IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サイトダイン インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】代替処置としてのHIV抗体療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20220307BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
A61K39/395 U
A61P31/18
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020155978
(22)【出願日】2020-09-17
(62)【分割の表示】P 2017529600の分割
【原出願日】2015-08-20
(65)【公開番号】P2021004249
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2020-10-16
(31)【優先権主張番号】62/039,620
(32)【優先日】2014-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/192,941
(32)【優先日】2015-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517057384
【氏名又は名称】サイトダイン インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CYTODYN INC.
【住所又は居所原語表記】1111 Main Street, Suite 660, Vancouver, Washington 98660 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】スクーリー,ロバート ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ポーアハッサン,ネーデル ゼット.
【審査官】伊藤 基章
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0216526(US,A1)
【文献】JACOBSON, J.M. et al.,J Infect Dis,2010年,Vol.201,p.1481-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/395
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処置代替単独療法においてHIV-1感染対象を処置するための組成物であって、
前記組成物はPRO140を含み、
HIV-1感染対象が、
PRO140を投与すること;および4週間を超える期間にわたってウイルス学的応答の欠如を防止すること、
を含む処置代替単独療法の開始前に、抗レトロウイルス併用療法において安定である、
前記組成物。
【請求項2】
PRO140が、静脈内または皮下のいずれかに投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
PRO140が、350mgの量で皮下に投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
PRO140が、175mg/mLの濃度で皮下に投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
1週間に1回、2週間に1回、および1ヶ月に1回のうちの1つで、PRO140を投与することを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
HIV-1感染対象が、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月および1年のうちの1つの期間、PRO140を受ける、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
HIV-1感染対象が、少なくとも1年間PRO140を受ける、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
HIV-1感染対象が、PRO140単独療法の後に抗レトロウイルス併用療法に戻る、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
HIV-1感染対象に、ウイルス学的応答の欠如の防止を少なくとも約60%の見込みで、4週間を超える期間にわたって提供することをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
処置代替単独療法をHIV-1感染対象に提供することによって、薬物レジームの遵守を改善するための組成物であって、
前記組成物はPRO140を含み、
HIV-1感染対象が、
PRO140を投与すること;および4週間を超える期間にわたってウイルス学的応答の欠如を防止すること、
を含む処置代替単独療法の開始前に、抗レトロウイルス併用療法において安定である、
前記組成物。
【請求項11】
1週間に1回、2週間に1回、および1ヶ月に1回のうちの1つで、PRO140を投与することを含む、請求項10に記載の薬物レジームの遵守を改善するための組成物。
【請求項12】
HIV-1感染対象が、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月および1年のうちの1つの期間、PRO140を受ける、請求項10に記載の薬物レジームの遵守を改善するための組成物。
【請求項13】
PRO140が、350mgの量で皮下に自己投与される、請求項10に記載の薬物レジームの遵守を改善するための組成物。
【請求項14】
処置代替単独療法においてHIV-1感染対象を処置するための組成物であって、
前記組成物はPRO140を含み、
HIV-1感染対象が、
自己投与可能な投与形態で、PRO140を提供すること;
処置代替単独療法としてPRO140を投与すること;および
4週間を超える期間にわたってウイルス学的応答の欠如を防止すること、
を含む処置を伴う処置代替単独療法の開始前に、抗レトロウイルス併用療法において安定である、
前記組成物。
【請求項15】
ウイルス学的応答の欠如についてHIV-1感染対象を試験すること、およびウイルス学的応答の欠如の場合に他の抗HIV薬物による処置を再開すること
をさらに含む、請求項1、10および14のいずれか一項に記載のHIV-1感染対象を処置するための組成物。
【請求項16】
対象の体重に対してPRO140を約5mg/kg~約10mg/kgの間の用量さらに含む、請求項1、10および14のいずれか一項に記載のHIV-1感染対象を処置するための組成物。
【請求項17】
対象の体重に対してPRO140を約10mg/kgの用量さらに含む、請求項1、10および14のいずれか一項に記載のHIV-1感染対象を処置するための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2014年8月20日に出願された米国仮特許出願第62/039,620号および2015年7月15日に出願された米国仮特許出願第62/192,941号に対する優先権を主張し、それぞれの出願の内容は、この参照により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、HIV-1感染患者を処置するための処置代替としての、または処置の中断のための、抗体療法の使用に関する。具体的には、本発明は、HIV-1感染患者の処置のための単独療法としての、PRO140モノクローナル抗体療法などの抗体療法の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
1990年代半ばにおける高度に活性な抗レトロウイルス療法(HAART)の出現は、HIV患者の生存の劇的な上昇をもたらした。HAARTは現在の標準治療である。効果的かつ耐容性の高い抗レトロウイルス併用レジメンの開発における、過去20年間にわたってなされた大きな進歩により、疾患過程の初期フェーズで抗レトロウイルス療法を開始し、抗レトロウイルスレジメンを十分に遵守しているほとんどのHIV-1感染者は、10年単位で平均余命を予期することができる。抗レトロウイルス併用療法はHIV流行の様相を変え、医師が効果的な治療を提供することを可能にしたが、これらのレジメンのいくつかの問題と制限が現れてきた。現在、HIV/AIDS処置のために承認された30以上の薬物があり、それらはすべて、薬剤耐性;長期の罹患性に伴う副作用;免疫機能の不完全な回復;薬物相互作用;毎日の、生涯の遵守の要求を含む、共通の問題を抱えている。
【0004】
継続療法(CT)の最も重要な制限は、毎日の継続的な投薬の遵守の必要性および負担(challenge)であった。長年にわたる治療に伴うコンプライアンスの低下は、薬物耐性およびその後の処置選択肢の排除をもたらすことが知られている。
【0005】
さらに、望ましくない代謝作用がHIV処置のもう一つの懸念である。抗レトロウイルス療法を受けている患者間で心筋梗塞率が上昇しているという証拠がある。この対象に関する重要な研究はDAD研究(抗HIV薬物の有害事象に関するデータ収集)であり、すべてのタイプの抗レトロウイルス療法を受けている人々の冠動脈疾患のリスクが高いことを見出した(Law M, Friis-Moller N, Weber R, et al., Modelling the 3-year risk of myocardial infarction among participants in the Data Collection on Adverse Events of Anti-HIV Drugs (DAD) study, HIV MED. 2003;4:1-10)。DAD研究では、また抗HIV薬物の中止によってリスクの一部が低下することも見出された。抗レトロウイルス療法のさらなる代謝的なおよび一般的な副作用は、心血管合併症、脂肪萎縮、末梢神経障害および加速された肝疾患を含む(Julg B, Goebel FD, Treatment interruption in HIV therapy: a SMART strategy?, INFECTION, 2006; 34:186-188 ("Julg"))。
【0006】
さらに、CTの潜在的なリスクは、一般的に、高い割合の副作用、より困難な遵守(重要な患者集団の場合は特に)、およびより高い抗レトロウイルス療法の暴露に続く薬物選択肢の減少をもたらす潜在的な薬物耐性を含むと信じられている。CTに関する高額な投薬もまた問題であり続ける。
【0007】
効果的で単純化された維持レジメンの利用可能性は、遵守および/または慢性ヌクレオシド毒性を強いられているHIV-1感染者集団にとって有益であろう。
誘導レジメンを用いたウイルス複製の制御後の処置の単純化の可能性を評価するための多くの研究が行われている。これらの単純化の試みの大部分は、効果的な併用レジメンでのロピナビルまたはダルナビルなどの追加免疫されたプロテアーゼ阻害剤の代替に関係する。この戦略は、レジメンの単純化を受ける人々のかなりの部分で成功しているが、証拠の全体は、追加免疫されたプロテアーゼ阻害剤の維持療法は、一般に3薬物レジメンの維持よりも有効性が低いことを示している。成功の見込みに影響を及ぼす要因には、レジメンの単純化の前に抑制が成功している期間、および患者が単純化されたレジメンを遵守する程度が含まれる。
【0008】
一部の患者では、プロテアーゼ阻害剤のトラフ濃度の変動のために失敗する可能性があることも提示されているが、これは厳密に実施された研究では立証されていない。提起されたその他の懸念は、HIV-1プロテアーゼ阻害剤が、中枢神経系において抑制レベルを達成する能力を含む。現在のコンセンサスは、このアプローチは、慢性ヌクレオシド毒性および/または複雑な抗レトロウイルスレジメンの遵守に関する考慮事項が支配的である特定の患者集団のために用意しておくべきであるとしていると見受けられる。これらの状況において、遵守の重要性および血漿HIV-1のRNAレベルの密接なモニタリングの重要性が強調されている。HIV-1プロテアーゼ阻害剤の維持療法の場合、一般に、併用療法の再開によりレトロウイルス複製の制御の再確立が達成される。
【0009】
