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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】低炭素フェロクロムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 33/04 20060101AFI20220307BHJP
   C22B 5/04 20060101ALI20220307BHJP
   C22B 9/10 20060101ALI20220307BHJP
   C22C 35/00 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
C22C33/04 B
C22B5/04
C22B9/10 101
C22C35/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021533031
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(86)【国際出願番号】 JP2020026995
(87)【国際公開番号】W WO2021010311
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2019130324
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500103236
【氏名又は名称】JFEマテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112140
【弁理士】
【氏名又は名称】塩島 利之
(72)【発明者】
【氏名】杉森 博一
(72)【発明者】
【氏名】森 正浩
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-051690(JP,A)
【文献】特開昭62-037340(JP,A)
【文献】特開昭52-010816(JP,A)
【文献】特開平01-215950(JP,A)
【文献】特表2004-520478(JP,A)
【文献】特開2002-256323(JP,A)
【文献】特開2011-094210(JP,A)
【文献】特開昭59-089751(JP,A)
【文献】特表2002-543276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 33/04
C22C 35/00
C22B 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロム鉱石と生石灰を電気炉で溶解する第1工程と、
前記第1工程で溶解した溶解原料(以下、1次スラグという)と還元剤を反応容器に装入し、低炭素フェロクロムと塩基度(CaO/SiO)が1.65未満に調整された2次スラグを生成させる第2工程と、
前記第2工程で得られた前記2次スラグを電気炉又は反応容器に移した後、還元剤を装入して、クロム含有金属と3次スラグを生成させる第3工程と、を備え、
前記3次スラグは、酸化クロム含有率(Cr質量%)が1.0質量%以下、塩基度(CaO/SiO)が1.2未満に調整された無害化スラグである低炭素フェロクロムの製造方法。
【請求項2】
記第3工程において、前記2次スラグに以前の低炭素フェロクロムの製造方法の操業で製造された2次スラグが固化した固化スラグを添加することを特徴とする請求項1に記載の低炭素フェロクロムの製造方法。
【請求項3】
前記第2工程において、ガス底吹き装置を有する前記反応容器に前記1次スラグと前記還元剤を装入し、前記反応容器の炉底から不活性ガスを吹き込むことにより攪拌することを特徴とする請求項1又は2に記載の低炭素フェロクロムの製造方法。
【請求項4】
前記第2工程で装入する前記還元剤は、シリコン系、アルミニウム系、マグネシウム系、若しくはカルシウム系の還元剤、又はこれらの混合物であり、
前記第3工程で装入する前記還元剤は、シリコン系、アルミニウム系、マグネシウム系、若しくはカルシウム系の還元剤、又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の低炭素フェロクロムの製造方法。
【請求項5】
前記第3工程において、前記2次スラグに前記3次スラグの塩基度(CaO/SiO)を調整するための副原料を添加することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の低炭素フェロクロムの製造方法。
【請求項6】
前記第3工程において、前記2次スラグに固化スラグを添加することを特徴とする請求項1に記載の低炭素フェロクロムの製造方法。
【請求項7】
