(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】人工皮膚
(51)【国際特許分類】
A61F 2/10 20060101AFI20220307BHJP
A61L 27/60 20060101ALI20220307BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
A61F2/10
A61L27/60
G01N21/17 620
G01N21/17 A
(21)【出願番号】P 2021500303
(86)(22)【出願日】2019-07-05
(86)【国際出願番号】 FI2019050526
(87)【国際公開番号】W WO2020012064
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-01-25
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】315002955
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】シャー シュレーヤス
(72)【発明者】
【氏名】ジェン ミンデ
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-058498(JP,A)
【文献】国際公開第2017/143229(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106344212(CN,A)
【文献】米国特許第05665391(US,A)
【文献】国際公開第2014/208525(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/10
A61L 27/60
G01N 21/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工皮膚の少なくとも一部と、
人工皮膚の前記少なくとも一部内に分散された複数のセンサーと、
を備える装置であって、前記複数のセンサーは、パラメータに暴露されると変化させられるように構成された少なくとも1つの物理的特性を有し、前記変化は外部検出器で検出され得る、装置。
【請求項2】
人工皮膚の前記少なくとも一部を覆うように設けられた保護面を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記保護面が前記複数のセンサーと前記外部検出器の間のインターフェースを提供する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
人工皮膚の前記少なくとも一部が、対象の皮膚と一体化するように構成される、請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
人工皮膚の前記少なくとも一部が、対象の創傷を覆うように構成される、請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
人工皮膚の前記少なくとも一部が、対象の損傷皮膚の形状に適合するように構成される、請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
人工皮膚の前記少なくとも一部が、前記複数のセンサーを支持するように構成された皮膚組織のマトリックスを含む、請求項1から6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記複数のセンサーが機能粒子を含む、請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記機能粒子の少なくとも1個は化学物質に結合するように構成され、ここで前記結合は、前記機能粒子の物理的特性を変化させる、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記機能粒子の直径が100マイクロメートル未満である、請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
前記装置が複数の異なるタイプのセンサーを備え、前記異なるタイプのセンサーが異なるパラメータを検出するように構成される、及び/又は前記異なるタイプのセンサーが異なる形状を有する、請求項1から10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記複数のセンサーで検出される前記パラメータが、グルコースレベル、細菌、温度、pHレベル、化学物質、水分、酸素化レベルのうちの少なくとも1つを含む、請求項1から11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
変化させられる前記複数のセンサーの物理的特性が、光学的性質、前記センサーのサイズのうちの少なくとも1つを含む、請求項1から12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記外部検出器が光干渉断層法検出器を含む、請求項1から13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の装置と前記センサーの物理的特性の変化を検出するように構成された検出器とを備える、検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例は、人工皮膚に関する。一部は、対象の生物学的パラメータを感知するのに使用することができる人工皮膚に関する。
