽性症状に対して優れた治療効果をもたらし、錐体外路系反応および遅発性ジスキネジアなどの副作用を大幅に減らし、一部の非定型抗統合失調症薬は陰性症状および認知障害をある程度改善することができる。しかしながら、現在の臨床応用では、総ての非定型抗統合失調症薬が、QT間隔の延長、高プロラクチン血症などの副作用をさまざまな程度で発現する。従って、統合失調症を効果的に治療でき、かつ副作用の少ない新しい薬剤を見つけることが重要である。
【0005】
、5-HT1A、5-HT2AおよびHなどの受容体が統合失調症において非常に重要な役割を果たすことが研究から示されている。D受容体による作用は、統合失調症の陽性症状の治療に有効な可能性がある。前頭前野の錐体ニューロンおよびGABA介在ニューロンは、5-ヒドロキシトリプタミン受容体5-HT1Aおよび5-HT2Aを含む。5‐ヒドロキシトリプタミン系は、情動制御、認知行動および作業記憶など前頭前野の機能を調節する上で重要な役割を果たす。5-HT1Aは、陰性症状と認知障害を改善できる非定型抗精神病薬による薬物療法の効果と関係している。5-HT2A受容体は、認知、情動調節や運動制御などさまざまな側面と関係している。5-HT2A受容体を遮断すると、ドパミンの分泌が正常化することが可能となり抗精神病効果を発揮する。5-HT受容体のmRNAは、末梢組織および中枢神経系に発現し、主に視床、視床下部、大脳皮質、海馬および扁桃体に局在する。この受容体は、体温、生体リズム、睡眠、情動、学習および記憶を調節することができる。5-HT受容体は、正常状態および病的状態における中枢神経系の活動の調節に重要であり、精神疾患の治療の重要な標的として利用することができる。一方、統合失調症の治療のための長期投薬中、一部の薬剤は体重増加の副作用を引き起こす傾向がある。これらの副作用はヒスタミンH受容体と密接な関連があることが研究から示されている。
【0006】
従って、新しい抗統合失調症薬には、複数の受容体と結合し、広範な活性を有し、EPSおよび体重増加などの副作用が少ないことが望まれる。
【発明の概要】
【0007】
一態様において、式Iの化合物、またはその医薬上許容される塩もしくはプロドラッグが提供される:
【化1】
〔式中、
Xは、C、O、NまたはNHであり;
Zは、-(CH-であり、これは非置換であるか、アルキル、シアノ、ヒドロキシ、およびハロゲンからなる群から選択される1個または複数の置換基で置換されており、nは2~7の整数であり;
およびRは、それぞれ独立に、水素、1~5個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルキルであり、前記アルキルは、アルキル、シアノ、ヒドロキシおよびハロゲンからなる群から選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく;
は、水素、ハロゲン、または1~5個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐アルキルであり、前記アルキルは、アルキル、シアノ、ヒドロキシおよびハロゲンからなる群から選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく;
Pは、CHまたはNであり;
Arは、式II~VIIからなる群から選択される基であり:
【化2】
LおよびMは、独立に、CHまたはNであり;
Qは、OまたはSであり;
、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、1~5個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐アルキル、または1~5個の炭素原子を含むアルコキシであり、前記アルキルおよびアルコキシは、アルキル、シアノ、ヒドロキシおよびハロゲンからなる群から選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよい〕。
【0008】
もう一つの態様において、医薬組成物がさらに提供され、これは本発明による化合物またはその医薬上許容される塩もしくはプロドラッグと、医薬上許容される賦形剤、担体、アジュバント、溶媒またはそれらの組合せとを含む。
【0009】
もう一つの態様において、神経精神疾患、特に統合失調症の予防または治療への使用のための、本発明による化合物またはその医薬上許容される塩もしくはプロドラッグ、または本発明による医薬組成物が提供される。
【0010】
神経精神疾患、特に統合失調症の予防または治療の方法もまた提供され、これは、それを必要とする対象に、本発明による化合物またはその医薬上許容される塩もしくはプロドラッグ、または本発明による医薬組成物を有効な量投与することを含む。
【0011】
本発明による化合物またはその医薬上許容される塩もしくはプロドラッグ、または本発明による医薬組成物の、神経精神疾患、特に統合失調症の治療または予防のための薬剤の製造における使用もまた提供される。
【発明の具体的説明】
【0012】
定義と一般用語
特に明記しない限り、ここに用いる定義は、以下の通りに適用されなければならない。
本発明の目的のために、化学元素は、元素周期表のCAS版および化学・物理学ハンドブック(第75版、1994年)と合致していなければならない。加えて、有機化学の一般原則については、Thomas Sorrell著「有機化学」、University Science Books出版、ソーサリト:1999年および「March's Advanced Organic Chemistry」Michael B. Smith、Jerry March著、John Wiley & Sons出版、ニューヨーク、2007年を参照してもよく、ここに参照としてその全体が本明細書に援用される。
【0013】
本発明で使われる用語「患者」または「対象者」は、人(成人と小児を含む)または他の動物(哺乳類を含む)を意味する。本発明のいくつかの実施例によれば、「患者」または「対象者」は人を意味する。
【0014】
「任意の」または「任意に(任意選択で、~いてもよい)」または、「任意に存在する(存在してもよい)」という用語は、その言葉に続いて記述された事象が起こるかもしれないが、必ずしも起こるとは限らない、ということを意味し、その記述は事象または状況が起こる、または、起こらない場合を含む。例えば、「結合が任意に存在する」は存在するかもしれない、または存在しないかもしれない結合を指し、記述は単結合、二重結合または三重結合を含む。
【0015】
本発明において、用語「置換されていてもよい」は用語「置換されているか非置換である」と置き換えて使用し得る。通常、用語「置換された」は、ある構造の1個または複数の水素原子が、特定の置換基によって置換されていることを意味する。他の態様で記述されない限り、置換されていてもよい基は、基の上の各置換可能な箇所で置換され得る。ある構造の複数の個所が特定の基からなる群から選択される1個または複数の置換基によって置換され得るとき、各箇所は同じであるかまたは異なる置換基によって置換され得る。
【0016】
特に明記しない限り、ここで使われる記述「(それぞれ)独立に」は広義に理解されるべきである。それは、異なる基において同じシンボルによって示される特定のオプションはお互いに対し影響をしないことを意味し、または、同じ基において同じシンボルによって示される特定のオプションはお互いに影響しないことも意味し得る。
【0017】
本明細書の章において、本発明の化合物の置換基は、基の種類と範囲によって開示される。これらの基の種類と範囲に属するあらゆる独立した組合せが本発明に含まれるということを特に指摘しておかなければならない。例えば、用語「C1-5アルキル」は、具体的には独立して開示されたメチル、エチル、Cアルキル、CアルキルおよびCアルキルを意味する。
【0018】
ここで記述される範囲(数字の範囲のような)は、範囲の中のあらゆる値および、それぞれの値によって形成されるあらゆる下位範囲を含み得る。例えば、「nは、2~7の整数である」は、2、3、4、5、6または7、およびこれらの値によって形成されるあらゆる下位範囲、例えば、これに限定されるものではないが、2~6、2~5、2~4、3~6、3~5、4~6など、を含む。
【0019】
ここで使われる記述「1または複数の」は、1、2、3、4、5、6、7またはそれ以上を意味する。
【0020】
式Iにおいて、破線を含む部分は単結合または二重結合を表し得る。当業者は、化学結合の合理的な選択を考慮し、安定化合物を得るために、単結合または二重結合の場合では、Xで示される原子またはラジカルは、1個または複数の水素原子とそれに対応しておよび任意に結合し得ることを容易に理解するはずである。例えば、破線を含む部分が単結合を表すならば、XがCとして選択される場合、それはそれに対応してCHを表し得ることを理解するはずである。破線を含む部分が二重結合を表すならば、XがCとして選択される場合、それはそれに対応してCHを表し得ることを理解するはずである。同様に、破線を含む部分が二重結合を表すならば、当業者は、化学結合の合理的な選択をし、安定化合物を得る目的で、NHとしてのXの選択はそれに対応してNを表し得ることを理解するであろう。一実施態様において,前述の原子団(例えばCH、CH、NH)は、例えば、アルキル、シアノ、ヒドロキシルおよびハロゲンから選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよい。
【0021】
特に示されない限り、用語「アルキル」または「アルキル基」は、1~20個の炭素原子を含む飽和した直鎖状または分岐状の一価ヒドロカルビル基を表し、ここで、アルキル基は本発明による1個または複数の置換基で置換されていてもよい。特に別途示されない限り、アルキル基は1~20個の炭素原子を含む。本発明の実施態様によれば、アルキル基は1~12個の炭素原子を含む。本発明のもう一つの実施態様によれば、アルキル基は1~6個の炭素原子を含む。本発明の実施態様によれば、アルキル基は1~5個または1~4個の炭素原子を含む。本発明のもう一つの実施態様によれば、アルキル基は1~3個の炭素原子を含む。アルキル基の例は以下を含むが、それらに限られない:メチル(Me、-CH)、エチル(Et、-CHCH)、n-プロピル(n-Pr、-CHCHCH)、イソプロピル(i-Pr、-CH(CH)、n-ブチル(n-Bu、-CHCHCHCH)、イソブチル(i-Bu、-CHCH(CH)、sec-ブチル(s-Bu、-CH(CH)CHCH)、tert-ブチル(t-Bu、-C(CH)、n-ペンチル(-CHCHCHCHCH)、2-ペンチル(-CH(CH)CHCHCH)、3-ペンチル(-CH(CHCH)、2-メチル-2-ブチル(-C(CHCHCH)、3-メチル-2-ブチル(-CH(CH)CH(CH)、3-メチル-1-ブチル(-CHCHCH(CH)、2-メチル-1-ブチル(-CHCH(CH)CHCH)、n-ヘキシル(-CHCHCHCHCHCH)、2-ヘキシル(-CH(CH)CHCHCHCH)、3-ヘキシル(-CH(CHCH)(CHCHCH))、2-メチル-2-ペンチル(-C(CHCHCHCH)、3-メチル-2-ペンチル(-CH(CH)CH(CH)CHCH)、4-メチル-2-ペンチル(-CH(CH)CHCH(CH)、3-メチル-3-ペンチル(-C(CH)(CHCH)、2-メチル-3-ペンチル(-CH(CHCH)CH(CH)、2,3-ジメチル-2-ブチル(-C(CHCH(CH)、3,3-ジメチル-2-ブチル(-CH(CH)C(CH)、n-ヘプチル、n-オクチルなど。
【0022】
用語「ハロゲン」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)またはヨウ素(I)を指す。
【0023】
用語「1~5個の炭素原子を含むアルコキシ」は、酸素原子を介して分子の残りの部分に結合したアルキル基を指し、ここで、アルキル基は上記で定義された通りである。特に別途示されない限り、アルコキシ基は1~5個の炭素原子を含み得る。
【0024】
