(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】仕分けシステム
(51)【国際特許分類】
B65G 47/46 20060101AFI20220308BHJP
B65G 17/10 20060101ALI20220308BHJP
B65G 43/08 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
B65G47/46 H
B65G17/10 A
B65G43/08 A
(21)【出願番号】P 2018063251
(22)【出願日】2018-03-28
【審査請求日】2021-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100097319
【氏名又は名称】狩野 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100151002
【氏名又は名称】大橋 剛之
(74)【代理人】
【識別番号】100201673
【氏名又は名称】河田 良夫
(72)【発明者】
【氏名】菱沼 信也
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開平1-139418(JP,A)
【文献】特開2017-178610(JP,A)
【文献】特開2017-48018(JP,A)
【文献】特開平2-182614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/46
B65G 17/10
B65G 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行方向と直交する方向を搬送方向とする少なくとも2つのクロスソータ用コンベヤを前記走行方向に並置した搬送台車を複数連結した仕分けコンベヤを用いて、搬送物を搬送ルートに沿って搬送する仕分けシステムにおいて、
前記搬送台車の側方に且つ前記走行方向に沿って、前記少なくとも2つのクロスソータ用コンベヤの各々に対応して設けられる台車側通信部と、
1台の前記搬送台車に配置される前記台車側通信部と同一数、前記搬送ルートに設けられ、前記搬送台車の側方に設けられた前記台車側通信部の各々と同時に対面することが可能な地上側通信部と、
前記地上側通信部と接続され、前記地上側通信部で送受信される情報の管理を行う地上側管理装置と、
複数の前記搬送台車の少なくとも1つに設けられ、複数の前記搬送台車が各々有する前記台車側通信部で送受信される情報に基づいて、複数の前記搬送台車の動作状況を管理する台車側管理装置と、
前記搬送ルートに設けられ、走行する前記搬送台車に設けた前記台車側通信部に向けて、光を送信する光送信装置と、
を有し、
前記台車側管理装置は、
走行する前記搬送台車の速度に対応した前記少なくとも2つのクロスソータ用コンベヤの制御データを複数記憶した記憶部と、
前記台車側通信部によって受信される前記光送信装置から送信された光の受信間隔から前記搬送台車の速度を計測する計測部と、
前記計測部により計測された前記搬送台車の速度に応じた制御データを前記記憶部から読み出し、読み出した制御データを用いて、前記少なくとも2つのクロスソータ用コンベヤを駆動制御する制御部と、
を有することを特徴とする仕分けシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の仕分けシステムにおいて、
前記地上側通信部及び前記台車側通信部は、8ビットデータを送受信可能な複数の送信部及び複数の受信部を有し、
前記計測部は、前記台車側通信部が有する前記複数の受信部のいずれかの受信部によって、前記光送信装置からの光を受光した間隔に基づいて、前記搬送台車の速度を計測する
ことを特徴とする仕分けシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の仕分けシステムにおいて、
前記光送信装置は、前記光を2ビットデータとして送信し、
前記台車側通信部は、前記複数の受信部のうち、前記搬送物を投入するときのクロスソータ用コンベヤの駆動方法を示す情報を2ビットデータで受信する2つの受信部により、前記光を受信する
ことを特徴とする仕分けシステム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の仕分けシステムにおいて、
前記制御部は、前記計測部により計測された前記搬送台車の速度が変化したときに、前記少なくとも2つのクロスソータ用コンベヤの駆動制御を停止する
ことを特徴とする仕分けシステム。
【請求項5】
請求項4に記載の仕分けシステムにおいて、
前記制御部は、前記計測部により計測された前記搬送台車の速度が安定してから所定時間経過したときに、前記少なくとも2つのクロスソータ用コンベヤの駆動制御を開始する
ことを特徴とする仕分けシステム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の仕分けシステムにおいて、
前記台車側管理装置は、前記搬送ルートを走行する複数の前記搬送台車を所定数毎にグループ分けした各グループに含まれる搬送台車の1つに配置される
ことを特徴とする仕分けシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕分けコンベヤが有する複数の搬送台車を搬送ルートに沿って走行させながら、投入コンベヤにより移送された搬送物を受け取ることで搬送物を搬送し、目的の位置に配置された払出シュートや払出コンベヤに搬送物を送り出す仕分けシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
移送された物品(以下、搬送物と称する)を載置し、所定位置で載置した搬送物を搬送台車の走行方向と直交する方向に移送するコンベヤを有する搬送台車を多数連結した仕分けコンベヤを適宜の駆動装置を用いて駆動させ、その駆動時に各搬送台車をループ状の搬送ルートに沿って一定速度で走行させる仕分けシステムが一般的に知られている。
【0003】
このような仕分けシステムにおいて搬送物を供給コンベヤ(投入コンベヤに相当)から空の搬送台車に受け渡す方法として、荷物の長さ及び供給コンベヤの幅方向における中心から前記荷物の重心までのずれ量に基づいて、搬送台車が有するキャリアベルトの駆動を制御して、荷物を搬送台車の所定位置で載置させることが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、仕分けシステムにおいて搬送物を搬送台車から仕分けシュートに送り出す方法として、例えば搬送ルートを走行する搬送台車に搬送物を載置するトレーを設け、地上側に設けた地上局から機上局を介して搬送台車に送信された制御情報に基づいてトレーを傾斜させて、目的の仕分けシュートに搬送物を払い出すことが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許3051879号公報
【文献】特開2010-265077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば特許文献1において、仕分けコンベヤは、地上側に設置された制御装置によって動作制御されるものである。搬送台車キャリアベルトの駆動モータである操作器だけが走行側にあり、また、制御に用いられるセンサや該センサで得られた信号から操作器へ出力する信号演算を行う制御装置もすべて地上側にあり、演算された出力信号を単に受け取るために各搬送台車に操作器の正逆転、タイミングのための信号受渡し装置が投入部と払い出し部とに必要である。したがって、仕分けコンベヤに係る制御が地上側に設置された制御装置に集中し、制御に係る負担が大きい。また、特許文献2においては、搬送台車に搭載されるトレー傾動装置は、ロータリーソレノイドを用いて作動するもので、例えば地上局からロータリーソレノイドの駆動電力の供給やトレー傾動用の制御信号を受けて作動する。したがって、特許文献2では、地上側の制御装置の他に、搬送台車側に制御装置を有することになるが、トレー傾動用の制御信号は即時的に動作させる信号であることから、特許文献2の仕分けコンベヤでは、搬送台車側に記憶や演算を実行するための高度なコントローラを搭載するものではない。
【0007】
