(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】プレート搬送装置およびプレートチェンジャー
(51)【国際特許分類】
G01N 35/04 20060101AFI20220308BHJP
B25J 15/08 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
G01N35/04 G
B25J15/08 F
(21)【出願番号】P 2020537972
(86)(22)【出願日】2018-08-23
(86)【国際出願番号】 JP2018031187
(87)【国際公開番号】W WO2020039558
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 弘貴
(72)【発明者】
【氏名】芝吹 直伸
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-314199(JP,A)
【文献】特開2003-176028(JP,A)
【文献】特開2015-110264(JP,A)
【文献】特開2007-046957(JP,A)
【文献】特開平09-089904(JP,A)
【文献】特開2006-189362(JP,A)
【文献】実開平05-020887(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-35/10
B25J 15/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オートサンプラに試料プレートを供給するプレートチェンジャーで使用されるプレート搬送装置であって、
中間支持部を有する本体部と、
第1の支持部を有し前記本体部に対して第1の方向に移動可能に支持された第1の移動部材と、
第2の支持部を有し前記本体部に対して前記第1の方向に移動可能に支持された第2の移動部材と、
前記中間支持部と前記第1の支持部との間に設けられ、前記第1の移動部材に対して、前記第1の方向において前記中間支持部へ向う第1の付勢力を与える第1の弾性部材と、
前記中間支持部と前記第2の支持部との間に設けられ、前記第2の移動部材に対して、前記第1の方向において前記中間支持部へ向いかつ前記第1の付勢力とは反対方向の力である第2の付勢力を与える第2の弾性部材とを備え、
前記第1の付勢力によって前記第1の移動部材に対して前記第2の移動部材へと向う付勢力が与えられるとともに、前記第2の付勢力によって前記第2の移動部材に対して前記第1の移動部材へと向う付勢力が与えられることにより、前記試料プレートが前記第1の移動部材と前記第2の移動部材との間で保持される、プレート搬送装置。
【請求項2】
前記第1の方向における前記中間支持部の位置を調整する調整機構をさらに備える、請求項1に記載のプレート搬送装置。
【請求項3】
前記本体部に回転可能に支持された回転部材をさらに備え、
前記回転部材は、前記第1の方向において前記第1の移動部材と前記第2の移動部材との間に配置され、前記回転部材が押圧位置に回転するとき、前記回転部材が前記第1の移動部材および前記第2の移動部材をそれぞれ前記中間支持部から遠ざける方向に押圧する、請求項1または2に記載のプレート搬送装置。
【請求項4】
前記第1の移動部材は、前記第1の方向とは交差する第2の方向に延びる第1のアーム部材を含み、
前記第2の移動部材は、前記第1の方向とは交差する第3の方向に延びる第2のアーム部材を含み、
前記第1のアーム部材には、前記試料プレートと接触する第1および第2のプレート支持部が前記第2の方向において離間するように設けられ、前記第2のアーム部材には
、前記試料プレート
と接触する第3のプレート支持部が設けられる、請求項1~3のいずれか一項に記載のプレート搬送装置。
【請求項5】
前記第1、第2および第3のプレート支持部の各々は、前記第1の方向に沿って延びる中空状の部材を含む、請求項4に記載のプレート搬送装置。
【請求項6】
前記第1のアーム
部材の前記第2の方向における長さは、前記第2のアーム
部材の前記第3の方向における長さより長い、請求項4に記載のプレート搬送装置。
【請求項7】
オートサンプラに用いられるプレートチェンジャーであって、
1以上の試料プレートを保管するプレート保管庫と、
前記プレート保管庫と前記オートサンプラとの間で試料プレートを搬送する請求項1~6のいずれか一項に記載のプレート搬送装置とを備える、プレートチェンジャー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートサンプラにプレートを供給するプレートチェンジャーで使用されるプレート搬送装置およびそれを備えたプレートチェンジャーに関する。
【背景技術】
【0002】
高速液体クロマトグラフなどの分析装置に対して、分析対象の試料を自動で注入するオートサンプラがある。また、オートサンプラにプレートを供給するプレートチェンジャーがある。プレートチェンジャーは、複数の試料プレート(以下、プレートと略記する。)が収容されるプレート保管庫を有する。プレートには、分析対象である試料が注入された複数のバイアルが収容される。また、プレートチェンジャーは、プレート保管庫とオートサンプラとの間でプレートを搬送するプレート搬送装置を有する。
【0003】
