(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】建具用合成樹脂プロファイル製品
(51)【国際特許分類】
E06B 3/96 20060101AFI20220307BHJP
E06B 1/26 20060101ALI20220307BHJP
E06B 1/34 20060101ALI20220307BHJP
E06B 3/20 20060101ALI20220307BHJP
B29C 65/20 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
E06B3/96 B
E06B3/96 Z
E06B1/26
E06B1/34
E06B3/20
B29C65/20
(21)【出願番号】P 2021522056
(86)(22)【出願日】2019-10-24
(86)【国際出願番号】 KR2019014102
(87)【国際公開番号】W WO2020171340
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】10-2019-0018657
(32)【優先日】2019-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】510244710
【氏名又は名称】エルエックス・ハウシス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジャ-ゴン・ク
(72)【発明者】
【氏名】ジェキョン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ヨンホ・ロ
(72)【発明者】
【氏名】セジン・キム
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-151816(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1907311(KR,B1)
【文献】独国特許出願公開第102006049780(DE,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1672089(KR,B1)
【文献】特開2016-160464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/96
E06B 1/26
E06B 1/34
E06B 3/20
B29C 65/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接部(20)を介して溶接された合成樹脂プロファイル(10)を含む建具用合成樹脂プロファイル製品であって、
前記溶接部(20)のラマンピーク比I
Degradation/I
C-Clが0.130以上である区間の幅は80μm以下である、建具用合成樹脂プロファイル製品(但し、前記I
Degradationは、PVC樹脂の熱分解時に現れるラマンピークの強度であり、前記I
C-Clは、PVC樹脂のC-Cl結合のラマンピークの強度であり、前記区間は、ラマン分光器(Renishaw、inVia reflex)を用いたラマンマッピングイメージ上で、ラマンピーク比I
Degradation/I
C-Clが0.130以上であるポイントが単位体積(5μm×100μm×100μm)内に2つ以上である領域を意味する)。
【請求項2】
前記溶接部(20)のラマンピーク比I
Degradation/I
C-Clが0.130以上である区間の幅は75μm以下である、請求項1に記載の建具用合成樹脂プロファイル製品(但し、前記区間は、ラマン分光器(Renishaw、inVia reflex)を用いたラマンマッピングイメージ上で、ラマンピーク比I
Degradation/I
C-Clが0.130以上であるポイントが単位体積(5μm×100μm×100μm)内に2つ以上である領域である)。
【請求項3】
前記溶接部(20)のラマンピーク比I
Degradation/I
C-Clが0.140以上である区間の幅は80μm以下である、請求項1に記載の建具用合成樹脂プロファイル製品(但し、前記区間は、ラマン分光器(Renishaw、inVia reflex)を用いたラマンマッピングイメージ上で、ラマンピーク比I
Degradation/I
C-Clが0.140以上であるポイントが単位体積(5μm×100μm×100μm)内に2つ以上である領域である)。
【請求項4】
前記溶接部(20)の溶接ライン(500)の幅は0.001~0.25mmであり、高さは0.001~0.15mmである、請求項1に記載の建具用合成樹脂プロファイル製品。
【請求項5】
前記溶接部(20)の溶接ライン(500)の幅は0.005~0.23mmであり、高さは0.005~0.13mmである、請求項1に記載の建具用合成樹脂プロファイル製品。
【請求項6】
前記溶接部(20)の溶接ライン(500)の幅は0.01~0.20mmであり、高さは0.01~0.10mmである、請求項1に記載の建具用合成樹脂プロファイル製品。
【請求項7】
前記合成樹脂プロファイル(10)は、本体(310)(320)と、前記本体(310)(320)の表面に付着された装飾シート(410)(420)とを含み、
前記装飾シート(410)(420)のうちの少なくともいずれか1つの端部が前記本体(310)(320)の内部に挿入された、請求項1に記載の建具用合成樹脂プロファイル製品。
【請求項8】
前記装飾シート(410)(420)の端部がいずれも前記本体(310)(320)の内部に挿入された、請求項7に記載の建具用合成樹脂プロファイル製品。
【請求項9】
前記装飾シート(410)(420)の端部は、それぞれ、前記本体(310)(320)の内部に同じ深さ又は異なる深さで挿入された、請求項8に記載の建具用合成樹脂プロファイル製品。
【請求項10】
前記装飾シート(410)(420)の少なくともいずれか1つの端部は、前記本体(310)(320)の上面から0.01~0.5mmの深さに挿入された、請求項7又は8に記載の建具用合成樹脂プロファイル製品。
【請求項11】
