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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】動作玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 17/44 20060101AFI20220307BHJP
   A63H 18/14 20060101ALI20220307BHJP
   A63H 18/06 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
A63H17/44
A63H18/14 C
A63H18/06
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021160554
(22)【出願日】2021-09-30
【審査請求日】2021-10-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本河 明広
(72)【発明者】
【氏名】篠原 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】中山 暁世利
(72)【発明者】
【氏名】山下 翔平
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-252851(JP,A)
【文献】特開2020-130963(JP,A)
【文献】実公昭63-024957(JP,Y2)
【文献】特開2019-136268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 17/00-17/44
A63H 18/00-18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向移動可能となるように動作部品が取り付けられた回転軸と、
前記回転軸の隣に設けられ前記回転軸に対して傾斜する第1の係合部を有する壁と、を備え、
前記動作部品には、前記第1の係合部と係合する第2の係合部が形成され、
前記第2の係合部を前記第1の係合部に倣わせて動作させることにより、一方向及び他方向で前記動作部品に螺旋運動をさせるように構成され、
前記回転軸を回転させる歯車機構を備え、
前記歯車機構は、人為操作によって所定方向に回転する太陽歯車と、前記太陽歯車の所定方向の回転によって前記太陽歯車の周りを回動して前記回転軸の歯車と連結されて前記回転軸を所定方向に回転させる遊星歯車と、を有する遊星歯車機構を備え、前記人為操作がなされないときに前記回転軸の逆転を許容するように構成され、
前記動作部品は付勢力によって前記他方向に向けて付勢され、
前記動作部品の前記一方向への螺旋運動は、前記人為操作により前記回転軸を回転させることによって、前記付勢力に抗して前記第2の係合部を前記第1の係合部に倣わせて動作させることで行われ、
前記動作部品の前記他方向への螺旋運動は、前記人為操作をしないときに、前記付勢力によって前記第2の係合部を前記第1の係合部に倣わせることで行われる、
ことを特徴とする動作玩具。
【請求項2】
前記遊星歯車機構は、前記ボタンの連打によって、前記回転軸を小刻みに回転させることで、前記動作部品に前記一方向への螺旋運動をさせる、ことを特徴とする請求項1に記載の動作玩具。
【請求項3】
前記回転軸は鉛直方向に延在し、前記第1の係合部は、前記壁に形成されたスロープであり、前記第2の係合部は、前記スロープに当接する当接部である、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の動作玩具。
【請求項4】
前記当接部は、前記動作部品に設けられ前記スロープ上を転動する車輪である、ことを特徴とする請求項3に記載の動作玩具。
【請求項5】
前記歯車機構には、前記回転軸に付設された第1の歯車と、前記第1の歯車に噛合し前記第1の歯車に動力を伝達する第2の歯車とを含み、前記第1の歯車は欠歯歯車であり、前記回転軸の回転によって前記動作部品が螺旋運動の一端に至ったときに欠歯部分で噛合が解除される、ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の動作玩具。
【請求項6】
前記回転軸は鉛直方向に延在し、
前記動作部品には、上面に物品を留置可能な第1の物品載置部が形成されている、ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の動作玩具。
【請求項7】
