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特許7035485画像形成システム、制御方法、および制御プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】画像形成システム、制御方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20220308BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220308BHJP
   B65H 43/04 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
G03G15/00 480
G03G21/00 500
G03G15/00 445
B65H43/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2017229223
(22)【出願日】2017-11-29
(65)【公開番号】P2019101105
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小西 裕之
【審査官】沖 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-019172(JP,A)
【文献】特開2016-122063(JP,A)
【文献】特開2014-164011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00- 7/20
B65H 43/00-43/08
G03G 15/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路を備え、当該搬送路に沿って用紙を搬送する用紙搬送部と、
前記搬送路上に設けられ、前記用紙上に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部よりも用紙搬送方向の下流側に設けられ、前記用紙を外部に排出する排紙部と、
前記搬送路の用紙搬送に異常が生じた場合、前記搬送路内の前記異常の起因となったジャム紙以外の用紙を前記異常発生時の搬送位置に応じた所定の停止ポイントに停止させる停止処理が実施された後、前記停止ポイントに停止した複数の用紙に、前記ジャム紙が除去される前に移動させる必要がある第1の残留紙が含まれるか否かを判定する残留紙判定部と、
前記残留紙判定部の判定果、前記第1の残留紙が含まれる場合、前記ジャム紙が除去される前に、前記第1の残留紙を搬送して前記排紙部に排出する第1の自動パージ処理を実施させ、前記ジャム紙が除去された後に、前記停止ポイントに停止した用紙のうち、前記第1の残留紙とは異なる第2の残留紙を前記排紙部に排出する第2の自動パージ処理を実施させるパージ制御部と、を有する、画像形成システム。
【請求項2】
前記残留紙判定部は、
前記ジャム紙を除去する際に妨げとなる前記停止ポイントに停止している用紙が前記第1の残留紙に該当すると判断する、請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記残留紙判定部は、
ユーザーが前記ジャム紙を除去する際に妨げとなる前記停止ポイントに停止している用紙が前記第1の残留紙に該当すると判断し、
前記パージ制御部は、前記第1の残留紙に対して、前記第1の自動パージ処理を実施する、請求項1または2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記残留紙判定部は、
前記排紙部に排出される順序が予め決められている用紙であって、当該用紙を供給した給紙トレイの挿抜の妨げとなる前記停止ポイントに停止している用紙が、前記第1の残留紙に該当すると判断し、
前記パージ制御部は、前記第1の残留紙に対して、前記第1の自動パージ処理を実施する、請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記パージ制御部は、
前記第1の残留紙を前記停止処理における前記停止ポイントよりも下流側の他の停止ポイントに停止可能な場合、
前記第1の自動パージ処理を実施せずに、前記第1の残留紙を前記他の停止ポイントまで搬送して停止させ、
前記ジャム紙が除去された後、前記第1の残留紙および前記第2の残留紙を前記排紙部に排出する第3の自動パージ処理を実施するように制御する、請求項1または2に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記パージ制御部は、
前記第1の自動パージ処理の実施の可否を判断し、前記第1の自動パージ処理の実施が不可能であると判断した場合、
前記第1の自動パージ処理を実施せずに、前記ジャム紙および前記第1の残留紙がユーザーによって除去された後、前記第2の残留紙を前記排紙部に排出する第4の自動パージ処理を実施するように制御する、請求項1または2に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記パージ制御部は、
前記第1の自動パージ処理を実施するための搬送経路が存在しない場合、または、
前記第1の自動パージ処理の実施が禁止されている場合に、前記第1の自動パージ処理の実施が不可能であると判断する、請求項6に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記排紙部は、
複数の排紙トレイを有し、有効紙を排出する排紙トレイとは異なる排紙トレイへ前記第1および第2の残留紙を排出する、請求項1~5のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記第1および第2の残留紙を同じ排紙トレイへ排出する、請求項8に記載の画像形成システム。
【請求項10】
搬送路を備え、当該搬送路に沿って用紙を搬送する用紙搬送部と、
前記搬送路上に設けられ、前記用紙上に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部よりも用紙搬送方向の下流側に設けられ、前記用紙を外部に排出する排紙部と、を有する画像形成システムの制御方法であって、
前記搬送路の用紙搬送に異常が生じた場合、前記搬送路内の前記異常の起因となったジャム紙以外の用紙を前記異常発生時の搬送位置に応じた所定の停止ポイントに停止させる停止処理が実施された後、前記停止ポイントに停止した複数の用紙に、前記ジャム紙が除去される前に移動させる必要がある第1の残留紙が含まれるか否かを判定するステップ(a)と、
前記ステップ(a)の判定果、前記第1の残留紙が含まれる場合、前記ジャム紙が除去される前に、前記第1の残留紙を搬送して前記排紙部に排出する第1の自動パージ処理を実施させ、前記ジャム紙が除去された後に、前記停止ポイントに停止した用紙のうち、前記第1の残留紙とは異なる第2の残留紙を前記排紙部に排出する第2の自動パージ処理を実施するステップ(b)と、
を有する、画像形成システムの制御方法。
【請求項11】
請求項10に記載の画像形成システムの制御方法をコンピューターに実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、制御方法、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成システムにおいて用紙の搬送に異常(以下、「ジャム」という)が発生した場合に、ジャムの起因となった用紙(以下、「ジャム紙」という)がユーザーによって除去された後、搬送路内の残留紙を自動的に排出する自動パージという技術が知られている。従来の自動パージ処理は、ジャム紙から見て搬送路の上流側を搬送中の用紙を適切な停止ポイントに停止させ、ユーザーによってジャム紙が除去された後、停止ポイントに停止している用紙を順次外部に排出する。自動パージ処理を実施することにより、ジャム紙および搬送路内の残留紙を除去する作業(以下、「ジャム処理」という)におけるユーザーの手間が軽減されうる。
【0003】
ところが、ジャムの発生状況によっては、ジャム紙を除去する際に自動パージ処理を予定している残留紙が邪魔になる場合がある。すなわち、ジャム紙の除去と、自動パージ処理を予定している残留紙とが競合関係にある場合は、ジャム紙を除去する前に何らかの方法でこの競合関係を解消する必要がある。しかし、競合関係を解消するために、ジャム処理の工程数を増加させたり、ジャム処理においてユーザーが除去する用紙の枚数を増加させたりすることは、ユーザーの負担の増加につながるため望ましくない。
【0004】
これに関連して、下記特許文献1には、インターリーフ動作を行う両面画像形成装置において、残留紙を搬送可能な経路があればジャム紙の除去前に自動パージし、搬送可能な経路が無ければジャム紙の除去後に自動パージする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-52125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の技術では、ジャム紙の除去と自動パージ処理を予定している残留紙との競合については考慮されていないため、ジャム紙の除去と自動パージ処理を予定している残留紙との競合が発生した場合にジャム処理の工程数が増加するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものである。したがって、本発明の目的は、ジャム紙の除去と自動パージ処理を予定している残留紙との競合を回避しつつ、ジャム処理の工程数の増加およびジャム処理においてユーザーが除去すべき用紙の枚数の増加を抑制する画像形成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記によって達成される。
【0009】
(1)搬送路を備え、当該搬送路に沿って用紙を搬送する用紙搬送部と、前記搬送路上に設けられ、前記用紙上に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部よりも用紙搬送方向の下流側に設けられ、前記用紙を外部に排出する排紙部と、前記搬送路の用紙搬送に異常が生じた場合、前記搬送路内の前記異常の起因となったジャム紙以外の用紙を前記異常発生時の搬送位置に応じた所定の停止ポイントに停止させる停止処理が実施された後、前記停止ポイントに停止した複数の用紙に、前記ジャム紙が除去される前に移動させる必要がある第1の残留紙が含まれるか否かを判定する残留紙判定部と、前記残留紙判定部の判定果、前記第1の残留紙が含まれる場合、前記ジャム紙が除去される前に、前記第1の残留紙を搬送して前記排紙部に排出する第1の自動パージ処理を実施させ、前記ジャム紙が除去された後に、前記停止ポイントに停止した用紙のうち、前記第1の残留紙とは異なる第2の残留紙を前記排紙部に排出する第2の自動パージ処理を実施させるパージ制御部と、を有する、画像形成システム。
【0010】
(2)前記残留紙判定部は、前記ジャム紙を除去する際に妨げとなる前記停止ポイントに停止している用紙が前記第1の残留紙に該当すると判断する、上記(1)に記載の画像形成システム。
【0011】
(3)前記残留紙判定部は、ユーザーが前記ジャム紙を除去する際に妨げとなる前記停止ポイントに停止している用紙が前記第1の残留紙に該当すると判断し、前記パージ制御部は、前記第1の残留紙に対して、前記第1の自動パージ処理を実施する、上記(1)または(2)に記載の画像形成システム。
【0012】
(4)前記残留紙判定部は、前記排紙部に排出される順序が予め決められている用紙であって、当該用紙を供給した給紙トレイの挿抜の妨げとなる前記停止ポイントに停止している用紙が、前記第1の残留紙に該当すると判断し、前記パージ制御部は、前記第1の残留紙に対して、前記第1の自動パージ処理を実施する、上記(1)に記載の画像形成システム。
【0013】