【背景】
【0002】
人工皮膚は、創傷又は対象の皮膚の他の損傷を覆うために使用することができる。人工皮膚を対象の皮膚に適用すると、適用された人工皮膚の表面下の状態を判断することが困難である。これは、創傷がどのように治癒しているかの判断を困難にし得る。
【概要】
【0003】
本開示の必ずしもすべてではないが一部の例によれば、人工皮膚の少なくとも一部と人工皮膚の少なくとも一部内に分散された複数のセンサーとを備える装置を提供することができ、前記複数のセンサーは、パラメータに暴露されると変化させられるように構成された少なくとも1つの物理的特性を有する。前記変化は外部検出器で検出され得る。
【0004】
前記装置は、人工皮膚の少なくとも一部を覆うように設けられた保護面を備えることができる。保護面は、複数のセンサーと外部検出器の間のインターフェースを提供する。
【0005】
人工皮膚の少なくとも一部は、対象の皮膚と一体化するように構成することができる。
【0006】
人工皮膚の少なくとも一部は、対象の創傷を覆うように構成することができる。
【0007】
人工皮膚の少なくとも一部は、対象の損傷皮膚の形状に適合するように構成することができる。
【0008】
人工皮膚の少なくとも一部は、複数のセンサーを支持するように構成された皮膚組織のマトリックスを含むことができる。
【0009】
前記複数のセンサーは、機能粒子を含むことができる。
【0010】
前記機能粒子の少なくとも1個は化学物質に結合するように構成される。前記結合は、機能粒子の物理的特性を変化させる。
【0011】
機能粒子は、直径が100マイクロメートル未満とすることができる。
【0012】
前記装置は複数の異なるタイプのセンサーを備えることができ、これら異なるタイプのセンサーは異なるパラメータを検出するように構成されてもよい。前記装置は、複数の異なるタイプのセンサーを備えることができ、これら異なるタイプのセンサーは異なる形状を有してもよい。
【0013】
複数のセンサーで検出されるパラメータは、グルコースレベル、細菌、温度、pHレベル、化学物質、水分、酸素化レベルのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0014】
変化する複数のセンサーの物理的特性は、光学的性質、センサーのサイズのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0015】
前記外部検出器は、光干渉断層法検出器を含むことができる。
【0016】
本開示の必ずしもすべてではないが一部の例によれば、前記装置と、センサーの物理的特性の変化を検出するように構成された検出器とを備える検出システムを提供することができる。
【0017】
以下、幾つかの例示的実施形態を添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【詳細説明】
【0019】
図は、人工皮膚103の少なくとも一部と人工皮膚103の少なくとも一部内に分散された複数のセンサー105とを備える装置101を示す。複数のセンサー105は、複数のセンサー105がパラメータに暴露されると変化するように構成された少なくとも1つの物理的特性を有する。物理的特性は、センサー105の光学的性質とすることができる。例えば、それは、センサー105が光と相互作用する仕方とすることができる。別の実施例においては、物理的特性は、センサー105のサイズ及び/又は形状とすることができる。
【0020】
パラメータへの暴露に起因する物理的特性の変化は外部検出器で検出することができる。外部検出器は、装置101とは分離した装置とすることができる。例えば、外部検出器は、異なるセンサー105の性質を検出することができるように、対象の体の異なる部分の周囲を移動させることができる走査装置とすることができる。
【0021】
これは、人工皮膚103の一部を使用してパラメータを検出及びモニター可能にする技術的効果を提供する。パラメータのこの検出によって、皮膚内の状態を内部でモニターすることができる。
【0022】
装置101は、皮膚移植片として使用することができる。
【0023】
図1は、本開示の実施例に係る装置例101を示す。装置101は、人工皮膚103の一部と人工皮膚103内に分散された複数のセンサー105とを備える。装置101は、
図1に示されていない追加の成分を備え得ることを理解されたい。例えば、一部の実施例においては、装置101は、人工皮膚103を覆う保護面又は任意の他の適切な追加の成分を備えることができる。
【0024】
人工皮膚103は、対象の皮膚の置換部分として使用することができる任意の適切な材料を含む。人工皮膚103は、対象の創傷又は損傷皮膚の他の領域を覆うように構成することができる。一部の実施例においては、人工皮膚103は、例えば生検又は他のプロセスの一部として、対象の皮膚に挿入されるように構成することができる。一部の実施例においては、人工皮膚103は、一部の健康な皮膚を人工皮膚103で置換するように対象の皮膚に挿入されるように構成することができる。
【0025】
人工皮膚103は、可撓性材料を含むことができる。人工皮膚103は、装置101が対象に取り付けられたときに、人工皮膚103が対象の既存の皮膚に適合するように可撓性とすることができる。人工皮膚103は、対象の皮膚の一部を形成するときに、人工皮膚が必要に応じて屈曲及び/又は伸長できるように可撓性とすることができる。
【0026】
