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  • 特許-燃焼装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23K 5/06 20060101AFI20220308BHJP
   F23N 5/00 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
F23K5/06
F23N5/00 C
F23N5/00 R
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018111016
(22)【出願日】2018-06-11
(65)【公開番号】P2019215098
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】久野 兼資
(72)【発明者】
【氏名】越智 克幸
(72)【発明者】
【氏名】網田 勇祐
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-146162(JP,A)
【文献】実開昭49-28747(JP,U)
【文献】特開2012-7791(JP,A)
【文献】実開昭56-107145(JP,U)
【文献】特開2005-147558(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0068974(US,A1)
【文献】実公昭50-26631(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23K 5/06
F23N 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を噴出する第1噴出部と、
第1噴出部に供給する燃料を制御する燃料制御弁と、
燃料を噴出する第2噴出部および第3噴出部と、
前記第2噴出部および前記第3噴出部に供給する燃料の流量を調整する多方調整弁と、
前記燃料制御弁の開閉および前記多方調整弁の開度を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
第1燃焼段階においては、前記燃料制御弁を制御して前記第1噴出部に燃料を供給し、
前記第1燃焼段階から、前記第1燃焼段階よりも燃焼量が大きい第2燃焼段階へ移行する場合、前記第1噴出部への燃料供給を維持しつつ前記多方調整弁の開度を制御して前記第2噴出部への燃料供給を開始した後、前記第2噴出部に最大量の燃料が供給される開度となるまでの間に、前記燃料制御弁を制御して前記第1噴出部への燃料供給を停止する、燃焼装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2燃焼段階よりも燃焼量が大きい第3燃焼段階においては、前記多方調整弁の開度を制御して前記第2噴出部に最大量の燃料を供給しつつ、前記第3噴出部に供給する燃料の流量を制御する、請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1燃焼段階から前記第2燃焼段階へ移行する場合、前記多方調整弁の開度が前記第2噴出部に最大量の燃料が供給される開度未満の予め定められた開度に到達した後においては、当該開度に到達するまでの間に、前記多方調整弁が開く速度よりも速い速度で開くように、前記多方調整弁の開度を制御する、請求項1または請求項2に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2燃焼段階から前記第1燃焼段階へ移行する場合、前記多方調整弁の開度を制御して前記第2噴出部に最大量の燃料が供給される開度から閉じた状態となるまでの間に、前記燃料制御弁を制御して前記第1噴出部に燃料を供給する、請求項1~請求項3のいずれかに記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼室に燃料を噴出して燃焼させる燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、燃料を噴射するノズルとして燃料の噴射量が異なる3つのノズルを備え、蒸気圧力に応じて、全てのノズルから燃料を噴射して燃焼させる100%燃焼、2つのノズルから燃料を噴射して燃焼させる65%燃焼、および1つのノズルから燃料を噴射して燃焼させる30%燃焼のうちのいずれかに制御するボイラ装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-147402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の燃焼装置では、100%燃焼および65%燃焼などの燃焼状態において複数のノズルから燃料が噴射される。この場合、各ノズルから噴射される燃料が重なり合った状態で燃焼するために、燃焼不良が生じ、例えば煤やNox等の発生量が多くなってしまう虞があった。