(5)前記パージ制御部は、前記第1の残留紙を前記停止処理における前記停止ポイントよりも下流側の他の停止ポイントに停止可能な場合、前記第1の自動パージ処理を実施せずに、前記第1の残留紙を前記他の停止ポイントまで搬送して停止させ、前記ジャム紙が除去された後、前記第1の残留紙および前記第2の残留紙を前記排紙部に排出する第3の自動パージ処理を実施するように制御する、上記(1)または(2)に記載の画像形成システム。
【0014】
(6)前記パージ制御部は、前記第1の自動パージ処理の実施の可否を判断し、前記第1の自動パージ処理の実施が不可能であると判断した場合、前記第1の自動パージ処理を実施せずに、前記ジャム紙および前記第1の残留紙がユーザーによって除去された後、前記第2の残留紙を前記排紙部に排出する第4の自動パージ処理を実施するように制御する、上記(1)または(2)に記載の画像形成システム。
【0015】
(7)前記パージ制御部は、前記第1の自動パージ処理を実施するための搬送経路が存在しない場合、または、前記第1の自動パージ処理の実施が禁止されている場合に、前記第1の自動パージ処理の実施が不可能であると判断する、上記(6)に記載の画像形成システム。
【0016】
(8)前記排紙部は、複数の排紙トレイを有し、有効紙を排出する排紙トレイとは異なる排紙トレイへ前記第1および第2の残留紙を排出する、上記(1)~(5)のいずれか1つに記載の画像形成システム。
【0017】
(9)前記第1および第2の残留紙を同じ排紙トレイへ排出する、上記(8)に記載の画像形成システム。
【0018】
(10)搬送路を備え、当該搬送路に沿って用紙を搬送する用紙搬送部と、前記搬送路上に設けられ、前記用紙上に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部よりも用紙搬送方向の下流側に設けられ、前記用紙を外部に排出する排紙部と、を有する画像形成システムの制御方法であって、前記搬送路の用紙搬送に異常が生じた場合、前記搬送路内の前記異常の起因となったジャム紙以外の用紙を前記異常発生時の搬送位置に応じた所定の停止ポイントに停止させる停止処理が実施された後、前記停止ポイントに停止した複数の用紙に、前記ジャム紙が除去される前に移動させる必要がある第1の残留紙が含まれるか否かを判定するステップ(a)と、前記ステップ(a)の判定結果、前記第1の残留紙が含まれる場合、前記ジャム紙が除去される前に、前記第1の残留紙を搬送して前記排紙部に排出する第1の自動パージ処理を実施させ、前記ジャム紙が除去された後に、前記停止ポイントに停止した用紙のうち、前記第1の残留紙とは異なる第2の残留紙を前記排紙部に排出する第2の自動パージ処理を実施するステップ(b)と、を有する、画像形成システムの制御方法。
【0019】
(11)上記(10)に記載の画像形成システムの制御方法をコンピューターに実行させるための制御プログラム。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ジャム紙の除去と自動パージ処理を予定している残留紙との競合を回避しつつ、ジャム処理の工程数の増加と、ジャム処理においてユーザーが除去すべき用紙の枚数の増加とを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態に係る画像形成システムの概略構成を示す図である。
図2図1に示す画像形成システムのハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
図3図1に示す画像形成システムにおける停止ポイントについて模式的に示す図である。
図4A図1に示す画像形成装置のADU架台について模式的に示す図である。
図4B図1に示す第1および第2の給紙装置の上段トレイおよび水平搬送部について模式的に示す図である。
図5A】一実施形態の画像形成システムの制御方法を例示するフローチャートである。
図5B図5AのステップS111の処理を例示するサブルーチンフローチャートである。
図6図5AのステップS110の処理を例示するサブルーチンフローチャートである。
図7A】第1の残留紙の有無判定におけるジャム紙の位置について説明するための図である。
図7B】第1の残留紙の有無判定におけるジャム紙の位置について説明するための図である。
図8図5BのステップS203の処理について例示するサブルーチンフローチャートである。
図9A】第1の実施例においてジャム発生時の各用紙の位置を例示する模式図である。
図9B】第1の実施例において停止処理後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図9C】第1の実施例において画像形成装置のADU架台の内外の搬送路に跨って残留紙が停止している場合を例示する模式図である。
図9D】第1の実施例において第1の自動パージ処理を実施後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図9E】第1の実施例においてジャム紙を除去した後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図9F】第1の実施例において第2の自動パージ処理を実施後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図10A】第2の実施例においてジャム発生時の各用紙の位置を例示する模式図である。
図10B】第2の実施例において停止処理後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図10C】第2の実施例において第1の残留紙を下流の停止ポイントに移動した後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図10D】第2の実施例においてジャム紙を除去した後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図10E】第2の実施例において第3の自動パージ処理を実施後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図11A】第3の実施例においてジャム発生時の各用紙の位置を例示する模式図である。
図11B】第3の実施例においてジャム紙および第1の残留紙を除去した後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図11C】第3の実施例において第4の自動パージ処理を実施後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図12A】第4の実施例においてジャム発生時の各用紙の位置を例示する模式図である。
図12B】第4の実施例において停止処理後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図12C】第4の実施例において第2の給紙装置の上段トレイの出口に残留紙が停止している場合を例示する模式図である。
図12D】第4の実施例において第1の自動パージ処理を実施後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図12E】第4の実施例においてジャム紙を除去した後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図12F】第4の実施例において第2の自動パージ処理を実施後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図13A】第5の実施例において第1の残留紙を下流の停止ポイントに移動した後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図13B】第5の実施例においてジャム紙を除去した後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図13C】第5の実施例において第3の自動パージ処理を実施後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図14A】第6の実施例においてタブ紙の並び順について例示する模式図である。
図14B】第6の実施例においてジャム発生時の各用紙の位置を例示する模式図である。
図14C】第6の実施例において停止処理後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図14D】第6の実施例において画像形成装置の上段トレイに収容されているタブ紙の給紙順序を例示する模式図である。
図14E】第6の実施例において第1の自動パージ処理を実施後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図14F】第6の実施例においてジャム紙を除去した後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図14G】第6の実施例において画像形成装置の上段トレイに再セットされたタブ紙を例示する模式図である。
図14H】第6の実施例において第2の自動パージ処理を実施後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図15A】第7の実施例において停止処理後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図15B】第7の実施例において第1の残留紙を下流の停止ポイントに移動した後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図15C】第7の実施例において第3の自動パージ処理を実施後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図16A】第8の実施例においてジャム発生時の各用紙の位置を例示する模式図である。
図16B】第8の実施例において停止処理後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図16C】第8の実施例においてジャム紙および第1の残留紙を除去した後の各用紙の位置を例示する模式図である。
図16D】第8の実施例において第4の自動パージ処理を実施後の各用紙の位置を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付した図面を参照して本発明の画像形成システムの実施形態を説明する。なお、図中、同一の部材には同一の符号を用いた。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0023】
(一実施形態)
図1は一実施形態に係る画像形成システム100の概略構成を示す図であり、図2図1に示す画像形成システム100のハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
【0024】
<画像形成システム100>
図1および図2に示すように、本実施形態の画像形成システム100は、X方向(用紙搬送方向)に沿って直列に接続された第1の給紙装置200、第2の給紙装置300、画像形成装置400、および後処理装置500を有する。なお、図1および図2に示す画像形成システム100の構成は一例であり、画像形成システム100に含まれる装置の種類および台数は図1および図2に示す例に限定されない。
【0025】
<第1の給紙装置200>
第1の給紙装置200は、画像形成装置400の指示に従って、第2の給紙装置300に用紙を供給する。第1の給紙装置200は、画像形成システム100において最上流に配置され、給紙部210、用紙搬送部220、後段I/F230および制御部240を有する。これらの構成要素は、内部バス201により相互に通信可能に接続されている。
【0026】
給紙部210は、印刷に使用される記録材としての用紙を供給する。給紙部210は、たとえば、上段トレイ211、中段トレイ212および下段トレイ213を備え、各々のトレイには、A4サイズ、A3サイズなどサイズの異なる用紙、またはタブ紙が収納されうる。
【0027】
