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特許7035516フェノール類変性キシレン樹脂及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】フェノール類変性キシレン樹脂及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 8/08 20060101AFI20220308BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20220308BHJP
   C08L 61/00 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
C08G8/08
C08K5/13
C08L61/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017248452
(22)【出願日】2017-12-25
(65)【公開番号】P2019112569
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】荻原 雅司
(72)【発明者】
【氏名】宮原 大治
(72)【発明者】
【氏名】長井 理
(72)【発明者】
【氏名】勇 克人
【審査官】横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-021425(JP,A)
【文献】特開平07-242719(JP,A)
【文献】特開2002-167417(JP,A)
【文献】特開平11-315128(JP,A)
【文献】特開平10-279666(JP,A)
【文献】特開平09-316391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 8/08
C08G 10/04
C08G 14/04
C08G 14/12
C08G 59/62
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香環当たりの平均置換基数が1.8以上3.0以下であるキシレン樹脂がフェノール類により変性したフェノール類変性キシレン樹脂であって、
前記フェノール類が下記式(1)で表されるフェノール類であり、
【化1】
(式(1)中、Rは、水酸基を除き、反応に不活性な置換基を表し、aは、1以上の整数を表し、bは、1以上の整数を表し、aとbの和が4以下である。)
重量平均分子量が2,000以上10,000以下であり、
軟化点が150℃以上200℃以下である、フェノール類変性キシレン樹脂。
【請求項2】
前記フェノール類変性キシレン樹脂における、フェノール類由来のフェノール類単位(X)に対する、キシレン樹脂由来のキシレン単位(Y)のモル比(Y/X)が0.05≦Y/X<1.3である、請求項1記載のフェノール類変性キシレン樹脂。
【請求項3】
フェノール類変性キシレン樹脂を製造する方法であって、
芳香環当たりの平均置換基数が1.8以上3.0以下であるキシレン樹脂(A)、下記式(1)で表されるフェノール類(B)、及びホルムアルデヒド類(C)を酸性触媒下で縮合反応させる工程を含み、
前記工程において、フェノール類(B)の仕込みモル量に対する、キシレン樹脂(A)及びホルムアルデヒド類(C)の仕込みモル量全体のモル比(((A)+(C))/(B))が、1.0以上2.0以下である、製造方法。
【化2】
(式(1)中、Rは、水酸基を除き、反応に不活性な置換基を表し、aは、1以上の整数を表し、bは、1以上の整数を表し、aとbの和が4以下である。)
【請求項4】
前記フェノール類(B)がクレゾール類、キシレノール類、p-tert-ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、カルダノール及びテルペンフェノールからなる群から選ばれる一種以上である、請求項3に記載のフェノール類変性キシレン樹脂の製造方法。
【請求項5】
前記ホルムアルデヒド類(C)がホルマリン、パラホルムアルデヒド及びトリオキサンからなる群から選ばれる一種以上である、請求項3又は4に記載のフェノール類変性キシレン樹脂の製造方法。
【請求項6】
酸性触媒が硫酸、塩酸、パラトルエンスルホン酸、及びシュウ酸からなる群から選ばれる一種以上である、請求項3乃至5のいずれか1項に記載のフェノール類変性キシレン樹脂の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェノール類変性キシレン樹脂及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フェノール類変性キシレン樹脂は、公知の物質であり、その用途は、電気及び電子部品の積層品、成形品、被覆材、封止材、粘接着剤、塗料の改質等多岐にわたる。粘接着剤の改質用途として用いられる場合には、通常、タッキファイヤーとして用いられる。
