(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】運転支援装置、運転支援方法
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20220308BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20220308BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20220308BHJP
B60R 1/00 20220101ALI20220308BHJP
【FI】
H04N7/18 J
G01C21/36
G08G1/16 C
B60R1/00
(21)【出願番号】P 2020126297
(22)【出願日】2020-07-27
(62)【分割の表示】P 2017057316の分割
【原出願日】2017-03-23
【審査請求日】2020-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(72)【発明者】
【氏名】糟谷 純一
【審査官】長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-049889(JP,A)
【文献】特開2011-116149(JP,A)
【文献】特開2010-069916(JP,A)
【文献】特開2011-35777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G01C 21/36
G08G 1/16
B60R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周辺を撮像した車両周辺画像を取得する画像取得部と、
自車両の舵角情報を取得する情報取得部と、
前記舵角情報に応じた自車両の予測進路を示すガイド線を前記車両周辺画像に重畳し、自車両の舵角の変化に応じて前記ガイド線の表示が変化する運転支援画像を生成する画像生成部と、
前記運転支援画像を表示装置に表示させる表示制御部と、を備え、
前記画像生成部は、自車両の舵角が第1舵角から第2舵角に変化する場合、前記第1舵角
から前記第2舵角
へ移動する前記ガイド線の残像効果を反映した中間ガイド画像を重畳した運転支援画像を生成することを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
自車両の周辺を撮像した車両周辺画像を取得するステップと、
自車両の舵角に応じた自車両の予測進路を示すガイド線を前記車両周辺画像に重畳し、
自車両の舵角の変化に応じて前記ガイド線の表示が変化する運転支援画像を生成するステップと、
前記運転支援画像を表示装置に表示させるステップと、を備え、
自車両の舵角が第1舵角から第2舵角に変化する場合、前記第1舵角
から前記第2舵角
へ移動する前記ガイド線の残像効果を反映した中間ガイド画像を重畳した運転支援画像を生成することを特徴とする、
運転支援装置が実行する運転支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置、運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、駐車時の運転を支援する目的で、車載カメラで撮像した車両周辺画像を運転者に提示する装置が知られている。例えば、車両後方を撮像した後方画像が表示されたり、複数の車載カメラからの画像を結合して生成される俯瞰画像が表示されたりする。また、車両周辺画像には、自車両の舵角に応じて自車両の走行予想軌跡などが重畳表示される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両周辺画像に重畳される走行予想軌跡は、自車両の舵角に応じて変化するように表示される。しかしながら、舵角の変化速度が大きい場合、走行予想軌跡の表示位置が急に変わることでガイド線の動きがスムーズでなくなったり、舵角の変化速度に追従できずに変更後の走行予想軌跡が遅れて表示されたりすることがある。走行予想軌跡がこのように表示される場合、運転者に違和感を与えてしまう。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、自車両の予測進路を示すガイド線をより見やすく表示する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の運転支援装置は、自車両の周辺を撮像した車両周辺画像を取得する画像取得部と、自車両の舵角情報を取得する情報取得部と、舵角情報に応じた自車両の予測進路を示すガイド線を車両周辺画像に重畳し、自車両の舵角の変化に応じてガイド線の表示が変化する運転支援画像を生成する画像生成部と、運転支援画像を表示装置に表示させる表示制御部と、を備える。画像生成部は、自車両の舵角が第1舵角から第2舵角に変化する場合、第1舵角及び第2舵角に基づいて、ガイド線の表示幅を変化させた中間ガイド画像を重畳した運転支援画像を生成する。