従来のプレートチェンジャーにおいては、プレートとして専用プレートが用いられている。プレート搬送装置には突起が設けられており、突起を専用プレートに設けられた孔に対して引っ掛けることにより、プレート搬送装置は専用プレートを保持する。このためプレート搬送装置の突起の位置および形状は、専用プレートの孔の位置および形状に対応して設計する必要がある。専用プレートを確実に保持するためには、プレート搬送装置の突起の位置および形状に高い精度が求められる。また、専用プレートを保持するためのプレート搬送装置の制御についても高い精度が求められていた。
【0004】
下記特許文献1は、サンプル容器が収容されたラック(プレート)を試料自動注入装置(オートサンプラ)に搬送するための容器搬送装置に関する。特許文献1においては、容器搬送装置である容器把持機構の先端面には係合部が設けられている。係合部がラックの側面に設けられた孔に挿入されることより、容器把持機構がラックを把持する。
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来のプレートチェンジャーは、プレート搬送装置に設けられた突起によってプレートを引っ掛ける構造であるため、プレートは専用のものが用いられる必要がある。したがって、プレートチェンジャーの仕様が異なれば、その仕様に合わせたプレートが必要である。
【0007】
また、専用プレートの孔の位置および形状に合わせてプレート搬送装置の突起を高い精度で製造しなければならないため、製造コストが高くなる。また、プレート搬送装置を含むプレートチェンジャーの組立工程においても正確な位置調整が求められる。
【0008】
本発明の目的は、オートサンプラに試料プレートを供給するプレートチェンジャーに使用されるプレート搬送装置において、試料プレートの形状の自由度を高くすること、およびプレート搬送装置の製造にかかるコストを低減させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の一局面に従うプレート搬送装置は、オートサンプラに試料プレートを供給するプレートチェンジャーで使用されるプレート搬送装置であって、中間支持部を有する本体部と、第1の支持部を有し本体部に対して第1の方向に移動可能に支持された第1の移動部材と、第2の支持部を有し本体部に対して第1の方向に移動可能に支持された第2の移動部材と、中間支持部と第1の支持部との間に設けられ、第1の移動部材に対して、第1の方向において中間支持部へ向う第1の付勢力を与える第1の弾性部材と、中間支持部と第2の支持部との間に設けられ、第2の移動部材に対して、第1の方向において中間支持部へ向いかつ第1の付勢力とは反対方向の力である第2の付勢力を与える第2の弾性部材とを備える。第1の付勢力によって第1の移動部材に対して第2の移動部材へと向う付勢力が与えられるとともに、第2の付勢力によって第2の移動部材に対して第1の移動部材へと向う付勢力が与えられることにより、試料プレートが第1の移動部材と第2の移動部材との間で保持される。
【0010】
このプレート搬送装置は、第1の弾性部材および第2の弾性部材の付勢力を利用し、第1の移動部材および第2の移動部材との間でプレートを保持する。これにより、プレート搬送装置で用いるプレートとして、専用のプレートが用いられる必要がなくなる。プレート搬送装置は、様々な形状および大きさのプレートを保持することができるので、異なる種類のプレートを流用することもできる。
【0011】
従来のように専用のプレートに設けられた孔に合わせて、プレート搬送装置が突起を有する必要がない。プレート搬送装置は突起を有する必要がないので、プレート搬送装置の製造コストが低減するとともに、プレートチェンジャーの組立工程においても正確な位置調整が不要となる。
【0012】
また、このプレート搬送装置は、第1の弾性部材および第2の弾性部材の付勢力を利用し、第1の移動部材および第2の移動部材を支持しているので、プレートを保持している状態で、第1の移動部材および第2の移動部材が第1の方向に移動可能である。オートサンプラにプレートを載置するとき、オートサンプラ側にガイドを設けておけば、プレートの第1の方向における保持位置を調整しながら、プレートをオートサンプラの所定の位置に載置することができる。
【0013】
(2)プレート搬送装置は、第1の方向における中間指示部の位置を調整する調整機構をさらに備えてもよい。
【0014】
第1の弾性部材と第2の弾性部材の付勢力に差が生じている場合であっても、調整機構は、第1の移動部材と第2の移動部材の第1の方向における中心位置を、プレート搬送装置の第1の方向における中心位置に一致させることができる。これにより、プレート搬送装置がプレートを保持したとき、プレートの第1の方向での中心位置が、プレート搬送装置の第1の方向での中心位置に一致するので、プレート搬送装置は、自装置の第1の方向における中心位置でプレートを保持することができる。
【0015】
(3)プレート搬送装置は、本体部に回転可能に支持された回転部材をさらに備えてもよい。回転部材は、第1の方向において第1の移動部材と第2の移動部材との間に配置され、回転部材が押圧位置に回転するとき、回転部材が第1の移動部材および第2の移動部材をそれぞれ中間支持部から遠ざける方向に押圧してもよい。
【0016】
プレート搬送装置は、回転部材を押圧位置に回転させることにより、プレートを保持する動作に入ることができる。また、プレート搬送装置は、回転部材を押圧位置に回転させることにより、プレートの保持状態を解除することができる。
【0017】
