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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/14 20060101AFI20220308BHJP
   G01K 1/18 20060101ALI20220308BHJP
   G01K 1/14 20210101ALI20220308BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20220308BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220308BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20220308BHJP
【FI】
H05K7/14 C
G01K1/18
G01K1/14 L
H05K1/02 J
H05K7/20 N
H02M7/48 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018245845
(22)【出願日】2018-12-27
(65)【公開番号】P2020107755
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】土屋 亮人
(72)【発明者】
【氏名】小林 正佳
(72)【発明者】
【氏名】後藤 達哉
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 和次
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-40097(JP,A)
【文献】特開2016-6824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/14
G01K 1/18
G01K 1/14
H05K 1/02
H05K 7/20
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却媒体によって冷却されるケースと、
前記ケースに搭載され、前記ケースに接触するランドパターンを有する基板と、
前記基板に表面実装され、前記ケースの温度を測定する温度センサと、を備える電子装置であって、
前記ケースは、
底壁と、
側壁と、
前記底壁に設けられており、前記基板を支持するボスと、
前記側壁と前記ボスとを連結するとともに、前記底壁から前記基板に向かって突出した連結部と、を備え、
前記ボスは、前記基板を支持する支持面を有し、
前記連結部は、前記底壁から前記支持面までの高さより低い位置で前記温度センサと向かい合う対向面を有する電子装置。
【請求項2】
前記連結部は、前記温度センサを避けた位置で前記対向面の周囲から前記基板に向かって突出した周壁部位を備え、
前記周壁部位は、前記底壁から前記支持面までの高さより低く、かつ前記底壁から前記対向面までの高さより高い位置で前記基板と向かい合う端面を有する請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記ランドパターンは、
前記温度センサに沿って延びる第1伝熱部と、
前記第1伝熱部から延びており、前記温度センサを間に挟んで設けられた2つの第2伝熱部と、を備え、
前記第2伝熱部同士の間は開口している請求項1又は請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記第2伝熱部は、前記第1伝熱部から前記ケースの側壁のうち最も近い側壁に向けて延びている請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記第2伝熱部は、前記第1伝熱部からグランドパターンに向けて延びている請求項3又は請求項4に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ケースを備える電子装置では、冷却媒体でケースを冷却することでケース内の発熱体の冷却が行われる。電子装置は、冷却媒体の温度を監視するための温度センサを備える。温度センサは、ケースの温度を測定する。ケースの温度と冷却媒体の温度は相間関係があるため、ケースの温度を測定することで間欠的に冷却媒体の温度を監視することができる。温度センサとして、基板に表面実装される温度センサを用いる場合、基板の温度や、ケースと温度センサとの間の雰囲気の温度による干渉によってケースの温度の測定精度が低下するおそれがある。
【0003】
特許文献1には、温度センサが表面実装される基板に、ケースからの熱が伝わるランドパターンを設けた電子装置が記載されている。ランドパターンは、温度センサの近傍まで延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-196936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ケースの温度の測定精度を更に向上させることが望まれている。