前記第1の物品載置部は上動位置で第2の物品載置部に連結され、前記第1の物品載置部から前記第2の物品載置部に前記物品が乗り移るように構成されている、ことを特徴とする請求項6に記載の動作玩具。
【請求項8】
前記物品は車両玩具であり、前記物品載置部は前記車両玩具の軌道の一部を構成している、ことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の動作玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動作玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、螺旋機構を用いて動作部品を動作させるものとして、特許文献1に記載の玩具が知られている。
【0003】
この玩具では、ベースから起立する螺旋軸と、自動車玩具を載置する昇降台と、を備え、昇降台に設けた挿通孔に螺旋軸を嵌挿させ、螺旋軸の外周に突設した螺旋突条に挿入孔の内壁面に突設した突起を係合させている。そして、この玩具では、螺旋軸を回転させることにより、昇降台を上昇させ、自重によって昇降台を下降させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公昭63-24957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この玩具では、昇降台の上昇時には、昇降台の回転を止めて回転軸を回転させることにより昇降台をそのまま上昇させ、昇降台の下降時には、回転軸の回転を止めて自重で昇降台を回転させながら下降させている。つまり、昇降台の上昇時には昇降台の回転を止めなければならず、昇降及び下降の両時において、昇降台を回転させながら回転軸の軸線方向に移動させることができなかった。
【0006】
本発明は、斯かる問題点に鑑みなされたもので、行き帰りで動作部品を回転させながら移動させることができる新たな玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の手段は
軸方向移動可能となるように動作部品が取り付けられた回転軸と、
前記回転軸の隣に設けられ前記回転軸に対して傾斜する第1の係合部を有する壁と、を備え、
前記動作部品には、前記第1の係合部と係合する第2の係合部が形成され、
前記第2の係合部を前記第1の係合部に倣わせて動作させることにより、一方向及び他方向で前記動作部品に螺旋運動をさせるように構成され、
前記回転軸を回転させる歯車機構を備え、
前記歯車機構は、人為操作によって所定方向に回転する太陽歯車と、前記太陽歯車の所定方向の回転によって前記太陽歯車の周りを回動して前記回転軸の歯車と連結されて前記回転軸を所定方向に回転させる遊星歯車と、を有する遊星歯車機構を備え、前記人為操作がなされないときに前記回転軸の逆転を許容するように構成され、
前記動作部品は付勢力によって前記他方向に向けて付勢され、
前記動作部品の前記一方向への螺旋運動は、前記人為操作により前記回転軸を回転させることによって、前記付勢力に抗して前記第2の係合部を前記第1の係合部に倣わせて動作させることで行われ、
前記動作部品の前記他方向への螺旋運動は、前記人為操作をしないときに、前記付勢力によって前記第2の係合部を前記第1の係合部に倣わせることで行われる、
ことを特徴とする。
【0008】
第2の手段は、第1の手段であって、前記遊星歯車機構は、前記ボタンの連打によって、前記回転軸を小刻みに回転させることで、前記動作部品の前記一方向への螺旋運動をさせる、ことを特徴とする。
【0009】
第3の手段は、第1又は第2の手段であって、前記回転軸は鉛直方向に延在し、前記第1の係合部は、前記壁に形成されたスロープであり、前記第2の係合部は、前記スロープに当接する当接部である、ことを特徴とする。
【0010】
第4の手段は、第3の手段であって、前記当接部は、前記動作部品に設けられ前記スロープ上を転動する車輪である、ことを特徴とする。
【0013】
第5の手段は、第1~第4の手段のいずれかであって、前記歯車機構には、前記回転軸に付設された第1の歯車と、前記第1の歯車に噛合し前記第1の歯車に動力を伝達する第2の歯車とを含み、前記第1の歯車は欠歯歯車であり、前記回転軸の回転によって前記動作部品が螺旋運動の一端に至ったときに欠歯部分で噛合が解除される、ことを特徴とする。
【0014】
第6の手段は、第1~第5の手段のいずれかであって
前記回転軸は鉛直方向に延在し、
前記動作部品には、上面に物品を留置可能な第1の物品載置部が形成されている、ことを特徴とする。
【0015】