したがって、リスクを最小限に抑えながら利益を最大化するために、利用可能な抗レトロウイルス薬物の使用を最適化することができる戦略に対するニーズがある。間欠療法(IT)を含む代替処置(TS)は、抗レトロウイルス療法の最適化を試みる一つの方法である。ITのための2つの主な戦略が研究されている:時間規定およびCD4+細胞指針である。時間規定戦略には、QOL(quolity of life)を向上させ、服薬遵守を促進し、抗レトロウイルス薬物の曝露を減少させ、および、耐性の発達を最小限に抑えることを目指した、週末の投薬休暇および1ヶ月オン/1ヶ月オフスケジュールなどの所定の処置中断を含む。国立衛生研究所の抗レトロウイルス療法のための戦略(SMART)研究で使用されている、CD4+細胞指針戦略は、ITの開始点および停止点を決定するためにCD4+細胞数を利用する。言い換えれば、CD4+細胞数がある閾値を下回ると抗レトロウイルス治療が開始され、あるレベルを上回ると停止し、再びCD4+細胞数が閾値を下回ったときに再開される等々である。
【0010】
より少ない副作用、より良い遵守、改善された全体的な健康とQOLを含むTSおよびITの潜在的利益は、耐性の発達の増加の可能性、免疫系への持続的な損傷およびウイルス負荷の非抑制によるHIV伝染のリスクの増加を含む、潜在的なリスクと比較検討されるだろう。
【0011】
TS/IT研究
「抗レトロウイルス薬物療法を中断するHIV-1感染個体におけるMRY Ad5 HIV-1 GAGワクチンによる免疫化の抗レトロウイルス効果を評価するための第IIフェーズ二重盲検、ランダム化、プラセボ対照研究」と題したACTG5197試験の公表データに基づくと、ウイルス負荷は処置中断後4週間以内に増加する。Schooley, Robert T. et al., ACTG 5197: A Placebo Controlled Trial of Immunization of HIV-1 Infected Persons with a Replication Deficient Ad5 Vaccine Expressing the HIV-1 Core Protein, J. INFECT. DIS., September 1, 2010, 202(5): 705-716 ("Schooley")参照。CD4細胞数の減少における処置中断の影響もまた4週間後に観察され、実際にCD4細胞数の減少傾向は、図1~3に示すように、第1週までに観察することができる。この研究は、少なくとも24ヶ月間ウイルス負荷の抑制を維持し、500細胞/mm3を超えるCD4細胞数およびHIV-1 RNA<50コピー/mLを有する18~55歳(端点を含む)のHIV感染男性および女性に実施された。
【0012】
ウイルス負荷およびCD4数のこれら両方の変化を図1~3に示す。図1に示すように、50コピー/mLを下回るウイルス負荷およびそれらのCD4細胞数>500細胞/mm3を有する対象が処置中断を有する場合、4週間後、約50%が>500コピー/mLのウイルス負荷を有し;対象のほぼ100%が10週間までに>500コピー/mLのウイルス負荷を有する。図2は、16週間の期間にわたる平均ウイルス負荷およびそれらの95%信頼区間の実際の変化を示す。第3週後にウイルス負荷が明らかに増加し、第6週までにウイルス負荷が最高レベルに達し、第16週まで維持された。
【0013】
図1に示すように、500細胞/mm3を超えるCD4細胞数を有し、処置中断を有する対象において、CD4の減少傾向が第1週までに観察された。このCD4細胞数の減少傾向は継続し、処置中断の約4週間後には約10%の、そして第16週では30%を超えたウイルス負荷の減少が観察された。
【0014】
これとは別に、いくつかの研究がCD4+細胞および時間指針の両方のIT戦略の両方を調査したことが報告されている(Siegel L, El-Sadr W, New Perspective in HIV treatment Interruption: The SMART Study, PRN NOTEBOOK, vol. 11, no. 2, October 2006 ("Siegel"))。例えば、Staccato試験では、430人の患者をCTまたはITにランダム化した(Ananworanich J, Gayet-Ageron A, Le Braz M, et al., CD4- guided scheduled treatment interruptions compared to with continuous therapy for patients infected with HIV-1: results of the Staccato randomized trial, LANCET, 2006;368:459-465)。IT群の患者は、CD4+数が350細胞/mm未満に低下した時点で治療を開始し、CD4+数が350細胞/mmを超えると治療を中止した。この小規模の研究は、IT患者の5.8%が急性レトロウイルス症候群を経験したことを示した。IT群では、カンジダ症や血小板減少症などのHIV感染の軽微な所見がより一般的であった一方で、CT群では、下痢や神経障害を含む有害事象がより一般的であった。10人の患者(2.3%)が耐性変異を有しており、群間に差はなかった。抗レトロウイルス療法の費用は62%節約された(Julg)。
【0015】
さらに、ウインドウ-ANRS106試験ではウイルス負荷が検出不能およびCD4+数が450細胞/mmを超えるか、または同等である、抗レトロウイルス療法中の403人の患者を、CTまたは8週間のオフ/オンサイクルのITのいずれかを受けるよう無作為に割り当てたことが報告されている。主要エンドポイントである300細胞/mm未満のCD4+数には、CT群の1.5%と比較して、IT群において3.6%が達した。第96週には、CD4+数が450細胞/mmを超え、ウイルス負荷が400コピー/mLまたはそれ以下の患者の割合は、ITまたはCTで、それぞれ75%対92%および81%対90%であった。ITアームは、抗レトロウイルス薬の曝露を48.5%削減しながら、安全かつ過度の耐性がないと見られる旨、研究者らは結論付けた。
【0016】
別の研究であるANRS 1269 トリビカン試験では、抗レトロウイルス療法中の、CD4+数が350細胞/mmを超え、ウイルス負荷が検出されない326人の患者を、CTまたは2つのIT戦略、CD4+細胞数指針(350細胞/mmで停止し、250細胞/mmで再開)または時間指針(2ヶ月間オフ、4ヶ月間オン)、の1つにランダム化したことが報告されている。中間点では、CD4+細胞指針アームは、安全性の懸念のために早期に終了した。結果は、CD4+細胞指針群では、CT群と比較して、2倍高い重篤な疾病率を示し、将来の研究のためにより高いCD4数の閾値を利用することを推奨した。
【0017】
さらに別の研究であるISS PART試験では、273人の対象を、5つの異なる時間指針ITスケジュール(3カ月の処置後、1~3カ月の治療停止)またはCTの1つに無作為に割り当て、主要エンドポイントを、24ヶ月後におけるCD4+数が500細胞/mmを超える患者の割合としたことが報告されている。より多くのCT群の患者数が有意に主要エンドポイントに達し(86.5%対69.1%;P=.0075)、ウイルス学的応答の欠如は同様の割合であった。
【0018】
SMART研究と関連して、CTとCD4+細胞ガイドITとの2アームの処置比較の結果も報告されている。CTアームの目標は、抗レトロウイルス療法を使用して、CD4+細胞数にかかわらず、検出不能なウイルス負荷を達成および維持することであった。ITアームの目標は、CD4+数が250細胞/mm未満になるまで治療を延期し、CD4+数が350細胞/mmを超えるまで処置を継続し、その後停止および再開を、このCD4+細胞数のカットオフを用いて行うことであった。SMART試験に参加した患者は、現在のCD4数が350細胞/mmを超えることが要求された(CD4+数最下点はより低いことが許容された)。彼らは、オープンラベルの方法で、CTまたはITのいずれかに1:1にランダム化された。SMARTの研究者は6,000人の患者を登録し、およそ8年間のフォローアップデータを蓄積することを望んでいた。主要エンドポイントは、AIDSの進行または死亡、生存、重篤な合併症(例えば、心臓血管、腎臓および肝臓)、重篤な疾患進行事象(例えば、播種性MAC症、トキソプラズマ症、クリプトコッカス症、カポジ肉腫)およびグレード4の事象であった。追加の比較には、遵守、副作用、代謝合併症、QOL、薬物耐性および費用が含まれた。
【0019】
安全性の懸念から、2006年1月11日に該SMART研究が中止されたことが報告されている。その時点で、5,472人の患者が登録され、治療企図解析に含まれていた。主な成果の包括的な理解を得ることを目指して、いくつかのサブスタディを実施し、QOL、リスク行動、身体組成および代謝パラメーター、神経学的合併症および肛門形成異常を含むさまざまな結果判定法を評価した。SMART研究は、33カ国および318サイトからの参加者との国際的な取り組みを表している。参加者の大半は北米および合衆国からの参加者で、さらにヨーロッパ、アフリカ、アジア、南米のサイトを通じての参加があった。SMART研究群のベースライン特性には、年齢の中央値が46歳であることを含み:女性は27%、黒人は30%であった。フォローアップ期間の中央値は14カ月であり、フォローアップに2%の損失があった。開始時のCD4+数の中央値は、約598細胞/mmであり、最下点の中央値は約251細胞/mmであった。71%が400コピー/mL未満のウイルス負荷を有し、24%が前臨床的AIDSAIDS(prior clinical AIDS)を有し、4.7%が抗レトロウイルス療法未経験であった。
【0020】
SMART研究の報告された結果は、死亡を含む臨床的疾患の進行における2つの群の間の統計的に有意な差を示す。IT群のフォローアップにおいて、100人・年につき117件の事象があり、CT群のフォローアップでは100人・年につき47件であった。これは、ITアームの臨床的疾患進行の相対リスク2.5に変換された(P<.0001)。カプラン・マイヤー曲線は、両アームにおける時間の経過に伴うゆっくりとして一貫した事象の蓄積を示したが、IT群はランダム化後開始の4か月間のより高い事象率を示した。主要SMART試験エンドポイントの成分分解は、相対リスクが生存および疾患の進行に関してCT群に有利であることを示す。注目すべきは、抗レトロウイルス療法へのより大きな曝露にもかかわらず、重篤な心臓血管、肝臓および腎臓の合併症がCT群で予想外に低く、1.5の累積相対リスクであった。HIV疾患の進行または死亡の主要なエンドポイントが人種や性別によってさらに細分化されても、CT群はIT部門に比べて依然として明確な優位性を維持していた。SMART試験の研究者は、またベースラインのCD4+細胞数およびウイルス負荷による成果をさらに細分化し、ウイルス抑制アーム(CT)と同じ利点を実証した。
【0021】
低いCD4+最下点を有する患者群に関しては、特に安全性の懸念があった。しかしながら、データは、これらの患者が、より高いCD4+最下点を有する患者と比較して、疾患の進行または死亡をより経験しそうではないことを示した。実際、CD4+最下点のすべての群は等しくCT群を有利であるとした。研究開始時のウイルス負荷に関しては、400コピー/mL未満のウイルス負荷を有する患者は、ITアームにおいてより多くの事象を有していたが、検出可能なHIV-RNAレベルを有する患者は、両方のアームにおいて等しく良好であった。
【0022】
SMART研究結果の報告は、ITはCTと比較して、HIV疾患の進行または死亡、重篤なHIV疾患の進行および重篤な合併症の増大した危険性と関連していたこと、およびその結果は性別、人種、ベースラインのCD4+細胞数、また最下点のCD4+細胞数の影響を受けないことを示す。さらに、ベースラインのウイルス負荷が400コピー/mLを下回る抗レトロウイルス療法を受けている患者では、リスクが3倍高くなると決定された。SMART研究および他のIT研究に基づいて、SMART研究デザインで用いられているようなCD4+細胞数に基づく抗レトロウイルス継続法の一時的な使用は、抗レトロウイルス経験患者の管理について抗レトロウイルス治療より劣ることが慣習的に受け入れられている。さらに、ウイルス負荷およびCD4+数のみを計測する他のIT研究と対照的に、SMART試験は、幅広い臨床的エンドポイントが検討されたので、慣習的に特に強力であると考えられている。要するに、報告されたSMART研究の結果は、従来ITを妨げると考えられていた。
【0023】