【0007】
本発明の別の態様は、運転支援方法である。この方法は、自車両の周辺を撮像した車両周辺画像を取得するステップと、自車両の舵角に応じた自車両の予測進路を示すガイド線を車両周辺画像に重畳し、自車両の舵角の変化に応じてガイド線の表示が変化する運転支援画像を生成するステップと、運転支援画像を表示装置に表示させるステップと、を備える。自車両の舵角が第1舵角から第2舵角に変化する場合、第1舵角及び第2舵角に基づいて、ガイド線の表示幅を変化させた中間ガイド画像を重畳した運転支援画像を生成する。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自車両の予測進路を示すガイド線をより見やすく表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】自車両を駐車スペースに駐車させる状況を模式的に示す図である。
【
図3】ガイド線画像を重畳した運転支援画像を模式的に示す図である。
【
図4】運転支援画像のアニメーション表示を模式的に示す図である。
【
図5】運転支援装置の構成を模式的に示す機能ブロック図である。
【
図6】画像保持部に用意される複数のガイド線画像を模式的に示す図である。
【
図7】
図7(a)~(f)は、変形例に係る中間ガイド線画像を示す図である。
【
図8】運転支援方法の流れを模式的に示すフローチャートである。
【
図9】変形例に係る運転支援画像の表示を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。かかる実施の形態に示す具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
図1は、自車両60を駐車スペース52に駐車させる状況を模式的に示す図であり、自車両60を後退させて駐車スペース52に進入させる様子を示す。駐車場50には、複数の駐車スペースが並んで配置されており、空いている駐車スペース52の両側には他車両62a,62bが駐車されている。また、駐車スペース52の前方にも他車両62cが駐車されている。このような状況下において、自車両60を運転する運転者は、自車の周辺に位置する他車両62a,62b,62cへの接触を防ぎながら、空いている駐車スペース52内に自車両60が収まるように運転操作をする必要がある。
【0013】
本実施の形態では、
図1に示すような駐車時の運転を支援するため、自車両の周辺を撮像した車両周辺画像を表示する。
図2は、車両周辺画像70を模式的に示す図であり、自車両60の周辺を上から見たときの俯瞰画像である。車両周辺画像70は、公知のアルゴリズムを用いて生成することができる。例えば、自車両60の前後左右の4箇所に設けられる複数のカメラのそれぞれが撮像する画像を取得して合成することにより、自車両60の周辺を上から見た俯瞰画像を生成できる。なお、自車両60の周辺の状況のうち車両周辺画像70に含まれる範囲は図示されるものに限られず、図示する範囲よりも広くてもよいし、狭くてもよい。
【0014】
図3は、ガイド線画像80を重畳した運転支援画像72を模式的に示す図である。運転支援画像72は、
図2に示すような車両周辺画像70にガイド線画像80を重畳することで生成できる。ガイド線画像80は、自車両60の予測進路を示す表示であり、自車両60の進行方向に沿って自車両60から離れる方向に延びる。自車両60が後退しようとする場合、自車両60の後方にガイド線画像80が表示される。一方、自車両60が前進しようとする場合、自車両60の前方にガイド線画像が表示される。
【0015】
ガイド線画像80は、自車両60の舵角に応じて表示が変化する。例えば、自車両60の舵角が0°であり、直進する状態であれば、自車両60の前後方向に延びるガイド線画像80が表示される。一方、自車両60の舵角が0°ではなく、旋回する状態であれば、自車両60の前後方向から曲がってカーブを描くようなガイド線画像80が表示される。自車両60の舵角が大きければ、カーブの曲率の大きい(つまり、曲率半径の小さい)ガイド線画像80が表示される。また、自車両60の舵角の方向、つまり、右旋回か左旋回かに応じて、旋回方向に対応したガイド線画像80が表示される。
