(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
A01C 11/02 20060101AFI20220308BHJP
A01B 69/00 20060101ALI20220308BHJP
A01C 11/00 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
A01C11/02 350L
A01B69/00 303M
A01B69/00 303J
A01C11/02 331D
A01C11/02 320A
A01C11/02 350F
A01C11/00 A
(21)【出願番号】P 2018034825
(22)【出願日】2018-02-28
【審査請求日】2020-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【氏名又は名称】松田 正道
(74)【代理人】
【識別番号】110000899
【氏名又は名称】特許業務法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤家 久定
(72)【発明者】
【氏名】加藤 哲
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-7196(JP,A)
【文献】特開2001-95336(JP,A)
【文献】特開2017-211734(JP,A)
【文献】特開2016-21890(JP,A)
【文献】特開2017-85965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/02
A01B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)と、
前記走行車体(2)の後方に連結された植付装置(1000)と、
前記走行車体(2)の位置情報を取得する位置情報取得装置(300)と、
前記位置情報取得装置(300)により取得された前記位置情報と、所定の走行経路情報とに基づいて、前記走行車体を自動走行させる制御部(400)と、を備え、
前記植付装置(1000)は、
圃場に苗を植付ける苗植付部(1200)と、
予めロール状に巻き回されたロール状苗を保持すると共に、前記ロール状苗の一端側から前記苗植付部(1200)に苗を供給するロール状苗供給部(1100)と、を有
し、
前記ロール状苗供給部(1100)は、
前記ロール状苗を回動可能に保持する保持部(110)と、
前記保持部(110)に保持されている前記ロール状苗を前記苗植付部(1200)側に送り出す送出し部(140)と、
苗が載置され送られる苗供給台(100)と、
苗供給台(100)に回動可能に配置され、前記送出し部から送り出されてくるそれぞれの条の苗を浮き上がらない様に上方から押さえるガイドローラ装置(120)とを備え、
ガイドローラ装置(120)は、
苗を上方から覆うと共に、各条の苗がスムーズに下流側に送られる様に案内するガイドプレート(122)と、
ガイドプレート(122)と苗供給台(100)との間の距離を調整するため、ガイドプレート(122)の下流端側の、送られてくる苗と干渉しない位置に設けられ、苗供給台(100)側へ突出する突出部を有する高さ調節部(127)とを有し、
ガイドプレート(122)の左右両端縁部に押さえ用突起部(122a)を設けると共に、その押さえ用突起部(122a)に上側から当接するアーム(162)を有する移動規制機構(160)を苗供給台(100)に左右両側に設けることで、ガイドプレート(122)が苗供給台(100)から離れてしまわない様にすることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記所定の走行経路情報には、前記走行車体を自動で旋回させる際に基準となる旋回基準ラインの位置情報が含まれており、
前記植付装置(1000)を昇降させる昇降装置(3)と、
前記走行車体(2)の少なくとも前方において、前記昇降装置により上昇させられた前記植付装置(1000)に対して前記旋回の障害となる障害物の有無を検知する障害物検知部(70)と、を備え、
前記制御部(400)は、前記障害物検知部(70)による前記検知結果に基づいて、前記旋回基準ラインの位置情報を変更して前記旋回を行わせる、ことを特徴とする請求項1記載の作業車両。
【請求項3】
前記制御部(400)は、前記走行車体(2)の走行軌跡が、前記所定の走行経路情報から所定範囲を超えてずれていると判定した場合、前記植付装置(1000)による植付動作を停止させると共に、前記植付装置(1000)を上昇させる、ことを特徴とする請求項
1又は2の何れか一つに記載の作業車両。
【請求項4】
走行車輪(10)を操舵するステアリング装置(34)と、
前記ステアリング装置(34)を前記制御部(400)からの指令に基づいて駆動させる操舵モータ(210)と、
前記操舵モータ(210)について操舵モータ210の負荷が異常に大きく所定の閾値以上であるか否かを検知するロック検知部(230)と、を備え、
前記制御部(400)は、前記ロック検知部(230)による前記検知結果が、前記操舵モータ(210)の負荷が異常に大きく所定の閾値以上である状態にあると判定した場合、前記走行車体(2)の車速を減速させる、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗移植機等の作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場での苗の植付け等の作業を行う苗移植機等の作業車両としては、GPSを搭載し、操舵部材を制御して、機体の進行方向を自動的に修正することが出来る自動操舵装置が設けられたものが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自動操舵装置により直進運転操作の負担は軽減されたが、苗タンクに苗を補給する作業は軽減されていない。
【0005】
本発明は、上述した従来の作業車両のこの様な課題に鑑みて、苗補給回数が従来よりも減り作業性を向上させることが出来る作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明は、
走行車体(2)と、
前記走行車体(2)の後方に連結された植付装置(1000)と、
前記走行車体(2)の位置情報を取得する位置情報取得装置(300)と、
前記位置情報取得装置(300)により取得された前記位置情報と、所定の走行経路情報とに基づいて、前記走行車体を自動走行させる制御部(400)と、を備え、
前記植付装置(1000)は、
圃場に苗を植付ける苗植付部(1200)と、
予めロール状に巻き回されたロール状苗を保持すると共に、前記ロール状苗の一端側から前記苗植付部(1200)に苗を供給するロール状苗供給部(1100)と、を有し、
前記ロール状苗供給部(1100)は、
前記ロール状苗を回動可能に保持する保持部(110)と、
前記保持部(110)に保持されている前記ロール状苗を前記苗植付部(1200)側に送り出す送出し部(140)と、
苗が載置され送られる苗供給台(100)と、
苗供給台(100)に回動可能に配置され、前記送出し部から送り出されてくるそれぞれの条の苗を浮き上がらない様に上方から押さえるガイドローラ装置(120)とを備え、
ガイドローラ装置120は、
苗を上方から覆うと共に、各条の苗がスムーズに下流側に送られる様に案内するガイドプレート122と、
ガイドプレート122と苗供給台100との間の距離を調整するため、ガイドプレート122の下流端側の、送られてくる苗51と干渉しない位置に設けられ、苗供給台100側へ突出する突出部を有する高さ調節部127とを有し、
ガイドプレート122の左右両端縁部に押さえ用突起部122aを設けると共に、その押さえ用突起部122aに上側から当接するアーム162を有する移動規制機構160を苗供給台100に左右両側に設けることで、ガイドプレート122が苗供給台100から離れてしまわない様にすることを特徴とする作業車両である。
第2の本発明は、
前記所定の走行経路情報には、前記走行車体を自動で旋回させる際に基準となる旋回基準ラインの位置情報が含まれており、
前記植付装置(1000)を昇降させる昇降装置(3)と、
前記走行車体(2)の少なくとも前方において、前記昇降装置により上昇させられた前記植付装置(1000)に対して前記旋回の障害となる障害物の有無を検知する障害物検知部(70)と、を備え、
前記制御部(400)は、前記障害物検知部(70)による前記検知結果に基づいて、前記旋回基準ラインの位置情報を変更して前記旋回を行わせる、ことを特徴とする請求項1の本発明の作業車両である。
第3の本発明は、
