(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】表面を封止するためのコーティング組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 201/10 20060101AFI20220307BHJP
C09D 7/48 20180101ALI20220307BHJP
C09D 7/40 20180101ALI20220307BHJP
C09D 183/04 20060101ALI20220307BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20220307BHJP
B05D 3/12 20060101ALI20220307BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20220307BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20220307BHJP
【FI】
C09D201/10
C09D7/48
C09D7/40
C09D183/04
B05D7/24 301V
B05D7/24 302Y
B05D7/24 303E
B05D3/12 Z
C09D7/63
C09D7/65
(21)【出願番号】P 2020528230
(86)(22)【出願日】2017-12-15
(86)【国際出願番号】 EP2017083103
(87)【国際公開番号】W WO2019114990
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns-Seidel-Platz 4, D-81737 Muenchen, Germany
(73)【特許権者】
【識別番号】520160314
【氏名又は名称】バスフ・エス・エー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュタンイェーク,フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】バウアー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】バンディンガー,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ローゼル,アンゲーリカ
(72)【発明者】
【氏名】ヘーフェル,ベルント
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-090381(JP,A)
【文献】特表2014-510816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D
B05D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿気硬化コーティング組成物(BS)であって、
(A)以下の式の少なくとも1種の化合物、
Y-[(CR
1
2)
b-SiR
a(OR
2)
3-a]
x(I)
[式中、
Yは、窒素、酸素、硫黄又は炭素により結合したx価のポリマー基を表し、
Rは、同一であっても異なっていてもよく、一価の任意で置換されるSiC-結合した炭化水素基を表し、
R
1は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、又は窒素、リン、酸素、硫黄、又はカルボニル基により炭素原子に結合することができる一価の任意で置換される炭化水素基を表し、
R
2は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、又は一価の任意で置換される炭化水素基を表し、
xは、1~10の整数であり、
aは、同一であっても異なっていてもよく、0、1又は2であり、及び
bは、同一であっても異なっていてもよく、1~10の整数である。]
(B)以下から選択される1種以上のHALS安定剤、
(B1)1分子当たり以下の式の官能基を少なくとも1つ有する異なる有機化合物の混合物、
【化1】
[ただし、この混合物に含まれる有機化合物は1分子当たり平均で2を超える式(II)の官能基を有する。]
(B2)少なくとも3つの式(II)の官能基を有する有機化合物、及び
(B3)式(II)の官能基及び任意で置換されるヒドロキシフェニル基から選択される少なくとも3つの官能基を有する有機化合物、
[式中、
Xは、N-結合した一価の基R
3、基-OR
3、若しくは基-C(=O)R
3、又は安定剤分子の更なる構造要素への化学結合を表し、
Zは、水素原子、基-OR
13又は基NR
13
2を表し、
R
3は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、又は酸素原子、エステル基若しくはアミン基に割り込まれていてもよい一価の任意で置換される炭化水素基を表し、
R
13は、同一であっても異なっていてもよく、R
3に対し示された定義を有するか、又は安定剤分子のさらなる構造要素への化学結合を表し、
R
4は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、又は一価の任意で置換される炭化水素基を表し、
ただし、式(II)中の基X又はR
13の少なくとも1つは、安定剤分子のさらなる構造要素への化学結合を表す。]
、ならびに
反応性希釈剤(C)及びシリコーン樹脂(D)から選択される少なくとも1種の成分
を含
み
コーティング組成物(BS)が成分(C)を含む場合、その量は、成分(A)100重量部に基づいて50~150重量部である、湿気硬化コーティング組成物(BS)。
【請求項2】
安定剤(B)が混合物(B1)又は有機化合物(B2)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
成分(A)及び(B)に加えて、反応性希釈剤(C)、シリコーン樹脂(D)、及び非反応性可塑剤(E)から選択される少なくとも1種の更なる成分を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
成分(A)及び(B)に加えて、反応性希釈剤(C)を含むことを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載の請求項に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
個々の成分を任意の順序で混合することにより、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法。
【請求項6】
1種以上のHALS安定剤(B)が、少なくとも5重量%の濃度でコーティング組成物(BS)の1種以上の液体成分に溶解して
得られるマスターバッチ(MS)
として用いられることを特徴とする、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1~
4のいずれか一項に記載のコーティング組成物(BS)又は請求項
5又は
6に記載の方法で製造されたコーティング組成物(BS)を、コーティングすべき表面に塗布することにより、表面をコーティングする方法。
【請求項8】
コーティング組成物(BS)が塗布されてよい表面は、石若しくはコンクリート等の鉱物建築材料、金属、屋上フェルト、プラスチック、織繊維布、木材、ガラス又はセラミックであることを特徴とする、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
コーティング組成物(BS)が、コーティングされるべき表面に0.1mm~50mmの層厚で塗布されることを特徴とする、請求項
7又は
8に記載の方法。
【請求項10】
建物の外側の表面が被覆されることを特徴とする、請求項
7~
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~
4のいずれか一項に記載の組成物(BS)又は請求項
5又は
6に記載の方法で製造された組成物(BS)を架橋することによって製造された成形物品。
【請求項12】
コーティングであることを特徴とする、請求項
11に記載の成形物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面を封止するための方法、及びこの目的のために使用することができ、かつシラン架橋プレポリマーをベースとする湿気硬化コーティング組成物に関する。本発明は、より具体的には建物の外面、屋根等を封止するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築材料の破壊又は建物内部への水の侵入を防ぐために、水の侵入に対して木材又はコンクリート等の有機及び無機建築材料を建物又は屋根の内部又は外部で封止することが非常に重要である。
【0003】
大量の細部の装飾を有する複雑な屋根の上では、ビチューメンシートのような過去に頻繁に使用されていた多くの封止材料は、そのようなシートを使用する際の角及び縁の封止が非常に困難であるため、ほぼ完全に姿を消した。この問題はその後、溶融したビチューメンの使用によって解決されたが、有毒蒸気の吸入及び非常に高温の液体を用いる操作等、操作者にとっての他の危険という犠牲をもってのみ解決されていた。VOCの制限及び毒性学的検討事項により、溶媒系ビチューメンシステムのような、以前使用されていた他の解決策は異なる技術に置き換わっている。
【0004】
今日では、アクリレート変性又はポリマー変性ビチューメンエマルジョンのような水系コーティング材料が主として屋根の封止に使用されているが、同様に1成分及び2成分ポリウレタン系も重要な一役を担い続けている。
【0005】
水性エマルジョンの主な欠点は、材料の物理的乾燥であり、これは特に15℃の温度未満では非常に長い時間を要する。反対に、表面における乾燥は25℃を超えると比較的速くなり、水の混入及びその後の気泡の形成の可能性を伴う。このようにして、コーティングに弱い箇所が形成され、漏洩につながる可能性がある。
【0006】
1成分のポリウレタンベースの封止系は、その粘度を屋根領域におけるブラシ塗布又はロール塗布のための許容レベルまで低下させるために、一般に大量の溶媒を含む。2成分のポリウレタン系は比較すると、非常に高価であり、複雑な塗布技術を必要とする。全てのポリウレタン封止系は、非常に毒性の高いイソシアネート化合物を含んでおり、その使用は、多くの専門用途でもそうであるが、事実上全ての家庭用途において危険と評価される。
【0007】
酢酸系又はオキシム系のようなRTV-1シリコーンコーティング配合物は、例えば酢酸又はオキシムのような、硬化時に悪臭を有し、又は健康に有害でさえある消失生成物を放出する。これらの材料の他の欠点は、多数の建築材料に対する接着性の不良、重ね塗り適合性の乏しさ、及び不十分な耐候安定性である。
【0008】
1つの決定的に有利な技術は、シラン末端ポリマーをベースとする1成分の湿気硬化コーティング材料に基づいている。非常に良好な機械的特性の他に、対応する生成物は、効率的な作業性、迅速かつ完全な硬化、及びそれらが毒性学的に問題ないことで知られる。この技術に基づく材料、及び屋根コーティング用の封止材料としてのそれらの使用は、例えばEP-A1987108号、EP-A2352776号及びEP-A2561024号から知られている。
【0009】
これとの関連において特に有利であるのは、シラン末端ポリマーと同様に比較的多量の反応性希釈剤も含む混合物である。このような混合物の利点は、まず、粘度が低く、それに対応して効率的な作業性にあり、第二に、硬化処理の過程において、反応性希釈剤が生じるネットワークにも取り込まれ、したがって、硬化材料中の架橋されていない、このため可塑性である成分を示すこともそのような成分として残ることもないという事実にある。
【0010】
それにもかかわらず、屋根のコーティングにおいて現在までに使用されている全てのシラン架橋ポリマーは、完全に又は少なくとも大部分においてポリエーテル、より具体的にはポリプロピレングリコールから構成される骨格を有するという欠点を有する。しかし、ポリエーテルは酸化に対して不安定であり、紫外線照射下では過酸化物を形成する傾向があり、その後の分解反応では、形成された過酸化物がポリマーネットワークに損傷を与えたり、完全に破壊することさえある。したがって、対応するコーティングは比較的紫外線に対し不安定である。これはもちろん、特に温帯緯度でも高い紫外線負荷を受ける屋根のコーティングにとって大きな問題である。
【0011】
不十分な耐紫外線性の問題を解決するための一般的な取り組みの1つは、ラジカル捕捉剤を使用することであり、より具体的にはHALS生成物(ヒンダードアミン光安定剤)として知られているものを使用することであり、多くの場合、HALSラジカル捕捉剤を紫外線吸収剤及び/又は酸化防止剤と組み合わせて使用すると、特に良好な結果が得られる。