人工皮膚103は、軟質材料を含むことができる。人工皮膚103は、機械的な力が対象によって人工皮膚103に加えられたときに変形するように柔軟にすることができる。例えば、人工皮膚103は、対象が動いて人工皮膚103を屈曲又は収縮させることによって機械的応力が加えられたときに変形するように十分柔軟にすることができる。この変形は、任意の損傷皮膚を保護するのに役立つことができ、人工皮膚103の下にある、又は人工皮膚103と接触した、任意の損傷皮膚に機械的応力が加えられるのを防止することができる。
【0027】
図1の実施例では、示した人工皮膚103の部分はほぼ矩形である。人工皮膚103は、本開示の実施例では任意の適切な形状を有し得ることを理解されたい。例えば、人工皮膚103の部分は、装置101を使用して覆われる皮膚の損傷域に対応する形状を有するように形成することができる。こうした実施例では、人工皮膚103は、3次元プリンタ又は他の適切な手段を用いて、皮膚の損傷域に対応する形状を有するように印刷することができる。皮膚の損傷域に対応する形状は、損傷皮膚の任意の欠損部を埋める又はほぼ埋める形状とすることができる。皮膚の損傷域に対応する形状は、皮膚の損傷域の全て又はほぼ全てを覆う形状とすることができる。
【0028】
人工皮膚103の部分は、対象の皮膚と一体化するように構成することができる。装置の使用時には、人工皮膚が対象の既存の皮膚に直接接触するように、人工皮膚103を対象の皮膚に適用することができる。人工皮膚103の部分は、対象の皮膚上に残り、対象の皮膚と一体化して対象の皮膚の一部を形成するように構成することができる。一部の実施例においては、人工皮膚103の部分は、対象の皮膚と細胞レベルで一体化することができる。例えば、装置101が損失又は損傷皮膚を置換するために使用される場合、人工皮膚103は、損傷皮膚が治癒した後でも、対象の皮膚の一部を形成するように残ることができる。人工皮膚103は、対象の皮膚から除去される必要はない。
【0029】
人工皮膚103は、対象の皮膚の一部を置換する保護層を与えるように構成することができる。保護層は、創傷の治癒に影響を及ぼし得る細菌及び他の因子に対して不透過性又は少なくとも部分的に不透過性とすることができる。保護層は、細菌などの因子が人工皮膚103の下の対象の体と接触するのを防止することができる。一部の実施例においては、人工皮膚103は、損傷皮膚の回復を促進するように、損傷皮膚の領域内の水分バランスを可能にするように構成することができる。一部の実施例においては、人工皮膚103は、損傷皮膚の回復を最適化又は実質的に最適化するように、損傷皮膚の領域内の水分バランスを可能にするように構成することができる。
【0030】
人工皮膚103は、合成材料及び/又は生物学的材料を含むことができる。合成材料は、ポリマー材料を含むことができる。合成材料は、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(ラクチド-コ-グリコール酸)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(3-ヒドロキシブチラート-コ-3-ヒドロキシバレラート)又は任意の他の適切な材料若しくは材料の組合せを含むことができる。
【0031】
生物学的材料は、一部の生物において天然に存在する任意の材料を含むことができる。一部の実施例においては、生物学的材料は、キトサン、コラーゲン、アルギナート、デキストラン、ゼラチン、フィブリン、アルブミン、グリコサミノグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、ヒアルロナン、線維芽細胞、幹細胞などの生体細胞、又は任意の他の適切な材料若しくは材料の組合せを含むことができる。
【0032】
人工皮膚103を形成するために使用される材料は、複数のセンサー105を支持するために使用することができる皮膚組織のマトリックスを含むことができる。マトリックスは、人工皮膚103に使用される材料のポリマーフィルム、ヒドロゲル又は繊維ストランドから形成することができる。
【0033】
複数のセンサー105は、人工皮膚103全体に分散される。複数のセンサー105は、人工皮膚103によって形成されるマトリックスによって支持することができる。一部の実施例においては、複数のセンサー105は、人工皮膚103全体に均一に分布することができる。一部の実施例においては、センサー105の少なくとも一部は、人工皮膚103内に完全に包埋される。センサー105は、人工皮膚103内に完全に包埋されると、センサー105の一部が露出しないように、人工皮膚103の材料で完全に包囲される。センサー105は、人工皮膚103内に完全に包埋されると、装置101の外面の一部を形成しない。これにより、センサー105は、外部パラメータではなく、対象の皮膚内のパラメータを確実に検出することができる。
【0034】
複数のセンサー105は、物理的特性の変化が遠隔検出器で検出できるように、センサー105がパラメータに暴露されたときに変化する物理的特性を有し得る任意の手段を含むことができる。変化する物理的特性は、光学的性質を含むことができる。光学的性質は、センサー105が光又は他の電磁放射と相互作用する方法を規定する性質とすることができる。例えば、光学的性質は、センサー105の屈折率、スペクトル応答、又は任意の他の適切な性質とすることができる。
【0035】
