(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】オーディオ信号入出力装置、音響システム、オーディオ信号入出力方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20220308BHJP
H04R 3/12 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
H04R3/00
H04R3/12 A
(21)【出願番号】P 2020501747
(86)(22)【出願日】2019-02-18
(86)【国際出願番号】 JP2019005807
(87)【国際公開番号】W WO2019163702
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-08-11
(31)【優先権主張番号】P 2018031425
(32)【優先日】2018-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】壽山 明男
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/029946(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
H04R 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオ信号が入力または出力されるポートと、
前記ポートに対して割り当てるべきチャンネルの指定、または前記ポートに対して割り当てるべきバスの指定を受け付けるインタフェースと、
前記インタフェースで受け付けた前記指定に基づいて、前記チャンネルまたは前記バスに割り当てるための情報を管理装置に送信する送信部と、
を備え
、
前記ポートは、前記管理装置から、前記指定されたチャンネル又はバスに対応する前記オーディオ信号を入力する、または、前記管理装置に対して、前記指定されたチャンネル又はバスに対応する前記オーディオ信号を出力する、
オーディオ信号入出力装置。
【請求項2】
前記ポートに入力された前記オーディオ信号に基づいて放音するスピーカをさらに備えた、
請求項1に記載のオーディオ信号入出力装置。
【請求項3】
前記情報は、前記管理装置の所定の入力チャンネルに対して、前記ポートから入力される前記オーディオ信号を割り当てるための情報である、
請求項2に記載のオーディオ信号入出力装置。
【請求項4】
前記送信部は、ネットワークを介して前記情報を送信する、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のオーディオ信号入出力装置。
【請求項5】
オーディオ信号が入力または出力されるポートと、
前記ポートに対して割り当てるべきチャンネルの指定、または前記ポートに対して割り当てるべきバスの指定を受け付けるインタフェースと、
前記インタフェースで受け付けた前記指定に基づいて、前記チャンネルまたは前記バスに割り当てるための情報を管理装置に送信する送信部と、
を備えたオーディオ信号入出力装置と、
前記情報を受信する受信部と、
前記情報に基づいて、対応する前記チャンネルまたは前記バスに、前記ポートを割り当てる処理部と、
を備えた前記管理装置と、
を有
し、
前記ポートは、前記管理装置から、前記指定されたチャンネル又はバスに対応する前記オーディオ信号を入力する、または、前記管理装置に対して、前記指定されたチャンネル又はバスに対応する前記オーディオ信号を出力する、
音響システム。
【請求項6】
オーディオ信号が入力または出力されるポートに割り当てるべきチャンネルの指定、またはオーディオ信号が入力または出力されるポートに割り当てるべきバスの指定を受け付け、
受け付けた前記指定に基づいて、前記チャンネルまたは前記バスに割り当てるための情報を管理装置に送信
し、
前記ポートで、前記管理装置から、前記指定されたチャンネル又はバスに対応する前記オーディオ信号を入力する、または、前記管理装置に対して、前記指定されたチャンネル又はバスに対応する前記オーディオ信号を出力する、
オーディオ信号入出力方法。
【請求項7】
前記ポートに入力された前記オーディオ信号に基づいてスピーカから放音する、
請求項6に記載のオーディオ信号入出力方法。
【請求項8】
前記情報は、前記管理装置の所定の入力チャンネルに対して、前記ポートから入力される前記オーディオ信号を割り当てるための情報である、
請求項7に記載のオーディオ信号入出力方法。
【請求項9】
ネットワークを介して前記情報を前記管理装置に送信する、