【0003】
これらの用途に用いるためにフェノール類変性キシレン樹脂にさらなる特性の改良が求められている。例えば、特許文献1の実施例には、キシレン樹脂及びフェノールを弱酸性触媒の存在下で縮合反応させて、フェノール類変性キシレン樹脂の低粘度化を実現できることが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、硬化時間が短く、熱時硬度の高いノボラック型フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂を提供することを目的として、特定の芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂とフェノール類とを酸性触媒存在下において反応させる得られるノボラック型フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂が開示されている。
【0005】
また、特許文献3は、常温保存性、成形性、耐はんだストレス性に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。また、この文献には、上記のエポキシ樹脂組成物が、樹脂硬化剤としてフェノール・アルキルベンゼン・アルデヒド樹脂を含有することが記載されている。さらに、この文献の実施例には、上記のフェノール・アルキルベンゼン・アルデヒド樹脂の製造例として、m-キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、オルトクレゾール及びパラトルエンスルホン酸を所定量仕込み、更にホルマリンを徐々に添加して反応させることにより、軟化点が84℃であり、重量平均分子量が1100であるフェノール・キシレン・ホルムアルデヒド樹脂が得られたことが記載されている。
【0006】
さらに、特許文献4には、ウレタン断熱材を挟持したプレコート鋼板の製造における、トラブルを防止するために、プリコート鋼板の塗膜のウレタン接着性を改善することを目的として、フィルム形成性樹脂、硬化剤、及びフェノール変性アルキルベンゼン・ホルムアルデヒド樹脂を含有する塗料組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-119234号公報
【文献】特開平11-315128号公報
【文献】特開平11-21425号公報
【文献】特開平09-316391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、自動車部材、建材等に用いられる粘接着剤の一部の分野においては、高い水準の耐熱性が求められている。一般にフェノール類変性キシレン樹脂は、軟化点の高いもので130℃程度であり、耐熱性の観点から、市場の要求に十分に応えられるものではない。これに対し、特許文献1には、軟化点を向上することについて検討されていない。
【0009】
特許文献2では、ノボラック型フェノール類キシレン樹脂を得ることを想定したものであり、この文献の実施例ではフェノール類としてフェノールを用いている。このため、この文献の実施例では、フェノール核を起点に三次元架橋が生じることに起因して、相溶性が十分でない虞がある。従って、この文献では、優れた相溶性及び軟化点を両立できない。
【0010】
特許文献3については、軟化点を向上することについて検討されていない。また、この文献の実施例では、ホルマリンの仕込み量が明確に特定されていない。
【0011】
ここで、高分子量化することにより、軟化点を向上させることが考えられるが、この場合には、軟化点の向上と同時に他の天然及び合成樹脂との相溶性が悪化し、その用途は大きく制限される。
【0012】
また、一部のロジン又はテルペン樹脂の変性品において、160℃程度の高い軟化点を有する製品が存在するが、その相溶性は悪い。フェノール類変性キシレン樹脂においては、さらに相溶性が良好でかつ軟化点の高いものが求められている。
【0013】
ここで、特許文献4には、フェノール変性アルキルベンゼンとして、60~200℃の軟化点を有し、数平均分子量700~2,000を有することが好ましいことが記載されている。しかしながら、特許文献4の実施例では、市販品のフェノール類変性キシレン樹脂(軟化点125~135℃)を用いており、軟化点をさらに向上させるための具体的手段が何ら開示されていない。
【0014】
そこで、本発明は、重量平均分子量が10,000を超えず、150℃以上もの高い軟化点を有するフェノール類変性キシレン樹脂及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、芳香環当たりの平均置換基数が特定の範囲内であるキシレン樹脂と、特定のフェノール類と、ホルムアルデヒド類とを所定の割合で酸性触媒下で縮合反応させると、得られるフェノール類変性キシレン樹脂は、重量平均分子量を過度に高めなくても、150℃以上と極めて高い軟化点を有するフェノール類変性キシレン樹脂が得られることを見いだし、本発明を完成した。
