(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】クロマトグラフィー分析システム
(51)【国際特許分類】
G01N 30/32 20060101AFI20220308BHJP
G01N 30/54 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
G01N30/32 A
G01N30/54 H
(21)【出願番号】P 2020516022
(86)(22)【出願日】2019-01-16
(86)【国際出願番号】 JP2019001001
(87)【国際公開番号】W WO2019207850
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2018083602
(32)【優先日】2018-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】横井 祐介
(72)【発明者】
【氏名】北林 大介
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-023280(JP,A)
【文献】特開平03-243861(JP,A)
【文献】特開2015-166724(JP,A)
【文献】特開2007-040858(JP,A)
【文献】特開平04-303763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/32
G01N 30/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析流路と、
前記分析流路中で移動相を送液するための送液ポンプと、
前記分析流路中に試料を注入する試料注入部と、
前記分析流路上における前記試料注入部よりも下流に設けられ、前記試料注入部により前記分析流路中に注入された試料を成分ごとに分離するための分離カラムと、
前記分離カラムを内部に収容して前記分離カラムの温度を予め設定された目標温度に調節するカラムオーブンと、
前記カラムオーブン内の温度を検出する温度センサと、
前記分析流路中を流れる移動相の流量が予め設定された目標流量となるように前記送液ポンプの動作を制御するように構成された送液制御部と、
前記目標流量が設定されたときに前記目標流量よりも低いカラム保護用流量を設定するように構成されたカラム保護用流量設定部と、を備え、
前記送液制御部は、
前記送液ポンプによる移動相の送液が開始されたときに、前記カラムオーブン内の温度が前記目標温度に到達するまで、前記分析流路中を流れる移動相の流量が前記カラム保護用流量を超えないように前記送液ポンプの動作を制御
し、
前記送液ポンプによる移動相の送液が開始されてから前記分析流路中を流れる移動相の流量が徐々に上昇して前記カラム保護用流量に達するように前記送液ポンプの動作を制御し、
前記分析流路中を流れる移動相の流量が前記カラム保護用流量に達した後で前記カラムオーブン内の温度が前記目標温度に到達しているか否かを確認し、
前記温度センサにより検出される温度が前記目標温度に到達していることを確認してから前記分析流路中を流れる移動相の流量が徐々に上昇して前記目標流量に達するように、前記送液ポンプの動作を制御するように構成されているクロマトグラフィー分析システム。
【請求項2】
前記送液制御部は、
前記送液ポンプによる移動相の送液が開始されてから予め設定された第1の時間が経過するまで前記分析流路中を流れる移動相の流量が徐々に上昇して前記カラム保護用流量に達するように前記送液ポンプの動作を制御し
、
前記温度センサにより検出される温度が前記目標温度に到達していることを確認してから予め設定された第2の時間が経過するまで前記分析流路中を流れる移動相の流量が徐々に上昇して前記目標流量に達するように、前記送液ポンプの動作を制御するように構成されている、請求項1に記載のクロマトグラフフィー分析システム。
【請求項3】
前記第1の時間及び/又は前記第2の時間はユーザにより設定されるものである、請求項2に記載のクロマトグラフフィー分析システム。
【請求項4】
前記送液制御部は、前記カラムオーブン内の温度が前記目標温度に到達する前に前記分析流路中を流れる移動相の流量が前記カラム保護用流量に達したときは、前記カラムオーブン内の温度が前記目標温度に到達するまで前記分析流路中を流れる移動相の流量が前記カラム保護用流量で維持されるように、前記送液ポンプの動作を制御するように構成されている、請求項1に記載のクロマトグラフィー分析システム。
【請求項5】
前記カラム保護用流量設定部は、前記目標流量の半分の流量を前記カラム保護用流量として設定するように構成されている、請求項1に記載のクロマトグラフィー分析システム。
【請求項6】
前記カラムオーブンは、当該カラムオーブン内の温度が目標温度に達したときに前記分離カラムの準備が完了したことを示す準備完了信号を出力するように構成され、
前記送液制御部は、前記カラムオーブンからの前記準備完了信号の有無によって前記カラムオーブン内の温度が目標温度に達しているか否かを判定するように構成されている、請求項1に記載のクロマトグラフィー分析システム。
【請求項7】
分析流路と、
前記分析流路中で移動相を送液するための送液ポンプと、
前記分析流路中に試料を注入する試料注入部と、
