(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】ステープル針リムーバー
(51)【国際特許分類】
B25C 11/00 20060101AFI20220308BHJP
【FI】
B25C11/00 A
(21)【出願番号】P 2018019291
(22)【出願日】2018-02-06
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大澤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】奈良橋 英樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆史
(72)【発明者】
【氏名】樋口 裕樹
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-035350(JP,A)
【文献】特開2000-159431(JP,A)
【文献】特開2015-147271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙束を綴じたステープル針を前記紙束から取り外すステープル針リムーバーであって、
前記紙束のうち前記ステープル針に綴じられた部分を、前記ステープル針の長手方向に対して湾曲させる変形補助部と、
湾曲した前記紙束と前記ステープル針との間に挿入され、前記ステープル針を前記紙束から取り外す第一刃と、を備え、
前記変形補助部は、前記紙束を支持する支持部を含み、
前記支持部には、前記紙束の厚み方向において前記支持部の表面と前記支持部の裏面とを連通する連通空間が形成されており、
前記紙束は、前記ステープル針の下方に前記連通空間が位置するように配置されており、
前記紙束は、前記支持部および前記第一刃に互いに挟み込まれることにより、前記連通空間に入り込んで湾曲
し、
前記第一刃は、前記ステープル針を取り外す際に前記紙束が浮き上がる方向への移動を規制する浮き防止部材を含み、
前記浮き防止部材は、前記第一刃が前記ステープル針を取り外す前において、前記紙束から離れて配置されている、ステープル針リムーバー。
【請求項2】
前記長手方向において、前記連通空間の幅と前記ステープル針の長さとの差は、1[m
m]以上20[mm]以下である、請求項1に記載のステープル針リムーバー。
【請求項3】
紙束を綴じたステープル針を前記紙束から取り外すステープル針リムーバーであって、
前記紙束のうち前記ステープル針に綴じられた部分を、前記ステープル針の長手方向に対して湾曲させる変形補助部と、
湾曲した前記紙束と前記ステープル針との間に挿入され、前記ステープル針を前記紙束から取り外す第一刃と、を備え、
前記変形補助部は、前記紙束を支持する支持部を含み、
前記紙束が前記支持部に固定され、前記第一刃が動作することにより、前記ステープル針が前記紙束から取り外され
、
前記第一刃は、前記ステープル針を取り外す際に前記紙束が浮き上がる方向への移動を規制する浮き防止部材を含み、
前記浮き防止部材は、前記第一刃が前記ステープル針を取り外す前において、前記紙束から離れて配置されている、ステープル針リムーバー。
【請求項4】
前記浮き防止部材は、前記ステープル針から前記長手方向に沿って離れた位置に配置されている、請求項
1から請求項3のいずれか1項に記載のステープル針リムーバー。
【請求項5】
前記浮き防止部材は、前記ステープル針に対して、前記第一刃が挿入される方向の上流側に配置されている、請求項
1から請求項3のいずれか1項に記載のステープル針リムーバー。
【請求項6】
前記紙束の厚み方向における、前記浮き防止部材から前記支持部までの長さは、最大除針枚数時の紙束の厚みよりも大きい、請求項
1から請求項
5のいずれか1項に記載のステープル針リムーバー。
【請求項7】
紙束を綴じたステープル針を前記紙束から取り外すステープル針リムーバーであって、
前記紙束のうち前記ステープル針に綴じられた部分を、前記ステープル針の長手方向に対して湾曲させる変形補助部と、
湾曲した前記紙束と前記ステープル針との間に挿入され、前記ステープル針を前記紙束から取り外す第一刃と、
前記ステープル針の足側に配置された押圧部と、
前記ステープル針の背側に配置された第二刃と、を備え、
前記変形補助部は、前記紙束を支持する支持部を含み、
前記支持部は、前記ステープル針の背側から前記紙束を支持し、
前記第一刃は、前記ステープル針の足側に配置されており、
前記支持部には、前記紙束の厚み方向において前記支持部の表面と前記支持部の裏面とを連通する連通空間が形成されており、
前記紙束は、前記ステープル針の下方に前記連通空間が位置するように配置されており、
前記紙束は、前記支持部および前記第一刃に互いに挟み込まれることにより、前記連通空間に入り込んで湾曲
し、
前記第一刃および前記支持部に互いに挟み込まれることにより湾曲した前記紙束と前記ステープル針との間に前記第一刃が挿入され前記ステープル針の足が広げられた後、前記第二刃および前記押圧部に互いに挟みこまれることにより湾曲した前記紙束と前記ステープル針との間に前記第二刃が挿入され前記ステープル針が取り外される、ステープル針リムーバー。
【請求項8】
前記長手方向において、前記連通空間の幅と前記ステープル針の長さとの差は、1[m
m]以上20[mm]以下である、請求項
7に記載のステープル針リムーバー。
【請求項9】
前記紙束は、前記支持部および前記第一刃、並びに、前記押圧部および前記第二刃に互いに挟み込まれることにより、前記連通空間に入り込んで湾曲する、請求項
7または請求項
8に記載のステープル針リムーバー。
【請求項10】
紙束を綴じたステープル針を前記紙束から取り外すステープル針リムーバーであって、
前記紙束のうち前記ステープル針に綴じられた部分を、前記ステープル針の長手方向に対して湾曲させる変形補助部と、
湾曲した前記紙束と前記ステープル針との間に挿入され、前記ステープル針を前記紙束から取り外す第一刃と、
前記ステープル針の足側に配置された押圧部と、
前記ステープル針の背側に配置された第二刃と、を備え、
前記変形補助部は、前記紙束を支持する支持部を含み、
前記支持部は、前記ステープル針の背側から前記紙束を支持し、
前記第一刃は、前記ステープル針の足側に配置されており、
