(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】表示パネル駆動機構、表示ユニット、および、電子機器
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20220308BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20220308BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20220308BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
G09F9/00 312
B60R11/02 C
H05K5/02 A
H04N5/64 521F
H04N5/64 581K
(21)【出願番号】P 2018148759
(22)【出願日】2018-08-07
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩井 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】森川 清司
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】坂本 茂
(72)【発明者】
【氏名】小川 誉晴
(72)【発明者】
【氏名】大塚 弘行
(72)【発明者】
【氏名】高橋 敏之
(72)【発明者】
【氏名】猪野 博司
(72)【発明者】
【氏名】堀部 誠
(72)【発明者】
【氏名】八代醍 卓
(72)【発明者】
【氏名】林崎 靖
【審査官】谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-012123(JP,A)
【文献】特開2007-106296(JP,A)
【文献】特開2014-099232(JP,A)
【文献】特開2009-184569(JP,A)
【文献】特開2006-276769(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0056734(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00
B60R 9/00-11/06
H05K 5/00-5/06
H04N 5/64-5/655
G11B 33/00-33/08
G11B 33/12-33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルが配置された電子機器本体の表面に対して進退するスライダ部材と、
前記スライダ部材に回動可能に連結され、前記表示パネルの下部を回動可能に支持する第一可動部材と、
前記スライダ部材に回動可能に連結された第二可動部材と、
前記第二可動部材に回動可能に連結された第一連結部材と、
前記第一連結部材に回動可能に連結され、前記表示パネルの中間部を回動可能に支持する第二連結部材と、
前記表示パネルに移動可能に配置され、前記第一可動部材の回動と前記第二連結部材の回動とを規制するロック部材と、
前記ロック部材を、前記第一可動部材の回動と前記第二連結部材の回動とを規制する位置に移動させたり、前記第一可動部材の回動規制と前記第二連結部材の回動規制とを解除する位置に移動させたりするリリース部材と、
を備え、
前記スライダ部材は、
前記ロック部材が前記第一可動部材の回動規制と前記第二連結部材の回動規制とを解除した状態で、前記電子機器本体の表面に対して後退することにより、前記第一可動部材を回動させて、前記表示パネルの表示面を下にして前傾させ、
前記ロック部材が前記第一可動部材の回動と前記第二連結部材の回動とを規制した状態で、前記電子機器本体の表面に対して前進することにより、前記表示パネルの下部を前方に移動させるとともに、前記第一連結部材と前記第二連結部材との連結部を下方に移動させて、前記表示パネルの前記表示面を上にして後傾させる、
ことを特徴とする表示パネル駆動機構。
【請求項2】
前記スライダ部材は、表示パネルが配置された電子機器本体の表面に対して進退し、
前記第一可動部材は、前記スライダ部材に第一軸を中心に回動可能に連結され、前記表示パネルの下部を第二軸を中心に回動可能に支持し、
前記第二可動部材は、前記スライダ部材に第三軸を中心に回動可能に連結され、
前記第一連結部材は、前記第二可動部材に第四軸を中心に回動可能に連結され、
前記第二連結部材は、前記第一連結部材に第五軸を中心に回動可能に連結され、前記表示パネルの中間部を第六軸を中心に回動可能に支持し、
前記スライダ部材は、
前記ロック部材が前記第一可動部材の回動規制と前記第二連結部材の回動規制とを解除した状態で、前記電子機器本体の表面に対して後退することにより、前記第一可動部材を前記第一軸を中心に回動させて、前記表示パネルの表示面を下にして前傾させ、
前記ロック部材が前記第一可動部材の回動と前記第二連結部材の回動とを規制した状態で、前記電子機器本体の表面に対して前進することにより、前記第二軸を前方に移動させるとともに、前記第五軸を下方に移動させて、前記表示パネルの前記表示面を上にして後傾させる、
請求項1に記載の表示パネル駆動機構。
【請求項3】
前記電子機器本体に配置されたストッパ部材、
を備え、
前記第一可動部材は、前記ストッパ部材と接触可能な突起部を有し、
前記突起部は、前記ストッパ部材と接触することにより、前記第一可動部材の前記スライダ部材に連動した進退を規制して、
前記スライダ部材は、前記電子機器本体の表面に対して後退して、前記突起部と前記ストッパ部材とを接触させて前記第一可動部材の後方への移動を規制した状態で、前記表示パネルを前傾させる、
請求項2に記載の表示パネル駆動機構。
【請求項4】
前記第五軸は、前記電子機器本体の表面に形成されたガイド溝に沿って上下動する、
請求項2に記載の表示パネル駆動機構。
【請求項5】
表示パネル、
および、
表示パネルが配置された電子機器本体の表面に対して進退するスライダ部材と、
前記スライダ部材に回動可能に連結され、前記表示パネルの下部を回動可能に支持する第一可動部材と、
前記スライダ部材に回動可能に連結された第二可動部材と、
前記第二可動部材に回動可能に連結された第一連結部材と、
前記第一連結部材に回動可能に連結され、前記表示パネルの中間部を回動可能に支持する第二連結部材と、
前記表示パネルに移動可能に配置され、前記第一可動部材の回動と前記第二連結部材の回動とを規制するロック部材と、
前記ロック部材を、前記第一可動部材の回動と前記第二連結部材の回動とを規制する位置に移動させたり、前記第一可動部材の回動規制と前記第二連結部材の回動規制とを解除する位置に移動させたりするリリース部材と、を有する表示パネル駆動機構と、
を備え、
前記スライダ部材は、
前記ロック部材が前記第一可動部材の回動規制と前記第二連結部材の回動規制とを解除した状態で、前記電子機器本体の表面に対して後退することにより、前記第一可動部材を回動させて、前記表示パネルの表示面を下にして前傾させ、
前記ロック部材が前記第一可動部材の回動と前記第二連結部材の回動とを規制した状態で、前記電子機器本体の表面に対して前進することにより、前記表示パネルの下部を前方に移動させるとともに、前記第一連結部材と前記第二連結部材との連結部を下方に移動させて、前記表示パネルの前記表示面を上にして後傾させる、