【0005】
この点を解消すべく、燃料を噴射するノズルの平均的な数を少なくするために、例えば、燃焼状態を移行する際に移行先の燃焼状態に対応するノズルに火移りさせて、移行元のノズルからの噴射を停止させることが考えられる。しかし、この場合には、失火させることなく火移りさせるために、移行先の燃焼状態に対応するノズルから燃料を少しずつ噴射させる必要がある。このため、ノズルから燃料を噴射させる燃料供給ラインとは別に燃料を少しずつ噴射させるための火移り専用の燃料供給ラインを設けことや、各ノズルに対応させて燃料の流量を調整する調整弁を設ける必要がある。その結果、部品点数が増加するとともに、製造コストが上昇してしまう虞がある。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、部品点数の増加および製造コストの上昇を抑えつつ、燃焼性が低下してしまうことを防止できる燃焼装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある局面に従う燃焼装置は、燃料を噴出する第1噴出部と、第1噴出部に供給する燃料を制御する燃料制御弁と、燃料を噴出する第2噴出部および第3噴出部と、前記第2噴出部および前記第3噴出部に供給する燃料の流量を調整する多方調整弁と、前記燃料制御弁の開閉および前記多方調整弁の開度を制御する制御部とを備え、前記制御部は、第1燃焼段階においては、前記燃料制御弁を制御して前記第1噴出部に燃料を供給し、前記第1燃焼段階から、前記第1燃焼段階よりも燃焼量が大きい第2燃焼段階へ移行する場合、前記第1噴出部への燃料供給を維持しつつ前記多方調整弁の開度を制御して前記第2噴出部への燃料供給を開始した後、前記第2噴出部に最大量の燃料が供給される開度となるまでの間に、前記燃料制御弁を制御して前記第1噴出部への燃料供給を停止する。
【0008】
上記の構成によれば、多方調整弁により第2噴出部および第3噴出部に供給する燃料の流量を調整でき、燃焼装置の部品点数の増加および製造コストの上昇を抑えることができる。また、第2燃焼段階においては第1噴出部への燃料供給を停止し第2噴出部から噴出する燃料を燃焼させるため、燃焼不良の発生を低減することができる。
【0009】
好ましくは、前記制御部は、前記第2燃焼段階よりも燃焼量が大きい第3燃焼段階においては、前記多方調整弁の開度を制御して前記第2噴出部に最大量の燃料を供給しつつ、前記第3噴出部に供給する燃料の流量を制御する。
【0010】
上記の構成によれば、多方調整弁の開度を制御することにより、第2燃焼段階および第3燃焼段階における燃焼量を調整できる。このため、制御部による処理を簡略化できるとともに処理負担を軽減できる。
【0011】
好ましくは、前記制御部は、前記第1燃焼段階から前記第2燃焼段階へ移行する場合、前記多方調整弁の開度が前記第2噴出部に最大量の燃料が供給される開度未満の予め定められた開度に到達した後においては、当該開度に到達するまでの間に、前記多方調整弁が開く速度よりも速い速度で開くように、前記多方調整弁の開度を制御する。
【0012】
上記の構成によれば、第1噴出部から第2噴出部に火移りさせる際の失火を防止するとともに、火移りさせた後においては第2噴出部のみにより第2燃焼段階の燃焼量となるように急速に制御できる。
【0013】
好ましくは、前記制御部は、前記第2燃焼段階から前記第1燃焼段階へ移行する場合、前記多方調整弁の開度を制御して前記第2噴出部に最大量の燃料が供給される開度から閉じた状態となるまでの間に、前記燃料制御弁を制御して前記第1噴出部に燃料を供給する。
【0014】
上記の構成によれば、第2噴出部から第1噴出部に火移りさせる際の失火を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】燃焼装置の構成を模式的に示す図である。
図2】燃焼装置の動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<概略構成について>
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。まず、図1を参照して、本実施の形態に係る燃焼装置1の概略構成について説明する。燃焼装置1は、油焚きボイラやガス焚きボイラなどに搭載される。
