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特許7035282水銀の放射線インベントリの放射線学的特徴付けのための方法
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  • 特許-水銀の放射線インベントリの放射線学的特徴付けのための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-04
(45)【発行日】2022-03-14
(54)【発明の名称】水銀の放射線インベントリの放射線学的特徴付けのための方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/167 20060101AFI20220307BHJP
   G21F 9/22 20060101ALI20220307BHJP
   G21F 5/002 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
G01T1/167 C
G21F9/22 Q
G21F5/002
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021547640
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 DE2020100480
(87)【国際公開番号】W WO2020249159
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-04-23
(31)【優先権主張番号】102019115733.1
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521176813
【氏名又は名称】アルゲンタム ビウム ソリューションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100163544
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 緑
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(72)【発明者】
【氏名】フランク,ミハエル
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-024133(JP,A)
【文献】Larissa Klass et al.,Measurement Concept for a Possible Clearance of Mercury Waste from Nuclear Facilities,WM2019 Conference,2019年03月03日,19138
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/167
G21F 9/22
G21F 5/002
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水銀の放射線インベントリの放射線学的特徴付けのための方法であって、以下のステップによって特徴付けられる:
a.所定量の水銀を提供する、
b.提供された水銀の少なくとも一部を蒸発させる、
c.ガス状水銀によって放出される放射性γ放射線を検出する。
【請求項2】
さらなる工程を付加する、請求項1に記載の方法:
d.ガス状水銀を凝縮させる、
e.凝縮した水銀を回収する、そして、
f.測定された放射性γ放射線の関数としての水銀の処分をする。
【請求項3】
提供される水銀の量、および/または蒸発のために提供される水銀の部分量、および/または回収された凝縮水銀、を秤量することを特徴とする、請求項1-2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
提供される水銀の量、および/または蒸発のために提供される水銀の部分量、および/または回収された凝縮水銀の秤量、に基づいて、測定された放射性γ放射線を計算することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記放射性γ放射線の前記検出が、前記放射性γ放射線のガンマ分光測定を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
記録されたガンマスペクトルの手段によって水銀に含まれる放射性核種を決定することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記水銀は、測定された放射性γ放射線および前記水銀に含まれる特定の種類の放射性核種の関数として処分されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
水銀の放射線インベントリの放射線学的特徴付けのための装置であって、
* 検査されるべき水銀試料を受け入れるための貯蔵容器(2)と、
* 水銀試料を蒸発させるための貯蔵容器(2)に作用する加熱装置(4)と、
* 貯蔵容器(2)に接続され、ガス状水銀から発する放射性γ放射線を検出するためのガンマ分光計を有する、測定セクション(5)と、
