(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65D 19/12 20060101AFI20220308BHJP
B65D 19/38 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
B65D19/12 A
B65D19/38 Z
(21)【出願番号】P 2017106860
(22)【出願日】2017-05-30
【審査請求日】2020-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】591150797
【氏名又は名称】株式会社デンソーエアクール
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】原口 裕司
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-162688(JP,A)
【文献】特開2016-179826(JP,A)
【文献】米国特許第06123208(US,A)
【文献】特開2011-148531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/12-19/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調機能部品を搭載した空調ユニット(100)が取り付けられる複数のユニット支持部材(8)と、
前記ユニット支持部材がそれぞれ固定されている複数のベース部材(2,3)と、
複数の前記ベース部材全体の幅方向長さを少なくとも2種類の長さに変更可能に、複数の前記ベース部材のうち隣り合う2個の前記ベース部材を連結する寸法可変部材(4,5,6)と、
を備え、
前記ベース部材は、複数の前記ベース部材の並び方向に沿って延びる枠部(20,30)と、それぞれ前記枠部よりも上方に突出する形状であるとともに前記並び方向に間隔をあけて設けられる複数の上方突出部(70,21,31)と、それぞれ前記枠部よりも下方に突出する形状であるとともに前記並び方向に間隔をあけて設けられる複数の下方突出部(72,21a,31a)と、を備え、
前記並び方向に隣接する前記枠部と前記枠部との離間距離が異なる搬送装置を上下方向に積み上げた状態で、下方の前記搬送装置における前記上方突出部と
上方の前記搬送装置における前記下方突出部とは、互いに嵌り合う位置に設けられている搬送装置。
【請求項2】
前記ベース部材は、前記上方突出部よりも上方に突出する第1突出部(71)と、上方に延びる形状であって前記第1突出部に対して着脱可能に設けられたアタッチメント(73)と、を備える請求項
1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記寸法可変部材は、前記並び方向に隣接する2個の前記ベース部材に関する前記枠部と前記枠部とを複数の異なる離間距離で連結可能な連結部材(4,5,6)を備える請求項1
または請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記並び方向に対して直交する方向に離間して対向する複数の前記連結部材を備える請求項
3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記連結部材のそれぞれは、前記枠部よりも下方において前記並び方向に離間する複数の管状部(41,51,61)を備える請求項
4記載の搬送装置。
【請求項6】
空調機能部品を搭載した空調ユニット(100)が取り付けられる複数のユニット支持部材(8)と、
前記ユニット支持部材がそれぞれ固定されている複数のベース部材(2,3)と、
複数の前記ベース部材全体の幅方向長さを少なくとも2種類の長さに変更可能に、複数の前記ベース部材のうち隣り合う2個の前記ベース部材を連結する寸法可変部材(4,5,6)と、
を備え
、
前記ベース部材は、複数の前記ベース部材の並び方向に沿って延びる枠部(20,30)と、前記枠部から上方に延びる柱状部(7)と、を備え、
前記寸法可変部材は、前記並び方向に隣接する2個の前記ベース部材に関する前記枠部と前記枠部とを複数の異なる離間距離で連結可能な連結部材(4,5,6)を備え、
前記連結部材は、前記枠部よりも下方において前記並び方向に離間する複数の管状部(41,51,61)を備え、
前記ユニット支持部材は、前記柱状部から前記連結部材側に離間した位置に設けられており、
前記連結部材に対する前記枠部の結合位置は、前記ユニット支持部材が前記管状部から前記柱状部側に離間した範囲で変更可能である搬送装置。
【請求項7】
前記ベース部材は、それぞれ前記枠部よりも上方に突出する形状であるとともに前記並び方向に間隔をあけて設けられる複数の上方突出部(70,21,31)と、それぞれ前記枠部よりも下方に突出する形状であるとともに前記並び方向に間隔をあけて設けられる複数の下方突出部(72,21a,31a)と、を備え、
前記並び方向に隣接する前記枠部と前記枠部との前記離間距離が異なる搬送装置を上下方向に積み上げた状態で、下方の前記搬送装置における前記上方突出部と
上方の前記搬送装置における前記下方突出部とは、互いに嵌り合う位置に設けられている請求項6に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記ベース部材は、前記上方突出部よりも上方に突出する第1突出部(71)と、上方に延びる形状であって前記第1突出部に対して着脱可能に設けられたアタッチメント(73)と、を備える請求項7に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記並び方向に対して直交する方向に離間して対向する複数の前記連結部材を備える請求項