【0016】
図4は、運転支援画像72a,72b,72cのアニメーション表示を模式的に示す図であり、自車両60の舵角を変更した場合の表示例を時系列で示す。
図4では、第1舵角から第1舵角より舵角の大きい第2舵角に変更された場合を示す。左側の運転支援画像72aには、第1舵角に対応する予測進路を示す第1ガイド線81が重畳されている。右側の運転支援画像72cには、第2舵角に対応する予測進路を示す第2ガイド線82が重畳されている。中央の運転支援画像72bには、第1ガイド線81から第2ガイド線82に変化する様子を示す中間ガイド画像83が重畳されている。
【0017】
中間ガイド画像83は、第1ガイド線81および第2ガイド線82と異なり、ガイド線の変化を強調する強調表示が含まれる。具体的には、ガイド線が移動する方向(
図4の左右方向A)の表示幅を大きくすることでガイド線の変化を強調しており、第1ガイド線81の表示幅w
Aや第2ガイド線82の表示幅w
Cよりも中間ガイド画像83の表示幅w
Bを大きくしている。なお、中間ガイド画像83の表示幅w
Bは、第1ガイド線81から第2ガイド線82へのガイド線の移動量に応じて決められ、例えば、ガイド線の移動量と同じか、ガイド線の移動量よりも小さく設定される。
【0018】
中間ガイド画像83に含まれる変化を強調する強調表示は、高速で移動する物体を視認するときの残像効果に基づく。一般に、高速で移動する物体を視認した場合、その移動範囲に物体の残像が見えることになり、視認位置の異なる複数の残像が重畳されたような見え方をする。複数の残像が重畳されて見えることから、視認対象の物体は移動方向の幅が静止時より大きく見える。本実施の形態では、このような残像効果を反映した中間ガイド画像83を用いることにより、舵角が急激に変化する場合であっても少ない描画フレーム数でガイド線の変化を自然に見せることができる。また、変化を滑らかに表示させようと描画フレーム数を増やすことで舵角変更に対してガイド線の表示変更が遅れてしまうのを防ぐことができる。
【0019】
図5は、運転支援装置10の構成を模式的に示す機能ブロック図である。図示する各機能ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックとして描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組み合わせによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0020】
運転支援装置10は、タッチディスプレイ12と、制御装置18とを備える。タッチディスプレイ12は、表示装置14と、入力装置16とを有する。表示装置14は、液晶ディスプレイ等の表示装置であり、車両のセンターコンソールやダッシュボードの位置に取り付けられる。入力装置16は、いわゆるタッチパネル式のセンサであり、表示装置14の表示領域に設けられる。なお、入力装置16はタッチ式ではなく、表示装置14の周辺に配置されるボタン等で構成されてもよい。また、表示装置14は、車両後方を視認するためのリアビューミラーの位置に設けられてもよいし、ヘッドアップディスプレイとして構成されてもよい。運転支援装置10は、タッチディスプレイ12を備えず、運転支援装置10とは別のディスプレイ等の表示装置の表示を制御してもよい。
【0021】
制御装置18は、自車両60の舵角に応じたガイド線を重畳させた運転支援画像72を生成し、生成した運転支援画像72を表示装置14に表示させる。制御装置18は、車載カメラ30、舵角センサ32、車速センサ34、シフトレバー36、及び、ナビゲーション装置38と接続されており、これらから運転支援画像72の生成に必要な情報を取得する。なお、CAN(Controller Area Network)を通じてこれらの情報を取得してもよい。
【0022】
制御装置18は、画像取得部20と、情報取得部22と、画像保持部24と、画像生成部26と、表示制御部28とを備える。
【0023】
