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特許7036332キノリン又はキナゾリン化合物及びその応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】キノリン又はキナゾリン化合物及びその応用
(51)【国際特許分類】
   C07D 215/56 20060101AFI20220308BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20220308BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20220308BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220308BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220308BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
C07D215/56 CSP
A61K31/517
A61K31/5377
A61P35/00
A61P43/00 111
C07D401/12
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021501073
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 CN2019080659
(87)【国際公開番号】W WO2019185064
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-11-30
(31)【優先権主張番号】201810277244.2
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518339490
【氏名又は名称】上海海和薬物研究開発股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】515236732
【氏名又は名称】曁南大学
(73)【特許権者】
【識別番号】511076044
【氏名又は名称】中国科学院上海薬物研究所
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI INSTITUTE OF MATERIA MEDICA, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】555 Zu Chong Zhi Road Zhang Jiang Pudong Shanghai 201203 China
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】丁 克
(72)【発明者】
【氏名】耿 美玉
(72)【発明者】
【氏名】陳 成斌
(72)【発明者】
【氏名】丁 健
(72)【発明者】
【氏名】談 理
(72)【発明者】
【氏名】艾 ▲じん▼
(72)【発明者】
【氏名】張 章
(72)【発明者】
【氏名】彭 霞
(72)【発明者】
【氏名】任 小梅
(72)【発明者】
【氏名】季 寅淳
(72)【発明者】
【氏名】塗 正超
(72)【発明者】
【氏名】戴 陽
(72)【発明者】
【氏名】陸 小雲
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/028797(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107151240(CN,A)
【文献】特表2015-503528(JP,A)
【文献】国際公開第2012/011548(WO,A1)
【文献】TAN,L. et al.,4-Oxo-1,4-dihydroquinoline-3-carboxamide derivatives as new Axl kinase inhibitors,Journal of Medicinal Chemistry,2016年,Vol.59, No.14,p.6807-6825
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 215/56
C07D 401/12
A61K 31/5377
A61K 31/517
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(I)で表されるキノリン若しくはキナゾリン化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、立体異性体若しくは重水素化アナログであって、
【化1】
化学式(I)中において、
Xは、CH及びNから選択され、
及びRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、-(CR及び-O(CRからなる群から選択され、
oは0~6の整数であり、
、R、Rは、それぞれ独立して、-H、C~Cアルキル、ハロゲン、-CF、-OCF、-(C=O)-NR、-COOR 、-CHR、-OR及び-NRから選択され、
及びRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン及びC~Cアルキルから選択され、又はR及びR が結合するNとに飽和若しくは不飽和5~8員複素環基を形成し、前記飽和若しくは不飽和5~8員複素環基は独立して任意に1つ以上のR10で置換されていてもよく、R10はC~Cアルキルであり、
又は、R及びRは、1~4のヘテロ原子を含む飽和若しくは不飽和C~C18脂肪族シクロアルキルである、キノリン若しくはキナゾリン化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、立体異性体若しくは重水素化アナログ。
【請求項2】
及びRは、それぞれ独立して、-O(CRであり、
、R、Rは、それぞれ独立して、-H、C~Cアルキル、-OR及び-NRから選択され、
及びRは、それぞれ独立して、C~Cアルキルであり、又はR及びR が結合するNとに飽和若しくは不飽和5~8員複素環基を形成し、前記飽和若しくは不飽和5~8員複素環基は独立して任意に1つ以上のR10で置換されていてもよく、R10はC~Cアルキルである、請求項1に記載のキノリン若しくはキナゾリン化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、立体異性体若しくは重水素化アナログ。
【請求項3】
は、-O(CRであり、
oは0~4の整数であり、
は-H、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ及び-NRからなる群から選択され、
及びRは、それぞれ独立して、C~Cアルキルであり、又はR及びR が結合するNとに飽和若しくは不飽和5~6員複素環基を形成し、前記飽和若しくは不飽和5~6員複素環基は独立して任意に1つ以上のR10で置換されていてもよく、R10はC~Cアルキルである、請求項2に記載のキノリン若しくはキナゾリン化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、立体異性体若しくは重水素化アナログ。
【請求項4】
は、メトキシル、エトキシル、プロポキシル、2-メトキシエトキシル、3-メトキシプロポキシル、3-モルホリノプロポキシル、2-(ピロリジン-1-イル)エトキシル、3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシル、(ピペリジン-1-イル)エトキシル、(ピペリジン-1-イル)プロポキシル、4-メトキシブトキシル、2-モルホリノエトキシル、(4-メチルピペラジン-1-イル)プロポキシル、ジメチルアミノエトキシル及びイソペンチルオキシルからなる群から選択される、請求項3に記載のキノリン若しくはキナゾリン化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、立体異性体若しくは重水素化アナログ。
【請求項5】
は-(CHであり、
oは0~4の整数であり、
は-H、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ及び-NRからなる群から選択され、
又は、R及びR が結合するNとに飽和若しくは不飽和5~6員複素環基を形成する、請求項2に記載のキノリン若しくはキナゾリン化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、立体異性体若しくは重水素化アナログ。
【請求項6】
は、メトキシル、エトキシル、プロポキシル、2-メトキシエトキシル、3-メトキシプロポキシル、2-モルホリノエトキシル及び3-モルホリノプロポキシルからなる群から選択される、請求項5に記載のキノリン若しくはキナゾリン化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、立体異性体若しくは重水素化アナログ。
【請求項7】
XはNである、請求項1~6のいずれか1項に記載のキノリン若しくはキナゾリン化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、立体異性体若しくは重水素化アナログ。
【請求項8】
キノリン又はキナゾリン化合物は、
N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(4-((6,7-ビス(2-メトキシエトキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(4-((6,7-ジメトキシキナゾリン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(3-フルオロ-4-((7-メトキシ-6-(3-メトキシプロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(4-メトキシブトキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(2-モルホリノエトキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-メトキシプロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(4-((7-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)-6-メトキシキナゾリン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(3-フルオロ-4-((7-(イソペンチルオキシ)-6-メトキシキナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-プロポキシキナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(4-((7-エトキシ-6-メトキシキナゾリン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(3-フルオロ-4-((7-メトキシ-6-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、及び
-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
からなる群から選択される、請求項1に記載のキノリン若しくはキナゾリン化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、立体異性体若しくは重水素化アナログ。
【請求項9】
AXLキナーゼ阻害剤及び/又はFlt3キナーゼ阻害剤の調製における、請求項1~8のいずれか1項に記載のキノリン若しくはキナゾリン化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、立体異性体若しくは重水素化アナログの使用。
【請求項10】
腫瘍の予防又は治療のための薬剤の調製における、請求項1~8のいずれか1項に記載のキノリン若しくはキナゾリン化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、立体異性体若しくは重水素化アナログの使用。
【請求項11】
前記腫瘍は、血液腫瘍、消化管間質腫瘍、組織球性リンパ腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、膵癌、乳癌、前立腺癌、肝癌、皮膚癌、上皮細胞癌又は鼻咽頭癌である、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
有効成分と医薬的に許容可能な賦形剤とを含み、
前記有効成分は、請求項1~8のいずれか1項に記載のキノリン若しくはキナゾリン化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、立体異性体若しくは重水素化アナログを含む、腫瘍の予防又は治療のための医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化学的薬剤技術の分野に関し、特にキノリン又はキナゾリン化合物及びその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
