(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】放射線処置計画のためのアークの評価
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20220307BHJP
【FI】
A61N5/10 P
A61N5/10 J
(21)【出願番号】P 2020535302
(86)(22)【出願日】2018-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2018074210
(87)【国際公開番号】W WO2019052925
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-08-20
(32)【優先日】2017-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516027694
【氏名又は名称】レイサーチ ラボラトリーズ,エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン,シェール
(72)【発明者】
【氏名】フレデリクソン,アルビン
(72)【発明者】
【氏名】オルソン,ヘンリク
【審査官】安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0086530(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0335914(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0131428(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0136194(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0142310(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0157423(US,A1)
【文献】SMYTH GREGORY et. al.,Non-coplanar trajectories to improve organ at risk sparing in volumetric modulated arc therapy for primary brain tumors.,Radiotherapy and Oncology,121,ELSEVIER,2016年07月29日,p.124-131,http://dx.doi.org/10.1016/j.radonc.2016.07.014
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの標的体積(3a~c)を標的とする放射線治療で使用するための処置計画の、それぞれの可能なアークのアークコストを決定するための方法であって、前記方法は、
コンピュータソフトウェアにより指令される処置計画システム(1)
によって自動的に実施され、
前記方法は、
複数のビーム配向を決定するステップ(40)であって、各ビーム配向は、カウチ角度、コリメータ角度およびガントリ角度のそれぞれの値を含み、各ビーム配向は前記コリメータを通るビーム方向を定める、ステップ(40)と、
各ビーム配向について、少なくとも1つのコスト関数のセットを評価するステップ(42)であって、前記少なくとも1つのコスト関数は、
前記ビーム配向のビーム方向に法平面であるビーム平面上に前記少なくとも1つの標的体積(3a~c)を投影するサブステップ(50)と、
前記コリメータ角度値に基づいてアライメント角度を決定するサブステップ(53)と、
前記アライメント角度に平行な各線が横断する最大で1つの中間領域が存在するように、前記少なくとも1つの標的体積投影の領域の間で前記アライメント角度に沿って前記ビーム平面中に任意の中間領域を見つけるサブステップ(54)と、
前記任意の中間領域に基づいて中間曝露コスト関数の値を決定するサブステップ(56)と、
を実施することによって評価される中間曝露コスト関数を含む、ステップ(42)と、
を含み、
前記方法は、
複数のアークを見つけるステップ(44)であって、各アークは一連の複数のビーム配向を含む、ステップ
(44)と、
前記複数のアーク中の各アークについて、前記アークのビーム配向のコスト関数値に基づいて少なくとも1つのアークコストを計算するステップ(46)と、
をさらに含む、方法。
【請求項2】
任意の中間領域を見つけるステップ(54)は、異なるそれぞれの標的体積投影の間で任意の中間領域を見つけることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
それぞれのアークコストに基づいて、前記処置計画で使用するための少なくとも1つのアークを選択するステップ(48)
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
中間領域を見つけるステップ(54)は、複数の、前記アライメント角度に沿って平行なストリップの各々について、前記少なくとも1つの標的体積投影の領域の間でストリップ領域を見つけることを含み、各ストリップは、マルチリーフコリメータのリーフ対に関連する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
中間領域を見つけるステップ(54)は、前記ビーム配向のフルエンスマップ最適化を実施すること、および前記最適化されたフルエンスマップを1つ以上のマルチリーフコリメータ設定に分割することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ビーム平面上に少なくとも1つのリスク臓器を投影するステップ(51)と、
リスク臓器投影および標的体積投影が重複する任意の重複領域を、重複している標的体積投影から差し引くステップ(52)と、
をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、前記ビーム平面上に少なくとも1つのリスク臓器を投影するステップ(51)をさらに含み、