前記装飾シート(410)(420)の少なくともいずれか1つの端部は、前記本体(310)(320)の上面から0.01~0.45mmの深さに挿入された、請求項7又は8に記載の建具用合成樹脂プロファイル製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に使用される合成樹脂プロファイル製品に関し、より詳細には、溶接部の熱変性区間及び溶接ラインの大きさが最小化され、溶接後にも、合成樹脂プロファイル本体の表面に付着された装飾シートが強固に維持され得る建具用合成樹脂プロファイル製品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建具は、建築物の開口部に設置される窓枠及びこれに結合する障子で構成されるものであって、開閉方式に応じて開き戸、引き戸などに区分され、材質に応じて木材建具、合成樹脂建具、金属建具などに区分される。
【0003】
この中で合成樹脂建具の窓枠及び障子は、合成樹脂プロファイルP間の結合によって四角形のフレーム状に形成される(
図1参照)。
【0004】
この場合、一例として、前記合成樹脂プロファイルは、通常、PVC樹脂組成物で押出成形された合成樹脂プロファイル本体Pの表面に装飾シートSがさらに付着された状態であり得、各合成樹脂プロファイル本体Pの端部が約45°の対角線で切断された後、端部が相互に突き合わせられた状態で溶接されて溶接部20を形成することによって、四角枠状の窓枠及び/又は障子の形態の建具用合成樹脂プロファイル製品1が形成される(
図1及び
図2参照)。
【0005】
このとき、合成樹脂プロファイル間の溶接は、従来の大韓民国登録特許第10-1364023号(公告日:2014.02.18.)などを通じて開示された建具用合成樹脂プロファイルの溶接装置によって行われている。
【0006】
具体的には、建具用合成樹脂プロファイルの溶接装置は、端部が対角線で切断された合成樹脂プロファイルをクランプにそれぞれ固定する。
【0007】
そして、固定が完了した合成樹脂プロファイルの間に加熱板が投入された後、合成樹脂プロファイルと加熱板との接触によって、対向する合成樹脂プロファイルの端部が加熱溶融されて溶融部位がそれぞれ形成される。
【0008】
その後、溶融部位が固まる前に互いに圧着させて合成樹脂プロファイル間に溶接がなされるようになり、このような圧着過程で溶融部位に発生したバリ(bur)は、後で手作業や仕上げ機などの別途の装置を用いて除去される。
【0009】
しかし、前記のような従来の建具用合成樹脂プロファイルの溶接装置を用いて合成樹脂プロファイルを溶接する場合、溶接部の熱変性区間が広いため、最終建具用合成樹脂プロファイル製品に変色又はクラックが発生してしまい、製品の品質が低下するという問題があり得る。
【0010】
なお、従来の建具用プロファイル製品は、溶接後にバリBを除去するようになるため、加熱板により合成樹脂プロファイルを加熱溶融させるときに発生するバリBが、合成樹脂プロファイル本体P間の溶接時に干渉してしまい、溶接面の状態が不良となり、バリBが装飾シートSの外部に突出することにより、バリBを別途の鑿Tや仕上げ機などで除去した後にも、依然として幅及び高さが大きい溶接ラインLが製品の表面に露出してしまい、外観上の美感が大きく低下するという問題がある。なぜなら、溶接ラインLが合成樹脂プロファイル本体の色(一例として、白色)を帯びるため、装飾シートの間に露出する白色の溶接ラインにより製品の外観品質を大きく低下させる。
【0011】
また、残っているバリB’が装飾シートSの表面に突出形成されることで、装飾シートSと合成樹脂プロファイル本体Pとの接合状態が不良になるという問題があった(
図2参照)。
【0012】
したがって、上記のような問題点を解決するために、溶接部の熱変性区間及び溶接ラインの大きさが最小化された建具用合成樹脂プロファイル製品の開発が切実に求められている実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上述した問題点を解決するために案出されたもので、溶接部の熱変性区間が最小化されることで、建具用合成樹脂プロファイル製品に変色又はクラックが発生して製品の品質が低下することを防止できる建具用合成樹脂プロファイル製品を提供することにその目的がある。
【0015】
また、本発明は、溶接部の表面に形成される溶接ラインの大きさを最小化することによって製品の外観の美麗さを生かし、装飾シートが合成樹脂プロファイル本体から浮いたり、剥がれたりする問題などを効果的に解決できるようにした建具用合成樹脂プロファイル製品を提供することにその目的がある。
【0016】
本発明が解決しようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていない他の技術的課題は、以下の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述したような目的を具現するための本発明に係る建具用合成樹脂プロファイル製品は、溶接部を介して溶接された合成樹脂プロファイルを含むものであって、
前記溶接部のラマンピーク比IDegradation/IC-Clが0.130以上である区間の幅は80μm以下であってもよい(ここで、前記IDegradationは、PVC樹脂の熱分解時に現れるラマンピークの強度であり、前記IC-Clは、PVC樹脂のC-Cl結合のラマンピークの強度であり、前記区間は、ラマン分光器(Renishaw、inVia reflex)を用いたラマンマッピングイメージ上で、ラマンピーク比IDegradation/IC-Clが0.130以上であるポイントが単位体積(5μm×100μm×100μm)内に2つ以上である領域を意味する)。
【0018】
また、前記建具用合成樹脂プロファイル製品は、溶接部の溶接ラインの幅は0.001~0.25mmであり、高さは0.001~0.15mmであってもよい。
【0019】
また、前記合成樹脂プロファイルは、本体と、前記本体の表面に付着された装飾シートとを含み、前記装飾シートのうちの少なくともいずれか1つの端部が前記本体の内部に挿入されたものであってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る建具用合成樹脂プロファイル製品は、溶接部の熱変性区間が小さいので、建具用合成樹脂プロファイル製品に変色又はクラックが発生して製品の品質が低下することを防止できる効果がある。
【0021】
なお、本発明に係る建具用合成樹脂プロファイル製品は、合成樹脂プロファイルの端部を加熱板により溶融させる過程でバリを除去することで、加熱板の除去後に合成樹脂プロファイルの端部を溶接させるときにバリの発生が最小化されるようにすることによって、溶接過程で装飾シートが合成樹脂プロファイル本体の内部に巻き込まれる状態になって、溶接部の表面に突出する溶接ラインの大きさを最小化させ、外観を美麗にすることができ、合成樹脂プロファイル本体から装飾シートが浮いたり、剥がれたりする現象を効果的に防止できる効果がある。