(4)第1の移動部材は、第1の方向とは交差する第2の方向に延びる第1のアーム部材を含み、第2の移動部材は、第1の方向とは交差する第3の方向に延びる第2のアーム部材を含み、第1のアーム部材には、試料プレートと接触する第1および第2のプレート支持部が第2の方向において離間するように設けられ、第2のアーム部材には、前記試料プレートと接触する第3のプレート支持部が設けられてもよい。
【0018】
プレート搬送装置は、第1~第3のプレート支持部においてプレートを保持する構成であるので、部品点数が削減される。また、プレート搬送装置の製造コストが低減する。
【0019】
(5)第1、第2および第3のプレート支持部の各々は、第1の方向に沿って延びる中空状の部材を含んでもよい。
【0020】
プレート支持部の断面の一部においてプレートを保持する場合であっても、プレート支持部の円周部でプレートを保持することができるので、プレートの保持状態が良い。
【0021】
(6)第1のアームの第2の方向における長さは、第2のアームの第3の方向における長さより長く構成されてもよい。
【0022】
第2のアームの長さを短くすることができるので、製造コストが低減される。
【0023】
(7)本発明の他の局面に従うプレートチェンジャーは、オートサンプラに用いられるプレートチェンジャーであって、1以上の試料プレートを保管するプレート保管庫と、プレート保管庫とオートサンプラとの間で試料プレートを搬送する上記のプレート搬送装置とを備える。
【発明の効果】
【0024】
本発明のプレート搬送装置は、プレートチェンジャーで使用される試料プレートの形状の自由度を高くすることができる。また、本発明のプレート搬送装置は、プレート搬送装置の製造にかかるコストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は本実施の形態に係るオートサンプラおよびプレートチェンジャーの概略平面図である。
【
図2】
図2は本実施の形態に係るプレートチェンジャーの概略側面図である。
【
図3】
図3はプレート搬送装置がオートサンプラに移動した状態を示す概略平面図である。
【
図4】
図4は本実施の形態に係るプレート搬送装置の斜視図である。
【
図5】
図5はプレート搬送装置の本体部の斜視図である。
【
図6】
図6はプレート搬送装置の本体部の正面図である。
【
図7】
図7はプレート搬送装置の左のスライド部材および左のアーム部材を含む左の移動部材の斜視図である。
【
図8】
図8はプレート搬送装置の右のスライド部材および右のアーム部材を含む右の移動部材の斜視図である。
【
図9】
図9は左右のアーム部材に設けられるプレート支持部の断面図である。
【
図10】
図10はプレート搬送装置の左右のアーム部材が開いた状態を示す図である。
【
図11】
図11はプレート搬送装置の左右のアーム部材が閉じた状態を示す図である。
【
図12】
図12はプレートを保持した状態でオートサンプラに移動した状態のプレート搬送装置を示す斜視図である。
【
図13】
図13はプレートを保持した状態でオートサンプラに移動した状態のプレート搬送装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(1)プレートチェンジャーの全体構成および動作
図1は、本実施の形態に係るオートサンプラ1およびプレートチェンジャー2の概略平面図である。
図1~
図3において、位置関係を明確にするために互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印が付されている。X方向およびY方向は水平面内で直交し、Z方向は上下方向に相当する。プレートチェンジャー2は、オートサンプラ1に付属する装置として、オートサンプラ1の側部に設けられる。
【0027】
本実施の形態において、オートサンプラ1は、図示しない高速液体クラマトグラフに対して、分析対象である試料を自動的に注入する装置である。プレートチェンジャー2は、分析対象である試料を収容するバイアルが複数収容された試料プレート(以下、プレートと略記する。)3を保管する装置である。プレートチェンジャー2は、プレート保管庫21およびプレート搬送装置4を備える。プレート保管庫21は、複数のプレート3,3・・・を保管する。プレート搬送装置4は、プレート保管庫21に収容されているプレート3を取り出し、保持したプレート3をオートサンプラ1に供給する。
【0028】
オートサンプラ1は、プレート3が載置される複数のプレートホルダ11,11・・・を備える。プレートホルダ11は、
図1に示すように複数箇所(本例では3箇所)に設けられているが、プレート搬送装置4によって搬送されるプレート3が載置されるプレートホルダ11としては、
図1における右側の1箇所のプレートホルダ11が用いられる。オートサンプラ1は、図示しないが、高速液体クロマトグラフに対して分析対象である試料を注入するための機構および制御部を有している。それら機構および制御部が、プレートホルダ11に載置されたプレート3に収容されたバイアルから試料を採取し、高速液体クロマトグラフに自動的に試料を注入する。
【0029】
図2は、本実施の形態に係るプレートチェンジャー2の概略側面図である。プレート保管庫21において、Z方向に複数のプレート3,3・・・が配置されている。各プレート3には分析対象である試料が注入されたバイアルが収容される。例えば1枚のプレート3には、縦7個×横5個の配列で35個のバイアルが収容される。本実施の形態においては、Z方向に複数のプレート3,3・・・が配置されるが、プレート3は、X方向またはY方向に複数並べられてもよい。