アルコキシ基の例は、以下を含むが、これに限定されるものではない:メトキシ(MeO、-OCH)、エトキシ(EtO、-OCHCH)、1-プロポキシ(n-PrO、n-プロポキシ、-OCHCHCH)、2-プロポキシ(i-PrO、i-プロポキシ、-OCH(CH)、1-ブトキシ(n-BuO、n-ブトキシ、-OCHCHCHCH)、2-メチル-l-プロポキシ(i-BuO、i-ブトキシ、-OCHCH(CH)、2-ブトキシ(s-BuO、s-ブトキシ、-OCH(CH)CHCH)、2-メチル-2-プロポキシ(t-BuO、t-ブトキシ、-OC(CH)、1-ペンチルオキシ(n-ペンチルオキシ、-OCHCHCHCHCH)、2-ペンチルオキシ(-OCH(CH)CHCHCH)、3-ペンチルオキシ(-OCH(CHCH)など。
【0025】
用語「医薬上許容される塩」とは、本発明による化合物の有機塩および無機塩を意味する。医薬上許容される塩は、次の文献に列挙されるもののように我々に知られているものである。S.M. Berge et al., J. Pharmaceutical Sciences, 66: 1-19, 1977。無毒性酸によって形成される医薬上許容される塩は、これに限定されるものではないが、無機酸との反応によって形成される塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩を含み、また、有機酸との反応により形成される塩、例えば、酢酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩を含み、これらの塩はイオン交換の様な文献に列挙される他の方法から得ることができる。他の医薬上許容される塩は、これに限定されるものではないが、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、環状ペンチルプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、リン酸グリセリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、チオシアン酸塩、p-メチルベンゼンスルホン酸塩、ウンデシル酸塩、吉草酸塩などを含む。適切な塩基から得られる塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびN(C1-4アルキル)を含むが、それに限定されるものではない。
【0026】
用語「治療」は、疾患または障害の寛解(すなわち、疾患またはその少なくとも一つの臨床症状の発現の緩徐化または予防または低減)を指し得る。他の実施態様において、「治療」は、患者が知覚し得ない物理的パラメーターを含む少なくとも一つの物理的パラメーターの軽減または寛解を指す。他の実施態様において、「治療」は、物理的に(例えば、目に見える症状の安定化)もしくは生理的に(例えば、身体のパラメーターの安定化)、またはその双方による疾患または障害の調節を指す。他の実施態様において、「治療」は、疾患または障害の発症、発生または増悪の予防または遅延を指す。
【0027】
用語「予防」は、疾患または障害を発現するリスクの減少(すなわち、この疾患に直面し得る、または直面する傾向にあり得るが、疾患の症状をまだ経験していないか、症状がまだ現れていない対象者における疾患の少なくとも一つの臨床症状の発現の中断)を指す。
【0028】
本発明の医薬上許容される塩は、従来の化学手順を通じて、親化合物の塩基性または酸性部分から調製し得る。通常、そのような塩は、遊離酸の形態の化合物と化学量論的に適切な塩基(例えば、Na、Ca、MgもしくはKの炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物など)との反応を通じて、または遊離塩基の形態の化合物と化学量論的に適切な酸との反応を通じて調製され得る。そのような反応は、しばしば水、有機溶媒またはそれらの混合物中で実施される。一般に、適切な場合、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールおよび/またはアセトニトリルなどの非水媒体が必要とされる。他の適切な塩の一覧は、例えば、「Remington' s Pharmaceutical Sciences」第20版、Mack Publishing Company出版、イーストン、ペンシルベニア州、(1985年);ならびに「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties, Selection, and Use」、StahlおよびWermuth著(Wiley-VCH出版、ヴァインハイム、ドイツ、2002年)に見出すことができる。
【0029】
ここで用いられる用語「代謝産物」は、特定の化合物またはその塩が生体内で代謝されて得られる産物を意味する。化合物の代謝産物は当該分野で一般的に知られている技術を用いて特定することができ、その活性は本発明で述べられる実験的方法を用いて特徴づけることができる。そのような産物は、投与された化合物から、酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド、エステル化、脱エステル化、酵素裂開などの方法によって得られてもよい。従って、本発明の化合物の代謝産物は本発明に含まれ、例としては、本発明の化合物が哺乳類とある期間、十分に接触することによって産生される代謝産物が挙げられる。
本発明の化合物の立体異性体、互変異性体、酸化窒素、溶媒和物(例えば水和物)、代謝産物など、またはその塩は本発明に含まれるものと理解される。これらの剤形は、好ましくは医薬上許容されるものである。
【0030】
本発明で使われる用語「プロドラッグ」は、生体内で式Iの化合物に変換することができる化合物を指す。そのような変換は、血中の薬物前駆体を加水分解することにより、あるいは血中または組織中の薬物前駆体の酵素変換により行われて親分子となる。以下の文献は、薬物前駆体に関する詳細な考察のために参照としてもよい。Higuchi等、Pro-drugs as Novel Delivery Systems、第14巻、米国化学会シンポジウムシリーズ、Roche等編集、Bioreversible Carriers in Drug Design、米国製剤協会 およびペルガモン・プレス社(1987年); Rautio等、Prodrugs:Design and Clinical Applications、Nature Reviews Drug Discovery、2008、7、255-270、Hecker等、Prodrugs of Phosphates and Phosphonates, J. Med. Chem.、2008、51、2328-2345。それぞれの文献の開示は、ここに参照としてその全体が本明細書に援用される。
【0031】
本発明の化合物
式Iの化合物、またはその医薬上許容される塩もしくはプロドラッグが提供される。
【化3】
〔式中、
Xは、C、O、NまたはNHであり;
Zは、-(CH-であり、これは非置換であるか、アルキル、シアノ、ヒドロキシ、およびハロゲンからなる群から選択される1個または複数の置換基で置換されており、nは2~7の整数であり;
およびRは、それぞれ独立に、水素、1~5個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルキルであり、前記アルキルは、アルキル、シアノ、ヒドロキシおよびハロゲンからなる群から選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく;
は、水素、ハロゲン、または1~5個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐アルキルであり、前記アルキルは、アルキル、シアノ、ヒドロキシおよびハロゲンからなる群から選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく;
Pは、CHまたはNであり;
Arは、式II~VIIからなる群から選択される基であり:
【化4】
LおよびMは、独立に、CHまたはNであり;
Qは、OまたはSであり;
、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、1~5個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐アルキル、または1~5個の炭素原子を含むアルコキシであり、前記アルキルおよびアルコキシは、アルキル、シアノ、ヒドロキシおよびハロゲンからなる群から選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよい〕。
【0032】
実施態様において、式IのRおよびRは、それぞれ独立に、水素、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、イソブチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチルまたはトリフルオロプロピルである。
【0033】
もう一つの実施態様において、式IのRは、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、n-ブチルまたはイソブチルである。
【0034】
もう一つの実施態様において、式IのR、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン化C1-5アルキル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、塩素、フッ素または臭素である。
【0035】
好ましい実施態様において、ハロゲン化C1-5アルキルは、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、トリフルオロプロピルまたはトリフルオロブチルである。
【0036】
実施態様において、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。
【0037】
本発明の好ましい実施態様において、
Xは、C、O、NまたはNHであり;
Zは、-(CH-であり、これは非置換であるか、1個または複数のヒドロキシで置換されており、nは2~5の整数であり;
は、水素、メチルまたはエチルであり;
は、水素、メチルまたはエチルであり;
は、水素、メチルまたはフッ素である。
【0038】
特に、以下の化合物の少なくとも一つ、またはその医薬上許容される立体異性体、互変異性体、酸化窒素、溶媒和物(例えば水和物)、代謝産物、塩もしくはプロドラッグが提供される:
【化5】
【0039】
医薬組成物および投与
式Iの化合物または医薬上許容される塩、および医薬上許容される賦形剤、担体、アジュバント、溶媒またはそれらの組合せを含んでなる、医薬組成物が提供される。
【0040】
本発明による医薬組成物は、いずれかの適切な経路、例えば、カプセル剤の形態での経口投与、注射剤の形態での非経口投与、軟膏またはローションの形態での局所適用、坐剤の形態での直腸適用、およびパッチ送達システムの形態での経皮投与を通じて投与することができる。
【0041】
本発明の実施態様によれば、有効量の本発明の化合物またはその医薬上許容される塩は、不活性希釈剤などの担体とともに経口投与し得る。適切な医薬上許容される担体の例としては、限定されるものではないが、不活性固体の増量剤または希釈剤および無菌の水溶液または有機溶液が挙げられる。本発明のいくつかの実施態様によれば、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩は、ゼラチンカプセル剤に封入てもよく、または打錠してもよい。経口治療の目的で、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩は、賦形剤とともに使用してもよく、例えば、錠剤、トローチ剤、カプセル剤、懸濁液、シロップなどの形態で使用し得る。
【0042】
