(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】センサユニット付きゴルフクラブ
(51)【国際特許分類】
A63B 53/00 20150101AFI20220308BHJP
A63B 60/46 20150101ALI20220308BHJP
A63B 55/10 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
A63B53/00 B
A63B53/00 H
A63B60/46
A63B55/10
(21)【出願番号】P 2018078365
(22)【出願日】2018-04-16
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】大貫 正秀
(72)【発明者】
【氏名】植田 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 弘祐
(72)【発明者】
【氏名】中村 佑斗
(72)【発明者】
【氏名】永野 祐樹
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/098365(WO,A1)
【文献】特表2009-534546(JP,A)
【文献】特表2013-509968(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0312571(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0281670(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0271480(US,A1)
【文献】国際公開第2007/123970(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2013/0095939(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00
A63B 55/00
A63B 57/00
A63B 60/46
A63B 69/36-69/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブと
、前記ゴルフクラブに取り付けられた
第1センサユニットとを備えるセンサユニット付きゴルフクラブ
と、
第2センサユニットが取り付けられ、ゴルファーに持ち運ばれる付属品と
を備え、
前記
第1センサユニットは、
第1バッテリーと、
前記
第1バッテリーによる給電を受け、前記ゴルフクラブの状態を示す
第1センサデータを計測する
第1センサモジュールと、
前記
第1バッテリーによる給電を受け、前記
第1センサデータを外部装置にワイヤレスに送信する
第1通信部と、
前記
第1バッテリーによる給電を受け、前記
第1センサモジュール及び前記
第1通信部の動作を制御する
第1制御部と
を含み、
前記
第1センサユニットは、Aモードと、前記Aモードよりも前記
第1通信部の動作が抑制されるBモードとを有し、
前記
第1制御部は、前記
第1センサデータに基づき、前記ゴルフクラブがショットの準備がされているか否かを判断し、以下の(1)及び(2)の少なくとも一方の処理を実行し、
(1)は、前記Bモードにおいて、前記ショットの準備がされていると判断すると、前記Aモードに切り替え、前記ショットの準備がされていないと判断すると、前記Aモードには切り替えない処理であり、
(2)は、前記Aモードにおいて、前記ショットの準備がされていないと判断すると、前記Bモードに切り替え、
前記ショットの準備がされていると判断すると、前記Bモードには切り替えない処理であ
り、
前記第2センサユニットは、
第2バッテリーと、
前記第2バッテリーによる給電を受け、第2センサデータを計測する第2センサモジュールと、
前記第2バッテリーによる給電を受け、前記第2センサデータを前記外部装置にワイヤレスに送信する第2通信部と、
前記第2バッテリーによる給電を受け、前記第2センサモジュール及び前記第2通信部の動作を制御する第2制御部と
を含み、
前記第1制御部は、前記ショットの準備がされていると判断したときに、前記第1通信部を介して前記ショットの準備を通知するタイミングデータを前記外部装置及び前記第2通信部の少なくとも一方に送信し、
前記第2制御部は、前記送信されたタイミングデータを前記第2通信部を介して受信すると、前記第2センサモジュールに前記第2センサデータを計測させ、前記タイミングデータに基づく前記第2センサデータの計測時以外は、前記第2センサモジュールの動作を制限する、
ゴルフ計測システム。
【請求項2】
前記Bモードは、前記
第1通信部の動作に加え、前記Aモードよりも前記
第1センサモジュールの動作が抑制されるモードである、
請求項1に記載の
ゴルフ計測システム。
【請求項3】
ゴルフクラブと
、前記ゴルフクラブに取り付けられた
第1センサユニットとを備えるセンサユニット付きゴルフクラブ
と、
第2センサユニットが取り付けられ、ゴルファーに持ち運ばれる付属品と
を備え、
前記
第1センサユニットは、
第1バッテリーと、
前記
第1バッテリーによる給電を受け、前記ゴルフクラブの状態を示す
第1センサデータを計測する
第1センサモジュールと、
前記第1バッテリーによる給電を受け、前記第1センサデータを外部装置にワイヤレスに送信する第1通信部と、
前記
第1バッテリーによる給電を受け、前記
第1センサモジュール
及び第1通信部の動作を制御する
第1制御部と
を含み、
前記
第1センサユニットは、Aモードと、前記Aモードよりも前記
第1センサモジュールの動作が抑制されるBモードとを有し、
前記
第1制御部は、前記
第1センサデータに基づき、前記ゴルフクラブがショットの準備がされているか否かを判断し、以下の(1)及び(2)の少なくとも一方の処理を実行し、
(1)は、前記Bモードにおいて、前記ショットの準備がされていると判断すると、前記Aモードに切り替え、前記ショットの準備がされていないと判断すると、前記Aモードには切り替えない処理であり、
(2)は、前記Aモードにおいて、前記ショットの準備がされていないと判断すると、前記Bモードに切り替え、ショットの準備がされていると判断すると、前記Bモードには切り替えない処理であ
り、
前記第2センサユニットは、
第2バッテリーと、
前記第2バッテリーによる給電を受け、第2センサデータを計測する第2センサモジュールと、
前記第2バッテリーによる給電を受け、前記第2センサデータを前記外部装置にワイヤレスに送信する第2通信部と、
前記第2バッテリーによる給電を受け、前記第2センサモジュール及び前記第2通信部の動作を制御する第2制御部と
を含み、
前記第1制御部は、前記ショットの準備がされていると判断したときに、前記第1通信部を介して前記ショットの準備を通知するタイミングデータを前記外部装置及び前記第2通信部の少なくとも一方に送信し、
前記第2制御部は、前記送信されたタイミングデータを前記第2通信部を介して受信すると、前記第2センサモジュールに前記第2センサデータを計測させ、前記タイミングデータに基づく前記第2センサデータの計測時以外は、前記第2センサモジュールの動作を制限する、
ゴルフ計測システム。
【請求項4】
前記
第1センサモジュールには、加速度センサ及び傾斜センサの少なくとも一方が含まれ、
前記
第1制御部は、前記ショットの準備がされているか否かを判断するために、少なくとも前記ゴルフクラブの向きが所定の範囲内であるか否かを判断する、
請求項1から3のいずれかに記載の
ゴルフ計測システム。
【請求項5】
前記
第1センサモジュールには、前記ゴルフクラブに含まれるグリップに取り付けられ、前記グリップが握られているか否かを示すセンターデータを計測する圧力センサが含まれ、
前記
第1制御部は、前記ショットの準備がされているか否かを判断するために、少なくとも前記グリップが握られているか否かを判断する、
請求項1から4のいずれかに記載の
ゴルフ計測システム。
【請求項6】
前記
第1センサモジュールには、加速度センサ、磁気センサ、角速度センサ、音センサ、光センサ、電波センサ、圧力センサ、温度センサ及び傾斜センサからなる群の中から選択される少なくとも1つのセンサが含まれる、
請求項1から5のいずれかに記載の
ゴルフ計測システム。
【請求項7】
前記
第1制御部は、前記ショットの準備がされているか否かを判断するために、少なくとも前記付属品が前記
第1センサユニットの近傍にあるか否かを判断する、
請求項1から6のいずれかに記載のゴルフ計測システム。
【請求項8】
前記センサユニット付きゴルフクラブを収納するキャディーバッグ
をさらに備え、
前記
第1制御部は、少なくとも前記ゴルフクラブが前記キャディーバッグに収納されているか否かを判断するために、前記キャディーバッグが前記
第1センサユニットの近傍にあるか否かを判断する、
請求項7に記載のゴルフ計測システム。
【請求項9】
前記キャディーバッグは、磁気、音、光及び電波からなる群から選択される少なくとも1つの要素の発生源又は前記要素の遮蔽部を有し、
前記
第1センサモジュールには、前記要素を検出するセンサが含まれる、
請求項8に記載のゴルフ計測システム。
【請求項10】
前記付属品は、磁気、音、光及び電波からなる群から選択される少なくとも1つの要素の発生源を有し、
前記
第1センサモジュールには、前記要素を検出するセンサが含まれる、
請求項7に記載のゴルフ計測システム。
【請求項11】
前記付属品は、前記ゴルファーの手、手首及び腕の少なくとも1つの部位に装着される、
請求項7又は10に記載のゴルフ計測システム。
【請求項12】