【0030】
図1および
図2に示すように、プレート搬送装置4は、X方向に移動可能である。プレート搬送装置4は、X方向に移動することにより、プレート保管庫21に配置されている1つのプレート3を保持する。プレート搬送装置4は、プレート保管庫21においてプレート3を保持した後、X方向に移動してプレート保管庫21から離れる。
【0031】
次にプレート3を保持したプレート搬送装置
4は、
図1に示す矢印Tで示すように、XY平面内で90度回転し、オートサンプラ1の方向へ向きを変える。続いて、
図3に示すように、プレート搬送装置
4は、Y方向に進み、オートサンプラ1の装置内へ移動する。続いて、プレート搬送装置
4は、Z方向で下方に向って移動し、オートサンプラ1に設けられたプレートホルダ11に、プレート3を載置する。
【0032】
プレートホルダ11にプレート3を載置した後、プレート搬送装置4は、プレート3をリリースする。プレート3をリリースした後、プレート搬送装置4は、プレートチェンジャー2内に移動する。オートサンプラ1において、プレート3に収容された分析対象である試料の自動注入が全て完了すると、再び、プレート搬送装置4は、プレートホルダ11に載置されているプレート3に向って移動し、プレート3を保持する。プレート搬送装置4は、プレート3を保持したままプレートチェンジャー2に戻り、プレート保管庫21の元の位置にプレート3を戻す。
【0033】
(2)プレート搬送装置の構成
図4は、本実施の形態に係るプレート搬送装置4の斜視図である。プレート搬送装置4は、本体部41および本体部41に取り付けられた左右のスライド部材42L・42Rを備える。左右のスライド部材42L・42Rは、本体部41に対して図の左右方向(矢印L-R方向)に移動可能である。なお、プレート搬送装置4は、
図1に示したXY平面内で回転可能であるので、左右の方向は存在しないが、以降の図面において、図に示した矢印L-R方向を便宜上プレート搬送装置4の左右方向として、図に示した矢印F-B方向を便宜上プレート搬送装置4の前後方向として説明する。また、図に示した矢印U-D方向を便宜上プレート搬送装置4の上下方向として説明する。左右方向(矢印L-R方向)および前後方向(矢印F-B方向)は、
図1等に示したXY平面内の方向である。上下方向(矢印U-D方向)は、
図1等におけるZ方向と一致する。
【0034】
左右のスライド部材42L,42Rは、略前後方向に延びる第1部421,421を備える。左のスライド部材42Lの第1部421の右縁は上方向に折れ曲がりストッパ421Sを形成している。右のスライド部材42Rの第1部421の左縁は上方向に折れ曲がりストッパ421Sを形成している。第1部421,421の前端は、第2部422,422に接続されている。第2部422,422は、略左右方向に延びている。第2部422,422の第1部421,421が接続される端部とは反対側の端部は、第3部423,423に接続されている。第3部423,423は、略前後方向に延びている。左右のスライド部材42L,42Rにおいて、第1部421、第2部422および第3部423は、それぞれ一体的に形成されている。
【0035】
左右のスライド部材42L,42Rには、それぞれ第3部423,423の下部に、左右のアーム部材43L,43Rが取り付けられている。これにより、左右のスライド部材42L,42Rが、本体部41に対して左右方向にスライド移動すると、左右のアーム部材43L,43Rも、左右のスライド部材42L,42Rと一体となって左右方向にスライド移動する。左のスライド部材42Lと左のアーム部材43Lとを含む移動部材を左の移動部材40Lと呼ぶ。右のスライド部材42Rと右のアーム部材43Rとを含む移動部材を右の移動部材40Rと呼ぶ。
【0036】
左のスライド部材42Lの第3部423には、ネジ45Lが取り付けられている。右のスライド部材42Rの第3部423には、ネジ45Rが取り付けられている。本体部41には、ネジ46が取り付けられている。ネジ45Lとネジ46の間には、バネ44Lが設けられている。バネ44Lは、左のスライド部材42Lに対して左右方向で本体部41の中心に向う力(右方向の力)を与えている。ネジ45Rとネジ46の間には、バネ44Rが設けられている。バネ44Rは、右のスライド部材42Rに対して左右方向で本体部41の中心に向う力(左方向の力)を与えている。
【0037】
本体部41には、回転軸471に支持された回転プレート47が設けられている。回転プレート47は、略直方体形状の部材である。回転プレート47は、回転軸471と一体となってプレート搬送装置4の左右方向および前後方向を含む平面内において回転可能である。言い換えると、回転プレート47は、回転軸471と一体となって、
図1におけるXY平面内で回転可能である。回転軸471は、本体部41の内部に配置された図示しない駆動源と接続されている。回転軸471は、図示しないプレートチェンジャー2の制御部からの制御信号を受けて回転駆動する。
【0038】
回転プレート47の長手方向の両端には、下部にそれぞれロール部材472,472が設けられている。ロール部材472,472は、回転軸472a,472aを中心に回転可能となっている。ロール部材472,472は回転駆動源を備えていない。ロール部材472,472は、後で説明するように、ストッパ421S,421Sにロール部材472の側面が接触することにより、受動的に回転する。
【0039】
図5は、本体部41の斜視図である。