【0022】
また、本発明の効果は、明細書の全体的な記載によって追加で把握されなければならず、たとえ明示的な文章で記載されていなくても、記載された内容が属する技術分野における通常の知識を有する者が、本明細書を通じてそのような効果があると認めることができる効果であれば、本明細書に記載された効果と見なすべきである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】従来の建具用合成樹脂プロファイル製品の立面図である。
【
図3】比較例2の建具用合成樹脂プロファイル製品の溶接部の断面をOM(Optical Microscope)で100倍拡大して撮影した図面代用写真である。
【
図4】比較例2の建具用合成樹脂プロファイル製品の溶接部の断面をSEM(Scanning Electron Microscope)で50倍(a)、100倍(b)、125倍(c)及び200倍(d)拡大して撮影した図面代用写真である。
【
図5】比較例2の建具用合成樹脂プロファイル製品の従来の合成樹脂プロファイルの溶接部の表面をOMで50倍(a)及びCLSM(Confocal laser scanning microscope)(b)で撮影した図面代用写真である。
【
図6】本発明の建具用合成樹脂プロファイル製品を製造するための溶接装置(以下、「シームレス溶接装置」という)の一実施例の斜視図である。
【
図7】
図6のシームレス溶接装置の一実施例に係る刃を示す図である。
【
図8】
図6のシームレス溶接装置の一実施例に係る左右側クランプの真空吸入口を示す断面図である。
【
図9】
図6のシームレス溶接装置の一実施例に係る加熱板の作動状態を示す平面図である。
【
図10】
図6のシームレス溶接装置の一実施例に係る加熱板の斜視図である。
【
図11】
図6のシームレス溶接装置の一実施例に係る作動状態を示す図である。
【
図12】
図6のシームレス溶接装置の一実施例に係る作動状態を示す図である。
【
図13】従来(a)と本発明(b)による溶接工程を比較した図である。
【
図14】(a)、(b)は、
図6のシームレス溶接装置の一実施例に係る加熱板を用いて合成樹脂プロファイルの端部を加熱溶融した後、接合させる過程を示す図である。
【
図15】本発明の建具用合成樹脂プロファイル製品の実施例2の溶接部の断面をSEMで50倍(a)、100倍(b)及び200倍(c)拡大して撮影し、比較のために示した図面代用写真である。
【
図16】本発明の建具用合成樹脂プロファイル製品の実施例2の合成樹脂プロファイルの溶接部の表面をOMで100倍(a)及びCLSM(b)で撮影して示した図面代用写真である。
【
図17】本発明の建具用合成樹脂プロファイル製品の実施例4の溶接部の断面をOMで100倍(a)、EDS(Energy Dispersive X-Ray Spectrometer)(b、c)分析を通じて示した図面代用写真である。
【
図18】比較例1の溶接部の断面を分光分析して得たラマンピーク比I
Degradation/I
C-Clに対するラマンマッピングイメージである。
【
図19】本発明の建具用合成樹脂プロファイル製品の実施例1の溶接部の断面を分光分析して得たラマンピーク比I
Degradation/I
C-Clに対するラマンマッピングイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施例に係る構成及び作用を詳細に説明する。
【0025】
これは、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明の内容を容易に実施できる程度に詳細に説明するためのものであり、これにより本発明の技術的な思想及び範疇が限定されることを意味するものではない。
【0026】
また、各図面の構成要素に対して参照符号を付加するにおいて、同一の構成要素に限っては、たとえ他の図面上に表示されても、可能な限り同一の符号で表記されたことに留意しなければならず、本発明の構成及び作用を考慮して特別に定義された用語は、使用者、運用者の意図又は慣例によって変わり得、このような用語に対する定義は、本明細書全般にわたる内容に基づいて判断されなければならない。
【0027】
まず、本発明に係る建具用合成樹脂プロファイル製品は、窓枠又は障子の主な外郭フレームであって、前記建具用合成樹脂プロファイル製品を構成する合成樹脂プロファイルは、合成樹脂材質の本体と、本体の表面に付着された装飾シートとを含むことができる。前記装飾シートは、単層又は複数の層で構成されてもよく、一例として、基材フィルムの上部に印刷フィルムが積層された形態であってもよいが、必ずしもこれに制限するものではない。
【0028】
または、本体の表面に装飾シートを付着する代わりに、本体と共に装飾層を共押出して、装飾層が本体の表面に一体に形成された合成樹脂プロファイルを用いることもできる。
【0029】
ここで、前記装飾シートや装飾層は、様々な形状の本体の表面のいずれか一面以上に形成されてもよく、具体的な一例として、室内側面を包む形態で形成されてもよい。
【0030】
このように形成された建具用プロファイル4つが四角枠の形態で連結され得るように、各合成樹脂プロファイルの両側端部を約45°の対角線で切断し、この切断された複数の合成樹脂プロファイルの端部を、建具用合成樹脂プロファイルの溶接装置を通じて溶接することで、溶接部を介して溶接された形態の建具用合成樹脂プロファイル製品に製造される。
【0031】
以下では、本発明の建具用合成樹脂プロファイル製品の特徴を具体的に説明する。
【0032】
図19は、本発明の一実施例に係る建具用合成樹脂プロファイル製品の溶接部の断面を分光分析して得たラマンピーク比I
Degradation/I
C-Clに対するラマンマッピングイメージであって、
【0033】
本発明に係る建具用合成樹脂プロファイル製品は、溶接部20を介して溶接された合成樹脂プロファイル10を含むもので、ラマン分光器(Renishaw、inVia reflex)を用いたラマンマッピングイメージ上で、前記溶接部20のラマンピーク比IDegradation/IC-Clが0.130以上である区間の幅が80μm以下であってもよい。
【0034】