ゴルフクラブに取り付けられる
第1センサユニットであって、
第1バッテリーと、
前記
第1バッテリーによる給電を受け、前記ゴルフクラブの状態を示すセンサデータを計測する
第1センサモジュールと、
前記
第1バッテリーによる給電を受け、前記
第1センサデータを外部装置にワイヤレスに送信する
第1通信部と、
前記
第1バッテリーによる給電を受け、前記
第1センサモジュール及び前記
第1通信部の動作を制御する
第1制御部と
を備え
る、第1センサユニットと、
ゴルファーに持ち運ばれる付属品に取り付けられる第2センサユニットであって、
第2バッテリーと、
前記第2バッテリーによる給電を受け、第2センサデータを計測する第2センサモジュールと、
前記第2バッテリーによる給電を受け、前記第2センサデータを前記外部装置にワイヤレスに送信する第2通信部と、
前記第2バッテリーによる給電を受け、前記第2センサモジュール及び前記第2通信部の動作を制御する第2制御部と
を備える、第2センサユニットと、
を備え、
前記
第1センサユニットは、Aモードと、前記Aモードよりも前記
第1通信部の動作が抑制されるBモードとを有し、
前記
第1制御部は、前記
第1センサデータに基づき、前記ゴルフクラブがショットの準備がされているか否かを判断し、以下の(1)及び(2)の少なくとも一方の処理を実行し、
(1)は、前記Bモードにおいて、前記ショットの準備がされていると判断すると、前記Aモードに切り替え、前記ショットの準備がされていないと判断すると、前記Aモードには切り替えない処理であり、
(2)は、前記Aモードにおいて、前記ショットの準備がされていないと判断すると、前記Bモードに切り替え、ショットの準備がされていると判断すると、前記Bモードには切り替えない処理であ
り、
前記第1制御部は、前記ショットの準備がされていると判断したときに、前記第1通信部を介して前記ショットの準備を通知するタイミングデータを前記外部装置及び前記第2通信部の少なくとも一方に送信し、
前記第2制御部は、前記送信されたタイミングデータを前記第2通信部を介して受信すると、前記第2センサモジュールに前記第2センサデータを計測させ、前記タイミングデータに基づく前記第2センサデータの計測時以外は、前記第2センサモジュールの動作を制限する、
センサユニット
システム。
【請求項13】
ゴルフクラブに取り付けられる
第1センサユニットであって、
第1バッテリーと、
前記
第1バッテリーによる給電を受け、前記ゴルフクラブの状態を示す
第1センサデータを計測する
第1センサモジュールと、
前記第1バッテリーによる給電を受け、前記第1センサデータを外部装置にワイヤレスに送信する第1通信部と、
前記
第1バッテリーによる給電を受け、前記
第1センサモジュール
及び第1通信部の動作を制御する
第1制御部と
を備え
る、第1センサユニットと、
ゴルファーに持ち運ばれる付属品に取り付けられる第2センサユニットであって、
第2バッテリーと、
前記第2バッテリーによる給電を受け、第2センサデータを計測する第2センサモジュールと、
前記第2バッテリーによる給電を受け、前記第2センサデータを前記外部装置にワイヤレスに送信する第2通信部と、
前記第2バッテリーによる給電を受け、前記第2センサモジュール及び前記第2通信部の動作を制御する第2制御部と
を備える、第2センサユニットと、
を備え、
前記
第1センサユニットは、Aモードと、前記Aモードよりも前記
第1センサモジュールの動作が抑制されるBモードとを有し、
前記
第1制御部は、前記
第1センサデータに基づき、前記ゴルフクラブがショットの準備がされているか否かを判断し、以下の(1)及び(2)の少なくとも一方の処理を実行し、
(1)は、前記Bモードにおいて、前記ショットの準備がされていると判断すると、前記Aモードに切り替え、前記ショットの準備がされていないと判断すると、前記Aモードには切り替えない処理であり、
(2)は、前記Aモードにおいて、前記ショットの準備がされていないと判断すると、前記Bモードに切り替え、ショットの準備がされていると判断すると、前記Bモードには切り替えない処理であ
り、
前記第1制御部は、前記ショットの準備がされていると判断したときに、前記第1通信部を介して前記ショットの準備を通知するタイミングデータを前記外部装置及び前記第2通信部の少なくとも一方に送信し、
前記第2制御部は、前記送信されたタイミングデータを前記第2通信部を介して受信すると、前記第2センサモジュールに前記第2センサデータを計測させ、前記タイミングデータに基づく前記第2センサデータの計測時以外は、前記第2センサモジュールの動作を制限する、
センサユニット
システム。
【請求項14】
ゴルフクラブに取り付けられた
第1センサユニットに含まれる
第1制御部に、
前記
第1センサユニットに含まれる
第1バッテリーから前記
第1センサユニットに含まれる
第1センサモジュールに給電し、前記
第1センサモジュールを介して、前記ゴルフクラブの状態を示す
第1センサデータを計測することと、
前記
第1バッテリーから前記
第1センサユニットに含まれる
第1通信部に給電し、前記
第1通信部を介して、前記
第1センサデータを外部装置にワイヤレスに送信することと、
前記
第1センサデータに基づき、前記ゴルフクラブがショットの準備がされているか否かを判断し、以下の(1)及び(2)の少なくとも一方の処理を実行することと
を実行させ
る、ゴルフ計測プログラムであって、
前記
第1センサユニットは、Aモードと、前記Aモードよりも前記
第1通信部の動作が抑制されるBモードとを有し、
(1)は、前記Bモードにおいて、前記ショットの準備がされていると判断すると、前記Aモードに切り替え、前記ショットの準備がされていないと判断すると、前記Aモードには切り替えない処理であり、
(2)は、前記Aモードにおいて、前記ショットの準備がされていないと判断すると、前記Bモードに切り替え、ショットの準備がされていると判断すると、前記Bモードには切り替えない処理であ
り、
前記ショットの準備がされていると判断したとき、前記第1制御部に、前記ショットの準備を通知するタイミングデータを、前記外部装置及びゴルファーに持ち運ばれる付属品に取り付けられる第2センサユニットの少なくとも一方に、前記第1通信部を介して送信することをさらに実行させ、
前記第2センサユニットは、
第2バッテリーと、
前記第2バッテリーによる給電を受け、第2センサデータを計測する第2センサモジュールと、
前記第2バッテリーによる給電を受け、前記第2センサデータを前記外部装置にワイヤレスに送信する第2通信部と、
前記第2バッテリーによる給電を受け、前記第2センサモジュール及び前記第2通信部の動作を制御する第2制御部と
を備え、
前記第2制御部は、前記送信されたタイミングデータを前記第2通信部を介して受信すると、前記第2センサモジュールに前記第2センサデータを計測させ、前記タイミングデータに基づく前記第2センサデータの計測時以外は、前記第2センサモジュールの動作を制限する、
ゴルフ計測プログラム。
【請求項15】
ゴルフクラブに取り付けられた
第1センサユニットに含まれる
第1制御部に、
前記
第1センサユニットに含まれる
第1バッテリーから前記
第1センサユニットに含まれる
第1センサモジュールに給電し、前記
第1センサモジュールを介して、前記ゴルフクラブの状態を示す
第1センサデータを計測することと、
前記第1バッテリーから前記第1センサユニットに含まれる第1通信部に給電し、前記第1通信部を介して、前記第1センサデータを外部装置にワイヤレスに送信することと、
前記
第1センサデータに基づき、前記ゴルフクラブがショットの準備がされているか否かを判断し、以下の(1)及び(2)の少なくとも一方の処理を実行することと
を実行させ
る、ゴルフ計測プログラムであって、
前記
第1センサユニットは、Aモードと、前記Aモードよりも前記
第1センサモジュールの動作が抑制されるBモードとを有し、
(1)は、前記Bモードにおいて、前記ショットの準備がされていると判断すると、前記Aモードに切り替え、前記ショットの準備がされていないと判断すると、前記Aモードには切り替えない処理であり、
(2)は、前記Aモードにおいて、前記ショットの準備がされていないと判断すると、前記Bモードに切り替え、ショットの準備がされていると判断すると、前記Bモードには切り替えない処理であ
り、
前記ショットの準備がされていると判断したとき、前記第1制御部に、前記ショットの準備を通知するタイミングデータを、前記外部装置及びゴルファーに持ち運ばれる付属品に取り付けられる第2センサユニットの少なくとも一方に、前記第1通信部を介して送信することをさらに実行させ、
前記第2センサユニットは、
第2バッテリーと、
前記第2バッテリーによる給電を受け、第2センサデータを計測する第2センサモジュールと、
前記第2バッテリーによる給電を受け、前記第2センサデータを前記外部装置にワイヤレスに送信する第2通信部と、
前記第2バッテリーによる給電を受け、前記第2センサモジュール及び前記第2通信部の動作を制御する第2制御部と
を備え、
前記第2制御部は、前記送信されたタイミングデータを前記第2通信部を介して受信すると、前記第2センサモジュールに前記第2センサデータを計測させ、前記タイミングデータに基づく前記第2センサデータの計測時以外は、前記第2センサモジュールの動作を制限する、
ゴルフ計測プログラム。
【請求項16】
ゴルフクラブに取り付けられた
第1センサユニットに含まれる
第1制御部を用いて、
前記
第1センサユニットに含まれる
第1バッテリーから前記
第1センサユニットに含まれる
第1センサモジュールに給電し、前記
第1センサモジュールを介して、前記ゴルフクラブの状態を示す