ことを特徴とする表示ユニット。
【請求項6】
電子機器の電子機器本体の表面を有する筐体、
表示パネル、
および、
表示パネルが配置された電子機器本体の表面に対して進退するスライダ部材と、
前記スライダ部材に回動可能に連結され、前記表示パネルの下部を回動可能に支持する第一可動部材と、
前記スライダ部材に回動可能に連結された第二可動部材と、
前記第二可動部材に回動可能に連結された第一連結部材と、
前記第一連結部材に回動可能に連結され、前記表示パネルの中間部を回動可能に支持する第二連結部材と、
前記表示パネルに移動可能に配置され、前記第一可動部材の回動と前記第二連結部材の回動とを規制するロック部材と、
前記ロック部材を、前記第一可動部材の回動と前記第二連結部材の回動とを規制する位置に移動させたり、前記第一可動部材の回動規制と前記第二連結部材の回動規制とを解除する位置に移動させたりするリリース部材と、を有する表示パネル駆動機構と、
を備え、
前記スライダ部材は、
前記ロック部材が前記第一可動部材の回動規制と前記第二連結部材の回動規制とを解除した状態で、前記電子機器本体の表面に対して後退することにより、前記第一可動部材を回動させて、前記表示パネルの表示面を下にして前傾させ、
前記ロック部材が前記第一可動部材の回動と前記第二連結部材の回動とを規制した状態で、前記電子機器本体の表面に対して前進することにより、前記表示パネルの下部を前方に移動させるとともに、前記第一連結部材と前記第二連結部材との連結部を下方に移動させて、前記表示パネルの前記表示面を上にして後傾させる、
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネル駆動機構、表示ユニット、および、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、AV一体型のカーナビゲーションシステムまたはカーオーディオなどの車両用の電子機器は、乗員の目線より上に取付けられる場合や、傾斜させて取付けられる場合がある。このような場合、電子機器の姿勢を調節して視認性を確保したり、表示パネルにおける太陽光の反射を抑制したりするために、表示パネルの表示面を下向きに傾倒させる逆チルト動作を行う技術が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4334457号公報
【文献】特許第4867021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両用の電子機器は、車両の走行時の振動によって、異音(ラトルノイズ)を生じることがある。また、表示パネルに外力が加えられると、表示パネルが傾倒するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、異音の発生を抑制するとともに、外力による表示パネルの傾倒を規制することが可能な表示パネル駆動機構、表示ユニット、および、電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る表示パネル駆動機構は、表示パネルが配置された電子機器本体の表面に対して進退するスライダ部材と、前記スライダ部材に回動可能に連結され、前記表示パネルの下部を回動可能に支持する第一可動部材と、前記スライダ部材に回動可能に連結された第二可動部材と、前記第二可動部材に回動可能に連結された第一連結部材と、前記第一連結部材に回動可能に連結され、前記表示パネルの中間部を回動可能に支持する第二連結部材と、前記表示パネルに移動可能に配置され、前記第一可動部材の回動と前記第二連結部材の回動とを規制するロック部材と、前記ロック部材を、前記第一可動部材の回動と前記第二連結部材の回動とを規制する位置に移動させたり、前記第一可動部材の回動規制と前記第二連結部材の回動規制とを解除する位置に移動させたりするリリース部材と、を備え、前記スライダ部材は、前記ロック部材が前記第一可動部材の回動規制と前記第二連結部材の回動規制とを解除した状態で、前記電子機器本体の表面に対して後退することにより、前記第一可動部材を回動させて、前記表示パネルの表示面を下にして前傾させ、前記ロック部材が前記第一可動部材の回動と前記第二連結部材の回動とを規制した状態で、前記電子機器本体の表面に対して前進することにより、前記表示パネルの下部を前方に移動させるとともに、前記第一連結部材と前記第二連結部材との連結部を下方に移動させて、前記表示パネルの前記表示面を上にして後傾させる、ことを特徴とする。
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る表示ユニットは、表示パネル、および、表示パネルが配置された電子機器本体の表面に対して進退するスライダ部材と、前記スライダ部材に回動可能に連結され、前記表示パネルの下部を回動可能に支持する第一可動部材と、前記スライダ部材に回動可能に連結された第二可動部材と、前記第二可動部材に回動可能に連結された第一連結部材と、前記第一連結部材に回動可能に連結され、前記表示パネルの中間部を回動可能に支持する第二連結部材と、前記表示パネルに移動可能に配置され、前記第一可動部材の回動と前記第二連結部材の回動とを規制するロック部材と、前記ロック部材を、前記第一可動部材の回動と前記第二連結部材の回動とを規制する位置に移動させたり、前記第一可動部材の回動規制と前記第二連結部材の回動規制とを解除する位置に移動させたりするリリース部材と、を有する表示パネル駆動機構と、を備え、前記スライダ部材は、前記ロック部材が前記第一可動部材の回動規制と前記第二連結部材の回動規制とを解除した状態で、前記電子機器本体の表面に対して後退することにより、前記第一可動部材を回動させて、前記表示パネルの表示面を下にして前傾させ、前記ロック部材が前記第一可動部材の回動と前記第二連結部材の回動とを規制した状態で、前記電子機器本体の表面に対して前進することにより、前記表示パネルの下部を前方に移動させるとともに、前記第一連結部材と前記第二連結部材との連結部を下方に移動させて、前記表示パネルの前記表示面を上にして後傾させる、ことを特徴とする。
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電子機器は、電子機器の電子機器本体の表面を有する筐体、表示パネル、および、表示パネルが配置された電子機器本体の表面に対して進退するスライダ部材と、前記スライダ部材に回動可能に連結され、前記表示パネルの下部を回動可能に支持する第一可動部材と、前記スライダ部材に回動可能に連結された第二可動部材と、前記第二可動部材に回動可能に連結された第一連結部材と、前記第一連結部材に回動可能に連結され、前記表示パネルの中間部を回動可能に支持する第二連結部材と、前記表示パネルに移動可能に配置され、前記第一可動部材の回動と前記第二連結部材の回動とを規制するロック部材と、前記ロック部材を、前記第一可動部材の回動と前記第二連結部材の回動とを規制する位置に移動させたり、前記第一可動部材の回動規制と前記第二連結部材の回動規制とを解除する位置に移動させたりするリリース部材と、を有する表示パネル駆動機構と、を備え、前記スライダ部材は、前記ロック部材が前記第一可動部材の回動規制と前記第二連結部材の回動規制とを解除した状態で、前記電子機器本体の表面に対して後退することにより、前記第一可動