前記紙束が前記支持部に固定され、前記第一刃が動作することにより、
前記第一刃および前記支持部に互いに挟み込まれることにより湾曲した前記紙束と前記ステープル針との間に前記第一刃が挿入され前記ステープル針の足が広げられた後、前記第二刃および前記押圧部に互いに挟みこまれることにより湾曲した前記紙束と前記ステープル針との間に前記第二刃が挿入され前記ステープル針が前記紙束から取り外される、ステープル針リムーバー。
【請求項11】
前記支持部には、前記紙束の厚み方向において前記支持部の表面と前記支持部の裏面とを連通する連通空間が形成されており、
前記紙束は、前記ステープル針の下方に前記連通空間が位置するように配置されており、
前記紙束は、前記支持部および前記第一刃、並びに、前記押圧部および前記第二刃に互いに挟み込まれることにより、前記連通空間に入り込んで湾曲する、請求項
10に記載のステープル針リムーバー。
【請求項12】
前記押圧部は、前記長手方向において、前記連通空間の縁よりも内側に配置されている、請求項
9または請求項11に記載のステープル針リムーバー。
【請求項13】
前記第二刃は、前記第一刃に対して、前記第一刃が挿入される方向の上流側に配置されている、請求項
7から請求項12のいずれか1項に記載のステープル針リムーバー。
【請求項14】
紙束を綴じたステープル針を前記紙束から取り外すステープル針リムーバーであって、
前記紙束のうち前記ステープル針に綴じられた部分を、前記ステープル針の長手方向に対して湾曲させる変形補助部と、
湾曲した前記紙束と前記ステープル針との間に挿入され、前記ステープル針を前記紙束から取り外す第一刃と、を備え、
前記変形補助部は、前記紙束を支持し弾性部材からなる支持部を含み、
前記紙束が湾曲するのに伴って、前記支持部が変形する、ステープル針リムーバー。
【請求項15】
前記紙束は、前記変形補助部により湾曲させられる前の状態において、前記ステープル針から、前記第一刃が挿入される方向と逆方向に30[mm]以上に亘って、ほぼ水平である、請求項1から請求項
14のいずれか1項に記載のステープル針リムーバー。
【請求項16】
前記長手方向における前記ステープル針の延長線上において、前記紙束の端部は、固定されていない、請求項1から請求項
15のいずれか1項に記載のステープル針リムーバー。
【請求項17】
前記紙束は、前記ステープル針に対して、前記第一刃が挿入される方向の上流側において保持されている、請求項1から請求項
16のいずれか1項に記載のステープル針リムーバー。
【請求項18】
前記第一刃は、楔状の形状を有している、請求項1から請求項
17のいずれか1項に記載のステープル針リムーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステープル針リムーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
ステープル針と紙束との間に刃を挿入し、ステープル針を紙束から取り外す技術が、特開平6-186809号公報(特許文献1)、特開2015-147271号公報(特許文献2)、および、特開2016-101653号公報(特許文献3)、に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-186809号公報
【文献】特開2015-147271号公報
【文献】特開2016-101653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に開示される構成において、ステープル針は紙束と接触しているため、ステープル針と紙束との間に刃を挿入できずに、ステープル針の除去に失敗する場合がある。
【0005】
本発明の目的は、簡易な構成でステープル針の除去精度を向上できるステープル針リムーバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るステープル針リムーバーは、紙束を綴じたステープル針を上記紙束から取り外す。ステープル針リムーバーは、変形補助部と、第一刃とを備えている。上記変形補助部は、上記紙束のうち上記ステープル針に綴じられた部分を、上記ステープル針の長手方向に対して湾曲させる。上記第一刃は、湾曲した上記紙束と上記ステープル針との間に挿入され、上記ステープル針を上記紙束から取り外す。上記変形補助部は、紙束を支持する支持部を含んでいる。上記支持部には、紙束の厚み方向において支持部の表面と支持部の裏面とを連通する連通空間が形成されている。上記紙束は、ステープル針の下方に上記連通空間が位置するように配置されている。上記紙束は、上記支持部および上記第一刃に互いに挟み込まれることにより、上記連通空間に入り込んで湾曲する。
【0007】
上記のステープル針リムーバーによると、簡易な構成で紙束を湾曲させることができ、ステープル針の除去精度を向上することができる。
【0008】
上記長手方向において、上記連通空間の幅と上記ステープル針の長さとの差は、1[mm]以上20[mm]以下である。これにより、紙束を効率よく湾曲させることができる。
【0009】
本開示に係るステープル針リムーバーは、紙束を綴じたステープル針を上記紙束から取り外す。ステープル針リムーバーは、変形補助部と、第一刃とを備えている。上記変形補助部は、上記紙束のうち上記ステープル針に綴じられた部分を、上記ステープル針の長手方向に対して湾曲させる。上記第一刃は、湾曲した上記紙束と上記ステープル針との間に挿入され、上記ステープル針を上記紙束から取り外す。上記変形補助部は、紙束を支持する支持部を含んでいる。上記紙束は、上記支持部に固定され、上記第一刃が動作することにより、上記ステープル針が上記紙束から取り外される。
【0010】
上記のステープル針リムーバーによると、紙束を安定させてステープル針の除去動作を行なうことができる。
【0011】
上記のステープル針リムーバーにおいて、上記支持部には、紙束の厚み方向において支持部の表面と支持部の裏面とを連通する連通空間が形成されている。上記紙束は、ステープル針の下方に上記連通空間が位置するように配置されている。上記紙束は、上記支持部および上記第一刃に互いに挟み込まれることにより、上記連通空間に入り込んで湾曲する。
【0012】
上記のステープル針リムーバーによると、簡易な構成で紙束を湾曲させることができる。
【0013】