第1センサデータを計測することと、
前記
第1バッテリーから前記
第1センサユニットに含まれる
第1通信部に給電し、前記
第1通信部を介して、前記
第1センサデータを外部装置にワイヤレスに送信することと、
前記
第1センサデータに基づき、前記ゴルフクラブがショットの準備がされているか否かを判断し、以下の(1)及び(2)の少なくとも一方の処理を実行することと
を含み、
前記
第1センサユニットは、Aモードと、前記Aモードよりも前記
第1通信部の動作が抑制されるBモードとを有し、
(1)は、前記Bモードにおいて、前記ショットの準備がされていると判断すると、前記Aモードに切り替え、前記ショットの準備がされていないと判断すると、前記Aモードには切り替えない処理であり、
(2)は、前記Aモードにおいて、前記ショットの準備がされていないと判断すると、前記Bモードに切り替え、ショットの準備がされていると判断すると、前記Bモードには切り替えない処理であ
り、
前記ショットの準備がされていると判断したとき、前記第1制御部を用いて、前記ショットの準備を通知するタイミングデータを、前記外部装置及びゴルファーに持ち運ばれる付属品に取り付けられ、前記外部装置にワイヤレスに接続される第2センサユニットの少なくとも一方に、前記第1通信部を介して送信することと、
前記第2センサユニットに含まれる第2制御部を用いて、
前記送信されたタイミングデータを前記第2センサユニットに含まれる第2通信部を介して受信することと、
前記受信したタイミングデータに基づいて、前記第2センサユニットに含まれる第2センサモジュールに第2センサデータを計測させることと、
前記タイミングデータに基づく前記第2センサデータの計測時以外は、前記第2センサモジュールの動作を制限することと、
をさらに含む、
ゴルフ計測方法。
【請求項17】
ゴルフクラブに取り付けられた
第1センサユニットに含まれる
第1制御部を用いて、
前記
第1センサユニットに含まれる
第1バッテリーから前記
第1センサユニットに含まれる
第1センサモジュールに給電し、前記
第1センサモジュールを介して、前記ゴルフクラブの状態を示す
第1センサデータを計測することと、
前記第1バッテリーから前記第1センサユニットに含まれる第1通信部に給電し、前記第1通信部を介して、前記第1センサデータを外部装置にワイヤレスに送信することと、
前記
第1センサデータに基づき、前記ゴルフクラブがショットの準備がされているか否かを判断し、以下の(1)及び(2)の少なくとも一方の処理を実行することと
を含み、
前記
第1センサユニットは、Aモードと、前記Aモードよりも前記
第1センサモジュールの動作が抑制されるBモードとを有し、
(1)は、前記Bモードにおいて、前記ショットの準備がされていると判断すると、前記Aモードに切り替え、前記ショットの準備がされていないと判断すると、前記Aモードには切り替えない処理であり、
(2)は、前記Aモードにおいて、前記ショットの準備がされていないと判断すると、前記Bモードに切り替え、ショットの準備がされていると判断すると、前記Bモードには切り替えない処理であ
り、
前記ショットの準備がされていると判断したとき、前記第1制御部を用いて、前記ショットの準備を通知するタイミングデータを、前記外部装置及びゴルファーに持ち運ばれる付属品に取り付けられ、前記外部装置にワイヤレスに接続される第2センサユニットの少なくとも一方に、前記第1通信部を介して送信することと、
前記第2センサユニットに含まれる第2制御部を用いて、
前記送信されたタイミングデータを前記第2センサユニットに含まれる第2通信部を介して受信することと、
前記受信したタイミングデータに基づいて、前記第2センサユニットに含まれる第2センサモジュールに第2センサデータを計測させることと、
前記タイミングデータに基づく前記第2センサデータの計測時以外は、前記第2センサモジュールの動作を制限することと、
をさらに含む、
ゴルフ計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサユニット付きゴルフクラブ、これに含まれるセンサユニット、これを含むゴルフ計測システム、並びにゴルフ計測プログラム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、加速度センサや角速度センサ等のセンサモジュールが搭載されたセンサユニット付きゴルフクラブを用いて、ゴルファーのショットを記録するシステムが知られている(特許文献1参照)。特許文献1では、センサモジュールによる計測データは、同じくセンサユニットに搭載された通信モジュールを介して、外部の携帯型コンピュータにワイヤレスに送信される。このシステムでは、ゴルフコースのラウンド中にショットの計測データをリアルタイムに収集し、計測データに基づく解析結果をゴルファーにリアルタイムにフィードバッグすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、センサモジュールが常時計測を行っていると、すぐにセンサユニットのバッテリーが尽きてしまう。また、センサユニットの通信モジュールと外部の携帯型コンピュータとが常時通信していると、益々バッテリーの消耗が早まる。よって、長時間に亘るゴルフのラウンド中に、ゴルファーが行った全てのショットの計測データを記録することはしばしば困難である。一方で、ゴルフのラウンドが長時間に亘るといっても、計測データが欲しい期間は、ショット時等に限られる。よって、バッテリーを節約するために、従来、ラウンド中のショットの度に、ゴルファーはゴルフクラブのセンサユニットの電源をオン/オフしてきた。しかし、これでは、ゴルファーがラウンド中、常に電源のオン/オフの動作を意識していなければならないし、電源の駆動を忘れると、その時のショットの記録を逸してしまう。
【0005】
本発明の目的の1つは、ゴルファーが意識せずとも、長時間に亘ってショットの記録を収集することができるセンサユニット付きゴルフクラブ、これに含まれるセンサユニット、これを含むゴルフ計測システム、並びにゴルフ計測プログラム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点に係るセンサユニット付きゴルフクラブは、ゴルフクラブと、前記ゴルフクラブに取り付けられたセンサユニットとを備える。前記センサユニットは、バッテリーと、前記バッテリーによる給電を受け、前記ゴルフクラブの状態を示すセンサデータを計測するセンサモジュールと、前記バッテリーによる給電を受け、前記センサデータを外部装置にワイヤレスに送信する通信部と、前記バッテリーによる給電を受け、前記センサモジュール及び前記通信部の動作を制御する制御部とを含む。前記センサユニットは、Aモードと、前記Aモードよりも前記通信部の動作が抑制されるBモードとを有する。前記制御部は、前記センサデータに基づき、前記ゴルフクラブがショットの準備がされているか否かを判断し、以下の(1)及び(2)の少なくとも一方の処理を実行する。
(1)前記Bモードにおいて、前記ショットの準備がされていると判断すると、前記Aモードに切り替え、前記ショットの準備がされていないと判断すると、前記Aモードには切り替えない処理
(2)は、前記Aモードにおいて、前記ショットの準備がされていないと判断すると、前記Bモードに切り替え、ショットの準備がされていると判断すると、前記Bモードには切り替えない処理
【0007】
第2観点に係るセンサユニット付きゴルフクラブは、第1観点に係るセンサユニット付きゴルフクラブであって、前記Bモードは、前記通信部の動作に加え、前記Aモードよりも前記センサモジュールの動作が抑制されるモードである。
【0008】
第3観点に係るセンサユニット付きゴルフクラブは、ゴルフクラブと、前記ゴルフクラブに取り付けられたセンサユニットと備える。前記センサユニットは、バッテリーと、前記バッテリーによる給電を受け、前記ゴルフクラブの状態を示すセンサデータを計測するセンサモジュールと、前記バッテリーによる給電を受け、前記センサモジュールの動作を制御する制御部とを含む。前記制御部は、Aモードと、前記Aモードよりも前記センサモジュールの動作が抑制されるBモードとを有する。前記センサユニットは、前記センサデータに基づき、前記ゴルフクラブがショットの準備がされているか否かを判断し、以上の(1)及び(2)の少なくとも一方の処理を実行する。
【0009】
第4観点に係るセンサユニット付きゴルフクラブは、第1観点から第3観点のいずれかに係るセンサユニット付きゴルフクラブであって、前記センサモジュールには、加速度センサ及び傾斜センサの少なくとも一方が含まれる。前記制御部は、前記ショットの準備がされているか否かを判断するために、少なくとも前記ゴルフクラブの向きが所定の範囲内であるか否かを判断する。
【0010】
第5観点に係るセンサユニット付きゴルフクラブは、第1観点から第4観点のいずれかに係るセンサユニット付きゴルフクラブであって、前記センサモジュールには、前記ゴルフクラブに含まれるグリップに取り付けられ、前記グリップが握られているか否かを示すセンターデータを計測する圧力センサが含まれる。前記制御部は、前記ショットの準備がされているか否かを判断するために、少なくとも前記グリップが握られているか否かを判断する。
【0011】
第6観点に係るセンサユニット付きゴルフクラブは、第1観点から第5観点のいずれかに係るセンサユニット付きゴルフクラブであって、前記センサモジュールには、加速度センサ、磁気センサ、角速度センサ、音センサ、光センサ、電波センサ、圧力センサ、温度センサ及び傾斜センサからなる群の中から選択される少なくとも1つのセンサが含まれる。
【0012】