部材を回動させて、前記表示パネルの表示面を下にして前傾させ、前記ロック部材が前記第一可動部材の回動と前記第二連結部材の回動とを規制した状態で、前記電子機器本体の表面に対して前進することにより、前記表示パネルの下部を前方に移動させるとともに、前記第一連結部材と前記第二連結部材との連結部を下方に移動させて、前記表示パネルの前記表示面を上にして後傾させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、異音の発生を抑制するとともに、外力による表示パネルの傾倒を規制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電子機器を車両に取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る表示ユニットを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る表示ユニットの正立状態を示す側面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る表示ユニットの正立状態を示す側面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る表示ユニットの正立状態を示す側面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る表示ユニットの駆動ユニットを示す平面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る表示ユニットの第二駆動ユニットを示す斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る表示ユニットの第二駆動ユニットを示す斜視図である。
【
図9】
図9は、駆動ユニットの制御の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る表示ユニットの駆動ユニットの制御部の一例を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る表示ユニットのチルト動作を示す側面図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る表示ユニットのチルト動作を示す側面図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る表示ユニットのチルト動作を示す側面図である。
【
図14】
図14は、実施形態に係る表示ユニットのチルト動作を示す側面図である。
【
図15】
図15は、実施形態に係る表示ユニットのチルト動作を示す側面図である。
【
図16】
図16は、実施形態に係る表示ユニットの正立状態を示す側面図である。
【
図17】
図17は、実施形態に係る表示ユニットの逆チルト動作を示す側面図である。
【
図18】
図18は、実施形態に係る表示ユニットの逆チルト動作を示す側面図である。
【
図19】
図19は、実施形態に係る表示ユニットの逆チルト動作を示す側面図である。
【
図20】
図20は、実施形態に係る表示ユニットの逆チルト動作を示す側面図である。
【
図21】
図21は、実施形態に係る表示ユニットの逆チルト動作を示す側面図である。
【
図22】
図22は、実施形態に係る表示ユニットの逆チルト動作を示す側面図である。
【
図23】
図23は、実施形態に係る表示ユニットの駆動ユニットの他の例を示す斜視図である。
【
図24】
図24は、実施形態に係る表示ユニットの駆動ユニットの他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る表示パネル駆動機構10を備えた電子機器1の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
以下の説明においては、電子機器1を車両の運転席の前方に搭載した状態で各方向を定義する。前後方向とは、車両直進時の進行方向と平行な方向であり、運転席側に向かう方向を前後方向の「前」、前方ウインドシールド側に向かう方向を前後方向「後」とする。前後方向を、X軸方向とする。左右方向とは、前後方向に対して水平面において直交する方向である。運転席側から見て、左手側が「左」、右手側が「右」である。左右方向を、Y軸方向とする。上下方向とは、前後方向および左右方向に対して直交する方向である。上下方向を、Z軸方向とする。したがって、前後方向、左右方向および鉛直方向は、3次元で直交する。
【0013】
また、以下の説明においては、電子機器1の左側面を図示して説明するが、右側面にも同様に部材が配置されている。
【0014】
図1は、実施形態に係る電子機器を車両に取り付けた状態を示す斜視図である。
図2は、実施形態に係る表示ユニットを示す斜視図である。
図3は、実施形態に係る表示ユニットの正立状態を示す側面図である。
図4は、実施形態に係る表示ユニットの正立状態を示す側面図である。
図5は、実施形態に係る表示ユニットの正立状態を示す側面図である。電子機器1は、記憶媒体から情報を読み取る読取ユニット2と、読み取った情報を表示させる表示ユニット3と、表示パネル駆動機構10とを有する。電子機器1の左側と右側とは同様の機構を有しているため、電子機器1の左側について図示し、右側の記載を省略している。なお、
図2において、読取ユニット2は、直方体状の箱状に形成された筐体(電子機器本体)のうちの左側面のみを筐体21として二点鎖線で図示し、他の面は省略している。電子機器1は、例えば、AV一体型のカーナビゲーションシステムまたはカーオーディオなどである。
【0015】
読取ユニット2は、記憶媒体が装着される図示しないメディアスロットが配置され、記憶媒体から情報を読み取る。読取ユニット2は、記憶媒体から読み取った情報と、表示パネルで検出された操作情報とに基づいて、図示しない制御部を介して電子機器1の各部に制御信号を出力する。読取ユニット2は、筐体21を有する。
【0016】
筐体21は、例えば、クラスタパネル、センターコンソール、インストルメントパネルに取り付けられている。
【0017】
筐体21は、サブパネル22の近傍に円柱状の軸21aを有する。軸21aは、リリースアーム(リリース部材)17を回動可能に支持する。軸21aは、中心軸がY軸方向と平行な方向に沿っている。軸21aは、Y軸方向と平行な方向に沿って配置される。
【0018】
筐体21は、表示ユニット3の表示パネルと向かい合うサブパネル(電子機器本体の表面)22が配置される。サブパネル22は、正面(表面)に向かって開口している。サブパネル22の正面には、記憶媒体が装着されるメディアスロットが配置される。サブパネル22の開口の内周面には、Z軸方向に沿って延びるガイド溝23を有する。
【0019】
ガイド溝23は、表示ユニット3のチルト動作時に、軸(第五軸)13aをガイドする。ガイド溝23は、軸13aがスライド可能に配置されている。ガイド溝23は、例えば、図示のように湾曲形状に形成されていてもよい。ガイド溝23の形状は、表示ユニット3の軌道に応じた形状に形成されていればよく、図示の形状に限定されない。
【0020】
