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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】ポット精紡機
(51)【国際特許分類】
   D01H 7/84 20060101AFI20220308BHJP
   D01H 1/08 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
D01H7/84
D01H1/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018062392
(22)【出願日】2018-03-28
(65)【公開番号】P2019173215
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179936
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 明日香
(74)【代理人】
【識別番号】100195006
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勇蔵
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 江平
(72)【発明者】
【氏名】冨永 直路
(72)【発明者】
【氏名】宮田 康広
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐介
(72)【発明者】
【氏名】槌田 大輔
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-170227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01H 1/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下向きの開口を有し、回転するポットと、
前記ポットの上部に形成された取付穴を介して前記ポットの内部に挿通され、前記ポットの内部に糸を案内する導糸管と、
導糸管ホルダを介して前記導糸管を保持するとともに、昇降方向に移動可能な導糸管レールとを備え、
前記導糸管の保持力は、前記導糸管に糸が巻き付いた状態で、ケーク形成後に前記導糸管レールによって前記導糸管を上側に移動させたときに、糸の巻き付き部分が非昇降部材と接触することにより前記導糸管に加わる、部品破損を生じるような所定以上の抵抗力よりも小さい、ポット精紡機。
【請求項2】
前記導糸管レールは、前記導糸管と前記導糸管ホルダとの間に発生する摩擦力により前記導糸管を保持する、請求項1に記載のポット精紡機。
【請求項3】
前記導糸管は凹部を有し、
前記導糸管ホルダは前記導糸管の前記凹部と係合可能な凸部を有し、
前記導糸管レールは、前記導糸管の前記凹部と前記導糸管ホルダの前記凸部とが係合することにより、前記導糸管を保持する、請求項1に記載のポット精紡機。
【請求項4】
前記導糸管が前記導糸管レールに保持されていることを検知する導糸管センサを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のポット精紡機。
【請求項5】
回転する前記ポットと前記導糸管との間には、前記導糸管に対して回転しない非回転部が設けられ、
導糸管巻き上がりによって前記導糸管に糸が巻き付いた状態で、前記導糸管レールによって前記導糸管を上側に移動させると、前記導糸管に巻き付いた糸は、非回転部に接触する、請求項1~4のいずれか一項に記載のポット精紡機。
【請求項6】
前記非回転部は、前記ポットと前記導糸管との間に設けられる円筒形状の導糸管ガイドであり、
前記導糸管ガイドの内部には、前記導糸管が前記昇降方向に移動可能に収容され、
前記導糸管ガイドの端部にはフランジが形成され、
前記導糸管に糸が巻き付いたことにより巻き付き部分が形成された状態で、前記導糸管レールによって前記導糸管を上側に移動させると、前記巻き付き部分は、前記導糸管ガイドの前記フランジに接触する、請求項5に記載のポット精紡機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ポット精紡機に関する。