ところで、上述した仕分けシステムは、想定される搬送物の仕分け量に基づいた一定の速度で仕分けコンベヤを走行させることが多い。したがって、実際に仕分ける荷物の仕分け量が、想定される仕分け量よりも少ない場合には、数多くの搬送台車において荷物が載置されていない空の状態で走行することになる。その一方で、実際に仕分ける荷物の仕分け量が、想定される仕分け量以上となる場合には、各搬送台車に荷物を載置した状態で走行することになるが、仕分けシュートに払い出された荷物を移動するなどの処理が追いつかずに、数多くの荷物が仕分けシュートに貯留された状態となる。この場合、搬送台車に載置された荷物を仕分けシュートに払い出すことができず、荷物を載置した状態で搬送台車が走行することになる。したがって、仕分けコンベヤにおける各搬送台車の走行速度を一定の速度とした場合、必要以上の電力を浪費することになる。
【0008】
その対策として、実際に仕分ける荷物の仕分け量に基づいて搬送台車の走行速度を調整することも考えられるが、搬送台車の走行速度を調整できるようにすると、載せ込み及び払い出しでの各搬送台車のキャリアベルトの駆動速度や、キャリアベルト駆動速度の変化に伴う始動タイミングや、さらには供給コンベヤの走行速度なども調整する必要があり、地上側に設置された制御装置に係る制御負担、特に台車走行速度変化対応のためのセンサの増加とその演算処理などがさらに増大することになる。
【0009】
本発明は、必要以上の電力を浪費しなくとも、搬送物の搬送状態に応じた搬送能力を確保できるようにした仕分けコンベヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明の仕分けシステムは、走行方向と直交する方向を搬送方向とする少なくとも2つのクロスソータ用コンベヤを前記走行方向に並置した搬送台車を複数連結した仕分けコンベヤを用いて、搬送物を搬送ルートに沿って搬送する仕分けシステムにおいて、前記搬送台車の側方に且つ前記走行方向に沿って、前記少なくとも2つのクロスソータ用コンベヤの各々に対応して設けられる台車側通信部と、1台の前記搬送台車に配置される前記台車側通信部と同一数、前記搬送ルートに設けられ、前記搬送台車の側方に設けられた前記台車側通信部の各々と同時に対面することが可能な地上側通信部と、前記地上側通信部と接続され、前記地上側通信部で送受信される情報の管理を行う地上側管理装置と、複数の前記搬送台車の少なくとも1つに設けられ、複数の前記搬送台車が各々有する前記台車側通信部で送受信される情報に基づいて、複数の前記搬送台車の動作状況を管理する台車側管理装置と、前記搬送ルートに設けられ、走行する前記搬送台車に設けた前記台車側通信部に向けて、前記光を送信する光送信装置と、を有し、前記台車側管理装置は、走行する前記搬送台車の速度に対応した前記少なくとも2つのクロスソータ用コンベヤの制御データを複数記憶した記憶部と、前記台車側通信部によって受信される前記光送信装置から送信された光の受信間隔から前記搬送台車の速度を計測する計測部と、前記計測部により計測された前記搬送台車の速度に応じた制御データを前記記憶部から読み出し、読み出した制御データを用いて、前記少なくとも2つのクロスソータ用コンベヤを駆動制御する制御部と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、前記地上側通信部及び前記台車側通信部は、8ビットデータを送受信可能な複数の送信部及び複数の受信部を有し、前記計測部は、前記台車側通信部が有する前記複数の受信部のいずれかの受信部によって、前記光送信装置からの光を受光した間隔に基づいて、前記搬送台車の速度を計測することを特徴とする。
【0012】
この場合、前記光送信装置は、前記光を2ビットデータとして送信し、前記台車側通信部は、前記複数の受信部のうち、前記搬送物を投入するときのクロスソータ用コンベヤの駆動方法を示す情報を2ビットデータで受信する2つの受信部により、前記光を受信することが好ましい。
【0013】
また、前記制御部は、前記計測部により計測された前記搬送台車の速度が変化したときに、前記少なくとも2つのクロスソータ用コンベヤの駆動制御を停止することを特徴とする。
【0014】
また、前記制御部は、前記計測部により計測された前記搬送台車の速度が安定してから所定時間経過したときに、前記少なくとも2つのクロスソータ用コンベヤの駆動制御を開始することを特徴とする。
【0015】
なお、前記台車側管理装置は、前記搬送ルートを走行する複数の前記搬送台車を所定数毎にグループ分けした各グループに含まれる搬送台車の1つに配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、搬送台車を無端状に複数連結した仕分けコンベヤを用いて搬送物を搬送ルートに沿って搬送する仕分けシステムにおいて、搬送ルートに沿った走行速度を可変にするのに、走行する搬送台車に搭載され複数の搬送台車の動作状況を管理する台車側管理装置を設けることで、搬送台車の走行速度に応じたクロスソータ用コンベヤ駆動のサーボモータ運転パターン変更、つまりクロスソータ用コンベヤの駆動速度や始動タイミングの変更を、地上側の制御を複雑化させずに実際上初めてできるようになった。
【0017】
本発明によれば、上記の構成により搬送物の高い仕分け能力と同時に、搬送物の高い搬送効率を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】搬送台車の構成の一実施形態を示す上面図である。
【
図4】
図2に示す搬送台車を前方から視認したときの図である。
【
図5】搬送ルートに設置される投入コンベヤと、第1地上側通信ユニット及び第2地上側通信ユニットとの位置関係の一例を示す上面図である。
【
図6】仕分けシステムの一例を示す機能ブロック図である。
【
図7】(a)は第1台車側通信ユニットと第1地上側通信ユニットとの通信の一例を示す模式図、(b)は第1台車側通信ユニットと第2地上側通信ユニットとの通信の一例を示す模式図である。
【
図8】(a)は第2台車側通信ユニットと第1地上側通信ユニットとの通信の一例を示す模式図、(b)は第2台車側通信ユニットと第2地上側通信ユニットとの通信の一例を示す模式図である。
【
図9】(a)は第1台車側通信ユニットと第2地上側通信ユニットとの通信、第2台車側通信ユニットと第1地上側通信ユニットとの通信の一例を示す模式図、(b)は第2台車側通信ユニットと第2地上側通信ユニットとの通信の一例を示す模式図である。
【
図10】走行する搬送台車の速度を変更したときの、台車側PLCにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】(a)は第1台車側通信ユニットと光送信ユニットとの通信の一例を示す模式図、(b)は第2台車側通信ユニットと光送信ユニットとの通信の一例を示す模式図である。
【
図12】各搬送台車の通信ユニットにおける受信と、搬送台車の速度の変化とをまとめたタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本実施形態について説明する。
図1は、仕分けコンベヤ10の一例を示す上面図である。本実施形態の仕分けコンベヤ10は、隣り合う搬送台車12のフレームをなすビーム状リンクを連結してループ状(無端状)に連結した多数の搬送台車12を、ループ状の搬送ルートに沿って走行させるものである。ループ状の搬送ルートには、一対の走行レールが設置されており、仕分けコンベヤ10の駆動時には、連結された複数の搬送台車12は、一対の走行レールにより走行方向を規制されながら走行する。なお、本実施形態の仕分けコンベヤ10においては、走行ルートを走行する各搬送台車の速度を、予め設定された複数の速度(例えば、80,120,180,200,240m/min等)のいずれかに設定でき、また、走行する搬送台車12の速度を、設定される他の速度に切り替えて走行することが可能となっている。
【0020】
仕分けコンベヤ10は、搬送ルートの所定位置に、且つ一対の走行レール間に設置された駆動装置15a,15bにより駆動される。駆動装置15a,15bは、一例として、フリクションドライブ方式の駆動装置が挙げられる。詳細については図示を省略するが、フリクションドライブ方式の駆動装置は、搬送台車12のビーム状リンク21(
図2参照)の両側面に圧接させる一対のフリクションベルト、一対のフリクションベルトの往き側を搬送台車12のフレームをなすビーム状リンクの側面に圧接させる方向に押し付ける多数のフリクションローラ、及び一対のフリクションベルトの各々に対して設けられた一対の減速機付きモータを有する駆動装置である。
【0021】
仕分けコンベヤ10は、駆動時に複数の搬送台車12を
図1中時計方向(
図1中A方向)に走行させる。各搬送台車12が
図1中A方向に移動する過程で、搬送ルートの投入位置に設置された投入コンベヤ16a,16bの何れか一方により搬送された搬送物が搬送台車12に受け渡され、搬送台車12が有するクロスソータ用コンベヤユニット上に搬送物が載置される。搬送台車12が有するクロスソータ用コンベヤユニット上に搬送物が載置された後も搬送台車12は