センサー105の光学的性質は、適切な波長の光で装置101を探索することによって検出することができる性質とすることができる。例えば、センサー105の屈折率の変化は、光を装置101に誘導することによって測定することができる。一部の実施例においては、センサー105のスペクトル又は分光学的変化は、光を装置101に誘導することによって測定することができる。装置101を探索するために使用される光は、可視光、赤外線又は任意の他の適切な波長の光とすることができる。
【0036】
一部の実施例においては、検出されるセンサー105の物理的特性は、センサー105のサイズ及び/又は形状とすることができる。センサー105のサイズ及び/又は形状は、装置101を適切な波長の光で探索することによって検出することができる。これにより、センサー105の画像を得ることができ、それを使用してセンサー105のサイズ及び/又は形状の変化を検出することができる。
【0037】
一部の実施例においては、センサー105は、機能粒子を含むことができる。センサー105は、粒子の物理的特性がパラメータに応じて変化するように機能化することができる。粒子の機能化は、パラメータが検出されると化学物質が物理的特性の変化を引き起こすように、化学物質の添加を含むことができる。
【0038】
機能粒子は、任意の適切なサイズとすることができる。機能粒子は、それらを人工皮膚103の一部全体に分布可能にするサイズを有することができる。機能粒子は、それらが光干渉断層法又は他の適切な画像化技術を用いて得られた画像で見ることができるようなサイズを有することができる。一部の実施例においては、機能粒子は直径が100マイクロメートル未満とすることができる。一部の実施例においては、機能粒子は500ナノメートルを超える直径を有することができる。
【0039】
図1に示す実施例では、複数のセンサー105は、すべて同じタイプ又は類似タイプである。すなわち、複数のセンサー105の各々は類似のサイズ及び形状であり、複数のセンサー105の各々は、1個又は複数の同じパラメータを検出するように構成される。本開示の他の実施例においては、装置101が複数の異なるタイプのセンサー105を含むことができることを理解されたい。異なるタイプのセンサー105は、異なるサイズ又は形状を有することができる。一部の実施例においては、異なるタイプのセンサー105は、異なるパラメータを検出するように構成することができる。一部の実施例においては、異なるタイプのセンサー105は、同じパラメータに対して異なるレベルの感度を有するように構成することができる。
【0040】
センサー105は、任意の適切なパラメータを検出するように構成することができる。センサー105で検出されるパラメータは、内部パラメータとすることができる。内部パラメータは、対象の皮膚内に見られるパラメータとすることができる。複数のセンサーで検出されるパラメータは、グルコースレベル、細菌、温度、pHレベル、化学分子、水分、酸素化レベル、又は任意の他の適切なパラメータのうちの少なくとも1つを含む。化学物質は、タンパク質、薬物代謝産物、又は任意の他の適切なパラメータを含むことができる。パラメータは、創傷又は他の損傷皮膚がどのように治癒しているかの指標を与えることができる。一部の実施例においては、パラメータは、対象のより長期の状態の指標を与えることができる。例えば、血糖値の測定は、創傷治癒過程とは無関係に対象の健康の指標を与えることができる。
【0041】
センサー105は、任意の適切な材料を含むことができる。例えば、センサー105は、金、銀、シリカ、チタニア、シリコーン、セラミック、ガラス、酸化鉄、任意の他の適切な材料などの無機材料を含むことができる。一部の実施例においては、センサー105は、キトサン、コラーゲン、アルギナート、デキストラン、ゼラチン、フィブリン、アルブミン、グリコサミノグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、ヒアルロナン、線維芽細胞、幹細胞などの生体細胞、任意の他の適切な材料又は材料の組合せなどの生物学的材料を含むことができる。一部の実施例においては、センサー105は、合成材料であるポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(ラクチド-コ-グリコール酸)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(3-ヒドロキシブチラート-コ-3-ヒドロキシバレラート)又は任意の他の適切な材料若しくは材料の組合せを含むことができる。センサー105に使用される材料は、パラメータに対するセンサー105の親和性を高めるように機能化することができる。
【0042】
外部検出器は、センサー105の物理的特性の変化を検出するように構成することができる任意の手段を含むことができる。一部の実施例においては、外部検出器は、光干渉断層法検出器などの光学検出器、又は他の適切な検出器を含むことができる。光学検出器は、装置101を光信号で探索し、物理的特性に依存する出力を検出するように構成することができる任意の手段を備えることができる。光学検出器は、可視光、赤外光又は任意の他の適切な波長の光を使用することができる。
【0043】
外部検出器は、装置101又は使用者と物理的に連結されないように、装置101から離隔することができる。例えば、外部検出器は、装置101を対象の任意の適切な部分上で走査するために移動することができる可動スキャナを備えることができる。別の実施例では、検出器は病院又は他の適切な場所に設置することができ、対象は、検出器の近くに位置して装置101の探索を可能にすることができる。
【0044】
図2A~2Dは、本開示の実施例に係る装置例101の成分を示す。
【0045】