前記第3工程において、前記固化スラグを含む前記2次スラグの溶解及び還元を前記電気炉で行うことを特徴とする請求項2又は6に記載の低炭素フェロクロムの製造方法。
【請求項8】
前記第3工程において、前記固化スラグを含む前記2次スラグの溶解を前記電気炉で行い、溶解した前記2次スラグの還元を反応容器で行うことを特徴とする請求項2又は6に記載の低炭素フェロクロムの製造方法。
【請求項9】
前記第3工程で得られるクロム含有金属を前記第2工程及び/又は前記第3工程における前記還元剤の少なくとも一部として再利用することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の低炭素フェロクロムの製造方法。
【請求項10】
前記不活性ガスは、アルゴン又は窒素であることを特徴とする請求項3に記載の低炭素フェロクロムの製造方法。
【請求項11】
前記第2工程で生成する前記低炭素フェロクロムは、Crを60質量%以上、Siを1.0質量%以下、Cを0.1質量%以下含み、
Crの歩留まりが95%以上であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の低炭素フェロクロムの製造方法。
【請求項12】
前記第1工程の電気炉は、固定型電気炉であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載の低炭素フェロクロムの製造方法。
【請求項13】
前記第1工程の前記1次スラグの出湯温度が1400℃以上2000℃以下であることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか一項に記載の低炭素フェロクロムの製造方法。
【請求項14】
前記2次スラグの塩基度(CaO/SiO)が1.5未満に調整されることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか一項に記載の低炭素フェロクロムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低炭素フェロクロムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Cr60質量%以上、C0.1質量%以下のFe-Cr合金である低炭素フェロクロムは、一般に、クロム鉱石をシリコンで還元する方法によって製造されている。その具体的な製造方法としては、所謂ペラン法が採用されている。図9に示すように、ペラン法の基本的工程は、クロム鉱石と生石灰を電気炉で溶解する第1工程と、第1工程で溶解した溶解原料(以下、1次スラグという)を取鍋に出湯し、この取鍋内に還元剤としてのシリコクロムを装入して攪拌し、還元反応を行わせて、低炭素フェロクロムと2次スラグを生成する第2工程と、を備える。第2工程での攪拌は、通常、2基の取鍋を用意して、シリコクロムを含んだ1次スラグの溶湯の移し替えを繰り返し行うリレードリングによってなされる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平1-225743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の低炭素フェロクロムの製造方法においては、クロム歩留りを上げるために、2次スラグの塩基度(CaO/SiO)を1.7~2.0程度まで上げている。塩基度が高いほどクロムの還元反応が進み、2次スラグのクロム含有率を低くする、すなわちクロム歩留りを上げることができるからである。しかし、2次スラグの塩基度(CaO/SiO)を上げると、棄却される2次スラグに有害な6価クロムが生成するという課題がある。
【0005】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、クロム歩留りを向上させることができ、また棄却されるスラグに有害な6価クロムが生成するのを防止できる低炭素フェロクロムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、クロム鉱石と生石灰を電気炉で溶解する第1工程と、前記第1工程で溶解した溶解原料(以下、1次スラグという)と還元剤を反応容器に装入し、低炭素フェロクロムと塩基度(CaO/SiO)が1.65未満に調整された2次スラグを生成させる第2工程と、前記第2工程で得られた前記2次スラグを電気炉又は反応容器に移した後、還元剤を装入して、クロム含有金属と3次スラグを生成させる第3工程と、を備え、前記3次スラグは、酸化クロム含有率(Cr質量%)が1.0質量%以下、塩基度(CaO/SiO)が1.2未満に調整された無害化スラグである低炭素フェロクロムの製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、3次スラグの酸化クロム含有率(Cr質量%)を1.0質量%以下にし、塩基度(CaO/SiO)を1.2未満に調整することで、3次スラグの6価クロムの濃度を0.04(mg/l)以下に低減することができる。したがって、3次スラグを無害化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態の低炭素フェロクロムの製造方法の工程図である。