請求項6乃至請求項8のいずれかに記載のオーディオ信号入出力方法。
【請求項10】
オーディオ信号が入力または出力されるポートに割り当てるべきチャンネルの指定、またはオーディオ信号が入力または出力されるポートに割り当てるべきバスの指定を受け付ける処理と、
受け付けた前記指定に基づいて、前記チャンネルまたは前記バスに割り当てるための情報を管理装置に送信する処理と、
前記ポートで、前記管理装置から、前記指定されたチャンネル又はバスに対応する前記オーディオ信号を入力する処理と、
前記管理装置に対して、前記指定されたチャンネル又はバスに対応する前記オーディオ信号を出力する処理と、
をオーディオ信号入出力装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の一実施形態は、オーディオ信号を入力するまたは出力するオーディオ信号入出力装置、該オーディオ信号入出力装置を備える音響システム、オーディオ信号入出力方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のスピーカおよびサーバからなる音響システムが開示されている。該複数のスピーカおよびサーバは、ネットワークを介して接続される。サーバは、複数のスピーカのそれぞれに対して、識別子を付与する。これにより、ユーザは、音響システムにおける複数のスピーカを識別することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、複数の機器のそれぞれに識別子が付与されたとしても、機器の数が増えると、ユーザは、どの機器にどのオーディオ信号を送信するか、またはどの機器からどのオーディオ信号を受信するか、設定することが困難である。
【0005】
そこで、この発明の一実施形態は、ユーザがどの機器にどのオーディオ信号を送信するか、またはどの機器からどのオーディオ信号を受信するか、容易に設定することができるオーディオ信号入出力装置、音響システム、オーディオ信号入出力方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
オーディオ信号入出力装置は、オーディオ信号を入力または出力するポートと、前記ポートに対して割り当てるべきチャンネルまたはバスの指定を受け付けるインタフェースと、前記インタフェースで受け付けた前記指定に基づいて、前記チャンネルまたは前記バスに割り当てるための情報を管理装置に送信する送信部と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
ユーザは、どの機器にどのオーディオ信号を送信するか、またはどの機器からどのオーディオ信号を受信するか、容易に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】音響システム1の構成を示すブロック図である。
【
図3B】信号処理部、オーディオI/O、およびCPUで行われる信号処理の等価ブロック図である。
【
図4】スピーカ13Aの表示器101、オーディオI/O103、およびネットワークI/F106の外観の一例を示す図である。
【
図5】スピーカ13Aの動作を示すフローチャートである。
【
図6】ミキサ11の動作を示すフローチャートである。
【
図7】変形例1に係るユーザI/F102の例を示す図である。
【
図8】変形例2に係るスピーカ13Aの表示器101、オーディオI/O103、およびネットワークI/F106の外観の一例を示す図である。
【
図9】変形例3に係るユーザI/F102の例を示す図である。
【
図10】変形例4に係るスピーカの構成を示すブロック図である。
【
図11】変形例4に係るスピーカ13Aの表示器101、オーディオI/O103、ネットワークI/F106、およびNFCI/F502の外観の一例を示す図である。
【
図12】変形例4に係るユーザ端末30の構成を示すブロック図である。
【
図13】変形例4に係るユーザ端末30の外観図である。
【
図14】変形例4に係るユーザ端末30およびNFCI/F502の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、音響システムの構成を示すブロック図である。音響システム1は、ミキサ11、複数のスイッチ(スイッチ12A、スイッチ12B)、および複数のスピーカ(スピーカ13A~スピーカ13F)を備えている。
【0010】