本発明の化合物は、適切な固体または液体の担体または希釈剤と組み合わせて、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、シロップ、溶液などを形成することができる。錠剤、丸剤、カプセル剤などのそのような形態は、約0.01~約99wt%の有効成分(例えば、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩)ならびにゼラチン、コーンスターチ、アラビアガムなどの結合剤;リン酸水素カルシウムなどの賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプンまたはアルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;およびショ糖、乳糖などの甘味剤を含み得る。カプセル剤を使用する場合、例えば、脂肪および油などの液体担体も含まれ得る。非経口投与に用いる場合、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩は、無菌の水性または有機性媒体と組み合わせて、注射用の溶液または懸濁液を形成し得る。
【0043】
本発明の実施態様によれば、製剤は、少なくとも0.5wt%の本発明の化合物またはその医薬上許容される塩を含み得るが、剤形の特定の変形態様によれば、約4wt%~約70wt%の範囲も有益であり得る。本発明の好ましい経口単位用量は、1.0~300ミリグラムの本発明の化合物またはその医薬上許容される塩を含み得る。
【0044】
本発明の医薬組成物は、各単位用量において約0.01~1000mgの有効成分を提供し得る。本発明の化合物の量は、疾患または障害の種類および重篤度によって異なり、対象者の特徴、例えば、健康状態、年齢、性別、体重および薬剤耐性によっても異なる。
当業者は、これらの要因または他の要因に基づき、適切な投与量を決定することができる。一般に使用される中枢神経系薬の有効な用量は、当業者に周知である。総一日量は、通常約0.05~2000mgである。
【0045】
薬効
本発明の化合物は、D、5HT1Aおよび5HT2Aに対して高親和性であり、従って、抗神経精神疾患活性、すなわち、神経精神疾患、特に統合失調症の治療または予防に対する効果を有することが、インビトロ受容体結合試験から示されている。一方、本発明の化合物は、Hに対して低親和性であり、(肥満のリスクを低下させる)、薬剤の有効性を増加させることができ(例えば、陰性症状の改善)、副作用(例えば、EPS、プロラクチン増加、体重増加およびQI間隔の延長)を低減することができる。好ましくは、本発明の化合物は、5HT受容体に対して高親和性であり、認知障害の改善に有益であり得る。
【0046】
動物試験では、本発明の化合物は、MK-801により誘発される高活性を有意に改善するだけでなく、有効な投与量でEPSを引き起こさずにアポモルフィンで誘発されるよじ登り症状も有効に改善できることを示し、これは本発明の化合物に顕著な抗統合失調症効果があることを示している。これらのインビトロ標的および生体内薬理モデルは、ドパミン機能障害により引き起こされる神経系疾患、特に統合失調症と密接に関連しているため、本発明の化合物は、神経精神疾患、特に統合失調症の治療または予防に対する効果があることが示唆される。
【0047】
一般的な合成スキーム
本発明の化合物においてXがCである場合、一般的な合成方法は、4-メトキシフェニルエチルアミンをクロロギ酸エチルと反応させ、これはメタンスルホン酸および五酸化二リンの存在下で自己環化し、アミドのNをヨードメタンによるメチル化に供し、臭化水素酸水溶液を用いてメトキシのメチルを脱メチル化した後、それぞれ1,3-ジブロモプロパンまたは1,4-ジブロモブタンと反応させ、最後に該当するピペラジンまたはピペリジンと反応させて目標生成物を得るという方法を含み得る。特定の反応経路は以下の通りである:
【化6】
【0048】
(a)EtN、CHCl、0℃~室温;(b)P、MSA(メタンスルホン酸)、10時間;(c)CHI、NaH、DMF;(d)HBr/HO;(e)KCO、アセトン;(f)KCO、CHCN。
【0049】
本発明の化合物においてXがNである場合(スキームにおいてYはNであり得る)、一般的な合成方法は、2-アミノ-5-ヒドロキシ安息香酸をそれぞれ無水酢酸およびN-メチルホルムアミドと反応させて生成物を得た後、それぞれ1,3-ジブロモプロパンまたは1,4-ジブロモブタンと反応させ、最後に該当するピペラジンまたはピペリジンと反応させて目標生成物を得るという方法を含み得る。特定の反応経路は以下の通りである:
【0050】
【化7】
【0051】
(a)ピロリジン、CHCN;(b)KCO、アセトン;(c)KCO、CHCN。
【実施例
【0052】
合成の実施例
本発明の具体例を以下に説明する。以下で説明する実施例は、例示的であり、これらに限定するよりもむしろ、本発明の説明の目的のためのみに提供するものである。別段の規定がない限り、比率および百分率は、ここにおいて重量に基づいて計算される。以下の合成例1~31は総て、上記の一般的方法に基づいて実施される。各実施例において調製された化合物を表1に示す。
【0053】
実施例1
7-(4-(4-(6-フルオロベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)ピペリジン-1-イル)ブトキシ)-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン (1)
(1)4-メトキシフェニルエチルアミン(0.1mol)をジクロロメタン(300mL)に溶解させ、混合物を氷浴中で0℃に冷却し、次いで、トリエチルアミン(20mL)を添加した後、クロロギ酸エチル(0.15mmol)をゆっくり滴下した。添加後、室温にて反応を12時間行った。反応が完了した後、反応溶液を水および10%希塩酸溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧下蒸発により除去した。残渣を石油エーテルで洗浄し、乾燥させ、20.3gの黄色の油状物を得た。
収率:91%。
MS(ESI) m/z 223.3([M+H]
【0054】
(2)五酸化二リン(0.2mol)をメタンスルホン酸(200mL)に溶解させ、次いで、工程(1)で調製した黄色の油状物(0.1mol)を数回に分けて添加した。
140℃にて反応を行った。反応が完了した後、反応溶液を氷水(500mL)に注ぎ終了させた。混合物をジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和炭酸ナトリウムで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧下蒸発により除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(溶出剤:石油エーテル:酢酸エチル=10:1)に供し、12.9gの帯褐色の油状物を得た。収率:73%。
MS(ESI) m/z 177.1([M+H]
【0055】
(3)0.2molの水酸化ナトリウムを200mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解させ、次いで、工程(2)で調製した油状物(0.1mol)を添加した。反応物を氷浴中で0.5時間撹拌し、次いで、ヨードメタン(0.15mol)をゆっくり滴下した。添加が完了した後、室温にて反応を10時間行った。反応が完了した後、反応溶液を1Lの氷水に注いで反応を終了させた。酢酸エチルによる抽出を行った。有機層を飽和生理食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を回転蒸発により除去し、17.8gの褐色の固体を得た。収率:93%。
MS(ESI) m/z 191.1([M+H]
【0056】
(4)工程(3)で調製した褐色の固体(0.1mmol)を、48%臭化水素酸水溶液(100mL)中で100℃にて10時間反応させた。反応が完了した後、水を添加して反応を終了させた。混合物を酢酸エチルで抽出し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を回転蒸発により除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(溶出剤:石油エーテル:酢酸エチル=1:1)に供し、8.1gの帯褐色の固体を得た。収率:46%。
MS(ESI) m/z 177.2([M+H]
【0057】
(5)アセトン(200mL)に、工程(4)で調製した帯褐色の固体(0.1mmol)、1,3-ジブロモプロパン(0.12mmol)および炭酸カリウム(0.3mmol)を添加した。反応物を12時間還流した。反応が完了した後、吸引濾過を行って有機溶液を得、次いで、減圧下で蒸発乾固した。残渣をカラムクロマトグラフィー(溶出剤:石油エーテル:酢酸エチル=10:1)に供し、26.4gの淡黄色の油状物を得た。
収率:89%。
MS(ESI) m/z 297.0([M+H]
【0058】
(6)アセトニトリル(50mL)に、工程(5)で調製した淡黄色の油状物(2mmol)、6-フルオロ-3-(ピペリジン-4-イル)ベンゾ[d]イソキサゾール(2mmol)および炭酸カリウム(6mmol)を添加した。反応物を10時間還流した。
反応が完了した後、吸引濾過を行って有機溶液を得た。アセトニトリルを蒸発乾固した。
残渣をカラムクロマトグラフィー(溶出剤:CHCl:メタノール=10:1)に供し、0.38gの黄色の油状物を得た。収率:87%。
【0059】
MS(ESI) m/z 437.2([M+H])。構造式は表1に番号(1)として示す。
H-NMR(600MHz,CDCl)δ1.74-1.87(m,8H),2.05-2.19(m,6H),2.48(t,2H,J=12Hz),2.93(t,2H,J=12Hz),3.07-3.11(m,2H),3.16(s,3H),3.55(t,2H,J=12Hz),4.06(t,2H,J=6Hz),6.96-6.98(m,1H),7.04-7.09(m,2H),7.24-7.26(m,1H),7.61(d,1H,J=6Hz),7.73-7.74(m,1H).MS(ESI) m/z 452.2([M+H]).
H-NMR(600MHz,CDCl)δ1.74-1.86(m,8H),2.55-2.56(m,2H),2.71-2.73(m,2H),2.93(t,2H,J=12Hz),3.10(t,2H,J=12Hz),3.14(s,3H),3.53(t,2H,J=12Hz),4.03(t,2H,J=6Hz),6.94-6.97(m,2H),7.05-7.16(m,3H),7.58(d,1H,J=6Hz).MS(ESI) m/z 462.1([M+H]).
【0060】
実施例2
7-(4-(4-(2-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル)ブトキシ)-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(2)
6-フルオロ-3-(ピペリジン-4-イル)ベンゾ[d]イソキサゾールの代わりに、1-(2-メトキシフェニル)ピペラジンを原料として使用して、実施例1の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(2)として示す。
【0061】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ1.72-1.86(m,4H),2.50(t,2H,J=12Hz),2.69-2.70(m,3H),2.94(t,2H,J=12Hz),3.12-3.16(m,2H),3.18(s,3H),3.54(t,2H,J=12Hz),3.87(s,3H),4.05(t,2H,J=6Hz),6.86-6.88(m,1H),6.91-7.07(m,5H),7.61(d,1H,J=6Hz).MS(ESI) m/z 424.3([M+H]).