前記分析流路上における前記試料注入部よりも下流に設けられ、前記試料注入部により前記分析流路中に注入された試料を成分ごとに分離するための分離カラムと、
前記分離カラムを内部に収容して前記分離カラムの温度を予め設定された目標温度に調節するカラムオーブンと、
前記分析流路中を流れる移動相の流量が予め設定された目標流量となるように前記送液ポンプの動作を制御するように構成された送液制御部と、
前記目標流量が設定されたときに前記目標流量よりも低いカラム保護用流量を設定するように構成されたカラム保護用流量設定部と、を備え、
前記送液制御部は、
前記送液ポンプによる移動相の送液が開始されたときに、前記カラムオーブン内の温度が前記目標温度に到達するまで、前記分析流路中を流れる移動相の流量が前記カラム保護用流量を超えないように前記送液ポンプの動作を制御し、
前記分析流路中を流れる移動相の流量が前記カラム保護用流量に達したとき、前記カラムオーブン内の温度が前記目標温度に達しているか否かを判定し、
前記カラムオーブン内の温度が前記目標温度に達していないと判定された場合、前記分析流路中を流れる移動相の流量が前記カラム保護用流量に維持されるように前記送液ポンプの動作を制御し、
前記カラムオーブン内の温度が前記目標温度に達していると判定された場合、前記分析流路中を流れる移動相の流量が前記目標流量になるように前記送液ポンプの動作を制御す
るように構成されている、クロマトグラフィー分析システム。
【請求項8】
前記カラム保護用流量設定部は、前記目標流量に基づいて、前記カラム保護用流量を設定するように構成されている、請求項1に記載のクロマトグラフィー分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフィー分析又は超臨界流体クロマトグラフィー分析を実施するためのクロマトグラフィー分析システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
クロマトグラフィー分析システムは、移動相を送液する送液ポンプ、試料を分析流路中に注入するオートサンプラ、試料を分離するための分離カラムを内部に収容して分離カラムの温度を一定に調節するカラムオーブン、分離カラムで分離された試料成分を検出するための検出器などで構成される。
【0003】
クロマトグラフィー分析システムでは、送液ポンプによる移動相の送液流量やカラムオーブンの温度といった条件をユーザが設定して分析の開始の指示を入力すると、送液ポンプによる送液流量やカラムオーブン内の温度が設定された目標流量や目標温度になるように調節され、それらが目標値に達して安定した段階で、試料が分析流路中に注入されて分析が開始される。
【0004】
ところで、液体クロマトグラフィー分析などで用いられる分離カラムに高流量の移動相が急に流入すると、分離カラムがダメージを受けて分離性能に悪影響が及ぶ場合があることが知られている。そのため、分離カラムに移動相を流し始める際に、移動相の流量を目標流量まで段階的に高めていくことが提案されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
分離カラムにダメージを与える要因として、分離カラムに流入する移動相の流量のほか、分離カラムの温度が挙げられる。例えば、分析システムの起動時に、カラムオーブンの温度が十分に高まっていない状態で高流量の移動相が分離カラム内を流れると、分離カラムに過剰な圧力がかかってしまい、分離カラムがダメージを受けてしまう。従来の分析システムでこの問題を解決するためには、一般的に、ユーザがカラムオーブンの温度を監視し、カラムオーブンの温度が十分に高まるのを見計らって送液ポンプを動作させるか、又は、移動相の流量が目標流量まで徐々に上昇していくように送液ポンプの動作を設定しておく必要があった。
【0007】
カラムオーブンの温度が十分に高まるのを見計らって送液ポンプを動作させる場合、送液ポンプを完全に停止させた状態でカラムオーブンを昇温させると、分離カラムが過熱されてダメージを受ける虞がある。そのため、ユーザがカラムオーブンの温度を目視確認しながら送液ポンプの設定流量を徐々に高めていく必要があり、操作が煩雑になる。
【0008】
一方で、移動相の流量が目標流量まで徐々に上昇していくように送液ポンプの動作を設定する場合、カラムオーブンの扉が開放されているといった何らかの理由でカラムオーブンの温度が十分に高まらないようなときには、分離カラムの温度が低い状態で高流量の移動相が送液ポンプから送液されてしまい、分離カラムがダメージを受けるといった事態も生じ得る。
【0009】