【0012】
多くの場合、特に良好な結果がHALS安定剤で達成される。このことについての具体的な理由は、従来のラジカル捕捉剤又は他の酸化防止剤とは対照的に、これらのHALS安定剤は、その過程で消費されることなく、その機能を果たすことができることである。したがって、ラジカル及び/又は過酸化物とのそれらの反応は不可逆的ではなく、代わりに、後続の反応によって絶えず再生される。当業者はこの反応の連続をデニソフ・サイクルとして知っている。
【0013】
多くの系では、HALS安定剤の消費を伴わないラジカルのこの破壊機構は、HALS安定剤で達成可能な保護効果が良好であり、何よりも長期間持続することを意味する。
【0014】
しかし、多くの他の系とは対照的に、通常のHALS安定剤は、シラン末端ポリマーをベースとする上記の屋根のコーティングでは比較的不良な保護効果しか示さない。短時間外気に曝した後でも、このようなコーティングは知覚できる損傷を示し、紫外線暴露を続けると、ほとんど常にコーティングの完全な破壊をもたらす可能性がある。従来のHALS安定剤は、長期耐候性をシラン末端ポリマーをベースとする屋根のコーティングに付与するものではないことは明らかであるようである。
【0015】
これまでのところ、その機能を果たすために消費される酸化防止剤又は他のラジカル捕捉剤のような、一般的には効果が劣る他の種類の安定剤を用いても、このことは達成されなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】欧州特許出願公開第1987108号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2352776号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2561024号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、その目的は、表面、特に屋根を封止するための、シラン末端ポリマーをベースとする組成物であって、この用途において著しく改善され、特に長く続く耐候性を示す組成物を見出すというものであった。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の主題は、
(A)以下の式の少なくとも1種の化合物、
Y-[(CR1
2)b-SiRa(OR2)3-a]x(I)
[式中、
Yは、窒素、酸素、硫黄又は炭素により結合したx価のポリマー基を表し、
Rは、同一であっても異なっていてもよく、一価の任意で置換されるSiC-結合した炭化水素基を表し、
R1は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、又は窒素、リン、酸素、硫黄、又はカルボニル基により炭素原子に結合することができる一価の任意で置換される炭化水素基を表し、
R2は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、又は一価の任意で置換される炭化水素基を表し、
xは、1~10の整数、好ましくは1、2又は3、より好ましくは1又は2であり、
aは、同一であっても異なっていてもよく、0、1又は2、好ましくは0又は1であり、及び
bは、同一であっても異なっていてもよく、1~10の整数、好ましくは1、3又は4、より好ましくは1又は3、より具体的には1である。]
(B)以下から選択される1種以上のHALS安定剤、
(B1)1分子当たり以下の式の官能基を少なくとも1つ有する異なる有機化合物の混合物、
【0019】
【化1】
[ただし、この混合物に含まれる有機化合物は1分子当たり平均で2を超える式(II)の官能基を含む。]
(B2)少なくとも3つの式(II)の官能基を有する有機化合物、及び
(B3)式(II)の官能基及び任意で置換されるヒドロキシフェニル基から選択される少なくとも3つの官能基を有する有機化合物、
[式中、
Xは、Nに結合した一価の基R
3、基-OR
3、若しくは基-C(=O)R
3、又は安定剤分子の更なる構造要素への化学結合を表し、
Zは、水素原子、基-OR
13又は基NR
13
2を表し、
R
3は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、又は酸素原子、エステル基若しくはアミン基に割り込まれていてもよい一価の任意で置換される炭化水素基を表し、
R
13は、同一であっても異なっていてもよく、R
3に対し示された定義を有するか、又は安定剤分子の更なる構造要素への化学結合を表し、
R
4は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、又は一価の任意で置換される炭化水素基を表し、
ただし、式(II)中の基X又はR
13の少なくとも1つは、安定剤分子の更なる構造要素への化学結合を表す。]
を含む湿気硬化コーティング組成物(BS)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、本発明の材料が、1分子当たり式(II)から選択される2つ以下の官能基及び置換されていなくてもよいヒドロキシフェニル基を有するHALS安定剤を有する従来の材料よりも有意に改善され、特にはるかに長寿命の紫外線防御を保証することができるという驚くべき発見に基づいている。
【0021】
基Rの例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、1-n-ブチル、2-n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基等のヘキシル基、n-ヘプチル基等のヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、及び2,2,4-トリメチルペンチル基等のオクチル基、n-ノニル基等のノニル基、n-デシル基等のノニル基、n-ドデシル基等のドデシル基、n-オクタデシル基等のオクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル、1-プロペニル及び2-プロペニル基等のアルケニル基;フェニル、ナフチル、アントリル及びフェナントリル基等のアリール基;o-、m-、p-トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基等のアルカリル基;並びにベンジル基、α-及びβ-フェニルエチル基等のアラルキル基である。
【0022】
置換基Rの例は、3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル基、2,2,2,2’,2’,2’-ヘキサフルオロイソプロピル基及びヘプタフルオロイソプロピル基等のハロアルキル基、並びにo-、m-及びp-クロロフェニル基等のハロアリール基である。
【0023】
基Rは、好ましくは、1~6個の炭素原子を有し、ハロゲン原子で任意で置換される一価の炭化水素基を含み、より好ましくは1又は2個の炭素原子を有するアルキル基、より具体的にはメチル基を含む。
【0024】
基R1の例は、水素原子、Rに示された基、及び窒素、リン、酸素、硫黄、炭素、又はカルボニル基により炭素原子に結合した任意で置換される炭化水素基である。
【0025】
基R1は、好ましくは、水素原子又は1~20個の炭素原子を有する炭化水素基を含み、より具体的には水素原子を含む。
【0026】
基R2の例は水素原子又は基Rに示された例である。
【0027】
基R2は、好ましくは、水素原子を含むか、又は1~10個の炭素原子を有し、ハロゲン原子で任意で置換されるアルキル基を含み、より好ましくは、1~4個の炭素原子を有するアルキル基、より具体的にはメチル又はエチル基を含む。
【0028】
ポリマー基Yがベースとするポリマーは、本発明の意味において、主鎖中の全ての結合の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%が炭素-炭素、炭素-窒素又は炭素-酸素結合である全てのポリマーであると理解される。
【0029】
ポリマー基Yの例は、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアルキレン及びポリアクリレート基である。
【0030】
ポリマー基Yは、そのポリマー鎖として、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー及びポリオキシプロピレン-ポリオキシブチレンコポリマー等のポリオキシアルキレン;ポリイソブチレン及びポリイソブチレンゴムとイソプレンとのコポリマー等の炭化水素ポリマー;ポリクロロプレン;ポリイソプレン;ポリウレタン;ポリエステル;ポリアミド;ポリアクリレート;ポリメタクリレート;ビニルポリマー又はポリカーボネートを含み、好ましくは-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)O-、-NH-C(=O)-NH-、-NR’-C(=O)-NH-、NH-C(=O)-NR’-、-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-S-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-S-、=C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-S-C(=O)-S-、-C(=O)-、-S-、-O-、又は-NR’-により基-[(CR1
2)b-SiRa(OR2)3-a](ここで、R’は同一であっても異なっていてもよく、Rについて示された定義を有するか、又は-CH(COOR”)-CH2-COOR”(ここで、R”は同一であっても異なっていてもよく、Rについて示された定義を有する。)に結合される有機ポリマー基を含む。
【0031】
基R’は、好ましくは基-CH(COOR”)-CH2-COOR”又は1~20個の炭素原子を有する任意で置換される炭化水素基、より好ましくは1~20個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基であるか、又は6~20個の炭素原子を有し、ハロゲン原子で任意で置換されるアリール基である。
【0032】
基R’の例は、シクロヘキシル、シクロペンチル、n-プロピル及びイソプロピル、n-プロピル、イソプロピル及びtert-ブチル、ペンチル基、ヘキシル基又はヘプチル基の種々の立体異性体、並びにフェニル基である。
【0033】
基R”は、好ましくは1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、より好ましくは、メチル、エチル又はプロピル基である。
【0034】
成分(A)は、この場合、鎖内及び/又は末端のようなポリマー内の任意の所望の位置に、記載の方法で結合された-[(CR1
2)b-SiRa(OR2)3-a]基を有することができる。
【0035】
基Yは、好ましくはポリウレタン基又はポリオキシアルキレン基、より好ましくはいずれの場合も0~3の分枝位置及び末端に結合した基-[(CR1
2)b-SiRa(OR2)3-a]を有する連鎖結合したポリウレタン基又は連鎖結合したポリオキシアルキレン基を含み、本発明の意味において分枝位置は、1個を超える炭素原子を有する主鎖から出る全ての分枝を意味し、かつ基及び添え字は前記定義を有する。
【0036】
より具体的には、式(I)中の基Yは、分枝位置を持たず、末端に結合した基-[(CR1
2)b-SiRa(OR2)3-a]を有する、連鎖結合したポリウレタン基又は連鎖結合したポリオキシアルキレン基を含み、ここで、基及び添え字は上記の定義を有する。
【0037】
ポリウレタン基Yは、鎖の末端が-NH-C(=O)O-、-NH-C(=O)-NH-、-NR’-C(=O)-NH-又は-NH-C(=O)-NR’-、より具体的には-O-C(=O)-NH-又は-NH-C(=O)-NR’-により基-[(CR1
2)b-SiRa(OR2)3-a]に結合された基であることが好ましく、基及び添え字の全てが上記の定義の一つを有する。これらのポリウレタン基Yは、好ましくは直鎖状又は分枝状ポリオキシアルキレン、特にポリプロピレングリコール、及びジイソシアネート又はポリイソシアネートから調製可能である。これらのポリウレタン基Yは、400~30000g/mol、好ましくは4000~20000g/molの平均モル質量Mn(数平均)を有することが好ましい。このような成分(A)を調製するための適切な方法、及び成分(A)自体の例は、他の参考文献の中でも、EP1093482B1号(段落[0014]~[0023]、[0039]~[0055]及び発明例1及び比較例1)又はEP1641854B1号(段落[0014]~[0035]、発明例4及び6、並びに比較例1及び2)に記載されている。これらは本明細書の開示内容の一部とみなされる。