用紙搬送部220は、水平搬送部221および垂直搬送部222を有する。水平搬送部221は、概ね水平に延設された搬送路および複数の搬送ローラーを備え、外部装置または手差しトレイから供給された用紙を搬送路に沿って搬送し、第2の給紙装置300へ供給する。また、垂直搬送部222は、概ね垂直に延設された搬送路および複数の搬送ローラーを備え、給紙部210から供給された用紙を搬送路に沿って搬送し、第2の給紙装置300へ供給する。
【0028】
また、用紙搬送部220は、搬送路に設置された用紙検出センサー(不図示)を有する。用紙検出センサーは、搬送路の分岐の直前など、複数の位置において用紙の搬送を検出できるように複数配置されうる。用紙検出センサーの検出結果は、画像形成装置400に伝達される。
【0029】
後段I/F230は、第2の給紙装置300と通信回線202を通じて通信可能に接続され、データを送受信する。
【0030】
制御部240は、給紙部210、用紙搬送部220および後段I/F230を制御する。制御部240は、CPU(Central Processing Unit)241、RAM(Random Access Memory)242、およびROM(Read Only Memory)243を備える。
【0031】
CPU241は、第1の給紙装置用の制御プログラムを実行し、様々な機能を実現する。RAM242は、CPU241の演算結果や処理結果などを記憶する。ROM243は、上記制御プログラム、各種パラメーターなどを記憶する。
【0032】
<第2の給紙装置300>
第2の給紙装置300は、画像形成装置400の指示に従って、画像形成装置400に用紙を供給する。第2の給紙装置300は、第1の給紙装置200と画像形成装置400との間に配置され、給紙部310、用紙搬送部320、通信部330、および制御部340を有する。これらの構成要素は、内部バス301により相互に通信可能に接続されている。
【0033】
給紙部310は、印刷に使用される記録材としての用紙を供給する。給紙部310は、たとえば、上段トレイ311、中段トレイ312および下段トレイ313を備え、各々のトレイには、A4サイズ、A3サイズなどサイズの異なる用紙、またはタブ紙が収納されうる。
【0034】
用紙搬送部320は、水平搬送部321および垂直搬送部322を有する。水平搬送部321は、概ね水平に延設された搬送路および複数の搬送ローラーを備え、第1の給紙装置200から供給された用紙を搬送路に沿って搬送し、画像形成装置400へ供給する。また、垂直搬送部322は、概ね垂直に延設された搬送路および複数の搬送ローラーを備え、給紙部310から供給された用紙を搬送路に沿って搬送し、画像形成装置400へ供給する。
【0035】
また、用紙搬送部320は、搬送路に設置された用紙検出センサー(不図示)を有する。用紙検出センサーは、搬送路の分岐の直前など、複数の位置において用紙の搬送を検出できるように複数配置されうる。用紙検出センサーの検出結果は、画像形成装置400に伝達される。
【0036】
通信部330は、前段I/F331および本体I/F332を有する。前段I/F331は、第1の給紙装置200の後段I/F230と通信回線202を通じて通信可能に接続され、データを送受信する。本体I/F332は、画像形成装置400と通信回線302を通じて通信可能に接続され、データを送受信する。
【0037】
制御部340は、給紙部310、用紙搬送部320、および通信部330を制御する。制御部340は、CPU341、RAM342、およびROM343を備える。
【0038】
CPU341は、第2の給紙装置用の制御プログラムを実行し、様々な機能を実現する。RAM342は、CPU341の演算結果や処理結果などを記憶する。ROM343は、上記制御プログラム、各種パラメーターなどを記憶する。
【0039】
<画像形成装置400>
画像形成装置400は、原稿から画像を読み取り、読み取った画像を用紙に形成(印刷)する。また、画像形成装置400は、ネットワークを通じて外部のクライアント端末からPDL(Page Description Language)形式の印刷データおよび印刷設定データを含む印刷ジョブを受信し、これに基づいて用紙に画像を形成する。クライアント端末は、たとえばパーソナルコンピューター、タブレット端末、スマートフォンなどでありうる。
【0040】
画像形成装置400は、第2の給紙装置300と後処理装置500との間に配置され、画像読取部410、画像処理部420、画像形成部430、給紙部440、用紙搬送部450、定着部460、通信部470、操作表示部480、および制御部490を有する。これらの構成要素は、内部バス401により相互に通信可能に接続されている。
【0041】
画像読取部410は、ミラー、レンズなどから構成される光学系と読取センサーとを備える。画像読取部410は、読取面に載置された原稿またはADF(Auto Document Feeder)によって搬送された原稿を読み取って画像信号を出力する。
【0042】
画像処理部420は、画像読取部410から受信した画像信号に対して各種の画像処理を実施し、印刷画像データを生成する。また、画像処理部420は、通信部470により受信された印刷ジョブに含まれる印刷設定情報および印刷データに基づいて、印刷画像データを生成する。生成された印刷画像データは、画像形成部430に送信される。
【0043】
画像形成部430は、帯電、露光、現像、および転写の各工程を含む電子写真方式などの周知の作像プロセスを用いて、印刷画像データに基づいて画像を用紙上に形成する。
【0044】
画像形成部430は、像担持体としての感光体ドラムおよびその周囲に配置された帯電部、光書込部、現像装置、および転写部を有して構成される。
【0045】
感光体ドラムは、不図示のドラムモーターにより所定の速度で回転する。帯電部は、感光体ドラムの周囲に配置されるコロナ放電極を備え、生成されるイオンによって感光体ドラムの表面を帯電させる。光書込部は、走査光学装置が組み込まれており、入力される印刷画像データに基づいて、帯電された感光体ドラムを露光することにより、露光された部分の電位を低下させ、印刷画像データに対応する電荷パターン(静電潜像)を形成する。現像装置は、形成された静電潜像を現像し、トナーによって可視化し、トナー画像を形成する。転写部は、感光体ドラム上のトナー画像を用紙に転写する。
【0046】
給紙部440は、記録材としての用紙を画像形成部430に供給する。給紙部440は、上段トレイ441および下段トレイ442を有し、各々のトレイには、たとえばA4サイズやA3サイズなどのサイズの異なる用紙、またはタブ紙が収納されうる。
【0047】
用紙搬送部450は、画像形成装置400内において用紙を搬送する。用紙搬送部450は、搬送路と、レジストローラー対451を含む複数の搬送ローラーと、当該搬送路に設置された用紙検出センサー(不図示)と、を有する。用紙検出センサーは、搬送路の分岐の直前など、複数の位置において用紙の搬送を検出できるように複数配置されうる。用紙検出センサーの検出結果は、制御部490に伝達される。
【0048】
また、用紙搬送部450は、用紙反転部452および循環搬送部453を備えており、定着がなされた用紙の表裏を反転して排出したり、あるいは用紙の両面に画像を形成したりすることができる。
【0049】
第2の給紙装置300または給紙部440から供給された用紙は、搬送路を画像形成部430へ向けて搬送される。用紙は、レジストローラー対451において、感光体ドラムに形成されたトナー画像と同期がとられ、転写部に搬送されるタイミングが制御される。転写部によってトナー画像が転写された用紙は、定着部460に搬送される。
【0050】
定着部460は、用紙に形成されたトナー画像を定着する。定着部460は、内部にヒーターが配置された中空の加熱ローラーと、加熱ローラーに対向する加圧ローラーとを備える。加熱ローラーおよび加圧ローラーは、ヒーターにより所定温度(たとえば100℃以上)に制御され、用紙に加熱・加圧処理を施し、トナー画像を定着する。
【0051】
画像が定着された用紙は、排紙部(不図示)を通じて後処理装置500に供給される。
【0052】
通信部470は、ネットワークI/F471、給紙装置I/F472、および後処理装置I/F473を有する。ネットワークI/F471は、ネットワークを経由して、たとえばパーソナルコンピューターなどのクライアント端末に接続し、印刷ジョブなどのデータを送受信する。
【0053】
給紙装置I/F472は、第2の給紙装置300の本体I/F332と通信回線302を通じて通信可能に接続され、データを送受信する。後処理装置I/F473は、後処理装置500と通信回線402を通じて通信可能に接続され、データを送受信する。
【0054】
操作表示部480は、入力部および出力部を有する。入力部は、たとえば、キーボードまたはタッチパネルを備え、文字入力、各種設定、スタート指示などの各種指示(入力)をユーザーが行うために利用される。本実施形態では、ユーザーは、入力部を通じて、後述する第1の自動パージ処理の実施の許可/禁止を設定しうる。また、出力部は、ディスプレイを備え、機器構成、印刷ジョブの実施状況、用紙搬送における異常(ジャム)の発生状況、エラーの発生状況、現在変更可能な設定などを、ユーザーに提示するために使用される。
【0055】
制御部490は、画像読取部410、画像処理部420、画像形成部430、給紙部440、用紙搬送部450、定着部460、通信部470、および操作表示部480を制御する。制御部490は、CPU491、補助記憶装置492、RAM493、およびROM494を有する。
【0056】
CPU491は、画像形成装置用の制御プログラムを実行する。制御プログラムは、補助記憶装置492に記憶されており、CPU491によって実行される際に、RAM493にロードされる。補助記憶装置492は、たとえば、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリーなどの大容量の記憶装置を備える。RAM493には、CPU491の実行に伴う演算結果、ジャム情報などが格納される。ジャム情報は、画像形成システム100内で発生した搬送異常の起因となった用紙(ジャム紙)に関する情報である。ジャム情報は、たとえば各装置の搬送路におけるジャム紙の位置を含む。ROM494には、各種のパラメーター、各種プログラムなどが記憶されている。
【0057】
CPU491は、上記制御プログラムを実行し、様々な機能を実現する。たとえば、制御部490は、各装置の用紙検出センサーとともにジャム検出部として機能し、各装置の搬送路のジャムを検出する。また、制御部490は、残留紙の自動パージ処理の実施を制御するパージ制御部として機能する。さらに、本実施形態では、制御部490は、残留紙判定部として機能する。残留紙判定部は、ジャム紙が除去される前にジャム紙以外で各装置の搬送路上を移動させる必要がある残留紙が存在するか否かを判定する。
【0058】
<後処理装置500>
後処理装置500は、画像形成装置400の指示に従って、画像形成装置400から供給された用紙を搬送または後処理し、画像形成システム100の外部に排出する。後処理装置500は、画像形成システム100において最下流に配置され、挿入給紙部510、用紙搬送部520、平綴じ部530、メイントレイ540、パージトレイ550、前段I/F560、および制御部570を有する。これらの構成要素は、内部バス501により相互に通信可能に接続されている。
【0059】
挿入給紙部510は、1つまたは複数の給紙トレイを備える。挿入給紙部510の給紙トレイには、たとえば予め印刷された用紙、色紙などが装填され、これらは、たとえば印刷束の表紙や章分けの挿入紙として用いられる。給紙トレイに載置された用紙は、印刷設定情報に基づいて、所定のタイミングで給紙される。
【0060】
用紙搬送部520は、搬送路および複数の搬送ローラーを備え、画像形成装置400から供給された用紙を搬送路に沿って搬送する。また、用紙搬送部520は、挿入給紙部510から供給された用紙を搬送路に沿って搬送する。また、平綴じ部530において平綴じされた冊子をメイントレイ540へ搬送する。
【0061】