表示ユニット3は、表面に配置された表示パネルの表示面31と、表示パネルの枠部材であるパネル枠32と、表示ユニット3の姿勢を変化させる表示パネル駆動機構10とを有する。表示ユニット3は、表示パネル駆動機構10によって、正立状態にする正立動作と、逆チルト状態にする逆チルト動作と、チルト状態にするチルト動作とを行う。正立状態とは、表示ユニット3がサブパネル22と平行な方向に沿って起立した状態である。逆チルト状態とは、表示ユニット3が表示面31を下向きにして、サブパネル22に対して傾いた状態である。チルト状態とは、表示ユニット3が表示面31を上向きにして、サブパネル22に対して傾いた状態である。
【0021】
表示ユニット3が正立状態または逆チルト状態のとき、表示ユニット3は、読取ユニット2に対して閉じた状態である。言い換えると、表示ユニット3が正立状態または逆チルト状態のとき、サブパネル22は表示ユニット3で覆われている。
【0022】
表示ユニット3のチルト動作時に、表示ユニット3は、読取ユニット2のサブパネル22のガイド溝23に沿ってスライドし開閉する。表示ユニット3がチルト状態のとき、読取ユニット2は開いた状態で、サブパネル22が露出する。表示ユニット3は、下部がサブパネル22から遠ざかりながら、上部がサブパネル22に沿って下側にスライドすることで、サブパネル22に対して開いた状態となる。表示ユニット3は、下部がサブパネル22に近づきながら、上部がサブパネル22に沿って上側にスライドすることでサブパネル22に対して閉じた状態となる。
【0023】
パネル枠32は、側面の下部に円柱状の軸(第二軸)32aを有する。軸32aは、中心軸がY軸方向と平行な方向に沿っている。軸32aには、リフトアーム(第一可動部材)12の下部が回動可能に配置される。
【0024】
パネル枠32は、側面の中央上部に円柱状の軸(第六軸)32bを有する。軸32bは、軸32aより上方に配置される。軸32bは、中心軸がY軸方向と平行な方向に沿っている。軸32bには、スウィングアーム(第二連結部材)13の下部が回動可能に配置される。
【0025】
パネル枠32は、中央下部にストッパ33が配置される。ストッパ33は、軸32bの下側で、軸32aの上側に配置されている。ストッパ33は、ロックスライダ(ロック部材)16に接触して下方への移動を規制する。
【0026】
表示パネル駆動機構10は、表示ユニット3をチルト動作させたり、逆チルト動作させたりする。表示パネル駆動機構10は、スライダ(スライダ部材、チルト機構)11と、リフトアーム12と、スウィングアーム13と、リヤアーム(第一連結部材)14と、リフトストッパ(ストッパ部材)15と、ロックスライダ16と、リリースアーム17と、ダウンアーム(第二可動部材)18と、リフトガイドアーム(逆チルト機構)19と、駆動ユニット9とを有する。なお、チルト機構は、スライダ11の他に、チルト動作に使用する他の部材、例えば、リフトアーム12を含む。逆チルト機構は、リフトガイドアーム19の他に、逆チルト動作に使用する他の部材、例えば、スライダ11とリフトアーム12とスウィングアーム13とリヤアーム14とリフトストッパ15とロックスライダ16とリリースアーム17とダウンアーム18とを含む。
【0027】
スライダ11は、サブパネル22に対してX軸方向に進退する。スライダ11は、第一駆動ユニット91(
図6参照)で駆動され、サブパネル22に対して前進したり、サブパネル22に対して後退したりする。スライダ11は、X軸方向に長い矩形の板状に形成される。
【0028】
スライダ11には、前部に円柱状の軸(第三軸)11aが配置される。軸11aは、中心軸がY軸方向と平行な方向に沿っている。軸11aには、ダウンアーム18が回動可能に配置されている。スライダ11がサブパネル22に対して前進すると、軸11aが前進する。スライダ11がサブパネル22に対して後退すると、軸11aが後退する。
【0029】
スライダ11は、前部から前上方に延びる延在部111を有する。延在部111は、軸11aを介してスライダ11と連結されている。延在部111は、スライダ11と一体に進退する。延在部111には、リフトアーム12が回動可能に連結されている。
【0030】
リフトアーム12は、パネル枠32の下部を回動可能に支持する。リフトアーム12は、スライダ11に回動可能に連結される。本実施形態においては、後述のようにリフトアーム12はスライダ11の進退動作を駆動源として回動するが、他の例としてリフトアーム12を第二駆動ユニット95(
図6参照)によって直接駆動してもよい。
【0031】
リフトアーム12には、中央上部に円柱状の軸(第一軸)12aが配置される。軸12aは、中心軸がY軸方向と平行な方向に沿っている。軸12aは、表示ユニット3の正立状態において、ダウンアーム18の軸(第四軸)18aと同一軸線上に位置する。軸12aには、スライダ11の延在部111が回動可能に配置される。リフトアーム12は、軸12aを中心に回動可能である。リフトアーム12には、図示しないねじりコイルバネによって、軸12aを中心に時計回りの回転力が付勢される。言い換えると、リフトアーム12には、パネル枠32に対して閉じる方向の回転力が付勢される。
【0032】
リフトアーム12には、中央下部に円柱状の突起部12bが配置される。突起部12bは、Y軸方向に突設される。突起部12bは、軸12aより下方に配置される。突起部12bは、リフトアーム12が後方に移動した際に、リフトストッパ15と接触可能な位置に配置されている。突起部12bは、リフトストッパ15と接触することにより、スライダ11の進退に連動したリフトアーム12の進退を規制する。
【0033】
リフトアーム12は、上部にロック溝121を有する。ロック溝121は、上方に向かって開口している。ロック溝121には、ロックスライダ16の軸16aが進退可能に係合する。ロック溝121にロックスライダ16の軸16aが位置するとき、ロックスライダ16によってリフトアーム12の回動が規制される。ロック溝121からロックスライダ16の軸16aが外れているとき、ロックスライダ16によるリフトアーム12の回動規制が解除される。
【0034】
スウィングアーム13は、パネル枠32を回動可能に支持する。スウィングアーム13は、軸32bを介してパネル枠32の中央上部を回動可能に支持する。スウィングアーム13は、リヤアーム14と回動可能に連結される。
【0035】
スウィングアーム13には、上部に円柱状の軸13aが配置される。軸13aは、中心軸がY軸方向と平行な方向に沿っている。軸13aは、サブパネル22のガイド溝23にスライド可能に係合する。軸13aには、リヤアーム14の上部が回動可能に連結される。
【0036】
スウィングアーム13には、中間部に円柱状の軸13bが配置される。軸13bは、軸13aより下方に配置されている。軸13bは、中心軸がY軸方向と平行な方向に沿っている。軸13bは、ロックスライダ16のガイド溝161に進退可能に係合する。
【0037】
スウィングアーム13は、図示しないねじりコイルバネによって、軸32bを中心に時計回りの回転力が付勢される。言い換えると、スウィングアーム13は、パネル枠32に対して閉じる方向の回転力が付勢される。
【0038】
リヤアーム14は、スウィングアーム13とダウンアーム18とに連結される。リヤアーム14の上部は、軸13aを中心に回動可能にスウィングアーム13によって支持される。リヤアーム14の下部は、軸18aを中心に回動可能にダウンアーム18によって支持される。
【0039】