ここで、前記ラマンマッピングイメージは、前記溶接部20の断面上に所定の領域を選択した後、前記領域に対してラマン分光器のラマンマッピングを用いて得られたイメージを意味するものであってもよい。
【0035】
本発明では、一例として、前記ラマン分光器がRenishaw社のinVia reflexであると記載したが、前記ラマン分光器としては、この技術分野で公知された種類のラマン分光器を用いることができ、特に制限されない。
【0036】
前記IDegradationは、PVC樹脂の熱分解時に現れるラマンピークの強度であり、前記IC-Clは、PVC樹脂のC-Cl結合のラマンピークの強度であって、前記IDegradation/IC-Clは、0.130以上、0.135以上、または0.140以上であってもよい。前記IDegradation/IC-Clの上限値は、特に制限されず、一例として、100以下または90以下であってもよい。
【0037】
前記区間は、ラマンマッピングイメージ上で、ラマンピーク比IDegradation/IC-Clが0.130以上であるポイントが単位体積(5μm×100μm×100μm)内に2つ以上である領域であり、前記区間の幅は、80μm以下、75μm以下または72μm以下であってもよい。前記区間の幅の下限値は、特に制限されず、一例として0であってもよい。
【0038】
具体的には、ラマンマッピングイメージ上で、ラマンピーク比IDegradation/IC-Clが0.130以上であるポイントが単位体積(5μm×100μm×100μm)内に2つ以上である領域である区間の幅が、80μm以下、75μm以下または72μm以下であってもよい。前記区間の幅の下限値は、特に制限されず、一例として0であってもよい。
【0039】
または、ラマンマッピングイメージ上で、ラマンピーク比IDegradation/IC-Clが0.135以上であるポイントが単位体積(5μm×100μm×100μm)内に2つ以上である領域である区間の幅が、80μm以下、75μm以下または72μm以下であってもよい。前記区間の幅の下限値は、特に制限されず、一例として0であってもよい。
【0040】
または、ラマンマッピングイメージ上で、ラマンピーク比IDegradation/IC-Clが0.140以上であるポイントが単位体積(5μm×100μm×100μm)内に2つ以上である領域である区間の幅が、80μm以下、75μm以下または72μm以下であってもよい。前記区間の幅の下限値は、特に制限されず、一例として0であってもよい。
【0041】
本発明の建具用合成樹脂プロファイル製品は、前記範囲の区間の幅を有することによって、合成樹脂プロファイルの溶接部、より詳細には合成樹脂プロファイル本体内の合成樹脂の熱変性が最小化されたことを確認することができる。
【0042】
一般に、合成樹脂プロファイルの溶接部に熱変性が発生した場合、建具用合成樹脂プロファイル製品は、変色又はクラックが発生して製品の品質が低下するという問題が発生したが、本発明の建具用合成樹脂プロファイル製品は、溶接部の熱変性が最小化されることによって、変色又はクラックが発生しないので、製品の品質が低下しないことが確認できた。
【0043】
なお、
図15は、本発明の一実施例に係る建具用合成樹脂プロファイル製品の溶接部の断面をSEMで撮影した図面代用写真であって、本発明に係る建具用合成樹脂プロファイル製品は、溶接部20を介して溶接された合成樹脂プロファイル10を含むもので、前記溶接部20の溶接ライン500の幅は、0.25mm以下、0.23mm以下、または0.20mm以下であってもよく、高さは0.15mm以下、0.13mm以下、または0.10mm以下であってもよい。このとき、前記幅及び高さの下限値は、特に制限されず、前記幅及び高さの下限値は、一例として、0であってもよく、0.001mm以上、0.005mm以上、または0.01mm以上であってもよい。
【0044】
当業界において溶接ラインとは、溶接によって発生するもので、装飾シートの間に合成樹脂プロファイル本体の色(一例として、白色)が露出する略ライン(line)状の継ぎ目を意味する。
【0045】
このとき、前記合成樹脂プロファイル10は、上述したように、本体310,320の表面、具体的な一実施例として、少なくとも室内側面には装飾シート410,420が付着された状態であってもよいが、これに制限されない。
【0046】
前記溶接ライン500の幅及び高さが前記範囲を超えて形成される場合に、本体310,320の色(一例として、白色)が外部に過度に露出して外観の美麗さが低下し、溶接ライン500の部位が異物により容易に汚染されてしまい、それにより製品の外観品質が低下することがある。
【0047】
また、本発明の建具用合成樹脂プロファイル製品は、溶接部20を介して溶接された複数の合成樹脂プロファイル10を含み、前記合成樹脂プロファイル10は、本体310,320と、前記本体310,320の表面に付着された装飾シート410,420とを含み、前記装飾シート410,420のうちの少なくともいずれか1つの端部が前記本体310,320の内部に挿入された形態であってもよい。
【0048】
または、本発明に係る建具用合成樹脂プロファイル製品は、前記装飾シート410,420の端部がいずれも前記本体310,320の内部に挿入されたものであってもよい。
【0049】
この場合、本発明に係る建具用合成樹脂プロファイル製品は、前記装飾シート410,420の端部は、それぞれ、前記本体310,320の内部に同じ深さ又は異なる深さで挿入されたものであってもよい。
【0050】
また、本発明に係る建具用合成樹脂プロファイル製品は、前記装飾シート410,420のうちの少なくともいずれか1つの端部は、前記本体310,320の上面から0.01~0.5mmの深さ、0.01~0.45mmの深さ、または0.01~0.4mmの深さに挿入されたものであってもよい。
【0051】
前記のような本発明の建具用合成樹脂プロファイル製品を製造するためのシームレス溶接装置100の一実施例と共に、本発明の建具用合成樹脂プロファイル製品をさらに具体的に説明する。
【0052】
図6は、シームレス溶接装置100の一実施例の斜視図であって、前記シームレス溶接装置100は、左右側クランプ110、及び加熱板120を含む。
【0053】
まず、左右側クランプ110は、それぞれの一面に刃113が形成された上下部加圧片111,112が備えられ、溶接対象である合成樹脂プロファイル10をそれぞれ固定させるものであって、このような左右側クランプ110は、アクチュエータ110aの前、後進作動によってレールRに沿って横方向に往復移動可能に設置される。