【0016】
すなわち、本発明は、次のとおりである。
[1]
キシレン樹脂がフェノール類により変性したフェノール類変性キシレン樹脂であって、
前記フェノール類が下記式(1)で表されるフェノール類であり、
【化1】
(式(1)中、Rは、水酸基を除き、反応に不活性な置換基を表し、aは、1以上の整数を表し、bは、1以上の整数を表し、aとbの和が4以下である。)
重量平均分子量が2,000以上10,000以下であり、
軟化点が150℃以上200℃以下である、フェノール類変性キシレン樹脂。
[2]
前記フェノール類変性キシレン樹脂における、フェノール類由来のフェノール類単位(X)に対する、キシレン樹脂由来のキシレン単位(Y)のモル比(Y/X)が0.05≦Y/X<1.3である、[1]のフェノール類変性キシレン樹脂。
[3]
フェノール類変性キシレン樹脂を製造する方法であって、
芳香環当たりの平均置換基数が1.8以上3.0以下であるキシレン樹脂(A)、下記式(1)で表されるフェノール類(B)、及びホルムアルデヒド類(C)を酸性触媒下で縮合反応させる工程を含み、
前記工程において、フェノール類(B)の仕込みモル量に対する、キシレン樹脂(A)及びホルムアルデヒド類(C)の仕込みモル量全体のモル比(((A)+(C))/(B))が、1.0以上2.0以下である、製造方法。
【化2】
(式(1)中、Rは、水酸基を除き、反応に不活性な置換基を表し、aは、1以上の整数を表し、bは、1以上の整数を表し、aとbの和が4以下である。)
[4]
前記フェノール類(B)がクレゾール類、キシレノール類、p-tert-ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、カルダノール及びテルペンフェノールからなる群から選ばれる一種以上である、[3]のフェノール類変性キシレン樹脂の製造方法。
[5]
前記ホルムアルデヒド類(C)がホルマリン、パラホルムアルデヒド及びトリオキサンからなる群から選ばれる一種以上である、[3]又は[4]のフェノール類変性キシレン樹脂の製造方法。
[6]
酸性触媒が硫酸、塩酸、パラトルエンスルホン酸、及びシュウ酸からなる群から選ばれる一種以上である、[3]乃至[5]のいずれかのフェノール類変性キシレン樹脂の製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、重量平均分子量が10,000を超えず、150℃以上もの高い軟化点を有するフェノール類変性キシレン樹脂及びその製造方法を提供可能である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
【0019】
[フェノール類変性キシレン樹脂の製造方法]
本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂の製造方法は、芳香環当たりの平均置換基数が1.8以上3.0以下であるキシレン樹脂(A)(以下、「特定のキシレン樹脂(A)」ともいう。)、下記式(1)で表されるフェノール類(B)、及びホルムアルデヒド類(C)を酸性触媒下で縮合反応させる工程(縮合反応工程)を含み、縮合反応工程において、フェノール類(B)の仕込みモル量に対する、キシレン樹脂(A)及びホルムアルデヒド類(C)の仕込みモル量全体のモル比(((A)+(C))/(B))が、1.0以上2.0以下である。本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂の製造方法は、上記の構成を備えることにより、重量平均分子量を過度に高めなくても、高い軟化点を有するフェノール類変性キシレン樹脂を製造可能である。このようなフェノール類変性キシレン樹脂は、重量平均分子量が10,000以下であることに起因して、例えば、他の天然及び合成樹脂との十分な相溶性を有しており、また、軟化点が150℃以上であることに起因して、例えば、耐熱性に優れる。なお、本明細書において、「フェノール類変性キシレン樹脂」とは、キシレン樹脂が後述するフェノール類(B)により変性したものをいう。
【0020】
【化3】
【0021】
式(1)中、Rは、水酸基を除き、反応に不活性な置換基を表し、aは、1以上の整数を表し、bは、1以上の整数を表し、aとbの和が4以下である。
【0022】
[特定のキシレン樹脂(A)]
キシレン樹脂(「キシレンホルムアルデヒド樹脂」ともいう。)は、例えば、キシレンと、ホルマリンとを酸触媒下の還流下により、2~8時間程度で反応させることにより得られる。キシレンとしては、例えば、オルトキシレン、メタキシレン、及びパラキシレンが挙げられ、通常、メタキシレンが用いられることが多い。これらのキシレンは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
