(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】監視制御装置、バイオガス発電制御システム及び発電制御方法
(51)【国際特許分類】
F02G 1/06 20060101AFI20220307BHJP
F02G 3/00 20060101ALI20220307BHJP
F02G 5/04 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
F02G1/06
F02G3/00
F02G5/04 H
(21)【出願番号】P 2020199194
(22)【出願日】2020-11-30
(62)【分割の表示】P 2017042633の分割
【原出願日】2017-03-07
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平岩 良太
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-029097(JP,A)
【文献】特開平08-298723(JP,A)
【文献】特開2003-343298(JP,A)
【文献】特開2017-018876(JP,A)
【文献】特開2014-007980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02G 1/06
F02G 3/00
F02G 5/04
C02F 11/04
B09B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性廃棄物を発酵処理する発酵槽内の温度情報を取得する取得部と、
取得された前記発酵槽内の温度に基づいて、前記発酵処理の過程で発生するバイオガスを用いて発電し、電力及び熱エネルギーを生成するバイオガス発電装置を起動又は停止する機器制御部と、
を備え
、
前記機器制御部は、前記発酵槽内の温度が第1の値以下である場合には前記バイオガス発電装置を起動して発電させる監視制御装置。
【請求項2】
有機性廃棄物を発酵処理する発酵槽内の温度情報を取得する取得部と、
取得された前記発酵槽内の温度に基づいて、前記発酵処理の過程で発生するバイオガスを用いて発電し、電力及び熱エネルギーを生成するバイオガス発電装置を起動又は停止する機器制御部と、
を備え
、
前記機器制御部は、前記バイオガス発電装置の起動後において、前記発酵槽内の温度が第1の値より高くなった場合には前記バイオガス発電装置を停止する監視制御装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記バイオガス発電装置が備えられる施設内の負荷電力に関する所内負荷電力値情報をさらに取得し、
前記機器制御部は、
さらに、取得された前記所内負荷電力値情報で示される所内負荷電力値に基づいて前記バイオガス発電装置の起動又は停止を制御し、所内負荷電力値が閾値以上である場合には前記バイオガス発電装置を起動して発電させる、請求項1
又は2に記載の監視制御装置。
【請求項4】
前記機器制御部は、前記バイオガス発電装置の起動後において
、前記所内負荷電力値が閾値未満になった場合には前記バイオガス発電装置を停止する、請求項
3に記載の監視制御装置。
【請求項5】
前記取得部は、電力料金に関する電力料金情報をさらに取得し、
前記機器制御部は、
さらに、取得された前記電力料金情報で示される電力料金に基づいて前記バイオガス発電装置を起動又は停止し、現時刻が電気料金が予め設定された基準額より高い時間帯である場合には前記バイオガス発電装置を起動して発電させる、請求項1
又は2に記載の監視制御装置。
【請求項6】
前記機器制御部は、前記バイオガス発電装置の起動後において、前記発酵槽内の温度が第1の値より高い、かつ、現時刻が電気料金が予め設定された基準額以下の時間帯である場合には前記バイオガス発電装置を停止する、請求項
5に記載の監視制御装置。
【請求項7】
有機性廃棄物を発酵処理する発酵槽と、
前記発酵処理の過程で発生するバイオガスを用いて発電し、電力及び熱エネルギーを生成するバイオガス発電装置と、
生成された熱エネルギーを回収し、前記発酵槽を加温する排熱回収装置と、
前記発酵槽内の温度に基づいて、前記バイオガス発電装置を起動又は停止する監視制御装置と、
を備え
、
前記監視制御装置は、前記発酵槽内の温度が第1の値以下である場合には前記バイオガス発電装置を起動して発電させるバイオガス発電制御システム。
【請求項8】
有機性廃棄物を発酵処理する発酵槽と、
前記発酵処理の過程で発生するバイオガスを用いて発電し、電力及び熱エネルギーを生成するバイオガス発電装置と、
生成された熱エネルギーを回収し、前記発酵槽を加温する排熱回収装置と、
