(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】画像読取装置、画像形成装置、画像読取方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/028 20060101AFI20220308BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20220308BHJP
H01L 27/146 20060101ALN20220308BHJP
【FI】
H04N1/028 C
H04N1/04 D
H01L27/146 A
(21)【出願番号】P 2018033802
(22)【出願日】2018-02-27
【審査請求日】2020-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】畔野 正彦
(72)【発明者】
【氏名】三宅 茂
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-153667(JP,A)
【文献】特開平10-075333(JP,A)
【文献】特開2006-179970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/024- 1/207
G06T 1/00
H01L 27/146-27/148
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の主走査方向に読取画素を配列したラインセンサを、複数の異なる色のライン毎に副走査方向に配列した読取部を有する画像読取装置であって、
前記ライン毎に順に
主走査方向において1/N(Nは整数のライン数)ずらし、所定領域を重ね合わせるよう読取タイミングを制御する読取タイミング制御部と、
前記読取タイミング制御部の読取タイミングに基づき前記被写体の画像を読み取る読取画像取得部と、
前記読取画像取得部で取得した前記被写体の画像を合成する画像合成部と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記読取部は、前記ラインセンサを構成する画素単位の主走査方向の画素ピッチに対し、副走査方向に複数ラインを構成する副走査方向の画素ピッチを小さくしたことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記ラインセンサは、副走査方向の複数のラインでの画素ピッチをM/N(N:ライン数、M:整数でM<N)にしたことを特徴とする請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記請求項1~3の何れか一つに記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置から出力される画像信号に基づいて画像形成を行う画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
被写体の主走査方向に読取画素を配列したラインセンサを、複数の異なる色のライン毎に副走査方向に配列した読取部を有する
画像読取装置で実行される画像読取方法であって、
前記ライン毎に順に
主走査方向において1/N(Nは整数のライン数)ずらし、所定領域を重ね合わせるよう読取タイミングを制御する読取タイミング制御工程と、
前記読取タイミング制御工程の読取タイミングに基づき前記被写体の画像を読み取る読取画像取得工程と、
前記読取画像取得工程で取得した前記被写体の画像を合成する画像合成工程と、
を含むことを特徴とする画像読取方法。
【請求項6】
被写体の主走査方向に読取画素を配列したラインセンサを、複数の異なる色のライン毎に副走査方向に配列した読取部を有するコンピュータに、
前記ライン毎に順に
主走査方向において1/N(Nは整数のライン数)ずらし、所定領域を重ね合わせるよう読取タイミングを制御する読取タイミング制御ステップと、
前記読取タイミング制御ステップの読取タイミングに基づき前記被写体の画像を読み取る読取画像取得ステップと、
前記読取画像取得ステップで取得した前記被写体の画像を合成する画像合成ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、画像形成装置、画像読取方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光電変換素子として密着イメージセンサを用いた画像読取装置がある。密着イメージセンサとしては、センサチップを複数個並べて配列し、等倍光学系と組み合わせたCIS(コンタクトイメージセンサ)がある。CIS内のセンサチップとしては、CCDセンサまたは、CMOSセンサを用いた2種類に大別される。近年、装置を小型化できる、光源光量が少なくて済む、等の特徴から、いわゆるMFP(デジタル複合機)等の画像形成装置においても、CISを使用する画像読取装置を用いるケースが増えている。
【0003】