図1中A方向に移動する。そして、搬送台車12が所定の払出位置まで移動したときに、クロスソータ用コンベヤユニットが駆動して搬送物を搬送台車12から払出コンベヤ17a,17b,17c(あるいは払出シュート17a,17b,17c)のいずれかに払い出す。なお、
図1では、払出位置に3個の払出コンベヤ17a,17b,17cを配置している場合を示しているが、払出コンベヤの数は、適宜設定されるものである。
【0022】
以下、搬送台車12の構成について
図2から
図4を用いて説明する。以下、搬送ルートに設けられる一対の走行レールのうち、
図2中左側に配置される走行レールに符号18を、
図2中右側に配置される走行レールに符号19を付して説明する。
【0023】
搬送台車12は、搬送台車12の走行方向(
図2中x方向)を長手方向とするビーム状リンク21と、ビーム状リンク21の長手方向に直交して所定の間隔を空けて並置される3本の支持クロスメンバ22,23,24とを、骨格をなすシャーシ部分として有する。
【0024】
ビーム状リンク21は、長手方向に直交する断面が略正方形状で、且つ中空の金属材料からなる部材である。ビーム状リンク21は、搬送台車12の搬送ルートにおける搬送台車12の走行方向の骨格を成しながら、大きな搬送ループのチェーンのコマとして位置付けられる。ビーム状リンク21は、上述したフリクションドライブ方式の駆動装置15a,15bが有する一対のフリクションベルトの往き側部分を側面で受け止める部材である。
【0025】
3本の支持クロスメンバ22,23,24は、上記長手方向に直交する断面が上下方向を長辺とする略長方形状で、中空の金属材料からなる部材である。3本の支持クロスメンバ22,23,24のうち、支持クロスメンバ22は側部フレーム30を、支持クロスメンバ23は中央フレーム31を、支持クロスメンバ24は側部フレーム32を、上面に各々保持する。側部フレーム30と中央フレーム31との間には、支持部材34,35が所定の間隔を空けて配置される。なお、図示は省略するが、中央フレーム31と側部フレーム32との間にも同様に支持部材が所定の間隔を空けて配置される。
【0026】
搬送台車12は、クロスソータ用コンベヤユニットとして、ビーム状リンク21の延出方向(搬送台車12の走行方向)に並置される2つのベルトコンベヤユニットを有する。
【0027】
以下、搬送台車12の走行方向における先端側に設けられるベルトコンベヤユニットを第1ベルトコンベヤユニット36と称し、搬送台車12の走行方向における後端側に設けられるベルトコンベヤユニットを第2ベルトコンベヤユニット37と称する。第1ベルトコンベヤユニット36は、側部フレーム30と中央フレーム31との間に形成される空隙部分に側部フレーム30と中央フレーム31とを自身のフレームとして配置される。また、第2ベルトコンベヤユニット37は、中央フレーム31と側部フレーム32との間に形成される空隙部分に中央フレーム31と側部フレーム32とを自身のフレームとして配置される。以下、第1ベルトコンベヤユニット36及び第2ベルトコンベヤユニット37の構成は同一構成となることから、第1ベルトコンベヤユニット36のみの構成について説明し、第2ベルトコンベヤユニット37の構成については省略する。
【0028】
第1ベルトコンベヤユニット36は、側部フレーム30、中央フレーム31の他に、駆動プーリ41、従動プーリ42、複数のローラ43、無端ベルト44、伝達機構45及びサーボモータ46から構成される。ここで、駆動プーリ41、従動プーリ42及び複数のローラ43は、各プーリ及び各ローラ部の頂点が同一の水平面上に位置するように各々配置される。本実施形態では、駆動プーリ41と従動プーリ42との間で、無端ベルト44の上部(搬送物が載置される部分)を下方から支持する部材として複数のローラ43を設けた場合を説明するが、複数のローラ43を設ける代わりに、駆動プーリ41及び従動プーリ42の間に支持板を設けることも可能である。
【0029】
駆動プーリ41は、側部フレーム30及び中央フレーム31の間の空隙部分において、
図2中y方向における右端部に配置される。駆動プーリ41の回転軸の一端部41aは、側部フレーム30から突出している。側部フレーム30から突出した回転軸の一端部41aに、伝達機構45を構成する歯付きプーリ48が固定される。駆動プーリ41は、無端ベルト44が巻き掛けられるローラ部分の両端部にV溝41b,41cを有する。
【0030】
従動プーリ42は、側部フレーム30及び中央フレーム31の間の空隙部分において、
図2中y方向における左端部に配置される。従動プーリ42は、駆動プーリ41と同様に、無端ベルト44が巻き掛けられるローラ部分の長手方向における両端部にV溝42a,42bを有する。
【0031】
複数のローラ43は、駆動プーリ41及び従動プーリ42の間に配置される。また、複数のローラ43は、無端ベルト44の内側面が摺接されるローラ部分の長手方向における両端部にV溝43a,43bを有する。
【0032】
無端ベルト44は、無端ベルト44の幅方向における両端部で、かつ無端ベルト44の内側面の全周に亘って突条(図示省略)が設けられる。これら突条は、無端ベルト44を駆動プーリ41及び従動プーリ42に巻き掛けたときに、各プーリ又は各ローラに設けたV溝に入り込む。これにより、無端ベルト44が走行したときの無端ベルト44の蛇行が防止される。
【0033】
伝達機構45は、2つの歯付きプーリ48,49及び駆動タイミングベルト50から構成される。2つの歯付きプーリ48,49のうち、歯付きプーリ48は側部フレーム30から突出した駆動プーリ41の回転軸の一端部41aに固定され、歯付きプーリ49は、サーボモータ46の回転軸46aに固定される。駆動タイミングベルト50は、2つの歯付きプーリ48,49に巻き掛けられる。したがって、サーボモータ46の回転軸46aに固定される歯付きプーリ49が主動プーリ、側部フレーム30から突出した駆動プーリ41の回転軸の一端部41aに固定される歯付きプーリ48が従動プーリとなる。
【0034】
サーボモータ46は、ブラケット51を介して側部フレーム30に固定される。サーボモータ46は、例えば中央フレーム31と側部フレーム32との間で、且つビーム状リンク21の上面に保持されたサーボアンプ52に電気的に接続される。
【0035】
上述した搬送台車12は、搬送台車12の幅方向における支持クロスメンバ24の両端部に、ガイドホイールユニット55,56を有する。ガイドホイールユニット55は、搬送ルートに設けられる一対の走行レールのうち、走行レール18の直進部では頂点、又はカーブ部では頂点近傍で摺接しながら回転する走行ホイール61、走行レール18の直進部では底点又はカーブ部では底点近傍で摺接されながら回転するガイドホイール62、及び走行レール18の側方から摺接されながら回転するガイドホイール63を有する。走行ホイール61は、ブラケット64に固定された発電機65の回転軸65aに固定される。走行ホイール61は、搬送台車12の重量を支持して走行レール18の頂点又は頂点近傍で摺接しながら搬送台車12の重量の大部分を走行レール18に伝える。また、ガイドホイール62は、走行ホイール61との間が、走行レール18の外径よりも若干広い間隔を空けて、且つ回転軸が走行ホイール61の回転軸(詳細には、発電機65の回転軸65a)に対して平行となるようにブラケット64に軸支される。また、ガイドホイール63は、回転軸が走行ホイール61及びガイドホイール62の回転軸と直交するようにブラケット64に軸支される。なお、上述したブラケット64は、支持クロスメンバ24に設けたブラケット66に軸支される。
図2中符号67は、ガイドホイールユニット55の回転軸である。
【0036】
発電機65は、走行ホイール61が走行レール18の頂点又は頂点近傍で摺接しながら回転することを受けて発電する。発電機65が発電することで得られる電力は、サーボアンプ52を介して、第1ベルトコンベヤユニット36,第2ベルトコンベヤユニット37のサーボモータ46に各々供給される。
【0037】
本実施形態のガイドホイールユニット55においては、走行レール18の側方から摺接されながら回転するガイドホイールを1つのガイドホイールとしているが、これに限定される必要はなく、2つのガイドホイールを用いることも可能である。
【0038】