前記制御部(400)は、前記走行車体(2)の走行軌跡が、前記所定の走行経路情報から所定範囲を超えてずれていると判定した場合、前記植付装置(1000)による植付動作を停止させると共に、前記植付装置(1000)を上昇させる、ことを特徴とする第1又は2の本発明の作業車両である。
第4の本発明は、
走行車輪(10)を操舵するステアリング装置(34)と、
前記ステアリング装置(34)を前記制御部(400)からの指令に基づいて駆動させる操舵モータ(210)と、
前記操舵モータ(210)について操舵モータ210の負荷が異常に大きく所定の閾値以上であるか否かを検知するロック検知部(230)と、を備え、
前記制御部(400)は、前記ロック検知部(230)による前記検知結果が、前記操舵モータ(210)の負荷が異常に大きく所定の閾値以上である状態にあると判定した場合、前記走行車体(2)の車速を減速させる、ことを特徴とする第1乃至3の何れか一つの本発明の作業車両である。
本発明に関連する第1の発明は、
走行車体(2)と、
前記走行車体(2)の後方に連結された植付装置(1000)と、
前記走行車体(2)の位置情報を取得する位置情報取得装置(300)と、
前記位置情報取得装置(300)により取得された前記位置情報と、所定の走行経路情報とに基づいて、前記走行車体を自動走行させる制御部(400)と、を備え、
前記植付装置(1000)は、
圃場に苗を植付ける苗植付部(1200)と、
予めロール状に巻き回されたロール状苗を保持すると共に、前記ロール状苗の一端側から前記苗植付部(1200)に苗を供給するロール状苗供給部(1100)と、を有する、ことを特徴とする作業車両である。
【0007】
本発明に関連する第2の発明は、
前記ロール状苗供給部(1100)は、
前記ロール状苗を回動可能に保持する保持部(110)と、
前記保持部(110)に保持されている前記ロール状苗を前記苗植付部(1200)側に送り出す送出し部(140、150)と、を有している、
ことを特徴とする上記本発明に関連する第1の発明の作業車両である。
【0008】
本発明に関連する第3の発明は、
前記所定の走行経路情報には、前記走行車体を自動で旋回させる際に基準となる旋回基準ラインの位置情報が含まれており、
前記植付装置(1000)を昇降させる昇降装置(3)と、
前記走行車体(2)の少なくとも前方において、前記昇降装置により上昇させられた前記植付装置(1000)に対して前記旋回の障害となる障害物の有無を検知する障害物検知部(70)と、を備え、
前記制御部(400)は、前記障害物検知部(70)による前記検知結果に基づいて、前記旋回基準ラインの位置情報を変更して前記旋回を行わせる、
ことを特徴とする上記本発明に関連する第1又は第2の発明の作業車両である。
【0009】
本発明に関連する第4の発明は、
前記制御部(400)は、前記走行車体(2)の走行軌跡が、前記所定の走行経路情報から所定範囲を超えてずれていると判定した場合、前記植付装置(1000)による植付動作を停止させると共に、前記植付装置(1000)を上昇させる、
ことを特徴とする上記本発明に関連する第1乃至第3の何れか一つの発明の作業車両である。
【0010】
本発明に関連する第5の発明は、
走行車輪(10)を操舵するステアリング装置(34)と、
前記ステアリング装置(34)を前記制御部(400)からの指令に基づいて駆動させる操舵モータ(210)と、
前記操舵モータ(210)がロック状態にあるか否かを検知するロック検知部(230)と、を備え、
前記制御部(400)は、前記ロック検知部(230)による前記検知結果が、前記操舵モータ(210)が前記ロック状態にあることを示していると判定した場合、前記走行車体(2)の車速を減速させる、
ことを特徴とする上記本発明に関連する第1乃至第4の何れか一つの発明の作業車両である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に関連する第1の発明により、苗補給回数が従来よりも減り作業性を向上させることが出来る。
【0012】
本発明に関連する第2の発明により、本発明に関連する第1の発明の効果に加えて、ロール状苗を保持部(110)で保持する構成により、ロール状苗の補給が容易に行える。
【0013】
本発明に関連する第3の発明により、本発明に関連する第1又は第2の発明の効果に加えて、旋回時に、植付装置(1000)が、畦に設けられた壁等の障害物に接触することを防止出来る。
【0014】
本発明に関連する第4の本発明により、本発明に関連する第1から第3の何れかの発明の効果に加えて、隣接する条の苗や畝に近づきすぎた場合でも、植付装置(1000)が上昇しているので、苗が押し倒されることや畦に植付装置が接触することを回避出来る。
【0015】
本発明に関連する第5の発明により、本発明に関連する第1から第4の何れかの発明の効果に加えて、安全性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明にかかる実施の形態における乗用田植機の左側面図
【
図2】(a)~(d):本実施の形態における乗用田植機の植付装置の要部の拡大模式図、(e):本実施の形態における乗用田植機の植付装置のガイドローラ装置の別の構成例を示す概略左側面図
【
図3】本実施の形態における乗用田植機の制御部と各種装置、スイッチ及びセンサとの接続関係を示すブロック図
【
図4】本実施の形態の乗用田植機における、障害物検知センサの取付高さの設定について説明するための概略側面図
【
図5】本実施の形態の乗用田植機における、自動運転制御を説明するために圃場の平面模式図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の作業車両の一実施の形態にかかる8条植えの乗用田植機について説明する。
【0018】
図1は本実施の形態にかかる乗用田植機の左側面図である。
【0019】
また、
図2(a)~(d)は、本実施の形態の植付装置1000の要部の拡大模式図である。具体的には、
図2(a)は、ガイドローラ装置120を矢印A方向(
図1参照)から見た概略模式図であり、
図2(b)は、ガイドローラ装置120の概略左側面であり、
図2(c)は、ガイドローラ装置120に装着されているローラーの概略側面図であり、
図2(d)は、ガイドローラ装置120に装着されているローラーの概略平面図である。なお、
図2(e)は、ガイドローラ装置120の別の構成例を示す概略左側面図である。
【0020】
なお、
図2(a)は、8条分配置されたロール状苗50から送り出されてくる8列の苗51の内、左側の2条分と右側の1条分に対応するガイドローラ装置120の部位を示しており、その間の部位は同じ構造であるのでその図示を省略した。
【0021】
図1に示す通り、本実施の形態の乗用田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して植付装置1000が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分(ホッパー)が設けられている。
【0022】
本実施の形態の植付装置1000は、(1)圃場に苗を植付ける苗植付部1200と、(2)予めロール状に巻き回されたロール状苗50を保持すると共に、ロール状苗50の一端側から苗植付部1200に苗を供給するロール状苗供給部1100とを有している。
【0023】
苗植付部1200は、苗取爪を有する植付具1210が左右両側に2つずつ、植付伝動軸(図示省略)からの駆動力により回動可能に配置された植付部材1220が横方向に等間隔で4つ(即ち、8条に対応)設けられており、各条毎に供給されてくる苗51の下端部の左右片側から苗を苗取爪で順次取得して圃場に植え付ける構成である。
【0024】
なお、ロール状苗供給部1100については、
図1、
図2を用いて更に後述する。
【0025】
また、本実施の形態の乗用田植機1では、人工衛星からの信号を所定間隔で受信する為の受信アンテナ310を備え、受信アンテナ310を介して位置情報取得装置300(
図3参照)により取得された位置情報が制御部400に送られて、自動操舵装置200により自動走行を行わせると共に、自動で植付作業を行わせることが出来る構成である。
【0026】
なお、自動走行運転を行うための構成については、主として
図3を用いて更に後述する。
【0027】
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にトランスミッションケース12が配置され、そのトランスミッションケース12の左右側方に設けられた前輪ファイナルケースを介して、左右前輪10,10が左右回動可能に各々取り付けられている。
【0028】