図2】本実施形態の低炭素フェロクロムの製造方法で用いられる設備を示す図である。
図3】2次スラグの塩基度(CaO/SiO)と2次スラグの(Cr)質量%との関係を示すグラフである。
図4】第2工程で使用される反応容器の縦断面図である。
図5】3次スラグの(Cr)質量%と回収シリコクロムの[Si]質量%との関係を示すグラフである。
図6】3次スラグの(Cr)質量%、3次スラグの塩基度(CaO/SiO)、3次スラグのCr6+の濃度(mg/l)の関係を示すグラフである。
図7】本発明の第2の実施形態の低炭素フェロクロムの製造方法の第3工程の工程図である。
図8】本発明の第3の実施形態の低炭素フェロクロムの製造方法の第3工程の工程図である。
図9】従来の低炭素フェロクロムの製造方法の工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態の低炭素フェロクロムの製造方法を詳細に説明する。ただし、本発明の低炭素フェロクロムの製造方法は種々の形態で具体化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものではない。本実施形態は、明細書の開示を十分にすることによって、当業者が発明を十分に理解できるようにする意図をもって提供されるものである。
(第1の実施形態)
【0011】
図1は、本発明の第1の実施形態の低炭素フェロクロムの製造方法の工程図である。図2は、本実施形態の低炭素フェロクロムの製造方法で用いられる設備を示す図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の低炭素フェロクロムの製造方法は、クロム鉱石と媒溶剤である生石灰の混合物を電気炉内で溶解させて溶解原料(以下、1次スラグという)を生成する第1工程(S1)を備える。図2に示すように、クロム鉱石と生石灰は、ホッパ4に貯蔵される。電気炉1には、炉底より高い位置に出湯口1aを設けて湯溜まりを形成した固定型電気炉を用いる。出湯口1aを炉底に設けてもよい。湯溜まりを形成するのは、1次スラグを出湯しても安定した熱量を保持するためである。1次スラグは、出湯口1aから反応容器2に出湯される。1次スラグの出湯温度は、1400℃以上2000℃以下の高温である。
【0013】
次に、図1に示すように、1次スラグが出湯された反応容器2に、還元剤としてシリコクロム、追装クロム鉱石、回収シリコクロムを装入する。そして、反応容器2に不活性ガスを底吹きすることにより攪拌して、クロム鉱石の酸化物を還元して、低炭素フェロクロムと2次スラグを生成させる。この還元工程が第2工程(S2)である。
【0014】
不活性ガスは、アルゴン又は窒素である。追装クロム鉱石は、クロム鉱石の冷材(生原料)である。シリコクロムの替わりに金属シリコン、フェロシリコンを用いることもできる。回収シリコクロムは、後述する第3工程で回収されたシリコクロムである。図2に示すように、反応容器2には、炉底から不活性ガスを吹き込むガス底吹き装置2aを有する反応容器2を使用する。
【0015】
第2工程(S2)での2次スラグの塩基度の上限は、1.65未満、望ましくは1.5未満、さらに望ましくは1.4未満に低く調整される。2次スラグの塩基度の下限は、低ければ低いほど好ましいが、第3工程(S3)での反応性を確保するために、2次スラグの塩基度の下限を1.0以上とする。
【0016】
2次スラグの塩基度を低く調整する理由は以下のとおりである。
クロム鉱石の酸化クロムとシリコンとの還元反応は以下のように進む。
Cr+3/2Si→2Cr+3/2SiO…(1)
ここで、遊離したSiOは、以下の(2)(3)式のように生石灰と反応し、2次スラグが生成される。
CaO+SiO→CaO・SiO…(2)
2CaO+SiO→2CaO・SiO…(3)
(2)(3)式のように2次スラグが生成されると、(1)式の遊離のSiOが少なくなり、(1)式の還元反応は左から右に進む。
【0017】
従来のクロム鉱石の製造方法では、クロム歩留りを向上させるために、石灰量を増やし、2次スラグの塩基度を1.7~2.0程度まで上げている。これは、塩基度が高いほど、(2)(3)式のように2次スラグが生成され、(1)式の還元反応が進むからである。また、製品の低炭素フェロクロムには、シリコン含有量が例えば1質量%未満の規格がある。このため、低炭素フェロクロムにシリコンが移行しないように1次スラグをシリコンで弱還元する必要があるからである。
