IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マツダ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車両の後部車体構造 図1
  • 特許-車両の後部車体構造 図2
  • 特許-車両の後部車体構造 図3
  • 特許-車両の後部車体構造 図4
  • 特許-車両の後部車体構造 図5
  • 特許-車両の後部車体構造 図6
  • 特許-車両の後部車体構造 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】車両の後部車体構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20220308BHJP
   B62D 25/06 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
B62D25/08 K
B62D25/06 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019029371
(22)【出願日】2019-02-21
(65)【公開番号】P2020131998
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】清下 大介
(72)【発明者】
【氏名】中村 岳司
【審査官】姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-019219(JP,A)
【文献】特開2016-150702(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0170445(US,A1)
【文献】特開平07-300082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/08
B62D 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後方に向けて開口するリヤゲート開口の上縁に沿って車幅方向に延びるリヤヘッダと、車体側部にて車両前後方向に延びるルーフサイドレールとを備え、車体後部にて上記リヤヘッダの車幅方向外端と上記ルーフサイドレールの後端とが合流する合流部を構成する車両の後部車体構造であって、
上記合流部に、上記ルーフサイドレールに亘って延びるレール延在部と、上記リヤヘッダに亘って延びるヘッダ延在部とを備えて一体形成された補強部材を設け、
上記リヤヘッダは、上記リヤゲート開口の車幅方向略全体に亘って延びるリヤヘッダレインと、該リヤヘッダレインより後方かつ、車幅方向における、上記ヘッダ延在部に対応する部位に設けられたヒンジレインとを備え、
上記リヤヘッダレインと上記ヘッダ延在部との間に、車幅方向に沿って延びる第1閉断面を構成するとともに、上記ヒンジレインと上記ヘッダ延在部との間に、車幅方向に沿って延びる第2閉断面を構成し、
これら第1閉断面と第2閉断面とを車両前後方向に隣接して構成し、
上記レール延在部と上記ヘッダ延在部との間に、上記リヤヘッダと上記ルーフサイドレールとの相対変位を抑制する相対変位抑制部を設けた
車両の後部車体構造。
【請求項2】
上記合流部には、上記リヤゲート開口の側縁に沿って延びるリヤピラーが合流しており、
上記補強部材は、上記合流部から上記リヤピラーに亘って延びるピラー延在部が一体形成され、
上記リヤピラーに備えたリヤピラーアウタと、上記補強部材の少なくとも上記ピラー延在部との間に、上記リヤゲート開口の側縁に沿って延びるピラー閉断面が構成され、
車両後部の側部の車幅方向内側には、該側部との間に閉断面が構成されるサイドブレースが上下方向に延びており、
上記ピラー延在部の下端は、上記サイドブレースに連結された
請求項に記載の車両の後部車体構造。
【請求項3】
上記相対変位抑制部は、上記リヤヘッダと上記ルーフサイドレールとの上記合流部において、これらリヤヘッダとルーフサイドレールとに掛け渡すものであり、
上記ヘッダ延在部は、上記リヤヘッダの車幅方向における、上記合流部から少なくともリヤゲートヒンジ固定部またはその近傍まで延びている
請求項1又は2に記載の車両の後部車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車体後部にて後方に向けて開口するリヤゲート開口の上隅に、車体側部にて車両前後方向に延びるルーフサイドレールと、車体後部にて車幅方向に延びるリヤヘッダとが合流する合流部を構成する車両の後部車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、車体後部の後端部に、該車体後部に設けられたリヤセクション部から後方に向けて開口するリヤゲート開口を備えるミニバンやワゴンさらにはハッチバック等のボディタイプがある。
リヤゲート開口には、リヤゲートを開閉可能に備えており、該リヤゲートは、例えば、車体側のリヤゲート開口の上縁にヒンジを介して枢着された、はね上げ式のものが知られている。
【0003】