図2Aは、使用することができるセンサー例105を示す。
図2Aの実施例では、センサー105は機能粒子203を含む。
図2Aの実施例では、機能粒子203は球状粒子を含む。別の形状の粒子を別の実施例に使用できることを理解されたい。例えば、粒子は、細長い形状又は任意の適切な形状の繊維を含むことができる。
【0046】
機能粒子203は、選択されたサイズ及び/又は形状を有するように製造することができる。機能粒子203のサイズ及び/又は形状は、特定のパラメータの検出を容易にするように選択することができる。機能粒子203のサイズ及び/又は形状は、機能粒子203が特定のパラメータを検出することができる効率を向上させるように選択することができる。機能粒子203は、ボトムアップ化学合成、均質化、マイクロ流体工学及び/又は任意の他の適切なプロセスなどの任意の適切なプロセスを用いて製造することができる。
【0047】
機能粒子203は、特定の化学物質又は構造に対する機能粒子203の親和性を増加させるように機能化することができる。これにより、機能粒子203が別の化学物質に結合するのを容易にすることができる。一部の実施例においては、機能粒子203は、特定の化学物質に選択的に結合するように機能化することができる。これにより、センサー105の物理的特性の任意の変化を、選択された化学物質の存在に確実に帰することができる。一例として、センサー105は、グルコースレベルを検出するように意図することができる。こうした実施例においては、機能粒子203は、グルコースに可逆的に結合することができるフェニルボロン酸誘導体を含むように構成することができる。一部の実施例においては、機能粒子203は、標的核酸、タンパク質、ペプチド又は任意の他の適切なパラメータに可逆的に結合することができるアプタマーを含むように構成することができる。
【0048】
機能粒子203は、マイクロ粒子、ナノ粒子又は任意の他の適切なサイズの粒子を含むことができる。
【0049】
図2Aの実施例では、機能粒子203は、矢印201で示されるように、パラメータの存在下でサイズが増大するように構成される。このサイズの増大は、パラメータを増幅するものとして働き、パラメータの存在の定量化を可能にし得る。
【0050】
一部の実施例においては、機能粒子203のサイズの増大は、機能粒子203がパラメータに結合することに起因し得る。例えば、機能粒子203の化学物質は、機能粒子203のサイズを増大させる対応する化学物質を含むパラメータに結合することができる。一部の実施例においては、結合は、機能粒子203の形状も変化させ得る。
【0051】
一部の実施例においては、パラメータは、創傷治癒プロセスの進行の指標を提供することができる。例えば、パラメータは、細菌、温度、pHレベル、化学物質、水分、酸素化レベル、又は創傷の治癒につれて変化する任意の他のパラメータを含むことができる。一部の実施例においては、パラメータは、対象の全般的健康状態の指標とすることができる。例えば、グルコースレベル又は温度は、創傷治癒過程とは無関係に対象の健康状態の指標を与えることができる。
【0052】
図2Bは、複数のセンサー105が添加される前のある人工皮膚例103を示す。人工皮膚103は、複数のセンサー105を支持するために使用することができる皮膚組織のマトリックス205を含む。マトリックス205は、人工皮膚103に使用される材料の繊維ストランドから形成することができる。
【0053】
人工皮膚103は、対象の皮膚に適合するように構成することができる可撓性材料とすることができる。一部の実施例においては、人工皮膚103は、対象の皮膚に塗布することができるゲルとして提供することができる。一部の実施例においては、人工皮膚103は、対象の皮膚の特定の部分に適合するように、3次元印刷などのプロセスによって形成することができる。
【0054】
図2Cは、
図2Aに示されるような複数のセンサー105と
図2Bに示されるような人工皮膚103とから形成された装置例101を示す。装置101は、センサー105を人工皮膚103と組み合わせることによって形成することができる。任意の適切な方法を使用して、センサー105を人工皮膚103と組み合わせることができる。例えば、人工皮膚103がゲル又は液体から形成される場合、複数のセンサー105を人工皮膚103に混合することができる。
【0055】
皮膚103内に選択された密度のセンサー105が存在するように、複数のセンサー105を人工皮膚103と組み合わせることができる。センサー105の密度は、パラメータを適切に検出できるように選択することができる。一部の実施例においては、センサー105の密度は、検出されたパラメータを定量化できるように選択することができる。
【0056】
一部の実施例においては、複数のセンサー105は、人工皮膚103全体に均一に分布することができる。複数のセンサー105の均一な分布により、検出されたパラメータを定量化可能にすることができる。一部の実施例においては、複数のセンサー105の均一な分布によって、創傷の治癒についてのより詳細な情報又は他のバイオメトリックパラメータを入手可能にすることができる。
【0057】
図2Dは、使用時の装置例101を示す。この実施例では、装置101は、人工皮膚103の部分を覆うように設けられた保護面207も備える。保護面207は、装置101の外面を与えることができる。保護面207は、一部の粒子の保護面207通過を可能にするが、一部の他の粒子の通過を防止する部分透過膜を含むことができる。例えば、保護面207は、一部のガスの通過を可能にし得るが、膜を通した水分損失を防止するように構成することができる。