前記少なくとも1つのコスト関数のセットを評価するステップ(42)において、前記少なくとも1つのコスト関数のセットは、リスク臓器投影および前記中間領域が重複する任意の重複領域にペナルティを科す関数を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのコスト関数のセットを評価するステップ(42)において、前記少なくとも1つのコスト関数のセットは、前記少なくとも1つの標的体積への線量の推定値を定量化する中間線量関数を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのコスト関数のセットを評価するステップ(42)において、前記少なくとも1つのコスト関数のセットは、少なくとも1つの、処置計画最適化の構成関数を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのコスト関数のセットを評価するステップ(42)において、前記少なくとも1つのコスト関数のセットは、全ビーム配向にわたって最小の中間領域サイズと比較して、各ビーム配向からの中間領域サイズにペナルティを科す少なくとも1つの関数を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのアークコストを計算するステップ(46)は、前記複数のアーク中の各アークについて、前記アークのビーム配向のコスト関数値に基づいて総アークコストを計算することを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのアークコストを計算するステップ(46)は、前記複数のアーク中の各アークについて、前記アークのビーム配向の合計曝露によって提供される線量の推定値に基づいて総アークコストを計算することを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの標的体積(3a~c)を標的とする放射線治療で使用するための処置計画の、それぞれの可能なアークのアークコストを決定するための処置計画システム(1)であって、前記処置計画システム(1)は、
プロセッサ(60)と、
前記プロセッサによって実行されると、前記処置計画システム(1)に、
複数のビーム配向を決定することであって、各ビーム配向は、カウチ角度、コリメータ角度およびガントリ角度のそれぞれの値を含み、各ビーム配向は前記コリメータを通るビーム方向を定めることと、
各ビーム配向について、少なくとも1つのコスト関数のセットを評価することであって、前記少なくとも1つのコスト関数は、前記処置計画システム(1)に、
前記配向セットのビーム方向に法平面であるビーム平面上に前記少なくとも1つの標的体積(3a~c)を投影することと、
前記コリメータ角度値に基づいてアライメント角度を決定することと、
前記アライメント角度に平行な各線が横断する最大で1つの中間領域が存在するように、前記少なくとも1つの標的体積投影の領域の間で前記アライメント角度に沿って前記ビーム平面中に任意の中間領域を見つけることと、
前記任意の中間領域に基づいて中間曝露コスト関数の値を決定することと、
を行わせる命令(67)を実行することによって評価される中間曝露コスト関数を含むことと、
を行わせる命令(67)を格納するメモリ(64)と、
を含み、
前記メモリは、前記プロセッサによって実行されると、前記処置計画システム(1)に、
複数のアークを見つけることであって、各アークは一連の複数のビーム配向を含むことと、
前記複数のアーク中の各アークについて、前記アークのビーム配向のコスト関数値に基づいて少なくとも1つのアークコストを計算することと、
を行わせる命令(67)をさらに含む、処置計画システム(1)。
【請求項14】
少なくとも1つの標的体積(3a~c)を標的とする放射線治療で使用するための処置計画の、それぞれの可能なアークのアークコストを決定するためのコンピュータプログラム(67、91)であって、前記コンピュータプログラムは、処置計画システム(1)で実行されると、前記処置計画システム(1)に、
複数のビーム配向を決定することであって、各ビーム配向は、カウチ角度、コリメータ角度およびガントリ角度のそれぞれの値を含み、各ビーム配向は前記コリメータを通るビーム方向を定めることと、
各ビーム配向について、少なくとも1つのコスト関数のセットを評価することであって、前記少なくとも1つのコスト関数は、前記処置計画システム(1)で実行されると、前記処置計画システム(1)に、
前記配向セットのビーム方向に法平面であるビーム平面上に前記少なくとも1つの標的体積(3a~c)を投影することと、
前記コリメータ角度値に基づいてアライメント角度を決定することと、
前記アライメント角度に平行な各線が横断する最大で1つの中間領域が存在するように、前記少なくとも1つの標的体積投影の領域の間で前記アライメント角度に沿って前記ビーム平面中に任意の中間領域を見つけることと、
前記任意の中間領域に基づいて前記中間曝露コスト関数の値を決定することと、
を行わせるコンピュータプログラムコードを実行することによって評価される中間曝露コスト関数を含むことと、
を行わせるコンピュータプログラムコードを含み、
前記コンピュータプログラムは、処置計画システム(1)で実行されると、前記処置計画システム(1)に、
複数のアークを見つけることであって、各アークは一連の複数のビーム配向を含む、見つけることと、
前記複数のアーク中の各アークについて、前記アークのビーム配向のコスト関数値に基づいて少なくとも1つのアークコストを計算することと、
を行わせるコンピュータプログラムコードをさらに含む、コンピュータプログラム(67、91)。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラム、および前記コンピュータプログラムが格納されるコンピュータ可読手段を含む、コンピュータプログラム製品(64、90)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線処置計画のためのアークの評価のための方法、処置計画システム、コンピュータプログラムおよびコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線治療では、標的体積は、1つまたはいくつかの治療ビームで照射される。例えば、光子、電子およびイオンビームのような、様々な種類の治療ビームが使用され得る。標的体積は、例えば、がん腫瘍を表し得る。治療ビームは、照射された組織を透過し、腫瘍細胞を殺すための吸収線量を送達する。
【0003】
標的体積に照射を提供する1つの方法は、放射線が、移動しながら、例えばガントリが移動しながら流れる、強度変調回転放射線治療(VMAT)を使用することである。これは、移動中に放射線をオフにすることと比較して、より短い処置時間を可能にする。しかしながら、そのような処置計画に適したアークの決定は非常に複雑な作業であり、固定位置のセットから提供される線量の決定とかなり異なる。
【0004】
Smythらの“Non-coplanar trajectories to improve organ at risk sparing in volumetric modulated arc therapy for primary brain tumors”, Radiotherapy and Oncology 121 (2016) 124-131は、原発性脳腫瘍放射線治療におけるリスク臓器(OAR)温存のための非同一平面強度変調回転放射線治療(VMAT)軌道の評価を開示している。