図6は、本体部41の正面図である。
図5および
図6において、本体部41から左右のスライド部材42L,42Rおよび左右のアーム部材43L,43Rが取り外されている。本体部41は、リニアガイド55を備える。リニアガイド55は、リニアスライド55Sと左右のリニアブロック55L,55Rを備える。左右のリニアブロック55L,55Rは、リニアスライド55Sに対して、それぞれ独立して左右方向(矢印L-R方向)にスライド移動可能である。
【0040】
図7は、左のスライド部材42Lおよび左のアーム部材43Lの斜視図である。左のスライド部材42Lの下部には、接続プレート51Lが固定されている。接続プレート51Lは、左のアーム部材43Lの後端にも固定されている。接続プレート51Lには、複数のネジ孔511、511・・が設けられている。
【0041】
図8は、右のスライド部材42Rおよび右のアーム部材43Rの斜視図である。右のスライド部材42Rの下部には、接続プレート51Rが固定されている。接続プレート51Rは、右のアーム部材43Rの後端にも固定されている。接続プレート51Rには、複数のネジ孔511、511・・が設けられている。
【0042】
再び
図5および
図6を参照する。左右のリニアブロック55L,55Rには、それぞれ複数のネジ孔551,551・・・が設けられている。左のリニアブロック55Lに設けられたネジ孔551と、接続プレート51Lに設けられたネジ孔511に図示せぬネジを挿入して締結することによって接続プレート51Lが左のリニアブロック55Lに固定される。これにより、左のスライド部材42Lおよび左のアーム部材43Lが、接続プレート51Lを介して、左のリニアブロック55Lに固定される。
【0043】
同様に、右のリニアブロック55Rに設けられたネジ孔551と、接続プレート51Rに設けられたネジ孔511に図示せぬネジを挿入して締結することによって接続プレート51Rが右のリニアブロック55Rに固定される。これにより、右のスライド部材42Rおよび右のアーム部材43Rが、接続プレート51Rを介して、右のリニアブロック55Rに固定される。
【0044】
以上の構成により、左のスライド部材42Lおよび左のアーム部材43Lが、左のリニアブロック55Lに固定され、右のスライド部材42Rおよび右のアーム部材43Rが、右のリニアブロック55Rに固定される。そして、左のリニアブロック55Lがリニアスライド55Sに対して左右にスライドすることにより、左のスライド部材42Lおよび左のアーム部材43Lが、一体となって左右にスライド移動する。右のリニアブロック55Rがリニアスライド55Sに対して左右にスライドすることにより、右のスライド部材42Rおよび右のアーム部材43Rが、一体となって左右にスライド移動する。
【0045】
リニアスライド55Sと左右のリニアブロック55L,55Rの接触部分には、図示しないベアリングが埋め込まれている。これにより、左右のスライド部材42L,42Rまたは左右のアーム部材43L,43Rに外力が加わると、左右のスライド部材42L,42Rおよび左右のアーム部材43L,43Rが、左右のリニアブロック55L,55Rと一体となって、左右方向にスムーズに移動することができる。
【0046】
図4を参照して説明したように、バネ44Lは、左のスライド部材42Lに対して左右方向で本体部41の中心に向う力(右方向に向う力)を与えている。バネ44Rは、右のスライド部材42Rに対して左右方向で本体部41の中心に向う力(左方向に向う力)を与えている。したがって、左のスライド部材42Lおよび左のアーム部材43Lは、本体部41の中心に向う力(右方向に向う力)を受ける。右のスライド部材42Rおよび右のアーム部材43Rは、本体部41の中心に向う力(左方向に向う力)を受ける。
【0047】
上述したように、左のスライド部材42Lの第1部421の右縁にはストッパ421Sが形成されている。右のスライド部材42Rの第1部421の左縁にはストッパ421Sが形成されている。バネ44Lの力により、左のスライド部材42Lおよび左のアーム部材43Lが右方向に移動すると、左のスライド部材42Lのストッパ421Sが回転プレート47に設けられたロール部材472に接触する。左のスライド部材42Lのストッパ421Sがロール部材472の左側面に接触することによって、左のスライド部材42Lの右方向への最大移動位置が決定される。
【0048】
バネ44Rの力により、右のスライド部材42Rおよび右のアーム部材43Rが左方向に移動すると、右のスライド部材42Rのストッパ421Sが回転プレート47に設けられたロール部材472に接触する。右のスライド部材42Rのストッパ421Sがロール部材472の右側面に接触することによって、右のスライド部材42Rの左方向への最大移動位置が決定される。
【0049】
以上説明した構成により、左のスライド部材42Lと左のアーム部材43Lとを有する左の移動部材40Lは、外力が加わっていない場合には、バネ44Lの付勢力によって右方向に移動する。そして、左の移動部材40Lは、左のスライド部材42Lのストッパ421Sがロール部材472に接触する位置で右方向の移動が規制される。また、右のスライド部材42Rと右のアーム部材43Rとを有する右の移動部材40Rは、外力が加わっていない場合には、バネ44Rの付勢力によって左方向に移動する。そして、右の移動部材40Rは、右のスライド部材42Rのストッパ421Sがロール部材472に接触する位置で左方向の移動が規制される。
【0050】