【0062】
実施例3
2-メチル-7-(4-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)ブトキシ)-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(3)
6-フルオロ-3-(ピペリジン-4-イル)ベンゾ[d]イソキサゾールの代わりに、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)を原料として使用して、実施例1の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(3)として示す。
【0063】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ1.73-1.88(m,4H),2.21-2.22(m,2H),2.50(t,2H,J=12Hz),2.64-2.66(m,3H),2.94(t,2H,J=12Hz),3.18(s,3H),3.26-3.28(m,3H),3.55(t,2H,J=12Hz),4.06(t,2H,J=6Hz),6.96-6.98(m,1H),7.06-7.10(m,3H),7.12-7.14(m,1H),7.34-7.36(m,1H),7.61(d,1H,J=6Hz).MS(ESI) m/z 462.2([M+H]).
【0064】
実施例4
7-(3-(4-(6-フルオロベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)ピペリジン-1-イル)-2-ヒドロキシプロポキシ)-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(4)
1,4-ジブロモブタンの代わりに、2-(クロロメチル)オキシランを使用して、実施例1の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(4)として示す。
【0065】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ1.22-1.25(m,2H),2.09-2.13(m,4H),2.24-2.26(m,1H),2.53-2.65(m,3H),2.94(t,2H,J=12Hz),3.13-3.17(m,4H),3.19(s,3H),3.21-3.23(m,2H),3.53(t,2H,J=12Hz),4.05-34.17(m,2H),7.03-7.11(m,3H),7.21-7.26(m,1H),7.64(d,1H,J=6Hz),7.70-7.72(m,1H).MS(ESI) m/z 453.3([M+H]).
【0066】
実施例5
7-(3-(4-(6-フルオロベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)ピペリジン-1-イル)プロポキシ)-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(5)
1,4-ジブロモブタンの代わりに、1,3-ジブロモプロパンを使用して、実施例1の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(5)として示す。
【0067】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ2.02-2.19(m,8H),2.60(t,2H,J=12Hz),2.96(t,2H,J=12Hz),3.09-3.11(m,3H),3.18(s,3H),3.56(t,2H,J=12Hz),4.11(t,2H,J=6Hz),6.98-7.00(m,1H),7.06-7.10(m,2H),7.24-7.26(m,1H),7.64(d,1H,J=6Hz),7.74-7.76(m,1H).MS(ESI) m/z 438.2([M+H]).
【0068】
実施例6
2-メチル-7-(3-(4-(ナフタレン-1-イル)ピペラジン-1-イル)プロポキシ)-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(6)
1,4-ジブロモブタンの代わりに1,3-ジブロモプロパンを、6-フルオロ-3-(ピペリジン-4-イル)ベンゾ[d]イソキサゾールの代わりに1-(ナフタレン-1-イル)ピペラジンを原料として使用して、実施例1の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(6)として示す。
【0069】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ1.83-2.07(m,4H),2.58-2.67(m,4H),2.94(t,2H,J=12Hz),3.16(s,3H),3.21-3.25(m,4H),3.56(t,2H,J=12Hz),4.10(t,2H,J=6Hz),6.89-7.10(m,6H),7.27-7.29(m,2H),7.62(d,1H,J=6Hz),7.74-7.76(m,2H).MS(ESI) m/z 430.2([M+H]).
【0070】
実施例7
7-(3-(4-(6-フルオロベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)ピペリジン-1-イル)プロポキシ)-2-エチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(7)
ヨードメタンの代わりにヨードエタンを、1,4-ジブロモブタンの代わりに1,3-ジブロモプロパンを使用して、実施例1の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(7)として示す。
【0071】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ1.78(t,3H,J=12Hz),2.01-2.18(m,8H),2.61(t,2H,J=12Hz),2.95(t,2H,J=12Hz),3.09-3.14(m,5H),3.56(t,2H,J=12Hz),4.10(t,2H,J=6Hz),6.97-7.00(m,1H),7.07-7.10(m,2H),7.24-7.26(m,1H),7.65(d,1H,J=6Hz),7.75-7.77(m,1H).MS(ESI) m/z 453.2([M+H]).
【0072】
実施例8
7-(3-(4-(6-フルオロベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)ピペリジン-1-イル)プロポキシ)-2,5-ジメチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(8)
4-メトキシフェニルエチルアミンの代わりに2-メチル-4-メトキシフェニルエチルアミンを、1,4-ジブロモブタンの代わりに1,3-ジブロモプロパンを使用して、実施例1の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(8)として示す。
【0073】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ2.01-2.18(m,8H),2.60(t,2H,J=12Hz),2.71(s,3H),2.95(t,2H,J=12Hz),3.09-3.12(m,3H),3.18(s,3H),3.57(t,2H,J=12Hz),4.10(t,2H,J=6Hz),6.96-7.00(m,1H),7.07-7.11(m,1H),7.24-7.25(m,1H),7.66(d,1H,J=6Hz),7.75-7.78(m,1H).MS(ESI) m/z 453.1([M+H]).
【0074】
実施例9
5-フルオロ-7-(3-(4-(6-フルオロベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)ピペリジン-1-イル)プロポキシ)-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(9)
2-フルオロ-4-メトキシフェニルエチルアミンを使用し、1,4-ジブロモブタンの代わりに1,3-ジブロモプロパンを使用して、実施例1の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(9)として示す。
H-NMR(600MHz,CDCl)δ2.03-2.20(m,10H),2.62(t,2H,J=12Hz),2.97(t,2H,J=12Hz),3.09-3.12(m,3H),3.19(s,3H),3.56(t,2H,J=12Hz),4.12(t,2H,J=6Hz),7.02-7.11(m,2H),7.24-7.27(m,1H),7.66(d,1H,J=6Hz),7.75-7.78(m,1H).MS(ESI) m/z 453.3([M+H]).
【0075】
実施例10
7-(3-(4-(6-フルオロベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)ピペリジン-1-イル)プロポキシ)-2,4-ジメチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン (10)
4-メトキシフェニルエチルアミンの代わりに2-(4-メトキシフェニル)プロパン-1-アミンを、1,4-ジブロモブタンの代わりに1,3-ジブロモプロパンを使用して、実施例1の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(10)として示す。
【0076】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ1.75(d,3H,J=8Hz),2.01-2.19(m,8H),2.61(t,2H,J=12Hz),2.95(t,2H,J=12Hz),3.08-3.10(m,3H),3.17(s,3H),3.55(t,2H,J=12Hz),4.10(t,2H,J=6Hz),6.97-7.00(m,1H),7.05-7.10(m,2H),7.24-7.25(m,1H),7.63(d,1H,J=6Hz),7.74-7.76(m,1H).MS(ESI)
m/z 438.2([M+H]).
【0077】
実施例11
6-(3-(4-(6-フルオロベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)ピペリジン-1-イル)プロポキシ)-3-メチル-2H-ベンゾ[e][1,3]オキサジン-4(3H)-オン(11)
4-メトキシフェニルエチルアミンの代わりに(4-メトキシフェノキシ)メタンアミンを、1,4-ジブロモブタンの代わりに1,3-ジブロモプロパンを使用して、実施例1の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(11)として示す。
【0078】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ2.01-2.19(m,4H),2.62(t,2H,J=12Hz),2.96(t,2H,J=12Hz),3.10-3.12(m,3H),3.19(s,3H),3.57(t,2H,J=12Hz),4.12(t,2H,J=6Hz),4.18(s,2H),7.00-7.09(m,3H),7.24-7.27(m,1H),7.66(d,1H,J=6Hz),7.74-7.77(m,1H).MS(ESI) m/z 440.2([M+H]).
【0079】
実施例12
7-(3-(4-(6-フルオロベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)ピペリジン-1-イル)プロポキシ)-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(12)
ヨードメタンを使用せずに、1,4-ジブロモブタンの代わりに1,3-ジブロモプロパンを使用して、実施例1の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(12)として示す。
【0080】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ2.03-2.20(m,8H),2.61(t,2H,J=12Hz),2.96(t,2H,J=12Hz),3.08-3.11(m,3H),3.57(t,2H,J=12Hz),4.10(t,2H,J=6Hz),6.97-7.00(m,1H),7.07-7.10(m,2H),7.25-7.27(m,1H),7.64(d,1H,J=6Hz),7.74-7.76(m,1H).MS(ESI) m/z 424.3([M+H]).
【0081】
実施例13
7-(3-(4-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)ピペラジン-1-イル)プロポキシ)-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン
(13)
1,4-ジブロモブタンの代わりに1,3-ジブロモプロパンを、6-フルオロ-3-(ピペリジン-4-イル)ベンゾ[d]イソキサゾールの代わりに1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)ピペラジンを原料として使用して、実施例1の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(13)として示す。
【0082】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ1.80-2.02(m,8H),2.57(t,2H,J=12Hz),2.96(t,2H,J=12Hz),3.09-3.15(m,2H),3.19(s,3H),3.58(t,2H,J=12Hz),4.12(t,2H,J=6Hz),4.20(s,2H),6.98-7.00(m,1H),7.06-7.15(m,3H),7.63(d,1H,J=6Hz),7.98-8.02(m,2H).MS(ESI) m/z 424.3([M+H]).
【0083】
実施例14
7-(3-(4-(ベンゾ[d]イソチアゾール-3-イル)ピペラジン-1-イル)プロポキシ)-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(14)
1,4-ジブロモブタンの代わりに1,3-ジブロモプロパンを、6-フルオロ-3-(ピペリジン-4-イル)ベンゾ[d]イソキサゾールの代わりに3-(ピペラジン-1-イル)ベンゾ[d]イソチアゾールを原料として使用して、実施例1の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(14)として示す。
【0084】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ2.01-2.18(m,6H),2.61(t,2H,J=12Hz),2.97(t,2H,J=12Hz),3.09-3.13(m,4H),3.18(s,3H),3.57(t,2H,J=12Hz),4.11(t,2H,J=6Hz),6.97-7.00(m,2H),7.07-7.10(m,2H),7.23-7.26(m,1H),7.63(d,1H,J=6Hz),7.75-7.77(m,1H).MS(ESI) m/z 438.2([M+H]).