第7の手段は、第6の手段であって、前記第1の物品載置部は上動位置で第2の物品載置部に連結され、前記第1の物品載置部から前記第2の物品載置部に前記物品が乗り移るように構成されている、ことを特徴とする。
【0016】
第8の手段は、第6又は第7の手段であって、前記物品は車両玩具であり、前記物品載置部は前記車両玩具の軌道の一部を構成している、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1の手段によれば、第2の係合部を第1の係合部に倣わせて動作させることにより、動作部品に螺旋運動をさせるので、行きも帰りも動作部品に螺旋運動をさせることができる。
また、第1の手段によれば、動作部品の一方向への移動は、回転軸を回転させることで行われ、動作部品の他方向への移動は当該他方向へ向けての所定の付勢力によって第2の係合部を第1の係合部に倣わせることによって行われるので、行きも帰りも動作部品に螺旋運動をさせることができる。
【0018】
第2の手段によれば、回転軸を小刻みに回転させるので、動作部品も間欠的に螺旋運動することになり、ボタン操作を楽しむことができる。特に、遊星歯車機構を用いているので、ボタン操作をしないと、動作部品が戻ってしまうので、その効果が顕著である。
【0019】
第3の手段によれば、回転軸は鉛直方向に延在し、第1の係合部は、壁に形成されたスロープであり、第2の係合部は、前記スロープに当接する当接部であるので、動作部品自らがスロープを上り下りしているかのようなイメージを醸し出すことができる。
【0020】
第4の手段によれば、当接部は、動作部品に設けられスロープ上を転動する車輪であるので、動作部品は円滑にスロープを上り下りすることができる。
【0022】
第5の手段によれば、回転軸の回転によって動作部品が螺旋運動の一端に至ったときに欠歯部分で噛合が解除されるので、確実に、所定位置で動作部品を停止させることができるとともに、歯車等の破損を防止することができる。
【0023】
第6の手段によれば、回転軸は鉛直方向に延在し、動作部品には、上面に物品を留置可能な第1の物品載置部が形成されているので、第1の物品載置部を螺旋状に動かすことにより、第1の物品載置部にある物品が色々な角度から観察でき、その分、楽しみが増すことになる。
【0024】
第7の手段によれば、第1の物品載置部は上動位置で第2の物品載置部に連結され、第1の物品載置部から前記第3の物品載置部に前記物品が乗り移るように構成されているので、台物品を螺旋状に運んで排出する玩具が実現できる。
【0025】
第8の手段によれば、物品載置部は車両玩具の軌道の一部を構成しているので、車両玩具を螺旋状に移動させる玩具が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】軌道玩具の斜視図である。
図2】一の軌道片の取付け構造を示す斜視図である。
図3図2の軌道片及び台座を分解した状態を下方から見た斜視図である。
図4図2の軌道片のストッパの取付け構造の側面図である。
図5】回転機構を上方から見た状態の斜視図である。
図6】回転機構を下方から見た状態の斜視図である。
図7図2の軌道片及び当該軌道片に連結される軌道片の取付け構造を示す斜視図である。
図8】摘みと紐留め部材との結合状態を示す平面図である。
図9】摘みと紐留め部材との結合解除状態を示す平面図である。
図10】跳上げ装置の跳上げ前の状態を示す図である。
図11】跳上げ装置の跳上げ後の状態を示す図である。
図12】一部の軌道片の連結状態を示す斜視図である。
図13】一の軌道片のストッパの取付け構造を示す斜視図である。
図14】回転昇降装置の構造を示す図である。
図15】ハンドル及びリールを示す斜視図である。
図16】回転軸と係合部材との係合関係を示す図である。
図17】一の軌道片への自動車玩具の進入状態を示す平面図である。
図18】自動車玩具の押戻し状態を示した平面図である。
図19】一の軌道片の自動車玩具の排出構造を示した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
《遊び方の一例》
図1は、軌道玩具100の斜視図である。
この軌道玩具100での遊び方を1台の自動車玩具1を用いた場合を例に説明する。
軌道片11に自動車玩具1を乗せた後、ボタン2を優しく連打すると、軌道片11が回転軸11aの回りを小刻みに螺旋状に上昇し、軌道片11の向きが180度変わった所で自動車玩具1が軌道片11から軌道片12の坂下に乗り移る。軌道片12は直線状の上り坂を構成しているので自動車玩具1はその坂下に留まる。
【0028】
