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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20220308BHJP
   H02M 7/12 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
H02M3/28 B
H02M7/12 R
H02M7/12 G
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017182308
(22)【出願日】2017-09-22
(65)【公開番号】P2019058029
(43)【公開日】2019-04-11
【審査請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 健一
(72)【発明者】
【氏名】石垣 将紀
(72)【発明者】
【氏名】石原 義昭
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-192527(JP,A)
【文献】特開2015-015829(JP,A)
【文献】特開2017-063555(JP,A)
【文献】特開2017-123739(JP,A)
【文献】特開2009-232502(JP,A)
【文献】特開2018-182815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
H02M 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換装置であって、
定常状態時に交流電力の力率を調整する第1スイッチング回路と、
定常状態時に、前記第1スイッチング回路から出力された電力に基づいて直流電圧を生成し、当該定常状態時に、その直流電圧を二次電池に印加する第2スイッチング回路と、を備え、
前記交流電力が前記第1スイッチング回路に入力されておらず、前記二次電池の電圧が前記第2スイッチング回路に印加されておらず、さらに、前記第1スイッチング回路および前記第2スイッチング回路のいずれもが停止している停止状態から前記定常状態に至る起動時に、
前記二次電池の出力電圧を前記第2スイッチング回路に印加する第1処理と、
前記第1処理を実行した後に、前記交流電力を前記第1スイッチング回路に入力し、さらに、前記第1スイッチング回路の動作を開始する第2処理と、
前記第2処理を実行した後に、前記第2スイッチング回路の動作を開始する第3処理と、
を実行する制御部、を備え
前記第1スイッチング回路は、
前記定常状態時に前記交流電力に基づいて充電されると共に、前記定常状態時に前記第2スイッチング回路に電力を出力するバッファコンデンサを備え、
前記電力変換装置は、さらに、
前記第1スイッチング回路に接続された1次巻線と、前記第2スイッチング回路に接続された2次巻線とを有し、前記第1スイッチング回路と前記第2スイッチング回路とを結合するトランスを備え、
前記1次巻線の巻き数は、前記2次巻線の巻き数のN倍であり、
前記制御部は、
前記第2処理を実行することで前記バッファコンデンサの充電電圧が前記二次電池の電圧のN倍に達したとき、または前記二次電池の電圧のN倍に達した後に、前記第3処理を実行することを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
定常状態時に交流電力の力率を調整する第1スイッチング回路と、
定常状態時に、前記第1スイッチング回路から出力された電力に基づいて直流電圧を生成し、当該定常状態時に、その直流電圧を二次電池に印加する第2スイッチング回路と、を備え、
前記交流電力が前記第1スイッチング回路に入力されておらず、前記二次電池の電圧が前記第2スイッチング回路に印加されておらず、さらに、前記第1スイッチング回路および前記第2スイッチング回路のいずれもが停止している停止状態から前記定常状態に至る起動時に、
前記二次電池の出力電圧を前記第2スイッチング回路に印加する第1処理と、
前記第1処理を実行した後に、前記交流電力を前記第1スイッチング回路に入力し、さらに、前記第1スイッチング回路の動作を開始する第2処理と、
前記第2処理を実行した後に、前記第2スイッチング回路の動作を開始する第3処理と、
を実行する制御部、を備え、
前記第1スイッチング回路は、
並列接続された2つのハーフブリッジであって、一端が共通に接続された2つのスイッチング素子を、各ハーフブリッジが備える2つのハーフブリッジと、
2つの前記ハーフブリッジの両端に接続されたバッファコンデンサと、
2つの前記ハーフブリッジの一端にカソードが接続された第1ダイオードと、
2つの前記ハーフブリッジの他端にアノードが接続され、前記第1ダイオードのアノードにカソードが接続された第2ダイオードと、
前記第2スイッチング回路に接続された2次巻線と共にトランスを構成する1次巻線であって、一方の前記ハーフブリッジにおける2つのスイッチング素子の接続点と、他方の前記ハーフブリッジにおける2つのスイッチング素子の接続点との間に接続された1次巻線と、を備え、
前記第1ダイオードおよび前記第2ダイオードの接続点と、前記1次巻線の中途接続点との間に前記交流電力が入力されることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電力変換装置において、
前記交流電力を出力する交流電源と、前記第1スイッチング回路との間に設けられ、前記第2処理が実行されるときにオンになる第1リレー回路と、
前記第2スイッチング回路と前記二次電池との間に設けられ、前記第1処理が実行されるときにオンになる第2リレー回路と、を備え、
前記第1リレー回路および前記第2リレー回路のそれぞれは、
抵抗素子を含む抵抗スイッチ経路と、前記抵抗スイッチ経路に並列に接続されており、抵抗素子を含まない抵抗なしスイッチ経路とを含むことを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
電力変換装置であって、
定常状態時に交流電力の力率を調整する第1スイッチング回路と、
定常状態時に、前記第1スイッチング回路から出力された電力に基づいて直流電圧を生成し、当該定常状態時に、その直流電圧を二次電池に印加する第2スイッチング回路と、を備え、
前記交流電力が前記第1スイッチング回路に入力されておらず、前記二次電池の電圧が前記第2スイッチング回路に印加されておらず、さらに、前記第1スイッチング回路および前記第2スイッチング回路のいずれもが停止している停止状態から定常状態に至る起動時に、
前記二次電池の出力電圧を前記第2スイッチング回路に印加する第1処理と、
前記第1処理を実行した後に、前記第2スイッチング回路を動作させて、前記二次電池から前記第2スイッチング回路を介して前記第1スイッチング回路に電力を伝送する第2処理と、
前記第2処理を実行した後に、前記交流電力を前記第1スイッチング回路に入力し前記第1スイッチング回路の動作を開始する第3処理と、
前記第3処理を実行すると共に、前記第2スイッチング回路を定常状態で動作させる第4処理と、
を実行する制御部と、を備え、
前記第1スイッチング回路は、
前記定常状態時に前記交流電力に基づいて充電されると共に、前記定常状態時に前記第2スイッチング回路に電力を出力するバッファコンデンサを備え、
前記電力変換装置は、さらに、
