(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 15/196 20220101AFI20220308BHJP
【FI】
F24H1/00 602P
F24H1/00 602W
F24H1/00 602Y
(21)【出願番号】P 2017248862
(22)【出願日】2017-12-26
【審査請求日】2020-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山上 薫
(72)【発明者】
【氏名】辰村 俊也
(72)【発明者】
【氏名】西山 善朗
(72)【発明者】
【氏名】森川 健志
(72)【発明者】
【氏名】杉江 剛史
(72)【発明者】
【氏名】前田 恭大
(72)【発明者】
【氏名】岡田 英嗣
(72)【発明者】
【氏名】津川 明彦
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-8723(JP,A)
【文献】特開2017-187219(JP,A)
【文献】特開2017-125662(JP,A)
【文献】特開2015-200421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 15/196
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室を含む給湯先に接続される給湯回路と、前記浴室内の浴槽の湯水を加熱する追焚循環回路とを有する給湯器と、
前記浴室内の人の存在の有無を検知する人検知センサと、
通信端末および前記給湯器の間で双方向に通信するための通信手段とを備え、
前記通信端末は、給湯温度および前記浴槽の湯水の温度の少なくとも一方を変更するための温度変更指令を受け付けるように構成され、
前記通信手段は、前記人検知センサにより前記浴室内に人が不在であることが検知されているときには、前記通信端末からの前記温度変更指令を前記給湯器に転送する一方で、前記人検知センサにより前記浴室内に人が在室していることが検知されているときには、前記通信端末からの前記温度変更指令を拒絶する、給湯装置。
【請求項2】
前記通信手段は、前記通信端末からの前記温度変更指令を拒絶した場合には、前記通信端末に前記温度変更指令の拒絶を報知する、請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
前記通信手段は、前記給湯器および前記人検知センサと通信するとともに、前記通信端末と無線通信するように構成されたリモコンを含み、
前記リモコンは、前記通信端末からの前記温度変更指令を受信した場合において、前記人検知センサにより前記浴室内に人が在室していることが検知されているときには、前記給湯器に前記温度変更指令を転送しない、請求項1または2に記載の給湯装置。
【請求項4】
前記通信手段は、
前記給湯器および前記人検知センサと通信するように構成されたリモコンと、
前記リモコンと前記通信端末との間で無線通信するためのサーバとを含み、
前記サーバは、前記通信端末からの前記温度変更指令を受信した場合において、前記人検知センサにより前記浴室内に人が在室していることが検知されているときには、前記リモコンに前記温度変更指令を転送しない、請求項1または2に記載の給湯装置。
【請求項5】
前記サーバは、前記リモコンに前記温度変更指令を転送しない場合には、前記温度変更指令の拒絶を前記通信端末および前記リモコンに報知する、請求項4に記載の給湯装置。
【請求項6】
浴室を含む給湯先に接続される給湯回路と、前記浴室内の浴槽の湯水を加熱する追焚循環回路とを有する給湯器と、
前記浴室内の人の存在の有無を検知する人検知センサと、
給湯温度および前記浴槽の湯水の温度の少なくとも一方を変更するための温度変更指令を受け付けるように構成された通信端末と、
前記通信端末および前記給湯器の間で双方向に通信するための通信手段とを備え、
前記通信手段は、前記人検知センサにより検知された前記浴室内の人の存在の有無を示す情報を前記通信端末に伝送するように構成され、
前記通信端末は、前記人検知センサにより前記浴室内に人が不在であることが検知されているときには、前記温度変更指令を前記給湯器に転送する一方で、前記温度変更指令が入力された場合において、前記人検知センサにより前記浴室内に人が存在していることが検知されているときには、前記通信手段に前記温度変更指令を転送しない、給湯装置。
【請求項7】
前記通信端末は、前記通信手段に前記温度変更指令を転送しない場合には、前記温度変更指令の拒絶を前記通信端末のユーザに報知する、請求項6に記載の給湯装置。
【請求項8】
前記通信端末は、前記通信手段に前記温度変更指令を転送しない場合には、前記温度変更指令の拒絶を前記通信手段に報知する、請求項6または7に記載の給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置に関し、特に、遠隔操作機能を備えた給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末などの通信端末によって、宅内の給湯器を遠隔操作することができる遠隔操作機能を備えた給湯装置が公知である。たとえば、特開2015-156598号公報(特許文献1)には、通信端末から公衆回線を経由して送信される遠隔操作信号を通信処理装置が受け付けて、給湯器のコントローラに対し、遠隔操作信号に基づく制御指令を出力する構成が記載されている。これによれば、外部からの遠隔操作信号に基づいて給湯器を動作させることができるため、ユーザの利便性を高めることができる。
【0003】
しかしながら、一方で、誤った遠隔操作によって、ユーザが意図しない給湯器の動作が行なわれてしまうことが懸念される。たとえば、入浴者がシャワー等を使用している場合に、宅外から給湯温度または風呂温度を変更する遠隔操作がなされると、不意の温度変更により入浴者に人に違和感や不快感を与えるおそれがある。
【0004】
このような不具合を防止する対策として、たとえば、特開2016-8723号公報(特許文献2)には、入浴者が浴室リモコンを操作して、浴室優先モード(=浴室外リモコンによる給湯設定温度の変更を禁止するモード)を設定している場合には、宅外の通信端末における給湯設定温度の変更操作を受け付け不可とする構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-156598号公報
【文献】特開2016-8723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、浴室優先モードを有しない給湯装置に対しては、上記の対策は無効である。また、浴室優先モードを有する給湯装置であっても、入浴者が浴室優先モードに設定し忘れている場合には、不具合を防止することができない。