各機器は、ネットワークケーブルを介して接続されている。例えば、ミキサ11は、スイッチ12Aに接続されている。スイッチ12Aは、スイッチ12Bおよびスピーカ13Aに接続されている。スピーカ13A、スピーカ13B、およびスピーカ13Cは、デイジーチェーンで接続されている。また、スピーカ13D、スピーカ13E、およびスピーカ13Fも、デイジーチェーンで接続されている。ただし、本発明において、機器間の接続は、
図1に示す態様に限るものではない。また、各機器は、ネットワークで接続される必要はなく、例えばUSBケーブル、HDMI(登録商標)、またはMIDI等の通信線で接続されていてもよいし、デジタルオーディオケーブルで接続されていてもよい。
【0011】
ミキサ11は、本発明の管理装置の一例である。ミキサ11は、ネットワークで接続されている他の機器からオーディオ信号を入力する、または他の機器に対してオーディオ信号を出力する。スピーカ13A~スピーカ13Fは、本発明のオーディオ信号入出力装置の一例である。なお、管理装置は、ミキサ11に限らない。例えば、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置も、管理装置の一例である。また、オーディオの録音、編集、またはミキシング等の作業を行なうためのハードウェアまたはソフトウェアからなるシステム(DAW:Digital Audio Workstation)も、管理装置の一例である。
【0012】
図2は、スピーカ13Aの構成を示すブロック図である。なお、スピーカ13A~スピーカ13Fは、全て同じ構成を有するため、
図2では代表してスピーカ13Aの構成を示す。
【0013】
スピーカ13Aは、表示器101、ユーザインタフェース(I/F)102、オーディオインタフェース(I/F)103、フラッシュメモリ104、RAM105、ネットワークインタフェース(I/F)106、CPU107、D/A変換器108、アンプ109、およびスピーカユニット111を備えている。表示器101、ユーザインタフェース(I/F)102、オーディオインタフェース(I/F)103、フラッシュメモリ104、RAM105、ネットワークインタフェース(I/F)106、CPU107、およびD/A変換器108は、バス151に接続されている。アンプ109は、D/A変換器およびスピーカユニット111に接続されている。
【0014】
表示器101は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)またはOLED(Organic Light-Emitting Diode)等からなり、種々の情報を表示する。ユーザI/F102は、スイッチ、摘まみ、またはタッチパネル等からなり、ユーザの操作を受け付ける。ユーザI/F102がタッチパネルである場合、該ユーザI/F102は、表示器101とともに、GUI(Graphical User Interface以下略)を構成する。
【0015】
CPU107は、記憶媒体であるフラッシュメモリ104に記憶されているプログラムをRAM105に読み出して、所定の機能を実現する。例えば、CPU107は、表示器101にユーザの操作を受け付けるための画像を表示し、ユーザI/F102を介して、当該画像に対する選択操作等を受け付けることで、GUIを実現する。また、CPU107は、ユーザI/F102で受け付けた内容に基づいて、スピーカ13Aをミキサ11の特定のチャンネルまたはバスに割り当てるための情報を送信する。すなわち、CPU107は、ネットワークI/F106とともに送信部として機能する。また、CPU107は、ネットワークI/F106とともに受信部としても機能する。
【0016】
なお、CPU107が読み出すプログラムは、自装置内のフラッシュメモリ104に記憶されている必要はない。例えば、プログラムは、サーバ等の外部装置の記憶媒体に記憶されていてもよい。この場合、CPU107は、該サーバから都度プログラムをRAM105に読み出して実行すればよい。
【0017】
図3Aは、ミキサ11の構成を示すブロック図である。ミキサ11は、表示器201、ユーザI/F202、オーディオI/O(Input/Output)203、信号処理部(DSP)204、ネットワークI/F205、CPU206、フラッシュメモリ207、およびRAM208を備えている。これら構成は、バス171を介して接続されている。
【0018】
CPU206は、ミキサ11の動作を制御する制御部である。CPU206は、記憶媒体であるフラッシュメモリ207に記憶された所定のプログラムをRAM208に読み出して実行することにより各種の動作を行なう。例えば、CPU206は、ネットワークI/F205を介してスピーカ13Aから受信した情報に基づいて、特定のバスをスピーカ13Aに割り当てる。
【0019】