【0005】
しかしながら、アーク評価がさらに改善される方法があるならば、これは非常に有益であろう。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に提示される実施形態の目的は、放射線治療で使用するためのアークの評価を改善することである。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、少なくとも1つの標的体積を標的とする放射線治療で使用するための処置計画の、それぞれの可能なアークのアークコストを決定するための方法が提供される。本方法は、処置計画システムで実施され、複数のビーム配向を決定するステップであって、各ビーム配向は、カウチ角度、コリメータ角度およびガントリ角度のそれぞれの値を含み、各ビーム配向はコリメータを通るビーム方向を定める、ステップと、各ビーム配向について、少なくとも1つのコスト関数のセットを評価するステップであって、少なくとも1つのコスト関数は、ビーム配向のビーム方向に法平面であるビーム平面上に少なくとも1つの標的体積を投影するサブステップと、コリメータ角度値に基づいてアライメント角度を決定するサブステップと、アライメント角度に平行な各線が横断する最大で1つの中間領域が存在するように、少なくとも1つの標的体積投影の領域の間でアライメント角度に沿ってビーム平面中に任意の中間領域を見つけるサブステップと、任意の中間領域に基づいて中間曝露コスト関数の値を決定するサブステップとを実施することによって評価される中間曝露コスト関数を含む、ステップとを含む。本方法は、複数のアークを見つけるステップであって、各アークは一連の複数のビーム配向を含む、ステップと、複数のアーク中の各アークについて、アークのビーム配向のコスト関数値に基づいて少なくとも1つのアークコストを計算するステップとをさらに含む。
【0008】
本明細書に提示される解決策は、コリメータが処置機械の物理的限界に達することを考慮する。これにより、例えばSmythらの方法によって有利であると見なされることになるが、処置機械によって有利な方法で実現できないビーム配向を破棄することが可能になる。先行技術と比較して、さらなる自由度(コリメータ角度)を最適化することも可能になる。
【0009】
任意の中間領域を見つけるステップは、異なる標的体積投影の間で任意の中間領域を見つけることを含んでよい。
【0010】
本方法は、それぞれのアークコストに基づいて、処置計画で使用するための少なくとも1つのアークを選択するステップをさらに含んでよい。
【0011】
中間領域を見つけるステップは、複数の、アライメント角度に沿って平行なストリップの各々について、少なくとも1つの標的体積投影の領域の間でストリップ領域を見つけることを含んでよく、各ストリップは、マルチリーフコリメータのリーフ対に関連する。
【0012】
中間領域を見つけるステップは、ビーム配向のフルエンスマップ最適化を実施すること、および最適化されたフルエンスマップを1つ以上のマルチリーフコリメータ設定に分割することを含んでよい。
【0013】
本方法は、ビーム平面上に少なくとも1つのリスク臓器を投影することと、リスク臓器投影および標的体積投影が重複する任意の重複領域を、重複している標的体積投影から差し引くこととをさらに含んでよい。
【0014】
本方法は、ビーム平面上に少なくとも1つのリスク臓器を投影するステップをさらに含んでよく、その場合、少なくとも1つのコスト関数のセットを評価するステップにおいて、少なくとも1つのコスト関数のセットは、リスク臓器投影および中間領域が重複する任意の重複領域にペナルティを科す関数を含む。
【0015】
少なくとも1つのコスト関数のセットを評価するステップにおいて、少なくとも1つのコスト関数のセットは、少なくとも1つの標的体積への線量の推定値を定量化する中間線量関数を含んでよい。
【0016】
少なくとも1つのコスト関数のセットを評価するステップにおいて、少なくとも1つのコスト関数のセットは、少なくとも1つの、処置計画最適化の構成関数を含んでよい。これは、アーク軌道を決定するために使用されるヒューリスティクスと決定された軌道の真の質との間の差を低減する。
【0017】
少なくとも1つのコスト関数のセットを評価するステップにおいて、少なくとも1つのコスト関数のセットは、全ビーム配向にわたって最小の中間領域サイズと比較して、各ビーム配向からの中間領域サイズにペナルティを科す少なくとも1つの関数を含んでよい。
【0018】
少なくとも1つのアークコストを計算するステップは、複数のアーク中の各アークについて、アークのビーム配向のコスト関数値に基づいて総アークコストを計算することを含んでよい。
【0019】
少なくとも1つのアークコストを計算するステップは、複数のアーク中の各アークについて、アークのビーム配向の合計曝露によって提供される少なくとも1つの標的体積への線量の推定値に基づいて総アークコストを計算することを含んでよい。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、少なくとも1つの標的体積を標的とする放射線治療で使用するための処置計画の、それぞれの可能なアークのアークコストを決定するための処置計画システムが提供される。処置計画システムは、プロセッサと、プロセッサによって実行されると、処置計画システムに、複数のビーム配向を決定することであって、各ビーム配向は、カウチ角度、コリメータ角度およびガントリ角度のそれぞれの値を含み、各ビーム配向はコリメータを通るビーム方向を定める、決定することと、各ビーム配向について、少なくとも1つのコスト関数のセットを評価することであって、少なくとも1つのコスト関数は、処置計画システムに、配向セットのビーム方向に法平面であるビーム平面上に少なくとも1つの標的体積を投影することと、コリメータ角度値に基づいてアライメント角度を決定することと、アライメント角度に平行な各線が横断する最大で1つの中間領域が存在するように、少なくとも1つの標的体積投影の領域の間でアライメント角度に沿ってビーム平面中に任意の中間領域を見つけることと、任意の中間領域に基づいて中間曝露コスト関数の値を決定することとを行わせる命令を実行することによって評価される中間曝露コスト関数を含む、評価することとを行わせる命令を格納するメモリとを含む。メモリはさらに、プロセッサによって実行されると、処置計画システムに、複数のアークを見つけることであって、各アークは一連の複数のビーム配向を含む、見つけることと、複数のアーク中の各アークについて、アークのビーム配向のコスト関数値に基づいて少なくとも1つのアークコストを計算することとを行わせる命令を含む。