第7観点に係るゴルフ計測システムは、第1観点から第6観点のいずれかに係るセンサユニット付きゴルフクラブと、ゴルファーに持ち運ばれる付属品とを備える。前記制御部は、前記ショットの準備がされているか否かを判断するために、少なくとも前記付属品が前記センサユニットの近傍にあるか否かを判断する。
【0013】
第8観点に係るゴルフ計測システムは、第7観点に係る計測システムであって、前記付属品には、前記センサユニット付きゴルフクラブを収納するキャディーバッグが含まれる。前記制御部は、少なくとも前記ゴルフクラブが前記キャディーバッグに収納されているか否かを判断するために、前記キャディーバッグが前記センサユニットの近傍にあるか否かを判断する。
【0014】
第9観点に係るゴルフ計測システムは、第8観点に係る計測システムであって、前記キャディーバッグは、磁気、音、光及び電波からなる群から選択される少なくとも1つの要素の発生源又は前記要素の遮蔽部を有する。前記センサモジュールには、前記要素を検出するセンサが含まれる。
【0015】
第10観点に係るゴルフ計測システムは、第7観点に係る計測システムであって、前記付属品は、磁気、音、光及び電波からなる群から選択される少なくとも1つの要素の発生源を有する。前記センサモジュールには、前記要素を検出するセンサが含まれる。
【0016】
第11観点に係るゴルフ計測システムは、第7観点又は第10観点に係る計測システムであって、前記付属品は、前記ゴルファーの手、手首及び腕の少なくとも1つの部位に装着される。
【0017】
第12観点に係るセンサユニットは、ゴルフクラブに取り付けられ、バッテリーと、前記バッテリーによる給電を受け、前記ゴルフクラブの状態を示すセンサデータを計測するセンサモジュールと、前記バッテリーによる給電を受け、前記センサデータを外部装置にワイヤレスに送信する通信部と、前記バッテリーによる給電を受け、前記センサモジュール及び前記通信部の動作を制御する制御部とを備える。前記センサユニットは、Aモードと、前記Aモードよりも前記通信部の動作が抑制されるBモードとを有する。前記制御部は、前記センサデータに基づき、前記ゴルフクラブがショットの準備がされているか否かを判断し、以上の(1)及び(2)の少なくとも一方の処理を実行する。
【0018】
第13観点に係るセンサユニットは、ゴルフクラブに取り付けられ、バッテリーと、前記バッテリーによる給電を受け、前記ゴルフクラブの状態を示すセンサデータを計測するセンサモジュールと、前記バッテリーによる給電を受け、前記センサモジュールの動作を制御する制御部とを備える。前記センサユニットは、Aモードと、前記Aモードよりも前記センサモジュールの動作が抑制されるBモードとを有する。前記制御部は、前記センサデータに基づき、前記ゴルフクラブがショットの準備がされているか否かを判断し、以上の(1)及び(2)の少なくとも一方の処理を実行する。
【0019】
第14観点に係るゴルフ計測プログラムは、ゴルフクラブに取り付けられたセンサユニットに含まれる制御部に、以下のことを実行させる。
・前記センサユニットに含まれるバッテリーから前記センサユニットに含まれるセンサモジュールに給電し、前記センサモジュールを介して、前記ゴルフクラブの状態を示すセンサデータを計測すること
・前記バッテリーから前記センサユニットに含まれる通信部に給電し、前記通信部を介して、前記センサデータを外部装置にワイヤレスに送信すること
・前記センサデータに基づき、前記ゴルフクラブがショットの準備がされているか否かを判断し、以上の(1)及び(2)の少なくとも一方の処理を実行すること
前記センサユニットは、Aモードと、前記Aモードよりも前記通信部の動作が抑制されるBモードとを有する。
【0020】
第15観点に係るゴルフ計測プログラムは、ゴルフクラブに取り付けられたセンサユニットに含まれる制御部に、以下のことを実行させる。
・前記センサユニットに含まれるバッテリーから前記センサユニットに含まれるセンサモジュールに給電し、前記センサモジュールを介して、前記ゴルフクラブの状態を示すセンサデータを計測すること
・前記センサデータに基づき、前記ゴルフクラブがショットの準備がされているか否かを判断し、以上の(1)及び(2)の少なくとも一方の処理を実行すること
前記センサユニットは、Aモードと、前記Aモードよりも前記センサモジュールの動作が抑制されるBモードとを有する。
【0021】
第16観点に係るゴルフ計測方法は、以下のことを含む。
・ゴルフクラブに取り付けられたセンサユニットに含まれる制御部を用いて、前記センサユニットに含まれるバッテリーから前記センサユニットに含まれるセンサモジュールに給電し、前記センサモジュールを介して、前記ゴルフクラブの状態を示すセンサデータを計測すること
・前記制御部を用いて、前記バッテリーから前記センサユニットに含まれる通信部に給電し、前記通信部を介して、前記センサデータを外部装置にワイヤレスに送信すること
・前記制御部を用いて、前記センサデータに基づき、前記ゴルフクラブがショットの準備がされているか否かを判断し、以上の(1)及び(2)の少なくとも一方の処理を実行すること
前記センサユニットは、Aモードと、前記Aモードよりも前記通信部の動作が抑制されるBモードとを有する。
【0022】
第17観点に係るゴルフ計測方法は、以下のことを含む。
・ゴルフクラブに取り付けられたセンサユニットに含まれる制御部を用いて、前記センサユニットに含まれるバッテリーから前記センサユニットに含まれるセンサモジュールに給電し、前記センサモジュールを介して、前記ゴルフクラブの状態を示すセンサデータを計測すること
・前記制御部を用いて、前記センサデータに基づき、前記ゴルフクラブがショットの準備がされているか否かを判断し、以上の(1)及び(2)の少なくとも一方の処理を実行すること
前記センサユニットは、Aモードと、前記Aモードよりも前記センサモジュールの動作が抑制されるBモードとを有する。
【0023】
第18観点に係るゴルフ計測システムは、第1センサユニットが取り付けられており、ゴルファーに使用されるゴルフクラブと、第2センサユニットが取り付けられており、前記ゴルファーに持ち運ばれる付属品とを備える。前記第1センサユニットは、第1センサデータを計測する第1センサモジュールと、外部装置とワイヤレス通信する第1通信部と、前記第1センサモジュール及び第1通信部の動作を制御する第1制御部とを含む。前記第2センサユニットは、第2センサデータを計測する第2センサモジュールと、外部装置とワイヤレス通信する第2通信部と、前記第2センサモジュール及び第2通信部の動作を制御する第2制御部とを含む。前記第1制御部は、前記第1センサデータに基づいて前記ゴルファーがショットを行うタイミングを判断し、前記タイミングに基づいて、前記第1通信部を介してタイミングデータを出力する。前記第2制御部は、前記第2通信部を介して前記タイミングデータを受信し、前記タイミングデータに基づいて、前記第2センサモジュールに前記第2センサデータを計測させる。
【発明の効果】
【0024】
第1観点及び第3観点によれば、ゴルフクラブに取り付けられ、ゴルフクラブの状態を計測可能なセンサモジュールを有するセンサユニットが提供される。このセンサユニットは、さらに制御部を有する。この制御部は、センサモジュールにより計測されるセンサデータに基づいて、ゴルフクラブがショットの準備がされているか否かを判断し、この判断の結果に応じて、センサユニットにおけるバッテリーの電力消費の程度が異なるAモード及びBモード間を切り替える。よって、ゴルファーが特に何もしなくとも、バッテリーを節約することができる。以上より、ゴルファーが意識せずとも、長時間に亘ってショットの記録を収集することができる。このような省電力のセンサユニットは、長時間に亘るゴルフコースのラウンドにも対応することができる。
【0025】
第18観点によれば、第1センサモジュールを有する第1センサユニットが取り付けられたゴルフクラブと、ゴルファーに持ち運ばれ、第2センサユニットが取り付けられた付属品とが提供される。第1センサユニットの制御部は、第1センサモジュールにより計測される第1センサデータに基づいて、ゴルファーがショットを行うタイミングを判断し、第1通信部を介してタイミングデータをワイヤレスに出力する。一方、第2センサユニットの制御部は、第2通信部を介してタイミングデータをワイヤレスに受信し、タイミングデータに基づいて、第2センサモジュールに第2センサデータを計測させる。よって、ゴルファーが意識せずとも、第2センサユニットにおいて必要な時に必要な情報を収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係るセンサユニット付きゴルフクラブを含むゴルフ計測システムの構成を示す図。
【
図2】ゴルフクラブに取り付けられたセンサユニットの構成を示すブロック図。
【
図4】ゴルファーがセンサユニット付きゴルフクラブを構えている様子を示す図。
【
図5】付属品に取り付けられたセンサユニットの構成を示すブロック図。
【
図7】ゴルフ計測処理の流れを示すフローチャート。
【
図8】センサユニットにおけるモードの切り替えを説明する状態遷移図。
【
図10】変形例に係るキャディーバッグの構成を示す図。
【
図11】変形例に係るセンサユニットにおけるモードの切り替えを説明する状態遷移図。
【
図12】変形例に係るモードの遷移条件を説明する図。
【
図13】別の変形例に係るセンサユニットにおけるモードの切り替えを説明する状態遷移図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るセンサユニット付きゴルフクラブ、これに含まれるセンサユニット、これを含むゴルフ計測システム、並びにゴルフ計測プログラム及び方法について説明する。