なお、CPU206が読み出すプログラムも、自装置内のフラッシュメモリ207に記憶されている必要はない。例えば、プログラムは、サーバ等の外部装置の記憶媒体に記憶されていてもよい。この場合、CPU206は、該サーバから都度プログラムをRAM208に読み出して実行すればよい。
【0020】
信号処理部204は、各種信号処理を行なうためのDSPから構成される。信号処理部204は、オーディオI/O203またはネットワークI/F205を介して入力されるオーディオ信号に、ミキシング、イコライジング、またはコンプレッシング等の信号処理を施す。信号処理部204は、信号処理後のオーディオ信号を、オーディオI/O203またはネットワークI/F205を介して、スピーカ13A等の他の機器に出力する。
【0021】
図3Bは、信号処理部204およびCPU206で実現される信号処理の機能的ブロック図である。
図3Bに示すように、信号処理は、機能的に、入力パッチ301、入力チャンネル302、第1バス(#1バス)303、および第2バス(#2バス)304によって行なわれる。
【0022】
入力チャンネル302は、一例として32チャンネルの信号処理機能を有する。入力チャンネル302の各チャンネルには、入力パッチ301からオーディオ信号が供給される。入力チャンネル302の各チャンネルは、入力されたオーディオ信号に対して、各種の信号処理を施す。また、入力チャンネル302の各チャンネルは、信号処理後のオーディオ信号を、後段のバス(#1バス303および#2バス304)へ送出する。
【0023】
#1バス303および#2バス304は、入力されるオーディオ信号をそれぞれミキシングして出力する。#1バス303は、一例としてSTL(ステレオL)バスおよびSTR(ステレオR)バスを有する。#2バス304は、一例としてAUX1からAUX16までの16個のバスを有する。
【0024】
各バスから出力されるオーディオ信号は、不図示の出力チャンネルで信号処理が施される。その後、信号処理を施されたオーディオ信号は、オーディオI/O203またはネットワークI/F205に供給される。ミキサ11は、各バスに割り当てられた機器に対してオーディオ信号を出力する。
【0025】
例えば、各機器には、IPアドレスが割り当てられている。CPU107は、各バスに割り当てられたIPアドレスに対して、オーディオ信号に係るデータを送信する。
図1の例では、ミキサ11は、ネットワークで接続されるスピーカ13A~スピーカ13Fに対してそれぞれに割り当てられたバスのオーディオ信号を出力する。
【0026】
そして、本実施形態の音響システム1では、ユーザが、スピーカ13A~スピーカ13Fを操作することで、バスの割り当てを指示することができる。
【0027】
図4は、スピーカ13Aの表示器101、オーディオI/O103、およびネットワークI/F106の外観の一例を示す図である。これら表示器101、オーディオI/O103、およびネットワークI/F106は、スピーカ13Aの筐体の一部に設けられている。なお、この例では、表示器101には、ユーザI/F102としてタッチパネルが積層されているため、GUIが構成されている。
【0028】
表示器101には、バスセットアップ画面が表示されている。バスセットアップ画面では、ミキサ11のバスであるAUX1~AUX2、STLおよびSTRが表示されている。ユーザは、表示されたバスから、スピーカ13Aに割り当てたい任意のバスを選択する。
【0029】
図5は、スピーカ13Aの動作を示すフローチャートである。CPU107は、まず、ユーザI/F102に対して操作がなされたか否かを確認する(S11)。ユーザI/F102が操作された場合(S11がYesの場合)、該ユーザI/F102は、自装置に対して割り当てるべきバスの指定を受け付ける(S12)。
【0030】
CPU107は、ユーザI/F102を介してバスの指定を受け付けると、当該バスに対応するIDをフラッシュメモリ104またはRAM105に記憶する(S13)。各バスには、それぞれ固有のIDが割り当てられている。例えば、AUX1には、ID:0001、AUX2には、ID:0002、等のように、それぞれのバスに数ビット程度の固有の情報が割り当てられている。
【0031】
その後、CPU107は、ネットワーク上の他の機器として例えばミキサ11からIDの問合せを受けたか否かを確認する(S14)。なお、S11の判断において、ユーザI/F102が操作されていない場合(S11がNoの場合)、CPU107は、S12およびS13の処理をスキップしてS14の判断に進む。
【0032】