【0021】
本発明の第3の態様によれば、少なくとも1つの標的体積を標的とする放射線治療で使用するための処置計画の、それぞれの可能なアークのアークコストを決定するためのコンピュータプログラムが提供される。コンピュータプログラムは、処置計画システムで実行されると、処置計画システムに、複数のビーム配向を決定することであって、各ビーム配向は、カウチ角度、コリメータ角度およびガントリ角度のそれぞれの値を含み、各ビーム配向はコリメータを通るビーム方向を定める、決定することと、各ビーム配向について、少なくとも1つのコスト関数のセットを評価することであって、少なくとも1つのコスト関数は、処置計画システムで実行されると、処置計画システムに、配向セットのビーム方向に法平面であるビーム平面上に少なくとも1つの標的体積を投影することと、コリメータ角度値に基づいてアライメント角度を決定することと、アライメント角度に平行な各線が横断する最大で1つの中間領域が存在するように、少なくとも1つの標的体積投影の領域の間でアライメント角度に沿ってビーム平面中に任意の中間領域を見つけることと、任意の中間領域に基づいて中間曝露コスト関数の値を決定することとを行わせるコンピュータプログラムコードを実行することによって評価される中間曝露コスト関数を含む、評価することと、を行わせるコンピュータプログラムコードを含む。コンピュータプログラムはさらに、処置計画システムで実行されると、処置計画システムに、複数のアークを見つけることであって、各アークは一連の複数のビーム配向を含む、見つけることと、複数のアーク中の各アークについて、アークのビーム配向のコスト関数値に基づいて少なくとも1つのアークコストを計算することとを行わせるコンピュータプログラムコードを含む。
【0022】
本発明の第4の態様によれば、第3の態様に記載のコンピュータプログラム、およびコンピュータプログラムが格納されるコンピュータ可読手段を含む、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0023】
概して、特許請求の範囲で使用される全ての用語は、本明細書に明示的に別段の定義がない限り、技術分野におけるその通常の意味にしたがって解釈されるべきである。「一/一つ/その要素、装置、構成要素、手段、ステップ等」への全ての言及は、特に明記しない限り、要素、装置、構成要素、手段、ステップ等の少なくとも1つの例への言及として、オープンに解釈されるべきである。本明細書に開示される任意の方法のステップは、明記しない限り、開示される正確な順序で実施されなくてもよい。
【0024】
次に、例として、添付の図面を参照して、本発明について記載する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本明細書に提示される実施形態が適用され得る環境を示す概略図である。
【
図2】ビーム配向セットの様々な角度を示す、処置機械の概略斜視図である。
【
図3】
図2のマルチリーフコリメータを示す概略図である。
【
図4A】異なるコリメータ角度が標的体積間の中間領域にどのように影響するのかを示す概略図である。
【
図4B】異なるコリメータ角度が標的体積間の中間領域にどのように影響するのかを示す概略図である。
【
図4C】異なるコリメータ角度が標的体積間の中間領域にどのように影響するのかを示す概略図である。
【
図4D】異なるコリメータ角度が標的体積間の中間領域にどのように影響するのかを示す概略図である。
【
図5】標的体積投影がリスク臓器の投影と重複する状況を示す概略図である。
【
図6】標的体積投影がリスク臓器の投影と重複する状況を示す概略図である。
【
図7A】処置計画のそれぞれの可能なアークのアークコストを決定するための、
図1の処置計画システムで実施される方法の実施形態を示すフローチャートである。
【
図7B】処置計画のそれぞれの可能なアークのアークコストを決定するための、
図1の処置計画システムで実施される方法の実施形態を示すフローチャートである。
【
図8】一実施形態による、
図1の処置計画システムの構成要素を示す概略図である。
【
図9】コンピュータ可読手段を含むコンピュータプログラム製品の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明について、本発明のある実施形態を示す添付の図面を参照して、以下でより完全に記載する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてよく、本明細書に明記される実施形態に限定されると解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であるように例として提供され、当業者に本発明の範囲を完全に伝えるものであろう。記載の全体を通して、同様の番号は同様の要素を指す。
【0027】
本明細書に提示される実施形態によれば、可能なビーム空間は、有限個のビーム配向に離散化され、各ビーム配向は、カウチ角度、コリメータ角度およびガントリ角度の値を含む。次いで、各ビーム配向は、1つ以上のコスト関数を使用して評価される。これは、標的体積投影の部分間の中間空間の評価を含み、マルチリーフコリメータは、標的体積投影の放射を可能にする一方、中間空間を遮蔽できない。マルチリーフコリメータは1次元で構成可能であるため、コリメータ角度は、中間領域を評価する際に大きな因子である。異なるビーム配向を評価する際にこの中間領域を考慮することによって、好都合なコリメータ角度が優先的に選ばれ、したがって、より良好なアーク決定をもたらす。
【0028】
図1は、本明細書に提示される実施形態が適用され得る環境を示す概略図である。処置計画システム1は、ビーム治療を提供する際に使用される1つ以上のアーク軌道を決定する。これは、処置計画12として処置機械2に通信される。処置計画12は、処置機械がどのようにビームを提供するべきか、および処置機械の幾何配置がどのように変更されるかを定める。処置計画に基づいて、処置機械2は、患者の1つ以上の標的体積3にビーム7を提供する。
【0029】
処置機械2がビームを発生させ、線量を送達する方法は、それ自体が業界で周知であるような処置様式(光子、電子、またはイオンなど)に応じて異なる。しかしながら、共通のゴールは、リスク臓器への線量を最小限にしながら、規定された線量にできるだけ近い線量を標的体積(すなわち、腫瘍)に送達することであり、これは、腫瘍のある場所に依存する。
【0030】
図2は、ビーム配向セットの様々な角度を示す、処置機械2の概略斜視図である。次元x、y、およびzのデカルト座標系も示す。
【0031】