一般にリヤゲートは、サイドドア等と比して大型であるとともに、リヤウインドガラスを備えるとともにリヤワイパ用駆動機構、リヤコンビランプユニット、ラッチユニット等の各種部品が搭載されることから比較的高重量化し易い。このため、車両走行時(特に加減速時)には、リヤゲートの振動防止や車体後部の捩じれ防止の観点からリヤゲート開口の周囲を補強する必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1の後部車体構造は、リヤゲート開口の上縁に位置するリヤヘッダの車幅方向外側端部に車幅方向外側へ延びる延設部を備え、該延設部の上面に、車幅方向に延びる複数のビードを設けることで、リヤゲート開口の周囲のうち、特にリヤヘッダの車幅方向外端部を補強して車体後部の剛性を高めたものである。
【0005】
しかしながらリヤヘッダを集中的に補強すると、リヤヘッダと、該リヤヘッダの車幅方向外端に後端が結合するルーフサイドレールとの間、すなわちリヤヘッダとルーフサイドレールとの合流部に剛性差が生じ、これに起因して、上記合流部において両者に相対変位が生じ易くなることが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-19219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこでこの発明は、リヤヘッダとルーフサイドレールとの相対変位を抑制し、車体後部の剛性向上を図ることができる車両の後部車体構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、車両後方に向けて開口するリヤゲート開口の上縁に沿って車幅方向に延びるリヤヘッダと、車体側部にて車両前後方向に延びるルーフサイドレールとを備え、車体後部にて上記リヤヘッダの車幅方向外端と上記ルーフサイドレールの後端とが合流する合流部を構成する車両の後部車体構造であって、上記合流部に、上記ルーフサイドレールに亘って延びるレール延在部と、上記リヤヘッダに亘って延びるヘッダ延在部とを備えて一体形成された補強部材を設け、上記リヤヘッダは、上記リヤゲート開口の車幅方向略全体に亘って延びるリヤヘッダレインと、該リヤヘッダレインより後方かつ、車幅方向における、上記ヘッダ延在部に対応する部位に設けられたヒンジレインとを備え、上記リヤヘッダレインと上記ヘッダ延在部との間に、車幅方向に沿って延びる第1閉断面を構成するとともに、上記ヒンジレインと上記ヘッダ延在部との間に、車幅方向に沿って延びる第2閉断面を構成し、これら第1閉断面と第2閉断面とを車両前後方向に隣接して構成し、上記レール延在部と上記ヘッダ延在部との間に、上記リヤヘッダと上記ルーフサイドレールとの相対変位を抑制する相対変位抑制部を設けたものである。
【0009】
上記構成によれば、リヤゲート開口上部を補強するために、リヤヘッダに複数の閉断面を構成した場合に懸念される、リヤヘッダとルーフサイドレールとの間の剛性差に伴う両者の相対変位を抑制できる。
すなわち、リヤヘッダに複数の閉断面を形成した場合、リヤゲート上部の剛性が高まる一方、ルーフサイドレールは長手方向に比較的長尺に構成された構造体であるため、これら剛性差が大きな部材同士の結合領域(交差領域)に高い歪が集中しがちになる。このため、リヤヘッダとルーフサイドレールとの間の相対変位が生じ易くなるが、上記構成により、この相対変位を抑制できる。
【0010】
この発明の態様として、上記合流部には、上記リヤゲート開口の側縁に沿って延びるリヤピラーが合流しており、上記補強部材は、上記合流部から上記リヤピラーに亘って延びるピラー延在部が一体形成され、上記リヤピラーに備えたリヤピラーアウタと、上記補強部材の少なくとも上記ピラー延在部との間に、上記リヤゲート開口の側縁に沿って延びるピラー閉断面が構成され、車両後部の側部の車幅方向内側には、該側部との間に閉断面が構成されるサイドブレースが上下方向に延びており、上記ピラー延在部の下端は、上記サイドブレースに連結されたものである。
【0011】
上記構成によれば、ピラー延在部とレール延在部とに加えてリヤピラー延在部も含めて一体形成するとともに、上記リヤヘッダと上記ルーフサイドレールと上記リヤピラーとの各アウタパネルとの間に閉断面を構成する補強部材によって、リヤゲート開口の上隅部に位置する上記合流部を補強するため、車両走行時のリヤゲートの変位に対する車体後部の振動抑制効果をより一層高めることができる。
【0012】
この発明の態様として、上記相対変位抑制部は、上記リヤヘッダと上記ルーフサイドレールとの上記合流部において、これらリヤヘッダとルーフサイドレールとに掛け渡すものであり、上記ヘッダ延在部は、上記リヤヘッダの車幅方向における、上記合流部から少なくともリヤゲートヒンジ固定部またはその近傍まで延びたものである。
【0013】
上記構成によれば、車両走行時のリヤゲートの変位に対する車体後部の振動抑制効果を高めることができる。
すなわち、リヤヘッダには車両の走行時にリヤゲート振動に起因した振動が入力されるが、相対変位抑制部がリヤゲートヒンジ固定部またはその近傍付近まで延びているため、上記振動を抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、リヤヘッダとルーフサイドレールとの相対変位を抑制し、車体後部の剛性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態の車両の車体後部構造の要部を後方かつ右斜め上方から視た斜視図。