より詳細には、キシレン樹脂は、キシレン核間にリンカー(例えば、メチレン結合(-CH2-)、ジメチレンエーテル結合(-CH2-O-CH2-)、及びアセタール結合(-CH2-O-CH2-O-CH2-))を有している。分子中にリンカーが複数ある場合、リンカーは、1種類で構成されていてもよく、複数種類で構成されてもよい。また、キシレン樹脂は、末端のキシレン核に活性基(例えば、メチロール基(-CH2-OH)、アセタール基(-CH2-O-CH2-OH)、及びメトキシ基(-O-CH3))を有している。分子中に活性基が複数ある場合、活性基は、1種類で構成されていてもよく、複数種類で構成されてもよい。さらに、キシレン樹脂は、分子中のキシレン核の数が1~8である化合物(1~8核体)を主成分として含む。ここで、キシレン樹脂(A)は、多様な構造の混合物であるため、その構造をさらに分析し、特定することは困難である。
【0024】
キシレン樹脂(A)は、水酸基を含有する基を含む化合物(例えば、フェノール類等)、カルボキシル基を含有する基を含む化合物(例えば、脂肪族又は芳香族カルボン酸等)等の第三成分と反応することが知られている。そして、キシレン樹脂は、後述するフェノール類(B)と反応させると、キシレン樹脂由来のキシレン単位と、フェノール類由来のフェノール類単位とを含むフェノール類変性キシレン樹脂が得られる。
【0025】
本明細書において、キシレン樹脂の「芳香環当たりの平均置換基数」とは、キシレン樹脂のモノマーとして使用されるキシレン1モル当たりにおける、反応したキシレン環直結プロトン(キシレン環に直結したプロトン)の当量数(相加平均値)をいう。「芳香環当たりの平均置換基数」は、例えば、1H-NMR測定により算出できる。具体的には、キシレン樹脂がメタキシレン樹脂である場合、メタキシレン樹脂中のメタキシレン環のメチルプロトン(1.8~2.6ppm付近に観測)の積分値を6としたとき、メタキシレン樹脂中のメタキシレン環に直結したプロトン(6.9ppm付近に観測)の積分値を算出する。その値は、メタキシレン樹脂中のメタキシレン環1つ当たりに存在するメタキシレン環直結プロトンの当量数(相加平均値)である。得られた算出値を、反応前のメタキシレン1分子のメタキシレン環直結プロトン当量数である4から引いた値を「芳香環当たりの置換基数の平均」とする。
【0026】
本実施形態のキシレン樹脂(A)では、芳香環当たりの平均置換基数(以下、単に「平均置換基数」という。)が1.8以上3.0以下であり、1.85以上2.8以下であることが好ましく、1.9以上2.5以下であることがより好ましい。平均置換基数が上記範囲内にあることにより、重量平均分子量を過度に高めることなく、150℃以上の高い軟化点を有するフェノール類変性キシレン樹脂を得ることができる。この要因は、以下のように考えられるが、この要因により本発明は何ら限定されない。すなわち、平均置換基数は、キシレン樹脂(A)の反応性を示す指標とみなすことができる。より詳細には、平均置換基数が大きいと、キシレン樹脂(A)中のキシレン核全体に対する、官能基(上記にいう、リンカー及び活性基)を2つ有するキシレン核(以下、「キシレン核(a)」ともいう。)の割合が大きいことを示し、平均置換基数が小さいと、キシレン樹脂(A)中のキシレン核全体に対する、官能基(上記にいう、リンカー及び活性基)を1つ有するキシレン核(以下、「キシレン核(b)」ともいう。)の割合が大きいことを示す。ここで、キシレン樹脂をフェノール類により変性する条件において、キシレン核にフェノール類(B)及びホルムアルデヒド類(C)が直接付加することはなく、フェノール類(B)及びホルムアルデヒド類(C)が上記官能基と反応し、キシレン核に付加する。このため、キシレン核(b)が上記の官能基側でフェノール類(B)又はホルムアルデヒド類(C)と反応すると、分子鎖の成長がそこで停止する。このため、キシレン核(b)の割合が大きい、すなわち平均置換基数が小さすぎると、分子量成長が生じにくくなり、所定の重量平均分子量を確保できず、その結果、軟化点が低下する。一方、平均置換基数が大きすぎると、分子量が過大になり、相溶性が悪化するなどの悪影響を及ぼす。これに対し、平均置換基数が上記範囲内にあることにより、一定の分子量成長により、150℃以上の高軟化点を達成できるとともに、過度に分子量成長することなく、相溶性などを低下させることがない。
【0027】
[フェノール類(B)]
本明細書において、フェノール類(B)とは、フェノール性水酸基を有する化合物をいう。フェノール類(B)としては、下記式(1)で表される化合物(以下、置換フェノール類(B)」ともいう。)である。
【0028】
【化4】
【0029】
式(1)中、Rは、水酸基を除き、反応に不活性な置換基を表し、aは、1以上の整数を表し、bは、1以上の整数を表し、aとbの和が4以下である。
【0030】