CISはひとつの光電変換素子を画素として主走査方向にライン上に並べ、副走査方向にRGBの3色に対応するように3ラインに並べて3色の画素情報として読み取りを行う。副走査方向に1画素幅を持つラインセンサを用いて、読み取った場合にはRGBで1ラインずつのずれを同一タイミングで読み取っていることになる。このRGB画像情報に対してラインディレイを与えてRGBの画像情報を扱えば正確に同一領域の画像情報をRGB情報として管理することが可能である。また、RGB3色を別々に発光できる光源である場合はセンサ部を1ラインのみとし、光源側をRGB3色の別々の波長域で照射できるものを用意して、時分割でR点灯→R情報読み取り、G点灯→G情報読み取り、B点灯→B情報読み取りと3色を順次読み取るようにしている。
【0004】
例えば、特許文献1には、連続原稿読み取り時のページ間の処理をなくし、かつページ内での黒レベル変化も補正するために、黒レベルフィードバック演算処理手段は、上記検出した変化の量に応じて、記憶手段に記憶された上記黒レベルに対するフィードバック量を算出し、その黒レベルを上記検出した変化に追従させることが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記に示されるような従来の技術にあっては、画素を副走査方向に縮小させた場合には原稿上の同じ場所を正確に読み取ることができず、また、3ライン分を同時に読み取れるので高速に対応できるが、チップ面積が大きくなることでコストが高くなる。また、RGB3色を別々に発光できる光源で3色を順次読み取る場合、センサ部を1/3の面積に抑えることによりコストを抑えることができるが、時分割で処理するために高速な読み取りには対応できないという問題があった。また、副走査方向に1画素幅を持つラインセンサにより、同一タイミングで読み取るために1ラインのライン同期信号内で読み取った原稿画像の領域は、正確には1/3画像のずれをもって読み取られる。すなわち、RGB3色の画像情報はラインディレイの処理を行っても、同一の領域を読み取っていることにならず、正確に読み取っていることにならないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高速でかつ安価かつ正確な読み取りが可能な画像読み取りを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、被写体の主走査方向に読取画素を配列したラインセンサを、複数の異なる色のライン毎に副走査方向に配列した読取部を有する画像読取装置であって、前記ライン毎に順に主走査方向において1/N(Nは整数のライン数)ずらし、所定領域を重ね合わせるよう読取タイミングを制御する読取タイミング制御部と、前記読取タイミング制御部の読取タイミングに基づき前記被写体の画像を読み取る読取画像取得部と、前記読取画像取得部で取得した前記被写体の画像を合成する画像合成部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、高速でかつ安価かつ正確な読み取りが可能な画像読み取りが実現するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態にかかる画像読取装置の機構部の構成例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、
図1における画像読取装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態にかかる機能構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施の形態にかかる第2読取部の構成例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態にかかる第2読取部の部品構成例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、センサチップ内のラインセンサの構成例を示す断面図である。
【
図7】
図7は、センサチップの構成例(1)を示す平面図である。
【
図8】
図8は、ラインセンサの構成例(1)を示す平面図である。
【
図9】
図9は、センサチップの構成例(2)を示す平面図である。
【
図10】
図10は、ラインセンサの構成例(2)を示す平面図である。
【
図11】
図11は、
図8の構成における撮像タイミング例を示すタイミングチャートである。
【
図12】
図12は、ラインセンサを1ラインのみで構成し、光源側をR光源、G光源、B光源に切り替えながら順次それぞれの画像データの出力タイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【
図13】
図13は、実施の形態にかかる第2読取部の動作時の各画像データの出力タイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【
図14】
図14は、3ライン分の画素の領域に5ラインを配置した場合の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像読取装置、画像形成装置、画像読取方法、およびプログラムの一実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態)