【0058】
図2Dの実施例では、保護面207は、装置101内の複数のセンサー105と外部検出器211の間のインターフェースを提供する。保護面207は、検出器211によって使用される任意の光又は他の探索手段に対して透過性とすることができる。一部の実施例においては、保護面207は部分透過性とすることができる。
【0059】
保護面207は、人工皮膚103を機械的に支持するように構成することもできる。保護面207は、保護面を含む装置101が対象の皮膚に適合可能になるように可撓性とすることができる。
【0060】
保護面207は、任意の適切な材料を含むことができる。一部の実施例においては、保護面207は、シリコーン系フィルム又は任意の他の適切な材料を含むことができる。
【0061】
図2Dの実施例では、装置101は、対象の腕209の皮膚に適用された。任意の適切な手段を使用して、装置101を対象の腕209に適用することができる。一部の実施例においては、人工皮膚103は、ゲル内に懸濁されたセンサー105を含むゲルとして形成することができる。次いで、ゲルを対象の皮膚の一部に塗布することができる。例えば、ゲルを損傷皮膚の創傷又は他の部分に塗布することができる。一部の実施例においては、人工皮膚103の部分は、対象の皮膚の特定の部分に適合するようなサイズ及び形状とすることができる。例えば、3次元印刷又は任意の他の適切な方法を使用して、特定の創傷に適合するようなサイズ及び形状である人工皮膚103の一部を形成することができる。
【0062】
図2Dの実施例では、検出器211を使用して、複数のセンサー105の物理的特性をモニターする。
図2Dの実施例では、検出器211は、装置101及び/又は対象の体の他の部分を走査することができる手持ちのスキャナを備える。別の実施例では、検出器は、病院、研究室などの環境に配置することができる固定検出器とすることができる。次いで、対象は、検出器211の近くに位置して、センサー105の物理的特性をモニター可能にすることができる。
【0063】
一部の実施例においては、検出器211を光学検出器とすることができる。これにより、センサー105の光学的性質を検出可能にすることができる。検出器211は、センサー105が入力光線と相互作用する方法で変化を検出することができる。一部の実施例においては、検出器は、後方散乱光及び/又は反射光を検出するように構成された光干渉断層法検出器とすることができる。これを使用して、センサー105のサイズ及び/又は形状の変化を検出することができる。例えば、光干渉断層法は、パラメータの存在に起因する機能粒子203のサイズ又は形状の変化を検出するように構成される。
【0064】
検出器211が光学検出器を含む実施例では、これにより、光線又は別のタイプの電磁放射線を使用してセンサー105の物理的特性をモニターすることができる。これにより、センサー105への電気的接続を必要とせずに、又は電極や他の連結装置を対象の皮膚に付加する必要なく、センサー105の物理的特性をモニター可能にすることができる。
【0065】
したがって、
図2A及び
図2Dに示す実施例は、対象の皮膚内のパラメータをモニター可能にする人工皮膚103を含む装置101を提供する。
【0066】
図2A~2Dに示す実施例では、センサー105の物理的特性の変化は、センサー105がパラメータに結合することによって生じる。他のプロセスが本開示の他の実施例における変化を引き起こし得ることを理解されたい。例えば、一部の実施例においては、機能粒子203の光学的性質又は他の物理的特性の変化を引き起こし得る機能粒子203内の化学物質の酸化又は還元が存在し得る。
【0067】
さらに、
図2A~2Dに示す実施例では、複数のセンサー105は、人工皮膚103を通して均一な分布を有する。他の実施例では、分布は均一である必要はない。例えば、装置101が3次元印刷などのプロセスによって形成された場合、選択された密度の選択されたタイプのセンサーが装置101内の異なる位置に設置されるようにプロセスを制御することができる。これにより、異なる密度の異なるタイプのセンサー105を同じ装置101内に設置可能にすることができる。
【0068】
図3は、装置例101と検出器211とを含むシステム301を示す。装置例101は、人工皮膚103の少なくとも一部、人工皮膚103内に分散された複数のセンサー105、及び人工皮膚103を覆う保護層207を備える。検出器211は、手持ちの光学検出器又は任意の他の適切なタイプの検出器とすることができる。検出部211は、センサー105の物理的特性の変化を検出するように構成される。
【0069】
図3の実施例では、装置101は、創傷305を覆うように設けられる。装置101は、創傷305を完全に覆うように配置される。
図3の実施例では、装置101は、装置101の人工皮膚103が創傷305を囲む無傷の皮膚303と接触するように配置される。これにより、人工皮膚103を無傷の皮膚303と細胞一体化可能にすることができる。
【0070】
図3の実施例では、センサー105は、センサー105の光学的性質の変化を生じるようにパラメータと相互作用する。
図3の実施例では、変化は、センサーによって吸収される光の波長の変化とすることができる。次いで、光の吸収のこの変化は、検出器211で検出される光の相対強度の変化を生じる。プロット313は、センサー105の物理的特性が変化すると、検出器211で検出される光の強度がどのように変化し得るかを示す。検出される光の波長は、分光分析又は任意の他の適切な手段を用いて測定することができる。検出器211の出力は、したがって、創傷305内のパラメータの存在の指標を与えることができる。
