(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】ポリマー、組成物、硬化物及び保護膜
(51)【国際特許分類】
C08F 220/36 20060101AFI20220308BHJP
C08F 220/18 20060101ALI20220308BHJP
C08F 220/30 20060101ALI20220308BHJP
C09D 133/16 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
C08F220/36
C08F220/18
C08F220/30
C09D133/16
(21)【出願番号】P 2019014991
(22)【出願日】2019-01-31
【審査請求日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】P 2018017967
(32)【優先日】2018-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮尾 佳明
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 麻友子
【審査官】工藤 友紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-238823(JP,A)
【文献】特開2015-124254(JP,A)
【文献】特開2000-128940(JP,A)
【文献】特開2004-143344(JP,A)
【文献】特開2008-274209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 220/00-220/70
C08L 33/00- 33/26
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成単位1
【化1】
(式中、R
1aは水素原子又はメチル基であり、R
1bはアルキレン基であり、R
1c~R
1iはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、又はニトロ基である。)
を10~51質量%
構成単位2
【化2】
(式中、R
2aは水素原子又はメチル基であり、R
2bはアルキル基である。)
を1~20質量%
構成単位3
【化3】
(式中、R
3a~R
3bはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基である。)
を40~80質量%
及び構成単位4
【化4】
(式中、R
4aは水素原子又はメチル基である。)
を0.1~2質量%含む、ポリマー。
【請求項2】
色調がガードナーカラー10以下である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のポリマーを含む、組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の組成物の硬化物。
【請求項5】
請求項4に記載の硬化物を含む、保護膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリマー、組成物、硬化物及び保護膜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、保護膜等の耐光性を向上させるため、樹脂組成物に低分子量の紫外線吸収剤を添加する手法が一般的に用いられてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、低分子量の紫外線吸収剤は硬化性部位を有せずに塗膜内に溶解している状態であったことから、硬化膜では経時や熱雰囲気によりブリードするという問題を抱えていた。さらに、用途により、タック及びブリードがなく、硬度、耐擦傷性、耐光性がいずれも良好である保護膜を製造することも求められていた。
【0004】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、紫外線吸収剤成分がブリードせず、タックフリーであり、かつ硬度、耐擦傷性、耐光性がいずれも良好である保護膜を製造するための物質及び手法を提供することとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の構成単位を有するポリマーにより、上記課題が解決されることを見出した。
【0006】
本開示により以下の項目が提供される。
(項目1)
構成単位1
【化5】
(式中、R
1aは水素原子又はメチル基であり、R
1bはアルキレン基であり、R
1c~R
1iはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、又はニトロ基である。)
を10~51質量%
構成単位2
【化6】
(式中、R
2aは水素原子又はメチル基であり、R
2bはアルキル基である。)
を1~20質量%
構成単位3
【化7】
(式中、R
3a~R
3bはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基である。)
を40~80質量%
及び構成単位4
【化8】
(式中、R
4aは水素原子又はメチル基である。)
を0.1~2質量%含む、ポリマー。
(項目2)
色調がガードナーカラー10以下である、上記項目に記載のポリマー。
(項目3)
上記項目のいずれか1項に記載のポリマーを含む、組成物。
(項目4)
上記項目に記載の組成物の硬化物。
(項目5)
上記項目に記載の硬化物を含む、保護膜。
【0007】
本開示において、上述した1又は複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得る。