また、用紙搬送部520は、搬送路に設置された用紙検出センサー(不図示)を有する。用紙検出センサーは、搬送路の分岐の直前など、複数の位置において用紙の搬送を検出できるように複数配置されうる。用紙検出センサーの検出結果は、画像形成装置400に伝達される。
【0062】
平綴じ部530は、用紙を蓄積するスタッカ部と、用紙の束をステープル留めするステープル部と、を備える。平綴じ部530は、用紙の束の端をステープル留めすることにより、用紙の束を平綴じして冊子を作成する。
【0063】
メイントレイ540は、排紙部として機能し、用紙搬送部520によって搬送された用紙のうち、有効紙を排出する。パージトレイ550は、排紙部として機能し、用紙搬送部520によって搬送された用紙のうち、無効紙を排出する。
【0064】
前段I/F560は、画像形成装置400の後処理装置I/F473と通信回線402を通じて通信可能に接続され、データを送受信する。
【0065】
制御部570は、挿入給紙部510、用紙搬送部520、平綴じ部530、メイントレイ540、パージトレイ550、および前段I/F560を制御する。制御部570は、CPU571、RAM572、およびROM573を備える。
【0066】
CPU571は、後処理装置用の制御プログラムを実行し、様々な機能を実現する。RAM572は、CPU571の演算結果や処理結果などを記憶する。ROM573は、上記制御プログラム、各種パラメーターなどを記憶する。
【0067】
なお、本実施形態では、後処理装置500が、後処理として平綴じ処理をする構成を有する場合について例示したが、後処理装置500は、中綴じ処理、折り処理、パンチ処理、デカール処理など、平綴じ処理以外の後処理の構成を有していてもよい。
【0068】
<停止ポイント>
図3は、図1に示す画像形成システム100における停止ポイントについて模式的に示す図である。用紙が停止した状態では、その用紙の先端付近が停止ポイントに位置する。
【0069】
制御部490は、自動パージ処理を実施する場合、自動パージ処理を実施しやすくするため、ジャム検出後、各装置において搬送路上を搬送されている各々の残留紙を所定の停止ポイントに停止させる。自動パージ処理の際、残留紙は、停止ポイントから再搬送が開始される。
【0070】
図3に示すように、停止ポイントは、たとえば画像形成装置400内の場合、画像形成部430、定着部460、曲り方が急な搬送路などを避けた位置に予め設定されている。画像形成システム100は、一例として、画像形成装置400内に停止ポイント11~14,15a,15bを含み、第2の給紙装置300内に停止ポイント16,17,18a~18cを含み、第1の給紙装置200内に停止ポイント19,20a~20cを含む。停止ポイント11は、画像形成装置400のレジストローラー対451に位置し、停止ポイント12は、循環搬送部453における搬送ローラーに位置する。また、停止ポイント13は、用紙反転部452における搬送ローラーに位置し、停止ポイント14は、用紙反転部452と循環搬送部453との分岐点の搬送ローラーに位置する。また、停止ポイント15a,15bは、それぞれ給紙部440の上段トレイ441および下段トレイ442の出口の搬送ローラーに位置する。また、停止ポイント16は第2の給紙装置300の排出口における搬送ローラーに位置し、停止ポイント17は水平搬送部321の搬送路の中間に位置し、停止ポイント18a~18cは各々上段~下段トレイ311~313の出口に位置する。また、停止ポイント19は第1の給紙装置200の排出口における搬送ローラーに位置し、停止ポイント20a~20cは各々上段~下段トレイ211~213の出口に位置する。
【0071】
残留紙は、その先端が各停止ポイントに到達した時点で、後述する停止処理により停止される。これにより、上述したように残留紙は、その先端が各停止ポイントに位置する状態で一時的に停止される。
【0072】
なお、上述した画像形成システム100の停止ポイント11~14,15a,15b,16,17,18a~18c,19,20a~20cは、一例であり、停止ポイントはこれらに限定されない。また停止ポイントは、使用する用紙サイズに応じて、異なる位置、停止ポイント数になる場合がある。
【0073】
<ADU架台454におけるジャム>
図4Aは、図1に示す画像形成装置400のADU454架台について模式的に示す図である。図4Aにおいて、ADU架台454の概略的な外形形状が一点鎖線で示されている。ADU架台454は、用紙搬送部450の搬送路、レジストローラー対451、定着部460などを内蔵し、これらを支持する。ADU架台454は、紙面の奥から手前へ向けて、画像形成装置400の筐体の外側に引き出し可能に設けられている。
【0074】
ADU架台454内(たとえば後述するADU454の中部、下部)においてジャムが発生した場合、ユーザーはADU架台454を引き出してジャム紙を除去する。しかし、ADU架台454の内外の搬送路に跨って残留紙が停止している場合、すなわち残留紙がいわゆる「ギロチン状態」になっている場合、ジャム紙を除去する際に残留紙が邪魔になる。残留紙がADU架台454の内外の搬送路に跨ったままADU架台454が装置正面方向である手前側(以下、単に「手前側」という)に引き出されると、残留紙が損傷を受ける可能性がある。したがって、残留紙がADU架台454の内外の搬送路に跨って停止している場合は、残留紙を他の位置へ移動してからジャム紙を除去することが望ましい。
【0075】
一方、残留紙が自動パージのため所定の停止ポイントに停止している場合、残留紙は、その所定の停止ポイントから再搬送される必要がある。したがって、自動パージが予定されている残留紙が、ユーザーによるジャム紙の除去を妨げる位置に停止している場合、ジャム紙の除去と、残留紙とは競合関係にあるといえる。
【0076】
これに対して、本実施形態では、ジャム紙の除去を妨げる位置にある残留紙をジャム紙の除去の前に他の位置に移動させることにより、ジャム紙の除去と残留紙との間の競合関係を解消し、ジャム紙の除去と残留紙の自動パージの両立を図る。後述するように、残留紙の他の位置への移動は、残留紙の下流の停止ポイントへの移動、ジャム紙除去前における残留紙の自動パージ処理、ユーザーによる残留紙の除去のいずれかの方法によってなされうる。
【0077】
残留紙の下流の停止ポイントへの移動は、ある停止ポイントから下流の別の停止ポイントへの移動であるので、自動パージ処理への影響はない。また、ジャム紙除去前における残留紙の自動パージ処理は、ジャム紙除去に対して邪魔となっている残留紙のみを先に自動パージ処理する方法である。後述するように、パージトレイ550までの搬送経路に他の残留紙が停止していない場合であって、かつユーザー設定によりにジャム紙除去前における残留紙の自動パージ処理が禁止されていない場合に実施可能である。さらに、ユーザーによる残留紙の除去は、ユーザーが、ジャム紙を除去する際に邪魔となる残留紙を除去した上でジャム紙を除去する方法である。
【0078】
<第2の給紙装置300の水平搬送部321におけるジャム>
図4Bは、図1に示す第2の給紙装置300の上段トレイ311および水平搬送部321について模式的に示す図である。
【0079】
図4Bにおいて、上段トレイ311および水平搬送部321を含む範囲が概略的に一点鎖線で示されている。上段トレイ311の下部には、水平搬送部321の搬送路があり、上段トレイ311は、紙面の奥から手前へ向けて、第2の給紙装置300の筐体の外側へ引き出し可能に設けられている。
【0080】
たとえば、水平搬送部321の搬送路においてジャムが発生した場合、ユーザーは上段トレイ311を手前側に引き出してジャム紙を除去する。ユーザーは、上段トレイ311を引き出すことで、水平搬送部321にアクセスできるようになる。しかし、上段トレイ311の出口に残留紙が停止している場合、ジャム紙を除去する際に残留紙が邪魔になる。このような場合、ジャム紙の除去を妨げる位置にある残留紙をジャム紙除去前に他の位置に移動させることにより、ジャム紙の除去と残留紙との間の競合関係を解消する必要がある。
【0081】
第2の給紙装置300におけるジャムについても、残留紙の下流の停止ポイントへの移動、ジャム紙除去前における残留紙の自動パージ処理、ユーザーによる残留紙の除去のいずれかにより、ジャム紙の除去と残留紙との間の競合関係を解消する。
【0082】
また、第1の給紙装置200におけるジャムついても、残留紙の下流の停止ポイントへの移動、ジャム紙除去前における残留紙の自動パージ処理、ユーザーによる残留紙の除去のいずれかにより、ジャム紙の除去と残留紙との間の競合関係を解消する。
【0083】
<画像形成システム100の制御方法>
次に、図5Aおよび図5Bを参照して、本実施形態の画像形成システム100の制御方法について具体的に説明する。図5Aは本実施形態の画像形成システム100の制御方法を例示するフローチャートであり、図5B図5AのステップS111の処理を例示するサブルーチンフローチャートである。
【0084】
図5Aおよび図5Bに示すフローチャートの処理は、制御部240、制御部340、制御部490、および制御部570が協働することにより実現される。なお、以下では、説明の便宜上、制御部490が、制御部240、制御部340、および制御部570に対して主導的な役割を果たす場合について説明するが、このような場合に限定されない。
【0085】
本実施形態の画像形成システム100は、搬送路上におけるジャムを検出後、ジャム紙および残留紙の搬送路上における位置、残留紙の紙種などの条件に応じて、自動パージ処理の実施の可否を判断する。また、自動パージ処理を実施する場合は、上記条件に応じて、ユーザーによるジャム紙の除去の前後に、自動パージ処理を分散して実施するか否かを判断する。すなわち、画像形成システム100は、ジャムを検出後、ユーザーによるジャム紙の除去前に自動パージ処理を実施し、ジャム紙を除去後、再び自動パージ処理を実施できる。第1の自動パージ処理を実施することにより、ユーザーがジャム紙を除去する際に邪魔となることが予想される残留紙を排出できる。以下、本実施形態の画像形成システム100の制御方法の具体的な処理手順を説明する。
【0086】
画像形成システム100は、クライアント端末などから印刷ジョブを受信し、印刷処理を開始する。印刷処理が開始されると、制御部490は、画像形成システム100の各装置の搬送路における複数の用紙検出センサーの検出結果に基づいて、各装置の搬送路上の用紙の位置を取得し、用紙搬送を統合的に管理する。
【0087】
また、ジャム検出部は、用紙検出センサーにより搬送路上におけるジャムを常時モニターする。ジャム情報は、たとえば、搬送路におけるジャム紙の位置情報を含み、制御部490のRAM493に記憶される。
【0088】
図5Aに示すように、まず、ジャムを検出したか否かを判断する(ステップS101)。制御部490は、RAM493に記憶されているジャム情報に基づいて、画像形成システム100内においてジャムを検出したか否かを判断する。
【0089】
ジャムを検出していない場合(ステップS101:NO)、印刷処理が完了したか否かを判断する(ステップS102)。制御部490は、最後に受信した印刷ジョブに対する印刷処理が完了したか否かを判断する。印刷処理が完了していない場合(ステップS102:NO)、ステップS101の処理に戻る。一方、印刷処理が完了している場合(ステップS102:YES)、制御処理を終了する(エンド)。
【0090】
一方、ジャムを検出した場合(ステップS101:YES)、制御部490は、搬送中の残留紙の位置を取得する(ステップS103)。制御部490は、各装置における搬送路の用紙検出センサーの検出結果などに基づいて、搬送路上を搬送中の各々の残留紙の位置を取得する。
【0091】
次に、自動パージ処理が実施可能か否かを判断する(ステップS104)。制御部490は、搬送路上を搬送中の各々の残留紙を所定の停止ポイントに停止させられる場合に自動パージ処理の実施が可能と判断する。所定の停止ポイントは、たとえば図3に示す11~20cなどの位置である。たとえば、搬送中の残留紙の枚数が停止ポイントの数よりも多く、いずれの停止ポイントにも停止できない残留紙が存在する場合は、自動パージ処理が実施可能ではないと判断される。また、画像形成システム100のいずれの装置の搬送路にも残留紙が存在しない場合についても、自動パージ処理が実施可能ではないと判断される。