次に、摘み3をゆっくりと左方にスライドさせると、軌道片12が軸12aを中心に緩やかに跳ね上がり、軌道片12が上り坂から下り坂に変化することになる。すると、自動車玩具1が軌道片12を下り、軌道片13に乗り移る。軌道片13は左回りのヘアピンカーブを構成し、少し下り坂となっている。そのため、自動車玩具1は軌道片13を下って軌道片14に乗り、止められる。
【0029】
次に、ハンドル4を時計方向に回転させると、軌道片14がその場回転しながら上昇し、軌道片15の入口と同じ高さまで至る。すると、自動車玩具1が軌道片14から軌道片15に乗り移る。軌道片15は左カーブの下り坂を構成している。そのため、自動車玩具1は軌道片15を下り、軌道片15の出口に至る。軌道片15の出口と次の軌道片16の入口との間は離れ、軌道片15の出口の方が高い位置にある。そのため、自動車玩具1はジャンプして軌道片16に跳び乗る。軌道片16はS字カーブを構成し、下り坂となっている。そこで、自動車玩具1は軌道片16を下って軌道片17の手前で止められる。
【0030】
軌道片17は、グリップ5の操作により揺動する軌道となっており、グリップ5を動作させると軌道片17が揺れ動き、位置やタイミングが合うと、自動車玩具1が軌道片17に乗り移って軌道片11に戻る。
【0031】
《回転昇降装置20》
回転昇降装置20は、ボタン2の連打によって、軌道片11を回転軸11aの回りで公転させながら上昇させる。
この回転昇降装置20は、回転軸11aを回転させる回転機構20aと、回転軸11aの回転によって軌道片11に螺旋運動をさせる螺旋機構20bと、を備える。
【0032】
図2は、軌道片11の取付け構造を示す斜視図、図3は、軌道片11及び台座27を分解した状態を下方から見た斜視図である。
回転軸11aには、台座27を介して軌道片11が取り付けられている。
すなわち、回転軸11aの外周には、軸方向に沿って溝11bが形成されている。回転軸11aは、台座27の筒部27aに挿通されている。そして、筒部27aの内面に軸方向に沿って設けられた凸条27bが上記溝11bに係合している。つまり、台座27は、回転軸11aに回転不可で軸方向移動可能に取り付けられている。
なお、台座27と軌道片11とは嵌め込みによって結合されている。
【0033】
次に、軌道片11について説明する。
図4は、ストッパ11dの取付け構造の側面図である。
軌道片11の床は、載置される自動車玩具1の前方に向けて下り勾配を有している。したがって、このままでは自動車玩具1は軌道片11から落ちてしまう。そこで、軌道片11の前端には、軸11cを中心に回動して起倒可能なストッパ11dと、軸11eを中心に回動してストッパ11dを起立位置で係止可能な係止部材11fと、が設けられている。
ストッパ11dは、倒れる方向に図示しないトーションばねにより付勢されている。また、係止部材11fは、図示しないトーションばねにより、ストッパ11dを起立位置で係止可能な方向に付勢されている。
係止部材11fは、軸11eから離れて形成された爪11gがストッパ11dの軸部に当接し、ストッパ11dを起立位置で係止する。
このストッパ11dは、軌道片11が螺旋運動し軌道片12に繋がる直前に、軌道片12下の支柱12b(図7)に形成された三角形の摺接部12cに係止部材11fが摺接して下方に動作することによって、軌道片12側に倒れて先端部が軌道片12の上に乗る。これによって、軌道片11の上の自動車玩具1が軌道片12に乗り移る。
なお、ストッパ11dが軌道片12側に倒れて先端部が軌道片12の上に乗っている間は、ストッパ11dの付勢力によって、軌道片11の上昇状態は維持される。そして、軌道片12が跳ね上げられると、ストッパ11dが起立し、再び、係止部材11fによって係止される、
【0034】
図5は、回転機構20aを上方から見た状態の斜視図、図6は、回転機構20aを下方から見た状態の斜視図である。
回転機構20aは、ボタン2が押圧されたとき、その動力を、レバー21、ラック22、歯車23,24,25,26を介して、回転軸11aに伝達し、回転軸11aを回転させる。
すなわち、ボタン2は、上下動可能に構成されている。ボタン2の下には、中間の軸21aを中心に回動可能なレバー21が設けられている。レバー21は、ボタン2を押圧したときに一端が押されて、軸21aを中心に所定方向に回転する。レバー21の他端には、水平面内で往復動作可能なラック22が係合されており、ボタン2の押圧によって一方向に動作する。ラック22には戻しばね22bが掛けられており、ボタン2の押圧が止んだときに、ラック22、レバー21及びボタン2は初期位置に戻される。
【0035】