図2図1のA-A線矢視断面図。
図3】合流部およびその周辺を車室側から視るとともに一部断面により示した要部拡大図。
図4図2において合流部およびその周の拡大図。
図5図1中のC-C線矢視に対して上方かつ前方から視た斜視断面図。
図6図1中のC-C線矢視に対して下方から視た斜視断面図。
図7】補強部材を後方かつ右斜め上方から視た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図中、矢印Fは車両の前方を示し、矢印Rは車両の右側を示し、矢印Lは車両左側を示し、矢印Uは車両の上方を示すものとする。本実施形態の車両の後部車体構造は、左右略対称であるため、特に示す場合を除いて車両右側の構成を中心に説明する。なお、図中、特に示す場合を除いて車体外板としてのアウタパネルの図示は省略するものとする。また以下の説明においてレインフォースメントはレインと略記する。
【0017】
図1は、本実施形態の車両の後部車体構造の要部を後方右斜め上方から見た斜視図を示し、図2は、図1のA-A線矢視断面図を示す。
図1図2に示すように、本実施形態の車両は、ドアハッチバックタイプの自動車であり、車体後部に、該車体後部の内部に設けたリヤセクション部としての荷室から後方に向けて開口するリヤゲート開口1を備え、リヤゲート開口1には、はね上げ式のリヤゲート(図示省略)を備えている。
【0018】
車両の後部には、リヤゲート開口1の上縁に沿って車幅方向に延びるリヤヘッダ2と、リヤゲート開口1の左右各側縁に沿って下方かつ後方へ延びるリヤピラー3と、リヤゲート開口1の下縁に沿って車幅方向に延びるリヤエンドメンバ4(図2参照)とを備え、これらによって、リヤゲート開口1の周縁部を構成している。
【0019】
本実施形態の車両の上部は、ルーフパネル5と、ルーフパネルの両サイドに車両前後方向に沿って延びるルーフサイドレール6と、上記のリヤヘッダ2と、両サイドのルーフサイドレール6間を車両前後方向に離間して架設される複数のルーフレイン7を備えている。ルーフパネル5は、リヤヘッダ2も含めて上方から覆うように配設されている。これにより、ルーフパネル5の後部は、リヤヘッダ2のアウタパネルを兼ねている。
【0020】
図1図2に示すように、車両後部の側部には、上記リヤピラー3と中間ピラー12とホイールハウス13とサイドインナパネル14を備え、中間ピラー12とルーフサイドレール6の後部と、サイドインナパネル14の前縁上部とでクォーターウインド用の開口部16を構成している。
【0021】
中間ピラー12は、クォーターウインド用の開口部16の前辺に相当し、中間ピラーレイン122と中間ピラーインナ121とを備えている。中間ピラーレイン122の上端には、ルーフサイドレール6の後部まで上方に突出する上端フランジ部122aを備え、ルーフサイドレール6の後部(後述するルーフサイドレインリヤ部62b)にスポット溶接等で接合されている。
【0022】
ホイールハウス13は、後輪を収容可能に車両側面視で上方に突出するアーチ形状に形成されており、車幅方向内側へ張り出したホイールハウスインナ131と車幅方向外側へ張り出したホイールハウスアウタ132とを備えている。
【0023】
サイドインナパネル14は、荷室側壁を形成するパネルであり、下部がホイールハウスインナ131とホイールハウスアウタ132との間に挟み込まれるようにして配設されている。サイドインナパネル14は、サイドインナパネルロア141とサイドインナパネルアッパ142とを備えている。サイドインナパネルロア141は、ホイールハウス13の主に前後各側に配設され、サイドインナパネルアッパ142は、サイドインナパネルロア141およびホイールハウス13の主に上端からリヤピラー3およびクォーターウインド用の開口部16およびリヤピラー3にかけての領域に配設されている。
【0024】
図1に示すように、車両後部の側部の車幅方向外側には、サイドインナパネルアッパ142とホイールハウスアウタ132とのコーナー部において上下方向に延びて、これらを互いに連結するホイールハウスアウタレイン17が設けられている。ホイールハウスアウタレイン17は、水平断面が車幅方向内側に開放されたハット形状に形成され、その上部は、中間ピラーレイン122の下部に連結されている。
【0025】
図2に示すように、車両後部の側部の車幅方向内側には、前後各側に上下方向に延びるサイドブレース18,19が設けられ、これら前後各側のサイドブレース18,19は、共に水平断面が車幅方向外側に開放されたハット形状に形成されている。
【0026】
ここで、車体後部の下部には、リヤシート(図示省略)を設置するリヤシートパン100と荷室を形成するためのリヤフロア101と備え、これらリヤシートパン100およびリヤフロア101の両サイドに、車両前後方向に延びるリヤサイドフレーム102を備えている。また、これらリヤシートパン100およびリヤフロア101の境界部には、車幅方向に延びるクロスメンバ103が設けられている。
【0027】
前側のサイドブレース18は、クロスメンバ103の車幅方向外端からからホイールハウスインナ131を跨ぐように中間ピラー12の略下端部近傍に位置するサイドインナパネルアッパ142まで延びている。