6から請求項8のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項10】
前記連結部材のそれぞれは
、複数の
前記管状
部を備える請求項9に記載の搬送装置。
【請求項11】
前記連結部材は、前記並び方向に間隔をあけて並ぶ複数の連結側孔部(40a1,40b1,40a2,40b2,50a1,50b1,50a2,50b2)を有し、
前記枠部は、前記並び方向に間隔をあけて並ぶ複数のベース側孔部(20a1,20a2,20a3,20a4,30a1,30a2,30a3,30a4,20b1,20b2,20b3,20b4,30b1,30b2,30b3,30b4)を有し、
前記連結側孔部と前記ベース側孔部とに挿通された状態で、前記並び方向に隣接する前記枠部と前記枠部とを固定する固定具(9)を備える請求項
3から請求項10のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項12】
前記連結部材は、前記枠部の上壁、下壁および側壁を覆うように前記枠部の外側に嵌められる構成である請求項
3から請求項
11のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項13】
前記連結部材は、前記枠部の上壁、下壁および側壁を覆うように前記枠部の外側に嵌められる構成であり、
複数の前記連結側孔部は、前記枠部の上壁、下壁を覆う前記連結部材の上壁、下壁にそれぞれ設けられ、
複数の前記ベース側孔部は、前記枠部の上壁、下壁にそれぞれ設けられている請求項
11に記載の搬送装置。
【請求項14】
前記固定具は雄ねじ部を有し、
前記連結部材の下壁に設けられている前記連結側孔部は、前記固定具の前記雄ねじ部が螺合可能な雌ねじ部を備える請求項
13に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、空調ユニットを搬送するための搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レフユニット本体および付属部品の一括搬送に何度も繰り返し使用できる陸上輸送用冷凍装置の搬送装置が開示されている。この搬送装置は、冷凍車の荷台に搭載されたコンテナの内部を冷却して所望の低温を維持する陸上輸送用冷凍装置を、冷凍車への取り付けを行う取付現場まで運ぶときに用いられる。搬送装置は、鋼材を組み合わせて構成されており、外周部を柱状部材に支持されたベース部材、ベース部材に固定支持されたユニット支持部材と、ベース部材に取付けられた付属品収納箱と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、空調ユニットには、空調対象空間、搭載装置等によって、様々なサイズの製品が要望されている。特許文献1に記載の搬送装置のように、あるサイズの空調ユニットしか搬送できない場合、サイズごとに搬送装置が必要になり、搬送装置の種類の増加、保管場所の確保等の問題がある。また、大きなサイズの搬送装置を用いて、異なるサイズの空調ユニットを搬送する場合、搬送時に無駄なスペースを生じて、搬送効率がよくない。上述の観点において、または言及されていない他の観点において、搬送装置にはさらなる改良が求められている。
【0005】
この明細書における開示の目的は、空調ユニットのサイズバリエーションに対応可能な搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
開示された搬送装置のひとつは、空調機能部品を搭載した空調ユニット(100)が取り付けられる複数のユニット支持部材(8)と、ユニット支持部材がそれぞれ固定されている複数のベース部材(2,3)と、複数のベース部材全体の幅方向長さを少なくとも2種類の長さに変更可能に、複数のベース部材のうち隣り合う2個のベース部材を連結する寸法可変部材(4,5,6)と、を備え、
ベース部材は、複数のベース部材の並び方向に沿って延びる枠部(20,30)と、それぞれ枠部よりも上方に突出する形状であるとともに並び方向に間隔をあけて設けられる複数の上方突出部(70,21,31)と、それぞれ枠部よりも下方に突出する形状であるとともに並び方向に間隔をあけて設けられる複数の下方突出部(72,21a,31a)と、を備え、
並び方向に隣接する枠部と枠部との離間距離が異なる搬送装置を上下方向に積み上げた状態で、下方の搬送装置における上方突出部と上方の搬送装置における下方突出部とは、互いに嵌り合う位置に設けられている。
開示された搬送装置のひとつは、空調機能部品を搭載した空調ユニット(100)が取り付けられる複数のユニット支持部材(8)と、ユニット支持部材がそれぞれ固定されている複数のベース部材(2,3)と、複数のベース部材全体の幅方向長さを少なくとも2種類の長さに変更可能に、複数のベース部材のうち隣り合う2個のベース部材を連結する寸法可変部材(4,5,6)と、を備え、
ベース部材は、複数のベース部材の並び方向に沿って延びる枠部(20,30)と、枠部から上方に延びる柱状部(7)と、を備え、
寸法可変部材は、並び方向に隣接する2個のベース部材に関する枠部と枠部とを複数の異なる離間距離で連結可能な連結部材(4,5,6)を備え、
連結部材は、枠部よりも下方において並び方向に離間する複数の管状部(41,51,61)を備え、
ユニット支持部材は、柱状部から連結部材側に離間した位置に設けられており、
連結部材に対する枠部の結合位置は、ユニット支持部材が管状部から柱状部側に離間した範囲で変更可能である。
【0008】
上記搬送装置によれば、隣り合う2個のベース部材を連結する寸法可変部材によって、複数のベース部材全体の幅方向長さを少なくとも2種類の長さに変更することができる。これにより、少なくとも2種類の幅方向長さが異なる空調ユニットを複数のベース部材全体の幅方向長さの範囲に収容可能であり搬送装置に設置することができる。したがって、空調ユニットのサイズバリエーションに対応可能な搬送装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態の搬送装置の分解斜視図である。