CPU107は、他の機器から問合せがなければ(S14がNoであれば)、S11の判断に戻る。CPU107は、他の機器から問合せがあった場合(S14がYesの場合)、フラッシュメモリ104またはRAM105からIDを読み出して、管理装置であるミキサ11に送信する(S15)。これにより、ミキサ11にIDが通知される。なお、フラッシュメモリ104にIDを記憶している場合、スピーカ13Aは、電源を遮断した後に再起動しても、同じIDを送信することができる。そのため、例えばユーザがスピーカ13Aを異なる会場を移動させて、ネットワークの接続構成が変わった場合でも、同じIDが管理装置に送信されるため、バスの割り当てを再現することができる。
【0033】
図6は、ミキサ11の動作を示すフローチャートである。ミキサ11のCPU206は、定期的に
図6に示すフローチャートの動作を行う。ミキサ11は、ネットワーク内の機器に対して、IDの問合せを行う(S21)。この問合せは、ネットワーク内の全ての機器に対してブロードキャストで送信してもよい。また、CPU206は、ネットワークの各機器IPアドレスと、対応するIDとを対応付けてフラッシュメモリ207またはRAM208に記憶しておき、対応するIDが無い特定の機器のIPアドレスを検出した場合に、該特定の機器に対して個別に問合せを送信してもよい。
【0034】
ミキサ11は、上記問合せに対して、各機器からIDの通知を受ける(S22)。ミキサ11は、各機器から受信した通知に、新たなIDが含まれているか否かを判断する(S23)。ミキサ11は、フラッシュメモリ207またはRAM208に記憶されていない新たなIDを発見した場合には(S23がYesの場合)、該新たなIDに対応するバスと、該IDを送信した機器のIPアドレスとを対応付けてフラッシュメモリ207またはRAM208に記憶し、対応機器を割り当てる(s24)。ミキサ11は、新たなIDを発見しない場合には(S23がNoの場合)、動作を終える。
【0035】
以上のようにして、本実施形態の音響システム1では、スピーカ13A~スピーカ13Fの側から、バスの割り当てを指示することができる。これにより、ユーザは、設置された各スピーカから、必要な音を指定することができる。そのため、ユーザは、スピーカの設置数が多くなった場合でも、どのスピーカにどのバスのオーディオ信号を送信させるか、容易に設定することができる。つまり、ユーザは、スピーカを操作するだけで所望のバスの音を該スピーカから出力させることができる。例えば、あるスピーカが故障した場合等で、別のスピーカに置き換える必要がある場合に、ミキサの設定を変更する必要なく、置き換えた別のスピーカでバスの指定を行なうだけで、該スピーカに対して所望のバスからオーディオ信号を受信させることができる。
【0036】
次に、
図7は、変形例1に係るユーザI/F102の例を示す図である。
図7の変形例1において、スピーカ13Aは、筐体の一部に、ユーザI/F102、オーディオI/O103、およびネットワークI/F106が設けられている。この変形例1では、スピーカ13Aは、表示器101が設けられていない。無論、変形例1においても、スピーカ13Aは、信号レベル等を表示するための表示器を備えていてもよい。
【0037】
変形例1のスピーカ13Aは、ユーザI/F102の一例として、ディップスイッチを備えている。ディップスイッチの各切り替え点には、ミキサ11における複数のバスであるAUX1~AUX2、STLおよびSTRが表示されている。ユーザは、ディップスイッチを切り替えて、表示されたバスから、スピーカ13Aに割り当てたい任意のバスを選択することができる。このように、バスの指定は、GUIを用いた態様に限るものではない。
【0038】
次に、
図8は、変形例2に係るスピーカ13Aの表示器101、オーディオI/O103、およびネットワークI/F106の外観の一例を示す図である。この例では、表示器101には、ユーザI/F102としてタッチパネルが積層され、GUIが構成されている。
【0039】
変形例2に係るスピーカ13Aは、オーディオI/O103からオーディオ信号を入力する。スピーカ13Aは、オーディオI/O103から入力したオーディオ信号を、D/A変換器108に出力する。アンプ109は、D/A変換器108が出力するアナログオーディオ信号を増幅する。スピーカユニット111は、アンプ109が増幅したアナログオーディオ信号に基づいて音を出力する。これにより、スピーカ13Aは、オーディオI/O103に入力されたオーディオ信号に係る音をスピーカユニット111から出力する。
【0040】
そして、スピーカ13Aは、オーディオI/O103から入力したオーディオ信号を、ネットワークI/F106を介して、ミキサ11等の他装置に送信する。ミキサ11は、スピーカ13Aから該オーディオ信号を受信して、スピーカ13Aに割り当てられた所定の入力チャンネルに該オーディオ信号を入力する。