PRO140は、皮下(SC)または静脈内(IV)投与のいずれかを必要とするが、その良好な薬物動態は、毎月1回または2回のような低頻度での投与を可能にしうる。医学的監督下で薬物を低頻度で投与する能力は、唯一の抗レトロウイルスレジメンとして投与されるときの維持設定において比較的厳しいと思われる毎日の追加免疫されたプロテアーゼ阻害剤レジメンの厳密な遵守という継続的な負担の1つを取り除くことができる。これは、併用抗レトロウイルスレジメンで以前は完全に抑制されていた患者について維持療法としてのPRO140単体療法のオープンラベルパイロット研究である。
【0024】
HIV-1
ヒト免疫不全ウイルスI型(HIV-1)による細胞の感染はウイルスエンベロープ(Env)糖タンパク質gp120およびgp41によって媒介され、これはウイルスおよびウイルス感染細胞の表面上の非共有結合オリゴマー複合体として発現される。標的細胞へのウイルスの侵入は、(1)細胞表面受容体へのウイルス表面糖タンパク質gp120の結合、(2)融合共受容体へのEnv結合、および(3)gp41における多重コンフォメーション変化を含む細胞表面での事象のカスケードを経て進行する。
【0025】
ビリオンと細胞表面との間の第1の高親和性相互作用はgp120の細胞表面CD4への結合であり、これはHIV-1の主要な受容体である。この結合はgp120の構造変化を誘導し、いくつかのケモカイン受容体の1つと相互作用することを可能にする。CC-ケモカイン受容体5(CCR5)は、マクロファージトロピック(R5)株の主な共受容体であり、HIV-1の伝染において決定的な役割を果たす。T細胞株トロピック(X4)ウイルスはCXCR4を用いて標的細胞に入り、常にではないが、通常は疾患進行の後期または組織培養におけるウイルス増殖の結果として出現する。いくつかの主要HIV-1分離株は、同じ効率ではないが、両方の共受容体を使用できるので、デュアルトロピック(R5X4)である。ケモカイン受容体へのgp120の結合は、ウイルス膜貫通性糖タンパク質gp41の構造変化を引き起こし、ウイルス膜と細胞膜との融合を媒介する。この多フェーズプロセスの各フェーズは、適切なウイルスまたは細胞タンパク質の阻害剤でブロックすることができ、gp120、gp41、CD4および共受容体の阻害剤は、まとめて侵入阻害剤として知られている。侵入阻害剤は、それらの分子標的およびウイルス耐性の決定基に基づいて、少なくとも4つの異なるクラスの薬剤を表す。
【0026】
抗HIV-1療法の標的としてのCCR5
1986年に初めて示されたように、HIV-1はCD4受容体を介して標的細胞に結合するが、侵入を媒介するためにさらなる宿主細胞因子を必要とする。次の10年間で、多数の候補共受容体が提案されたが、いずれも別の非寛容性の細胞においてCD4と同時発現した場合に、再現性よくウイルス侵入を媒介しなかった。しかしながら、1996年には、特定のケモカイン受容体、主にCCR5およびCXCR4が、HIV-1に必要な融合共受容体として機能することが示された。
【0027】
HIV-1とケモカインとの間を連結するものは、小さい(約8kDa)相同性可溶タンパク質である。ケモカインは、免疫細胞の動員および活性化を媒介する。それらは、4つの保存されたシステイン残基の最初の2つの数および配列関係に基づいて、CC-、CXC-、CX3C-およびXC-ケモカインとして分類され、ほとんどがCCまたはCXCケモカインである。CCケモカインRANTES、MIP-1αおよびMIP-1βは、HIV-1の主要なマクロファージトロピック株の複製をブロックすることが示された。ケモカイン受容体フシン(後にCXCR4と改名)は、T細胞株での増殖に適合したHIV-1株の融合共受容体であることが発見された。
【0028】
そのすぐ後、いくつかのグループが、RANTES、MIP-1αおよびMIP-1βに特異的なCCケモカイン受容体であるCCR5のクローニングを報告し、別のグループによりCCR5が主要なマクロファージトロピックHIV-1単離体によって使用される主な侵入補因子であることが実証された。CCR5およびCXCR4発現のパターンは、長きに亘る難題であったHIV-1の異なる株のトロピズムに関する問題の解決を助けた。マクロファージトロピック、T細胞系トロピックおよびデュアルトロピックウイルスは、侵入のためにCCR5、CXCR4または両方の受容体をそれぞれ利用する能力に基づいて、R5、X4およびR5X4ウイルスとしてさらに記述的に分類することができる。
【0029】
種々の他のケモカイン受容体は、インビトロで過剰発現したときHIV-1共受容体として機能し得る。リストには、CCR8、Apj、V28、US28、CCR2b、CCR3、gpr1、Bonzo(STRL33、TYMSTR)およびBOB(gpr15)が含まれる。明らかに、ケモカイン受容体ファミリーに属するタンパク質は、HIV-1膜融合を促進する生化学的特性を有する。しかしながら、上記の共受容体の大部分は、あまり効率的ではなく、通常はCD4と共発現せず、HIV-1、HIV-2またはSIVの特定の株のみで機能する。これらの代替共受容体のインビボでの関連性は確立されていない。
【0030】
いくつかの要因により、CCR5は新たな抗レトロウイルス療法の魅力的な標的となる。CCR5は、HIV-1感染および発症における中心的な役割を果たし、CCR5における天然に存在する変異は、HIV-1感染および疾患の進行の防御を与える。最も著名なCCR5多型は、CCR5(A32)のコード領域における32bpの欠失を含む。A32アレルは、細胞表面に到達しない非機能性受容体をコードする。1つの正常なCCR5遺伝子および1つの変異体CCR5遺伝子を有する個体は、より低いレベルのCCR5を発現し、そのT細胞はインビトロでR5ウイルス感染に対して感受性が低い。A32ヘテロ接合体はウイルス負荷の減少およびAIDSへの進行の遅延を特徴とする穏やかな疾患の経過を経験する。これらの結果は、CCR5の可用性を減少させることが、ウイルスの複製が低下させ、疾患の進行が遅くすることができるという概念を支持している。
【0031】
2つの変異型CCR5遺伝子を有する個体は、北ヨーロッパ系の血統のかなりの割合を含む;この人口統計は、CCR5を使用する病原体の以前のパンデミックを示唆している。そのような個体は、機能的CCR5タンパク質を発現しない点で、ヒトCCR5「ノックアウト」を表す。まれな場合を除いて、これらの個体はHIV-1感染に耐性であり、それらのT細胞はインビトロでR5ウイルスに感染することができない。これらの知見は、HIV-1感染におけるCCR5の中心的役割を強調している。実際、R5ウイルスは、ほぼすべての場合において伝染を媒介し、ほとんどの場合AIDSへの進行を媒介することが現在知られている。
【0032】
重要なことに、CCR5を欠く個体は正常な健康状態を享受し、明らかな免疫学的または他の欠陥を示さない。これは、ケモカインシグナル伝達経路の重複性およびCCR5の発現のかなり制限されたパターンを反映しているだろう。低レベルCCR5発現が平滑筋のような他の組織で報告されているが、CCR5発現は、インビボでのHIV-1感染の主要標的である活性化T細胞およびマクロファージに主に限定されている。
【0033】
CCR5ノックアウトマウスが生成され、CCR5機能を無効にする効果についてさらなる洞察を提供する。CCR5ノックアウトマウスは正常に発達し、表面的には健康であるが、特定の病原体による攻撃の際に免疫応答のわずかな変化が観察され得る。対照的に、CXCR4ノックアウトはマウスでは致命的な表現型であり、ヒトでは観察されていない。
【0034】
まとめると、これらの遺伝的解析は、CCR5に基づく新しい治療アプローチを薬物標的として強く支持している。逆転写酵素のエラーが起こりやすい性質は、薬物耐性分離株の発達を促進する巨大な遺伝的多様性を生じさせ、HIV-1の多重融合共受容体を利用する能力は、耐性への道を提供する。薬物耐性ウイルスは、市販されているすべての抗レトロウイルス薬について単離されているが、それにもかかわらず、適切な組み合わせで使用される場合には重要な治療上の利点をもたらす。したがって、薬物耐性ウイルスの潜在的な出現にもかかわらず、CCR5標的薬物は、HIV-1感染のための新たな処置パラダイムとして役立つ可能性がある。
【0035】
CCR5の明らかに必須でないという性質は、CCR5アンタゴニストがインビボで耐容性が良好であることを提案しているが、その存在下で免疫系が発達した個体においてCCR5を機能停止させる長期的な影響を決定するさらなる研究が必要である。かかる潜在的に有害な影響は、CCR5に結合し、HIV-1の結合を阻害するが、正常なCCR5機能を損なわない薬物の使用によって緩和され得る。そのような特性を有することが実証された1つの薬物CCR5の生理学的活性を阻害しない濃度でHIV-1複製を効果的に遮断するヒト化抗CCR5 mAb PRO140である。PRO140は、抗HIV活性について蛍光共鳴エネルギー移動(RET)アッセイスクリーニングを用いて同定された。それは強力な抗ウイルス性であり、約4μg/mlのIC90を有し、様々な主要標的細胞タイプを保護する。PRO140の反復投与は、hu-PBL SCIDマウスモデルにおいてウイルス回避なしにHIV-1複製の延長された制御をもたらした。
【0036】
小分子CCR5アンタゴニスト、TAK-779の同定に続いて、いくつかの他の小分子CCR5アンタゴニストが同定されている。これらのうち4つは(SCH-C、SCH-D、UK-427,857、GW873140)、同様にHIV感染者の第1フェーズ研究を完了している。これらの薬剤の各々は、10~14日間の処置期間中、用量依存的にHIV-1RNAレベルの約log10平均減少を媒介した。予想通り、ウイルス負荷は、治療を中止した後のベースラインレベルに回復した。最も一般的な薬物関連の副作用は、神経性(頭痛、めまい)および胃腸(吐き気、下痢、鼓腸)であり、これらは用量制限ではなかった。 SCH-Cを除いて、上記の薬剤のどれもがQTc間隔の臨床的に有意な変化を引き起こさなかった。
【0037】
健康な男性ボランティアにおけるTAK-779の後継化合物であるTAK-652の安全性、耐容性、薬物動態を評価するために、デュアル盲検、プラセボ対照、単独経口投与研究も実施した。TAK-652溶液の単回投与は、安全で耐容性があると報告されている。
【0038】
全体として、これらの研究は、HIV-1療法の標的としてのCCR5の予備的検証を提供する。小分子CCR5アンタゴニストは、異なる薬物動態学的特性および代謝特性を有する別個の特許可能な化学系列を表すが、化合物は、CCR5機能の阻害、CCR5上の結合部位、耐性プロファイルおよび投薬レジメンにおいて多くの特性を共有する。これらの類似性は、小分子CCR5アンタゴニストによって与えられる真の治療選択肢の数を制限すると考えられる。さらにCCR5機能の慢性的遮断の有害な結果が存在するかどうかが決定されており、HIV-1療法に対する小分子CCR5アンタゴニストの有用性は、第3フェーズ臨床研究における適切な安全性および有効性の実証によって確立されたままである。
【0039】
モノクローナル抗体治療
近年、モノクローナル抗体製品は、多様な疾患の状況において新しい標準の治療法を提供している。現在、いくつかのmAbは、がん、自己免疫疾患、移植拒絶およびウイルス感染を含む適応について、米国食品医薬品局(FDA)によって承認されている。多くの場合、mAbは、小分子化合物にはない安全性、有効性および使い易いプロファイルを提供する。
【0040】
ヒト化抗CCR5 mAb、PRO140は、構造的、機能的および機構的に小分子CCR5アンタゴニストとは異なり、したがってユニークなCCR5阻害剤クラスである。PRO140は、CD4+CCR5+細胞に対して生成されたマウスmAb、PA14のヒト化バージョンである。PRO140は、細胞の表面上に発現されたCCR5に結合し、インビトロおよびHIV-1感染のhu-PBL-SCIDマウスモデルにおいてCCR5ケモカイン受容体活性に影響を及ぼさない濃度でHIV-1の侵入および複製を強力に阻害する。
【0041】
PRO140および小分子CCR5アンタゴニストとの間の重要な差異を表1に要約する。表1から明らかなように、発達中の小分子CCR5アンタゴニストは、多くの特性を共有するが、PRO140はこれらの小分子阻害剤とは明らかに異なる。2つのCCR5阻害剤クラスの相違は、PRO140が、小分子CCR5アンタゴニストとは基本的に異なり、多くの点で相補的な製品プロファイルを提供し得ることを明らかにする。実際、PRO140は、HIV-1感染を治療するための新規治療アプローチであり、小分子CCR5アンタゴニストにかかわらずHIV-1治療において重要な役割を果たすことができる。