【発明の効果】
【0008】
本発明のポリマーを用いることにより、紫外線吸収剤成分がブリードせず、タックフリーであり、かつ鉛筆硬度、耐擦傷性、耐光性がいずれも良好である保護膜を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の全体にわたり、各物性値、含有量等の数値の範囲は、適宜(例えば下記の各項目に記載の上限及び下限の値から選択して)設定され得る。具体的には、数値αについて、数値αの上限及び下限としてA1、A2、A3、A4(A1>A2>A3>A4とする)等が例示される場合、数値αの範囲は、A1以下、A2以下、A3以下、A2以上、A3以上、A4以上、A1~A2、A1~A3、A1~A4、A2~A3、A2~A4、A3~A4等が例示される。
【0010】
[ポリマー]
本開示は、構成単位1
【化9】
(式中、R
1aは水素原子又はメチル基であり、R
1bはアルキレン基であり、R
1c~R
1iはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基である。)
を10~51質量%
構成単位2
【化10】
(式中、R
2aは水素原子又はメチル基であり、R
2bはアルキル基である。)
を1~20質量%
構成単位3
【化11】
(式中、R
3a~R
3bはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基である。)
を40~80質量%
及び構成単位4
【化12】
(式中、R
4aは水素原子又はメチル基である。)
を0.1~2質量%含む、ポリマーを提供する。
【0011】
(構成単位1)
構成単位1は、モノマーとして、下記構造式
【化13】
(式中、R
1a’は水素原子又はメチル基であり、R
1b’はアルキレン基であり、R
1c’~R
1i ’はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、又はニトロ基である。)
を有する紫外線吸収部位含有モノマーを用いた場合にポリマー鎖に含まれる構成単位である。上記紫外線吸収部位含有モノマーは2種以上を併用できる。
【0012】
アルキル基は、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基等が例示される。
【0013】
直鎖アルキル基は、一般式:-CnH2n+1(nは1以上の整数)で表される。直鎖アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカメチル基等が例示される。
【0014】
分岐アルキル基は、直鎖アルキル基の1つ以上の水素原子がアルキル基によって置換された基である。分岐アルキル基は、i-プロピル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t--ブチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、t-ペンチル基、i-ヘキシル基等が例示される。
【0015】
シクロアルキル基は、環構造を有するアルキル基である。シクロアルキル基は、単環シクロアルキル基、架橋環シクロアルキル基、縮合環シクロアルキル基等が例示される。またシクロアルキル基は、1つ以上の水素原子が直鎖又は分岐アルキル基によって置換されていてもよい。
【0016】
本開示において、単環とは、炭素の共有結合により形成された内部に橋かけ構造を有しない環状構造を意味する。また、縮合環とは、2つ以上の単環が2つの原子を共有している(すなわち、それぞれの環の辺を互いに1つだけ共有(縮合)している)環状構造を意味する。架橋環とは、2つ以上の単環が3つ以上の原子を共有している環状構造を意味する。
【0017】
単環シクロアルキル基は、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、3,5,5-トリメチルシクロヘキシル基等が例示される。
【0018】
架橋環シクロアルキル基は、トリシクロデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等が例示される。
【0019】
縮合環シクロアルキル基は、ビシクロデシル基等が例示される。
【0020】
アルキレン基は、直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基、シクロアルキレン基等が例示される。
【0021】
直鎖アルキレン基は、一般式:-(CH2)n-(nは1以上の整数)で表される。直鎖アルキレン基は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基、n-オクチレン基、n-ノニレン基、n-デカメチレン基等が例示される。
【0022】
分岐アルキレン基は、直鎖アルキレン基の1つ以上の水素原子がアルキル基によって置換された基である。分岐アルキレン基は、ジエチルペンチレン基、トリメチルブチレン基、トリメチルペンチレン基、トリメチルヘキシレン基等が例示される。
【0023】
シクロアルキレン基は、単環シクロアルキレン基、架橋環シクロアルキレン基、縮合環シクロアルキレン基等が例示される。またシクロアルキレン基は、1つ以上の水素原子が直鎖又は分岐アルキル基によって置換されていてもよい。
【0024】
単環シクロアルキレン基は、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロデシレン基、3,5,5-トリメチルシクロヘキシレン基等が例示される。
【0025】
架橋環シクロアルキレン基は、トリシクロデシレン基、アダマンチレン基、ノルボルニレン基等が例示される。
【0026】
縮合環シクロアルキレン基は、ビシクロデシレン基等が例示される。