上記長手方向において、上記連通空間の幅と上記ステープル針の長さとの差は、1[mm]以上20[mm]以下である。これにより、紙束を効率よく湾曲させることができる。
【0014】
本開示に係るステープル針リムーバーは、紙束を綴じたステープル針を上記紙束から取り外す。ステープル針リムーバーは、変形補助部と、第一刃とを備えている。上記変形補助部は、上記紙束のうち上記ステープル針に綴じられた部分を、上記ステープル針の長手方向に対して湾曲させる。上記第一刃は、湾曲した上記紙束と上記ステープル針との間に挿入され、上記ステープル針を上記紙束から取り外す。上記変形補助部は、紙束を支持し弾性部材からなる支持部を含んでいる。上記紙束が湾曲するのに伴って、上記支持部が変形する。
【0015】
上記のステープル針リムーバーによると、支持部上の任意の位置において、ステープル針を除去することができる。
【0016】
上記のステープル針リムーバーにおいて、上記紙束は、上記変形補助部により湾曲させられる前の状態において、上記ステープル針から、上記第一刃が挿入される方向と逆方向に30[mm]以上に亘って、ほぼ水平である。これにより、紙束を効果的に湾曲させることができる。
【0017】
上記長手方向における上記ステープル針の延長線上において、上記紙束の端部は、固定されていない。これにより、紙束が湾曲する余裕を確保することができる。
【0018】
上記のステープル針リムーバーにおいて、上記紙束は、上記ステープル針に対して、上記第一刃が挿入される方向の上流側において保持されている。これにより、第一刃を紙束とステープル針との間に挿入する際に、動作方向において紙束が縒れることを抑制することができる。
【0019】
上記ステープル針リムーバーは、浮き防止部材をさらに備えている。浮き防止部材は、上記第一刃が上記ステープル針を取り外す際に上記紙束が浮き上がる方向への移動を規制する。上記浮き防止部材は、上記第一刃が上記ステープル針を取り外す前において、上記紙束から離れて配置されている。これにより、第一刃が紙束を持ち上げながらステープル針を紙束から取り外す構成であっても、第一刃に紙束がつられてステープル針を除去できなくなることを抑制することができる。
【0020】
上記のステープル針リムーバーにおいて、上記浮き防止部材は、上記ステープル針から上記長手方向に沿って離れた位置に配置されている。これにより、第一刃が紙束を持ち上げながらステープル針を紙束から取り外す際に、第一刃に紙束がつられることをより抑制することができる。
【0021】
上記のステープル針リムーバーにおいて、上記浮き防止部材は、上記ステープル針に対して、上記第一刃が挿入される方向の上流側に配置されている。これにより、第一刃が紙束を持ち上げながらステープル針を紙束から取り外す際に、第一刃に紙束がつられることをより抑制することができる。
【0022】
上記のステープル針リムーバーにおいて、上記変形補助部は、上記紙束を支持する支持部を含んでいる。上記紙束の厚み方向における、上記浮き防止部材から上記支持部までの長さは、最大除針枚数時の紙束の厚みよりも大きい。これにより、第一刃を紙束とステープル針との間に挿入する際に、動作方向において紙束が縒れることを抑制することができる。
【0023】
上記のステープル針リムーバーにおいて、上記第一刃は、楔状の形状を有している。これにより、第一刃の前進動作のみでステープル針を紙束から除去することができる。
【0024】
上記のステープル針リムーバーにおいて、上記変形補助部は、上記ステープル針の背側から上記紙束を支持する支持部を含んでいる。上記第一刃は、上記ステープル針の足側に配置されている。ステープル針リムーバーは、押圧部と、第二刃とをさらに備えている。押圧部は、上記ステープル針の足側に配置されている。第二刃は、上記ステープル針の背側に配置されている。上記第一刃および上記支持部に互いに挟み込まれることにより湾曲した上記紙束と上記ステープル針との間に上記第一刃が挿入され上記ステープル針の足が広げられた後、上記第二刃および上記押圧部に互いに挟みこまれることにより湾曲した上記紙束と上記ステープル針との間に上記第二刃が挿入され上記ステープル針が取り外される。
【0025】
上記のステープル針リムーバーによると、2段階でステープル針を取り外すことにより、紙束へのダメージを軽減することができる。
【0026】
上記のステープル針リムーバーにおいて、上記第二刃は、上記第一刃に対して、上記第一刃が挿入される方向の上流側に配置されている。これにより、第一刃が第二刃による紙束の撓みを阻害することを抑制することができる。
【0027】
上記のステープル針リムーバーにおいて、上記支持部には、紙束の厚み方向において支持部の表面と支持部の裏面とを連通する連通空間が形成されている。上記紙束は、ステープル針の下方に上記連通空間が位置するように配置されている。上記紙束は、上記支持部および上記第一刃、並びに、押圧部および第二刃に互いに挟み込まれることにより、上記連通空間に入り込んで湾曲する。
【0028】
上記のステープル針リムーバーによると、簡易な構成で紙束を湾曲させることができる。
【0029】
上記押圧部は、上記長手方向において、連通空間の縁よりも内側に配置されている。これにより、第二刃が上方へ紙束を押し上げる量を軽減することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の適用により、簡易な構成でステープル針の除去精度を向上できるステープル針リムーバーを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施の形態1のステープル針リムーバーの概略上面図である。
【
図2】
図1に示すII-II線に沿うステープル針リムーバーの概略断面図である。
【
図3】紙束のうちステープル針に綴じられた部分の断面図である。
【
図4】第一刃が紙束とステープル針との間に挿入される際の概略正面図である。
【
図5】
図4に示すV-V線に沿うステープル針リムーバーの概略断面図である。
【
図6】第一刃が紙束とステープル針との間に挿入された後の概略断面図である。
【
図7】実施の形態2のステープル針リムーバーの概略正面図である。
【
図8】実施の形態3のステープル針リムーバーの概略正面図である。
【
図9】
図8に示すIX-IX線に沿うステープル針リムーバーの概略断面図である。
【