ガントリ11は、ここではz軸に平行なガントリ軸の周りに回転可能である。ガントリ角度16は、ガントリ回転の程度を定める。この定義が一貫している限り、ガントリ角度16がどこから定められるかは重要ではない。
【0032】
処置中、患者(図示せず)が横臥するカウチ10が提供される。様々な固定機構は、それ自体が既知であり、患者の処置部分が既知の位置に確実に固定されるように適用される。カウチ10は、ここではy軸に平行なカウチ軸の周りに回転可能である。カウチ角度15は、カウチ回転の程度を定める。この定義が一貫している限り、カウチ角度15がどこから定められるかは重要ではない。
【0033】
ガントリ11に取り付けられるマルチリーフコリメータ13が提供され、処置中、放射線はそれを通して提供される。マルチリーフコリメータ13は、コリメータ軸の周りに回転可能である。ガントリ11の回転に応じて、コリメータ軸は、(デカルト座標系の)その配向が変化する。コリメータ角度17は、マルチリーフコリメータの回転の程度を定める。この定義が一貫している限り、コリメータ角度17がどこから定められるかは重要ではない。
【0034】
カウチ角度15、コリメータ角度17およびガントリ角度16の値の組み合わせが、ともにビーム配向を形成する。ビーム配向は、どの角度で放射線が患者を処置することになるかを定める。ビーム平面は、ビーム方向、すなわちコリメータ軸に法平面である。言い換えれば、ビーム方向は、コリメータ軸に平行に、コリメータを通り、カウチ10へ向かう方向である。
【0035】
各軌道は、開始時間から終了時間のアークで生じ、(随意に中間ビーム配向を介した)ビーム配向間の移動を定める。言い換えれば、アーク軌道は、ビーム配向によって定められる、カウチ角度15、コリメータ角度17およびガントリ角度16の1つ以上の変更を使用して実装される移動を定める。一実施形態では、放射線は、各アーク軌道の全期間でオンである。アーク軌道中の移動速度は、一定であり得るか、または変化し得る。
【0036】
図3は、
図2のマルチリーフコリメータ13を示す概略図である。マルチリーフコリメータ13は、リーフ対20a~b、21a~b、…26a~bを含む。各リーフは、アライメント角度19に沿って、1次元にのみ移動可能である。アライメント角度19は、コリメータ角度17に依存し、コリメータ角度に等しいことさえあり得る。
図3では、アライメント角度19は水平である。リーフの対構成のため、各アライメント角度19は、その向かい側と等価であり、±πラジアンである。言い換えれば、アライメント角度19は、それに沿ってコリメータリーフが移動可能な方向を定める。
【0037】
対向するリーフの各対は、リーフ間に空間を設けるように位置し得る。このようにして、そこを通って放射線が流れることができる開口28が定められ得る。開口28は、周辺組織への放射線を低減しながら、標的体積3を覆うように合わせられる。リーフ20a~b、21a~b、…26a~bはアライメント角度に沿ってのみ移動可能であるため、開口28の可能な形状は、マルチリーフコリメータ13の回転17に依存する。これは
図4A~4Dにより詳細に示されており、次で記載される。
【0038】
図4A~Dは、異なるコリメータ角度が標的体積間の中間領域にどのように影響するのかを示す概略図である。
図4A~Bでは、ここに第1の標的体積3a、第2の標的体積3bおよび第3の標的体積3cがある。さらに、照射を避けるべきリスク臓器4がある。
【0039】
図4Aでは、マルチリーフコリメータは、開口が各標的体積3a、3b、3cに合わせられるように、配置され得る。
【0040】
しかしながら、
図4Bでは、第1の標的体積3aおよび第3の標的体積3cの両方のための開口が必要な場合、これは、アライメント角度のため同じ開口である必要がある。ゆえに、著しい中間領域29が開口の一部を形成することになり、したがって、この構成にしたがって処置が生じる場合、中間領域29中に放射線をもたらす。
【0041】
図4Aと
図4Bとの間の唯一の違いはアライメント角度であり、これはコリメータ角度に依存する。このように、標的体積の外側の組織への放射線を低減するために、どのようにコリメータ角度が最も重要なのかが示される。
【0042】
図4C~4Dは、単一の標的体積3を有する状況を示す。しかしながら、標的体積は突出部を有し、それにより、コリメータ角度は処置に大きく影響する。
【0043】
図4Cでは、標的体積3の突出部間に中間領域29があるため、マルチリーフコリメータは、リスク臓器4への照射を防ぎながら標的体積3の下部を照射するように構成されることができない。
【0044】
しかしながら、コリメータ角度をπ/2シフトすることで、
図4Dに示すように、突出部間に中間領域はなくなり、リスク臓器4への照射を完全に避けることができる。
【0045】
また、ここでは、
図4Cと
図4Dとの間の唯一の違いはアライメント角度であり、これはコリメータ角度に依存する。このように、突出部を有する単一の標的体積の外側の組織への放射線を低減するために、どのようにコリメータ角度が最も重要なのかが示される。
【0046】
図5は、標的体積投影がリスク臓器の投影と重複する状況を示す概略図である。投影は、ビーム配向によって定められる、ビーム配向のビーム方向に法平面であるビーム平面への3次元体積、この場合は標的体積の投影である。この投影では、標的体積投影3とリスク臓器投影4との間に重複5がある。
【0047】
図6は、リスク臓器の投影が、ここでは第1の標的体積投影3aおよび第2の標的体積投影3bによって表される、標的体積投影の間の中間領域と重複する状況を示す概略図である。この投影では、(標的体積投影3a~3bの間の)中間領域29とリスク臓器投影4との間に重複30がある。両方の標的体積が照射される場合、これにより重複30のリスク臓器投影4を含む中間領域20が照射されることになるため、これはもちろん、理想的には避けられるべき状況である。
【0048】
図7A~Bは、処置計画のそれぞれの可能なアークのアークコストを決定するための、
図1の処置計画システムで実施される方法の実施形態を示すフローチャートである。アークは、照射が移動しながら生じる処置、例えば、VMATまたは回転原体照射(DCA)に使用され得る。まず、
図7Aで示される方法について記載する。上記のように、処置計画は、少なくとも1つの標的体積を標的とする放射線治療で使用するためのものである。
【0049】
ビーム配向を決定するステップ40では、処置計画システムは、複数の(すなわち、限られたセットの)ビーム配向を決定する。各ビーム配向は、カウチ角度、コリメータ角度およびガントリ角度のそれぞれの値を含む。各ビーム配向は、コリメータを通るビーム方向を定める。限られたセットのビーム配向を決定することによって、全ての可能なビーム配向は、管理可能な数のビーム配向に離散化される。他方のπラジアンは等価であるため、πラジアンのコリメータ角度に及ぶビーム配向のみが考慮される必要があることに留意されたい。複数のビーム配向は、全ての角度が変化してよいビーム配向を含むか、または1つもしくは2つの角度のみが変化してよいビーム配向を含む。