AXLは、受容体型チロシンキナーゼのクラスであり、他の2つのメンバーであるMer及びTyro3も含むTAM受容体型チロシンキナーゼファミリーに属する。TAMは、腫瘍細胞で最初に発見され、その過剰発現及び異所性発現は、免疫制御並びに腫瘍の増殖、成長及び移行に密接に関連する。AXLは、1988年に慢性骨髄性白血病の患者及び慢性骨髄増殖性疾患の患者から単離された。AXLは、脳、免疫細胞、血小板、内皮細胞、骨格筋、心臓、肝臓、腎臓及び他の組織に広く発現する。ビタミンK依存性タンパク質キナーゼGas6(増殖停止特異性6)は、近年発見されて最も広く研究されているAXLリガンドであり、TAMファミリーにおける他のリガンドは、プロテインS、Tubby、Tulp-1及びガレクチン3を含む。TAMファミリーは、類似のタンパク質構造を有し、それは主に細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインの3つの部分で構成される。細胞外ドメインは、2つのN末端イムノグロブリン様領域のIgと2つのフィブロネクチンIII繰り返し断片(FNIII)とを含む。AXLの細胞外ドメインに結合後に、Gas6は、AXLの二量体化を誘導し、細胞内ドメインの自己リン酸化転移を開始して、それにより、Src/MAPK/ERK経路を通して細胞の成長及び増殖を制御し、PI3K/AKT経路を通して抗アポトーシスタンパク質の発現を刺激し、PI3K/p38/MAPK経路を通して細胞の遊走及び増殖を制御する等の細胞内シグナル経路の活性化及び一連の生理学的活性を制御する。Gas6依存性活性に加えて、AXLは、リガンドに独立した様式で活性化され得る。AXLは、正常細胞の細胞接着及び免疫制御作用に関連する。研究は、AXLの過剰発現が種々の腫瘍細胞で生じていること、並びに、Gas6/AXLにより制御されたシグナル経路は、慢性骨髄性白血病、乳癌、前立腺癌、非小細胞肺癌、膵癌、メラノーマ、グリオーマ及び腎細胞癌等の種々の腫瘍の発生及び成長に密接に関連することを見出した。AXLの発現を阻害することが膵癌細胞の増殖及び成長を抑制でき、乳癌細胞の浸潤及び移行を阻害できることが確認されている。非小細胞肺癌において、AXLの遺伝子サイレンシングは、腫瘍の成長を阻害できる。同時に、AXLの高い発現は、腫瘍の再発、並びにイマチニブ(Gliver)、エルロチニブ(Tarceva)及びラパチニブ(Tyverb)等の他の抗癌剤耐性にも関連する。これらの証拠は、AXLが腫瘍標的療法の有効な標的であることを示す。
【0003】
ボスチニブ(SKI606, PF5208763, Bosulif; Pfizer, 2012)、カボザンチニブ(XL184, Cometriq; Exelixis, 2012)、スニチニブ(SU11248, Sutent; Pfizer, 2006)及び他の市販されている薬剤は、AXL活性を有するが、それらは、特異性が無い複数標的薬剤である。BGB324(R428; Rigel Pharmaceuticals, BergenBio)は、AXLに対して最も特異的な小分子阻害剤として一般に周知であり、それは、フェーズIIの臨床試験にあり、2014年12月にFDAにより「AML治療のための希少疾病用医薬品」のタイトルを与えられた。現在、市場において、AXLキナーゼに対する小分子阻害剤は無い。
【発明の概要】
【0004】
これに基づいて、本開示は、キノリン又はキナゾリン化合物を提供し、それはAXLキナーゼの良好な阻害活性を有し、良好な代謝安定性の利点を有する。
【0005】
特定の技術的解決策は以下の通りであって、化学式(I)により表される構造を有するキノリン若しくはキナゾリン化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、立体異性体、プロドラッグ分子若しくは重水素化アナログであって、
【化1】
化学式(I)中において、
Xは、CH及びNから選択され、
及びRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、-(CR及び-O(CRからなる群から選択され、
oは0~6の整数であり、
、R、Rは、それぞれ独立して、-H、C~Cアルキル、ハロゲン、-CF、-OCF、-(C=O)-NR、-COOR、-SO-NR、-CHR、-OR及び-NRから選択され
及びRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン及びC~Cアルキルから選択され、又はR及びRは共にNに結合されて飽和若しくは不飽和5~8員複素環基を形成し、前記飽和若しくは不飽和5~8員複素環基は独立して任意に1つ以上のR10で置換されていてもよく、R10はC~Cアルキルであり、
又は、R及びRは、1~4のヘテロ原子を含む飽和若しくは不飽和C~C18脂肪族シクロアルキルである。
【0006】
これらの実施形態のいくつかにおいて、R、Rは、それぞれ独立して、-O(CRであり、
、R、Rは、それぞれ独立して、-H、C~Cアルキル、-OR及び-NRから選択され
及びRは、それぞれ独立して、C~Cアルキルであり、又はR及びRは共にNに結合されて飽和若しくは不飽和5~8員複素環基を形成し、前記飽和若しくは不飽和5~8員複素環基は独立して任意に1つ以上のR10で置換されていてもよく、R10はC~Cアルキルである。
【0007】
これらの実施形態のいくつかにおいて、Rは、-O(CRであり、
oは0~4の整数であり、
は-H、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ及び-NRからなる群
から選択され
及びRは、それぞれ独立して、C~Cアルキルであり、又はR及びR
共にNに結合されて飽和若しくは不飽和5~6員複素環基を形成し、前記飽和若しくは不
飽和5~員複素環基は独立して任意に1つ以上のR10で置換されていてもよく、R
はC~Cアルキルである。

【0008】
これらの実施形態のいくつかにおいて、Rは、メトキシル、エトキシル、プロポキシル、2-メトキシエトキシル、3-メトキシプロポキシル、3-モルホリノプロポキシル、2-(ピロリジン-1-イル)エトキシル、3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシル、(ピペリジン-1-イル)エトキシル、(ピペリジン-1-イル)プロポキシル、4-メトキシブトキシル、2-モルホリノエトキシル、(4-メチルピペラジン-1-イル)プロポキシル、ジメチルアミノエトキシル及びイソペンチルオキシルからなる群から選択される。
【0009】
これらの実施のいくつかにおいて、Rは-(CHであり、
oは0~4の整数であり、
は-H、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ及び-NRからなる群から選択され
又は、R及びRは共にNに結合されて飽和若しくは不飽和5~6員複素環基を形成する。
【0010】
これらの実施形態のいくつかにおいて、Rは、メトキシル、エトキシル、プロポキシル、2-メトキシエトキシル、3-メトキシプロポキシル、2-モルホリノエトキシル及び3-モルホリノプロポキシルからなる群から選択される。
【0011】
これらの実施形態のいくつかにおいて、XはNである。
【0012】
これらの実施形態のいくつかにおいて、キノリン又はキナゾリン化合物は、
N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(4-((6,7-ビス(2-メトキシエトキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(4-((6,7-ジメトキシキナゾリン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(3-フルオロ-4-((7-メトキシ-6-(3-メトキシプロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(4-メトキシブトキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(2-モルホリノエトキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-メトキシプロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(4-((7-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)-6-メトキシキナゾリン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(3-フルオロ-4-((7-(イソペンチルオキシ)-6-メトキシキナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-プロポキシキナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(4-((7-エトキシ-6-メトキシキナゾリン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
N-(3-フルオロ-4-((7-メトキシ-6-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
及び、N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド、
からなる群から選択される。
【0013】
また、本開示は、上記キノリン又はキナゾリン化合物の使用も提供する。
【0014】
特定の技術的解決策は、以下の通りであって、AXLキナーゼ阻害剤及び/又はFlt3キナーゼ阻害剤の調製における、上記キノリン若しくはキナゾリン化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、立体異性体、プロドラッグ分子若しくは重水素化アナログの使用である。
【0015】
腫瘍の予防又は治療のための薬剤の調製における、上記キノリン若しくはキナゾリン化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、立体異性体、プロドラッグ分子若しくは重水素化アナログの使用である。
【0016】
いくつかの実施形態において、腫瘍は、血液腫瘍、消化管間質腫瘍、組織球性リンパ腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、膵癌、乳癌、前立腺癌、肝癌、皮膚癌、上皮細胞癌又は鼻咽頭癌である。血液腫瘍は、好ましくは白血病である。
【0017】
本開示は、腫瘍の予防又は治療のための医薬組成物も提供する。
【0018】
特定の技術的解決策は以下の通りであって、有効成分と医薬的に許容可能な賦形剤とを含み、前記有効成分は上記キノリン若しくはキナゾリン化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、立体異性体、若しくはプロドラッグ分子を含む、腫瘍の予防又は治療のための医薬組成物である。
【0019】
キノリン若しくはキナゾリン化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、プロドラッグ分子、立体異性体、又は本開示の医薬組成物は、AXLタンパク質キナーゼの作用を阻害するのに有効であり得、種々の腫瘍細胞の増殖、移行及び浸潤を阻害できる。また、多くの創造的な実験的研究に基づいて、本発明者らは、予想外に、本開示のキノリン又はキナゾリン化合物の1,4-ジヒドロキノリンの6位におけるトリフルオロメトキシの導入が、その化合物のインビボでの代謝安定性を顕著に改善し得、従って、化合物にインビボでのより高い抗腫瘍活性を与え、その一方で、低い毒性及び副作用といった利点を有し、ヒト及び他の哺乳動物における腫瘍等の過剰増殖の疾患を予防又は治療するための薬剤の調製に用いられ得ることを発見した。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、UPLC/Q-TOF MS法による肝細胞におけるTL134化合物に関連する代謝物の検出結果のスペクトルを示し、Aは不活性型肝細胞、Bはヒト肝細胞、Cはサル肝細胞での結果を示す。
図2図2は、UPLC/Q-TOF MS法による肝細胞におけるTL134化合物に関連する代謝物の検出結果のスペクトルを示し、Dはイヌ肝細胞、Eはラット肝細胞、Fはマウス肝細胞での結果を示す。
図3図3は、UPLC-UV法(254nm)による肝細胞におけるTL134に関連する代謝物の検出結果のスペクトルを示し、Aは不活性型肝細胞、Bはヒト肝細胞、Cはサル肝細胞での結果を示す。
図4図4は、UPLC-UV法(254nm)による肝細胞におけるTL134に関連する代謝物の検出結果のスペクトルを示し、Dはイヌ肝細胞、Eはラット肝細胞、Fはマウス肝細胞での結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、実施例及び図面を参照して以下にさらに詳細に説明されるが、本開示の実施形態はそれに限定されない。