【0054】
この場合、前記上部加圧片111は、アクチュエータ111aの作動によって上下に往復移動可能に設置され、これによって、前記下部加圧片112の上面に載置された合成樹脂プロファイル10の上面を加圧固定させることができる。このとき、前記下部加圧片112の上面には、合成樹脂プロファイル10の室内側面10aが当接するように載置され得る。
【0055】
なお、前記上下部加圧片111,112の対向面には、刃113が一体に形成される。前記刃113は、上部加圧片111の対向面の下端と、下部加圧片112の対向面の上端とに互いに対向するように形成される。
【0056】
図7を参照すると、前記刃113の先端は、垂直面113aと、垂直面113aから溶接部20のバリ20aに向かって所定の角度θで傾斜して形成される傾斜面113bとで形成され得る。
【0057】
すなわち、前記垂直面113aによって傾斜面113bの角度θを調節し易く、これによって、前記刃113の傾斜面113bを通じてバリ20aを容易に除去することができる。
【0058】
この場合、前記傾斜面113bの角度θは、15~50°または20~45°に形成されることが好ましい。前記傾斜面113bの角度θが前記範囲未満である場合に、刃113の先端が必要以上に鋭くなることによって、繰り返して使用する場合に容易に破損する恐れがある。逆に、前記傾斜面113bの角度θが前記範囲を超える場合に、バリ20aの円滑な除去が難しくなり得る。
【0059】
図8を参照すると、前記上下部加圧片111,112には真空吸入口117が備えられ得る。真空吸入口117は、真空ポンプ(図示せず)で発生する真空吸入力を通じて、載置された合成樹脂プロファイル10の表面を吸着する。すなわち、合成樹脂プロファイル10は、内部に中空部が形成されることによって、溶接過程で表面が中空部側に凹状に窪む場合が発生し得る。
【0060】
したがって、シームレス溶接装置100を用いた合成樹脂プロファイル10の溶接時に、真空吸入口117を通じて合成樹脂プロファイル10の端部を吸着することによって、合成樹脂プロファイル10の表面が平らな状態を維持した状態で溶接が行われ得るようにすることができる。
【0061】
この場合、本発明では、前記真空吸入口117が上下部加圧片111,112の両方に形成された場合の一例を挙げて図示し、説明したが、これに限定されず、合成樹脂プロファイル10の面積が広く形成される底面(室内側面)が載置される下部加圧片112に限定して形成されてもよい。
【0062】
図9を参照すると、加熱板120は、左右側クランプ110によって固定された一対の合成樹脂プロファイル10の間に、アクチュエータ120aの作動を通じて投入又は排出可能に設置され、前記合成樹脂プロファイル10の端部を加熱溶融させる。
【0063】
前記加熱板120は平坦面のみで構成されたものであってもよい。
【0064】
または、選択的に、
図10のように、平坦面及び凹凸面を備えたものであってもよい。
【0065】
図10を参照すると、前記加熱板120は、対向する合成樹脂プロファイル10の端部切断面に凹凸面21を形成する凹凸部121と、前記切断面の少なくとも室内側の縁部に平坦面23を形成する平坦部123とを備える。
【0066】
この場合、前記凹凸部121は陰刻で形成され得る(
図10及び
図14参照)。前記凹凸部121が陰刻で形成される場合が、陽刻で形成される場合に比べて、平坦面23を十分に加熱溶融させることで、溶接強度を高めることができる。すなわち、凹凸部121が陰刻で形成されることによって、前記加熱板120を用いた加熱溶融時に、前記合成樹脂プロファイル10の切断面の縁部に前記平坦部123が先に当接するようになる。
【0067】
これによって、前記合成樹脂プロファイル10の切断面に平坦面23を先に十分に加熱溶融させた後、凹凸面21を溶融形成することによって、前記平坦面23が形成される合成樹脂プロファイル10の縁部をさらに強固に溶接することができる(
図11参照)。
【0068】
この場合、前記凹凸部121の凹凸谷Dは、前記合成樹脂プロファイル10の端部に溶融形成される凹凸面21の凹凸谷の深さ(0.5~2.0mmまたは1.0~1.5mm)を円滑に形成できるように、対応する深さ(0.5~2.0mmまたは1.0~1.5mm)に形成され得る。
【0069】
なお、前記加熱板120の両面に形成される凹凸部121は、合成樹脂プロファイル10の切断面に対向するように形成される凹凸面21が互い違いに接合され得るように形成される。
【0070】
また、前記合成樹脂プロファイル10の切断面と接触する加熱板120の表面はテフロン(登録商標)コーティング処理されてもよい。この場合に、前記加熱板120を用いた合成樹脂プロファイル10の端部の加熱溶融時に、前記合成樹脂プロファイル10の材質である合成樹脂が加熱板120に焼き付くことを防止することができる。
【0071】
図11及び
図12を参照すると、前記のような平坦面、又は、平坦面及び凹凸面を備えた加熱板120を通じて合成樹脂プロファイル10の端部切断面を溶融させると同時に、前記上下部加圧片111,112の対向面に一体に形成された刃113が、切断面を通して外部に押し出されるバリ20aを除去するようになる。
【0072】
そして、前記加熱板120が一対の合成樹脂プロファイル10の間から排出された後には、左右側クランプ110を、対向する合成樹脂プロファイル10の切断面に向かって移動させることによって、合成樹脂プロファイル10の端部に形成された平坦面(図示せず)、又は、凹凸面21及び平坦面23を互いに接合させる(
図12参照)。
【0073】
この場合、前記刃113は、ばね114によって弾性的に支持され得る。この場合、対向するように形成された刃113の先端が互いにぶつかり合っても、刃113がばね114によって弾性支持されることによって衝撃を吸収することができ、これによって、刃113が破損することを防止することができる。
【0074】
なお、下部加圧片112の底面には、下部に突出したストッパー115が結合され得る。そして、前記加熱板120の下端には、ストッパー115と接触する一定の幅の間隔維持ブロック125が結合されることで、前記上下部加圧片111,112にそれぞれ備えられた刃113の間の間隔が一定に維持され得る(
図11参照)。
【0075】
このとき、前記ストッパー115は、横方向に移動及び固定可能に形成され得る。したがって、前記刃113を用いて溶接部20のバリ20aを除去する際に、ストッパー115の位置を調節することによって、上下部加圧片111,112に設置された刃113の間隔を加熱板120の厚さと対応するように調節することができる。