画像取得部20は、車載カメラ30から自車両60の周辺を撮像した画像を取得する。画像取得部20は、例えば、自車両60の前後左右の4箇所に設けられる複数のカメラのそれぞれが撮像する画像を取得し、自車両60の周辺を上から見た俯瞰画像を生成可能にする。なお、画像取得部20が取得する画像は特に限られず、例えば自車両60の後方画像など、自車両60の周辺状況を示す車両周辺画像を生成するために必要な任意の画像を取得してよい。
【0024】
情報取得部22は、舵角センサ32から自車両60の舵角を示す情報を取得し、車速センサ34から自車両60の車速を示す情報を取得する。情報取得部22は、シフトレバー36からシフトレバー位置を示す情報を取得し、自車両60が前進または後退のいずれをするかについての情報を取得する。情報取得部22は、ナビゲーション装置38から地図上での自車両60の現在位置に関する情報を取得し、例えば、自車両60が幹線道路を走行中であるか、道幅の狭い生活道路を走行中であるか、または、駐車場などの敷地内を走行中であるか等についての情報を取得する。
【0025】
情報取得部22は、舵角センサ32から所定の時間間隔ごとに舵角情報を取得する。情報取得部22が舵角情報を取得する時間間隔は特に限定されないが、例えば、50ms、100ms、200msなどである。情報取得部22が定期的に舵角情報を取得することで、変更された舵角に応じたガイド線画像を逐次表示させることができる。
【0026】
画像保持部24は、車両周辺画像70に重畳させるガイド線画像80を保持する。画像保持部24は、自車両60の舵角に応じて形状の異なる複数のガイド線画像80を保持する。また、画像保持部24は、上述の中間ガイド画像83として用いる画像として、ガイド線の移動方向の表示幅が異なる複数のガイド線画像80を保持する。画像保持部24は、自車両60の舵角および舵角の変化速度に応じて表示態様を異ならせるために必要な種類のガイド線画像80を保持する。
【0027】
図6は、画像保持部24に用意される複数のガイド線画像80の例を示す図である。画像保持部24には、舵角φの大きさ(φ=1~5)および舵角差Δφの大きさ(Δφ=0~2)ごとに表示態様の異なるガイド線画像80が用意される。例えば、舵角差Δφ=0のガイド線画像80は、自車両60の舵角の変化がないときに用いられる画像であり、
図4の第1ガイド線81や第2ガイド線82に対応する。舵角差Δφ=1,2のガイド線画像80は、自車両60の舵角の変化時に用いられる画像であり、
図4の中間ガイド画像83に対応する。ガイド線画像80の移動方向Aの表示幅w
1,w
2,w
3は、舵角差Δφが大きいほど大きくなるように設定されている。ガイド線画像80の表示幅w
1,w
2,w
3は、例えば、ガイド線の線幅の1倍~5倍程度に設定され、例えば、1倍、2倍、3倍程度に設定される。
【0028】
図6では、説明を分かりやすくするため、自車両60の左右輪のそれぞれに対応する二本のガイド線のうち一方のガイド線のみを示しているが、ガイド線画像80には左右輪に対応する二本のガイド線が含まれていてもよい。また、舵角φの段階として5段階、舵角差Δφの段階として3段階が設定される場合を例示しているが、舵角φおよび舵角差Δφの設定はこれに限られず、ガイド線表示の解像度や表示品位等に応じて、任意の段数が設定されてもよい。
【0029】
図5に戻り、画像生成部26は、自車両60の舵角に応じたガイド線画像80を選択し、選択したガイド線画像80を車両周辺画像70に重畳して運転支援画像72を生成する。画像生成部26は、自車両60の舵角が第1舵角から第2舵角に変化する場合、第1舵角に対応する第1ガイド線81から第2舵角に対応する第2ガイド線82に変化する様子を示す中間ガイド画像83を重畳した運転支援画像72bを生成する。また、変更後の第2舵角に対応する第2ガイド線82を重畳した運転支援画像72cを生成する。
【0030】
画像生成部26は、情報取得部22が定期的に取得する舵角情報に基づいて、車両周辺画像70に重畳するガイド線画像80を決定する。画像生成部26は、舵角情報を取得する時間間隔の前後に取得した舵角情報が示す舵角の差に応じてガイド線画像80を決定する。画像生成部26は、連続して取得した舵角情報が示す舵角の差が大きいほど、中間ガイド画像83としてガイド線の変化がより強調された表示態様のガイド線画像を選択する。具体的には、舵角差が大きいほどガイド線の変化方向Aの表示幅が大きいガイド線画像を選択する。
【0031】