前記発酵槽内の温度に基づいて、前記バイオガス発電装置を起動又は停止する監視制御装置と、
を備え
、
前記監視制御装置は、前記バイオガス発電装置の起動後において、前記発酵槽内の温度が第1の値より高くなった場合には前記バイオガス発電装置を停止するバイオガス発電制御システム。
【請求項9】
有機性廃棄物を発酵処理する発酵槽内の温度情報を取得する取得ステップと、
取得された前記発酵槽内の温度に基づいて、前記発酵処理の過程で発生するバイオガスを用いて発電し、電力及び熱エネルギーを生成するバイオガス発電装置を起動又は停止する機器制御ステップと、
を有
し、
前記機器制御ステップにおいて、前記発酵槽内の温度が第1の値以下である場合には前記バイオガス発電装置を起動して発電させる発電制御方法。
【請求項10】
有機性廃棄物を発酵処理する発酵槽内の温度情報を取得する取得ステップと、
取得された前記発酵槽内の温度に基づいて、前記発酵処理の過程で発生するバイオガスを用いて発電し、電力及び熱エネルギーを生成するバイオガス発電装置を起動又は停止する機器制御ステップと、
を有
し、
前記機器制御ステップにおいて、前記バイオガス発電装置の起動後において、前記発酵槽内の温度が第1の値より高くなった場合には前記バイオガス発電装置を停止する発電制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、監視制御装置、バイオガス発電制御システム及び発電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下水処理場において、下水汚泥などのバイオマスを嫌気処理する過程で発生するバイオガスを用いて発電を行う消化ガス発電システムがある。従来の消化ガス発電システムでは、発生するバイオガスを利用するために、消化ガス発電装置を常に稼働させている。しかしながら、従来の方法では、消化ガス発電装置が設置されている下水処理場のエネルギー消費に伴うランニングコストを低減することができない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、エネルギー消費を抑制しつつ、ランニングコストを低減することができる監視制御装置、バイオガス発電制御システム及び発電制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の監視制御装置は、取得部と、機器制御部とを持つ。取得部は、有機性廃棄物を発酵処理する発酵槽内の温度情報を取得する。機器制御部は、取得された前記発酵槽内の温度に基づいて、前記発酵処理の過程で発生するバイオガスを用いて発電し、電力及び熱エネルギーを生成するバイオガス発電装置を起動又は停止する。前記機器制御部は、前記発酵槽内の温度が第1の値以下である場合には前記バイオガス発電装置を起動して発電させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態のバイオガス発電制御システム100のシステム構成を示す図。
【
図2】第1の実施形態の監視制御装置20の機能構成を表す概略ブロック図。
【
図3】第1の実施形態の監視制御装置20の処理の流れを表すフローチャート。
【
図4】第1の実施形態の監視制御装置20の処理の流れを表すフローチャート。
【
図5】第2の実施形態のバイオガス発電制御システム100aのシステム構成を示す図。
【
図6】第2の実施形態の監視制御装置20aの機能構成を表す概略ブロック図。
【
図7】第2の実施形態の監視制御装置20aの処理の流れを表すフローチャート。
【
図8】第2の実施形態の監視制御装置20aの処理の流れを表すフローチャート。
【
図9】第3の実施形態の監視制御装置20bの機能構成を表す概略ブロック図。
【
図10】第3の実施形態の監視制御装置20bの処理の流れを表すフローチャート。
【
図11】第3の実施形態の監視制御装置20bの処理の流れを表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の監視制御装置、バイオガス発電制御システム及び発電制御方法を、図面を参照して説明する。以下の説明におけるバイオガス発電制御システムは、バイオガスを用いた発電を制御するシステムである。バイオガス発電制御システムは、例えば、下水処理場に備えられる。バイオガスは、有機物の発酵処理の過程において発生するガスである。以下の説明では、バイオガスがメタンを含む消化ガスである場合を例に説明するが、バイオガスは有機性廃棄物を発酵処理することによって発生し、エネルギー源としての利用が可能なガスであればどのようなガスであってもよい。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のバイオガス発電制御システム100のシステム構成を示す図である。バイオガス発電制御システム100は、発酵槽10、温度計11、ガスタンク12、レベル計13、バイオガス発電装置14、排熱回収装置15、放熱器16及び監視制御装置20を備える。