【0038】
この数平均モル質量Mnは、本発明の目的のために、ポリスチレン標準に対するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて、60℃、流速1.2ml/分でTHF中で測定し、注入量100μlでWaters Corp.USA製のStyragel HR3-HR4-HR5-HR5カラムセットでRI(屈折率検出器)により検出される。
【0039】
ポリオキシアルキレン基Yは、好ましくは直鎖状又は分枝ポリオキシアルキレン基、より好ましくはポリオキシプロピレン基であり、その鎖の末端は、好ましくは-O-C(=O)-NH-又は-O-により基-[(CR1
2)b-SiRa(OR2)3-a]に結合され、ここで、基及び添え字は上記の定義の1つを有する。好ましくはここでは全ての鎖の末端の少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より具体的には少なくとも95%が-O-C(=O)-NH-により基-[(CR1
2)b-SiRa(OR2)3-a]に結合される。ポリオキシアルキレン基Yは、好ましくは4000~30000g/mol、より好ましくは8000~20000g/molの平均モル質量Mnを有する。このような成分(A)を調製するための適切な方法、及び成分(A)自体の例も、他の参考文献の中でも、EP1535940B1号(段落[0005]~[0025]及び発明例1~3及び比較例1~4)又はEP1896523B1号(段落[0008]~[0047])に記載されている。これらは、本明細書の開示内容の一部とみなされる。
【0040】
本発明で使用される化合物(A)の末端基は、好ましくは以下の一般式の基である。
-NH-C(=O)-NR’-(CR1
2)b-SiRa(OR2)3-a(Ia)、
-O-C(=O)-NH-(CR1
2)b-SiRa(OR2)3-a(Ib)、又は
-O-(CR1
2)b-SiRa(OR2)3-a(Ic)、
式中、基及び添え字は、上でそれらに対し示された定義の1つを有する。
【0041】
好ましいように、化合物(A)がポリウレタンである場合、それらは以下の末端基の1つ以上を有することが好ましい。
-NH-C(=O)-NR’-(CH2)3-Si(OCH3)3、
-NH-C(=O)-NR’-(CH2)3-Si(OC2H5)3、
-O-C(=O)-NH-(CH2)3-Si(OCH3)3又は
-O-C(=O)-NH-(CH2)3-Si(OC2H5)3、
ここで、R’は上記の定義を有する。
【0042】
特に好ましいように、化合物(A)がポリプロピレングリコールである場合、それらは以下の末端基の1つ以上を有することが好ましい。
-O-(CH2)3-Si(CH3)(OCH3)2、
-O-(CH2)3-Si(OCH3)3、
-O-C(=O)-NH-(CH2)3-Si(OC2H5)3、
-O-C(=O)-NH-CH2-Si(CH3)(OC2H5)2、
-O-C(=O)-NH-CH2-Si(OCH3)3、
-O-C(=O)-NH-CH2-Si(CH3)(OCH3)2又は
-O-C(=O)-NH-(CH2)3-Si(OCH3)3、
ここで、最後に述べた2つの末端基が特に好ましい。
【0043】
化合物(A)の平均分子量Mnは、好ましくは少なくとも400g/mol、より好ましくは少なくとも4000g/mol、より具体的には少なくとも10000g/mol、かつ好ましくは最大30000g/mol、より好ましくは最大20000g/mol、より具体的には最大19000g/molである。
【0044】
化合物(A)の粘度は、いずれの場合も20℃で測定して、好ましくは0.2Pas、より好ましくは少なくとも1Pas、非常に好ましくは少なくとも5Pas、かつ好ましくは最大700Pas、より好ましくは最大100Pasである。
【0045】
ペースト状でない流体の粘度は、本発明の目的のために、23℃に調整した後、ISO2555に従い、5Hzでスピンドル6を用いてA. Paar製のDV 3P回転粘度計(ブルックフィールドシステム)で測定する。
【0046】
本発明で使用される化合物(A)は、市販製品であるか、又は化学の範囲内において一般的な方法によって調製することができる。
【0047】
ポリマー(A)は、例えばヒドロシリル化、マイケル付加、ディールス・アルダー付加のような付加反応、又はイソシアネート官能性化合物とイソシアネートと反応する基を有する化合物との間の反応のような既知の方法によって調製することができる。
【0048】
本発明において使用される成分(A)は、式(I)の1種類の化合物のみ、又は式(I)の異なる種類の化合物の混合物を含み得る。この成分(A)は、基Yに結合した全てのシリル基の90%超、好ましくは95%超、より好ましくは98%超が同一である式(I)の化合物のみを含み得る。しかし、基Yに異なるシリル基が結合している式(I)の化合物の少なくともいくつかを含む成分(A)を用いることも可能である。最後に、基Yに結合している全部で少なくとも2種類の異なるシリル基が存在するが、それぞれの基Yに結合しているシリル基は全て同一である式(I)の異なる化合物の混合物を成分(A)として用いることもできる。
【0049】
本発明のコーティング組成物(BS)は、化合物(A)を好ましくは最大60重量%、より好ましくは最大40重量%、かつ好ましくは少なくとも8重量%、より好ましくは少なくとも12重量%の濃度で含む。
【0050】
基R3の例は、Rについて上で示した基、並びに水素原子、1~16個の炭素原子を有するアルキル基、及び好ましくはアルキレン基により結合している、1,3,5-トリアジンの誘導体である。
【0051】
基R3は、好ましくは水素原子又は非置換炭化水素基であり、より好ましくは水素原子又は1~8個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0052】
基R13の例は、R3について上で示した基、及びまた安定剤分子の更なる構造要素への化学結合である。
【0053】
基R13は、好ましくは水素原子又は非置換炭化水素基であり、より好ましくは水素原子又は1~8個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0054】
基Xの例は、R3について上で示した基又は基-OR3又は-C(=O)R3(ここで、R3は上記の例示的な定義の1つを有する)、及びまた安定剤分子の更なる構造要素への化学結合である。
【0055】
基Xは、好ましくは、安定剤分子の更なる構造要素への化学結合であるか、又は水素原子若しくは非置換炭化水素基であり、より好ましくは、水素原子又は1~8個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0056】
基Zの例は、基-OR13又は基-NR13
2であり、ここで、R13は上記の例示的な定義の1つを有する。
【0057】
基Zは、好ましくは基-OR13又は基-NR13
2を含み、ここで、R13は、出現毎に独立して、安定剤分子の更なる構造要素への化学結合、水素原子、又は非置換炭化水素基を表す。
【0058】
より好ましくは、基Zは、-OR13又は基-NR13
2、特に-NR13
2を含み、ここで、R13は、出現毎に独立して、安定剤分子の更なる構造要素への化学結合を表す。
【0059】
基R4の例は、Rについて上で示した基、及びまた水素原子である。
【0060】
基R4は水素原子が好ましい。
【0061】
式(II)の官能基は、式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)及び(IIf)から選択される基であることが好ましい。
【0062】
【化2】
式中、Z及びR
3はそれらに対して示された定義を有し、X
1は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、基R
3、基OR
3又は基C(=O)R
3を表す。
【0063】
本発明において使用されるHALS安定剤(B)は、式(II)の全ての官能基が式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)又は(IIf)の1つに対応する安定剤(B1)、(B2)又は(B3)であることが好ましい。
【0064】
一実施形態において、本発明に使用される安定剤(B)は、式(IIa)~(IIf)から選択される少なくとも2つの官能基及び2,6-ジ-t-ブチルフェノール構造を有する少なくとも1つの官能基を有する安定剤(B3)を含む。そのような安定剤(B3)の一例は、BASF SE(独国ルートヴィッヒスハーフェン)製のTinuvin(R)144である。
【0065】
本発明の安定剤(B)は、好ましくは混合物(B1)又は有機化合物(B2)を含む。
【0066】
有機化合物(B2)は、好ましくは、少なくとも4つ、より具体的には少なくとも6つの式(II)の官能基を含み、好ましくは式(IIa)~(IIf)から選択されるものである。
【0067】
異なる有機化合物(B1)の混合物は、好ましくは、1分子当たり平均で少なくとも3つ、より具体的には少なくとも4つの式(II)の官能基を有し、好ましくは式(IIa)~(IIf)から選択されるものである。
【0068】
安定剤混合物(B1)は、好ましくは少なくとも1000g/mol、より好ましくは少なくとも2000g/mol、より具体的には少なくとも2500g/molの平均モル質量(Mn)を有する。
【0069】
安定剤(B2)は、好ましくは少なくとも1000g/mol、より好ましくは少なくとも2000g/mol、より具体的には少なくとも2500g/molのモル質量又は平均モル質量(Mn)を有する。
【0070】
本発明で使用される安定剤(B1)は、式(IIc)又は(IIe)の官能基のみ又は該官能基を部分的に含むことが好ましい。より好ましくは、本発明で使用される安定剤(B1)は、式(IIc)又は(IIe)の官能基のみを含む。
【0071】
本発明で使用される安定剤(B2)は、式(IIc)又は式(IIe)の官能基のみ又は該官能基を部分的に含むことが好ましい。より好ましくは、本発明で使用される安定剤(B2)は、式(IIc)又は(IIe)の官能基のみを含む。
【0072】
好ましくは式(IIa)~(IIF)から選択される式(II)の官能基及び任意で置換されるヒドロキシフェニル基と同様に、本発明で使用される安定剤(B1)、(B2)及び(B3)は更なる構造要素を有する。これらは、好ましくは、炭素原子、水素原子、酸素原子及び窒素原子から選択される基礎的要素からなる、任意の所望の有機構造であり得る。この文脈において特に好ましい構造要素は、アルキル鎖、アリール基、エステル基、置換及び非置換アミン官能基、エーテル基、1,3,5-トリアジンのような窒素含有芳香族、より具体的にはアルキル鎖、エステル基、置換及び非置換アミン官能基、1,3,5-トリアジンである。これらの構造要素及び官能基、すなわち式(II)の基、及びまた任意で置換されるヒドロキシフェニル基は、化学結合により任意の所望の配置で互いに結合され得る。
【0073】
本発明において特に好ましい安定剤(B2)及び(B1)の例は、BASF SE(独国ルートヴィッヒスハーフェン)製のTinuvin(R)622、Chimassorb(R)944、Chimassorb(R)119 FDL又はChimassorb(R)2020等の市販製品である。
【0074】
1つの特に好ましい構成において、本発明に使用される安定剤(B2)又は(B1)は、好ましくは式(IIa)~(IIf)、より好ましくは式(IIc)又は(IIe)から選択される式(II)の官能基だけでなく、紫外線吸収特性を有する少なくとも1つの構造単位、より具体的にはベンゾフェノン構造、オキサルアニリド構造、ベンゾトリアゾール構造又はトリアジン構造を有する構造単位を含み、特に好ましくは紫外線吸収特性を有する構造単位としてトリアジン構造である。
【0075】
これらの特に好ましい安定剤(B1)及び(B2)の例は、BASF SE(独国ルートヴィッヒスハーフェン)製のChimassorb(R)944、Chimassorb(R)119 FDL又はChimassorb(R)2020等の市販製品である。
【0076】
本発明のコーティング組成物(BS)は、いずれの場合も成分(A)100重量部に基づいて、好ましくは少なくとも0.1重量部、より好ましくは少なくとも0.5重量部、非常に好ましくは少なくとも1.0重量部、より具体的には少なくとも2.0重量部の成分(B)を含む。いずれの場合も、成分(A)100重量部に基づいて、本発明のコーティング組成物(BS)は、好ましくは最大30重量部、より好ましくは最大25重量部、非常に好ましくは最大20重量部、より具体的には最大15重量部の成分(B)を含む。