前記第1スイッチング回路に接続された1次巻線と、前記第2スイッチング回路に接続された2次巻線とを有し、前記第1スイッチング回路と前記第2スイッチング回路とを結合するトランスを備え、
前記1次巻線の巻き数は、前記2次巻線の巻き数のN倍であり、
前記制御部は、
前記第2処理を実行することで前記バッファコンデンサの充電電圧が前記二次電池の電圧のN倍に達したとき、または前記二次電池の電圧のN倍に達した後に、前記第3処理を実行することを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
定常状態時に交流電力の力率を調整する第1スイッチング回路と、
定常状態時に、前記第1スイッチング回路から出力された電力に基づいて直流電圧を生成し、当該定常状態時に、その直流電圧を二次電池に印加する第2スイッチング回路と、を備え、
前記交流電力が前記第1スイッチング回路に入力されておらず、前記二次電池の電圧が前記第2スイッチング回路に印加されておらず、さらに、前記第1スイッチング回路および前記第2スイッチング回路のいずれもが停止している停止状態から前記定常状態に至る起動時に、
前記二次電池の出力電圧を前記第2スイッチング回路に印加する第1処理と、
前記第1処理を実行した後に、前記第2スイッチング回路を動作させて、前記二次電池から前記第2スイッチング回路を介して前記第1スイッチング回路に電力を伝送する第2処理と、
前記第2処理を実行した後に、前記交流電力を前記第1スイッチング回路に入力し前記第1スイッチング回路の動作を開始する第3処理と、
前記第3処理を実行すると共に、前記第2スイッチング回路を定常状態で動作させる第4処理と、
を実行する制御部と、を備え、
前記第1スイッチング回路は、
並列接続された2つのハーフブリッジであって、一端が共通に接続された2つのスイッチング素子を、各ハーフブリッジが備える2つのハーフブリッジと、
2つの前記ハーフブリッジの両端に接続されたバッファコンデンサと、
2つの前記ハーフブリッジの一端にカソードが接続された第1ダイオードと、
2つの前記ハーフブリッジの他端にアノードが接続され、前記第1ダイオードのアノードにカソードが接続された第2ダイオードと、
前記第2スイッチング回路に接続された2次巻線と共にトランスを構成する1次巻線であって、一方の前記ハーフブリッジにおける2つのスイッチング素子の接続点と、他方の前記ハーフブリッジにおける2つのスイッチング素子の接続点との間に接続された1次巻線と、を備え、
前記第1ダイオードおよび前記第2ダイオードの接続点と、前記1次巻線の中途接続点との間に前記交流電力が入力されることを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の電力変換装置において、
前記第2スイッチング回路は、
前記定常状態時には、前記第1スイッチング回路から出力された電力に基づいてスイッチング動作によって直流電圧を生成し、その直流電圧を前記二次電池に印加し、
前記起動時には、前記二次電池から前記第1スイッチング回路にスイッチング動作によって電力を伝送し、
前記起動時におけるスイッチングのオンオフの各時間長は、前記定常状態におけるスイッチングのオンオフの各時間長と異なることを特徴とする電力変換装置。
【請求項7】
請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の電力変換装置において、
前記交流電力を出力する交流電力源と、前記第1スイッチング回路との間に設けられ、前記第3処理が実行されるときにオンになるスイッチと、
前記第2スイッチング回路と前記二次電池との間に設けられ、前記第1処理が実行されるときにオンになるリレー回路と、を備え、
前記リレー回路は、
抵抗素子を含む抵抗スイッチ経路と、前記抵抗スイッチ経路に並列に接続されており、抵抗素子を含まない抵抗なしスイッチ経路とを含むことを特徴とする電力変換装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電力変換装置において、
前記第2スイッチング回路は、
前記二次電池に印加される電圧を前記定常状態時に充電する出力コンデンサを備えることを特徴とする電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関し、特に、起動時の動作に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車や電気自動車等の電動車両が広く用いられている。電動車両には、駆動用モータに電力を供給するためのバッテリが搭載されている。ハイブリッド自動車では、エンジンの駆動力や回生制動によって発電した電力によってバッテリが充電される。また、プラグイン機能のある電動車両では、商用電源から供給される電力によってバッテリが充電される。バッテリを充電するため、電動車両には電力変換装置が搭載されている。電力変換装置は、バッテリ充電のために入力された電圧を適切な電圧に変換してバッテリに印加する。
【0003】
以下の特許文献1および2には、2つのスイッチング回路を各回路に接続された巻線によって磁気的に結合させ、2つのスイッチング回路の間で電力を伝送させる電力変換装置が示されている。特許文献3には、第1および第2の昇圧コンバータのパルス幅変調による力率改善を行いつつ、第1および第2の昇圧コンバータの周波数を調整することにより出力電圧を制御する電力変換装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-193713号公報
【文献】特開2017-46533号公報
【文献】特開2010-183726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、プラグイン機能のある電動車両に搭載される電力変換装置は、ACアウトレットから出力された交流電力を直流電力に変換し、バッテリに出力する。電力変換装置には、交流電力から変換された直流電力を蓄えるコンデンサや、二次電池に出力する電力を蓄えるコンデンサ等が用いられる。したがって、電力変換装置の動作が停止した状態から動作を開始する起動時には、コンデンサを充電するための電流が電力変換装置に流れることがある。この起動時電流が大きいと、電力変換装置に用いられている部品の寿命が短くなることがある。
【0006】