また、本実施形態のガイドホイールユニット55においては、走行ホイール61を発電機65の回転軸65aに固定し、走行ホイール61の回転により発電機65において電力を発生させている。しかしながら、発電機65に代えて、非接触の電力供給機構を用いてもよい。図示は省略するが、非接触の電力供給機構は、例えば走行レール18の外方斜め上方に設けたループコイルと、搬送台車のガイドホイールユニットに設けられ、ループコイルが挿通されるピックアップコイルが内包されたコイル部と、から構成される。この非接触の電力供給機構では、ループコイルは一次コイル、コイル部に内包されたピックアップコイルは二次コイルとして各々機能する。したがって、ループコイルに高周波の電流を流すと、ループコイルと、コイル部に内包されたピックアップコイル間に電磁誘導作用が発生し、ループコイルを流れる高周波の電流がコイル部に内包されたピックアップコイルに伝達される。なお、コイル部に内包されたピックアップコイルに伝達された高周波の電流は、図示を省略したA/D変換器やコンバータなどを介してサーボアンプに供給される。
【0039】
ガイドホイールユニット56は、搬送ルートに設けられる一対の走行レールのうち、走行レール19の頂点、又は頂点近傍で摺接しながら回転する走行ホイール71、走行レール19の底点又は底点近傍で摺接されながら回転するガイドホイール72、及び走行レール19の側方から摺接しながら回転するガイドホイール73を有する。走行ホイール71は、ブラケット75に軸支される。走行ホイール71は、搬送台車12の重量を支持して走行レール19の頂点、又は頂点近傍で摺接しながら台車重量の大部分を走行レール19に伝える。また、ガイドホイール72は、走行ホイール71との間が、走行レール19の外径よりも若干広い間隔を空けて、且つ回転軸が走行ホイール71の回転軸に対して平行
となるようにブラケット74に軸支される。また、ガイドホイール73は、回転軸が走行ホイール71の回転軸及びガイドホイール72の回転軸と直交するようにブラケット74に軸支される。なお、上述したブラケット74は、側部フレーム32に設けたブラケット75に軸支される。
図2中符号76は、ガイドホイールユニット56の回転軸である。
【0040】
本実施形態のガイドホイールユニット56においては、走行レール19の側方から摺接されながら回転するガイドホイールを1つのガイドホイールとしているが、これに限定される必要はなく、2つのガイドホイールを用いることも可能である。
【0041】
ガイドホイールユニット55は、走行ホイール61が走行レール18の頂点、又は頂点近傍で摺接され、また、ガイドホイール62が走行レール18の底点、又は底点近傍で摺接されることで、走行レール18に対する搬送台車12の上下方向に対する位置を規制する。また、ガイドホイール63が走行レール18の側方から摺接させることで、搬送台車12が走行レール19に向けて移動することを規制する。ガイドホイールユニット56は、走行ホイール71が走行レール19の頂点、又は頂点近傍で摺接され、また、ガイドホイール72が走行レール19の底点、又は底点近傍で摺接されることで、走行レール19に対する搬送台車12の上下方向に対する位置を規制する。また、ガイドホイール73が走行レール19の側方から摺接させることで、搬送台車12が走行レール18に向けて移動することを規制する。したがって、搬送台車12が走行する過程では、搬送台車12は、ガイドホイールユニット55,56により搬送台車12の走行方向が搬送ルートに沿って設置される一対の走行レール18,19の延出方向に規制され、また、搬送台車12が走行したときに、搬送台車12が一対の走行レール18,19から脱落することを防止する。
【0042】
本実施形態の仕分けコンベヤ10を構成する多数の搬送台車12は、隣り合う2台の搬送台車12が連結機構80を介して連結されている。詳細については説明を省略するが、連結機構80は、x軸、y軸及びz軸方向の3軸方向に回動する機構を有している。したがって、連結機構80を用いて隣り合う2台の搬送台車12を連結すると、2台の搬送台車12のうち、一方の搬送台車12が他方の搬送台車12に対して、x軸、y軸及びz軸の少なくともいずれか1つの軸を中心にして回動させることが可能となる。また、連結機構80を用いて隣り合う2台の搬送台車12を連結すると、z軸を中心とした回動中心Eは、2台の搬送台車12のうち、先頭側の搬送台車12のガイドホイールユニット55の回動軸67の中心67a及びガイドホイールユニット56の回動軸76の中心76aを結ぶ直線G上に位置する。これにより、2台の搬送台車12のうち、先頭側の搬送台車12のガイドホイールユニット55,56が、搬送ルートの直線からカーブに移動したとき、又は搬送ルートのカーブから直線に移動したときに2台の搬送台車12間の連結部分の落ち込みを防止することができる。
【0043】
上述した搬送台車12の側部フレーム30には、ブラケット81を介して第1台車側通信ユニット82が設けられる。また、搬送台車12の中央フレーム31には、ブラケット83を介して第2台車側通信ユニット84が設けられる。第1台車側通信ユニット82は、第1ベルトコンベヤユニット36に対応して設けられ、第2台車側通信ユニット84は、第2ベルトコンベヤユニット37に対応して設けられる。第1台車側通信ユニット82及び第2台車側通信ユニット84は、側部フレーム30及び中央フレーム31の代わりにビーム状リンク21からブラケット81やブラケット83を介して取り付けられてもよい。 第1台車側通信ユニット82及び第2台車側通信ユニット84は、搬送ルートの側方に設けた第1地上側通信ユニット86及び第2地上側通信ユニット87(
図5参照)との間で、情報の送受信を行う。
【0044】
図5に示すように、第1地上側通信ユニット86は、例えば、搬送ルートの左右に設けられる投入コンベヤ16a,16bのうち、投入コンベヤ16aによって搬送物が載せ込まれる位置にある搬送台車12から3台後方側(搬送方向の上流側)に位置する搬送台車12に設けた第2台車側通信ユニット84と対面する位置に設置される。また、第2地上側通信ユニット87は、例えば、搬送ルートの左右に設けられる投入コンベヤ16a,16bのうち、投入コンベヤ16aによって搬送物が載せ込まれる位置にある搬送台車12から3台後方側(搬送方向の上流側)に位置する搬送台車12に設けた第1台車側通信ユニット82と対面する位置に設置される。つまり、第1地上側通信ユニット86と第2地上側通信ユニット87とは、第1地上側通信ユニット86と第2台車側通信ユニット84との間の情報の送受信と、第2地上側通信ユニット87と第1台車側通信ユニット82との間の情報の送受信とが同時に実行できるように搬送ルートに設けられる。
【0045】
また、搬送ルートには、光送信ユニット88が設けられる。光送信ユニット88は、走行する搬送台車12の速度を、後述する台車側PLC93により計測するために設けられる。
図5に示すように、光送信ユニット88は、一例として、投入コンベヤ16aによって搬送物が載せ込まれる位置にある搬送台車12から2台後方側(搬送方向の上流側)に位置する搬送台車12に設けた第1台車側通信ユニット82と対面する位置に設けられる。なお、光送信ユニット88が設置される位置は、
図5に示す位置に限定されるものではない。また、光送信ユニット88が設置される数は、1台に限定される必要はなく、搬送ルートが長い場合には、搬送ルートにおいて、同一のグループとなる複数の搬送台車12の全長と同一の間隔を空けて複数配置することも可能である。
【0046】
図6に示すように、第1台車側通信ユニット82は、2個の送信部(投光部)OUT1、OUT2と、6個の受信部(受光部)IN3、IN4、IN5、IN6、IN7、IN8を有している。また、第2台車側通信ユニット84は、2個の送信部(投光部)OUT1、OUT2と、6個の受信部(受光部)IN3、IN4、IN5、IN6、IN7、IN8を有している。
【0047】
第1地上側通信ユニット86は、2個の受信部(受光部)IN1、IN2と、6個の送信部(投光部)OUT3、OUT4、OUT5、OUT6、OUT7、OUT8を有している。また、第2地上側通信ユニット87は、2個の受信部(受光部)IN1、IN2と、6個の送信部(投光部)OUT3、OUT4、OUT5、OUT6、OUT7、OUT8を有している。なお、第1地上側通信ユニット86及び第2地上側通信ユニット87が有する各送信部はフォトダイオードを有し、また、各受信部は光センサを有している。
【0048】
また、光送信ユニット88は、2個の送信部(投光部)OUT1、OUT2を有する。なお、送信部OUT1及び送信部OUT2は、フォトダイオードを有する。
【0049】
仕分けコンベヤ10は、搬送ルートに設けられる複数の搬送台車12を、所定数毎に1つのグループとし、1つのグループに含まれる所定数の搬送台車12の各々に設けた第1ベルトコンベヤユニット36及び第2ベルトコンベヤユニット37を、1つのグループに含まれる所定数の搬送台車12のうちの1台の搬送台車に設けたPLC(Programmable Logic Controller)によって駆動制御する。以下、PLCが設けられる搬送台車を管理用 搬送台車と称し、符号12Aを付して説明する。また、管理用搬送台車12Aに設けられるPLCを台車側PLC、地上に設けられるPLCを地上側PLCと称する。なお、地上側にPLCを設ける場合を説明するが、特にPLCでなくても制御盤としてリレーで回路を組んでもよい。