【0042】
【表1】
【0043】
PRO140は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の治療として開発中のC-Cケモカイン受容体タイプ5(CCR5)に対するヒト化IgG4、κモノクローナル抗体(mAb)である。PRO140は、HIV-1のCCR5細胞表面受容体のECL2ドメインに向けられている。CCL5分子のこのドメインの結合は、ウイルスおよび細胞膜の融合前の細胞表面へのウイルス結合の最終フェーズを妨害することによってウイルス侵入を妨害する。したがって、PRO140はウイルス侵入阻害剤であり、健康な細胞をウイルス感染から保護することを目的とした新しいクラスのHIV/AIDS治療に属する。PRO140は、HIVが細胞に侵入するために用いる分子ポータルであるCCR5に対するヒト化モノクローナル抗体である。現在のTS試験に先立ち、PRO140は、4つのフェーズ1/1bおよび2つのフェーズ2a臨床試験の対象であり、HIVに感染したヒト対象におけるHIVウイルス負荷を有意に減少させる能力を示した。
【0044】
臨床研究は、PRO140がHIV共受容体CCR5を効果的に遮断することを実証しており、これまでの臨床試験の結果は正常な細胞機能に影響しないことを示している。すなわち、PRO140は1)免疫機能を阻害することなくHIV複製を停止する、2)抗ウイルス活性および忍容性を延長する、3)あらゆるHIV薬物と比較して異なる耐性プロファイルを有する、4)毒性を有さない(今日のHIV薬物のすべてとは異なり)、および、5)FDAファーストトラック薬候補として指定されている。フェーズ1およびフェーズ2aの臨床結果は、(110人以上の患者のデータに基づく)PRO140は今日、1回の注射で市場のあらゆるHIV医薬品よりも優れた、または良好なウイルス負荷抑制を提供することを示す。
【0045】
ヒト化PRO140抗体の重鎖および軽鎖をコードする核酸は、ATCCに寄託されている。具体的には、pVK-HuPR0140、pVg4-HuPR0140(mutB+D+I)およびpVg4-HuPR0140 HG2と称するプラスミドは、ATCC寄託番号PTA4097、PTA4099およびPTA4098のもとで、2002年2月22日にバージニア州マナッサスの米国20108にブダペスト条約の要件に従って寄託された。American Type Culture Collection(ATCC)は現在、10801 University Boulevard、Manassas、VA 20110-2209にある。
【0046】
PRO-140は、安全性、忍容性、薬物動態および薬力学に関する第1フェーズおよび第2フェーズ研究において、HIV-1感染個体に静脈内または皮下投与されている。この薬物は、0.5~5mg/kgの単回投与または324mgまでの3回の週用量までの投与後に耐容性が良好であった。324mgの単回皮下投与では、血漿HIV-1RNAレベルが約1.0log10に低下した。PRO140のこの用量の反復的な週1回の投与は、約1.5log10の血漿HIV-1RNAレベルの低下と関連している。HIV-1の臨床分離株についてのIC50を上回るPRO140の血清濃度は、324mgの単回投与後少なくとも2週間維持される。血漿HIV-1RNAレベルは、PRO140が血漿およびおそらく他のコンパートメントから除去されるためベースラインレベルまで上昇する。
【0047】
本出願人は、PRO140 IgG4抗体が、副作用がはるかに少なく、ずっと低い毒性であり、よりよい患者の遵守をもたらし、初回投与時のウイルス負荷低下が他のどのHIV薬物よりも優れているという点で、今日の全てのHIV療法よりも優れていることを提出する。したがって、PRO140抗体は強力な抗ウイルス剤であるようであり、現在使用されている毎日の薬物療法と比較して潜在的に副作用が少なく、投与頻度が少なくなる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1図1は、標準的な処置レジメンを除かれたHIV感染患者のCD4細胞数の減少を詳述することによる先行技術Schooleyの研究に関連する。
図2図2は、同じ先行技術のSchooley研究に関連し、HIV感染患者のための抗レトロウイルス治療の中断後のウイルスのリバウンド動態を示す。
図3図3は、時間からHIV-1RNA>500コピー/mLまでのカプラン・マイヤーの推定データを示す。
図4図4は、HIV RNAにおける最大(最下点)log10減少の平均値を提供し、プラセボと0.5mg/kg、2mg/kg、および5mg/kgの用量とを比較する。
図5図5は、経時的なHIV RNAの平均log10減少を提供する。
図6図6は、HIV感染個体における単回静脈内注射後のPRO140血清濃度を提供し、0.5mg/kg(正方形で表す)、2mg/kg(三角で表し)、5mg/kg(菱形で表す)の差異を示す。
図7図7は、経時的にHIV-1RNA(Log10コピー/mL)のベースラインからの平均変化を示し(ITT対象)、プラセボ(菱形で表される)、5mg/kg(四角で表される)、および10mg/kg(三角で表される)量の差異を示す。
図8A-8B】図8Aは、HIV-1RNA(Log10コピー/mL)の経時的なベースラインからの平均変化(ITT対象)および週1回または隔週投与される単独療法としてのPRO140の使用に関するデータを提供する。図8Aは、プラセボ(形状マーカーのないライン)、週に162mg(正方形のマーカーを有するライン)、週に324mg(円形のライン)、および324隔週(三角のライン)の差異を示す。図8Bは、図8Aに反映された同じ研究のHIV RNAにおける最大(最下点)log10減少の平均を提供する。
【0049】
図9図9は、図8Aの代替バージョンであり、HIV-1RNA(Log10コピー/mL)のベースラインからの平均変化(ITT対象)および週1回または隔週投与の単独療法としてのPRO140の使用に関するデータを提供する。図9は、プラセボ(整形されたマーカーなしのライン)、週に162mg(正方形のマーカーのあるライン)、週に324mg(円のライン)および隔週で324mg(三角のライン)の差異を示しており、これらの投薬レジームのそれぞれについて提供された領域を埋めて、効果の差を強調している。
図10A-10D】図10A、10B、10Cおよび10Dは、皮下PRO140で処置した対象におけるCD4+細胞数の変化を提供する。図10Aは、プラセボの効果を示す。図10Bは、1、8、15日目に162mgを毎週投与した場合の効果を示す。図10Cは、8日目にプラセボを投与した1日目および15日目に隔週投与した324mgの効果を示す。図10Dは、1日目、8日目、および15日目に、毎週投与した324mgの効果を示す。
図11図11は、暫定的な研究結果を提供する。PRO140単独療法の4週間後、ウイルス学的応答の欠如を経験した患者はいなかった。患者の半数は、単独療法の8週間後にウイルス負荷を抑制した。しかしながら、5人の患者はウイルス学的応答の欠如を経験した。
図12図12は、AUC、mg*day/mLに対するHIV-1RNAのLog10変化として測定されるIVおよびSC PRO140で生成された抗ウイルスデータのEmax分析を示す。
図13図13は、第2b相試験の第1相試験の一般的な試験フローを示す。
図14図14は、様々な時点に対してCD4細胞数(/mm-3)として測定された、第1のフェーズ2b代替処置の試験における参加者のCD4細胞数を示す。
図15図15は、第2フェーズ2b代替処置の拡張研究の一般的な研究フロー図を示す。
【0050】
詳細な説明
本発明者らは、HIV患者におけるTS研究および拡張TS研究から肯定的な結果を達成した。最初のTS試験は、40人の対象における抗レトロウイルス(ART)療法の併用で安定した患者におけるウイルス抑制の維持のためのPRO140単独療法の有効性、安全性および忍容性を評価するために設計された。対象は、毎日の経口抗レトロウイルス療法からPRO120単独療法(毎週のSC注射)に12週間まで移行した。ウイルス抑制を維持することができた最初のTS試験の対象は、拡張試験の下で最大60週間までPRO140単独療法を継続することができた。
【0051】
PRO140の研究、およびその治療のための使用はいくつかの先行研究を基礎としており、そのいくつかは以前の刊行物および特許出願で様々な程度に開示されている。これらの先行研究には、早期無症候性HIV感染、R5 HIV-1のみ検出可能、および12週間抗レトロウイルス治療を受けていない対象におけるランダム化、デュアル盲検プラセボ対照研究が含まれる。対象(n=39)をランダム化して0.5、2または5mg/kgの用量でプラセボまたはPRO140の単回IV注入を受けた。
【0052】
この研究では、男性31人、女性8人が登録された。ベースライン時の年齢、CD4+細胞数およびHIV-1RNAの中央値は、それぞれ40.3歳、484細胞/μLおよび26,900コピー/mLであった。ベースライン特性は、異なる処置群について同様であった。PRO140は、強力、迅速、長期および用量依存性の抗ウイルス活性を示した(図4および図5)。単一の5mg/kg用量は、ウイルス負荷を平均1.83log10減少させた(図6)。これらの減少は、HIV-1薬の1回投与後に報告された最大の抗ウイルス効果である[Jacobson JM、2008]。5mg/kg群では、1log10を超える平均ウイルス負荷低下が処置後2~3週間持続した(図6)。
【0053】
処置後のPRO140に対するR5ウイルス感受性の変化はなかった。全ての対象は、第1世代のTROFILE(登録商標)アッセイにおいて、スクリーニング時にR5のみのウイルスを有していた。2つの例外を除いて、R5のみのトロピズムの結果は、他のすべての時点ですべての対象において観察された:プラセボ対象の9人のうちの1人(11%)は、ベースラインおよびその後のすべての時点でデュアル/混合ウイルスを有しており、自発的で安定した切り替えを反映していた。30人のうちの1人(3%、0.5mg/kg群)は、8日目にデュアル/混合トロピズム結果を示し、その日の終わりを含む他のすべての時点でR5のみの結果を示した。デュアル/混合ウイルスのクローン分析は、処置後のデュアル/混合ウイルスへのR5ウイルスの変異ではなく、既存の検出されなかったウイルスの増殖を反映することを明らかにした。したがって、強力で長期間のウイルス抑制にもかかわらずPRO140に対するウイルス耐性の顕著な発達は認められず、続いて薬物のゆっくりとした排除が観察された。単独療法の1週間以内に他のクラスのHIV-1薬物に対する耐性が生じ得ることを考えると、PRO140がインビボでウイルス耐性に対して高いバリアを提示することが示されている。
【0054】
図6は、IV注入後のPRO140の平均血清濃度を示す。投与量の増加に伴って血清レベルが上昇した。時間ゼロから無限大(AUC∞)までの平均曲線下面積(AUC)は、0.5、2および5mg/kg群で11.1、74.3および278mg×日/Lであった。2つの最高用量群において、平均血清半減期は3.5~3.9日であった。さらに、PRO140は、循環リンパ球上のCCR5を2~4週間にわたって有意にマスキングした。PKおよび受容体占有率のデータは、抗ウイルス効果の持続期間とほぼ一致した。図6は、処置群による経時的な平均血清濃度を示す。誤差バーは標準偏差を示す。平均血清半減期は、2mg/kgおよび5mg/kg投与群でそれぞれ3.9日および3.5日であった。
【0055】
静脈内PRO140は、一般的に耐容性が良好であった。薬物に関連する重篤な事象または用量制限の毒性は観察されなかった。最も一般的な有害事象(頭痛、リンパ節症、下痢、および疲労)は、プラセボおよびPRO140投与群にわたって同様の頻度で観察された。QTc間隔または他の心電図パラメーターに有意な効果はなく、顕著な検査所見はなかった。循環系からのCD4+またはCCR5+細胞の損失または枯渇はなかった。5mg/kgの用量では、ベースラインからのCD4+細胞数の増加傾向が見られ、8、15および22日目にそれぞれ+129、+96および+83細胞/μLの平均変化が観察された。
【0056】