【背景技術】
【0002】
精紡機の1つとして、円筒形状のポットを用いるポット精紡機が知られている。ポット精紡機では、ポットを所定の回転数で回転させるとともに、所定の細さに引き伸ばされた糸を、導糸管を通してポット内に導くことにより、ポットの内壁に糸を巻き付けてケークを形成する。また、ケークの形成を終えたら導糸管よりも上流側で糸を切り、その後、ポット内にボビンを挿入してポットの内壁からボビンへと糸を巻き返す。
【0003】
従来のポット精紡機では、図7(a)に示すように、ポット101の内壁に糸104が巻き付いてケークCが形成されている最中に、図7(b)に示すように、導糸管105に糸104が巻き付いてしまうことがある。この現象を「導糸管巻き上がり」という。導糸管105に糸104が巻き付くと、導糸管105の外側に糸の巻き付き部分Yが形成されてしまう。そのため、ケーク形成後にポット内にボビンを挿入させる際に導糸管105とボビンとの接触を避けるために導糸管5を移動させたときに、図7(c)に示すように、導糸管105に巻き付いている糸の巻き付き部分Yが回転しているポット101に接触するおそれがある。糸の巻き付き部分Yが、ポット101に接触すると、導糸管105が曲がってしまうなどの部品の破損を招くおそれがある。
【0004】
そこで、特許文献1に記載される精紡機では、導糸管先端部からエア噴射を行い、導糸管先端部近傍の気流を制御し、糸が導糸管に巻き上がるのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特公昭26-003129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の精紡機のように、導糸管先端部近傍の気流を制御した場合であっても、糸の導糸管巻き上がりを完全に防止することはできなかった。
【0007】
この発明は、このような問題を解決するためになされ、糸の導糸管巻き上がりが発生した場合に部品の破損を防止することができるポット精紡機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、この発明に係るポット精紡機は、下向きの開口を有し、回転するポットと、ポットの上部に形成された取付穴を介してポットの内部に挿通され、ポットの内部に糸を案内する導糸管と、導糸管ホルダを介して導糸管を保持するとともに、昇降方向に移動可能な導糸管レールとを備え、導糸管の保持力は、導糸管に糸が巻き付いた状態で、ケーク形成後に導糸管レールによって導糸管を上側に移動させたときに、糸の巻き付き部分が非昇降部材と接触することにより導糸管に加わる、部品破損を生じるような所定以上の抵抗力よりも小さい
これにより、糸の導糸管巻き上がりが発生した場合であっても、導糸管に巻き付いた糸が他の部品に接触した時の力を緩和し、部品の破損を防止することができる。
【0009】
また、この発明に係るポット精紡機の導糸管レールは、導糸管と導糸管ホルダとの間に発生する摩擦力により導糸管を保持してもよい。
【0010】
また、この発明に係るポット精紡機の導糸管は凹部を有し、導糸管ホルダは導糸管の凹部と係合可能な凸部を有し、導糸管レールは、導糸管の凹部と導糸管ホルダの凸部とが係合することにより、導糸管を保持してもよい。
【0011】
また、導糸管が導糸管レールに保持されていることを検知する導糸管センサを備えてもよい。
【0012】
さらに、回転するポットと導糸管との間には、導糸管に対して回転しない非回転部が設けられ、導糸管巻き上がりによって導糸管に糸が巻き付いた状態で、導糸管レールによって導糸管を上側に移動させると、導糸管に巻き付いた糸は、非回転部に接触するようにしてもよい。
【0013】
また、非回転部は、ポットと導糸管との間に設けられる円筒形状の導糸管ガイドであり、導糸管ガイドの内部には、導糸管が昇降方向に移動可能に収容され、導糸管ガイドの端部にはフランジが形成され、導糸管巻き上がりによって導糸管に糸が巻き付いた状態で、導糸管レールによって導糸管を上側に移動させると、導糸管に巻き付いた糸は、導糸管ガイドのフランジに接触してもよい。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係るポット精紡機によれば、糸の導糸管巻き上がりが発生した場合に部品の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の実施の形態に係るポット精紡機のスピンドルパートの全体的な構造を示す概略図である。