* 測定セクション(5)を通過した水銀試料を回収するための測定セクション(5)に接続された収集容器(7)、
を有する装置。
【請求項9】
前記測定セクション(5)に作用する、さらなる加熱装置(4)を特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記測定セクション(5)と前記収集容器(7)との間に配置され、前記ガス状水銀を凝縮させる冷却装置(6)を有することを特徴とする請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
貯蔵容器(2)中の水銀試料の質量を測定するための第1のスケール(3)および/または収集容器(7)中の水銀試料の質量を測定するための第2のスケール(3)を有することを特徴とする請求項8~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記装置が、真空気密および圧力気密であるように設計されていることを特徴とする、請求項8~11のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水銀の放射線インベントリ(inventory)の放射線学的特徴付けのための方法に関する。本発明は、この方法を実施するための装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
水銀は、例えば、いわゆるホットセルにおけるシーリング材料としての使用、すなわち、高放射性物質の取扱いおよび短期貯蔵のための高度に遮蔽された空間としての使用、または放射性物質で汚染され得る加速器システムにおける破砕標的としての使用から、汚染除去および/または放出手順の過程において、放射線学的に特徴付けられなければならない。
【0003】
水銀に含まれる(他の元素の)放射性核種を定量するには、通常、個々の試料についてのガンマ線分光測定を用いて総質量を特性化する。この場合、このようにして検出不可能な放射性核種は、破壊分析法を用いて追加的に定量化され、適切な核種ベクトルを導出するために考慮される。
【0004】
この手順は評価されるべき総量についての結論を引き出すために試料を使用できるようにするために、検査される試料が典型的標準的でなければならないという点で問題がある。
しかしながら、水銀をサンプリングするための再現可能な結果を有する標準化された均質化方法は知られていない。
【0005】
さらに、放射線インベントリに関する水銀の放射線学的特徴付けは、放射性放射線の測定が水銀の高レベルの遮蔽によって妨害されるという問題を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、水銀の規範的な放射線学的特徴付けを可能にする方法を創出することである。特に、本発明の目的は、放射線インベントリに関して適切な汚染除去および/または放出手順を開始することができるように、放射性核種、特に他の非水銀元素からの放射性核種による水銀の汚染を検査するための方法を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴を有する方法及び請求項7の特徴を有する装置を用いて達成される。従属請求項はそれぞれ、本発明の有利な実施形態を記載している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】水銀の放射線インベントリの放射線学的特徴付けのための真空気密および圧力気密装置の特に好ましい例示的な実施形態の概略構造
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の基本的な考え方は、他の元素の放射性核種で放射能汚染され得る水銀を、水銀原子間の距離を増加させ、水銀に含まれる他の元素の放射性核種に対する水銀の遮蔽効果を減少させるガス状凝集状態に変換することである。
この手順は試料の前処理、特に均質化を必要とすることなく、対応する所定のパラメータ、特に圧力及び温度が関連付されるならば、水銀の標準化された放射線学的特徴付けを可能にする。
特に、この方法は、特徴付けられるべき全質量の連続的な測定を可能にする。
【0010】
特に、例えば、ホットセルのための封止材料として、または破砕ターゲットとしての使用から使用される水銀の総量が、その放射線インベントリに関して連続的に測定される場合、対応する画分において測定される放射能に関する水銀の分別が提供される。
この措置の結果として、放射能が増加した場合、明細に従った総量を処分する必要はなく、高レベルの放射能でそれに対応して汚染された画分のみを処分することで十分である。
【0011】
既知方法とは対照的に、本発明は、水銀の定性的および定量的に信頼できる特徴付けを可能にする。
【0012】
例えば、米国特許出願公開第2017/0160409号明細書から知られている、ガス状態に変換されたサンプルを多数のシンチレーションボデイーと直接接触させることによってβ-エミッタの均一なサンプルの測定を改善するだけの方法とは対照的に、本発明の方法は複雑な試料処理を必要とせずに、その中にコンタミされるγ-エミッタのインべントリーに対する水銀の遮蔽の影響を排除する。
【0013】