【0077】
本発明の材料(BS)中の成分(A)及び(B)の総割合は、少なくとも8重量%、好ましくは少なくとも13重量%である。
【0078】
本発明の1つの好ましい構成において、本発明のコーティング組成物(BS)は、成分(A)及び(B)だけでなく、少なくとも1種の更なる成分を含む。
【0079】
成分(A)及び(B)に加えて、本発明の材料(BS)は、反応性希釈剤(C)、シリコーン樹脂(D)、及び非反応性可塑剤(E)から選択される少なくとも1種の更なる成分、より好ましくは成分(C)又は(D)から選択される少なくとも1種の更なる成分を含むことが好ましい。より具体的には、本発明の材料(BS)は、成分(A)及び(B)に加えて反応性希釈剤(C)を含む。
【0080】
本発明に任意に使用される成分(C)は、以下の式の反応性希釈剤を含む。
R7-SiR5
c(OR6)3-c(III)
式中、
R5は同一であっても異なっていてもよく、一価の任意で置換される炭化水素基を表し、
R6は同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は一価の任意で置換される炭化水素基を表し、
R7は、個々の水素原子が有機基によって任意で置換される6~40個の炭素原子を有するアリール基又は直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基若しくはアルケニル基であり、R7が直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルケニル基である場合、炭素鎖は酸素原子に割り込まれていてもよく、
cは0、1又は2、好ましくは0又は1、より好ましくは0である。
【0081】
ここでの基R5は、基Rについて記載されているものと同じ好ましい定義、及びより好ましい定義を有する。
【0082】
基R6は、基R2に記載されているものと同じ好ましい定義、及びより好ましい定義を有する。
【0083】
基R7は、炭素鎖が酸素原子に割り込まれていてもよい8~40個の炭素原子を有する任意で置換される直鎖状又は分枝状アルキル基であることが好ましい。より好ましくは、基R7は、8~20個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキル基である。
【0084】
基R7の特に好ましい例は、イソオクチル、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル及びn-ヘキサデシル基であり、特に好ましくはn-ヘキサデシル基である。
【0085】
本発明に任意に使用される反応性希釈剤(C)の例は、イソオクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリエトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-デシルトリメトキシシラン、n-デシルトリエトキシシラン、n-ドデシルトリメトキシシラン、n-ドデシルトリエトキシシラン、n-テトラデシルトリメトキシシラン、n-テトラデシルトリエトキシシラン、n-ヘキサデシルトリメトキシシラン、n-ヘキサデシルトリエトキシシラン及びn-オクタデシルトリエトキシシランである。
【0086】
本発明に任意に使用される反応性希釈剤(C)は、市販製品であるか、又はケイ素化学の範囲内で一般的な方法によって調製することができる。
【0087】
本発明のコーティング組成物(BS)が成分(C)を含む場合、問題の量は、いずれの場合も成分(A)100重量部に基づいて、好ましくは10~300重量部、より好ましくは25~200重量部、より具体的には50~150重量部である。
【0088】
本発明に任意に使用される成分(D)は、以下の式の単位を含む1種以上のシリコーン樹脂を含む。
R8
d(R9O)eR10
fSiO(4-d-e-f)/2(IV)
式中、
R8は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、一価のSiC結合した任意で置換される脂肪族炭化水素基、又は式(IV)の2つの単位を架橋する二価の任意で置換される脂肪族炭化水素基を表し、
R9は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は一価の任意で置換される炭化水素基を表し、
R10は、同一であっても異なっていてもよく、一価のSiC結合した任意で置換される芳香族炭化水素基を表し、
dは、0、1、2又は3であり、
eは、0、1、2又は3、好ましくは0、1又は2、より好ましくは0又は1であり、及び
fは0、1又は2、好ましくは0又は1であり、
ただし、d+e+fの合計は3以下であり、式(IV)の単位の少なくとも40%においてd+fの合計は0又は1である。
【0089】
成分(D)は、少なくとも90重量%の程度まで式(IV)の単位からなることが好ましい。より好ましくは、成分(D)は、式(IV)の単位のみからなる。
【0090】
基R8の例は、Rについて上で示した脂肪族基である。あるいは、基R8は式(IV)の2つのシリル基を互いに結合する二価の脂肪族基、例えば、1~10個の炭素原子を有するアルキレン基、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン又はブチレン基を含んでもよい。二価の脂肪族基の特に一般的な1つの例はエチレン基である。
【0091】
しかし、好ましくは、基R8は、ハロゲン原子で任意で置換される、1~18個の炭素原子を有する一価のSiC結合した脂肪族炭化水素基を含み、より好ましくは、1~8個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、n-オクチル又はイソオクチル基、より具体的にはイソオクチル又はメチル基を含み、メチル基が特に好ましい。
【0092】
基R9の例は水素原子又は基Rに示された例である。
【0093】
基R9は、好ましくは水素原子、又は1~10個の炭素原子を有し、ハロゲン原子で任意で置換されるアルキル基を含み、より好ましくは1~4個の炭素原子を有するアルキル基を含み、より具体的には、メチル又はエチル基を含む。
【0094】
基R10の例は、Rについて上で示した芳香族基である。
【0095】
基R10は、好ましくは、1~18個の炭素原子を有し、ハロゲン原子により任意で置換されるSiC結合した芳香族炭化水素基、例えば、エチルフェニル、トリル、キシリル、クロロフェニル、ナフチル又はスチリル基を含み、より好ましくはフェニル基を含む。
【0096】
成分(D)として使用することが好ましいのは、全ての基R8の少なくとも90%がn-オクリル、イソオクチル又はメチル基であり、より好ましくは全ての基R8の少なくとも90%がメチル基であるシリコーン樹脂である。
【0097】
成分(D)として使用するのが好ましいのは、全ての基R9の少なくとも90%がメチル、エチル、プロピル又はイソプロピル基であるシリコーン樹脂である。
【0098】
成分(D)として使用するのが好ましいのは、全ての基R10の少なくとも90%がフェニル基であるシリコーン樹脂である。
【0099】
本発明に任意に使用されるシリコーン樹脂(D)は、いずれの場合も式(IV)の総単位数に基づいて、少なくとも20%、より好ましくは少なくとも40%の、dが0である式(IV)の単位を有する樹脂であることが好ましい。
【0100】
本発明に任意に使用されるシリコ-ン樹脂(D)は、好ましくは、いずれの場合も式(IV)の総単位数に基づいて、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%の、eが0又は1の値を有する式(IV)の単位を有する樹脂である。
【0101】
本発明に任意に使用されるシリコーン樹脂(D)は、好ましくは、いずれの場合も式(IV)の総単位数に基づいて、少なくとも20%、より好ましくは少なくとも40%、より具体的には少なくとも50%の、fが1の値を有する式(IV)の単位を有する樹脂である。
【0102】
本発明に任意に使用されるシリコーン樹脂(D)は、より好ましくは、fが1である式(IV)の単位のみを有する樹脂である。
【0103】
本発明に任意に使用されるシリコーン樹脂(D)は、好ましくは、いずれの場合も式(IV)の総単位数に基づいて、少なくとも20%、より好ましくは少なくとも40%、より具体的には少なくとも50%の、fが1の値を有し、dが0の値を有する式(IV)の単位を有する樹脂である。
【0104】
本発明に任意に使用されるシリコーン樹脂(D)は、好ましくは、いずれの場合も式(IV)の総単位数に基づいて、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%の、d+fの合計が0又は1である式(IV)の単位を有する樹脂である。
【0105】
本発明に任意に使用されるシリコーン樹脂(D)の例は、式SiO4/2、Si(OR9)O3/2、Si(OR9)2O2/2及びSi(OR9)3O1/2の(Q)単位、式PhSiO3/2、PhSi(OR9)O2/2、PhSi(OR9)2O1/2、MeSiO3/2、MeSi(OR9)O2/2、MeSi(OR9)2O1/2、i-OctSiO3/2、i-OctSi(O9)O2/2、i-OctSi(OR9)2O1/2、n-OctSiO3/2n-OctSi(OR9)O2/2及びn-OctSi(OR9)2O1/2の(T)単位、式Me2SiO2/2及びMe2Si(OR9)O1/2の(D)単位、並びに式Me3SiO1/2の(M)単位から選択される単位から実質的になる、好ましくは該単位のみからなるオルガノポリシロキサン樹脂であり、式中Meはメチル基、Phはフェニル基、n-Octはn-オクチル、i-Octはイソオクチル基を表し、R9は上記の定義を有し、樹脂は、(T)単位1モル当たり、(Q)単位0~2モル、(D)単位0~2モル及び(M)単位0~2モルを有することが好ましい。
【0106】
本発明に任意に使用されるシリコーン樹脂(D)の好ましい例は、式PhSiO3/2、PhSi(OR9)O2/2及びPhSi(OR9)2O1/2のT単位、並びに式MeSiO3/2、MeSi(OR9)O2/2及びMeSi(OR9)2O1/2のT単位から選択される単位から実質的になる、好ましくは該単位のみからなるオルガノポリシロキサン樹脂であり、式中Meはメチル基、Phはフェニル基、R9は水素原子、メチル又はエチル基を表す。
【0107】
本発明に任意に使用されるシリコーン樹脂(D)のさらに好ましい例は、式PhSiO3/2、PhSi(OR9)O2/2及びPhSi(OR9)2O1/2のT単位、式MeSiO3/2、MeSi(OR9)O2/2及びMeSi(OR9)2O1/2からなるT単位、並びに式Me2SiO2/2及びMe2Si(OR9)O1/2のD単位から実質的になる、好ましくは該単位のみからなるオルガノポリシロキサン樹脂であり、式中Meはメチル基、Phはフェニル基、R9は水素原子、メチル又はエチル基を表し、メチルシリコーン単位に対するフェニルシリコーンのモル比は0.5~4.0である。これらのシリコーン樹脂中のD単位の含有率は、好ましくは10重量%未満である。
【0108】
本発明に任意に使用されるシリコーン樹脂(D)の特に好ましい例は、いずれの場合も総単位数に基づいて、80%、好ましくは90%の程度まで式PhSiO3/2、PhSi(OR9)O2/2及びPhSi(OR9)2O1/2のT単位からなる、より具体的には該単位のみからなるオルガノポリシロキサン樹脂であり、式中Phはフェニル基、R9は水素原子、メチル基又はエチル基を表す。
【0109】
本発明に任意に使用されるシリコーン樹脂(D)は、好ましくは少なくとも400g/mol、より好ましくは少なくとも600g/molの平均モル質量(数平均)Mnを有する。平均モル質量Mnは、好ましくは最大400000g/mol、より好ましくは最大10000g/mol、より具体的には最大3000g/molである。
【0110】
本発明に任意に使用されるシリコーン樹脂(D)は、23℃及び1000hPaで固体又は液体のいずれかであり得、シリコーン樹脂(D)は、好ましくは液体である。シリコーン樹脂(D)は、23℃で10~100000mPas、好ましくは50~50000mPas、より具体的には100~20000mPasの粘度を有することが好ましい。
【0111】
本発明に任意に使用されるシリコーン樹脂(D)は、好ましくは5以下、より好ましくは3以下の多分散性(Mw/Mn)を有する。
【0112】
