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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】冷却器
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20220308BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 P
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018138386
(22)【出願日】2018-07-24
(65)【公開番号】P2020017587
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-02-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】木村 允則
【審査官】平林 雅行
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-005171(JP,A)
【文献】特開2010-210202(JP,A)
【文献】特開2013-115202(JP,A)
【文献】特開2017-084978(JP,A)
【文献】特開2012-216711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/29
H01L 23/34-23/36
H01L 23/373-23/427
H01L 23/44
H01L 23/467-23/473
H02M 7/42-7/98
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体が搭載される第1面を有するベースと、
前記ベースにおける前記第1面とは反対側の面であって、冷媒が流れる冷媒流路を形成する第2面から延設される複数のフィンと、を備えた冷却器であって、
前記ベースは、前記第2面における隣り合うフィン同士の間に開口する凹部を有し、
前記第2面は、前記凹部に対して冷媒の流れ方向の上流側、及び前記凹部に対して前記冷媒の流れ方向の下流側それぞれにおいて、前記凹部の開口縁に連続する連続面を有し、
前記凹部の内表面は、曲面形状になっていることを特徴とする冷却器。
【請求項2】
前記フィンは、ピンフィンであることを特徴とする請求項1に記載の冷却器。
【請求項3】
前記複数のフィンは、千鳥配置されており、
前記凹部は、前記第2面における隣り合うフィン同士の間であって、且つ前記冷媒流路を流れる冷媒が収束する収束部分に開口していることを特徴とする請求項2に記載の冷却器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱体を冷却する冷却器に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車、電気自動車、及び燃料電池を搭載した燃料電池車等は、直流電源からの直流電圧を交流電圧に変換し、変換された交流電圧によりモータを駆動することによって動力を得ている。よって、このような車両においては、例えば特許文献1に開示されているような、直流電圧を交流電圧に変換する電力変換装置が搭載されている。電力変換装置は、通電に伴い発熱するスイッチング素子等の発熱体を備えている。発熱体は、冷却器(ヒートシンク)によって冷却される。
【0003】
特許文献1において、冷却器は、冷却水(冷媒)が流れる冷媒流路を内部に有するハウジングを有する。ハウジングのベースの表面には発熱体が複数配置されるとともに、ベースの裏面には、ピン形状のフィンが複数形成されている。そして、発熱体から発せられた熱は、冷媒流路を流れる冷却水とのベース及び複数のフィンを介した熱交換が行われることにより放熱される。これにより、発熱体が冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-38842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような、複数のフィンを備えた冷却器においては、放熱性能をさらに向上させることが望まれている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、放熱性能の向上を図ることができる冷却器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する冷却器は、発熱体が搭載される第1面を有するベースと、前記ベースにおける前記第1面とは反対側の面であって、冷媒が流れる冷媒流路を形成する第2面から延設される複数のフィンと、を備えた冷却器であって、前記ベースは、前記第2面における隣り合うフィン同士の間に開口する凹部を有し、前記第2面は、前記凹部に対して冷媒の流れ方向の上流側、及び前記凹部に対して前記冷媒の流れ方向の下流側それぞれにおいて、前記凹部の開口縁に連続する連続面を有し、前記凹部の内表面は、曲面形状になっている。