【0007】
この発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、遠隔操作機能を備えた給湯装置において、遠隔操作に基づいた不意の温度変更を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のある局面によれば、給湯装置は、給湯器と、浴室内の人の存在の有無を検知する人検知センサと、通信端末および給湯器の間で双方向に通信するための通信手段とを備える。給湯器は、浴室を含む給湯先に接続される給湯回路と、浴室内の浴槽の湯水を加熱する追焚循環回路とを有する。通信端末は、給湯温度および浴槽の湯水の温度の少なくとも一方を変更するための温度変更指令を受け付けるように構成される。通信手段は、人検知センサにより浴室内に人が不在であることが検知されているときには、通信端末からの温度変更指令を給湯器に転送する。一方で、人検知センサにより浴室内に人が在室していることが検知されているときには、通信手段は、通信端末からの温度変更指令を拒絶する。
【0009】
上記給湯装置によれば、浴室に人が在室していることが判定されているときには、通信端末からの温度変更指令を拒絶する、すなわち、温度変更指令を受け付けない構成とすることで、浴室内の人の意図しない給湯温度および風呂温度の変更が禁止される。これにより、浴室内の人に違和感や不快感を与えることを防止することができる。
【0010】
さらに、上記給湯装置では、入退室情報に基づいて温度変更指令の実行可否を判定する構成としたことにより、浴槽に人が入浴している最中の意図しない温度変更だけでなく、浴槽から出た人が浴室内で身体を洗っているときの意図しない温度変更も回避することができる。
【0011】
好ましくは、通信手段は、通信端末からの温度変更指令を拒絶した場合には、通信端末に温度変更指令の拒絶を報知する。これによると、通信端末は、報知を示すメッセージを画面表示または音声によって出力することで、温度変更指令の実行が禁止されたことを通信端末のユーザに知らせることができる。
【0012】
好ましくは、通信手段は、給湯器および人検知センサと通信するとともに、通信端末と無線通信するように構成されたリモコンを含む。リモコンは、通信端末からの温度変更指令を受信した場合において、人検知センサにより浴室内に人が在室していることが検知されているときには、給湯器に温度変更指令を転送しない。
【0013】
このように構成すると、リモコンによって浴室内の人の意図しない給湯温度および風呂温度の変更が禁止されるため、浴室内の人に違和感や不快感を与えることを防止することができる。また、リモコンは、宅外の通信端末からの温度変更指令が拒絶されたことを、宅内のユーザに知らせることができる。
【0014】
好ましくは、通信手段は、給湯器および人検知センサと通信するように構成されたリモコンと、リモコンと通信端末との間で無線通信するためのサーバとを含む。サーバは、通信端末からの温度変更指令を受信した場合において、人検知センサにより浴室内に人が在室していることが検知されているときには、リモコンに温度変更指令を転送しない。
【0015】
このように構成すると、サーバによって浴室内の人の意図しない給湯温度および風呂温度の変更が禁止されるため、浴室内の人に違和感や不快感を与えることを防止することができる。
【0016】
好ましくは、サーバは、リモコンに温度変更指令を転送しない場合には、温度変更指令の拒絶を通信端末およびリモコンに拒絶を報知する。これによると、サーバが温度変更指令を拒絶した場合においても、リモコンは、宅外の通信端末からの温度変更指令が拒絶されたことを、宅内のユーザに知らせることができる。
【0017】
この発明の別の局面によれば、給湯装置は、給湯器と、浴室内の人の存在の有無を検知する人検知センサと、通信端末と、通信端末および給湯器の間で双方向に通信するための通信手段とを備える。給湯器は、浴室を含む給湯先に接続される給湯回路と、浴室内の浴槽の湯水を加熱する追焚循環回路とを有する。通信端末は、給湯温度および浴槽の湯水の温度の少なくとも一方を変更するための温度変更指令を受け付けるように構成される。通信手段は、人検知センサにより検知された浴室内の人の存在の有無を示す情報を通信端末に伝送するように構成される。通信端末は、人検知センサにより浴室内に人が不在であることが検知されているときには、温度変更指令を給湯器に転送する一方で、温度変更指令が入力された場合において、人検知センサにより前記浴室内に人が存在していることが検知されているときには、通信手段に前記温度変更指令を転送しない。
【0018】
このように構成すると、通信端末によって浴室内の人の意図しない給湯温度および風呂温度の変更が禁止されるため、浴室内の人に違和感や不快感を与えることを防止することができる。
【0019】
好ましくは、通信端末は、通信手段に温度変更指令を転送しない場合には、温度変更指令の拒絶を通信端末のユーザに報知する。これによると、温度変更指令の実行が禁止されたことを通信端末のユーザに知らせることができる。
【0020】
好ましくは、通信端末は、通信手段に温度変更指令を転送しない場合には、温度変更指令の拒絶を通信手段に報知する。これによると、通信端末が温度変更指令を拒絶した場合においても、リモコンは、宅外の通信端末からの温度変更指令が拒絶されたことを、宅内のユーザに知らせることができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、遠隔操作機能を備えた給湯装置において、遠隔操作に基づいた不意の温度変更を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る給湯装置の構成を説明する概略図である。
【
図2】本実施の形態1に係る給湯装置の構成を示す概略図である。
【
図3】本実施の形態1に係る給湯装置が有する遠隔操作機能を説明するための機能ブロック図である。
【
図4】携帯端末がユーザの温度変更指令を受け付けた場合における給湯装置(主に台所リモコン)の動作を説明するための状態フロー図である。
【
図5】携帯端末がユーザの温度変更指令を受け付けた場合における給湯装置(主に台所リモコン)の動作を説明するための状態フロー図である。
【
図6】携帯端末がユーザの温度変更指令を受け付けた場合における給湯装置(主に台所リモコン)の動作を説明するための状態フロー図である。
【
図7】
図4から
図6で示した台所リモコンの動作を説明するためのフローチャートである。
【