PRO140 2301の別の先行研究は、HIV-1に感染した男性および女性の30人における成人対象での多施設、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、並行群試験であった。対象は3つの群の1つに無作為に割り付けられ(N=10/群)、それぞれ3つの処置のうちの1つを受けた:(i)30分間のIV注入による5mg/kgの単回IV用量;(ii)30分間のIV注入による10mg/kgの単回IV用量;(iii)30分間のIV注入による単回プラセボ投与。この試験の目的は、IV注入によって投与されたPRO140のPKおよびPDの評価および特徴付け、新しい用量レベルでの有効性の評価およびPRO140の単回用量の安全性および忍容性の評価であった。
【0057】
全てのPRO140処置対象は、ウイルス負荷において10倍以上の減少を示した(平均最大log10減少は、処置群については1.83、プラセボについては0.32であった)(図7)。5mg/kgおよび10mg/kgの両方の用量は、好ましい忍容性を示し、用量制限毒性は観察されなかった。5および10mg/kgの両方の投与による処置後29日間、高いレベルの受容体占有率(検出された細胞数の>85%の減少)が観察された。
【0058】
皮下投与を含むさらに別の先行研究では、PRO140をHIV感染対象において試験した。試験は、早期無症候性HIV感染、R5 HIV-1のみ検出可能、および12週間抗レトロウイルス療法なしの対象におけるランダム化、二重盲検、プラセボ対照試験であった(n=44)。プラセボ(n=10)および3つのPRO140の用量を調べた:毎週162mgを3週間(n=11)、毎週324mgを3週間(n=11)、隔週324mg(隔週)の2回投与(n=12)。対象は、最終用量後44日間追跡した。この試験では、男性40人、女性4人が参加した。ベースライン時の年齢、体重、CD4+細胞数およびHIV-1RNAの中央値は、それぞれ42.3歳、79.1kg、410細胞/μLおよび20,000コピー/mLであった。
【0059】
ベースライン特性は、異なる処置群について同様であった。強力な用量依存性および統計的に有意な抗ウイルス活性が観察された(図8A図8Bおよび図9)。ウイルス負荷の平均1.65log10減少をもたらし、他の用量群についても、有意な減少が観察された(図8A)。324mgの用量の間にウイルスのリバウンドはなく、抗ウイルス効果は最終用量後1週間持続した(図9)。試験は、HIV-1感染のために長時間作用し、自己投与可能な薬物コンセプトの最初の抗ウイルス証明を確立した。
【0060】
皮下PRO140は、局所的および全身的に一般的に良好な耐容性を示した。明らかな用量関連の毒性パターンはなかった。最も一般的な有害事象(下痢、頭痛、リンパ節腫脹および高血圧)は軽度から中等度および自己解決型であった。これらの事象は、HIV感染によく見られ、プラセボ群およびPRO140処置群において同様の頻度で報告されている。投与部位反応は、軽度で一時的であり、対象の一部で観察された。PRO140(図10A、10B、10Cおよび10D)で処置した対象におけるCD4+細胞数の増加傾向が見られた。その促進的な抗ウイルス性および耐容性プロファイルおよび毎週の自己投与の利便性に基づいて、SC PRO 140はさらなる臨床開発のために選択された。
【0061】
図10A図10B図10Cおよび図10Dに示すように、対象(群当たりn=10~12)をランダム化して毎週プラセボを(1日目、8日目、15日目)、162mgのPRO140を(1日目、8日目、15日目)、324mgのPRO140を(1日目、8日目、15日目)を与えた。CD4+細胞数を経時的に測定し、ベースラインからの中央値変化を各処置群について決定した。
【0062】
12週間までの排他的PRO140単独療法を含むフェーズ2bTS試験
最初のフェーズ2b治療代替研究は、薬物休暇を取るための患者の現在の薬物療法を代替するための、完全ヒト化モノクローナル抗体であるPRO140の週1回注射の潜在力を調査することを目的とした。この研究では40人の患者を2つのコホートに登録し、最初の安全性および有効性のデータに基づいて、最初のコホートは12人の患者とし、その後28人の患者の第2のコホートが登録された。全ての潜在的な研究患者は、スクリーニングされ、登録のためには細胞侵入および感染のための共受容体CCR5を使用するウイルスのタイプ「R5」でHIV陽性でなければならない。他の共受容体であるCXCR4を使用するHIV株「X4」を有する患者は、PRO140がこれらの患者に有効でないため除外された。フェーズ2b試験の各患者は、最初の週は通常の薬物療法プラスPRO140を継続し、その後はPRO140単独療法の12週間まで追跡した。
【0063】
PRO140単独治療で8週間の補充療法を受けた後、患者の半分(6人)が成功を収めた。このフェーズ2bの調査では、患者の安全を確保し、有効性を評価するために、独立したデータ安全監視委員会(DSMB)による監視が必要であった。DSMBは、12人の患者の最初のコホートからの暫定臨床試験結果データをレビューするために会合し、3週間の治療後に有害反応または副作用は認められなかった。その後、DSMBは、40人の患者の研究を完了するために、次の28人の患者コホートの登録を行って研究を進めることを全会一致で勧告した。
【0064】
図11に見られるように、PRO140単独療法の4週間後、患者はウイルス学的応答の欠如を経験せず、100%の患者は4週間の単独療法に合格した。患者の半数は、単独療法の8週間後にウイルス負荷を抑制した。しかしながら、6人の患者はウイルス学的に応答の欠如を経験した。これらの「失敗」のうちの最初のものは、薬物の失敗ではなく、患者の資格スクリーニングの失敗であることが記録されている。出願人は、これが他の失敗の原因であると考えている。3週間の単独療法では3例、1週間の単独療法では6週間後に失敗し、8週間の単独療法では1例の追加的な患者不全が生じた。
【0065】
TS治験の中間結果は、8週間の単独療法の後、6人の患者にウイルス学的応答の欠如を示さなかった。ウイルス学的応答の欠如を有する6人の患者のうち、これらを再検査し、2人がデュアル混合ウイルスを有することが確認された。したがって、2人のデュアル混合ウイルス患者を除いて、10人の患者のうち6人(60%)は、単独療法の8週間後にウイルス負荷抑制を受けたのに対して、過去の対照ではほぼ0%であった。単独療法の10週間後、5人の患者はウイルス学的応答の欠如を経験しなかった。11週間の単独療法の後、7人の患者がウイルス学的応答の欠如を経験し、これらの患者のうち少なくとも2人が再検査に基づいて排除され、デュアル混合ウイルスの存在が確認された。
【0066】
DSMBは、2週間の単独療法の後に最初の会合を開き、安全性および有効性に関連する懸念がないため、研究に参加するための28の対象の第2コホートの登録をクリアした。DSMBは、6週間の単独療法後に第2回会合を開き、その時点で安全性の問題は観察されなかったことに同意した。
【0067】
フェーズ2b試験のための1つの包含基準は、各患者が登録前の12ヶ月間、検出不可能なウイルス負荷を有することを必要とした。R5ウイルスのみを有するHIV患者のみがPRO140から恩恵を受けることができるので、各患者は試験に登録する前にDNA TROFILE(登録商標)試験を受ける必要がある。しかしながら、この試験は、ウイルス負荷が検出されない患者では約50%しか正確ではない。したがって、本出願人はこれまでに観察された不正確なTROFILE(登録商標)スクリーニングのために多数のウイルスのリバウンドを観察することを予期していた。ウイルス負荷のリバウンドを示した5人の患者のうち、少なくとも1人の患者が再検査され、試験結果は患者が「デュアル/混合トロピック」HIV-1ウイルスを有し、研究から除外されるべきであると結論付けた。本出願人は、検出できないウイルスの患者を有する、R5排他的ウイルスのより正確なスクリーニング試験を開発する可能性を検討している。
【0068】
PRO140皮下注射を伴うTSは、1週間に1回、2週間に1回および/または1ヶ月に1回の投与を含み得る。考えられるTSシナリオには、例えば、HAARTによる5ヶ月の処置の後のPRO140による1ヶ月処置、またはHAARTによる4ヶ月の処置の後のPRO140による2ヶ月の処置、またはHAARTによる3ヶ月の処置の後のPRO140による3ヶ月の処置が含まれる。PRO140は、特定の患者にとって新しいベースラインケア、または永続的または半永久的な解決策になることも考えられる。特定の患者のために、新しいベースラインケア、または永続的または半永久的な解決策になることも考えられる。すなわち、PRO140による治療変電所は、特定の患者に対して断続的または一時的療法選択肢とは対照的に、恒久的または半永久的な治療法を提供することができる。
【0069】
第1および第2フェーズ2bTS研究
上述の第1フェーズ2bTS試験は、以下のプロトコールに基づいて行った。TS試験は、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)感染の適応であった。TS試験には40人の患者が参加し、14週間の長さであり、患者のウイルス負荷は毎週検査された。この試験に登録された患者は、試験1日目にウイルス負荷が検出できなかった(ウイルス負荷<50)。試験に参加した患者は、PRO140およびHAARTレジメンの薬物を最初の週に摂取した後、PRO140のみを摂取した。研究中の患者の失敗は、ウイルス負荷(VL)が>400で2回測定された場合に起こると判定された。
【0070】
第一の目的は、抗レトロウイルス療法の併用で安定した患者における抗レトロウイルス療法の置換後のウイルス抑制の維持に対するPRO140単独療法の有効性を評価することであった。試験の第2の目的は、抗レトロウイルス療法の併用で安定した患者における抗レトロウイルス療法の代替後の臨床安全性および耐容性パラメーターを評価することであった。
【0071】
一次有効性エンドポイントは、PRO140単独療法を開始した後のウイルス学的応答の欠如であり、少なくとも3日間に分離された400コピー/ml以上の2つの連続HIV-1RNAレベルとして定義された。2次有効性エンドポイントには以下の項目が含まれていた:(1)14週間またはそれ以前にPRO140単独療法を開始した後の参加者の割合(2)14週間の処置期間内の各来院時のウイルス負荷(HIV-1RNAレベル)の平均変化;(3)14週間の処置期内におけるウイルス負荷(HIV-1RNAレベル)の平均変化;(4)14週間の処置期間内の各来院時のCD4細胞数の平均変化;(5)14週間の処置期間内のCD4細胞数の平均変化;および(6)任意のQOLメトリックスの変化。
【0072】
安全性評価には、以下が含まれた:(1)試験参加者によって評価されるPRO140の反復皮下投与の忍容性(Visual Analogue Scaleを使用)および注射部位反応の研究者評価;(2)DAIDS有害事象尺度によって定義されたグレード3または4の有害事象の頻度;(3)重篤な有害事象の頻度。
【0073】
試験デザインは、抗レトロウイルス療法の併用で安定した患者のウイルス抑制の維持のためのPRO140単独療法の有効性、安全性および忍容性を評価するためにデザインされたフェーズ2bの多施設試験であった。適切な安全監視を容易にするために、この研究では患者の登録をずらした。リードコホートには12人の対象が含まれていた。別の28人の対象の登録は、独立したDSMBの承認後に開始された。同意した患者は、抗レトロウイルス療法レジメンからPRO140単独療法に12週間移行した。PRO140を用いた全治療期間は最大14週間であり、研究処置の開始時に既存のレトロウイルスレジメンおよびPRO140の1週間の重複を伴い、ウイルス学的応答の欠如を経験していない対象でもまた処置終了時に1週間重複する。
【0074】
PRO140は週に350mgの皮下注射として14週間まで投与された。PRO140の350mgの皮下注射を2回投与した。試験参加者は、PRO140単独療法の開始後、毎週ウイルスのリバウンドについてモニターされ、血漿HIV-1RNAレベルが少なくとも3日間隔てた2回の連続した血液採取で400コピー/mlを超えた場合、以前の抗レトロウイルスレジメンを再開した。
【0075】
この研究は、スクリーニングフェーズ、処置フェーズおよびフォローアップフェーズという3つのフェーズを有していた。スクリーニングフェーズ(42日まで)は、対象が研究の処置フェーズに進む資格があるかどうかを決定するために設計された。このフェーズは、適格性を決定するために設計された一連のスクリーニング評価から構成される。対象からの書面によるインフォームドコンセントは、いずれかのプロトコール特有手順の実施前に、研究者または適切な資格を有する個人によって得られた。