アルコキシ基は、-ORalkylで表される基(Ralkylはアルキル基を表す)である。
ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示される。
【0027】
上記紫外線吸収部位含有モノマーは、3-(2H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェネチル=(メタ)アクリレート、2-[2’-ヒドロキシ-5’-((メタ)アクリロイルオキシメチル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-t-ブチル-3’-((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]-5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]-5-シアノ-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]-t-ブチル-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]-5-ニトロ-2H-ベンゾトリアゾール等が例示される。
【0028】
ポリマーの全質量に対する構成単位1の含有量の上限及び下限は、51、50、45、40、37、30、20、15、10質量%等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーの全質量に対して、構成単位1を10~51質量%含むことが好ましい。
【0029】
ポリマーの全構成単位100モル%に対する構成単位1の含有量の上限及び下限は、37、35、30、20、10、9、7、6モル%等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーの全構成単位100モル%に対して、構成単位1を6~37モル%含むことが好ましい。
【0030】
(構成単位2)
構成単位2は、モノマーとして、下記構造式で表わされる
【化14】
(式中、R
2a’は水素原子又はメチル基であり、R
2b’はアルキル基である。)
(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いた場合にポリマー鎖に含まれる構成単位である。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは2種以上を併用できる。
【0031】
本開示において「(メタ)アクリル」は「アクリル及びメタクリルからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。同様に「(メタ)アクリレート」は「アクリレート及びメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。また「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル及びメタクリロイルからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0032】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、(メタ)アクリル酸直鎖アルキルエステル、(メタ)アクリル酸分岐アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル等が例示される。
【0033】
(メタ)アクリル酸直鎖アルキルエステルは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-へキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が例示される。
【0034】
(メタ)アクリル酸分岐アルキルエステルは、(メタ)アクリル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸i-ブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸i-オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等が例示される。
【0035】
(メタ)アクリル酸環状アルキルエステルは、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等が例示される。
【0036】
ポリマーの全質量に対する構成単位2の含有量の上限及び下限は、20、19、15、10、5、2、1質量%等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーの全質量に対して、構成単位2を1~20質量%含むことが好ましい。
【0037】
ポリマーの全構成単位100モル%に対する構成単位2の含有量の上限及び下限は、33、30、20、10、9、5、3、2モル%等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーの全構成単位100モル%に対して、構成単位2を2~33モル%含むことが好ましい。
【0038】
(構成単位3)
構成単位3は、モノマーとして、下記構造式で表わされる
【化15】
(式中、R
3a’は水素原子又はメチル基である。)
(メタ)アクリル酸グリシジルを用いた場合にポリマー鎖に含まれる構成単位と、下記構造式で表わされる
【化16】
(式中、R
3b’は水素原子又はメチル基である。)
(メタ)アクリル酸とが反応した場合にポリマー鎖に含まれる構成単位である。なお、アクリル酸グリシジルとメタクリル酸グリシジルは併用可能であるし、アクリル酸とメタクリル酸も併用可能である。