したがって、本発明によれば、水銀の放射線インベントリの放射線学的特徴付けのための方法が、以下のステップを用いて可能とされる。
a.所定量の水銀を提供する。
b.提供された水銀の少なくとも一部を蒸発させる。そして、
c.ガス状水銀によって放出される放射性γ放射線を検出する。
提供される水銀は、特に、ホットセルからの封止材料、または破砕ターゲットとしての使用からの水銀である。
【0014】
さらなる工程は、以下である;
d.ガス状水銀を凝縮させる。
e.凝縮した水銀を集める。そして、
f.測定された放射性γ放射線の関数としての水銀の処分が提供され、ここで、該処分は、水銀のプロセッシングを含むことができ、一般的な規制に従って行われる。
【0015】
1つのさらなる好ましい実施形態は、提供される水銀の量および/または蒸発のために提供される水銀の部分量および/または収集される凝縮水銀が、秤量されることを提供し、特に好ましくは、比放射能が、提供される水銀の量および/または蒸発のために提供される水銀の部分量および/または収集される凝縮水銀の、重量に対する測定された放射性γ放射線の計算に基づいて決定される。
【0016】
この方法は、具体的にはガンマ分光法を用いて放射性放射線を測定し、放射性放射線スペクトルを記録することによる放射性γ放射線の検出を含む。
この方法は、特に好ましくは、記録されたガンマスペクトルの手段による、水銀中に含まれる放射性核種の測定、およびガンマ分光法の手段によるそれらの定量的測定を可能にする。
したがって、水銀は、測定された放射性γ放射線および水銀に含まれる測定された放射性核種のタイプ、に応じて、特に好ましい方法で、処分することができる。
【0017】
同様に、本発明によれば、検査される水銀試料を受けいれるための貯蔵容器と、水銀試料を蒸発させるために貯蔵容器に作用する加熱装置と、貯蔵容器に接続され、ガス状水銀から発するγ放射線を検出するためのγ放射線分光計を有する測定セクションと、測定セクションを通過した水銀試料を収集するために測定セクションに接続された収集容器とを有する、水銀の放射線インベントリの放射線学的特徴付けのための装置が提供される。
【0018】
好ましくは、測定セクションに作用するさらなる加熱装置が設けられ、測定セクション内の貯蔵容器、例えばパイプラインからの水銀を気体状態に保つ。
【0019】
さらに、測定セクションと収集容器との間に、試料を元の状態に変換することができるように、ガス状水銀を凝縮させるための冷却装置を設けることが好ましい。
【0020】
さらに、第1のスケールは、好ましくは貯蔵容器内に配置された水銀試料の質量を決定するために提供され、および/または、第2のスケールは、収集容器内に配置された水銀試料の質量を決定するために提供される。
一方では、スケールが、水銀試料の比放射能を決定するために使用することができる。
一方、スケールの値を比較することによって、測定の質および装置の安全性をチェックすることができる。
【0021】
最後に、安全上の理由から、装置は、真空気密及び圧力気密であるように設計されることが好ましい。
【0022】
本発明は、添付の図面に示される特に好ましい例示的な実施形態を参照して、以下により詳細に説明される:
【0023】
図1は、水銀の放射線インベントリの放射線学的特徴付けのための真空気密および圧力気密装置の特に好ましい例示的な実施形態の概略構造を示す。この装置は、貯蔵容器1を有し、この貯蔵容器1から検査すべき水銀試料が貯蔵容器2に移送される。貯蔵容器2は、検査される水銀試料を受け入れるように設計され、水銀試料を蒸発させるために貯蔵容器2に作用する加熱装置4を備えている。
【0024】
貯蔵容器2に続いて、貯蔵容器2に接続され、ガス状水銀から放出される放射性γ放射線を検出するためのガンマ分光計を有する測定セクション5がある。
測定セクション5は、次に、気体状の水銀が、凝縮されて、捕集装置7に移送される、冷却装置6に接続されている。
【0025】
貯蔵容器2に作用する加熱装置4に加えて、測定セクション5に作用する別の加熱装置4が設けられ、水銀試料が測定セクション5内で凝縮するのを防止する。
【0026】
最後に、貯蔵容器2内に配置された水銀試料の質量を測定するための第1のスケール3と、収集容器7内に配置された水銀試料の質量を測定するための第2のスケール3とが設けられている。
【0027】
装置は、好ましくは、貯蔵容器2が、充填され、閉鎖された後に、ヒータ4のスイッチが入れられるように使用される。特に、測定セクションに作用する加熱装置は、必要な作動温度に達するまで、最初に、スイッチが入り、その後にのみ、貯蔵容器2に作用するヒータ4のスイッチが入る。真空が有利に適用される。
【0028】
沸点に達した後、水銀試料は蒸発し、水銀蒸気は、貯蔵容器2から加熱された測定セクション5を通って冷却装置6に流れ、そこで水銀蒸気が凝縮する。そこから、水銀は、収集容器7内に移動し、測定の終端後に除去され、廃棄または処理のために送られることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 保管容器
2 収納容器
3 スケール
4 加熱装置若しくはヒータ
5 測定セクション
6 冷却装置
7 回収容器若しくは収集容器若しくは捕集容器
図1