図10】実施の形態3の第一刃が紙束とステープル針との間に挿入される際の概略正面図である。
【
図11】
図10に示すXI-XI線に沿うステープル針リムーバーの概略断面図である。
【
図12】実施の形態3の第一刃が紙束とステープル針との間に挿入された後の概略正面図である。
【
図13】
図12に示すXIII-XIII線に沿うステープル針リムーバーの概略断面図である。
【
図14】第二刃が紙束とステープル針との間に挿入される際の概略正面図である。
【
図15】
図14に示すXV-XV線に沿うステープル針リムーバーの概略断面図である。
【
図16】第二刃が紙束とステープル針との間に挿入された後の概略正面図である。
【
図17】
図16に示すXVII-XVII線に沿うステープル針リムーバーの概略断面図である。
【
図18】実施の形態4のステープル針リムーバーを示す概略図である。
【
図19】実施の形態5のステープル針リムーバーの概略斜視図である。
【
図20】
図19に示すステープル針リムーバーの概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面に基づいて本開示の実施の形態を説明する。以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0033】
[実施の形態1]
<ステープル針リムーバー1>
図1は、実施の形態1のステープル針リムーバー1の概略上面図である。
図2は、
図1に示すII-II線に沿うステープル針リムーバー1の概略断面図である。
図3は、紙束100のうちステープル針110に綴じられた部分の断面図である。
図1から
図3を参照してステープル針リムーバー1について説明する。
【0034】
紙束100をまとめるため、紙束100にはステープル針110が綴じられている。ステープル針リムーバー1は、紙束100を綴じたステープル針110を紙束100から取り外す。
【0035】
図3に示すように、ステープル針110は、コの字状に曲げられることにより紙束100を綴じている。ステープル針110は、背111、貫通部113、および足112を含んでいる。背111の両端は、貫通部113の一端と連結している。貫通部113は、紙束100を貫通している。貫通部113の他端は、足112の一端と連結している。足112は、背111よりも短い。足112の他端は、自由端である。背111および足112は、紙束100を介して対向している。
【0036】
図中に示された両矢印は、長手方向DR1と、厚み方向DR2と、動作方向DR3とを示している。長手方向DR1は、ステープル針110の背111が延びている方向であり、
図1中の左右方向である。厚み方向DR2は、紙束100の厚み方向であり、長手方向DR1と直交している。厚み方向DR2は、
図2中の上下方向である。動作方向DR3は、長手方向DR1および厚み方向DR2に直交する方向であり、後述する第一刃20が動作する方向である。動作方向DR3は、
図1中の上下方向である。
【0037】
図1および
図2に示すように、ステープル針リムーバー1は、変形補助部10と、第一刃20とを備えている。変形補助部10は、紙束100を支持する支持部13を含んでいる。支持部13は、ステープル針110の足112側から紙束100を支持している。実施の形態において、支持部13は、積載台11である。積載台11は、紙束100を載せ置く。積載台11は、ほぼ直方体状の形状を有している。積載台11は、紙束100を水平に保つために、たとえば金属や樹脂などの硬い素材で構成されている。
【0038】
積載台11には、連通空間12が形成されている。連通空間12は、厚み方向DR2において積載台11の表面11aと積載台11の裏面11bとを連通する。連通空間12は、長手方向DR1において積載台11の端部から離れて形成されている。連通空間12の上方には、ステープル針110が配置されている。
【0039】
連通空間12の長手方向DR1における幅(
図1中のB)と、ステープル針110の長手方向DR1における長さ(
図1中のC)との差は、たとえば15[mm]程度である。長手方向DR1において、連通空間12の幅とステープル針110の長さとの差は、1[mm]以上20[mm]以下であることが好ましい。
【0040】
紙束100は、ステープル針110の下方に連通空間12が位置するように配置されている。紙束100は、端部Tを有している。端部Tは、長手方向DR1における紙束100の端部である。長手方向DR1におけるステープル針110の延長線上(
図1中の2点鎖線)において、端部Tは、固定されていない。端部Tは、長手方向DR1におけるステープル針110の延長線上では積載台11に押さえつけられず、自由端である。
【0041】
第一刃20は、紙束100の上に配置されている。第一刃20は、ステープル針110の背111側に配置されている。第一刃20は、図示しないモーター等の駆動源により動作方向DR3に動作する。第一刃20は、前進方向DR4に進行し、紙束100とステープル針110との間に挿入される。前進方向DR4は、第一刃20が紙束100とステープル針110との間に挿入される方向であり、
図1中の下方向である。
【0042】
第一刃20は、楔状の形状を有している。第一刃20は、狭端20aおよび広端20bを有している。狭端20aは、前進方向DR4の下流側における第一刃20の端部である。広端20bは、前進方向DR4の上流側における第一刃20の端部である。広端20bから狭端20aに向かうにつれて、第一刃20の長手方向DR1における幅は小さくなっている。ステープル針110と紙束100との間に第一刃20を挿入しやすくするため、狭端20aは、強度を鑑みながら可能な限り薄くすることが好ましい。
【0043】
ステープル針リムーバー1は、保持部材40および浮き防止部材30をさらに備えている。保持部材40は、円柱状の形状を有している。保持部材40は、ステープル針110に対して、第一刃20が紙束100とステープル針110との間に挿入される方向(前進方向DR4)の上流側に配置されている。保持部材40は、紙束100を積載台11に押さえつけている。これにより、紙束100は、ステープル針110に対して、前進方向DR4の上流側において保持されている。
【0044】