【0039】
ポリマーの全質量に対する構成単位3の含有量の上限及び下限は、80、75、70、60、50、45、40質量%等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーの全質量に対して、構成単位3を40~80質量%含むことが好ましい。
【0040】
ポリマーの全構成単位100モル%に対する構成単位3の含有量の上限は、75、70、60、50、45、44モル%等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーの全構成単位100モル%に対して、構成単位3を44~75モル%含むことが好ましい。
【0041】
(構成単位4)
構成単位4は、モノマーとして、下記構造式で表わされる
【化17】
(式中、R
4a’は水素原子又はメチル基である。)
(メタ)アクリル酸グリシジルを用いた場合にポリマー鎖に含まれる構成単位である。アクリル酸グリシジルとメタクリル酸グリシジルは併用できる。構成単位4は、構成単位3が生成される途中の構成単位である。構成単位3の量が多い程、ポリマーの硬化物の硬化性が高くなる。そのため、例えば高硬度の塗膜を製造する用途でポリマーを用いる場合には構成単位4が生じないようにすることが通常行われていた。言い換えると、従来、ポリマーに構成単位4を含むことは好まれなかった。
【0042】
ポリマーの全質量に対する構成単位4の含有量の上限及び下限は、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1質量%等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーの全質量に対して、構成単位4が0.1~2質量%含まれることが好ましい。
【0043】
ポリマーの全構成単位100モル%に対する構成単位4の含有量の上限及び下限は、3.0、2.9、2.5、2.0、1.5、1.0、0.5、0.2、0.1モル%等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーの全構成単位100モル%に対して、構成単位4を0.1~3.0モル%含むことが好ましい。
【0044】
(その他の構成単位)
上記ポリマーには、上記構成単位1~4以外の構成単位(「その他の構成単位」ともいう)を含んでいてもよい。その他の構成単位は、上述したモノマー以外のモノマー(「その他のモノマー」ともいう)に由来する構成単位等が例示される。その他のモノマーは、(メタ)アクリル酸、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリル酸アルキルアミン、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、芳香環構造含有ビニルモノマー等が例示される。
【0045】
ポリマーの全質量に対するその他の構成単位の含有量の上限及び下限は、10、9、7.5、5、2.5、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーの全質量に対して、その他の構成単位を0~10質量%を含むことが好ましい。
【0046】
ポリマーの全構成単位100モル%に対するその他の構成単位の含有量の上限及び下限は、10、9、7.5、5、2.5、1、0モル%等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーの全構成単位100モル%に対して、その他の構成単位を0~10モル%含むことが好ましい。
【0047】
(ポリマーに含まれる構成単位間の相対比)
ポリマーに含まれる構成単位1と構成単位2との質量比(ポリマーに含まれる構成単位1の合計質量/ポリマーに含まれる構成単位2の合計質量)の上限及び下限は、51、50、40、30、20、10、5、1、0.5等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーに含まれる構成単位1と構成単位2との質量比(ポリマーに含まれる構成単位1の合計質量/ポリマーに含まれる構成単位2の合計質量))は0.5~51が好ましい。
【0048】
ポリマーに含まれる構成単位1と構成単位2とのモル比(ポリマーに含まれる構成単位1の合計物質量/ポリマーに含まれる構成単位2の合計物質量)の上限及び下限は、19、18、15、10、9、7.5、5、2.5、1、0.5、0.2、0.1等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーに含まれる構成単位1と構成単位2とのモル比(ポリマーに含まれる構成単位1の合計物質量/ポリマーに含まれる構成単位2の合計物質量)は0.1~19が好ましい。
【0049】
ポリマーに含まれる構成単位1と構成単位3との質量比(ポリマーに含まれる構成単位1の合計質量/ポリマーに含まれる構成単位3の合計質量)の上限及び下限は、1.3、1.2、1.0、0.9、0.5、0.3、0.2、0.1等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーに含まれる構成単位1と構成単位3との質量比(ポリマーに含まれる構成単位1の合計質量/ポリマーに含まれる構成単位3の合計質量)は0.1~1.3が好ましい。
【0050】
ポリマーに含まれる構成単位1と構成単位3とのモル比(ポリマーに含まれる構成単位1の合計物質量/ポリマーに含まれる構成単位3の合計物質量)の上限及び下限は、0.85、0.80、0.70、0.60、0.50、0.40、0.30、0.20、0.10、0.08等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーに含まれる構成単位1と構成単位3とのモル比(ポリマーに含まれる構成単位1の合計物質量/ポリマーに含まれる構成単位3の合計物質量)は0.08~0.85が好ましい。