【0028】
後側のサイドブレース19は、リヤサイドフレーム102からからホイールハウスインナ131およびサイドインナパネルアッパ142を跨ぐようにリヤピラー3の上部下縁まで延びている。
【0029】
図3は、合流部Cおよびその周辺を車室側から視るとともに一部断面により示した要部拡大図であり、図4は、図2において合流部Cおよびその周辺の拡大図である。なお、図3中のリヤヘッダ2は、図1中のB-B線にて切断している。
【0030】
図1図4に示すように、車体後部には、上記リヤヘッダ2の車幅方向外端と上記ルーフサイドレール6の後端とリヤピラー3の前上端が合流する合流部C(結合部)を構成している。
換言すると、車体後部におけるリヤゲート開口1の上隅(上縁と側縁とのコーナー部)には、リヤヘッダ2とルーフサイドレール6とリヤピラー3とが合流する合流部Cを構成している。
以下、これらリヤヘッダ2、ルーフサイドレール6およびリヤピラー3、並びに合流部Cについて詳述する。
【0031】
同図に示すように、リヤヘッダ2は、車体後部にて車幅方向に延び、下方(車体内側)に位置するリヤヘッダインナ21と、上方(車体外側)に位置するリヤヘッダレイン22と、ヒンジレイン23と、ヘッダ延在部42(図2図4参照)とを備えている。
【0032】
図3に示すように、リヤヘッダインナ21は、リヤゲート開口1の上縁において車幅方向に延びており、略水平に延びる前端フランジ部21aと、前端フランジ部21aの後端から後方程下方に傾斜して延びる縦壁部21bと、縦壁部21bの下端から後方へ略水平に延びる下壁部21cと、下壁部21cの後端から上方に延びる後端フランジ部21dとを有して車幅方向の直交が段状に形成している。なお、リヤヘッダインナ21の後端フランジ部21dには、ルーフパネル5の後端に設けられた後端フランジ部5aがスポット溶接等により接合されている(図1参照)。
【0033】
後述するが、リヤゲート開口1の上隅部分には、補強部材40に備えたヘッダ延在部42が配設けられており、このヘッダ延在部42は、その車幅方向内端がリヤヘッダインナ21の車幅方向外端と接続されている(図3参照)。
【0034】
リヤヘッダレイン22は、リヤゲート開口1の上縁の車幅方向の略全体に亘って延びており、図3図4に示すように、略水平に延びる前端フランジ部22aと、前端フランジ部22aの後端から後方へ略水平に延びる上壁部22bと、上壁部22bの後端から下方へ延びる縦壁部22cと、縦壁部22cの下端から後方へ略略水平に延びる後端フランジ部22dとを有して車幅方向の直交断面が段状(クランク状)に形成している。なお、当例では、リヤヘッダレイン22は、リヤヘッダレインセンタ部22Cとその左右両サイドに位置するリヤヘッダレインサイド部22Sとが車幅方向に一体に連結されている(図1参照)。
【0035】
そして、リヤヘッダインナ21とリヤヘッダレイン22との各前端フランジ部21a,22aをスポット溶接等で接合するとともに、リヤヘッダインナ21の下壁部21cの前端位置とリヤヘッダレイン22の後端フランジ部22dとをスポット溶接等で接合することで、リヤヘッダ2の前側部分(当例では前側略半分の部分)は、リヤヘッダインナ21と、その上方のリヤヘッダレイン22との間に車幅方向に延びる閉断面2sを構成している。
【0036】
図1に示すように、ヒンジレイン23は、リヤヘッダ2の車幅方向における、リヤヘッダインナ21よりも外側に有するヘッダ延在部42に対応する部位であって、リヤヘッダレイン22よりも後側部位に対応する部位に配設されている。
【0037】
さらに図1図2図4に示すように、ヒンジレイン23は、車幅方向の直交断面が上方に隆起する隆起部23aを有するハット形状に形成されている。この隆起部23aは、車幅方向に延びるビード状に形成され(図1参照)、内部が下方へ開口するように形成されている(図2図3参照)。さらに隆起部23aは、リヤヘッダレイン22に対して後方へ離間しつつも隣接して配設している(同図参照)。
【0038】
これにより、リヤヘッダレイン22と隆起部23aとは、図1に示すように、前後各側に隣接して並ぶようにして略平行に配設されている。ヒンジレイン23の隆起部23aの上面部には、リヤゲートの上端を枢支するリヤゲートヒンジ(図示省略)をボルト等で締結固定するヒンジ固定部23bが形成されている。
【0039】
リヤピラー3は図2に示すように、車体後部にて車両前後方向(上下方向)に延び、下方(車体内側)に位置するリヤピラーインナ31およびピラー延在部43と、図1に示すように、これらの上方(車体外側)に位置するリヤピラーレインる32とを備え、これらの間には、該リヤピラー3の延在方向に沿って延びる閉断面3s(図5図6参照)が構成されている。
【0040】
図2に示すように、リヤピラーインナ31は、リヤピラーインナ主部31aと、リヤピラーインナ主部31aの下(後)端から下(後)方向に延びるリヤピラーインナロア部31bとを備えている。
【0041】
後述するが、リヤゲート開口1の上隅部分には、補強部材40に備えたピラー延在部43が配設けられており、このピラー延在部43は、その下端がリヤピラーインナ主部31aの上端と接続されている(図2参照)。