リフトストッパ15は、筐体21に配置される。リフトストッパ15は、リフトアーム12の後方への移動を規制する。リフトストッパ15は、リフトアーム12が後方に移動した際に、突起部12bと接触可能な位置に配置される。
【0040】
ロックスライダ16は、パネル枠32に対して上下方向に移動可能に配置される。ロックスライダ16は、リフトアーム12の回動とスウィングアーム13の回動とを規制する。ロックスライダ16は、下方に位置するとき、リフトアーム12の回動とスウィングアーム13の回動とを規制する。ロックスライダ16は、上方に位置するとき、リフトアーム12とスウィングアーム13の回動規制を解除する。ロックスライダ16は、図示しない引張コイルバネによって下方に付勢される。
【0041】
ロックスライダ16は、下部に円柱状の軸16aが配置される。軸16aは、中心軸がY軸方向と平行な方向に沿っている。軸16aは、リリースアーム17のガイド溝171に進退可能に係合する。軸16aは、リフトアーム12のロック溝121に進退可能に係合する。
【0042】
ロックスライダ16は、上部にガイド溝161を有する。ガイド溝161は、スウィングアーム13の軸13bが進退可能である。ガイド溝161は、L字型に形成される。ガイド溝161は、一方の端部がロック部162であり、他方の端部が開口部163である。ロック部162は、開口部163より上部に配置される。ロック部162にスウィングアーム13の軸13bが位置すると、スウィングアーム13の回動が規制される。開口部163は、後方に向かって開口している。開口部163からスウィングアーム13の軸13bがガイド溝161に進入したり退出したりする。ガイド溝161からスウィングアーム13の軸13bが退出して外れると、スウィングアーム13の回動規制が解除される。
【0043】
リリースアーム17は、ロックスライダ16を、リフトアーム12の回動とスウィングアーム13の回動とを規制する位置と、リフトアーム12の回動規制とスウィングアーム13の回動規制とを解除する位置とに移動させる。リリースアーム17は、ロックスライダ16を上下方向に移動させる。リリースアーム17は、軸21aを中心に筐体21に回動可能に配置される。
【0044】
リリースアーム17は、軸21aを中心に一方の端部に円柱状の軸17aを有する。軸17aは、中心軸がY軸方向と平行な方向に沿っている。軸17aは、リフトガイドアーム19のガイド溝191に進退可能に係合する。
【0045】
リリースアーム17は、軸21aを中心に他方の端部にガイド溝171を有する。ガイド溝171は、ロックスライダ16の軸16aが進退可能に係合する。ガイド溝171は、前方に向かって開口している。ガイド溝171は、軸16aの軌道に沿った形状に形成される。ガイド溝171は、保持部172と、カム部173とを有する。保持部172とカム部173とは連続している。保持部172は、コの字形状に形成される。カム部173は、開口に面して配置される。カム部173は、軸16aをガイドするカム形状に形成される。
【0046】
このように構成されたリリースアーム17は、リフトガイドアーム19によって回動される。ガイド溝171にロックスライダ16の軸16aが係合した状態で、リフトガイドアーム19が時計回りに回動してリリースアーム17が反時計回りに回動すると、ロックスライダ16が上方に移動する。
【0047】
ガイド溝171にロックスライダ16の軸16aが係合した状態で、リフトガイドアーム19が反時計回りに回動してリリースアーム17が時計回りに回動すると、ロックスライダ16が下方に移動する。
【0048】
ダウンアーム18は、軸11aを介してスライダ11に回動可能に配置される。ダウンアーム18は、第二駆動ユニット95によってリフトガイドアーム19が回動することによって回動する。ダウンアーム18は、リヤアーム14に連結される。
【0049】
ダウンアーム18は、前側の端部に円柱状の軸18aが配置される。軸18aは、中心軸がY軸方向と平行な方向に沿っている。軸18aには、リヤアーム14が回動可能に配置される。
【0050】
ダウンアーム18は、後側の端部に円柱状の軸18bが配置される。軸18bは、中心軸がY軸方向と平行な方向に沿っている。軸18bは、リフトガイドアーム19の保持部192に進退可能で、リフトアーム12が後方に移動すると、保持部192に保持される。言い換えると、表示ユニット3の正立状態においては、軸18bは、保持部192から離間している。
【0051】
このように構成されたダウンアーム18は、軸18bを介して、リフトガイドアーム19に追従して軸11aを中心に回動する。ダウンアーム18が回動すると、軸18aを介して、ダウンアーム18の前側の端部の上下動に連動してリヤアーム14が上下動する。
【0052】
リフトガイドアーム19は、筐体21に回動可能に配置される。リフトガイドアーム19は、第二駆動ユニット95によって駆動される。リフトガイドアーム19は、リリースアーム17とダウンアーム18とを駆動する。リフトガイドアーム19は、ガイド溝191と、保持部192とを有する。
【0053】
ガイド溝191は、軸17aの軌道に応じた形状に形成される。ガイド溝191には、リリースアーム17の軸17aが移動可能に配置される。
【0054】
保持部192は、ダウンアーム18の軸18bを保持可能である。保持部192は、端部が開口している。言い換えると、保持部192には、開口から軸18bが進退する。保持部192に軸18bが位置した状態でリフトガイドアーム19が回動すると、ダウンアーム18が回動する。保持部192から軸18bが離間しているとき、リフトガイドアーム19とダウンアーム18とは、独立して動作する。
【0055】
このように構成されたリフトガイドアーム19が時計回りに回動すると、リリースアーム17の軸17aがガイド溝191に沿って移動して、ガイド溝171の開口が上向きになる。リフトガイドアーム19が反時計回りに回動すると、リリースアーム17の軸17aがガイド溝191に沿って移動して、ガイド溝171の開口が下向きになる。
【0056】
軸18bが保持部192に保持された状態でリフトガイドアーム19が時計回りに回動すると、ダウンアーム18は、時計回りに回動する。軸18bが保持部192に保持された状態でリフトガイドアーム19が反時計回りに回動すると、ダウンアーム18は、反時計回りに回動する。
【0057】
図6ないし
図10を参照して、表示パネル駆動機構10を駆動する駆動ユニット9について説明する。
図6は、実施形態に係る表示ユニットの駆動ユニットを示す平面図である。
図7は、実施形態に係る表示ユニットの第二駆動ユニットを示す斜視図である。
図8は、実施形態に係る表示ユニットの第二駆動ユニットを示す斜視図である。
図9は、駆動ユニットの制御の一例を示す図である。なお、
図9は、駆動ユニット9による制御の一例を示すものであって、本実施形態における実際の表示パネル駆動機構10の制御の具体例ではない。
図10は、実施形態に係る表示ユニットの駆動ユニットの制御部の一例を示すブロック図である。駆動ユニット9は、第一駆動ユニット91と、第二駆動ユニット95と、これらを制御する制御部90とを有する。
【0058】