【0051】
ポリマーに含まれる構成単位1と構成単位4との質量比(ポリマーに含まれる構成単位1の合計質量/ポリマーに含まれる構成単位4の合計質量)の上限及び下限は、510、500、400、300、200、100、50、25、10、6、5等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーに含まれる構成単位1と構成単位4との質量比(ポリマーに含まれる構成単位1の合計質量/ポリマーに含まれる構成単位4の合計質量)は5~510が好ましい。
【0052】
ポリマーに含まれる構成単位1と構成単位4とのモル比(ポリマーに含まれる構成単位1の合計物質量/ポリマーに含まれる構成単位4の合計物質量)の上限及び下限は、370、350、300、200、100、50、25、10、5、3、2等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーに含まれる構成単位1と構成単位4とのモル比(ポリマーに含まれる構成単位1の合計物質量/ポリマーに含まれる構成単位4の合計物質量)は2~370が好ましい。
【0053】
ポリマーに含まれる構成単位2と構成単位3との質量比(ポリマーに含まれる構成単位2の合計質量/ポリマーに含まれる構成単位3の合計質量)の上限及び下限は、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05、0.02、0.01等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーに含まれる構成単位2と構成単位3との質量比(ポリマーに含まれる構成単位2の合計質量/ポリマーに含まれる構成単位3の合計質量)は0.01~0.5が好ましい。
【0054】
ポリマーに含まれる構成単位2と構成単位3とのモル比(ポリマーに含まれる構成単位2の合計物質量/ポリマーに含まれる構成単位3の合計物質量)の上限及び下限は、0.75、0.70、0.50、0.25、0.10、0.05、0.02等が例示される。1つの実施形態において、構成単位2と構成単位3とのモル比(構成単位2の物質量/構成単位3の物質量)は0.02~0.75が好ましい。
【0055】
ポリマーに含まれる構成単位2と構成単位4との質量比(ポリマーに含まれる構成単位2の合計質量/ポリマーに含まれる構成単位4の合計質量)の上限及び下限は、200、175、150、125、100、75、50、25、5、1、0.5等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーに含まれる構成単位2と構成単位4との質量比(ポリマーに含まれる構成単位2の合計質量/ポリマーに含まれる構成単位4の合計質量)は0.5~200が好ましい。
【0056】
ポリマーに含まれる構成単位2と構成単位4とのモル比(ポリマーに含まれる構成単位2の合計物質量/ポリマーに含まれる構成単位4の合計物質量)の上限及び下限は、330、300、200、100、50、25、10、5、1、0.6等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーに含まれる構成単位2と構成単位4とのモル比(ポリマーに含まれる構成単位2の合計物質量/ポリマーに含まれる構成単位4の合計物質量)は0.6~330が好ましい。
【0057】
ポリマーに含まれる構成単位3と構成単位4との質量比(ポリマーに含まれる構成単位3の合計質量/ポリマーに含まれる構成単位4の合計質量)の上限及び下限は、800、700、500、250、100、75、50、25、20等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーに含まれる構成単位3と構成単位4との質量比(ポリマーに含まれる構成単位3の合計質量/ポリマーに含まれる構成単位4の合計質量)は20~800が好ましい。
【0058】
ポリマーに含まれる構成単位3と構成単位4とのモル比(ポリマーに含まれる構成単位3の合計物質量/ポリマーに含まれる構成単位4の合計物質量)の上限及び下限は、750、700、500、250、100、50、20、15、14等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーに含まれる構成単位3と構成単位4とのモル比(ポリマーに含まれる構成単位3の合計物質量/ポリマーに含まれる構成単位4の合計物質量)は14~750が好ましい。
【0059】
ポリマーに含まれるその他の構成単位と構成単位1との質量比(ポリマーに含まれるその他の構成単位の合計質量/ポリマーに含まれる構成単位1の合計質量)の上限及び下限は、1、0.9、0.7、0.5、0.3、0.1、0等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーに含まれるその他の構成単位と構成単位1との質量比(ポリマーに含まれるその他の構成単位の合計質量/ポリマーに含まれる構成単位1の合計質量)は0~1が好ましい。
【0060】
ポリマーに含まれるその他の構成単位と構成単位1とのモル比(ポリマーに含まれるその他の構成単位の合計物質量/ポリマーに含まれる構成単位1の合計物質量)の上限及び下限は、2、1.9、1.5、1、0.9、0.5、0.1、0等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーに含まれるその他の構成単位と構成単位1とのモル比(ポリマーに含まれるその他の構成単位の合計物質量/ポリマーに含まれる構成単位1の合計物質量)は0~2が好ましい。
【0061】