【0042】
図1に示すように、リヤピラーレイン32は、リヤピラーレイン主部32aと、リヤピラーレイン主部32aの上(前)端から上(前)方向に延びるリヤピラーレインアッパ部32bと、リヤピラーレイン主部32aの下(後)端から下(後)方向に延びるリヤピラーレインロア部32cとを備えている。
【0043】
リヤピラーレインアッパ部32bは、リヤゲート開口1の上隅部分の湾曲形状(コーナー部の内縁形状)に対応して前方(上方)程車幅方向内側へ迂回するように湾曲形成している。さらにリヤピラーレインアッパ部32bは、その幅方向の中間部が周辺に対して上方に隆起した隆起部32b1が形成されている。この隆起部32b1は、リヤピラーレインアッパ部32bの延在方向における、後部を除く全体にビード状に延びており、内部に下方へ開口する内部空間3s’(図5図6参照)を有している。
【0044】
図1図2に示すように、ルーフサイドレール6は、車体側部にて車両前後方向に延び、車幅方向内側(車体内側)に位置するルーフサイドレールインナ61およびレール延在部44と、これらの車幅方向外側(車体外側)に位置するルーフサイドレールレイン62とを備え、これらの間には、該ルーフサイドレール6の延在方向に沿って延びる閉断面6s(図5図6参照)が構成されている。
【0045】
図2に示すように、ルーフサイドレールインナ61には、ルーフサイドレールインナ主部61aと、ルーフサイドレールインナ主部61aの後端から後方へ延びるルーフサイドレールインナリヤ部61bを備えている。
【0046】
後述するが、リヤゲート開口1の上隅部分には、補強部材40に備えたレール延在部44が配設けられており、このレール延在部44は、その前端がルーフサイドレールインナリヤ部61bの後端に接続されている(図2参照)。
【0047】
図1に示すように、ルーフサイドレールレイン62には、ルーフサイドレールレイン主部62aと、ルーフサイドレールインナ主部61aの後端から後方へ延びるルーフサイドレインリヤ部62bを備えている。
【0048】
図5図1中のC-C線矢視に対して上方かつ前方から視た斜視断面図を示し、図6図1中のC-C線矢視に対して下方から視た斜視断面図を示す。
図1図6に示すように、上述した合流部Cには、ジョイントレイン25および補強部材40を備えている。
【0049】
図1に示すように、ジョイントレイン25は、合流部Cの車両前後方向の略中間位置にて該合流部Cを前後各側に区分けするように車幅方向に延びており、図5図6に示すように、前縁フランジ部25aと前壁部25bと上壁部25cと後壁部25dと後縁フランジ部25eとで車両前後方向の直交断面が下方へ開放されたハット形状に一体形成されている。
【0050】
ジョイントレイン25は、前縁フランジ部25aおよび後縁フランジ部25eが補強部材40の上面に配設されている(図5図6参照)。これにより、合流部Cにおけるジョイントレイン25と補強部材40との間に、車幅方向に延びる閉断面25sが構成される。
【0051】
また図1図5図6の特に、図5図6に示すように、ルーフサイドレインリヤ部62bの後端62brは、ジョイントレイン25の上壁部25cに接合されている。一方同図に示すように、ジョイントレイン25の後縁フランジ部25eは、リヤピラーレインアッパ部32bの前端フランジ部32bfを介して上述したように補強部材40の上面に接合されている。これにより、ルーフサイドレール6とリヤピラー3とは、ジョイントレイン25を介して合流(結合)する。
【0052】
また図1に示すように、合流部Cにおけるジョイントレイン25よりも後側において、リヤピラーレインアッパ部32bの上端かつ車幅方向内端は、リヤヘッダ2の車両前後方向の後側部分(当例では後側略半分の部分)の車幅方向外端、すなわち、ヒンジレイン23の車幅方向外端に接続されている。
【0053】
これにより、ヒンジレイン23およびリヤピラーレインアッパ部32bの各隆起部23a,32b1は、連続して延びるビード状に形成されている。
【0054】
図7は補強部材40を後方かつ右斜め上方から視た斜視図を示す。
図2図7に示すように、補強部材40は、主にリヤヘッダレインサイド部22S、ヒンジレイン23、リヤピラーレインアッパ部32bおよびルーフサイドレインリヤ部62b等の下方に配設され、合流部Cからリヤヘッダ2、ルーフサイドレール6、リヤピラー3の夫々の側へ分岐するとともに、これらの付け根部分に亘って延びる3つ股形状に形成されている(図3図4図7参照)。
【0055】
詳しくは図7に示すように、補強部材40は、合流部Cの車両平面視でジョイントレイン25に対応する部位を含む本体部41と、ヘッダ延在部42とピラー延在部43とレール延在部44と相対変位抑制部45とを備えて一部材により一体に形成されている。
なお、図7中の太仮想線で示したラインは、隣接する延在部および本体部41の各境界部を示している。また図7中の符号41aは、クォーターウインド用の開口部16の上縁部を示しており(図2図4参照)、本体部41の一部に有して一体形成されている。
【0056】