浮き防止部材30は、第一刃20がステープル針110を取り外す際に紙束100が浮き上がる方向への移動を規制する。浮き防止部材30は、第一刃20がステープル針110を取り外す前において、紙束100から離れて配置されている。浮き防止部材30は、ステープル針110から長手方向DR1に沿って離れた位置に配置されている。浮き防止部材30は、ステープル針110の長手方向DR1における両側に配置されている。実施の形態において、2つの浮き防止部材30の間にステープル針110が配置されている。
【0045】
厚み方向DR2における、浮き防止部材30から支持部13(積載台11)までの長さ(
図2中のA)は、最大除針枚数時の紙束100の厚みよりも大きい。最大除針枚数とは、ステープル針リムーバー1がステープル針110を除去することできる紙束100の用紙の最大枚数である。
【0046】
<ステープル針リムーバー1の動作>
図4は、第一刃20が紙束100とステープル針110との間に挿入される際の概略正面図である。
図5は、
図4に示すステープル針リムーバー1のV-V線に沿う概略断面図である。
図6は、第一刃20が紙束100とステープル針110との間に挿入された後の概略断面図である。
図4において、ステープル針110については、断面で図示されている(以下、全ての概略正面図において同じ)。
図4から
図6を参照して、ステープル針リムーバー1の動作について説明する。
【0047】
変形補助部10は、図示しない、バネ等を含む第一押圧離間機構をさらに含んでいる。上記第一押圧離間機構によって、第一刃20は、紙束100に押し当てられる。第一刃20は、紙束100に押し当てられながら(
図4,5中の白抜き矢印)、図示しない駆動源によって、前進方向DR4に沿ってステープル針110に向かって進む。
【0048】
図4および
図5に示すように、第一刃20は、連通空間12にさしかかると、紙束100を下方に撓ませながら進む。このとき、紙束100は、積載台11および第一刃20に互いに挟み込まれることにより、連通空間12に入り込んで湾曲する。紙束100のうちステープル針110に綴じられた部分(
図4中の領域IV)は、変形補助部10(積載台11および第一押圧離間機構)によって、長手方向DR1に対して湾曲させられる。
【0049】
第一刃20が紙束100を押さえつけると、紙束100の隙間が埋まること、および、紙束100を構成する紙が圧縮されることにより、紙束100のうち第一刃20に押さえつけられた部分における紙束100の厚みは小さくなる。さらに、紙束100の変形によりステープル針110の足112が開くことで、紙束100の下方への移動が、足112により規制されず可能となる。
【0050】
紙束100のうち第一刃20に押さえつけられた部分における紙束100の厚みが小さくなること、および、紙束100が下方へ移動できるようになることにより、紙束100とステープル針110の背111との間に隙間120が形成される。第一刃20の狭端20aは、紙束100の湾曲により形成された隙間120に挿入される。
【0051】
図6に示すように、第一刃20の狭端20aが隙間120に挿入された後、第一刃20がさらに前進することで、隙間120を大きくしていく。隙間120に挿入された後の第一刃20は、第一押圧離間機構により、
図6中の白抜き矢印で示す紙束100から離れる方向に移動しながら(紙束100を持ち上げながら)、前進方向DR4に沿って前進し、ステープル針110を紙束100から取り外す。
【0052】
(作用効果)
図4に示すように、変形補助部10は、紙束100のうちステープル針110に綴じられた部分を、ステープル針110の長手方向DR1に対して湾曲する。これにより、ステープル針110と、紙束100との間に隙間120が形成される。隙間120が形成されることにより、第一刃20を紙束100とステープル針110との間に挿入しやすくなる。したがって、ステープル針110の除去精度を向上することができる。
【0053】
さらに、連通空間12が形成された支持部13(積載台11)を採用することにより、簡易な構成で紙束100を湾曲させることができる。
【0054】
実施の形態1において、紙束100は支持部13(積載台11)に固定されており、第一刃20が動作方向DR3に動作することにより、ステープル針110を紙束100から取り外す構成である。紙束100を支持部13に固定し、第一刃20および第一押圧離間機構を含むリムーブ機構を動作させる構成とすることにより、紙束100を安定させてステープル針110の除去を行なうことができる。
【0055】
さらに、上記リムーブ機構を回転、および複数方向へ移動できる構成とすることにより、紙束100に複数のステープル針110が綴じられている場合であっても、別途リムーブ機構を用意しなくとも、複数のステープル針110の除去に対応することができる。
【0056】
図1に示すように、長手方向DR1において、連通空間12の幅(
図1中のB)とステープル針110の長さ(
図1中のC)との差は、1[mm]以上20[mm]以下であることが好ましい。連通空間12の幅とステープル針110の長さとの差が小さい場合、紙束100の撓みが小さくても大きな曲率が得られるが、紙束100を撓ませる(湾曲させる)ために必要な力量が大きくなる。連通空間12の幅とステープル針110の長さとの差が大きい場合、紙束100を湾曲させるために必要な力量は小さくてもよいが、紙束100の撓み量を大きくする必要がある。長手方向DR1における連通空間12の幅とステープル針110の長さとの差を適切に設定することによって、紙束100を効率よく湾曲させることができる。
【0057】
端部Tは、長手方向DR1におけるステープル針110の延長線上では積載台11に押さえつけられず、自由端である。これにより、紙束100が湾曲する余裕を確保することができる。
【0058】
紙束100は、ステープル針110に対して、第一刃20が挿入される方向(前進方向DR4)の上流側において、保持部材40により押さえつけられることで保持されている。これにより、第一刃20を紙束100とステープル針110との間に挿入する際に、動作方向DR3において紙束100が縒れることを抑制することができる。
【0059】