【0085】
実施例15
7-(3-(4-(キノリン-2-イル)ピペラジン-1-イル)プロポキシ)-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(15)
1,4-ジブロモブタンの代わりに1,3-ジブロモプロパンを、6-フルオロ-3-(ピペリジン-4-イル)ベンゾ[d]イソキサゾールの代わりに3-(ピペラジン-1-イル)ベンゾ[d]イソチアゾールを原料として使用して、実施例1の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(14)として示す。
【0086】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ1.81-2.06(m,4H),2.59-2.65(m,4H),2.94(t,2H,J=12Hz),3.18(s,3H),3.21-3.25(m,4H),3.57(t,2H,J=12Hz),4.11(t,2H,J=6Hz),6.56-6.58(m,1H),6.85-7.10(m,5H),7.26-7.27(m,1H),7.63(d,1H,J=6Hz),7.74-7.76(m,2H).MS(ESI) m/z 431.2([M+H]).
【0087】
実施例16
2-メチル-7-(3-(4-フェニルピペラジン-1-イル)プロポキシ)-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(16)
1,4-ジブロモブタンの代わりに1,3-ジブロモプロパンを、6-フルオロ-3-(ピペリジン-4-イル)ベンゾ[d]イソキサゾールの代わりに1-フェニルピペラジンを原料として使用して、実施例1の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(16)として示す。
【0088】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ1.81-2.07(m,4H),2.59-2.67(m,4H),2.95(t,2H,J=12Hz),3.17(s,3H),3.22-3.25(m,4H),3.56(t,2H,J=12Hz),4.11(t,2H,J=6Hz),6.85-7.10(m,4H),7.26-7.27(m,1H),7.63(d,1H,J=6Hz),7.74-7.76(m,2H).MS(ESI) m/z 380.2([M+H]).
【0089】
実施例17
7-(3-(4-(4-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)プロポキシ)-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(17)
1,4-ジブロモブタンの代わりに1,3-ジブロモプロパンを、6-フルオロ-3-(ピペリジン-4-イル)ベンゾ[d]イソキサゾールの代わりに1-(4-クロロフェニル)ピペラジンを原料として使用して、実施例1の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(17)として示す。
【0090】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ2.03-2.08(m,2H),2.61-2.69(m,6H),2.96(t,2H,J=12Hz),3.09-3.12(m,4H),3.19(s,3H),3.56(t,2H,J=12Hz),4.10(t,2H,J=6Hz),6.97-7.00(m,1H),7.06-7.10(m,4H),7.39-7.42(m,2H),7.65(d,1H,J=6Hz).MS(ESI) m/z 414.2([M+H]).
【0091】
実施例18
7-(3-(4-(2-クロロフェニル)ピペラジン-1-イル)プロポキシ)-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(18)
1,4-ジブロモブタンの代わりに1,3-ジブロモプロパンを、6-フルオロ-3-(ピペリジン-4-イル)ベンゾ[d]イソキサゾールの代わりに1-(2-クロロフェニル)ピペラジンを原料として使用して、実施例1の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(18)として示す。
【0092】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ2.02-2.07(m,2H),2.60-2.69(m,6H),2.95(t,2H,J=12Hz),3.09-3.11(m,4H),3.18(s,3H),3.55(t,2H,J=12Hz),4.11(t,2H,J=6Hz),6.96-7.00(m,1H),7.06-7.10(m,2H),7.22-7.26(m,1H),7.35-7.38(m,1H),7.63(d,1H,J=6Hz).MS(ESI) m/z 414.3([M+H]).
【0093】
実施例19
7-(3-(4-(4-フルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)プロポキシ)-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(19)
1,4-ジブロモブタンの代わりに1,3-ジブロモプロパンを、6-フルオロ-3-(ピペリジン-4-イル)ベンゾ[d]イソキサゾールの代わりに1-(4-フルオロフェニル)ピペラジンを原料として使用して、実施例1の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(19)として示す。
【0094】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ2.04-2.08(m,2H),2.61-2.69(m,6H),2.97(t,2H,J=12Hz),3.10-3.12(m,4H),3.19(s,3H),3.57(t,2H,J=12Hz),4.12(t,2H,J=6Hz),6.99-7.02(m,1H),7.07-7.10(m,3H),7.40-7.44(m,2H),7.66(d,1H,J=6Hz).MS(ESI) m/z 398.2([M+H]).
【0095】
実施例20
7-(3-(4-(2-フルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)プロポキシ)-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(20)
1,4-ジブロモブタンの代わりに1,3-ジブロモプロパンを、6-フルオロ-3-(ピペリジン-4-イル)ベンゾ[d]イソキサゾールの代わりに1-(2-フルオロフェニル)ピペラジンを原料として使用して、実施例1の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(20)として示す。
【0096】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ1.73-2.07(m,4H),2.60-2.69(m,6H),2.96(t,2H,J=12Hz),3.13-3.15(m,4H),3.17(s,3H),3.57(t,2H,J=12Hz),4.11(t,2H,J=6Hz),6.947.10(m,6H),7.63(d,1H,J=6Hz).MS(ESI) m/z 398.2([M+H]).
【0097】
実施例21
7-(3-(4-(4-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル)プロポキシ)-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(21)
1,4-ジブロモブタンの代わりに1,3-ジブロモプロパンを、6-フルオロ-3-(ピペリジン-4-イル)ベンゾ[d]イソキサゾールの代わりに1-(4-メトキシフェニル)ピペラジンを原料として使用して、実施例1の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(21)として示す。
【0098】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ1.75-2.05(m,4H),2.61-2.69(m,6H),2.95(t,2H,J=12Hz),3.11-3.14(m,4H),3.17(s,3H),3.56(t,2H,J=12Hz),3.79(s,3H),4.11(t,2H,J=6Hz),6.85-7.00(m,5H),7.08-7.10(m,1H),7.63(d,1H,J=6Hz).MS(ESI)
m/z 410.2([M+H]).
【0099】
実施例22
7-(3-(4-(2-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル)プロポキシ)-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(22)
1,4-ジブロモブタンの代わりに1,3-ジブロモプロパンを、6-フルオロ-3-(ピペリジン-4-イル)ベンゾ[d]イソキサゾールの代わりに1-(4-メトキシフェニル)ピペラジンを原料として使用して、実施例1の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(22)として示す。
【0100】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ1.07-2.05(m,4H),2.61-2.68(m,6H),2.96(t,2H,J=12Hz),3.13-3.15(m,4H),3.18(s,3H),3.57(t,2H,J=12Hz),3.78(s,3H),4.11(t,2H,J=6Hz),6.88-7.10(m,6H),7.64(d,1H,J=6Hz).MS(ESI) m/z 410.3([M+H]).
【0101】
実施例23
2-メチル-7-(3-(4-(ピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)プロポキシ)-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(23)
1,4-ジブロモブタンの代わりに1,3-ジブロモプロパンを、6-フルオロ-3-(ピペリジン-4-イル)ベンゾ[d]イソキサゾールの代わりに1-(ピリジン-2-イル)ピペラジンを原料として使用して、実施例1の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(23)として示す。
【0102】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ1.98-2.03(m,2H),2.54-2.67(m,6H),2.91(t,2H,J=12Hz),3.13(s,3H),3.50-3.55(m,6H),4.08(t,2H,J=6Hz),6.58-6.84(m,2H),6.94-7.06(m,2H),7.44-7.46(m,1H),7.60(d,1H,J=6Hz),8.16-8.18(m,1H).MS(ESI) m/z 381.2([M+H]).
【0103】
実施例24
2-メチル-7-(3-(4-(ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)プロポキシ)-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(24)
1,4-ジブロモブタンの代わりに1,3-ジブロモプロパンを、6-フルオロ-3-(ピペリジン-4-イル)ベンゾ[d]イソキサゾールの代わりに2-(ピペラジン-1-イル)ピリミジンを原料として使用して、実施例1の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(24)として示す。
【0104】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ1.81-2.05(m,4H),2.59-2.67(m,4H),2.96(t,2H,J=12Hz),3.17(s,3H),3.54(t,2H,J=12Hz),3.84-3.88(m,4H),4.11(t,2H,J=6Hz),6.48-6.51(m,1H),6.97-7.10(m,2H),7.63(d,1H,J=6Hz),8.32(d,2H,J=6Hz).MS(ESI) m/z 382.3([M+H]).
【0105】
実施例25
7-(3-(4-(4-フルオロベンゾイル)ピペリジン-1-イル)プロポキシ)-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(25)
1,4-ジブロモブタンの代わりに1,3-ジブロモプロパンを、6-フルオロ-3-(ピペリジン-4-イル)ベンゾ[d]イソキサゾールの代わりに(4-フルオロフェニル)(ピペリジン-4-イル)メタノンを原料として使用して、実施例1の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(25)として示す。
【0106】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ1.82-2.02(m,6H),2.10-2.17(m,2H),2.55(t,2H,J=12Hz),2.92(t,2H,J=12Hz),3.00-3.05(m,2H),3.17(s,3H),3.53(t,2H,J=12Hz),4.06(t,2H,J=6Hz),6.94-6.97(m,1H),7.05-7.15(m,3H),7.60(d,1H,J=6Hz),7.95-7.98(m,2H).MS(ESI) m/z 425.3([M+H]).