【0028】
<1.ゴルフ計測システムの全体構成>
図1に、本実施形態に係るゴルフ計測システム100の全体構成図を示す。ゴルフ計測システム100は、ゴルファーが行うショットに関するデータ(以下、ショットデータという)を収集し、これを分析するシステムである。ショットデータは、これに限られないが、典型的にはゴルフコースでのラウンド中に収集される。ゴルフ計測システム100は、センサユニット1付きゴルフクラブ2と、各種付属品3と、携帯端末6と含む。ゴルフクラブ2及び各種付属品3は、ゴルファーによりゴルフコースに携帯され、ラウンド中に持ち運ばれ、使用される。携帯端末6も、同じくゴルファーによりゴルフコースに携帯され、ラウンド中に持ち運ばれる。
【0029】
付属品3には、キャディーバッグ5、靴3a、ウェア3b、ボール3c、グローブ3d及びサポーター3e等のゴルフ用品の他、腕時計3f及びブレスレット3g等の非ゴルフ用品が含まれる。なお、腕時計3f及びブレスレット3gは、ゴルフでの使用に適するように構成されたゴルフ用品であってもよい。本実施形態では、靴3a、ウェア3b及びボール3cには、各々、センサユニット4が取り付けられている。
【0030】
ゴルフクラブ2に取り付けられたセンサユニット1は、ショット時のゴルフクラブ2の状態を示すショットデータを含む各種センサデータを収集し、これをワイヤレスに外部装置に送信する。ここでいう外部装置には、携帯端末6が含まれる。一部の付属品3に、本実施形態では、靴3a、ウェア3b及びボール3cに取り付けられたセンサユニット4も、各種センサデータを収集し、これをワイヤレスに外部装置に送信する。ここでいう外部装置にも、携帯端末6が含まれる。
【0031】
以上のとおりに収集された各種センサデータは、携帯端末6によるショットの分析に使用される。この分析の結果は、適宜、携帯端末6を介してゴルファーに提供される。ゴルファーは、この分析の結果を現在のラウンド中のプレー又は今後のプレーに活かすことができる。
【0032】
以下、センサユニット1付きゴルフクラブ2、各種付属品3及び携帯端末6の構成について説明した後、ゴルフ計測システム100により実行される各種処理について説明する。
【0033】
<2.各部の構成>
<2-1.センサユニット付きゴルフクラブ>
図1に示すとおり、ゴルフクラブ2は、一般的なゴルフクラブであり、シャフト20と、シャフト20の一端に設けられたヘッド21と、シャフト20の他端に設けられたグリップ22とを有する。ゴルフクラブ2には、ゴルフクラブ2の状態を示すセンサデータを計測するセンサユニット1が取り付けられている。センサユニット1は、ゴルファーのプレーを阻害することがないよう、小型且つ軽量に構成されており、本実施形態では、ゴルフクラブ2に対して着脱不能であるが、着脱自在に構成することもできる。
【0034】
図2に示すように、センサユニット1には、加速度センサ11、角速度センサ12及び地磁気センサ13が搭載されている。加速度センサ11は、xyz局所座標系におけるx軸、y軸及びz軸方向の加速度a
x、a
y、a
zを計測する三軸加速度センサモジュールである。角速度センサ12は、x軸、y軸及びz軸周りの角速度ω
x、ω
y、ω
zを計測する三軸角速度センサモジュールである。地磁気センサ13は、x軸、y軸及びz軸方向の地磁気m
x、m
y、m
zを計測する三軸地磁気センサモジュールである。
【0035】
センサユニット1には、センサモジュール11~13の他、通信部14、制御部15、記憶部16及びバッテリー17が搭載されている。通信部14は、Wi-Fi(登録商標)や、Bluetooth(登録商標)のような非接触通信又は近距離無線通信の規格に対応しており、同規格に同じく対応する外部装置とのワイヤレス通信を可能にする。通信部14は、バッテリー17による給電を受けて動作し、センサモジュール11~13により計測されたセンサデータのうち、ショット時のゴルフクラブ2の状態を示すショットデータを携帯端末6等の外部装置にワイヤレスに送信する。なお、ショットデータには、まさにショット期間中のセンサデータだけでなく、その前後のセンサデータを含め、ショット中の可能性がある期間に収集されたセンサデータも含まれ得る。
【0036】
制御部15は、CPU、ROM及びRAM等から構成されている。制御部15は、バッテリー17による給電を受けて動作し、センサモジュール11~13、通信部14、記憶部16及びバッテリー17の動作を制御する。記憶部16は、不揮発性で書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶装置から構成されており、バッテリー17からの給電を受けてデータを記憶及び消去する。記憶部16内には、プログラム16aが格納されており、制御部15のCPUがこれを読み出して実行することにより、後述する動作を実行する。なお、プログラム16aは、記憶部16内ではなく、制御部15のROM内に格納されていてもよいし、両者に分散して格納されていてもよい。
【0037】
バッテリー17は、センサモジュール11~13、通信部14、制御部15及び記憶部16に給電を行う電源であり、制御部15によりオン/オフが制御される。また、センサユニット1は、ゴルフクラブ2の外部からアクセス可能なスイッチ18を有しており、このスイッチ18をゴルファーが操作することによっても、バッテリー17のオン/オフが切り替えられる。バッテリー17は、蓄電池であっても、乾電池であってもよく、本実施形態では充電式である。
【0038】
以上のセンサモジュール11~13、通信部14、制御部15、記憶部16及びバッテリー17は、1つ又は複数の基板上に搭載されており、慣性センサユニット1aを構成している。慣性センサユニット1aの取付位置は、特に限定されないが、本実施形態では、グリップ22におけるヘッド21と反対側の端部である。
【0039】
センサユニット1には、圧力センサ31、傾斜センサ32及び温度センサ33も搭載されている。圧力センサ31は、グリップ22の内側に取り付けられており、ゴルファーがグリップ22を握ったときの圧力を計測するセンサモジュールである。傾斜センサ32は、水準センサとも呼ばれ、水平方向を検出し、水平方向又はこれに基づく基準方向に対するシャフト20の長手方向の向き、すなわちゴルフクラブ2の向きを計測するセンサモジュールである。傾斜センサ32の取付位置は、特に限定されないが、例えば、シャフト20の内側である。温度センサ33は、周辺環境の温度を計測するセンサモジュールである。温度センサ33の取付位置は、特に限定されないが、例えば、シャフト20の内側である。
【0040】
センサモジュール11~13だけでなく、センサモジュール31~33も、制御部15及びバッテリー17に接続されている。よって、センサモジュール31~33も、バッテリー17からの給電を受けて動作し、制御部15により動作が制御される。制御部15は、センサモジュール11~13及び31~33により検出されたセンサデータに基づいて、後述される各種処理を実行する。
【0041】
<2-2.付属品>
<2-2-1.キャディーバッグ>
キャディーバッグ5は、センサユニット1付きゴルフクラブ2を収納するためのバッグである。キャディーバッグ5は、
図3に示すように、一般的なキャディーバッグであるバッグ本体50に加え、バッグ本体50に取り付けられた充電器51及び磁気発生源52を有する。
【0042】
バッグ本体50には、通常、ヘッド21を上、グリップ22を下に向けた状態でセンサユニット1付きゴルフクラブ2が収納される。充電器51及び磁気発生源52は、ゴルフクラブ2がこのような状態でバッグ本体50に収納されているときに、それぞれセンサユニット1に含まれるバッテリー17及び地磁気センサ13の近傍(典型的には、バッグ本体50の底の近傍)に位置するように、バッグ本体50内に備え付けられる。
【0043】
充電器51は、バッテリー17を充電する機器であり、本実施形態では、ワイヤレス充電が可能である。バッテリー17は、充電器51が電源コード等を介して図示されない別の電源に接続されており、かつ、ゴルフクラブ2がバッグ本体50内に収納されている間、充電される。例えば、ゴルフ場に行く前に自宅のコンセントから充電しておくことができる。なお、充電器51を例えば蓄電式としておけば、充電器51が電源に接続されていない場合にも、バッテリー17の充電を行うことができる。
【0044】
磁気発生源52は、磁気の発生源であり、例えば、永久磁石から構成することができる。磁気発生源52から発生される磁気は、ゴルフクラブ2がバッグ本体50に収納されているときに、地磁気センサ13により検出される。従って、センサユニット1の制御部15は、地磁気センサ13により検出される磁気に基づいて、ゴルフクラブ2がキャディーバッグ5に収納されているか否かを判断することができる。なお、地磁気センサとは、磁気センサの一種であり、地磁気のような非常に小さな磁気を検出するセンサである。このような地磁気センサ13に代えて又は加えて、ゴルフクラブ2により大きな磁気を検出する磁気センサを取り付けることもでき、このような磁気センサによっても、磁気発生源52から発生される磁気を検出することができる。
【0045】
<2-2-2.グローブ、サポーター、腕時計及びブレスレット>
グローブ3d、サポーター3e、腕時計3f及びブレスレット3gは、ラウンド中のゴルファーの手や手首、腕等に装着される物品である。これらの付属品3には、これらを身に着けているゴルファーのプレーを阻害することがないような位置に、磁気発生源53(
図4参照)が取り付けられている。
【0046】