【0017】
燃焼装置1は、燃料を噴出する第1ノズル4、第2ノズル2、および第3ノズル3と、複数のバルブ41~45と、これらのバルブ41~45の開閉(あるいは開度)を制御する制御部5とを備える。なお、燃料は、油などの液体であってもよく、ガスなどの気体であってもよい。
【0018】
第1ノズル4、第2ノズル2、および第3ノズル3は、それぞれ、燃焼室9に燃料を噴出するための第1~第3噴出部を構成する。なお、噴出部としてノズルを例示するが、噴出部は、燃料を噴出できる部材であればノズルに限らず他の部材により構成されるものであってもよい。
【0019】
第1ノズル4は、燃焼開始時に燃料を噴出し、噴出した燃料が着火装置(例えば点火トランスなど)により着火される。そのため、第1ノズル4は着火ノズルとしても機能する。第2ノズル2は、燃料を噴出して、第1ノズル4により着火される。第3ノズル3は、燃料を噴出して、第2ノズル2により着火される。
【0020】
燃焼室9における燃料の燃焼段階は、これらのノズル2~4各々から噴出させる燃料の量、すなわち燃料の噴出量に応じて変化する。具体的には、第1ノズル4が噴出する燃料を燃焼させる第1燃焼段階と、第2ノズル2から噴出される燃料を燃焼させる第2燃焼段階と、第2ノズル2および第3ノズル3各々から噴出される燃料を燃焼させる第3燃焼段階とが設けられている。燃焼量は、第1燃焼段階、第2燃焼段階、第3燃焼段階の順に大きくなるため、以下の説明では、第1燃焼段階を低燃焼段階、第2燃焼段階を中燃焼段階、第3燃焼段階を高燃焼段階ともいう。
【0021】
第1ノズル4、第2ノズル2および第3ノズル3の径(内径)は、いずれも同じであってもよいし、異なっていてもよい。後者の場合、それぞれの最大噴出量(流量)が、「第1ノズル4<第2ノズル2<第3ノズル3」の関係となるようにしてもよい。
【0022】
本実施の形態では、燃料タンク8から第1ノズル4、第2ノズル2、および第3ノズル3への燃料の供給は、主経路6から分岐した3つの経路61,62a,62bを介して行われる。具体的には、主経路6は、途中位置において第1および第2経路61,62に分岐しており、第2経路62がさらに、途中位置において2つの経路62a,62bに分岐している。第1ノズル4は第1経路61に接続されている。第2ノズル2は、第2経路62のうちの一方の経路62aに接続され、第3ノズル3は、第2経路62のうちの他方の経路62bに接続されている。
【0023】
バルブ41は、主経路6上に設けられ、たとえば、開状態および閉状態の2つの状態に切り替え可能なバルブ、すなわち切り替えバルブである。バルブ42は、第1経路61上に設けられた切り替えバルブである。バルブ43は、第2経路62の分岐点に設けられた多方調整弁(三方弁)である。バルブ44は、第2経路62の一方の経路62a上に設けられた切り替えバルブである。バルブ45は、第2経路62の他方の経路62bに設けられた切り替えバルブである。
【0024】
多方調整弁としてのバルブ43は、開度調整が可能な絞り弁であり、たとえばモータバルブにより構成される。切り替えバルブとしてのバルブ41,42,44,45は、たとえば電磁弁により構成されるが、バルブ43と同様にモータバルブにより構成されるものであってもよい。以下の説明においては、これらの区別を容易にするために、バルブ41をメイン電磁弁、バルブ42を第1電磁弁、バルブ44を第2電磁弁、バルブ45を第3電磁弁、バルブ43を多方調整弁と称する。
【0025】
制御部5は、電磁弁41,42,44,45の開閉を制御するとともに、多方調整弁43の開度を制御(調整)する。制御部5は、多方調整弁43の開度を比例制御できる。制御部5は、内部にメモリ、タイマ、および演算処理部を含むコンピュータにより実現される。
【0026】
<動作について>
図2を参照して、本実施の形態に係る燃焼装置1の動作について説明する。図2には、各ノズルの噴出量の変化が時間軸に沿って示されている。なお、燃焼前においては、全てのバルブ41~45は閉状態となっている。
【0027】
制御部5は、燃焼を開始する際(t1)に、メイン電磁弁41を開状態とし、その後(または同時に)、第1電磁弁42を開状態として第1ノズル4に燃料を供給する。これにより、第1ノズル4から燃料が最大噴出量(100%)で噴出される。この状態で着火装置から事前に発生しているスパークにより着火が行われる。制御部5は、低燃焼段階においては、第1ノズル4のみから燃料を噴出させる。高燃焼段階において第2ノズル2および第3ノズル3からの燃料の噴出量を「100」とした場合、低燃焼段階における第1ノズル4からの燃料の噴出量は、「25」となるように定められている。このため、低燃焼段階における燃焼量は、高燃焼段階における燃焼量の25/100となる。