まず、実施の形態である画像読取装置の構成について、
図1および
図2を参照して説明する。
図1は、実施の形態にかかる画像読取装置100の機構部の構成例を示す説明図である。
図2は、
図1における画像読取装置100の制御系の構成例を示すブロック図である。なお、
図2では、図示の都合上、
図1の第1読取部120の図示を省略している。
【0012】
画像読取装置100は、原稿束をセットする原稿セット部A、そのセットされた原稿束から1枚毎に原稿を分離して給送する分離給送部B、それによって給送された原稿を一次突当整合する働きと、整合後の原稿を引き出し搬送する働きのレジスト部C、それによって搬送される原稿をターンさせて、その読み取り面(片面原稿であれば画像面,両面原稿であれば一方の面である表面)を読み取り側(下方)に向けて搬送するターン部D、原稿の表面画像をコンタクトガラスの下方より読み取る第1読取搬送部E、読み取り後の原稿(両面原稿)の裏面画像を読み取る第2読取搬送部F、表面画像又は両面画像の読み取りが完了した原稿を機外に排出する排紙部G、読み取り完了後の原稿を積載保持するスタック部H、これら搬送動作の駆動を行う駆動部、一連の動作を制御するコントローラ部200とから構成されている。
【0013】
上記駆動部は、ピックアップモータ201、給紙モータ202、読取モータ203、排紙モータ204、底板上昇モータ206を含む。
【0014】
コントローラ部200は、CPU(Central Processing Unit)220、ROM(Read Only Memory)221、RAM(Random Access Memory)222などによるマイクロコンピュータシステムで構成される。CPU220は、コントローラ部200全体の制御を司る。ROM221には、CPU220が実行するプログラムが格納され、CPU220がこのプログラムをROM221から読み出し実行する。RAM222は、CPU220の制御時におけるワーキングメモリとして用いられる。
【0015】
画像読み取りを行う原稿束101をセットするのは、原稿セット部Aの可動原稿テーブル103を含む原稿テーブル102上であり、ユーザが原稿束101を画像面(両面原稿であれば表面)が上向きの状態でセットする。さらに、原稿束101の幅方向(搬送方向と直交する方向)の位置決めを図示しないサイドガイドによって行う。原稿のセットは、セットフィラ104および原稿セットセンサ105により検知され、その検知情報がコントローラ部200からインタフェース(以下「I/F」ともいう)207により本体制御部211へ送信される。
【0016】
さらに、原稿テーブル102のテーブル面に設けられた原稿長さ検知センサ130または131(反射型センサ又は原稿1枚でも検知可能なアクチェータ・タイプのセンサが用いられる)により、原稿の搬送方向の長さの概略が判定される。なお、その判定を可能にするため、少なくとも同一原稿サイズの縦か横かを判断可能なセンサ配置が必要となる。
【0017】
可動原稿テーブル103は、底板上昇モータ206により
図1に示すa,b方向に上下動可能な構成になっていて、通常は底板HPセンサ106によって検知されるホームポジション(HP)に位置している。
【0018】
その後、原稿がセットされたことをセットフィラ104および原稿セットセンサ105によって検知されると、その検知情報を受けたコントローラ部200が、底板上昇モータ206を正転させて、原稿束101の最上面がピックアップローラ107と接触する位置まで可動原稿テーブル103を上昇させる。
【0019】
ピックアップローラ107は、ピックアップモータ201によりカム機構で
図1に示すc,d方向に動作すると共に、可動原稿テーブル103が上昇し、可動原稿テーブル103上の原稿上面により押されてc方向に上がり、給紙適正位置センサ108により上限が検知可能となっている。
【0020】
本体操作部208上のプリントキーが押下され、その旨がI/F206を介して本体制御部211へ通知され、その本体制御部211からI/F207を介してコントローラ部200へ原稿給紙信号が送信されると、ピックアップローラ107は給紙モータ202の正転によりコロが回転駆動し、原稿テーブル102上の数枚(理想的には1枚)の原稿をピックアップする。回転方向は、最上位の原稿を給紙口に搬送(給紙)する方向である。
【0021】
給紙ベルト109は給紙モータ202の正転により給紙方向に駆動され、分離給送部Bのリバースローラ110は給紙モータ202の正転により給紙と逆方向に回転駆動され、最上位の原稿とその下の原稿とを分離して、最上位の原稿のみを給紙できる構成となっている。
【0022】
さらに詳しく説明すると、リバースローラ110は給紙ベルト109と所定圧で接し、給紙ベルト109と直接接しているとき、または原稿1枚を介して接している状態では給紙ベルト109の回動につられて反時計方向に連れ回りし、原稿が万が一2枚以上給紙ベルト109とリバースローラ110との間に侵入した時には、連れ回り力がトルクリミッタのトルクよりも低くなるように設定されており、リバースローラ110は本来の駆動方向である時計方向に回転駆動して、余分な原稿を押し戻す働きをし、重送が防止される。