磁気発生源53も、磁気発生源52と同じく、磁気の発生源であり、例えば、永久磁石から構成することができる。磁気発生源53から発生される磁気は、ゴルファーがゴルフクラブ2を手で持っているときに、地磁気センサ13により検出される。従って、センサユニット1の制御部15は、地磁気センサ13により検出される磁気に基づいて、ゴルフクラブ2がゴルフクラブ2を手で持っているか否かを判断することができる。
【0047】
<2-2-3.靴、ウェア、ボール>
靴3a及びウェア3bは、ラウンド中のゴルファーに装着される物品であり、ボール3cは、ラウンド中に打撃される。靴3a及びウェア3bには、これらを身に着けているゴルファーのプレーを阻害することがなく、かつ、必要な情報を検出することが可能な位置に、センサユニット4が取り付けられている。ボール3cにも、ショットに影響を与えることがなく、かつ、必要な情報を検出することが可能な位置に、センサユニット4が取り付けられている。センサユニット4は、例えば、靴3aであれば、靴底に固定され、ウェア3bであれば、背中部分に固定され、ボール3cであれば、内部に埋め込まれる(
図1参照)。
【0048】
図5に示すように、各センサユニット4には、1又は複数のセンサモジュール41が搭載されている。センサモジュール41の種類は、特に限定されず、計測しようとする情報に応じて適宜選択することができ、例えば、加速度センサ、地磁気センサ、角速度センサ、圧力センサ、温度センサ、傾斜センサ、及び位置計測センサ(GPSセンサ等)からなる群の中から選択される少なくとも1つのセンサとすることができる。
【0049】
各センサユニット4には、センサモジュール41の他、通信部44、制御部45、記憶部46及びバッテリー47が搭載されている。通信部44は、上述したような非接触通信又は近距離無線通信の規格に対応しており、同規格に同じく対応する外部装置とのワイヤレス通信を可能にする。通信部44は、バッテリー47による給電を受けて動作し、センサモジュール41から出力されたセンサデータを携帯端末6等の外部装置にワイヤレスに送信する。
【0050】
制御部45は、CPU、ROM及びRAM等から構成されている。制御部45は、バッテリー17による給電を受けて動作し、センサモジュール41、通信部44、記憶部46及びバッテリー47の動作を制御する。記憶部46は、不揮発性で書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶装置から構成されており、バッテリー47からの給電を受けてデータを記憶及び消去する。記憶部46内には、プログラム46aが格納されており、制御部15のCPUがこれを読み出して実行することにより、後述する動作を実行する。なお、プログラム46aは、記憶部46内ではなく、制御部45のROM内に格納されていてもよいし、両者に分散して格納されていてもよい。バッテリー47は、センサモジュール41、通信部44、制御部45及び記憶部46に給電を行う電源であり、制御部45によりオン/オフが制御される。以上のセンサモジュール41、通信部44、制御部45、記憶部46及びバッテリー47は、1つ又は複数の基板上に搭載されている。
【0051】
<2-3.携帯端末>
図6に、携帯端末6の構成を示す。携帯端末6は、ゴルファーに携帯され、ゴルフコースだけでなく、自宅やゴルフの練習場等、様々な場所に持ち運ばれる。携帯端末6は、ハードウェアとしてはスマートフォンや、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートグラスのようなAR(拡張現実)端末等の汎用的なコンピュータであり、このようなコンピュータにプログラム63aをインストールすることにより構成される。プログラム63aは、携帯端末6に後述する処理を実行させるプログラムである。典型的には、プログラム63aは、インターネットや、上述したような非接触通信又は近距離無線通信等のネットワークを介して外部装置から携帯端末6に配信される。
【0052】
図6に示すように、携帯端末6は、表示部61、入力部62、記憶部63、制御部64及び通信部65を備える。これらの部61~65は、互いにバス線66を介して接続されており、相互に通信可能である。本実施形態では、表示部61は、液晶ディスプレイ等で構成されており、後述する画面を含む必要な情報をゴルファーに対し表示する。また、入力部62は、タッチパネルや操作ボタン、マウス、キーボード等で構成されており、携帯端末6に対するゴルファーからの操作を受け付ける。
【0053】
記憶部63は、フラッシュメモリやハードディスク等の不揮発性の記憶装置から構成されており、プログラム63aが格納されている。制御部64は、CPU、ROMおよびRAM等から構成されている。制御部64は、記憶部63内のプログラム63aを読み出して実行することにより、位置計測部64A、分析部64B及び画面作成部64Cとして動作する。位置計測部64Aは、GPS(Global Positioning System)やみちびき、GLONASSのような、衛星測位システムと通信し、同システムから取得される信号に基づいて携帯端末6の位置情報を計測する。残りの各部64B及び64Cの動作の詳細は後述する。
【0054】
通信部65は、携帯端末6をインターネットに接続する通信インターフェースとして機能する。また、通信部65は、上述したような非接触通信又は近距離無線通信の規格にも対応しており、同規格に同じく対応する外部装置(センサユニット1及び4を含む)とのワイヤレス通信を可能にする。
【0055】
<3.ゴルフ計測システムによる処理の流れ>
ゴルフ計測システム100により実行される処理は、センサユニット1及び4を介してセンサデータを計測する処理(以下、ゴルフ計測処理という)と、計測されたセンサデータに基づいて、ゴルファーのショットを分析する処理(以下、ショット分析処理という)とを含む。以下、これらの処理について順に説明する。
【0056】
<3-1.ゴルフ計測処理>
図7は、センサユニット1で実行されるゴルフ計測処理の流れを示すフローチャートである。以下では、
図7を参照しつつ、センサユニット1だけでなく、センサユニット4による処理についても言及しながら、ゴルフ計測処理について説明する。
【0057】
図7に示すゴルフ計測処理は、ゴルファーがセンサユニット1のスイッチ18を操作し、センサユニット1の主電源(バッテリー17)をオンしたときに開始する。ゴルフコースでのラウンド中にセンサユニット1付きゴルフクラブ2が使用される場合には、ゴルファーはラウンドの開始時に主電源をオンにし、ラウンド終了時に主電源をオフにする。主電源がオフにされると、
図7に示すゴルフ計測処理は終了する。
【0058】
主電源がオンされると、制御部15は、まず、センサユニット1の動作状態を第1省電力モードに設定する。本実施形態では、制御部15は、センサユニット1の動作状態を、
図8に示すとおり第1省電力モード、第2省電力モード及びノーマルモードの間で切り替える。これらのモードは、バッテリー17の電力消費の程度が異なるモードである。第1及び第2省電力モードは、ノーマルモードよりもバッテリー17の電力消費が抑制されるモードであり、第1省電力モードでは、第2省電力モードよりもバッテリー17の電力消費が抑制される。より具体的には、第1省電力モードでは、通信部14による外部装置との通信の動作が制限され、通信部14による電力消費が抑制されるとともに、センサモジュール11~13及び31~33によるセンサデータの計測の動作も制限され、センサモジュール11~13及び31~33による電力消費も抑制される。本実施形態の第1省電力モードでは、通信部14及びセンサモジュール11~13及び31~33の電源がオフに設定される。
【0059】
以上のとおり、ゴルフ計測処理が開始すると、まず、センサユニット1の動作状態は、第1省電力モードに設定される。第1省電力モードにおいては、制御部15は、所定時間T1が経過するまで待機し(ステップS1)、所定時間T1が経過すると、第2省電力モードに切り替え、センサモジュール11、13及び31~33の電源をオンに設定する(ステップS2)。なお、第2省電力モードでは、通信部14の電源はオフに設定されたままである。第2省電力モードでは、制御部15は、センサモジュール11、13及び31~33にセンサデータを計測させ、センサデータを取得する(ステップS3)。制御部15は、センサデータの計測が終了すると、センサモジュール11、13、及び31~33の電源をオフに設定し(ステップS4)、ステップS3で取得されたセンサデータに基づいて、後述するショット条件の成否を判断する(ステップS5)。ショット条件が不成立の場合には、制御部15は、第2省電力モードを第1省電力モードに切り替え、ステップS1に戻る。一方、ショット条件が成立する場合には、制御部15は、第2省電力モードをノーマルモードに切り替え、ステップS6に進む。
【0060】
ショット条件とは、本実施形態では、ゴルファーがゴルフクラブ2を用いてショットを行う準備をしていることである。すなわち、ここでは、センサモジュール11、13及び31~33から出力されたセンサデータに基づいて、ゴルファーがショットを行うタイミングが判断される。
【0061】
ショット条件には、以下の条件が含まれる。本実施形態では、以下のいずれかの条件が満たされるときに、ショット条件が成立したと判断される。ただし、以下の条件が全て満たされるとき、或いは、以下の条件が2以上の所定数満たされるときに、ショット条件が成立したと判断することもできる。その他、ショット条件は、以下の条件を適宜組み合わせることにより構成することができる。
【0062】
(1)センサユニット1付きゴルフクラブ2がキャディーバッグ5に収納されていないこと
(2)ゴルファーがゴルフクラブ2を手で持っていること
(3)ゴルフクラブ2のグリップ22が握られていること