本発明は、電力変換装置に起動時に流れる電流を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電力変換装置であって、定常状態時に交流電力の力率を調整する第1スイッチング回路と、定常状態時に、前記第1スイッチング回路から出力された電力に基づいて直流電圧を生成し、当該定常状態時に、その直流電圧を二次電池に印加する第2スイッチング回路と、を備え、前記交流電力が前記第1スイッチング回路に入力されておらず、前記二次電池の電圧が前記第2スイッチング回路に印加されておらず、さらに、前記第1スイッチング回路および前記第2スイッチング回路のいずれもが停止している停止状態から前記定常状態に至る起動時に、前記二次電池の出力電圧を前記第2スイッチング回路に印加する第1処理と、前記第1処理を実行した後に、前記交流電力を前記第1スイッチング回路に入力し、さらに、前記第1スイッチング回路の動作を開始する第2処理と、前記第2処理を実行した後に、前記第2スイッチング回路の動作を開始する第3処理と、を実行する制御部、を備え、前記第1スイッチング回路は、前記定常状態時に前記交流電力に基づいて充電されると共に、前記定常状態時に前記第2スイッチング回路に電力を出力するバッファコンデンサを備え、前記電力変換装置は、さらに、前記第1スイッチング回路に接続された1次巻線と、前記第2スイッチング回路に接続された2次巻線とを有し、前記第1スイッチング回路と前記第2スイッチング回路とを結合するトランスを備え、前記1次巻線の巻き数は、前記2次巻線の巻き数のN倍であり、前記制御部は、前記第2処理を実行することで前記バッファコンデンサの充電電圧が前記二次電池の電圧のN倍に達したとき、または前記二次電池の電圧のN倍に達した後に、前記第3処理を実行することを特徴とする。また、本発明は、定常状態時に交流電力の力率を調整する第1スイッチング回路と、定常状態時に、前記第1スイッチング回路から出力された電力に基づいて直流電圧を生成し、当該定常状態時に、その直流電圧を二次電池に印加する第2スイッチング回路と、を備え、前記交流電力が前記第1スイッチング回路に入力されておらず、前記二次電池の電圧が前記第2スイッチング回路に印加されておらず、さらに、前記第1スイッチング回路および前記第2スイッチング回路のいずれもが停止している停止状態から前記定常状態に至る起動時に、前記二次電池の出力電圧を前記第2スイッチング回路に印加する第1処理と、前記第1処理を実行した後に、前記交流電力を前記第1スイッチング回路に入力し、さらに、前記第1スイッチング回路の動作を開始する第2処理と、前記第2処理を実行した後に、前記第2スイッチング回路の動作を開始する第3処理と、を実行する制御部、を備え、前記第1スイッチング回路は、並列接続された2つのハーフブリッジであって、一端が共通に接続された2つのスイッチング素子を、各ハーフブリッジが備える2つのハーフブリッジと、2つの前記ハーフブリッジの両端に接続されたバッファコンデンサと、2つの前記ハーフブリッジの一端にカソードが接続された第1ダイオードと、2つの前記ハーフブリッジの他端にアノードが接続され、前記第1ダイオードのアノードにカソードが接続された第2ダイオードと、前記第2スイッチング回路に接続された2次巻線と共にトランスを構成する1次巻線であって、一方の前記ハーフブリッジにおける2つのスイッチング素子の接続点と、他方の前記ハーフブリッジにおける2つのスイッチング素子の接続点との間に接続された1次巻線と、を備え、前記第1ダイオードおよび前記第2ダイオードの接続点と、前記1次巻線の中途接続点との間に前記交流電力が入力されることを特徴とする。
【0008】
望ましくは、前記交流電力を出力する交流電源と、前記第1スイッチング回路との間に設けられ、前記第2処理が実行されるときにオンになる第1リレー回路と、前記第2スイッチング回路と前記二次電池との間に設けられ、前記第1処理が実行されるときにオンになる第2リレー回路と、を備え、前記第1リレー回路および第2リレー回路のそれぞれは、抵抗素子を含む抵抗スイッチ経路と、前記抵抗スイッチ経路に並列に接続されており、抵抗素子を含まない抵抗なしスイッチ経路とを含む。
【0009】
本発明は、電力変換装置であって、定常状態時に交流電力の力率を調整する第1スイッチング回路と、定常状態時に、前記第1スイッチング回路から出力された電力に基づいて直流電圧を生成し、当該定常状態時に、その直流電圧を二次電池に印加する第2スイッチング回路と、を備え、前記交流電力が前記第1スイッチング回路に入力されておらず、前記二次電池の電圧が前記第2スイッチング回路に印加されておらず、さらに、前記第1スイッチング回路および前記第2スイッチング回路のいずれもが停止している停止状態から定常状態に至る起動時に、前記二次電池の出力電圧を前記第2スイッチング回路に印加する第1処理と、前記第1処理を実行した後に、前記第2スイッチング回路を動作させて、前記二次電池から前記第2スイッチング回路を介して前記第1スイッチング回路に電力を伝送する第2処理と、前記第2処理を実行した後に、前記交流電力を前記第1スイッチング回路に入力し前記第1スイッチング回路の動作を開始する第3処理と、前記第3処理を実行すると共に、前記第2スイッチング回路を定常状態で動作させる第4処理と、を実行する制御部と、を備え、前記第1スイッチング回路は、前記定常状態時に前記交流電力に基づいて充電されると共に、前記定常状態時に前記第2スイッチング回路に電力を出力するバッファコンデンサを備え、前記電力変換装置は、さらに、前記第1スイッチング回路に接続された1次巻線と、前記第2スイッチング回路に接続された2次巻線とを有し、前記第1スイッチング回路と前記第2スイッチング回路とを結合するトランスを備え、前記1次巻線の巻き数は、前記2次巻線の巻き数のN倍であり、前記制御部は、前記第2処理を実行することで前記バッファコンデンサの充電電圧が前記二次電池の電圧のN倍に達したとき、または前記二次電池の電圧のN倍に達した後に、前記第3処理を実行することを特徴とする。また、本発明は、定常状態時に交流電力の力率を調整する第1スイッチング回路と、定常状態時に、前記第1スイッチング回路から出力された電力に基づいて直流電圧を生成し、当該定常状態時に、その直流電圧を二次電池に印加する第2スイッチング回路と、を備え、前記交流電力が前記第1スイッチング回路に入力されておらず、前記二次電池の電圧が前記第2スイッチング回路に印加されておらず、さらに、前記第1スイッチング回路および前記第2スイッチング回路のいずれもが停止している停止状態から前記定常状態に至る起動時に、前記二次電池の出力電圧を前記第2スイッチング回路に印加する第1処理と、前記第1処理を実行した後に、前記第2スイッチング回路を動作させて、前記二次電池から前記第2スイッチング回路を介して前記第1スイッチング回路に電力を伝送する第2処理と、前記第2処理を実行した後に、前記交流電力を前記第1スイッチング回路に入力し前記第1スイッチング回路の動作を開始する第3処理と、前記第3処理を実行すると共に、前記第2スイッチング回路を定常状態で動作させる第4処理と、を実行する制御部と、を備え、前記第1スイッチング回路は、並列接続された2つのハーフブリッジであって、一端が共通に接続された2つのスイッチング素子を、各ハーフブリッジが備える2つのハーフブリッジと、2つの前記ハーフブリッジの両端に接続されたバッファコンデンサと、2つの前記ハーフブリッジの一端にカソードが接続された第1ダイオードと、2つの前記ハーフブリッジの他端にアノードが接続され、前記第1ダイオードのアノードにカソードが接続された第2ダイオードと、前記第2スイッチング回路に接続された2次巻線と共にトランスを構成する1次巻線であって、一方の前記ハーフブリッジにおける2つのスイッチング素子の接続点と、他方の前記ハーフブリッジにおける2つのスイッチング素子の接続点との間に接続された1次巻線と、を備え、前記第1ダイオードおよび前記第2ダイオードの接続点と、前記1次巻線の中途接続点との間に前記交流電力が入力されることを特徴とする。
【0010】
望ましくは、前記第2スイッチング回路は、前記定常状態時には、前記第1スイッチング回路から出力された電力に基づいてスイッチング動作によって直流電圧を生成し、その直流電圧を前記二次電池に印加し、前記起動時には、前記二次電池から前記第1スイッチング回路にスイッチング動作によって電力を伝送し、前記起動時におけるスイッチングのオンオフの各時間長は、前記定常状態におけるスイッチングのオンオフの各時間長と異なる。