【0022】
本開示で言及される化合物において、可変要素(例えばR、R等)がいずれかの構成要素において一度以上現れる場合、それぞれの発生の定義は、それぞれの発生の定義と独立している。また、置換基及び可変要素の組み合わせは、その組み合わせが化合物を安定化する限り許容される。置換基から環構造に入るように描かれた線は、示された結合が置換される環原子のいずれかに結合され得ることを表す。環構造が多環である場合、そのような結合は隣接する環の適切な炭素原子のいずれかにのみ結合されることを意味する。本技術分野の技術及び以下に記載の方法を用いて、容易に入手可能な原材料から容易に合成可能である化学的に安定な化合物を提供するために、当業者が本開示の化合物の置換基及び置換された形態を選択し得ることが理解される。置換基自体が1つの基以上で置換される場合、これらの基は、構造が安定である限り同一の炭素原子又は異なる炭素原子に生じ得る。
【0023】
本明細書で用いられる「アルキル」の用語は、特定の数の炭素を有する分枝鎖及び直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基を含むことを意味する。例えば、「C~Cアルキル」における「C~C」の定義は、直鎖又は分枝鎖で配置された1つ、2つ、3つ、4つ又は5つの炭素原子を有する基を含む。例えば、「C~Cアルキル」は、具体的に、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル及びペンチルを含む。「シクロアルキル」の用語は、特定の数の炭素原子を有する単環式飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば「シクロアルキル」は、シクロプロピル、メチル-シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等を含む。
【0024】
本明細書で用いられる「複素環」又は「複素環基」の用語は、O、N及びSから選択される1~4つのヘテロ原子を含む5~6員の芳香族又は非芳香族複素環を意味し、二環基を含み得る。従って、「複素環」の用語は、上記ヘテロアリール基を含み、また、その二水素化及び四水素化アナログを含む。「複素環」の更なる例は、以下のものに限定されないが、イミダゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キノキサリニル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル及びアゾリルを含む。複素環置換基の結合は、炭素原子又はヘテロ原子を介して行われ得る。
【0025】
当業者に理解されるように、本明細書で用いられる「ハロ」又は「ハロゲン」は、塩素、フッ素、臭素及びヨウ素を含むことを意味する。
【0026】
アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及び複素環の置換基は、他に定義されない限り置換されていなくてもよい又は置換されていてもよい。例えば、(C~C)アルキルは、OH、ハロゲン、ニトリル、シアノ基、アルコキシル、ジアルキルアミノ基、並びにモルホリニル及びピペリジニル等の複素環基からなる群から選択される1つ、2つ又は3つの置換基で置換されていてもよい。
【0027】
本開示は、化学式(I)の化合物の遊離型、並びにその医薬的に許容可能な塩及び立体異性体を含む。本明細書におけるいくつかの特定の代表的化合物は、アミン化合物のプロトン化塩である。「遊離型」の用語は、非塩形態のアミン化合物を意味する。含まれる医薬的に許容可能な塩は、本明細書で記載された特定の化合物の代表的な塩のみならず、遊離型での化学式(I)の全ての化合物の典型的な医薬的に許容可能な塩をも含む。化合物の特定の塩の遊離型は、本技術分野において周知の技術を用いて分離され得る。例えば、遊離型は、NaOH希釈水溶液、炭酸カリウム希釈水溶液、希釈アンモニア液及び重炭酸ナトリウム希釈水溶液等の適切な塩基性希釈水溶液により塩を処理することにより再生され得る。遊離型は、極性溶媒における可溶性等の特定の物理的特性において、そのそれぞれの塩とは幾分異なるが、本発明の目的のためには、そのような酸性塩及び塩基性塩は他の医薬的態様においてそれぞれの遊離型に相当する。
【0028】
本開示の医薬的に許容可能な塩は、従来の化学的方法により、塩基性又は酸性成分を含む本開示の化合物から合成され得る。一般に、アルカリ性化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーによって、又は適切な溶媒若しくは複数の溶媒の組み合わせの条件下での遊離塩基と化学量論量若しくは過剰量の所望の塩形態の無機若しくは有機酸との反応によって調製される。同様に、酸性化合物の塩は、適切な無機又は有機塩基との反応により生成される。
【0029】
従って、本開示の化合物の医薬的に許容可能な塩は、本開示のアルカリ性化合物と無機若しくは有機酸との反応により生成される本開示の化合物の従来の非毒性塩を含む。例えば、従来の非毒性塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等の無機酸に由来する塩、及び酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、p-アミノベンセンスルホン酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸から調製される塩を含む。
【0030】
本開示の化合物が酸性の場合、適切な「医薬的に許容可能な塩」は、無機塩基及び有機
塩基を含む医薬的に許容可能な非毒性塩基により調製される塩を意味する。無機塩基由来
の塩は、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、鉄塩、第一鉄塩、リチ
ウム塩、マグネシウム塩、マンガン塩、第一マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜
鉛塩等を含む。アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩及びナトリ
ウム塩は、特に好ましい。医薬的に許容可能な有機非毒性塩基由来の塩に関しては、該塩
基は、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンの塩を含み、置換アミンは、天然置
換アミン、環状アミン、並びにアルギニン、グリシン、ベタイン、カフェイン、コリン、
N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノー
ル、2-ジメチルアミノエタノール、アミノエタノール、エタノールアミン、エタンジア
ミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルコサミン、アミノグルコース
、ヒスチジン、ヒドロキシコバラミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルコサミ
ン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオ
ブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン及びトロメタミン
等の塩基性イオン交換樹脂を含む。

【0031】
上記医薬的に許容可能な塩及び他の典型的な医薬的に許容可能な塩の調製は、「Berg et al., Pharmaceutical Salts, J. Pharm. Sci. 1977: 66: 1-19」により詳細に記載されている。
【0032】
カルボキシル基等の化合物の脱プロトン化酸性成分は、生理的条件下でアニオン性となり得るため、この電荷は、プロトン化、又は四価窒素原子等の内部にカチオンを含むアルキル化塩基性成分によって釣り合わされ得、従って、本開示の化合物は潜在的な分子内塩又は双性イオンであることが明記されるべきである。
【0033】
文献において知られている又は実験手法で例証された標準的な方法に加えて、本開示の化合物は、以下のスキームで示される反応を用いて調製され得る。従って、以下の説明的スキームは、説明の目的のためのものであり、示された化合物又は特定の置換基に限定するものではない。そのスキームに示された置換基の数は、特許請求の範囲に用いられた数と必ずしも一致するものではなく、明確性のために1つの置換基が上記化学式(I)の定義下で複数の置換基を許容する化合物に付いていることを示す。
【0034】
(合成のスキーム)
スキームAに示すように、化学式(I)の化合物は、出発物質としての7-ベンジルオキシ-4-クロロ-6-メトキシキナゾリンから4ステップの反応を介して合成され得る。
【化2】
【0035】
本開示により提供された化学式(I)の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩若しくは立体異性体は、腫瘍等のヒト又は他の哺乳動物における過剰増殖の疾患又は症状を治療するために用いられ得る。特に、消化管間質腫瘍、組織球性リンパ腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、膵癌、乳癌、前立腺癌、肝癌、皮膚癌、上皮細胞癌、前立腺癌、鼻咽頭癌及び白血病等の過剰増殖の疾患の治療又は制御のための薬剤の調製に用いられる。
【0036】
本開示により設計された化合物、又はその医薬的に許容可能な塩若しくは立体異性体は、それらの臨床的効果を増大するための、使用時又は開発段階において、広く薬剤と組み合わせて用いられ得、そのような薬剤は、エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、網膜様受容体モジュレータ、細胞毒素/細胞分裂阻害剤、抗増殖因子、タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG-CoA還元酵素阻害剤、HIVタンパク質キナーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管新生阻害剤、細胞増殖及び生存シグナル阻害剤、細胞周期チェックポイントに干渉する薬剤、アポトーシス誘導剤、細胞毒性薬剤、チロシンタンパク質阻害剤、EGFR阻害剤、VEGFR阻害剤、セリン/トレオニンタンパク質阻害剤、Brc-Abl阻害剤、c-Kit阻害剤、Met阻害剤、Raf阻害剤、MEK阻害剤、MMP阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、ヒスチジンデアセチラーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤、CDK阻害剤、Bcl-2ファミリータンパク質阻害剤、MDM2ファミリータンパク質阻害剤、IAPファミリータンパク質阻害剤、STATファミリータンパク質阻害剤、PI3K阻害剤、AKT阻害剤、インテグリンブロッカー、インターフェロンα、インターロイキン12、COX-2阻害剤、p53活性剤、VEGF抗体、EGF抗体等が好ましい。
【0037】
本開示に係る化学式(I)の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩若しくは立体異性体、又はその医薬組成物は、以下の疾病及び他の以下に示されていない疾病の予防又は治療のための薬剤の調製のために用いられ得る。
(1)以下に限定されないが浸潤性乳管癌、浸潤性小葉癌、非浸潤性乳管癌及び非浸潤性小葉癌を含むヒト又は他の哺乳動物における乳癌。
(2)以下に限定されないが小細胞肺癌、非小細胞肺癌、気管支腺腫及び胸膜肺芽腫を含むヒト又は他の哺乳動物における呼吸器の癌。
(3)以下に限定されないが脳幹及び眼窩底付近のグリオーマ、小脳及び大脳のアストロサイトーマ、上衣腫、並びに神経外胚葉及び松芽腺の腫瘍を含むヒト又は他の哺乳動物における脳癌。
(4)ヒト又は他の哺乳動物の男性及び女性の生殖器における腫瘍であり、男性器の腫瘍は以下のものに限定されないが前立腺及び精巣癌を含み、女性器の腫瘍は以下のものに限定されないが子宮体癌、子宮頸部癌、卵巣癌、膣癌、外陰癌及び子宮内の腫瘍を含む。
(5)以下に限定されないが肛門癌、結腸癌、大腸癌、食道癌、胃癌、膵癌、直腸癌、小腸癌又は唾液腺癌を含むヒト又は他の哺乳動物における消化管の腫瘍。
(6)以下に限定されないが膀胱癌、陰茎癌、腎癌、腎盂癌、尿管癌又は尿道癌を含むヒト又は他の哺乳動物の尿道における腫瘍。
(7)以下に限定されないが眼内黒色腫及び網膜細胞腫を含むヒト又は他の哺乳動物における眼癌。
(8)以下に限定されないが肝細胞癌(繊維板の変化がある又はない肝細胞癌)、胆管細胞癌(肝内胆管細胞癌)及び混合型肺細胞性胆管細胞癌を含むヒト又は他の哺乳動物における肝癌。
(9)以下に限定されないが扁平上皮癌、カポジ肉腫、悪性黒色腫、メルク細胞皮膚癌及び非黒色腫細胞癌を含むヒト又は他の哺乳動物における皮膚癌。
(10)以下に限定されないが咽頭、下咽頭、鼻咽頭、中咽頭、舌、及び口腔の癌を含むヒト又は他の哺乳動物における頭頚部癌。
(11)以下に限定されないがエイズ関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、ホジキン病及び中枢神経系リンパ腫を含むヒト又は他の哺乳動物におけるリンパ腫。