【0092】
自動パージ処理が実施可能ではない場合(ステップS104:NO)、即停止処理を実施する(ステップS105)。制御部490は、画像形成システム100の各装置の用紙搬送を停止し、ユーザーがジャム紙を除去できる状態にする。
【0093】
具体的には、制御部490は、各装置の全ての搬送ローラーの回転を停止する。その結果、各装置を搬送中の残留紙がある場合、すべての残留紙はその場で停止する。なお、画像形成部430や定着部460など用紙に変形を及ぼす場所の近くに用紙がある場合でも、その場で停止する。
【0094】
次に、ジャム処理画面を表示する(ステップS106)。制御部490は、操作表示部380のディスプレイにユーザーに対してジャム紙の除去を促すメッセージを表示させる。ユーザーは、ディスプレイに表示されている内容にしたがって、ジャム紙を除去する。また、搬送路内に残留紙がある場合は、制御部490は、操作表示部380のディスプレイにユーザーに対して残留紙の除去を促すメッセージを表示させる。ユーザーは、ディスプレイに表示されている内容にしたがって、残留紙も除去する。
【0095】
次に、ジャム紙が除去されたか否かを判断する(ステップS107)。制御部490は、残留紙についても除去されているか否かを判断する。ジャム紙が除去されていない場合(ステップS107:NO)、制御部490は、ジャム紙が除去されるまで待機する。一方、ジャム紙が除去された場合(ステップS107:YES)、制御部490は、リカバリー印刷を実施する(ステップS108)。制御部490は、除去されたジャム紙および残留紙に形成される予定であった画像を新たに供給される用紙に形成するように各装置を制御する。そして、ステップS101の処理に移行する。
【0096】
一方、自動パージ処理が実施可能である場合(ステップS104:YES)、制御部490は、停止処理を実施する(ステップS109)。制御部490は、画像形成システム100内で搬送中の各々の残留紙を、搬送位置に応じて、どの装置のどの停止ポイントに停止させるかを計画し、自動パージ処理に適した停止ポイントに停止させる。たとえば、画像形成システム100内を搬送中の各々の残留紙は、図3に示す所定の停止ポイント11~20cのいずれかに停止できるように移動され、停止する。
【0097】
また、制御部490は、印刷処理が完了しており、直ちに排出が可能な残留紙が搬送路上にあるか否かを判断し、このような残留紙がある場合、有効紙として下流側へ搬送し、後処理装置500のメイントレイ540に排出する。
【0098】
次に、搬送路に第1の残留紙があるか否かを判断する(ステップS110)。制御部490は、停止処理後の搬送路上に所定の条件を満たす第1の残留紙があるか否かを判断する。所定の条件は、たとえば、ジャム紙の位置、残留紙の停止位置、紙種などによって決定される。本実施形態では、第1の残留紙は、ユーザーによるジャム紙の除去を妨げる位置にある残留紙、出力順序が決められているタブ紙などが対象となる。第1の残留紙の有無判定の詳細については後述する。
【0099】
搬送路に第1の残留紙がある場合(ステップS110:YES)、第1の残留紙を移動処理する(ステップS111)。第1の残留紙の移動処理について、図5Bを参照して説明する。
【0100】
第1の残留紙を下流の停止ポイントへ移動可能か判断する(ステップS201)。下流の停止ポイントは、ユーザーによるジャム紙の除去を妨げることなく、かつジャム紙の除去後に自動パージ処理(第3の自動パージ処理)が適切に行える停止ポイントである。したがって、第1の残留紙を下流の停止ポイントへ移動後に自動パージ処理に支障を来す位置は除外される。たとえば、制御部490は、移動後に第1の残留紙の後端が定着部460にかかるような場合、停止中の加熱による用紙の湾曲(カール)等によりその後の自動パージ処理に支障があるため、下流の停止ポイントへ移動可能ではないと判断する。
【0101】
第1の残留紙を下流の停止ポイントへ移動可能である場合(ステップS201:YES)、制御部490は、第1の残留紙を下流の停止ポイント(第1の残留紙とは判定されない停止ポイント(後述))へ移動するように制御し(ステップS202)、図5AのステップS112の処理に移行する(リターン)。
【0102】
一方、第1の残留紙を下流の停止ポイントへ移動可能ではない場合(ステップS201:NO)、第1の自動パージ処理が実施可能か否かを判断する(ステップS203)。制御部490は、第1の残留紙の自動パージ処理が実施可能か否かを判断する。第1の残留紙の自動パージ処理が実施可能である場合(ステップS203:YES)、制御部490は、第1の残留紙の自動パージ処理を実施し(ステップS204)、図5AのステップS112の処理に移行する(リターン)。第1の自動パージ処理が実施可能か否かの判断(ステップS203)の詳細については後述する。
【0103】
一方、第1の自動パージ処理が実施可能ではない場合(ステップS203:NO)、制御部490は、第1の残留紙をユーザーによる除去対象とし(ステップS205)、図5AのステップS112の処理に移行する(リターン)。
【0104】
図5Aに戻り、搬送路に第1の残留紙がない場合(ステップS110:NO)、ジャム処理画面を表示する(ステップS112)。制御部490は、操作表示部380のディスプレイにユーザーに対してジャム紙の除去を促すメッセージを表示させる。また、第1の残留紙がユーザーによる除去対象である場合、第1の残留紙についても除去を促すメッセージを表示させる。
【0105】
次に、ジャム紙が除去されたか否かを判断する(ステップS113)。制御部490は、第1の残留紙がユーザーによる除去対象である場合は、第1の残留紙についても除去されているか否かを判断する。ジャム紙が除去されていない場合(ステップS113:NO)、制御部490は、ジャム紙が除去されるまで待機する。一方、ジャム紙が除去された場合(ステップS113:YES)、制御部490は、自動パージ処理を実施する(ステップS114)。制御部490は、各装置の搬送路の残留紙について、ジャム紙除去後の自動パージ処理を実施する。
【0106】
次に、リカバリー印刷を実施し(ステップS108)、ステップS101の処理に移行する。
【0107】
このように、図5Aのフローチャートに示す処理では、制御部490は、ジャムを検出後、各装置の搬送路上の残留紙について自動パージ処理を実施可能か否か判断し、自動パージ処理が実施可能である場合、残留紙の停止処理を実施する。続いて、制御部490は、停止処理により停止ポイントに停止している複数の用紙に、ジャム紙を除去する前に搬送路上を移動させる必要がある第1の残留紙が含まれるか否かを判定する。そして、制御部490は、判定結果に応じて、ジャム紙が除去される前に第1の残留紙を自動パージする第1の自動パージ処理と、ジャム紙が除去された後に、停止ポイントに停止した用紙のうち、第1の残留紙とは異なる第2の残留紙を自動パージする第2の自動パージ処理と、を実施する。
【0108】
[第1の残留紙の有無判定]
次に、図6を参照して、図5Aのフローチャートにおける第1の残留紙の有無判定(ステップS110)の処理について説明する。図6は、図5AのステップS110の処理を例示するサブルーチンフローチャートである。また、図7Aおよび図7Bは第1の残留紙の有無判定におけるジャム紙の位置について説明するための図である。
【0109】
図6に示すように、まず、ジャム紙の位置情報を取得する(ステップS301)。制御部490は、ジャム情報からジャム紙の位置情報を取得する。
【0110】
次に、残留紙の位置情報を取得する(ステップS302)。制御部490は、ステップS109の処理により各装置の搬送路の停止ポイントに停止している残留紙の位置情報を取得する。
【0111】
次に、残留紙の紙種情報を取得する(ステップS303)。制御部490は、印刷ジョブの印刷設定情報から各々の残留紙の紙種情報を取得する。
【0112】
次に、第1の残留紙か否かを判定する(ステップS304)。制御部490は、画像形成システム100におけるジャム紙の位置、各々の残留紙の停止位置および紙種に基づいて、各々の残留紙が第1の残留紙に該当するか否かを判断する。本実施形態では、制御部490は、各装置の搬送路に残留している用紙であって、ジャム紙の位置に対応する位置に停止している用紙が第1の残留紙に該当すると判断する。また、制御部490は、たとえばタブ紙のように、メイントレイ540に排出される順序が予め決められている用紙であって、当該用紙を供給した給紙部の出口に停止している用紙が、第1の残留紙に該当すると判断する。第1の残留紙に該当するのは、たとえば下記の表1に示す場合である。
【0113】
表中の第1番~第3番はジャム紙と残留紙が競合する場合、すなわち残留紙がジャム紙の除去を妨げる場合であり、第4番は残留紙がタブ紙である場合である。
【0114】
第1番は、図7Aに示すようにジャム紙がADUの下部に位置し、かつレジストローラー(11)に残留紙がある場合である。また、第2番は、ジャム紙がADUの中部に位置し、かつレジストローラー(11)に残留紙がある場合である。第1番および第2番については、残留紙の種類の条件はない。
【0115】
また、第3番は、図7Bに示すようにジャム紙が第2の給紙装置300の水平搬送部321に位置し、かつ上段トレイ311の出口(18a)に残留紙がある場合である。第3番についても、残留紙の種類の条件はない。
【0116】
第4番は、ジャム紙の位置についての条件はなく、残留紙の停止位置が給紙部440、第1の給紙装置200または第2の給紙装置300のトレイの出口(15a/15b/18a/18b/18c/20a/20b/20c)のいずれかである場合である。さらに、そのトレイの出口に停止した残留紙の紙種がタブ紙であることが条件である。すなわち、そのトレイにはタブ紙が収納されており、タブ紙の順番を揃えるためにトレイの挿抜をともなう、タブ紙の再装填を、残留紙が妨げる場合である。
【0117】
【表1】
【0118】
[第1の自動パージ処理の実施可能判断]
次に、図8を参照して、図5Bに示すサブルーチンフローチャートにおける第1の自動パージ処理が実施可能か否かの判断(ステップS203)について説明する。図8図5BのステップS203の処理について例示するサブルーチンフローチャートである。
【0119】
まず、第1の残留紙の下流側の搬送路に残留紙があるか否かを判断する(ステップS401)。制御部490は、第1の残留紙がパージトレイ550まで搬送可能か否か、すなわち第1の残留紙の下流側の搬送経路に残留紙があるかどうかについて判断する。第1の残留紙の下流側の搬送路に残留紙がある場合(ステップS401:YES)、制御部490は、第1の自動パージ処理の実施が不可能と判断し(ステップS402)、図5BのステップS205の処理に移行する。
【0120】
一方、第1の残留紙の下流側の搬送路に残留紙がない場合(ステップS401:NO)、ユーザー設定により第1の自動パージ処理の実施が禁止されているか否かを判断する(ステップS403)。第1の自動パージ処理の実施が禁止されている場合、自動パージ処理がジャム紙処理後の1回のみとなるため、全体として機械停止時間が短くなるという利点がある。また、ジャム処理の処理手順が通常のジャム処理の処理手順と結果的に同じになるので、ユーザーの混乱が起きにくい。しかし、残留紙がギロチン状態となっている場合、ユーザーが除去する必要があり、ユーザーの操作手数が増えてしまうので、望ましくない。一方、第1の自動パージ処理を実施する場合は、通常のジャム処理と処理手順が異なるが、ユーザーによる残留紙の除去の手間を低減できる利点がある。ユーザーは、これらの事項を勘案して、第1の自動パージ処理の実施の許可/禁止を決定する。
【0121】
ユーザー設定により第1の自動パージ処理の実施が禁止されている場合(ステップS403:YES)、制御部490は、第1の自動パージ処理の実施が不可能と判定し(ステップS402)、図5BのステップS205の処理に移行する。