また、左のスライド部材42Lと左のアーム部材43Lとを有する左の移動部材40Lは、外力が加わると、バネ44Lの付勢力に抗して左方向に移動する。また、右のスライド部材42Rと右のアーム部材43Rとを有する右の移動部材40Rは、外力が加わると、バネ44Rの付勢力に抗して右方向に移動する。
【0051】
(3)中心位置調整機構
左右のアーム部材
43L,43Rがプレート3を保持していない状態で、左右のアーム部材
43L,43Rの左右方向での中心位置は、本体部41の左右方向での中心位置C(
図4~
図6参照)と一致していることが望ましい。あるいは、左右のアーム部材
43L,43Rがプレート3を保持している状態、かつ、左右のアーム部材
43L,43Rまたは左右のスライド部材
42L,42Rが外力を受けていないとき、左右のアーム部材
43L,43Rの左右方向での中心位置は、本体部41の左右方向での中心位置Cと一致していることが望ましい。本実施の形態のプレート搬送装置4は、左右のアーム部材
43L,43Rの左右方向に関する中心位置を調整する機構を備えている。
【0052】
図5に示すように、バネ44Lの右端およびバネ44Rの左端が固定されるネジ46を挿入するネジ孔411は、本体部41の左右方向に延びる長孔となっている。したがって、ネジ46を緩めることにより、ネジ46の位置は左右方向に移動させることができる。ネジ46の左右方向の位置を調整し、調整した位置でネジ46を締めることにより、左右のアーム
部材43L,43Rの中心位置が調整される。
【0053】
バネ44Lおよびバネ44Rとして同じ製品が用いられることにより、その弾性力は近い値となる。しかし、製品の個体差によってその弾性力には差が生じる。このため、ネジ46の左右方向の位置を本体部41の左右方向の中心位置Cに一致させても、左右のアーム部材43L,43Rの左右方向の中心位置が、本体部41の左右方向の中心位置Cに一致しない場合がある。そこで、左右のアーム部材43L,43Rの左右方向の中心位置が、本体部41の左右方向の中心位置Cと一致するように、ネジ46の左右方向の位置が調整される。
【0054】
このように、本実施の形態のプレート搬送装置4は、バネ44L,44Rの付勢力に差が生じている場合であっても、ネジ46およびネジ孔411を有する調整機構は、左のスライド部材42Lと左のアーム部材43Lとを有する左の移動部材40L、および、右のスライド部材42Rと右のアーム部材43Rとを有する右の移動部材40Rの左右方向における中心位置を、プレート搬送装置4の左右方向における中心位置に一致させることができる。これにより、プレート搬送装置4がプレート3を保持したとき、プレート3の左右方向での中心位置が、プレート搬送装置4の左右方向での中心位置に一致するので、プレート搬送装置4は、自装置の左右方向における中心位置でプレート3を保持することができる。
【0055】
(4)プレート支持部
図7に示すように、左のアーム部材43Lには、2箇所にプレート支持部48L,48Lが設けられている。1つのプレート支持部48Lは、左のアーム部材43Lの前端近くに設けられている。もう1つのプレート支持部48Lは、左のアーム部材43Lの前後方向で中間付近に設けられている。
【0056】
図8に示すように、右のアーム部材43Rには、1箇所にプレート支持部48Rが設けられている。プレート支持部48Rは、右のアーム部材43Rの前端近くに設けられている。
【0057】
そして、左のアーム部材43Lに設けられた2箇所のプレート支持部48L,48Lと、右のアーム部材43Rに設けられたプレート支持部48Rとで、左右のアーム部材43L,43Rの間に配置されたプレート3が保持される。
【0058】
図9は、プレート支持部48Lおよびプレート支持部48Rをプレート搬送装置4の前後方向(矢印F-R方向)で切断した断面図である。
図9に示すように、プレート支持部48Lおよびプレート支持部48
Rは、中空状の断面を有している。プレート支持部48Lおよびプレート支持部48Rは、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂性または各種のゴム製のチューブで構成される。
【0059】
プレート支持部48Lおよびプレート支持部48Rは、中空状の断面を有しているので、円周部においてプレート3を保持することができる。例えば、プレート支持部48L(48R)の上半分や下半分など一部においてプレート3を保持する場合であっても、円周部でプレート3を保持することにより、プレート3の保持状態が良くなる。もし、プレート支持部48L(48R)が中空状でない円筒部材の場合、円筒断面の凹凸によって、プレート3との接触面積にばらつきが生じる場合がある。本実施の形態においては、プレート支持部48L(48R)の断面を中空状とすることにより、プレート3の保持状態が良くなる。
【0060】
また、本実施の形態のプレート搬送装置は、3箇所のプレート支持部48L,48L,48Rにおいてプレート3を保持する構成を有する。左右に4箇所のプレート支持部が用いられてもよいが、本実施の形態では、左右に3箇所のプレート支持部によって、プレート3が保持可能である。プレート支持部を4箇所設ける場合と比べて部品点数が削減できる。また、プレート搬送装置の製造コストが低減する。
【0061】
(5)プレート搬送装置によるプレートの保持動作
以上説明したプレート搬送装置4によりプレート3を保持する動作について説明する。
図10は、プレート搬送装置4の左右のアーム部材43L,43Rが開いている状態(離れている状態)を示す図である。つまり、