(4)ゴルフクラブ2のシャフト20の長手方向の向き(ヘッド21からグリップ22に向かう向きと定義することができる。以下、同様。)が、ライ角に基づく所定の範囲内にあること
(5)ゴルフクラブ2のシャフト20の長手方向の向きが、概ね水平以上であること
【0063】
条件(1)は、キャディーバッグ5が地磁気センサ13の近傍にないことを意味し、近傍から離れる程、地磁気センサ13により計測される磁気の強さが小さくなる。よって、(1)の条件については、ステップS3で地磁気センサ13により計測された磁気の強さが所定値より小さい場合に、成立、そうでない場合に、不成立と判断される。なお、ここでいう所定値は、ゴルフクラブ2がセンサユニット1を底側に向けてキャディーバッグ5に収納されている状態で、地磁気センサ13により検出される磁気の強さと、地磁気センサ13の近傍に磁気発生源が存在しない状態で、地磁気センサ13により検出される磁気の強さとに基づいて、予め設定することができる。
【0064】
また、条件(1)は、温度センサ33により計測される温度に基づいても判断される。すなわち、条件(1)は、温度センサ33により検出される温度が、キャディーバッグ5内の想定される温度帯に含まれる場合には、不成立、そうでない場合には、成立と判断される。
【0065】
条件(2)は、グローブ3d、サポーター3e、腕時計3f及びブレスレット3gが地磁気センサ13の近傍にあることを意味し、近傍にある程、地磁気センサ13により計測される磁気の強さが大きくなる。よって、条件(2)については、ステップS3で地磁気センサ13により取得された磁気の強さが所定値より大きい場合に、成立、そうでない場合に、不成立と判断される。ここでいう所定値は、グローブ3d、サポーター3e、腕時計3f及びブレスレット3gを装着しているゴルファーがグリップ22を手で持っている状態で、地磁気センサ13により検出される磁気の強さと、地磁気センサ13の近傍に磁気発生源が存在しない状態で、地磁気センサ13により検出される磁気の強さとに基づいて、予め設定することができる。
【0066】
条件(3)については、ステップS3で圧力センサ31により計測された圧力の強さが所定値より大きい場合に、成立、そうでない場合に、不成立と判断される。ここでいう所定値は、ゴルファーがゴルフクラブ2のグリップ22を握っている状態で、圧力センサ31により検出される圧力の強さと、グリップ22が握られていない状態で、圧力センサ31により検出される圧力の強さとに基づいて、予め設定することができる。
【0067】
条件(4)については、ステップS3で加速度センサ11により取得された加速度の方向に基づいてシャフト20の長手方向の向きが判断され、これがライ角に基づく所定の範囲内にあると判断される場合に、成立、そうでない場合に、不成立と判断される。すなわち、ゴルファーがゴルフクラブ2をショットのために構えると、シャフト20の長手方向の向きがライ角を含む誤差範囲内に収まる(
図9A参照)。よって、この状態の成立により、ゴルファーがショットを行う準備をしていることが判断される。なお、シャフト20の長手方向の向きは、傾斜センサ32からの出力値により判断することもできる。
【0068】
条件(5)については、ステップS3で加速度センサ11により取得された加速度の方向に基づいてシャフト20の長手方向の向きが判断され、これが概ね水平以上であると判断される場合に、成立、そうでない場合に、不成立と判断される。すなわち、ゴルファーはしばしば、ショットの前に幾つかのゴルフクラブ2を持ってボール3cのところまで行き、必要なゴルフクラブ2だけ握ってその他のゴルフクラブ2を地面に置くが、このとき、シャフト20の長手方向の向きが水平方向を含む誤差範囲内に収まる(
図9B参照)。よって、このような状態にないと判断されることにより、ゴルファーがショットを行う準備をしていることが判断される。なお、シャフト20の長手方向の向きは、傾斜センサ32からの出力値により判断することもできる。
【0069】
ショット条件が成立し、ノーマルモードに切り替わると、制御部15は、通信部14の電源をオンに設定する(ステップS6)。続くステップS7では、制御部15は、ショット条件が成立したこと、すなわち、ゴルファーがショットを行う準備をしており、ショットを行うタイミングが近付いていることを外部装置に通知する。具体的には、制御部15は、このタイミングを知らせるためのタイミングデータを生成し、通信部14を介してタイミングデータを外部装置に向けて出力する。本実施形態では、タイミングデータは、携帯端末6に送信される。
【0070】
一方、携帯端末6は、タイミングデータを受信すると、靴3a、ウェア3b及びボール3cに含まれる各センサユニット4にタイミングデータを送信する。センサユニット4側では、制御部45が、通信部44を介してこれを受信し、このタイミングデータに基づいて、センサモジュール41にセンサデータを計測させる。なお、このときのセンサデータは、ゴルファーがまさにショットを行っているとき、又はその前後のセンサデータを含め、ショット中の可能性がある期間に取得されるセンサデータであり、ショットデータである。その後、制御部45は、通信部44を介してセンサモジュール41により計測されたセンサデータ、すなわち、ショットデータを携帯端末6に送信する。なお、本実施形態では、センサモジュール41は、タイミングデータに基づくセンサデータの計測時以外、電源がオフに設定されている。
【0071】
センサユニット1の動作に戻ると、制御部15は、ステップS7に続くステップS8において、通信部14の電源をオフに設定し、さらに続くステップS9において、センサモジュール11~13の電源をオンに設定する。続くステップS10では、制御部15は、センサモジュール11~13にセンサデータの計測を開始させる。この計測は、所定時間T2の間繰り返し実行される。制御部15は、所定時間T2が経過するまで待機し(ステップS11)、所定時間T2の経過後、センサモジュール11~13によるセンサデータの計測を終了させ(ステップS12)、センサモジュール11~13の電源をオフに設定する(ステップS13)。このとき収集されるセンサデータは、ゴルファーがまさにショットを行っているとき、又はその前後のセンサデータを含め、ショット中の可能性がある期間に取得されるセンサデータであり、ショットデータである。ショットデータは、記憶部16又はRAM内に格納される。なお、ステップS9~ステップS12においては、センサモジュール31~33の電源もオンに設定し、センサモジュール31~33にもセンサデータを計測させた後、ステップS13で電源をオフに設定してもよい。
【0072】
続いて、制御部15は、通信部14の電源をオンに設定し(ステップS14)、通信部14を介してショットデータを外部装置に送信する(ステップS15)。本実施形態では、ショットデータは、携帯端末6に送信される。このとき、本実施形態では、ショットデータとともに、記憶部16又はROMに格納されているゴルフクラブ2の種類を特定する情報(例えば、型番又は番手を示す情報である。以下、クラブデータという)も送信される。その後、制御部15は、通信部14の電源をオフに設定し(ステップS16)、ノーマルモードを第1省電力モードに切り替え、ステップS1に戻る。
【0073】
以上のとおり、ノーマルモード中には、センサモジュール11~13によりショットデータが所定時間T2の間、所定の時間間隔で小刻みに計測される。このときの処理負荷は、第2省電力モード中のステップS3において、センサモジュール11、13及び31~33によりセンサデータが計測されるときの処理負荷よりも大きい。よって、センサモジュール11~13及び31~33並びにこれを制御する制御部15の動作による電力消費は、第2省電力モードもよりもノーマルモードでの方が大きくなる。また、第1省電力モード及び第2省電力モードでは、通信部14がオフに設定されているため、通信部14並びにこれを制御する制御部15の動作による電力消費も、第1省電力モード及び第2省電力モードもよりもノーマルモードでの方が大きくなる。以上より、制御部15、通信部14、並びにセンサモジュール11~13及び31~33の動作は、第1省電力モード、第2省電力モード、ノーマルモードの順に制限され、同順に電力消費も抑制される。なお、本実施形態での電力消費の抑制の効果は、通信部14の動作を抑制することの方が、センサモジュール11~13及び31~33の動作を抑制することよりも大きい。よって、第1省電力モードと第2省電力モードとの電力消費量の差よりも、第2省電力モードとノーマルモードとの電力消費量の差の方が大きい。
【0074】
以上のとおり、本実施形態に係るゴルフ計測処理では、センサユニット1の動作状態が、ショット条件を含む所定の条件の成否に応じて、バッテリー17の電力消費の程度が異なる複数のモード間で自動的に切り替えられる。そのため、バッテリー17を節約しつつ、必要な時に必要な情報を収集することができる。また、センサユニット4が動作するタイミングも、センサユニット1により判断されるショットのタイミングに基づいて制御される。そのため、センサユニット4においても、バッテリー47を節約しつつ、必要な時に必要な情報を収集することができる。
【0075】
<3-2.ショット分析処理>
