(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 5/00 20060101AFI20220308BHJP
H02K 11/01 20160101ALI20220308BHJP
H02K 11/225 20160101ALI20220308BHJP
H02K 5/173 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
H02K5/00 B
H02K11/01
H02K11/225
H02K5/173 A
(21)【出願番号】P 2018566810
(86)(22)【出願日】2018-01-16
(86)【国際出願番号】 JP2018001078
(87)【国際公開番号】W WO2018147012
(87)【国際公開日】2018-08-16
【審査請求日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】P 2017020060
(32)【優先日】2017-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(72)【発明者】
【氏名】金子 拓也
(72)【発明者】
【氏名】上谷 卓寛
(72)【発明者】
【氏名】飯尾 徳幸
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-320189(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0070672(US,A1)
【文献】特開2008-160909(JP,A)
【文献】特開2009-247167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/00
H02K 11/01
H02K 11/225
H02K 5/173
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びるシャフトと、
前記シャフトとともに回転可能であり、且つ、界磁用マグネットを有するロータと、
前記ロータに対して径方向に対向して配置されたステータと、
前記ロータ及び前記ステータよりも軸方向の一方側に位置する磁気センサと、
軸方向において、少なくとも一部が前記ロータと前記磁気センサとの間に位置するシールド部材と、
少なくとも前記ロータ及び前記ステータを内部に収容し、開口部を有する有底筒状のハウジングと、前記ハウジングに固定され、且つ、前記シャフトが挿通する挿通孔を有する平板状のフランジと、前記シャフトを回転可能に支持する軸受と、少なくとも一部が前記フランジの前記挿通孔内に位置し、且つ、前記軸受が収容される穴部を有するベアリングホルダと、を有するケーシングと、
を備え、
前記シールド部材は、
軸方向において、少なくとも一部が前記ロータと前記磁気センサとの間に位置し、且つ、前記シャフトが貫通する貫通孔を有する底部と、
前記底部から軸方向の他方側に延びる凸部と、
を有し、
前記凸部の先端部は、軸方向から見て、前記界磁用マグネットの外周部よりも径方向内方に位置し、
前記ロータは、前記ステータの径方向内方に位置し、
前記磁気センサは、回転角センサであり、
前記回転角センサは、
センサ用ロータと、
センサ用ステータと、
を有し、
前記センサ用ロータは、前記センサ用ステータの径方向内方に位置し、
前記ロータ及び前記センサ用ロータは、前記シャフトの径方向外方に、前記シャフトとともに回転可能に固定されていて、
前記シールド部材の貫通孔の孔径は、前記センサ用ロータの外径よりも大きく、
前記ベアリングホルダは、
前記穴部を有し、且つ、一部が前記フランジの前記挿通孔内に位置するベアリング支持部と、
前記ベアリング支持部から軸方向の他方側に延びる円筒状のホルダ延出部と、
前記ベアリング支持部から径方向外側に向かって突出し、且つ、前記フランジに対して軸方向の一方側に位置するホルダ突出部と、
を有し、
前記ホルダ延出部には、内周面上に前記センサ用ステータが固定され、
前記ホルダ突出部は、前記フランジに、前記シャフトの軸線を中心として周方向に位置調整可能に固定され、
前記ホルダ突出部は、軸方向から見て、中心軸Pを中心として周方向に延び、位置調整ボルトが挿通する位置調整ボルト用長穴、および軸方向から見て、中心軸Pを中心として周方向に延びる固定ボルト用長穴を有し、
固定ボルトは、前記ケーシングの内側から前記シールド部材の取付穴と、前記フランジに設けられたネジ穴とを締結し、
前記固定ボルトの軸部は、前記固定ボルト用長穴に挿通する、モータ。
【請求項2】
請求項1に記載のロータにおいて、
前記凸部の先端部は、軸方向から見て、前記界磁用マグネットの内周部よりも径方向内方に位置する、モータ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のモータにおいて、
前記凸部は、前
記底部において前記貫通孔に面する周縁部の一部に位置し、且つ、軸方向の他方側に向かって延びる、モータ。
【請求項4】
請求項3に記載のモータにおいて、
前記凸部は、軸方向に直交する断面において、前記貫通孔を囲む形状を有する、モータ。
【請求項5】
請求項
2に記載のモータにおいて、
前記シールド部材は、
前記底部から軸方向の一方側に延び、且つ、前記ベアリングホルダの一部を覆う筒部と、
前記筒部に設けられた固定部と、
を
有する、モータ。
【請求項6】
請求項
5に記載のモータにおいて、
前記ホルダ延出部は、外周面上に径方向外方に突出し、前記筒部の内周面に接触する突起部を有し、
前記筒部
と前記ホルダ延出部とは、径方向に隙間をあけて対向する、モータ。
【請求項7】
請求項
5または
6に記載のモータにおいて、
前記フランジは、前記挿通孔に面するフランジ周縁部に、軸方向の他方側に延びるフランジ突出部を有し、
前記固定部は、
前記筒部における前記軸方向の一方側の端部から径方向外側に突出する第一突出部と、
前記第一突出部の径方向外側の端部から軸方向の一方側に延びる第二突出部と、
前記第二突出部の軸方向の一方側の端部に位置し、且つ、前記フランジに固定される取付部と、
を有し、