【0009】
発酵槽10は、有機性廃棄物を発酵処理する。例えば、発酵槽10は、有機性廃棄物をメタン発酵処理する。発酵槽10の発酵処理の過程においてバイオガスが発生する。発生したバイオガスは、ガスタンク12に貯留される。発酵槽10内部の温度は、中温発酵の場合は約30℃~40℃で保たれていることが好ましいが、発酵方法によってはこの限りではない。発酵槽10には温度計11が備えられる。
温度計11は、発酵槽10内部の温度を計測する。温度計11は、計測結果を監視制御装置20に出力する。温度計11からの計測結果の出力タイミングは、周期的であってもよいし、出力指示がなされたタイミングであってもよい。
【0010】
ガスタンク12は、バイオガスを貯留する。ガスタンク12にはレベル計13が備えられる。
レベル計13は、ガスタンク12内に貯留されているバイオガスの量を計測する。レベル計13は、計測結果を監視制御装置20に出力する。レベル計13からの計測結果の出力タイミングは、周期的であってもよいし、出力指示がなされたタイミングであってもよい。
【0011】
バイオガス発電装置14は、ガスタンク12に貯留されているバイオガスを燃料として発電し、電力と熱エネルギーを生成する。バイオガスが消化ガスである場合、バイオガス発電装置14は消化ガスに含まれるメタンを燃焼させることによって発電し、電力と熱エネルギーを生成する。なお、発電された電力は、売電してもよいし、蓄電してもよいし、バイオガス発電制御システム100が備えられる施設(例えば、下水処理場)に備えられている機器に供給してもよい。バイオガス発電装置14は、監視制御装置20の制御に従って発電又は停止する。ここで停止とは、バイオガス発電装置14全体の機能が停止していることであってもよいし、バイオガス発電装置14による発電の処理を行う機能のみが停止していることであってもよい。
【0012】
排熱回収装置15は、バイオガス発電装置14で生成された熱エネルギーを回収し、熱交換器を用いて発酵槽10を加温する。例えば、排熱回収装置15は、温水により熱エネルギーを回収し、熱交換器を用いて発酵槽10を加温する。なお、排熱回収装置15の構成は、発酵槽10の加温という目的を満足するものであればどのような構成であってもよい。
放熱器16は、熱エネルギーが過剰な場合に放熱を行う。
監視制御装置20は、発酵槽10内の温度及びガスタンク12内のガスの量を監視し、バイオガス発電装置14の動作を制御する。
【0013】
図2は、監視制御装置20の機能構成を表す概略ブロック図である。
監視制御装置20は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、監視制御プログラムを実行する。監視制御プログラムの実行によって、監視制御装置20は、取得部201、機器制御部202を備える装置として機能する。なお、監視制御装置20の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。また、監視制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、監視制御プログラムは、電気通信回線を介して送受信されてもよい。
【0014】
取得部201は、温度計11及びレベル計13から計測結果を取得する。例えば、取得部201は、温度計11から計測結果として温度情報を取得する。また、例えば、取得部201は、レベル計13から計測結果としてバイオガスの量の情報(以下「ガス量情報」という。)を取得する。
機器制御部202は、取得部201によって取得された温度情報及びガス量情報に基づいて、バイオガス発電装置14の動作を制御する。例えば、機器制御部202は、バイオガス発電装置14の発電の開始及び発電の停止を制御する。
【0015】
図3は、監視制御装置20の処理の流れを表すフローチャートである。なお、
図3では、バイオガス発電装置14が停止している場合の監視制御装置20の処理について説明する。
取得部201は、温度計11から温度情報を取得する(ステップS101)。取得部201は、取得した温度情報を機器制御部202に出力する。取得部201は、レベル計13からガス量情報を取得する(ステップS102)。取得部201は、取得したガス量情報を機器制御部202に出力する。
【0016】