(12)以下に限定されないが軟部組織肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、リンパ性肉腫及び横紋筋肉腫を含むヒト又は他の哺乳動物における肉腫。
(13)以下に限定されないが急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病及び有毛細胞白血病を含むヒト又は他の哺乳動物における白血病。
【0038】
(投与方法及び用量範囲)
標準的な薬学的技術に従って、本開示の化合物は、単独で又は医薬組成物において医薬的に許容可能な受容体、賦形剤又は希釈剤と組み合わせて、哺乳動物、好ましくはヒトに投与され得る。その化合物は、経口、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、直腸、局所、眼、肺、鼻腔及び非経口を介して投与され得る。
【0039】
一実施形態において、用量範囲は、化学式(I)の化合物が癌等の患者の治療又は制御のための薬剤を調整するために用いられる場合、経口で0.1~500mg/日/kg(体重)である。適切な投与方法は、1日1回投与、又は1日2回、3回若しくは4回投与、又は徐放技術を用いた投与である。種々の大型哺乳動物において、その好ましい用量範囲は、0.1~1500mg/日/kg(体重)であり、好ましくは0.5~100mg/日/kg(体重)である。平均体重が70kgの患者において、その1日の用量は、1~500mgである。特に高い活性を有する化合物では、成人患者のための1日の用量は、0.1mg/日程度であってもよい。
【0040】
(薬物代謝物及びプロドラッグ)
本開示の化合物の代謝物又はその医薬的に許容可能な塩、及びインビボで本開示の化合物又はその医薬的に許容可能な塩に変換され得るプロドラッグも、本開示の特許請求の範囲に含まれる。
【0041】
(組み合わせ投与)
化学式(I)の化合物は、同様の症状を治療する又は改善するための周知の薬剤と組み合わせて用いられ得る。組み合わせ投与において、周知の薬剤の投与方法及び用量は、同一に維持される一方で、化学式(I)の化合物は、同時に又は順次に投与される。化学式(I)の化合物が1つ以上の他の薬剤と同時に用いられる場合、1つ以上の他の周知の薬剤及び化学式(I)の化合物を含む医薬組成物が用いられることが好ましい。組み合わせ薬剤療法は、重複する期間に1つ以上の他の周知の薬剤と化学式(I)の化合物を投与することも含む。化学式(I)の化合物が1つ以上の他の薬剤と組み合わせて用いられる場合、化学式(I)の化合物及び他の周知の薬剤は、それらが単独で用いられる場合よりも低い用量で用いられ得る。
【0042】
化学式(I)の化合物と組み合わせて用いられ得る薬剤又は有効成分は以下のものに限られないが、エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、網膜様受容体モジュレータ、細胞毒素/細胞分裂阻害剤、抗増殖因子、タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG-CoA還元酵素阻害剤、HIVタンパク質キナーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管新生阻害剤、細胞増殖及び生存シグナル阻害剤、細胞周期チェックポイントに干渉する薬剤、アポトーシス誘導剤、細胞毒性薬剤、チロシンタンパク質阻害剤、EGFR阻害剤、VEGFR阻害剤、セリン/トレオニンタンパク質阻害剤、Brc-Abl阻害剤、c-Kit阻害剤、Met阻害剤、Raf阻害剤、MEK阻害剤、MMP阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、ヒスチジンデアセチラーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤、CDK阻害剤、Bcl-2ファミリータンパク質阻害剤、MDM2ファミリータンパク質阻害剤、IAPファミリータンパク質阻害剤、STATファミリータンパク質阻害剤、PI3K阻害剤、AKT阻害剤、インテグリンブロッカー、インターフェロンα、インターロイキン12、COX-2阻害剤、p53、p53活性剤、VEGF抗体、EGF抗体等を含む。
【0043】
一実施形態において、化学式(I)の化合物と組み合わせて用いられ得る薬剤又は有効
成分は、以下のものに限定されないが、アルデスロイキン、アレンドロン酸、インターフ
ェロン、アリトレチノイン、アロプリノール、アノプリノールナトリウム、パロノセトロ
ン塩酸塩、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アミホスチン、アムルブシン、アムサ
クリン、アナストロゾール、ドラセトロン、アラネスプ、アルグラビン、三酸化ヒ素、ア
ロマシン、5-アザシチジン、アザチオプリン、カルメット‐ゲラン桿菌(BCG)又は
タイスBCG、ベスタチン、酢酸ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム製剤、ベ
キサロテン、硫酸ブレオマイシン、ブロモウリジン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カル
シトニン、アレムツズマブ注射剤、カペシタビン、カルボプラチン、カソデックス、セフ
ェゾン、セルモロイキン、ダウノルビシン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビ
、クラドロン酸、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、アクチンマイシン
D、ダウノルビシンリポソーム、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、エストラジオ
ール吉草酸エステル、出にロイキンディフトックス2、デポ‐メドロール、デスロレリン
、デクスラゾキサン、スチルベストロール、ジフルカン、ドセタキセル、ドキシフルリジ
ン、アドリアマイシン、ドロナビノール、Ho-166-キトサン複合体、エリガード、
ラスブリカーゼ、エピルビシン塩酸塩、アプレピタント、エピルビシン、エポエチンアル
ファ、エリスロポエチン、エプタプラチン、レバミゾールタブレット、エストラジオール
製剤、17-β‐エストラジオール、エストラムスチンリン酸エステルナトリウム、エチ
ニルエストラジオール、アミホスチン、ヒドロキシリン酸、エトポホス、エトポシド、フ
ァドロゾール、タモキシフェン製剤、フィルグラスチム、フィナステリド、フィルグラス
チン、フロクスウリジン、フルコナゾール、フルダラビン、5-フルオロ-2-デオキシ
ウリジンモノリン酸、5-フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ホル
メスタン、1-β‐D-アラビノフラノシルシトシン-5’-ステアロイルリン酸塩、フ
ォテムスチン、フルベストラント、ガンマグロブリン、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、イ
マチニブメシル塩、カルムスチンもち米ライスペーパーカプセル、ゴセレリン、グラニテ
ロン塩酸塩、ヒストラリン、ハイカムチン、ハイドロコルチゾン、エリスロ-ヒドロキシ
ノニルアデニン、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イホス
ファミド、インターフェロンα、インターフェロンα2、インターフェロンα-2A、イ
ンターフェロンα-2B、インターフェロンα-n1、インターフェロンα-n3、イン
ターフェロンβ、インターフェロンγ-1a、インターロイキン-2、イントロンA、イ
レッサ、イリノテカン、カイトリル、レンチナン硫酸塩、レトロゾール、ホルミルテトラ
ヒドロ葉酸、リュープロレリン、リュープロレリン酢酸塩、レバミゾール、レボホリナー
トカルシウム、レボチロキシンナトリウム、レボチロキシンナトリウム製剤、ロムスチン
、ロニダミン、ドロナビノール、窒素マスタード、メチルコバラミン、酢酸メドロプロゲ
ステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、エステル化エストロゲン、6-メルカプ
トプリン、メスナ、アメソプテリン、メチルアミノレブリン酸、ミルテホシン、ミノサイ
クリン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、トリロスタン、アドリアマイ
シンクエン酸塩リポソーム、ネダプラチン、ペグ化フィルグラスチム、オプレルベキン、
ニューポジェン、ニルタミド、タモキシフェン、NSC-631570、組換えヒトイン
ターロイキン1-β、オクトレチオド、オンダンセトロン塩酸塩、デヒドロヒドロコルチ
ゾン経口溶液、オキサリプラチン、パクリタキセル、プレドニゾンリン酸ナトリウム製剤
、ペグアスパラガーゼ、ペガシス、ペントスタチン、ピシバニール、ピロカルピン塩酸塩
、ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニマスチン、プレド
ニゾロンステアグラート、プレドニゾン、プレマリン、プロカルバジン、組換えヒトエリ
スロポエチン、ラルチトレキセド、レビフ、エチドロネート‐レニウム‐186、マブセ
ラ、レドクソン-A、ロムルチド、ピロカルピン塩酸塩タブレット、オクトレチオド、サ
ルグラモスチム、セムスチン、シゾフィラン、ソブゾキサン、メチルプレドニゾロンナト
リウム、パフォス酸、幹細胞療法、ストレプトゾシン、塩化ストロンチウム-89、レボ
チロキシンナトリウム、タモキシフェン、タムスロシン、タスナミング、タストラクトン
、タキソテレ、テセロイキン、テモゾロミド、テニポシド、プロピオン酸テストステロン
、メチルテストステロン、チオグアニン、チオテパ、チロイド刺激ホルモン、チルドロン
酸、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トランスツズマブ、トレオスルファン、
トレチノイン、メトトレキサートタブレット、トリメチルメラミン、トリメトレキサート
、酢酸トリプトレリン、トリプトレリンパモ酸塩、UFT、ウリジン、バルルビシン、ベ
スナリノン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビルリジン
、デクスラゾキサン、ジノスタチンスチマラマー、ゾフラン、パクリタキセルタンパク質
安定化剤、アコルビフェン、インターフェロンγ-1b、アフィニタク、アミノプテリン
、アルゾキシフェン、アソプリスニル、アタメスタン、アトラセンタン、BAY43-9
006、アバスチン、CCI-779、CDC-501、セレブレックス、セツキシマブ
、クリスナトール、酢酸シプロテロン、デシタビン、DN-101、アドリアマイシン-
MTC、dSLIM、デュタステリド、エドテカリン、エフルニチン、エキサテカン、フ
ェンレチニド、ヒスタミン二塩酸塩、ヒストレリンヒドロゲルインプラント、ホルミウム
-166DOTMP、イバンドロン酸、インターフェロンγ、イントロン-PEG、イク
サベピロン、キーホールリンペットヘモシアニン、L-651582、ランレオチド、ラ
ソフォキシフェン、リブラ、ロナファミブ、ミプロキシフェン、ミノコレート、MS-2
09、リポソームMTP-PE、MX-6、ナファレリン、ネモルビシン、ネオバスタッ
ト、ノラトレキシド、オブリメルセン、オンコTCS、オシデム、ポリグルタミン酸パク
リタキセル、パミドロン酸ナトリウム、PN-401、QS-21、クアゼパム、R-1
549、ラロキシフェン、オンコナーゼ、13-シス-レチノイン酸、サトラプラチン、
セオカルシトール、T-138067、タルセバ、ドコサヘキサエン酸パクリタキセル、
チモシンα1、ガラゾリン、チピファルニブ、チラパザミン、TLK-286、トレミフ
ェン、トランス-MID-lo7R、バルスポダール、バプレオチド、バタラニブ、ベル
テポルフィン、ビンフルニン、Z-100及びゾレドロン酸、又はそれらの組み合わせを
含む。
【0044】
以下は特定の実施例であり、以下の実施例で用いられる原材料試薬は全て商業上入手可能である。
【0045】
実施例1:N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド(TL134と呼ぶ)の調製
【化3】
【0046】
ステップa1:ジエチル2-(1-((4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)アミノ)エチリデン)マロネートの調製
P-トリフルオロメトキシアニリン(2.42g、20mmol)及びジエチルアセチルマロネート(2.02g,10mmol)を50mLのn-ペンタンに溶解し、その後に、触媒量のp-トルエンスルホン酸(20mg)を加え、反応を一晩中還流した。反応を室温に冷却し、少量の飽和NaHCOを加え、その後、混合物をEAで2度抽出した。有機相を結合し、飽和塩水で1度洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、回転蒸発により乾燥させ、その後、カラムクロマトグラフィーに掛けて2.68g(87.8%)の固体を得た。
【0047】