前記第二突出部は、前記フランジ突出部よりも径方向外側に位置する、モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータの回転位置を検出するために、モータは、レゾルバなどの磁気センサを有する。一般的に、レゾルバなどの磁気センサは、磁気を用いてロータの回転位置を検出する。そのため、ロータ及びステータで生じた磁束が前記磁気センサに流れ込んだ場合、前記磁気センサの検出精度が低下する。
【0003】
これに対し、ステータと磁気センサとの間に、前記磁気センサに流れ込む磁束を遮蔽する遮蔽部材が配置された構成が知られている。例えば特許文献1には、レゾルバ(磁気センサ)に流れ込む磁束を遮蔽する遮蔽部材としてレゾルバホルダを有するブラシレスモータが開示されている。
【0004】
具体的には、前記特許文献1に開示されているブラシレスモータでは、レゾルバステータとステータの界磁コイルとの間に、遮蔽部材としてレゾルバホルダが配置されている。このレゾルバホルダは、前記レゾルバステータが収容される円筒形状のホルダ部と、該ホルダ部の一端側に形成され、前記レゾルバステータと前記界磁コイルとの間に配置される底壁部とを有する。前記特許文献1に開示されている構成では、前記底壁部に、ロータシャフトが貫通する貫通孔が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1に開示されている構成では、レゾルバステータとステータの界磁コイルとの間に配置されたレゾルバホルダによって、前記ステータで生じた磁束がレゾルバ(磁気センサ)に流れ込むことを抑制できる。
【0007】
しかしながら、上述のレゾルバホルダは、底壁部にロータシャフトが貫通する貫通孔を有する。そのため、上述の構成では、前記ステータの径方向内側に位置するロータの界磁用マグネットで生じた磁束(漏れ磁束)が、前記貫通孔から、レゾルバ(磁気センサ)側に流れ込む可能性がある。すなわち、上述の構成では、前記ロータから磁気センサに流れ込む磁束を十分に抑制できない可能性がある。
【0008】
これに対し、ロータから磁気センサに磁束が流れ込まないように、ロータに対してレゾルバホルダをロータの軸方向に所定の距離をあけて配置することが考えられる。しかしながら、この場合には、モータの軸方向寸法が大きくなるため、モータが大型化する。
【0009】
本発明の目的は、磁気センサを備えたモータにおいて、モータの大型化を抑制しつつ、ロータから前記磁気センサに流れ込む磁束を抑制可能な構成を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係るモータは、軸方向に延びるシャフトと、前記シャフトとともに回転可能であり、且つ、界磁用マグネットを有するロータと、前記ロータに対して径方向に対向して配置されたステータと、前記ロータ及び前記ステータよりも軸方向の一方側に位置する磁気センサと、軸方向において、少なくとも一部が前記ロータと前記磁気センサとの間に位置するシールド部材と、少なくとも前記ロータ及び前記ステータを内部に収容し、開口部を有する有底筒状のハウジングと、前記ハウジングに固定され、且つ、前記シャフトが挿通する挿通孔を有する平板状のフランジと、前記シャフトを回転可能に支持する軸受と、少なくとも一部が前記フランジの前記挿通孔内に位置し、且つ、前記軸受が収容される穴部を有するベアリングホルダと、を有するケーシングと、を備える。前記シールド部材は、軸方向において、少なくとも一部が前記ロータと前記磁気センサとの間に位置し、且つ、前記シャフトが貫通する貫通孔を有する底部と、前記底部から軸方向の他方側に延びる凸部と、を有する。前記凸部の先端部は、軸方向から見て、前記界磁用マグネットの外周部よりも径方向内方に位置する。前記ロータは、前記ステータの径方向内方に位置する。前記磁気センサは、回転角センサであり、前記回転角センサは、センサ用ロータと、センサ用ステータと、を有し、前記センサ用ロータは、前記センサ用ステータの径方向内方に位置し、前記ロータ及び前記センサ用ロータは、前記シャフトの径方向外方に、前記シャフトとともに回転可能に固定される。前記シールド部材の貫通孔の孔径は、前記センサ用ロータの外径よりも大きい。前記ベアリングホルダは、前記穴部を有し、且つ、一部が前記フランジの前記挿通孔内に位置するベアリング支持部と、前記ベアリング支持部から軸方向の他方側に延びる円筒状のホルダ延出部と、前記ベアリング支持部から径方向外側に向かって突出し、且つ、前記フランジに対して軸方向の一方側に位置するホルダ突出部と、を有する。前記ホルダ延出部には、内周面上に前記センサ用ステータが固定される。前記ホルダ突出部は、前記フランジに、前記シャフトの軸線を中心として周方向に位置調整可能に固定される。前記ホルダ突出部は、軸方向から見て、中心軸Pを中心として周方向に延び、位置調整ボルトが挿通する位置調整ボルト用長穴、および軸方向から見て、中心軸Pを中心として周方向に延びる固定ボルト用長穴を有する。固定ボルトは、前記ケーシングの内側から前記シールド部材の取付穴と、前記フランジに設けられたネジ穴とを締結し、前記固定ボルトの軸部は、前記固定ボルト用長穴に挿通する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態に係るモータによれば、モータの大型化を抑制しつつ、ロータから磁気センサに流れ込む磁束を抑制可能な構成を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るモータの概略構成を示す断面図である。
【
図2】
図2は、モータを軸方向の一方側から見た場合の図である。
【
図3】
図3は、モータにおけるシールド部材周辺の構成を拡大して示す断面図である。
【
図4】
図4は、シールド部材の構成を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、その他の実施形態に係るモータの
図3相当図である。
【
図7】
図7は、その他の実施形態に係るモータの
図3相当図である。
【
図8】
図8は、その他の実施形態に係るモータの
図3相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。なお、図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0014】