第一駆動ユニット91は、筐体21の下面21Fの上部で、電子機器1の図示しない基板の下側に配置される。第一駆動ユニット91は、筐体21の下面21Fの右側に配置される。第一駆動ユニット91は、スライダ11の駆動源である。第一駆動ユニット91は、モータ92と、モータ92によって動作する複数段のギヤ部93と、ギヤ部93の最終段と噛み合い、スライダ11に配置されたラック94とを有する。第一駆動ユニット91は、モータ92を駆動して、ギヤ部93とラック94とを介して、スライダ11をサブパネル22に対して進退させる。ラック94は、移動量を検出する第一センサ94Sを有する。第一センサ94Sは、検出結果を制御部90に出力する。
【0059】
第二駆動ユニット95は、筐体21の下面21Fの上部で、電子機器1の基板の下側に配置される。第二駆動ユニット95は、筐体21の下面21Fの左側に配置される。第二駆動ユニット95は、第一駆動ユニット91と並んで配置される。なお、第二駆動ユニット95は、従来、チルト動作用の駆動ユニットが配置されていた部分の隣の空きスペースを使用して配置する。第二駆動ユニット95は、リフトガイドアーム19の駆動源である。第二駆動ユニット95は、モータ96と、モータ96によって動作する複数段のギヤ部97と、左側と右側に配置されたアーム駆動ギヤ部98と、左側と右側のアーム駆動ギヤ部98を連結する連結軸99とを有する。
【0060】
ギヤ部97は、モータ96から出力された駆動力を増幅する。アーム駆動ギヤ部98は、リフトガイドアーム19を回動する。アーム駆動ギヤ部98は、複数段の歯車を含む。アーム駆動ギヤ部98の初段は、ギヤ部97の最終段と噛み合う。アーム駆動ギヤ部98は、移動量を検出する第二センサ98Sを有する。第二センサ98Sは、検出結果を制御部90に出力する。連結軸99は、左側のアーム駆動ギヤ部98に連動して回動して、右側のアーム駆動ギヤ部98を駆動する。左側のアーム駆動ギヤ部98と右側のアーム駆動ギヤ部98とは、同じ方向に同じ角度で回動する。言い換えると、左側のリフトガイドアーム19と右側のリフトガイドアーム19とは同じ方向に同じ角度で回動する。
【0061】
制御部90は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、プログラムを格納したメモリとを備える。制御部90は、メモリに記憶したプログラムに基づいて、第一駆動ユニット91と、第二駆動ユニット95とを制御する。制御部90は、第一駆動ユニット91と第二駆動ユニット95とを同時に制御することが可能である。制御部90は、第一センサ94Sから検出結果を取得する。制御部90は、第二センサ98Sから検出結果を取得する。
【0062】
制御部90は、モータ92の駆動と駆動停止とを制御する制御信号を出力する。例えば、制御部90は、
図9に破線で示すように、パネル枠32を開く角度に応じて、対応するスライダ11の移動量だけスライダ11が移動するように、モータ92を駆動する制御信号を出力する。制御部90は、第一センサ94Sの検出結果であるラック94の移動量に基づいて、スライダ11の移動量を算出可能である。
【0063】
制御部90は、モータ96の駆動と駆動停止とを制御する制御信号を出力する。例えば、制御部90は、
図9に実線で示すように、パネル枠32を開く角度に応じて、対応するリフトガイドアーム19の移動量だけリフトガイドアーム19が移動するように、モータ96を駆動する制御信号を出力する。制御部90は、第二センサ98Sの検出結果であるリフト用スライダの移動量に基づいて、リフトガイドアーム19の回動量を算出可能である。
【0064】
制御部90は、例えば、正立状態のパネル枠32がクラスタパネル、センターコンソール、インストルメントパネルに対して奥まって配置される場合、
図9に一点鎖線で示すように、パネル枠32を開く前に、スライダ11を所定距離だけ先方に移動させるように制御信号を出力してもよい。逆チルト動作またはチルト動作の際に、パネル枠32とクラスタパネル、センターコンソール、インストルメントパネルとが干渉することなく動作させることが可能である。
【0065】
次に、このように構成された電子機器1の逆チルト動作とチルト動作と作用について説明する。
【0066】
まず、
図3ないし
図5を用いて、表示ユニット3の正立状態について説明する。パネル枠32は、起立している。パネル枠32は、サブパネル22に対して閉じた状態である。言い換えると、パネル枠32は、サブパネル22の開口に収容される。リフトアーム12は、ねじりコイルバネによって、軸12aを中心に時計回りの回転力が付勢される。リフトアーム12は、ストッパ33に接触して、時計回りの回動が規制される。スウィングアーム13は、ねじりコイルバネによって、軸32bを中心に時計回りの回転力が付勢される。スウィングアーム13は、パネル枠32に配置された図示しないストッパに接触して、時計回りの回動が規制される。リフトアーム12のロック溝121にロックスライダ16の軸16aが位置するので、リフトアーム12の回動が規制される。スウィングアーム13の軸13bがロックスライダ16のガイド溝161のロック部162に位置するので、スウィングアーム13の回動が規制される。ロックスライダ16の軸16aがリリースアーム17のガイド溝171に位置するので、ロックスライダ16が位置決めされて上方への移動が規制される。
【0067】
図11ないし
図15を用いて、表示ユニット3のチルト動作について説明する。
図11は、実施形態に係る表示ユニットのチルト動作を示す側面図である。
図12は、実施形態に係る表示ユニットのチルト動作を示す側面図である。
図13は、実施形態に係る表示ユニットのチルト動作を示す側面図である。
図14は、実施形態に係る表示ユニットのチルト動作を示す側面図である。
図15は、実施形態に係る表示ユニットのチルト動作を示す側面図である。チルト動作は、表示ユニット3の正立状態から行われる。チルト動作が開始されると、スライダ11が第一駆動ユニット91で駆動され、サブパネル22に対して前進する。
【0068】
図11に示す状態は、表示ユニット3がチルト動作をしている状態である。チルト動作は、
図3ないし
図5に示すように、リフトアーム12とスウィングアーム13の回動が規制された状態から動作を開始する。チルト動作においては、リフトアーム12とスウィングアーム13とリヤアーム14とロックスライダ16とが、パネル枠32と一体になって移動する。言い換えると、チルト動作において、リフトアーム12とスウィングアーム13とリヤアーム14とロックスライダ16とは、パネル枠32に対する姿勢を変えずに移動する。
図11に示す状態は、
図3ないし
図5に示す状態から、スライダ11がサブパネル22に対して前進している。スライダ11の前進に連動して、軸13aがサブパネル22のガイド溝23に沿って下方に移動し、軸32bが連結されたスウィングアーム13の下側の端部が前方に移動する。これらにより、パネル枠32の上部が下方に移動し、パネル枠32の下部が前方に移動し、パネル枠32は、後傾する。
【0069】
図12に示す状態は、
図11に示す状態から、スライダ11がサブパネル22に対してさらに前進している。軸16aは、ガイド溝171から離間し、ガイド溝171より前方に位置する。スライダ11の前進に連動して、パネル枠32の上部がさらに下方に移動し、パネル枠32の下部がさらに前方に移動し、パネル枠32は、さらに後傾する。
【0070】
図13に示す状態は、