ラック22の歯は歯車23に噛合している。歯車23の下側には、歯車23と同心で一体的に回転する歯車24が設けられている。また、歯車23の軸23aには、アーム25aが設けられており、このアーム25aには、歯車24を太陽歯車とする歯車(遊星歯車)25が設けられている。アーム25aは、所定範囲で回動可能で、ボタン2が押圧されたとき、歯車24の回転によって所定方向に回動させられ、歯車25を歯車26に噛合させる。これによって、歯車26が回転する。歯車26は欠歯歯車であり、この歯車26には回転軸11aが立設されているので、歯車26の回転によって、回転軸11aが一体的に回転する。歯車26を欠歯歯車としたのは、軌道片11が上がりきった所で欠歯部分に歯車25がちょうど至るようにし、それ以上ボタン2を押圧しても、軌道片11を動作させないようにするためである。
なお、遊星歯車機構に代えてラチェット機構を用いることができる。但し、ラチェット機構の場合には、ボタン2から手を離しても逆戻りはないので、ボタン2を押圧した回数分、回転軸11aが回転する。
【0036】
螺旋機構20bは、回転軸11aが回転したとき、回転軸11aに取り付けられた台座27をスロープ28aに沿って公転させながら上昇させる。スロープ28aは、回転軸11aの半部を取り囲む壁28に形成されている。
回転軸11aの近くには、平面視で半円弧状の壁28が回転軸11aと同心的に設けられている。壁28にはスロープ28aが形成されている。回転軸11aの隣に設けられる壁28は台座27が倣えるものであればよく、単に、倣い面が回転軸11aに対して傾斜するものであってもよい。
一方、台座27には、車輪27cが付設され、この車輪27cがスロープ28aの上に乗っている。台座27は、直接、スロープ28aの上に乗っていてもよい。
そして、台座27は、回転軸11aの回転に伴って、スロープ28aの上を車輪27cが転動することで、回転軸11aの外で円滑に螺旋運動する。
このように台座27ひいては軌道片11に螺旋運動させることにより、興趣性の高い昇降装置を実現できる。
【0037】
《跳上げ装置40》
図7に示すように、軌道片12は、水平な軸12aを介して一端が支柱41に取り付けられている。跳上げ装置40(図10及び図11参照)は、摘み3の操作によって、軸12aの近くで軌道片12を押し上げる。
跳上げ装置40は、摘み3の操作によって作動する巻上げ機構40aと、巻上げ機構40aの動力により作動するラック機構40bと、を備える。
【0038】
先ず、摘み3について説明する。
図8は、摘み3と紐留め部材45との結合状態を示す斜視図、図9は、摘み3と紐留め部材45との結合解除状態を示す斜視図である。
摘み3は、ガイド溝42に沿って動作するスライダ43に固定されている。スライダ43は、紐44の一端が結ばれた紐留め具45に結合されている。紐留め具45は、摘み3と巻上げ機構40aとを連結する。
スライダ43と紐留め具45とはスナップフィットにより結合されている。例えば、凹部と凸部との嵌合や弾性係止爪により結合されている。スナップフィットによらず、磁気着によるものであってもよい。
ここでは、スライダ43には柱状の雄具43aが形成され、この雄具43aは、紐留め具45に形成され弾性を有するC字状の雌具45aに係合されている。この雄具43aと雌具45aとは、スライダ43の動作方向からの突き合わせにより係合され、スライダ43を動作させたとき紐留め具45も一体的に動作する。また、スライダ43の雌具45aと紐留め具45の雌具45aとは、摘み3に必要以上の力が作用したとき係合を解除し、スライダ43と紐留め具45との結合を解除する。これにより、摘み3の動力の伝達が遮断される。実施形態では、摘み3を素早く左に操作したときに、摘み3の動力の伝達を遮断することによって、軌道片12が速く跳ね上がるのを防止し、軌道片12の上に乗る自動車玩具1が飛ばされないようにしている。
【0039】
巻上げ機構40aは、摘み3の操作によって、紐留め具45に結ばれた紐44を介して、ラック機構40b内の可動ラック48を上昇させる。
図10は、可動ラック48の下降時の状態を示す図、図11は、可動ラック48の上昇時の状態を示す図である。
紐留め具45に結ばれた紐44は、滑車46等に巻き掛けられた後、下方から支柱41内に導かれている。そして、支柱41内においては、固定部41aの上部に設けられた滑車(定滑車)47に巻き掛けられ、その下方にある可動ラック48に他端が結ばれている。可動ラック48は、レール49に沿って昇降可能となっており、摘み3を操作したときに、紐44に引かれて上昇する。
【0040】