図8】携帯端末がユーザの温度変更指令を受け付けた場合における給湯装置(主にサーバ)の動作を説明するための状態フロー図である。
【
図9】携帯端末がユーザの温度変更指令を受け付けた場合における給湯装置(主にサーバ)の動作を説明するための状態フロー図である。
【
図10】携帯端末がユーザの温度変更指令を受け付けた場合における給湯装置(主に携帯端末)の動作を説明するための状態フロー図である。
【
図11】携帯端末がユーザの温度変更指令を受け付けた場合における給湯装置(主に携帯端末)の動作を説明するための状態フロー図である。
【
図12】携帯端末がユーザの温度変更指令を受け付けた場合における給湯装置(主に携帯端末)の動作を説明するための状態フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一の符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
【0024】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る給湯装置の構成を説明する概略図である。本実施の形態1に係る給湯装置100は、遠隔操作機能を有している。本願明細書において、遠隔操作機能とは、通信端末から公衆網を経由して給湯装置100に運転指令を与えることにより、給湯装置100を遠隔操作する機能を意味する。
【0025】
図1を参照して、給湯装置100は、給湯器10と、リモートコントローラ20,30とを備える。給湯器10は、ガス等の燃料燃焼式またはヒートポンプ式で構成され、温水を供給する。給湯器10からの温水は、図示しない給湯配管を経由して、浴槽、シャワー、カラン、浴室暖房乾燥機等へ供給される。
【0026】
給湯器10に対する運転指令は、リモートコントローラ20,30によって入力される。リモートコントローラ20は通信線21によって給湯器10と接続されている。リモートコントローラ30は通信線31によって給湯器10と接続されている。通信線21,31には、たとえば2心通信線が用いられる。なお、給湯器10およびリモートコントローラ20,30間の通信は、公知のいかなる規格に従ったものであってもよく、また、有線であっても無線であってもよい。
【0027】
リモートコントローラ20は、浴室の外部であって、例えば、台所の壁面に配設される。以下では、リモートコントローラ20を「台所リモコン20」とも称する。台所リモコン20は、給湯器10の運転を入り切りするための運転スイッチ22と、操作スイッチ23と、表示部25とを含む。運転スイッチ22および操作スイッチ23は、代表的には、プッシュボタンまたはタッチボタンによって構成することができる。表示部25は、代表的には、液晶パネルによって構成することができる。
【0028】
リモートコントローラ30は、浴室の壁面に配設される。以下では、リモートコントローラ30を「浴室リモコン30」とも称する。浴室リモコン30は、運転スイッチ32と、操作スイッチ33と、表示部35とを含む。運転スイッチ32および操作スイッチ33は、代表的には、プッシュボタンまたはタッチボタンによって構成することができる。表示部35は、代表的には、液晶パネルによって構成することができる。
【0029】
台所リモコン20は、無線通信による通信経路51によってルータ40と通信可能に構成されている。ルータ40は、ネットワーク45(インターネット)を経由してサーバ50とアクセス可能に構成されている。したがって、台所リモコン20は、ルータ40を経由して、サーバ50との間で双方向に通信することができる。
【0030】
携帯端末41Aは、無線通信による通信経路52Aによってサーバ50とアクセス可能に構成されている。携帯端末41Aは、代表的には、スマートフォンを用いることができる。携帯端末41Aとしてスマートフォンを用いる場合、基地局53を経由してネットワーク45に接続することによって、サーバ50にアクセスすることができる。これにより、携帯端末41Aは、サーバ50およびルータ40を経由して、台所リモコン20との間で双方向に通信することができる。
【0031】
ルータ40は、さらに、無線通信による通信経路52Bを経由して携帯端末41Bとアクセス可能に構成されている。携帯端末41Bは、代表的には、スマートフォンを用いることができる。携帯端末41Bは、ルータ40を経由して、台所リモコン20との間で双方向に通信することができる。
【0032】
本実施の形態1に係る給湯装置100は、後述するように、携帯端末41Aまたは41Bから公衆網を経由して給湯装置100に運転指令を与えることにより、給湯器10を遠隔操作することができるように構成される。携帯端末41A,41Bは「通信端末」の一実施例に対応する。
【0033】
図2は、本実施の形態1に係る給湯装置100の構成を示す概略図である。
図2を参照して、本実施の形態1に係る給湯装置100は、給湯器10を備える。風呂装置用浴槽(以下、単に「浴槽」と称す)62は、浴室60に設置され、かつ人M(入浴者)が入浴するための浴槽である。本実施の形態の給湯器10は、浴槽62に湯水64を供給可能なものである。
【0034】
給湯器10は、筐体1、バーナ2(燃焼部)、ファン3、熱交換器4、給水配管5、給湯配管6、混合弁7、循環路8、温度センサ9,17、ポンプ16、水位センサ11、コントローラ12、二方弁13、電気配線14、スイッチ15および人検知センサ36を備える。
【0035】
筐体1は、筐体1内外に連通するように設けられ、燃焼ガスを排気するための排気口1aを有している。筐体1は、バーナ2、ファン3、熱交換器4、給水配管5、給湯配管6、混合弁7、温度センサ9、ポンプ16、水位センサ11、コントローラ12および、二方弁13を収容可能に構成されている。また、筐体1は、循環路8の一部を収容可能に構成されている。
【0036】
バーナ2は、図示しない燃料供給系から燃料ガスの供給を受けて燃焼動作するように構成される。バーナ2は、燃焼ガスを熱交換器4に供給する。バーナ2は、給湯用のバーナ2aと、追焚用のバーナ2bとを有する。
【0037】
熱交換器4は、給湯用の熱交換器4aと、追焚用の熱交換器4bとを有する。熱交換器4a,4bは、それぞれ、給湯器10の高さ方向においてバーナ2a,2bよりも上方に配置されている。熱交換器4a,4bは、排気口1aの近傍に配置されている。
【0038】
熱交換器4aは、バーナ2aによって供給された燃焼ガスの熱を回収する。熱交換器4bは、バーナ2bによって供給された燃焼ガスの熱を回収する。熱交換器4a,4bの各々は、バーナ2の燃焼ガスの顕熱(燃焼熱)により入水を熱交換によって加熱する、一次熱交換器と、バーナ2からの燃焼排ガスの潜熱によって通流された水を熱交換によって加熱する、二次熱交換器とを含んでいてもよい。