【0023】
給紙ベルト109とリバースローラ110との作用によって1枚に分離された原稿は、給紙ベルト109によってさらに送られ、レジスト部Cの突き当てセンサ111によって先端が検知され、さらに進んで停止しているプルアウトローラ112に突き当たる。
【0024】
そのプルアウトローラ112に突き当たった原稿は、突き当てセンサ111の検知時点から所定量定められた距離だけ送られ、結果的には、プルアウトローラ112に所定量撓みを持って押し当てられた状態で給紙モータ202を停止させることにより、給紙ベルト109の駆動が停止し、待機状態となる。
【0025】
このとき、ピックアップモータ201を回転させることでピックアップローラ107を原稿上面から退避させ、原稿を給紙ベルト109の搬送力のみで送ることにより、原稿先端は、プルアウトローラ112の上下ローラ対のニップに進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。
【0026】
プルアウトローラ112は、上記スキュー補正の機能を有すると共に、分離後にスキュー補正された原稿を中間ローラ114まで搬送するためのローラであり、給紙モータ202の逆転により駆動される。また、このとき(給紙モータ202逆転時)、プルアウトローラ112と中間ローラ114は駆動されるが、ピックアップローラ107と給紙ベルト109は駆動されていない。
【0027】
原稿幅センサ113は、奥行き方向に複数個並べられ、プルアウトローラ112により搬送された原稿の搬送方向(副走査方向)に直交する幅方向(主走査方向)のサイズを検知する。
【0028】
また、原稿の搬送方向の長さは、原稿の先端と後端を突き当てセンサ111で検知し、その先端検知時点から後端検知時点まで給紙モータ202の出力パルスをカウントすることによって検知する。
【0029】
プルアウトローラ112および中間ローラ114の駆動により、レジスト部Cからターン部Dに原稿が搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を第1読取搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定して原稿を第1読取搬送部Eへ送り込む処理時間の短縮が図られている。
【0030】
原稿の先端が読取入口センサ115によって検出されると、読取入口ローラ116の上下ローラ対のニップに原稿の先端が進入する前に、原稿搬送速度を読取搬送速度と同速にするために減速を開始すると同時に、読取モータ203を正転駆動して読取入口ローラ116,読取出口ローラ123,CIS出口ローラ127を駆動する。
【0031】
原稿の先端をレジストセンサ117にて検知すると、コントローラ部200が、所定の搬送距離をかけて減速させ、第1読取部120による読取位置の手前で一時停止させると共に、本体制御部211へI/F207を介してレジスト停止信号を送信する。
【0032】
その後、コントローラ部200が本体制御部211より読取開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿は、第1読取部120による読取位置に先端が到達するまでに所定の搬送速度に立ち上がるように増速されて搬送される。
【0033】
そして、読取モータ203の出力パルスをカウントすることによって検出された原稿の先端が第1読取部120による読取位置に到達するタイミングで、コントローラ部200により本体制御部211に対して原稿の第1面(表面)の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号の送信が開始され、第1読取部120による読取位置を原稿の後端が抜けるまで送信される。
【0034】
片面原稿の画像読み取りを行う場合には、第1読取搬送部Eを通過した原稿は第2読取搬送部Fの第2読取部125を経て排紙部Gへ搬送される。この際、コントローラ部200が排紙センサ124により原稿の先端を検知すると、排紙モータ204を正転駆動して排紙ローラ128を回転させる。また、排紙センサ124による原稿の先端検知からの排紙モータ204の出力パルスをカウントすることにより、原稿の後端が排紙ローラ128の上下ローラ対のニップから抜ける直前に排紙モータ204の駆動速度を減速させて、スタック部Hを構成する排紙トレイ129上に排出される原稿が飛び出さないように制御される。
【0035】
第1読取ローラ119は、第1読取部120における原稿の浮きを抑えると同時に、第1読取部120におけるシェーディングデータを取得するための基準白部を兼ねるものである。
【0036】
両面原稿の画像読み取りを行う場合には、コントローラ部200が排紙センサ124にて原稿の先端を検知してから読取モータ203の出力パルスをカウントすることにより、第2読取部125による読取位置に原稿先端が到達するタイミングで、コントローラ部200により本体制御部211に対して原稿の第2面(裏面)の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号の送信が開始され、第2読取部125の読取位置を原稿の後端が抜けるまで送信される。