【0076】
この場合、前記ストッパー115は、ガイドレール又はガイド溝(図示せず)に沿って摺動されることによって横方向に移動することができ、ボルトなどの固定部材(図示せず)によって固定され得る。
【0077】
また、前記のような構造の本発明に係る建具フレームのシームレス溶接装置100は、メインフレーム(図示せず)上の4つの地点にそれぞれ配置されることで、合成樹脂プロファイル10の4つの角部の溶接が同時に可能である。
【0078】
この場合、前記建具フレームのシームレス溶接装置100が設置されるステージは、ガイドレールに沿ってX、Y軸方向に摺動移動可能に設置されることによって、様々なサイズの窓枠又は障子を容易に作製することができる。
【0079】
本発明の建具用合成樹脂プロファイル製品は、シームレス溶接装置100を用いて合成樹脂プロファイル10の溶接時に、本体310,320の表面に付着された装飾シート410,420が除去されることを防止することができ、前記装飾シート410,420のうちの少なくともいずれか1つの端部が前記本体310,320の内部に挿入された形態を有するようにすることで、これによって、本体310,320の元々の色(一例として、白色)が外部に露出することを防止することができる。
【0080】
具体的には、
図13の(a)に示すように、従来の建具用合成樹脂プロファイルの溶接方法は、装飾シートSが付着された合成樹脂プロファイル本体Pの溶接によって溶接部に形成されたバリBを、溶接完了後に別途の仕上げ機Tを用いて掻き取る方式で除去するようになる。
【0081】
このような溶接方式を用いる場合、溶接ラインLの幅や高さが大きくなることによって、製品の外観品質を低下させる原因となり得る。
【0082】
これに反して、本発明の場合、
図13の(b)に示すように、装飾シート410,420が付着された合成樹脂プロファイル10の端部を加熱板120で溶融させる過程で、左右側クランプ110の対向面に備えられた刃113が横方向に移動しながら、溶接部20に形成されたバリ20aを除去する方式のシームレス溶接装置100を用いることによって、前記バリ20aによって突出した装飾シート410,420が共に除去されることを防止することができる。
【0083】
すなわち、前記刃113は、溶接部20に形成されたバリ20aを除去するものの、合成樹脂プロファイル本体310,320の表面に付着された装飾シート410,420の端部を溶接ライン500側に押しながら平坦に、より詳細には、前記装飾シート410,420のうちの少なくともいずれか1つの端部が前記本体310,320の内部に挿入された形態となるようにする(
図15参照)。これによって、溶接部20の溶接ライン500に合成樹脂プロファイル本体310,320の色が外部に露出しないようにすることで、製品の外観品質を高めることができる。
【0084】
以下では、
図6のようなシームレス溶接装置100を用いた本発明の建具用合成樹脂プロファイル製品の製造過程について具体的に説明する。
【0085】
まず、左右側クランプ110の下部加圧片112の上面に、4つの合成樹脂プロファイル10を四角枠状に配置する(
図6参照)。
【0086】
上部加圧片111の下降作動によって4つの合成樹脂プロファイル10が固定されると、4つの合成樹脂プロファイル10の角部の間の離隔空間に加熱板120が投入される。
【0087】
次に、左右側クランプ110がそれらの間に介在した加熱板120側に移動しながら、加熱板120との接触を通じて、4つの合成樹脂プロファイル10の切断面を加熱溶融させる(
図9参照)。
【0088】
前記加熱溶融は、具体的な一例として、4つの合成樹脂プロファイル10の各角部の端部の間に220~250℃又は230~250℃の温度の加熱板120を投入した後、前記合成樹脂プロファイル10を前記加熱板120に接面させた後、加圧し、1次に22~29秒又は24~27秒間加熱した後、2次に、前記合成樹脂プロファイル10の端部を加熱板に接面させた状態で、加圧なしに220~250℃又は230~250℃で5秒以内、3秒以内、または2秒以内の間さらに加熱するものであってもよい。このようにする場合、加熱板に接面させた後、加圧する1次加熱時に、ほとんどのバリが発生すると同時に、上下部加圧片に備えられた刃によってバリが除去されることで、1次加熱によって熱変性した合成樹脂プロファイル本体のほとんどが溶接前にバリとして除去されるので、建具用合成樹脂プロファイル製品内の熱変性が最小化され得る。
【0089】
前記加熱板120として平面型の加熱板を用いる場合、対向する4つの合成樹脂プロファイル10の切断面に平坦面(図示せず)のみが形成され、加熱板120として凹凸型の加熱板を用いる場合、対向する4つの合成樹脂プロファイル10の切断面に凹凸面21が形成され、選択的に、少なくとも室内側面10aと接する切断面の縁部には平坦面23が形成されるようにすることができる。
【0090】
これと同時に、左右側クランプ110に一体に備えられた刃113が、4つの合成樹脂プロファイル10の端部から溶融されて外側に押し出されるバリ20aを除去する(
図11参照)。
【0091】
前記合成樹脂プロファイル10の切断面に平坦面(図示せず)、又は、凹凸面21及び平坦面23が形成されると、左右側クランプ110の間から加熱板120が排出され、左右側クランプ110を切断面の対向面に向かって移動させて切断面を互いに接合させると(
図12参照)、本発明に係る四角枠状の建具用合成樹脂プロファイル製品が完成する。
【0092】
このような本発明の建具用合成樹脂プロファイル製品の一実施例の溶接部の断面を、例示された図面代用写真である
図19、
図15及び
図16を通じてより詳細に説明する。
【0093】
まず、合成樹脂プロファイル10は、下に本体310,320が位置し、その上に装飾シート410,420が付着されて構成され、このような合成樹脂プロファイル10の端部と、隣り合う合成樹脂プロファイル10の端部とが対向して、溶融過程を通じて溶融接合されながら溶接部20を形成するようになる。
【0094】
このような本発明に係る建具用合成樹脂プロファイル製品は、ラマンマッピングイメージ上で、前記溶接部20のラマンピーク比I
Degradation/I
C-Clが0.130以上である区間の幅が80μm以下であり得るので、合成樹脂プロファイルの溶接部、より詳細には合成樹脂プロファイル本体内の合成樹脂の熱変性が最小化されることで、変色又はクラックが発生しないので、製品の品質が低下しないことが確認できた(