【
図2】第1実施形態の搬送装置について、ベース部材の幅方向長さを大きくした状態を示す平面図である。
【
図3】第1実施形態の搬送装置について、ベース部材の幅方向長さを小さくした状態を示す平面図である。
【
図6】第1実施形態の搬送装置に係る第1連結部材の正面図である。
【
図12】第1突出部とアタッチメントとを示す斜視図である。
【
図13】搬送装置に空調ユニットを取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図14】搬送装置に空調ユニットを取り付けた状態を示す正面図である。
【
図15】搬送装置に空調ユニットを取り付けた状態を示す側面図である。
【
図16】幅方向長さを小さくした状態のベース部材および第1連結部材を示す部分斜視図である。
【
図17】幅方向長さを大きくした状態のベース部材および第1連結部材を示す部分斜視図である。
【
図18】幅方向長さが異なる複数の搬送装置を上下に段積みした例を説明するための正面図である。
【
図19】幅方向長さが異なる複数の搬送装置を上下に段積みした例を説明するための背面図である。
【
図20】幅方向長さが異なる複数の搬送装置を上下に段積みした例を説明するための側面図である。
【
図22】
図18におけるXXII部を示した部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態の搬送装置1について、
図1~
図22を参照して説明する。搬送装置1は、冷凍車両、冷蔵車両等に搭載可能な空調装置を搬送するための装置である。搬送装置1は、例えば陸上輸送用冷凍装置として用いられる空調ユニットであって、大きさの異なる複数種類の空調ユニットを効率的に搬送可能な輸送用装置である。
【0011】
搬送装置1に取り付けられる空調ユニット100は、所定の空間を空調する空調装置の一部であり、冷凍サイクルを含む空調機能部品を備える。冷凍サイクルは、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器、これらを接続する配管等を備えている。空調ユニット100は、冷凍サイクルをケーシング内に内蔵したパッケージ型ユニットである。また、冷凍サイクルを構成する機能部品のうち少なく一つを空調ユニット100の外部に設置する構成としてもよい。空調ユニット100は、例えば、空調対象空間であるコンテナの前部における上部に設置され、空調ユニット100で作られる冷却風はコンテナ内の全体に向けて送風される。
【0012】
空調ユニット100の冷凍能力やサイズは、空調対象空間の大きさ、空調温度、冷凍品の種類、冷蔵品の種類等によって多種多様である。この空調ユニットは、車両のバリエーションや必要とする冷凍能力によって、多種類のものが製造され、その大きさが異なっている。この明細書では、空調ユニットのサイズバリエーションに対応可能な搬送装置を提供することにより、搬送装置1の管理費用を抑えることができ、空調ユニットの大きさに適合した搬送装置1によって物流費用の低減を図ることができる。
【0013】
次に搬送装置1の構成について説明する。
図1に図示するように、搬送装置1は、それぞれ所定の形状の枠体を形成する複数のベース部材2,3と、並置された複数のベース部材2,3を一体に連結するための複数の連結部材4,5,6と、を備える。搬送装置1は、ベース部材2、ベース部材3に固定されて、空調ユニット100が取り付けられる複数のユニット支持部材8を備える。
【0014】
ユニット支持部材8は、各ベース部材2,3において、搬送装置1における背部側に1個ずつ設けられている。ユニット支持部材8は、例えば、断面L字形の細長状の部材である。ユニット支持部材8は、
図1に示す空調ユニット100が設置可能な状態では長手方向を上下方向に向けた姿勢である。ユニット支持部材8は、
図18に示すように、空調ユニット100を設置していない状態の複数の搬送装置1を上下方向に段積みする場合には、下部を支点として折りたたまれる姿勢である。したがって、ユニット支持部材8は、下部を支点として起立状態からほぼ水平状態にわたって可動可能に構成されている。ユニット支持部材8には、空調ユニット100の背部を固定するためのボルトを挿通可能な取付孔が設けられている。
【0015】
複数のベース部材2,3は、空調ユニット100の幅方向、搬送装置1の幅方向に並んで設けられている。この幅方向は、搬送装置1において連結部材4,5,6に対してベース部材2,3がスライド可能なスライド方向でもある。ベース部材2とベース部材3の並び方向に対して直交する方向は、搬送装置1の短手方向である奥行方向に相当する。
【0016】
搬送装置1は、連結部材4,5,6として第1連結部材4、第2連結部材5、第3連結部材6を備える。各連結部材4,5,6は、複数のベース部材2,3の並び方向に延びる細長状の部材であり、同等の長手方向長さを有している。第1連結部材4と第2連結部材5は、同様の構成、形状、大きさの部材である。
【0017】
第1連結部材4は、ベース部材2における第1枠部20aとベース部材3における第1枠部30aとを、ベース部材2,3全体の幅方向長さを大きく設定する場合と小さく設定する場合との両方に連結可能とする部材である。ベース部材2,3全体の幅方向長さを大きく設定する場合は、大きなサイズの空調ユニット100を搬送するときに搬送装置1の幅方向長さを空調ユニット100に適合させる場合である。ベース部材2,3全体の幅方向長さを小さく設定する場合は、小さなサイズの空調ユニット100を搬送するときに搬送装置1の幅方向長さを空調ユニット100に適合させる場合である。
【0018】