図2に示すように、紙束100は、変形補助部10により湾曲させられる前の状態において、ステープル針110から、第一刃20が挿入される方向(前進方向DR4)と逆方向に30[mm]以上に亘って、ほぼ水平であって、紙束100が撓んでいないことが好ましい。紙束100が撓んでいると折れ目等が生じ、その折れ目等が紙束100の長手方向DR1に対する湾曲を妨げる。紙束100が、ステープル針110から、前進方向DR4と逆方向に30[mm]以上に亘って、ほぼ水平を保つことにより、紙束100を効果的に湾曲させることができる。
【0060】
浮き防止部材30は、第一刃20がステープル針110を取り外す前において、紙束100から離れて配置されている。これにより、第一刃20が紙束100を持ち上げながらステープル針110を紙束100から取り外す構成であっても、第一刃20に紙束100がつられてステープル針110を除去できなくなることを抑制することができる。
【0061】
さらに、浮き防止部材30を採用することにより、第一刃20を楔形状としなくとも、形状全体的に厚みが小さい第一刃20を採用し、紙束100が浮き上がる方向に持ち上げる動作でステープル針110を除去する構成とすることができる。
【0062】
浮き防止部材30は、ステープル針110から長手方向DR1に沿って離れた位置に配置されていることが好ましい。これにより、第一刃20が紙束100を持ち上げながらステープル針110を紙束100から取り外す際に、第一刃20に紙束100がつられることをより抑制することができる。
【0063】
なお、浮き防止部材30は、ステープル針110に対して、第一刃20が挿入される方向の上流側に配置されていてもよい。かかる場合においても、上記と同様に、第一刃20に紙束100がつられることを抑制する効果が得られる。
【0064】
厚み方向DR2における、浮き防止部材30から支持部13までの長さ(
図2中のA)は、最大除針枚数時の紙束100の厚みよりも大きい。これにより、紙束100の紙の枚数が最大除針枚数であっても、浮き防止部材30は紙束100から離れて配置されていることになる。したがって、第一刃20を紙束100とステープル針110との間に挿入する際に、動作方向DR3において紙束100が縒れることを抑制することができる。
【0065】
第一刃20は、楔状の形状を有している。これにより、第一刃20の前進動作のみでステープル針110を紙束100から除去することができる。さらに、第一刃20の前進方向DR4が長手方向DR1に対して直交していなくても、ステープル針110と紙束100との間に第一刃20を挿入しやすくなる。
【0066】
上記のようなステープル針110と第一刃20との位置ズレ(長手方向DR1に対して前進方向DR4が直交していない)を想定し、第一刃20には、長手方向DR1または厚み方向DR2を中心軸とした回転方向に自由度を持たせることが好ましい。
【0067】
ステープル針110と紙束100との間に第一刃20が挿入された後に前進を続けると長手方向DR1における長さが大きい部分がステープル針110の背111と接触するため、紙束100からステープル針110を除去する際に片側の足112だけが抜けることを抑制することができる。
【0068】
[実施の形態2]
図7は、実施の形態2のステープル針リムーバー1の概略正面図である。実施の形態1と異なり、実施の形態2の支持部13は、弾性部材から構成されている。実施の形態2の支持部13には、連通空間12は形成されていない。実施の形態1と同様に、図示しない第一押圧離間機構によって、第一刃20は、紙束100に押し当てられながら(
図7中の白抜き矢印)、前進方向DR4に沿ってステープル針110に向かって進む。これにより、紙束100を介して支持部13に圧力がかかる。紙束100が湾曲するのに伴って、支持部13が変形する。これにより、紙束100とステープル針110との間に隙間120が形成される。
【0069】
弾性部材を用いて支持部13を構成することにより、ステープル針110の下方に連通空間12が形成されていなくても紙束100を湾曲させることができる。これにより、支持部13上の任意の位置において、ステープル針110を除去することができる。さらに、支持部13に連通空間12を形成する必要が無くなるため、製造コストを抑制することができる。
【0070】
[実施の形態3]
図8は、実施の形態3のステープル針リムーバー1の概略正面図である。
図9は、
図8に示すIX-IX線に沿うステープル針リムーバー1の概略断面図である。
図8および
図9を参照して、実施の形態3のステープル針リムーバー1について説明する。
【0071】
実施の形態1と異なり、支持部13は、ステープル針110の背111側から紙束100を支持している。第一刃20は、ステープル針110の足112側に配置されている。実施の形態1と異なり、実施の形態3のステープル針リムーバー1は、押圧部50と、第二刃60とをさらに備えている。
【0072】
押圧部50は、ステープル針110の足側に配置されている。押圧部50は、直方体状の形状を有している。実施の形態において、2つの押圧部50は、長手方向DR1において、第一刃20を挟むように配置されている。第二刃60は、ステープル針110の背111側に配置されている。第二刃60は、楔状の形状を有している。第二刃60は、第一刃20に対して、第一刃20が挿入される方向(前進方向DR4)の上流側に配置されている。第二刃60は、図示しないモーター等の駆動源により動作方向DR3に動作する。
【0073】
支持部13には、連通空間12が形成されている。実施の形態3の連通空間12は、厚み方向DR2において、支持部13の表面13aと支持部13の裏面13bとを連通している。紙束100は、ステープル針110の下方に連通空間12が位置するように配置されている。押圧部50は、長手方向DR1において連通空間12の縁12aよりも内側に配置されている。長手方向DR1において、押圧部50の幅(
図8中F)は、連通空間12の幅(
図8中G)よりも小さい。
【0074】
実施の形態1と同様に、変形補助部10は、図示しない第一押圧離間機構を含んでいる。実施の形態1と異なり、実施の形態3の変形補助部10は、図示しない第二押圧離間機構をさらに含んでいる。上記第二押圧離間機構によって、第二刃60は、上方に押圧される。第二刃60は、上方に押圧されながら、駆動源により前進方向DR4に沿ってステープル針110に向かって進む。
【0075】
(実施の形態3のステープル針リムーバー1の動作)
図10は、実施の形態3の第一刃20が紙束100とステープル針110との間に挿入される際の概略正面図である。
図11は、