ステップa2:エチル2-メチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキシレートの調製
ジエチル2-(1-((4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)アミノ)エチリデン)マロネート(2.5g、8.2mmol)を25mLのジフェニルエーテルに溶解し、200℃に加熱し、2時間撹拌して反応させた。反応を室温に冷却し、固体を沈殿させ、その後、混合物を濾過し、PEで洗浄し、その後、真空乾燥して2g(94.3%)の白色固体を得た。
【0048】
ステップ3a:エチル1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキシレートの調製
エチル2-メチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキシレート(2g、7.7mmol)及びKCO(3.18g、23.1mmol)を50mLのDMFに溶解し、その後、MeI(0.72mL、11.55mmol)を撹拌しながら加え、混合物を50℃で一晩中反応させた。反応を室温に冷却し、水で急冷し、その後に固体を沈殿させた。混合物を水で複数回洗浄し、固体をDCMで複数回抽出した。有機相を結合し、回転蒸発により乾燥し、その後、カラムクロマトグラフィーに掛けて1.52g(72.4%)の白色固体を得た。
【0049】
ステップ4a:1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボン酸の調製
エチル1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキシレート(1.5g、5.5mmol)及びNaOH(880mg、22mmol)を30mLのエタノール及び15mLの水の混合溶媒に溶解し、その後、その混合物を一晩中反応させた。反応を室温に冷却し、その後、有機溶媒のほとんどを回転蒸発により蒸発させ、水を加え、氷浴において希釈HClによりpHを7~8に調整し、その後、固体を沈殿させ、混合物を濾過し、その後、真空乾燥して1.25g(93.3%)の白色固体を得た。
【0050】
【化4】
【0051】
ステップb1:4-((7-(ベンジルオキシ)-6-メトキシキナゾリン-4-イル)オキシ)3-フルオロアニリンの調製
反応フラスコに7-ベンジルオキシ-4-クロロ-6-メトキシキナゾリン(4.5g、15mmol)、4-アミノ-2-フルオロフェノール(2.3g、18mmol)、カリウムtert-ブトキシド(2.4g、21mmol)及びDMF(250mL)を加え、混合物を80℃に加熱し2時間反応させた。反応を停止させて減圧下で溶媒を除去した後、混合物を乾燥カラムクロマトグラフィーに掛けて3.6g(62%)の4-((7-(ベンジルオキシ)-6-メトキシキナゾリン-4-イル)オキシ)-3-フルオロアニリンを得た。1H NMR (400 MHz, d6-DMSO) δ 8.53 (s, 1 H), 7.55 (s, 1 H), 7.52 (m, 2 H), 7.49 (s, 1 H), 7.44(t, J = 7.2 Hz, 2 H), 7.37 (t, J = 7.2 Hz, 1 H), 7.04 (t, J = 8.8 Hz, 1 H), 6.50 (dd, J = 2.4, 13.2 Hz, 1 H), 6.42 (dd, J = 2.4, 8.8 Hz, 1 H), 5.39 (s, 2H), 5.35 (s, 2 H), 3.97 (s, 3 H). MS (ESI), m/z: 391 [M+H]+
【0052】
ステップb2:4-(4-アミノ-2-フルオロフェノキシ)-6-メトキシキナゾリン-7-オールの調製
4-((7-(ベンジルオキシ)-6-メトキシキナゾリン-4-イル)オキシ)-3‐フルオロアニリン(5.2g、13.3mmol)Pd/C(0.4g)及びメタノール(250mL)を水素雰囲気下の0℃で一晩中反応させ、その後、濾過によりPd/Cを除去し、濾液を濃縮し、カラムに掛けて2.4g(60%)の4-(4-アミノ-2-フルオロフェノキシ)-6-メトキシキナゾリン-7-オールを得た。1H NMR (400 MHz, d6-DMSO) δ10.72 (s, 1 H), 8.45 (s, 1 H), 7.52 (s, 1 H), 7.22 (d, J = 3.2 Hz, 1 H), 7.02 (t, J = 8.8 Hz, 1 H), 6.49 (dd, J = 2.4, 12.8 Hz, 1 H), 6.41 (dd, J = 2.0, 8.8Hz, 1 H), 5.37 (s, 2 H), 3.97 (s, 3 H). MS (ESI), m/z: 301 [M+H]+
【0053】
ステップ3b:3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)アニリンの調製
4-(4-アミノ-2-フルオロフェノキシ)-6-メトキシキナゾリン-7-オール(400mg、1.3mmol)、4-(3-クロロプロピル)モルホリン(3-5a)(640mg、3.9mmol)及びカルボン酸カリウム(540mg、3;。9mmol)をDMF(50mL)に加え、混合物を80℃に加熱し、2時間反応させて、その後、酢酸エチルで3回抽出した。有機相を結合し、飽和塩水で洗浄し、回転蒸発により乾燥し、カラムに掛けて380mg(67%)の3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)アニリンを得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.60 (s, 1 H), 7.53 (s, 1 H), 7.31 (s, 1 H), 7.05 (t, J = 8.8 Hz, 1 H), 6.49 (dd, J = 2.4, 12.0 Hz, 1H), 6.41 (dd, J = 2.4, 8.8 Hz, 1H), 4.26 (t, J = 6.4Hz, 2 H), 4.02 (s, 3 H), 3.71 (t, J = 4.4 Hz, 4 H), 2.56 (t, J = 7.2 Hz, 2 H), 2.47 (s, 4 H), 2.11 (m, 2 H). MS (ESI), m/z: 428 [M+H]+
【0054】
ステップb4:N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド(TL134と呼ぶ)の調製
3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)アニリン(450mg、1mmol)、1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボン酸(277mg、1.2mmol)、HATU(570mg,1.5mmol)及びDIEA(0.5mL,3mmol)を、30mLのDMFに溶解し、その後、混合物を室温で一晩中撹拌させた。氷水を反応溶液に加え、その後固体を沈殿させた。混合液を濾過し、固体をジクロロメタンで2度抽出した。有機相を結合し、飽和塩水で一度洗浄し、無水NaSOで乾燥し、その後、濾過し、回転蒸発により乾燥させ、その後、カラムクロマトグラフィーに掛けて478mg(72%)の白色固体を得た。
【0055】
実施例2:N-(4-((6,7-ビス(2-メトキシエトキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド(TL197と呼ぶ)の調製
【化5】
その合成方法は実施例1が参照される。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ10.78 (s, 1H), 8.56 (s, 1H), 8.12 - 8.04 (m, 2H), 7.94 (dd, J = 12.8, 2.3 Hz, 1H), 7.82 (dd, J = 9.3, 3.0 Hz, 1H), 7.63 (s, 1H), 7.53 - 7.39 (m, 3H), 4.35(ddd, J = 9.1, 4.4, 2.7 Hz, 4H), 3.88 (s, 3H), 3.77 (q, J = 4.9 Hz, 4H), 3.36(s, 5H), 2.63 (s, 3H)。
【0056】
実施例3:N-(4-((6,7-ジメトキシキナゾリン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド(TL198と呼ぶ)の調製
【化6】
その合成方法は実施例1が参照される。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ10.78 (s, 1H), 8.57 (s, 1H), 8.07 (d, J = 12.0 Hz, 2H), 7.94 (d, J = 12.7 Hz, 1H), 7.83 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.54 - 7.34 (m, 3H), 4.00 (s, 6H),3.88 (s, 3H), 2.63 (s, 3H)。
【0057】
実施例4:N-(3-フルオロ-4-((7-メトキシ-6-(3-メトキシプロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド(TL199と呼ぶ)の調製
【化7】
その合成方法は実施例1が参照される。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 12.32(s, 1H), 8.62 (s, 1H), 8.38 (dd, J = 2.7, 1.3 Hz, 1H), 7.98 (dd, J = 12.4, 2.5Hz, 1H), 7.68 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 7.64 - 7.57 (m, 2H), 7.47 - 7.41 (m, 1H), 7.33 (s, 1H), 7.28 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 4.32 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 4.05 (s, 3H), 3.95 (s, 3H), 3.62 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 3.38 (s, 3H), 3.11 (s, 3H), 2.22 (p, J= 6.3 Hz, 2H)。
【0058】
実施例5:N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(4-メトキシブトキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド(TL204と呼ぶ)の調製
【化8】
その合成方法は実施例1が参照される。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 12.32 (s, 1H), 8.62 (s, 1H), 8.37 (dd, J = 2.9, 1.4 Hz, 1H), 7.98 (dd, J = 12.4, 2.4Hz, 1H), 7.67 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 7.63 - 7.58 (m, 1H), 7.56 (s, 1H), 7.43(ddd, J = 8.7, 2.4, 1.2 Hz, 1H), 7.30 (d, J = 13.5 Hz, 2H), 4.24 (t, J = 6.6Hz, 2H), 4.05 (s, 3H), 3.95 (s, 3H), 3.48 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.36 (s, 3H), 3.11 (s, 3H), 2.10 - 1.98 (m, 2H), 1.88 - 1.76 (m, 2H)。
【0059】
実施例6:N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(2-モルホリノエトキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド(TL209と呼ぶ)の調製
【化9】
その合成方法は実施例1が参照される。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 12.34(s, 1H), 8.63 (s, 1H), 8.39 (dd, J = 2.9, 1.3 Hz, 1H), 7.99 (dd, J = 12.4, 2.4Hz, 1H), 7.68 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 7.64 - 7.55 (m, 2H), 7.44 (ddd, J = 8.8, 2.5, 1.3 Hz, 1H), 7.33 (s, 1H), 7.30 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 4.36 (s, 2H), 4.06(s, 3H), 3.96 (s, 3H), 3.78 (d, J = 5.2 Hz, 4H), 3.12 (s, 3H), 2.97 (s, 2H),2.66 (s, 4H)。