【0018】
しかし、スラグを高塩基度にすると、冷却後にスラグが粉化現象を起こすと共に、スラグから有害な6価クロムが溶出するという環境上の問題が発生する。このため、本実施形態では、2次スラグの塩基度を低めに調整しておき、3次スラグの塩基度を1.3未満、望ましくは1.2未満、さらに望ましくは1.1未満に低く調整する。低塩基度にすると、以下の(4)式のようにCaOと結合する6価クロム化合物(CaO・CrO)からCaOを奪い、6価クロム化合物(CaO・CrO)を3価クロム化合物(Cr)に変えると考えられる。
2(CaO・CrO)+2SiO→2(CaO・SiO)+Cr+3/2O…(4)
【0019】
3次スラグの塩基度の下限は、低ければ低いほど好ましいが、3次スラグのクロム含有率を低減するために、0.7以上、望ましくは0.8以上、さらに望ましくは0.9以上とする。
【0020】
表1は、2次スラグの塩基度(CaO/SiO)と3次スラグの塩基度(CaO/SiO)との関係を示す。第3工程(S3)において塩基度調整用の副原料を添加しない場合、2次スラグの塩基度と3次スラグの塩基度とには正の相関関係がある。表1に示すように、2次スラグの塩基度が1.65未満であれば、3次スラグの塩基度を1.3未満に低減することができる。一方、2次スラグの塩基度が1.65より大きければ、3次スラグの塩基度が1.3を超えてしまう。
【表1】
【0021】
本実施形態では、攪拌能力が高いガス底吹き装置を有する反応容器2を使用し、熱効率、還元反応の反応性を向上させている。このため、塩基度を1.65未満まで下げても、クロム歩留りが低下するのを防止できる。生石灰を減らし、塩基度を低下させると、SiOの活量係数が増加し、(1)式のクロムの還元反応が起こりにくくなり、2次スラグの(Cr)質量%が高くなる。しかし、図3に示すように、ガス底吹き装置のガスバブリングによって還元反応が進行するので、2次スラグの(Cr)質量%を下げられる。2次スラグの(Cr)質量%を下げられることにより、有利な操業を行なえる。
【0022】
図4は、ガス底吹き装置2aを有する反応容器2の縦断面図である。図4に示すように、反応容器2の鉄皮6の底6aには、耐火物8,9が施される。反応容器2の底部の中央部には、ガス底吹き装置2aのプラグ19が配置される。プラグ19のパイプ部17に不活性ガスを導入すると、プラグ19から反応容器2内に不活性ガスが吹き込まれ、反応容器2内の溶湯が攪拌、すなわちガスバブリングされる。
【0023】
第2工程(S2)の操業は、上記のように1次スラグから(1)式の反応を進行させる。操業の初期では、反応容器2内は1次スラグが主体である。反応の進行とともにフェロクロムの溶湯(メタル21)が生成し、フェロクロムの溶湯(メタル21)の上に2次スラグ22が存在する状態となる。最終的には、2次スラグ22:メタル21の体積比は、概ね4:1となる。粘性の高い2次スラグ22が多量に存在する状態で反応性を高めるためには、撹拌能力を高めることが必要であり、そのために、反応容器2の底部に不活性ガスを吹き込むガス底吹き装置2aを用いる。
【0024】
一般に溶融メタルが主体の場合、撹拌能力を高めるためには、ガス底吹き装置2aのプラグ19を反応容器2の底部の中央部からオフセットさせた位置(偏心位置)に配置するのがよいことが知られている(例えば特開平1-177333号公報参照)。しかし、本実施形態のように、粘性の高い2次スラグ22が多量に存在する場合、ガス底吹き装置2aのプラグ19を反応容器2の底部の偏心位置に配置すると、プラグ19を配置した側とは反対側が弱攪拌状態になり、反対側で未溶解の追装クロム鉱石が残る。これに対し、本実施形態のように、ガス底吹き装置2aのプラグ19を反応容器2の底部の中央部に配置することで、反応容器2内に底部の中央部から上昇した後、放射状に周辺に向かう溶湯の流れが形成される。このため、反応容器2内を均一に攪拌でき、追装クロム鉱石を巻き込んで溶解することが可能になる。反応容器2の底部の中央部を中心にした円上に複数のプラグを配置してもよい。このようにしても、反応容器2内を均一に攪拌できる。
【0025】
なお、クロム歩留りが低下するものの、第2工程の反応容器2として、ランスにより不活性ガスを吹き込む上吹き式の反応容器を用いてもよいし、2基の取鍋を用い、2基の取鍋の間でリレードリングを行うようにしてもよい。
【0026】
第2工程では、還元剤にシリコクロムを用いているが、シリコクロムの他に金属ケイ素等のシリコン系還元剤を用いてもよい。また、シリコン系還元剤の他にアルミ若しくはアルミ合金等のアルミニウム系還元剤、マグネシウム若しくはマグネシウム合金等のマグネシウム系還元剤、又はカルシウム若しくはカルシウム合金等のカルシウム系還元剤を用いてもよい。さらに、これらの還元剤の混合物を用いてもよい。