【0039】
熱交換器4aの一方端に給水配管5が接続されており、他方端に給湯配管6が接続されている。給水配管5は、入水口5aから熱交換器4aに水道水等を給水する。給湯配管6は、熱交換器4aから出湯口6aに熱交換器4で加熱された湯水を給湯する。これにより、給水配管5から給水された水道水等は、熱交換器4aによって所定温度(たとえば、ユーザによる設定温度)まで加熱されて給湯配管6から出湯される。給湯配管6に出湯された湯は、台所や浴室60等の給湯栓(図示せず)または戻り配管8aなどの所定の給湯箇所に給湯される。なお、給水配管5と給湯配管6とは混合弁7に接続されている。
【0040】
温度センサ17は、給湯配管6に設けられ、混合弁7からの水が混合された後の出湯温度(以下、「給湯温度」とも称す)を検知する。温度センサ17は、たとえばサーミスタである。
【0041】
ファン3は、バーナ2に燃焼用の空気を供給する。ファン3は、バーナ2aに燃焼用の空気を供給するファン3aと、バーナ2bに燃焼用の空気を供給するファン3bとを有する。ファン3a,3bの各々は、羽根と、羽根を回転させるためのモータとを有しており、モータに電流が印加されることにより羽根が回転して燃焼用の空気を供給するように構成されている。ファン3a,3bは、それぞれ、給湯器10の高さ方向においてバーナ2a,2bの下方に配置されている。
【0042】
循環路8は、浴槽62に接続された状態で浴槽62の湯水64を循環するためのものであり、戻り配管8aおよび往き配管8bを有する。戻り配管8aは熱交換器4bの入力側と接続されており、往き配管8bは熱交換器4bの出力側と接続されている。
【0043】
戻り配管8aは、浴槽62から熱交換器4bに湯水64を供給する。往き配管8bは、熱交換器4bから浴槽62に、熱交換器4bで暖められた湯水64を供給する。これにより、浴槽62から熱交換器4bに供給された湯水64は、熱交換器4bを通流する際に燃焼ガスによって加熱されて再び浴槽62に供給される。
【0044】
戻り配管8aには、温度センサ9、ポンプ16および水位センサ11が接続されている。戻り配管8aと給湯配管6とは二方弁13に接続されている。二方弁13は、給湯配管6から湯水を戻り配管8aに供給するように構成されている。二方弁13を開くことにより、給湯配管6から戻り配管8aを経由して、所定温度に加熱された湯が浴槽62に導入される。
【0045】
温度センサ9は、循環路8内の湯水64の温度を検知することによって、浴槽62内の湯水64の温度(以下、「風呂温度」とも称す)を検知する。温度センサ9は、たとえばサーミスタである。
【0046】
ポンプ16は、浴槽62および循環路8に湯水を循環させる。ポンプ16が作動すると、浴槽62からの湯水64は、戻り配管8a、熱交換器4bおよび往き配管8bを経由して、浴槽62へ至る経路を循環する。これにより、浴槽62と熱交換器4bとの間に湯水64を循環ざせる「追焚循環回路」が形成される。
【0047】
水位センサ11は、循環路8を循環する湯水64の水圧に基づいて、浴槽62の湯水64の水位を検知する。水位センサ11は、たとえば圧力センサである。本実施の形態では、水位センサ11は、人Mが浴槽62に入ったこと(入浴したこと)を検知するための入浴センサを兼ね備えている。
【0048】
コントローラ12は、台所リモコン20および浴室リモコン30からのユーザの入力設定操作に基づき、給湯装置100がユーザ指示に従って運転されるように、給湯器10の動作を制御する。たとえば、コントローラ12は、マイクロコンピュータおよびメモリを含んで構成することができる。
【0049】
コントローラ12は、バーナ2a,2b、ファン3a,3b、温度センサ9,17、ポンプ16、水位センサ11、二方弁13、電気配線14およびスイッチ15と電気的に接続されている。電気配線14は、図示しない電源に接続されることにより、コントローラ12に電力を供給するように構成されている。コントローラ12は、浴室リモコン30および台所リモコン20と通信可能に接続されている。なお、これらの機器間の通信は、公知のいかなる規格に従ったものであってもよく、また、有線であっても無線であってもよい。
【0050】
スイッチ15は、水位センサ11を駆動させる。人検知センサ36が人Mが浴室60に入室したことを検知した場合にスイッチ15が導通(オン)状態にされ、人検知センサ36が人Mが浴室60から退室したことを検知した場合にスイッチ15が遮断(オフ)状態にされるように構成されている。水位センサ11は、スイッチ15がオン状態のときに駆動されて浴槽62の湯水64の水位を検知し、検知した水位を示す信号をコントローラ12に出力する。
【0051】
浴室リモコン30は、浴室60の壁面に設置されている。浴室リモコン30の表示部35は、浴槽62の湯水64の水位および温度を表示することができる。操作スイッチ33は、浴槽62の湯水64の水位および温度に関する設定操作を受け付けることができる。
【0052】
台所リモコン20は、浴室60の外部(例えば、台所の壁面)に設置されている。台所リモコン20の表示部25は、設定給湯温度および浴槽62の湯水64の温度などを表示することができる。操作スイッチ23は、給湯器10の運転に関する設定操作を受け付けることができる。
【0053】
人検知センサ36は、浴室60の内部に設置されており、浴室60内の人Mの存在の有無を検知するように構成されている。人検知センサ36は、たとえば焦電型赤外線センサである。焦電型赤外線センサは、物体の動作等によって視野内に熱エネルギーの変化が生じたときに検知信号を発生する。このため、浴室60内で人が動くと、これに応じて検知信号が発生される。人検知センサ36は、浴室リモコン30のケースに内蔵されて、ケースに設けられた開口部から浴室60内を視野内に収めるように配置される。人検知センサ36は、焦電型赤外線センサに限定されず、たとえば、電波センサおよび超音波センサであってもよい。
【0054】
また、人検知センサ36は、たとえば、浴室60の天井に設置された浴室暖房機(図示せず)のケースに設けられてもよい。あるいは、人検知センサ36は、たとえば、浴室60の照明のスイッチのように、入室時に人Mが操作するスイッチであってもよい。
【0055】
図3は、本実施の形態1に係る給湯装置100が有する遠隔操作機能を説明するための機能ブロック図である。
【0056】
図3を参照して、給湯器10は、コントローラ12および通信部18を有する。コントローラ12は、マイクロコンピュータ、メモリおよび図示しないCPU(Central Processing Unit)および入出力インターフェイスを内蔵する。通信部18は、通信線21,31を用いた通信機能を有する。コントローラ12は、台所リモコン20および浴室リモコン30へ入力されたユーザ指令に従って、給湯器10の動作を制御する。代表的には、コントローラ12によって、給湯器10からの給湯温度が制御される。