【0122】
一方、ユーザー設定により第1の自動パージ処理の実施が禁止されていない場合(ステップS403:NO)、制御部490は、第1の自動パージ処理の実施が可能と判断し(ステップS404)、図5BのステップS204の処理に移行する。
【0123】
(実施例)
以下、本実施形態の画像形成システム100の制御方法を適用した場合の実施例について説明する。なお、以下の実施例では、説明を簡略化するため、画像形成装置400から供給された用紙に対して、後処理装置500にて後処理を実施せずに、そのまま排紙する場合について例示する。
【0124】
[第1の実施例]
第1の実施例では、ジャム紙除去前に第1の残留紙の自動パージ(第1の自動パージ)を実施し、ジャム紙除去後、第2の残留紙の自動パージ(第2の自動パージ)を実施する場合について説明する。
【0125】
図9Aは第1の実施例においてジャム発生時の各用紙の位置を例示する模式図であり、図9Bは第1の実施例において停止処理後の各用紙の位置を例示する模式図である。また、図9Cは第1の実施例において画像形成装置のADU架台の内外の搬送路に跨って残留紙が停止している場合を例示する模式図であり、図9Dは第1の実施例において第1の自動パージ処理を実施後の各用紙の位置を例示する模式図である。さらに、図9Eは第1の実施例においてジャム紙を除去した後の各用紙の位置を例示する模式図であり、図9Fは第1の実施例において第2の自動パージ処理を実施後の各用紙の位置を例示する模式図である。
【0126】
図9Aに示すように、第2の給紙装置300から、A3サイズの用紙S1~S7を順に画像形成装置400に供給し、両面印刷を行っていたところ用紙S4がジャムを引き起こした場合を想定する。なお、第1の給紙装置200については使用しないため、図示を省略した。また、図中、「×」で示された用紙S4がジャム紙である。
【0127】
印刷ジョブによって指定されている、用紙の出力順序は、用紙S1→S2→S3→S4→S5→S6→S7の順である。また、印刷順序は、用紙S1表面→S2表面→S3表面→S1裏面→S4表面→S2裏面→S5表面→S3裏面→S6表面→S4裏面→S7表面の順である。図9Aに示す例では、用紙S3の裏面の印刷が終わったところでジャムが発生した場合を示している。
【0128】
用紙S1は、既に両面印刷が完了し、有効紙としてメイントレイ540に排出されている。また、用紙S2およびS3は、ジャムが発生した時点でジャム紙S4の下流側にあり、既に両面印刷が完了しているので、制御部490は、用紙S2およびS3を有効紙としてメイントレイ540に排出するように制御する。
【0129】
一方、制御部490は、ジャムが発生した時点でジャム紙S4の上流側の搬送路上を搬送中の用紙S5~S7が、後で自動パージ処理が可能なように各々所定の停止ポイントに停止可能であるか否かを判断する。第1の実施例では、用紙S5~S7は、各々所定の停止ポイントに停止可能である場合を想定しているので、制御部490は、自動パージ処理の実施が可能であると判断する。
【0130】
制御部490は、用紙S5~S7に対して、自動パージ処理をするために停止処理を実施する。用紙S5は、ジャムが発生した時点でジャム紙S4の上流側にあり、既に表面の印刷が完了しているものの、裏面の印刷が未完了であるので、制御部490は、用紙S5を画像形成装置400の停止ポイント13まで搬送するように制御する。また、用紙S6は、ジャムが発生した時点でジャム紙S4の上流側にあり、表面および裏面の印刷が未完了であるので、制御部490は、用紙S6を停止ポイント11(レジストローラー対451)まで搬送するように制御する。また、用紙S7は、ジャムが発生した時点でジャム紙の上流側にあり、表面および裏面の印刷が未完了であるので、制御部490は、用紙S7を第2の給紙装置300の停止ポイント18a(上段トレイ311の出口)まで搬送するように制御する。
【0131】
図9Bに示すように、停止処理により、用紙S2およびS3は、メイントレイ540に有効紙として排出される。また、停止処理により、用紙S5は停止ポイント13に停止し、用紙S6は停止ポイント11に停止し、用紙S7は停止ポイント18aに停止する。
【0132】
用紙S5,S6,S7は、自動パージ処理により画像形成システム100の外部へ排出されることが予定される。しかし、制御部490は、ジャム紙S4がADU架台454の下部に位置し、用紙S6が停止ポイント11に位置しているため、上記表1により、用紙S6が第1の残留紙に該当すると判断する。
【0133】
図9Cに示すように、ジャム紙S4を除去するためには、ADU架台454(一点鎖線で囲まれた部分)を引き出す必要がある。ところが、用紙S6は、ADU架台454の内外、すなわち画像形成装置400の搬送路入口、および第2の給紙装置300の搬送路出口に跨っており、このままADU架台454を引き出すと用紙S6が損傷する可能性がある。したがって、このままの状態では、ADU架台454を引き出すことができない。これに対し、ユーザーが手動(図示されていないツマミなど)により、ADU架台454を引き出すのに支障がない位置まで用紙S6を移動させるのでは、ユーザーの操作手数が増えてしまうので、望ましくない。
【0134】
また、用紙S6の長さが短く、ADU架台454の内外の構成要素に跨らない場合、すなわち、用紙S6がギロチン状態ではない場合であっても、ADU架台454を引き出した時に用紙S6がユーザーに見えてしまう可能性がある。用紙S6がユーザーに見えてしまうと、ユーザーが不意に用紙S6の位置を動かしたり、用紙S6を除去したりすることが起こりうる。
【0135】
ユーザーが不意に用紙S6を動かすことは、ユーザーの操作手数が増えるだけでなく、自動パージ処理の制御に混乱を来すおそれがあるため望ましくないので、制御部490は、第1の残留紙である用紙S6に対して以下の処理を実施する。
【0136】
制御部490は、用紙S6が下流の停止ポイントに移動できるか否かを判断する。たとえば下流の停止ポイントにおいて用紙S6の長さが長いなどの理由により、用紙S6を下流の停止ポイントに移動できない場合、制御部490は、用紙S6のみを自動パージ(第1の自動パージ)し、用紙S6をパージトレイ550に排出する(図9Dを参照)。その結果、ジャム紙S4の除去が用紙S6によって邪魔されなくなる。
【0137】
制御部490は、操作表示部380のディスプレイにユーザーに対してジャム紙S4を除去することを促すメッセージを表示させる。図9Eに示すように、ユーザーは、ADU架台454を引き出し、ジャム紙S4を除去する。
【0138】
図9Fに示すように、制御部490は、用紙S6以外の用紙S5,S7を自動パージ処理(第2の自動パージ処理)する。用紙S5,S7は、パージトレイ550に排紙される。その後、制御部490は、リカバリー印刷を実施する。
【0139】
[第2の実施例]
第2の実施例では、ジャム紙除去前に第1の残留紙を下流の停止ポイントへ搬送し、ジャム紙除去後、第1および第2の残留紙の自動パージ(第3の自動パージ)を実施する場合について説明する。
【0140】
図10Aは第2の実施例においてジャム発生時の各用紙の位置を例示する模式図であり、図10Bは第2の実施例において停止処理後の各用紙の位置を例示する模式図である。また、図10C第2の実施例においては第1の残留紙を下流の停止ポイントに移動した後の各用紙の位置を例示する模式図であり、図10Dは第2の実施例においてジャム紙を除去した後の各用紙の位置を例示する模式図である。さらに、図10Eは、第2の実施例において第3の自動パージ処理を実施後の各用紙の位置を例示する模式図である。
【0141】
図10Aに示すように、第2の給紙装置300からA4サイズの用紙S1~S7を画像形成装置400に順に供給し、両面印刷を行っていたところ用紙S4がジャムを引き起こした場合を想定する。用紙の出力順序および印刷順序は第1の実施例の場合と同じである。
【0142】
用紙S1は、既に両面印刷が完了し、有効紙としてメイントレイ540に排出されている。また、用紙S2およびS3は、ジャムが発生した時点でジャム紙S4の下流側にあり、既に両面印刷が完了しているので、制御部490は、用紙S2およびS3を有効紙としてメイントレイ540に排出するように制御する。
【0143】
一方、制御部490は、用紙S5~S7に対して、自動パージ処理をするために停止処理を実施する。用紙S5は、ジャムが発生した時点でジャム紙S4の上流側にあり、既に表面の印刷が完了しているものの、裏面の印刷が未完了であるので、制御部490は、用紙S5を画像形成装置400の停止ポイント13まで搬送するように制御する。また、用紙S6は、ジャムが発生した時点でジャム紙S4の上流側にあり、表面および裏面の印刷が未完了であるので、制御部490は、用紙S6を停止ポイント11(レジストローラー対451)まで搬送するように制御する。また、用紙S7は、ジャムが発生した時点でジャム紙の上流側にあり、表面および裏面の印刷が未完了であるので、制御部490は、用紙S7を第2の給紙装置300の停止ポイント16(第2の給紙装置300の出口)まで搬送するように制御する。
【0144】
図10Bに示すように、停止処理により、用紙S2およびS3は、メイントレイ540に有効紙として排出される。また、用紙S5は停止ポイント13に停止し、用紙S6は停止ポイント11に停止し、用紙S7は停止ポイント16に停止する。用紙S5,S6,S7は、自動パージにより画像形成システム100の外部へ排出されることが予定される。
【0145】
図10Cに示すように、制御部490は、用紙S6を下流の停止ポイント14に移動可能なので、用紙S6を停止ポイント14へ移動させる。これにより、ジャム紙S4の除去が用紙S6によって邪魔されなくなる。
【0146】
制御部490は、操作表示部380のディスプレイにユーザーに対してジャム紙を除去することを促すメッセージを表示させる。図10Dに示すように、ユーザーは、ADU架台454を引き出し、ジャム紙S4を除去する。
【0147】
図10Eに示すように、用紙S5,S6,S7を自動パージ処理(第3の自動パージ処理)する。用紙S5,S6,S7は、パージトレイ550に排紙される。その後、制御部490は、リカバリー印刷を実施する。
【0148】
[第3の実施例]
第3の実施例では、第1の残留紙をジャム紙とともに除去後、第2の残留紙の自動パージ(第4の自動パージ)を実施する場合について説明する。
【0149】
図11Aは第3の実施例においてジャム発生時の各用紙の位置を例示する模式図であり、図11Bは第3の実施例においてジャム紙および第1の残留紙を除去した後の各用紙の位置を例示する模式図である。また、図11Cは、第3の実施例において第4の自動パージ処理を実施後の各用紙の位置を例示する模式図である。
【0150】
上述した第1の実施例と同様に、第2の給紙装置300からA3サイズの用紙S1~S7を画像形成装置400に順に供給し、両面印刷を行っていたところ用紙S4がジャムを引き起こした場合を想定する。用紙の出力順序および印刷順序は第1の実施例の場合と同じである。また、ジャムが発生した時点における用紙S1~S7の位置も、第1の実施例の場合と同じである(図9Aを参照)。
【0151】
図11Aに示すように、停止処理により、用紙S2およびS3は、メイントレイ540に有効紙として排出される。また、用紙S5は停止ポイント13に停止し、用紙S6は停止ポイント11に停止し、用紙S7は停止ポイント18aに停止する。
【0152】
第3の実施例では、用紙S6を下流の停止ポイントに移動できない場合であり、かつ用紙S6を第1の自動パージ処理できない場合を想定する。制御部490は、操作表示部380のディスプレイにユーザーに対してジャム紙S4および用紙S6を除去することを促すメッセージを表示させる。
【0153】
図11Bに示すように、ユーザーは、ADU架台454を引き出し、ジャム紙S4および用紙S6を除去する。
【0154】
図11Cに示すように、用紙S6以外の用紙S5,S7を自動パージ処理(第4の自動パージ処理)する。用紙S5,S7は、パージトレイ550に排紙される。その後、制御部490は、リカバリー印刷を実施する。