【0107】
実施例26
6-(4-(4-ベンジルピペラジン-1-イル)ブトキシ)-3-メチルキナゾリン-4(3H)-オン(26)
(1)2-アミノ-5-ヒドロキシ安息香酸(0.1mol)およびN-メチルホルムアミドを160℃にて10時間反応させた。反応が完了した後、氷水を用いて反応を終了させた。酢酸エチルによる抽出を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。
溶媒を減圧下蒸発により除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(溶出剤:石油エーテル:酢酸エチル=1:1)に供し、13gの褐色の固体を得た。収率:74%。
MS(ESI) m/z 176.1([M+H])。
【0108】
(2)工程(1)で調製した褐色の固体(0.1mmol)、1,4-ジブロモブタン(0.12mmol)および炭酸カリウム(0.3mmol)をアセトン(200mL)に添加した。反応物を12時間還流した。反応が完了した後、吸引濾過を行って有機溶液を得、減圧下で蒸発乾固した。残渣をカラムクロマトグラフィー(溶出剤:石油エーテル:酢酸エチル=10:1)に供し、25.8gの淡黄色の油状物を得た。収率:87%。
MS(ESI) m/z 296.0([M+H])。
【0109】
(3)工程(2)で調製した淡黄色の油状物(2mmol)、ベンジルピペラジン(2mmol)および炭酸カリウム(6mmol)をアセトニトリル(50mL)に添加した。反応物を10時間還流した。反応が完了した後、吸引濾過を行って有機溶液を得た。アセトニトリルを蒸発乾固した。残渣をカラムクロマトグラフィー(溶出剤:CHCl:メタノール=10:1)に供し、0.78gの黄色の油状物を得た。収率:90%。
【0110】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ1.72-1.88(m,4H),2.49-2.57(m,8H),2.97(t,2H,J=12Hz),3.59(s,3H),3.61(s,2H),4.09(t,2H,J=6Hz),7.22-7.35(m,4H),7.63(d,2H,J=6Hz),7.95(d,2H,J=6Hz).MS(ESI) m/z 407.5([M+H]).
【0111】
実施例27
6-(4-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)ブトキシ)-3-メチルキナゾリン-4(3H)-オン(27)
1-ベンジルピペラジンの代わりに、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンを原料として使用して、実施例26の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(27)として示す。
【0112】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ1.81-1.95(m,4H),2.60-2.77(m,4H),2.93(t,2H,J=12Hz),3.59(s,3H),3.61(s,2H),4.12(t,2H,J=6Hz),7.02-7.14(m,4H),7.63(d,2H,J=6Hz),7.95(d,1H,J=6Hz)..MS(ESI) m/z 364.3([M+H]).
【0113】
実施例28
3-メチル-6-(4-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)ブトキシ)キナゾリン-4(3H)-オン(28)
1-ベンジルピペラジンの代わりに、1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジンを原料として使用して、実施例26の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(28)として示す。
【0114】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ1.75-1.95(m,4H),2.51(t,2H,J=12Hz),2.64(t,4H,J=12Hz),3.27(t,4H,J=12Hz),3.61(s,3H),4.14(t,2H,J=6Hz),7.06-7.14(m,2H),7.34-7.37(m,2H),7.65(d,2H,J=6Hz),7.97(s,1H).MS(ESI) m/z 461.3([M+H]).
【0115】
実施例29
6-(4-(4-(4-フルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)ブトキシ)-3-メチルキナゾリン-4(3H)-オン(29)
1-ベンジルピペラジンの代わりに、1-(4-フルオロフェニル)ピペラジンを原料として使用して、実施例26の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(29)として示す。
【0116】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ1.72-1.93(m,4H),2.48(t,2H,J=12Hz),2.63(t,4H,J=12Hz),3.12(t,4H,J=12Hz),3.58(s,3H),4.11(t,2H,J=6Hz),6.86-6.96(m,4H),7.32-7.37(m,2H),7.65(d,1H,J=6Hz),7.94(s,1H).MS(ESI) m/z 411.2([M+H]).
【0117】
実施例30
3-メチル-6-(4-(4-(ピリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ブトキシ)キナゾリン-4(3H)-オン(30)
1-ベンジルピペラジンの代わりに、1-(ピリジン-2-イル)ピペラジンを原料として使用して、実施例26の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(30)として示す。
【0118】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ1.75-1.93(m,4H),2.49(t,2H,J=12Hz),2.60(t,4H,J=12Hz),3.57(t,4H,J=12Hz),3.61(s,3H),4.13(t,2H,J=6Hz),6.61-6.66(m,2H),7.32-7.36(m,1H),7.46-7.50(m,1H),7.65(d,2H,J=6Hz),7.96(s,1H),8.19(d,1H,J=6Hz).MS(ESI) m/z 394.3([M+H]).
【0119】
実施例31
2,3-ジメチル-6-(3-(4-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)プロポキシ)キナゾリン-4(3H)-オン (31)
1,4-ジブロモブタンの代わりに1,3-ジブロモプロパンを、1-ベンジルピペラジンの代わりに1-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジンを原料として使用して、実施例26の方法に従って目標化合物を調製した。構造式は表1に番号(31)として示す。
【0120】
H-NMR(600MHz,CDCl)δ1.26-1.31(m,6H),2.51(t,2H,J=12Hz),2.64(t,4H,J=12Hz),2.82(s,3H),3.27(t,4H,J=12Hz),3.35-3.50(m,3H)3.65(s,3H),4.17(t,2H,J=6Hz),7.09-7.21(m,3H),7.34-7.37(m,2H),7.57(d,1H,J=6Hz),7.63(d,1H,J=6Hz),.MS(ESI) m/z 461.3([M+H]).
【0121】
【表1】
【0122】
薬理学的例
実施例32
5-HT 1A 膜の調製
ラットを断首した。氷上で脳から皮質を迅速に取り出し、そこに3mLの緩衝液(0.1%のアスコルビン酸、10μmのパージリンと4mMのCaClを含む0.05Mのトリス塩酸緩衝液)を加えた。ホモジナイゼーションを行い、次に、5mLの緩衝液(0.1%のアスコルビン酸、10μmのパージリンおよび4mMのCaClを含む0.05Mのトリス塩酸緩衝液)を加えた。インキュベーションは37℃にて10分間行った。
チューブの重さは、インキュベーション後にバランスを用いて調整した。遠心分離は12000rpmで4℃にて20分間行った。上澄みを捨て、3mLの緩衝液を加え、ボルテックスミキサーを用いて混合し、5mLの緩衝液を加えた。遠心分離は、3回繰り返した。遠心分離後、上澄みを捨て、沈殿物は後で使用するために-80℃で保存した。
【0123】
受容体結合試験の材料
放射性同位体リガンドH-8-OH-DPAT(67.0Ci/mmol)は、パーキンエルマー社から購入した。5-HTは、RBI社から購入した。GF/Cガラス繊維濾紙は、ワットマン社から購入した。輸入したトリスは一定分量に小分けした。PPO、POPOPはShanghai No.1 Reagent Factoryから購入した。脂溶性のシンチレーションカクテルは、Shanghai Reagent Factoryから購入した。多機能液体シンチレーションカウンターLS-6500(ベックマン社)を使用した。
【0124】
手順
(1)調製した膜は、適切な量の緩衝液を加え、ホモジナイザーを用いて均一に分散した。15本のチューブの中身を混ぜ合わせて100mLの容器に入れ、適切な量の緩衝液を加えて50mLの膜懸濁液とし、後で使用するために保存した。
【0125】
(2)各反応チューブに100μLの膜調製品と100μLの緩衝液を加えた。
【0126】
(3)全結合反応チューブ(TB)に100μLの緩衝液を加え、非特異的結合反応チューブ(NB)に100μLの5-HT(最終濃度10-5M)を加え、各試験化合物の特異的結合反応チューブ(SB)に100μLの試験化合物(最終濃度10-5M)を加えた。
【0127】
(4)各反応チューブ(各反応用に2本の同様なチューブを使用し、検体を加える時、チューブを氷中に置いた)に10μLの放射性リガンドH-8-OH-DPATをそれぞれ加えた。
【0128】
(5)各反応チューブを37℃にて10分間、インキュベートした。反応が完了した後、結合したリガンドを減圧下で迅速に濾過し、氷冷したアッセイ緩衝液で十分に洗浄した。
フィルターを取り出し、3mLのシンチレーション・バイアルに入れ、2mLのトルエン・シンチレーションカクテルを加えて混合した。
【0129】
(6)シンチレーション・バイアルを、測定するために液体シンチレーションカウンターに入れた。
【0130】
阻害率(I%)=(全結合反応チューブのcpm-化合物のcpm)/(全結合反応チューブのcpm-非特異的結合反応チューブのcpm)×100%