機器制御部202は、取得部201から出力された温度情報及びガス量情報に基づいて、第1の起動条件が満たされたか否か判定する(ステップS103)。第1の起動条件は、バイオガス発電装置14を起動して発電させるための条件であり、例えばガスタンク12内に貯留されているバイオガスの量が基準値以上であり、かつ、発酵槽10内の温度が第1の値以下であることが挙げられる。基準値は、予め決められていてもよい。第1の値は、例えば下限値、又は、下限値より少し高い温度(例えば、下限値+数℃)である。下限値は、発酵槽10内の温度として適正の温度範囲における最低温度である。例えば、発酵槽10内の温度として適正の温度範囲が30℃~40℃である場合、下限値は30℃である。
【0017】
第1の起動条件が満たされた場合(ステップS103-YES)、すなわちバイオガスの量が基準値以上であり、かつ、発酵槽10内の温度が第1の値以下である場合、機器制御部202はバイオガス発電装置14を起動して発電させる(ステップS104)。
一方、第1の起動条件が満たされていない場合(ステップS103-NO)、すなわちバイオガスの量が基準値未満である場合、又は、発酵槽10内の温度が第1の値より高い場合、機器制御部202はバイオガス発電装置14に対する制御を行わない(ステップS105)。
【0018】
図4は、監視制御装置20の処理の流れを表すフローチャートである。なお、
図4では、バイオガス発電装置14が起動している場合の監視制御装置20の処理について説明する。
図4において、
図3と同様の処理については
図3と同様の符号を付して説明を省略する。
機器制御部202は、取得部201から出力された温度情報及びガス量情報に基づいて、第1の停止条件が満たされたか否か判定する(ステップS201)。第1の停止条件は、バイオガス発電装置14を停止させるための条件であり、例えばガスタンク12内に貯留されているバイオガスの量が基準値未満であること、又は、発酵槽10内の温度が第1の値より高いことが挙げられる。
【0019】
第1の停止条件が満たされた場合(ステップS201-YES)、すなわちバイオガスの量が基準値未満である場合、又は、発酵槽10内の温度が第1の値より高い場合、機器制御部202はバイオガス発電装置14を停止させる(ステップS202)。これにより、バイオガス発電装置14による発電が行われない。
一方、第1の停止条件が満たされていない場合(ステップS201-NO)、すなわちバイオガスの量が基準値以上であり、かつ、発酵槽10内の温度が第1の値以下である場合、機器制御部202はバイオガス発電装置14に対する制御を行わない(ステップS203)。
【0020】
以上のように構成された第1の実施形態におけるバイオガス発電制御システム100によれば、発酵槽10内の温度が第1の値より高い場合、バイオガス発電装置14を起動させない。すなわち、発酵槽10内の温度が適切な温度範囲内である場合には、バイオガス発電装置14による発電が行われない。したがって、無駄にエネルギーが生成されない。そのため、エネルギーを抑制しつつ、エネルギー消費に伴うランニングコストを低減することが可能になる。
【0021】
また、第1の実施形態におけるバイオガス発電制御システム100によれば、発酵槽10内の温度が第1の値以下である場合、バイオガス発電装置14を起動して発電が行われる。すなわち、発酵槽10内の温度が適切な温度範囲を下回る可能性がある場合には、バイオガス発電装置14による発電が行われる。そして、発酵槽10内の温度が適切な温度範囲内になった場合には、バイオガス発電装置14の発電を停止する。これにより、発酵槽10内の温度が適切な温度範囲になるまでバイオガス発電装置14が起動され、発酵槽10内の温度が適切な温度範囲になるとバイオガス発電装置14が停止される。したがって、無駄にエネルギーが生成されない。そのため、エネルギーを抑制しつつ、エネルギー消費に伴うランニングコストを低減することが可能になる。
【0022】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、監視制御装置が、発酵槽10内の温度及び負荷電力に基づいて、バイオガス発電装置の動作を制御する。
図5は、第2の実施形態のバイオガス発電制御システム100aのシステム構成を示す図である。バイオガス発電制御システム100aは、発酵槽10、温度計11、ガスタンク12、レベル計13、バイオガス発電装置14、排熱回収装置15、放熱器16、電力計17及び監視制御装置20aを備える。以下、第1の実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0023】
電力計17は、所内負荷電力値を計測する。所内負荷電力値とは、バイオガス発電制御システム100が備えられる施設(例えば、下水処理場)で使用されている総電力値である。電力計17は、計測結果を監視制御装置20aに出力する。電力計17からの計測結果の出力タイミングは、周期的であってもよいし、出力指示がなされたタイミングであってもよい。