【0028】
低燃焼段階から中燃焼段階へ移行する場合、制御部5は、第1ノズル4への燃料供給を維持しつつ第2ノズル2への燃料供給を開始する(t2)。すなわち、制御部5は、メイン電磁弁41を開状態としたままで、第2電磁弁44を開状態にするとともに、多方調整弁43の開度を比例的に大きくしていく。このように、燃焼室9における燃焼状態を低燃焼段階から中燃焼段階へ移行させる場合に、制御部5は、第1ノズル4への燃料供給を維持しつつ多方調整弁43の開度を制御して第2ノズル2への燃料供給を開始する。これにより、第2ノズル2への燃料供給を徐々に増加させることができるため、部品点数を増加させることなく、低燃焼段階から中燃焼段階へ移行する場合の失火を防止できる。
【0029】
制御部5は、多方調整弁43の開度が所定の開度に達したときに、電磁弁42を閉状態として第1ノズル4への燃料供給を停止する。所定の開度は、第2ノズル2に最大量の燃料が供給される開度(以下「最大供給開度」という)未満である。制御部5は、中燃焼段階においては、多方調整弁43の開度を最大供給開度として、第2ノズル2から最大量の燃料を噴出させる。中燃焼段階における第2ノズル2からの燃料の噴出量は、「55」となるように定められている。所定の開度は、例えば、第2ノズル2からの燃料の噴出量と第1ノズル4からの燃料の噴出量(25)との合計が、中燃焼段階における第2ノズル2からの燃料の最大噴出量(55)となる開度に定められている。より具体的に、所定の開度は、第2ノズル2からの燃料の噴出量が「30(=55-25)」となり、第2ノズル2からの最大量の約54.5%(=30/55)となる開度である。このように、多方調整弁43の開度が最大供給開度となるまでに、つまり、燃焼状態が中燃焼段階となるよりも前に、第1ノズル4への燃料供給が停止される。これにより、低燃焼段階から中燃焼段階へ移行する過程において中燃焼段階であるときよりも燃焼量が大きくなり過ぎてしまうことを防止できる。
【0030】
また、制御部5は、低燃焼段階から中燃焼段階へ移行する場合、多方調整弁43の開度が所定の開度に到達した後においては、当該開度に到達するまでに多方調整弁43が開く速度よりも速い速度で開くように、多方調整弁43の開度を制御することが望ましい。すなわち、多方調整弁43が開く速度は、所定の開度になるまでの速度よりも、所定の開度から最大供給開度になるまでの速度の方が速いことが望ましい。具体的に、多方調整弁43について比例的に開く制御を開始してから所定の開度となり第2ノズル2からの燃料の噴出量が最大の54.5%となるまでに要する時間をT1とし、所定の開度から最大供給開度となるまでに要する時間をT2とした場合に、54.5/T1<(100-54.5)/T2の関係が成り立つものであればよい。これにより、失火を防止しつつ第1ノズル4から第2ノズル2へ火移りさせ、第1ノズル4への燃料供給を停止した後においては急速に中燃焼段階の燃焼量に制御できる。
【0031】
多方調整弁43の開度調整(拡大)に伴って最大供給開度に達すると(t3)、第2ノズル2の噴出量が最大噴出量となる。つまり、第2ノズル2に最大量の燃料が供給される。制御部5は、この時点で多方調整弁43の開度調整を停止する。これにより、燃焼室9における燃焼状態は中燃焼段階となる。なお、中燃焼段階から低燃焼段階へ移行する場合には、制御部5は、多方調整弁43の開度が最大供給開度から閉じた状態(0)となるまでの間に、第1電磁弁42を開状態として第1ノズル4に燃料を供給する。この場合においては、低燃焼段階から中燃焼段階へ移行する場合とは逆の動きとなるように多方調整弁43の開度が制御される。つまり、中燃焼段階から低燃焼段階へ移行する場合、制御部5は、T2の間において多方調整弁43の開度が最大供給開度から所定の開度となるように制御した後、第1電磁弁42を開状態にするとともにT1に亘って多方調整弁43の開度が所定の開度から閉状態となるように、多方調整弁43の開度を制御する。
【0032】
中燃焼段階から高燃焼段階へ移行する場合、制御部5は、多方調整弁43の開度調整を再開するとともに、第3電磁弁45を開状態とする(t4)。このとき、第2電磁弁44を開状態のままとする。すなわち、制御部5は、多方調整弁43の開度を制御して第2ノズル2に最大量の燃料を供給しつつ、第3ノズル3に供給する燃料の流量を制御する。これにより、第2ノズル2の噴出量を一定(最大噴出量)としながら、第3ノズル3からの燃料の噴出量を比例的に増加させることができる。
【0033】