本発明の目的は、温度センサによるケースの温度の測定精度を向上させることができる電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する電子装置は、冷却媒体によって冷却されるケースと、前記ケースに搭載され、前記ケースに接触するランドパターンを有する基板と、前記基板に表面実装され、前記ケースの温度を測定する温度センサと、を備える電子装置であって、前記ケースは、底壁と、側壁と、前記底壁に設けられており、前記基板を支持するボスと、前記側壁と前記ボスとを連結するとともに、前記底壁から前記基板に向かって突出した連結部と、を備え、前記ボスは、前記基板を支持する支持面を有し、前記連結部は、前記底壁から前記支持面までの高さより低い位置で前記温度センサと向かい合う対向面を有する。
【0007】
ケースの一部である対向面に向かい合って温度センサを配置することで、温度センサと底壁とが向かい合っている場合に比べて温度センサからケースまでの距離が短くなる。温度センサの周囲の雰囲気温度をケースの温度に近付けることができる。従って、温度センサによるケースの温度の測定精度を向上させることができる。
【0008】
上記電子装置について、前記連結部は、前記温度センサを避けた位置で前記対向面の周囲から前記基板に向かって突出した周壁部位を備え、前記周壁部位は、前記底壁から前記支持面までの高さより低く、かつ前記底壁から前記対向面までの高さより高い位置で前記基板と向かい合う端面を有していてもよい。
【0009】
対向面を周壁部位の端面と同じ高さにする場合に比べて、対向面を温度センサから離すことができる。温度センサを大きさの異なる温度センサに変更しても、温度センサと連結部とが接触しにくい。従って、用途に合わせて複数種類の温度センサを用いることができる。
【0010】
上記電子装置について、前記ランドパターンは、前記温度センサに沿って延びる第1伝熱部と、前記第1伝熱部から延びており、前記温度センサを間に挟んで設けられた2つの第2伝熱部と、を備え、前記第2伝熱部同士の間は開口していてもよい。
【0011】
温度センサに沿って第1伝熱部及び第2伝熱部を設けることで、温度センサの周囲の雰囲気温度をケースの温度に近付けることができる。従って、温度センサによるケースの温度の測定精度を更に向上させることができる。
【0012】
上記電子装置について、前記第2伝熱部は、前記第1伝熱部から前記ケースの側壁のうち最も近い側壁に向けて延びていてもよい。
第2伝熱部同士の間は、最も近い側壁に向けて開口する。従って、ケース内の部材からの熱による温度センサの影響を低減できる。
【0013】
上記電子装置について、前記第2伝熱部は、前記第1伝熱部からグランドパターンに向けて延びていてもよい。
第2伝熱部同士の間は、グランドパターンに向けて開口する。グランドパターンがシールドとして機能することで、外来ノイズが温度センサに到来することを抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、温度センサによるケースの温度の測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】DC/DCコンバータの一部を破断して示す断面図。
図2】ケースの一部を破断して示す斜視図。
図3】基板の一部を破断して示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、電子装置の一実施形態について説明する。
図1及び図2に示すように、電力変換装置PCは、電子装置としてのDC/DCコンバータ10と、インバータ50と、を備える。電力変換装置PCは、例えば、車両に搭載され、電源電圧の変圧をし、直流電力から交流電力への変換を行い、モータに電力を供給するパワーコントロールユニットである。
【0017】
DC/DCコンバータ10は、金属製のケース11と、ケース11に収容された電力変換部21と、基板31と、基板31に表面実装された温度センサ32と、基板31をケース11に固定するためのネジ41と、を備える。電力変換部21は、例えば、スイッチング素子やトランスが実装されたパワー基板である。
【0018】
ケース11は、底壁13と、底壁13から延びる側壁14と、ボス16と、連結部17と、を備える。底壁13は、冷却路Rを区画するために設けられた区画部15を備える。区画部15は、ケース11の外部からケース11の内部に向けて凹んでいる。区画部15は、ケース11の外部に開口している。ケース11の底壁13には、インバータ50が固定されている。詳細にいえば、インバータ50は、インバータケース51を備え、インバータケース51が区画部15を閉塞するように固定されている。インバータケース51によって区画部15が閉塞されることで、ケース11とインバータケース51との間に冷却路Rが区画されている。なお、インバータケース51は、区画部15と向かい合う位置に、区画部15とともに冷却路Rを区画する区画部52を備えていてもよいし、区画部52を備えていなくてもよい。