【0155】
[第4の実施例]
第4の実施例では、インサート紙が供給され、ジャム処理前に第1の残留紙の自動パージ(第1の自動パージ)を実施し、ジャム紙除去後に第2の残留紙の自動パージ(第2の自動パージ)を実施する場合について説明する。
【0156】
図12Aは第4の実施例においてジャム発生時の各用紙の位置を例示する模式図であり、図12Bは第4の実施例において停止処理後の各用紙の位置を例示する模式図である。また、図12Cは第4の実施例において第2の給紙装置の上段トレイの出口に残留紙が停止している場合を例示する模式図であり、図12Dは第4の実施例において第1の自動パージ処理を実施後の各用紙の位置を例示する模式図である。さらに、図12Eは第4の実施例においてジャム紙を除去した後の各用紙の位置を例示する模式図であり、図12Fは第4の実施例において第2の自動パージ処理を実施後の各用紙の位置を例示する模式図である。
【0157】
図12Aに示すように、第1の給紙装置200からA4サイズの用紙を、第2の給紙装置300からインサート紙を、画像形成装置400に供給し、インサートモードで片面印刷を行っていたところ用紙S4がジャムを引き起こした場合を想定する。インサートモードでは、1枚のオモテ表紙+3枚の本身で印刷される。印刷ジョブによって指定されている、用紙の出力順序および印刷順序は、S1i(インサート紙)→S2→S3→S4→S5i(インサート紙)→S6の順である。なお、S1i、S5iの「i」はインサート紙を意味する。
【0158】
用紙S1iは、既に印刷が完了し、有効紙としてメイントレイ540に排出されている。また、用紙S2およびS3は、ジャムが発生した時点でジャム紙S4の下流側にあり、既に印刷が完了しているので、制御部490は、用紙S2およびS3を有効紙としてメイントレイ540に排出するように制御する。
【0159】
一方、制御部490は、ジャムが発生した時点でジャム紙S4の上流側の搬送路上を搬送中のインサート紙S5iおよび用紙S6が、後で自動パージ処理が可能なように各々所定の停止ポイントに停止可能であるか否かを判断する。第4の実施例では、インサート紙S5iおよび用紙S6は、各々所定の停止ポイントに停止可能である場合を想定しているので、制御部490は、自動パージ処理の実施が可能であると判断する。
【0160】
制御部490は、インサート紙S5i,S6,S7に対して、自動パージ処理をするために停止処理を実施する。インサート紙S5iは、印刷が完了していない。したがって、制御部490は、インサート紙S5iを停止ポイント18a(上段トレイ311の出口)まで搬送するように制御する。
【0161】
用紙S6は、ジャムが発生した時点でジャム紙S4の上流側にあり、印刷が完了していない。したがって、制御部490は、停止ポイント19(第1の給紙装置200の連出口)まで搬送するように制御する。
【0162】
図12Bに示すように、停止処理により、用紙S2およびS3は、メイントレイ540に有効紙として排出される。また、インサート紙S5iは停止ポイント18aに停止し、用紙S6は停止ポイント19に停止する。
【0163】
インサート紙S5iおよび用紙S6は、自動パージ処理により画像形成システム100の外部へ排出されることが予定される。しかし、制御部490は、ジャム紙S4が第2の給紙装置300の水平搬送部321の搬送路に位置し、インサート紙S5iが停止ポイント18aに位置しているため、上記表1により、インサート紙S5iが第1の残留紙に該当すると判断する。
【0164】
図12Cに示すように、ジャム紙S4を除去するためには、上段トレイ311(一点鎖線で囲まれた部分)を引き出す必要がある。ところが、インサート紙S5iは、上段トレイ311と上段トレイ311の出口における搬送路とに跨っており、このまま上段トレイ311を引き出すとインサート紙S5iが損傷する可能性がある。したがって、このままの状態では、上段トレイ311を引き出すことができない。
【0165】
そこで、制御部490は、インサート紙S5iが下流の停止ポイントに移動できるか否かを判断する。図12Dに示すように、下流の停止ポイントに対してインサート紙S5iの長さが長いなどの理由により、インサート紙S5iが下流の停止ポイントに移動できない場合、制御部490は、インサート紙S5iのみを自動パージ処理(第1の自動パージ処理)する。それにより、制御部490は、インサート紙S5iをパージトレイ550に排出する。その結果、ジャム紙S4の除去がインサート紙S5iによって邪魔されなくなる。制御部490は、操作表示部380のディスプレイにユーザーに対してジャム紙S4を除去することを促すメッセージを表示させる。
【0166】
図12Eに示すように、ユーザーは、上段トレイ311を引き出し、ジャム紙S4を除去する。
【0167】
図12Fに示すように、インサート紙S5i以外の用紙S6を自動パージ処理(第2の自動パージ処理)する。用紙S6は、パージトレイ550に排紙される。その後、制御部490は、リカバリー印刷を実施する。
【0168】
[第5の実施例]
第5の実施例では、インサート紙が供給され、ジャム紙除去前に第1の残留紙を下流の停止ポイントへ搬送し、ジャム紙除去後、第1および第2の残留紙の自動パージ(第3の自動パージ)を実施する場合について説明する。
【0169】
図13Aは第5の実施例において第1の残留紙を下流の停止ポイントに移動した後の各用紙の位置を例示する模式図であり、図13Bは第5の実施例においてジャム紙を除去した後の各用紙の位置を例示する模式図である。また、図13Cは、第5の実施例において第3の自動パージ処理を実施後の各用紙の位置を例示する模式図である。
【0170】
上述した第4の実施例の場合と同様に、第1の給紙装置200からA4サイズの用紙を、第2の給紙装置300からインサート紙を、画像形成装置400に供給し、インサートモードで片面印刷を行っていたところ用紙S4がジャムを引き起こした場合を想定する。用紙の出力順序および印刷順序は、第4の実施例の場合と同じである。また、ジャムが発生した時点における用紙S1i~S6の位置も、第4の実施例の場合と同じである(図12Aを参照)。
【0171】
図13Aに示すように、停止処理により、用紙S2およびS3は、メイントレイ540に有効紙として排出される。インサート紙S5iは、下流の停止ポイントに移動できるので、制御部490は、インサート紙S5iを下流の停止ポイント16へ移動する。制御部490は、操作表示部380のディスプレイにユーザーに対してジャム紙S4を除去することを促すメッセージを表示させる。
【0172】
図13Bに示すように、ユーザーは、上段トレイ311を引き出し、ジャム紙S4を除去する。
【0173】
図13Cに示すように、制御部490は、インサート紙S5iおよびS6を自動パージ処理(第3の自動パージ処理)する。インサート紙S5iおよびS6は、パージトレイ550に排紙される。その後、制御部490は、リカバリー印刷を実施する。
【0174】
[第6の実施例]
第6の実施例では、タブ紙が供給され、ジャム処理前に第1の残留紙の自動パージ(第1の自動パージ)を実施し、ジャム紙除去後に第2の残留紙の自動パージ(第2の自動パージ)を実施する場合について説明する。
【0175】
図14Aは第6の実施例においてタブ紙の並び順について例示する模式図であり、図14Bは第6の実施例においてジャム発生時の各用紙の位置を例示する模式図である。また、図14Cは第6の実施例において停止処理後の各用紙の位置を例示する模式図であり、図14Dは第6の実施例において画像形成装置の上段トレイに収容されているタブ紙の給紙順序を例示する模式図である。また、図14Eは第6の実施例において第1の自動パージ処理を実施後の各用紙の位置を例示する模式図であり、図14Fは第6の実施例においてジャム紙を除去した後の各用紙の位置を例示する模式図である。さらに、図14Gは第6の実施例において画像形成装置の上段トレイに再セットされたタブ紙を例示する模式図であり、図14Hは第6の実施例において第2の自動パージ処理を実施後の各用紙の位置を例示する模式図である。
【0176】
第6の実施例では、図14Aに示すように、たとえば5枚で1セットのタブ紙を複数セット(たとえば2セット)使用して、タブ紙挿入モードで印刷する場合について説明する。1セットのタブ紙は、積層方向から見たときに互いに重ならない位置に各々タブ(見出し部)1~5を備える。印刷処理の開始前の初期状態では、給紙部440の上段トレイ441には、タブ紙が上からS3t1,S6t2,S9t3,・・・,S18t1,・・・S30t5の順に積層されている。1セットのタブ紙は、予め決められた順番(たとえば、S3t1,S6t2,S9t3,・・・,S15t5)で排出される必要がある。このように、タブ紙は、その排出に関して順序性を有する。S3t1,S6t2などにおいてタブ紙を示す「t」の後の数字はタブ紙の通し番号を示す。
【0177】
図14Bに示すように、給紙部440からタブ紙を、第1および第2の給紙装置200,300からA4サイズの用紙を画像形成装置400に供給し、タブ紙挿入モードで片面印刷を行っていたところ用紙S4がジャムを引き起こした場合を想定する。印刷ジョブによって指定されている、用紙の出力順序および印刷順序は、用紙S1→S2→S3t1(1番目のタブ紙)→S4→S5→S6t2(2番目のタブ紙)→S7→・・・の順である。
【0178】
用紙S1は、既に印刷が完了し、有効紙としてメイントレイ540に排出されている。また、用紙S2およびS3t1は、ジャムが発生した時点でジャム紙S4の下流側にあり、既に印刷が完了しているので、制御部490は、用紙S2およびS3t1を有効紙としてメイントレイ540に排出するように制御する。
【0179】
一方、制御部490は、ジャムが発生した時点でジャム紙S4の上流側の搬送路上を搬送中の用紙S5~S7が、後で自動パージ処理が可能なように各々所定の停止ポイントに停止可能であるか否かを判断する。第6の実施例では、用紙S5~S7は、各々所定の停止ポイントに停止可能である場合を想定しているので、制御部490は、自動パージ処理の実施が可能であると判断する。
【0180】
制御部490は、用紙S5,S6t2,S7に対して、自動パージ処理をするために停止処理を実施する。用紙S5は、ジャムが発生した時点でジャム紙S4の上流側にあり、印刷が未完了であるので、制御部490は、用紙S5を停止ポイント17まで搬送するように制御する。また、タブ紙S6t2は、ジャムが発生した時点で印刷が未完了であるので、制御部490は、タブ紙S6t2を停止ポイント15a(上段トレイ441の出口)まで搬送するように制御する。また、用紙S7は、ジャムが発生した時点でジャム紙S4の上流側にあり、印刷が未完了であるので、制御部490は、用紙S7を停止ポイント19まで搬送するように制御する。
【0181】
図14Cに示すように、停止処理により、用紙S2およびS3t1は、メイントレイ540に有効紙として排出される。また、用紙S5は停止ポイント17に停止し、タブ紙S6t2は停止ポイント15aに停止し、用紙S7は停止ポイント19に停止する。用紙S5,S6t2,S7は、自動パージ処理により画像形成システム100の外部へ排出されることが予定される。
【0182】
図14Dに示すように、給紙部440の上段トレイ441には、上からS9t3→S12t4→S1515→S18t1→・・・の順にタブ紙がセットされており、タブ紙S6t2の後に、タブ紙は、この順番で上段トレイ441から搬送路へ送り出される。
【0183】
しかし、ジャム紙S4が除去された後、用紙S5,S6t2,S7が自動パージされた場合、上段トレイ441の一番上にはタブ紙S9t3がある。したがって、制御部490は、このままではリカバリー印刷において、当初印刷ジョブで指定された用紙S4→S5→S6t2→の順で印刷を再開することはできない。
【0184】
これに対して、ジャム紙S4が除去される際に、上段トレイ441のタブ紙を再セットすることをユーザーに促すことが考えられるが、タブ紙S6t2が上段トレイ441と上段トレイ441の出口に跨っているため上段トレイ441を引き出すことができない。
【0185】