図10は、プレート搬送装置4によりプレート3を保持する前の状態を示す図である。あるいは、
図10は、プレート搬送装置4がプレート3をリリースした後の状態を示す図である。
【0062】
図示しないプレートチェンジャー2の制御部からの制御信号を受けて回転軸471が駆動し、回転軸471と回転プレート47が一体となって回転し、回転プレート47は、
図10に示すように、その長手方向が左右方向を向く状態となる。
【0063】
回転プレート47が、その長手方向が左右方向を向くように回転すると、回転プレート47の両端の下部に設けられているロール部材472,472が、左右のスライド部材42L,42Rを押し広げるように移動する。具体的には、左方向に移動したロール部材472が、左のスライド部材42Lのストッパ421Sに接触し、スライド部材42Lを左方向に移動させる。右方向に移動したロール部材472が、右のスライド部材42Rのストッパ421Sに接触し、スライド部材42Rを右方向に移動させる。このとき、ロール部材472は、ストッパ421Sと接触することにより、受動回転しながら左右のストッパ421Sを左右方向に押圧する。
【0064】
これにより、左のスライド部材42Lがバネ44Lの付勢力に抗して左方向に移動し、これと一体となって左のアーム部材43Lが左方向に移動する。また、右のスライド部材42Rがバネ44Rの付勢力に抗して右方向に移動し、これと一体となって右のアーム部材43Rが右方向に移動する。
図10は、プレート3の左右方向の幅よりも、左右のアーム部材43L,43Rの間隔が広くなっている状態を示している。
【0065】
図10で示すように、左右のアーム部材43L,43Rの間隔が広くなっている状態で、プレート搬送装置4は、プレートチェンジャー2のプレート保管庫21に収容されているプレート3を保持する準備動作に入る。あるいは、
図10に示すように、左右のアーム部材43L,43Rの間隔を広げることにより、プレート搬送装置4は、オートサンプラ1のプレートホルダ11上でプレート3をリリースする。
【0066】
図11は、プレート搬送装置4の左右のアーム部材43L,43Rが閉じている状態(近づいている状態)を示す図である。つまり、
図11は、プレート搬送装置4によりプレート3を保持している状態を示す図である。
【0067】
図示しないプレートチェンジャー2の制御部からの制御信号を受けて回転軸471が駆動し、回転軸471と回転プレート47が一体となって回転し、回転プレート47は、その長手方向が
図11に示すように前後方向を向く状態となる。
【0068】
回転プレート47が、その長手方向が前後方向を向くように回転すると、回転プレート47の両端の下部に設けられているロール部材472,472によって左右のスライド部材42L,42Rを押し広げていた力が解除される。これにより、左のスライド部材42Lがバネ44Lの付勢力によって右方向に移動し、これと一体となって左のアーム部材43Lが右方向に移動する。左のアーム部材43Lが右方向に移動することにより、プレート支持部48L,48Lがプレート3に接触する。これにより、左のアーム部材43Lの右方向の移動が止まる。
【0069】
また、右のスライド部材42Rがバネ44Rの付勢力によって左方向に移動し、これと一体となって右のアーム部材43Rが左方向に移動する。右のアーム部材43Rが左方向に移動することにより、プレート支持部48Rがプレート3に接触する。これにより、右のアーム部材43Rの
左方向の移動が止まる。
図11では、プレート3の左右方向の幅と、左右のアーム部材43L,43Rとの間隔が一致し、左右のアーム部材43L,43Rがプレート3を保持可能となっている。
【0070】
このように、本実施の形態のプレート搬送装置4は、バネ44L,44Rの付勢力を利用し、左のスライド部材42Lと左のアーム部材43Lとを有する左の移動部材40L、および、右のスライド部材42Rと右のアーム部材43Rとを有する右の移動部材40Rの間でプレート3を保持する。したがって、プレート搬送装置4は、左右の移動部材40L,40Rの可動範囲内でプレート3を保持することができる。これにより、プレート搬送装置4で用いるプレート3として、専用のプレートが用いられる必要がなくなる。プレート搬送装置4は、様々な形状および大きさのプレート3を保持することができるので、異なる種類のプレートを流用することもできる。
【0071】
従来のように専用のプレートに設けられた孔(プレート保持用の孔)に合わせて、プレート搬送装置4が突起(プレート保持用の突起)を有する必要がない。プレート搬送装置4は突起を有する必要がないので、プレート搬送装置4の製造コストが低減するとともに、プレートチェンジャーの組立工程においても正確な位置調整が不要となる。
【0072】
また、本実施の形態のプレート搬送装置4は、回転プレート47およびロール部材472を回転させることにより、プレート3を保持する動作に入ることができる。また、プレート搬送装置4は、回転プレート47およびロール部材472を回転させることにより、プレート3の保持状態を解除することができる。
【0073】
(6)プレート搬送装置によるオートサンプラへのプレートの搬送
図12は、プレート3を保持した状態でプレート搬送装置4がオートサンプラ1に移動した状態を示す斜視図である。
図13は、プレート3を保持した状態でプレート搬送装置4がオートサンプラ1に移動した状態を示す平面図である。
図12および
図13は、