質量平均モル質量Mwは、数平均モル質量Mnのように、ポリスチレン標準に対するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって、60℃、流速1.2ml/分でTHF中で測定し、注入量100μlのWaters Corp.USA製のStyragel HR3-HR4-HR5-HR5カラムセットでRI(屈折率検出器)により検出される。
【0113】
シリコーン樹脂(D)は、純粋な形態で、又は適切な溶媒(DL)との混合物の形態で使用することができる。
【0114】
使用される溶媒(DL)は、室温で成分(A)~(D)に対して不活性であり、1013mbarで250℃未満の沸点を有する全ての化合物であり得る。
【0115】
任意に使用される溶媒(DL)の例は、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、グリコールのエーテル誘導体及びTHF等のエーテル;酢酸エチル、酢酸ブチル及びグリコールエステル等のエステル;ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、又は他の長鎖分枝及び非分枝アルカン等の脂肪族炭化水素;アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン;トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びクロロベンゼン等の芳香族化合物;又はメタノール、エタノール、グリコール、プロパノール、イソプロパノール、グリセロール、ブタノール、イソブタノール及びtert-ブタノール等のアルコールである。
【0116】
成分(D)が使用される場合、本発明の1つの特に好ましい構成において、アルコールR9OH(ここでR9は上記の定義を有する)を除き、0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、より好ましくは0.02重量%未満、より具体的には0.01重量%未満の溶媒(DL)を含有するシリコーン樹脂が使用される。
【0117】
成分(D)が使用される場合、本発明の1つの特に好ましい構成において、アルコールR9OH(ここでR9は上記の定義を有する)を除き、全く溶媒(DL)を含まないシリコーン樹脂が使用され、アルコールR9OHは好ましくは5重量%以下、より好ましくは0~1重量%の量で存在し、一般に調製方法に由来する。
【0118】
本発明に任意に使用されるシリコーン樹脂(D)は、市販製品であるか、又はシリコン化学の範囲内で一般的な方法によって調製することができる。市販されている例は、独国ミュンヘンのWacker Chemie AG製の樹脂SILRES(R) SY 231、SILRES(R) IC 231、SILRES(R) IC 368、SILRES(R) IC 678又はSILRES(R) BS 1268、GENIOSIL(R) LX 678又はGENIOSIL(R) LX 368である。
【0119】
本発明のコーティング組成物(BS)が成分(D)を含む場合、関与する量は、いずれの場合も成分(A)100重量部に基づいて、好ましくは25~500重量部、より好ましくは50~300重量部、より具体的には80~200重量部である。
【0120】
本発明に任意に使用される成分(E)は、1種以上の非反応性可塑剤を含む。本発明に関連する非反応性可塑剤(E)は、80℃未満の温度、1013hPaの圧力で水又は成分(A)、(B)、(C)若しくは(D)のいずれとも反応せず、20℃及び1013hPaで液体であり、1013hPaで250℃を超える沸点を有する全ての有機化合物であると考えられる。好ましい非反応性可塑剤(E)は、
・完全エステル化芳香族又は脂肪族カルボン酸、
・リン酸の完全エステル化誘導体、
・スルホン酸の完全エステル化誘導体、
・分枝状又は非分枝状飽和炭化水素、
・ポリスチレン、
・ポリブタジエン、
・ポリイソブチレン、
・ポリエステル及び
・ポリエーテル
の化学の群から選択されるものである。
【0121】
カルボン酸エステル可塑剤(E)の例は、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソオクチル及びフタル酸ジウンデシル等のフタル酸エステル;ジイソノニル1,2-シクロヘキサンジカルボン酸塩及びジオクチル1,2-シクロヘキサンジカルボン酸塩等の過水素化フタル酸エステル;アジピン酸ジオクチル等のアジピン酸エステル;安息香酸エステル;トリメリット酸のエステル、グリコールエステル;2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート及び2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート等の飽和アルカンジオールのエステルである。
【0122】
ポリエーテル可塑剤(E)の例としては、例えば、好ましくは200~22000g/molのモル質量を有するポリエチレングリコール、ポリTHF、ポリプロピレングリコールである。
【0123】
使用される好ましい可塑剤(E)は、200g/molを超える、より好ましくは500g/molを超える、より具体的には900g/molを超えるモル質量又は平均モル質量Mn(ポリマー可塑剤の場合)を有するものである。好ましくは、それらは、20000g/mol以下、より好ましくは10000g/mol以下、より具体的には4000g/mol以下のモル質量又は平均モル質量Mnを有する。
【0124】
成分(E)が使用される場合、それは好ましくはフタル酸を含まない可塑剤、例えば過水素化フタル酸エステル、トリメリット酸のエステル、ポリエステル又はポリエーテルを含む。
【0125】
本発明のコーティング組成物(BS)が成分(E)を含む場合、関与する量は、いずれの場合も成分(A)100重量部に基づいて、好ましくは10~300重量部、より好ましくは40~250重量部、より具体的には70~200重量部である。
【0126】
さらに、本発明のコーティング組成物(BS)は、使用される成分(A)及び(B)、並びに任意に(C)~(E)に加えて、シラン架橋性材料において現在まで使用されてきた、成分(A)~(E)とは異なる全ての更なる物質、例えば窒素含有有機ケイ素化合物(F)、充填剤(G)、触媒(H)、接着促進剤(I)、水捕捉剤(J)、添加剤(K)、及びアジュバント(L)を含むことができる。
【0127】
成分(F)は、以下の式の単位を含む有機ケイ素化合物を含むことが好ましい。
DhSi(OR11)gR12
iO(4-g-h-i)/2(V)
式中、
Dは、同一であっても異なっていてもよく、塩基性窒素を有する一価のSiC結合した基を表し、
R11は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は任意で置換される炭化水素基を表し、
R12は、同一であっても異なっていてもよく、一価の任意で置換される、SiC結合した、窒素を含まない有機基を表し、
iは、0、1、2又は3、好ましくは1又は0であり、
gは、0、1、2又は3、好ましくは1、2又は3、より好ましくは2又は3であり、及び
hは、0、1、2、3又は4、好ましくは1であり、
ただし、g+h+iの合計は4以下であり、1分子当たり少なくとも1つの基Dが存在する。
【0128】
本発明の1つの好ましい構成において、本発明のコーティング組成物(BS)は、成分(A)、(B)及び任意に(C)~(E)だけでなく、少なくとも1つの更なる成分(F)を含む。
【0129】
本発明に任意に使用される有機ケイ素化合物(F)は、シラン、すなわち、g+h+i=4である式(V)の化合物だけでなく、シロキサン、すなわち、g+h+i≦3である式(V)の単位を含む化合物であってもよく、好ましくはシランである。
【0130】
任意で置換される炭化水素基R11の例は、基Rに示された例である。
【0131】
基R11は、好ましくは水素原子及び1~18個の炭素原子を有し、ハロゲン原子で任意で置換される炭化水素基であり、より好ましくは水素原子及び1~10個の炭素原子を有する炭化水素基であり、より具体的にはメチル及びエチル基である。
【0132】
基R12の例はRに示された例である。
【0133】
基R12は、好ましくは、1~18個の炭素原子を有し、ハロゲン原子で任意で置換される炭化水素基を含み、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する炭化水素基を含み、より具体的にはメチル基を含む。
【0134】
基Dの例は、式H2N(CH2)3-、H2N(CH2)2NH(CH2)3-、H2N(CH2)2NH(CH2)2NH(CH2)3-、H3CNH(CH2)3-、C2H5NH(CH2)3-、C3H7NH(CH2)3-、C4H9NH(CH2)3-、C5H11NH(CH2)3-、C6H13NH(CH2)3-、C7H15NH(CH2)3-、H2N(CH2)4-、H2N-CH2-CH(CH3)-CH2-、H2N(CH2)5-、シクロ-C5H9NH(CH2)3-、シクロ-C6H11NH(CH2)3-、フェニル-NH(CH2)3-、(CH3)2N(CH2)3-、(C2H5)2N(CH2)3-、(C3H7)2NH(CH2)3-、(C4H9)2NH(CH2)3-、(C5H11)2NH(CH2)3-、(C6H13)2NH(CH2)3-、(C7H15)2NH(CH2)3-、H2N(CH2)-、H2N(CH2)2NH(CH2)-、H2N(CH2)2NH(CH2)2NH(CH2)-、H3CNH(CH2)-、C2H5NH(CH2)-、C3H7NH(CH2)-、C4H9NH(CH2)-、C5H11NH(CH2)-、C6H13NH(CH2)-、C7H15NH(CH2)-、シクロ-C5H9NH(CH2)-、シクロ-C6H11NH(CH2)-、フェニル-NH(CH2)-、(CH3)2N(CH2)-、(C2H5)2N(CH2)-、(C3H7)2NH(CH2)-、(C4H9)2NH(CH2)-、(C5H11)2NH(CH2)-、(C6H13)2NH(CH2)-、(C7H15)2NH(CH2)-、(CH3O)3Si(CH2)3NH(CH2)3-、(C2H5O)3Si(CH2)3NH(CH2)3-、(CH3O)2(CH3)Si(CH2)3NH(CH2)3-及び(C2H5O)2(CH3)Si(CH2)3NH(CH2)3-の基並びに上記の第一級アミノ基と第一級アミノ基に対して反応性であるエポキシド基又は二重結合を含む化合物との反応生成物である。
【0135】
基Dは、好ましくはH2N(CH2)3-、H2N(CH2)2NH(CH2)3-又はシクロ-C6H11NH(CH2)3-基を含む。
【0136】
本発明で任意に使用される式(V)のシランの例は、H2N(CH2)3-Si(OCH3)3、H2N(CH2)3-Si(OC2H5)3、H2N(CH2)3-Si(OCH3)2CH3、H2N(CH2)3-Si(OC2H5)2CH3、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)3、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OC2H5)3、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)2CH3、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OC2H5)2CH3、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OH)3、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OH)2CH3、H2N(CH2)2NH(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)3、H2N(CH2)2NH(CH2)2NH(CH2)3-Si(OC2H5)3、シクロ-C6H11NH(CH2)3-Si(OCH3)3、シクロ-C6H11NH(CH2)3-Si(OC2H5)3、シクロ-C6H11NH(CH2)3-Si(OCH3)2CH3、シクロ-C6H11NH(CH2)3-Si(OC2H5)2CH3、シクロ-C6H11NH(CH2)3-Si(OH)3、シクロ-C6H11NH(CH2)3-Si(OH)2CH3、フェニル-NH(CH2)3-Si(OCH3)3、フェニル-NH(CH2)3-Si(OC2H5)3、フェニル-NH(CH2)3-Si(OCH3)2CH3、フェニル-NH(CH2)3-Si(OC2H5)2CH3、フェニル-NH(CH2)3-Si(OH)3、フェニル-NH(CH2)3-Si(OH)2CH3、HN((CH2)3-Si(OCH3)3)2、HN((CH2)3-Si(OC2H5)3)2、HN((CH2)3-Si(OCH3)2CH3)2、HN((CH2)3-Si(OC2H5)2CH3)2、シクロ-C6H11NH(CH2)-Si(OCH3)3、シクロ-C6H11NH(CH2)-Si(OC2H5)3、シクロ-C6H11NH(CH2)-Si(OCH3)2CH3、シクロ-C6H11NH(CH2)-Si(OC2H5)2CH3、シクロ-C6H11NH(CH2)-Si(OH)3、シクロ-C6H11NH(CH2)-Si(OH)2CH3、フェニル-NH(CH2)-Si(OCH3)3、フェニル-NH(CH2)-Si(OC2H5)3、フェニル-NH(CH2)-Si(OCH3)2CH3、フェニル-NH(CH2)-Si(OC2H5)2CH3、フェニル-NH(CH2)-Si(OH)3及びフェニル-NH(CH2)-Si(OH)2CH3及びそれらの部分加水分解物であり、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)3、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OC2H5)3、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)2CH3、シクロ-C6H11NH(CH2)3-Si(CH3)3、シクロ-C6H11NH(CH2)3-Si(OC2H5)3及びシクロ-C6H11NH(CH2)3-Si(OCH3)2CH3、並びにいずれの場合もそれらの部分加水分解物が好ましく、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)3、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)2CH3、シクロ-C6H11NH(CH2)3-Si(OCH3)3、シクロ-C6H11NH(CH2)3-Si(OCH3)2CH3及びいずれの場合もそれらの部分加水分解物が特に好ましい。