図19参照)。
【0095】
また、前記溶接部20は、その形成過程中に、本体310,320及び/又は装飾シート410,420は加熱板によって溶融過程を経ながら物性の変化を起こすようになり、溶接部20の断面をOM及びSEMで拡大してみると、本体310,320の端部の場合、溶融過程を通じて結晶構造が崩れて、内側中心部に向かって沈下する状態となり、本体310,320の上側に付着されていた装飾シート410,420の端部も、沈下する本体310,320の端部側に共に沈下する状態となり得る(
図15及び
図16参照)。
【0096】
すなわち、溶融過程を通じて溶接面30をなす沈下した両側の本体310,320の間に、両側の装飾シート410,420の少なくともいずれか1つの端部が沈下して挿入される状態となる。
【0097】
ここで、合成樹脂プロファイル10の端部は、加熱板120を通じて同じ時間及び圧力で溶融されても、溶融された結果が常に同一とはならず、状況に応じて、沈下した両側の本体310,320の端部において一方の装飾シート410の端部のみが沈下して挿入され、他方の装飾シート420の端部は沈下しない状態になるか、又は、両装飾シート410,420の端部がいずれも沈下して挿入された状態になることもある。
【0098】
また、沈下した両側の本体310,320の端部の間に両装飾シート410,420の端部がいずれも沈下して挿入されても、挿入される深さには差があり得、状況に応じては、挿入される深さが同一であることもある。
【0099】
前記装飾シート410,420の少なくとも1つの端部の挿入長さは、前記本体310,320の上面から0.01~0.5mmの深さ、0.01~0.45mmの深さ、または0.01~0.4mmの深さに挿入されてもよい。挿入長さが前記深さ未満である場合、装飾シートが合成樹脂プロファイル本体から浮いたり、剥がれたりすることがあり、前記範囲を超える場合、必要以上に挿入されることによって目的とする製品の寸法を製造することができない。
【0100】
反面、
図18を参照すると、比較例1の従来の建具用合成樹脂プロファイル製品は、ラマンピーク比I
Degradation/I
C-Clが0.130以上である区間の幅が大きいため、合成樹脂プロファイル本体内のPVC樹脂の熱変性が大きいため、変色又はクラックに弱いことが確認できた。
【0101】
また、
図3及び
図4を参照すると、比較例2の従来の建具用合成樹脂プロファイル製品は、バリBが除去された後にも、依然として溶接ラインLの幅及び高さが大きいため、これにより、装飾シートSが本体Pから浮いたり、剥がれたりし易く、溶接ラインLの部位が異物によって容易に汚染し、それによって製品の外観品質が低下するという問題がある。
【0102】
このような本発明の建具用合成樹脂プロファイル製品は、前述したように、溶接部の熱変性区間が最小化され、合成樹脂プロファイル10の端部が加熱板120によって溶融されると同時に、溶融過程で発生したバリ20aが直ちに除去され、以降、加熱板120が除去された状態で合成樹脂プロファイル10の端部が互いに溶接されることによって、溶接過程で追加のバリの発生が防止されるので、溶接部20の表面で作られる溶接ライン500の大きさが最小化され得る。
【0103】
なお、加熱板120による溶融過程で沈下していた本体310,320の端部と装飾シート410,420の端部がバリを形成しながら隆起せず、装飾シート410,420の端部が沈下した本体310,320の端部の間に挿入された状態をそのまま維持し、以降、冷却されることによって、本体310,320と装飾シート410,420との結合力が倍加され、本体310,320から装飾シート410,420が浮いたり、剥がれたりすることが防止され得る。
【実施例】
【0104】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、以下の実施例は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で様々な変更及び修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、このような変更及び修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然である。
【0105】
[実施例及び比較例]
1.実施例
(1)実施例1
図6のシームレス溶接装置100の上部加圧片及び下部加圧片が備えられた左右側クランプに、PVC材質の本体の表面に装飾シートが付着された4つのプロファイルを四角枠状に固定した。
【0106】
このとき、前記プロファイルの各角部は、以降に溶融される部分を考慮して、完成窓の寸法に比べて約2.5mm程度さらに長く製造された。
【0107】
次で、前記プロファイルの各角部の端部の間に230~250℃の温度の
図10のような凹凸型の加熱板を投入した後、前記プロファイルを前記加熱板に接面させた後、加圧し、前記プロファイルの端部が約2.5mm溶融されるまで、1次に24~27秒間加熱した。それから、2次に、前記プロファイルの端部を加熱板に接面させた状態で、加圧なしに230~250℃で2秒間さらに加熱した。
【0108】
このとき、発生したバリは、前記上下部加圧片に備えられた刃113によって除去される。
【0109】
その後、加熱板を排出して除去した後、左右側クランプを通じてプロファイルの端部を互いに接面させて溶接した。
【0110】
最後に、前記溶接部を室温で15~20秒間冷却して、実施例1の溶接部20を介して溶接された合成樹脂プロファイル10を含む建具用合成樹脂プロファイル製品を製造した。
【0111】
(2)実施例2~4
実施例1と同様の方法で、実施例2~4の溶接部20を介して溶接された合成樹脂プロファイル10を含む建具用合成樹脂プロファイル製品を製造した。
【0112】
2.比較例
(1)比較例1
シームレス溶接装置ではない一般の溶接装置(HAN SUNG機械、TWL溶接機)に、PVC材質の本体の表面に装飾シートが付着された4つのプロファイルを四角枠状に固定した。
【0113】
このとき、前記プロファイルの各角部は、以降に溶融される部分を考慮して、完成窓の寸法に比べて約2.5mm程度さらに長く製造された。
【0114】
次で、前記プロファイルの各角部の端部の間に260℃の温度の平坦型の加熱板を投入した後、前記プロファイルを前記加熱板に接面させた後、加圧して、前記プロファイルの端部が約1.8mm溶融されるまで1次に15~17秒間加熱した。