多方調整弁43の開度調整は、第3ノズル3からの噴出量が最大噴出量に達するまで行われる。多方調整弁43の開度が全開(100)となったときに、第3ノズル3からの噴出量が最大噴出量となる(t5)。これにより、燃焼室9における燃焼状態は高燃焼段階となる。
【0034】
以上のように、一つの調整弁(多方調整弁)43で第2ノズル2および第3ノズル3からの噴出量を調整できるため、第2ノズル2および第3ノズル3各々に調整弁を設ける形態に比べて、部品点数の増加および製造コストの上昇を抑えることができるとともに、制御部5による処理を簡略化できるとともに処理負担を軽減できる。
【0035】
また、低燃焼段階から中燃焼段階に移行する場合、多方調整弁43により第2ノズル2から噴出される燃料を徐々に増加させることができるため、失火させることなく第1ノズル4から第2ノズル2に火移りさせることができる。また、中燃焼段階においては、第2ノズル2のみから燃料を噴出させる。また、低燃焼段階においても第1ノズル4のみから燃料を噴出させる。このため、複数のノズルから燃料を噴出させて燃焼させる燃焼範囲が少ないため、全体を通して燃焼不良の発生を低減することができる。さらに、多方調整弁43の開度が所定の開度に到達するまでよりも所定の開度に到達した後の方が、多方調整弁43の開度が速く開くように制御されるため、第1ノズル4からの燃料噴出が停止された後、第2ノズル2のみにより中燃焼段階の燃焼量となるように急速に制御できる。
【0036】
また、中燃焼段階から低燃焼段階へ移行する場合、制御部5は、T2の間において多方調整弁43の開度が最大供給開度から所定の開度となるように制御した後、第1電磁弁42を開状態にするとともにT1に亘って多方調整弁43の開度が所定の開度から閉状態となるように多方調整弁43の開度を制御する。このため、部品点数を増加させることなくかつ失火させることなく、第2ノズル2から第1ノズル4に火移りさせることができる。
【0037】
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例などについて説明する。
【0038】
上記実施の形態における燃焼装置1は、停止、低燃焼段階~高燃焼段階を含む4位置のいずれかに制御する例について説明したが、これに限らず、停止、低燃焼段階、および高燃焼段階(第2ノズルのみから燃料を噴出する状態)を含む3位置のいずれかに制御するものであってもよい。また、多方調整弁43により制御される燃焼段階(中燃焼段階、高燃焼段階)については、任意の負荷率となるように多方調整弁43の開度を調整することにより比例制御するものであってもよい。
【0039】
上記実施の形態における燃焼装置1は、低燃焼段階から中燃焼段階へ移行する場合に、多方調整弁43の開度が、第2ノズル2からの燃料の噴出量と第1ノズル4からの燃料の噴出量との合計が中燃焼段階における第2ノズル2からの燃料の噴出量となる所定の開度となることにより、第1ノズル4への燃料供給を停止する例について説明した。しかし、第1ノズル4への燃料供給を停止する契機は、多方調整弁43の開度が、第2ノズル2からの燃料の噴出量と第1ノズル4からの燃料の噴出量との合計が中燃焼段階における第2ノズル2からの燃料の噴出量となる所定の開度以下の開度となることにより成立するものであればこれに限らず、例えば、第2ノズル2からの燃料の噴出量が所定量(例えば、25)となる開度であってもよく、多方調整弁43について所定の速度で開く制御を開始してから所定時間経過したときに成り得る開度であってもよい。また、中燃焼段階から低燃焼段階へ移行する場合においても同様に、第1ノズル4への燃料供給を開始する契機は、多方調整弁43の開度が、第2ノズル2からの燃料の噴出量と第1ノズル4からの燃料の噴出量との合計が中燃焼段階における第2ノズル2からの燃料の噴出量となる所定の開度以下の開度となることにより成立するものであればよい。
【0040】
上記実施の形態では、多方調整弁43の下流側において第2および第3電磁弁44,45が設けられている例について説明したが、これに限らず、第2および第3電磁弁44,45を設けず、1つの電磁弁を多方調整弁43の上流側の流路62に設けても良い。
【0041】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0042】
1 燃焼装置
2 第2ノズル
3 第3ノズル
4 第1ノズル
5 制御部
6 主経路
8 燃料タンク
9 燃焼室
41 メイン電磁弁
42 第1電磁弁
43 多方調整弁
44 第2電磁弁
45 第3電磁弁
61 第1経路
62 第2経路
62a 経路
62b 経路

図1
図2