【0011】
望ましくは、前記交流電力を出力する交流電力源と、前記第1スイッチング回路との間に設けられ、前記第3処理が実行されるときにオンになるスイッチと、前記第2スイッチング回路と前記二次電池との間に設けられ、前記第1処理が実行されるときにオンになるリレー回路と、を備え、前記リレー回路は、抵抗素子を含む抵抗スイッチ経路と、前記抵抗スイッチ経路に並列に接続されており、抵抗素子を含まない抵抗なしスイッチ経路とを含む。
【0014】
望ましくは、前記第2スイッチング回路は、前記二次電池に印加される電圧を前記定常状態時に充電する出力コンデンサを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電力変換装置に起動時に流れる電流を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】基本技術に係る電力変換装置の構成を示す図である。
図2】入力交流電圧が正の値となる半周期における力率改善回路の動作タイミングを示す図である。
図3】入力交流電圧が負の値となる半周期における力率改善回路の動作タイミングを示す図である。
図4】1次巻線電圧、2次巻線電圧、および2次巻線電流の時間波形を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る電力変換装置の構成を示す図である。
図6】1次巻線電圧および2次巻線電流の時間波形を模式的に示す図である。
図7】バッファ電圧および2次巻線電流の時間波形を示す図である。
図8】1次巻線電圧および2次巻線電流の時間波形を模式的に示す図である。
図9】バッファ電圧および2次巻線電流の時間波形を示す図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る電力変換装置の構成を示す図である。
図11】バッファ電圧、制御信号Cn1、制御信号Cn5および2次巻線電流の時間波形を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1には、本発明の基本技術に係る車両搭載用の電力変換装置の構成が示されている。電力変換装置は、力率改善回路10、電圧コンバータ回路14および制御部22を備えている。力率改善回路10には交流電圧源18が接続されている。交流電圧源18は、例えば、商用電源であり、電力変換装置の搭載先の車両がプラグイン機能を有する場合には、ACアウトレットが交流電圧源18となる。電圧コンバータ回路14には負荷回路20が接続されている。負荷回路20は、例えば、バッテリ、あるいは車両搭載用バッテリを充電するための充電回路である。制御部22は、力率改善回路10および電圧コンバータ回路14が備える各スイッチング素子をオンオフ制御する。
【0018】
力率改善回路10は、交流電圧源18から流入する電流の時間波形をスイッチングによって調整し、交流電圧源18から電力変換装置側を見た力率を改善する。力率改善回路10および電圧コンバータ回路14はトランスTによって結合されており、交流電圧源18から出力された電力は、力率改善回路10から電圧コンバータ回路14に伝送される。電圧コンバータ回路14は、トランスTの2次巻線T2から得られる交流電圧を直流電圧に変換し、適切な大きさの直流電圧を負荷回路20に出力する。力率改善回路10および電圧コンバータ回路14によれば、交流電圧源18から負荷回路20に効率的に電力が供給される。
【0019】
力率改善回路10の構成について説明する。力率改善回路10は、フィルタコンデンサCin、1次巻線T1、および第1スイッチング回路12を備えている。
【0020】
第1スイッチング回路12は、スイッチング素子S1およびS2によって構成されるハーフブリッジU、スイッチング素子S3およびS4によって構成されるハーフブリッジV、ダイオードD1、ダイオードD2、およびバッファコンデンサCbufを備えている。ハーフブリッジUは、スイッチング素子S1の一端と、スイッチング素子S2の一端とを接続したものである。スイッチング素子S1の両端には、スイッチング素子S2との接続点の側をアノードとしてダイオードが接続されている。スイッチング素子S2の両端には、スイッチング素子S1との接続点の側をカソードとしてダイオードが接続されている。スイッチング素子S1およびS2としては、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が用いられる。この場合、スイッチング素子S1としてのIGBTのエミッタと、スイッチング素子S2としてのIGBTのコレクタとが接続される。
【0021】
同様に、ハーフブリッジVは、スイッチング素子S3の一端と、スイッチング素子S4の一端とを接続したものである。スイッチング素子S3の両端には、スイッチング素子S4との接続点の側をアノードとしてダイオードが接続されている。スイッチング素子S4の両端には、スイッチング素子S3との接続点の側をカソードとしてダイオードが接続されている。スイッチング素子S3およびS4としては、例えば、IGBTが用いられる。この場合、スイッチング素子S3としてのIGBTのエミッタと、スイッチング素子S4としてのIGBTのコレクタとが接続される。
【0022】
スイッチング素子S1およびS2の接続点と、スイッチング素子S3およびS4の接続点との間には、1次巻線T1が接続されている。1次巻線T1のセンタータップm(中途接続点)は電源入力端子24-2に接続されている。
【0023】
ハーフブリッジUおよびVは並列接続され、フルブリッジを構成している。すなわち、スイッチング素子S1のスイッチング素子S2側とは反対側の端子(図の上側の端子)と、スイッチング素子S3のスイッチング素子S4側とは反対側の端子(図の上側の端子)とが接続されている。また、スイッチング素子S2のスイッチング素子S1側とは反対側の端子(図の下側の端子)と、スイッチング素子S4のスイッチング素子S3側とは反対側の端子(図の下側の端子)とが接続されている。
【0024】
ダイオードD1のアノードはダイオードD2のカソードに接続されている。ダイオードD1のカソードは、ハーフブリッジUおよびVの上側の端子に接続され、ダイオードD2のアノードは、ハーフブリッジUおよびVの下側の端子に接続されている。ダイオードD1およびD2の接続点は、電源入力端子24-1に接続されている。
【0025】
スイッチング素子S1、スイッチング素子S3、およびダイオードD1の接続点と、スイッチング素子S2、スイッチング素子S4、およびダイオードD2の接続点との間には、バッファコンデンサCbufが接続されている。
【0026】
1次巻線T1は、電圧コンバータ回路14が備える2次巻線T2に磁気的に結合し、1次巻線T1および2次巻線T2はトランスTを構成している。なお、1次巻線T1の一端とスイッチング素子S1およびS2の接続点との間に第1のリアクトルが接続され、1次巻線T1の他端とスイッチング素子S3およびS4の接続点との間に第2のリアクトルが接続されてもよい。この場合、第1のリアクトルと第2のリアクトルは磁気的に結合してもよい。また、電源入力端子24-2とセンタータップmとの間にもリアクトルが接続されてもよい。
【0027】