フェノール類(B)が、置換フェノール類(B)であることにより、反応点が2つとなり易く、キシレン樹脂(A)と反応する際、直鎖状のフェノール類変性キシレン樹脂が得られる傾向にある。このため、三次元架橋しにくくなるため、得られるフェノール類変性キシレン樹脂は、相溶性及び高軟化点を向上できる。
【0031】
Rは、水酸基を除き、反応に不活性な置換基を表す。Rが複数ある場合には、互いのRは、同一であってもよく、異なっていてもよく、Rの結合位置は、特に限定されない。置換基としては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子)、及び炭化水素基(例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、及び炭素-炭素二重結合を複数有する基、並びにこれらの基を組み合わせた基)が挙げられ、炭化水素基であることが好ましい。
【0032】
式(1)中、R、a、及びbの組み合わせとしては、Rが炭化水素基(特にアルキル基(好ましくは炭素数1~10の直鎖状又は分岐状アルキル基)、又は炭素-炭素二重結合を複数有する基)であり、aが1又は2であり、bが1である組み合わせが好ましい。
【0033】
式(1)で表されるフェノール類(B)の代表例としては、クレゾール類(例えば、オルトクレゾール、メタクレゾール、及びパラクレゾール)、キシレノール類(例えば、2,6-キシレノール、3,5-キシレノール、2,3-キシレノール、2,5-キシレノール、2,4-キシレノール、及び3,4-キシレノール)、ブチルフェノール(例えば、p-tert-ブチルフェノール)、オクチルフェノール、ノニルフェノール、カルダノール、及びテルペンフェノールが挙げられる。
【0034】
フェノール類(B)は、相溶性及び高軟化点をより一層向上する観点から、クレゾール類、キシレノール類、p-tert-ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、カルダノール及びテルペンフェノールからなる群から選ばれる一種以上であることが好ましく、p-tert-ブチルフェノールを含むことがより好ましい。
【0035】
[アルデヒド類(C)]
本実施形態の製造方法では、特定のキシレン樹脂(A)及びフェノール類(B)に加えて、さらにアルデヒド類(C)を所定の割合で反応させる。これにより、重量平均分子量を過度に高めることなく、150℃以上の高い軟化点を有するフェノール類変性キシレン樹脂を得ることができる。この要因は、以下のように考えられるが、この要因により本発明は何ら限定されない。すなわち、アルデヒド類(C)は、フェノール類(B)同士を架橋するように働く。同等の分子量で比較した場合、キシレン樹脂(A)に対するフェノール類(B)の比率が高いほど、フェノール類変性キシレン樹脂の軟化点は、高い傾向にある。しかしながら、キシレン樹脂(A)の仕込み量に対してフェノール類(B)の仕込み量が過剰にあると、遊離フェノール類(フリーフェノール類)が残存し易くなり、これに起因して、軟化点が低下する傾向にある。これに対し、本実施形態では、アルデヒド類(C)を添加することにより、フェノール類(B)を全て樹脂化でき、その結果、重量平均分子量を過度に高めなくても、軟化点を向上できると考えられる。
【0036】
本明細書において、ホルムアルデヒド類(C)は、ホルムアルデヒド、又はホルムアルデヒドを発生する化合物をいう。ホルムアルデヒド類(C)としては、特に限定されないが、ホルマリン、パラホルムアルデヒド及びトリオキサンからなる群から選ばれる一種以上であることが好ましい。
【0037】
フェノール類(B)の仕込み量に対する、特定のキシレン樹脂(A)の仕込み量の割合((A)/(B))は、モル比で、0.05以上1.30以下であることが好ましく、0.10以上1.25以下であることがより好ましく、0.20以上1.00以下であることがさらに好ましい。割合が1.30以下であることにより、得られるフェノール類変性キシレン樹脂の重量平均分子量を過度に高めることなく、軟化点をより一層向上できる傾向にある。
【0038】
フェノール類(B)の仕込みモル量に対する、キシレン樹脂(A)及びホルムアルデヒド類(C)の仕込みモル量全体のモル比(((A)+(C))/(B))は、モル比で、重量平均分子量を過度に高めることなく、軟化点を向上させる観点から、1.00以上2.00以下であり、1.05以上1.50以下であることが好ましく、1.10以上1.30以下であることがより好ましい。割合が1.00以上であることにより、遊離するフェノール類を低減でき、割合が2.00より小さいと、得られるフェノール類変性キシレン樹脂の低分子量化を向上できる。
【0039】
[酸性触媒]