図2図1に示すポット精紡機の導糸管ガイドの下端部近傍を示す拡大断面図である。
図3図1に示すポット精紡機の導糸管ホルダと導糸管との接触箇所の拡大断面図である。
図4図1に示すポット精紡機の動作の流れを示すフローチャートである。
図5図5(a)~(c)は、導糸管が導糸管レールに対して相対的に移動し、導糸管レールから外れる過程を示す図である。
図6】この発明の別の実施の形態に係るポット精紡機の導糸管ホルダと導糸管との係合箇所の拡大断面図である。
図7】従来のポット精紡機の導糸管に糸の巻きつきが発生する過程を示す図である。図7(a)は、ポットの内壁にケークが形成された状態を示す図であり、図7(b)は、ケーク形成後に糸の導糸管巻き上がりが発生した状態を示す図であり、図7(c)は、糸が巻き付いた状態の導糸管が上方に移動した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態について添付図面に基づいて説明する。
図1には、ポット精紡機のスピンドルパート100の概略図を示す。なお、ポット精紡機のスピンドルパート100は、図示しない機台の上に複数並んで設けられて使用されるものとする。
図1に示すように、ポット精紡機のスピンドルパート100は、略円筒形状のポット1を有する。ポット1は下向きの開口1aを有する。ポット1の下にはボビン12が設けられている。ボビン12は昇降方向D、すなわち上下方向に昇降することができ、ボビン12が最上部に上昇した時、ボビン12はポット1の内部に収納される。
【0017】
ポット1の上にはポット支持部2が取り付けられている。ポット支持部2の内部には軸受2aが設けられる。さらに軸受2aの内部の中空部には導糸管ガイド8が設けられる。導糸管ガイド8は軸受2aには接触しないように設けられている。導糸管ガイド8は略円筒形状をなし、導糸管ガイド8の上端及び下端には、各々、フランジ8a,8bが形成される。図2に示すように、導糸管ガイド8の下端のフランジ8bはポット支持部2の軸受2aの下端及びポット1の内部空間の上面1bより下側に配置される。また、ポット1は、軸受2aを介して、導糸管ガイド8に対して相対的に回転可能である。また、導糸管ガイド8の内部には、糸4をポット1の内部に案内する導糸管5が昇降方向Dに移動可能に収容される。なお、軸受2a及び導糸管ガイド8は、ポット1の上部に形成された取付穴1cを介して、ポット1の内部に挿通されているため、軸受2a及び導糸管ガイド8は、導糸管5とポット1との間に設けられている。また、図1に示すように、導糸管5の下端はポット1の内部に突出する。導糸管5の下端には、糸4を排出する糸排出口5bが形成される。さらに、導糸管5は、ポット支持部2の上端から突出して延びている。
【0018】
また、ポット支持部2の上にはガイドホルダレール15が設けられる。ガイドホルダレール15にはガイドホルダ9が取り付けられている。導糸管ガイド8の上端のフランジ8aがガイドホルダ9に係合することにより、導糸管ガイド8はガイドホルダ9によって支持される。
【0019】
さらに、導糸管5の上端部分は導糸管レール6に保持される。導糸管レール6には、導糸管5が挿通される導糸管保持穴6aが形成される。また、図3に示すように、導糸管5と導糸管保持穴6aとの間には間隙がある。導糸管レール6の下側の面には、導糸管保持穴6aに沿って環状の導糸管ホルダ7が取り付けられている。導糸管ホルダ7は樹脂により形成される。導糸管ホルダ7は保持力P1によって導糸管5を保持している。保持力P1は、導糸管5と導糸管ホルダ7との間に発生する摩擦力である。すなわち、導糸管レール6は導糸管ホルダ7を介して導糸管5を保持力P1で保持している。なお、保持力P1よりも大きい力が導糸管5に加わることにより、導糸管5は導糸管レール6に対して相対的に昇降方向Dに移動可能となる。また、図1に示すように、導糸管レール6は導糸管5を保持した状態で、昇降方向Dに移動可能である。また、導糸管レール6の上昇に伴って導糸管5が上昇する際の、導糸管5の上端5aの高さの上限を上限高さHとする。