【0060】
実施例7:N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド(TL212と呼ぶ)の調製
【化10】
その合成方法は実施例1が参照される。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 12.33(s, 1H), 8.62 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 7.99 (dd, J = 12.3, 2.4 Hz, 1H), 7.68 (d,J = 9.3 Hz, 1H), 7.64 - 7.58 (m, 1H), 7.57 (s, 1H), 7.44 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.34 (s, 1H), 7.30 (s, 1H), 4.29 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 4.06 (s, 3H), 3.96 (s,3H), 3.11 (s, 2H), 2.69 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 2.56 (s, 4H), 2.24 - 2.11 (m, 2H),2.05 (s, 1H), 1.80 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 1.25 (q, J = 6.9, 6.4 Hz, 2H)。
【0061】
実施例8:N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(2-(ピペリジン-1-イル)エトキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド(TL213と呼ぶ)の調製
【化11】
その合成方法は実施例1が参照される。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 12.32 (s, 1H), 8.62 (s, 1H), 8.38 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.99 (dd, J = 12.3, 2.4 Hz, 1H), 7.68 (d, J = 9.3 Hz, 1H),7.63 - 7.54 (m, 2H), 7.44 (dd, J = 8.8, 2.0 Hz, 1H), 7.33 (s, 1H), 7.29 (d, J =8.8 Hz, 1H), 4.39 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 4.05 (s, 3H), 3.96 (s, 3H), 3.11 (s,3H), 3.02 (s, 2H), 2.67 (s, 4H), 1.78 - 1.62 (m, 6H)。
【0062】
実施例9:N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド(TL238と呼ぶ)の調製
【化12】
その合成方法は実施例1が参照される。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.80 (s, 1H), 8.56 (s, 1H), 8.13 - 8.03 (m, 2H), 7.94 (dd, J = 12.8, 2.4 Hz, 1H), 7.82 (dd, J = 9.3, 3.1 Hz, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.50 (dd, J = 8.9, 2.3 Hz, 1H), 7.44 (t, J = 8.6 Hz, 1H), 7.40 (s,1H), 4.24 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.99 (s, 3H), 3.88 (s, 3H), 2.63 (s, 3H), 2.45 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 2.33 (s, 6H), 2.15 (s, 3H), 1.98 (q, J = 6.9, 6.4 Hz, 3H), 1.55 (s, 1H)。
【0063】
実施例10:N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド(TL231と呼ぶ)の調製
【化13】
その合成方法は実施例1が参照される。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 12.30 (s, 1H), 8.62 (s, 1H), 8.35 (dd, J = 2.8, 1.4 Hz, 1H), 7.97 (dd, J = 12.4, 2.4 Hz, 1H), 7.66 (d, J = 9.4Hz, 1H), 7.58 (d, J = 13.6 Hz, 2H), 7.42 (ddd, J = 8.8, 2.5, 1.2 Hz, 1H), 7.32 (s, 1H), 7.28 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 4.35 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 4.05 (s, 3H), 3.93 (s, 3H), 3.10 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 3.09 (s, 3H), 2.73 (d, J = 6.0 Hz, 4H), 1.85 (p, J = 3.3 Hz, 5H)。
【0064】
実施例11:N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-メチルプロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド(TL226と呼ぶ)の調製
【化14】
その合成方法は実施例1が参照される。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 12.27 (s, 1H), 8.61 (s, 1H), 8.35 - 8.29 (m, 1H), 7.97 (dd, J = 12.3, 2.4 Hz, 1H), 7.64 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 7.58(d, J = 3.1 Hz, 1H), 7.56 (s, 1H), 7.41 (dt, J = 8.8, 1.7 Hz, 1H), 7.34 (s, 1H), 7.30 - 7.24 (m, 1H), 4.31 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 4.05 (s, 3H), 3.92 (s, 3H), 3.61 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 3.38 (s, 3H), 3.07 (s, 3H), 2.21 (p, J = 6.3 Hz, 2H)。
【0065】
実施例12:N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド(TL216と呼ぶ)の調製
【化15】
その合成方法は実施例1が参照される。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.78 (s, 1H), 8.55 (s, 1H), 8.12 - 8.04(m, 2H), 7.94 (dd, J = 12.9, 2.3 Hz, 1H), 7.82 (dd, J = 9.3, 3.0 Hz, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.53 - 7.37 (m, 3H), 4.24 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 4.00 (d, J = 2.5 Hz, 3H), 3.88 (s, 3H), 3.33 (s, 3H), 2.63 (s, 3H), 2.42 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 2.35 (s, 4H), 2.02 - 1.90 (m, 2H), 1.51 (p, J = 5.5 Hz, 4H), 1.39 (q, J = 6.7, 6.2 Hz, 2H)。
【0066】
実施例13:N-(4-((7-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)-6-メトキシキナゾリン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド(TL233と呼ぶ)の調製
【化16】
その合成方法は実施例1が参照される。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 12.30 (s, 1H), 8.62 (s, 1H), 8.35 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.98 (dd, J = 12.3, 2.4 Hz, 1H), 7.66 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 7.63 - 7.54 (m, 2H), 7.46 - 7.39 (m, 1H), 7.32 (s, 1H), 7.29 (d, J = 8.5 Hz,1H), 4.31 (t, J = 5.9 Hz, 2H), 4.04 (s, 3H), 3.94 (s, 3H), 3.09 (s, 3H), 2.92 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 2.41 (s, 6H)。
【0067】
実施例14:N-(3-フルオロ-4-((7-(イソペンチルオキシ)-6-メトキシキナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド(TL230と呼ぶ)の調製
【化17】
その合成方法は実施例1が参照される。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 12.28 (s, 1H), 8.61 (s, 1H), 8.37 - 8.31 (m, 1H), 7.97 (dd, J = 12.4, 2.5 Hz, 1H), 7.65 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 7.58 (d, J = 12.1 Hz, 2H), 7.42 (ddd, J = 8.8, 2.5, 1.2 Hz, 1H), 7.32 (s, 1H), 7.30 - 7.24 (m, 1H), 4.24 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 4.05 (s, 3H), 3.93 (s, 3H), 3.08 (s,3H), 1.94 - 1.81 (m, 2H), 1.66 (s, 1H), 1.01 (s, 3H), 1.00 (s, 3H)。
【0068】
実施例15:N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-プロポキシキナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド(TL240と呼ぶ)の調製
【化18】
その合成方法は実施例1が参照される。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 12.26 (s, 1H), 8.61 (s, 1H), 8.31 (t, J = 1.8 Hz, 1H), 7.97 (dd, J = 12.4, 2.4 Hz, 1H), 7.63 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 7.57 (d, J = 6.2 Hz, 2H), 7.41 (ddd, J = 8.8, 2.5, 1.2 Hz, 1H), 7.30 (s, 1H), 7.29 - 7.23 (m, 1H), 4.17 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 4.05 (s, 3H), 3.91 (s, 3H), 3.06(s, 3H), 1.98 (h, J = 7.2 Hz, 2H), 1.10 (t, J = 7.4 Hz, 3H)。
【0069】
実施例16:N-(4-((7-エトキシ-6-メトキシキナゾリン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド(TL241と呼ぶ)の調製
【化19】