【0007】
これによれば、ベースが、第2面における隣り合うフィン同士の間に開口する凹部を有しているため、ベースが凹部を有していない場合に比べると、冷媒流路を流れる冷媒と熱交換可能なベースの表面積を増大させることができる。また、第2面が、凹部に対して冷媒の流れ方向の上流側、及び凹部に対して冷媒の流れ方向の下流側それぞれにおいて、凹部の開口縁に連続する連続面を有しているため、第2面が連続面を有していない場合に比べると、冷媒流路を流れる冷媒と熱交換可能なベースの表面積を増大させることができる。そして、凹部の内表面が曲面形状になっている。これによれば、凹部内に流れ込んだ冷媒が凹部の内表面に沿ってスムーズに流れるため、ベースが、第2面に開口する凹部を有していても、冷媒流路を流れる冷媒の流速が凹部によって低下してしまうことを抑制することができる。以上のことから、冷媒の流速の低下を抑制しつつも、冷媒と熱交換可能なベースの表面積を増大させることができるため、発熱体から発せられた熱と冷媒流路を流れる冷媒とのベース及び複数のフィンを介した熱交換が効率良く行われ、発熱体から発せられる熱が放熱される。したがって、冷却器における放熱性能の向上を図ることができる。
【0008】
上記冷却器において、前記フィンは、ピンフィンであるとよい。
これによれば、フィンがピンフィンであるため、例えば、ストレートフィンである場合に比べると、冷媒流路を流れる冷媒のフィンに対する剥離が生じ難くなる。したがって、冷媒流路を流れる冷媒とフィンとの熱交換が行われ易くなるため、冷却器における放熱性能の向上をさらに図ることができる。
【0009】
上記冷却器において、前記複数のフィンは、千鳥配置されており、前記凹部は、前記第2面における隣り合うフィン同士の間であって、且つ前記冷媒流路を流れる冷媒が収束する収束部分に開口しているとよい。
【0010】
これによれば、第2面において、隣り合うフィン同士の間であって、且つ冷媒流路を流れる冷媒が収束する収束部分に凹部が開口しているため、隣り合うフィン同士の間で冷媒が収束する収束部分での流路断面積が増大し、隣り合うフィン同士の間で収束する冷媒がスムーズに流れ易くなる。したがって、隣り合うフィン同士の間で冷媒が収束する収束部分での冷媒の流速の低下が抑制されるため、冷却器における放熱性能の向上をさらに図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、放熱性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態における冷却器を示す斜視図。
図2】冷却器の断面図。
図3】ベースの斜視図。
図4】ベースの平面図。
図5】ベースの一部を拡大して示す平面図。
図6】ベースの一部を拡大して示す断面図。
図7】(a)及び(b)はベースの製造方法を説明するための断面図。
図8】別の実施形態におけるベースの一部を拡大して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、冷却器を具体化した一実施形態を図1図7にしたがって説明する。本実施形態の冷却器は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等に搭載される電力変換装置を構成している。電力変換装置は、バッテリから入力される直流電圧を交流電圧に変換して走行用モータに出力するものである。そして、冷却器は、電力変換装置の半導体素子等の発熱体を冷却する。
【0014】
図1及び図2に示すように、冷却器10は、金属材料製のハウジング11を備えている。ハウジング11は、例えば、アルミニウム製である。ハウジング11は、扁平筒状のハウジング本体12と、四角平板状のベース13と、を有している。ハウジング本体12は、供給側ヘッダ部14及び排出側ヘッダ部15を有している。
【0015】
供給側ヘッダ部14は、平面視等脚台形状である第1壁14a及び第2壁14bを有している。また、供給側ヘッダ部14は、第1壁14aの一対の脚の一方と第2壁14bの一対の脚の一方とを接続する第1接続壁14cと、第1壁14aの一対の脚の他方と第2壁14bの一対の脚の他方とを接続する第2接続壁14dと、を有している。第1壁14aは、第1壁14aの下底から上底に向かうにつれて第2壁14bから離間するように第2壁14bに対して傾斜している。よって、第1接続壁14c及び第2接続壁14dは、上底が第1壁14aの下底及び第2壁14bの下底と連続するとともに、下底が第1壁14aの上底及び第2壁14bの上底と連続する平面視台形状である。