【0076】
処置フェーズ(最長14週間)は、スクリーニング来診時に収集された検査サンプルの結果の評価から始まった。スクリーニング来診から集められたデータごとに、すべての資格基準を満たした対象は治療に適格であった。資格基準を満たさなかったすべての対象は、スクリーニング不合格とみなされ、それ以上評価することなく試験を終了した。最初の診察はスクリーニング来診から42日以内に行われた。対象となる対象は、毎週(±3日)、またはウイルス学的応答の欠如のいずれかが最初に起こるまで、最大14回まで受けた。処置フェーズの間の来診はT1、すなわち最初の処置の日から開始され、その後の毎週の来診(±3日)が行われた。
【0077】
各週の有効性評価には、ウイルス負荷およびCD4細胞数の評価が含まれていた。安全性評価は、各治療およびフォローアップ来診時の身体検査、実験室、および有害事象評価で構成されていた。研究処置(PRO140皮下(SC)注射)は、免許を有する医療専門家(MD、DO、PA、LPN、LVN、NPまたはRN)によって実施された。
【0078】
ウイルス学的応答の欠如が発生した場合または対象が研究処置の中止のための他の基準を満たしている場合、全ての研究対象は、14週間の処置フェーズの終了の1週間前または期間中に以前の抗レトロウイルス療法を再開するように設定された。処置フェーズ中の任意の時点でウイルス学的応答の欠如(少なくとも3日までに≧400コピー/mlの2つの連続したRNAレベルとして定義される)を経験した対象は、ウイルス学的応答の欠如(VF)アセスメントにアクセスし、その後、処置フェーズを終了して、研究のフォローアップフェーズに入る。VFを経験しなかった対象は、14週間の処置フェーズの終わりに研究のフォローアップフェーズに入るように設定された。
【0079】
フォローアップフェーズの期間は、処置フェーズの間に対象がVFを経験したか否かに基づいて決定された。VFを経験した対象は、ウイルス抑制が達成されるまで(すなわち、血漿HIV-1RNAレベルが50コピー/mLに戻るまで)4週間ごとにフォローアップされた。14週間の治療期間の終了時にVFを経験しなかった対象は、2週間ごとに合計4週間フォローアップした。
【0080】
最初の予定された処置期間は、以下のものを含んでいた:42日までのスクリーニングフェーズおよび14週間±の許容ウインドウの処置フェーズ(毎週最大14回(±3日))。処置フェーズの後、VFを有する対象のフォローアップフェーズは、ウイルス抑制が達成されるまで継続し、VFなしの対象については、4週間継続した。したがって、総研究期間は24週間であり、VFを有する対象の追加のフォローアップ時間を含まない。
【0081】
フェーズ2b試験に含めるには、潜在的な対象は、試験への登録のための以下の基準のすべてを満たす必要があった:(1)≧18歳の男性および女性;(2)過去12ヶ月間の抗レトロウイルス療法の安定性;(3)スクリーニング来診前およびスクリーニング来診と最初の処置来診との間の最後の4週間以内に抗レトロウイルス療法の変化なし;(4)対象が、考慮すべき2つ以上の潜在的代替抗レトロウイルスレジメンの選択肢を有する;(5)TROFILE(登録商標)DNAアッセイによって決定されたスクリーニング来診時の専用CCR5-トロピックウイルス;(6)ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)によって決定されたスクリーニング来診時の血漿HIV-1RNA<100コピー/mL、定量RNA(Abbott RealTime);(7)スクリーニング来診前の最後の12ヶ月以内に検出可能なウイルス負荷(HIV-1RNA<50コピー/ml)が記録されていない;
【0082】
(8)200細胞/mm>の最下点CD4細胞数(9)先行する6ヶ月間およびスクリーニング来診時における>350細胞/mmのCD4細胞数;(10)
スクリーニング時の実験室値が、a.絶対好中球数≧1000/mm、b.ヘモグロビン(Hb)≧11.5gm/dL(男性)または≧10.5gm/dL(女性)、c.血小板≧125,000/mm、d.白血球(WBC)≧3000/mm、e.血清アラニントランスアミナーゼ(SGPT/ALT)<5×正常の上限(ULN)、f.血清アスパラギン酸トランスアミナーゼ(SGOT/AST)<5×ULN、g.アタザナビルを受けている対象および重大な肝疾患の他の証拠がない場合を除いてビリルビン(合計)<2.5×ULN、およびh.クレアチニン≦1.5×ULN;(11)スクリーニング来診時に臨床的に正常な休息12誘導心電図、または異常である場合、主任研究者によって臨床的に有意でないとみなされる。
【0083】
(12)男女ともに、妊娠可能性のある患者とその両親は、研究期間中適切な避妊方法(避妊薬、バリア、または禁欲)を使用することに同意しなければならない(妊娠の可能性がない女性および断種された男性は除く)。
【0084】
妊娠可能性のある女性は、スクリーニング来診時に陰性の血清妊娠検査を受け、試験薬物の初回投与を受ける前に陰性の尿妊娠検査を受けなければならない;および(13)SC医薬品の使用、対象評価の完了、予定された診療所来診への出席、書面によるインフォームドコンセントを示すことによって証明されたすべてのプロトコール要件の遵守を含む、研究のすべての側面に進んで参加できる。
【0085】
以下のいずれかの基準を満たす潜在的な対象に適用される除外基準は、登録から除外される:(1)スクリーニング来診時のTROFILE(登録商標)DNA Assayにより決定されたCXCR4トロピックウイルスまたはデュアル/混合(R5X4)ウイルス;(2)B型肝炎表面抗原(HBsAg)の存在によって現れるB型肝炎感染;(3)1993年疾病防除センター(CDC)AIDSサーベイランスの定義に基づく、いずれかの後天性免疫不全症候群(AIDS)決定疾患;(4)検査室検査値≧4級DAIDS検査室異常;(5)妊娠中、授乳中、または授乳中の女性または研究中に妊娠する予定の女性;(6)最初の試験用量の14日前に7日間連続して38.5℃(101.30F)以上の説明できない体温;(7)体重が35kg以下の対象;(8)アナフィラキシーの病歴;(9)出血障害または抗凝固剤療法の患者の病歴;(10)PRO140を含む任意の侵入、付着、CCR5共受容体、または融合阻害剤の事前の使用;(11)スクリーニング来診の30日以内または試験中の実験的薬物試験への参加;(12)試験薬物または賦形剤に対する任意の既知のアレルギーまたは抗体;
【0086】
(13)次のいずれかの処置:a.スクリーニング来診の30日前または試験中の放射線または細胞傷害性化学療法、b.スクリーニング来診の60日前または試験中の免疫抑制剤、c.スクリーニング来診の60日前または試験中の、既知の抗HIV活性(すなわち、ヒドロキシ尿素、フォスカーネット)を有する免疫調節剤(例えば、インターロイキン、インターフェロン)または薬剤、d.スクリーニング来診の30日前または試験中に経口または非経口のコルチコステロイドの投与。
【0087】
しかしながら、慢性ステロイド療法>5mg/日の対象は、以下の例外を除いて除外され(i)置換用量(例えば、プレドニゾン≦5mg/日)での慢性全身性コルチコステロイドの対象は除外されず、(ii)吸入、経鼻または局所ステロイドの対象は除外されない;(14)物質依存または薬物乱用のいずれか、またはプライマリケア提供者および/またはサイト調査者の意見で、対象が試験要件をうまく完了するのを妨げるいずれかの状態の病歴がない(例えば、医学的、心理的、または精神医学的);および(15)研究者の判断で、検査の順守または安全性/有効性を評価する能力を潜在的に危うくするいずれかの他の臨床状態。
【0088】
試験で使用された少なくとも40人の対象のサンプルサイズは、研究目的に合致した臨床的に意味のある記述的結果を提供するのに十分であるとみなされた。処置の意図(Intention-to-treat(ITT))集団は、少なくとも1用量のPRO140を有し、ウイルス負荷のための少なくとも1つの事後有効性評価を有する対象のセットとして定義された。プロトコールごとの集団(PP)は、ITTの集団要件を満たし、主要なプロトコール違反には関連していない対象の集合として定義された。この集団は、データベースがロックされる前に識別された。PP集団は、プライマリおよびセカンダリエンドポイントの分析のための主要な分析集団となる。安全集団は、PRO140の少なくとも1回の投与を受けたすべての対象として定義された。この集団は、安全性パラメーターの分析に使用される。
【0089】
計画された有効性のための中間分析(IA)はなかった。最初の12人の対象がPRO140で4週間、8週間および14週間の治療を完了した後、または処置が中止されるまでのいずれか早い時点で、安全のために3回のIAが実施された。最初の14人の対象がPRO140で4週間、8週間および14週間の治療を完了するか、または処置が中止されるまでのいずれか早い時点で、28人の対象の第2コホートについて安全性IAの3件が実施された。
【0090】
有効性分析。プライマリおよびセカンダリエンドポイントの主な分析はPP集団で実施され、ITT集団は支持的な分析に使用される。この試験の主要有効性エンドポイントは、PRO140単独療法を開始した後のVFまでの時間である。VFは、少なくとも3日間離れた400コピー/ml以上の2つの連続するHIV-1RNAレベルとして定義される。PRO140単独療法で処置された対象のVFまでの時間は、履歴データ(すなわち、HIV-1RNAウイルス負荷が>500コピー/mLで29日までの時間)と比較される。統計的比較はウィルコクソン順位和検定を用いて行われ、この研究のVFまでの中央値は30日と比較される。
【0091】
セカンダリエンドポイントからのすべてのデータも、また変数タイプにしたがって要約される。二次解析には、以下の考慮が含まれる:14週間またはそれ以前にPRO140単独療法を開始した後のVF患者の割合;14週間の処置期間内の各来院時のウイルス負荷(HIV-1RNAレベル)の平均変化;14週間の処置期間内におけるウイルス負荷の平均変化;14週間の処置期間内の各来院時のCD4細胞数の平均変化;14週間の処置期間内のCD4細胞数の平均変化を示す。
【0092】
セカンダリエンドポイントからのすべてのデータは、PP母集団の変数タイプにしたがって要約される。連続データ概要には、観察数、平均値、標準偏差、中央値、最小値と最大値が含まれる。カテゴリデータの概要には、頻度数とパーセンテージが含まれる。
【0093】
用量
350mgのSCを投与した用量は、かかる用量が最大のウイルス負荷抑制を提供する可能性が高いことを示唆する従来の分析に照らして選択された。CCR5受容体を介したウイルス侵入を阻止する抗ウイルス剤に関する研究において、併用療法における強力な抗ウイルス効果を達成し、薬物耐性の可能性を最小限に抑えるためには、薬物の用量が最大薬物効果(Emax)プロットのプラトーになる曝露をもたらすべきであるという一般的な合意が存在する。PRO140の薬物曝露に関して、最大ウイルス負荷低下を分析した。図12は、この関係を示す。分析によれば、毎週350mgのPR0140がEmaxプロットのプラトーになると予想される。
【0094】
ベースラインからのHIV-1ウイルス負荷の最大変化を、治療開始後59日のいずれかの時点で測定した。IV用量とSC用量との間の近似比較を可能にするために、反復SC用量について観察された全体のAUCは、測定されたAUC0-7dに投与された用量の数を掛けることによって控えめに推定された。ウイルス負荷およびAUCデータは、Emax式に適合した:E=Emax×AUC/(AUC+AUC50)。ダイヤモンドは、研究で観察された平均曝露に基づいて、週3回の350mg用量の見積もられたデータを示す。
【0095】
より大きなタンパク質(MW>10,000)がSC投与される場合、それらは最初にリンパ系を通過することに注意することが重要である。タンパク質が胸管に到達した後、血流への取り込みが起こる。その結果、SC PRO140のかなりのパーセントが、CCR5発現細胞に遭遇して結合し、血流に達することなく抗ウイルス効果を発揮することが期待され得る。この理由のために、SC投与について観察された血清AUCは、IV投与で観察されたものと比較して薬物暴露の控えめな見積もりを提供し得る。
【0096】