そこで、図14Eに示すように、制御部490は、タブ紙S6t2のみを自動パージ処理(第1の自動パージ処理)することにより、タブ紙S6t2をパージトレイ550に排出する。その結果、上段トレイ441の引き出しがタブ紙S6t2によって邪魔されなくなる。制御部490は、操作表示部380のディスプレイにユーザーに対してジャム紙S4を除去することを促すメッセージを表示させる。
【0186】
図14Fに示すように、ユーザーは、第2の給紙装置300の上段トレイ311を引き出し、ジャム紙S4を除去する。制御部490は、上段トレイ441のタブ紙を再セットすることをユーザーに促す。
【0187】
図14Gに示すように、ユーザーは、さらに、画像形成装置400の上段トレイ441にタブ紙を再セットする。これにより、上段トレイ441の一番上にタブ紙S21t2がセットされる。したがって、上段トレイ441から2番目のタブ紙が画像形成部430に供給されるので、リカバリー印刷時に正しい出力順序になる。
【0188】
図14Hに示すように、タブ紙S6t2以外の用紙S5,S7を自動パージ処理(第2の自動パージ処理)する。用紙S5,S7は、パージトレイ550に排紙される。その後、制御部490は、リカバリー印刷を実施する。
【0189】
[第7の実施例]
第7の実施例では、タブ紙が供給され、ジャム紙除去前に第1の残留紙を下流の停止ポイントへ搬送し、ジャム紙除去後、第1および第2の残留紙の自動パージ(第3の自動パージ)を実施する場合について説明する。
【0190】
図15Aは第7の実施例において停止処理後の各用紙の位置を例示する模式図であり、図15Bは第7の実施例において第1の残留紙を下流の停止ポイントに移動した後の各用紙の位置を例示する模式図である。また、図15Cは第7の実施例において第3の自動パージ処理を実施後の各用紙の位置を例示する模式図である。
【0191】
第6の実施例と同様に、給紙部440からタブ紙を、第1および第2の給紙装置200,300からA4サイズの用紙を、画像形成装置400に供給し、タブ紙挿入モードで片面印刷を行っていたところ用紙S4がジャムを引き起こした場合を想定する。印刷ジョブによって指定されている、用紙の出力順序および印刷順序は、第6の実施例の場合と同じである。また、ジャムが発生した時点における用紙S1~S7の位置も、第6の実施例の場合と同じである。
【0192】
図15Aに示すように、停止処理により、用紙S2およびタブ紙S3t1は、メイントレイ540に有効紙として排出される。また、用紙S5は第2の給紙装置300の停止ポイント17に停止し、タブ紙S6t2は画像形成装置400の停止ポイント15aに停止し、用紙S7は第1の給紙装置200の停止ポイント19に停止する。
【0193】
図15Bに示すように、制御部490は、タブ紙S6t2を下流の停止ポイント11に移動可能なので、タブ紙S6t2を停止ポイント11へ移動させる。これにより、ジャム紙S4の除去がタブ紙S6t2によって邪魔されなくなる。制御部490は、操作表示部380のディスプレイにユーザーに対してジャム紙S4の除去および2番目のタブ紙の再セットを促すメッセージを表示させる。
【0194】
図15Cに示すように、ユーザーは、第2の給紙装置300の上段トレイ311を引き出し、ジャム紙S4を除去する。ユーザーは、さらに、給紙部440の上段トレイ441にタブ紙を再セットする。これにより、上段トレイ441の一番上に2番目のタブ紙(タブ紙S21t2)がセットされる。ユーザーはジャム紙S4を除去するのと同じタイミングで、タブ紙の再セットを行えるので、ジャム紙S4の除去およびタブ紙の再セットを別々のタイミングで行わずに済み、ユーザーの負担が低減される。
【0195】
続いて、用紙S5,S6t2,S7を自動パージ処理(第3の自動パージ処理)する。用紙S5,S6t2,S7は、パージトレイ550に排紙される。その後、制御部490は、リカバリー印刷を実施する。
【0196】
[第8の実施例]
第8の実施例では、タブ紙が供給され、第1の残留紙をジャム紙とともに除去後、第2の残留紙の自動パージ(第4の自動パージ)を実施する場合について説明する。
【0197】
図16Aは第8の実施例においてジャム発生時の各用紙の位置を例示する模式図であり、図16Bは第8の実施例において停止処理後の各用紙の位置を例示する模式図である。また、図16Cは第8の実施例においてジャム紙および第1の残留紙を除去した後の各用紙の位置を例示する模式図であり、図16Dは第8の実施例において第4の自動パージ処理を実施後の各用紙の位置を例示する模式図である。
【0198】
図16Aに示すように、第1の給紙装置200からA4サイズの用紙を、第2の給紙装置からタブ紙を、画像形成装置400に供給し、タブ紙挿入モードで片面印刷を行っていたところタブ紙S3t1がジャムを引き起こした場合を想定する。印刷ジョブによって指定されている、用紙の出力順序および印刷順序は、用紙S1→S2→S3t1(1番目のタブ紙)→S4→S5→S6t2(2番目のタブ紙)→S7→・・・の順である。
【0199】
用紙S1は、既に印刷が完了し、有効紙としてメイントレイ540に排出されている。また、用紙S2は、ジャムが発生した時点でジャム紙S3t1の下流側にあり、既に印刷が完了しているので、制御部490は、用紙S2を有効紙としてメイントレイ540に排出するように制御する。
【0200】
一方、制御部490は、ジャムが発生した時点でジャム紙S3t1の上流側の搬送路上を搬送中の用紙S4~S7が、後で自動パージ処理が可能なように各々所定の停止ポイントに停止可能であるか否かを判断する。第8の実施例では、用紙S4~S7は、各々所定の停止ポイントに停止可能である場合を想定しているので、制御部490は、自動パージ処理の実施が可能であると判断する。
【0201】
制御部490は、用紙S4,S5,S6t2,S7に対して、自動パージ処理をするために停止処理を実施する。用紙S4は、ジャムが発生した時点でジャム紙S3t1の上流側にあり、印刷が未完了であるので、制御部490は、用紙S4を停止ポイント16(第2の給紙装置300連出口)まで搬送するように制御する。用紙S5は、ジャムが発生した時点でジャム紙S3t1の上流側にあり、印刷が未完了であるので、制御部490は、用紙S5を停止ポイント17まで搬送するように制御する。また、タブ紙S6t2は、ジャムが発生した時点でジャム紙の上流側にあり、印刷が未完了であるので、制御部490は、タブ紙S6t2を停止ポイント18a(上段トレイ311の出口)まで搬送するように制御する。また、用紙S7は、ジャムが発生した時点でジャム紙S3t1の上流側にあり、印刷が未完了であるので、制御部490は、用紙S7を停止ポイント19(第1の給紙装置200連出口)まで搬送するように制御する。
【0202】
図16Bに示すように、停止処理により、用紙S2は、メイントレイ540に有効紙として排出される。また、用紙S5は停止ポイント17に停止し、タブ紙S6t2は停止ポイント18aに停止し、用紙S7は停止ポイント19に停止する。用紙S4,S5,S6t2,S7は、ジャム紙S3t1を除去した後、自動パージ処理により画像形成システム100の外部へ排出されることが予定される。
【0203】
ここで、第2の給紙装置300の上段トレイ311には、上からS9t3→S12t4→S15t5→S18t1→・・・の順にタブ紙がセットされている。
【0204】
しかし、ジャム紙S3t1が除去された後、用紙S4,S5,S6t2,S7が自動パージされた場合、上段トレイ311の一番上にはタブ紙S9t3がある。したがって、制御部490は、このままではリカバリー印刷において、用紙S3t1,S4→S5→S6t2→の順で印刷を再開することはできない。
【0205】
これに対して、ジャム紙S3t1が除去される際に、上段トレイ311のタブ紙を再セットすることをユーザーに促すことが考えられるが、タブ紙S6t2が上段トレイ311と上段トレイ311の出口に跨っているため上段トレイ311を引き出すことができない。
【0206】
第8の実施例では、タブ紙S6t2を下流の停止ポイントに移動できない場合であり、かつ第1の自動パージ処理を実施できない場合を想定する。制御部490は、ユーザーに対してジャム紙S3t1およびタブ紙S6t2を除去することを促すメッセージを操作表示部380のディスプレイに表示させる。
【0207】
図16Cに示すように、ユーザーは、ADU架台454を引き出してジャム紙S3t1除去し、上段トレイ311を引き出してタブ紙S6t2を除去する。
【0208】
図16Dに示すように、制御部490は、用紙S4,S5,S7を自動パージ処理(第4の自動パージ処理)する。用紙S4,S5,S7は、パージトレイ550に排紙される。その後、制御部490は、リカバリー印刷を実施する。
【0209】
以上で説明した本実施形態の画像形成システム100は、下記の効果を奏する。
【0210】
制御部490は、第1の自動パージ処理を実施可能であると判断される場合は、第1の自動パージ処理を実施し、ジャム紙が除去される前に、第1の残留紙を搬送して排紙部に排出する。したがって、ジャム紙の除去と自動パージ処理を予定している残留紙との競合を回避しつつ、ジャム処理の工程数の増加と、ジャム処理においてユーザーが除去すべき用紙の枚数の増加とを抑制できる。
【0211】
また、ジャム処理の処理手順を従来通りにしたい場合や、機械が印刷せずに停止している時間(ダウンタイム)の低減を優先したい場合は、第1の自動パージ処理の実施を禁止するように設定することにより対応できる。
【0212】
以上のように、実施形態において、本発明の画像形成システムについて説明した。しかしながら、本発明は、その技術思想の範囲内において当業者が適宜に追加、変形、および省略することができることはいうまでもない。
【0213】
たとえば、上述の実施形態では、ギロチン状態の残留紙として、ADU架台の内外の搬送路に跨って残留紙が停止している場合、第1および第2の給紙装置の上段トレイの出口に残留紙が停止している場合について例示した。しかし、本発明はADU架台の内外の搬送路および第1および第2の給紙装置の上段トレイの出口の残留紙に限定されず、画像形成システム内の搬送路における他の位置の残留紙に対しても適用できる。
【0214】
また、上述の実施形態では、有効紙をメイントレイに排出し、無効紙をパージトレイに排出する構成について説明した。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されず、有効紙と無効紙を同じ排紙トレイに排出するように構成することもできる。
【0215】
また、各装置の制御プログラムは、USBメモリー、フレキシブルディスク、CD-ROMなどのコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、メモリーやストレージなどに転送され記憶される。また、この制御プログラムは、たとえば、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、画像形成システムの一機能としてその各装置のソフトウェアに組み込んでもよい。
【符号の説明】
【0216】
100 画像形成システム、
200 第1の給紙装置、
210 給紙部、
220 用紙搬送部、
230 後段I/F、
240 制御部、
300 第2の給紙装置、
310 給紙部、
320 用紙搬送部、
330 通信部、
340 制御部、
400 画像形成装置、
410 画像読取部、
420 画像処理部、
430 画像形成部、
440 給紙部、
450 用紙搬送部、
460 定着部、
470 通信部、
471 ネットワークI/F、
472 給紙装置I/F、
473 後処理装置I/F、
480 操作表示部、
490 制御部、
500 後処理装置、
510 挿入給紙部、
520 用紙搬送部、
530 平綴じ部、
540 メイントレイ、
550 パージトレイ。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
図14G
図14H
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図16D