【0016】
そして、第1壁14aの上底、第2壁14bの上底、第1接続壁14cの下底、及び第2接続壁14dの下底によって、供給側ヘッダ部14の供給口14eが形成されている。供給口14eは四角孔状である。また、供給側ヘッダ部14は、供給口14eから突出する筒状の供給側パイプ14fを有している。供給側パイプ14f内は、供給口14eに連通している。
【0017】
また、第1壁14aの下底、第2壁14bの下底、第1接続壁14cの上底、及び第2接続壁14dの上底によって、供給側ヘッダ部14の排出口14gが形成されている。排出口14gは、長四角孔状である。第1壁14a、第2壁14b、第1接続壁14c、及び第2接続壁14dは、供給口14eと排出口14gとを繋ぐ供給側流路14hを形成している。
【0018】
排出側ヘッダ部15は、平面視等脚台形状である第1壁15a及び第2壁15bを有している。また、排出側ヘッダ部15は、第1壁15aの一対の脚の一方と第2壁15bの一対の脚の一方とを接続する第1接続壁15cと、第1壁15aの一対の脚の他方と第2壁15bの一対の脚の他方とを接続する第2接続壁15dと、を有している。第1壁15aは、第1壁15aの下底から上底に向かうにつれて第2壁15bから離間するように第2壁15bに対して傾斜している。よって、第1接続壁15c及び第2接続壁15dは、上底が第1壁15aの下底及び第2壁15bの下底と連続するとともに、下底が第1壁15aの上底及び第2壁15bの上底と連続する平面視台形状である。
【0019】
そして、第1壁15aの上底、第2壁15bの上底、第1接続壁15cの下底、及び第2接続壁15dの下底によって、排出側ヘッダ部15の排出口15eが形成されている。排出口15eは四角孔状である。また、排出側ヘッダ部15は、排出口15eから突出する筒状の排出側パイプ15fを有している。排出側パイプ15f内は、排出口15eに連通している。
【0020】
また、第1壁15aの下底、第2壁15bの下底、第1接続壁15cの上底、及び第2接続壁15dの上底によって、排出側ヘッダ部15の供給口15gが形成されている。供給口15gは、長四角孔状である。第1壁15a、第2壁15b、第1接続壁15c、及び第2接続壁15dは、供給口15gと排出口15eとを繋ぐ排出側流路15hを形成している。
【0021】
ハウジング本体12は、供給側ヘッダ部14と排出側ヘッダ部15とを連結する連結部16を有している。連結部16は、供給側ヘッダ部14の第2壁14bと排出側ヘッダ部15の第2壁15bとを連結する平板状の第1連結壁16aを有している。供給側ヘッダ部14の第2壁14b、排出側ヘッダ部15の第2壁15b、及び第1連結壁16aは、同一平面上に位置している。
【0022】
また、連結部16は、供給側ヘッダ部14の第1接続壁14cの上底と排出側ヘッダ部15の第1接続壁15cの上底とを連結する第2連結壁16bと、供給側ヘッダ部14の第2接続壁14dの上底と排出側ヘッダ部15の第2接続壁15dの上底とを連結する第3連結壁16cと、を有している。第2連結壁16b及び第3連結壁16cは、第1連結壁16aの両側縁から第1連結壁16aに対して直交する方向にそれぞれ立設している。第2連結壁16b及び第3連結壁16cは、互いに平行に延びている。
【0023】
第2連結壁16bにおける第1連結壁16aとは反対側の縁部、及び第3連結壁16cにおける第1連結壁16aとは反対側の縁部は、供給側ヘッダ部14の第1壁14aの下底、及び排出側ヘッダ部15の第1壁15aの下底に連続している。そして、ハウジング本体12は、供給側ヘッダ部14の第1壁14aの下底、排出側ヘッダ部15の第1壁15aの下底、第2連結壁16bにおける第1連結壁16aとは反対側の縁部、第3連結壁16cにおける第1連結壁16aとは反対側の縁部とによって形成される開口部12aを有している。開口部12aは、平面視四角孔状である。
【0024】
ベース13は、開口部12aを閉塞している。ベース13は、供給側ヘッダ部14の第1壁14aの下底、排出側ヘッダ部15の第1壁15aの下底、第2連結壁16bにおける第1連結壁16aとは反対側の縁部、第3連結壁16cにおける第1連結壁16aとは反対側の縁部それぞれに対して、例えば、溶接によって接合されている。ベース13は、発熱体19が搭載される第1面13aを有している。ベース13における第1面13aとは反対側の面である第2面13bは、第1連結壁16aに対向している。ベース13、第1連結壁16a、第2連結壁16b、及び第3連結壁16cは、供給側ヘッダ部14の排出口14gと排出側ヘッダ部15の供給口15gとを繋ぐ冷媒流路17を形成している。