本発明で使用する酸性触媒としては、無機酸(例えば、硫酸、塩酸、燐酸)、有機酸(例えば、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、ギ酸等)、ルイス酸(例えば、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄、三フッ化ホウ素等)、固体酸(例えば、ケイタングステン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸、リンモリブデン酸等)等が例示できる。これらの酸性触媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、反応性の観点から、強酸の無機酸及び/又は強酸の有機酸であることが好ましく、入手容易性等の経済性の観点から、硫酸、塩酸、パラトルエンスルホン酸であることがより好ましく、パラトルエンスルホン酸であることがさらに好ましい。
【0040】
本実施形態の製造方法では、各反応成分及び酸性触媒を含む混合物を撹拌することにより反応を進行させる。反応は、各成分を一括して仕込んでもよく、逐次的に仕込んでもよい。また、反応成分以外に添加剤を反応系に適量添加してもよく、添加剤としては、例えば、得られる樹脂の着色を改善するための着色抑制剤(例えば、無水マレイン酸等)が挙げられる。
【0041】
混合物中の酸性触媒の濃度(触媒濃度)は、特に限定されないが、例えば、10質量ppm~500質量ppm程度であってもよい。
【0042】
反応温度は、特に限定されないが、酸性触媒を仕込む(添加する)際の温度(触媒添加温度)が90℃以下であることが好ましい。触媒添加温度が90℃を超えると、反応が急激に進行する虞がある。その後、例えば、反応温度を210℃程度まで徐々に昇温させてもよい。昇温時間は、特に限定されないが、例えば、3~6時間程度であってもよい。その後、反応を停止するために、中和剤を用いて中和を行ってもよい。中和剤に用いる塩基性化合物としては、無機アルカリ金属塩、第3級アミン類、尿素等が好適に用いられる。無機アルカリ金属塩ではNaOH、Na2CO3、KOH、Ca(OH)2等が例示できる。第3級アミン類では、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等が例示できる。中和剤の添加量は、特に限定されないが、酸性触媒の仕込み量に対し、1.5~2.5倍程度であってもよい。
【0043】
[フェノール類変性キシレン樹脂]
本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂は、本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂の製造方法により得ることができる。
【0044】
本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂は、重量平均分子量が2,000以上10,000以下であり、軟化点が150℃以上200℃以下である。本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂は、重量平均分子量が10,000以下であり、例えば、他の天然及び合成樹脂との十分な相溶性を有しており、軟化点が150℃以上と高いことに起因して、例えば、耐熱性に優れる。
【0045】
本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂は、例えば、キシレン樹脂がフェノール類によって変性したものをいう。キシレン樹脂としては、例えば、[本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂の製造方法]の項において例示した特定のキシレン樹脂(A)が挙げられ、フェノール類としては、例えば、[本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂の製造方法]の項において例示したフェノール類(B)が挙げられる。
【0046】
本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂は、例えば、フェノール類由来のフェノール類単位(X)とキシレン樹脂由来のキシレン単位(Y)とを含み、フェノール類単位(X)とキシレン単位(Y)とがリンカー(例えば、メチレン結合)を介して規則的又は不規則的に配列した構造を有している。ここで、フェノール類変性キシレン樹脂もまた、キシレン樹脂同様の理由により、その構造をさらに分析し、特定することは困難である。
【0047】
本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂は、フェノール類由来のフェノール類単位(X)に対する、キシレン樹脂由来のキシレン単位(Y)のモル比(Y/X)が0.05≦Y/X<1.3であることが好ましい。モル比(Y/X)0.05以上であることにより、相溶性をより一層向上できる傾向にあり、モル比(Y/X)が1.3未満であると、軟化点をより一層向上できる傾向にある。同様の観点から、モル比(Y/X)は、0.1<Y/X<1.2であることがより好ましく、0.2<Y/X<1.0であることがさらに好ましい。なお、Y/Xの測定方法は、1H-NMR又は13C-NMRにより測定できる。