【0115】
それから、前記プロファイルの端部が加熱板に接面した状態で、加圧なしに260℃の温度で6~8秒間さらに加熱した。
【0116】
その後、加熱板を排出して除去した後、左右側クランプを通じてプロファイルの端部を互いに加圧して、約0.7mm程度が圧着されるように溶接した。
【0117】
最後に、前記溶接部を室温で15~20秒間冷却した後、仕上げ機を用いて、切断面の間に突出するバリを除去して、比較例1の溶接部を介して溶接されたプロファイルを含む建具用合成樹脂プロファイル製品を製造した。
【0118】
(2)比較例2~3
比較例1と同様の方法で、比較例2~3の溶接部を介して溶接されたプロファイルを含む建具用合成樹脂プロファイル製品を製造した。
【0119】
[実験例]
1.SEM(Scanning Electron Microscope)写真
走査電子顕微鏡(Zeiss、Merlin Compact)で倍率(magnification、mag)を異ならせて実施例2及び比較例2の建具用プロファイル製品の溶接部の断面を撮影した。
【0120】
2.OM(Optical Microscope)写真
光学顕微鏡(Huvitz、HRM-300)で実施例2~4及び比較例2~3の建具用プロファイル製品の溶接部の断面を撮影した。
【0121】
3.CLSM(Confocal laser scanning microscope)写真
共焦点レーザー走査顕微鏡(Leica Microsystems、DCM3D)で実施例2~4及び比較例2~3の建具用プロファイル製品の溶接部の断面を撮影した。
【0122】
4.溶接部の分光分析の結果
実施例1及び比較例1の建具用合成樹脂プロファイル製品の溶接部を断面処理した後、ラマンマッピングを行ってラマンマッピングイメージを得た。
【0123】
前記ラマンマッピングイメージは、ラマン分光器(Renishaw、inVia reflex)を用いて5μm×10μmの解像度で250×10個のポイントのスペクトルを測定し、データ処理して得られたものである。
【0124】
次で、前記ラマンマッピングイメージ上で、ラマンピーク比IDegradation/IC-Clが0.130以上であるポイントが単位体積(5μm(x軸)×100μm(y軸)×100μm(z軸))内に2つ以上である区間の幅を測定して、表1に記載した(但し、ここで、前記IDegradationは、PVC樹脂の熱分解時に現れるラマンピークの強度であり、前記IC-Clは、PVC樹脂のC-Cl結合のラマンピークの強度である)。
【0125】
5.溶接ラインの幅及び高さ
実施例2~4及び比較例2~3の建具用合成樹脂プロファイル製品の溶接ラインの幅及び高さを、OM写真及びCLSM写真を用いて分析した。
【0126】
このとき、前記各建具用合成樹脂プロファイル製品の溶接ラインの互いに異なる3つの表面の地点に対して幅及び高さを3回測定した後、その平均値を表2に記載した。
【0127】
6.装飾シートの端部の挿入の有無及び挿入深さの測定
実施例2~4及び比較例2~3の建具用プロファイル製品の溶接部の断面を、SEM写真及び/又はOM写真を通じて、装飾シートが本体の内部に挿入されたか否かを確認した。
【0128】
また、装飾シートが本体の内部に挿入された場合には、挿入された装飾シートの端部の深さを計算して表2に記載した。
【0129】
このとき、断面の写真を基準として左側に位置する装飾シートを装飾シート1と、右側に位置する装飾シートを装飾シート2と表2に表記した。
【0130】
7.EDS(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)マッピング分析
エネルギー分散型分光分析器(Zeiss、Merlin Compact)で実施例4の建具用プロファイル製品の溶接部の成分を分析した(
図17(b)、(c)参照)。
【0131】
【0132】
【0133】
表1から確認されるように、実施例1の建具用合成樹脂プロファイル製品は、ラマンピーク比I
Degradation/I
C-Clが0.130以上である区間の幅が、比較例1の建具用合成樹脂プロファイル製品よりも小さいことから、合成樹脂プロファイル本体内のPVC樹脂の熱変性が最小化されたことが確認できた(
図18及び
図19参照)。これは、本発明の場合、加熱板に接面させた後、加圧する1次加熱時に、ほとんどのバリが発生すると同時に、上下部加圧片に備えられた刃によってバリが除去されることで、1次加熱によって熱変性した合成樹脂プロファイル本体のほとんどが溶接前にバリとして除去された反面、比較例1の建具用合成樹脂プロファイル製品の場合、加熱板の排出及び溶接後に最終的にバリを除去するため、1次及び2次加熱によって熱変性した合成樹脂プロファイル本体が効果的に除去されなかったことに起因するものと判断される。また、表2から確認されるように、実施例2~4の建具用合成樹脂プロファイル製品は、溶接ラインの幅及び高さが小さく、比較例2~3の建具用合成樹脂プロファイル製品とは異なり、本体の白色が目視で確認不可能な程度に僅かなレベルであることが確認できた。
【0134】
なお、実施例2~4の建具用合成樹脂プロファイル製品は、本体の上面から装飾シートの端部が上方に突出した比較例2~3の建具用合成樹脂プロファイル製品とは異なり、本体の上面から装飾シートの端部が内部に挿入されたことが確認できた。これによって、本発明の建具用合成樹脂プロファイル製品は、本体から装飾シートが浮いたり、剥がれたりしない効果があることが確認できた(
図3、
図4及び
図15、
図16参照)。
【0135】
一方、これとは別途に、実施例4の溶接部をEDSマッピング分析した結果、本体のPVC樹脂組成物に含まれる主成分であるCa無機元素が検出されることで、表面に溶接ラインがあることが分かるが、目視で確認不可能な程度のレベルであることが確認できた(
図17(b)、(c)参照)。
【符号の説明】
【0136】
10 合成樹脂プロファイル
20 溶接部
20a バリ
21 凹凸面
23 平坦面
30 溶接面
100 シームレス溶接装置
110 左右側クランプ
111 上部加圧片
112 下部加圧片
113 刃
113a 垂直面
113b 傾斜面
114 ばね
115 ストッパー
117 真空吸入口
120 加熱板
121 凹凸部
123 平坦部
125 間隔維持ブロック
310,320 本体
410,420 装飾シート
500 溶接ライン