【0027】
図1に示すように、還元反応によって生成した低炭素フェロクロムの溶湯は、鋳型に鋳込まれて製品となる。製品の低炭素フェロクロムは、Crを60質量%以上、Siを1.0質量%以下、Cを0.1質量%以下含む。一方、還元反応によって生成した2次スラグは、低炭素フェロクロムの溶湯から分離された後、電気炉3(図2参照)又は反応容器に装入される。
【0028】
次に、図1に示すように、2次スラグが装入された電気炉3又は反応容器に還元剤としてのフェロシリコンを装入し、2次スラグ中に残留している酸化クロムと反応させて、回収シリコクロムと3次スラグを生成させる。この還元工程が第3工程(S3)である。
【0029】
ここでは、還元剤としてのフェロシリコンを多量、すなわち酸化クロムの還元当量の1倍以上、望ましくは2倍以上装入し、強還元にして、3次スラグの酸化クロム含有率を1.4質量%以下、望ましくは1.0質量%以下まで低減させる。3次スラグの6価クロムを低減させるためであり、クロム歩留りを向上させるためである。回収シリコクロムのSi含有率は、20質量%以上70質量%以下である。回収シリコクロムのSi含有率が20質量%未満では、3次スラグの酸化クロム含有率が高くなる。回収シリコクロムのSi含有率が70質量%を超えても、3次スラグの酸化クロムの低減効果は小さい。
【0030】
図5は、3次スラグのクロム含有率((Cr)質量%)と回収シリコクロムのSi含有率([Si]質量%)との関係を示すグラフである。図5に示すように、回収シリコクロムのシリコン含有率を30質量%以上にすれば(すなわち2次スラグを強還元すれば)、3次スラグのクロム含有率を1.0質量%以下にすることができる。回収シリコクロムのシリコン含有率が60質量%を超えても、3次スラグのクロム含有率の低減効果は小さい。
【0031】
第3工程は、回収シリコクロムと3次スラグの溶湯の温度を1250℃以上に確保しながら行われる。溶湯の温度が1250℃を下回る場合は、第3工程は電気炉3又は加熱手段を備える反応容器で行われる。
【0032】
3次スラグの塩基度は、1.3未満と低い。塩基度を低くするのは、上記のように3次スラグに有害な6価クロムが生成するのを防止するためである。塩基度を低く調整するために、必要に応じて電気炉3又は反応容器には、副原料としての硅石(SiO)が添加される場合もある。3次スラグは、無害化スラグであり、路盤材又は肥料に用いられ、又は工場に埋め立てられる。3次スラグの6価クロム溶出量(濃度)は、0.05mg/l以下である。
【0033】
回収シリコクロムは、シリコクロムと共に反応容器2に装入される。シリコクロムの一部が回収シリコクロムによって代替されるので、シリコクロムが低減される。回収シリコクロムを第3工程(S3)の電気炉3又は反応容器に装入し、フェロシリコンの一部代替として利用してもよい。
【0034】
第3工程では、電気炉3を使用しても反応容器を使用してもよい。第3工程(S3)で電気炉3を使用すれば、還元反応の反応性を向上させることができるので、3次スラグの塩基度を1.3未満まで下げても、クロム歩留りが低下するのを防止できる。電気炉3にガス底吹き装置を設けてもよい。反応容器は、ガス底吹き装置を有する反応容器でもよいし、ランスから不活性ガスを吹き込む上吹き式の反応容器でもよい。電気炉3又は反応容器に設けられるガス底吹き装置は、前述した第2工程の反応容器2のガス底吹き装置2aと同様に、電気炉3又は反応容器の底部の中央部に配置されるのが望ましい。第2工程におけるスラグとメタルの体積比は約4:1であるのに対し、第3工程におけるスラグとメタルの体積比は約10:1である。第3工程の溶湯の攪拌力を高めるために、第3工程の溶湯1t当たりの攪拌ガス量(l/min)を第2工程の溶湯1t当たりの攪拌ガス量(l/min)よりも大きくするのが望ましい。
【0035】
2次スラグには、例えば工場に埋め立てられ又は工場に仮置きされて固化した固化スラグを添加してもよい。固化スラグは、以前の低炭素フェロクロムの製造方法の操業で製造された2次スラグ(従来の2基の取鍋を用いたリレードリングによって製造された2次スラグ及び/又は本実施形態の反応容器2を用いたガスバブリングによって製造された2次スラグ)が固化したスラグを含み、酸化クロムを含む。固化スラグの酸化クロム含有率は、1.4質量%以上でもよい。2次スラグに固化スラグを添加する場合、第3工程を電気炉3又は加熱手段を備える反応容器で行い、2次スラグの溶湯を保温すると共に、固化スラグを再溶解させる。固化スラグを1次スラグを生成する電気炉1に添加してもよい。
【0036】