ラック機構40bは、可動ラック48と、押上げ部材50に取り付けられた二重歯車51と、固定部41aに形成された固定ラック52とから構成されている。二重歯車51は、一体的に動作する大径歯車及び小径歯車から構成され、このうち大径歯車が可動ラック48の歯に噛合し、小径歯車が固定ラック52の歯に噛合している。
その結果、摘み3が操作され可動ラック48が紐44で引かれて上昇すると、二重歯車51が一方向に回転し、二重歯車51の小径歯車が固定ラック52に沿って駆け上る。これにより、押上げ部材50が上昇し、軌道片12を押し上げる。なお、摘み3の操作が止むと、押上げ部材50が自重で下降し、逆の経路を辿り、可動ラック48及び摘み3が初期位置に戻る。この場合、必要であれば戻しばねを設けてもよい。
【0041】
《ストッパ60》
図12は、軌道片13~15を示す斜視図であり、図13は、軌道片13のストッパ60の取付け構造を示す斜視図である。
軌道片13の出口下側には、ストッパ60が収容されたケース61が取り付けられている。ストッパ60は、軸60aを中心に上下方向に回動可能に構成され、図示しないトーションばねによって上方に向けて付勢されている。
ストッパ60は舌片状の基体60bを有し、基体60bの上面には係止突起60cが長手方向中間部に立設されている。係止突起60cは、基体60bの長手方向に延在する第1部分と、幅方向に延在し中間部が第1部分に連結された第2部分からなり、全体がT字状に形成されている。
そして、ストッパ60は、次段の軌道片14が下降位置にあるとき、後述の回転テーブル72によって基体60bの先端部が下方に押されて下動し、係止突起60cが軌道片13の上面から没する。また、ストッパ60は、回転テーブル72が上昇すると、基体60bの先端部が拘束から解かれて、図示しないトーションばねによって上動して係止突起60cが軌道片13の上面に突出する。この突出した係止突起60cによって自動車玩具1が停車させられる。
【0042】
《回転昇降装置70》
図14は、回転昇降装置70を示す図である。
筐体71の上には回転テーブル72が設けられ、回転テーブル72の上には軌道片14が設けられている。回転テーブル72の中心には回転軸78が垂設され、回転軸78は筐体71内に延び、下端部に可動支持体73が取り付けられている。可動支持体73は、回転軸78を回転可能に支持し、回転軸78と一体的に昇降可能に構成されている。
回転昇降装置70は、ハンドル4の操作によって作動する巻取り機構70aと、巻取り機構70aの動力によって作動する螺旋機構70bとを備える。
【0043】
図15は、ハンドル4及びその周辺を示す斜視図である。
巻取り機構70aは、ハンドル4の操作により紐75を通じて可動支持体73を上動させるものである。ハンドル4は、ハンドル4の軸4aに付設された歯車4bと、紐75を巻き取るリール74の軸74aに付設された歯車74bとを介して、リール74に連結されている。なお、ハンドル4とリール74との間には図示しないワンウェイクラッチが設けられている。
リール74から引き出された紐75は下方から筐体71内に導かれている。そして、筐体71内においては、紐75は、上部に設けられた滑車(定滑車)76に巻き掛けられ、他端が可動支持体73に結ばれ、ハンドル4の操作により可動支持体73を上昇させる。なお、可動支持体73は、図示しないコイルばねによって下方に付勢されているが、自重によって下降するものであれば、コイルばねは不要である。
【0044】
回転軸78の外周には、軸心方向に沿って延びる螺旋溝78bが形成されている。また、回転軸78の外周には、溝78bの上端に連設され軸線方向に延びる直線溝78cが形成されている。
回転軸78は、図16に示すように、固定の係合部材77の挿通孔77aに挿通され、挿通孔77aの内面の突起77bが溝78b,78cのいずれかと係合している。
螺旋機構70bは、ハンドル4を操作し可動支持体73ひいては回転軸78が上昇したとき、溝78bと突起77bとの係合により、回転軸78を回転させる。これにより、回転テーブル72がその場で螺旋状に動作しながらせり上がる。
なお、初期位置では、直線溝78cと突起77bとが係合しているので、回転軸78が上昇するときに、回転テーブル72が回転せずに垂直に上昇する。
また、回転テーブル72は、ハンドル4から手を離したとき、自重と可動支持体73に働くばねの付勢力とによって逆の動作をして螺旋運動しながら初期位置に戻る。初期位置戻る直前からは、直前溝78cと突起77bとが係合するので,回転テーブル72は、真っ直ぐに下降する。
【0045】
《押出し構造80》
図17及び図18は、押出し構造80の作用を説明するための平面図である。