【0050】
管理用搬送台車12Aは、第1ベルトコンベヤユニット36、第2ベルトコンベヤユニット37、サーボアンプ52、第1台車側通信ユニット82、第2台車側通信ユニット84及び台車側PLC93を有する。また、同一のグループとなる所定数の搬送台車12のうち、管理用搬送台車12Aを除いた搬送台車12は、第1ベルトコンベヤユニット36、第2ベルトコンベヤユニット37、サーボアンプ52、第1台車側通信ユニット82、第2台車側通信ユニット84を有する。
【0051】
台車側PLC93は、管理用搬送台車12Aに設けられる第1台車側通信ユニット82、第2台車側通信ユニット84の他、同一のグループとなる他の搬送台車12の各々に設けられた第1台車側通信ユニット82、第2台車側通信ユニット84と接続される。また、台車側PLC93は、管理用搬送台車12Aに設けられたサーボアンプ52と接続される。管理用搬送台車12Aに設けられるサーボアンプ52と、他の搬送台車12の各々に設けられたサーボアンプ52とは、それぞれ別個に接続される。したがって、同一グループとなる各搬送台車12において、サーボモータ46の正逆回転動力供給は、対応するサーボアンプ52を介して実行される。
【0052】
台車側PLC93は、同一のグループに含まれる搬送台車12が各々有する第1ベルトコンベヤユニット36及び第2ベルトコンベヤユニット37における在荷の有無の管理や、サーボアンプ52の正常/異常の管理、各搬送台車12が有する第1ベルトコンベヤユニット36及び第2ベルトコンベヤユニット37の各々に搬送物を載置するときに駆動するサーボモータ46の正逆回転の管理、各搬送台車12が有する第1ベルトコンベヤユニット36及び第2ベルトコンベヤユニット37に載置される搬送物の払出位置の管理を行う。また、この他に、台車側PLC93は、光送信ユニット88からの光を受信しながら、搬送台車12の速度の計測を行い、計測された速度に基づいて、同一のグループに含まれる搬送台車12が各々有する第1ベルトコンベヤユニット36及び第2ベルトコンベヤユニット37の駆動制御を行う。
【0053】
台車側PLC93は、記憶部93aを有している。記憶部93aは、上述した情報を記憶し、地上側PLD95における所定の演算時の演算子や演算結果を記憶することで、各情報の管理を実行する。また、記憶部93aは、走行する搬送台車12の速度に応じた、第1ベルトコンベヤユニット36及び第2ベルトコンベヤユニット37の制御パターンを、複数記憶する。
【0054】
例えば、走行する搬送台車に対して投入コンベヤ16a,16bのいずれかから搬送物が所定の速度で投入される。第1ベルトコンベヤユニット36及び第2ベルトコンベヤユニット37は、投入コンベヤ16a,16bのいずれかからの搬送物の受け渡しが開始される所定時間前から、搬送物が投入コンベヤ16a,16bのいずれかから受け渡された後の所定時間経過するまでの間の所定の駆動時間(第1の駆動時間と称する)の間駆動される。また、第1ベルトコンベヤユニット36及び第2ベルトコンベヤユニット37は、載置された搬送物を目的の払出コンベヤのいずれかに受け渡す際に、目的の払出コンベヤのいずれかへの該搬送物の受け渡しが開始される所定時間前から、搬送物が目的の払出コンベヤへの受け渡し後の所定時間経過するまでの間の所定の駆動時間(第2の駆動時間と称する)の間駆動される。
【0055】
本実施形態の仕分けコンベヤ10において、搬送台車12の速度は、予め設定される複数の速度のいずれかである。なお、搬送台車12の速度を複数の速度のいずれかに設定する(速度を変更する場合も含む)場合、上述した第1の駆動時間や第2の駆動時間は、走行する搬送台車の速度に応じて異なり、また、第1ベルトコンベヤユニット36及び第2ベルトコンベヤユニット37を駆動させたときの搬送物の搬送速度(又はサーボモータの回転速度)も異なる。したがって、記憶部93aは、上述した第1の駆動時間や第2の駆動時間の他、搬送物の搬送速度(又はサーボモータの回転速度)を速度毎にまとめた制御パターンを複数、予め記憶している。したがって、台車側PLC93は、計測された搬送台車12の速度に基づいた制御パターンを記憶部93aから読み出し、読み出した制御パターンに基づいて、第1ベルトコンベヤユニット36及び第2ベルトコンベヤユニット37を駆動させる。
【0056】
地上側PLC95は、図示しない各搬送物に付与されているバーコードなどの特定情報を読み取って各搬送物ごとの特定情報から各搬送台車12の第1ベルトコンベヤユニット36及び第2ベルトコンベヤユニット37に投入される搬送物の仕分け先の位置情報のビット分割情報の管理、仕分けコンベヤ10を駆動する駆動装置15a,15bの駆動制御の他に、搬送物を搬送台車12に投入する投入コンベヤ16a,16bや搬送台車から送り出される搬送物を受け取る払出コンベヤ17a,17b,17cの動作管理を行う。
【0057】
上述したように、台車側PLC93と地上側PLC95との間の情報の送受信は、各搬送台車12に設けた第1台車側通信ユニット82、第2台車側通信ユニット84と、第1地上側通信ユニット86、第2地上側通信ユニット87との間の送受信部ごとの光通信を用いて実行される。光通信を用いるのは、インバータなどを多用することで雑電波の多量発生や、台車側へPLCを搭載したことで、必要最低限の機上と地上とのやり取りを光のONOFFビットで十分出来るから、誤動作の多い無線電波を使わずに確実な伝送が出来るからである。以下、投入コンベヤ16aから搬送台車12に搬送物を投入するときに駆動させるサーボモータ46の回転を正回転、投入コンベヤ16bから搬送台車12に搬送物を投入するときに駆動させるサーボモータ46の回転を逆回転とする。
【0058】
第1台車側通信ユニット82の送信部OUT1、第2台車側通信ユニット84の送信部OUT1、第1地上側通信ユニット86の受信部IN1及び第2地上側通信ユニット87の受信部IN1は、対応するベルトコンベヤユニットにおける在荷の有無の情報を送受信するために用いられる。
【0059】
第1台車側通信ユニット82の送信部OUT2、第2台車側通信ユニット84の送信部OUT2、第1地上側通信ユニット86の受信部IN2及び第2地上側通信ユニット87の受信部IN2は、対応するベルトコンベヤユニットを駆動するサーボアンプ52が正常であるか否かの情報を送受信するために用いられる。
【0060】
第1台車側通信ユニット82の受信部IN3、第2台車側通信ユニット84の受信部IN3、第1地上側通信ユニット86の送信部OUT3及び第2地上側通信ユニット87の送信部OUT3は、搬送物が投入コンベヤ16aから投入されることを示す情報(又は搬送台車12に搬送物を投入する際のサーボモータ46の回転が正回転であることを示す情報)を送受信するために用いられる。
【0061】
第1台車側通信ユニット82の受信部IN4、第2台車側通信ユニット84の受信部IN4、第1地上側通信ユニット86の送信部OUT4及び第2地上側通信ユニット87の送信部OUT4は、搬送物が投入コンベヤ16bから投入されることを示す情報(又は搬送台車12に搬送物を投入する際のサーボモータ46の回転が逆回転であることを示す情報)を送受信するために用いられる。
【0062】
第1台車側通信ユニット82の受信部IN5,IN6,IN7,IN8、第2台車側通信ユニット84の受信部IN5,IN6,IN7,IN8、第1地上側通信ユニット86の送信部OUT5,OUT6,OUT7,OUT8及び第2地上側通信ユニット87の送信部OUT5,OUT6,OUT7,OUT8は、投入される搬送物を払い出す位置(仕分け先の位置)の情報を送受信するために用いられる。
【0063】