その合成方法は実施例1が参照される。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.78 (s, 1H), 8.55 (s, 1H), 8.12 - 8.03 (m, 2H), 7.94 (dd, J = 12.9, 2.3 Hz, 1H), 7.82 (dd, J = 9.3, 3.0 Hz, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.50 (dd, J = 8.9, 2.3 Hz, 1H), 7.45 (t, J = 8.6 Hz, 1H), 7.39 (s,1H), 4.27 (q, J = 6.9 Hz, 2H), 4.00 (s, 3H), 3.88 (s, 3H), 3.32 (s, 2H), 2.63(s, 3H), 1.44 (t, J = 6.9 Hz, 3H)。
【0070】
実施例17:N-(3-フルオロ-4-((7-メトキシ-6-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド(TL236と呼ぶ)の調製
【化20】
その合成方法は実施例1が参照される。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 12.33 (s, 1H), 8.62 (s, 1H), 8.41 - 8.34 (m, 1H), 7.99 (dd, J = 12.4, 2.4 Hz, 1H), 7.67 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 7.60 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.47 - 7.39 (m, 1H), 7.32 (s, 1H), 7.29 (d, J = 8.5 Hz,1H), 4.29 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 4.04 (s, 3H), 3.95 (s, 3H), 3.73 (t, J = 4.7 Hz, 5H), 3.10 (s, 3H), 2.59 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 2.50 (t, J = 4.6 Hz, 4H), 2.14 (p,J = 6.8 Hz, 2H)。
【0071】
実施例18:N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド(CCB-310と呼ぶ)の調製
【化21】
【0072】
ステップc1:7-(ベンジルオキシ)-4-(2-フルオロ-4-ニトロフェノキシ)-6-メトキシキノリン
反応フラスコに、7-ベンジルオキシ-4-クロロ-6‐メトキシキノリン(4.5g、15mmol)、2-フルオロ-4-ニトロフェノール(2.4g、15mmol)、DIEA(18mL)及びキシレン(9mL)を加え、混合物を140℃に加熱し、一晩中反応させた後、室温に冷却した。固体を沈殿させた後、混合物を濾過し、エタノールで洗浄した後、真空乾燥して3.7g(81.0%)の白色固体を得た。1HNMR (300 MHz, d6-DMSO) δ 8.56 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 8.45 (dd, J = 10.5, 2.5 Hz, 1H), 8.20 (m,1H), 7.61 (dd, J = 8.8, 8.8 Hz, 1H), 7.56 (s, 1H), 7.53 (m, 2H), 7.48 (s, 1H), 7.32-7.47 (m, 3H), 6.78 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 5.33 (s, 2H), 3.93 (s, 3H). MS (ESI), m/z: 421 [M+H]+。
【0073】
ステップc2:4-(4-アミノ-2-フルオロフェノキシ)-6-メトキシキノリン-7-オールの調製
7-(ベンジルオキシ)-4-(2-フルオロ-4-ニトロフェノキシ)-6-メトキシキノリン(3.0g、10mmol)を10mLのDMFに溶解した後、10%Pd/C(0.5g)及び10mLのエタノールを加え、混合物を水素雰囲気の室温で一晩中反応させた。Pd/Cを濾過により除去し、濾液を濃縮し、カラムに掛けて1.8g(60%)の4-(4-アミノ-2-フルオロフェノキシ)-6-メトキシキノリン-7-オールを得た。1H NMR (400 MHz, d6-DMSO) δ10.11 (s, 1H), 8.39 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.49 (s, 1H), 7.27 (s, 1H), 7.06 (s,1H), 6.68 - 6.40 (m, 2H), 6.32 (s, 1H), 5.49 (s, 2H), 3.95 (s, 3H). MS (ESI), m/z: 301 [M+H]+
【0074】
ステップc3:3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-モルホリノプロポキシ)キノリン-4-イル)オキシ)アラニンの調製
4-(4-アミノ-2-フルオロフェノキシ)-6-メトキシキノリン-7-オール(600mg、2mmol)、4-(3-クロロプロピル)モルホリン(3-5a)(982mg、6mmol)及びカルボン酸カリウム(828mg、6mmol)をDMF(20mL)に加え、混合物を80℃に加熱し、2時間反応させ、酢酸エチルで3回抽出した。有機相を結合し、飽和塩水で洗浄し、回転蒸発により乾燥させた後、カラムに掛けて615mg(72%)の3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-モルホリノプロポキシ)キノリン-4-イル)オキシ)アラニンを得た。1H NMR (300 MHz, d6-DMSO) δ8.44 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.50 (s, 1H), 7.37 (s, 1H), 7.06 (dd, J = 9.2, 8.8 Hz, 1H), 6.55 (dd, J = 13.2, 2.4 Hz, 1H), 6.47 (m, 1H), 6.38 (dd, J = 5.2, 1.0 Hz, 1H), 5.46 (s, 2H), 4.19 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.94 (s, 3H), 3.59 (m, 4H), 2.47 (t, J = 7.1 Hz, S48 2H), 2.39 (m, 4H), 1.97 (m, 2H). MS (ESI), m/z: 428[M+H]+
【0075】
ステップc4:N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-モルホリノプロポキシ)キノリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド(CCB-310と呼ぶ)の調製
3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-モルホリノプロポキシ)キノリン-4-イル)オキシ)アラニン(428mg、1mmol)、1,2-ジメチル-4-オキソ-6-(トリフルオロメトキシ)-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボン酸(277mg、1.2mmol)、HATU(570mg、1.5mmol)及びDIEA(0.5mL、3mmol)を5mLのDMFに溶解した後、混合物を室温で一晩中撹拌した。氷水を反応溶液に加えた後、固体を沈殿させた。混合物を濾過し、固体をジクロロメタンで2回抽出した。有機相を結合し、飽和塩水で1回洗浄し、無水NaSOで乾燥させた後、濾過し、回転蒸発により乾燥させた後、カラムクロマトグラフィーに掛けて533mg(75%)の白色固体を得た。
1H NMR (400 MHz, d6-DMSO) δ10.82 (s, 1H), 8.47 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.08 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 8.01 (dd, J = 13.1, 2.3 Hz, 1H), 7.83 (dd, J = 9.3, 2.8 Hz, 1H), 7.54 (d, J = 4.2 Hz, 2H), 7.45 (m, 2H), 6.49 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 4.21 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.96 (s, 3H), 3.88 (s, 3H), 3.69 - 3.50 (m, 4H), 2.63 (s, 3H), 2.47 (s, 2H), 2.41 (s, 4H), 2.05 - 1.91 (m, 2H). MS (ESI), m/z: 711 [M+H]+
【0076】
比較例1:6-エチル-N-(3-フルオロ-4-((6-メトキシ-7-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,2-ジメチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボキサミド(GDL5000123と呼ぶ)の調製
【化22】
その合成方法は実施例1が参照される。
1H NMR (500 MHz, d6-DMSO) δ11.01 (s, 1 H), 8.56 (s, 1 H), 8.08 (d, J = 1.5 Hz, 1 H), 7.97 - 7.94 (dd, J = 2.0, 13.0 Hz, 1 H), 7.81 (d, J = 9.0 Hz, 1 H), 7.67 - 7.65 (dd, J = 2.0, 8.5 Hz, 1 H), 7.58 (s, 1 H), 7.50 (m, 1 H), 7.44 (t, J = 9.0 Hz, 1 H), 7.40 (s, 1 H), 4.26 (t, J = 6.0 Hz, 2 H), 3.99 (s, 3 H), 3.83 (s, 3 H), 3.60 (s, 4 H), 2.77 (q, J = 7.5 Hz, 2 H), 2.65 (s, 3 H), 2.50 (m, 2 H), 2.41 (s, 4 H), 1.99 (t, J = 6.5 Hz, 2 H), 1.25 (t, J = 7.5 Hz, 2 H). MS (ESI), m/z: 656[M+H]+。
【0077】
実施例19:AXLキナーゼに対するキノリン及びキナゾリン化合物のIC50試験
キナーゼ活性の検出:酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)技術をキナーゼに対する化合物の阻害活性の検出に用いた。酵素反応基質であるポリ(Glu,Tyr)4:1をカリウムフリーPBS(10mMのリン酸バッファー、150mMのNaCl、pH7.2~7.4)で20μg/mLに希釈し、酵素ラベルプレートを125μl/ウェルでコーティングし、37℃で12~16時間インキュベートした。ウェル中の液体を除いた後、プレートをT-PBS(0.1%のTween20含有PBS)で3回洗浄し、各回において200μl/ウェルで5分間洗浄した。酵素ラベルプレートを37℃で1~2時間乾燥した。各ウェルに反応バッファー(50mMのHEPES、pH7.4、50mMのMgCl、0.5mMのMnCl、0.2mMのNaVO、1mMのDTT)で希釈された50μlのATPを加え、最終濃度5μMとした。試験化合物を、DMSOで適切な濃度に希釈して1μl/ウェルとする又は対応濃度のDMSOを含ませ(陰性対照ウェル)、その後、49μLの反応バーファーで希釈されたAXLキナーゼドメイン組換えタンパク質(ユーロフィン、14-512)を加えて反応を開始した。コントロールである酵素を含まない2つのウェルを各試験で要した。プレートをシェーカー上において37℃でインキュベートし、1時間反応させた。プレートをT-PBSで3回洗浄した。100μL/ウェルの1次抗体PY99希釈液を加え、プレートをシェーカーにおいて37℃で0.5時間反応させた。プレートをT-PBSで3回洗浄した。100μL/wellの2次抗体西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG希釈液を加え、プレートをシェーカーにおいて37℃で0.5時間反応させた。プレートをT-PBSで3回洗浄した。2mg/mlのOPDカラー溶液(0.03%のHを含む0.1Mのクエン酸-クエン酸ナトリウムバッファー(pH5.4)で希釈)を100μL/ウェルで加え、プレートを暗所において25℃で1~10分反応させた。(OPDの溶解のために超音波を必要とし、カラー溶液は即時使用のために調製されることが必要である。)50μL/ウェルの2MHSOを加えて反応を停止させ、波長調節可能酵素標識装置SPECTRA MAX 190を490nmの波長におけるデータの読み取りのために用いた。