【0057】
台所リモコン20は、運転スイッチ22および操作スイッチ23と、表示部25と、制御部26と、通信部27,28とを有する。制御部26は、マイクロコンピュータおよびメモリを含んで構成することができる。通信部28は、通信線21を用いた通信機能を有する。通信部27は、たとえば、無線LAN(Local Area Network)モジュールにより構成され、ルータ40を経由した通信経路51によってサーバ50にアクセスすることが可能である。
【0058】
浴室リモコン30は、運転スイッチ32および操作スイッチ33と、表示部35と、人検知センサ36と、制御部37と、通信部38とを有する。制御部37は、マイクロコンピュータおよびメモリを含んで構成することができる。通信部38は、通信線31を用いた通信機能を有する。したがって、給湯器10、台所リモコン20および浴室リモコン30の各々は、通信部31,28,38および通信線21,31を用いて、互いに双方向に通信することができる。
【0059】
上記構成において、給湯器10のコントローラ12は、浴室リモコン30に内蔵される人検知センサ36から送信される検知信号を、通信部38、通信線31および通信部18を経由して受信する。コントローラ12は、人検知センサ36から送信される検知信号に基づいて、浴室60内に人が在室しているか、あるいは不在であるかを判定する。たとえば、人検知センサ36が焦電型赤外線センサである場合には、コントローラ12は、周囲の温度状況から熱エネルギーの変化があったときに浴室60に人が入室したものと判定する。また、コントローラ12は、所定時間継続して熱エネルギーの変化がない場合に浴室60から人が退室したものと判定する。
【0060】
コントローラ12は、また、水位センサ11から送信される検知信号に基づいて、人が浴槽62に入ったか(入浴したか)、あるいは、人が浴槽62から出たか(退浴したか)を判定する。具体的には、コントローラ12は、浴槽62に対する注水等が無いにもかかわらず、水位センサ11が浴槽62の水位の上昇を検知した場合、人が浴槽62に入った(すなわち、人が入浴した)と判定する。また、人が入浴したと判定した後に、水位センサ11が浴槽62の水位の低下を検知した場合、人が浴槽62から出た(すなわち、人が退浴した)と判定する。
【0061】
コントローラ12は、また、温度センサ9により検知される戻り配管8aを流れる湯水64の温度に基づいて、浴槽62の湯水64の温度(風呂温度)を判定する。
【0062】
コントローラ12は、これらの判定結果に基づいて、二方弁13、バーナ2a,2b、ファン3a,3bおよびポンプ16の動作を制御する。具体的には、コントローラ12は、水位センサ11の検知信号により判定される浴槽62の水位が設定水位になるように二方弁13を動作させて給湯配管6から湯水64を浴槽62に供給する。また、コントローラ12は、人検知センサ36の検知信号により浴室60への人の入室が判定されたときには、温度センサ9の検知信号から判定される風呂温度が設定温度になるようにバーナ2a、ファン3aおよびポンプ16を動作させて湯水64を加熱する。また、コントローラ12は、人検知センサ36の検知信号により浴室60からの人の退室が判定されたときには、バーナ2a、ファン3aおよびポンプ16を停止させる。
【0063】
コントローラ12は、さらに、浴室60内に人が在室しているか不在であるかを示す情報(以下、「入退室情報」とも称す)、浴槽62に人が入浴したか退浴したかを示す情報(以下、「入退浴情報」とも称する)、給湯温度を示す情報(以下、「給湯温度情報」とも称す)、および風呂温度を示す情報(以下、「風呂温度情報」とも称す)を、通信部18から通信線21および通信部28を経由して、台所リモコン20の制御部26に向けて送信する。
【0064】
台所リモコン20の制御部26は、コントローラ12から受信した入退室情報、入退浴情報、給湯温度情報および風呂温度情報を、通信部27からルータ40を経由してサーバ50にアップロードすることができる。
【0065】
携帯端末41Aは、サーバ50へのアクセス機能を有する。したがって、携帯端末41Aは、通信経路52A、基地局53、ネットワーク45、サーバ50、ルータ40および通信経路51および通信部27を用いて、台所リモコン20と双方向に通信することができる。たとえば、携帯端末41Aは、サーバ50にアクセスすることによって、サーバ50に蓄積されている入退室情報、入退浴情報、給湯温度情報および風呂温度情報を取得することができる。
【0066】
携帯端末41Bは、ルータ40を経由した通信経路52B,51および通信部27を用いて、台所リモコン20と双方向に通信することができる。したがって、携帯端末41Bは、台所リモコン20から、入退室情報、入退浴情報、給湯温度情報および風呂温度情報を取得することができる。携帯端末41A,41Bは、取得した情報を画面に表示させることができる。
【0067】
携帯端末41A,41Bは、さらに、ユーザからの給湯器10の運転指令を受け付けることができる。たとえば、ユーザはスマートフォンの画面操作により給湯器10の運転指令を入力することができる。なお、携帯端末41A,41Bが受け付ける運転指令には、給湯温度または風呂温度を変更するための指令(以下、「温度変更指令」とも称す)が含まれる。したがって、ユーザは、たとえば外出先から携帯端末41A,41Bを用いて、給湯温度および風呂温度を遠隔的に変更することができる。
【0068】
携帯端末41Aへ入力されたユーザ指令は、サーバ50にアップロードされる。台所リモコン20は、サーバ50からユーザ指令をダウンロードすると、そのユーザ指令を給湯器10のコントローラ12に転送する。
【0069】
携帯端末41Bへ入力されたユーザ指令は、ルータ40を経由して台所リモコン20に伝送される。台所リモコン20は、受信したユーザ指令を給湯器10のコントローラ12に転送する。
【0070】
コントローラ12は、転送されたユーザ指令に従って、給湯器10の動作を制御する。具体的には、給湯温度を上げる温度変更指令が与えられた場合、コントローラ12は、温度センサ17により検知される給湯温度が、温度変更指令が指示する給湯設定温度に一致するように、バーナ2aの発生熱量を制御する。一方、給湯温度を下げる温度変更指令が与えられた場合には、コントローラ12は、温度センサ17により検知される給湯温度が、温度変更指令が指示する給湯設定温度に一致するように、混合弁7の開度を制御する。
【0071】