【0019】
冷却路Rは、冷却媒体Lが通る循環路である。冷却媒体Lとしては、不凍液などの液体状の冷媒が用いられる。冷却媒体Lは、ポンプなど冷却媒体Lを吐出できる部材によって冷却路Rを循環する。冷却路Rを冷却媒体Lが循環することで、ケース11は冷却される。これにより、ケース11内に収容された電力変換部21などの発熱体が冷却される。
【0020】
側壁14は、底壁13の周縁に設けられている。ケース11は、複数の側壁14を備える。
ボス16は、底壁13からケース11内に向けて延びる柱状の部材である。ボス16は、基板31を支持する支持面A1を備える。基板31を挿通したネジ41がボス16に締結されることで、基板31はケース11に固定されている。
【0021】
連結部17は、側壁14とボス16とを連結している。連結部17は、底壁13から基板31に向かって突出している。連結部17は、底壁13からボス16及び側壁14に沿って延びている。底壁13からケース11内に向けた突出量を比較すると、連結部17はボス16よりも若干突出量が少ない。従って、連結部17は、ボス16に支持された基板31と接触しないように設けられているといえる。
【0022】
連結部17は、底壁13から突出する基部17Aと、基部17Aから基板31に向けて突出する周壁部位17Bと、を備える。周壁部位17Bは、筒状の部位である。連結部17は、対向面A2を備える。対向面A2は、基部17Aにおいて、底壁13側の端部とは反対側の端面である。対向面A2は、周壁部位17Bに囲まれた面である。周壁部位17Bは、対向面A2の周囲から基板31に向かって突出しているといえる。周壁部位17Bに囲まれる領域には、対向面A2を底とする凹部18が区画されている。
【0023】
周壁部位17Bは、基板31と向かい合う端面A3を備える。端面A3は、周壁部位17Bにおいて、基部17A側の端部とは反対側の端面である。
底壁13から支持面A1までの高さh1は、底壁13から対向面A2までの高さh2よりも高い。底壁13から端面A3までの高さh3は、底壁13から支持面A1までの高さh1より低く、かつ底壁13から対向面A2までの高さh2より高い。端面A3は、底壁13から支持面A1までの高さh1より低く、かつ底壁13から対向面A2までの高さh2より高い位置で基板31に向かい合う。
【0024】
基板31は、例えば、ガラスエポキシ基板などのプリント基板である。基板31は、電力変換部21のスイッチング素子などDC/DCコンバータ10の制御を行うための制御基板である。基板31には、温度センサ32が表面実装されている。温度センサ32としては、サーミスタや、熱電対など、どのような温度センサが用いられてもよい。温度センサ32は、ケース11の温度を測定する。
【0025】
図3に示すように、基板31は、ランドパターン36と、基板31の外周に沿って設けられたグランドパターン37と、温度センサ32とグランドパターン37とを繋ぐパターン38と、温度センサ32と図示しない制御部とを繋ぐ信号パターン39と、を備える。ランドパターン36、グランドパターン37、パターン38及び信号パターン39は基板31の同一の面S1に設けられている。
【0026】
ランドパターン36は、ケース11に接触するパターンであり、ケース11の熱が伝わるパターンである。ランドパターン36は、円環状の接触部33と、接触部33と温度センサ32との間に設けられた第1伝熱部34と、第1伝熱部34から延びる2つの第2伝熱部35と、を備える。接触部33は、ボス16に接触する。接触部33には、ボス16を介してケース11の熱が伝わる。
【0027】
第1伝熱部34は、温度センサ32に沿って延びている。2つの第2伝熱部35は、第1伝熱部34から同一方向に延びている。2つの第2伝熱部35は、第1伝熱部34からグランドパターン37に向けて延びている。2つの第2伝熱部35は、温度センサ32を間に挟んで設けられている。即ち、第1伝熱部34及び2つの第2伝熱部35は、それぞれ、温度センサ32に沿って設けられている。2つの第2伝熱部35同士の間は、基板31の面S1に沿う方向に開口している。本実施形態では、2つの第2伝熱部35同士の間は、グランドパターン37に向けて開口している。即ち、基板31の面S1上において、第2伝熱部35同士の間を除いた部分は、ランドパターン36によって囲まれている。第1伝熱部34及び第2伝熱部35には、接触部33からケース11の熱が伝わる。
【0028】