図10に示すXI-XI線に沿うステープル針リムーバー1の概略断面図である。
図12は、実施の形態3の第一刃20が紙束100とステープル針110との間に挿入された後の概略正面図である。
図13は、
図12に示すXIII-XIII線に沿うステープル針リムーバー1の概略断面図である。
図10から
図13を参照して、実施の形態3の第一刃20の動作について説明する。
【0076】
図10および
図11に示すように、第一刃20は、連通空間12にさしかかると、紙束100を撓ませながら(湾曲させながら)進む。このとき、紙束100は、支持部13および第一刃20に互いに挟み込まれることにより、連通空間12に入り込んで湾曲する。第一刃20が紙束100を押さえつけると、紙束100とステープル針110の足112との間に隙間121が形成される。第一刃20の狭端20aは、紙束100の湾曲により形成された隙間121に挿入される。押圧部50および第二刃60は、第一刃20と連動して前進方向DR4へ進む。押圧部50、第二刃60、および第一刃20は、一体となって動作する機構であることが好ましい。
【0077】
図12および
図13に示すように、第一刃20の狭端20aが隙間121に挿入された後、第一刃20がさらに前進することで、隙間121を大きくしていく。第一刃20は、第一押圧離間機構により、紙束100から離れる方向に移動する(
図12,13中の白抜き矢印H)。第一刃20が紙束100から離れつつ、前進方向DR4に沿って前進し、ステープル針110の足112を広げていく。第一刃20がステープル針110の足112を広げるにあたって、押圧部50は、浮き防止部材30と同様の役割を果たす。
【0078】
図14は、第二刃60が紙束100とステープル針110との間に挿入される際の概略正面図である。
図15は、
図14に示すXV-XV線に沿うステープル針リムーバー1の概略断面図である。
図16は、第二刃60が紙束100とステープル針110との間に挿入された後の概略正面図である。
図17は、
図16に示すXVII-XVII線に沿うステープル針リムーバー1の概略断面図である。
図14から
図17を参照して、第二刃60の動作について説明する。
【0079】
図14および
図15に示すように、押圧部50は、連通空間12にさしかかると、紙束100を下方に押圧(
図14,15中の白抜き矢印D)しながら進む。第二刃60は、連通空間12にさしかかると、第二押圧離間機構により、紙束100を持ち上げる方向に紙束100を押圧(
図14,15中の白抜き矢印U)する。第二刃60は、紙束100を上方に押圧しながら前進方向DR4に沿って進む。このとき、紙束100は、押圧部50および第二刃60に互いに挟み込まれることにより、連通空間12に入り込んで湾曲する。第二刃60が紙束100を上方に押圧することにより、紙束100とステープル針110の背111との間に隙間122が形成される。第二刃60は、紙束100の湾曲により形成された隙間122に挿入される。
【0080】
図16および
図17に示すように、第二刃60が隙間122に挿入された後、第二刃60がさらに前進し、第二押圧離間機構によって紙束100から離れながら(
図16,17中の白抜き矢印)、第二刃60は、ステープル針110を紙束100から取り外す。第二刃60は、ステープル針110を下方向に引き抜く。支持部13は、第二刃60がステープル針110を引き抜くにあたって、浮き防止部材30と同様の役割を果たす。
【0081】
(作用効果)
第一刃20でステープル針110の足112を開き、第二刃60をステープル針110の背111と紙束100との間に挿入し、2段階でステープル針110を取り外すことにより、紙束100へのダメージを軽減することができる。さらに、ステープル針リムーバー1の最大除針枚数を増加させることができる。
【0082】
第二刃60が第一刃20に対して前進方向DR4の上流側に配置されていることにより、第一刃20が第二刃60による紙束100の撓みを阻害することを抑制することができる。
【0083】
支持部13に連通空間12が形成されていることにより、紙束100が連通空間12に入り込んで湾曲することができる。これにより、簡易な構成で紙束100を湾曲させることができる。
【0084】
図8に示すように、長手方向DR1における押圧部50の幅(
図8中F)は、長手方向DR1における連通空間12の幅(
図8中G)よりも小さいことが好ましい。これにより、押圧部50が連通空間12に入り込んで紙束100を押し下げることができる。したがって、第二刃60が上方へ紙束100を押し上げる量を軽減することができ、ステープル針リムーバー1をコンパクトにすることができる。
【0085】
第二刃60がステープル針110を下方向に引き抜くことにより、ステープル針110が上方に跳ばされ、ステープル針リムーバー1に損傷を与えることを抑制することができる。ステープル針110を引き抜く方向に、磁性体等を配置することにより、確実にステープル針110を回収することができる。これにより、ステープル針リムーバー1に損傷を与えることを確実に抑制することができる。
【0086】
第一刃20および第二刃60の両方において、楔状の形状にすることにより、前進方向DR4のみの駆動でステープル針110を除去することができる。なお、第一刃20をステープル針110と紙束100との間に挿入した後において、第一刃20刃先を紙束100から離れるように移動させることで、ステープル針110が紙束100に前進方向DR4への力をかけることを抑制することができる。なお、第二刃60についても同様である。
【0087】
[実施の形態4]
図18は、実施の形態4のステープル針リムーバー1を示す概略図である。実施の形態4において、実施の形態3と同様に、第一刃20でステープル針110の足112を開いた後で、第二刃60でステープル針110を取り外すという構成である。
【0088】
実施の形態4の第二押圧離間機構は、カム機構80である。カム機構80は、ラック81、ピニオンギヤ82、仲介部材83、バネ84、およびカム85を含んでいる。ラック81は、支持部13の下に設けられている。支持部13は、固定されている。ラック81には、ピニオンギヤ82と噛合う歯型が形成されている。
【0089】