【0131】
化合物の各アッセイはデュプリケートで2回の個別の試験を行った。結果を表2に示す。
【0132】
実施例33
5-HT 2A 膜の調製
ラットを断首した。氷上で脳から皮質を迅速に取り出し、3mLの緩衝液(0.05Mのトリス塩酸緩衝液:6.05gのトリスを1000mLの再蒸留水に溶解し、濃塩酸でpH7.5に調整した)を加え、ホモジナイゼーションを行い、次に5mLの緩衝液を加えた。インキュベーションは37℃にて10分間行い、チューブの重さはインキュベーション後バランスを用いて調整した。遠心分離を12000rpmで4℃にて20分間行った後、上澄みを捨て、3mLの緩衝液を加えた。ボルテックスミキサーを用いて混合し、5mLの緩衝液を加えた。遠心分離を行った(3回繰り返した)。遠心分離した後、上澄みを捨て、沈殿物は後で使用するために-80℃で保存した。
【0133】
受容体結合試験の材料
放射性同位体リガンド[H]-ケタンセリン(67.0Ci/mmol)は、パーキンエルマー社から購入した。メチセルジドは、RBI社から購入した。GF/Cガラス繊維濾紙は、ワットマン社から購入した。輸入したトリスは一定分量に小分けした。PPOとPOPOPは、Shanghai No.1 Reagent Factoryから購入した;脂溶性のシンチレーションカクテルは、Shanghai Reagent Factoryから購入した。多機能液体シンチレーションカウンターLS-6500(ベックマン社)を使用した。
【0134】
手順
(1)調製した膜は、緩衝液を加え、ホモジナイザーを用いて均一に分散した。15本のチューブの中身を混ぜ合わせて100mLの容器に入れ、適切な量の緩衝液を加えて50mLの膜懸濁液とし、それを後で使用するために保存した。
【0135】
(2)各反応チューブに100μLの膜調製品と100μLの緩衝液を加えた。
【0136】
(3)全結合反応チューブ(TB)に100μLの緩衝液を加え、非特異的結合反応チューブ(NB)に100μLのメチセルジド(最終濃度10-5M)を加え、各試験化合物の特異的結合反応チューブ(SB)に100μLの試験化合物(最終濃度10-5M)を加えた。
【0137】
(4)各反応チューブ(各反応に2本の同様なチューブを使用し、検体を加える時、チューブを氷中に置いた)に、10μLの放射性リガンドH-ケタンセリンをそれぞれ加えた。
【0138】
(5)各反応チューブは、37℃にて15分間、インキュベートした。反応が完了した後、結合したリガンドを減圧下で迅速に濾過し、氷冷したアッセイ緩衝液で十分に洗浄した。フィルターを取り出し、3mLのシンチレーション・バイアルに入れ、2mLのトルエン・シンチレーションカクテルを加えて混合した。
【0139】
(6)シンチレーション・バイアルを測定するために液体シンチレーションカウンターに入れた。
【0140】
阻害率(I%)=(全結合反応チューブのcpm-化合物のcpm)/(全結合反応チューブのcpm-非特異的結合反応チューブのcpm)×100%
【0141】
化合物の各アッセイはデュプリケートで2回の個別の試験を行った。結果を表2に示す。
【0142】
実施例34
膜の調製
ラットを断首した。氷上で脳から線条体を迅速に取り出し、3mLの緩衝液(120mMのNaCl、5mMのKCl、1mMのMgCl、1mMのCaClを含む0.05Mのトリス塩酸緩衝液)を加え、ホモジナイゼーションを行い、次に5mLの緩衝液を加えた。ホモジナイズしたチューブの重さはバランスを用いて調整し、遠心分離した。上澄みを捨て、3mLの緩衝液を加えた。ボルテックスミキサーを用いて混合し、次に5mLの緩衝液を加えた。遠心分離を3回繰り返した。遠心分離後に上澄みを捨て、沈殿物は後で使用するために-80℃で保存した。
【0143】
受容体結合試験の材料
放射性同位体リガンドH-スピペロン(67.0Ci/mmol)は、パーキンエルマー社から購入した;ブタクラモールは、RBI社から購入した;GF/Cガラス繊維濾紙は、ワットマン社から購入した;輸入したトリスは一定分量に小分けした;PPOとPOPOPは、Shanghai No.1 Reagent Factoryから購入した;脂溶性のシンチレーションカクテルは、Shanghai Reagent Factoryから購入した;多機能液体シンチレーションカウンターLS-6500(ベックマン社)を使用した。
【0144】
手順
(1)調製した膜は、最初に適切な量の緩衝液を加え、ホモジナイザーを用いて均一に分散した。15本のチューブの中身を混ぜ合わせて100mLの容器に入れ、適切な量の緩衝液を加え50mLの膜懸濁液とし、後で使用するために保存した。
【0145】
(2)各反応チューブに、100μLの膜調製品と100μLの緩衝液を加えた。
【0146】
(3)全結合反応チューブ(TB)に100μLの緩衝液を加え、非特異的結合反応チューブ(NB)に100μLのブタクラモール(最終濃度10-5M)を加え、各試験化合物の特異的結合反応チューブ(SB)に100μLの試験化合物(最終濃度10-5M)を加えた。
【0147】
(4)各反応チューブ(各反応用に2本の同様なチューブを使用し、検体を加える時、チューブを氷中に置いた)に10μLの放射性リガンドH-スピペロンをそれぞれ加えた。
【0148】
(5)各反応チューブを37℃にて20分間、インキュベートした。反応が完了した後、結合したリガンドを減圧下で迅速に濾過し、氷冷したアッセイ緩衝液で十分に洗浄した。
フィルターを取り出し、3mLのシンチレーション・バイアルに入れ、2mLのトルエン・シンチレーションカクテルを加えて混合した。
【0149】
(6)シンチレーション・バイアルを測定するために液体シンチレーションカウンターに入れた。
【0150】
阻害率(I%)=(全結合反応チューブのcpm-化合物のcpm)/(全結合反応チューブのcpm-非特異的結合反応チューブのcpm)×100%
【0151】
化合物の各アッセイはデュプリケートで2回の個別の試験を行った。結果を表2に示す。
【0152】
実施例35:5-HT 受容体結合試験
5-HT 膜の調製
成体SDラットを断首した。氷上で脳から視床下部を迅速に取り出し、3mLの緩衝液(0.05Mのトリス塩酸緩衝液:6.05gのトリスを1000mLの再蒸留水に溶解し、濃塩酸を用いてpHを7.5に調整した)を加え、ホモジナイゼーションはレベル4で3~4秒間、4回行い、次に5mLの緩衝液を加えた。インキュベーションは37℃で10分間行い、チューブの重さはインキュベーション後、バランスを用いて調整した。遠心分離は4℃にて行い、上澄みを捨て、3mLの緩衝液を加えた。ボルテックスミキサーを用いて混合し、次に5mLの緩衝液を加えた。遠心分離を行った(3回繰り返した)。
遠心分離後、上澄みを捨て、沈殿物は後で使用するために-80℃で保存した。
【0153】
受容体結合試験の材料
放射性同位体リガンド[H]-5-CT(85.4Ci/mmol)は、パーキンエルマー社から購入した。(±)-ピンドロールは、RBI社から購入した。GF/Cガラス繊維濾紙は、ワットマン社から購入した。輸入したトリスは、一定分量に小分けした;PPOとPOPOPは、Shanghai No.1 Reagent Factoryから購入した;脂溶性のシンチレーションカクテルは、Shanghai Reagent Factoryから購入した。多機能液体シンチレーションカウンターLS-6500(ベックマン社)を使用した。
【0154】
手順
(1)調製した膜は、緩衝液を加え、ホモジナイザーを用いて均一に分散した。15本のチューブの中身を混ぜ合わせて100mLの容器に入れ、適切な量の緩衝液を加えて50mLの膜懸濁液とし、後で使用するために保存した。
【0155】
(2)各反応チューブに100μLの膜調製品と100μLの緩衝液を加えた。
【0156】
(3)全結合反応チューブ(TB)に100μLの緩衝液を加え、非特異的結合反応チューブ(NB)に100μLの(±)-ピンドロール(最終濃度10-5M)を加え、各試験化合物の特異的結合反応チューブ(SB)に100μLの試験化合物(最終濃度10-5M)を加えた。
【0157】
(4)各反応チューブ(各反応用に2本の同様なチューブを使用し、検体を加える時、それぞれを氷中に置いた)に10μLの放射性リガンドH-5-CTをそれぞれ加えた。
【0158】
(5)各反応チューブは25℃にて120分間インキュベートした。反応が完了した後、結合したリガンドを減圧下で迅速に濾過し、氷冷したアッセイ緩衝液を用いて十分に洗浄した。フィルターを取り出し、3mLのシンチレーション・バイアルに入れ、2mLのトルエン・シンチレーションカクテルを加えて混合した。
【0159】
(6)シンチレーション・バイアルを測定するために液体シンチレーションカウンターに入れた。
【0160】
阻害率(I%)=(全結合反応チューブのcpm-化合物のcpm)/(全結合反応チューブのcpm-非特異的結合反応チューブのcpm)×100%
【0161】
化合物の各アッセイはデュプリケートで2回の個別の試験を行った。結果を表2に示す。
【0162】
実施例36
ヒスタミンH 受容体膜の調製
モルモットを断首した。氷上でモルモットの小脳を迅速に取り出し、3mLの緩衝液(1.36gのリン酸二水素カリウムと0.1mol/Lの水酸化ナトリウム79mLに再蒸留水を加えて200mLの混合液にしたもの)を加えた。ボルテックスミキサーを用いて混合した。遠心分離は48000gで4℃にて10分間行った。上澄みを捨て沈殿物を得、洗浄するために緩衝液を再び加えた。遠心分離を3回繰り返した。遠心分離後、上澄みを捨て、沈殿物は後で使用するために-80℃で保存した。
【0163】
受容体結合試験の材料
放射性同位体リガンドH-ピリラミン(67.0Ci/mmol)は、パーキンエルマー社から購入した。プロメタジンは、RBI社から購入した。GF/Cガラス繊維濾紙は、ワットマン社から購入した。輸入したトリスは、一定分量に小分けした;PPOとPOPOPは、Shanghai No.1 Reagent Factoryから購入した;脂溶性のシンチレーションカクテルは、Shanghai Reagent Factoryから購入した。多機能液体シンチレーションカウンターLS-6500(ベックマン社)を使用した。
【0164】
手順
(1)調製した膜は、適切な量の緩衝液を加え、ホモジナイザーを用いて均一に分散した。15本のチューブの中身を混ぜ合わせて100mLの容器に入れ、適切な量の緩衝液(1.36gのリン酸二水素カリウムと0.1mol/Lの水酸化ナトリウム79mLに再蒸留水を加えて200mLの混合液にしたもの)を加え50mLの膜懸濁液とし、後で使用するために保存した。
【0165】
(2)各反応チューブに100μLの膜調製品を加えた。
【0166】
(3)全結合反応チューブ(TB)に100μLの緩衝液を加え、非特異的結合反応チューブ(NB)に100μLのプロメタジン(最終濃度10-5M)を加え、各試験化合物の特異的結合反応チューブ(SB)に100μLの試験化合物(最終濃度10-5M)を加えた。