なお、以下の説明では、ロータの中心軸と平行な方向を「軸方向」、中心軸に直交する方向を「径方向」、中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。ただし、この方向の定義により、本発明に係るロータ及びモータの使用時の向きを限定する意図はない。
【0015】
また、以下の説明では、モータにおいて、軸方向のレゾルバ側(
図1の上側)を「軸方向の一方側」、軸方向のロータ側(
図1の下側)を「軸方向の他方側」、とそれぞれ称する。
【0016】
また、以下の説明において、“固定”、“接続”及び“取り付ける”等(以下、固定等)の表現は、部材同士が直接、固定等されている場合だけでなく、他の部材を介して固定等されている場合も含む。すなわち、以下の説明において、固定等の表現には、部材同士の直接的及び間接的な固定等の意味が含まれる。
【0017】
[実施形態1]
(全体構成)
図1に、本発明の実施形態1に係るモータ1の概略構成を示す。モータ1は、シャフト2と、ロータ3と、ステータ4と、レゾルバ5(磁気センサ、回転角センサ)と、ケーシング6と、シールド部材7とを備える。モータ1は、ステータ4に対して、ロータ3が中心軸P(軸線)を中心として回転する。本実施形態では、モータ1は、円筒状のステータ4内に、ロータ3が中心軸Pを中心として回転可能に配置された、いわゆるインナーロータ型のモータである。なお、モータは、柱状のステータの径方向外方に、円筒状のロータが中心軸を中心として回転可能に配置された、いわゆるアウターロータ型のモータであってもよい。
【0018】
ロータ3は、ロータコア31と、界磁用マグネット32とを備える。
【0019】
ロータコア31は、中心軸Pに沿って延びる円筒状である。ロータコア31は、所定の形状に形成された電磁鋼板を、厚み方向に複数枚、積層することによって構成されている。ロータコア31には、中心軸Pに沿って延びるシャフト2が軸方向に貫通している。これにより、ロータ3は、シャフト2とともに回転する。また、ロータコア31の外周面上には、周方向に所定の間隔で複数の界磁用マグネット32が配置されている。なお、界磁用マグネット32は、周方向に繋がるリングマグネットであっても良い。
【0020】
界磁用マグネット32は、ロータコア31における軸方向の一方の端部から他方の端部までの長さを有する略半円柱状のマグネットである。すなわち、界磁用マグネット32は、ロータコア31の軸方向の長さと同等の長さを有する。特に図示しないが、ロータ3の径方向において、界磁用マグネット32の外側の面は、N極またはS極の磁性を有する。前記外側の面の磁性がN極の界磁用マグネット32と、前記外側の面の磁性がS極の界磁用マグネット32とが、ロータコア31の周方向に交互に配置されている。
【0021】
ステータ4は、ロータ3に対して径方向に対向して配置されている。すなわち、ロータ3は、ステータ4の内方に中心軸Pを中心として回転可能に配置されている。ステータ4は、ステータコア41と、ステータコイル42とを備える。ステータコア41は、軸方向に延びる円筒状である。ステータコア41は、所定の形状に形成された電磁鋼板を、厚み方向に複数枚、積層することによって構成されている。特に図示しないが、ステータコア41は、径方向内方に延びる複数のティースを有する。ステータコイル42は、ステータコア41のティースに巻かれている。
【0022】
なお、本実施形態では、ステータコア41の軸方向の長さは、ロータ3の界磁用マグネット32の軸方向の長さよりも大きい。これにより、モータ1に生じるトルクリップルを低減できる。
【0023】
レゾルバ5は、シャフト2の回転、すなわちロータ3の回転を、磁気を利用して検出する回転検出センサである。レゾルバ5は、ロータ3に対して、軸方向の一方側に配置されている。レゾルバ5は、シャフト2とともに回転するレゾルバロータ51(センサ用ロータ)と、円筒状のレゾルバステータ55(センサ用ステータ)とを有する。
【0024】
レゾルバロータ51は、中心軸Pに沿って延びる円筒状である。レゾルバロータ51は、所定の形状に形成された電磁鋼板を、厚み方向に複数枚、積層することによって構成されている。レゾルバロータ51には、中心軸Pに沿って延びるシャフト2が軸方向に貫通した状態で固定されている。すなわち、レゾルバロータ51は、ロータ3に対して、軸方向の一方側でシャフト2の外周面上に固定されている。これにより、レゾルバロータ51は、シャフト2とともに回転可能である。
【0025】
特に図示しないが、レゾルバロータ51は、軸方向に直交する断面において、周方向に所定間隔で径方向に突出する複数の突極部を有する。
【0026】
レゾルバステータ55は、レゾルバロータ51に対して径方向に対向して配置されている。すなわち、レゾルバロータ51は、円筒状のレゾルバステータ55の内方に中心軸Pを中心として回転可能に配置されている。
【0027】
レゾルバステータ55は、レゾルバステータコア56と、レゾルバステータコイル57とを有する。レゾルバステータコイル57は、レゾルバステータコア56に巻かれている。なお、レゾルバステータ55の外径は、ロータ3の外径よりも小さい。よって、軸方向から見て、レゾルバ5は、ロータ3と重なる大きさを有する。
【0028】
レゾルバ5は、レゾルバステータコイル57に所定の電圧が印加されることにより、レゾルバステータコイル57が巻かれたレゾルバステータコア56に磁界が生じる。上述のようにレゾルバロータ51は複数の突極部を有するため、レゾルバロータ51がシャフト2とともに回転することにより、前記複数の突極部とレゾルバステータコア56との距離が変化する。これにより、レゾルバロータ51とレゾルバステータコア56との間に生じる磁界が変化する。レゾルバ5は、レゾルバロータ51がシャフト2とともに回転した際に、レゾルバロータ51とレゾルバステータコア56との間に生じる磁気的な変動を利用して、シャフト2の回転位置を検出する。
【0029】
ケーシング6は、シャフト2、ロータ3、ステータ4及びレゾルバ5が内部に収容された円柱状の部材である。ケーシング6の軸方向の一方側では、シャフト2が貫通して外方に突出している。ケーシング6は、軸方向に延びる有底円筒状のハウジング61と、板状のフランジ62と、ベアリングホルダ63とを有する。
【0030】