画像生成部26は、連続して取得する二つの舵角情報に基づいて中間ガイド画像83を決定する代わりに、連続して取得する三以上の舵角情報に基づいて中間ガイド画像83を決定してもよい。例えば、第1舵角情報および第2舵角情報が示す舵角差と、第2舵角情報および第3舵角情報が示す舵角差とに基づいて中間ガイド画像83を決定してもよい。その他、二以上の舵角情報に基づいて舵角の変化速度を算出し、算出された舵角の変化速度に基づいて中間ガイド画像83を決定してもよい。
【0032】
表示制御部28は、画像生成部26が生成した運転支援画像72a~72cを表示装置14に表示させる。表示制御部28は、自車両60の舵角が第1舵角から第2舵角に変化する場合、第1ガイド線81を重畳した運転支援画像72aと、中間ガイド画像83を重畳した運転支援画像72bと、第2ガイド線82を重畳した運転支援画像72cとを表示装置14に順に表示させる。これにより、第1ガイド線81から第2ガイド線82に表示が変化する様子をより自然に見せることができる。
【0033】
例えば、舵角情報が100msごとに取得され、表示制御部28が毎秒30フレームで描画する場合、次に舵角情報が取得されるまでに3フレーム分の画像が表示されることになる。3フレームの画像のみでガイド線の急激な変化を表そうとした場合、単純なガイド線のみの表示だけではガイド線の変化を滑らかに表示することが難しく、動きのスムーズさに欠けた表示となりうる。一方で、フレーム数を増やして滑らかに表示させようとすると、次の舵角情報に更新されるまでの間にガイド線の変更が追従できず、舵角変更に対してガイド線の表示が遅れてしまうことになる。本実施の形態によれば、ガイド線が急激に変化する場合に、その変化を強調するような表示態様を含む中間ガイド画像を用いることにより、描画フレーム数を増やさなくても滑らかに変化するように見えるガイド線表示を提供できる。
【0034】
なお、ガイド線の変化をより自然に見せるための中間ガイド画像83は、
図6に示されるような表示態様に限定されず、変化を強調するための強調表示を含む限りにおいて他の表示態様を用いることができる。
【0035】
図7(a)~(f)は、変形例に係る中間ガイド画像83a~83fを示す図である。
図7(a)に示す中間ガイド画像83aでは、第1ガイド線と第2ガイド線の間の領域を同じ色で塗りつぶしたような画像としている。図示する例では、ガイド線の移動方向Aの表示幅および画像の透過率を変えることで、ガイド線の変化の強調度を異ならせる。例えば、ガイド線の変化が大きい場合には、残像が薄く見えるような表示態様となるように画像の透過率が高く設定され、ガイド線の変化が小さい場合には、画像の透過率が低く設定される。透過率の代わりに、画像の表示色や輝度を変化させてもよく、透過率、表示色および輝度を組み合わせて変化させてもよい。この場合、ガイド線の変化が大きいほど表示色を薄くし、輝度を低くすることが好ましい。
【0036】
図7(b)に示す中間ガイド画像83bでは、ガイド線の移動方向Aにグラデーションを付すことにより、ガイド線の変化を強調する強調表示としている。図示する例では、中間ガイド画像83bの左側が相対的に濃く表示され、右側が相対的に薄く表示されるようにグラデーションが付されている。グラデーションの設定は、透過率、表示色および輝度の少なくとも一つを用いることができる。なお、グラデーションの設定は左右が逆であってもよく、例えば、中間ガイド画像の右側が相対的に濃く表示され、左側が相対的に薄く表示されるようにグラデーションが付されてもよい。その他、中間ガイド画像の中央が相対的に濃く表示され、左右方向の両端が相対的に薄く表示されるようにグラデーションが付されてもよい。さらには、これらグラデーションの付され方の異なる複数の中間ガイド画像を順に表示することで、ガイド線の変化の様子をより自然に見せるようにしてもよい。
【0037】
図7(c)に示す中間ガイド画像83cでは、ガイド線の移動方向Aの直交方向Bにグラデーションを付すことにより、ガイド線の変化を強調する強調表示としている。中間ガイド画像83cの上端はガイド線の変化によらずに固定される一方、中間ガイド画像83cの下端はガイド線の変化に応じて大きく移動方向Aに変化する。その結果、中間ガイド画像83cの上端は残像効果が小さい一方で、下端は残像効果が大きいと言える。
図7(c)では、そのような残像の見え方が実現されるように、中間ガイド画像83cの上端側が相対的に濃く表示され、中間ガイド画像83cの下端側が相対的に薄く表示されるようにグラデーションを付している。なお、さらなる変形例では、
図7(b)に示す移動方向Aのグラデーションと
図7(c)に示す直交方向Bのグラデーションとを組み合わせた中間ガイド線画像を用いてもよい。