【0071】
図4A及び
図4Bは、本開示の一部の実施例に使用することができるセンサー例105を示す。
図4Aは、パラメータに暴露される前のセンサー105を示し、
図4Bは、パラメータに暴露された後のセンサー105を示す。
【0072】
図4A及び
図4Bの実施例では、センサー105は、パラメータへの暴露によって劣化する。パラメータは、対象の皮膚に存在する化学物質とすることができる。パラメータは、創傷に存在する化学物質とすることができる。他のパラメータを本開示の他の実施例で使用することができる。
【0073】
図4A及び4Bの実施例においては、センサー105は、細長いマイクロ粒子401を含む。細長いマイクロ粒子401は、直径が100マイクロメートルのオーダーである。一部の実施例においては、細長いマイクロ粒子401は、マイクロファイバーを与えることができる。
【0074】
細長いマイクロ粒子401がパラメータに暴露される前には、細長いマイクロ粒子401は明確に画定された縁を有する。明確に画定された縁を
図4Aに示す。細長いマイクロ粒子401がパラメータに暴露された後では、縁は劣化してもはや明確に画定されない。この劣化した細長いマイクロ粒子401を
図4Bに示す。細長いマイクロ粒子401の縁が劣化すると、細長いマイクロ粒子401の形状が変化する。この形状変化は、光干渉断層法検出器などの検出器211で検出することができる。
【0075】
細長いマイクロ粒子401の縁の劣化は、細長いマイクロ粒子401によって吸収される波長の光の屈折率などのセンサー105の他の物理的特性の変化も引き起こし得る。これらの変化は、光学検出器又は任意の他の適切な手段で検出することができる。
【0076】
図5A及び
図5Bは、本開示の一部の実施例に使用することができる別のセンサー例105を示す。
図5Aは、パラメータに暴露される前のセンサー105を示し、
図5Bは、パラメータに暴露された後のセンサー105を示す。
【0077】
図5A及び
図5Bの実施例では、センサー105は、パラメータへの暴露によって劣化する。パラメータは、対象の皮膚に存在する化学物質とすることができる。パラメータは、創傷に存在する化学物質とすることができる。他のパラメータを本開示の他の実施例で使用することができる。
【0078】
図5A及び5Bの実施例においては、センサー105は、ほぼ球状のマイクロ粒子501を含む。
図5A及び
図5Bは、ほぼ球状のマイクロ粒子501の断面を示す。ほぼ球状のマイクロ粒子501は、直径が20マイクロメートルのオーダーである。
【0079】
ほぼ球状のマイクロ粒子501がパラメータに暴露される前には、ほぼ球状のマイクロ粒子501は、明確に画定された縁を有する。明確に画定された縁を
図5Aに示す。ほぼ球状のマイクロ粒子501がパラメータに暴露された後では、縁は劣化してもはや明確に画定されない。この劣化したほぼ球状のマイクロ粒子501を
図5Bに示す。ほぼ球状のマイクロ粒子501の縁が劣化すると、ほぼ球状のマイクロ粒子501の形状が変化する。この形状変化は、光干渉断層法検出器などの検出器211で検出することができる。
【0080】
ほぼ球状のマイクロ粒子501の縁の劣化は、ほぼ球状のマイクロ粒子501によって吸収される波長の光の屈折率などのセンサー105の他の物理的特性の変化も引き起こし得る。これらの変化は、光学検出器又は任意の他の適切な手段で検出することができる。
【0081】
図6A及び
図6Bは、本開示の一部の実施例に使用することができる別のセンサー例105を示す。
図6Aは、パラメータに暴露される前のセンサー105を示し、
図6Bは、パラメータに暴露された後のセンサー105を示す。
【0082】
図6A及び6Bの実施例では、センサー105がパラメータへの暴露によって変化して、人工皮膚103に対するセンサー105のコントラストが変化する。パラメータは、対象の皮膚に存在する化学物質とすることができる。パラメータは、創傷に存在する化学物質とすることができる。他のパラメータを本開示の他の実施例で使用することができる。
【0083】
図6A及び6Bの実施例においては、センサー105は、ほぼ球状のマイクロ粒子601を含む。ほぼ球状のマイクロ粒子601は、任意の適切なサイズの直径を有することができる。
【0084】
ほぼ球状のマイクロ粒子601がパラメータに暴露される前には、ほぼ球状のマイクロ粒子601は、
図6Aに示されるように、周囲の物質と強いコントラストを示す明確に画定された縁を有する。ほぼ球状のマイクロ粒子601がパラメータに暴露された後では、縁は変化して、もはや明確に画定されず、周囲の物質とのコントラストが弱くなる。この劣化したほぼ球状のマイクロ粒子601を
図6Bに示す。ほぼ球状のマイクロ粒子601と周囲の物質のコントラストの変化は、光干渉断層法検出器などの検出器211又は任意の他の適切な手段で検出することができる。
【0085】
本開示の実施例は、使用者の皮膚の内部モニタリングを可能にする人工皮膚103を含む装置101を提供する。バイオメトリックマーカー又は他のパラメータをモニターするセンサー105が人工皮膚103内に分散しているので、これにより、人工皮膚103を邪魔することなくパラメータを直接モニターすることができる。これにより、創傷を非侵襲的にモニターすることができる。例えば、装置101の下の創傷をモニターするために人工皮膚103を除去する必要がない。
【0086】