また、トランスミッションケース12の背面部に車体メインフレーム15の前端部が固着されており、他方、その車体メインフレーム15の後端左右中央部に水平に設けた後輪上下動支点軸(図示省略)を支点にして左右後輪ギヤケース18,18がローリング自在に支持され、その左右後輪ギヤケース18,18から外向きに突出する後輪車軸17に左右後輪11,11が取り付けられている。
【0029】
尚、左右後輪ギヤケース18,18には、トランスミッションケース12の後壁から平面視で斜め後方に向けて突出して設けられた、左右後輪ギヤケース18,18に連結した左右後輪伝動軸(図示省略)にて動力が伝達される構成となっている。
【0030】
エンジン20は車体メインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置及びHST(静油圧式無段階変速機)23(
図3参照)を介してトランスミッションケース12に伝達される。トランスミッションケース12に伝達された回転動力は、トランスミッションケース12内の変速装置により変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて左右前輪10,10を駆動すると共に、残りが左右後輪ギヤケース18,18に伝達されて左右後輪11,11を駆動する。
【0031】
また、トランスミッションケース12の右側側面より取出された外部取出動力は、植付クラッチ24(
図3参照)を介して植付伝動軸(図示省略)によって植付装置1000へ伝動される。植付伝動軸からの駆動力により、上述した通り植付具1210が回動すると共に、ロール状苗50を載置し苗植付部1200側に供給するための苗供給台100が左右方向に往復移動する構成である。
【0032】
施肥装置5の肥料繰出し機構へは、右後輪ギヤケース18から動力が駆動軸にて取出されて伝動される。
【0033】
また、エンジン20の上方には、操縦座席31が配置されており、その前方には、前輪10,10を操向操作するハンドル34が配置されている。
【0034】
また、
図1に示す通り、植付装置1000の下部には、中央とその左右両側にフロート40がそれぞれ設けられている。これらフロート40が圃場の泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に、4つの植付部材1220により2条ずつで、合計8条の苗が圃場に植え付けられる。
【0035】
また、ハンドル34の下方において各種計器類等が配置されたモニターパネル38には、後述する自動運転モードの入り切りを行うための自動運転モード入/切スイッチ60(
図3参照)等のスイッチ類や表示ランプ等が配置されておりそれぞれのスイッチから出力される信号は制御部400(
図3参照)に送られる構成である。
【0036】
ハンドル34の右側には、走行車体2の前進走行と後進走行の切り替え、及び走行速度などを設定したり、植付装置1000の昇降及び植付作業の入切を操作することが出来る作業操作レバー36が設けられている。作業操作レバー36の操作位置に連動して、モータ電動操作によるHST23のトラニオン軸(図示省略)の角度調節が行われることで走行速度が変更される。また、作業操作レバー36に設けられた昇降スイッチ36a(
図3参照)、及び植付入切スイッチ(図示省略)により、植付装置1000の昇降、及び植付クラッチ24(
図3参照)の入切が行われる。また、走行車体2側には、植付装置1000が所定の上昇位置に達したことを検知する上昇検知センサ39(
図3参照)が設けられている。
【0037】
ここで、上述した通り、ロール状苗供給部1100について、
図1、
図2を用いて更に説明する。
【0038】
【0039】
(1)1条分のロール状苗50から送り出されてくる苗51を8条分についてそれぞれ横並びに載置し苗植付部1200側に供給するための傾斜面を有する苗供給台100と、
【0040】
(2)苗供給台100の上端部において1条分のロール状苗50毎に設けられた、ロール状苗50を軸芯部で支持すると共にそのロール状苗50の巻き始めの部位を空回りしない程度に保持する外周面から放射状に先端の尖った突起部が形成された円筒状の回動シャフト111の両端側を軸受部112で回動可能に保持する、正面視で略U字形状のロール状苗保持部110と、
【0041】
(3)苗供給台100の上流側と下流側の2箇所に回動可能に配置された、8つのロール状苗50から送り出されてくるそれぞれの条の苗51を浮き上がらない様に上方から同時に押さえながら下流側に送るためのガイドローラ装置120(
図2(a)参照)と、
【0042】
(4)苗供給台100の上流側と下流側の2箇所に配置されたガイドローラ装置120の間に配置された、8つのロール状苗50から送り出されてくる苗51を浮き上がらない様に上方から覆うだけの第2ガイドプレート130であって、苗供給台100の左右両端部にそれぞれ立設されたガイドプレート支持板121によって前後幅のほぼ中央位置において回動可能に支持された第2ガイドプレート130と、を備えている。
【0043】
また、ロール状苗保持部110では、背面視で略U字形状に左右の立設した軸受部112の内、右側の軸受部112の右側面に対して、植付具1210の苗の取得のタイミングに同期させてロール状苗50を苗植付部1200側に送り出すために回動シャフト111を間欠的に回動させる第1駆動モータ140が取り付けられている。また、左右の軸受部112の上側部は背面側のヒンジ部112aを中心として開閉可能に構成されており、前面側で蝶ねじ112bによりロック可能な構造になっている。これにより、ロール状苗保持部110へのロール状苗50の着脱が容易に行える。
【0044】
また、ガイドローラ装置120は、
【0045】
(1)8つのロール状苗50から送り出されてくるそれぞれの条の苗51を苗供給台100から浮き上がらない様に上方から覆うと共に、各条の苗51がスムーズに下流側に送られる様に案内するガイドプレート122と、
【0046】
(2)苗供給台100の左右両端部にそれぞれ立設されたガイドプレート支持板121によって回動可能に支持されると共に、ガイドプレート122の上流端側が固定されたガイドプレート回動軸123と、
【0047】
(3)ガイドプレート回動軸123の両端部にそれぞれ配置された左右の押さえ用サーボモータ124であって、ガイドプレート回動軸123を矢印B方向(
図1参照)に回動させることで、ガイドプレート122を矢印B方向(
図1参照)に回動させて、ロール状苗50から送り出されてくる苗51を常時上方から覆う様にするため左右の押さえ用サーボモータ124と、
【0048】
(4)ガイドプレート122の下流端側に回動可能に設けられた、ロール状苗50から送り出されてくる苗51を押さえながら下流側に送るための8個のローラー125と、
【0049】
(5)8個のローラー125がそれぞれの軸芯で貫通固定されたローラーシャフト126と、
【0050】
(6)ローラーシャフト126の右側端に連結され、第1駆動モータ140と同期して8個のローラー125を間欠的に回動させる第2駆動モータ150と、
【0051】
(7)ローラー125が苗51を押さえる際の押さえ高さを考慮して、ガイドプレート122と苗供給台100との間の距離を適切に調整するための高さ調節部127であって、ガイドプレート122の下流端側の、ロール状苗50から送り出されてくる苗51と干渉しない位置に設けられた、8個のローラー125の苗供給台100の表面からの高さを調整するための左右の高さ調節部127と、を有している。
【0052】
また、ローラー125は、
図2(c)、
図2(d)に示す様に、その外周表面に先端が尖った突形状部を放射状に配置することにより、ロール状苗50から送り出されてくる苗51を傷めないで下流側に送ることが出来る構成である。また、ローラー125の突形状部の摩耗を防止するために、ローラー125の材質には、ハイマンガン鉱又はタングステン鉱等を用いている。
【0053】
上記構成により、ロール状に巻き回されたロール状苗50を苗供給台100に載置出来るので、従来の平板状のマット苗に比べて、苗供給台100における苗の保有量が増加し、苗供給台100への苗の補給回数を減らすことが出来るので、苗補給の作業性が向上する。
【0054】
なお、上述したガイドローラ装置120では、各条の苗51の浮き上がりを押さえるために押さえ用サーボモータ124を備えた場合について説明したが(
図2(a)参照)、これに限らず例えば、
図2(e)に示す様に、ガイドプレート122の左右両端縁部に押さえ用突起部122aを設けると共に、その押さえ用突起部122aが苗供給台100から離れない様に離れる方向への移動を規制する移動規制機構160を苗供給台100の左右両側に設けた構成としても良い。
【0055】
この構成の場合、移動規制機構160は、
図2(e)に示す様に、
【0056】