図3に示すように、ヘッダ延在部42は、合流部Cからリヤヘッダ2の車幅方向外側部位に亘って延び、その車幅方向内端42aが、リヤヘッダインナ21の車幅方向の直交断面と略同じ断面形状に形成しており、リヤヘッダ2の一部を成すようにリヤヘッダインナ21の車幅方向外端21oにスポット溶接等により接合されている。これによりリヤヘッダ2は、リヤヘッダインナ21とその両サイドのヘッダ延在部42とが車幅方向に連続して延びている。
【0057】
さらに図1図2に示すように、ヘッダ延在部42の上方には、その前後各側にリヤヘッダレインサイド部22Sとヒンジレイン23とが配設されている。そして図2図4に示すように、ヘッダ延在部42は、リヤヘッダレインサイド部22Sとヒンジレイン23との夫々の間に車幅方向に延びる閉断面2s,23sが構成されるように、これらに対して接合されている。すなわち、これらリヤヘッダ2の両サイドには、車幅方向に延びる閉断面2s,23s(前側閉断面2sおよび後側閉断面23s)が前後各側に隣接して2列に配設されている(図1図2参照)。
【0058】
上述したリヤヘッダ2の両サイドに配設した2列の閉断面2s,23sのうち、前側閉断面2sは、リヤヘッダ2の閉断面2sの一部として車幅方向に連続して延びている。
【0059】
ここで図1に示すように、上述したジョイントレイン25は、合流部Cにおいて、リヤヘッダレイン22に対して車両前後方向に一致する部位に配設されており、ジョイントレイン25の車幅内端フランジ部25iは、リヤヘッダレイン22の車幅方向外縁22oに接合されている。
【0060】
さらに同図に示すように、ジョイントレイン25は、車幅方向内端から外端へ徐々に上壁部25cの高さが低くなるように形成されており、ジョイントレイン25の車幅外端フランジ部25oは、閉断面25sを車幅方向の外側から閉じるように、合流部Cに対して車幅方向外側で隣接するリヤインナパネルアッパの上端部142uに接合している。
【0061】
これにより図1図7に示すように、上述したリヤヘッダ2の両サイドに配設した2列の閉断面2s,23sのうち、前側閉断面2sは、ジョイントレイン25の内部の閉断面25sも含めてリヤヘッダ2からその両サイドの合流部Cにかけて車幅方向に連続して延びている。
【0062】
また図1に示すように、上述したリヤヘッダ2の両サイドに配設した2列の閉断面2s,23sのうち、後側閉断面23sは、その車幅方向内端がリヤヘッダ2の少なくともヒンジ固定部23bよりも車幅方向内側に位置し、前側閉断面2sと平行に車幅方向に沿って延びている。
【0063】
図2図5図6に示すように、ピラー延在部43は、合流部Cからリヤピラー3の上部に亘って延び、該ピラー延在部43の下端43dが、リヤピラーインナ主部31aの延在方向の直交断面と略同じ断面形状に形成しており、リヤピラー3の一部を成すようにリヤピラーインナ主部31aの上端31auにスポット溶接等により接合されている。
【0064】
さらにピラー延在部43は、その上方に配設されたリヤピラーレインアッパ部32bに対して車幅方向の内外各縁部が接合され、図5図6に示すように、これらピラー延在部43とリヤピラーレインアッパ部32bの間に前後方向(上下方向)に延びる閉断面(3s)が構成される。
【0065】
この閉断面(3s)は、リヤピラー3の延在方向に延びる閉断面3sの上部(前部)を構成するものであり、リヤピラー3の延在方向沿って連続して延びている(同図参照)。
【0066】
さらに図1図5図7に示すように、後側閉断面23sは、その車幅方向外端がリヤピラー3の延在方向に延びる隆起部32b1の内部空間3s’(詳しくは下方が開放され閉断面3sの一部として構成される空間)(図5図6参照)に連続して繋がっており、合流部Cにおいて徐々に前側閉断面2sに対して後方に離間するように(換言すると、車幅方向外側程後方に位置するように)湾曲して延びている(図1参照)。
【0067】
図2図6に示すように、レール延在部44は、合流部Cからルーフサイドレール6の後部に亘って延び、該レール延在部44の前端44fが、ルーフサイドレールインナリヤ部61bの後端61brと、車両前後方向の直交断面と略同じ断面形状に形成しており、ルーフサイドレール6の一部を成すようにルーフサイドレールインナリヤ部61bの後端61brにスポット溶接等により接合されている。
【0068】
さらに図1図4に示すように、レール延在部44は、その上方に配設されたルーフサイドレインリヤ部62bに対して車幅方向の内外各縁部が接合され、これらの間に車両前後方向に延びる閉断面(6s)が構成される(図5図6参照)。
【0069】
この閉断面(6s)は、ルーフサイドレール6の延在方向に延びる閉断面6sの後部を構成するものであり、ルーフサイドレール6の延在方向沿って連続して延びている。
【0070】
なお、閉断面6sは、その後端において、合流部Cにおいて車幅方向に延びる前側閉断面2s(ジョイントレイン25の閉断面25s)とジョイントレイン25の前壁部25bとによって仕切られている。
【0071】
図1図4図7に示すように、相対変位抑制部45は、ヘッダ延在部42とレール延在部44との相対変位を抑制するものであって、これら延在部42,44のコーナー部(内角部分)、すなわち合流部Cにおいて、これら延在部42,44に掛け渡すように一体に設けられている。すなわち、補強部材40は、相対変位抑制部45を含めて一部材により一体に形成されている。
【0072】