なお、上記実施形態では、第3工程の還元剤にフェロシリコンを用いているが、フェロシリコンの他に金属ケイ素等のシリコン系還元剤を用いてもよい。また、シリコン系還元剤の他にアルミ若しくはアルミ合金等のアルミニウム系還元剤、マグネシウム若しくはマグネシウム合金等のマグネシウム系還元剤、又はカルシウム若しくはカルシウム合金等のカルシウム系還元剤を用いてもよい。さらに、これらの還元剤の混合物を用いてもよい。
【0037】
スラグの酸化クロム含有率の定量化方法、スラグの塩基度の定量化方法を説明する。スラグの酸化クロム含有率は、スラグのCr含有率を酸化物換算したものである。具体的には、酸化クロムを全量Crとして、酸化クロム含有率=Cr含有率×152/104とする。本実施形態のように3次スラグの酸化クロム含有率を1.4質量%以下にすることは、3次スラグのクロム含有率を1.4×104/152=0.96≒1質量%以下にすることを意味する。スラグのクロム含有率は((Cr)質量%)で表される。スラグの酸化クロム含有率は(Cr質量%)で表される。スラグのCrの定量化方法には、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析方法を使用する。この分析方法において、試料の分解には「JIS G1313-1 2012 アルカリ融解による分解」を援用する。
【0038】
スラグの塩基度(CaO/SiO)は、スラグのCaO含有率/スラグのSiO含有率で表される。スラグのCaO含有率は、スラグのCa含有率を酸化物換算したものであり、CaO含有率=Ca含有率×56/40である。スラグのSiO含有率は、スラグのSi含有率を酸化物換算したものであり、SiO含有率=Si含有率×60/28である。スラグのCaとSiの定量化方法には、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析方法を使用する。この分析方法において、試料の分解には「JIS G1313-1 2012 アルカリ融解による分解」を援用する。
【0039】
図6は、3次スラグのクロム含有率((Cr)質量%)、3次スラグの塩基度(CaO/SiO)、3次スラグの6価クロムの濃度(mg/l)の関係を示すグラフである。
【0040】
図6に示すように、3次スラグのクロム含有率((Cr)質量%)を1質量%以下、すなわち酸化クロム含有率(Cr質量%)を1.4質量%以下にし、塩基度(CaO/SiO)を0.9~1.3に調整することで、3次スラグの6価クロムの濃度を0.04(mg/l)以下に低減することができる。この値は、環境庁告示第46号で定める環境基準の0.05(mg/l)以下を満たす。
【0041】
これに対し、塩基度(CaO/SiO)が1.4~1.6の場合、6価クロムの濃度を0.04(mg/l)以下に低減するためには、スラグのクロム含有率((Cr)質量%)を0.3未満に維持させなければならず、安定的な操業ができない。また、塩基度(CaO/SiO)が1.7以上の場合、3次スラグが冷却後に崩壊する。
【0042】
6価クロムの濃度(mg/l)の分析、測定には、平成3年8月環境庁告示第46号の6価クロムの溶出試験を用いる。環境庁告示第46号には、人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持することが望ましい基準(「環境基準」)として、6価クロムの濃度が0.05(mg/l)以下であることが定められている。表2には、環境庁告示第46号で定める溶出試験の試験方法を示す。
【表2】
【0043】
以上に本実施形態の低炭素フェロクロムの製造方法を説明した。本実施形態の低炭素フェロクロムの製造方法によれば、以下の効果を奏する。
【0044】
2次スラグの塩基度を1.65未満とすることで、3次スラグの塩基度を1.3未満にすることができ、3次スラグを無害化することができる。
【0045】
第2工程(S2)において、熱効率、攪拌能力が高いガス底吹き装置2aを有する反応容器2を使用するので、還元反応の反応性を向上させることができる。このため、クロム歩留りを低下させることなく、塩基度を1.65未満まで下げることができ、石灰量を減少させた操業を行える。また、ガス底吹き装置2aを有する反応容器2を使用するので、追装クロム鉱石を増やすことができ、電力原単位を低減させることができる。電力原単位は、製品t当たりに使用された電力量であり、具体的には(1次スラグ溶解電力量/製品生産量)である。
【0046】
第3工程(S3)において、電気炉3又は反応容器に副原料としての硅石を装入するので、3次スラグの塩基度を1.3未満に容易に調整することができる。
【0047】
第3工程(S3)において、2次スラグに固化スラグを添加するので、例えば工場に埋め立てられ又は仮置きされた固化スラグを無害化させることができる。