第1連結部材4と第1枠部20aおよび第1枠部30aとは、固定具9によって、幅方向長さを大きく設定する場合と幅方向長さを小さく設定する場合とのそれぞれにおいて4箇所で固定される。固定具9は、軸部に雄ねじ部が形成されたボルト、ねじ等の締結部材が用いられる。また、固定具9には、ねじ部を備えず係合や嵌合によってベース部材に固定される機能部を有する係止部材等を用いることもできる。第1連結部材4は、第1枠部20a、第1枠部30aのそれぞれの上壁、下壁および側壁を覆うように各枠部の外側に嵌められる。第1連結部材4は、スライド方向に並置された第1枠部20aと第1枠部30aに対して、横から外嵌めするような移動軌跡を描いて設置することができる。
【0019】
第2連結部材5は、ベース部材2における第2枠部20bとベース部材3における第2枠部30bとを、ベース部材2,3全体の幅方向長さを大きく設定する場合と小さく設定する場合との両方に連結可能とする部材である。第2連結部材5と第2枠部20bおよび第2枠部30bとは、固定具9によって、幅方向長さを大きく設定する場合と幅方向長さを小さく設定する場合とのそれぞれにおいて4箇所で固定される。第2連結部材5は、第2枠部20b、第2枠部30bのそれぞれの上壁、下壁および側壁を覆うように各枠部の外側に嵌められる。第2連結部材5は、スライド方向に並置された第2枠部20bと第2枠部30bに対して、第1連結部材4の場合と同じ方向に横から外嵌めするような移動軌跡を描いて設置することができる。
【0020】
第3連結部材6は、ベース部材2における第3枠部20cとベース部材3における第3枠部30cとを、ベース部材2,3全体の幅方向長さを大きく設定する場合と小さく設定する場合との両方に連結可能とする部材である。第3連結部材6と第3枠部20cおよび第3枠部30cとは、固定具9によって、幅方向長さを大きく設定する場合と幅方向長さを小さく設定する場合とのそれぞれにおいて4箇所で固定される。第3連結部材6は、第3枠部20cおよび第3枠部30cそれぞれの上壁、下壁および側壁を覆うように各枠部の外側に嵌められる。第3連結部材6は、スライド方向に並置された第3枠部20cと第3枠部30cに対して、第1連結部材4の場合とは反対方向に横から外嵌めするような移動軌跡を描いて設置することができる。第1連結部材4、第2連結部材5、第3連結部材6は、搬送装置1において、複数のベース部材のうち隣り合う2個のベース部材を連結する寸法可変部材として機能する。
【0021】
第1連結部材4、第2連結部材5の構成について、
図6~
図8を参照しながら第1連結部材4を代表して説明する。
【0022】
第1連結部材4は、断面形状がコの字状またはU字状であり、全体が細長状の角形部材40である。角形部材40は、それぞれ矩形状である上壁40a、側壁、下壁40bを一体に備えて形成されている。側壁は、上下方向に離間している上壁40aと下壁40bとを端部で連絡している。側壁は、搬送装置1において正面の一部である。第1連結部材4は、スライド方向またはベース部材2,3の並び方向に間隔をあけて設けられた複数の連結側孔部40a1,40a2を備えている。複数の連結側孔部40a1,40a2は、上壁40aを上下に貫通する孔部であり、固定具9が挿通可能な内径寸法で形成されている。第1連結部材4は、スライド方向またはベース部材2,3の並び方向に間隔をあけて下壁40bに設けられた複数の連結側孔部40b1,40b2を備えている。連結側孔部40a1と連結側孔部40b1は、スライド方向に関して同じ位置に設けられている。連結側孔部40a2と連結側孔部40b2は、スライド方向に関して同じ位置に設けられている。複数の連結側孔部40b1,40b2は、下壁40bを上下に貫通する雌ねじ部であり、固定具9の雄ねじ部が螺合可能な雌ねじ部を備えている。
【0023】
また、複数の連結側孔部40b1,40b2は、固定具9が挿通可能な内径寸法で形成された貫通孔部として構成してもよい。この場合、連結部材の所定の連結側孔部と枠部の所定のベース側孔部とを適切に一致させた状態で、雄ねじ部を有していない固定具9を上から下へ差し込むことによりベース部材2とベース部材3とを連結部材によって連結することができる。
【0024】
第1連結部材4は、枠部20,30または角形部材40よりも下方においてベース部材2,3の並び方向に離間する複数の管状部41を備える。2個の管状部41は、所定の間隔をあけて角形部材40と一体に設けられている。2個の管状部41は、第2連結部材5の2個の管状部51および第3連結部材6の2個の管状部51とともに、搬送装置1を運ぶ際に搬送装置1を保持するための保持部として機能する。
【0025】
第1枠部20aと第1枠部30aとを第1連結部材4によって連結した状態では、第1連結部材4は、第1枠部20aと第1枠部30aにおける上壁、側壁および下壁を覆うように、第1枠部20aと第1枠部30aに対して外側から接触している。
【0026】
第3連結部材6の構成について、
図9~
図11を参照しながら説明する。第3連結部材6は、搬送装置1において、奥行方向に底板部22,32を介して第1連結部材4と対向する第2連結部材5のそばで第2連結部材5と平行とるように設けられている。第3連結部材6は、第1連結部材4とともに搬送装置1における奥行方向の端部に位置して外枠を構成している。
【0027】