また、風呂温度を上げる温度変更指令が与えられた場合には、コントローラ12は、浴槽62内の湯水64を循環加熱する追焚運転を実行する。コントローラ12は、ポンプ16を作動させて追焚循環回路に湯水64を循環させることにより、湯水64を昇温する。温度センサ9により検知される風呂温度が、温度変更指令が指示する風呂設定温度に達すると、コントローラ12は追焚運転を停止する。
【0072】
一方、風呂温度を下げる温度変更指令が与えられた場合には、コントローラ12は、バーナ2a,2bが停止された下で二方弁13を開くことにより、給湯配管6から戻り配管8aを経由して、非加熱水を浴槽62に導入する足し水運転を実行する。温度センサ9により検知される風呂温度が、温度変更指令が指示する風呂設定温度に達すると、コントローラ12は足し水運転を停止する。
【0073】
なお、本願明細書における「温度変更指令」には、給湯温度および風呂温度の変更指令に加えて、「追焚運転指令」および「足し水運転指令」を含めることができる。追焚運転指令は、追焚運転が指示された時点での風呂温度を所定温度だけ高い温度に上昇させるための指令である。すなわち、本願明細書における「温度変更指令」は、給湯温度または風呂温度の変更に繋がる運転指令を含むものである。
【0074】
以上説明したように、本実施の形態1に係る給湯装置100によれば、ユーザは、携帯端末41A,41Bを用いて給湯器10を遠隔操作することができる。この遠隔操作には、給湯温度および風呂温度の変更が含まれる。
【0075】
しかしながら、
図1に示すように、浴室60内で人が入浴している状況において、給湯器10の遠隔操作がなされることで、人が予期しないタイミングで給湯温度または風呂温度が変更される場合が起こり得る。たとえば、浴室60内で人がシャワーを浴びている最中に遠隔操作によって給湯温度が変更されると、人に違和感、場合によっては不快感を与える可能性がある。人が入浴中に遠隔操作によって風呂温度が変更されることによっても同様のことが言える。
【0076】
そこで、本実施の形態1に係る給湯装置100では、浴室60に人が在室していることが判定されているときには、携帯端末41A,41Bからの温度変更指令を受け付けない、すなわち、温度変更指令を拒絶する構成とする。これによると、浴室60内の人の意図しない給湯温度および風呂温度の変更が禁止されることになるため、人に違和感や不快感を与えることを防止することができる。
【0077】
以下、携帯端末41A,41Bから温度変更指令が入力された場合における給湯装置100の動作について説明する。
【0078】
図4および
図5は、携帯端末41Aがユーザの温度変更指令を受け付けた場合における給湯装置100の動作を説明するための状態フロー図である。
【0079】
図4を参照して、給湯器10は、水位センサ11の検知信号に基づいた入退浴情報を台所リモコン20に送信する。浴室リモコン30は、人検知センサ36の検知信号に基づいた入退室情報を給湯器10および台所リモコン20に送信する。
【0080】
台所リモコン20は、受信した入退浴情報および入退室情報をサーバ50にアップロードする。
図4では、入退浴情報は、浴槽62から人が退浴していることを示し、入退室情報は、浴室60に人が不在であることを示すものとする。
【0081】
携帯端末41Aは、ユーザの温度変更指令が入力されると、温度変更指令をサーバ50にアップロードする。
【0082】
台所リモコン20は、サーバ50から温度変更指令をダウンロードすると、入退室情報に基づいて、温度変更指令を実行することができるか否かを判定する。
図4の例では、浴室60内に人が不在であるため、給湯温度および風呂温度を変更しても、人に違和感や不快感を与える可能性がないと判断される。したがって、台所リモコン20は、温度変更指令を実行可能であると判定する。
【0083】
温度変更指令が実行可能であると判定されると、台所リモコン20は、温度変更指令を給湯器10へ転送する。給湯器10のコントローラ12は、温度変更指令を受信すると、温度変更指令に従って給湯器10の動作を制御する。
【0084】
これに対して、
図5では、入退浴情報は、浴槽62から人が入浴していることを示し、入退室情報は、浴室60に人が在室していることを示すものとする。
図5の例では、浴室60内に人が在室しているため、給湯温度および風呂温度を変更すると、人に違和感や不快感を与える可能性があると判断される。したがって、台所リモコン20は、温度変更指令を実行不可能であると判定する。
【0085】
温度変更指令が実行不可能であると判定されると、台所リモコン20は、温度変更指令に基づいた温度変更を禁止する。したがって、台所リモコン20は、温度変更指令を給湯器10に転送しない。台所リモコン20は、表示部25を用いて、宅内のユーザに宅外からの温度変更指令が拒絶された旨を報知することができる。台所リモコン20は、さらに、サーバ50を経由して、携帯端末41Aに向けて温度変更指令が拒絶された旨を報知することができる。
【0086】
携帯端末41Aは、台所リモコン20からの報知を受けると、報知を示すメッセージを画面表示または音声によって出力することで、温度変更指令の実行が禁止されたことをユーザに知らせることができる。
【0087】
図6は、携帯端末41Bがユーザの温度変更指令を受け付けた場合における給湯装置100の動作を説明するための状態フロー図である。
【0088】
給湯器10は、水位センサ11の検知信号に基づいた入退浴情報を台所リモコン20に送信する。浴室リモコン30は、人検知センサ36の検知信号に基づいた入退室情報を給湯器10および台所リモコン20に送信する。
【0089】
台所リモコン20は、受信した入退浴情報および入退室情報をルータ40を経由して携帯端末41Bに伝送することができる。
図6では、入退浴情報は、浴槽62から人が入浴していることを示し、入退室情報は、浴室60に人が在室していることを示すものとする。
【0090】
携帯端末41Bは、ユーザの温度変更指令が入力されると、温度変更指令をルータ40を経由して台所リモコン20へ送信する。
【0091】
図6の例では、浴室60内に人が在室しているため、
図5と同様に、台所リモコン20は、温度変更指令を実行不可能であると判定する。したがって、台所リモコン20は、温度変更指令に基づいた温度変更を禁止し、温度変更指令を給湯器10に転送しない。台所リモコン20は、表示部25を用いて、宅内のユーザに宅外からの温度変更指令が拒絶された旨を報知することができる。台所リモコン20は、さらに、ルータ40を経由して、携帯端末41Bに向けて温度変更指令が拒絶された旨を報知することができる。
【0092】