【0137】
本発明のコーティング組成物(BS)において、本発明に任意に使用される有機ケイ素化合物(F)はまた、硬化触媒又は硬化助触媒の機能を担ってもよい。
【0138】
さらに、本発明に任意に使用される有機ケイ素化合物(F)は、接着促進剤及び/又は水捕捉剤として作用することができる。
【0139】
本発明に任意に使用される有機ケイ素化合物(F)は、市販製品であってもよいし、及び/又は化学の範囲内で通常の方法によって調製することができる。
【0140】
本発明のコーティング組成(BS)が成分(F)を含む場合、関与する量は、いずれの場合も成分(A)100重量部に基づいて、好ましくは0.1~25重量部、より好ましくは0.5~15重量部である。本発明の材料は、成分(F)を含むことが好ましい。
【0141】
本発明のコーティング組成物(BS)に任意に使用される充填剤(G)は、現在までに知られている任意の所望の充填剤であってよい。
【0142】
充填剤(G)の例は、石英、珪藻土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、タルク、カオリン、ゼオライト、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄又は酸化亜鉛及びそれらの混合酸化物等の金属酸化物粉末、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、Hoffmann Mineral(独国ノイブルグ)製のSillitin V85、Silfit Z 91又はAktifit VM等のカオリンと石英の混合結晶形態、石膏、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ガラス粉末及びポリアクリロニトリル粉末等のプラスチック粉末等の、好ましくは50m2/gまでのBET比表面積を有する非補強充填剤;熱分解によって製造されたシリカ、沈降シリカ、沈降炭酸石灰、ファーネスブッラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、高いBET比表面積の混合シリコン-アルミニウム酸化物等のBET比表面積が50m2/gを超える補強充填剤;三水酸化アルミニウム、セラミックマイクロスフェア等(その例は、独国ノイスの3M Deutschland GmbHの商品名Zeeospheresで入手可能なもの)の中空球形の充填剤、AKZO NOBELの商品名EXPANCEL(R)、スウェーデンのSundsvallのExpancel等の弾性高分子球、又はガラス球;アスベスト及び高分子繊維等の繊維状充填材である。記載された充填剤は、例えば、オルガノシラン及び/又はオルガノシロキサン又はステアリン酸による処理によって、あるいはヒドロキシル基のアルコキシ基へのエーテル化によって、疎水化されたものであってもよい。
【0143】
任意に使用される充填剤(G)は、好ましくは炭酸カルシウム、タルク、三水酸化アルミニウム又はシリカであり、充填剤が追加的に有する防火効果のために水酸化アルミニウムを使用することが特に好ましい。好ましい炭酸カルシウムのグレードは、粉砕又は沈殿させ、任意にステアリン酸等の脂肪酸又はその塩で表面処理される。好ましいシリカは、ヒュームドシリカを含むことが好ましい。
【0144】
任意に使用される充填剤(G)は、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満の含水率を有する。
【0145】
本発明のコーティング組成物(BS)が充填剤(G)を含む場合、関与する量は、いずれの場合も成分(A)100重量部に基づいて、好ましくは10~1000重量部、より好ましくは50~500重量部、より具体的には70~300重量部である。本発明の材料は、充填剤(G)を含むことが好ましい。
【0146】
本発明の1つの特定の構成において、本発明のコーティング組成物(BS)は、充填剤(G)として、以下の組み合わせを含む。
a)シリカ、特にヒュームドシリカ、及び
b)炭酸カルシウム、三水酸化アルミニウム及び/又はタルク
【0147】
本発明のコーティング組成物(BS)が、異なる充填剤(G)のこの特定の組み合わせを含む場合、それらは、いずれの場合も構成成分(A)100重量部に基づいて、好ましくは1~80重量部、より好ましくは5~40重量部のシリカ、特にヒュームドシリカ、及び好ましくは10~500重量部、より好ましくは50~300重量部の炭酸カルシウム、三水酸化アルミニウム、タルク、又はこれらの材料の混合物を含む。
【0148】
1つの特に好ましい構成において、本発明の組成物(BS)は、好ましくは、上記の好ましい充填剤の組合せの1つと同様に、いずれの場合も構成成分(A)100重量部に基づいて、0.1~100重量部、より好ましくは2~50重量部、特に好ましくは1~20重量部の量で二酸化チタンも含む。
【0149】
本発明のコーティング組成物(BS)に任意に使用される触媒(H)は、シラン縮合によって硬化する材料に対し現在まで知られている任意の所望の触媒であることができる。
【0150】
金属含有硬化触媒(H)の例は、有機チタン及び有機スズ化合物であり、例は、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート及びチタンテトラアセチルアセトネート等のチタン酸エステル;ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクタノエート、ジブチルスズアセチルアセトネート、ジブチルスズ酸化物、及び対応するジオクチルスズ化合物等のスズ化合物である。
【0151】
金属を含まない硬化触媒(H)の例は、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、N,N-ビス(N,N-ジメチル-2-アミノエチル)メチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルフェニルアミン及びN-エチルモルホリン等の塩基性化合物である。
【0152】
リン酸及びそのエステル、トルエンスルホン酸、硫酸、硝酸、又は他の有機カルボン酸、例えば酢酸及び安息香酸のような酸性化合物を触媒(H)として用いることも同様に可能である。
【0153】
本発明のコーティング組成(BS)が触媒(H)を含む場合、関与する量は、いずれの場合も構成成分(A)100重量部に基づいて、好ましくは0.01~20重量部、より好ましくは0.05~5重量部である。
【0154】
本発明の1つの構成において、任意に使用される触媒(H)は、金属含有硬化触媒、好ましくはスズ含有触媒である。本発明のこの実施形態は、特に、成分(A)が、完全に又は少なくとも部分的に、すなわち少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%の程度まで、bが1以外の式(I)の化合物のからなる場合に好ましい。
【0155】
本発明のコーティング組成物(BS)の場合には、成分(A)が完全に又は少なくとも部分的に、すなわち少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%の程度まで、bが1であり、R1が水素原子という定義を有する式(I)の化合物からなる場合に、金属含有触媒(H)なし、特にスズ含有触媒なしですますことができ、好ましい。本発明のこの実施形態は、金属含有触媒がない場合、より具体的にはスズ含有触媒がない場合に特に好ましい。
【0156】
本発明のコーティング組成物(BS)に任意に使用される接着促進剤(I)は、シラン縮合によって硬化する系に対し現在までに記載されている任意の所望の接着促進剤であることができる。
【0157】
接着促進剤(I)の例は、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン又はグリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3-トリエトキシシリルプロピル)マレイン酸無水物、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)尿素、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)尿素、N-(トリメトキシシリルメチル)尿素、N-(メチルジメトキシシリルメチル)尿素、N-(3-トリメトキシシリルメチル)尿素、N-(3-メチルジエトキシシリルメチル)尿素、O-メチルカルバマトメチルメチルジメトキシシラン、O-メチルカルバマトメチルトリメトキシシラン、O-エチルカルバマトメチルメチルジエトキシシラン、O-エチルカルバマトメチルトリエトキシシラン、3-メタクリロイルオキシトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルメチルジメトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルメチルジエトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロイルオキシトリメトキシシラン、アクリロイルオキシメチルメチルジメトキシシラン、アクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン及びアクリロイルオキシメチルメチルジエトキシシラン、並びにこれらの部分縮合物等のエポキシシランである。
【0158】
本発明のコーティング組成物(BS)が接着促進剤(I)を含む場合、関与する量は、いずれの場合もコーティング組成物(BS)100重量部に基づいて、好ましくは0.5~30重量部、より好ましくは1~10重量部である。
【0159】
本発明のコーティング組成物(BS)に任意に使用される水捕捉剤(J)は、シラン縮合によって硬化する系に対し記載された任意の所望の水補足剤であることができる。
【0160】
水補足剤(J)の例は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、O-メチルカルバマトメチルメチルジメトキシシラン、O-メチルカルバマトメチルトリメトキシシラン、O-エチルカルバマトメチルメチルジエトキシシラン、O-エチルカルバマトメチルトリエトキシシラン、及び/又はそれらの部分縮合物のようなシラン、並びに1,1,1-トリメトキシエタン、1,1,1-トリエトキシエタン、トリメトキシメタン及びトリエトキシメタンのようなオルトエステルである。
【0161】
本発明のコーティング組成物(BS)が水補足剤(J)を含む場合、関与する量は、いずれの場合もコーティング組成物(BS)100重量部に基づいて、好ましくは0.5~30重量部、より好ましくは1~10重量部である。本発明のコーティング組成物(BS)は、好ましくは水補足剤(J)を含む。
【0162】