第3連結部材6は、断面形状がコの字状またはU字状であり全体が細長状の角形部材60を備える。角形部材60は、それぞれ矩形状である上壁60a、側壁、下壁60bを一体に備えて形成されている。側壁は、上下方向に離間している上壁60aと下壁60bとを端部で連絡している。側壁は、搬送装置1において背面の一部である。第3連結部材6は、スライド方向またはベース部材2,3の並び方向に間隔をあけて設けられた複数の連結側孔部60a1,60a2を備えている。複数の連結側孔部60a1,60a2は、上壁60aを上下に貫通する孔部であり、固定具9が挿通可能な内径寸法で形成されている。第3連結部材6は、スライド方向またはベース部材2,3の並び方向に間隔をあけて下壁60bに設けられた複数の連結側孔部60b1,60b2を備えている。連結側孔部60a1と連結側孔部60b1は、スライド方向に関して同じ位置に設けられている。連結側孔部60a2と連結側孔部60b2は、スライド方向に関して同じ位置に設けられている。複数の連結側孔部60b1,60b2は、下壁60bを上下に貫通する雌ねじ部であり、固定具9の雄ねじ部が螺合可能な雌ねじ部を備えている。また、複数の連結側孔部60b1,60b2は、前述した第1連結部材4の説明と同様に、固定具9が挿通可能な内径寸法で形成された貫通孔部として構成してもよい。
【0028】
第3連結部材6は、枠部20,30または角形部材60よりも下方においてベース部材2,3の並び方向に離間する複数の管状部61を備える。2個の管状部61は、所定の間隔をあけて角形部材60と一体に設けられている。第3枠部20cと第3枠部30cとを第3連結部材6によって連結した状態では、第3連結部材6は、第3枠部20cと第3枠部30cにおける上壁、側壁および下壁を覆うように、第3枠部20cと第3枠部30cに対して外側から接触している。
【0029】
搬送装置1の幅方向長さを大きく設定する場合、すなわちサイズの大きな空調ユニット100を設置する場合は、
図2、
図17に示している。この場合、スライド方向両側に位置する2個の連結側孔部40a1,40b1は、ベース側孔部20a3,30a3と一致させて固定具9によって固定される孔部である。さらに連結側孔部40a1よりもスライド方向内側に位置する2個の連結側孔部40a2,40b2は、ベース側孔部20a1,30a1と一致させて固定具9によって固定される孔部である。スライド方向両側に位置する2個の連結側孔部50a1,50b1は、ベース側孔部20b3,30b3と一致させて固定具9によって固定される孔部である。連結側孔部50a1よりもスライド方向内側に位置する2個の連結側孔部50a2,50b2は、ベース側孔部20b1,30b1と一致させて固定具9によって固定される孔部である。スライド方向両側に位置する2個の連結側孔部60a1,60b1は、ベース側孔部20c3,30c3と一致させて固定具9によって固定される孔部である。連結側孔部60a1よりもスライド方向内側に位置する2個の連結側孔部60a2,60b2は、ベース側孔部20c1,30c1と一致させて固定具9によって固定される孔部である。
【0030】
搬送装置1の幅方向長さを小さく設定する場合、すなわちサイズの小さな空調ユニット100を設置する場合は、
図3、
図16に示している。この場合、スライド方向両側に位置する2個の連結側孔部40a1,40b1は、ベース側孔部20a4,30a4と一致させて固定具9によって固定される孔部である。さらに2個の連結側孔部40a2,40b2は、ベース側孔部20a2,30a2と一致させて固定具9によって固定される孔部である。スライド方向両側に位置する2個の連結側孔部50a1,50b1は、ベース側孔部20b4,30b4と一致させて固定具9によって固定される孔部である。連結側孔部50a1よりもスライド方向内側に位置する2個の連結側孔部50a2,50b2は、ベース側孔部20b2,30b2と一致させて固定具9によって固定される孔部である。スライド方向両側に位置する2個の連結側孔部60a1,60b1は、ベース側孔部20c4,30c4と一致させて固定具9によって固定される孔部である。連結側孔部60a1よりもスライド方向内側に位置する2個の連結側孔部60a2,60b2は、ベース側孔部20c2,30c2と一致させて固定具9によって固定される孔部である。
【0031】
第2連結部材5の、角形部材50、上壁50a、下壁50b、管状部51は、第1連結部材4の、角形部材40、上壁40a、下壁40b、管状部41にそれぞれ対応し、同様の構成、機能である。第2連結部材5の、連結側孔部50a1、連結側孔部50a2、連結側孔部50b1、連結側孔部50b2は、第1連結部材4の、連結側孔部40a1、連結側孔部40a2、連結側孔部40b1、連結側孔部40b2にそれぞれ対応し、同様の構成、機能である。
【0032】
第3連結部材6の、角形部材60、上壁60a、下壁60b、管状部61は、第1連結部材4の、角形部材40、上壁40a、下壁40b、管状部41にそれぞれ対応し、同様の構成、機能である。第3連結部材6の、連結側孔部60a1、連結側孔部60a2、連結側孔部60b1、連結側孔部60b2は、第1連結部材4の、連結側孔部40a1、連結側孔部40a2、連結側孔部40b1、連結側孔部40b2にそれぞれ対応し、同様の構成、機能である。
【0033】
搬送装置1は、ユニット支持部材8に固定支持した空調ユニット100を、例えば、製造場所から車両に搭載する組み付け現場に搬送するために用いられ、繰り返し使用可能な運搬用部材を組み合わせた装置である。搬送装置1は鋼材等を組み立てて形成した金枠を構成する。ベース部材2とベース部材3は、同様の形状および構成である。以下、ベース部材2について記載する説明はベース部材3についても適用できるものとする。また、ベース部材2、ベース部材3の両方に共通する内容を説明する場合には、符号を省略して単にベース部材と記載することがある。
【0034】
ベース部材2は、ユニット支持部材8が固定されている枠部20と、枠部20を構成する角形管をつなぐ底板部22と、枠部20における角部である4か所にそれぞれ上方向に延びる柱状部7と、を備える。枠部20は、例えばL形アングル、角形パイプ等の部材を組み合わせることにより形成されている。枠部20は、第1枠部20a、第2枠部20bおよび第3枠部20cを含む。第2枠部20bと第3枠部20cには、ユニット支持部材8の下部が固定されており、空調ユニット100の背面側の下方に位置している。第1枠部20aは、空調ユニット100の背面側の下方に位置している。