ハウジング61の側面は、ロータ3及びステータ4を収容可能な内径を有する。ハウジング61の底部には、シャフト2の軸方向の他方側を回転可能に支持する軸受21が配置されている。
【0031】
フランジ62は、ハウジング61の開口部を覆う板状の部材である。特に図示しないが、フランジ62は、ハウジング61の開口部に設けられた取付部とボルト等によって接続されることにより、ハウジング61に対して固定されている。
【0032】
フランジ62は、平面視で中央部分に挿通孔62aを有する。挿通孔62a内には、ベアリングホルダ63が配置されている。ベアリングホルダ63は、フランジ62に対して位置調整ボルト67によって接続されている。
【0033】
また、
図3に拡大して示すように、フランジ62は、挿通孔62aに面する周縁部62dに、軸方向の他方側に向かって延びる筒状のフランジ突出部62bを有する。フランジ突出部62bの内周面には、ベアリングホルダ63の外周面が接触している。フランジ突出部62bの径方向外側には、後述するシールド部材7の突出部74aが配置されている。これにより、フランジ62及びベアリングホルダ63に対して、すなわちケーシング6に対して、シールド部材7を位置決めすることができる。よって、後述するシールド部材7の凸部73を、ロータ3とレゾルバ5との間に精度良く配置することができる。
【0034】
なお、周縁部62dは、フランジ62において、挿通孔62aに面する部分であり、軸方向から見て挿通孔62aを囲む部分である。
【0035】
フランジ62には、ケーシング6の外側の面に、軸方向から見て、挿通孔62aを囲んで凹部62cが設けられている。すなわち、フランジ62は、ケーシング6の軸方向の一方側に位置する第一面62eと、第一面62eよりも軸方向の他方側に位置し、凹部62cの底面を構成する第二面62fと、を有する。凹部62c内には、ベアリングホルダ63の後述するホルダ突出部66が配置されている。
【0036】
フランジ62の第二面62fには、後述するシールド部材7を固定する固定ボルト68が貫通している。シールド部材7は、フランジ62におけるケーシング6の内側に固定されている。固定ボルト68の頭部68aは、ケーシング6の内方に位置する。固定ボルト68の軸部68bは、ケーシング6の内方に位置する頭部68aからケーシング6の外方に向かって延びている。すなわち、シールド部材7は、固定ボルト68によって、ケーシング6の内側からフランジ62に固定されている。なお、フランジ62のうち凹部62cが設けられている部分には、固定ボルト68の軸部68bと締結されるネジ穴が設けられている。
【0037】
ベアリングホルダ63は、フランジ62の挿通孔62aを覆い、且つ、軸受22及びレゾルバステータ55を保持する。軸受22は、シャフト2の軸方向の一方側を回転可能に支持する。
【0038】
詳しくは、ベアリングホルダ63は、ベアリング支持部64と、ホルダ延出部65と、ホルダ突出部66とを有する。ベアリング支持部64、ホルダ延出部65及びホルダ突出部66は、一体で形成されている。
【0039】
ベアリング支持部64は、平面視で中央部分に、軸受22が収容される穴部64aを有する円筒状である。穴部64aには、軸受22によって回転可能に支持されたシャフト2が挿通している。ベアリング支持部64の一部は、フランジ62の挿通孔62a内に位置する。よって、ベアリング支持部64の外周面の一部は、フランジ62のフランジ突出部62bの内周面に接触している。これにより、フランジ62に対してベアリングホルダ63を径方向に精度良く配置することができる。しかも、既述のようにフランジ62のフランジ突出部62bが軸方向の他方側に向かって延びていることにより、ベアリングホルダ63の軸方向の他方側の端部が径方向に変位することを抑制できる。
【0040】
ホルダ延出部65は、ベアリング支持部64から軸方向の他方側(ロータ側)に延びる円筒状である。ホルダ延出部65の内周面上には、レゾルバステータ55が固定されている。これにより、レゾルバステータ55は、軸方向において、軸受22とロータ3との間に位置する。ホルダ延出部65の外周面は、後述する円筒状のシールド部材7の内周面に接触している。
【0041】
これにより、ホルダ延出部65に対してシールド部材7を径方向に精度良く配置することができる。しかも、ベアリングホルダ63は、軸受22を保持しているため、シャフト2との同軸度が高い。上述のようにホルダ延出部65に対してシールド部材7を配置することにより、シャフト2との同軸度が高いホルダ延出部65を基準としてシールド部材7を配置することができる。これにより、シャフト2に対するシールド部材7の径方向の取付位置のずれを抑制できる。よって、ロータ3及びレゾルバロータ51に対して、シールド部材7を径方向に精度良く配置することができる。
【0042】
ホルダ突出部66は、ベアリング支持部64における軸方向の一方側の端部から径方向外側に突出している。ホルダ突出部66は、フランジ62に対して軸方向の一方側に配置されている。これにより、フランジ62に対して、ベアリングホルダ63を軸方向に精度良く配置することができる。
【0043】
図2は、モータ1を軸方向の一方側から見た図である。
図2に示すように、ホルダ突出部66は、位置調整ボルト67が挿通する位置調整ボルト用長穴66aを有する。位置調整ボルト用長穴66aは、軸方向から見て、中心軸Pを中心として周方向に延びている。位置調整ボルト用長穴66aは、位置調整ボルト67の数に応じて、ホルダ突出部66に複数、設けられている。
【0044】
また、ホルダ突出部66は、固定ボルト68の軸部68bが挿通する固定ボルト用長穴66bを有する。固定ボルト用長穴66bは、軸方向から見て、中心軸Pを中心として周方向に延びている。固定ボルト用長穴66bは、固定ボルト68の数に応じて、ホルダ突出部66に複数、設けられている。
【0045】
以上のように、ホルダ突出部66に、位置調整ボルト用長穴66a及び固定ボルト用長穴66bを設けることにより、フランジ62に対するベアリングホルダ63の周方向の位置を調整しつつベアリングホルダ63をフランジ62に対して固定することができる。これにより、シャフト2に固定されたレゾルバロータ51に対して、ベアリングホルダ63に固定されたレゾルバステータ55の周方向の位置を調整することができる。よって、レゾルバ5に寸法誤差等が生じた場合でも、レゾルバロータ51とレゾルバステータ55との位置調整を容易に行うことができる。