携帯端末41Bは、台所リモコン20からの報知を受けると、報知を示すメッセージを画面表示または音声によって出力することで、温度変更指令の実行が禁止されたことをユーザに知らせることができる。
【0093】
図4から
図6では、台所リモコン20が、携帯端末41A,41Bからの温度変更指令を実行可能か否かを判定し、実行不可能である場合に温度変更を禁止する主体となる構成について説明した。台所リモコン20の動作は、
図7のフローチャートで表すことができる。
図7のフローチャートは、台所リモコン20の制御部26により所定の周期で繰り返し実行される。
【0094】
図7を参照して、台所リモコン20の制御部26は、ステップS01により、浴室リモコン30から入退室情報を受信する。制御部26は、さらに、ステップS02により、給湯器10から入退浴情報を受信する。
【0095】
制御部26は、ステップS03により、携帯端末41A,41Bからの温度変更指令を受信したか否かを判定する。携帯端末41A,41Bのいずれもから温度変更指令を受信していないと判定されると(S03のNO判定時)、制御部26は処理を終了する。
【0096】
一方、ステップS03にて携帯端末41A,41Bのいずれかからの温度変更指令を受信したと判定されると(S03のYES判定時)、制御部26は、ステップS04に進み、入退室情報に基づいて、浴室60内に人が在室しているか否かを判定する。浴室60内に人が不在である場合(S04のNO判定時)、制御部26は、温度変更指令を実行可能であると判断して、ステップS05により、温度変更指令を給湯器10に転送する。
【0097】
一方、浴室60内に人が在室している場合(S04のYES判定時)、制御部26は、温度変更指令を実行不可能であると判断して、ステップS06により、温度変更指令に基づく温度変更を禁止する。制御部26は、ステップS07により、サーバ50を経由して、温度変更指令を送信した携帯端末に対して、温度変更指令が実行不可能である旨を報知する。
【0098】
以上説明したように、実施の形態1に係る給湯装置100によれば、浴室60に人が在室していることが判定されているときには、携帯端末41A,41Bからの温度変更指令が拒絶されるため、浴室内の人の意図しない給湯温度および風呂温度の変更が禁止される。したがって、人に違和感や不快感を与えることを防止することができる。
【0099】
さらに、実施の形態1に係る給湯装置100では、入退室情報に基づいて温度変更指令の実行可否を判定する構成としたことにより、浴槽62に人が入浴している最中の意図しない温度変更だけでなく、浴槽62から出た人が浴室60内で身体を洗っているときの意図しない温度変更も回避することができる。
【0100】
[実施の形態2]
以下の実施の形態では、携帯端末41A,41Bからの温度変更指令の実行可否を判定する主体が異なる構成を順次説明する。実施の形態2では、サーバ50を主体とした給湯装置100の動作について説明する。
【0101】
図8および
図9は、携帯端末41Aがユーザの温度変更指令を受け付けた場合における給湯装置100の動作を説明するための状態フロー図である。
【0102】
図8を参照して、給湯器10は、水位センサ11の検知信号に基づいた入退浴情報を台所リモコン20に送信する。浴室リモコン30は、人検知センサ36の検知信号に基づいた入退室情報を給湯器10および台所リモコン20に送信する。
【0103】
台所リモコン20は、受信した入退浴情報および入退室情報をサーバ50にアップロードする。
図8では、入退浴情報は、浴槽62から人が退浴していることを示し、入退室情報は、浴室60に人が不在であることを示すものとする。
【0104】
携帯端末41Aは、ユーザの温度変更指令が入力されると、温度変更指令をサーバ50にアップロードする。
【0105】
サーバ50は、温度変更指令を受信すると、入退室情報に基づいて、温度変更指令を実行することができるか否かを判定する。
図8の例では、浴室60内に人が不在であるため、給湯温度および風呂温度を変更しても、人に違和感や不快感を与える可能性がないと判断される。したがって、サーバ50は、温度変更指令を実行可能であると判定する。
【0106】
温度変更指令が実行可能であると判定されると、サーバ50は、温度変更指令を台所リモコン20へ転送する。台所リモコン20は、温度変更指令を給湯器10へ転送する。給湯器10のコントローラ12は、温度変更指令を受信すると、温度変更指令に従って給湯器10の動作を制御する。
【0107】
これに対して、
図9では、入退浴情報は、浴槽62から人が退浴していることを示し、入退室情報は、浴室60に人が在室していることを示すものとする。
図9の例では、浴室60内に人が在室しているため、給湯温度および風呂温度を変更すると、人に違和感や不快感を与える可能性があると判断される。したがって、サーバ50は、温度変更指令を実行不可能であると判定する。
【0108】
温度変更指令が実行不可能であると判定されると、サーバ50は、温度変更指令に基づいた温度変更を禁止する。したがって、サーバ50は、温度変更指令を台所リモコン20に転送しない。サーバ50は、台所リモコン20に向けて、温度変更指令が拒絶された旨を報知することができる。これにより、台所リモコン20は、宅内のユーザに宅外からの温度変更指令が拒絶された旨を報知することができる。サーバ50は、さらに、携帯端末41Aに向けて温度変更指令が拒絶された旨を報知することができる。
【0109】
携帯端末41Aは、サーバ50からの報知を受けると、報知を示すメッセージを画面表示または音声によって出力することで、温度変更指令の実行が禁止されたことをユーザに知らせることができる。
【0110】
なお、
図8および
図9に示したサーバ50の動作は、
図7のフローチャートを流用することができる。ただし、本実施の形態2では、
図7のフローチャートは、サーバ50により所定の周期で繰り返し実行されることになる。
【0111】
以上説明したように、実施の形態2に係る給湯装置100は、台所リモコン20および携帯端末41Aの間の通信を中継するサーバ50を主体として、浴室60内に人が在室している場合には、携帯端末41Aからの温度変更指令を拒絶するように構成される。したがって、実施の形態1に係る給湯装置と同様の作用効果を得ることができる。
【0112】
なお、ルータ40を経由して台所リモコン20と通信する携帯端末41Bからの温度変更指令に対しては、実施の形態1で説明したように、台所リモコン20が温度変更指令の実行可否を判定する構成とすることができる。
【0113】
[実施の形態3]
実施の形態3では、携帯端末41A,41Bを主体とした給湯装置100の動作について説明する。
【0114】
図10および
図11は、携帯端末41Aがユーザの温度変更指令を受け付けた場合における給湯装置100の動作を説明するための状態フロー図である。