本発明のコーティング組成物(BS)に任意に使用される添加剤(K)は、現在までに知られている任意の所望の添加剤であることができ、シラン架橋系の典型であってもよい。
【0163】
本発明に任意に使用される添加剤(K)は、好ましくは酸化防止剤、紫外線吸収剤、殺菌剤、及び顔料である。
【0164】
本発明の成分(B)と組み合わせると、本発明の材料の更なる紫外線安定化をもたらすので、添加剤(K)として使用するのに特に好ましいのは紫外線吸収剤である。紫外線吸収剤の例は、BASF SE(独国ルートヴィッヒスハーフェン)製のChimassorb(R)82、Chimassorb(R)90、Tinuvin(R)99、Tinuvin(R)101、Tinuvin(R)109、Tinuvin(R)1130、Tinuvin(R)171、Tinuvin(R)384、Tinuvin(R)900、Tinuvin(R)928、Tinuvin(R)400、Tinuvin(R)405、Tinuvin(R)460、Tinuvin(R)477、Tinuvin(R)471、Tinuvin(R)479又はTinuvin(R)400である。
【0165】
本発明のコーティング組成(BS)が添加剤(K)を含む場合、関与する量は、いずれの場合も構成成分(A)100重量部に基づいて、好ましくは0.01~30重量部、より好ましくは0.1~20重量部である。本発明のコーティング組成物(BS)は、好ましくは添加剤(K)、特に好ましくは紫外線吸収剤(K)を含む。
【0166】
本発明に任意に使用されるアジュバント(L)は、好ましくはテトラアルコキシシラン(例はテトラエトキシシラン及び/又はその部分縮合物であり、後者の縮合物が特に好ましい)、レオロジー添加剤、難燃剤及び有機溶媒である。
【0167】
レオロジー添加剤(L)は、好ましくはポリアミドワックス、水素化ヒマシ油、又はステアリン酸塩である。
【0168】
有機溶媒(L)の例は、既に上で溶媒(DL)として記載されている化合物、好ましくはアルコールである。
【0169】
有機溶媒(L)は本発明のコーティング組成物(BS)に添加されないことが好ましい。
【0170】
本発明のコーティング組成(BS)が1種以上の成分(L)を含む場合、関与する量は、いずれの場合も成分(A)100重量部に基づいて、好ましくは0.5~200重量部、より好ましくは1~100重量部、より具体的には2~70重量部である。
【0171】
本発明のコーティング組成物(BS)は、好ましくは以下を含む組成物である。
(A)100重量部の式(I)の化合物、
(B)0.1~30重量部のHALS安定剤、
任意に(C)10~300重量部の1種以上の反応性希釈剤、
任意に(D)25~500重量部のシリコーン樹脂、
任意に(E)10~300重量部の非反応性可塑剤、
(F)0.1~25重量部の窒素含有有機ケイ素化合物、
任意に(G)充填剤、
任意に(H)触媒、
任意に(I)接着促進剤、
任意に(J)水補足剤、
任意に(K)添加剤、及び
任意に(L)アジュバント
ただし、コーティング組成物(BS)は、反応性希釈剤(C)、シリコーン樹脂(D)及び非反応性可塑剤(E)から選択される少なくとも1種の更なる成分を含む。
【0172】
本発明のコーティング組成物(BS)は、より好ましくは以下を含む組成物である。
(A)100重量部の式(I)の化合物、
(B)0.1~30重量部のHALS安定剤、
任意に(C)10~300重量部の1種以上の反応性希釈剤、
任意に(D)25~500重量部のシリコーン樹脂、
任意に(E)10~300重量部の非反応性可塑剤、
(F)0.1~25重量部の窒素含有有機ケイ素化合物、
任意に(G)充填剤、
任意に(H)触媒、
任意に(I)接着促進剤、
任意に(J)水補足剤、
(K)0.01~30重量部の紫外線吸収剤、
任意に(K)更なる添加剤、及び
任意に(L)アジュバント
ただし、コーティング組成物(BS)は、反応性希釈剤(C)、シリコーン樹脂(D)及び非反応性可塑剤(E)から選択される少なくとも1種の更なる成分を含む。
【0173】
本発明のコーティング組成物(BS)は、より具体的には以下を含む組成物である。
(A)100重量部の式(I)の化合物、
(B)0.5~25重量部のHALS安定剤、
任意に(C)25~200重量部の1種以上の反応性希釈剤、
任意に(D)50~300重量部のシリコーン樹脂、
任意に(E)40~250重量部の非反応性可塑剤、
(F)0.5~15重量部の窒素含有有機ケイ素化合物、
任意に(G)充填剤、
任意に(H)触媒、
任意に(I)接着促進剤、
任意に(J)水補足剤、
(K)0.01~20重量部の紫外線吸収剤、
任意に(K)更なる添加剤、及び
任意に(L)アジュバント
ただし、コーティング組成物(BS)は、反応性希釈剤(C)、シリコーン樹脂(D)及び非反応性可塑剤(E)から選択される少なくとも1種の更なる成分を含む。
【0174】
本発明のコーティング組成物(BS)は、好ましくは、成分(A)~(L)以外に更なる成分を含まない。
【0175】
本発明に使用される成分は、いずれの場合も、そのような成分の1種類であってもよく、又は少なくとも2種類のそれぞれの成分の混合物であってもよい。
【0176】
本発明のコーティング組成物(BS)は、水を排除して保存可能であり、水の侵入時に室温で架橋可能な1成分材料であることが好ましい。しかし、本発明の材料は、水等のOH含有化合物が第2の成分に添加される2成分架橋系の一部であってもよい。
【0177】
本発明のコーティング組成物(BS)は、20℃で好ましくは最大20000mPas、より好ましくは100~10000mPas、より具体的には500~5000mPasの粘度を有する。
【0178】
本発明のコーティング組成物(BS)は、チキソトロピー挙動を示すことが好ましく、これは、それらがより低いせん断速度における粘度よりも高いせん断速度でより低い粘度を有することを意味する。
【0179】
本発明の材料(BS)は、それ自体既知の任意の所望の様式で、例えば、湿気硬化組成物を製造するために慣用的な種類の方法及び混合技術によって製造され得る。ここで種々の成分が互いに混合される順番は、所望に応じて変化させ得る。
【0180】
本発明の更なる主題は、個々の成分を任意の順序で混合することによって本発明の組成物を製造する方法である。
【0181】
この混合は室温と周囲大気の圧力、換言すれば約900~1100hPaで行われ得る。しかし、所望であれば、この混合は、例えば30~130℃の範囲の温度のようなより高い温度でも行われ得る。さらに、例えば揮発性化合物及び/又は空気を除去するために、30~500hPa絶対圧のような減圧下で一時的又は連続的に混合を行うことが可能である。
【0182】
本発明による混合は、好ましくは水分を排除して達成される。
【0183】
本発明の方法は、連続的又は不連続的に実施することができる。
【0184】
本発明の組成物を製造するためには、個々の成分の1種以上の予混合物を製造し、次いでこれらの予混合物を互いに混合することも可能である。
【0185】
本発明の方法の1つの特に有利な変形例は、最初に、ここで、1種以上の一般に固体のHALS安定剤(B)が、少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、より具体的には少なくとも30重量%の濃度でコーティング組成物(BS)の1種以上の液体成分に溶解されたマスターバッチ(MS)の製造を提供する。コーティング組成物(BS)の実際の製造のために、次いで、この液体マスターバッチ(MS)が固体HALS安定剤(B)の代わりに使用される。
【0186】
HALS安定剤(B)を溶解するのに適するのは、成分(C)、(D)、(E)、(F)、(I)、(J)又は(L)であることができ、成分(C)、(D)、(E)及び(J)が好ましく、成分(J)が特に好ましい。
【0187】
マスターバッチ混合物(MS)は、好ましくは、ビニルトリメトキシシラン若しくはフェニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシラン若しくはフェニルトリエトキシシラン中の1種以上のHALS安定剤(B)の溶液、より具体的にはビニルトリメトキシシラン溶液である。
【0188】
特に有利な1つの構成において、紫外線吸収剤及び/又は酸化防止剤(K)も、マスターバッチ混合物(MS)にさらに加えられる。これは、本発明のコーティング組成(BS)の製造業者にとって、マスターバッチ(MS)では、最適な対候性を達成するために添加すべき成分が1つしかないという利点がある。
【0189】
マスターバッチ混合物(MS)を使用するコーティング組成物(BS)の製造方法も同様に本発明の主題である。
【0190】
本発明の組成物又は本発明で製造された組成物は、表面のコーティングに顕著に適しており、好ましくは建物の外側、特に平らな屋根の表面を水の浸透に対して封止するのに適している。
【0191】
本発明の更なる主題は、本発明のコーティング組成物(BS)又は本発明で製造されたコーティング組成物(BS)を、コーティングすべき表面に塗布することにより表面をコーティングする方法であり、好ましくは建物の外側の表面をコーティングする、より具体的には平らな屋根をコーティングする方法である。
【0192】
これとの関連において、本発明のコーティング組成物(BS)は、コーティングすべき表面に塗布されてよく、現在までに知られている任意の所望の方法で硬化させることができる。この場合の本発明による塗布は、好ましくはブラシ、ローラー、ドクター又は無気装置のような市販の噴霧装置によって達成される。
【0193】
ここで、本発明のコーティング組成物(BS)は、好ましくは0.1mm~50mmの層厚で、より好ましくは0.2mm~20mmの層厚で、より具体的には0.3mm~10mmの層厚で、コーティングすべき表面に塗布される。
【0194】
本発明のコーティング組成物(BS)が塗布されてよい表面の好ましい例は、石若しくはコンクリート等の鉱物建築材料、金属、屋上フェルト、プラスチック、織繊維布、木材、ガラス、又はセラミックである。本発明のコーティング組成物(BS)は、好ましくはチキソトロピー挙動を示し、水平及び垂直領域の両方に塗布されてよい。
【0195】
空気の通常の含水量は、本発明のコーティング組成物(BS)の架橋に十分である。本発明の材料は、好ましくは室温で架橋される。架橋は、所望であれば、-5℃~15℃又は30℃~50℃のような室温より高い又は低い温度、及び/又は空気の標準的な含水量を超える水の濃度によっても行うことができる。
【0196】
架橋は、好ましくは100~1100hPaの圧力、特に周囲大気の圧力、換言すれば約900~1100hPaで行われる。
【0197】
更なる主題は、本発明の組成物(BS)又は本発明で製造された組成物(BS)を架橋することによって製造される成形物品である。
【0198】
本発明の成形物品は、好ましくはコーティングである。
【0199】
本発明の組成物は、製造が容易であるという利点を有する。
【0200】
本発明の架橋性組成物は、非常に高い保存安定性及び高い架橋速度によって区別されるという利点を有する。
【0201】
さらに、本発明の架橋性組成物は、それらが優れた接着プロファイル及び顕著な弾力性を有するという利点を有する。また、それらは良好な重ね塗り適合性のために注目すべきである。
【0202】
さらに、本発明の架橋性組成物は、低粘度であり、このため無溶媒状態でも容易に処理することができるという利点を有する。
【0203】
本発明の組成物は、さらに、それらから得られるコーティングが外気に曝されることに対して非常に安定であるという利点を有する。従来のHALS安定剤は、外気に曝されて雨水によって徐々に洗い流されるが、対照的に、本発明のコーティングの安定剤は、外気に曝されてもコーティング中にはるかに多く保持されることは驚くべきことである。
【0204】
以下に記載する実施例では、全ての粘度の数値は25℃の温度に関する。特に断りのない限り、以下の実施例は、周囲大気の圧力、換言すれば約1000hPa、及び室温、換言すれば約23℃において、又は追加の加熱又は冷却を行わずに反応物を室温で組み合わせたときに生じる温度、及び約50%の相対的な大気湿度において実施される。さらに、特に明記しない限り、部及びパーセントについての全ての数値は、重量に関する。
【実施例】
【0205】
<使用する安定剤:単量体又は二量体のHALS安定剤>:
Tinuvin(R)123:ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)-デカン二酸エステル;CAS番号:129757-67-1;BASF SE(独国ルートヴィッヒスハーフェン)から市販されている。
Tinuvin(R)152:2,4-ビス[N-ブチル-N-(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ]-6-(2-ヒドロキシエチルアミン)-1,3,5-トリアジン;CAS番号:191743-75-6;BASF SE(独国ルートヴィッヒスハーフェン)から市販されている