【0167】
(4)各反応チューブ(各反応用に2本の同様なチューブを使用し、検体を加える時、チューブを氷中に置いた)に10μLの放射性リガンドH-ピリラミンをそれぞれ加えた。
【0168】
(5)各反応チューブを30℃にて60分間インキュベートした。反応が完了した後、結合したリガンドを減圧下で迅速に濾過し、氷冷したアッセイ緩衝液を用いて十分に洗浄した。フィルターを取り出し、3mLのシンチレーション・バイアルに入れ、2mLのトルエン・シンチレーション溶液を加えて混合した。
【0169】
(6)シンチレーション・バイアルを測定するために液体シンチレーションカウンターに入れた。
【0170】
阻害率(I%)=(全結合反応チューブのcpm-化合物のcpm)/(全結合反応チューブのcpm-非特異的結合反応チューブのcpm)×100%
【0171】
化合物の各アッセイはデュプリケートで2回の個別の試験を行った。結果を表2に示す。
【0172】
【表2】
【化8】
【0173】
結果は、本発明の化合物(特に化合物5)は、3つの受容体(D、5-HT1Aおよび5-HT2A)に対して強い親和性をもち、Hに対しては低い親和性をもち、5HTに対しては高い親和性をもつことを示している。体重増加の副作用のリスクは、リスペリドンに比べて低い。5HT受容体は、情動、学習および記憶を調節することができ、そのような受容体による作用は、認知障害の改善の機能に寄与し得る。
【0174】
実施例37:MK-801誘発高活性 - 化合物の生体内での抗統合失調症活性動物と試薬
健常な昆明種マウス(雄と雌の半々、体重(20±2)g)は、Qinglongshan Animal Cultivationセンター(南京市)から提供を受けた。
【0175】
アスコルビン酸は、Sinopharm Chemical Reagent Co.Ltd.から提供を受けた。
【0176】
MK-801は、シグマ社(米国)により製造された。製剤方法:1mg/mL規格の溶液にするために0.1%ビタミンCが使われた。
【0177】
陽性対照薬:ハロペリドール、クロザピン、リスペリドン、オランザピン、アリピプラゾール、ジプラシドン、クエチアピン。
Tween80(10%の濃度で)。
【0178】
手順
体重が適格なマウスを選択し、対照群、モデル群、陽性対照群(リスペリドン群)および薬物群に無作為に割り当てた。対照群マウスとモデル群マウスの胃内に10%Tweenを0.1mL/10g投与し、陽性対照群マウスの胃内にリスペリドンを0.1mg/kg投与し、薬物群マウスの胃内に相当する量の薬物をそれぞれ投与した。投与1時間後に、0.1%のアスコルビン酸を対照群マウスの腹膜内に0.1mL/10g注射し、モデル群マウス、陽性対照群マウス(30分)および薬物群マウスの腹膜内にMK-801溶液を0.1mg/kg注射した。その後、各群のマウスの自発活動を90分間に渡って測定した。結果を表3に示す。
【0179】
実施例38:マウスを用いたアポモルフィン誘発よじ登り試験
動物
健常なKMマウス(雄、体重:18~22g)は、Qinglongshan Animal Cultivationセンター(南京)から購入した。
【0180】
主要な試薬
陽性対照薬:ハロペリドール、クロザピン、リスペリドン、オランザピン、アリピプラゾール、ジプラシドン、クエチアピン。
【0181】
シグマ社から提供されたアポモルフィンを使用前に0.9%のNaCl(0.1%のビタミンCを含む)に溶解し、用時調製した。
【0182】
ビタミンC(F20061113)は、Sinopharm Chemical Reagent Co. Ltd.から購入した。
【0183】
塩化ナトリウム注射(H32026305)は、Xuzhou No.5 Pharmaceutical Factory社から購入した。
【0184】
機器:自製のよじ登りケージ、クロノグラフ。
【0185】
手順:マウスを用いたアポモルフィン誘発よじ登り試験
各群につきマウス10匹とし、KMマウス(雄、体重:18~22g)を陰性対照群、モデル群、各投与量の陽性対照群(リスペリドン、アリピプラゾール、ジプラシドン、クエチアピン、オランザピン、ハロペリドール、クロザピン)および各投与量の化合物群(詳細な投与量は以下の表に示す)に無作為に割り付けた。陰性対照群とモデル群の胃内にそれぞれ該当する溶媒、再蒸留水を投与し、陽性対照群の胃内に該当する陽性対照薬(少量の酢酸を最初に加え、次に溶解時に再蒸留水を加えた)を投与し、各投与量の化合物群の胃内に該当する投与量の化合物を投与した。胃内に投与される容量は0.1mL/10gとした。胃内投与の1時間後に、0.1mL/10gの容量でアポモルフィン(1mg/kg)を皮下注射した。アポモルフィン注射後、直ちに動物をよじ登りケージに入れた。5分間の順応後、アポモルフィン注射後10~11、20~21および30~31分のマウスの行動を観察、記録した。スコア基準:4本の足が床にある行動を0として記録した;2本の前足が檻の上にある行動を1として記録した;4本の足が檻の上にある行動を2として記録した。結果を表3に示す。
【0186】
実施例39:ラットの条件回避反応(CAR)モデル試験
動物
雄のSDラット約1700匹。
【0187】
最初に、シャトル箱を用いてラットを訓練した:
(1)ラットを5分間順応させた;
(2)条件刺激(CS、光およびノイズ)を開始し、20秒間継続した。10秒の時点で、無条件刺激(US、1.5mA電気ショック)を行い、10秒間継続した;
(3)訓練を1日30回、9日間行った。2回の訓練の間隔は、20~30秒間の範囲で無作為に設定した;
(4)観察の指標:
条件刺激中に動物が別の区画に移動した場合は、「回避」として記録した;
電気ショック中に動物が別の区画に移動した場合は、「逃避」として記録した;
電気ショック中に動物が別の区画に移動しなかった場合は、「逃避失敗」として記録した;
(5)適格な訓練の判定基準:回避率が3日間連続して(7、8および9日目)80%を上回っている。
【0188】
適格ラットのグループ分け:無作為化の原則に従って、適格ラットを、陰性対照群、各投与量の陽性対照群、および各投与量の化合物群に、各群8匹になるように割り付けた。
【0189】
投与方法:陰性対照群の胃内に該当する溶媒を投与した;各投与量の陽性対照群の胃内に該当する投与量の陽性対照薬を投与した;ならびに、各投与量の化合物群の胃内に該当する投与量の化合物を投与した。
【0190】
CAR試験:胃内投与の1時間後にCAR試験を実施した。方法は、CAR訓練と同一であった。観察の指標は、回避数、逃避数、および逃避失敗数であった。
【0191】
統計データ処理:試験データは平均±標準偏差(平均±SD)で示し、一元配置ANOVAと事後LSDの組み合わせにより比較を行った。ED50は、プロビット法を用いて算出した。結果を表4に示す。
【0192】
実施例40:カタレプシー試験
動物
健常な昆明種マウス(雄と雌が半数ずつ、体重(22±2)g)は、Qinglongshan Animal Cultivationセンター(南京)から購入した。
【0193】
主な試薬:被験薬、ハロペリドール、クロザピン、リスペリドン、オランザピン、アリピプラゾール、ジプラシドン。
【0194】
器具:自製の棒握り装置:マウスケージ内のステンレス製の棒(直径0.3cm、ベンチより5cm上)。
【0195】
手順
各群に10匹のマウスとして、KMマウス(雄と雌が半々、体重:20~24g)を陰性対照群、モデル群、各投与量の陽性対照群(リスペリドン、アリピプラゾール、ジプラシドン、クエチアピン、オランザピン、ハロペリドール、クロザピン)、各投与量の化合物群に無作為に割り付けた。陰性対照群とモデル群の胃内に該当する溶媒、再蒸留水を投与し、陽性対照群の胃内に該当する陽性対照薬(少量の酢酸を最初に加え、次に溶解時に再蒸留水を加えた)を投与し、それぞれの投与量の化合物群の胃内に該当する投与量の化合物を0.1mL/10gの容量で投与した。胃内投与の30分、60分、90分後に、マウスの2本の前足を棒(長さ20cm、直径0.3cm、ベンチより5.5cm上)の上に静かに置き、マウスの後足は箱の底部に置いた。マウスが2本の前足を棒にかけた姿勢を維持する時間を記録し、移動することなく痙縮が30秒間継続した場合を陽性反応とした。マウスが前足をどうしても下に降ろされなかった場合は、観察を60秒間で終了した。各投与量の化合物群において、陽性反応を示した動物数を数えた。結果を表3に示す。
【0196】
実施例41:急性毒性試験
逐次アッセイの限界試験:KMラットまたはマウス(雄と雌を半々)は、各化合物の2000mg/kg投与群と溶媒群(各群につき2~5匹のマウス)に無作為に割り付けた。0.2mL/10gを胃内に投与した。動物の死亡について、3日間に渡り観察した。
3匹以上の動物が、顕著な生活状態の異常なしに3日間生存した場合、7日間で試験が完了するまで観察を継続した。3匹以上の動物が3日間以内に死亡した場合には、致死量中央値からLD50を決定した。
【0197】
致死量中央値を求めるための事前試験:KMマウス(雄と雌を半々)をいくつかの群に無作為に割り付け(各群につき4匹のマウス)、それぞれのマウスに500mg/kg、200mg/kg、50mg/kgの各化合物を投与する群および溶媒群とし、0.2mL/10gを胃内に投与した。動物の死亡について1~3日間に渡って観察した。
【0198】
結果:本発明の化合物は、急性毒性が比較的低い。例えば、マウスに化合物5を胃内投与した時のLD50は257.5mg/kgであり、ラットに同化合物を胃内投与した時のLD50は167.5mg/kgである。治療指数は陽性対照薬のリスペリドンより有意に大きく、急性毒性が比較的低いことを示していた。結果を表3および表4に示す。
【0199】
【表3】
【0200】
【表4】
【0201】
動物試験の上記の結果は、陽性対照薬(リスペリドン)と比較した場合、本発明の化合物(特に化合物5、14、22)は、MK-801により誘発される高活性を有意に改善するだけでなく、アポモルフィンで誘発されるよじ登り症状も有効に改善することができることを示している。一方、それらはラットCARモデルにおいてリスペリドンよりも顕著に優れて実施され、有効な投与量でEPSを引き起こさず、顕著な抗統合失調症効果を示すとともに、従来の薬剤より優れた効果を示す。
【0202】
製剤実施例
実施例42:錠剤の剤形の調製
【0203】
【表5】
【0204】
賦形剤原料は、使用時に80メッシュの篩にかけた。処方用量の有効成分、微結晶性セルロース、乳糖、ポピドンK30を計量し、高速混合造粒機に投入し、低速で均一に混合した。適切な量の精製水を加え低速で撹拌し、高速剪断にて造粒した。湿潤した顆粒は60℃にて3時間乾燥し、24メッシュの篩にかけた。処方用量のカルボキシメチルスターチナトリウム、シリカおよびステアリン酸マグネシウムを加え、完全に混合した。回転式錠剤機を用いて、打錠した。