図15に示すように、空調ユニット100は奥行方向について第1枠部20aと第2枠部20bの間に位置している。
【0035】
柱状部7は、例えば角形パイプ等の部材を組み合わせることにより形成されている。並置したベース部材2とベース部材3とを連結部材4,5,6によって一体に連結した状態では、ベース部材2とベース部材3と合わせて形成された矩形状の枠体における4箇所の角部に柱状部7が設けられることになる。
【0036】
各柱状部7は、枠部20よりも上方に延びる上方突出部70と、上方突出部70に接続されて上方突出部70よりも上方に突出する第1突出部71と、枠部20よりも下方に位置する下方突出部72と、を備える。上方突出部70は、第1突出部71よりも外形が大きく、第1突出部71が固定されるとともに枠部20に一体に設けられている。下方突出部72は、柱状部7において最も下方に位置し、搬送装置1を床面に置いた場合に床面に接触する部分である。第1突出部71の上端は、
図14、
図15に示すように、ユニット支持部材8に空調ユニット100を装着した状態で空調ユニット100の上端よりも上方に位置する。この構成により、空調ユニット100は搬送装置1の端部から突出することなく、上下方向および横方向について搬送装置1の内部に存在するように設置されている。
【0037】
柱状部7は、最下部である下方突出部72、上方突出部70、第1突出部71の順に外形寸法が小さくなり、細くなる形状である。下方突出部72は、下端が下方に向けて開口する下端開口部を備えた筒状をなしている。第1突出部71は、筒状の下方突出部72の内側に挿通可能となる外形の大きさを有している。上方突出部70は、筒状の下方突出部72の内側に挿通できない外形の大きさを有している。または上方突出部70は、下方突出部72の内側において下方突出部72の内側部に接触することによってある位置までしか進入できないような外形の大きさを有している。
【0038】
図18~
図20に示すように複数の搬送装置1を段積みする際に、上方突出部70は、その上端または外郭が下方突出部72の内部に接触することで、下方のベース部材が上方のベース部材に対して上方向に移動することを阻止するストッパとして機能する。このように柱状部7は、複数の搬送装置1を上下に段積みする際の支柱として機能する。さらに柱状部7は、柱状部7の高さを調整可能する調整部70aを備えている。調整部70aは、
図13に示すように、上方突出部70よりも上方に突出する第1突出部71の突出長さを調整可能とする機能を有する。
【0039】
第1突出部71は、上方突出部70の上端よりも下方において調整部70aによって上方突出部70に固定されている。このように第1突出部71が固定されている部分は、上方突出部70の内側に挿入された状態であり、貫通する雌ねじ部が設けられている。柱状部7における上方突出部70には、調整部70aを構成する雄ねじが挿通可能な上下方向に長い長穴が貫通している。この長穴の上下方向長さの範囲で、第1突出部71が上方突出部70よりも突出する長さを上下方向に調整することができる。作業者は、雄ねじを緩めた状態で上方突出部70よりも突出する第1突出部71の長さを段積みのために適切な長さに調整し、雄ねじを締めつける。この作業により、調整部70aは複数の搬送装置1を段積みする際の支柱の長さを調整する機能を発揮する。
【0040】
また、調整部70aは、
図20に示すように、空調ユニット100を設置していない状態の複数の搬送装置1を上下方向に段積みする場合に第1突出部71を折りたたむための支点として機能する。すなわち、第1突出部71は、調整部70aを中心に回転するように旋回可能である。第1突出部71の上部には、第1突出部71が折りたたまれた場合に他の部材と接触して第1突出部71を支持するつまみ部71aが設けられている。
【0041】
ベース部材2は、柱状部7よりも枠部30側において枠部20よりも上方に延びる上方突出部21と、上方突出部21と同軸で枠部20よりも下方に位置する下方突出部21aと、を備える。上方突出部21は、幅方向長さが小さく設定された搬送装置1を上に、幅方向長さが大きく設定された搬送装置1を下にして段積みした場合に、下の搬送装置1の上方突出部21が上の搬送装置1の下方突出部72に嵌る位置に設けられている。上方突出部21は、上方突出部70よりも背が低く、筒状の下方突出部72の内側に挿通可能となる外形の大きさを有している。下方突出部21aは、上方突出部70の内側に挿通可能となる外形の大きさを有している。
図18~
図20に示すように複数の搬送装置1を段積みする際に、上方突出部21は、その上端または外郭が下方突出部72の内部に接触することで、下方のベース部材が上方のベース部材に対して上方向に移動することを阻止するストッパとして機能する。
【0042】
下方突出部21aは、幅方向長さが大きく設定された搬送装置1を上に、幅方向長さが小さく設定された搬送装置1を下にして段積みした場合に、上の搬送装置1の下方突出部21aが下の搬送装置1の上方突出部70に嵌る位置に設けられている。
図18~
図20に示すように複数の搬送装置1を段積みする際に、上方突出部70は、その内側に下方突出部21aが嵌り上端が枠部20に接触することで、下方のベース部材が上方のベース部材に対して上方向に移動することを阻止するストッパとして機能する。
【0043】
搬送装置1は、第1突出部71の上部に固定可能なアタッチメント73を備える。アタッチメント73は、柱状部7の上下方向長さをさらに長く設定する場合に、第1突出部71に装着する部材である。
図12に示すように、アタッチメント73は、第1突出部71の上部に設けられた雌ねじ部71bに螺合可能なねじ部73aを備える。搬送装置1に設置する空調ユニット100の上下方向長さが大きく、空調ユニット1000の上端が第1突出部71の上端よりも上方に位置する場合には、アタッチメント73を使用することで、空調ユニット100を搬送装置1の内部に収容することができる。