(1)苗供給台100の左右両端縁部に、一端部161aが回動可能に取り付けられた第1アーム161と、
【0057】
(2)第1アーム161の他端部161bに、一端部162aが回動可能に連結され、押さえ用突起部122aの表面に当接可能に配置された第2アーム162と、
【0058】
(3)第2アーム162の他端部162bに設けられた貫通孔を貫通した状態で、先端部163aの雄ねじ部を、苗供給台100に設けられた貫通孔の内周壁面に形成された雌ねじ部に螺合させることにより、第2アーム162の第1アーム161に対する開き角度を規制すると同時に、押さえ用突起部122aが苗供給台100から制限なく離れない様に、その移動を規制するための規制ボルト部材163と、を備えている。
【0059】
この構成により、ロール状苗50から送り出されてくる苗51が、苗供給台100とガイドプレート122との間を下流側に向けて通過する場合、ガイドプレート122は、主としてローラー125が苗51から受ける押圧力により苗供給台100から離れる方向、即ち、矢印B方向と反対の方向(
図1参照)に回動しようとするが、上述した規制ボルト部材163により押さえ用突起部122aの上記移動が規制されているので、押さえ用サーボモータ124を備えていない構成であっても、8つのロール状苗50から送り出されてくるそれぞれの条の苗51を浮き上がらない様に上方から同時に押さえながら下流側に送ることが出来る。
【0060】
なお、本実施の形態の植付装置1000は、本発明の植付装置の一例にあたる。また、本実施の形態の苗植付部1200は、本発明の苗植付部の一例にあたり、本実施の形態のロール状苗供給部1100は、本発明のロール状苗供給部の一例にあたる。また、本実施の形態のロール状苗保持部110は、本発明の保持部の一例にあたり、本実施の形態の第1駆動モータ140と第2駆動モータ150とを含む構成要素は、本発明の送出し部の一例にあたる。
次に、上述した通り、本実施の形態の乗用田植機1における自動走行運転を行うための構成について、
図3、
図4を用いて説明する。
【0061】
本実施の形態の乗用田植機1は、
図3に示す様に、自動操舵装置200と、位置情報取得装置300と、走行車体2の前方において昇降リンク装置3により上昇させられた植付装置1000に対して旋回時の障害となり得る所定高さ以上の壁等の障害物の有無を検知すると共にその障害物までの距離を検知するための障害物検知センサ70(
図1参照)と、上述した自動運転モード入/切スイッチ60と、を備えており、これらは制御部400(
図3参照)に電気的に接続されている。
【0062】
図3は、制御部400と各種装置、スイッチ及びセンサとの接続関係を示すブロック図である。
【0063】
自動操舵装置200は、ハンドル34を自動で操作して、走行車体2を直進方向に維持することが可能な構成である。
【0064】
即ち、自動操舵装置200は、任意の回転力を自動でハンドル34に付与することにより、ハンドル34を回転させる操舵モータ210と、ハンドル34の回転角度(ハンドル切れ角)を検知するハンドルポテンショメータ220と、を有している。
【0065】
また、位置情報取得装置300は、GNSS(Global Navigation Satellite System)に基づいて地球上での乗用田植機1の位置情報(即ち、座標情報)を取得する構成であり、人工衛星からの信号を所定間隔で受信する為の受信アンテナ310を備え、位置情報取得装置300により取得された位置情報は、制御部400に送られる構成である。
【0066】
制御部400に送られた位置情報は、メモリ部410(
図3参照)に記録可能に構成されている。
【0067】
また、受信アンテナ310は、
図1に示す通り、正面視で門型のアンテナ固定部材320の上面中央部に固定されており、アンテナ固定部材320の左右の下端部321L、321Rは、フロアステップ37の前端部左右両側縁部に固定されている。
【0068】
また、障害物検知センサ70は、走行車体2のバンパーの左右幅方向の中央位置の下面側において、送信・受信部が前方を向く様に配置されており、送信部から前方に向けて赤外光70aが出力されて、前方の壁80で反射した反射光が受信部にて受信されて障害物までの距離を測定する構成である(
図4参照)。なお、赤外光に代えて、超音波やレーザー光でも良い。
【0069】
また、障害物検知センサ70の取付高さは、次の様にして設定されている。
【0070】
即ち、障害物検知センサ70は、その送信・受信部の垂直方向の位置が、バンパーの左右幅方向の中央位置の下面に固定された取り付けステー71の位置を基準として、旋回時に上昇させられる植付装置1000の植付具1210(
図4では二点鎖線で示した)の上昇時における最下限位置H
0(
図4参照)に一致する様に、取り付けステー71に対して位置調整した上で固定されている(
図4参照)。
【0071】
図4は、障害物検知センサ70の取付高さの設定について説明するための概略側面図である。
【0072】
なお、本実施の形態の障害物検知センサ70において、障害物までの距離を検知出来る構成とした理由は、圃場の端の畦に位置する障害物からの反射光と、圃場の端の畦の位置より更に遠方に位置する障害物からの反射光とを、区別出来る様にするためである。これについては更に後述する。
【0073】
なお、本実施の形態の制御部400は、本発明の制御部の一例にあたり、本実施の形態の昇降リンク装置3は、本発明の昇降装置の一例にあたる。また、本実施の形態の障害物検知センサ70は、本発明の障害物検知部の一例にあたる。
【0074】
以上の構成において、本実施の形態の乗用田植機1に搭乗した作業者は、直進目標ラインに基づく自動直進走行を行うための準備作業として、直進基準ラインを決定するために、圃場600において第1列目の植付作業を手動による直進走行(ティーチング走行)により行う(
図5参照)。
【0075】
なお、本実施の形態では、直進基準ラインを決定するための基準点となる第1基準点Pa(始点)と第2基準点Pb(終点)(
図5参照)の位置情報(位置座標値)は、作業者がティーチング走行を行う際に、作業操作レバー36に設けられた昇降スイッチ36a(
図3参照)を操作することにより、制御部400に対して送信される降下信号、及び上昇信号をトリガーとすることで取得される構成である。なお、ここでは、第1基準点Pa(始点)と第2基準点Pb(終点)の位置情報(位置座標値)を、植付装置1000の昇降に関する信号をトリガーとすることで取得する場合について説明するが、これに限らず例えば、植付入切スイッチの操作信号をトリガーとすることで取得する構成でも良いし、或いは、専用のスイッチを設けた構成でも良く、要するに、第1基準点Pa(始点)と第2基準点Pb(終点)の位置情報(位置座標値)はどの様にして取得しても構わない。
【0076】
また、本実施の形態の乗用田植機1のメモリ部410には、圃場600における第1基準点Paと第2基準点Pbの位置情報は予め記録されておらず、圃場600の四方を囲む畦の位置情報(即ち、圃場600の位置情報)は予め記録されているものとする。また、メモリ部410には、乗用田植機1の最大旋回半径のデータも予め記録されているものとする。
【0077】
また、本実施の形態の乗用田植機1では、作業者が、ティーチング走行に入る前に枕地植えの範囲の設定(即ち、どの畦に沿って枕地植えを行うかということの設定)と枕地条数を入力することで、制御部400が、メモリ部410に予め記録されている畦の位置情報を利用して、旋回開始位置及び旋回終了位置の設定に必要となる旋回基準ライン(
図5の第1旋回基準ラインL
U1と第2旋回基準ラインL
U2参照)の位置情報を自動的に演算しメモリ部410に格納する構成である。
【0078】
なお、通常の場合、旋回開始位置は植付け終了位置に対応し、旋回終了位置は植付け開始位置に対応する。よって、本実施の形態では、旋回基準ライン(
図5の第1旋回基準ラインL
U1と第2旋回基準ラインL
U2参照)を、隣接する列の植付け終了位置と植付け開始位置とを互いに連結する直線として表した。
【0079】
また、ここでは、乗用田植機1は、圃場600の左端の列を第1列目として植付作業の開始列としているが、例えば、枕地植えを圃場600の上下左右の4辺の畦に沿って行う場合であれば、
図5に示す第2列目を植付作業の開始列としても良い。また、その場合、乗用田植機1は、圃場600の左端の第1列目において、植付作業を行わずに、以下に説明する第1基準点Paと第2基準点Pbの位置情報を取得するためのマニュアル走行を実施して、第2列目を自動走行による植付作業の開始列としても良い。
【0080】
以下、主として、
図3~
図5を用いて、本実施の形態の乗用田植機1における、自動運転制御(旋回制御を含む)について説明する。