【0048】
[軟化点]
本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂の軟化点は、150℃以上200℃以下(例えば、150℃以上190℃以下)である。本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂は、150℃以上もの高い軟化点を有するため、例えば、耐熱性に優れる。同様の観点から、軟化点は、好ましくは152℃以上(例えば、152℃以上190℃以下)、より好ましくは155℃以上(例えば、155℃以上185℃以下)、さらに好ましくは158℃以上(例えば、158℃以上180℃以下)である。
【0049】
[重量平均分子量]
本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおいて、ポリスチレン換算で、2,000以上10,000以下である。重量平均分子量が2,000以上であることにより、軟化点を十分に向上することができ、重量平均分子量が10,000以下であることにより、相溶性を十分に維持することができる。同様の観点から、好ましくは2500以上9500以下、より好ましくは3000以上9300以下、さらに好ましくは3500以上9100以下である。重量平均分子量は、例えば、後述の実施例に記載の方法により測定できる。
【0050】
[水酸基価]
本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂の水酸基価(mgKOH/g)は、200mgKOH/g以上350mgKOH/g以下であることが好ましく、205mgKOH/g以上340mgKOH/g以下であることがより好ましく、210mgKOH/g以上330mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。水酸基価が200mgKOH/g以上であることにより、相溶性及び接着特性(例えば、剥離接着強さ)がより一層向上する傾向にある。
【0051】
[用途]
本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂は、フェノール類変性キシレン樹脂特有の特性(例えば、相溶性)などを損なわず、高い軟化点を有しているため、例えば、耐熱性が要求される分野(例えば、電気及び電子部品の積層品、成形品、被覆材、封止材、粘接着剤、塗料の改質剤、好ましくは自動車部材、建材等に用いられる粘接着剤等)に好適に用いることができる。
【実施例
【0052】
以下に実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における各物性の算出方法は以下の通りである。
【0053】
[軟化点(℃)]
株式会社メイテック製品「環球式自動軟化点試験器ASP-MG2型」を用いて、JIS K-2207に準じて、各実施例1~4及び比較例1~4
で得られたp-tert-ブチルフェノール変性キシレン樹脂の軟化点を測定した。
【0054】
[水酸基価(mgKOH/g)]
各実施例1~4及び比較例1~4で得られたp-tert-ブチルフェノール変性キシレン樹脂の水酸基価(mgKOH/g)をピリジン溶媒中で、過剰量の無水酢酸によりアセチル化した。次に、アセチル化反応に消費されなかった余剰の無水酢酸を水酸化ナトリウム水溶液で滴定することにより、各p-tert-ブチルフェノール変性キシレン樹脂の水酸基価(mgKOH/g)求めた。
【0055】
[重量平均分子量]
各実施例1~4及び比較例1~4で得られたp-tert-ブチルフェノール変性キシレン樹脂の重量平均分子量を、以下の条件にて標準ポリスチレン換算にて算出した。
【0056】
(測定条件)
使用機器:
昭和電工株式会社製品「Shodex GPC system-11(カラム:LF804 3本)」
溶出溶媒:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流量:1.0ml/min
【0057】
[実施例1]
温度計及び攪拌機を備えた500mlセパラブルフラスコに、芳香環当たりの置換基数の平均値が2.0であるキシレン樹脂(キシレンホルムアルデヒド樹脂)(フドー株式会社製品、「ニカノールG」)91.1g(0.65mol)、p-tert-ブチルフェノール(DIC株式会社製品)115.5g(0.77mol)、パラホルムアルデヒド(三菱ガス化学株式会社製品、92%PFA)7.84g(0.24mol)、無水マレイン酸(日本触媒株式会社製品)0.40g、及びパラトルエンスルホン酸(和光純薬株式会社製品の特級試薬)0.064g(0.37mmol)を仕込んで90℃に加熱し、脱水しながら反応させ、最終的に210℃まで到達させた。反応時間は6時間であった。次に、尿素0.128g(東京化成工業株式会社)を添加して反応を停止し、p-tert-ブチルフェノール変性キシレン樹脂198gを得た。結果を表に示す。