回転テーブル72が下降している状態では、ストッパ60の係止突起60cが軌道片13の上面から没している。そのため、軌道片14には、走行させる自動車玩具1の全長の違いから次の自動車玩具1の前部が軌道片14に進入してしまう場合がある。この状態で、回転テーブル72を上昇させると、次の自動車玩具1が振り落とされたりする危険性がある。
そこで、回転テーブル72には、軌道片14の上流側の脇に回転に伴って外面の動径が増すような平面視弓状の摺接壁81が設けられている。
この摺接壁81の外面は、回転テーブル72が下降位置から垂直に上昇し、ストッパ60の係止突起60cが次の自動車玩具1の前部を持ち上げた後、回転テーブル72が回転を始めたときに当該自動車玩具1の前部に摺接し始める。そして、回転テーブル72の回転に伴って当該自動車玩具1を押し戻す。押し戻した当該自動車玩具1はストッパ60によって止められる。
【0046】
《排出構造90》
図19は、自動車玩具1の排出構造を示す分解斜視図である。
軌道片14は、載置される自動車玩具1の前部側で軸14bを介して軸支されており、軸14bを中心に上下に回動できるようになっている。この軌道片14の床下には、軸91aを中心に回動可能で軌道片14の床の傾斜角度を変更する角度変更レバー91が設けられている。角度変更レバー91の一端側には楔状のカム91bが設けられ、他端側には突片91cが形成されている。カム91bは軌道片14の下面の突起(図示せず)に当接されており、角度変更レバー91の回動角度によって軌道片14の床の傾斜角度が変更されるように構成されている。
具体的には、角度変更レバー91は、図示しないコイルばねによって付勢され、常態では突片91cは、軌道片14の床を、載置される自動車玩具1の後部側に向けて下り勾配に維持する位置にある。そして、軌道片14が上動して軌道片15に合致する直前に軌道片15の台座15aに付設された突起15bに突片91cが当たり、角度変更レバー91が回動する。これにより、軌道片14は、軸14bを中心に回動し、載置される自動車玩具1の前部側に向けて下り勾配となり、軌道片14が上動して軌道片15に合致したときに自動車玩具1が軌道片15の上に排出される。
【0047】
《変形例》
上記実施形態では、螺旋機構70bにおいて、回転軸78に溝78b,78cを設け、固定側の係合部材77の突起73bと係合させたが、回転軸78に突起を固体側の係合部材77に螺旋状の溝や直線状の溝を設けてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、螺旋機構20bにおいて、回転軸11aに直線状の溝11bを形成し、壁28に螺旋状のスロープ28aを形成したが、回転軸11aを取り囲む筒体を設け、筒体に螺旋状の溝を形成し、これを軌道片11に設けた突起に係合させるようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、自動車玩具1を走行する軌道玩具100について説明したが、ボールその他の物品を搬送や移動等する玩具にも応用できる。
【0050】
さらに、上記実施形態では、回転軸11a,78を鉛直方向に延在するように設けたが、水平或いは傾斜して、軌道片を水平方向或いは斜め方向に移動させるようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、回転軸78の螺旋溝78bの上端に直線溝78cを連設したが、下端にも直線溝を連設してもよい。直線溝を設ければ、例えば、隣の軌道片との位置合わせを確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0052】
1 自動車玩具
2 ボタン
3 摘み
4 ハンドル
5 グリップ
11~17 軌道片
11a 回転軸
20 回転昇降装置
20a 回転機構
20b 螺旋機構
23~26 歯車
28 壁
28a スロープ
40 跳上げ装置
70 回転昇降装置
70a 巻取り機構
70b 螺旋機構
78 回転軸
100 軌道玩具
【要約】
【課題】行き帰りで動作部品を回転させながら移動させることができる新たな玩具を提供すること。
【手段】軸方向移動可能となるように動作部品が取り付けられた回転軸と、前記回転軸の外周の少なくとも一部を囲み前記回転軸に軸方向に延在する螺旋状の第1の係合部を有する壁と、を備え、前記動作部品には、前記係合部と係合する第2の係合部が形成され、前記第2の係合部を前記第1の係合部に倣わせて動作させることにより、前記動作部品に螺旋運動をさせる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19