【0078】
サンプルの阻害率を下記式によって得た。
サンプルの阻害率(%)={1-(化合物のOD値‐酵素を含まないコントロールウェルのOD値)/(陰性対照のOD値-酵素を含まないコントロールウェルのOD値)}×100
【0079】
IC50値を酵素標識装置に付随したソフトウェアを用いて4パラメータ法による回帰によって得た。
【0080】
キノリン及びキノザリン化合物とATPの競合実験において、全ての化合物はAXLキナーゼに対して強い阻害活性を示した(その結果を表1に示す)。化学式(I)におけるR及びRの置換基の修飾について、R及びRが親水性置換基の場合、その化合物はより良好な阻害活性を有し、置換基のより大きな修飾を許容し得ることを見出した。
【0081】
【表1】
【0082】
実施例20:AXLキナーゼに対するキノリン及びキノザリン化合物のIC50試験(Z’-LYTE技術)
キナーゼの活性の検出:Z’-LYTE FRETペプチド基質(Z’-LYTEチロシン6ペプチド基質、Invitrogen, PV4122)を用いた蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の原理に基づいて、AXLキナーゼ(ユーロフィン、14-500)に対する化合物の阻害活性をZ’-LYTE技術による2次反応を通して検出した(リン酸化及び非リン酸化ポリペプチドのタンパク質切断の感受性の差異に基づいた酵素結合型の蛍光により検出)。
【0083】
酵素反応:384ウェルプレートに5μLの酵素-基質系(50mMのHEPES、pH6.5、0.01%のBRJI-35、10mMのMgCl、1mMのEGTA、0.02%のNaN)を加え、5nLの化合物(濃度勾配)をecho520ウルトラマイクロ液体ピペッティングシステムを用いてそれに加えた。プレートを室温で10~20分間振盪した後、25nLのATP(最終濃度50μM)をecho520ウルトラマイクロ液体ピペッティングシステムを用いてそれに移した。振盪及び混合後、その混合物を遠心処理し、暗所において30℃で1.5時間反応させた。
【0084】
検出反応:2.5μLの発光溶液(1:128希釈)を各ウェルに加え、プレートを暗所において37℃1時間インキュベートした後、5μLの停止試薬を加えた。
【0085】
プレート読取:蛍光シグナルをPerkin Elmer EnVision Multimode Plate Readerを用いて検出した(励起波長が400nm、発光波長が460nm、535nm)。
【0086】
算出:各ウェルの阻害率を十分に活性されたウェル及びコントロールシグナルのウェルから算出した。データ分析方法は以下の通りである:
リン酸化率=1-[(発光率×F100%-C100%)/{C0%-C100%+発光率×(F100%-F0%)}]×100;
阻害率=100×(1-化合物のリン酸化率/陰性対照のリン酸化率)。
【0087】
IC50値をGraphPad Prismソフトウェアにより算出した。
【0088】
キノリン及びキノザリン化合物とATPの競合実験において、全ての化合物はAXLキナーゼに対する強い阻害活性を示した(結果を表2に示す)。化学式(I)におけるR及びR置換基の修飾に関して、R及びRが親水性置換基の場合、その化合物はより良好な阻害活性を有し、置換基のより大きい修飾を許容できる。
【0089】
【表2】
【0090】
実施例21:Flt3キナーゼに対するキノリン及びキノザリン化合物のIC50試験
キナーゼの活性の検出:Z’-LYTE FRETペプチド基質(Z’-LYTEチロシン2ペプチド基質、Invitrogen, PV3191)を用いた蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の原理に基づいて、Flt3キナーゼ(life, PV6253)に対する化合物の阻害活性をZ’-LYTE技術による2次反応を通して検出した(リン酸化及び非リン酸化ポリペプチドのタンパク質切断の感受性の差異に基づいた酵素結合型の蛍光により検出)。
【0091】
酵素反応:384ウェルプレートに5μLの酵素-基質系(50mMのHEPES、pH7.5、0.01%のBRJI-35、10mMのMgCl、1mMのEGTA)を加え、2.5μLの化合物(濃度勾配)及び2.5μLのATP混合溶液(基質であるZ’-LYTEチロシン2ペプチド基質の濃度が2μM、ATPの最終濃度が500μM)を加えた後、プレートを暗所において37℃で1時間インキュベートした。
【0092】
検出反応:5μLの発光溶液(1:64希釈)を各ウェルに加え、プレートを暗所において37℃で1時間インキュベートした後、5μLの停止試薬を加えた。
【0093】
プレート読取:蛍光シグナルをSynergy H1 Microplate Readerを用いて検出した(励起波長が400nm、発光波長が445nm、535nm)。
【0094】
算出:各ウェルの阻害率を十分に活性されたウェル及びコントロールシグナルのウェルから算出した。データ分析方法は以下の通りである:
リン酸化率=1-[(発光率×F100%-C100%)/{C0%-C100%+発光率×(F100%-F0%)}]×100;
阻害率=100×(1-化合物のリン酸化率/陰性対照のリン酸化率)。
【0095】
IC50値をGraphPad Prismソフトウェアにより算出した。
【0096】
キノリン及びキノザリン化合物とATPの競合実験において、全ての化合物はFlt3キナーゼに対する強い阻害活性を示した(結果を表3に示す)。化学式(I)におけるR及びR置換基の修飾に関して、R及びRが親水性置換基の場合、その化合物はより良好な阻害活性を有し、置換基のより大きい修飾を許容できる。
【0097】
【表3】
【0098】
実施例22:MV4-11細胞の増殖におけるキノリン及びキノザリン化合物の効果
MV4-11細胞の増殖における化合物の阻害効果をCCK-8細胞カウンティングキット(Dojindo)により検出した。特定のステップは以下の通りである:対数増殖期におけるMV4-11細胞を各ウェル毎に90μlで適切な密度で96ウェル培養プレートに播種した。一晩中培養した後、異なる濃度の化合物を加えて72時間作用させ、溶媒コントロール群を設定した(陰性対照)。細胞に化合物を72時間作用させた後、細胞増殖における化合物の効果をCCK-8細胞カウンティングキット(Dojindo)により検出した。10μlのCCK-8試薬を各ウェルに加え、プレートを37℃で2~4時間インキュベータに置いた。その後、全波長マイクロプレート酵素標識装置SpectraMax 190を450nmの測定波長での読み取りのために用いた。
【0099】
腫瘍細胞増殖の阻害率(%)を以下の式により算出した:
阻害率(%)=(ODコントロールウェル-OD投与ウェル)/ODコントロールウェル×100%。
【0100】
IC50値を酵素標識装置に添付されたソフトウェアを用いた4パラメータ法での回帰により得た。
【0101】
キノリン及びキノザリン化合物は、白血病MV4-11細胞に対する強い阻害活性を示した(結果を表4に示す)。
【0102】
【表4】
【0103】
実施例23:肝細胞でのキノリン及びキノザリン化合物の代謝についての種による比較研究
この実施例において、ヒト、サル、イヌ、ラット及びマウスの5つの種の肝細胞におけるTL134の代謝プロセスの差異を評価するためにUPLC-UV/Q-TOF MS法を用いた。それは、前臨床薬物動態の選択及び動物種の安全評価における研究について参照を提供する。
【0104】
材料及び方法は以下の通りである。
【0105】
【表5】
【0106】
2.インビトロ代謝研究のためのインキュベーションシステム
各インキュベーションサンプルの総量を100μLとし、培地をWME培地(pH7.4)とし、インキュベーションサンプルは1.0×10cells/mLの細胞密度の肝細胞及び最終濃度が3.0μMのTL134を含み、ネガティブコントロールを5種の動物の熱不活性化混合肝細胞(細胞カウンティング無し)及びTL134とインキュベートし、バッファーコントロールサンプルをWME培地及びTL134とインキュベートした。全てのサンプルを37℃で180分インキュベートした後、100μLの氷冷アセトニトリルを加えて反応を停止した。サンプルを試験準備のために-70℃で保管し、全てのインキュベーションサンプルは二重サンプルとした。
【0107】
3.装置及び条件
エレクトロスプレーイオン化源(ESI源)及びCDS自動較正システムを備えたTriple TOF 5600+四極子飛行時間タンデム質量分析機(Q-TOFMS)(AB SCIEX Company, USA)、バイナリー注入ポンプ、オートサンプラー、カラムオーブン、脱ガス装置及びTUV紫外線検出器を含むAcquity UPLC液体クロマトグラフィーシステム(Waters Company, USA)。
【0108】
クロマトグラフィー条件:クロマトグラフィーカラムは、ACQUITY HSS T3 C18カラム(100×2.1mmのI.D.、1.8μmの粒径)(Waters Company, USA)、カラム温度は40℃、流速は0.4mL/min、UV検出波長は254nm、移動相勾配は以下の表に示す。
【0109】
【表6】
【0110】
質量分析条件:エレクトロスプレーイオン化源(ESI)、陽イオンスキャンニング(交換受精モード)方式で検出、ガス1:55psi、ガス2:50psi、カーテンGAS:40psi、源温度500℃、イオンスプレー電圧(ISVF)5500V、デクラスタリング電圧80V、第1レベルフルスキャンニングの際の衝突エネルギー10eV、生成物のイオンスキャンニングの際の衝突エネルギー20±10eV、スキャンニング範囲m/z80~1000、外部標準法を用いた自動較正システム(CDS)は質量数補正のために用いた。
【0111】
4.サンプル前処理
各種の肝細胞インキュベーション溶液の二重サンプルを完全に取り、組み合わせ、1分間ボルテックスで混合し、5分間遠心処理(14000rpm)をした後、全ての上清を取り、10mLの試験管に移し、40℃の窒素流条件下で乾燥した。その後、残留物を150μLのアセトニトリル‐水(10:90、v/v)で溶解し、5分間遠心処理(14000rpm)し、5.0μLの上清をUPLC-UV/Q-TOF MS分析のために取った。陰性対照サンプル及びバッファーコントロールサンプルを肝細胞インキュベーションサンプルと同一の様式で処理した。
【0112】
5.データ分析
AB Sciex CompanyのAnalyst(登録商標)及びWaters CompanyのMasslynx V4.1のソフトウェアをデータ取得のために用い、AB Sciex CompanyのPeak View V1.2及びMetabolitePilot V1.5のソフトウェアをデータ分析のために用いた。
【0113】
6.試験結果
ヒト、サル、イヌ、ラット及びマウスにおけるTL134の肝細胞インキュベーション流体のデータをMetabolitePilotソフトウェアを用いて処理して関連する代謝スペクトルを得て(図1及び図2)、紫外線クロマトグラムを図3及び図4に示す。代謝物をそれらの質量電荷比の小さいものから大きいものの順に名称を付け、同一の質量電荷比を有する代謝物ではクラマトグラフィーの保持時間が前から後ろの順に名称を付け、肝細胞インキュベーションシステムにおけるTL134及び代謝物のUPLC-UV/Q-TOF MS情報を表7に示す。
【0114】
サル及びイヌ種の両方の肝細胞における化合物GDL5000123の代謝を上記と同一の方法及び条件により評価した。その結果を表8に示す。
【0115】
【表7】
【0116】
【表8】
【0117】
実験データの分析:UVクロマトグラフィーのピーク面積からの判定によると、サル及びイヌの肝細胞と共に化合物GDL5000123を180分間インキュベートした後、それぞれのインキュベーションシステムで原型薬剤の約41.3%及び27.2%が代謝され、UVクロマトグラフィーのピーク面積からの判定によると、ヒト、サル、イヌ、ラット及びマウスの肝細胞と共に化合物TL134を180分間インキュベートした後、それぞれのインキュベーションシステムで原型薬剤の約17.8%、4.6%、15.4%、19.8%及び3.0%が代謝された。分子キノロン断片におけるエチルの代わりのトリフルオロメトキシの導入は、化合物の安定性を顕著に改善でき、化合物の代謝安定性を改善でき、曝露を増大できるので、化合物のインビボでの薬効を改善でき、同一薬効のための用量を低減できる。
【0118】
上記実施例の技術的特徴のそれぞれは、任意に組み合わされ得る。説明を簡単にするために、上記実施例における技術的特徴のそれぞれの可能性のある組み合わせの全てについては記載していない。しかしながら、それらの技術的特徴の組み合わせの全ては、それらの組み合わせが互いに矛盾しない限り、本開示の範囲内としてみなされるべきである。
【0119】
上記実施例は、本開示のいくつかの実施形態の単なる説明であって、具体的且つ詳細に説明するものであるが、本開示の範囲を限定するように理解され得ない。なお、当業者は、いくつかの変更及び改良を本開示の概念から逸脱することなく行うことができ、それらの全ては本開示の保護範囲内である。従って、本開示の保護範囲は、添付の特許請求の範囲により定義されるであろう。
図1
図2
図3
図4