【0041】
変形例2に係るスピーカ13Aは、
図8に示す様に、表示器101に、ミキサ11における入力チャンネルの一覧が表示されている。ユーザは、表示された入力チャンネルから、スピーカ13Aに割り当てたい任意の入力チャンネルを選択する。スピーカ13AのCPU107は、入力チャンネルの指定を受け付けると、当該入力チャンネルに対応するIDをフラッシュメモリ104またはRAM105に記憶する。この場合も、各入力チャンネルには、それぞれ固有のIDが割り当てられている。例えば、入力チャンネル1(Ch1)には、ID:0101、入力チャンネル2(Ch2)には、ID:0102、等のように、それぞれの入力チャンネルに数ビット程度の固有の情報が割り当てられている。
【0042】
そして、CPU107は、管理装置であるミキサ11からIDの問合せを受けた場合に、フラッシュメモリ104またはRAM105からIDを読み出して、ミキサ11に送信する。これにより、ミキサ11にIDが通知される。ミキサ11は、フラッシュメモリ207またはRAM208に記憶されていない新たなIDを発見した場合には、該新たなIDに対応する入力チャンネルと、該IDを送信した機器のIPアドレスとを対応付けてフラッシュメモリ207またはRAM208に記憶し、該IDを送信した機器を所定の入力チャンネルに割り当てる。
【0043】
したがって、変形例2に係る音響システム1では、ユーザは、スピーカ13A~スピーカ13Fを用いて、ミキサ11における入力チャンネルの割り当てを指示することができる。すなわち、スピーカ13A~スピーカ13Fは、簡易的にミキサ11の入力パッチ301の機能を有する。これにより、スピーカ13A~スピーカ13Fは、オーディオI/O103に接続した楽器等の音を確認するためのモニタスピーカとして利用することができるとともに、ミキサ11に対して当該楽器等の音に係るオーディオ信号を送信するI/O機器として利用することもできる。例えば、スピーカ13AのオーディオI/O103にマイクを接続すれば、ネットワークを介してミキサ11に該マイクのオーディオ信号を送信することができる。この様に、ユーザは、ネットワークI/Fを備えるI/O機器としてスピーカ13Aを利用することができる。
【0044】
なお、この様な入力チャンネル側の割り当てを行なう場合であっても、
図9の変形例3に示す様に、ディップスイッチ等のその他のハードウェアインタフェースを用いてユーザI/F102を構成してもよい。
図9の変形例3のスピーカ13Aは、ユーザI/F102の一例として、入力ポート用のディップスイッチと、出力ポート用のディップスイッチと、を備えている。出力ポート用のディップスイッチの各切り替え点には、ミキサ11における複数のバスであるAUX1~AUX2、STLおよびSTRが表示されている。入力ポート用のディップスイッチの各切り替え点には、ミキサ11における複数の入力チャンネルであるCh1~Ch32が表示されている。ユーザは、ディップスイッチを切り替えて、表示された入力チャンネルから、スピーカ13Aに割り当てたい任意の入力チャンネルを選択することができる。このように、入力チャンネルの指定も、GUIを用いた態様に限るものではない。
【0045】
なお、本実施形態では、自装置であるスピーカ13A自体を1つの入力ポートまたは出力ポートとしてミキサ11に割り当てる例を示した。しかし、スピーカ13Aは、複数のポートを備え、ポート毎に異なるバスまたは異なる入力チャンネルに割り当てるようにしてもよい。例えば、スピーカ13Aが入力ポート1および入力ポート2を有する場合に、入力ポート1および入力ポート2をそれぞれ別の入力Ch1および入力Ch2に割り当ててもよい。
【0046】
また、スピーカ13Aは、信号処理を行なうためのDSPを備えていてもよい。この場合、該DSPは、ネットワークI/F106を介して受信したオーディオ信号に信号処理を行なう。DSPは、信号処理を施した後のオーディオ信号を、D/A変換器108に出力する。また、変形例2のようにオーディオI/O103からオーディオ信号を入力する場合には、DSPは、オーディオI/O103から入力したオーディオ信号に信号処理を行なう。DPSは、信号処理を行なった後のオーディオ信号を、D/A変換器108に出力する。
【0047】
本実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0048】
例えば、本発明のインタフェースは、ユーザI/F102に限定されるものではない。