【0050】
コスト関数を評価するステップ42では、処置計画システムは、各ビーム配向について、少なくとも1つのコスト関数のセットを評価する。言い換えれば、各ビーム配向は、例えば、(一つまたは複数の)標的体積を照射する、およびリスク臓器または周辺組織への照射を避けるという点で、その性能を決定するために評価される。
【0051】
少なくとも1つのコスト関数のセットは、リスク臓器投影および中間領域が重複する任意の重複領域、例えば
図6に示す重複30に、ペナルティを科す関数を含み得る。
【0052】
少なくとも1つのコスト関数のセットは、少なくとも1つの標的体積への線量の推定値を定量化する中間線量関数を含み得る。これは、リスク臓器中で所定のレベルを超える任意の線量にペナルティを科すことを含み得る。これは全て、評価されているビーム配向から患者への線量分布の計算に基づく。
【0053】
少なくとも1つのコスト関数のセットは、少なくとも1つの、処置計画最適化の構成関数を含み得る。例えば、線量分布計算は、(一つまたは複数の)構成関数に使用され得る。実際の処置計画最適化は、例えばコリメータリーフ位置を含み得、それ自体が当該技術分野で既知であり、アークが決定された後に生じる。
【0054】
少なくとも1つのコスト関数のセットは、全ビーム配向にわたって最小の中間領域サイズと比較して、各ビーム配向からの中間領域サイズにペナルティを科す少なくとも1つの関数を含み得る。このようにして、小さい中間領域サイズを有するビーム配向が優先的に選ばれ、したがって、(一つまたは複数の)標的体積の外側の組織への照射を低減する。
【0055】
1つ以上の合成コスト関数が、言及されたコスト関数を組み合わせることによって計算され得る。
【0056】
コスト関数評価は、
図7Bを参照して、以下でより詳細に記載される。
【0057】
アークを見つけるステップ44では、処置計画システムは、複数のアークを見つけ、各アークは、一連の複数のビーム配向を含む。一実施形態では、カウチ角度およびコリメータ角度は、送達中に変化することを許されておらず、すなわち、アークの全ビーム配向は、同じカウチ角度および/またはコリメータ角度を有するが、異なるアークは、異なるカウチ角度および/またはコリメータ角度を有してよい。この場合、列挙により全ての可能なアークを評価することが可能である。別の実施形態では、カウチ角度および/またはコリメータ角度は、送達中に変化してよい。アークコスト関数が線形であれば、動的計画法(例えば、ダイクストラ法のような最短経路アルゴリズム)により、効率的に全アークのコストを計算することが可能である。そうでなければ、全アークのコストを計算することは、計算量が多くなる場合がある。その場合、可能なアークのサブセット中のアークのコストが評価され得、最近傍探索などの局所探索ヒューリスティクス、またはシミュレーテッドアニーリングなどの大域探索ヒューリスティクスが、サブセット中の最良のアークから開始して採用され得る。
【0058】
アークコストを計算するステップ46では、処置計画システムは、複数のアーク中の各アークについて、アークのビーム配向のコスト関数値に基づいて少なくとも1つのアークコストを計算する。
【0059】
随意に、これは、複数のアーク中の各アークについて、アークのビーム配向のコスト関数値に基づいて総アークコストを計算することを含む。例えば、それぞれのビーム配向の、全ての対応するコスト関数値は、総アークコストを得るために加算または平均化され得る。
【0060】
随意に、機械の限界内に留まりかつ患者の衝突を避けるための禁止角度を除外するように、禁止角度のマップが考慮され得る。
【0061】
アークコストは、固定された、所定の長さのアークについて評価され得、またはアークの長さは、値予測関数によって考慮され得る。
【0062】
随意に、これは、複数のアーク中の各アークについて、アークのビーム配向の合計曝露によって提供される線量の推定値に基づいて総アークコストを計算することを含む。そのような場合、完全な線量分布が考慮され得、すなわち、少なくとも1つの標的領域に提供される線量だけではない。一実施形態では、少なくとも1つのアークコストのセットは、少なくとも1つの、処置計画最適化の構成関数を含み得、その後の最適化との対応を改善する。
【0063】
任意の、(一つまたは複数の)アークを選択するステップ48では、処置計画システムは、それぞれのアークコストに基づいて、処置計画で使用するための少なくとも1つのアークを選択する。例えば、最小のアークコストを有するアークが選択され得る。
【0064】
次に、
図7Bを見ると、コスト関数を評価するステップ42のサブステップが示されている。
【0065】
(一つまたは複数の)標的体積を投影するステップ50では、処置計画システムは、ビーム平面上に少なくとも1つの標的体積を投影する。上で説明されたように、ビーム平面は、ビーム配向のビーム方向に法平面である。
【0066】
(一つまたは複数の)リスク臓器を投影するステップ51では、処置計画システムは、ビーム平面上に少なくとも1つのリスク臓器を投影する。
【0067】
重複を差し引くステップ52では、処置計画システムは、リスク臓器投影および標的体積投影が重複する任意の重複領域を、重複している標的体積投影から差し引く。このようにして、リスク臓器を照射するリスクが低減される。
【0068】
アライメント角度を決定するステップ53では、処置計画システムは、コリメータ角度値に基づいてアライメント角度を決定する。例えば、アライメント角度は、コリメータ角度値であり得る。
【0069】
中間領域を見つけるステップ54では、処置計画システムは、アライメント角度に平行な各線が横断する最大で1つの中間領域が存在するように、少なくとも1つの標的体積投影の領域の間でアライメント角度に沿ってビーム平面中に任意の中間領域(
図4A~Bおよび
図5の29を参照)を見つける。言い換えれば、マルチリーフコリメータのリーフ対があるため、コリメータリーフ対の間に2つ以上の中間領域は存在できない。少なくとも1つの標的体積投影の領域の間に、中間領域はゼロまたは1つのみ存在できる。
【0070】
上で説明された
図4A~Bの第1の例および
図4C~Dの第2の例に示すように、中間領域の有無は、ビーム配向および(一つまたは複数の)標的体積に依存する。
図4A~Bおよび
図4C~Dは、アライメント角度、すなわち、それに沿ってコリメータリーフが移動できる角度の異なる値について、これを明確に示す。
【0071】