そこで、本発明は、移動相の送液開始時に分離カラムが受けるダメージを軽減することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るクロマトグラフィー分析システムは、分析流路と、前記分析流路中で移動相を送液するための送液ポンプと、前記分析流路中に試料を注入する試料注入部と、前記分析流路上における前記試料注入部よりも下流に設けられ、前記試料注入部により前記分析流路中に注入された試料を成分ごとに分離するための分離カラムと、前記分離カラムを内部に収容して前記分離カラムの温度を予め設定された目標温度に調節するためのカラムオーブンと、前記カラムオーブン内の温度を検出する温度センサと、前記分析流路中を流れる移動相の流量が予め設定された目標流量となるように前記送液ポンプの動作を制御するように構成された送液制御部と、前記目標流量が設定されたときに前記目標流量よりも低いカラム保護用流量を設定するように構成されたカラム保護用流量設定部と、を備えている。そして、前記送液制御部は、前記送液ポンプによる移動相の送液が開始されたときに、前記カラムオーブン内の温度が前記目標温度に到達するまで、前記分析流路中を流れる移動相の流量が前記カラム保護用流量を超えないように前記送液ポンプの動作を制御し、前記送液ポンプによる移動相の送液が開始されてから前記分析流路中を流れる移動相の流量が徐々に上昇して前記カラム保護用流量に達するように前記送液ポンプの動作を制御し、前記分析流路中を流れる移動相の流量が前記カラム保護用流量に達した後で前記カラムオーブン内の温度が前記目標温度に到達しているか否かを確認し、前記温度センサにより検出される温度が前記目標温度に到達していることを確認してから前記分析流路中を流れる移動相の流量が徐々に上昇して前記目標流量に達するように、前記送液ポンプの動作を制御するように構成されている。これにより、分離カラムを流れる移動相の流量が徐々に上昇するため、分離カラムにおける圧力の上昇が緩やかになり、分離カラムへのダメージが軽減される。
【0011】
本発明に係るクロマトグラフィー分析システムの好ましい実施形態では、前記送液制御部は、前記送液ポンプによる移動相の送液が開始されてから予め設定された第1の時間が経過するまで前記分析流路中を流れる移動相の流量が徐々に上昇して前記カラム保護用流量に達するように前記送液ポンプの動作を制御し、前記カラムオーブン内の温度が前記目標温度に到達していることを確認してから予め設定された第2の時間が経過するまで前記分析流路中を流れる移動相の流量が徐々に上昇して前記目標流量に達するように、前記送液ポンプの動作を制御するように構成されている。
【0012】
さらに、前記送液制御部は、前記カラムオーブン内の温度が前記目標温度に到達する前に前記分析流路中を流れる移動相の流量が前記カラム保護用流量に達したときは、前記カラムオーブン内の温度が前記目標温度に到達するまで前記分析流路中を流れる移動相の流量が前記カラム保護用流量で維持されるように、前記送液ポンプの動作を制御するように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るクロマトグラフィー分析システムでは、送液ポンプによる移動相の送液が開始されたときに、カラムオーブン内の温度が設定温度に到達するまで、分析流路中を流れる移動相の流量が目標流量よりも低く設定されたカラム保護用流量を超えないように制御されるので、分離カラムの温度が低い状態で高流量の移動相が分離カラムに流入することが防止され、分離カラムに与えるダメージが軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】クロマトグラフィー分析システムの一実施例を示す概略構成図である。
【
図2】同実施例におけるシステム起動から分析までの一連の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図3】同実施例において移動相の流量を目標流量で安定させるまでの流量の時間変化の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
クロマトグラフィー分析システムの一実施例について、図面を参照しながら説明する。以下では、クロマトグラフィー分析システムの一例として液体クロマトグラフィー用の分析システムを例に説明する。
【0016】
この実施例のクロマトグラフィー分析システムは、送液ポンプ2、オートサンプラ4(試料注入部)、カラムオーブン6、検出器8及び制御装置10を備えている。カラムオーブン6の内部には分離カラム18が収容されている。送液ポンプ2、オートサンプラ4、分離カラム18及び検出器8は配管によって互いに直列に接続されており、液体クロマトグラフィー分析のための分析流路12を構成している。
【0017】
送液ポンプ2は分析流路12中で移動相を送液するためのものである。オートサンプラ4は送液ポンプ2の下流に接続されており、移動相の流れる分析流路12中に試料を注入する。分離カラム18はオートサンプラ4の下流に接続されており、オートサンプラ4により分析流路12中に注入された試料を成分ごとに分離するためのものである。カラムオーブン6は分離カラム18を内部に収容して分離カラム18の温度を予め設定された目標温度に調節するためのものである。カラムオーブン6は、分離カラム18を加熱するためのヒータ(図示は省略)や、分離カラム18を収容する空間内の温度又は分離カラム18を保持するホルダの温度をカラムオーブン6内の温度として検出するための温度センサ16を備えている。検出器8は分離カラム18の下流に接続され、分離カラム18で分離された試料成分を検出するためのものである。
【0018】
制御装置10は、送液ポンプ2、オートサンプラ4、カラムオーブン6及び検出器8の動作管理を行なう。制御装置10は、専用のコンピュータ又は汎用のコンピュータによって実現することができる。移動相の目標流量や分離カラム18の目標温度といった分析条件は制御装置10に対して設定され、制御装置10は設定された分析条件に基づいて送液ポンプ2、オートサンプラ4、カラムオーブン6及び検出器8の動作を制御する。