【0020】
導糸管レール6の上側には、糸を所定の細さに引き伸ばすドラフト装置3が設けられている。また、ドラフト装置3と導糸管レール6との間には導糸管センサ10が設けられる。導糸管センサ10は反射式の光学センサである。導糸管センサ10は、光軸10aが導糸管5の上端5aの上限高さHよりも低く位置するように設けられている。
【0021】
また、複数のポット精紡機のスピンドルパート100が並んで設けられる機台には、ポット精紡機のスピンドルパート100が並列する方向に沿って移動可能なワゴン式のボビン除去装置11が設けられる。ボビン除去装置11は、各々のポット精紡機のスピンドルパート100のボビン12をロボットアーム11aで把持し、除去することができる。
ボビン除去装置11は、ボビン退避機構を構成する。
【0022】
次に、図4を用いて、ポット精紡機のスピンドルパート100の動作について説明する。
まず、図4のステップS1に示すように、ポット1の内壁にはケークが形成される。具体的には、図1に示すように、ポット1が高速回転している状態で、導糸管5によってポット1の内部に糸4が案内され、導糸管5の下端の糸排出口5bから糸4が排出される。糸4にはポット1の回転による遠心力が働くため、糸4はポット1の内壁に押し付けられてケークが形成される。この時、導糸管レール6は昇降方向Dに往復移動し、これにより、導糸管5の下端の糸排出口5bの位置も移動しながら糸4を排出し、ケークを形成する。
なお、ポット1は高速回転しているが、導糸管ガイド8は静止している。ここで、導糸管ガイド8は非回転部を構成する。
【0023】
次に、図4のステップS2に示すように、ケークの形成後に導糸管レール6を上昇させる。そして、ステップS3に示すように、導糸管センサ10によって導糸管5が検知されたか否かを判断する。導糸管センサ10により、導糸管レール6とともに導糸管5が上昇していることが検知された場合、導糸管5は導糸管レール6に保持された状態にあるため、糸4の導糸管巻き上がりは発生していないものと判断される。そして、ポット精紡機のスピンドルパート100の動作は、通常通り、糸4のボビン12への巻き返しの工程(ステップS4)に移る。
【0024】
一方、ステップS3において、導糸管センサ10によって導糸管5が検知されなかった場合、糸4の導糸管巻き上がりが発生したと判断される。具体的には、図5(a)に示すように、糸4が導糸管5に巻き付いたことにより、導糸管5の外周に糸の巻き付き部分Yが形成される。そして、図5(b)に示すように、導糸管レール6及び導糸管5が上昇すると、糸の巻き付き部分Yは導糸管ガイド8の下端のフランジ8bに接触し、導糸管5には下向きの抵抗力P2が発生する。この抵抗力P2が、導糸管レール6による導糸管5の保持力P1よりも大きくなると、図5(c)のように導糸管5の上端は、導糸管レール6の導糸管保持穴6aに対して相対的に下方向に移動し、外れる。従って、導糸管5への糸4の巻きつきが発生した場合、導糸管レール6の上側に設けられている導糸管センサ10は導糸管5の存在を検知することができない。すなわち、導糸管センサ10によって、導糸管5が導糸管レール6に保持されていないことが検知される。
【0025】
このように、糸4の導糸管巻き上がりが発生した場合、図4に示すステップS5のように、ボビン除去装置11がボビン12をロボットアーム11aで把持し、除去する。
【0026】
以上より、この実施の形態に係るポット精紡機では、導糸管レール6に設けられる導糸管ホルダ7が導糸管5を保持する保持力P1は、導糸管5に形成される巻き付き部分Yが非昇降部材と接触することにより導糸管5に加わる抵抗力P2よりも小さい。従って、抵抗力P2が導糸管5に加わることにより、導糸管5は、導糸管レール6に対して昇降方向Dに相対的に移動可能となるため、導糸管5に形成される巻き付き部分Yと他の部材との接触によって生じる力が緩和される。よって、導糸管5に糸4の導糸管巻き上がりが発生した場合でも、ポット精紡機のスピンドルパート100の部品の破損が防止される。
なお、この実施の形態では、非昇降部材は、ポット1、軸受2a及び導糸管ガイド8である。