ゆえに、各中間領域は、標的領域の部分の間に非標的領域を含む。非標的領域の両側の標的領域の部分は、中間領域の定義から除外されるか、または中間領域の定義に含まれるのいずれかであり得る。随意に、中間領域の両側にマージンが含まれる。
【0072】
随意に、これは、異なる標的体積投影の間、すなわち、異なる標的体積に関連する任意の中間領域を見つけることを含む。代わりにまたは加えて、これは、各標的体積投影の突出部の間、すなわち、単一の標的体積に関連する任意の中間領域を見つけることを含む。
【0073】
随意に、これは、複数の、アライメント角度に沿って平行なストリップの各々について、少なくとも1つの標的体積投影の領域の間でストリップ領域を見つけることを含み、各ストリップは、例えば
図3に示すように、マルチリーフコリメータのリーフ対に関連する。
【0074】
随意に、これは、ビーム配向のフルエンスマップ最適化を実施することを含み、ビーム配向のフルエンスは、処置計画最適化問題の最適化関数に関して、良好な線量分布を得るように自由に最適化される。あるいは、フルエンスマップは、順方向計画によって決定され得る。フルエンスマップは、その後、切り捨てにより中間領域に変換され得、あるカットオフレベルを超える値を有する全てのフルエンスビクセル(各ビクセルは、ビーム平面中のピクセルに相当する)は、1に切り捨てられ、カットオフレベル未満の値を有する全てのフルエンスビクセルは、0に切り捨てられ、続いて、アライメント角度に沿って値1を有するビクセルの行を連続させるようにビクセル値を修正し、その領域を中間領域とする。あるいは、フルエンスマップは、1つ以上のマルチリーフコリメータ設定に分割され得る。
【0075】
中間コスト関数の値を決定するステップ56では、処置計画システムは、任意の中間領域に基づいて中間曝露コスト関数の値を決定する。例えば、中間曝露コストは、いくつかの中間領域の総計であり得る。
【0076】
提示された方法を使用して、標的体積が考慮されるだけでなく、この情報は、様々な方法で(例えば、マルチリーフコリメータを標的体積投影に一致させることによって、または最適化されたフルエンスマップを分割することによって)決定された可能なセグメント形状と組み合わせられ、さらに、(例えば、一致したマルチリーフコリメータ、または最適化されたフルエンスマップ、またはフルエンスマップの分割後に生じる最適化されたセグメントから生じる)可能な線量分布、およびこれらの線量分布で評価された目的関数の値と組み合わせられる。
【0077】
図8は、一実施形態による、
図1の処置計画システム1の構成要素を示す概略図である。プロセッサ60は、中央処理装置(CPU)、マルチプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路等の1つ以上の任意の組み合わせを使用して提供され、メモリ64に格納されたソフトウェア命令67を実行でき、したがってコンピュータプログラム製品である。プロセッサ60は、上で
図7A~Bを参照して記載された方法を実行するように構成され得る。
【0078】
メモリ64は、ランダムアクセスメモリ(RAM)および読み出し専用メモリ(ROM)の任意の組み合わせであり得る。メモリ64は、永続記憶装置も含み、例えば、磁気メモリ、光メモリ、固体メモリ、またはさらには遠隔搭載メモリの任意の単独の1つまたは組み合わせであり得る。
【0079】
データメモリ66も、プロセッサ60でのソフトウェア命令の実行中のデータの読み出しおよび/または格納のために提供される。データメモリ66は、ランダムアクセスメモリ(RAM)および読み出し専用メモリ(ROM)の任意の組み合わせであり得る。データメモリ66は、例えばコスト関数の値69を含み得る。
【0080】
処置計画システム1は、他の外部エンティティと通信するためのI/Oインタフェース62をさらに含む。I/Oインタフェース62は、ユーザインタフェースも含む。
【0081】
処置計画システム1の他の構成要素は、本明細書に提示された概念を曖昧にしないために省略されている。
【0082】
図9は、コンピュータ可読手段を含むコンピュータプログラム製品90の一例を示す。このコンピュータ可読手段上に、コンピュータプログラム91が格納され得、そのコンピュータプログラムが、プロセッサに、本明細書に記載された実施形態による方法を実行させる。この例では、コンピュータプログラム製品は、CD(コンパクトディスク)またはDVD(デジタルバーサタイルディスク)またはブルーレイディスクなどの光ディスクである。上で説明されたように、コンピュータプログラム製品はまた、
図8のコンピュータプログラム製品64のように、デバイスのメモリ中に具現化され得る。コンピュータプログラム91は、ここでは、図示された光ディスク上のトラックとして概略的に示されているが、コンピュータプログラムは、取り外し可能固体メモリ、例えばユニバーサルシリアルバス(USB)ドライブなどの、コンピュータプログラム製品に適した任意の方法で格納され得る。
【0083】
次に、ローマ数字とともに列挙された、別の視点からの実施形態を記載する。
【0084】
i.
少なくとも1つの標的体積を標的とする放射線治療で使用するための処置計画の、それぞれの可能なアークのアークコストを決定するための方法であって、本方法は、処置計画システムで実施され、
複数のビーム配向を決定するステップであって、各ビーム配向は、カウチ角度、コリメータ角度およびガントリ角度のそれぞれの値を含む、ステップと、
各ビーム配向について、少なくとも1つのコスト関数のセットを評価するステップであって、少なくとも1つのコスト関数は、
ビーム配向のビーム方向に法平面であるビーム平面上に少なくとも1つの標的体積を投影するサブステップと、
コリメータ角度値に基づいてアライメント角度を決定するサブステップと、
アライメント角度に平行な各線が横断する最大で1つの中間領域が存在するように、少なくとも1つの標的体積投影の領域の間でアライメント角度に沿ってビーム平面中に任意の中間領域を見つけるサブステップと、
任意の中間領域に基づいて中間曝露コスト関数の値を決定するサブステップと、
を実施することによって評価される中間曝露コスト関数を含む、ステップと、
を含み、
本方法はさらに、
複数のアークを見つけるステップであって、各アークは一連の複数のビーム配向を含む、ステップと、
複数のアーク中の各アークについて、アークのビーム配向のコスト関数値に基づいて少なくとも1つのアークコストを計算するステップと、
を含む、方法。
【0085】
ii.
任意の中間領域を見つけるステップは、異なる標的体積投影の間で任意の中間領域を見つけることを含む、実施形態iに記載の方法。
【0086】
iii.
それぞれのアークコストに基づいて、処置計画で使用するための少なくとも1つのアークを選択するステップ
をさらに含む、実施形態iまたはiiに記載の方法。
【0087】
iv.