【0081】
図5は、本実施の形態の乗用田植機1における、自動運転制御を説明するために圃場600の平面模式図である。
【0082】
ここで、本実施の形態の圃場600(
図5参照)は、
図5中の下側に位置する下側畦630の一部において旋回時に障害となり得る壁80が存在し、それ以外の上側に位置する上側畦610、右側に位置する右側畦620、及び左側に位置する左側畦640には、旋回時に障害となり得る壁等の障害物は存在しないものとする。
【0083】
作業者は、まず、乗用田植機1を、圃場600の下側畦630の左端に位置させて、エンジン20を起動させて、自動運転モード入/切スイッチ60を「入り」にする。
【0084】
更に、枕地植えの範囲として、上側畦610と下側畦630を設定し、且つ、枕地条数を設定する。これにより、制御部400は、上述した様に、メモリ部410に予め記録されている畦の位置情報を利用して旋回位置の基準となる直線の第1旋回基準ラインL
U1と、直線の第2旋回基準ラインL
U2(
図5参照)の位置情報を自動的に演算しメモリ部410に格納する。
図5に示す第1旋回基準ラインL
U1は、下側畦630に沿った直線であり、第2旋回基準ラインL
U2は、上側畦610に沿った直線である。
【0085】
なお、ここで設定された枕地条数の幅は、予めメモリ部410に記録されている乗用田植機1の最大旋回半径より小さいものとする。
【0086】
また、自動運転モード入/切スイッチ60からの「入り」信号の入力により、第1基準点Paと第2基準点Pbの位置情報がまだメモリ部410に記録されていないと判定した制御部400は、第1基準点Paと第2基準点Pbの位置情報を取得するためのマニュアル走行(ティーチング走行)を受け付ける制御を開始する。
【0087】
次に、作業者は、圃場600の左端の第1列目において下側畦630の側の植付け開始位置からマニュアル走行による植付作業を開始するために、作業操作レバー36の昇降スイッチ36aを「降下」側に操作することで制御部400に第1ON信号が出力される。
【0088】
第1ON信号を受信した制御部400は、植付装置1000を降下させ植付作業を開始させると共に、その信号をトリガーとして、その時点における乗用田植機1の受信アンテナ310の位置を第1基準点Pa(
図5参照)の位置情報として取得し、メモリ部410に記録する。
【0089】
その後、上側畦610の側に向けてしばらくマニュアル走行することにより、乗用田植機1が第2旋回基準ラインL
U2を基準として予め定められた所定距離M1だけ手前の検知位置P1(
図5参照)に到達したと、位置情報取得装置300から送信されてくる現在の位置情報とメモリ部410に格納されている第2旋回基準ラインL
U2の位置情報等を用いて判定した制御部400は、障害物検知センサ70に対して作動指令を送信して前方の障害物の有無及び障害物までの距離の検知を行わせる。
【0090】
ここでは、障害物検知センサ70の検知結果から、制御部400は、第1列目の前方には障害物が無いと判定し、乗用田植機1が第2旋回基準ラインLU2に到達したと判定した時点で、制御部400は、昇降リンク装置3に対して上昇指令を出力し、植付作業を停止させると共に植付装置1000を上昇させる。
【0091】
これにより、植付装置1000が所定の上昇位置まで上昇したことを検知した上昇検知センサ39(
図3参照)は、その検知信号を制御部400に出力し、制御部400は、その検知信号をトリガーとして、その時点における乗用田植機1の受信アンテナ310の位置を第2基準点Pbとして取得し、メモリ部410に記録する。
【0092】
更に、制御部400は、第1基準点Paと第2基準点Pbの2点を通る直線である直進基準ラインLsの位置情報を演算し、メモリ部410に記録する。
【0093】
また、制御部400は、演算された直進基準ラインLsと平行で且つ乗用田植機1の車幅W(
図5参照)に相当する距離を隔てた、第2列目以降の自動直進走行に用いるための複数の直進目標ラインLmの位置情報を演算し、メモリ部410に記録する。
【0094】
なお、マニュアル走行による第1列目の乗用田植機1の軌跡を走行軌跡Ltとして、
図5では、幅太の白抜き矢印で表した。
【0095】
また、本実施の形態では、直進基準ラインLsを設定するためのマニュアル走行中は、作業者が乗用田植機1に乗車しているものとするが、その後の走行においては、作業者は乗用田植機1に乗車している必要はなく、例えば、何れかの畦に待機していて、苗の補給や肥料の補給を適宜行うほか、走行停止や緊急時の対応等のために制御部400との無線通信が可能なリモコン装置を携帯している。
【0096】
その後、制御部400は、位置情報取得装置300からの位置情報及びメモリ部410に記録されている第2列目の直線目標ラインLmの位置情報等を用いて自動操舵装置200を制御することにより、第2列目の直線目標ラインLmと第2旋回基準ラインLU2とが交差する位置を目標位置として自動旋回動作を行わせる。
【0097】
その後、制御部400は、乗用田植機1が、上記目標位置に到達したと判定すると、自動旋回動作を終了し、昇降リンク装置3、植付クラッチ24、及びロール状苗供給部1100に設けられている第1駆動モータ140と第2駆動モータ150等に対してそれぞれ所定の指令を出して、第2列目における自動植付作業を開始させると共に、自動操舵装置200を制御しながら自動直進走行を開始させる。
【0098】
この様にして、制御部400は、自動旋回動作、自動直進走行、及び、第1旋回基準ラインL
U1と第2旋回基準ラインL
U2の手前のそれぞれの検知位置P1(
図5参照)における障害物検知センサ70による検知動作を繰り返しながら、自動植付作業を行う。
【0099】
次に、第2列目の前方の下側畦630に、旋回に障害となり得る壁80(
図5参照)がある場合の動作について説明する。
【0100】
乗用田植機1が第2列目の直進目標ラインLmに沿って自動走行中において、乗用田植機1が第1旋回基準ラインL
U1を基準として予め定められた所定距離M1だけ手前の検知位置P1(
図5参照)に到達したと、位置情報取得装置300から送信されてくる現在の位置情報とメモリ部410に格納されている第1旋回基準ラインL
U1の位置情報等を用いて判定した制御部400は、障害物検知センサ70に対して作動指令を送信して前方の障害物の有無及び障害物までの距離の検知を行わせる。
【0101】
第2列目の前方の下側畦630には、旋回に障害となり得る壁80(
図5参照)が存在するので、障害物検知センサ70は、距離Mの前方に障害物を検知した旨の検知結果を制御部400に送信する。
【0102】
制御部400は、下側畦630と第1旋回基準ラインLU1の位置情報とから算出される下側畦630と第1旋回基準ラインLU1との間の距離M2と、第1旋回基準ラインLU1を基準とした検知位置P1の所定距離M1と合算して得られる合算距離M1+M2と、検知結果の距離Mとの差分が所定範囲内に入っているかどうかを分析して、その差分が所定範囲内に入っている場合には、検知された障害物が前方の畦に存在すると判定する。
【0103】
乗用田植機1が検知位置P1を走行中に、制御部400が、前方の畦に障害物が存在する旨の判定を行うと、制御部400は、次の旋回動作において、第1旋回基準ラインLU1の位置情報の内、第2列目の直進目標ラインLmと交差する位置の位置情報については、そのまま用いないで、当該交差位置より所定距離M3だけ手前の変更旋回位置P2、即ち、下側畦630から距離M2+M3だけ離れた位置に変更し、その変更旋回位置P2の位置情報をメモリ部410に記録する。ここで、M3<M1とする。
【0104】
なお、変更旋回位置P2、即ち、所定距離M3は、距離M2+M3が、乗用田植機1の最大旋回半径と所定の余裕幅とを合算した結果と等しくなる様に、制御部400により設定されるものとする。
【0105】
その後、乗用田植機1が自動走行を続けて、変更旋回位置P2に到達したと、制御部400が判定した時点で、制御部400は、植付クラッチ24に対してクラッチ切りの指令と、昇降リンク装置3に対して上昇指令を出力し、植付作業を停止させると共に植付装置1000を上昇させて、自動操舵装置200に対して、隣の第3列目の直進目標ラインLmに移動する様に自動旋回動作を行わせる。
【0106】
その後、制御部400は、第3列目の直進目標ラインLmに移動した乗用田植機1が第1旋回基準ラインLU1を超えて、上側畦610寄りに位置していると判定した場合は、その位置から植付作業を開始すると、植付開始位置が、他の列のものとずれてしまうので、それを避けるために、HST23に所定の指令を出力して、乗用田植機1を第1旋回基準ラインLU1まで後進させてから、自動で植付作業を開始させる。
【0107】