【0037】
第2読取ローラ126は、第2読取部125における原稿の浮きを抑えると同時に、第2読取部125におけるシェーディングデータを取得するための基準白部を兼ねるものである。
【0038】
図3は、実施の形態にかかる機能構成例を示すブロック図である。
図3に示す読取画像処理部10は、読取タイミング制御部11と、読取画像取得部12と、画像合成部13と、を備える。読取タイミング制御部11は、ライン毎に順に1/N(Nは整数のライン数)ずらし、所定領域を重ね合わせるよう読取タイミングを制御する。読取画像取得部12は、読取タイミング制御部11の読取タイミングに基づき被写体の画像を読み取る。画像合成部13は、読取画像取得部12で取得した前記被写体の画像を合成する。
【0039】
なお、上記
図3の機能の一部または全部をソフトウェアまたはハードウェアで構成してもよい。
【0040】
図4は、実施の形態にかかる第2読取部125の構成例を示す断面図である。
図5は、実施の形態にかかる第2読取部125の部品構成例を示す説明図である。
【0041】
図4および
図5において、導光体403a、403bは、LED白色光源411,412から照射される光を主走査方向に導出する、レンズアレイ402は、アレイ状に形成され、上記光をセンサチップ400に集光させる。センサチップ400は、受光素子であるセンサを有し、これらを主走査方向にラインセンサを構成する。複数のセンサチップ400は、基板401上にワイヤで直接ボンディングするなどして基板401上の配線と接続させている。基板401上には図示しないA/D変換部や出力制御部、IF回路部などがある。硝子板404は、センサチップ400や導光体403a,403bをカバーして汚れなどを防止するためのものである。樹脂体413は、上記各構成部品を所定位置に支持するように樹脂成形されている。符号405は反射板である。
【0042】
この各センサチップ400には、被写体である原稿からの反射光を受光可能な受光部と遮光された遮光部(OPB)とが形成されており、受光部と遮光部の信号を出力する。
【0043】
なお、CISモジュールは、原稿の裏面の画像を読み取る際に使用されるケースが多いため、この実施の形態では第2読取部125に使用しているが、第1読取部120に使用することも勿論できる。
【0044】
各センサチップ400でそれぞれ読み取られたアナログ画像信号は、対応する各アンプ回路によってそれぞれ増幅された後、対応する各A/Dコンバータ(A/D変換手段)によってそれぞれデジタル画像信号(デジタル画像情報)に変換される。これらデジタル画像信号(以下「画像データ」ともいう)は、出力制御回路によって本体制御部211に受入可能なデータ形式に変換された後、I/F回路を経由して本体制御部211に出力される。
【0045】
また、センサチップ400内の受光部と遮光部の画素毎の出力レベルとは、この実施の形態においては、対応するA/Dコンバータから出力されるデジタル画像信号の対応する信号成分の階調レベルを示すものである。
【0046】
図6は、センサチップ400内のラインセンサ411の構成例を示す断面図である。ラインセンサ412は、通常の受光部となる。ラインセンサ412は、光電変換素子411を含む画素で主走査方向に配列して構成されている。OPB413は、そのラインセンサ412を遮光して作られた黒レベル専用の遮光部である。回路部414には、図示されない各種アンプやメモリ、タイミング制御部、クロック生成部、出力制御部、IF回路などが含まれている。なお、A/D変換部はセンサチップ400内に置く構成としても良いし、センサチップ400の外部に別チップとして各チップからのアナログデータをまとめる形にしてもよい。
【0047】
また、第2読取部125は、透過する波長域の異なるラインセンサ412を副走査方向に複数配列した構成となっている。
【0048】
図7は、センサチップ400の構成例(1)を示す平面図である。
図7では、センサチップ400内の一つの光電変換素子411を含む画素の並びを主走査方向および副走査方向の構成について示している。
図7では、ラインセンサ412を構成する画素は、主走査方向の画素と画素のピッチ(間隔)Xと、このラインを副走査方向に並べた場合の画素のピッチXを等しくしている。
【0049】
図8は、ラインセンサ412の構成例(1)を示す平面図である。
図8では、ラインセンサ412を、副走査方向にOPB(遮光部)、G(グリーン)画像を読み取るセンサ、R(レッド)画像を読み取るセンサ、B(ブルー)画像を読み取るセンサを順に配列した構成について示している。
【0050】
図9は、センサチップ400の構成例(2)を示す平面図である。
図9では、ラインセンサ412を構成する画素は、主走査方向には
図7と同じであるが、それに対して副走査方向の画素ピッチを1/3ピッチにした構成について示している。
【0051】
図10は、ラインセンサ412の構成例(2)を示す平面図である。
図10では、ラインセンサ412を、
図8と同様の順に、副走査方向にOPB(遮光部)、G(グリーン)画像を読み取るセンサ、R(レッド)画像を読み取るセンサ、B(ブルー)画像を読み取るセンサを順に配列した構成について示している。この場合、