電源入力端子24-1と電源入力端子24-2との間には、フィルタコンデンサCinが接続されている。また、電源入力端子24-1と電源入力端子24-2との間には交流電圧源18が接続されている。交流電圧源18が商用電源である場合には、電源入力端子24-1および24-2には、ケーブルを介して電源用プラグが接続され、その電源用プラグがACアウトレットに差し込まれる。
【0028】
力率改善回路10の動作について説明する。交流電圧源18は電源入力端子24-1および24-2に、正弦波電圧である入力交流電圧Vacを出力する。フィルタコンデンサCinは、力率改善回路10で発生し、交流電圧源18側に流出する高周波電流を抑制する。
【0029】
制御部22は、制御信号Cn1~Cn4をそれぞれスイッチング素子S1~S4に出力し、スイッチング素子S1~S4をオンオフ制御する。制御信号Cniがハイであるときは、スイッチング素子Siはオンとなり、制御信号Cniがローであるときは、スイッチング素子Siはオフとなる。ただし、iは1~4のうちいずれかの整数である。制御信号Cn2は制御信号Cn1に対してハイおよびローを反転したものであり、制御信号Cn4は、制御信号Cn3に対してハイおよびローを反転したものである。また、制御信号Cn3およびCn4は、それぞれ、制御信号Cn1およびCn2に対して位相が180°遅れている。
【0030】
これによって、スイッチング素子S1およびスイッチング素子S2は、交互にオンオフする。すなわち、スイッチング素子S1がオフからオンになったときは、スイッチング素子S2はオンからオフになり、スイッチング素子S1がオンからオフになったときは、スイッチング素子S2は、オフからオンになる。同様に、スイッチング素子S3およびスイッチング素子S4は交互にオンオフする。スイッチング素子S1およびS2のオンオフの位相に対し、スイッチング素子S3およびS4のオンオフの位相は180°遅れる。
【0031】
制御部22は、バッファコンデンサCbufの端子間電圧とその目標値との差異、交流電圧源18と電源入力端子24-2との間の経路を流れる入力電流iL、および交流電圧源18が出力する入力交流電圧Vacに応じて、制御信号Cn1~Cn4のデューティ比(時比率)を変化させる。これによって、電源入力端子24-1および24-2に流れる電流の時間波形を入力交流電圧Vacの時間波形に近似させ、または一致させると共に、電源入力端子24-1および24-2に流れる電流の位相を入力交流電圧Vacの位相に近似させ、または一致させる。
【0032】
図2(a)~(e)には、入力交流電圧Vacが正の値となる半周期における力率改善回路10の動作タイミングが示されている。図2(a)には制御信号Cn1の反転値および制御信号Cn2の時間波形が示されており、図2(b)には制御信号Cn3の反転値および制御信号Cn4の時間波形が示されている。符号の上に付された「-」の記号は、その符号で表される制御信号の反転値を意味する。図2(c)には、スイッチング素子S1およびS2の接続点の電位Vu(U相電位Vu)の時間波形が示されており、図2(d)には、スイッチング素子S3およびS4との接続点の電位Vv(V相電位Vv)の時間波形が示されている。さらに、図2(e)には、1次巻線T1に印加される電圧Vuv(1次巻線電圧Vuv)の時間波形が示されている。制御信号Cn1の反転値および制御信号Cn3の反転値は、それぞれ、制御信号Cn2およびCn4と同一である。また、U相電位VuおよびV相電位Vvの基準は接地導体G1の電位である。
【0033】
図2(a)に示されているように、制御信号Cn1の反転値および制御信号Cn2の周期はPであり、1周期Pの間に制御信号Cn1の反転値および制御信号Cn2は、ハイ時間δだけハイになる。図2(b)に示されているように、制御信号Cn3の反転値および制御信号Cn4は、制御信号Cn1の反転値および制御信号Cn2に対して半周期、すなわち、180°遅れている。デューティ比αは、α=δ/Pであり、ハイ時間δが入力交流電圧Vinの瞬時値に応じて変化し、デューティ比αはハイ時間δの変化に伴って変化する。
【0034】
ここでは、バッファコンデンサCbufが一定の電圧Vbに充電されているものとして力率改善回路10の動作について説明する。
【0035】
制御信号Cn1がハイであり、制御信号Cn2がローである間、スイッチング素子S1はオンになり、スイッチング素子S2はオフになる。これによってU相電位Vuは、バッファコンデンサCbufの充電電圧Vbとなる。一方、制御信号Cn1がローであり、制御信号Cn2がハイである間、スイッチング素子S1はオフになり、スイッチング素子S2はオンになる。これによってU相電位は0となる。したがって、図2(c)に示されているように、U相電位Vuは、周期Pで時間(P-δ)の間Vbとなり、その他の時間帯で0となる。
【0036】
制御信号Cn3がハイであり、制御信号Cn4がローである間、スイッチング素子S3はオンになり、スイッチング素子S4はオフになる。これによって、V相電位VvはバッファコンデンサCbufの充電電圧Vbとなる。一方、制御信号Cn3がローであり、制御信号Cn4がハイである間、スイッチング素子S3はオフになり、スイッチング素子S4はオンになる。これによってV相電位は0となる。したがって、図2(d)に示されているように、V相電位Vvは、U相電位Vuと同一の時間波形を有し、U相電位Vuから180°位相が遅れた電位となる。
【0037】
1次巻線電圧Vuvは、U相電位VuからV相電位Vvを減じた電圧である。これによって、図2(e)に示されているように、1次巻線電圧Vuvは、波高値Vbで正負対称の時間波形となる。
【0038】
図3(a)~(e)には、入力交流電圧が負の値となる半周期における力率改善回路10の動作タイミングが示されている。図3(a)には制御信号Cn1の反転値および制御信号Cn2の時間波形が示されており、図3(b)には制御信号Cn3の反転値および制御信号Cn4の時間波形が示されている。図3(c)にはU相電位Vuの時間波形が示されており、図3(d)にはV相電位Vvの時間波形が示されている。さらに、図3(e)には1次巻線電圧Vuvの時間波形が示されている。図2に示されている事項と同一の事項については同一の符号付してその説明を省略する。
【0039】
図3(a)に示されているように、制御信号Cn1の反転値および制御信号Cn2の周期はPであり、1周期Pの間に制御信号Cn1の反転値および制御信号Cn2は、ハイ時間γだけハイになる。図3(b)に示されているように、制御信号Cn3の反転値および制御信号Cn4は、制御信号Cn1の反転値および制御信号Cn2に対して半周期、すなわち、180°遅れている。デューティ比αは、α=γ/Pであり、ハイ時間γが入力交流電圧Vinの瞬時値に応じて変化し、デューティ比αはハイ時間γの変化に伴って変化する。
【0040】
入力交流電圧Vinが正の値となる半周期と同様の動作によって、入力交流電圧Vinが負の値となる半周期においては、図3(c)に示されているように、U相電位Vuは、周期Pで時間(P-γ)の間Vbとなり、その他の時間帯で0となる。また、図3(d)に示されているように、V相電位Vvは、U相電位Vuと同一の時間波形を有し、U相電位Vuから180°位相が遅れた電位となる。1次巻線電圧Vuvは、U相電位VuからV相電位Vvを減じた電圧である。これによって、図3(e)に示されているように、1次巻線電圧Vuvは、波高値Vbで正負対称の時間波形となる。これによって、2次巻線T2には、1次巻線電圧Vuvに基づく2次巻線電圧Vwxが発生する。