【0048】
第3工程(S3)において、固化スラグの溶解及び溶解した固化スラグの還元を電気炉で行うので、還元反応の反応性を向上させることができる。
【0049】
第3工程(S3)において、2次スラグからクロム含有金属(回収シリコクロム)を回収するので、クロム歩留りを向上させることができる。
【0050】
不活性ガスとしてアルゴンを使用することが好ましい。アルゴンを使用することで、攪拌力を大きくすることができ、製品の低炭素フェロクロムに窒素が混入するのを防止できる。
【0051】
低炭素フェロクロム(Crを60質量%以上、Siを1.0質量%以下、Cを0.1質量%以下)を製造するに際し、クロム歩留りを95%以上に向上させることができる。
【0052】
第1工程(S1)の電気炉が固定型電気炉1であるので、1次スラグの溶解性を向上させることができる。また、出湯時に止電することなく連続通電が可能なので、稼働率を向上させることができる。
【0053】
第1工程(S1)の1次スラグの出湯温度が1400℃以上2000℃以下の高温であるので、第2工程(S2)の還元反応の反応性を向上させることができる。
【0054】
3次スラグの酸化クロム含有率が1.0質量%以下であり、3次スラグの塩基度が0.9以上1.1未満であるので、3次スラグに有害な6価クロムが生成するのをより防止できる。
(第2の実施形態)
【0055】
図7は、本発明の第2の実施形態の低炭素フェロクロムの製造方法の第3工程の工程図である。第1工程と第2工程は、第1の実施形態の低炭素フェロクロムの製造方法と同一であるので、その説明を省略する。
【0056】
電気炉には、固化スラグ、還元剤、副原料が装入される。固化スラグは、上述のとおりである。還元剤は、シリコン系還元剤、アルミニウム系還元剤、マグネシウム系還元剤、カルシウム系還元剤、又はこれらの還元剤の混合物である。還元剤は、固化スラグのクロム酸化物、鉄酸化物の還元当量の1倍以上、望ましくは2倍以上添加される。副原料は、硅石、生石灰等であり、3次スラグの塩基度を調整するために使用される。
【0057】
電気炉では、固化スラグ、還元剤、副原料を溶解させ、溶解した固化スラグを還元剤によって還元し、クロム含有金属と3次スラグを生成させる(S31)。3次スラグの酸化クロム含有率は1.4質量%以下、塩基度は1.3未満に調整される。
【0058】
3次スラグの酸化クロム含有率を1.4質量%以下、3次スラグの塩基度を1.3未満に調整することで、第1の実施形態のS3と同様に、3次スラグの6価クロムの濃度を0.04(mg/l)以下に低減することができる。このため、工場内に埋め立てられ又は仮置きされている有害な固化スラグを無害な3次スラグに転換することができる。また、生成したクロム含有金属を還元剤として再利用することができる。
【0059】
なお、図7の一点鎖線で示すように、第2工程において生成された2次スラグを電気炉に装入してもよい。また、電気炉にガス底吹き装置を設けてもよい。
【0060】
第2の実施形態の低炭素フェロクロムの製造方法によれば、第1の実施形態の低炭素フェロクロムの製造方法と同様な効果を奏する。
(第3の実施形態)
【0061】
図8は、本発明の第3の実施形態の低炭素フェロクロムの製造方法の第3工程の工程図である。第1工程と第2工程は、第1の実施形態の低炭素フェロクロムの製造方法と同一であるので、その説明を省略する。
【0062】
第2の実施形態の低炭素フェロクロムの製造方法の第3工程では、固化スラグの溶解及び溶解したスラグの還元を電気炉で行っている(S31)。これに対し、第3の実施形態の低炭素フェロクロムの製造方法の第3工程では、固化スラグの溶解を電気炉で行い(S301)、溶解した固化スラグの還元を反応容器で行っている(S302)。
【0063】
電気炉には、固化スラグと3次スラグの塩基度を調整するための硅石、生石灰等の副原料が装入される。電気炉は、固化スラグと副原料を溶解させる(S301)。溶解した固化スラグと副原料は、電気炉から反応容器に出湯される。反応容器には、リレードリングを行う2基の取鍋を用いてもよいし、ガス底吹き装置を有する反応容器を用いてもよいし、上吹き式の反応容器を用いてもよい。
【0064】
反応容器では、溶解した固化スラグを還元剤によって還元し、クロム含有金属と3次スラグを生成させる(S302)。3次スラグの酸化クロム含有率は1.4質量%以下、塩基度は1.3未満に調整される。
【0065】
なお、図8の一点鎖線で示すように、第2工程において生成された2次スラグを電気炉に装入してもよい。また、固化スラグを含むスラグの溶解と還元を電気炉で行った後、溶解したスラグの仕上げの還元を反応容器としての取鍋で行ってもよい。さらに、電気炉にガス底吹き装置を設けてもよい。
【0066】