【0046】
(シールド部材)
次に、シールド部材7の構成について、
図3及び
図4を用いて以下で説明する。
図3は、シールド部材7の周辺の構成を拡大して示す断面図である。
図4は、シールド部材7の構成を示す斜視図である。
【0047】
シールド部材7は、鉄などの金属の磁性材料によって構成された有底円筒状の部材である。シールド部材7は、ベアリングホルダ63のホルダ延出部65の軸方向の他方側を覆っている。既述のように、ホルダ延出部65内には、レゾルバ5が収容されている。これにより、シールド部材7は、レゾルバ5とロータ3との間に位置する。
【0048】
上述のように、磁性材料によって構成されたシールド部材7を、レゾルバ5とロータ3との間に配置することにより、ロータ3及びステータ4で生じた磁束(漏れ磁束)を、シールド部材7によって吸収することができる。よって、シールド部材7は、ロータ3及びステータ4で発生した磁束がレゾルバ5に流れ込むことを抑制する。
【0049】
シールド部材7は、筒部71と、テーパ部71aと、底部72と、凸部73と、固定部74とを有する。筒部71、テーパ部71a、底部72、凸部73及び固定部74は、一体に形成されている。
【0050】
筒部71は、軸方向に延びる円筒状である。筒部71の内周面は、ベアリングホルダ63のホルダ延出部65の外周面に接触している。これにより、ベアリングホルダ63に対して、シールド部材7を径方向に精度良く配置することができる。
【0051】
テーパ部71aは、筒部71の軸方向の他方側の端部に位置し、先端に向かうほど外径が小さいテーパ状である。テーパ部71aは、筒部71と底部72との間に位置する。なお、テーパ部71aを設けずに、筒部71と底部72とを接続してもよい。
【0052】
既述のように、本実施形態では、ステータコア41の軸方向の長さは、ロータ3の界磁用マグネット32の軸方向の長さよりも大きい。しかも、本実施形態では、シールド部材7の筒部71の外径がステータ4の内径よりも大きく、且つ、シールド部材7の底部72が、ステータコイル42における軸方向の一方側の端部よりも軸方向の他方側に位置する。
【0053】
これに対し、上述のようにシールド部材7が筒部71と底部72との間にテーパ部71aを有することにより、シールド部材7がステータ4と接触することを防止できる。したがって、モータ1に生じるトルクリップルを低減可能なモータ1内に、ステータ4と干渉することなく、シールド部材7を配置することができる。
【0054】
なお、筒部71には、図示しない配線等が挿通する開口部71bが設けられている(
図4参照)。前記配線等は、レゾルバ5等とモータ1の外部の図示しない制御装置とを電気的に接続する。
【0055】
図3及び
図4に示すように、固定部74は、筒部71の軸方向の一方側の端部に設けられている。固定部74は、径方向外側且つ軸方向の一方側に向かって突出している。固定部74は、シールド部材7を軸方向から見て、筒部71に、中心軸Pを挟んで反対側に一対設けられている。固定部74は、第一突出部74aと、第二突出部74bと、取付部74cとを有する。第一突出部74aは、筒部71における軸方向の一方側の端部から、径方向外側に突出している。第二突出部74bは、第一突出部74aの径方向外側の端部から軸方向の一方側に延び、フランジ突出部62bよりも径方向外側に位置する。これにより、フランジ62を基準としてシールド部材7の周方向の位置決めを行うことができる。
【0056】
取付部74cは、第二突出部74bの軸方向の一方側の端部に位置し、該一方側の端部から径方向外側に向かって突出している。取付部74cは、軸方向から見て、径方向外側に位置する先端部分の形状が半円形状である。取付部74cは、取付穴74dを有する。この取付穴74d及びフランジ62のネジ穴に、固定ボルト68を締結させることにより、シールド部材7をフランジ62に固定することができる。
【0057】
底部72は、軸方向から見て、円形状である。また、底部72は、軸方向の他方側から見て、レゾルバ5の軸方向の端部側の少なくとも一部を覆っている。すなわち、底部72は、レゾルバステータ55とロータ3との間に位置する。これにより、ロータ3及びステータ4で生じた磁束がレゾルバ5に流れ込むことを抑制できる。
【0058】
底部72は、平面視で中央部分に貫通孔72aを有する。貫通孔72aには、シャフト2が挿通している。貫通孔72aの孔径は、レゾルバロータ51の外径よりも大きい。すなわち、貫通孔72aは、レゾルバロータ51が通過可能な孔径を有する。これにより、シャフト2上にレゾルバロータ51が固定された状態で、シャフト2及びレゾルバロータ51が貫通孔72aを通過することができる。よって、モータ1を組み立てる際に、フランジ62にシールド部材7が固定され且つベアリングホルダ63にレゾルバステータ55が固定された状態で、シャフト2上に固定されたレゾルバロータ51を、貫通孔72aを挿通させてレゾルバステータ55内に配置できる。したがって、モータ1の組み立て作業性を向上できる。
【0059】
ところで、上述のような貫通孔72aを底部72に設けた場合、貫通孔72aの面する周縁部72bとシャフト2の外周面との間には、レゾルバロータ51が挿通可能な隙間が形成される。すなわち、シールド部材7の貫通孔72aの孔径は、レゾルバロータ51の外径よりも大きい。そうすると、ロータ3の界磁用マグネット32で生じた磁束が、前記隙間からレゾルバ5に流れ込む可能性がある。
【0060】
これに対し、本実施形態では、シールド部材7は、底部72の貫通孔72aに面する周縁部72bに位置し、且つ、軸方向の他方側に向かって延びる凸部73を有する。これにより、ロータ3の界磁用マグネット32で生じた磁束を凸部73によって吸収することができる。よって、ロータ3の界磁用マグネット32で生じた磁束が、底部72の貫通孔72aを介してレゾルバ5に流れ込むことを抑制できる。
【0061】
凸部73は、底部72に対して直交する方向に延び、且つ、軸方向に直交する断面において、貫通孔72aを囲む円環状である。これにより、ロータ3の界磁用マグネット32で生じた磁束が貫通孔72a内に流れ込むことを、より抑制できる。