上述した第1台車側通信ユニット82の受信部IN3,IN4、第2台車側通信ユニット84の受信部IN3,IN4、及び光送信ユニット88の送信部OUT1,OUT2は、走行する搬送台車12の速度を台車側PLC93にて計測するために設けられる。詳細には、第1台車側通信ユニット82の受信部IN3、及び第2台車側通信ユニット84の受信部IN3は、光送信ユニット88の送信部OUT1からの光を受信し、第1台車側通信ユニット82の受信部IN4、及び第2台車側通信ユニット84の受信部IN4は、光送信ユニット88の送信部OUT2からの光を受信する。第1台車側通信ユニット82の受信部IN3が光送信ユニット88の送信部OUT1からの光を受信するタイミングと、第1台車側通信ユニット82の受信部IN4が光送信ユニット88の送信部OUT2からの光を受信するタイミングとは同一のタイミングである。同様にして、第2台車側通信ユニット84の受信部IN3が光送信ユニット88の送信部OUT1からの光を受信するタイミングと、第2台車側通信ユニット84の受信部IN4が光送信ユニット88の送信部OUT2からの光を受信するタイミングとは同一のタイミングである。つまり、第1台車側通信ユニット82の受信部IN3,IN4、第2台車側通信ユニット84の受信部IN3,IN4とも、搬送台車側のキャリアベルト駆動として同時に正転と逆転とを受信することはないことを利用し、光送信ユニット88から送信部OUT1,OUT2を同時に送信することで別な信号入力に利用できるのである。
【0064】
図7は、搬送台車12の第1ベルトコンベヤユニット36に対して搬送物を投入するときの第1台車側通信ユニット82と、第1地上側通信ユニット86及び第2地上側通信ユニット87との信号の伝達を示す模式図である。
【0065】
図7(a)に示すように、搬送台車12が
図7(a)中T方向に走行し、第1台車側通信ユニット82と、第1地上側通信ユニット86とが対面すると、第1台車側通信ユニット82の送信部OUT1及び送信部OUT2から、第1地上側通信ユニット86の受信部IN1及び受信部IN2に対して、情報が送信される。これにより、地上側PLC95では、第1ベルトコンベヤユニット36の状態が把握される。また、第1地上側通信ユニット86の送信部OUT3から第1台車側通信ユニット82の受信部IN3に、又は第1地上側通信ユニット86の送信部OUT4から第1台車側通信ユニット82の受信部IN4に、情報が送信される。同時に、第1地上側通信ユニット86の送信部OUT5から送信部OUT8の各々から、第1台車側通信ユニット82の受信部IN5から受信部IN8の各々に情報が送信される。これにより、第1ベルトコンベヤユニット36が有するサーボモータ46の回転方向、及び投入される搬送物の仕分け先の下位4ビットデータが取得される。
【0066】
図7(b)に示すように、搬送台車12が引き続き
図7(b)中T方向に走行し、第1台車側通信ユニット82と、第2地上側通信ユニット87とが対面すると、第2地上側通信ユニット87の送信部OUT5から送信部OUT8の各々から、第1台車側通信ユニット82の受信部IN5から受信部IN8の各々に情報が送信される。これにより、投入される搬送物の仕分け先の上位4ビットデータが取得される。
【0067】
その後、台車側PLC93は、得られた上位4ビットデータと下位4ビットデータとを組み合わせた8ビットデータを仕分け位置の情報として記憶部93aに記憶する。この結果、第1ベルトコンベヤユニット36のみが所定方向に走行して、投入コンベヤ16a又は投入コンベヤ16bから移送された搬送物が、第1ベルトコンベヤユニット36上に載置される。
【0068】
なお、第1ベルトコンベヤユニット36に載置された搬送物は、台車側PLC93に記憶された仕分け位置の情報に基づいて、所定の仕分けコンベヤ(図示せず)に払い出される。
【0069】
この構成をまとめると、走行方向と直交する方向を搬送方向とする少なくとも2つのクロスソータ用コンベヤを前記走行方向に並置した搬送台車を複数連結した仕分けコンベヤを用いて、搬送物を搬送ルートに沿って搬送する仕分けシステムにおいて、前記搬送台車の側方に且つ前記走行方向に沿って、少なくとも2つのクロスソータ用コンベヤの各々に対応して設けられる台車側通信部と、前記搬送ルートの側方に位置する投入コンベヤ近傍の地上側に前記台車側通信部と送受信部が同一数設けられ、前記搬送台車の側方に設けられた前記台車側通信部各々と同時に対面することが可能な地上側通信部と、前記地上側通信部と接続され、前記地上側通信部で送受信される情報の管理を行う地上側管理装置と、を有し、前記台車側通信部は、前記搬送台車の走行時に、前記搬送ルートに設けた前記地上側通信部のうち、上流側に位置する前記地上側通信部の送受信部の一部に、対応する2つのクロスソータ用コンベヤのうちの上流側クロスソータ用コンベヤの動作状況を示す情報を割り当て送信し、下流側に位置する前記地上側通信部の送受信部の一部に、対応する2つのクロスソータ用コンベヤのうちの下流側クロスソータ用コンベヤの動作状況を示す情報を割り当て送信し、前記地上側通信部は、前記対応する2つのクロスソータ用コンベヤのうちの上流側クロスソータ用コンベヤに投入する前記搬送物の仕分け先を示す位置情報を所定のビット数ずつ分割した上流側分割位置情報を、上流側に位置する前記地上側通信部から下流側に位置する前記地上側通信部へ順に前記上流側に位置する台車側通信部に対面タイミングごとに送信し、かつ前記地上側通信部は、前記対応する2つのクロスソータ用コンベヤのうちの下流側クロスソータ用コンベヤに投入する前記搬送物の仕分け先を示す位置情報を所定のビット数ずつ分割した下流側分割位置情報を、上流側に位置する前記地上側通信部から下流側に位置する前記地上側通信部へ順に前記下流側に位置する台車側通信部に対面タイミングごとに送信することを特徴とする仕分けシステムである。
【0070】
図8は、搬送台車12の第2ベルトコンベヤユニット37に対して搬送物を投入するときの第2台車側通信ユニット84と、第1地上側通信ユニット86及び第2地上側通信ユニット87との情報の伝達を示す模式図である。
【0071】
図8(a)に示すように、搬送台車12が
図8(a)中T方向に走行し、第2台車側通信ユニット84と、第1地上側通信ユニット86とが対面すると、第2台車側通信ユニット84の送信部OUT1及び送信部OUT2から、第1地上側通信ユニット86の受信部IN1及び受信部IN2に対して、情報が送信される。これにより、地上側PLC95では、第2ベルトコンベヤユニット37の状態が把握される。また、第1地上側通信ユニット86の送信部OUT3から第2台車側通信ユニット84の受信部IN3に、又は第1地上側通信ユニット86の送信部OUT4から第2台車側通信ユニット84の受信部IN4に、情報が送信される。同時に、第1地上側通信ユニット86の送信部OUT5から送信部OUT8の各々から、第2台車側通信ユニット84の受信部IN5から受信部IN8の各々に情報が送信される。これにより、第2ベルトコンベヤユニット37が有するサーボモータ46の回転方向及び、投入される搬送物の仕分け先の下位4ビットデータが取得される。
【0072】
図8(b)に示すように、搬送台車12が引き続き
図8(b)中T方向に走行し、第2台車側通信ユニット84と、第2地上側通信ユニット87とが対面すると、第2地上側通信ユニット87の送信部OUT5から送信部OUT8の各々から、第2台車側通信ユニット84の受信部IN5から受信部IN8の各々に情報が送信される。これにより、投入される搬送物の仕分け先の上位4ビットデータが取得される。この場合も、台車側PLC93は、得られた上位4ビットデータと下位4ビットデータとを組み合わせた8ビットデータを仕分け位置の情報として記憶部93aに記憶する。
【0073】
これにより、台車側PLC93は、第2ベルトコンベヤユニット37のみが所定方向に走行して、投入コンベヤ16a又は投入コンベヤ16bから移送された搬送物が、第2ベルトコンベヤユニット37上に載置される。
【0074】
なお、第2ベルトコンベヤユニット37に載置された搬送物は、台車側PLC93に記憶された仕分け位置の情報に基づいて、所定の仕分けコンベヤ(図示せず)に払い出される。
【0075】
図9は、搬送台車12の第1ベルトコンベヤユニット36及び第2ベルトコンベヤユニット37の各々に跨って搬送物を投入するときの、第1台車側通信ユニット82と、地上側通信ユニットとの情報の伝達を示す模式図である。
【0076】
図9(a)に示すように、搬送台車12が
図9(a)中T方向に走行すると、第1台車側通信ユニット82が第2地上側通信ユニット87と対面し、また、第2台車側通信ユニット84が第1地上側通信ユニット86と対面する。このとき、第1台車側通信ユニット82の送信部OUT1及び送信部OUT2から第2地上側通信ユニット87の受信部IN1及び受信部IN2に対して情報が送信される。これにより、地上側PLC95では、第1ベルトコンベヤユニット36の状態が把握される。
【0077】
同時に、第2台車側通信ユニット84の送信部OUT1及び送信部OUT2から第1地上側通信ユニット86の受信部IN1及び受信部IN2に対して情報が送信される。これにより、地上側PLC95では、第2ベルトコンベヤユニット37の状態が把握される。
【0078】