第3の実施形態の低炭素フェロクロムの製造方法によれば、第1の実施形態の低炭素フェロクロムの製造方法と同様な効果を奏する。
(実施例1)
【0067】
図1の製造工程図に従って低炭素フェロクロムを製造した。表3には、本実施例で使用した原料であるクロム鉱石の組成を示す。
【0068】
【表3】
【0069】
クロム鉱石1750kg、生石灰830kgを固定型電気炉1に装入し、溶解させて1次スラグを溶製した。1次スラグを反応容器2に出湯し、その中にシリコクロム310kgと、回収シリコクロム260kgを装入した。次いで、反応容器2にアルゴンガスを底吹きして攪拌した。そして、生成した2次スラグを分離し、得られた低炭素フェロクロム1000kgの溶湯を鋳型に鋳込んで製品にした。表4には、製品である低炭素フェロクロムの組成を示す。表5には、2次スラグの組成を示す。2次スラグの塩基度は1.32であった。フェロクロムの各成分の定量化方法は、「JIS G1301-1~5 2012」に規格化されている。
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】
一方、分離した2次スラグを反応容器に受け、フェロシリコン230kgを装入し、反応容器にアルゴンガスを底吹きして攪拌した。次いで、生成した3次スラグと回収シリコクロムを分離し、3次スラグ1930kgと回収シリコクロム260kgを得た。この回収シリコクロムはシリコクロムと共に1次スラグに装入した。表6には、3次スラグの組成を示す。表7には、回収シリコクロムの組成を示す。
【0073】
【表6】
【0074】
【表7】
【0075】
表6に示すように、3次スラグの塩基度は37.0/36.5≒1.01であった。3次スラグは、冷却後に自然崩壊を起こさないものであり、6価クロムの溶出も確認されなかった。表8に示すように、クロムの歩留りは、97%以上という高い値が得られた。
【0076】
【表8】
(実施例2)
【0077】
実施例1と同様に、図1の製造工程図に従って低炭素フェロクロムと2次スラグを生成した。表9には、実施例2の2次スラグの組成を示す。2次スラグの塩基度は1.63であった。
【0078】
【表9】
【0079】
実施例1と同様に、図1の製造工程図に従って2次スラグから回収シリコクロムと3次スラグを生成した。表10には、実施例2の3次スラグの組成を示す。3次スラグの塩基度は1.29であった。3次スラグは、冷却後に自然崩壊を起こさないものであり、6価クロムの溶出も確認されなかった。
【0080】
【表10】
(実施例3)
【0081】
実施例1と同様に、図1の製造工程図に従って2次スラグと3次スラグを生成した。表11には、本発明の範囲を満たす操業1~4の2次スラグと3次スラグの塩基度(CaO/SiO)、酸化クロム含有率(Cr質量%)、Cr歩留り(%)、6価クロム溶出量(濃度(mg/l))を示す。操業1~3では、6価クロムは検出されず、操業4では、6価クロムの検出限界値であった。操業4において、反応性が低下してクロム歩留りが95%まで低下したが、操業1~4において、クロム歩留りは95.0%以上であった。
【表11】
(従来例)
【0082】
図9の製造工程図に従って低炭素フェロクロムを製造した。この低炭素フェロクロムの製造工程においては、1次スラグの還元操作をリレードリングによって行う点、2次スラグから回収シリコクロムを回収し、これを1次スラグに添加する操作を行っていない点が本実施例と相違する。表12には、従来例で使用した原料であるクロム鉱石の組成を示す。
【0083】
【表12】
【0084】
クロム鉱石1740kg、生石灰1060kgを電気炉に装入し、溶解させて1次スラグを溶製した。1次スラグを取鍋に出湯し、その中に600kgのシリコクロムを装入した。次いで、リレードリングにより攪拌した。そして、生成した2次スラグ2200kgを分離し、得られた低炭素フェロクロム1000kgの溶湯を鋳型に鋳込んで製品にした。表13には、製品である低炭素フェロクロムの組成を示し、表14には、2次スラグの組成を示す。
【0085】
【表13】
【0086】
【表14】
【0087】
表14に示すように、従来例では、2次スラグの酸化クロム含有率が6.4%と高く、塩基度も1.70という高い値であった。表15に示すように、クロムの歩留りは、85%という低い値であった。2次スラグ中に有害な6価クロムが発生した。
【0088】
【表15】
【0089】
本明細書は、2019年7月12日出願の特願2019-130324に基づく。この内容はすべてここに含めておく。
【符号の説明】
【0090】
S1…第1工程
S2…第2工程
S3…第3工程
1…電気炉(固定型電気炉)
2…反応容器
3…電気炉
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9