【0025】
供給側パイプ14f内を流れる冷媒としての冷却水は、供給口14e、供給側流路14h、排出口14g、冷媒流路17、供給口15g、排出側流路15h、及び排出口15eを順に通過して排出側パイプ15f内に至る。よって、ベース13の第2面13bは、冷却水が流れる冷媒流路17を形成している。
【0026】
図3及び図4に示すように、ベース13の第2面13bには、フィン20が複数延設されている。よって、冷却器10は、ベース13の第2面13bから延設される複数のフィン20を備えている。複数のフィン20は、菱形柱状であるアルミニウム製のピンフィンである。複数のフィン20は、ベース13に一体形成されている。複数のフィン20は、第2面13bに対して直交する方向に延びている。各フィン20における第2面13bとは反対側の端面はそれぞれ平坦面状である。
【0027】
図2に示すように、各フィン20における第2面13bとは反対側の端面は、第1連結壁16aに面接触している。よって、複数のフィン20は、ベース13の第2面13bから第1連結壁16aに向けて延設しており、第2面13bから第1連結壁16aに接触するまで延びている。なお、各フィン20における第2面13bとは反対側の端面と第1連結壁16aとは面接触せずに、各フィン20における第2面13bとは反対側の端面と第1連結壁16aとの間に一定の隙間を設けてもよい。そして、複数のフィン20は、冷媒流路17内に配置されている。冷媒流路17内を流れる冷却水は、供給側ヘッダ部14の排出口14gから排出側ヘッダ部15の供給口15gに向かって流れる。このとき、冷媒流路17内を流れる冷却水の一部は、隣り合うフィン20同士の間を通過する。
【0028】
図4に示すように、複数のフィン20は、第2連結壁16bと第3連結壁16cとが互いに対向する方向である第1対向方向Y1に等間隔置きに並んで配置されている。また、複数のフィン20は、供給側ヘッダ部14の排出口14gと排出側ヘッダ部15の供給口15gとが互いに対向する方向である第2対向方向X1に等間隔置きに並んで配置されている。さらに、複数のフィン20は、ベース13の第2面13bの対角方向Z1,Z2に等間隔置きに並んで配置されている。複数のフィン20は、千鳥配置されている。
【0029】
図5では、冷却水の流れ方向を矢印R1,R2で示している。図5において矢印R1で示すように、第1対向方向Y1で隣り合うフィン20同士の間は、冷媒流路17を流れる冷却水が収束する収束部分になっている。また、図5において矢印R2で示すように、対角方向Z1,Z2で隣り合うフィン20同士の間は、第1対向方向Y1で隣り合うフィン20同士の間で収束した冷却水が分配される分配部分になっている。
【0030】
ベース13は、凹部30を複数有している。各凹部30は、第2面13bにおける隣り合うフィン20同士の間に開口している。複数の凹部30の一部は、第1対向方向Y1で隣り合うフィン20同士の間、及び第2対向方向X1で隣り合うフィン20同士の間に開口している。よって、凹部30は、第2面13bにおける隣り合うフィン20同士の間であって、且つ冷媒流路17を流れる冷却水が収束する収束部分に開口している。
【0031】
また、複数の凹部30のその他は、対角方向Z1,Z2で隣り合うフィン20同士の間に開口している。よって、凹部30は、第2面13bにおける隣り合うフィン20同士の間であって、且つ第1対向方向Y1で隣り合うフィン20同士の間で収束した冷却水が分配される分配部分にも開口している。
【0032】
第2面13bは、各凹部30に対して冷却水の流れ方向の上流側、及び各凹部30に対して冷却水の流れ方向の下流側それぞれにおいて、各凹部30の開口縁30eに連続する連続面13cを有している。
【0033】
図6に示すように、凹部30の内表面30aは、半球面状になっている。したがって、凹部30の内表面30aは、曲面形状になっている。凹部30の内表面30aは、凹部30の開口縁30eに連続している。凹部30の開口縁30eは、平面視真円形状である。凹部30の最下部30bの深さH10は、開口縁30eの直径R10よりも小さい。本実施形態において、凹部30の最下部30bの深さH10は、開口縁30eの直径R10の1/2に設定されている。
【0034】
第2面13bは、凹部30の開口縁30eとフィン20の根本20eとを接続する接続面13dを有している。よって、凹部30とフィン20とは非連続である。したがって、凹部30の開口縁30e全周は、第2面13bに連続している。凹部30は、第2面13bの連続面13c及び接続面13dによって囲われている。
【0035】