【0062】
また、本実施形態では、凸部73の先端部は、軸方向から見て、界磁用マグネット32の径方向の最外周部分(外周部)よりもロータ3の径方向内方に位置する。これにより、界磁用マグネット32で生じた磁束が凸部73によって吸収されるため、前記磁束が底部72の貫通孔72a内に流れ込むことを抑制できる。
【0063】
なお、凸部73の先端部は、軸方向から見て、界磁用マグネット32の径方向の最内周部分(内周部)よりもロータ3の径方向内方に位置することが好ましい。これにより、界磁用マグネット32で生じた磁束が底部72の貫通孔72a内に流れ込むことをより抑制できる。
【0064】
凸部73は、中心軸Pを含む断面において、略矩形状である。また、軸方向において、凸部73の突出長さは、シールド部材7の板厚と同等である。
【0065】
本実施形態に係るモータ1は、軸方向に延びるシャフト2と、シャフト2とともに回転可能であり、且つ、界磁用マグネット32を有するロータ3と、ロータ3に対して径方向に対向して配置されたステータ4と、ロータ3及びステータ4よりも軸方向の一方側に位置するレゾルバ5と、軸方向において、少なくとも一部がロータ3とレゾルバ5との間に位置するシールド部材7と、を備える。シールド部材7は、軸方向において、少なくとも一部がロータ3とレゾルバ5との間に位置し、且つ、シャフト2が貫通する貫通孔72aを有する底部72と、底部72から軸方向の他方側に延びる凸部73と、を有する。凸部73の先端部は、軸方向から見て、界磁用マグネット32の外周部よりも径方向内方に位置する。
【0066】
上述の構成により、ロータ3に設けられた界磁用マグネット32からレゾルバ5に磁束が流れることを抑制できる。
【0067】
具体的には、シールド部材7の底部72に、底部72から軸方向の他方に延び、且つ、軸方向から見て、ロータ3の径方向において、界磁用マグネット32の外周部よりも内方に位置する凸部73が設けられている。これにより、界磁用マグネット32の磁束は、シールド部材5の凸部73に吸収される。よって、レゾルバ5に界磁用マグネット32の磁束が流れ込むことを抑制できる。
【0068】
よって、シャフト2の軸方向において、界磁用マグネット32とレゾルバ5との距離を狭くした場合であっても、界磁用マグネット32からレゾルバ5に磁束が流れることを抑制できる。したがって、レゾルバ5の検出精度に対する界磁用マグネット32の磁束の影響を低減しつつ、モータ1の軸方向のサイズが大型化することを防止できる。
【0069】
凸部73の先端部は、軸方向から見て、界磁用マグネット32の内周部よりもロータ3の径方向内方に位置することが好ましい。これにより、ロータ3の界磁用マグネット32からレゾルバ5に磁束が流れることを、シールド部材7の底部72に設けられた凸部73によって、より抑制できる。すなわち、上述の構成により、界磁用マグネット32の磁束は、凸部73によって、より吸収される。これにより、シールド部材7の底部72に設けられた貫通孔72a内に、界磁用マグネット32から磁束が流れ込むことをより抑制できる。
【0070】
上述の構成では、凸部73は、シールド部材7の底部72における貫通孔72aに面する周縁部72bの一部に位置し、且つ、軸方向の他方側に向かって延びている。これにより、シールド部材7の底部72に設けられた貫通孔72a内に、ロータ3の界磁用マグネット32から磁束が流れ込むことをより抑制できる。よって、界磁用マグネット32からレゾルバ5に磁束が流れ込むことをより抑制できる。
【0071】
上述の構成では、凸部73は、軸方向に直交する断面において、貫通孔72aを囲む形状を有する。これにより、シールド部材7の底部72に設けられた貫通孔72a内に、ロータ3の界磁用マグネット32から磁束が流れ込むことをさらに抑制できる。
【0072】
上述の構成では、ロータ3は、ステータ4の径方向内方に位置する。レゾルバ5は、レゾルバロータ51と、レゾルバステータ55と、を有する。レゾルバロータ51は、レゾルバステータ55の径方向内方に位置する。ロータ3及びレゾルバロータ51は、シャフト2の径方向外方に、シャフト2とともに回転可能に固定されている。シールド部材7の貫通孔72aの孔径は、レゾルバロータ51の外径よりも大きい。
【0073】
上述のように、シャフト2の外周面上にロータ3及びレゾルバロータ51が固定されている構成では、ロータ3とレゾルバ5との間に位置するシールド部材7の貫通孔72aの孔径を、モータ1の組み立ての際にレゾルバロータ51が通過可能なように大きくする必要がある。しかしながら、シールド部材7の貫通孔72aを大きくした場合、界磁用マグネット32の磁束が貫通孔72aを通過しやすくなる。よって、界磁用マグネット32からレゾルバ5に磁束が流れ込みやすくなる。
【0074】
これに対し、上述の各構成のように、シールド部材7の底部72に凸部73を設けることにより、界磁用マグネット32からシールド部材7の貫通孔72a内に磁束が流れ込むことを抑制できる。よって、レゾルバ5の検出精度を低下させることなく、シールド部材7の貫通孔72aを大きくしてモータ1の組み立て作業性を向上できる。
【0075】
上述の構成では、モータ1は、少なくともロータ3及びステータ4を内部に収容し、開口部を有する有底筒状のハウジング61と、ハウジング61に固定され、且つ、シャフト2が挿通する挿通孔62aを有する平板状のフランジ62と、シャフト2を回転可能に支持する軸受22と、少なくとも一部がフランジ62の挿通孔62a内に位置し、且つ、軸受22が収容される穴部43aを有するベアリングホルダ63と、をさらに備える。レゾルバステータ55は、ベアリングホルダ63に固定されている。ベアリングホルダ63は、フランジ62に、シャフト2の中心軸Pを中心として周方向に位置調整可能に固定されている。
【0076】
具体的には、ベアリングホルダ63は、穴部64aを有し、且つ、一部がフランジ62の挿通孔62a内に位置するベアリング支持部64と、ベアリング支持部64から軸方向の他方側に延びる円筒状のホルダ延出部65と、ベアリング支持部64から径方向外側に向かって突出し、且つ、フランジ62に対して軸方向の一方側に位置するホルダ突出部66と、を有する。ホルダ延出部65には、内周面上にレゾルバステータ55が固定されている。ホルダ突出部66は、フランジ62に、シャフト2の中心軸Pを中心として周方向に位置調整可能に固定されている。