監視制御装置20aは、発酵槽10内の温度、ガスタンク12内のガスの量及び所内負荷電力値を監視し、バイオガス発電装置14の動作を制御する。
【0024】
図6は、監視制御装置20aの機能構成を表す概略ブロック図である。
監視制御装置20aは、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、監視制御プログラムを実行する。監視制御プログラムの実行によって、監視制御装置20aは、取得部201a、機器制御部202aを備える装置として機能する。なお、監視制御装置20aの各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。また、監視制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、監視制御プログラムは、電気通信回線を介して送受信されてもよい。
【0025】
監視制御装置20aは、取得部201及び機器制御部202に代えて取得部201a及び機器制御部202aを備える点で監視制御装置20と構成が異なる。以下、取得部201a及び機器制御部202aについて説明する。
【0026】
取得部201aは、温度計11、レベル計13及び電力計17から計測結果を取得する。例えば、取得部201aは、温度計11から計測結果として温度情報を取得する。また、例えば、取得部201aは、レベル計13から計測結果としてガス量情報を取得する。また、例えば、取得部201aは、電力計17から計測結果として所内負荷電力値の情報(以下「所内負荷電力値情報」という。)を取得する。
機器制御部202aは、取得部201aによって取得された温度情報、ガス量情報及び所内負荷電力値情報に基づいて、バイオガス発電装置14の動作を制御する。例えば、機器制御部202aは、バイオガス発電装置14の発電の開始及び発電の停止を制御する。
【0027】
図7は、監視制御装置20aの処理の流れを表すフローチャートである。なお、
図7では、バイオガス発電装置14が停止している場合の監視制御装置20aの処理について説明する。
取得部201aは、温度計11から温度情報を取得する(ステップS301)。取得部201aは、取得した温度情報を機器制御部202aに出力する。取得部201aは、レベル計13からガス量情報を取得する(ステップS302)。取得部201aは、取得したガス量情報を機器制御部202aに出力する。取得部201aは、電力計17から所内負荷電力値情報を取得する(ステップS303)。取得部201aは、取得した所内負荷電力値情報を機器制御部202aに出力する。
【0028】
機器制御部202aは、取得部201aから出力された温度情報、ガス量情報及び所内負荷電力値情報に基づいて、第2の起動条件が満たされたか否か判定する(ステップS304)。第2の起動条件は、バイオガス発電装置14を起動して発電させるための条件であり、例えばガスタンク12内に貯留されているバイオガスの量が基準値以上であり、かつ、発酵槽10内の温度が第1の値以下であること、又は、バイオガスの量が基準値以上であり、かつ、所内負荷電力値が閾値以上であることが挙げられる。閾値は、予め決められていてもよい。
【0029】
第2の起動条件が満たされた場合(ステップS304-YES)、すなわちバイオガスの量が基準値以上であり、かつ、発酵槽10内の温度が第1の値以下である場合、又は、バイオガスの量が基準値以上であり、かつ、所内負荷電力値が閾値以上である場合、機器制御部202はバイオガス発電装置14を起動して発電させる(ステップS305)。
一方、第2の起動条件が満たされていない場合(ステップS304-NO)、すなわちガスタンク12内に貯留されているバイオガスの量が基準値未満である場合、又は、発酵槽10内の温度が第1の値より高い場合、又は、所内負荷電力値が閾値未満である場合、機器制御部202はバイオガス発電装置14に対する制御を行わない(ステップS305)。
【0030】
図8は、監視制御装置20aの処理の流れを表すフローチャートである。なお、
図8では、バイオガス発電装置14が起動している場合の監視制御装置20aの処理について説明する。
図8において、
図7と同様の処理については
図7と同様の符号を付して説明を省略する。
機器制御部202aは、取得部201aから出力された温度情報、ガス量情報及び所内負荷電力値情報に基づいて、第2の停止条件が満たされたか否か判定する(ステップS401)。第2の停止条件は、バイオガス発電装置14を停止させるための条件であり、例えばガスタンク12内に貯留されているバイオガスの量が基準値未満であること、又は、発酵槽10内の温度が第1の値より高いこと、又は、所内負荷電力値が閾値未満であることが挙げられる。
【0031】