これにより、旋回時に、植付装置1000が、畦に設けられた壁等の障害物に接触することを防止出来る。
【0108】
また、上記構成において、乗用田植機1が検知位置P1に到達したと判定した制御部400は、HST23に指令を出力して、車速を低速に変更させる構成としても良い。これにより、前方に障害物が存在する場合において、乗用田植機1を第1旋回基準ラインLU1または、第2旋回基準ラインLU2の手前で確実に旋回させることが出来るので、畦に設けられた壁等の障害物に接触することを防止出来る。
【0109】
なお、上述した合算距離M1+M2と、検知結果の距離Mとの差分が所定範囲内に入っていない場合には、制御部400は、検知された障害物は前方の畦には存在しないと判定し、第1旋回基準ラインLU1または、第2旋回基準ラインLU2の変更は行わない。
【0110】
なお、上記実施の形態では、旋回時の障害を回避するために、障害物の有無と障害物までの距離を検知する障害物検知センサ70を用いた場合について説明したが、これに限らず例えば、前方の障害物の高さを検出できるセンサー(例えば、デジタルカメラ等の撮像装置)を用いても良い。この場合、まず高さを調べ、一気に旋回出来ないと判定された場合は、畦の少し手前で旋回に入る構成である。
【0111】
また、上記実施の形態では、障害物としての壁80が、下側畦630の一部に存在する場合について説明したが、これに限らず例えば、左側畦640と上側畦610との隅部に第2壁81(
図5参照)が存在する場合の構成について説明する。
【0112】
即ち、この構成の場合の、上記障害物検知センサ70に代わる別の障害物検知センサは、取り付けステー71に対して、通常は、送信・受信部が前方を向く様に配置されているが、制御部400からの指令により、送信・受信部が前方方向を基準として左右方向にそれぞれ90°回動可能となる様に駆動モータ(図示省略)を有している。
【0113】
この構成の場合、上述した様に、第1列目をマニュアル走行している途中で、乗用田植機1が検知位置P1に到達したと、制御部400が判定すると、制御部400は、当該別の障害物検知センサに対して、上記と同様、作動指令を送信して前方の障害物の有無及び障害物までの距離の検知を行わせ、その後、更に所定の指令を出力し、当該別の障害物検知センサを左方向に90°回動させた後、再び、作動指令を送信して左側の障害物の有無及び障害物までの距離の検知を所定期間継続して行わせる。所定期間は、例えば、植付装置1000を上昇させるまでの期間である。
【0114】
これにより、制御部400は、当該別の障害物検知センサからの検知結果を上記と同様に分析することにより、左側畦640と上側畦610との隅部に、旋回時に障害となり得る第2壁81(
図5参照)が存在すると判定すると、制御部400は、乗用田植機1が第2旋回基準ラインL
U2を基準として所定距離M3だけ手前の変更旋回位置P2に到達したと判定した時点で、植付作業を停止させると共に植付装置1000を上昇させて、自動操舵装置200に対して、左側畦640上の第2壁81との干渉を回避するために、すぐには旋回を開始させないで、一旦、左側畦640上の第2壁81から離れるために、
図5中において右斜め上方に直進走行する様に操舵させ、その後、隣の第2列目の直進目標ラインLmに移動する様に自動旋回動作を行わせる。
【0115】
その後、制御部400は、第2列目の直進目標ラインLmに移動した乗用田植機1が第2旋回基準ラインLU2を超えて、下側畦630寄りに位置していると判定した場合は、その位置から植付作業を開始すると、植付開始位置が、他の列のものとずれてしまうので、それを避けるために、HST23に所定の指令を出力して、乗用田植機1を第2旋回基準ラインLU2まで後進させてから、自動で植付作業を開始させる。
【0116】
なお、この構成の場合、制御部400は、乗用田植機1が変更旋回位置P2に到達したと判定した時点で、植付作業を停止させると共に植付装置1000を上昇させるので、これをトリガーとして、上記と同様にその時点での乗用田植機1の位置を第2基準点Pbの位置情報として取得する。
【0117】
これにより、旋回時に、植付装置1000が、畦の隅部に設けられた壁等の障害物に接触することを防止出来る。
【0118】
なお、この構成の場合の所定距離M3は、距離M2(ここでは、上側畦610と第2旋回基準ラインLU2との間の距離)+M3が、乗用田植機1の最大旋回半径と所定の余裕幅とを合算した結果に、更に左側畦640上の第2壁81から離れるための斜め直進走行の距離も加味した結果と等しくなる様に、制御部400により設定されるものとする。また、この構成では、旋回時の障害を回避するために、障害物の有無と障害物までの距離を検知する当該別の障害物検知センサを用いた場合について説明したが、これに限らず例えば、前方又は右側若しくは左側の障害物の高さを検出できるセンサー(例えば、デジタルカメラ等の撮像装置)を用いても良い。
【0119】
また、右側畦620と下側畦630との隅部に旋回時の障害物となり得る壁(図示省略)が存在する場合も上記と同様の構成により、旋回時に、植付装置1000が、畦の隅部に設けられた壁等の障害物に接触することを防止出来る。
【0120】
また、上記構成例では、取り付けステー71に位置が固定された障害物検知センサ70に代えて、駆動モータにより左右方向にそれぞれ90°回動可能な別の障害物検知センサについて説明したが、これに限らず例えば、取り付けステー71に対して、前方と右側方と左側方のそれぞれの方向に向けて固定された、障害物検知センサを3つ備えた構成としても良い。
【0121】
また、上記実施の形態では、旋回開始位置が植付け終了位置に対応し、旋回終了位置が植付け開始位置に対応する場合について説明したが、これに限らず例えば、旋回開始位置が植付け終了位置に対応せず、旋回終了位置が植付け開始位置に対応しない場合の例として、乗用田植機1の最前端部が圃場の畦際に到達するまで植付作業を行い、その後、後進してから隣の列に自動旋回移動させた後、植付開始位置から自動植付を開始する場合には、次の様な構成とすれば良い。
【0122】
即ち、乗用田植機1の最前端部が圃場の畦際に到達するまで植付作業を行う旨の条件を植付作業の開始前に予め入力設定することにより、制御部400は、旋回基準ライン(
図5の第1旋回基準ラインL
U1と第2旋回基準ラインL
U2参照)を、通常の畦の高さに対して予め定められている旋回に必要な通常旋回距離だけ当該畦(
図5の上側畦610、下側畦630参照)から離れた位置に設定し、メモリ部410に記録する。更に、制御部400は、予め入力設定された上記条件に基づいて、隣接する列の植付開始位置と植付終了位置を互いに連結する直線として植付基準ラインを設定し、メモリ部410に記録する。この構成の場合、制御部400は、位置情報取得装置300からの位置情報とメモリ部410に予め格納されている圃場の畦の位置情報とに基づいて、乗用田植機1の最前端部が畦際に到達するまで植付作業を行わせた後、HST23に指令を出して、旋回基準ラインまで乗用田植機1を後進させてから自動旋回動作を行わせ、旋回終了後、苗植付部1200が植付基準ラインに位置していなければ、植付基準ラインまで乗用田植機1を移動させた後、自動植付を開始させる。
【0123】
また更に、上記構成の場合において、障害物検知センサ70により前方の畦に障害物の存在が検知された場合は、制御部400は、通常の畦の高さに対して予め定められている旋回に必要な通常旋回距離だけ当該畦から離れた位置に設定されている旋回基準ラインをそのまま利用せず、その旋回基準ラインよりも当該畦から更に所定距離だけ離れた位置まで、即ち、旋回時に当該障害物に干渉しない距離(例えば、最大旋回半径に所定の余裕幅を考慮した距離)だけ後進させてから自動旋回動作を行わせ、旋回終了後、苗植付部1200が植付基準ラインに位置していなければ、植付基準ラインまで乗用田植機1を移動させた後、自動植付を開始させる構成としても良い。
【0124】
なお、通常の場合、旋回開始位置は植付け終了位置に対応し、旋回終了位置は植付け開始位置に対応する。
【0125】