【0077】
レゾルバ5は、レゾルバロータ51とレゾルバステータ55とによって、ロータ3の回転角を検出する。そのため、ロータ3の回転角を精度良く検出できるように、レゾルバロータ51とレゾルバステータ55とを精度良く位置合わせする必要がある。
【0078】
これに対し、上述の構成により、寸法誤差等が生じた場合でも、レゾルバロータ51とレゾルバステータ55との位置合わせを行うことができる。よって、上述の構成により、モータ1に設けられるレゾルバ5の検出精度を向上することができる。
【0079】
上述の構成では、シールド部材7は、フランジ62またはベアリングホルダ63に固定されている。これにより、シールド部材7をケーシング6に対して固定することができる。よって、シールド部材7の底部72を、ロータ3とレゾルバ5との間に精度良く配置することができる。
【0080】
上述の構成では、シールド部材7は、底部72から軸方向の一方側に延び、且つ、ベアリングホルダ63の一部を覆う筒部71と、筒部71に設けられた固定部74と、を有する。固定部74は、フランジ62またはベアリングホルダ63に固定されている。
【0081】
これにより、シールド部材7をフランジ62またはベアリングホルダ63に固定することができる。しかも、シールド部材7の筒部71によって、ステータ4で生じた磁束がレゾルバ5に流れ込むことを抑制できる。よって、レゾルバ5にロータ3及びステータ4から磁束が流れ込んでレゾルバ5の検出精度が低下することを抑制できる。
【0082】
上述の構成では、フランジ62は、挿通孔62aに面するフランジ周縁部62dに、軸方向の他方側に延びるフランジ突出部62bを有する。固定部74は、筒部71における軸方向の一方側の端部から、径方向外側に突出する第一突出部74aと、第一突出部74aの径方向外側の端部から軸方向の一方側に延びる第二突出部74bと、第二突出部74bの軸方向の一方側の端部に位置し、且つ、フランジ62に固定される取付部74cとを有する。第二突出部74bは、フランジ突出部62bよりも径方向外側に位置する。
【0083】
これにより、フランジ62のフランジ突出部62bに対し、シールド部材7の第二突出部74bを位置決めすることができる。よって、フランジ62に対してシールド部材7を位置決めすることができる。これにより、シールド部材7を、レゾルバ5に対して所定の位置に位置付けることができるため、シールド部材7によって、ロータ3の界磁用マグネット32からレゾルバ5に磁束が流れることをより抑制できる。
【0084】
[実施形態2]
図5に、実施形態2に係るモータ101の断面図を示す。実施形態2に係るモータ101は、ハウジング61の開口部を覆う部材の構成が実施形態1に係るモータ1とは異なる。以下で、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる部分についてのみ説明する。
【0085】
図5に示すように、モータ101は、ハウジング61の開口部を覆う蓋部102を有する。蓋部102は、ハウジング61の開口部に、図示しないボルト等によって固定されている。蓋部102は、円盤状の部材であり、平面視で中央部分に、軸受22が収容される穴部102aを有する。
【0086】
蓋部102は、平面視で中央部分に穴部102aを有する板部103と、板部103から軸方向の他方側に延びる円筒状の延出部104とを有する。板部103は、ハウジング61の開口部に固定されている。板部103には、シールド部材7の取付部74cが固定ボルト68によって固定されている。延出部104の内周面には、レゾルバステータ55が固定されている。すなわち、延出部104の内部には、レゾルバ5が配置されている。
【0087】
シールド部材7は、内部にレゾルバ5が配置された延出部104を、軸方向の他方側から覆っている。シールド部材7の取付部74cは、固定ボルト68によって、蓋部102のハウジング61側に固定されている。なお、固定ボルト68も、実施形態1と同様、ケーシングの内側から、シールド部材7及び蓋部102に締結されている。
【0088】
本実施形態の蓋部102は、実施形態1におけるフランジ62及びベアリングホルダ63を一体化した部材である。よって、実施形態1の構成に比べて部品数を減らすことができるため、モータ101の組立作業性を向上できる。
【0089】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0090】
前記各実施形態では、モータ1はレゾルバ5を有する。しかしながら、モータ1は、レゾルバ以外の磁気センサを有していてもよい。すなわち、前記各実施形態のような凸部73を有するシールド部材7を、ロータと磁気センサとの間に配置してもよい。前記磁気センサとして、例えば、ホール式センサやMRセンサなどが挙げられる。
【0091】
前記各実施形態では、凸部73は、軸方向に直交する断面において、円環状である。しかしながら、凸部73は、前記断面において、貫通孔72aを囲む形状であれば、円環状以外の形状であってもよい。また、凸部73は、貫通孔72aを囲む形状ではなく、貫通孔72aに面する周縁部72bの一部のみに設けられていてもよい。
【0092】
前記各実施形態では、凸部73は、シールド部材7の底部72における貫通孔72aに面する周縁部72bに設けられている。しかしながら、凸部73は、底部72においてロータ3の界磁用マグネット32で生じた磁束を吸収可能な位置であれば、貫通孔72aに面する周縁部72b以外の位置に設けられていてもよい。例えば、凸部73は、シールド部材7の底部72において、外周部分と貫通孔72aとの間の位置に設けられていてもよい。
【0093】
前記各実施形態では、凸部73は、底部72に対して直交する方向に延びている。なお、凸部73は、底部72に対して凸部73が軸方向の他方側に向かって延びていれば、斜めに延びていてもよい。
【0094】
前記各実施形態では、シールド部材7の取付部74cは、固定ボルト68によってフランジ62に固定されている。しかしながら、取付部74cは、固定ボルト68以外の固定方法によって、フランジ62に固定されていてもよい。例えば、取付部74cは、接着剤や熱溶着、かしめなどの方法によって、フランジ62に固定されていてもよい。また、取付部74cは、フランジ62に直接、取り付けられていてもよいし、他の部材を介してフランジ62に取り付けられていてもよい。すなわち、シールド部材7は、フランジ62に直接的または間接的に固定されていればよい。さらに、シールド部材7は、フランジ62ではなく、ベアリングホルダ63に固定されていてもよい。