信号パターン39は、一方の第2伝熱部35と、グランドパターン37との間を通って制御部に接続されている。制御部は、信号パターン39から送られた信号から温度センサ32の測定値を認識する。
【0029】
図1に示すように、基板31は、面S1と底壁13とが向かい合うようにボス16に支持されている。温度センサ32は、対向面A2に向かい合うように配置される。対向面A2は、底壁13から支持面A1までの高さh1よりも低い位置で温度センサ32と向かい合う。また、周壁部位17Bは、温度センサ32を避けた位置で対向面A2の周囲から基板31に向かって突出しているといえる。凹部18は、温度センサ32から離れるように凹んでいるといえる。
【0030】
図1及び図3に示すように、第2伝熱部35は、第1伝熱部34からケース11の側壁14のうち最も近い側壁14を向けて延びるように配置されている。即ち、第2伝熱部35同士の間は、第1伝熱部34から最も近い側壁14を向くように開口する。ボス16及びネジ41は、温度センサ32よりもケース11の内側に位置する。ボス16及びネジ41は、温度センサ32と電力変換部21との間に位置することになる。
【0031】
本実施形態の作用について説明する。
DC/DCコンバータ10が使用される際には、電力変換部21が発熱するため、冷却路Rに冷却媒体Lが循環される。これによって電力変換部21の冷却が行われる。ケース11との熱交換により、冷却媒体Lの温度は上昇する。
【0032】
冷却媒体Lの温度とケース11の温度とは相間関係がある。制御部は、温度センサ32によって測定されたケース11の温度から冷却媒体Lの温度を間接的に監視する。温度センサ32は、対向面A2に向かい合って配置されているため、連結部17からの熱が伝わりやすい。詳細にいえば、温度センサ32と底壁13が向かい合っている場合に比べて、温度センサ32からケース11までの距離が短くなるため、温度センサ32の周囲の雰囲気温度をケース11の温度に近付けることができる。
【0033】
また、周壁部位17Bを、温度センサ32を避けるように設けることで、対向面A2を端面A3よりも基板31から離している。温度センサ32は、DC/DCコンバータ10の性能や、温度センサ32に要求される測定精度に応じて異なる種類のものが用いられる。温度センサ32の種類が変化すると、温度センサ32の大きさが変化し得る。
【0034】
例えば、図1に示すように、本実施形態の温度センサ32よりも基板31の厚み方向、及び、基板31の面に沿う方向への寸法が大きい温度センサ32Aを用いる場合がある。この場合であっても、周壁部位17Bは温度センサ32を避けて設けられているため、温度センサ32Aと連結部17との接触を抑制することができる。底壁13から対向面A2までの高さや、周壁部位17Bの開口面積は、例えば、基板31に表面実装され得る温度センサ32の大きさによって定められ、最も大きい温度センサ32と連結部17とが接触しないように定められている。
【0035】
なお、周壁部位17Bを設けないことも考えられる。しかしながら、この場合には連結部17の全体が温度センサ32から離れることになる。周壁部位17Bを設けることで、温度センサ32と連結部17との接触を抑制しつつ、連結部17の一部を温度センサ32に近付けることができる。これにより、温度センサ32と連結部17の干渉を抑制しつつ、温度センサ32の周囲の雰囲気温度をケース11の温度に近付けることが可能になる。
【0036】
また、温度センサ32の周囲には、各伝熱部34,35が設けられており、各伝熱部34,35にはケース11からの熱が伝わる。温度センサ32の周囲の雰囲気温度は、各伝熱部34,35から伝わる熱によってケース11の温度に近付く。
【0037】
第2伝熱部35同士の間は、第1伝熱部34から最も近い側壁14に向けて開口しており、ケース11の内側、即ち、発熱体となる電力変換部21に向けて開口していない。第2伝熱部35同士の間の開口が電力変換部21を向いていると、温度センサ32が電力変換部21からの熱の影響を受けやすいため、第2伝熱部35同士の間の開口が側壁14を向くようにすることで、ケース11内からの熱による温度センサ32への影響を低減できる。
【0038】
温度センサ32により測定されたケース11の温度は、制御部に出力される。制御部は、ケース11の温度が過剰に上昇すると、冷却媒体Lの温度も過剰に上昇していると判断し、DC/DCコンバータ10の出力に制限を課す、あるいは、DC/DCコンバータ10を停止させる。
【0039】
なお、温度センサ32を基板31に表面実装することなく、ケース11に設けられた専用のボスに温度センサを配置することも考えられる。この場合、ケース11に専用のボスが必要になること、温度センサとして、リードを用いて基板31との接続を行うものを用いる必要があることを原因として、温度センサ32を設けるために必要となる面積の増大や、製造コストの増加を招く。これに対して、基板31に温度センサ32を表面実装し、この温度センサ32を用いてケース11の温度を測定することで、DC/DCコンバータ10の小型化、製造コストの低減を図ることができる。