【0041】
また、制御信号Cn1~Cn4に従ってスイッチングS1~S4がオンオフ制御されることで、スイッチング素子S1~S4、ダイオードD1およびD2が整流回路として動作し、1次巻線T1の端子間電圧Vuvが整流されてバッファコンデンサCbufに印加される。これによって、入力交流電圧Vacに基づいて、バッファコンデンサCbufが充電される。
【0042】
制御信号Cn1~Cn4の周期は、入力交流電圧Vinの周期よりも十分短い。リアクトルLおよび1次巻線T1に流れる電流の時間波形は、スイッチング素子S1~S4のスイッチングによって整形され、力率改善動作が実行される。
【0043】
次に、電圧コンバータ回路14の構成について図1を参照して説明する。電圧コンバータ回路14は、2次巻線T2および第2スイッチング回路16を備えている。
【0044】
第2スイッチング回路16は、スイッチング素子S5およびS6によって構成されるハーフブリッジW、スイッチング素子S7およびS8によって構成されるハーフブリッジX、および出力コンデンサCoutを備えている。ハーフブリッジWは、スイッチング素子S5の一端と、スイッチング素子S6一端とを接続したものである。スイッチング素子S5の両端には、スイッチング素子S6との接続点の側をアノードとしてダイオードが接続されている。スイッチング素子S6の両端には、スイッチング素子S5との接続点の側をカソードとしてダイオードが接続されている。スイッチング素子S5およびS6としては、例えば、IGBTが用いられる。この場合、スイッチング素子S5としてのIGBTのエミッタと、スイッチング素子S6としてのIGBTのコレクタとが接続される。
【0045】
同様に、ハーフブリッジXは、スイッチング素子S7の一端と、スイッチング素子S8の一端とを接続したものである。スイッチング素子S7の両端には、スイッチング素子S8との接続点の側をアノードとしてダイオードが接続されている。スイッチング素子S8の両端には、スイッチング素子S7との接続点の側をカソードとしてダイオードが接続されている。スイッチング素子S7およびS8としては、例えば、IGBTが用いられる。この場合、スイッチング素子S7としてのIGBTのエミッタと、スイッチング素子S8としてのIGBTのコレクタとが接続される。
【0046】
スイッチング素子S5およびS6の接続点と、スイッチング素子S7およびS8の接続点との間には2次巻線T2が接続されている。
【0047】
ハーフブリッジWおよびXは並列接続され、出力フルブリッジを構成している。すなわち、スイッチング素子S5の上側の端子とスイッチング素子S6の上側の端子とが接続され、スイッチング素子S7の下側の端子とスイッチング素子S8の下側の端子とが接続されている。ハーフブリッジWおよびXの上側の端子と、ハーフブリッジWおよびXの下側の端子との間には、出力コンデンサCoutが接続されている。また、ハーフブリッジWおよびXの上側の端子には正極負荷端子26Pが接続され、ハーフブリッジWおよびXの下側の端子には負極負荷端子26Nが接続されている。さらに、正極負荷端子26Pと負極負荷端子26Nとの間には負荷回路20が接続されている。
【0048】
電圧コンバータ回路14の動作について説明する。力率改善回路10の1次巻線T1に印加された電圧に応じて2次巻線T2に電圧が発生し、2次巻線T2に発生した電圧がスイッチング素子S5およびS6の接続点と、スイッチング素子S7およびS8の接続点との間に印加される。
【0049】
制御部22は、制御信号Cn5~Cn8をそれぞれスイッチング素子S5~S8に出力し、スイッチング素子S5~S8をオンオフ制御する。制御信号Cniがハイであるときは、スイッチング素子Siはオンとなり、制御信号Cniがローであるときは、スイッチング素子Siはオフとなる。ただし、iは5~8のうちいずれかの整数である。制御信号Cn6は制御信号Cn5に対してハイおよびローを反転させたものであり、制御信号Cn8は、制御信号Cn7に対してハイおよびローを反転させたものである。また、制御信号Cn7およびCn8は、それぞれ、制御信号Cn5およびCn6に対して位相が180°遅れている。
【0050】
これによってスイッチング素子S5およびS6は交互にオンオフする。すなわち、スイッチング素子S5がオフからオンになったときは、スイッチング素子S6はオンからオフになり、スイッチング素子S5がオンからオフになったときは、スイッチング素子S6はオフからオンになる。同様に、スイッチング素子S7およびS8は交互にオンオフする。スイッチング素子S5およびS6のオンオフの位相に対し、スイッチング素子S7およびS8のオンオフの位相は180°遅れる。制御部22は、電圧コンバータ回路14におけるデューティ比を、力率改善回路10におけるデューティ比に一致させる。
【0051】
制御部22は、出力コンデンサCoutの端子間電圧と、その目標値との差異に応じて、第2スイッチング回路16をスイッチングする位相を、第1スイッチング回路12に対して遅らせる。
【0052】
ここでは、出力コンデンサCoutが一定の電圧Vdに充電されているものとして電圧コンバータ回路14の動作について説明する。
【0053】
図4(a)には、1次巻線電圧Vuvおよび2次巻線電圧Vwxの時間波形が示されている。ここで、2次巻線電圧Vwxは、スイッチング素子S7およびS8の接続点の電位を基準としたスイッチング素子S5およびS6の接続点の電圧である。1次巻線電圧Vuvは波高値がVbの矩形波であり、2次巻線電圧Vwxは波高値がVdの矩形波である。2次巻線電圧Vwxは1次巻線電圧Vuvに対して位相がφだけ遅れている。図4(b)には、2次巻線T2に流れる電流idの時間波形が示されている。2次巻線電流idは、ハーフブリッジXからハーフブリッジWに向かう方向を正とする。
【0054】
1次巻線電圧Vuvが0からVbに立ち上がり、2次巻線電圧Vwxが0である期間τ1の間、2次巻線電流idは0から正方向に急激に増加する。その後、2次巻線電圧VwxがVdに立ち上がり、1次巻線電圧VuvがVbであり2次巻線電圧VwxがVdである期間τ2の間、2次巻線電流idの変化は緩やかになる。さらに、1次巻線電圧VuvがVbから0に立ち下がり、2次巻線電圧VwxがVdである期間τ3の間、2次巻線電流idは0に向かってに急激に減少する。
【0055】
1次巻線電圧Vuvおよび2次巻線電圧Vwxが0である期間τ4では、2次巻線電流idは0である。
【0056】
1次巻線電圧Vuvが0から-Vbに立ち上がり、2次巻線電圧Vwxが0である期間τ5の間、2次巻線電流idは0から負方向に急激に増加する。その後、2次巻線電圧Vwxが-Vdに立ち上がり、1次巻線電圧Vuvが-Vbであり2次巻線電圧Vwxが-Vdである期間τ6の間、2次巻線電流idの変化は緩やかになる。さらに、1次巻線電圧Vuvが-Vbから0に立ち下がり、2次巻線電圧Vwxが-Vdである期間τ7の間、2次巻線電流idは0に向かってに急激に減少する。
【0057】
1次巻線電圧Vuvが立ち上がってから2次巻線電圧Vwxが立ち上がる前までの期間τ1およびτ5では、1次巻線T1から2次巻線T2にエネルギーが供給されると共に、2次巻線T2はエネルギーを蓄える。そして、期間τ2、τ3、τ6およびτ7の間、電圧コンバータ回路14は、2次巻線電圧Vwxおよび2次巻線電流idの積で定まる電力を負荷回路20に出力する。
【0058】