図12に示す状態から、スライダ11がサブパネル22に対してさらに前進している。スライダ11の前進に連動して、パネル枠32の上部がさらに下方に移動し、パネル枠32の下部がさらに前方に移動し、パネル枠32は、さらに後傾する。
【0071】
図14に示す状態は、
図13に示す状態から、スライダ11がサブパネル22に対してさらに前進している。スライダ11の前進に連動して、パネル枠32の上部がさらに下方に移動し、パネル枠32の下部がさらに前方に移動し、パネル枠32は、さらに後傾する。
【0072】
図15に示す状態は、
図14に示す状態から、スライダ11がサブパネル22に対してさらに前進している。スライダ11の前進に連動して、パネル枠32の上部がさらに下方に移動し、パネル枠32の下部がさらに前方に移動し、パネル枠32は、さらに後傾する。
【0073】
このようにして、パネル枠32は、表示面31を上向きにしたチルト状態になる。パネル枠32がサブパネル22に対して開き、チルト動作が完了してフルオープン状態になる。このときの開口高さをHとする。開口高さHが大きいほど、メディアスロットに対する操作が容易になる。
【0074】
このようなチルト動作において、スライダ11がサブパネル22に対して前進することで、表示ユニット3が後傾して、チルト動作する。例えば、パネル枠32は、80°程度後傾する。
【0075】
表示ユニット3をチルト状態から正立状態に戻す場合について説明する。スライダ11を、サブパネル22に対して後退することで、表示ユニット3が正立状態に戻る。より詳しくは、スライダ11の後退に連動して、パネル枠32の下部が後方に引き戻され、パネル枠32の上部がサブパネル22のガイド溝23に沿って上方に移動して、パネル枠32が閉じられて正立状態に戻る。正立状態に戻るとき、スウィングアーム13の軸13bがロックスライダ16のガイド溝161のロック部162に位置したままであるので、スウィングアーム13の回動が規制された状態が維持される。これにより、パネル枠32を閉じる際の反力によってスウィングアーム13が回動して、スウィングアーム13とパネル枠32とが軸32bを支点にして開くことが規制される。これらにより、表示ユニット3をチルト状態から正立状態に戻す場合において、スライダ11の駆動力のロスを抑制することができる。正立状態に戻ると、ロックスライダ16の軸16aがリリースアーム17のガイド溝171に進入して、ロックスライダ16の上方への移動が規制される。
【0076】
図16ないし
図22を用いて、表示ユニット3の逆チルト動作について説明する。
図16は、実施形態に係る表示ユニットの正立状態を示す側面図である。
図17は、実施形態に係る表示ユニットの逆チルト動作を示す側面図である。
図18は、実施形態に係る表示ユニットの逆チルト動作を示す側面図である。
図19は、実施形態に係る表示ユニットの逆チルト動作を示す側面図である。
図20は、実施形態に係る表示ユニットの逆チルト動作を示す側面図である。
図21は、実施形態に係る表示ユニットの逆チルト動作を示す側面図である。
図22は、実施形態に係る表示ユニットの逆チルト動作を示す側面図である。逆チルト動作は、表示ユニット3の正立状態から開始される。逆チルト動作が開始されると、スライダ11が第一駆動ユニット91で駆動され、サブパネル22に対して後退する。また、リフトガイドアーム19が第二駆動ユニット95で駆動され、時計回りに回動する。
【0077】
図16に示す状態は、
図3ないし
図5に示す状態から、リフトアーム12とスウィングアーム13の回動規制を解除した状態である。
図3ないし
図5に示す状態から、リリースアーム17が軸21aを中心に反時計回りに回動している。リリースアーム17のガイド溝171が軸16aを押し上げて、ロックスライダ16が上方に移動する。リフトアーム12のロック溝121からロックスライダ16の軸16aが離間して、リフトアーム12の回動規制が解除されるとともに、ロックスライダ16の移動規制が解除される。スウィングアーム13の軸13bがロックスライダ16のガイド溝161のロック部162から外れて、スウィングアーム13の回動規制が解除される。
【0078】
図17に示す状態は、
図16に示す状態から、スライダ11がサブパネル22に対して後退している。突起部12bがリフトストッパ15に接触しているので、リフトアーム12は、後方への移動が規制される。これにより、スライダ11の後退に連動して、リフトアーム12が軸12aを中心に反時計回りに回動する。スウィングアーム13の軸13bがロックスライダ16のガイド溝161から離間する。スライダ11の後退とパネル枠32の前傾に連動して、スウィングアーム13のパネル枠32に対する姿勢が変化する。ロックスライダ16の軸16aは、リリースアーム17のカム部173に位置している。ロックスライダ16は、図示しない引張コイルバネによって下方に付勢される。これらにより、ロックスライダ16は、パネル枠32の前傾に連動して、カム部173にガイドされて下方に移動する。スライダ11の後退とリフトアーム12の回動に連動して、パネル枠32の上部が前方に移動し、パネル枠32は、軸32aを中心に回動して前傾する。また、リフトアーム12の回動によって、パネル枠32の下部の軸32aが上方に移動する。
【0079】
図18、
図19に示す状態は、
図17に示す状態から、スライダ11がサブパネル22に対してさらに後退している。スライダ11の後退に連動して、リフトアーム12が軸12aを中心に反時計回りにさらに回動している。スライダ11の後退に連動して、スウィングアーム13が反時計回りにさらに回動している。スライダ11の後退とパネル枠32の前傾に連動して、スウィングアーム13のパネル枠32に対する姿勢がさらに変化する。ロックスライダ16は、カム部173にガイドされてさらに下方に移動する。ロックスライダ16は、ストッパ33に接触している。ロックスライダ16は、下方への移動が規制される。スライダ11の後退とリフトアーム12の回動に連動して、パネル枠32の上部がさらに前方に移動し、パネル枠32は、軸32aを中心に回動してさらに前傾する。リフトアーム12の回動によって、パネル枠32の下部の軸32aがさらに上方に移動する。
【0080】
このようにして、パネル枠32が所定角度まで逆チルト動作すると、スライダ11の後退を停止する。また、第二駆動ユニット95によって、リフトガイドアーム19を時計回りに回動させる。例えば、所定角度は10°である。本実施形態では、
図18、
図19に示す状態と、
図20、
図21に示す状態との間で、パネル枠32が所定角度になるものとする。
【0081】
図20、
図21に示す状態は、
図18、
図19に示す状態から、スライダ11がサブパネル22に対してさらに後退している。また、リフトガイドアーム19が第二駆動ユニット95によって駆動され、軸11aを中心に時計回りに回動している。スライダ11の後退に連動して、リフトアーム12が軸12aを中心に反時計回りに回動している。リフトガイドアーム19の回動に連動して、ダウンアーム18が軸11aを中心に時計回りに回動している。ダウンアーム18の回動に連動して、リヤアーム14の下部が下方に移動する。リヤアーム14に連結されたスウィングアーム13は、軸13aがサブパネル22のガイド溝23に沿って下方に移動する。スウィングアーム13は、軸13aが下方に移動すると、軸32bが連結された側の端部が押し下げられながら前方に移動する。ダウンアーム18の回動に連動したスウィングアーム13及びリヤアーム14の動作に連動して、パネル枠32は、軸32aを中心に回動して、上部が前方に移動し、下部の軸32aが下方に移動して、さらに前傾する。