図3の概略図で示した状態と同様の状態の図である。
【0074】
図12および
図13に示すように、プレート搬送装置4は、プレート3を保持した状態で、オートサンプラ1に設けられたプレートホルダ11の上方に位置している。この時点では、回転プレート47は、その長手方向がプレート搬送装置4の前後方向を向いた状態であり、左右のアーム部材43L,43Rによってプレート3を保持している。
【0075】
図14は、
図13に示すXIV-XIV断面図である。
図14でも示すように、プレート3を保持したプレート搬送装置4は、プレートホルダ11のやや上方に位置している。プレートホルダ11には、ガイド12,13が設けられている。ガイド12,13は、いずれもその上端部が、プレートホルダ11の内側に向って傾斜する傾斜面となっている。これにより、プレートホルダ11の上方から下降するプレート搬送装置4の位置が、プレート搬送装置4の左右方向に関して多少ずれていたとしても、ガイド12,13によって案内されることにより、プレート3がプレートホルダ11の正しい位置に載置される。
【0076】
本実施の形態のプレート搬送装置4は、バネ44L,バネ44Rの付勢力を利用し、左のスライド部材42Lと左のアーム部材43Lとを有する左の移動部材40L、および、右のスライド部材42Rと右のアーム部材43Rとを有する右の移動部材40Rを支持している。これにより、プレート3を保持している状態で、左右の移動部材40L,40Rが左右方向に移動可能である。言い換えると、左右のアーム部材43L,43Rがプレート3を保持している状態で、外力を加えると、左右のアーム部材43L,43Rはプレート3を保持したまま左右に平行移動可能である。
【0077】
このような構成により、オートサンプラ1にプレート3が載置されるとき、オートサンプラ1にガイド12,13が設けられていれば、プレート3の左右方向における保持位置を調整しながら、プレート3がオートサンプラ1のプレートホルダ11に載置される。つまり、プレート3を上方から下降させる位置が、プレートホルダ11の左右方向の位置で多少ずれていたとしても、ガイド12,13で案内されながら、左右方向に移動可能な状態のプレート3がスムーズにプレートホルダ11に載置される。
【0078】
上記の実施の形態においては、左のスライド部材42Lと左のアーム部材43Lとを有する左の移動部材40L、および、右のスライド部材42Rと右のアーム部材43Rとを有する右の移動部材40Rを移動させる手段としてリニアガイド55を利用した。しかし、移動手段としては、リニアガイドは一例であり、他の移動手段が用いられてもよい。
【0079】
なお、本発明の具体的な構成は、前述の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。
【0080】
(7)請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。上記の実施の形態では、プレート搬送装置4の左右方向(矢印L-R方向)が第1の方向の例であり、左のスライド部材42Lおよび左のアーム部材43Lを有する左の移動部材40Lが第1の移動部材の例であり、右のスライド部材42Rおよび右のアーム部材43Rを有する右の移動部材40Rが第2の移動部材の例である。
【0081】
また、上記の実施の形態において、ネジ46が中間支持部の例であり、ネジ45Lが、第1の支持部の例であり、バネ44Lが第1の弾性部材の例であり、ネジ45Rが第2の支持部の例であり、バネ44Rが第2の弾性部材の例である。また、上記の実施の形態において、ネジ孔
411およびネジ46が調整機構の例であり、回転プレート47およびロール部材472が回転部材の例であり、
図10に示した回転プレート47の回転位置が押圧位置の例である。
【0082】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する種々の要素を用いることもできる。
【0083】
(8)他の実施の形態
上記の実施の形態においては、中間支持部、第1の支持部および第2の支持部として、ネジ46,45L,45Rが用いられているが、本発明はこれに限定されない。例えば、中間支持部、第1の支持部および第2の支持部は、バネ44L,44Rの両端を保持できる他の保持部材であってもよい。
【0084】
上記の実施の形態においては、左右のアーム部材43L,43Rとして、第1の方向である左右方向に略直交する方向に延びるが、本発明はこれに限定されない。左右のアーム部材43L,43Rは、第1の方向に交差する他の方向に延びていてもよい。
【0085】
上記の実施の形態においては、左右のスライド部材42L,42Rと左右のアーム部材43L,43Rとは別の部材で構成されるが、左右のスライド部材42L,42Rと左右のアーム部材43L,43Rとが一体的に構成されていてもよい。また、左右のスライド部材42L,42R、左右のアーム部材43L,43Rおよび接続プレート51L,51Rが一体的に構成されてもよい。
【0086】
上記の実施の形態においては、プレート搬送装置4が高速液体クロマトグラフ用のオートサンプラ1にプレートを供給する装置として用いられる場合を例に説明したが、本実施の形態のプレート搬送装置4は、各種の分析装置に用いられるオートサンプラ1にプレートを供給する装置として用いることができる。また、本発明に係るオートサンプラは、高速液体クロマトグラフに限らず、他の種類の液体クロマトグラフ等の他の分析装置に用いることができる。