また、第1地上側通信ユニット86の送信部OUT3から第2台車側通信ユニット84の受信部IN3に、又は第1地上側通信ユニット86の送信部OUT4から第2台車側通信ユニット84の受信部IN4に、情報が送信される。第2地上側通信ユニット87の送信部OUT3から第1台車側通信ユニット82の受信部IN3に、又は第2地上側通信ユニット87の送信部OUT4から第1台車側通信ユニット82の受信部IN4に情報が送信される。これにより、第1ベルトコンベヤユニット36が有するサーボモータ46の回転方向及び第2ベルトコンベヤユニット37が有するサーボモータ46の回転方向が取得される。
【0079】
同時に、第1地上側通信ユニット86の送信部OUT5から送信部OUT8の各々から、第2台車側通信ユニット84の受信部IN5から受信部IN8の各々に情報が送信される。これにより、投入される搬送物の仕分け先の下位4ビットデータが取得される。
【0080】
図9(b)に示すように、搬送台車が
図9(b)中T方向に走行し、第2台車側通信ユニット84と、第2地上側通信ユニット87とが対面すると、第2地上側通信ユニット87の送信部OUT5から送信部OUT8の各々から、第2台車側通信ユニット84の受信部IN5から受信部IN8の各々に情報が送信される。これにより、投入される搬送物の仕分け先の上位4ビットデータが取得される。
【0081】
これにより、台車側PLC93は、第1ベルトコンベヤユニット36及び第2ベルトコンベヤユニット37が同時に駆動して、投入コンベヤ16a又は投入コンベヤ16bから移送された搬送物が、第1ベルトコンベヤユニット36及び第2ベルトコンベヤユニット37の各々に跨って投入される。
【0082】
なお、第1ベルトコンベヤユニット36及び第2ベルトコンベヤユニット37の各々に跨って投入された搬送物は、台車側PLC93に記憶された仕分け位置の情報に基づいて、所定の仕分けコンベヤ(図示せず)に払い出される。
【0083】
このように、台車側PLC93と地上側PLC95との間の通信を行って、搬送物を投入するか否かが判断され、また、台車側PLC93によって投入された搬送物の仕分け先を記憶管理することで、搬送物の仕分け能力を向上させ、同時に搬送物の搬送効率を向上させることができる。また、台車側PLC93によって、搬送台車12に投入された搬送物の仕分け先を一括で管理することで、地上側に設けた制御装置や、搬送台車を検知する検知手段の構成を省略することできる。
【0084】
この構成をまとめると、走行方向と直交する方向を搬送方向とする少なくとも2つのクロスソータ用コンベヤを前記走行方向に並置した搬送台車を複数連結した仕分けコンベヤを用いて、搬送物を搬送ルートに沿って搬送する仕分けシステムにおいて、前記搬送台車の側方に且つ前記走行方向に沿って、前記少なくとも2つのクロスソータ用コンベヤの各々に対応して設けられる台車側通信部と、前記搬送ルートの側方に位置する投入コンベヤ近傍の地上側に前記台車側通信部と送受信部が同一数設けられ、前記搬送台車の側方に設けられた前記台車側通信部の送受信部各々と同時に対面することが可能な地上側通信部と、前記地上側通信部と接続され、前記地上側通信部で送受信される情報の管理を行う地上側管理装置と、を有し、複数のクロスソータ用コンベヤを同時に動かして複数のクロスソータ用コンベヤに跨らせて載置した搬送物を投入及び払い出しする場合、前記台車側通信部は、前記搬送台車の走行時に、前記搬送ルートに設けた前記地上側通信部のうち、上流側に位置する前記地上側通信部の送受信部の一部に、対応する2つのクロスソータ用コンベヤのうちの上流側クロスソータ用コンベヤの動作状況を示す情報を割り当て送信し、下流側に位置する前記地上側通信部の送受信部の一部に、対応する2つのクロスソータ用コンベヤのうちの下流側クロスソータ用コンベヤの動作状況を示す情報を割り当て送信し、前記地上側通信部は、前記対応する2つのクロスソータ用コンベヤのうちの下流側クロスソータ用コンベヤに投入する前記搬送物の仕分け先を示す位置情報を所定のビット数ずつ分割した下流側分割位置情報を、上流側に位置する前記地上側通信部から下流側に位置する前記地上側通信部へ順に前記下流側に位置する台車側通信部に対面タイミングごとに送信することを特徴とする仕分けシステムである。
【0085】
このような構成の仕分けシステムにおいて、仕分けコンベヤの各搬送台車12の速度に基づいて台車側PLCにおける制御を変更する場合の処理の流れについて
図10のフローチャートを用いて説明する。
【0086】
地上側PLC95は、駆動装置15a,15bを駆動させ、仕分けコンベヤ10の各搬送台車12が所定の速度で走行するように制御している。この制御と同時に、地上側PLC95は、光送信ユニット88の送信部OUT1及び送信部OUT2を点灯させる。一方、仕分けコンベヤ10は、駆動装置15a,15bの駆動を受けて、各搬送台車12が搬送ルートに沿って走行を開始する。したがって、
図10のフローチャートは、仕分けコンベヤ10の各搬送台車12が搬送ルートに沿って走行したことを受けて開始される。
【0087】
ステップS101は、搬送台車の速度を計測する処理である。上述したように、地上側PLC95は光送信ユニット88の送信部OUT1及び送信部OUT2を発光している。したがって、
図11(a)に示すように、仕分けコンベヤ10が駆動すると、各搬送台車12の第1台車側通信ユニット82の受信部IN3は、光送信ユニット88の送信部OUT1からの光を、第1台車側通信ユニット82の受信部IN4は、光送信ユニット88の送信部OUT2からの光を、同時に受信する。その後、
図11(b)に示すように、搬送台車12が走行することで、第2台車側通信ユニット84の受信部IN3は、光送信ユニット88の送信部OUT1からの光を、第2台車側通信ユニット84の受信部IN4は、光送信ユニット88の送信部OUT2からの光を同時に受信する。なお、各通信ユニットにより光を受信すると、各通信ユニットの受信部IN3及び受信部IN4は、受信した光を信号に各々変換して、変換された信号を台車側PLC93に出力する。
【0088】
台車側PLC93は、変換された2つの信号が、n(N=1,2,3,・・・)台目の搬送台車12の第1台車側通信ユニット82、n台目の搬送台車の第2台車側通信ユニット84、n+1台目の搬送台車の第1台車側通信ユニット82、n+1台目の搬送台車の第2台車側通信ユニット84、・・・の順(又はn台目の搬送台車の第2台車側通信ユニット84、n+1台目の搬送台車の第1台車側通信ユニット82、n+1台目の搬送台車の第2台車側通信ユニット84、・・・の順)で入力される。したがって、台車側PLC93は、2つの信号が入力される間隔(受信間隔)を求める。なお、台車側PLC93の記憶部93aには、同一の搬送台車に配置される第1台車側通信ユニット82及び第2台車側通信ユニット84間の距離と、隣り合う2つの搬送台車12間の第1台車側通信ユニット82及び第2台車側通信ユニット84の距離との2つの距離データが記憶されている。したがって、台車側PLC93は、これら距離データと、第1台車側通信ユニット82及び第2台車側通信ユニット84における光送信ユニット88からの光の受信間隔とから、搬送台車12の速度を計測する。
【0089】
ステップS102は、今回計測した搬送台車の速度が、前回計測した搬送台車の速度と同一であるか否かを判定する処理である。今回計測した搬送速度が、前回計測した搬送速度と同一であれば、台車側PLCは、ステップS102の判定処理の結果をYesとする。この場合、ステップS103に進む。一方、今回計測した搬送速度が、前回計測した搬送速度と異なる場合、台車側PLCは、ステップS102の判定処理の結果をNoとする。この場合、ステップS106に進む。なお、この判定処理の結果は記憶部93aに記憶される。
【0090】
なお、駆動装置15a,15bの駆動によって走行する各搬送台車は、搬送速度を一定速度で搬送するように設定していても各搬送台車の搬送速度は所定の誤差範囲内で変動している。したがって、ステップS102において、台車側PLC93は、前回計測した搬送速度に対して誤差範囲を設定して、今回計測した搬送速度が、前回計測した搬送速度の誤差範囲に含まれるか否かにより、今回計測した搬送速度が前回計測した搬送速度と同一であるか否かを判定してもよい。
【0091】
ステップS103は、今回計測した搬送台車の速度が前回計測した搬送台車の速度と同一となる状態が一定時間継続されたか否かを判定する処理である。台車側PLC93は、記憶部93aに記憶されたステップS102の判定結果、及び光送信ユニット88からの光の受信間隔とを用いて、今回計測した搬送台車12の速度が前回計測した搬送台車12の速度と同一となる状態が一定時間継続されたか否かを判定する。今回計測した搬送台車12の速度が前回計測した搬送台車12の速度と同一となる状態が一定時間継続されている場合、台車側PLC93は、ステップS103の判定結果をYesとする。この場合、ステップS104に進む。一方、今回計測した搬送台車12の速度が前回計測した搬送台車12の速度と同一となる状態が一定時間継続されていない場合、台車側PLC93は、ステップS103の判定結果をYesとする。この場合、ステップS106に進む。