【0038】
図7(d)に示す中間ガイド画像83dでは、ガイド線の移動方向Aにガイド線を複数並べて表示することによりガイド線の変化を強調している。また、移動方向Aに並べられるガイド線の本数を増やすことで、ガイド線の変化をより強調した表示としている。
図7(d)の中間ガイド画像83dを用いる場合には、舵角差に応じて第1ガイド線と第2ガイド線の間に配置されるガイド線の本数が異なる複数の中間ガイド画像が用意される。
【0039】
図7(e)および
図7(f)に示す中間ガイド画像83e,83fでは、さらに、ガイド線の移動方向Aに並べて表示される複数のガイド線の太さに差を付けることにより、ガイド線の変化を強調する表示としている。
図7(e)のように、画像の左側のガイド線を太くする一方で右側のガイド線を細くするようにしてもよいし、
図7(f)のように、画像の左側のガイド線を細くする一方で右側のガイド線を太くするようにしてもよい。その他、画像の中央のガイド線を太くし、画像の両端のガイド線を細くするようにしてもよい。これにより、上述の
図7(b)と同様の視覚効果が得られるようにできる。さらなる変形例では、複数のガイド線の太さを調整する代わりに、複数のガイド線の表示色、輝度および表示透過率に差を付けるようにしてもよい。また、複数のガイド線の太さ、表示色、輝度および透過率を組み合わせて変化させてもよい。
【0040】
図8は、運転支援方法の流れを模式的に示すフローチャートである。画像取得部20は、車載カメラ30から自車両60の車両周辺画像70を取得し(S10)、情報取得部22は、舵角センサ32から自車両60の舵角情報を取得する(S12)。画像生成部26は、舵角の変更量に応じて、ガイド線の変化を強調する表示態様が異なる複数の中間ガイド画像のいずれかを選択し(S14)、表示制御部28は、選択した中間ガイド画像を車両周辺画像上に重畳した運転支援画像を表示する(S16)。表示制御部28は、変更後の舵角に対応するガイド線を重畳した運転支援画像を表示する(S18)。運転支援装置10は、運転支援画像の表示期間にわたってS10~S18の処理を繰り返す。
【0041】
以上、本発明を上述の実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、各表示例に示す構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。
【0042】
上述の実施の形態では、俯瞰画像である車両周辺画像70の上にガイド線を重畳表示する場合について示した。変形例においては、自車両60の前方画像または後方画像上にガイド線を重畳表示する場合に上述の中間ガイド画像を用いてもよい。
【0043】
図9は、変形例に係る運転支援画像76の表示を模式的に示す図である。本図では、後方画像74の上に中間ガイド画像86が重畳されている。本図では、自車両60の予測進路を示す中間ガイド画像86に加えて、自車両60からの距離の目安を示すためのガイド線88が合わせて表示されている。本変形例においても、舵角の変更に応じてガイド線の表示位置が変化する場合に、その変化に応じた強調表示が含まれる中間ガイド画像86を重畳させることにより、ガイド線の変化をより自然に見せることができる。
【0044】
上述の実施の形態では、画像保持部24にあらかじめ用意される複数の中間ガイド画像83のいずれかを用いて運転支援画像を生成する場合を示した。変形例においては、事前に中間ガイド画像を用意しておくのではなく、舵角に応じてガイド線の軌跡を演算し、演算したガイド線の軌跡に基づく中間ガイド画像を都度生成するようにしてもよい。
【0045】
上述の実施の形態では、駐車時に示す運転支援画像について例示したが、運転支援画像が表示される場面は駐車時に限られない。駐車場などの狭い場所を運転する場合の他、道幅の狭い生活道路などを低速で運転する場合に上述の運転支援画像が表示されてもよい。画像生成部26は、車速センサ34、シフトレバー36およびナビゲーション装置38などからの情報に基づいて、運転支援画像を生成すべき状況であるかを判定し、運転支援画像が必要となる状況である場合に上述の運転支援画像を生成してもよい。
【符号の説明】
【0046】
10…運転支援装置、14…表示装置、20…画像取得部、22…情報取得部、24…画像保持部、26…画像生成部、28…表示制御部、60…自車両、70…車両周辺画像、72…運転支援画像、80…ガイド線画像、81…第1ガイド線、82…第2ガイド線、83…中間ガイド画像。