【0058】
[実施例2]
パラホルムアルデヒド7.84gに代えて、ホルマリン(三菱ガス化学株式会社製品、HCHO40%、MeOH3%)22.5gを用いたこと、パラトルエンスルホン酸の仕込み量を0.064gから0.011gに代えたこと、さらには尿素の添加量を0.128gから0.023gに代えたこと以外は実施例1と同様にしてp-tert-ブチルフェノール変性キシレン樹脂197gを得た。
【0059】
[実施例3]
ニカノールGの仕込み量を91.1gから75.4g(0.54mol)に代えたこと、p-tert-ブチルフェノールの仕込み量を115.5gから125.5g(0.84mol)に代えたこと、パラホルムアルデヒドの仕込み量を7.84gから12.28g(0.38mol)に代えたこと、無水マレイン酸の仕込み量を0.40gから0.38gに代えたこと以外は実施例1と同様にしてp-tert-ブチルフェノール変性キシレン樹脂197gを得た。
【0060】
[実施例4]
ニカノールGの仕込み量を91.1gから55.0g(0.39mol)に代えたこと、p-tert-ブチルフェノールの仕込み量を115.5gから148.5g(0.99mol)に代えたこと、パラホルムアルデヒドの仕込み量を7.84gから22.57g(0.69mol)に代えたこと、パラトルエンスルホン酸の仕込み量を0.064gから0.068g(0.39mmol)に代えたこと、無水マレイン酸の仕込み量を0.40gから0.38gに代えたこと以外は実施例1と同様にしてp-tert-ブチルフェノール変性キシレン樹脂195gを得た。
【0061】
[実施例5]
ニカノールGの仕込み量を91.1gから5.50g(0.04mol)に代えたこと、パラホルムアルデヒドの仕込み量を7.84gから23.70g(0.73mol)に代えたこと、パラトルエンスルホン酸の仕込み量を0.064gから0.043g(0.25mmol)に代えたこと以外は実施例1と同様にしてp-tert-ブチルフェノール変性キシレン樹脂127gを得た。
【0062】
[比較例1]
ニカノールGの仕込み量を91.1gから130.0g(0.92mol)に代えたこと、p-tert-ブチルフェノールの仕込み量を115.5gから111.2g(0.74mol)に代えたこと、パラホルムアルデヒドを用いなかったこと、パラトルエンスルホン酸の仕込み量を0.064gから0.012gに代えたこと、無水マレイン酸の仕込み量を0.40gから0.39gに代えたこと、尿素の添加量を0.128gから0.024gに代えたこと以外は実施例1と同様にしてp-tert-ブチルフェノール変性キシレン樹脂223gを得た。
【0063】
[比較例2]
ニカノールGの仕込み量を91.1gから117.1g(0.83mol)に代えたこと、p-tert-ブチルフェノールの仕込み量を115.5gから100.0g(0.67mol)に代えたこと、パラホルムアルデヒドを用いなかったこと、パラトルエンスルホン酸の仕込み量を0.064gから0.005gに代えたこと、無水マレイン酸の仕込み量を0.40gから0.38gに代えたこと、尿素の添加量を0.128gから0.024gに代えたこと以外は実施例1と同様にしてp-tert-ブチルフェノール変性キシレン樹脂190gを得た。
【0064】
[比較例3]
ニカノールG91.1gに代えて、芳香環当たりの置換基数の平均値が1.7であるキシレン樹脂(キシレンホルムアルデヒド樹脂)97.5g(0.65mol)を用いたこと、パラホルムアルデヒドの仕込み量を7.84gから7.32g(0.22mol)に代えたこと以外は実施例1と同様にしてp-tert-ブチルフェノール変性キシレン樹脂204gを得た。
【0065】
[比較例4]
ニカノールG91.1gに代えて、芳香環当たりの置換基数の平均値が1.7であるキシレン樹脂(キシレンホルムアルデヒド樹脂)91.1g(0.60mol)を用いたこと、パラホルムアルデヒドの仕込み量を7.84gから8.70g(0.27mol)に代えたこと以外は実施例1と同様にしてp-tert-ブチルフェノール変性キシレン樹脂199gを得た。
【0066】
実施例1~5及び比較例1~4で得られたp-tert-ブチルフェノール変性キシレン樹脂について、各物性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0068】
本実施形態のフェノール類変性キシレン樹脂は、フェノール類変性キシレン樹脂特有の特性(例えば、相溶性)などを損なわず、高い軟化点を有しているため、例えば、耐熱性が要求される分野(例えば、電気及び電子部品の積層品、成形品、被覆材、封止材、粘接着剤、塗料の改質剤、好ましくは自動車部材、建材等に用いられる粘接着剤等)に好適に用いることができ、極めて有用である。