ポリマーに含まれるその他の構成単位と構成単位2との質量比(ポリマーに含まれるその他の構成単位の合計質量/ポリマーに含まれる構成単位2の合計質量)の上限及び下限は、10、9、7.5、5、2.5、1、0等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーに含まれるその他の構成単位と構成単位2との質量比(ポリマーに含まれるその他の構成単位の合計質量/ポリマーに含まれる構成単位2の合計質量)は0~10が好ましい。
【0062】
ポリマーに含まれるその他の構成単位と構成単位2とのモル比(ポリマーに含まれるその他の構成単位の合計物質量/ポリマーに含まれる構成単位2の合計物質量)の上限及び下限は、5、4、3、2、1、0等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーに含まれるその他の構成単位と構成単位2とのモル比(ポリマーに含まれるその他の構成単位の合計物質量/ポリマーに含まれる構成単位2の合計物質量)は0~5が好ましい。
【0063】
ポリマーに含まれるその他の構成単位と構成単位3との質量比(ポリマーに含まれるその他の構成単位の合計質量/ポリマーに含まれる構成単位3の合計質量)の上限及び下限は、0.25、0.20、0.15、0.10、0.05、0等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーに含まれるその他の構成単位と構成単位3との質量比(ポリマーに含まれるその他の構成単位の合計質量/ポリマーに含まれる構成単位3の合計質量)は0~0.25が好ましい。
【0064】
ポリマーに含まれるその他の構成単位と構成単位3とのモル比(ポリマーに含まれるその他の構成単位の合計物質量/ポリマーに含まれる構成単位3の合計物質量)の上限及び下限は、0.25、0.20、0.10、0.05、0等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーに含まれるその他の構成単位と構成単位3とのモル比(ポリマーに含まれるその他の構成単位の合計物質量/ポリマーに含まれる構成単位3の合計物質量)は0~0.25が好ましい。
【0065】
ポリマーに含まれるその他の構成単位と構成単位4との質量比(ポリマーに含まれるその他の構成単位の合計質量/ポリマーに含まれる構成単位4の合計質量)の上限及び下限は、100、90、75、50、25、10、5、1、0等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーに含まれるその他の構成単位と構成単位4との質量比(ポリマーに含まれるその他の構成単位の合計質量/ポリマーに含まれる構成単位4の合計質量)は0~100が好ましい。
【0066】
ポリマーに含まれるその他の構成単位と構成単位4とのモル比(ポリマーに含まれるその他の構成単位の合計物質量/ポリマーに含まれる構成単位4の合計物質量)の上限及び下限は、100、90、75、50、25、10、5、1、0等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーに含まれるその他の構成単位と構成単位4とのモル比(ポリマーに含まれるその他の構成単位の合計物質量/ポリマーに含まれる構成単位4の合計物質量)は0~100が好ましい。
【0067】
(ポリマーの物性等)
1つの実施形態において、上記ポリマーの色調は、ガードナーカラー10以下(例えば、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、1以下、0)が好ましい。ガードナーカラーは、JIS K5400に準拠して測定され得る。
【0068】
上記ポリマーの重量平均分子量(Mw)の上限及び下限は、100000、90000、80000、70000、60000、50000、40000、30000、21000、20000、19000、18000、17000、15000、11000、10000等が例示される。1つの実施形態において、上記ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、10000~100000が好ましい。
【0069】
上記ポリマーの数平均分子量(Mn)の上限及び下限は、8000、7900、7500、7000、6500、6100、6000等が例示される。1つの実施形態において、上記ポリマーの数平均分子量(Mn)は、6000~8000が好ましい。
【0070】
重量平均分子量及び数平均分子量は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により適切な溶媒下で測定したポリスチレン換算値として求められる。
【0071】
ポリマーの分子量分布(Mw/Mn)の上限及び下限は、4.0、3.9、3.5、3.0、2.5、2.1、2.0等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーの分子量分布(Mw/Mn)は、2.0~4.0が好ましい。
【0072】
ポリマーの酸価の上限及び下限は、6.0、5.9、5.0、4.0、3.0、2.0、1.0、0.5、0.3、0.2mgKOH/g等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーの酸価は、0.2~6.0mgKOH/gが好ましい。酸価は、日本工業規格 JIS K 0070に準ずる方法により求められる。
【0073】
ポリマーのエポキシ当量の上限及び下限は、140000、125000、100000、90000、75000、50000、25000、10000、9000、8000、7500、7100g/eq等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーのエポキシ当量は、7100~140,000g/eqが好ましい。