【0082】
図22に示す状態は、
図20、
図21に示す状態から、リフトガイドアーム19が、軸11aを中心にさらに時計回りに回動している。ダウンアーム18が、軸11aを中心に時計回りにさらに回動している。ダウンアーム18の回動に連動して、リヤアーム14の下部がさらに下方に移動する。スウィングアーム13は、軸13aがサブパネル22のガイド溝23に沿ってさらに下方に移動する。スウィングアーム13は、軸13aがさらに下方に移動すると、軸32bが連結された側の端部がさらに押し下げられながら前方に移動する。ダウンアーム18の回動に連動したスウィングアーム13及びリヤアーム14の動作に連動して、パネル枠32は、軸32aを中心にさらに回動して、上部がさらに前方に移動し、下部の軸32aがさらに下方に移動して、さらに前傾する。
【0083】
このようにして、表示ユニット3は、表示面31を下向きにした逆チルト状態になる。例えば、パネル枠32は、20°程度前傾する。
【0084】
このような逆チルト動作において、正立状態からスライダ11がサブパネル22に対して後退すると、リフトストッパ15に突起部12bが接触してリフトアーム12の後方への移動が規制される。スライダ11の後退に連動して、リフトアーム12が軸12aを中心に反時計回りに回動する。リフトアーム12が反時計回りに回動すると、軸32aが上方に移動するので、パネル枠32は、下部が上方に移動する。パネル枠32は、軸32aを中心に回動して、下部を持ち上げられながら逆チルト動作する。そして、パネル枠32が所定角度まで逆チルト動作すると、第二駆動ユニット95によって、リフトガイドアーム19が時計回りに回動する。リフトガイドアーム19に連動して、ダウンアーム18が時計回りに回動する。ダウンアーム18の回動に連動して動作するスウィングアーム13とリヤアーム14とを介して、パネル枠32は、軸32aを中心に回動して、下部を押し下げられながら逆チルト動作する。
【0085】
このように、逆チルト動作において、パネル枠32の下部は、パネル枠32が正立状態から所定角度に達するまで、上方に移動し、所定角度に達した後は、下方に移動する。これにより、パネル枠32の下部とサブパネル22の下面との隙間の拡大が低減される。なお、パネル枠32の下部の下方への移動量は、上方への移動量と同程度以下である。パネル枠32の下部の上方への移動量は、パネル枠32の大きさなどによるが2mm以下が好ましい。
【0086】
表示ユニット3を逆チルト状態から正立状態に戻す場合について説明する。まず、リフトガイドアーム19を時計回りに回動して、パネル枠32を所定角度まで戻した後、スライダ11をサブパネル22に対し前進することで、表示ユニット3が正立状態に戻る。より詳しくは、まず、リフトガイドアーム19を第二駆動ユニット95によって、軸11aを中心に反時計回りに回動させて、ダウンアーム18を軸11aを中心に反時計回りに回動させる。これにより、スウィングアーム13とリヤアーム14とを介して、パネル枠32を所定角度まで閉じる。そして、パネル枠32が所定角度まで閉じられた後、スライダ11をサブパネル22に対して前進させて、リフトアーム12を軸12aを中心に時計回りに回動させる。これらにより、パネル枠32は起立した姿勢に戻る。このとき、軸16aは保持部172に位置する。さらに、この状態から、第二駆動ユニット95によって、リフトガイドアーム19を反時計回りに回動させることにより、リリースアーム17を回動させて、ガイド溝171の開口を下向きにする。これにより、軸16aが押し下げられることで、ロックスライダ16が下方に移動する。このようにして、パネル枠32は、正立状態に戻る。また、ロックスライダ16によって、リフトアーム12とスウィングアーム13の回動が規制される。
【0087】
本実施形態は、正立状態において、ロックスライダ16によって、パネル枠32を支持する、リフトアーム12の回動とスウィングアーム13の回動とを規制することができる。また、本実施形態は、チルト動作時、ロックスライダ16によって、リフトアーム12の回動とスウィングアーム13の回動とを規制した状態で、チルド動作を行うことができる。このように、本実施形態によれば、パネル枠32の揺動を抑制し、異音の発生を抑制することができる。本実施形態によれば、ロックスライダ16によってパネル枠32の動作を規制するので、外力によって不用意にパネル枠32が動作してしまうことを規制することができる。
【0088】
本実施形態は、リフトガイドアーム19を回動してリリースアーム17を回動させることにより、ロックスライダ16を回動して、リフトアーム12とスウィングアーム13の回動規制と規制解除とを切り替えることができる。本実施形態によれば、回動規制を規制解除とを切り替えるための機構をパネル枠32側に配置しなくてもよいので、パネル枠32の周囲のスペースを確保することができる。
【0089】
本実施形態は、フルオープン状態から正立状態に戻すとき、スウィングアーム13の軸13bがロックスライダ16のガイド溝161のロック部162に位置することにより、スウィングアーム13の回動が規制される。これにより、本実施形態は、パネル枠32を閉じる際の反力によってスウィングアーム13が回動して、スウィングアーム13とパネル枠32とが軸32bを支点にして開くことが規制される。本実施形態によれば、表示ユニット3をチルト状態から正立状態に戻す場合において、スライダ11の駆動力のロスを抑制することができる。
【0090】
さて、これまで本発明に係る電子機器1について説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0091】
表示パネル駆動機構10の構成に合わせて、駆動ユニット9は、配置を変更してもよい。
図23、
図24に示すように、駆動ユニット9Aは、表示パネル駆動機構10と異なる構成の表示パネル駆動機構に合わせて配置されている。
図23は、実施形態に係る表示ユニットの駆動ユニットの他の例を示す斜視図である。
図24は、実施形態に係る表示ユニットの駆動ユニットの他の例を示す斜視図である。より詳しくは、第二駆動ユニット95Aのアーム駆動ギヤ部98A及び連結軸99Aの配置位置が、
図6に示した駆動ユニット9と異なる。
【符号の説明】
【0092】
1 電子機器
10 表示パネル駆動機構
11 スライダ(スライダ部材、チルト機構)
11a 軸(第三軸)
12 リフトアーム(第一可動部材)
12a 軸(第一軸)
12b 突起部
13 スウィングアーム(第二連結部材)
13a 軸(第五軸)
13b 軸
14 リヤアーム(第一連結部材)
15 リフトストッパ(ストッパ部材)
16 ロックスライダ(ロック部材)
16a 軸
17 リリースアーム(リリース部材)
17a 軸
18 ダウンアーム(第二可動部材)
18a 軸(第四軸)
18b 軸
19 リフトガイドアーム(逆チルト機構)
191 ガイド溝
192 保持部
2 読取ユニット
21 筐体
21a 軸
22 サブパネル(電子機器本体の表面)
23 ガイド溝
3 表示ユニット
31 表示面
32 パネル枠
32a 軸(第二軸)
32b 軸(第六軸)
9 駆動ユニット
90 制御部
91 第一駆動ユニット
95 第二駆動ユニット