Tinuvin(R)765:ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケートとメチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケートの混合物;CAS番号:41556-26-7及び82919-37-7;BASF SE(独国ルートヴィッヒスハーフェン)から市販されている
【0206】
<2,6-ジ-t-ブチルフェノール構造を有する二量体HALS安定剤>:
Tinuvin(R)144:ビス(1,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-[[3,5-ビス-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]-ブチルマロネート;CAS番号:63843-89-0;BASF SE(独国ルートヴィッヒスハーフェン)から市販されている
【0207】
<オリゴマーHALS安定剤>:
Chimassorb(R)944:ポリ[[6-[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]-1,6-ヘキサンジイル-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]];CAS番号:71878-19-8;70624-18-9(US);BASF SE(独国ルートヴィッヒスハーフェン)から市販されている
Chimassorb(R)2020:N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-1,6-ヘキサンジアミンと2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン及びN-ブチル-1-ブタンアミン及びN-ブチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペエリジンアミンとの反応生成物;CAS番号:192268-64-7;BASF SE(独国ルートヴィッヒスハーフェン)から市販されている
【0208】
<紫外線吸収剤>:
Tinuvin(R)400:2-ヒドロキシフェニル-s-トリアジン誘導体(CAS番号:107-98-2)、1-メトキシプロパン-2-オール中の85%;BASF SE(独国ルートヴィッヒスハーフェン)から市販されている
【0209】
[実施例1]
<HALSマスターバッチ溶液の製造>
撹拌機付きの500mlフラスコに80gのビニルトリメトキシシランを仕込み、80gのChimassorb(R)2020を加え、混合物を15分間撹拌し、均質でわずかに不透明な溶液を形成する。次に、40gのTInuvin(R)400を計量し、さらに30分間撹拌する。最終溶液は透明でわずかに黄色であり、350~450mPasのブルックフィールド粘度を有する。
【0210】
[実施例2a:1Kコーティング配合物の製造]
12000g/molの平均モル量(Mn)及び式-O-C(=O)-NH-CH2-SiCH3(OCH3)2の末端基を有する168.3gのシラン末端ポリプロピレングリコール(GENIOSIL(R)STP-E10の名称で独国ミュンヘンWacker Chemie AGから市販されている)、12000ダルトンの平均モル量(Mn)及び式-O-C(=O)-NH-(CH2)3-Si(OCH3)3の末端基を有する84.1gのシラン末端ポリプロピレングリコール(GENIOSIL(R)STP-E15の名称で独国ミュンヘンWacker Chemie AGから市販されている)及び192.4gのヘキサデシルトリメトキシシランを、約25℃で2つのビーム型ミキサーを備えた、PC-Laborsystem製の実験用遊星ミキサーで、4.2gのメチルカルバマトメチルメチルジメトキシシラン、20.0gのビニルトリメトキシシラン及び20gのChimassorb(R)2020と共に、200rpmで均質化する。次いで、3~5m2/gのBET比表面積及び1.7~2.1μmのd50を有する119.0gの三水酸化アルミニウム(Albemarle Corp.から「Martinal(R)OL 104」の名称で市販されている)、3m2/gのBET比表面積及び0.45μmのd50を有する370.0gの白亜(Imerysによって「Imerseal(R)50」の名称で市販されている)、及び約200m2/gのBET比表面積及びトリメチルシリルオキシ基で修飾された表面を有する15gのヒュームドシリカ(独国ミュンヘンWacker Chemie AGからHDK(R)H2000として市販されている)を、600rpmで1分間撹拌しながら温浸(digest)する。その後、7.0gの3-アミノプロピルトリメトキシシランを200rpmで1分間混合する。最後に、均質化と気泡の除去のための攪拌を100mbarの圧力で600rpmで2分間、200rpmで1分間行う。
【0211】
その結果、19500mPas(ブルックフィールド、スピンドル6、5.0分-1)又は5200mPas(ブルックフィールド、スピンドル6、50分-1)の粘度を有する封止剤が得られる。
【0212】
[実施例2b:1Kコーティング配合物の製造]
実施例2aに記載したのと同じ手順に従うが、Chimassorb(R)2020を同量のChimassorb(R)944で置き換える。
【0213】
[実施例2c:1Kコーティング配合物の製造]
実施例2aに記載したのと同じ手順に従うが、20gのChimassorb(R)2020及びビニルトリメトキシシランを実施例1で製造した50gのマスターバッチ溶液に置き換える。このマスターバッチ溶液も同様に20gのChimassorb(R)2020を含有するが、純粋な安定剤と比較して、液体であり、Tinuvin(R)400と共にさらに10gの紫外線吸収剤を追加で含有するという利点を有する。
【0214】
[実施例2d:1Kコーティング配合物の製造]
実施例2aに記載したのと同じ手順に従うが、Chimassorb(R)2020を同量のTinuvin(R)144で置き換える。
【0215】
[C2e~C2gの比較例:1Kコーティング配合物の製造]
実施例2aに記載したのと同じ手順に従うが、Chimassorb(R)2020を同量の以下の単量体又は二量体HALS安定剤と置き換える。
例C2e:Tinuvin(R)152
例C2f:Tinuvin(R)765
例C2g:Tinuvin(R)123
【0216】
[実施例3a:スキンタイム及び機械的性質の測定]
<スキンタイム(SKT)>
スキンタイムの測定のために、(実施)例2a~2d及びC2e~C2gで得られたコーティング配合物を、PEフィルムに厚さ2mmの層に塗布し、標準条件(23℃及び50%相対湿度)で保存する。硬化過程では、スキンの形成のために5分ごとに試験を行う。この目的のために、乾燥した実験用ヘラを試料の表面に慎重に置き、上方に引き上げる。試料が指に付着した場合、スキンはまだ形成されていない。試料が指に付着しなくなった場合は、スキンが形成されている。対応する時間を表1に報告する。
【0217】
<硬化コーティングの機械的特性>
(実施)例2a~2d及びC2e~C2gのコーティング配合物を、それぞれ深さ2mmで、粉砕されたテフロン(登録商標)プラーク上にコーティングし、23℃、相対湿度50%で2週間硬化させる。
【0218】
ショアA硬度はDIN 53505に従って測定する。引張強度はDIN 35504-S1に従って測定する。破断点伸びはDIN 53504-S1に従って測定する。対応する結果を表1に報告する。
【0219】
【0220】
[実施例3b:耐候性試験]
(実施)例2a~2d及びC2e~C2gのコーティング配合物のそれぞれから、550μmのドクターを用いてPEフィルム上にそれぞれの配合物をナイフコーティングし、次いで23℃及び相対湿度50%で2週間硬化させることによって、45×45mmのサイズの厚さ0.5mmのフィルムを製造する。
【0221】
即時硬化したフィルムをPEフィルムから剥がし、Atlas Xenotest Beta LM.で35×45mmの領域を風化させる。風化はDIN EN ISO 11341規格に従って行い、屋外の風化をシミュレーションする。各サイクルにおいて、12分間の雨と108分間の乾燥風化とを交互に行う。照射スペクトルは太陽光の照射スペクトルにほぼ対応し、紫外線放射は約60W/mm2の強度を持つ。Xenotesterでは湿度40~60%、温度38℃が使われている。この試験で得られた結果は表2の結果である。
【0222】
表2に報告された数値は、最初の欄に報告された事例が最初に観察された風化日に対応する。
【0223】
【0224】
実施例2a~2cの配合物は200日後に変化しなかった。250日後でも、実施例2a~2bの特に好ましい配合物は、依然として液体領域を示さなかったが、いくぶん軟らかくなっていた。実施例2cの特に好ましい配合物は、250日後でも依然として全く変化しなかった。
【0225】
[実施例4a:1Kコーティング配合物の製造]
132.4gのGENIOSIL(R)STP-E10、66.2gのGENIOSIL(R)STP-E15及び246.4gのジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート(独国ルートヴィッヒスハーフェンのBASF SEから「Hexamoll DINCH」の名称で市販されている)を、2つのビーム型撹拌機を備えたPC-Laborsystem製の実験室用遊星ミキサー中で、約25℃で、5.0gのメチルカルバマトメチルメチルジメトキシシラン、19gのビニルトリメトキシシラン及び20gのChimassorb(R)2020と共に200rpmで2分間均質化する。次に、489.0gのImerseal及び15gのHDK(R)を600rpmで1分間撹拌しながら温浸する。その後、7.0gの3-アミノプロピルトリメトキシシランを200rpmで1分間混合する。最後に、均質化及び気泡の除去のための攪拌を100mbarの圧力で600rpmで2分間、200rpmで1分間行う。
【0226】
この生成物は14200mPas(ブルックフィールド、スピンドル6、5.0分-1)及び5400mPas(ブルックフィールド、スピンドル6、50分-1)の粘度を有する封止剤である。
【0227】
[実施例4b:1Kコーティング配合物の製造]
実施例4aに記載したのと同じ手順に従うが、Chimassorb(R)2020を同量のChimassorb(R)944で置き換える。
【0228】
[実施例4c:1Kコーティング配合物の製造]
実施例4aに記載したのと同じ手順に従うが、20gのChimassorb(R)2020及びビニルトリメトキシシランを実施例1で製造した50gのマスターバッチ溶液で置き換える。このマスターバッチ溶液も同様に20gのChimassorb(R)2020を含有するが、純粋な安定剤と比較して、液体であり、Tinuvin(R)400と共に、さらに10gの紫外線吸収剤を追加で含有するという利点がある。
【0229】
[比較例C4d~C4f:1Kコーティング配合物の製造]
実施例4aに記載されているのと同じ手順に従うが、Chimassorb(R)2020を同量の以下の単量体又は二量体HALS安定剤で置き換える。
例C4d:Tinuvin(R)152
例C4e:Tinuvin(R)765
例C4f:Tinuvin(R)123
【0230】
[実施例5a:スキンタイム及び機械的性質の測定]
スキンタイム及び機械的特性を実施例3aに記載されているように測定した。対応する結果を表3に報告する。
【0231】
【0232】
[実施例5b:風化試験]
(実施)例4a~4c及びC4d~C4fのコーティング配合物のそれぞれから、550μmのドクターを用いてPEフィルム上にそれぞれの配合物をナイフコーティングし、次いで23℃及び相対湿度50%で2週間硬化させることによって、45×45mmのサイズの厚さ0.5mmのフィルムを製造する。
【0233】
即時硬化したフィルムをPEフィルムから剥がし、実施例3に記載されているようにAtlas Xenotest Beta LMで風化させる。この試験で得られた結果は表4の結果である。
【0234】
表4に報告された数値は、最初の欄に報告された事例が初めて観察された風化日に対応する。
【0235】
【0236】
実施例4a~4cの配合物は200日後に変化しなかった。250日後でさえ、実施例4a及び4bの特に好ましい配合物は依然として液体領域を示さなかったが、いくぶん柔らかくなっていた。実施例4cの特に好ましい配合物は、250日後でも依然として全く変化しなかった。