さらに、以前のSCおよびIV試験の薬力学データに基づいて、最大ウイルス学的抑制は、約5μg/mL以上のトラフ濃度で達成されると期待されている。この目標は、研究されるべき投与レジメンのほとんどまたはすべてによって達成されることが期待される。最終的に、3週間ごとのの324mgのSC用量(1.65log10)で達成されたウイルス負荷の平均最下点減少は、単回の5または10mg/kgのIV用量(いずれの場合も1.8log10)で観察された平均最下点減少と類似しており、350mg製剤の使用に基づく本研究では、負荷抑制が期待される。全体的に、いくつかの系統の証拠は、現在の研究で350mgの週1回投与で最大のウイルス学的抑制が達成されることを示している。
【0097】
PRO140は、ケモカイン受容体CCR5に対するヒト化IgG4、κモノクローナル抗体(mAb)である。PRO140は、175mg/mLの濃度で提供され、SC投与経路を意図している。腹部の両側に皮下投与された2つの1mL注射として合計350mg(175mg/mL)が送達される。PRO140の175mg/mLを、5mMのヒスチジン、15mMグリシン、95mM塩化ナトリウム、0.3%(w/v)ソルビトール、0.005%(w/v)ポリソルベート20の滅菌緩衝溶液中の1.4mLのPRO140を含有する3mLのバイアルに入れた。注:バイアル中の1.4mL溶液から1mLの注入を行った。残りの0.4mL薬剤は各バイアルから適切に捨てた。
【0098】
研究薬物は、2℃~8℃(冷蔵[36°F~46°F])で研究者の現場に輸送された。現場で受領したら、担当の現場スタッフまたは薬剤師がバイアルの完全性を確認した。研究薬は2℃~8℃(冷蔵[36°F~46°F])で保存される必要がある。バイアルの内容物は、明澄~乳白色の無色~黄色の溶液として現れるべきである。微細な半透明粒子が存在してもよい。これが正常である。
【0099】
PRO 140は、使用前に2~8℃で貯蔵された試験薬剤のバイアルから調製された単回使用注射器で投与担当者に提供された。2つのシリンジの各々を充填して、1.0mLの試験薬物を送達する。等量の研究薬物が、腹部の両側に皮下投与される。薬物の各SC送達の後、セクション17.3節に記載されているように、研究薬物注入部位反応(ISR)の出現を評価するために注意深い検査が行われる。研究薬物の全用量は、資格を持つ薬剤師によって調製され、免許を有する医療専門家によるSC注射として投与される。
【0100】
利益
この概念試験は、さらなる臨床試験のための用量およびレジメンを選択する目的のためであった。非常に活性な抗レトロウイルス治療(HAART)の最も重要な制限は、毎日継続して薬剤を遵守することの必要性および挑戦であった。この研究は、対象がPRO140を用いて毎週1回SC処置を監督する機会を提供する。現在の短期単独療法研究に参加する対象は、未来に、それらのための選択肢となる可能性のある薬剤の開発に貢献する。
【0101】
研究の目的
第一の目的は、抗レトロウイルス療法の併用で安定した患者における抗レトロウイルス療法の代替後のウイルス抑制の維持に対するPRO140単独療法の有効性を評価することであった。試験の第2の目的は、抗レトロウイルス療法の併用で安定した患者における抗レトロウイルス療法の代替後の臨床的安全性および耐容性パラメーターを評価することであった。
【0102】
この試験の主要有効性エンドポイントは、PRO140の単独治療を開始した後のウイルス学的応答の欠如までの時間である。ウィルス学的応答の欠如は、少なくとも3日間分離された400コピー/ml以上の2つの連続するHIV-1RNAレベルとして定義される。2次有効性エンドポイントは、14週間またはそれ以前にPRO140単独療法を開始した後にウィルス学的応答の欠如を有する参加者の割合、14週間の処置フェーズ内における各来診時のウイルス負荷の平均変化(HIV-1RNAレベル)、14週間の処置フェーズ内におけるウイルス負荷の平均変化(HIV-1RNAレベル)およびCD4細胞数の平均変化、14週間の処置フェーズ内の各来院時およびCD4細胞数の平均変化、14週間の処置フェーズ内およびQOLメトリックの変化である。
【0103】
安全性評価には、試験参加者が評価したPRO140の反復皮下投与の忍容性の評価(Visual Analogue Scaleを使用)および研究者による注射部位反応の評価、グレード3または4の有害事象の頻度および治療中に発生した重篤な有害事象の頻度が含まれる。
【0104】
研究の流れとスケジュール
図13は、研究デザインのフローチャートを提供する。先に述べたように、この研究は3つの研究フェーズに分かれている。(1)スクリーニングフェーズ(T1来診までのスクリーニング)はインフォームドコンセントの署名から始まり、6週間(42日)まで続く。最初の処置はスクリーニング来診の42日以内に施行される。(2)処置フェーズ(最大14週間のウインドウ)。対象は、約1週間(ウインドウ期間±3日)またはウイルス抑制が維持されるまでのいずれか早いほうに与えられるまで、最大14回の処置を受ける。処置フェーズ間にいつでも、ウイルス学的応答の欠如が起これば、対象は治験を中止し、以前の抗レトロウイルス療法を再開する。処置フェーズは、スクリーニング来診時に収集された実験室サンプルの結果の評価から始まる。スクリーニング来診から集められたデータごとに、すべての適格基準を満たす対象を治療する。資格基準を満たしていないすべての対象は、スクリーニング不合格とみなされ、それ以上評価することなく試験を終了する。対象は、PRO140の最初の投薬を受けた後1週間、既存の抗レトロウイルス療法を継続する。対象は、毎週(±3日)またはウイルス学的応答の欠如のいずれかが最初に起こるまで、最大14回の治療を受ける。
【0105】
プロトコールにしたがって、PRO140は週に350mgの皮下注射として最大14週間投与される。研究処置(PRO140 SC注射)は、認可された医療専門家(MD、DO、PA、LPN、LVN、NP、またはRN)によって管理される。
ウイルス学的応答の欠如が発生した場合、または試験治療の中止のためのその他の基準を満たしている場合、すべての対象は、14週間の治療期間の終了の1週間前、または治療期間中のいつでも以前の抗レトロウイルスレジメンを再開する。注目すべきことに、血漿HIV-1RNAレベルが200コピー/mLを超える場合、対象は、研究者の裁量により血漿HIV-1RNAレベルの繰り返し来診の間に別の採血のために診療所に戻る。
【0106】
処置フェーズ中いつでもウィルス学的応答の欠如(400コピー/ml以上のHIV-1RNAレベルが2日以上連続していると定義される)を経験した対象は、ウィルス学的応答の欠如(VF)アセスメントに行き、研究のフォローアップフェーズに入る。試験を中止するための基準(ウイルス学的応答の欠如以外)を満たしている対象は、T14来診査定を受け、調査のフォローアップフェーズに入る。ウィルス学的応答の欠如を経験していない対象は、14週間の処置フェーズの終了時に研究のフォローアップフェーズに入る。
【0107】
(3)フォローアップフェーズ:フォローアップ期間は、ウイルス負荷の抑制の状況に依存する。ウイルス負荷の抑制が達成されるまで(すなわち、血漿HIV-1RNAレベルが<50コピー/mLに戻る)、ウイルス学的応答の欠如を経験した対象は4週間ごとにフォローアップされる。14週間の治療期間の終了時にウイルス学的応答の欠如を経験しなかった対象は、2週間ごとに4週間にわたってフォローアップされる。
【0108】
結果
全部で40人の対象が第1フェーズ2bのPRO140代替研究に参加し、22人の対象がウイルス学的応答の欠如を経験することなく処置フェーズを完了した。試験は2つのコホートで実施された。この研究では、専用CCR5トロピックウイルスを有する対象のみが登録された。すべての40人の登録対象が、HIV-1共受容体トロピズムについて試験され、スクリーニング来診時にTROFILE(登録商標)DNAアッセイによって専用CCR5トロピズムを有すると報告した。しかしながら、40名の対象のうち16名(40%)は、後にデュアル/混合HIV-1RNA共受容体トロピズムを有することが判明した。
【0109】
この最初のPRO140置換試験の対象40人のうち39人(39人)(97.5%)が、PRO140単独療法の少なくとも4週間をウイルス学的応答の欠如を経験することなく完了し、40人のうち22人(55%)の対象が、ウィルス学的応答の欠如を経験することなく、PRO140単独療法の12週間を完了した。登録された40人の対象のうち、16人の対象はデュアル/混合トロピズム(D/M)を有し、24人の対象は専用CCR5トロピックウイルスを有することが判明した。D/M対象の62%(62.5%)と比較して、R5専用対象の33%(33.3%)はPRO140単独療法の12週間以内にウイルス学的応答の欠如を経験した(表2)。
【0110】
【表2】
【0111】
全体的に、40人の対象のうち18人(45%)は、処置フェーズの14週間にウイルス学的応答の欠如を経験した。ウイルス学的応答の欠如を確認した後、ウイルス学的応答の欠如を伴う18人の対象すべて(コホート-1で8人、コホート-2で10人)が、以前の経口抗レトロウイルス療法を再開した。すべてのウィルス学的応答の欠如の対象は(フォローアップで見失った対象01-024を除く)、ウイルス学的応答の欠如を経験した後、「非検出可能」または50未満のHIV-1RNAコピー/mLに対するウイルス抑制を達成した。
【0112】
【表3】
【0113】
表2および表3に示されているように、PRO140単独療法の4週間以内に1人の対象のみがウイリス学的応答の欠如を経験した。40例の対象のうち18例(45%)が、14週間の処置期間中にウイルス学的応答の欠如を経験した。ウィルス学的応答の欠如を有する10人の対象は、双曲線または混合トロピックウイルスを有することが見出され、8人の対象は、専用CCR5トロピックウイルスを有した。
【0114】
レトロスペクティブな探索的分析として、血液サンプルを、またHIV-1 Coreceptor Tropism by Proviral DNA法およびUltradeep Sequencing法(Quest Diagnostics)によって試験した。トロピズム試験の複合分析は、16人のデュアル/混合対象が研究に登録され、PRO140の処置を受けたことを示している。研究データに基づいて、16人のデュアル/混合対象のうち10人は、ウイルス学的に応答の欠如を有していた。
【0115】
【表4】
【0116】
【表5】
【0117】
【表6】
【0118】
【表7】
【0119】
これらの40人の対象について、CD4細胞数(/mm)およびHIV-1RNAレベル(コピー/mL)を測定した。以下の表8は、PRO140単独療法(T6来診)の4週間までの対象特異的CD4細胞数および血漿HIV-1RNAレベルを示す。
【0120】
【表8-1】
【0121】
【表8-2】
【0122】
【表8-3】
【0123】
【表8-4】
【0124】
【表8-5】
【0125】
【表8-6】
【0126】
【表8-7】
【0127】
【表8-8】
【0128】
結果の全体的なレビューは、CD4細胞数が処置フェーズ全体にわたって安定したレベルで維持されたことを示す。図14参照。
ウイルス学的応答の欠如が確認された後、ARTが再開すると18(18)人中17人のウイルス学的応答の欠如の対象は、<400HIV-1RNAコピー/mlのウイルス抑制を、ならびに「検出不能」または<50HIV-1RNAコピー/mlのウイルス抑制を達成した(94.4%)。ウイルス学的応答の欠如を有する18人の対象について、14週間の処置フェーズ中にPRO140単独療法に曝露した結果、HIV-1RNAウイルスまたはIC50値に有意な変化は見られなかった。さらに、PK試料を分析し、ウイルス学的応答の欠如を経験しなかった対象に有意差は認められなかった。
【0129】
ウイルス学的応答の欠如が確認された後、ウイルス学的応答の欠如を伴う18人の対象すべて(コホート-1における8対象、コホート-2における10対象)が従来の経口抗レトロウイルスレジメンを再開した。最初のコホートにおける8人のウイルス学的応答の欠如の対象はすべて400未満のHIV-1RNAコピー/mlのウイルス抑制を、ならびに、「検出不能」または50未満のHIV-1RNAコピー/mlコピーのウイルス抑制を達成した(100%)。第2コホートにおける10人の対象のうち9人(9)は、<400HIV-1RNAコピー/mlのウイルス抑制を、ならびに、「検出不能」または<50のHIV-1RNAコピー/mlコピーのウイルス抑制を達成した。第2コホートの残りの対象は、フォローアップで見失ったと記録された。
<400コピー/mlおよび<50コピー/mlHIV-1RNAレベルの時間に関する対象別リストが以下の表9に示されている。