第2の停止条件が満たされた場合(ステップS401-YES)、すなわちバイオガスの量が基準値未満である場合、又は、発酵槽10内の温度が第1の値より高い場合、又は、所内負荷電力値が閾値未満である場合、機器制御部202aはバイオガス発電装置14を停止させる(ステップS402)。
一方、第2の停止条件が満たされていない場合(ステップS401-NO)、すなわちバイオガスの量が基準値以上であり、かつ、発酵槽10内の温度が第1の値以下である場合、又は、バイオガスの量が基準値以上であり、かつ、所内負荷電力値が閾値以上である場合、機器制御部202aはバイオガス発電装置14に対する制御を行わない(ステップS403)。
【0032】
以上のように構成された第2の実施形態におけるバイオガス発電制御システム100aによれば、系統から受電する電力の最大値を減らし、電力会社との契約電力を減らすとともに、発酵槽10の加温に必要な熱エネルギーを減らすために、所内負荷電力と発酵槽10内の温度を監視し、所内負荷電力が閾値未満、発酵槽10内の温度を適正な温度で維持するようにバイオガス発電装置14の制御がなされる。そのため、エネルギーを抑制しつつ、エネルギー消費に伴うランニングコストを低減することが可能になる。
【0033】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、監視制御装置が、発酵槽10内の温度及び電力料金に基づいて、バイオガス発電装置の動作を制御する。第3の実施形態では、バイオガス発電制御システム100が、監視制御装置20に代えて監視制御装置20bを備える点を除けば第1の実施形態と同様であるため、第1の実施形態と異なる点についてのみ説明する。
監視制御装置20bは、発酵槽10内の温度及び電力料金の切り替え時間を監視し、バイオガス発電装置14の動作を制御する。
【0034】
図9は、監視制御装置20bの機能構成を表す概略ブロック図である。
監視制御装置20bは、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、監視制御プログラムを実行する。監視制御プログラムの実行によって、監視制御装置20bは、取得部201b、機器制御部202b、電力料金情報記憶部203を備える装置として機能する。なお、監視制御装置20bの各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。また、監視制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、監視制御プログラムは、電気通信回線を介して送受信されてもよい。
【0035】
監視制御装置20bは、取得部201及び機器制御部202に代えて取得部201b及び機器制御部202bを備える点、電力料金情報記憶部203を新たに備える点で監視制御装置20と構成が異なる。以下、取得部201b、機器制御部202b及び電力料金情報記憶部203について説明する。
【0036】
取得部201bは、温度計11及びレベル計13から計測結果を取得する。例えば、取得部201bは、温度計11から計測結果として温度情報を取得する。また、例えば、取得部201bは、レベル計13から計測結果としてガス量情報を取得する。また、取得部201bは、電力料金の情報(以下「電力料金情報」という。)を取得する。電力料金情報は、系統から受電するのに、どの時間帯にどのくらいの料金がかかるのかを表す情報である。取得部201bは、電力料金情報を電力会社から取得してもよい。
【0037】
電力料金情報記憶部203は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。電力料金情報記憶部203は、取得部201bによって取得された電力料金情報を記憶する。
機器制御部202bは、取得部201bによって取得された温度情報及びガス量情報と、電力料金情報記憶部203に記憶されている電力料金情報とに基づいて、バイオガス発電装置14の動作を制御する。例えば、機器制御部202bは、バイオガス発電装置14の発電の開始及び発電の停止を制御する。
【0038】
図10は、監視制御装置20bの処理の流れを表すフローチャートである。なお、
図10では、バイオガス発電装置14が停止している場合の監視制御装置20bの処理について説明する。また、
図10の処理開始時には、電力料金情報が電力料金情報記憶部203に記憶されているものとする。
取得部201bは、温度計11から温度情報を取得する(ステップS501)。取得部201bは、取得した温度情報を機器制御部202bに出力する。取得部201bは、レベル計13からガス量情報を取得する(ステップS502)。取得部201bは、取得したガス量情報を機器制御部202bに出力する。
【0039】