【0044】
ベース部材3における、枠部30、上方突出部31、下方突出部31a、底板部32は、ベース部材2における、枠部20、上方突出部21、下方突出部21a、底板部22にそれぞれ対応し、同様の構成、機能である。ベース部材3における、第1枠部30a、第2枠部30b、第3枠部30cは、ベース部材2における、第1枠部20a、第2枠部20b、第3枠部20cにそれぞれ対応し、同様の構成、機能である。第1枠部30aの、ベース側孔部30a1、ベース側孔部30a2、ベース側孔部30a3、ベース側孔部30a4は、ベース側孔部20a1、ベース側孔部20a2、ベース側孔部20a3、ベース側孔部20a4にそれぞれ対応し、同様の構成、機能である。第2枠部30bの、ベース側孔部30b1、ベース側孔部30b2、ベース側孔部30b3、ベース側孔部30b4は、ベース側孔部20b1、ベース側孔部20b2、ベース側孔部20b3、ベース側孔部20b4にそれぞれ対応し、同様の構成、機能である。第3枠部30cの、ベース側孔部30c1、ベース側孔部30c2、ベース側孔部30c3、ベース側孔部30c4は、ベース側孔部20c1、ベース側孔部20c2、ベース側孔部20c3、ベース側孔部20c4にそれぞれ対応し、同様の構成、機能である。
【0045】
次に、複数の搬送装置1を上下に段積みする場合の作業について説明する。幅方向長さが大きく設定された搬送装置1と幅方向長さが小さく設定された搬送装置1は、
図18~
図20に図示するように、上下に積み重ねて段積みすることが可能である。この場合、ユニット支持部材8と第1突出部71は折りたたまれて、搬送装置1の最上部は上方突出部70の上端部となる。
【0046】
幅方向長さが大きく設定された搬送装置1を上にし幅方向長さが小さく設定された搬送装置1を下にして段積みする場合は、
図18、
図19、
図21に示すように、上の搬送装置1の下方突出部21aと下の搬送装置1の上方突出部70とを嵌め合わせる。幅方向長さが小さく設定された搬送装置1を上にし幅方向長さが大きく設定された搬送装置1を下にして段積みする場合は、
図18、
図19、
図22に示すように、上の搬送装置1の下方突出部72と下の搬送装置1の上方突出部21とを嵌め合わせる。また、同じ幅方向長さの搬送装置1を上下にして段積みする場合は、上の搬送装置1の下方突出部72と下の搬送装置1の上方突出部70とを嵌め合わせる。このように幅方向長さが異なる搬送装置1を段積みすることが可能であり、段積みした状態で運搬することができる。搬送装置1は、空の搬送装置1を輸送する際の輸送効率の向上や、複数の搬送装置1を保管する保管スペースの抑制を図ることができる。
【0047】
次に、第1実施形態の搬送装置1がもたらす作用、効果について説明する。搬送装置1は、空調ユニット100が取り付けられる複数のユニット支持部材8と、ユニット支持部材がそれぞれ固定されている複数のベース部材2,3と、を備える。さらに搬送装置1は、複数のベース部材のうち隣り合う2個のベース部材を連結する寸法可変部材を備える。この寸法可変部材は、複数のベース部材2,3全体の幅方向長さを少なくとも2種類の長さに変更可能な構成を備える。
【0048】
この搬送装置1によれば、隣り合う2個のベース部材2,3を連結する寸法可変部材は、複数のベース部材2,3全体の幅方向長さを少なくとも2種類の長さに変更することができる。これにより、搬送する空調ユニット100の幅方向長さに合わせて、寸法可変部材によって複数のベース部材2,3全体の幅方向長さを適切な長さに調節することができる。搬送装置1は、異なる幅方向長さを有する複数種類の空調ユニット100を無駄な空きスペースを大きくすることなく、設置することができる。したがって、空調ユニットのサイズバリエーションに対応可能な搬送装置1を提供できる。言い換えれば、単一の搬送装置1によって多種の空調ユニットを搬送することを実現でき、搬送装置1に係る保管場所を抑え、管理工数を抑えることができる。また、搬送する空調ユニットのサイズに合わせた大きさに搬送装置1を寸法調整することにより、空調ユニット100の大きさに対して無駄に大きすぎることがない搬送装置1を提供できる。
【0049】
ベース部材2とベース部材3は、複数のベース部材2,3の並び方向に沿って延びる枠部20と枠部30を備える。寸法可変部材は、当該並び方向に隣接する2個のベース部材2,3に関する枠部20と枠部30とを複数の異なる離間距離で連結可能な連結部材4,5,6を備えている。この構成によれば、当該並び方向、すなわち複数のベース部材2,3全体の幅方向について枠部20と枠部30とを、全体長さを少なくとも2種類の長さに変更可能なように橋渡しする連結部材を備えている。これにより、連結部材自体の長さと、連結部材と各枠部との結合位置を設定することにより、長さ調節のための複雑な構成を備えることなく、様々な幅方向長さの空調ユニット100を設置可能な搬送装置1を提供できる。
【0050】
連結部材4,5,6は、複数のベース部材2,3の並び方向に間隔をあけて並ぶ複数の連結側孔部を有する。枠部20,30は、当該並び方向に間隔をあけて並ぶ複数のベース側孔部を有する。搬送装置1は、連結側孔部とベース側孔部とに挿通された状態で、当該並び方向に隣接する枠部20と枠部30とを固定する固定具9を備える。この構成によれば、複数の連結側孔部および複数のベース側孔部のうちの、固定具9が挿通される連結側孔部とベース側孔部の組み合わせを変更することによって、連結部材に対する各枠部の結合位置を変更することができる。したがって、複数の孔部のうち、固定具9によって固定する連結側孔部とベース側孔部の組み合わせを空調ユニット100の幅方向長さに合わせて選択することにより、容易に調節可能な搬送装置1を提供できる。例えば、選択すべき孔部の組み合わせを搬送装置1に表示する構成とすることによれば、作業者はスムーズな長さ調整作業を実施できる。