【0074】
なお、ポリマーのエポキシ当量は、例えば下記の方法により測定される。試料15gを250mL密栓付フラスコに精評し、0.2N塩酸ジオキサン溶液を25mL加え、十分に混合して溶解させ、室温で15分間放置後、中性ブチセロ溶媒を25mL加え、0.1N KOHエタノール溶液で滴定し、式(1)より算出される値をエポキシ当量 g/eqとする。
式(1)
エポキシ当量(g/eq)=10000W/f(B-(A-C))
Wは秤量した試料のg数、fは0.1N KOHエタノール溶液のファクター、Bはブランクテストに要した0.1N KOHエタノール溶液の滴定量(mL)、Aは試料の滴定に要した0.1N KOHエタノール溶液の滴定量(mL)、Cは試料15gの酸価滴定に要した0.1N KOHエタノール溶液の滴定量(mL)を示す。
【0075】
1つの実施形態において、ポリマーの色差は、L*、a*、b*よりh=tan-1(b*/a*)にて算出されるhが115以下(例えば、110以下、100以下、90以下、80以下、70以下、60以下、50以下、40以下、30以下、20以下、10以下)が好ましい。ポリマーの色差は色差計(商品名:ZE 6000 日本電色工業(株)製)の透過法等により求められる。
【0076】
上記ポリマーを製造する方法は、紫外線吸収部位含有モノマー、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及び(メタ)アクリル酸グリシジル並びにその他のモノマーを重合させる工程(1)、工程(1)により得られたポリマーと(メタ)アクリル酸を反応させる工程(2)を含む方法等が例示される。
【0077】
[組成物]
本開示は、上記ポリマーを含む、組成物を提供する。上記組成物は、コーティング用途において好適に用いられ得る。1つの実施形態において、上記組成物は活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として用いられ得る。
【0078】
組成物の全質量に対する上記ポリマーの含有量の上限及び下限は、100、90、80、70、60、50、40、30、20、15、10質量%等が例示される。1つの実施形態において、組成物の全質量に対して、上記ポリマーを10~100質量%含むことが好ましい。
【0079】
1つの実施形態において、上記組成物には、光重合開始剤が含まれる。光重合開始剤は2種以上を併用してもよい。光重合開始剤は、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-シクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド、4-メチルベンゾフェノン等が例示される。
【0080】
なお、光重合開始剤は、紫外線硬化を行なう場合に使用されるが、電子線硬化をする場合には、必ずしも必要ではない。
【0081】
組成物の全質量に対する光重合開始剤の含有量の上限及び下限は、10、9、7.5、5、2.5、1、0.5、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、光重合開始剤は組成物の全質量に対し、0~10質量%程度含まれる。
【0082】
ポリマーの全質量に対する光重合開始剤の含有量の上限及び下限は、10、9、7.5、5、2.5、1、0.5、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記ポリマーの全質量に対し光重合開始剤は、0~10質量%程度含まれる。
【0083】
1つの実施形態において、上記組成物には希釈溶媒が含まれる。希釈溶媒は2種以上を併用してもよい。希釈溶媒は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、アセチルアセトン、トルエン、キシレン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n-ヘプタン、イソプロピルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1,4-ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が例示される。
【0084】
組成物の全質量に対する希釈溶媒の含有量の上限及び下限は、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、組成物の全質量に対し、希釈溶媒は、塗工時に適する粘度の観点から、0~80質量%程度等が例示される。
【0085】
ポリマーの全質量に対する希釈溶媒の含有量の上限及び下限は、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、ポリマーの全質量に対し、希釈溶媒は、0~80質量%程度含まれる。
【0086】
(添加剤)
上記組成物には、上記ポリマー、光重合開始剤、希釈溶媒以外の剤を添加剤として含み得る。添加剤は、硬化助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、表面調整剤、防汚染剤、無機フィラー、シランカップリング剤、コロイダルシリカ、顔料、帯電防止剤、金属酸化物微粒子分散体等が例示される。1つの実施形態において、添加剤の含有量は、組成物100質量部に対して、0.1~20質量部、10質量部未満、1質量部未満、5質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が例示され、別の実施形態において、上記ポリマー100質量部に対して、0.1~20質量部、10質量部未満、5質量部未満、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が例示される。