図7(a)及び図7(b)に示すように、ベース13は、アルミニウムにより形成された四角平板状の鍛造素材40を、第1金型41及び第2金型42を用いて鍛造加工を行うことにより製造される。よって、ベース13は、型成形により形成されている。
【0036】
図7(a)に示すように、第1金型41は、鍛造素材40を収容可能な有底四角箱状である。第1金型41の底壁41aには、各フィン20を形成するための菱形孔状のフィン形成用孔41hが複数形成されている。また、底壁41aの内面における隣り合うフィン形成用孔41h同士の間には、各凹部30を形成するための凹部形成用突起41fが形成されている。第2金型42は、四角平板状である。第2金型42は、第1金型41内に配置可能になっている。
【0037】
図7(b)に示すように、第1金型41内に鍛造素材40が収容された状態において、第2金型42を第1金型41内に配置して、第2金型42によって鍛造素材40を第1金型41の底壁41aに向けて押圧する。すると、鍛造素材40の一部が、各フィン形成用孔41h内に流動し、鍛造素材40の一部が各フィン形成用孔41h内に充填される。このように、各フィン形成用孔41h内に鍛造素材40の一部が充填されることによってフィン20が形成される。
【0038】
また、第2金型42によって鍛造素材40を第1金型41の底壁41aに向けて押圧すると、鍛造素材40が第1金型41の底壁41aの内面に押し付けられるとともに、各凹部形成用突起41fが鍛造素材40に突き刺さり、各凹部形成用突起41fが突き刺さった鍛造素材40の部位それぞれが凹むように変形する。このように、各凹部形成用突起41fが鍛造素材40に突き刺さって、各凹部形成用突起41fが突き刺さった鍛造素材40の部位それぞれが凹むように変形することにより凹部30が形成される。したがって、ベース13に設けられる複数のフィン20及び複数の凹部30は、ベース13を型成形することによりベース13に一体形成されている。
【0039】
次に、本実施形態の作用について説明する。
発熱体19から発せられた熱は、冷媒流路17を流れる冷却水とのベース13及び複数のフィン20を介した熱交換が行われることにより放熱される。各凹部30の内表面30aは曲面形状になっているため、各凹部30内に流れ込んだ冷却水は、各凹部30の内表面30aに沿ってスムーズに流れる。よって、ベース13が、第2面13bに開口する凹部30を有していても、冷媒流路17を流れる冷却水の流速が凹部30によって低下してしまうことが抑制されている。したがって、発熱体19から発せられた熱と冷媒流路17を流れる冷却水とのベース13を介した熱交換が効率良く行われる。
【0040】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)ベース13が、第2面13bにおける隣り合うフィン20同士の間に開口する凹部30を有している。このため、ベース13が凹部30を有していない場合に比べると、冷媒流路17を流れる冷却水と熱交換可能なベース13の表面積を増大させることができる。また、第2面13bが、凹部30に対して冷却水の流れ方向の上流側、及び凹部30に対して冷却水の流れ方向の下流側それぞれにおいて、凹部30の開口縁30eに連続する連続面13cを有している。このため、第2面13bが連続面13cを有していない場合に比べると、冷媒流路17を流れる冷却水と熱交換可能なベース13の表面積を増大させることができる。そして、凹部30の内表面30aが曲面形状になっている。これによれば、凹部30内に流れ込んだ冷却水が凹部30の内表面30aに沿ってスムーズに流れるため、ベース13が、第2面13bに開口する凹部30を有していても、冷媒流路17を流れる冷却水の流速が凹部30によって低下してしまうことを抑制することができる。以上のことから、冷却水の流速の低下を抑制しつつも、冷却水と熱交換可能なベース13の表面積を増大させることができるため、発熱体19から発せられた熱と冷媒流路17を流れる冷却水とのベース13及び複数のフィン20を介した熱交換が効率良く行われ、発熱体19から発せられる熱が放熱される。したがって、冷却器10における放熱性能の向上を図ることができる。
【0041】
(2)フィン20がピンフィンであるため、例えば、ストレートフィンである場合に比べると、冷媒流路17を流れる冷却水のフィン20に対する剥離が生じ難くなる。したがって、冷媒流路17を流れる冷却水とフィン20との熱交換が行われ易くなるため、冷却器10における放熱性能の向上をさらに図ることができる。
【0042】