図10では、副走査方向に画素ピッチを1/3ピッチにした構成となっている。これにより、センサチップ400のラインセンサ部分の面積は
図10に示すように1/3に縮小することができる。
【0052】
3ライン以上の複数ラインNである場合は、M/Nに画素ピッチを縮小する。MはN以下の整数とする。例えば、6ラインのラインセンサを構成する場合には、1/6のピッチにすれば、主走査方向の1画素の大きさに副走査方向の全ラインが収まる。2/6のピッチにすれば、主走査方向の2画素の大きさに副走査方向の全ラインが収まる。つまり、M/Nの画素ピッチにすることで主走査方向の1画素サイズ換算でM画素のサイズに副走査方向の画素が収まることになる。こうすることによって照明系やロッドレンズは副走査方向にコンパクトにすることが可能となりコストを抑えたCISモジュールを提供できる。以下、具体例を挙げて説明する。
【0053】
図13は、第2読取部125の動作時の各画像データの出力タイミングの一例を示すタイミングチャートである。この
図13に示すように、1/3タイミングずらしてそれぞれを読むようにすれば、原稿面上の同一領域を読むことができるようになり正確に読み取ることが可能となる。
【0054】
画素がラインを構成する方向を主走査方向とし、それと直交する副走査方向に被写体は搬送されるか、被写体が固定されて撮像を行なう物体(この場合はラインセンサ412)が搬送される。ラインセンサ412の光学系が等倍光学系を構成している場合、すなわち、例えば600dpiの解像度をもつ等倍系の光学系であれば1画素の大きさは約42.3μの大きさでセンサ上の画素の大きさと被写体の画素の大きさも1対1の関係にある。その場合、
図7に示すように主走査方向も副走査方向も同じ大きさであれば、3ラインを構成して3ライン同時撮像するならば被写体上の副走査方向の画像は別の位置を撮像することになる。
【0055】
すなわち、3色は時間軸上で遅れて被写体上の同位置を撮像することになる。1ラインに同期するタイミングで3ライン分を処理していくならば、1ラインディレイの処理を行えば、被写体上の同位置の3色分の画像は撮像後に合成することで同一の位置の画像を正確に処理することが可能である。
【0056】
図10のように副走査方向の画素が1/3になっている場合は、3ライン同時に撮像すれば後ほど1ラインディレイで合成しても1/3ずれた位置の画像を3色で合成することになるので不正確である。そこで3色(3ライン)のデータの撮像タイミングを1/3ずらしてスタートさせれば正確な画像を合成することが可能となる。
【0057】
さらに
図14に示すようなRGB3ラインよりも多くの複数Nラインの場合には、撮像タイミングを1/Nタイミングずらして読むようにすれば同様に正確な読み取りが可能となる。
【0058】
図14は、3ライン分の画素の領域に5ラインを配置した場合の例を示す説明図である。この場合は
図15のように1ラインの撮像タイミングを1/5tにずらして撮像タイミングをずらすことで正確な位置の画素の合成を行うことが可能となる。
【0059】
また、
図14のように3ラインの画素を構成する領域に副走査方向に画素を3/5に縮小して構成すれば、従来のCISモジュールで使用されているロッドレンズや光源などの光学系を再設計、新規製造することなく3色よりも多色のセンサモジュールを製造することができ、製造コストを大幅に削減して付加価値の高いマルチバンドのセンシング手段を提供することが可能となる。レンズや光学系の再設計、新規製造には非常に高額なコストがかかるが、それらを抑えることができ安価で付加価値の高いセンシング手段となる。
【0060】
次に、従来における画像読取装置の構成および撮像タイミングについて説明する。CISはひとつの光電変換素子を画素として、主走査方向にライン上に並べ、それを例えば、副走査方向にRGBの3色に対応するように3ラインに並べることでRGBの3色の画素情報として読み取りを行う。光源は白色LED光源である場合とRGB3色を別々に発光できる光源である場合が一般的である。
【0061】
白色LED光源である場合は、RGBの3色の情報の読み取りはライン毎にRGBそれぞれの波長域毎にそのRGBフィルタを各ライン上部に別々に配置することで実現している。さらに
図12のように同時に撮像タイミングをオンさせていたが、これでは
図10のように画素を副走査方向に縮小させた場合には原稿上の同じ場所を正確に読み取ることができない。また、
図12のように3ライン分を同時に読み取れるので高速に対応できるメリットがあるがチップ面積が大きくなることでコストが高くなるというデメリットがある。
【0062】
一方、RGB3色を別々に発光できる光源である場合、センサ部は1ラインのみとし、光源側をRGB3色の別々の波長域を発色できるものを用意して、時分割でR点灯→R情報読み取り、G点灯→G情報読み取り、B点灯→B情報読み取りと3色を順次読み取るようにしている。センサ部を1/3の面積に抑えることによりコストを抑えることができるが、
図13のように時分割で処理するために高速な読み取りには対応できない。
【0063】