【0087】
[硬化物]
本開示は、上記組成物の硬化物を提供する。上記硬化物は、上記組成物に、紫外線、電子線、放射線等の活性エネルギー線を照射する工程を含む方法により得られる。
【0088】
紫外線光源は、キセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライド、LEDランプ等が例示される。紫外線量は硬化物の厚さに応じて適宜調整され得る。なお、光量や光源配置、搬送速度等は必要に応じて調整でき、例えば高圧水銀灯を使用する場合には、80~160W/cm程度のランプ出力を有するランプ1灯に対して搬送速度5~50m/分程度で硬化させるのが好ましい。一方、電子線の場合には、10~300kV程度の加速電圧を有する電子線加速装置にて、搬送速度5~50m/分程度で硬化させることが好ましい。
【0089】
[保護膜]
本開示は、上記硬化物を含む、保護膜を提供する。上記保護膜は、基材に塗布する工程、活性エネルギー線を照射して硬化させて積層させる工程を含む方法等により製造される。また活性エネルギー線を照射する工程は、塗布物の乾燥中及び/又は乾燥後に行われ得る。
【0090】
基材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等が例示される。
【0091】
塗布方法は、バーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が例示される。
【0092】
上記保護膜は、例えば、バリアフィルム、偏光板、加飾用フィルム、包装用フィルム等に用いられ得る。
【実施例】
【0093】
以下に、実施例及び比較例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、各例中、部及び%は特記しない限りすべて質量基準である。
【0094】
<実施例1>
撹拌機、温度計、還流冷却機、窒素流入口及び滴下ロートを取り付けた四つ口フラスコに、3-(2H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェネチル=メタクリレート(以下、UVA)11部、グリシジルメタクリレート(以下、GMA)49.8部、メチルメタクリレート(以下、MMA)15部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBN)3部、酢酸ブチル 100部を仕込んで撹拌し、窒素気流下で100℃まで昇温させ10時間反応させた。その後、アクリル酸(以下、AA) 24.2部、4-メトキシフェノール(以下、MQ)0.1部、反応触媒としてトリフェニルホスフィン 0.3部を仕込み、100℃8時間反応させることで、ポリマーを得た。
なお、重量平均分子量(GPCによるポリスチレン換算値)は4,600であった。重量平均分子量は、ゲルパーメーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製、商品名「HLC-8220」、カラム:東ソー(株)製、商品名「TSKgel superHZM-M」を3本直列に連結して測定した値を示す。
得られたポリマーに、光重合開始剤 1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名「イルガキュア184」BASF、以下、Irg184)5部加えて、塗液を作成し、厚さ188μmの片面易接着処理ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「A4100」東洋紡績株式会社)の易接着面にバーコーターで塗布し、80℃1分間乾燥させた後、紫外線光を600mJ/cm2照射し、膜厚5μmの硬化膜を得た。
【0095】
<実施例2~6、及び比較例1~3>
下記表に示す重合性モノマー、及び比率にて、同様に硬化膜を作成した。表中のモノマー、溶媒、重合開始剤、重合禁止剤、反応触媒、構成単位についての数値は質量基準のものである。なお、比較例2では、アクリル酸を付与する工程で増粘が激しく、ゲル化してしまった。
【0096】
【表1】
【表2】
EA:エチルアクリレート
SMA:ステアリルメタアクリレート
IBXA:イソボルニルアクリレート
DCP-A:ジシクロペンタニルメタクリレート
AA:アクリル酸
反応触媒:トリフェニルホスフィン
硬化剤A:1,6-ヘキサンジイソシアネートのビウレット変性トリイソシアネート
硬化剤B:サイメル300(三井サイテック社)
UV硬化条件:1 高圧水銀灯 600mJ/cm
2(360nm
-1時)
【0097】
各実施例及び比較例のハードコート剤を用い作成された硬化膜は、以下の項目、評価方法にて、試験を行った。
【0098】
(タックの評価)
塗膜表面を指触により、以下のように評価した。
なし=樹脂成分が指に付着しない。タックを感じない
有り=樹脂成分が指に付着する。タックを感じる
【0099】
(鉛筆硬度の評価)
JIS-K-5600の試験方法に則り評価した。
【0100】
(耐擦傷性の評価)
硬化膜表面にスチールウール(#0000)に100g/cm2荷重を掛けて、10往復ラビングを行い、傷の有無にて判断を行った。
【0101】
(ブリードの評価)
塗工品を80℃90%の恒温恒湿機に24時間静置し、塗膜表面の変化を目視で確認。以下の基準で評価した。
なし=試験前後で外観変化無し
有り=試験前後で外観変化有り
【0102】
(耐光性の評価)
メタルハライド光源にて照射(80mW/cm2)を12時間行った後、硬化膜のイエローインデックス(以下、YI)の変化度合により評価。試験後のYI値から、試験前のYI値を差し引いた数値をΔYIとし、2以下を耐光性良好として○、2より大きい場合を耐光性不十分として×と記載した。