ピニオンギヤ82は、ラック81と噛合って回転する。ピニオンギヤ82は、動作方向DR3に動作する。仲介部材83は、ピニオンギヤ82と同軸で回転する。第二刃60は、バネ84により時計回りに付勢されている。第二刃60は、バネ84による付勢力により支持部13の下方を押圧する。第二刃60が、前進方向DR4に進み、連通空間12にさしかかると、紙束100の下方を押圧する。第二刃60は、第一刃20、押圧部50およびピニオンギヤ82と連動して前進方向DR4に前進する。
【0090】
第一刃20でステープル針110の足112を広げる前の段階において、ピニオンギヤ82および仲介部材83は、
図18に示す領域X内に配置されている。第一刃20でステープル針110の足112を広げて、第二刃60によりステープル針110を取り外す段階において、ピニオンギヤ82および仲介部材83は、領域Xから前進方向DR4に向かって前進する。ピニオンギヤ82が前進方向DR4に進むに伴って、仲介部材83が軸82aを中心に時計回りに回転する(
図18中の矢印J)。仲介部材83が時計回りに回転することにより、仲介部材83がカム85と接触し、カム85を反時計回りに回転させる(
図18中の矢印I)。第二刃60は、カム85により反時計回りの力が加えられる。カム85による反時計回りの回転力が、バネ84による時計回りの付勢力を上回る。これにより、ステープル針110を紙束100から引き抜く動作が行なわれる。
【0091】
第一刃20、押圧部50、第二刃60、ピニオンギヤ82、およびカム85は、連動して動作する。これにより、ステープル針110と紙束100との間への第一刃20および第二刃60の差し込み動作、並びに、ステープル針110の引き抜き動作を、1つの駆動源で行うことができる。
【0092】
[実施の形態5]
図19は、実施の形態5のステープル針リムーバー1の概略斜視図である。
図20は、
図19に示すステープル針リムーバー1の概略正面図である。
図20では、
図19に示すXX方向から見た際の概略正面図を示している。実施の形態5の変形補助部10は、搬送ローラー16および対向ローラー17を含んでいる。搬送ローラー16は、紙束100の足112側に配置されている。対向ローラー17は、紙束100を介して搬送ローラー16と対向する。ステープル針110によって綴じられた紙束100は、搬送ローラー16および対向ローラー17によって、ステープル針110が延びる方向に沿うように搬送される。
【0093】
紙束100が対向ローラー17に跨るようにして、紙束100の搬送経路が構成される。ステープル針110が、折返し部分にさしかかった時に紙束100の搬送を一時停止する。この状態において、ステープル針110の除去動作を行う。
【0094】
ステープル針110が、折返し部分にさしかかった時に、搬送ローラー16および対向ローラー17によって紙束100を保持することにより、紙束100のうちステープル針110で囲われた部分が湾曲し、ステープル針110の背111と紙束100との間に隙間124が形成される。第一刃20を隙間124に挿入することにより、ステープル針110を紙束100から除去することができる。
【0095】
なお、紙束100全体を曲率のある台に置き、紙束100のうちステープル針110で囲われた部分を湾曲させることによっても、ステープル針110と紙束100との間に隙間を形成することができる。この場合において、湾曲部の曲率半径は、たとえばステープル針110の背111の長さの2倍程度にすることが好ましい。
【0096】
(その他)
実施の形態1において、保持部材40は、ステープル針110を紙束100から除去する際に、紙束100が回転、および移動しないよう、動作方向DR3において、ステープル針110と同ライン上1点に配置されてもよい。保持部材40は、ステープル針110と上記同ラインを挟んで対称に複数個所に配置されても良い。
【0097】
実施の形態1では積載台11と第一刃20で紙束100を互い違いに挟みこむことで、隙間120を形成しているが、第一刃20ではなく、別構成の押し付け部材を用いることにより、紙束100を撓ませてもよい。ステープル針110を除去する動作中において、上記押し付け部材を動かさず一定の位置で押さえることにより、第一刃20は、紙束100を押さえ付けずに紙束100上を移動することができる。これにより、紙束100の表面を第一刃20の狭端20aが擦ることによる紙束100のダメージを小さくすることができる。
【0098】
実施の形態1において、ステープル針110は、1か所に配置されているが、ステープル針110が数か所に配置される場合がある。その場合、複数のステープル針110を除去するためには、複数のステープル針110それぞれの下方の複数個所に連通空間12が形成されていることが好ましい。
【0099】
実施の形態1において、ステープル針110を除去する紙束100が複数部ある場合、連続性を考えて複数部を重ねた状態でステープル針110の除去動作を行ってもよい。しかし、紙束100を複数部を重ねると、ステープル針110が重なった部分だけ高さが異なる等の不確定要素が増えるため、複数部の紙束100のうち一束ずつ搬送し、積載台11に載置することが好ましい。
【0100】
実施の形態2の支持部13は、支持部13全体が弾性部材でなくてもよく、支持部13の一部が弾性部材からなる構成であってもよい。
【0101】
実施の形態3の支持部13は、連通空間12の両側に、動作方向DR3に延びる直方体からなる支持台が設けられている構成でもよい。
【0102】
実施の形態3において、長手方向DR1における押圧部50の幅(
図8中F)は、長手方向DR1における連通空間12の幅(
図8中G)以上の大きさであってもよい。
【0103】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0104】
1 ステープル針リムーバー、10 変形補助部、11 積載台、11a,13a 表面、11b,13b 裏面、12 連通空間、12a 縁、13 支持部、16 搬送ローラー、17 対向ローラー、20 第一刃、20a 端、20b 広端、30 浮き防止部材、40 保持部材、50 押圧部、60 第二刃、80 カム機構、81 ラック、82 ピニオンギヤ、82a,84a 軸、83 仲介部材、84 バネ、85 カム、100 紙束、110 ステープル針、111 背、112 足、113 貫通部、120,121,122,124 隙間、DR1 長手方向、DR2 厚み方向、DR3 動作方向、DR4 前進方向、T 端部。