【0095】
前記各実施形態では、シールド部材7は、筒部71と、底部72と、凸部73と、固定部74とを有する。しかしながら、シールド部材は、固定部を有していなくてもよい。この場合には、
図6に示すように、筒部271をベアリングホルダ63のホルダ延出部65の外周面上に固定すればよい。
図6において、モータの構成は、シールド部材207が固定部を有さない以外、実施形態1の構成と同様である。なお、
図6において、符号272は底部であり、符号273は凸部であり、符号272aは貫通孔である。
【0096】
また、シールド部材は、筒部及び固定部を有していなくてもよい。この場合には、
図7に示すように、レゾルバ5を覆うようにベアリングホルダ363のホルダ延出部365を設けるとともに、底部372をホルダ延出部365の軸方向の他方側の端部に固定すればよい。
図7において、モータの構成は、シールド部材307が筒部及び固定部を有さない点及びホルダ延出部365の構成以外、実施形態1の構成と同様である。なお、
図7において、符号373は凸部であり、符号372aは貫通孔である。
【0097】
前記各実施形態では、シールド部材7の筒部71の内周面は、ベアリングホルダ63のホルダ延出部65の外周面に接触している。しかしながら、シールド部材7の筒部71とベアリングホルダ63のホルダ延出部65とが径方向に隙間をあけて対向していてもよい。具体的には、
図8に示すように、ベアリングホルダ463のホルダ延出部465の外周面上に、径方向外方に突出する突起部465aを設けてもよい。これにより、シールド部7の筒部71の内周面が突起部465aに接触するため、筒部71の内周面とホルダ延出部465の外周面との間には隙間465bが形成される。
【0098】
上述の構成により、ロータ3の界磁用マグネット32から、シールド部材7及びホルダ延出部465を介して、レゾルバステータ55に磁束が流れることをより抑制できる。すなわち、上述の構成のように、シールド部材7の筒部71とベアリングホルダ463のホルダ延出部465との間に径方向に隙間465bを設けることにより、隙間465bにおける径方向への磁束の流れが抑制される。これにより、ロータ3の界磁用マグネット32からレゾルバステータ55に磁束が流れることをより抑制できる。
【0099】
なお、上述の構成では、ホルダ延出部465に対してシールド部材7の筒部71を圧入することによって、ベアリングホルダ463に対してシールド部材7を固定することができる。したがって、前記各実施形態のような固定ボルト68による固定が不要になる。
【0100】
また、上述の構成に限らず、シールド部材とベアリングホルダのホルダ延出部との間に隙間が形成される構成であれば、シールド部材の内周面に突起部を設けてもよいし、シールド部材の内周面及びホルダ延出部の外周面の少なくとも一方に凹部を設けてもよい。さらに、シールド部材とベアリングホルダのホルダ延出部との間に別部材を配置することにより、シールド部材とベアリングホルダとの間に隙間を設けてもよい。
【0101】
前記各実施形態では、ベアリングホルダ63に位置調整ボルト用長穴66a及び固定ボルト用長穴66bが設けられている。これにより、フランジ62に対し、ベアリングホルダ63を、中心軸Pを中心に周方向に位置調整することができる。すなわち、ベアリングホルダ63に固定されたレゾルバステータ55を、レゾルバロータ51に対して周方向の位置を調整することができる。このようにフランジ62とベアリングホルダ63との位置調整を行う構成は、上述のような長穴を有する構成に限らず、他の構成であってもよい。例えば、ベアリングホルダに複数のボルト穴を設けて、ボルトの締結位置を変更するなど、フランジ62とベアリングホルダ63との位置を周方向に調整可能な構成であれば、どのような構成であってもよい。
【0102】
前記各実施形態では、ロータ3の界磁用マグネット32は、ロータコア31の外周面上に配置されている。しかしながら、界磁用マグネット32は、ロータコア31の内部に配置されていてもよい。また、界磁用マグネット32の形状は半円柱状に限らず、直方体であっても、多角柱であってもよい。なお、界磁用マグネット32は、ロータコア31の外周面上に界磁用マグネット32が配置された構成では、略半円柱状だが、上述のようにロータコア31の内部に界磁用マグネット32が配置された構成では、直方体状や多角柱状であってもよい。
【0103】
前記各実施形態では、モータ1,101は、円筒状のステータ3内に、円柱状のロータ2が回転可能に配置されたインナーロータ型のモータである。しかしながら、モータは、円筒状のロータ内に、円柱状のステータが配置されたアウターロータ型のモータであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、磁気センサを備えたモータに利用可能である。
【符号の説明】
【0105】
1、101 モータ
2 シャフト
3 ロータ
4 ステータ
5 レゾルバ(磁気センサ)
6 ケーシング
7、107、207、307 シールド部材
21、22 軸受
31 ロータコア
32 界磁用マグネット
41 ステータコア
42 ステータコイル
51 レゾルバロータ(センサ用ロータ)
55 レゾルバステータ(センサ用ステータ)
61 ハウジング
62 フランジ
62a 挿通孔
62b フランジ突出部
62c 凹部
63、363、463 ベアリングホルダ
64 ベアリング支持部
64a 穴部
65、365、465 ホルダ延出部
66 ホルダ突出部
66a 位置調整ボルト用長穴
66b 固定ボルト用長穴
67 位置調整ボルト
71、271 筒部
71a テーパ部
72、272、372 底部
72a、272a、372a 貫通孔
73、273、373 凸部
74 固定部
74a 第一突出部
74b 第二突出部
74c 取付部
74d 取付穴
102 蓋部
102a 穴部
103 板部
104 延出部
465a 突起部
465b 隙間
P 中心軸