【0115】
図10を参照して、給湯器10は、水位センサ11の検知信号に基づいた入退浴情報を台所リモコン20に送信する。浴室リモコン30は、人検知センサ36の検知信号に基づいた入退室情報を給湯器10および台所リモコン20に送信する。
【0116】
台所リモコン20は、受信した入退浴情報および入退室情報をサーバ50にアップロードする。
図10では、入退浴情報は、浴槽62から人が退浴していることを示し、入退室情報は、浴室60に人が不在であることを示すものとする。
【0117】
携帯端末41Aは、サーバ50から入退浴情報および入退室情報をダウンロードする。携帯端末41Aは、ユーザの温度変更指令が入力されると、入退室情報に基づいて、温度変更指令を実行することができるか否かを判定する。
図10の例では、浴室60内に人が不在であるため、給湯温度および風呂温度を変更しても、人に違和感や不快感を与える可能性がないと判断される。したがって、携帯端末41Aは、温度変更指令を実行可能であると判定する。
【0118】
温度変更指令が実行可能であると判定されると、携帯端末41Aは、温度変更指令をサーバ50にアップロードする。サーバ50は、温度変更指令をダウンロードして台所リモコン20へ転送する。台所リモコン20は、温度変更指令を給湯器10へ転送する。給湯器10のコントローラ12は、温度変更指令を受信すると、温度変更指令に従って給湯器10の動作を制御する。
【0119】
これに対して、
図11では、入退浴情報は、浴槽62から人が入浴していることを示し、入退室情報は、浴室60に人が在室していることを示すものとする。
図11の例では、浴室60内に人が在室しているため、給湯温度および風呂温度を変更すると、人に違和感や不快感を与える可能性があると判断される。したがって、携帯端末41Aは、温度変更指令を実行不可能であると判定する。
【0120】
温度変更指令が実行不可能であると判定されると、携帯端末41Aは、温度変更指令に基づいた温度変更を禁止する。したがって、携帯端末41Aは、温度変更指令をサーバ50に転送しない。携帯端末41Aは、サーバ50を経由して台所リモコン20に向けて、温度変更指令が拒絶された旨を報知することができる。これにより、台所リモコン20は、宅内のユーザに宅外からの温度変更指令が拒絶された旨を報知することができる。携帯端末41Aは、さらに、画面表示または音声を用いて、温度変更指令が実行不可能である旨を報知することにより、温度変更指令の実行が禁止されたことをユーザに知らせる。
【0121】
図12は、携帯端末41Bがユーザの温度変更指令を受け付けた場合における給湯装置100の動作を説明するための状態フロー図である。
【0122】
給湯器10は、水位センサ11の検知信号に基づいた入退浴情報を台所リモコン20に送信する。浴室リモコン30は、人検知センサ36の検知信号に基づいた入退室情報を給湯器10および台所リモコン20に送信する。
【0123】
台所リモコン20は、受信した入退浴情報および入退室情報をルータ40を経由して携帯端末41Bに伝送することができる。
図12では、入退浴情報は、浴槽62から人が入浴していることを示し、入退室情報は、浴室60に人が在室していることを示すものとする。
【0124】
携帯端末41Bは、ユーザの温度変更指令が入力されると、入退室情報に基づいて、温度変更指令を実行することができるか否かを判定する。
図12の例では、浴室60内に人が在室しているため、
図11と同様に、携帯端末41Bは、温度変更指令を実行不可能であると判定する。したがって、携帯端末41Bは、温度変更指令に基づいた温度変更を禁止し、温度変更指令を台所リモコン20に伝送しない。携帯端末41Bは、さらに、画面表示または音声を用いて、温度変更指令が拒絶された旨を報知することにより、温度変更指令の実行が禁止されたことをユーザに知らせる。
【0125】
図10から
図12に示した携帯端末41A,41Bの動作は、
図13のフローチャートで表すことができる。
図13のフローチャートは、携帯端末41A,41Bにて所定の周期で繰り返し実行される。
【0126】
図13を参照して、携帯端末41A,41Bは、ステップS11により、浴室リモコン30から入退室情報を受信する。携帯端末41A,41Bは、さらに、ステップS12により、給湯器10から入退浴情報を受信する。
【0127】
携帯端末41A,41Bは、ステップS13により、ユーザの温度変更指令が入力されたか否かを判定する。ユーザの温度変更指令が入力されていないと判定されると(S13のNO判定時)、携帯端末41A,41Bは処理を終了する。
【0128】
一方、ステップS13にてユーザの温度変更指令が入力されたと判定されると(S13のYES判定時)、携帯端末41A,41Bは、ステップS14に進み、入退室情報に基づいて、浴室60内に人が在室しているか否かを判定する。浴室60内に人が不在である場合(S14のNO判定時)、携帯端末41A,41Bは、温度変更指令を実行可能であると判断して、ステップS15により、温度変更指令を台所リモコン20に伝送する。
【0129】
一方、浴室60内に人が在室している場合(S14のYES判定時)、携帯端末41A,41Bは、温度変更指令を実行不可能であると判断して、ステップS16により、温度変更指令に基づく温度変更を禁止する。携帯端末41A,41Bは、ステップS17により、温度変更指令が実行不可能である旨をユーザに報知する。
【0130】
以上説明したように、実施の形態3に係る給湯装置100は、携帯端末41A,41Bを主体として、浴室60内に人が在室している場合には、ユーザの温度変更指令を拒絶するように構成される。したがって、実施の形態1に係る給湯装置と同様の作用効果を得ることができる。
【0131】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0132】
1 筐体、1a 排気口、2,2a,2b バーナ、3,3a,3b ファン、4,4a,4b 熱交換器、5 給水配管、5a 入水口、6 給湯配管、6a 出湯口、7 混合弁、8 循環路、8a 戻り配管、8b 往き配管、9,17 温度センサ、10 給湯器、11 水位センサ、12 コントローラ、13 二方弁、14 電気配線、15 スイッチ、16 ポンプ、18,27,28,38 通信部、20 台所リモコン、21,31 通信線、30 浴室リモコン、22,32 運転スイッチ、23,33 操作スイッチ、25,35 表示部、26,37 制御部、36 人検知センサ、41A,41B 携帯端末、45 ネットワーク、50 サーバ、51,52A,52B 通信経路、53 基地局、60 浴室、62 浴槽、64 湯水、100 給湯装置。