図7に示すように、相対変位抑制部45の後縁45rは、ヘッダ延在部42の前縁に沿って車幅方向に延び、ヘッダ延在部42の基端42o(車幅方向外端)側から車幅方向内方に向けて形成されている。一方、相対変位抑制部45の車幅方向外縁45oは、レール延在部44の車幅方向内縁に沿って車両前後方向に延び、レール延在部44の基端44r(後端)側から前方に向けて形成されている。
【0073】
さらに、相対変位抑制部45の車幅方向内端45iは、ヘッダ延在部42からレール延在部44にかけて前方程車幅方向外側へ位置するように車両平面視で傾斜状に形成されている。
【0074】
上述により相対変位抑制部45は、ヘッダ延在部42とレール延在部44とのコーナー部を隙間なく埋めるように車両平面視で略三角形の面状に形成されている。
【0075】
さらにまた、相対変位抑制部45の後縁45rは、その車幅方向内端45riが、図7中において、当該車幅方向内端45riを通過し、車両前後方向に直線状に延びる仮想線L1に示すように、ヒンジ固定部23bの車幅方向外端23brよりも車幅方向内側まで形成されている。これにより、上記ヘッダ延在部42は、上記リヤヘッダ2の車幅方向における、上記合流部Cから少なくともヒンジ固定部23bまで延びている。
【0076】
なお、当例のように、上記ヘッダ延在部42は、その車幅方向内端45riが上記リヤヘッダ2の車幅方向における、ヒンジ固定部23bの車幅方向外端23brよりも車幅方向内側に位置するように形成することが好ましいが、これに限らず、ヒンジ固定部23bの近傍まで形成したものも含む。
【0077】
また、相対変位抑制部45の車幅方向内縁の前端45fは、レール延在部44の前端44fまで形成されている。
【0078】
ところで、本実施形態の後部車体構造の車体組み立て工程においては、例えば、リヤヘッダ2、リヤピラー3およびルーフサイドレール6といった車体剛性部材を先に結合した後でアウタパネル等を組み立てて構成するものである。
【0079】
このため、車体をルーフ部やフロア部等のユニット単位に組み付けた後で、これらを一体化する車体組み立て方法と比して車体剛性部材の合流部において、これら車体剛性部材を強固に結合することができる。
【0080】
詳述すると、従来の車体組み立て工程においては、例えば、ルーフ部等を予めユニット単位でアッセンブリ化(モジュール化)した後、これらユニット同士を組み立てることが一般的であり、例えば、ルーフ部においては、予めルーフユニットとしてアッセンブリ化した後、ルーフ部に備えたリヤヘッダを合流部において車体側、すなわち、リヤピラーとルーフサイドレールに対して、スポット溶接等により複数箇所を接合する等して車体剛性部材同士を結合することが一般的な製造方法であった。
【0081】
しかしこのように後付で車体剛性部材同士を結合する従来の車体組み立て工程においては、例えば合流部において、リヤヘッダをリヤピラーとルーフサイドレールに対してスポット溶接等による結合時に、ルーフ部に備えたルーフパネル等のアウタパネルが邪魔になり、合流部において溶接の箇所や数が制限され、強固に結合するうえで不利になることが懸念される。
【0082】
これに対して本実施形態の後部車体構造の車体組み立て工程においては、上述したように、合流部Cにおいて、例えば、リヤヘッダ2をリヤピラー3とルーフサイドレール6に対して結合する等して先に骨組みを組んだ後からアウタパネル等を取り付けて構成する(つまり後載せする)ため、スポット溶接等による結合時にアウタパネル等との干渉によって溶接箇所や数が物理的に制限されることなく強固に結合することができる。
【0083】
上述したように、本実施形態の車両の後部車体構造は、車両後方に向けて開口するリヤゲート開口1の上縁に沿って車幅方向に延びるリヤヘッダ2と、車体側部にて車両前後方向に延びるルーフサイドレール6とを備え、車体後部にてリヤヘッダ2の車幅方向外端とルーフサイドレール6の後端とが合流する合流部Cを構成する車両の後部車体構造であって(図1図2参照)、合流部Cに、ルーフサイドレール6に亘って延びるレール延在部44と、リヤヘッダ2に亘って延びるヘッダ延在部42とを備えて一体形成された補強部材40を設け(図2図4参照)、リヤヘッダ2に備えたリヤヘッダアウタとしてのリヤヘッダレイン22およびヒンジレイン23と、補強部材40の少なくともヘッダ延在部42との間に、車幅方向に沿って延びる閉断面2s,23sを車両前後方向に(車幅方向の直交断面において)複数隣接して構成するとともに(図1図2図4参照)、ヘッダ延在部42とレール延在部44との間に、リヤヘッダ2とルーフサイドレール6との相対変位を抑制する相対変位抑制部45を設けたものである(図1図2図4図7参照)。
【0084】
上記構成によれば、リヤヘッダ2に備えたリヤヘッダレイン22およびヒンジレイン23と、補強部材40との間に、車幅方向に沿って延びる閉断面2s,23sを車両前後方向に複数隣接して構成したため、リヤゲート(図示省略)の支持剛性が要求されるリヤゲート開口1の上部に位置するリヤヘッダ2を補強することができる。
【0085】
一方、補強部材40は、ヘッダ延在部42とレール延在部44とを含めて一体形成するとともに、これら延在部42,44間に相対変位抑制部45を設けたため、上述したようにリヤヘッダ2を補強することにより、ルーフサイドレール6との間に剛性差が生じることに伴い懸念されるリヤヘッダ2とルーフサイドレール6との相対変位を抑制できる。