1次巻線電圧Vuvと2次巻線電圧Vwxとの位相差φが大きい程、2次巻線T2にエネルギーが蓄積される期間τ1およびτ5が長くなり、期間τ2、τ3、τ6およびτ7における2次巻線電流idの絶対値が大きくなる。ただし、位相差φは180°未満の値である。したがって、1次巻線電圧Vuvと2次巻線電圧Vwxとの位相差φが大きい程、力率改善回路10から電圧コンバータ回路14に伝送され、電圧コンバータ回路14から負荷回路20に出力される電力が大きくなる。
【0059】
なお、制御部22が、上述のようにスイッチング素子S5~S8をスイッチング制御することで、2次巻線電流idが出力コンデンサCoutの上端から下端に流れ、出力コンデンサCoutは、所定の電圧Vdで充電される。
【0060】
電圧コンバータ回路14は、1次巻線T1および2次巻線T2によって構成されるトランスTによって、力率改善回路10に磁気的に結合している。したがって、力率改善回路10は、電圧コンバータ回路14から電気的に絶縁され、電圧コンバータ回路14で発生した高電圧による電流が、力率改善回路10側に流れることが回避される。また、上述のように、1次巻線T1に印加される1次巻線電圧Vuvは、正負対称の時間波形を有しているため、力率改善回路10から電圧コンバータ回路14に電力が伝送される際にトランスTにおいて生じる損失が低減される。
【0061】
図5には、本発明の実施形態に係る電力変換装置の構成が示されている。この電力変換装置は、負荷回路としてバッテリ28を接続したものである。バッテリ28には、繰り返し充電が可能な二次電池が用いられる。交流電圧源18と電源入力端子24-2との間には第1リレー回路RS1が接続されている。また、バッテリ28と正極負荷端子26Pとの間には第2リレー回路RS2が接続されている。図1に示されている構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0062】
第1リレー回路RS1は、リレースイッチRS12および抵抗素子r1を直列接続した抵抗スイッチ経路に、抵抗なしスイッチ経路としてのリレースイッチRS11を並列に接続したものである。第2リレー回路RS2は、リレースイッチRS22および抵抗素子r2を直列接続した抵抗スイッチ経路に、抵抗なしスイッチ経路としてのリレースイッチRS21を並列に接続したものである。リレースイッチRS11、RS12、RS21およびRS22は、制御部22によってオフからオンに、または、オンからオフに制御される。
【0063】
制御部22は、第1リレー回路RS1をオンにするときは、リレースイッチRS12をオンにした後に、リレースイッチR11をオンにする。リレースイッチRS11よりも先にリレースイッチRS12をオンにすることで、リレースイッチRS12がオンになったときには、リレースイッチRS12に直列に接続された抵抗素子r1によって、電力変換装置に過大な電流が流れることが回避される。
【0064】
同様に、制御部22は、第2リレー回路RS2をオンにするときは、リレースイッチRS22をオンにした後に、リレースイッチR21をオンにする。リレースイッチRS21よりも先にリレースイッチRS22をオンにすることで、リレースイッチRS22がオンになったときには、リレースイッチRS22に直列に接続された抵抗素子r2によって、電力変換装置に過大な電流が流れることが回避される。
【0065】
電力変換装置が停止状態から定常状態に至る起動時の動作について説明する。ここで、停止状態とは、リレースイッチRS11、RS12、RS21およびRS22のいずれもがオフであり、第1スイッチング回路12および第2スイッチング回路16のスイッチングが停止している状態をいう。定常状態とは、これらのリレースイッチがオンになり、力率改善回路10が力率改善動作をし、電圧コンバータ回路14が電力変換動作をしている上述の状態をいう。
【0066】
制御部22は、第1スイッチング回路12および第2スイッチング回路16のスイッチングを停止した状態において第2リレー回路RS2をオンにして、バッテリ28によって出力コンデンサCoutを充電する。次に制御部22は、第1リレー回路RS1をオンにした後、第1スイッチング回路12のスイッチングを開始する。制御部22は、バッファコンデンサCbufの端子間電圧Vb(バッファ電圧Vb)が、出力コンデンサCoutの端子間電圧VdのN倍となったときに、第2スイッチング回路16のスイッチングを開始する。Nは、2次巻線T2の巻き数に対する1次巻線T1の巻き数の比として定義される巻線比である。なお、制御部22は、バッファ電圧Vbが、出力コンデンサCoutの端子間電圧VdのN倍よりも小さい所定値となったときに、第2スイッチング回路16のスイッチングを開始してもよい。
【0067】
このように、制御部22は、起動時に次の第1処理~第3処理を実行する。すなわち、バッテリ28の出力電圧を第2スイッチング回路16に印加する第1処理と、第1処理を実行した後に、交流電圧源18からの交流電力を第1スイッチング回路12に入力し、さらに、第1スイッチング回路12の動作を開始する第2処理と、第2処理を実行した後に、第2スイッチング回路16の動作を開始する第3処理とを実行する。このような処理によれば、起動時において1次巻線電流および2次巻線電流が過大となることが回避され、電力変換装置に用いられている電気部品の寿命の短縮を防ぐことができる。
【0068】
図6(a)には、第1リレー回路RS1および第2リレー回路RS2が時間t0に同時にオンにされると共に、第1スイッチング回路12および第2スイッチング回路16のスイッチングが時間t0に同時に開始された場合の2次巻線電圧Vwxの時間波形が模式的に示されている。また、図6(b)には、このような処理における2次巻線電流idの時間波形が模式的に示されている。時間t0に第1スイッチング回路12のスイッチングが開始されると、時間経過と共に1次巻線電圧Vwxの波高値は大きくなり、出力コンデンサCoutの端子間電圧VdのN倍に収束する。これと共に、バッファ電圧Vbもまた、出力コンデンサCoutの端子間電圧VdのN倍に収束する。時間t0ではバッファ電圧VbがN・Vdに収束していないため、1次巻線電圧Vuvと2次巻線電圧Vwxとの差異が大きい。そのため、2次巻線電流idの大きさは最初は大きく、バッファ電圧VbがN・Vdに収束するにつれて小さくなる。
【0069】
図7(a)および(b)にはシミュレーション結果が示されている。すなわち、図7(a)には、第1リレー回路RS1および第2リレー回路RS2が時間t0に同時にオンにされると共に、第1スイッチング回路12および第2スイッチング回路16のスイッチングが時間t0に同時に開始された場合のバッファ電圧Vbの時間波形が示されている。図7(b)には、このような処理における2次巻線電流idの時間波形が模式的に示されている。
【0070】
図8(a)には、第2リレー回路RS2がオンとされてバッテリ28によって出力コンデンサCoutが充電された後、第1リレー回路RS1がオンとされ、時間t0に第1スイッチング回路12のみのスイッチングが開始されたときの1次巻線電圧Vwxの時間波形が模式的に示されている。時間t0に第1スイッチング回路12のスイッチングが開始されると、時間経過と共に1次巻線電圧Vwxの波高値は大きくなり、出力コンデンサCoutの端子間電圧VdのN倍に収束する。バッファ電圧Vbもまた、出力コンデンサCoutの端子間電圧VdのN倍に収束する。