図10は、変形例4に係るスピーカ13Aの構成を示すブロック図である。変形例4に係るスピーカ13Aは、ユーザI/F102に代えて、NFC(Near field communication)I/F502を備えている。
【0049】
NFCI/F502は、
図11に示す様に、例えばスピーカ13Aの筐体の一部に設けられている。
図11の例では、NFCI/F502は、表示器101の近傍に設けられている。NFCI/F502は、通信インタフェースの一例であり、アンテナを介して他の機器との通信を行なう。NFCは、規格上、通信可能な距離が例えば10cm等の至近距離に制限されている。そのため、NFCI/F502は、至近距離の機器に限り、通信を行なうことができる。無論、本発明に用いられる通信インタフェースは、NFCに限るものではない。
【0050】
図12は、利用者が用いる端末30の構成例を示すブロック図である。端末30は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、またはタブレット型PC等の情報処理装置である。端末30は、表示器31、NFCI/F32、フラッシュメモリ33、RAM34、CPU35、およびタッチパネル36を備えている。
【0051】
図13は、表示器31に表示される画面の一例である。なお、表示器31には、タッチパネル36が積層され、GUIが構成されている。表示器31は、
図13に示すようなバスセットアップ画面を表示する。バスセットアップ画面では、ミキサ11のバスであるAUX1~AUX2、STLおよびSTRが表示されている。ユーザは、表示されたバスから、スピーカ13Aに割り当てたい任意のバスを選択する。
図13の例では、ユーザは、AUX1のバスを選択している。この様な画面を表示し、バスの選択を受け付けるためのアプリケーションプログラムは、フラッシュメモリ33に記憶されている。CPU35は、記憶媒体であるフラッシュメモリ33に記憶されているアプリケーションプログラムをRAM34に読み出して、上記の機能を実現する。
【0052】
なお、CPU35が読み出すプログラムも、自装置内のフラッシュメモリ33に記憶されている必要はない。例えば、プログラムは、サーバ等の外部装置の記憶媒体に記憶されていてもよい。この場合、CPU35は、該サーバから都度プログラムをRAM34に読み出して実行すればよい。
【0053】
ユーザは、
図14に示す様に、端末30をスピーカ13AのNFCI/F502に近づける。端末30には、NFCI/F32が設けられている。CPU35は、NFCI/F32を介して、ユーザが選択したバスに対応する情報を送信する。バスに対応する情報とは、例えば、上述の様に、各バスに割り当てられている固有のIDである。
【0054】
スピーカ13AのCPU107は、NFCI/F502を介してIDを受信する。CPU107は、当該IDをフラッシュメモリ104またはRAM105に記憶する。その後、CPU107は、ネットワーク上の他の機器として例えばミキサ11から問合せがあった場合、フラッシュメモリ104またはRAM105からIDを読み出して、管理装置であるミキサ11に送信する。
【0055】
この様にして、NFCI/Fを用いることでも、管理装置に対してバスの割り当てを指示することができる。NFCI/Fは、通信可能な距離が例えば10cm等の至近距離に制限されている。そのため、ユーザは、スマートフォン等の端末を操作し、所望のスピーカに端末30を近づける操作をするだけで、所望のバスの音を該所望のスピーカから出力させることができる。
【0056】
なお、
図14の例では、CPU107は、NFCI/F502を介して受信したIDに係るバスの名称(この例ではAUX1)を、表示器101に表示している。しかし、表示器101にバスの名称を表示することは、本発明において必須ではない。また、スピーカ13Aが表示器101を備えることも、本発明において必須ではない。
【符号の説明】
【0057】
1…音響システム
11…ミキサ
12A,12B…スイッチ
13A、13B,13C,13D,13E,13F…スピーカ
20…ネットワーク
101…表示器
102…ユーザI/F
103…オーディオI/O
104…フラッシュメモリ
105…RAM
106…ネットワークI/F
107…CPU
108…D/A変換器
109…アンプ
111…スピーカユニット
151…バス
171…バス
201…表示器
202…ユーザI/F
203…オーディオI/O
204…信号処理部
205…ネットワークI/F
206…CPU
207…フラッシュメモリ
208…RAM
301…入力パッチ
302…入力チャンネル
303…#1バス
304…#2バス