【0086】
詳述すると、上述したようにリヤヘッダ2のルーフサイドレール6との付け根部分(車幅方向外側部分)に、車幅方向に沿って延びる閉断面2s,23sを車両前後方向において複数隣接して構成する等して補強することにより該付け根部分を頑強にすると、ルーフサイドレール6のリヤヘッダ2との付け根部分(後部分)が相対的に脆弱化する。そうすると、リヤゲートからリヤヘッダ2に入力され、該リヤヘッダ2を車両前後方向に揺らすような荷重によって、リヤヘッダ2の付け根部分(車幅方向外側部分)がルーフサイドレール6の付け根部分(後部分)に対して相対移動することが懸念される。
【0087】
これに対して本実施形態では上述したように、補強部材40を、ヘッダ延在部42とレール延在部44とを含めて一体形成するとともに、これら延在部42,44間に相対変位抑制部45を設けたため、例えば、相対変位抑制部45によって、リヤヘッダ2とルーフサイドレール6との合流部Cにおける、両者の成す角の変動を効果的に抑制することができる。
【0088】
この発明の態様として、相対変位抑制部45は、リヤヘッダ2とルーフサイドレール6との合流部C(コーナー部)において、これらリヤヘッダ2とルーフサイドレール6とに掛け渡すものであり(図1図4図7参照)、ヘッダ延在部42は、リヤヘッダ2の車幅方向における、合流部Cから少なくともヒンジ固定部23b(リヤゲートヒンジ固定部)またはその近傍まで延びたものである(図2図4図7参照)。
【0089】
上記構成によれば、車両走行時のリヤゲートの変位に対する車体後部の振動抑制効果を高めることができる。
【0090】
詳述すると、上記構成によれば、リヤヘッダ2の車幅方向における、少なくともヒンジ固定部23bまたはその近傍には、ヘッダ延在部42との間に閉断面23sを構成することができるため、リヤゲートヒンジ(図示省略)が固定されるヒンジ固定部23b(ヒンジレイン23)を補強することができる。すなわち、リヤヘッダ2によるリヤゲートの支持剛性を高めることができる。
【0091】
さらに、ヘッダ延在部42を、リヤヘッダ2の車幅方向における、合流部Cから少なくともヒンジ固定部23bまたはその近傍まで設けることで、車両走行時にヒンジ固定部23bがリヤゲートからリヤゲートヒンジを介して受ける荷重を、ヒンジレイン23との間に構成される閉断面23sを介してヒンジ固定部23bから合流部Cまで効率よく伝達してルーフサイドレール6へと分散することができる。
【0092】
さらにまた、相対変位抑制部45を、リヤヘッダ2とルーフサイドレール6との合流部Cにおいて、これらリヤヘッダ2とルーフサイドレール6とに掛け渡すことで、ヒンジ固定部23bがリヤゲートから受ける荷重を、合流部Cを介さずに相対変位抑制部45を介してルーフサイドレール6へ伝達するルートも形成できるため、ルーフサイドレール6への荷重分散効率を高めることができる。
【0093】
従って、剛性差に起因するリヤヘッダ2とルーフサイドレール6との相対変位を抑制して、車両走行時のリヤゲートの変位に対して振動抑制効果を高めることができる。
【0094】
この発明の態様として、合流部Cには、リヤゲート開口1の側縁に沿って延びるリヤピラー3が合流しており(図1図4参照)、補強部材40は、合流部Cからリヤピラー3に亘って延びるピラー延在部43が一体形成され(図2図7参照)、リヤピラー3に備えたリヤピラーアウタとしてのリヤピラーレイン32(特にリヤピラーレインアッパ部32b)と、補強部材40の少なくともピラー延在部43との間に、リヤゲート開口1の側縁に沿って延びる閉断面3sが構成されたものである(図2図5図6参照)。
【0095】
上記構成によれば、ピラー延在部43とレール延在部44とに加えてピラー延在部43も含めて一体形成するとともに、リヤヘッダ2とリヤピラー3とルーフサイドレール6との各アウタパネル(リヤヘッダレイン22、ヒンジレイン23、リヤピラーレイン32、ルーフサイドレールレイン62)との間に閉断面2s,23s,3s,6sを構成した補強部材40によって、リヤゲート開口1の上隅部に位置する合流部Cを補強するため、車両走行時のリヤゲートの変位に対する車体後部の振動抑制効果をより一層高めることができる。
【0096】
この発明は、上述した実施例の構成のみに限定されるものではなく様々な実施形態で形成することができる。
【符号の説明】
【0097】
1…リヤゲート開口
2…リヤヘッダ
s…前側閉断面(第1閉断面)
23s…後側閉断面(第2閉断面)
3…リヤピラー
3s…リヤピラーアウタとピラー延在部との間の閉断面(ピラー閉断面)
6…ルーフサイドレール
13…ホイールハウス(車両後部の側部)
14…サイドインナパネル(車両後部の側部)
19…後側のサイドブレース(サイドブレース)
23b…ヒンジ固定部(リヤゲートヒンジ固定部)
22…リヤヘッダレイ
23…ヒンジレイ
32…リヤピラーレイン(リヤピラーアウタ)
40…補強部材
42…ヘッダ延在部
43…ピラー延在部
44…レール延在部
45…相対変位抑制部
C…合流部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7