一部の実施例においては、装置101を使用して、創傷治癒に関連しない対象の他のバイオメトリックマーカーをモニターすることができる。例えば、装置101を使用して、グルコースレベル又は任意の他の適切なパラメータをモニターすることができる。これにより、対象の健康状態を長期間モニターすることができる。長期モニタリングの側面は、数週間、数ヶ月又はそれ以上の期間を網羅するように構成することができる。
【0087】
センサー105が人工皮膚103内に分布するので、これにより、使用者のパラメータをモニターする軽量でコンパクトな方法が提供される。装置例101は、パラメータをモニター可能にするために、使用者に接続される追加のコネクタや電極を必要としない。
【0088】
「含む」又は「備える」という用語は、本文書では排他的意味ではなく包括的意味で使用される。すなわち、Yを含む又は備えるXという表記は、Xがただ1つのYを含み若しくは備え得る、又は1つを超えるYを含み若しくは備え得ることを示す。排他的意味で「含む」又は「備える」を使用することが意図される場合には、文脈における「ただ1つの...を含む又は備える」という表記又は「からなる」の使用によって明確になるであろう。
【0089】
本明細書では、様々な実施例を参照した。実施例に関連する特徴又は機能の説明は、それらの特徴又は機能が該実施例中に存在することを示している。本文における「例」又は「例えば」又は「することができる」又は「してもよい」という用語の使用は、明示的であろうとなかろうと、こうした特徴又は機能が、例として記述されていてもいなくても、少なくとも記述例中に存在することを示し、それらが一部又はすべての他の例に存在する可能性があるが、必ずしも存在するとは限らないことを示す。したがって、「例」、「例えば」、「することができる」又は「してもよい」とは、1つのクラスの例のうち特定の実例を指す。実例の性質は、該実例のみの性質、該クラスの性質、又は該クラスの実例の全部ではないが一部を含む該クラスのサブクラスの性質であり得る。したがって、ある実施例を参照し、別の実施例を参照せずに記述される特徴は、可能であれば、該別の実施例において実施組合せの一部として使用され得るが、必ずしも該別の実施例で使用される必要はないことが暗示される。
【0090】
実施形態をこれまでの段落で様々な実施例を参照して記述したが、特許請求の範囲から逸脱することなく該実施例を改変できることが理解されるはずである。
【0091】
前述の説明に記載の特徴は、上で明示した組合せ以外の組合せに使用することができる。
【0092】
異なる実施形態からの特徴(例えば、異なるフローチャートを有する異なる方法)を組み合わせ得ることが明示される。
【0093】
機能を特定の特徴を参照して記述したが、これらの機能を、記述の有無にかかわらず、他の特徴によって実施することができる。
【0094】
特徴を特定の実施形態を参照して記述したが、これらの特徴は、記述の有無にかかわらず、他の実施形態にも存在し得る。
【0095】
「a」又は「the」という用語は、本文書では排他的意味ではなく包括的意味で使用される。すなわち、a/the Yを含むXという表記は、文脈がそれに反することを明示しない限り、Xがただ1つのYを含み得る、又は1つを超えるYを含み得ることを示す。「a」又は「the」を排他的意味で使用することが意図される場合には、その文脈で明確にされるであろう。状況によっては、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」の使用は、包括的意味を強調するために使用されることもあるが、これらの用語がないことをもって排他的意味を推論するものと解釈すべきではない。
【0096】
特許請求の範囲における特徴(又は特徴の組合せ)の存在は、該特徴(又は特徴の組合せ)自体に言及するものであり、実質的に同じ技術的効果を達成する特徴(等価な特徴)にも言及するものである。等価な特徴としては、例えば、変形であって実質的に同じ方法で実質的に同じ結果を達成する特徴が挙げられる。等価な特徴としては、例えば、実質的に同じ機能を実質的に同じ方法で実行して実質的に同じ結果を達成する特徴が挙げられる。
【0097】
本明細書では、様々な実施例を形容詞や形容詞句を用いて参照して、実施例の特性を記述した。実施例に関連する特性のこうした記述は、該特性が一部の実施例においてはまさに記述されたように存在し、他の実施例においては実質的に記述されたように存在することを示す。
【0098】
本文における「例」又は「例えば」又は「することができる」又は「してもよい」という用語の使用は、明示的であろうとなかろうと、こうした特徴又は機能が、例として記述されていてもいなくても、少なくとも記述例中に存在することを示し、それらが一部又はすべての他の例に存在する可能性があるが、必ずしも存在するとは限らないことを示す。したがって、「例」、「例えば」、「することができる」又は「してもよい」とは、1つのクラスの例のうち特定の実例を指す。実例の性質は、該実例のみの性質、該クラスの性質、又は該クラスの実例の全部ではないが一部を含む該クラスのサブクラスの性質であり得る。したがって、ある実施例を参照し、別の実施例を参照せずに記述される特徴は、可能であれば、該別の実施例において実施組合せの一部として使用され得るが、必ずしも該別の実施例で使用される必要はないことが暗示される。
【0099】
上記明細書においては重要であると考えられる特徴に注意を喚起しようと努力しているが、本出願人は、強調がなされたか否かにかかわらず、図面において上で参照された及び/又は示された任意の特許性がある特徴又は特徴の組合せに関して、特許請求の範囲による保護を求めることができることを理解すべきである。