(3)複数のフィン20は、千鳥配置されており、凹部30は、第2面13bにおける隣り合うフィン20同士の間であって、且つ冷媒流路17を流れる冷却水が収束する収束部分に開口している。これによれば、第2面13bにおいて、隣り合うフィン20同士の間であって、且つ冷媒流路17を流れる冷却水が収束する収束部分に凹部30が開口しているため、隣り合うフィン20同士の間で冷却水が収束する収束部分での流路断面積が増大し、隣り合うフィン20同士の間で収束する冷却水がスムーズに流れ易くなる。したがって、隣り合うフィン20同士の間で冷却水が収束する収束部分での冷却水の流速の低下が抑制されるため、冷却器10における放熱性能の向上をさらに図ることができる。
【0043】
(4)ベース13に設けられる複数のフィン20及び複数の凹部30は、ベース13を型成形することによりベース13に一体形成されている。よって、ベース13に対して、複数のフィン20及び複数の凹部30を同時に形成することができるため、製造時間の短縮を図ることができる。
【0044】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0045】
図8に示すように、凹部30の開口縁30eの一部分とフィン20の根本20eとが連続していてもよい。要は、凹部30の一部分とフィン20の一部分とが連続していてもよい。
【0046】
○ 実施形態において、冷却器10のハウジング11は、アルミニウム以外の金属によって形成されていてもよい。
○ 実施形態において、冷却器10のハウジング11が、例えば、樹脂製であってもよい。要は、冷却器10のハウジング11の材質は、金属に限定されるものではない。
【0047】
○ 実施形態において、例えば、鋳造、ダイカスト成型、又は樹脂成型によりベース13を製造してもよい。
○ 実施形態において、切削工具や工作機械を用いた機械加工によって、ベース13の第2面13bに凹部30を形成してもよい。
【0048】
○ 実施形態において、凹部30が、第2面13bにおける隣り合うフィン20同士の間であって、且つ第1対向方向Y1で隣り合うフィン20同士の間で収束した冷却水が分配される分配部分に開口していなくてもよい。
【0049】
○ 実施形態において、凹部30が、第2面13bにおける隣り合うフィン20同士の間であって、且つ冷媒流路17を流れる冷却水が収束する収束部分に開口していなくてもよい。
【0050】
○ 実施形態において、凹部30の数は特に限定されるものではない。
○ 実施形態において、複数のフィン20が千鳥配置されていなくてもよく、例えば、マトリクス状に配置されていてもよい。例えば、複数のフィン20がマトリクス状に配置されている場合であっても、複数の凹部30の一部が、第1対向方向Y1で隣り合うフィン20同士の間、及び第2対向方向X1で隣り合うフィン20同士の間に開口するとともに、複数の凹部30のその他が、対角方向Z1,Z2で隣り合うフィン20同士の間に開口していてもよい。
【0051】
○ 実施形態において、凹部30の最下部30bの深さH10が、例えば、開口縁30eの直径R10の1/3に設定されていてもよい。
○ 実施形態において、凹部30の最下部30bの深さH10が、開口縁30eの直径R10と同じであってもよい。
【0052】
○ 実施形態において、凹部30の最下部30bの深さH10が、開口縁30eの直径R10よりも大きくてもよい。この場合、凹部30の最下部30bの深さH10は、開口縁30eの直径R10の3倍以内に設定されているのが好ましい。
【0053】
○ 実施形態において、凹部30は、凹部30の開口縁30eが、平面視すると、楕円形状や涙形状(ティアドロップ形状)である構成であってもよい。この場合であっても、凹部30の内表面30aは曲面形状になっている。
【0054】
○ 実施形態において、フィン20は、例えば、円柱状、矩形柱状であってもよい。
○ 実施形態において、フィン20が、例えば、ストレートフィンであってもよい。フィン20がストレートフィンである場合、フィン20は、冷媒流路17内を、供給側ヘッダ部14の排出口14gから排出側ヘッダ部15の供給口15gに向けて延びている。
【0055】
○ 実施形態において、フィン20がベース13と一体形成されていなくてもよく、ベース13とは別部材のフィン20が、ベース13の第2面13bに、例えば、ロウ付けによって接合されていてもよい。
【0056】
○ 実施形態において、フィン20の外面に凹部が形成されていてもよい。
○ 実施形態において、冷却水以外の流体を冷媒として用いてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10…冷却器、13…ベース、13a…第1面、13b…第2面、13c…連続面、17…冷媒流路、19…発熱体、20…フィン、30…凹部、30a…内表面、30e…開口縁。
図1
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図8