【0040】
本実施形態の効果について説明する。
(1)対向面A2は、基板31に表面実装された温度センサ32に向かい合うため、温度センサ32の周囲の雰囲気温度がケース11の温度に近付く。従って、温度センサ32によるケース11の温度の測定精度を向上させることができる。
【0041】
(2)周壁部位17Bは、温度センサ32を避けて設けられている。従って、温度センサ32と連結部17との接触を抑制することで、用途に合わせて複数種類の温度センサ32を用いることができる。
【0042】
(3)温度センサ32に沿って各伝熱部34,35を設けることで、温度センサ32の周囲の雰囲気温度がケース11の温度に近付く。従って、温度センサ32によるケース11の温度の測定精度を更に向上させることができる。
【0043】
(4)第2伝熱部35同士の間は、第1伝熱部34に最も近い側壁14を向いて開口している。仮に、第2伝熱部35同士の間がケース11内を向いて開口していると、電力変換部21の発した熱が温度センサ32に伝わりやすく、ケース11の温度の測定精度が低下するおそれがある。第2伝熱部35同士の間を第1伝熱部34から最も近い側壁14に向けて開口させることで、ケース11内に配置される部材である電力変換部21の発する熱の温度センサ32への影響を抑制できる。
【0044】
また、温度センサ32と電力変換部21との間に第1伝熱部34が介在することになる。第1伝熱部34がシールドとして機能することで、電力変換部21からのノイズが温度センサ32に到来することを抑制できる。
【0045】
(5)第2伝熱部35同士の間は、グランドパターン37を向いて開口している。グランドパターン37がシールドとして機能し、外来ノイズが温度センサ32に到来することを抑制することができる。
【0046】
(6)基板31をケース11に固定するためのネジ41は、温度センサ32と電力変換部21との間に位置している。ネジ41により、電力変換部21の熱が温度センサ32に伝わることを抑制することができる。
【0047】
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○第2伝熱部35同士の間は、グランドパターン37以外を向いて開口していてもよい。例えば、第2伝熱部35同士の間は、電力変換部21を向いて開口していてもよい。
【0048】
○第2伝熱部35同士の間は、第1伝熱部34から最も近い側壁14とは異なる側壁14を向いて開口していてもよい。
○ランドパターン36の形状は、適宜変更してもよい。例えば、ランドパターン36は、接触部33のみで構成されていてもよいし、第1伝熱部34及び第2伝熱部35のうちの一方を省略した構成であってもよい。即ち、ランドパターン36は、ケース11に接触しており、かつ、温度センサ32の近傍に設けられることで、温度センサ32の雰囲気温度をケース11の温度に近付けることができれば、どのような形状であってもよい。
【0049】
○連結部17は、周壁部位17Bを備えていなくてもよい。
○DC/DCコンバータ10は、温度センサ32を囲む収容体を備えていてもよい。収容体は、例えば、基板31に固定されるアルミニウム製のセンサ用ケースである。温度センサ32を収容体で囲むことで、収容体の内部に収容体の外部の温度が影響することを抑制できる。即ち、収容体の内部の温度は、ランドパターン36から伝わる熱によってケース11の温度に近付く。これにより、ケース11の温度の測定精度を向上させることができる。なお、収容体を設ける場合、温度センサ32は連結部17に向かい合っていなくてもよい。即ち、基板31上の任意の位置に温度センサ32を配置することができるため、温度センサ32の配置位置の制約を少なくすることができる。
【0050】
○電子装置としては、ケース11を冷却媒体Lで冷却するものであれば、どのようなものであってもよい。
○ランドパターン36は、ケース11のボス16以外に接触していてもよい。例えば、ランドパターン36は、ケース11の側壁14に接触していてもよい。
【0051】
○実施形態では、区画部15を電子装置とは異なる部材で閉塞することで冷却路Rとしたが、冷却路Rはケース11のみで構成されてもよい。即ち、凹部18に代えて、孔を設けることで冷却路Rとしてもよい。また、冷却路Rは、ケース11の外部に別部材によって設けられてもよい。
【符号の説明】
【0052】
A1…支持面、A2…対向面、A3…端面、L…冷却媒体、10…DC/DCコンバータ(電子装置)、11…ケース、13…底壁、14…側壁、16…ボス、17…連結部、17B…周壁部位、31…基板、32…温度センサ、34…第1伝熱部、35…第2伝熱部、36…ランドパターン、37…グランドパターン。
図1
図2
図3