さらに、光源が白色LED光源である場合の従来の問題点を以下に詳しく述べる。
図7は、センサチップ内のひとつの光電変換素子を含む画素の並びを表しており、この画素を主走査方向に1列にライン上に並べ、また、副走査方向に例えばRGBの3ラインに並べてラインセンサを構成している。OPB(オプティカルブラック)の1ラインを追加する、または別のフィルタを追加したさらに複数ラインとしてもよい。
【0064】
この主走査方向の画素と画素のピッチ(間隔)Xと、このラインを副走査方向に並べた場合の副走査方向の画素のピッチを等しくとった従来のラインセンサを
図8に示す。
図12は、
図8の場合のラインセンサにおいて、センサチップでの画素データの撮像タイミングの一例を表したタイミング図である。これらは
図12のようにライン周期を表すLSYNCに同期してRGBのように複数ラインを同時に読み取るようにする。3ライン分を同時に読み取れるので高速に対応できるメリットがあるがチップ面積が大きくなることでコストが高くなるというデメリットがある。
【0065】
これに対して、後者のRGB3色を別々に発光できる光源である場合の従来の不具合点を以下に詳しく述べる。
図11は、
図8の構成における撮像タイミング例を示すタイミングチャートである。この
図11は低コスト化を狙って
図8のラインセンサを1ラインのみで構成し、光源側をR光源、G光源、B光源に切り替えながら順次それぞれのデータをよみとっていくタイミングを表している。1ラインのデータを読み取り、その後、増幅や補正処理を行うのでセンサおよび後段の増幅や補正に関する回路は1色分でよい。従って、3色分のセンサ、および回路をもつ前者(光源が白色LED)に対して、後者(光源が3色)はコスト面で有利である。しかしながら、読み取りに要する時間は回路の構成によって決まってくるため、1ラインのラインセンサでは処理時間を要するために
図8の構成に比べて高速に読み取りができないというデメリットがある。
【0066】
さらに、チップサイズと読み出し時間以外の特徴としては、
図8に示す副走査方向に1画素幅を持つラインセンサを用いて、
図12に示すタイミングで読み取った場合にはRGBで1ラインずつのずれを同一タイミングで読み取っていることになる。このRGB画像情報に対してラインディレイを与えてRGBの画像情報を扱えば正確に同一領域の画像情報をRGB情報として管理することが可能である。
【0067】
しかしながら、
図10に示すラインセンサにより、
図12のようなタイミングで原稿を読み取った場合、同じように同一タイミングで読み取るために1ラインのライン同期信号内で読み取った原稿画像の領域は正確には1/3画像のずれをもって読み取れる。すなわち、RGB3色の画像情報はラインディレイの処理を行っても、同一の領域を読み取っていることにならず、正確に読み取っていることにならない。
【0068】
これに対して本実施の形態は、以上説明してきたように、撮像タイミングをずらしてオーバーラップさせながら読み取ることにより、原稿面上の同一領域を読むことができる。したがって、センサ部分の面積を小さくしながら、時分割では対応させずに読み取りタイミングをオーバーラップさせることで、高速にまた正確に読み取ることが可能で安価なCISモジュールを提供することができる。
【0069】
また、上述した実施の形態の画像読取装置100を、複合機に搭載し、画像読取装置100から出力される画像信号に基づいて画像形成を行う構成としてもよい。
【0070】
(プログラム)
本実施の形態の画像読取装置100で実行されるプログラムは、各モジュールが有するROM等に予め組み込まれて提供される。また、上記プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。
【0071】
さらに、本実施の形態で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施の形態で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0072】
本実施の形態で実行されるプログラムは、上述した各部を含むモジュール構成となっている。実際のハードウェアとしてはCPUが上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0073】
なお、上述してきた実施の形態は本発明を実現するための一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しない。これらの新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また、これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
11 読取タイミング制御部
12 読取画像取得部
13 画像合成部
100 画像読取装置
125 第2読取部
200 コントローラ部
220 CPU
221 ROM
222 RAM
400 センサチップ
412 ラインセンサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】