機器制御部202bは、取得部201bから出力された温度情報及びガス量情報と、電力料金情報とに基づいて、第3の起動条件が満たされたか否か判定する(ステップS503)。第3の起動条件は、バイオガス発電装置14を起動して発電させるための条件であり、例えばガスタンク12内に貯留されているバイオガスの量が基準値以上であり、かつ、発酵槽10内の温度が第1の値以下であること、又は、バイオガスの量が基準値以上であり、かつ、現時刻が昼間料金の時間帯であることが挙げられる。昼間料金の時間帯とは、電気料金が、予め設定された基準額より高い時間帯を表す。
【0040】
第3の起動条件が満たされた場合(ステップS503-YES)、すなわちバイオガスの量が基準値以上であり、かつ、発酵槽10内の温度が第1の値以下である場合、又は、バイオガスの量が基準値以上であり、かつ、現時刻が昼間料金の時間帯である場合、機器制御部202bはバイオガス発電装置14を起動して発電させる(ステップS504)。
一方、第3の起動条件が満たされていない場合(ステップS304-NO)、すなわちバイオガスの量が基準値未満である場合、又は、発酵槽10内の温度が第1の値より高い場合、又は、現時刻が夜間料金の時間帯である場合、機器制御部202はバイオガス発電装置14に対する制御を行わない(ステップS505)。夜間料金の時間帯とは、電気料金が、予め設定された基準額以下となる時間帯を表す。
【0041】
図11は、監視制御装置20bの処理の流れを表すフローチャートである。なお、
図11では、バイオガス発電装置14が起動している場合の監視制御装置20bの処理について説明する。
図11において、
図10と同様の処理については
図10と同様の符号を付して説明を省略する。また、
図11の処理開始時には、電力料金情報が電力料金情報記憶部203に記憶されているものとする。
【0042】
機器制御部202bは、取得部201bから出力された温度情報及びガス量情報と、電力料金情報とに基づいて、第3の停止条件が満たされたか否か判定する(ステップS601)。第3の停止条件は、バイオガス発電装置14を停止させるための条件であり、例えばバイオガスの量が基準値以上であり、かつ、発酵槽10内の温度が第1の値より高く、かつ、現時刻が夜間料金の時間帯であることが挙げられる。
【0043】
第3の停止条件が満たされた場合(ステップS601-YES)、すなわちバイオガスの量が基準値以上であり、かつ、発酵槽10内の温度が第1の値より高く、かつ、現時刻が夜間料金の時間帯である場合、機器制御部202bはバイオガス発電装置14を停止させる(ステップS602)。
一方、第3の停止条件が満たされていない場合(ステップS601-NO)、すなわちバイオガスの量が基準値未満である場合、又は、発酵槽10内の温度が第1の値以下である場合、又は、現時刻が昼間料金の時間帯である場合、機器制御部202bはバイオガス発電装置14に対する制御を行わない(ステップS603)。
【0044】
以上のように構成された第3の実施形態におけるバイオガス発電制御システム100によれば、施設内で使用する電力コストを削減するとともに、発酵槽10の加温に必要な熱エネルギーを減らすために、電力料金の切り替え時間と発酵槽10内の温度を監視し、電力料金が高い昼間の時間帯に、発酵槽10内の温度を適正な温度で維持するようにバイオガス発電装置14の制御がなされる。具体的には、発酵槽10内の温度が第1の値より高く、かつ、電力料金が夜間料金の時間帯には、バイオガス発電装置14を起動させない。すなわち、発酵槽10内の温度が適切な温度範囲内であり、電力料金が安い夜間の時間帯には、バイオガス発電装置14による発電が行われない。したがって、無駄にエネルギーが生成されない。また、電力が安い時間帯には系統からの受電によりバイオガス発電制御システム100を備える施設(下水処理場など)の電力がまかなわれる。そのため、エネルギーを抑制しつつ、エネルギー消費に伴うランニングコストを低減することが可能になる。
【0045】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、有機性廃棄物を発酵処理する発酵槽10内の温度情報を取得する取得部201と、取得された発酵槽10内の温度に基づいて、バイオガス発電装置14の動作を制御する機器制御部202とを持つことにより、エネルギー消費を抑制しつつ、ランニングコストを低減することができる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0047】
10…発酵槽,11…温度計,12…ガスタンク,13…レベル計,14…バイオガス発電装置,15…排熱回収装置,16…放熱器,17…電力計,20…監視制御装置,201、201a、201b…取得部,202、202a、202b…機器制御部,203…電力料金情報記憶部