また、上記実施の形態の乗用田植機1の制御部400は、乗用田植機1の走行軌跡が、上記の直進目標ラインLm(走行経路情報)を基準として所定範囲を超えてずれていると判定した場合、植付クラッチ24に対してクラッチ切りの指令を出して、植付装置1000による植付動作を停止させると共に、昇降リンク装置3に対して上昇の指令を出して植付装置1000を上昇させたまま走行を継続させる様に構成されていても良い。また、この構成の場合、制御部400は、乗用田植機1の走行軌跡が、上記の直進目標ラインLm(走行経路情報)を基準として所定範囲内に入ったと判定した場合、昇降リンク装置3に対して降下の指令を出して植付装置1000を降下させると共に、植付クラッチ24に対してクラッチ入りの指令を出して、植付装置1000による植付動作を再開させるものとしても良い。これにより、直進目標ラインLmから大きくずれた場合でも、植付装置1000を上昇させているので、走行を停止させる必要がなく自動運転を継続させることが出来、既に植え付けられた苗を傷める事無く、作業効率の向上が図られる。また、上記構成の場合、直進目標ラインLmからの乗用田植機1の走行軌跡のずれ幅によって、制御内容を変える構成としても良い。例えば、ずれ幅が、第1閾値以上であって第2閾値未満であると判定された場合は、制御部400は、植付クラッチ24を切り、植付装置1000による植付動作を停止させる制御を行い、一方、ずれ幅が、第2閾値以上であると判定された場合は、制御部400は、植付クラッチ24を切り、植付装置1000による植付動作を停止させると共に、昇降リンク装置3に対して上昇の指令を出して植付装置1000を上昇させたまま走行を継続させる様に構成されていても良い。
【0126】
また、上記実施の形態の乗用田植機1の制御部400は、乗用田植機1の走行軌跡が、上記の直進目標ラインLm(走行経路情報)を基準として所定範囲を超えてずれていると判定した場合、少しでも隣接の苗を倒さない様にするために、植付装置1000を敏感にする構成としても良い。
【0127】
また、上記実施の形態の乗用田植機1は、操舵モータ210がロック状態にあるか否かを検知するロック検知部230(
図3参照)を備え、制御部400は、ロック検知部230による検知結果が、操舵モータ210がロック状態にあることを示していると判定した場合、HST23に指令を出して車速を減速させる構成としても良い。また、この構成の場合、制御部400は、ロック検知部230の検知結果からロック状態が解除されたと判定した場合は、HST23に指令を出して元の車速に戻す構成としても良い。これにより、走行の安全性が向上する。
【0128】
また、上記構成の場合、制御部400は、ロック検知部230による検知結果が、操舵モータ210がロック状態にあることを示していると判定した場合、エンジン20を停止させる構成としても良い。
【0129】
また、上記構成の場合、制御部400は、ロック検知部230による検知結果が、操舵モータ210の負荷が異常に大きく所定の閾値以上であることを示していると判定した場合、乗用田植機1の外周部に、外から視認し易い位置に予め配置された警告ライト26(
図3参照)を点灯、又は点滅させる構成としても良い。これにより、畦に待機している作業者に注意を喚起出来て、作業者はリモコン操作等により迅速に対応出来るので、作業性の向上が図れる。
【0130】
また、上記構成の場合、制御部400は、ロック検知部230による検知結果が、操舵モータ210の負荷が異常に大きく所定の閾値以上であることを示していると判定した場合、HST23に指令を出して車速を減速させる構成としても良い。
【0131】
また、上記構成の場合、制御部400は、ロック検知部230による検知結果が、操舵モータ210の負荷が異常に大きく所定の閾値以上であることを示していると判定した場合、エンジン20を停止させる構成としても良い。
【0132】
また、上記乗用田植機1において、ハンドル34の操舵角が小さいときは、整地ロータ(図示省略)の位置を高くして泥押しを減らす構成としても良い。
【0133】
また、上記乗用田植機1において、前輪10のフロントサスペンション(図示省略)にストロークセンサを設け、その検知結果に基づいて、制御部400により、伸縮の頻度が多いと判定された場合は、ハンドル34を頻繁に動かす様に操舵モータ210の制御を行う構成としても良い。これにより、圃場が硬い場合や、凹凸が多い場合に安定した走行が行える。
【0134】
また、上記乗用田植機1において、前輪10のフロントサスペンション(図示省略)にストロークセンサを設け、その検知結果に基づいて、制御部400により、伸縮の頻度が少ないと判定された場合は、ハンドル34を頻繁に動かさない様に操舵モータ210の制御を行う構成としても良い。これにより、圃場の状態に応じた安定した走行が行える。
【0135】
また、上記乗用田植機1において、前輪10のフロントサスペンション(図示省略)にストロークセンサを設け、その検知結果に基づいて、制御部400により、フロントサスペンションが伸びたままであると判定された場合は、ハンドル34の操舵角を通常必要な角度より大きめになる様に、操舵モータ210の制御を行う構成としても良い。これにより、圃場の状態に応じた安定した走行が行える。
【0136】
また、上記乗用田植機1において、ローリングの動きを検知するセンサを設け、その検知結果からローリングの動きが所定基準より大きいと制御部400が判定した場合、ハンドル34の動きを通常の場合より速くする様に、操舵モータ210の制御を行う構成としても良い。
【0137】
また、上記乗用田植機1において、ローリングの動きを検知するセンサを設け、その検知結果からローリングの動きが所定基準より頻繁であると制御部400が判定した場合、整地ロータの位置を低くして押さえることで植付装置1000を安定させる構成としても良い。
【0138】
また、上記乗用田植機1において、ローリングの動きを検知するセンサを設け、その検知結果からローリングの動きが所定基準より大きいと制御部400が判定した場合、整地ロータの位置を低くして押さえることで植付装置1000を安定させる構成としても良い。
【0139】
また、上記乗用田植機1において、ローリングの動きを検知するセンサを設け、その検知結果からローリングの動きが所定基準より頻繁であると制御部400が判定した場合、ハンドル34の動きを通常の場合より小刻みにする様に操舵モータ210を制御する構成としても良い。
【0140】
また、上記乗用田植機1において、ローリングの動きを検知するセンサを設け、その検知結果からローリングの動きが所定基準より大きいと制御部400が判定した場合、ハンドル34の動きを通常の場合より大きくする様に操舵モータ210を制御する構成としても良い。
【0141】
また、上記乗用田植機1において、ローリングの動きを検知するセンサを設け、その検知結果からローリングの動きが所定基準より頻繁であると制御部400が判定した場合、ハンドル34の動きを通常の場合より速くする様に操舵モータ210を制御する構成としても良い。
【0142】
また、上記乗用田植機1において、作業者が乗車しない状態の無人作業中の盗難防止機構として、本機から着脱可能な作業機(例えば、植付装置1000)が、リモコンの正規の管理者(乗用田植機1の作業者)以外の者が、当該リモコンを携帯していない状況下において、その作業機を本機から外した場合、制御部400は、リモコンとの正規な通信が行えない状態における作業機の取り外しが発生したことを検知して、異常事態であると判定して、燃料供給を停止させる構成としても良い。
【0143】
また、上記乗用田植機1において、作業者が乗車しない状態の無人作業中の盗難防止機構として、本機から着脱可能な作業機(例えば、植付装置1000)が、リモコンの正規の管理者(乗用田植機1の作業者)以外の者が、当該リモコンを携帯していない状況下において、その作業機を本機から外した場合、制御部400は、リモコンとの正規な通信が行えない状態における作業機の取り外しが発生したことを検知して、異常事態であると判定して、エンジン20がかからない様に制御する構成としても良い。
【0144】
また、上記乗用田植機1において、作業者が乗車しない状態の無人作業中の盗難防止機構として、本機から着脱可能な作業機(例えば、植付装置1000)が、リモコンの正規の管理者(乗用田植機1の作業者)以外の者が、当該リモコンを携帯していない状況下において、その作業機を本機から外した場合、制御部400は、リモコンとの正規な通信が行えない状態における作業機の取り外しが発生したことを検知して、異常事態であると判定して、大きな警告音を鳴らす構成としても良い。
【0145】
また、上記乗用田植機1において、作業者が乗車しない状態の無人作業中の盗難防止機構として、本機から着脱可能な作業機(例えば、植付装置1000)が、リモコンの正規の管理者(乗用田植機1の作業者)以外の者が、当該リモコンを携帯していない状況下において、その作業機を本機から外した場合、制御部400は、リモコンとの正規な通信が行えない状態における作業機の取り外しが発生したことを検知して、異常事態であると判定して、メインサーバーに通報する構成としても良い。
【0146】
また、作業者が乗車しない状態の乗用田植機1における盗難防止機構において、停止中の場合、リモコンの正規の管理者(乗用田植機1の作業者)以外の者が、当該リモコン操作無しで、又は当該リモコンのキー操作無しで、各種設定値を変更した場合、制御部400は、リモコンとの正規な通信が行えない状態における各種設定値の不正な変更が発生したと判定して、エンジン20がかからない様に制御する構成としても良い。