【0092】
ステップS104は、速度に応じたサーボモータの制御パターンを設定する処理である。台車側PLC93は、計測された搬送台車12の速度を用いて、各搬送台車12が有する第1ベルトコンベヤユニット36及び第2ベルトコンベヤユニット37を走行させるときのサーボモータ46の制御パターンを、記憶部93aから読み出す。そして、読み出した制御パターンを、各搬送台車12に搬送物を投入コンベヤ16a又は投入コンベヤ16bから受けるとき、また、各搬送台車12に載置した搬送物を払出コンベヤ17a,17b,17cのいずれかに向けて送り出すときに駆動させるサーボモータ46の制御パターンとして設定する。よって、クロスソータ用コンベヤである第1ベルトコンベヤユニット36又は第2ベルトコンベヤユニット37の各々を駆動するサーボモータ46の制御パターン、つまりベルト駆動速度やその過渡速度時間、ベルト駆動始動タイミングなどを変更設定し、それに応じた制御を演算することとなる。
【0093】
ステップS105は、搬送物の受取及び払出を許可する処理である。ステップS103の判定処理により、台車側PLC93は、今回計測した搬送台車12の速度が前回計測した搬送台車12の速度と同一となる状態が一定時間継続された、言い換えれば、各搬送台車12の速度が安定したと判断している。したがって、台車側PLC93は、各搬送台車12が一定速度で走行していると考え、第1ベルトコンベヤユニット又は第2ベルトコンベヤユニットを駆動した搬送物の受取及び払出を許可する。
【0094】
上述したステップS102又はステップS103のいずれか一方の判定処理の結果がNoとなる場合、ステップS106に進む。
【0095】
ステップS106は、搬送物の受け取り及び払い出しを停止する処理である。この場合、台車側PLC93は、各搬送台車12の搬送速度が安定していないと判断している。したがって、このような場合には、台車側PLC93は、第1ベルトコンベヤユニット又は第2ベルトコンベヤユニットを駆動した搬送物の受取及び払出を許可することはない。
【0096】
以下、仕分けコンベヤの各搬送台車の搬送速度は、80,120,180,200,240m/minのいずれか1つに設定され、また、搬送速度は、設定される速度から他の速度に切り替えることができる。なお、設定される搬送速度は、5種類に限定されるものではなく、6以上であってもよいし、4以下であってもよい。ただし、複数種類の異なる搬送速度の各々に対するサーボモータ46の制御パターンを記憶部93aに記憶保持させる必要がある。
【0097】
図12に示すように、例えば走行する搬送台車12の速度を120m/minから200m/minに上昇させる場合を説明する。例えば時間T1において、地上側PLC95は、駆動装置15a,15bに対して搬送台車12の速度を120m/minから200m/minに速度を上昇させる指示を伝達する。これを受けて、駆動装置15a,15bは、搬送台車12を加速させる。
【0098】
時間T1において、1台目の搬送台車12の第2台車側通信ユニット84の受信部IN3が光送信ユニット88の送信部OUT1からの光を受信し、受信部IN4が光送信ユニット88の送信部OUT2からの光を受信する。また、時間T2において、2台目の搬送台車12の第1台車側通信ユニット82の受信部IN3が光送信ユニットの送信部OUT1からの光を受信し、受信部IN4が光送信ユニット88の送信部OUT2からの光を受信する。さらに、時間T3において、2台目の搬送台車12の第1台車側通信ユニット82の受信部IN3が光送信ユニット88の送信部OUT1からの光を受信し、受信部IN4が光送信ユニット88の送信部OUT2からの光を受信する。
【0099】
このようにして、各搬送台車12の第1台車側通信ユニット82の受信部IN3,受信部IN4、及び第2台車側通信ユニット84の受信部IN3,受信部IN4により、光送信ユニット88の各送信部にて発光される光が受信されていく。
【0100】
時間T1における搬送台車12の速度は120m/minである。例えば時間T3において、搬送台車12の速度が200m/minに到達した場合、時間T1から時間T3までの期間では、搬送台車12の速度は変化している。したがって、時間T1から時間T3においては、各搬送台車12が有する第1ベルトコンベヤユニット36及び第2ベルトコンベヤユニット37における搬送物の受け取り及び搬送物の払い出しが停止される。
【0101】
時間T3以降では、搬送台車12の速度は200m/minとなる。
図12においては、光送信ユニット88からの光が3台目の搬送台車12の第1台車側通信ユニット82により受信される時間T4において計測される搬送台車12の速度と、時間T3において計測される搬送台車12の速度とが一致することになる。
【0102】
その後、光送信ユニット88からの光がn台目の搬送台車12の第1台車側通信ユニット82により、受信される時間Tm(m=1,2,・・・・)が経過したときに、各搬送台車12が有する第1ベルトコンベヤユニット36及び第2ベルトコンベヤユニット37における搬送物の受け取り及び搬送物の払い出しが許可される。なお、台車側PLCは、各搬送台車12の第1ベルトコンベヤユニット36及び第2ベルトコンベヤユニット37におけるサーボモータ46の制御パターンとしては、計測した速度である200m/minに合わせた制御パターンが読み出される。なお、搬送台車12の速度を減速する場合も同様であり、搬送台車の速度が安定してから(一定の速度になってから)所定時間(
図12中符号ΔT)経過した後に、第1ベルトコンベヤユニット36及び第2ベルトコンベヤユニット37における搬送物の受け取り及び搬送物の払い出しが許可される。
【0103】
なお、搬送台車12の速度を120m/minから、180m/min、240m/minのいずれかの速度に上昇させる場合や、80m/minに減速させる場合も同様であり、計測される速度が安定したことを受けて、第1ベルトコンベヤユニット36及び第2ベルトコンベヤユニット37における搬送物の受け取り及び搬送物の払い出しが許可される。なお、
図10のフローチャートの処理は、仕分けコンベヤ10を構成する複数の搬送台車12をグループ分けした各グループの管理用搬送台車12Aに搭載された台車側PLC93において各々実行される。
【0104】
このように、駆動装置15a,15bによって走行される搬送台車12の速度を搬送ルートに設けた光送信ユニット88からの光を受信することで計測し、計測した速度に基づいて、各搬送台車12の第1ベルトコンベヤユニット36及び第2ベルトコンベヤユニット37におけるサーボモータ46の制御パターンを設定している。したがって、搬送物の搬送量によって仕分けコンベヤ10の各搬送台車12の速度を設定できることになるので、仕分けコンベヤ10の駆動において消費する電力の浪費を防止することができる。
【0105】
また、光送信ユニット88の送信部OUT1及び送信部OUT2からの光を、第1台車側通信ユニット82の受信部IN3及び受信部IN4、又は第2台車側通信ユニット84の受信部IN3及び受信部IN4で受信し、その受信間隔に基づいて、搬送台車12の速度を計測するので、地上側PLC95から台車側PLC93に対して速度の情報を伝達する必要はなく、また、台車側PLC93が、仕分けコンベヤ10が有する複数の搬送台車12の動作制御を一括して実施することが可能となる。
【0106】
また、各搬送台車12の第1台車側通信ユニット82及び第2台車側通信ユニット84の受信部IN3,受信部IN4において、光送信ユニット88からの光を同時に受信させることで、第1台車側通信ユニット82及び第2台車側通信ユニット84の受信部IN3,受信部IN4が、搬送物が投入コンベヤ16a又は投入コンベヤ16bから投入されることを示す情報を受信する受信部として機能する他に、搬送台車12の速度を計測するための受信部として機能するので、各搬送台車12に新たに速度計測用の受信部を設ける必要はない。
【符号の説明】
【0107】
10…仕分けコンベヤ、12…搬送台車、16a,16b…投入コンベヤ、17a,17b,17c…払出コンベヤ、36…第1ベルトコンベヤユニット、37…第2ベルトコンベヤユニット、46…サーボモータ、52…サーボアンプ、82…第1台車側通信ユニット、84…第2台車側通信ユニット、86…第1地上側通信ユニット、87…第2地上側通信ユニット、88…光送信ユニット、93…台車側PLC、95…地上側PLC