【0071】
図8(b)には、このような処理において、バッファ電圧Vbが出力コンデンサCoutの端子間電圧VdのN倍となった時間t1に第2スイッチング回路16のスイッチングが開始された場合の2次巻線電流idの時間波形が示されている。
【0072】
図9(a)および(b)にはシミュレーション結果が示されている。すなわち、図9(a)には、第2リレー回路RS2がオンとされてバッテリ28によって出力コンデンサCoutが充電された後、第1リレー回路RS1がオンとされ、時間t0に第1スイッチング回路12のスイッチングが開始されたときの1次巻線電圧Vwxの時間波形が示されている。図9(b)には、このような処理における2次巻線電流idの時間波形が示されている。ただし、図9(b)では、バッファ電圧Vbが出力コンデンサCoutの端子間電圧VdのN倍よりも小さい所定値となった時間t2に第2スイッチング回路16のスイッチングが開始されている。
【0073】
図8(b)および図9(b)に示されている2次巻線電流idは、図6(b)および図7(b)に示されている2次巻線電流idよりも大きさが小さい。すなわち、バッファ電圧VbがN・Vdに近付いた状態あるいはN・Vdに収束した状態で第2スイッチング回路16のスイッチングが開始されることで、1次巻線電圧Vuvと2次巻線電圧Vwxとの差異が小さくなり、スイッチング開始時における2次巻線電流idが抑制される。これによって、起動時において1次巻線電流および2次巻線電流が過大となることが回避され、電力変換装置に用いられている電気部品の寿命の短縮を防ぐことができる。
【0074】
図10には、本発明の第2実施形態に係る電力変換装置の構成が示されている。この電力変換装置は、図5に示されている第1リレー回路RS1をリレースイッチRS11に置き換えたものである。図1および図5に示される構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0075】
電力変換装置が停止状態から定常状態に至る起動時の動作について説明する。制御部22は、第1スイッチング回路12および第2スイッチング回路16のスイッチングを停止した状態において第2リレー回路RS2をオンにして、バッテリ28によって出力コンデンサCoutを充電する。次に制御部22は、第2スイッチング回路16をソフトスタートスイッチングする。ソフトスタートスイッチングとは、例えば、定常状態よりもスイッチング周波数を高くし、制御信号Cn5~Cn8のパルス幅を定常状態よりも狭くする等によって、1次巻線電流および2次巻線電流を抑制するようなスイッチングをいう。定常状態のスイッチングと同様、制御部22は、スイッチング素子S5およびS6を交互にオンオフし、スイッチング素子S7およびS8を交互にオンオフする。また、制御部22は、スイッチング素子S5およびS6のスイッチングの位相と、スイッチング素子S7およびS8のスイッチングの位相との差異が180°となるよう各スイッチング素子を制御する。
【0076】
ソフトスタートスイッチングによって、バッテリ28の出力電圧および出力コンデンサCoutの端子間電圧Vdは交流電圧に変換されて2次巻線T2に印加される。これに伴う誘導起電力として1次巻線電圧Vuvが発生する。
【0077】
スイッチング素子S1~S4のそれぞれに並列接続されているダイオードの整流作用によって、1次巻線電圧Vuvは直流電圧に変換されてバッファコンデンサCbufに印加され、バッファコンデンサCbufが充電される。
【0078】
制御部22は、バッファ電圧Vbが出力コンデンサCoutの端子間電圧VdのN倍となったときにリレースイッチRS11をオンにすると共に、第1スイッチング回路12のスイッチングを開始する。また、制御部22は、バッファ電圧Vbが、出力コンデンサCoutの端子間電圧VdのN倍となったときにソフトスタートスイッチングに代えて、第2スイッチング回路16の通常のスイッチング、すなわち、定常状態時と同一のスイッチングを開始する。なお、制御部22は、バッファ電圧Vbが、出力コンデンサCoutの端子間電圧VdのN倍よりも小さい所定値となったときに、リレースイッチRS11をオンにし、第1スイッチング回路および第2スイッチング回路16の通常のスイッチングを開始してもよい。
【0079】
このように、制御部22は、起動時に次の第1処理~第4処理を実行する。すなわち、バッテリ28の出力電圧を第2スイッチング回路16に印加する第1処理と、第1処理を実行した後に、第2スイッチング回路16をソフトスタートスイッチングで動作させて、バッテリ28から第2スイッチング回路16を介して第1スイッチング回路12に電力を伝送する第2処理と、第2処理を実行した後に、交流電圧源18からの交流電力を第1スイッチング回路12に入力し第1スイッチング回路12の動作を開始する第3処理と、第3処理を実行すると共に、第2スイッチング回路16を定常状態で動作させる第4処理とを実行する。ソフトスタートスイッチングのオンオフの各時間長は、定常状態時のスイッチングのオンオフの各時間長とは異なる。このような処理によれば、起動時において1次巻線電流および2次巻線電流idが過大となることが回避され、電力変換装置に用いられている電気部品の寿命の短縮を防ぐことができる。
【0080】
図11(a)には、第2リレー回路RS2がオンとされて時間t0に第2スイッチング回路16のソフトスタートスイッチングが開始され、時間t1にバッファ電圧Vbが出力コンデンサCoutの端子間電圧VdのN倍となったときのバッファ電圧Vbの時間波形が模式的に示されている。図11(b)には、第2リレー回路RS2がオンにされて時間t0に第2スイッチング回路16のソフトスタートスイッチングが開始され、時間t1にバッファ電圧Vbが出力コンデンサCoutの端子間電圧VdのN倍となり、時間t1に第1スイッチング回路12および第2スイッチング回路16の通常のスイッチングが開始されたときの制御信号Cn1およびCn5の時間波形が模式的に示されている。図11(c)には、このような処理における2次巻線電流idの時間波形が示されている。
【0081】
本実施形態に係る電力変換装置では、起動時には第2スイッチング回路16のソフトスタートスイッチングによって、トランスTおよびスイッチング素子S1~S4のそれぞれのダイオードを介してバッファコンデンサCbufが充電される。これによって、第1スイッチング回路12がスイッチングを開始するときは、1次巻線電圧Vuvと2次巻線電圧Vwxとの差異が小さくなり、1次巻線電流および2次巻線電流が抑制される。また、バッファ電圧Vbが出力コンデンサCoutの端子間電圧VdのN倍となったときに、リレースイッチRS11がオンにされ、第1スイッチング回路12のスイッチングが開始される。1次巻線電流が抑制されることによってリレースイッチRS11に流れる電流も抑制されるため、図5に示されているような抵抗素子r1およびリレースイッチRS12が不要となり、回路構成が簡単となる。
【符号の説明】
【0082】
10 力率改善回路、12 第1スイッチング回路、14 電圧コンバータ回路、16 第2スイッチング回路、18 交流電圧源、20 負荷回路、22 制御部、24-1,24-2 電源入力端子、26P 正極負荷端子、26N 負極負荷端子、28 バッテリ。
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