【0147】
また、作業者が乗車しない状態の乗用田植機1における盗難防止機構において、停止中の場合、リモコンの正規の管理者(乗用田植機1の作業者)以外の者が、当該リモコン操作無しで、又は当該リモコンのキー操作無しで、各種設定値を変更した場合、制御部400は、リモコンとの正規な通信が行えない状態における各種設定値の不正な変更が発生したと判定して、メインサーバーに通報する構成としても良い。
【0148】
また、作業者が乗車しない状態の乗用田植機1における盗難防止機構において、停止中の場合、リモコンの正規の管理者(乗用田植機1の作業者)以外の者が、当該リモコン操作無しで、又は当該リモコンのキー操作無しで、各種設定値を変更した場合、制御部400は、リモコンとの正規な通信が行えない状態における各種設定値の不正な変更が発生したと判定して、燃料供給を停止させる構成としても良い。
【0149】
また、作業者が乗車しない状態の乗用田植機1における盗難防止機構において、停止中の場合、リモコンの正規の管理者(乗用田植機1の作業者)以外の者が、当該リモコン操作無しで、又は当該リモコンのキー操作無しで、ブレーキを取り外した場合、制御部400は、リモコンとの正規な通信が行えない状態におけるブレーキの取り外しが行われたことを検知して、異常事態であると判定して、燃料供給を停止させる構成としても良い。
【0150】
また、作業者が乗車しない状態の乗用田植機1における盗難防止機構において、停止中の場合、リモコンの正規の管理者(乗用田植機1の作業者)以外の者が、当該リモコン操作無しで、又は当該リモコンのキー操作無しで、ブレーキを取り外した場合、制御部400は、リモコンとの正規な通信が行えない状態におけるブレーキの取り外しが行われたことを検知して、異常事態であると判定して、大きな警告音を鳴らす構成としても良い。
【0151】
また、作業者が乗車しない状態の乗用田植機1における盗難防止機構において、停止中の場合、リモコンの正規の管理者(乗用田植機1の作業者)以外の者が、当該リモコン操作無しで、又は当該リモコンのキー操作無しで、ブレーキを取り外した場合、制御部400は、リモコンとの正規な通信が行えない状態におけるブレーキの取り外しが行われたことを検知して、異常事態であると判定して、メインサーバーに通報する構成としても良い。
【0152】
また、作業者が乗車しない状態の乗用田植機1における盗難防止機構において、停止中の場合、リモコンの正規の管理者(乗用田植機1の作業者)以外の者が、当該リモコン操作無しで、又は当該リモコンのキー操作無しで、ブレーキを取り外した場合、制御部400は、リモコンとの正規な通信が行えない状態におけるブレーキの取り外しが行われたことを検知して、異常事態であると判定して、エンジン20がかからない様に制御する構成としても良い。
【0153】
また、乗用田植機1における盗難防止機構において、リモコンの正規の管理者(乗用田植機1の作業者)以外の者が、当該リモコンを携帯することなく、操縦座席31に座った場合、座席検知センサ(図示省略)が着座を検知して、制御部400は、リモコンとの正規な通信が行えない状態における座席検知センサからの着座検知信号を受け付けると、異常事態であると判定して、燃料供給を停止させる構成としても良い。
【0154】
また、乗用田植機1における盗難防止機構において、リモコンの正規の管理者(乗用田植機1の作業者)以外の者が、当該リモコンを携帯することなく、操縦座席31に座った場合、座席検知センサ(図示省略)が着座を検知して、制御部400は、リモコンとの正規な通信が行えない状態における座席検知センサからの着座検知信号を受け付けると、異常事態であると判定して、メインサーバーに通報する構成としても良い。
【0155】
また、乗用田植機1における盗難防止機構において、リモコンの正規の管理者(乗用田植機1の作業者)以外の者が、当該リモコンを携帯することなく、操縦座席31に座った場合、座席検知センサ(図示省略)が着座を検知して、制御部400は、リモコンとの正規な通信が行えない状態における座席検知センサからの着座検知信号を受け付けると、異常事態であると判定して、大きな警告音を鳴らす構成としても良い。
【0156】
また、乗用田植機1における盗難防止機構において、リモコンの正規の管理者(乗用田植機1の作業者)以外の者が、当該リモコンを携帯することなく、操縦座席31に座った場合、座席検知センサ(図示省略)が着座を検知して、制御部400は、リモコンとの正規な通信が行えない状態における座席検知センサからの着座検知信号を受け付けると、異常事態であると判定して、大きな警告音を鳴らす構成としても良い。
【0157】
また、乗用田植機1における盗難防止機構において、リモコンの正規の管理者(乗用田植機1の作業者)以外の者が、当該リモコンを携帯することなく、操縦座席31に座った場合、座席検知センサ(図示省略)が着座を検知して、制御部400は、リモコンとの正規な通信が行えない状態における座席検知センサからの着座検知信号を受け付けると、異常事態であると判定して、エンジン20を停止させる構成としても良い。
【0158】
また、乗用田植機1における盗難防止機構において、リモコンの正規の管理者(乗用田植機1の作業者)以外の者が、当該リモコンを携帯することなく、乗用田植機1に乗り込んだ場合、制御部400は、リモコンとの正規な通信が行えない状態における如何なる操作も受け付けない構成としても良い。
【0159】
なお、上記実施の形態では、ロール状苗50が、苗植付部1200より前方で斜め上方に遠く離れた位置に配置される場合について説明したが、これに限らず例えば、苗植付部1200の前方の斜め上方近傍の位置に配置されていても良い。これによれば、ガイドローラ装置120の数を上記構成例より低減又はゼロにすることが出来る。また、苗供給台100をコンパクトにすることも可能である。また、苗供給台100の上方側の傾斜面を利用して予備のロール状苗50を載置し、苗供給台100の下端側に設けられたロール状苗保持部に装着されているロール状苗50の苗が無くなれば、その上方側に配置されている予備のロール状苗50を取り外して下端側のロール状苗保持部に装着する構成としても良い。
【0160】
また、上記実施の形態では、ロール状苗50が、苗供給台100の上端側のロール状苗保持部110に1つ配置される場合について説明したが、これに限らず例えば、苗供給台100の傾斜面を利用して、上端側、中間部、下端側のそれぞれの位置に、ロール状苗50を配置するロール状苗保持部を設け、下端側のロール状苗保持部に装着されたロール状苗50から先に使用する構成とし、下端側のロール状苗50の苗が無くなれば、次は、中間部のロール状苗保持部に装着されているロール状苗50が自動的に供給される構成としても良い。これによれば、より長く連続して植付け作業が行えると共に、予備のロール状苗の補給作業が不要となるので、作業性が更に向上する。
【0161】
また、上記実施の形態では、8つのロール状苗50から送り出されてくるそれぞれの条の苗51を浮き上がらない様に上方から同時に押さえながら下流側に送るためのガイドローラ装置120には、8個のローラー125を間欠的に回動させる第2駆動モータ150が設けられている場合について説明したが、これに限らず例えば、第2駆動モータ150に代えて、苗供給台100の上面側に、下方側に搬送可能な無端ベルトを設けた構成としても良い。
【0162】
また、上記実施の形態では、本発明の作業車両の一例として8条型の乗用田植機1について説明したが、これに限らず例えば、4条植え或いは6条植えの構成であっても良く、条数に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0163】
本発明によれば、苗補給回数が従来よりも減り作業性を向上させることが出来る作業車両を提供することが出来、例えば、乗用田植機等として有用である。
【符号の説明】
【0164】
1 乗用田植機
2 走行車体
3 昇降リンク装置
10 前輪
11 後輪
12 トランスミッションケース
15 メインフレーム
18 後輪ギヤケース
34 ハンドル
36 作業操作レバー
50 ロール状苗
51 ロール状苗から送り出されてくる苗
60 自動運転モード入/切スイッチ
70 障害物検知センサ
100 苗供給台
110 ロール状苗保持部
120 ガイドローラ装置
130 第2ガイドプレート
140 第1駆動モータ
150 第2駆動モータ
200 自動操舵装置
210 操舵モータ
220 ハンドルポテンショメータ
300 位置情報取得装置
310 受信アンテナ
400 制御回路
410 メモリ部
1000 植付装置
1100 ロール状苗供給部
1200 苗植付部