中間領域を見つけるステップは、複数の、アライメント角度に沿って平行なストリップの各々について、少なくとも1つの標的体積投影の領域の間でストリップ領域を見つけることを含み、各ストリップは、マルチリーフコリメータのリーフ対に関連する、実施形態i~iiiのいずれか1つに記載の方法。
【0088】
v.
中間領域を見つけるステップは、ビーム配向のフルエンスマップ最適化を実施すること、および最適化されたフルエンスマップを1つ以上のマルチリーフコリメータ設定に分割することを含む、実施形態ivに記載の方法。
【0089】
vi.
ビーム平面上に少なくとも1つのリスク臓器を投影することと、
リスク臓器投影および標的体積投影が重複する任意の重複領域を、重複している標的体積投影から差し引くことと、
をさらに含む、実施形態i~vのいずれか1つに記載の方法。
【0090】
vii.
ビーム平面上に少なくとも1つのリスク臓器を投影するステップをさらに含み、
少なくとも1つのコスト関数のセットを評価するステップにおいて、少なくとも1つのコスト関数のセットは、リスク臓器投影および中間領域が重複する任意の重複領域にペナルティを科す関数を含む、
実施形態i~viのいずれか1つに記載の方法。
【0091】
viii.
少なくとも1つのコスト関数のセットを評価するステップにおいて、少なくとも1つのコスト関数のセットは、少なくとも1つの標的体積への線量の推定値を定量化する中間線量関数を含む、実施形態i~viiのいずれか1つに記載の方法。
【0092】
ix.
少なくとも1つのコスト関数のセットを評価するステップにおいて、少なくとも1つのコスト関数のセットは、少なくとも1つの、処置計画最適化の構成関数を含む、実施形態i~viiiのいずれか1つに記載の方法。
【0093】
x.
少なくとも1つのコスト関数のセットを評価するステップにおいて、少なくとも1つのコスト関数のセットは、全ビーム配向にわたって最小の中間領域サイズと比較して、各ビーム配向からの中間領域サイズにペナルティを科す少なくとも1つの関数を含む、実施形態i~ixのいずれか1つに記載の方法。
【0094】
xi.
少なくとも1つのアークコストを計算するステップは、複数のアーク中の各アークについて、アークのビーム配向のコスト関数値に基づいて総アークコストを計算することを含む、実施形態i~xのいずれか1つに記載の方法。
【0095】
xii.
少なくとも1つのアークコストを計算するステップは、複数のアーク中の各アークについて、アークのビーム配向の合計曝露によって提供される線量の推定値に基づいて総アークコストを計算することを含む、実施形態i~xiのいずれか1つに記載の方法。
【0096】
xiii.
少なくとも1つの標的体積を標的とする放射線治療で使用するための処置計画の、それぞれの可能なアークのアークコストを決定するための処置計画システムであって、処置計画システムは、
プロセッサと、
プロセッサによって実行されると、処置計画システムに、
複数のビーム配向を決定することであって、各ビーム配向は、カウチ角度、コリメータ角度およびガントリ角度のそれぞれの値を含む、決定することと、
各ビーム配向について、少なくとも1つのコスト関数のセットを評価することであって、少なくとも1つのコスト関数は、処置計画システムに、
配向セットのビーム方向に法平面であるビーム平面上に少なくとも1つの標的体積を投影することと、
コリメータ角度値に基づいてアライメント角度を決定することと、
アライメント角度に平行な各線が横断する最大で1つの中間領域が存在するように、少なくとも1つの標的体積投影の領域の間でアライメント角度に沿ってビーム平面中に任意の中間領域を見つけることと、
任意の中間領域に基づいて中間曝露コスト関数の値を決定することと、
を行わせる命令を実行することによって評価される中間曝露コスト関数を含む、評価することと、
を行わせる命令を格納するメモリと、
を含み、
メモリはさらに、プロセッサによって実行されると、処置計画システムに、
複数のアークを見つけることであって、各アークは一連の複数のビーム配向を含む、見つけることと、
複数のアーク中の各アークについて、アークのビーム配向のコスト関数値に基づいて少なくとも1つのアークコストを計算することと、
を行わせる命令を含む、
処置計画システム。
【0097】
xiv.
少なくとも1つの標的体積を標的とする放射線治療で使用するための処置計画の、それぞれの可能なアークのアークコストを決定するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータプログラムは、処置計画システムで実行されると、処置計画システムに、
複数のビーム配向を決定することであって、各ビーム配向は、カウチ角度、コリメータ角度およびガントリ角度のそれぞれの値を含むことと、
各ビーム配向について、少なくとも1つのコスト関数のセットを評価することであって、少なくとも1つのコスト関数は、処置計画システムで実行されると、処置計画システムに、
配向セットのビーム方向に法平面であるビーム平面上に少なくとも1つの標的体積を投影することと、
コリメータ角度値に基づいてアライメント角度を決定することと、
アライメント角度に平行な各線が横断する最大で1つの中間領域が存在するように、少なくとも1つの標的体積投影の領域の間でアライメント角度に沿ってビーム平面中に任意の中間領域を見つけることと、
任意の中間領域に基づいて中間曝露コスト関数の値を決定することと、
を行わせるコンピュータプログラムコードを実行することによって評価される中間曝露コスト関数を含むことと
を行わせるコンピュータプログラムコードを含み、
コンピュータプログラムはさらに、処置計画システムで実行されると、処置計画システムに、
複数のアークを見つけることであって、各アークは一連の複数のビーム配向を含むことと、
複数のアーク中の各アークについて、アークのビーム配向のコスト関数値に基づいて少なくとも1つのアークコストを計算することと、
を行わせるコンピュータプログラムコードを含む、コンピュータプログラム。
【0098】
xv.
実施形態xivに記載のコンピュータプログラム、およびコンピュータプログラムが格納されるコンピュータ可読手段を含む、コンピュータプログラム製品。
【0099】
本発明について、いくつかの実施形態を参照して、上で主に記載した。しかしながら、当業者なら容易に理解するように、上で開示されたもの以外の実施形態が、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲内で等しく可能である。