【0019】
制御装置10は、送液制御部20及びカラム保護用流量設定部22を備えている。送液制御部20及びカラム保護用流量設定部22は、制御装置10に設けられているマイクロコンピュータなどの演算素子がプログラムを実行することにより得られる機能である。
【0020】
送液制御部20は、分析流路12を流れる移動相の流量が設定された目標流量となるように送液ポンプ2の動作速度を制御するものであるが、分析システムの起動直後など、送液ポンプ2やカラムオーブン6が停止していた状態から動作させる際には、温度センサ16によって検出されるカラムオーブン6内の温度を監視しながら、送液ポンプ2の動作速度を高めるように構成されている。
【0021】
具体的には、送液制御部20は、カラムオーブン6内の温度が目標温度に到達するまでは、移動相の流量が目標流量よりも低く設定されたカラム保護用流量を超えないように送液ポンプ2の動作速度を制御する。
【0022】
カラム保護用流量設定部22は、移動相の目標流量が設定されたときに、目標流量よりも低いカラム保護用流量を設定するように構成されている。カラム保護用流量は、例えば目標流量の半分の流量である。
【0023】
また、制御装置10は、移動相の流量をカラム保護用流量及び目標流量に向かって徐々に高めていくように設定することができる。その場合、ユーザは、送液流量が0の状態からカラム保護用流量に到達させるまでの第1の時間T1、送液流量がカラム保護用流量の状態から目標流量に到達させるまでの第2の時間T2を制御装置10に設定することができる。
【0024】
時間T1、T2が設定されたときは、送液ポンプ2の動作を開始してから時間T1が経過したときに送液流量がカラム保護用流量となり、カラムオーブン6内の温度が目標温度に到達してから時間T2が経過したときに送液流量が目標流量となるように、送液制御部20が送液ポンプ2の動作速度を制御する。
【0025】
この実施例の分析システムの起動後の動作について、
図1とともに
図2のフローチャート及び
図3のグラフを用いて説明する。
【0026】
分析システムを起動し、ユーザが移動相の目標流量、時間T1、T2、カラムオーブン6の目標温度といった分析条件を制御装置10に対して設定すると(ステップS1)、カラム保護用流量設定部22が目標流量よりも低いカラム保護用流量を設定する(ステップS2)。目標流量や目標温度が設定されると、送液ポンプ2の送液動作及びカラムオーブン6の昇温動作が開始される。カラムオーブン6では、温度センサ16によって検出される内部の温度が目標温度になるようにヒータ出力のフィードバック制御がなされる。一方で、送液制御部20は、時間T1の経過後に送液流量がカラム保護用流量となるように送液ポンプ2の動作速度を徐々に上昇させる(ステップS3)。
【0027】
送液ポンプ2の送液流量がカラム保護用流量に達すると(ステップS4)、送液制御部20はカラムオーブン6内の温度(カラム温度)が目標温度に達しているか否かを判定する(ステップS5)。カラムオーブン6は温度センサ16の検出温度が目標温度に達したときに、分離カラム18の準備が完了したことを示す準備完了信号を制御装置10へ送信するので、送液制御部20はカラムオーブン6からの準備完了信号の有無によってカラムオーブン6内の温度が目標温度に達しているか否かを判定することができる。カラムオーブン6内の温度が目標温度に達していない場合には、カラムオーブン6内の温度が目標温度に達するまで、送液流量がカラム保護用流量で維持されるように送液ポンプ2の動作速度を制御する(ステップS6)。
【0028】
カラムオーブン6内の温度が目標温度に達すると、送液制御部20は、時間T2の経過後に送液流量が目標流量となるように、送液ポンプ2の動作速度を徐々に上昇させる(ステップS7)。送液流量が目標流量に達した後、送液制御部20は送液流量が目標流量で安定するように送液ポンプ2の動作速度を制御する。制御装置10は、送液ポンプ2の送液流量が目標流量で安定したことを確認した後(ステップS8)、オートサンプラ4に試料を注入させ、分析を実行する(ステップS9)。
【0029】
以上において説明したように、この実施例では、送液ポンプ2の送液流量が目標流量よりも低いカラム保護用流量まで徐々に高められるとともに、カラムオーブン6内の温度(分離カラム18の温度)が目標温度に達するまでは送液流量がカラム保護用流量を超えないようになっているので、十分に温まっていない分離カラム18に移動相が高流量で流入することが防止される。これにより、移動相の送液開始時に分離カラム18が受けるダメージが軽減される。
【0030】
なお、上記実施例は液体クロマトグラフィー分析用の分析システムであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、超臨界流体クロマトグラフィー用の分析システムに対しても同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
2 送液ポンプ
4 オートサンプラ
6 カラムオーブン
8 検出器
10 制御装置
12 分析流路
16 温度センサ
18 分離カラム
20 送液制御部
22 カラム保護用流量設定部