ゴルフ計測処理により収集されたショットデータは、以上のとおり、クラブデータとともに携帯端末6に送信される。携帯端末6側では、これらが通信部65を介して受信され、記憶部63内に保存される。分析部64Bは、適宜、記憶部63から必要なショットデータ及びクラブデータを読み出し、これらに基づいてゴルファーによるショットの分析を行う。例えば、各ショット時に使用されたゴルフクラブ2の種類、並びに、各ショット時におけるスイング中のゴルフクラブ2の軌跡、ヘッド21の速度、ヘッド21のフェース面上におけるボール3cの打点、及びボール3cの速度等が特定される。また、携帯端末6では、位置計測部64Aにより、適時、位置情報が計測される。分析部64Bは、ショットデータを分析してインパクトの時刻を特定し、インパクトの時刻の位置情報に基づいて各ショットにおけるボール3cの打球地点を判断し、これもショットの分析に使用することができる。分析が終了すると、画面作成部64Cは、その分析の結果を表示する画面を作成し、適宜、表示部61上に表示させる。ゴルファーはこれを見て、ラウンド中の自身のプレーを把握することができる。分析の結果は、ラウンド中にゴルファーに提供されてもよいし、ラウンド後に提供されてもよい。ラウンド中にゴルファーに提供される情報には、例えば、ラウンド中の次のゴルファーの行動をナビゲーションする情報が含まれる。
【0076】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
【0077】
<4-1>
上記実施形態では、ショット分析処理は携帯端末6により行われたが、ショットデータをインターネット上のサーバーに送信して蓄積しておき、サーバーにおいてショット分析処理を行うようにしてもよい。この場合、ゴルファーは、サーバーによる分析の結果を、携帯端末6又は任意のコンピュータを介してサーバーから取得し、携帯端末6又は任意のコンピュータの表示部上に表示させて確認することができる。或いは、ショットデータをインターネット上のサーバーに送信して蓄積しておき、携帯端末6又は任意のコンピュータがこれを適宜ダウンロードしてショット分析処理を行ってもよい。この場合も、ショット分析処理による分析の結果は、携帯端末6又は任意のコンピュータの表示部上に表示させて確認することができる。また、センサユニット1及び4が、携帯端末6を介さず以上のようなサーバーに直接ショットデータを送信できるように構成してもよい。
【0078】
<4-2>
キャディーバッグ5に、磁気発生源52に代えて、磁気を遮蔽する遮蔽部54を取り付けてもよい(
図10参照)。この場合には、センサユニット1の地磁気センサ13により検出される磁気の強さが所定値より大きいことにより、センサユニット1付きゴルフクラブ2がキャディーバッグ5に収納されていないと判断することができる。磁気の遮蔽部54は、例えば、金網や金属シート(鉄粉等の金属が混ぜられた非金属性のネットやシートを含む)等として実現することができ、キャディーバッグ5の底付近に配置することが好ましい。
【0079】
<4-3>
キャディーバッグ5に、磁気発生源52に代えて又は加えて、音、光及び/又は電波の発生源52を取り付けてもよい。この場合、このような発生源52からの音、光及び/又は電波を検出することができるセンサモジュール、すなわち、音センサ、光センサ及び/又は電波センサをセンサユニット1に搭載する。このとき、制御部15は、音センサ、光センサ及び/又は電波センサにより検出される信号の強さに応じて、センサユニット1付きゴルフクラブ2がキャディーバッグ5内に収納されているか否かを判断することができる。なお、音センサは、特定の周波数帯の音(超音波等の人間の非可聴領域の音であってもよいし、可聴領域の音であってもよい)を計測するセンサモジュールである。光センサは、特定の波長領域の光(赤外線等の人間の不可視領域の光であってもよいし、可視領域の光であってもよい)を計測するセンサモジュールである。電波センサは、特定の周波数帯の電波を計測するセンサモジュールである。
【0080】
また、センサユニット1に光センサが搭載される場合、キャディーバッグ5に、光の発生源52に代えて、光を遮蔽する遮蔽部54を取り付けてもよい。例えば、遮蔽部54は、キャディーバッグ5のバッグ本体50の一部であってもよいし、バッグ本体50に別途取り付けられた遮光(光フィルター)シートとして実現することもできる。また、このときも、制御部15は、光センサにより検出される光の強さに応じて、センサユニット1付きゴルフクラブ2がキャディーバッグ5内に収納されているか否かを判断することができる。すなわち、光センサがキャディーバッグ5内にあると、太陽光がキャディーバッグ5で遮蔽されることになる。よって、光センサにより周辺環境が暗いと判断される場合にはゴルフクラブ2がキャディーバッグ5の中にあり、明るいと判断される場合には外にあると判断することができる。
【0081】
また、センサユニット1に音センサ、光センサ及び/又は電波センサが搭載される場合、グローブ3d、サポーター3e、腕時計3f及びブレスレット3gに、磁気発生源53に代えて又は加えて、音、光及び/又は電波の発生源53を取り付けてもよい。
【0082】
<4-4>
センサユニット4が取り付けられる付属品3や、磁気、音、光、電波等の発生源52及び53や遮蔽部54が取り付けられる付属品3の例は、上述したものに限られない。ゴルファーが持ち運ぶ様々な付属品に、同様の機構を取り付けることができる。
【0083】
<4-5>
センサユニット4についても、センサユニット1と同様に、通信部44の動作を制限することができる。例えば、センサユニット4において、通常は通信部44がオフに設定される省電力モードに設定しておき、所定の時間間隔でノーマルモードに切り替えて通信部44を介して携帯端末6からのタイミングデータの有無をモニターし、その後、省電力モードに復帰させるように構成してもよい。これにより、センサユニット4においてさらにバッテリー47を節約することができる。
【0084】
<4-6>
上述したセンサユニット1の動作状態のモードは、例示である。例えば、CPUのクロック数を下げることにより、制御部15の動作を制限し、制御部15による電力消費を抑制するモード(モードB)を実現することができる。
【0085】
<4-7>
上記実施形態では、ショット条件が成立する場合に、センサユニット1の動作が促進され、より電力消費の大きいモードに移行した。しかしながら、反対に、
図11に示すように、ショット条件が成立しない場合(ゴルファーがショットを行う準備をしていない非ショット条件が成立する場合と言い換えることができる)に、センサユニット1の動作が抑制され、より省電力なモードに移行するように制御されてもよい。例えば、上記実施形態では、ゴルフクラブ2がキャディーバッグ5に収納されていないと判断されるときに、センサユニット1における電力消費がより大きいモードに移行した。しかしながら、反対に、ゴルフクラブ2がキャディーバッグ5に収納されている(非ショット条件を満たす)と判断され、キャディーバッグ5がセンサユニット1の近傍にあるときに、センサユニット1がより省電力なモードに移行するように制御されてもよい。また、
図12に示すように、シャフト20の長手方向の向きが鉛直方向を含む誤差範囲(ただし、俯角に限ることが好ましい)内に収まるときに、ゴルフクラブ2がキャディーバッグ5に収納されている(非ショット条件を満たす)と判断し、より省電力なモードに移行するように制御されてもよい。
【0086】
これに代えて又は加えて、グローブ3d、サポーター3e、腕時計3f及びブレスレット3g等の付属品3がセンサユニット1の近傍にないと判断されるときに、ゴルファーがショットを行う準備をしていない(非ショット条件を満たす)と判断し、より省電力なモードに移行するように制御されてもよい。
【0087】
これに代えて又は加えて、グリップ22が握られていないと判断されるときに、ゴルファーがショットを行う準備をしていない(非ショット条件を満たす)と判断し、より省電力なモードに移行するように制御されてもよい。
【0088】
これに代えて又は加えて、シャフト20の長手方向の向きが所定の範囲内にないときに、ゴルファーがショットを行う準備をしていない(非ショット条件を満たす)と判断し、より省電力なモードに移行するように制御されてもよい。
【0089】
<4-8>
センサユニット1からのタイミングデータは、携帯端末6を経由してセンサユニット4に送信されたが、センサユニット1及び4が携帯端末6を介さずに直接通信してもよい。
【0090】
<4-9>
プログラム16aをROM内に記憶しておけば、センサユニット1から記憶部16を省略することができる。なお、通信部14を介して携帯端末6に送信されるショットデータは、RAM内に一時的に格納しておけば足り、記憶部16内に保存しておく必要はない。また、同様に、センサユニット4から記憶部46を省略することもできる。
【0091】
<4-10>
上記実施形態では、ステップS5でショット条件が成立しない(非ショット条件が成立する)と判断された場合に、第2省電力モードから第1省電力モードに戻り、処理がステップS1に戻された。しかしながら、
図13に示すように、ステップS5でショット条件が成立しないと判断された場合に、ステップS2に戻り、第2省電力モードを維持してもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 センサユニット(第1センサユニット)
100 ゴルフ計測システム
11 加速度センサ(センサモジュール)
12 角速度センサ(センサモジュール)
13 地磁気センサ(センサモジュール)
14 通信部
15 制御部
17 バッテリー
2 ゴルフクラブ
22 グリップ
3 付属品
3a 靴
3b ウェア
3c ボール
3d グローブ
3e サポーター
3f 腕時計
3g ブレスレット
31 圧力センサ(センサモジュール)
32 傾斜センサ(センサモジュール)
33 温度センサ(センサモジュール)
4 センサユニット(第2センサユニット)
5 キャディーバッグ(付属品)
51 充電器
52 発生源
53 発生源
54 遮蔽部
6 携帯端末(外部装置)