【0130】
【表9】
【0131】
【表10】
【0132】
有害事象に関するデータには、PRO140の少なくとも1回の投与を受けた後に1つ以上の有害事象を経験した40人の対象のうち28人が含まれる。最も一般的に発生するAEは、40人の対象のうち14人(35%)が報告した「感染および蔓延」であり、次いで40人の対象のうち13人(32.5%)が報告した「一般的な障害および投与部位条件」である。
【0133】
安全性データを、CCR5プラスデュアル/混合トロピック集団の全40人の対象について分析した。40人の対象のうちの1人が、研究薬物に関連しないとみなされるSAEを経験した。40人の対象のうち28人(28人)がPRO140の少なくとも1回の投与を受けた後に1つ以上の有害事象(AE)を経験した。最も一般的に生じるAEは、40人中14人(35%)の対象によって報告された感染症および蔓延状態である。報告されたAEの大部分(63/89、70.7%)は、研究者の研究処置に関連しているとは考えられないか、または関連していないとみなされた。同様に、報告されたAEの大部分(72/89; 80.8%)は本質的に軽度とみなされた。
【0134】
最大28名の対象および60週間の専用PRO140単独療法を含む第2フェーズ2bの拡張TS試験では、最初の第1フェーズ2bのTS研究のために確立されたプロトコールを用いた拡張試験を行い、PRO140(モノクローナルCCR5抗体)単独療法と安定した組み合わせの抗レトロウイルス療法をさらに60週間追加した後のHIV-1複製の長期抑制をさらに評価した。
【0135】
主要な目的は、ウィルス学的応答の欠如を経験することなく、最初のTS研究で12週間の治療を完了した患者のウイルス抑制の維持のためのPRO140単独療法の長期有効性を評価することである。最初のTS試験で12週間の治療を完了した患者における継続的なPRO140使用の長期的な臨床安全性および忍容性パラメーターを、ウィルス学的な応答の欠如を経験することなく評価することである。試験の第2の目的は、ウィルス学的応答の欠如を経験することなく、第1のTS試験において12週間の処置を完了した患者における継続的なPRO140使用の長期間の臨床安全性および忍容性パラメーターを評価することである。
【0136】
第1のTS試験の少なくとも16人の対象がPRO140拡張試験に参加した。PRO140による追加の処置期間の合計は、PRO140置換研究の開始から既存のレトロウイルスレジェンとPRO140の同じ1週間の重複を有する対象、および拡張期の終了時に既存のレトロウイルスレジェンとPRO140の1週間の重複を有する対象では拡張フェーズ終了時まで最大60週間である。PRO140単独療法の最初の12週間を完了したコホート-2の対象のみが、ウィルス学的応答の欠如を経験することなくPRO140単独療法を継続する資格があった。
【0137】
主な有効性のエンドポイントは、PRO140単独療法を開始した後のウイルス学的応答の欠如までの時間であり、ウィルス学的応答の欠如は、少なくとも3日間離れた2つの連続する≧400コピー/mlのHIV-1RNAレベルとして定義される。PRO140単独療法で治療された対象に対するウイルス学的応答の欠如までの時間は、履歴データ(すなわち、29日内にHIV-1RNAウイルス負荷が>500コピー/mLとなるまでの時間)と比較される。
【0138】
統計的比較はウィルコクソン順位和検定を用いて行われ、この研究のためのウイルス学的応答の欠如の中央値は30日と比較される。2次的有効性のエンドポイントには、PRO140単独療法を開始した後のウィルス学的応答の欠如、ウイルス負荷の平均変化(HIV-1RNAレベル)、CD4細胞数の平均変化、CD4細胞数の平均変化、およびQOLメトリクスの変化が含まれる。第2エンドポイントからのすべてのデータはまた変数タイプにしたがって要約される。
【0139】
PRO140の反復皮下投与の忍容性に基づく安全性は、試験参加者(Visual Analogue Scaleを使用)および研究者評価による注射部位反応のグレード3(重度または医学的に重要であるが、直ちに生命を脅かすことはなく、入院または入院延長の指示、無効化、自己ケアの制限)またはグレード4(生命を脅かす結果、緊急介入が示される)の頻度、有害事象の規模および重大な緊急処置の頻度に基づく安全性より評価された。有害事象(AE)は、対象によって生じたまたは対象によって報告された、好ましくないまたは予期しない徴候、症状または疾患、または既存の状態の悪化と定義される。AEは、調査処置に関連している場合とされていない場合がある。
【0140】
この第2フェーズ2b拡張TS試験は、抗レトロウイルス療法の併用で安定した患者のウイルス抑制維持のためのPRO140単独療法の長期有効性、安全性、耐容性を評価するためにデザインされた多施設拡張試験である。最初のTS研究のもとでウイルス学的応答の欠如を経験することなく、同意した患者は、60週間追加してPRO140単独療法を継続して受けている。
【0141】
PRO140の全治療期間は、最大61週間であり、ウイルス学的応答の欠如を経験していない対象では、処置拡張期間の終了時に既存のレトロウイルス療法およびPRO140の1週間の重複がある。PRO140は、週に350mgの皮下注射として61週間まで投与される。試験参加者は、PRO140単独療法の開始後に毎週ウィルスのリバウンドについてモニタリングされ、血漿HIV-1RNAレベルが少なくとも3日間離れた2回の連続した血液採取で400コピー/mlを上回る場合、以前の抗レトロウイルスのレジメンを再開する。
【0142】
適格な対象は、毎週(±3日)、またはウイルス学的応答の欠如のいずれか早い時点で起きるまで、最大で61回の処置を受ける。TE1すなわち最初の処置の日に処置拡張フェーズの来診が開始され、その後毎週来診(±3日)される。図15を参照。最初のTS研究と同様に、専用CCR5トロピックウイルスを有する対象のみが登録された。しかしながら、レトロスペクティブな探索的分析として、スクリーニング血液サンプルをHIV-1 Co-receptor Tropism by Proviral DNA法またはUltradeep Sequencing with Reflex(Quest Diagnostics)によって試験したとき、16人の対象のうち6人が、デュアル-または混合-トロピック(D/M)ウイルスを有することが決定された。
【0143】
毎週の有効性評価には、ウイルス負荷およびCD4細胞数の評価が含まれる。安全性評価は、各処置拡張およびフォローアップ来診時の身体検査、実験室および有害事象の評価から構成されている。第2フェーズ2b拡張TS試験の対象の除外基準は、第1TS試験で使用した基準と同様であった。
【0144】
PRO140を350mg毎週腹部に皮下注射として投与する。合計350mg(175mg/mL)が、腹部の両側に2回の1mL注射として送達される。PRO140は、使用前に現場薬局で2~8℃で保存された研究薬のバイアルから調製された使い捨て注射器で投与担当者に提供される。2つのシリンジの各々を充填して、1.0mLの試験薬物を送達する。等量の研究薬物が、腹部の両側に皮下投与される。バイアルからの内容物の除去および対象への投与には、25ゲージの針を使用する必要がある。内容物は1mLあたり15秒以上ゆっくりと投与する必要がある。
【0145】
同じ注射部位を研究を通して使用することが好ましい。それと同時に、皮膚が以前の注射部位反応の徴候を示す領域に研究薬物を注入することは推奨されない。注射部位反応が未修復のまま残っている場合は、注射部位を変更することを推奨する。
【0146】
濃縮タンパク質材料のSCおよびIV注射は、薬物を安全にかつ首尾よく送達する能力に影響を及ぼす注射関連AEと関連し得る。局所注射部位反応には、痛み/不快感、凝結、紅斑、結節/嚢胞、掻痒、斑状出血などが含まれる。SC注射の場合、出血、薬物の吸収、薬物の漏出、および局所注射部位での硬結は、さらなる合併症であり得る。モノクローナル抗体に基づく治療に共通する他のAEは、悪寒、頭痛、腰痛、倦怠感、発熱、掻痒、発疹、吐き気、うずき、および高血圧である。
【0147】
2(2)人のウイルス学的応答の欠如を持つ対象は、処置拡張フェーズで継続する免除を受け、ARTを再開しなかった。他の2人のウィルス学的応答の欠如の対象は、ARTを再開し、「非検出可能」または50未満のHIV-1 RNAコピー/mlまでのウイルス抑制を達成した。
【0148】
表11は、拡張研究における16人の対象を強調している。これら16人の対象のうち、10人の対象が、第1TS試験および第2TS拡張試験の両方でPRO140の単独療法の合計20週間を完了した。各対象のステータスが提供される。16人の対象のうち4人(25%)がウイルス学的応答の欠如を経験した。これらの4人の対象のうち、2人の対象がデュアルまたは混合トロピックウイルスを有することが見出され、2人の対象は専用CCR5トロピックウイルスを有することが判明した。2つのウイルス学的応答の欠点を持つ対象は、拡張フェーズで継続する免除を受け、ARTを再開しなかった。他の2つのウィルス学的応答の欠如対象はARTを再開し、「非検出可能」または50未満のHIV-1 RNAコピー/mlまでウイルス抑制を達成した。
【0149】
【表11】
【0150】
したがって、中間試験の結果は、16週間の対象のうち、14週間の対象が20週間以上の単独療法を受けていることを示している(単独療法の所要時間はPRO140代替試験から継続する期間を含む)。下の表12を参照。
【0151】
【表12】
【0152】
PRO 140単独療法を開始した後にウイルス学的応答が欠如を経験したPRO 140代替およびPRO140拡張に登録されたすべての対象は、PhenoSense(登録商標)Entry Assay(Monogram Biosciences)を使用してウイルス表現型を評価するために採取された実験室サンプルを有する。成長途中のHIV-1RNAウイルスを、3つの異なる化合物(AMD3100、マラビロクおよびPRO140)に暴露して、試験中に阻害濃度(IC50)に変化があるかどうかを判定した。さらに、PRO 140代替研究のスクリーニング来診時に40人すべての登録対象について得られたラボサンプルを、ベースラインデータとして分析した。
【0153】
PRO140代替試験の完全なPhenoSense(登録商標)Entry Assayデータは、HIV1RNAウイルスまたはIC50値に対する有意な変化が、ウィルス学的応答の欠如を有する18人の対象についてPRO140単独療法の曝露の結果として生じなかったことを示す。
PRO140代替およびPRO140拡張に登録された全ての対象は、PRO140単独療法への暴露の結果として抗イディオタイプ抗体(ADA)が発症したかどうかを評価するために、様々な時点で採取された実験室サンプルを有する。PRO140代替研究のために実験室サンプルは、スクリーニング来診、処置来診4、8、12および14、VF来診ならびにフォローアップフェーズの第4週に採取された。
【0154】
PRO140中に単独療法として投与された場合、PRO140の薬物動態(PK)の特性を評価するために、ADA評価と同様に、実験室サンプルをスクリーニング来診、処置来診4、8、12および14ならびにVF来診で収集した。PRO140は、以前の臨床試験で見られたものと同様の好ましいPKプロファイルを有する。PRO140拡張試験に参加する対象は、同様の時点で同じ評価を完了する(スクリーニング来診1、処置拡張来診4、8、12、16、20および24、VF来診)。ADAのみがフォローアップフェーズの第4週に評価された。
【0155】
さらなる研究が進行中であり、PRO140単独療法を使用する代替処置が、少なくとも11ヶ月までの一部の患者に有効であるという証拠が得られている。すなわち、HIV感染患者におけるPRO140単独療法の進行中の拡張研究は、ほぼ11ヶ月間にわたって完全なウイルス負荷抑制を示している。広く使用されているHAART併用療法ではなく、単一の薬剤による代替処置による完全なウイルス学的抑制は、HIV感染を治療する重要な機会を提示すると考えられている。
【0156】
これらの研究から得られた入手可能なデータに基づいて、現行の様式で抑制を達成できないHIV-1感染の成人対象における現在承認されている抗レトロウイルス処置へのPRO140の添加後のHIV-1複製の抑制をさらに評価するためのさらなる研究が保証される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A-10D】
図11
図12
図13
図14
図15