【0051】
さらに連結部材4,5,6は、枠部20,30の上壁、下壁および側壁を覆うように枠部20,30の外側に嵌められる構成である。この構成によれば、連結側孔部とベース側孔部との組み合わせを、空調ユニットの幅方向長さに適合した組み合わせに変更する場合に、連結部材を枠部に対して横から嵌めこむ作業によって実施することができる。これにより、枠部20,30に設けられたベース側孔部と連結部材4,5,6に設けられた連結側孔部とを目視しながら位置合わせ作業を実施しやすい。また高い位置での作業であっても負担の少ない作業を実施することができる。
【0052】
連結部材4,5,6は、枠部20,30の上壁、下壁および側壁を覆うように枠部20,30の外側に嵌められる構成である。複数の連結側孔部は、枠部20,30の上壁、下壁を覆う連結部材4,5,6の上壁、下壁にそれぞれ設けられている。複数のベース側孔部は、枠部20,30の上壁、下壁にそれぞれ設けられている。この構成によれば、適切な組み合わせに設定した連結側孔部とベース側孔部とを固定するときに、雄ねじ部を有していない固定具9を上から下へ差し込む作業によって実施することができる。
【0053】
固定具9は雄ねじ部を有する。連結部材4,5,6の下壁に設けられている連結側孔部は、固定具9の雄ねじ部が螺合可能な雌ねじ部を備えている。この構成によれば、固定具9を連結側孔部とベース側孔部に差し入れて、上から固定具9を回して雄ねじ部と連結側孔部の雌ねじ部とを螺合させていく作業により、連結部材4,5,6で枠部20,30を挟み込んで両者を強固に固定することができる。したがって、ベース部材2とベース部材3とを橋渡しする部分の強度向上を図る搬送装置1を提供できる。
【0054】
ベース部材2,3は、それぞれ枠部20,30よりも上方に突出する形状であるとともに当該並び方向に間隔をあけて設けられる複数の上方突出部70,21,31を備える。ベース部材2,3は、それぞれ枠部20,30よりも下方に突出する形状であるとともに当該並び方向に間隔をあけて設けられる複数の下方突出部72,21a,31aを備える。枠部20と枠部30との離間距離が異なる搬送装置1を上下方向に積み上げた状態で、下方の搬送装置1における上方突出部と上方の搬送装置1における下方突出部とは、互いに嵌り合う位置に設けられている。
【0055】
この構成によれば、搬送装置1を上下に段積みする場合に、上の搬送装置1における複数の下方突出部のうちいずれかと下の搬送装置1における複数の上方突出部のうちいずれかとを嵌め合わせることができる。この嵌め合わせる下方突出部と上方突出部との組み合わせを適宜選択することで、幅方向長さが異な2個の搬送装置を上下に段積みすることができる。これにより、幅方向長さが異なる複数種類の空調ユニット100を取り付けた状態の搬送装置1を上下に段積みして輸送することができ、空調ユニットのサイズバリエーションに対応可能で、輸送性にも優れた搬送装置1を提供できる。
【0056】
ベース部材2,3は、上方突出部70よりも上方に突出する第1突出部71と、上方に延びる形状であって第1突出部71に対して着脱可能に設けられたアタッチメント73と、を備える。この構成によれば、第1突出部71に対してアタッチメント73を装着した場合と装着しない場合とで搬送装置1の上下方向長さを変更することができる。
【0057】
搬送装置1は、ベース部材2,3の並び方向に対して直交する方向に離間して対向する2個の連結部材4,5,6を備える。この構成によれば、直交する方向に離間する複数箇所においてベース部材2,3を連結する構成を提供できるので、搬送装置1の剛性を高めることができる。
【0058】
連結部材4,5,6のそれぞれは、枠部20,30よりも下方において当該並び方向に離間する複数の管状部41,51,61を備える。この構成によれば、管状部にフォークリフト等のフォークを差し込んだ状態で単数または複数段積みした搬送装置1を持ち上げ可能であるとともに、複数の管状部が一体に設けられることによって、ベース部材を連結するための連結部材の剛性を高めることができる。
【0059】
(他の実施形態)
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0060】
前述の実施形態において、各連結部材と各枠部との固定位置は2通りであるが、固定位置はこの組み合わせに限定されない。各連結部材と各枠部との固定位置は3通り以上の組み合わせで構成してもよい。つまり、明細書に開示の目的を達成可能な搬送装置1は、幅方向長さを2種類に調節可能な装置だけでなく、3種類以上に調整可能な装置である。
【0061】
前述の実施形態において、搬送装置1は幅方向に並ぶ2個のベース部材を備え、この2個のベース部材同士を連結する連結部材を備える構成である。しかしながら、明細書に開示の目的を達成可能な搬送装置1は、ベース部材の個数を3個以上有し、幅方向について2箇所以上の連結部材を備える構成でもよい。
【0062】
前述の実施形態においてベース部材等の搬送装置を構成する各部材は、鋼材等を組み合わせた部材であるが、このような形態に限定するものではない。ベース部材は、例えばプレス加工によって形成された金属製の部材、金型を用いた樹脂成形品であってもよい。
【0063】
前述の実施形態における、空調ユニット100を取り付けた状態の搬送装置1は、上下に複数個積み重ねて段積みすることが可能である。
【符号の説明】
【0064】
1…搬送装置、 2,3…ベース部材
4…第1連結部材(連結部材、寸法可変部材)
5…第2連結部材(連結部材、寸法可変部材)
6…第3連結部材(連結部材、寸法可変部材)
8…ユニット支持部材、 9…固定具、 100…空調ユニット