【0027】
また、導糸管5は導糸管ホルダ7との間に生じる摩擦力によって、導糸管レール6に保持されている。これにより、簡易な構造で導糸管5を保持するとともに、所定以上の抵抗力P2が導糸管5にかかった場合に、導糸管5が容易に導糸管レール6に対して相対的に昇降方向Dに移動することが可能となる。
【0028】
また、導糸管センサ10は、導糸管5が導糸管レール6に保持されているか否かを検知する。これにより、導糸管5が導糸管レール6に対して相対的に下方向に移動し、導糸管レール6から外れたことが検知されれば、導糸管5に糸4の導糸管巻き上がりが発生していると判断することができる。
【0029】
また、導糸管5に糸4の導糸管巻き上がりが発生した時、導糸管5の糸の巻き付き部分Yは非回転部である導糸管ガイド8の下端のフランジ8bに接触する。従って、糸の巻き付き部分Yがポット1等の回転する部材に接触する場合よりも、接触による力を少なくすることができる。
【0030】
さらに、導糸管5に糸4の導糸管巻き上がりが発生していると判断された場合、導糸管5は導糸管レール6に対して昇降方向Dに相対的に移動可能となるため、導糸管5とボビン12とが接触するおそれがある。そのため、ボビン除去装置11がボビン12を除去して、導糸管5とボビン12との接触を防止する。
なお、導糸管センサ10が、導糸管5が導糸管レール6に対して相対的に下方向に移動し、導糸管レール6から外れたことを検知した後に、アラームの表示を行い、ボビン12を手動で除去してもよい。また、ボビン12を除去せずに横向きに倒して退避させることで、導糸管5とボビン12との接触を防止することもできる。
【0031】
なお、この実施の形態において、導糸管5は導糸管ホルダ7との間に生じる摩擦力によって、導糸管レール6に保持されているが、導糸管5の保持の方法はこれに限定されない。
例えば、図6に示すように、導糸管5の外周に凹部13を形成し、導糸管ホルダ7の凸部14との係合により、導糸管レール6に対して導糸管5を保持してもよい。また、導糸管5の外周に凸部を形成し、導糸管ホルダ7に凹部を形成することにより、導糸管5の凸部と導糸管ホルダ7の凹部との係合により、導糸管レール6に対して導糸管5を保持してもよい。
【0032】
また、導糸管5を導糸管レール6に保持する保持力P1は、磁石の磁力であってもよく、バネ部材の弾性力であってもよい。
また、導糸管ホルダがバネ部材である場合、導糸管センサは導糸管ホルダの動きを検知して、導糸管5が導糸管レール6から外れて、下方向に移動しているか否かを判断してもよい。
【0033】
また、導糸管センサ10は、反射式の光学センサに限定されず、透過式の光学センサであってもよく、接触式のセンサであってもよい。
また、導糸管センサ10は、導糸管レール16の導糸管保持穴16aの近傍に直接取り付けられていてもよい。
【0034】
また、導糸管ガイド8の下端にフランジ8bを設けず、導糸管5の糸の巻き付き部分Yは、フランジのない導糸管ガイド8の下端に直接接触してもよい。
また、軸受2aが、静止状態にある内輪と、内輪に対して相対的に回転する外輪とを有する場合、導糸管5の糸の巻き付き部分Yが接触する非回転部は、軸受2aの内輪であってもよい。
また、導糸管ガイド8がポット1とともに回転している場合であっても、導糸管5が導糸管レール6に対して相対的に下方向に移動することで、導糸管5の糸の巻き付き部分Yと導糸管ガイド8との接触による力は、充分に緩和される。
【0035】
また、図5(c)では、導糸管5が導糸管レール6から外れて分離しているが、これに限定されず、導糸管5が導糸管レール6から外れずに、相対的に下方向に移動するだけでも、糸の巻き付き部分Yと導糸管ガイド8との接触による力は緩和される。
【符号の説明】
【0036】
1 ポット(非昇降部材)、1a 開口、1c 取付穴、2a 軸受(非昇降部材)、4 糸、5 導糸管、6 導糸管レール、7 導糸管ホルダ、8 導糸管ガイド(非回転部、非昇降部材)、8b フランジ、10 導糸管センサ、100 ポット精紡機のスピンドルパート、D 昇降方向、P1 保持力、P2 抵抗力、Y 巻き付き部分。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7